(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電池ユニット
(51)【国際特許分類】
H01M 50/597 20210101AFI20240927BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/51 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/24 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/59 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M50/597
H01M50/209
H01M50/213
H01M50/296
H01M50/51
H01M50/244 A
H01M50/244 Z
H01M50/24
H01M50/588
H01M50/59
H01M50/271 B
H01M50/271 S
(21)【出願番号】P 2020018980
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 篤志
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 健太
(72)【発明者】
【氏名】森田 聖史
(72)【発明者】
【氏名】大坪 啓一
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0056428(US,A1)
【文献】特開2013-120694(JP,A)
【文献】特開2004-214009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/209
H01M 50/213
H01M 50/24-50/244
H01M 50/271
H01M 50/296
H01M 50/548
H01M 50/51
H01M 50/59
H01M 50/597
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に接続された複数の電池セルが箱状のケースで覆われた1以上の電池モジュールであって、前記各電池モジュールが前記ケースの長手方向の第1の側の端面に設けられた正極端子と前記ケースの前記長手方向の第2の側の端面に設けられた負極端子とを有する前記1以上の電池モジュールと、
高さ方向に延在する4つの柱部と、前記4つの柱部に固定されると共に、前記高さ方向に略直交する方向に広がる載置面を含んで前記高さ方向から見たときの平面形状が略矩形の形状である1以上の載置板とを有するフレームと、を備え、
前記各電池モジュールが、前記載置面上に載置され、
前記フレームが、前記長手方向の第1の側と第2の側の両側において前記電池モジュールに前記長手方向に重なる箇所の少なくとも一部に開口を有し、
前記正極端子と前記負極端子が前記長手方向に関して逆側に位置していると共に略平行な状態になっている互い違い状態の2つの前記電池モジュールが1つの前記載置面に載置されており、
前記互い違い状態になっている前記2つの電池モジュールの一方の前記電池モジュールの前記正極端子と、その互い違い状態になっている前記2つの電池モジュールの他方の前記電池モジュールの前記負極端子とを電気的に接続する1以上の配線と、
を備え、
前記電池モジュールが、前記長手方向の両側端面の夫々に1以上のねじ孔を有し、
前記互い違い状態になっている前記2つの電池モジュールに含まれる前記各電池モジュールの前記1以上のねじ孔を用いて当該2つの電池モジュールの両方を前記フレームに固定できる一方、前記正極端子と前記負極端子が前記長手方向に関して同じ側に位置していると共に略平行な状態になっている揃い状態の2つの前記電池モジュールの両方を前記フレームに固定できない1以上の金具を備える、電池ユニット。
【請求項2】
電気的に接続された複数の電池セルが箱状のケースで覆われた1以上の電池モジュールであって、前記各電池モジュールが前記ケースの長手方向の第1の側の端面に設けられた正極端子と前記ケースの前記長手方向の第2の側の端面に設けられた負極端子とを有する前記1以上の電池モジュールと、
高さ方向に延在する4つの柱部と、前記4つの柱部に固定されると共に、前記高さ方向に略直交する方向に広がる載置面を含んで前記高さ方向から見たときの平面形状が略矩形の形状である1以上の載置板とを有するフレームと、を備え、
前記各電池モジュールが、前記載置面上に載置され、
前記フレームが、前記長手方向の第1の側と第2の側の両側において前記電池モジュールに前記長手方向に重なる箇所の少なくとも一部に開口を有し、
前記長手方向と前記高さ方向の両方に略直交する幅方向の第1の側の端部かつ前記高さ方向の下側に位置すると共に前記長手方向に延在する第1縁部から水が内部に浸入することを抑制すると共に、前記長手方向に延在する第1パッキンと、
前記幅方向の第2の側の端部かつ前記高さ方向の下側に位置すると共に前記長手方向に延在する第2縁部から水が内部に浸入することを抑制すると共に、前記長手方向に延在する第2パッキンと、を備え、
前記長手方向の第1の側の端部かつ前記高さ方向の下側に位置すると共に前記幅方向に延在する第3縁部から水が内部に浸入することを抑制するパッキンが存在せず、
前記長手方向の第2の側の端部かつ前記高さ方向の下側に位置すると共に前記幅方向に延在する第4縁部から水が内部に浸入することを抑制するパッキンも存在しない、電池ユニット。
【請求項3】
少なくとも高さ方向の片側が前記高さ方向に開口するカバーを備え、
前記カバーが、1以上の電池モジュールが前記1以上の載置板に載置されている前記フレームの側方を全周に亘って覆うサイドカバーを有する、請求項1
又は2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記サイドカバーが、配線を引き込むための貫通孔を有する、請求項
3に記載の電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池モジュールとしては、特許文献1に記載されているものがある。この電池モジュールは、電気的に接続された複数の電池セルと、その複数の電池セルを覆う箱型のケースとを備え、正極端子と負極端子が、箱型のケースの同一の端面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今では、電池モジュールは、多数の電池セルを搭載し、高い電力を出力する。よって、正極端子と負極端子の短絡を確実に防止しなければならないが、ケースの同じ面に正極端子と負極端子が存在すると、短絡が生じ易くなる。更には、配線の施工や取扱性が良好であると好ましい。
【0005】
そこで、本開示の電池ユニットは、短絡が生じにくくて、取扱性も良好な電池ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示に係る電池ユニットは、電気的に接続された複数の電池セルが箱状のケースで覆われた1以上の電池モジュールであって、各電池モジュールがケースの長手方向の第1の側の端面に設けられた正極端子とケースの長手方向の第2の側の端面に設けられた負極端子とを有する1以上の電池モジュールと、高さ方向に延在する4つの柱部と、4つの柱部に固定されると共に、高さ方向に略直交する方向に広がる載置面を含んで高さ方向から見たときの平面形状が略矩形の形状である1以上の載置板とを有するフレームと、を備え、各電池モジュールが、載置面上に載置され、フレームが、長手方向の第1の側と第2の側の両側において電池モジュールに長手方向に重なる箇所の少なくとも一部に開口を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る電池ユニットによれば、短絡が生じにくくて、取扱性も良好なものにし易い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る電池ユニットの斜視図である。
【
図2】上記電池ユニットの主要構成の分解斜視図である。
【
図3】上記電池ユニットが備える4つの電池モジュールの電気的な接続関係について説明する模式図である。
【
図4】上記電池ユニットからサイドカバー等の一部の部材を取り外して、電池モジュールの長手方向の一方側(表側)の端面が外部に露出した状態になっている斜視図である。
【
図5】上記電池ユニットからサイドカバー等の一部の部材を取り外して、電池モジュールの長手方向の他方側(裏側)の端面が外部に露出した状態になっている斜視図である。
【
図6】サイドカバーの一部を取り除いた上記電池ユニットの斜視図である。
【
図7】サイドカバーの一部を取り除いた上記電池ユニットにおける
図6と異なる斜視図である。
【
図8】サイドカバーの一部及び第1及び第2パッキンを取り除いた電池ユニットを下側から見たときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、本明細書で、「略」という文言を用いた場合、「大雑把に言って」という文言と同じ意味合いで用いており、「略~」という要件は、人がだいたい~のように見えれば満たされる。例を挙げれば、略円形という要件は、人がだいたい円形に見えれば満たされる。
【0010】
また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。また、以下に説明するように、電池モジュール30は、外観が略直方体形状を有するケース31を有する。図面及び以下の説明で、X方向は、ケース31の奥行方向(短手方向)を示し、電池ユニット1の幅方向(奥行方向)に一致する。また、Y方向は、ケース31の長手方向を示し、電池ユニット1の横方向に一致する。また、Z方向は、ケース31の高さ方向(高さ方向)を示し、電池ユニット1の高さ方向に一致する。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態に係る電池ユニット1の斜視図であり、
図2は、電池ユニット1の主要構成の分解斜視図である。先ず、
図1及び
図2を用いて電池ユニット1の概要について説明する。
図1を参照して、電池ユニット1は、屋外に配置される電池ユニットであり、屋外にある電力消費装置に円滑に電力を供給する用途等で用いられる。
図1に示すように、電池ユニット1は、略直方体状の形状を有し、Z方向の下側が高さ方向に開口するカバー2を備える。カバー2は、サイドカバー3と、トップカバー4とを有し、サイドカバー3は、4つの側壁部5を有する。また、電池ユニット1は、Y方向の表側に保護カバー6が取り付けられている。保護カバー6は、表側から衝撃が加わったときに電池ユニット本体を保護する役割等を果たしている。
【0012】
図2に示すように、電池ユニット1は、サイドカバー3、トップカバー4、及び保護カバー6に加えて、BPU(バッテリプロテクトユニット)カバー11、監視基板12、複数の安全部品13、BPUベース14、BPUベース受け金具17、フレーム20、複数の電池モジュール30、複数のモジュール固定金具45、及びベース55を備える。
【0013】
トップカバー4は、上部のカバーであり、施工時やメンテナンス時に取り外され、この取り外しの後、配線や点検等が行われる。サイドカバー3は、電池モジュール30や、監視基板12等の大多数の部品の全体をカバーする。サイドカバー3は、電池モジュール交換などのメンテナンス時に取り外される。サイドカバー3が取り外されると、電池モジュール30が固定されているフレーム20が外部に露出する。これにより、電池モジュール交換を行うことができる。トップカバー4は、サイドカバー3のZ方向上側の開口を塞ぐようにねじ等の締結部材を用いてサイドカバー3のZ方向の上側端部に固定される。トップカバー4とサイドカバー3の設置により、雨水や埃等の異物が、X方向、Y方向、Z方向上側から内部に入り込むことを防止している。
【0014】
サイドカバー3は、筐体外部から筐体内の上部施工エリアに配線を引き込むための貫通孔3aを有する。図示しないが、貫通孔3aは、Z方向下側のみに開口する配管カバーで被覆されてもよい。配管カバーは、例えば、管軸の方向を45°等の角度曲げるエルボーや、PF(Plastic Flexible)管(合成樹脂可撓電線管)等で構成される。配管カバーを設けると、下部から配線の引込を行うことができ、水の浸入を効果的に防ぐことができる。また、水・埃などの異物侵入に対する電池ユニット1の耐性を向上させることができる。
【0015】
BPUカバー11は、監視基板12とブレーカやヒューズ等で構成される複数の安全部品13を保護するためのカバーであり、例えば、上部で結露した結露水が滴下して監視基板12や安全部品13に接触することを防止する。また、トップカバー4に加えてBPUカバー11を設置することで、空気層を2層にすることができ、その結果、BPUカバー11内に結露が生じにくくなる。
【0016】
監視基板12には、電池モジュール30における、電圧、充放電電流、温度等の監視を行うための電子部品が実装されている。また、複数の安全部品13は、上述のように、ブレーカやヒューズ等で構成される。安全部品13を設置することで、電池ユニット1が異常発熱等を起こすことを確実に防止する。また、BPUベース14は、監視基板12や複数の安全部品13を取り付けるための板状部品である。
【0017】
BPUベース受け金具17は、BPUベース14を受ける板状の金具である。BPUベース受け金具17は、例えば、以下で詳述するフレーム20の柱部21に固定されたL字アングル25を介してフレーム20の柱部21に固定される。BPUベース受け金具17は、X方向とY方向とを含む平面に略平行に広がり、フレーム20で画定される直方体のスペースをZ方向に関して2つのスペースに区切って分離する役割等を果たす。
【0018】
監視基板12及び安全部品13は、BPUベース受け金具17の上側に生じる上側スペースに配置され、電池モジュール30は、BPUベース受け金具17よりも下側に生じる下側スペースに配置される。BPUベース受け金具17の設置により、電池モジュール30が異常発熱した場合でも、その影響が監視基板12や安全部品13に及ぶことを抑制でき、電池ユニット1の安全性を高くできる。
【0019】
BPUベース受け金具17は、上部で生じた結露水が電池モジュール30側へ滴下することを抑制する役割も果たす。また、BPUベース受け金具17は、電池モジュール30に電気的に接続される配線を下側スペースに位置させる役割を果たす。また、BPUベース受け金具17は、最も上側に位置する1以上の電池モジュール30をフレーム20の載置板27上に載置するべく、電池モジュール30をY方向の片側からフレーム20内に挿入する際にそれらの電池モジュール30の上側端面をガイドする役割も果たす。
【0020】
フレーム20は、Z方向に延在する4つの柱部21と、Y方向に延在する4つの第1梁22と、X方向に延在する4つの第2梁23と、複数の載置板27とを有する。4つの柱部21は、直方体のスペースを画定するように配置され、直方体のスペースの4つの角部に配置される。4つの第1梁22のうちの2つの第1梁22aは、X方向に間隔をおいて配置され、4つの柱部21の上側において2つの柱部21の上側端部同士を連結する。また、4つの第1梁22のうちの別の2つの第1梁22bは、X方向に間隔をおいて配置され、4つの柱部21の下側において2つの柱部21の下側端部同士を連結する。
【0021】
また、4つの第2梁23のうちの2つの第2梁23aは、Y方向に間隔をおいて配置され、4つの柱部21の上側において2つの柱部21の上側端部同士を連結する。また、4つの第2梁23のうちの2つの第2梁23bは、Y方向に間隔をおいて配置され、4つの柱部21の下側において2つの柱部21の下側端部同士を連結する。
【0022】
複数の載置板27は、Z方向に間隔をおいた状態で、4つの柱部21に、固定手段、例えば、ねじ等の締結部材、溶接、又は接着剤等で固定される。4つの柱部21に対する載置板27の固定にL字アングルを用いてもよい。載置板27は、Z方向に略直交する方向に広がる載置面29を含み、Z方向から見たときの平面形状が略矩形の形状となっている。
【0023】
フレーム20は、X方向の両側が開口し、Y方向の両側も開口している。フレーム20は、電池モジュール30を収納する領域を画定する。後で詳述するが、各電池モジュール30は、載置板27の載置面29に載置された状態で柱部21に固定される。電池モジュール30は、Y方向の端に位置する開口から4つの柱部21で囲まれる収納スペースに差し込まれる。電池ユニット1は、Z方向成分を含む荷重を、トップカバー4を介してフレーム20で受けるようになっている。
【0024】
電池モジュール30は、複数の二次電池で構成される複数の電池セル(図示せず)、例えば、複数の円筒型のリチウムイオン電池を有し、その複数の電池セルは、電気的に接続されている。電池モジュール30は、箱型のケース31を有し、複数の電池セルは、ケース31内に配置され、ケース31で覆われている。電池モジュール30は、ケース31の長手方向(Y方向)の第1の側の端面33に正極端子37を有する一方、ケース31の長手方向(Y方向)の第2の側の端面34に負極端子38を有している。
【0025】
本開示の電池ユニットは、1以上の如何なる数の電池モジュールを備えてもよいが、
図2に示す電池ユニット1では、電池ユニット1が、4つの電池モジュール30と、高さ方向に2段に配置された2つの載置板27を備える。そして、2つの電池モジュール30が、正極端子37と負極端子38がY方向に関して逆側に位置していると共にY方向に略平行な状態になっている互い違い状態となっており、その互い違い状態となっている2つの電池モジュール30が1つの載置板27に載置されるようになっている。このことから、
図2に示す実施例では、互い違い状態となっている2つの電池モジュール30が、上側の載置板27の載置面29に載置され、互い違い状態となっている他の2つの電池モジュール30が、下側の載置板27の載置面29に載置されている。
【0026】
図3は、4つの電池モジュール30の電気的な接続関係について説明する模式図である。
図2及び
図3に示すように、下段かつX方向一方側に位置する電池モジュール30を第1電池モジュール30aとし、下段かつX方向他方側に位置する電池モジュール30を第2電池モジュール30bとし、上段かつX方向他方側に位置する電池モジュール30を第3電池モジュール30cとし、上段かつX方向一方側に位置する電池モジュール30を第4電池モジュール30dとするとき、第1乃至第4電池モジュール30a,30b,30c30dは、第4電池モジュール30d、第3電池モジュール30c、第2電池モジュール30b、第1電池モジュール30aの順に高電位になるように直列に接続されている。
【0027】
また、
図3(a)に示すように、第4電池モジュール30dの正極端子37は、ブレーカ90の第1端子91に電気的に接続され、ブレーカ90の第2端子92は、BPU95の第1端子93に電気的に接続されている。また、BPU95の第2端子94は、第1電池モジュール30aの負極端子38に電気的に接続されている。詳述しないが、
図3(b)に示すように、BPU95は、電池モジュール30の数と同じ数のAFE(アナログ・フロント・エンド)98を有する。AFE98は、例えば、一定周期毎に、対応する電池モジュール30における、電圧、充放電電流、温度等の測定を行い、それらの情報を内蔵メモリに記憶する。
【0028】
図3(a)に示すように、本実施例では、電池ユニット1が、2対の互い違い状態となっている2つの電池モジュール30を備える。したがって、互い違い状態となっている2つの電池モジュール30における一方の電池モジュール30の正極端子37とその互い違い状態になっている2つの電池モジュール30の他方の電池モジュール30の負極端子38とを電気的に接続する1以上の配線39が、4つの電池モジュール30を電気的に接続する複数の配線に含まれる。
【0029】
本開示の電池ユニット1によれば、各電池モジュール30に関して、正極端子37がケース31のY方向の第1の側の端面に設けられ、負極端子38がケース31のY方向の第2の側の端面に設けられる。したがって、各電池モジュール30に関して、正極端子37と負極端子38が短絡することを確実に防止でき、安全性を万全なものにできる。
【0030】
また、電池ユニット1が、互い違い状態となっている2つの電池モジュール30を備える。したがって、互い違い状態となっている2つの電池モジュール30における一方の電池モジュール30の正極端子37とその互い違い状態になっている2つの電池モジュール30の他方の電池モジュール30の負極端子38とを電気的に接続する1以上の配線39が電池モジュール30を電気的に接続する複数の配線に含まれる。よって、電池ユニット1が備える複数の電池モジュール30の配線を容易に行うことができる。
【0031】
更には、
図2に示すように、フレーム20が、Y方向の第1の側と第2の側の両側において電池モジュール30にY方向に重なる箇所の少なくとも一部に開口を有する。したがって、サイドカバー3を外した状態で、Y方向の両側に開口が存在することになるので、電池モジュール30の配線作業等をY方向の両側で容易に実行でき、更には、電池モジュール30をY方向のいずれの側から挿入してもよくなり、電池モジュール30の挿入の自由度も大きくできる。よって、電池ユニット1の取り扱い性、利便性を優れたものにできる。
【0032】
次に、本開示の電池ユニット1が有する電池モジュール誤配置防止構造について説明する。上述のように、本開示の電池ユニット1では、X方向に隣り合う2つの電池モジュール30が互い違い状態になるようにすることで、複数の電池モジュール30の配線が容易になるようにしている。電池モジュール誤配置防止構造は、X方向に隣り合う2つの電池モジュール30が、正極端子37と負極端子38がY方向に関して同じ側に位置していると共に略平行な状態になっている揃い状態になることを防止する。
【0033】
図4は、電池ユニット1からサイドカバー3等の一部の部材を取り外して、電池モジュール30のY方向一方側(表側)の端面が外部に露出した状態になっている斜視図である。また、
図5は、電池ユニット1からサイドカバー3等の一部の部材を取り外して、電池モジュール30のY方向他方側(裏側)の端面が外部に露出した状態になっている斜視図である。
図4及び
図5に示すように、各電池モジュール30は、Y方向の両側でモジュール固定金具45を介してフレーム20の柱部21に固定される。
【0034】
詳しくは、
図4及び
図5に示すように、モジュール固定金具45は、平板部45aと、第1フレーム固定部45bと、第2フレーム固定部45cとを有する。平板部45aは、長方形の平板形状を有する。また、第1フレーム固定部45bは、平板部45aの延在方向の第1端部から平板部45aの厚さ方向の一方側に延在し、第2フレーム固定部45cは、平板部45aの延在方向の第2端部から平板部45aの厚さ方向の一方側に延在する。
【0035】
第1及び第2フレーム固定部45b,45cの夫々は、L字アングルと同様な構造を有し、第1平板部46aと、第2平板部46bを有する。第1平板部46aは、平板部45aの短手方向と平板部45aの厚さ方向とを含む方向に広がり厚さ方向に突出する。他方、第2平板部46bは、第1平板部46aにおける厚さ方向の平板部45a側とは反対側の端部から平板部45aの長手方向の外方側に広がる。第2平板部46bは、平板部45aと略平行な状態になっている。
【0036】
各第2平板部46bは、貫通孔を有し、各柱部21もねじ孔を有する。X方向の両側でねじ41の軸部を第2平板部46bの貫通孔に挿通した後に柱部21のねじ孔に締め込むことで、モジュール固定金具45をフレーム20に固定する。電池モジュール30は、正極端子37が設けられているY方向の第1の側の第1端面に金具固定用の第1ねじ孔(図示せず)を有している。また、電池モジュール30は、負極端子38が設けられているY方向の第2の側の第2端面に金具固定用の第2ねじ孔(図示せず)を有している。
【0037】
それらの第1ねじ孔と第2ねじ孔は、電池モジュール30のZ方向の同じ高さ位置に設けられている。他方、第1端面をY方向の外側から見たときの第1ねじ孔の形成位置の右端からのX方向距離は、第2端面をY方向の外側から見たときの第2ねじ孔の形成位置の右端からのX方向距離と異なっている。
【0038】
更には、モジュール固定金具45の平板部45aには、平板部45aがX方向とZ方向とを含む方向に広がると共にX方向に延在する状態にしたときに、Y方向から見たときに互い違い状態になっている2つの電池モジュール30における一方の電池モジュール30の第1ねじ孔と他方の電池モジュール30の第2ねじ孔の形成位置に略重なるように位置させることが可能な第1ねじ孔用貫通孔及び第2ねじ孔用貫通孔が設けられている。
図4及び
図5に示すように、互い違い状態になっている2つの電池モジュール30は、Y方向の第1の側と第2の側の夫々で、同一のモジュール固定金具45でフレーム20に固定される。
【0039】
より詳しくは、互い違い状態になっている2つの電池モジュール30における一方の電池モジュール30の第1ねじ孔に第1ねじ孔用貫通孔が重なるようにすると共に、当該2つの電池モジュール30における他方の電池モジュール30の第2ねじ孔に第2ねじ孔用貫通孔が重なるようにした状態で、ねじ42の軸部を第1ねじ孔用貫通孔に挿通した後で第1ねじ孔に締め込むと共に、ねじ43の軸部を第2ねじ孔用貫通孔に挿通した後で第2ねじ孔に締め込むことで、モジュール固定金具45を互い違い状態になっている2つの電池モジュール30の両方に固定する。よって、上述のように、モジュール固定金具45はフレーム20に固定されることから、互い違い状態になっている2つの電池モジュール30を、モジュール固定金具45を用いてY方向の両側でフレーム20に堅固に固定できる。
【0040】
上述のように、第1端面をY方向の外側から見たときの第1ねじ孔の形成位置の右端からのX方向距離は、第2端面をY方向の外側から見たときの第2ねじ孔の形成位置の右端からのX方向距離と異なっている。したがって、平板部45aにおける第1ねじ孔用貫通孔及び第2ねじ孔用貫通孔は、X方向に隣り合う2つの電池モジュール30が正極端子37と負極端子38がY方向に関して同じ側に位置していると共に略平行な状態になっている揃い状態になっているときにY方向の一方側に表れる一方の電池モジュール30の第1ねじ孔と他方の電池モジュール30の第1ねじ孔に重ねることができなくなっている。
【0041】
また、平板部45aにおける第1ねじ孔用貫通孔及び第2ねじ孔用貫通孔は、上記揃い状態になっている2つの電池モジュール30においてY方向の他方側に表れる一方の電池モジュール30の第2ねじ孔と他方の電池モジュール30の第2ねじ孔に重ねることもできなくなっている。よって、モジュール固定金具45を用いてX方向に隣り合う2つの電池モジュール30の両方をフレーム20に固定することで、X方向に隣り合う2つの電池モジュール30が、正極端子37と負極端子38がY方向に関して同じ側に位置していると共に略平行な状態になっている揃い状態になることを防止できる。なお、第1ねじ孔と第2ねじ孔が、電池モジュール30のZ方向の同じ高さ位置に設けられる一方、第1端面をY方向の外側から見たときの第1ねじ孔の形成位置の右端からのX方向距離が、第2端面をY方向の外側から見たときの第2ねじ孔の形成位置の右端からのX方向距離と異なる場合について説明した。しかし、第1端面をY方向の外側から見たときの第1端面における第1ねじ孔の形成位置が、第2端面をY方向の外側から見たときの第2端面における第2ねじ孔の形成位置と異なっていればよく、第1ねじ孔と第2ねじ孔は、電池モジュールのZ方向の同じ高さ位置に設けられなくてもよい。
【0042】
次に、ベース55の構造及び役割について説明する。
図2に示すように、電池ユニット1は、Y方向の各側端部かつ下側にベース55を備える。ベース55は、基礎などの設置場所に電池ユニット本体を固定するために設けられる。ベース55は、例えば、最も下側に位置する載置板27に固定される。ベース55は、L字アングルと同一の構造を有する部分を有し、柱部21の同軸上に位置してZ方向に突出すると共にX方向に延在する垂直板部55aと、垂直板部55aのZ方向下側の端部からY方向の外側に突出する共にX方向に延在する水平板部55bとを含む。
【0043】
水平板部55bを設置場所の設置面上に当接させることで、電池ユニット1の転倒を確実に防止できる。更には、垂直板部55aが柱部21の同軸上に位置する部分を有するので、電池ユニット1を耐荷重が高い構造にすることができる。なお、設置面に接触する箇所は、腐食し易いため、ベース55は、防食性のある材料で構成されると好ましい。
【0044】
次に、電池ユニット1のZ方向下側からの水の浸入を抑制する構造について説明する。
図6及び
図7は、サイドカバー3の一部を取り除いた電池ユニット1を互いに異なる方向から見たときの斜視図であり、電池ユニット1の下部の防止構造を視認できるようにした斜視図である。
【0045】
図6に示すように、電池ユニット1は、X方向の第1の側の端部かつZ方向の下側に位置すると共にY方向に延在する第1縁部61から水が内部に浸入することを抑制する第1パッキン62と、X方向の第2の側の端部かつZ方向の下側に位置すると共にY方向に延在する第2縁部63から水が内部に浸入することを抑制する第2パッキン64と、を備える。
【0046】
詳しくは、電池ユニット1の下側の載置板27は、X方向の第1の側の端部にX方向の外側に突出すると共に先端側が高さ方向下側に折れ曲がっている第1L字アングル部分65を有する。また、第1L字アングル部分65は、X方向とY方向とを含んでY方向に延在する第1平板部65aと、第1平板部65aのX方向の先端側の端部に繋がると共にY方向とZ方向とを含んでY方向に延在する第2平板部65bとを有する。
【0047】
載置板27のX方向の第1の側の端面66、第1平板部65a、及び第2平板部65bは、Z方向の下側とY方向の両側が開口してY方向に延在する凹部を画定する。
図6及び
図7に示すように、第1パッキン62は、その凹部に嵌め込み固定されている。
図7に示すように、第1パッキン62は、その凹部のY方向の寸法と略同じY方向の寸法を有し、Y方向に延在する。第1パッキン62の圧入による嵌め込み固定によって、第2平板部65bを図示しないサイドカバー3の内面に押し付けてサイドカバー3の内面に密着させることで、X方向の第1の側かつZ方向の下側からの水の浸入や異物の侵入を抑制している。
【0048】
また、
図6に示すように、電池ユニット1の下側の載置板27は、同様に、X方向の第2の側の端部にX方向の外側に突出すると共に先端側が高さ方向下側に折れ曲がっている第2L字アングル部分67を有する。また、第2L字アングル部分67は、X方向とY方向とを含んでY方向に延在する第1平板部67aと、第1平板部67aのX方向の先端側の端部に繋がると共にY方向とZ方向とを含んでY方向に延在する第2平板部67bとを有する。
【0049】
載置板27のX方向の第2の側の端面68、第1平板部67a、及び第2平板部67bは、Z方向の下側とY方向の両側が開口してY方向に延在する凹部を画定する。
図6及び
図7に示すように、第2パッキン64は、その凹部に嵌め込み固定されている。
図7に示すように、第2パッキン64は、その凹部のY方向の寸法と略同じY方向の寸法を有し、Y方向に延在する。第2パッキン64の圧入による嵌め込み固定によって、第2平板部67bを図示しないサイドカバー3の内面に押し付けてサイドカバー3の内面に密着させることで、X方向の第2の側かつZ方向の下側からの水の浸入や異物の侵入を抑制している。
【0050】
図7に示すように、電池ユニット1は、X方向の第1の側の端部に第1L字アングル69を有する。第1L字アングル69は、第1平板部65aの上面に当接する第1平板部69aと、第1平板部69aのX方向の先端側の端部に繋がると共にY方向とZ方向とを含んでY方向に延在する第2平板部69bとを有し、第2平板部69bは、Z方向の上側に突出する。第2平板部69bを、サイドカバー3に接触させることで、第2平板部69bとサイドカバー3を用いた防水及び防塵も実行している。なお、詳述しないが、電池ユニット1は、X方向の第2の側の端部に第2L字アングル79を有する。電池ユニット1では、X方向の第2の側の端部においてもX方向の第1の側の端部と同一の構造により第2L字アングル79を用いた防水及び防塵も実行している。
【0051】
図8は、サイドカバー3の一部及び第1及び第2パッキン62,64を取り除いた電池ユニット1を下側から見たときの斜視図である。
図6に示すように、各L字アングル69,79は、締結部材を用いてL字アングル部分65,67に固定するための貫通孔71を有する。また、
図8に示すように、L字アングル部分65,67も、締結部材を用いてL字アングル69,79に固定するための貫通孔72を有する。第1及び第2パッキン62,64を上記凹部に嵌め込むことで、水や異物が、これらの貫通孔と締結部材の隙間から内部に入り込むことも防止できる。
【0052】
再度、
図6を参照して、下側の載置板27は、Y方向の両側にL字アングル部を有さない。そして、電池ユニット1においては、Y方向の第1の側の端部かつZ方向の下側に位置すると共にX方向に延在する第3縁部73から水が内部に浸入することを抑制するパッキンが存在しない。また、図示はしないが、電池ユニット1においては、Y方向の第2の側の端部かつZ方向の下側に位置すると共にX方向に延在する第4縁部から水が内部に浸入することを抑制するパッキンも存在しない。
【0053】
本構成によれば、第1及び第2パッキン62,64を設置することで、X方向の両側端部からの水の浸入や異物の侵入を、X方向よりも寸法が大きいY方向の略全域において効果的に防止でできる。更には、Y方向の両側の下側縁部には、パッキンが存在しないようになっているため、Y方向両側の下側縁部の構造を簡素な構造にできる。したがって、電池ユニット1等のメンテナンスをする際にサイドカバー3を外すにあたって、電極や配線が密集して存在する、Y方向の両側とサイドカバー3との干渉を最小限にすることができる。これによって電池モジュール30のメンテナンスを実行し易くなり、施工性や利便性に優れる電池ユニット1を実現できる。よって、電池ユニット1が、下側において良好な防水及び防塵を実現できるという作用効果と、良好な施工性、利便性及び取扱性を実現できるという作用効果の両方を奏することができ、顕著な作用効果を奏することができる。
【0054】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、電池ユニット1が、少なくとも高さ方向の片側が高さ方向に開口するサイドカバー3を備えるようにした。また、1以上の電池モジュール30(全ての電池モジュール30)が1以上の載置板27に載置されているフレーム20における側方が全周に亘ってサイドカバー3に覆われるようにした。そして、サイドカバー3を取り外すだけで電池ユニット1の内部構造を外部に容易に露出させることができるようにし、メンテナンスを容易に実行できるようにした。しかし、フレーム20における4つの側方を、異なる4つのパネルで覆う構成を採用してもよい。
【0056】
また、パッキンをZ方向の下側かつY方向の両側端部におけるX方向に延在する縁部の周辺に配置しなかった。しかし、パッキンをZ方向の下側かつY方向の両側端部におけるX方向に延在する縁部の周辺に配置して、水がその縁部周辺から内部に浸入することを抑制するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 電池ユニット、 2 カバー、 3 サイドカバー、 4 トップカバー、 11 BPUカバー、 12 監視基板、 13 安全部品、 14 BPUベース、 17 BPUベース受け金具、 20 フレーム、 21 柱部、 25 L字アングル、 27 載置板、 29 載置面、 30 電池モジュール、 31 ケース、 37 正極端子、 38 負極端子、 39 配線、 45 モジュール固定金具、 55 ベース、 61 第1縁部、 62 第1パッキン、 63 第2縁部、 64 第2パッキン、 90 ブレーカ。