(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3581 20140101AFI20240927BHJP
【FI】
G01N21/3581
(21)【出願番号】P 2021550333
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2020024787
(87)【国際公開番号】W WO2021070428
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2019185627
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】淺井 陽介
(72)【発明者】
【氏名】山口 博史
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/097035(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0136335(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0120756(US,A1)
【文献】特開2005-305060(JP,A)
【文献】特開2017-009296(JP,A)
【文献】米国特許第10332089(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第105675131(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
G01J 3/00- 4/04
G01J 7/00- 9/04
G02B 5/00- 5/136
G06T 1/00
H04N 23/00-23/959
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に対してサブテラヘルツ波を放射する第1の放射面を含む第1の光源と、
前記第1の放射面より放射されたサブテラヘルツ波の、前記測定対象物に対して鏡面反射する反射波の強度を検出する第1のイメージセンサを含む第1の検出器と、を備え、
前記第1の光源は、
サブテラヘルツ波を放射状に放射する1
つの点光源と、
前記1
つの点光源から放射された放射状のサブテラヘルツ波内の各々の方向のサブテラヘルツ波の進行方向を
前記各々の方向のサブテラヘルツ波が到達した位置毎に拡散させ
て、前記第1の放射面より進行方向が拡散したサブテラヘルツ波を放射
し、前記各々の方向のサブテラヘルツ波が到達した位置の各々から前記測定対象物の同じ測定位置に対して多様な角度からのサブテラヘルツ波を照射する面光源として機能する光学素子と、を含む
撮影装置。
【請求項2】
前記光学素子は、
前記第1の放射面に平行な面状で、前記放射状のサブテラヘルツ波が到達する領域に複数の起伏が形成されており、
サブテラヘルツ波が到達した位置の前記起伏により前記1
つの点光源から放射された前記放射状のサブテラヘルツ波内の各々の方向のサブテラヘルツ波の進行方向を拡散させ
、前記各々の方向のサブテラヘルツ波が到達した位置の各々から前記測定対象物の同じ測定位置に対して多様な角度からのサブテラヘルツ波を照射する
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記光学素子は、前記1
つの点光源から放射された前記放射状のサブテラヘルツ波を拡散反射することで、前記第1の放射面から放射される前記進行方向が拡散したサブテラヘルツ波を生成する反射板を含む
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記光学素子は、前記1
つの点光源から放射された前記放射状のサブテラヘルツ波を拡散透過することで、前記第1の放射面から放射する前記進行方向が拡散したサブテラヘルツ波を生成する拡散板を含む
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記第1の放射面は、曲面である
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記曲面は、回転楕円面の内面の一部を含む
請求項5に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記回転楕円面は、球面である
請求項6に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記第1の放射面は、回転楕円面の内面の一部を含み、
前記1
つの点光源は、前記回転楕円面の2つの焦点のうちの一方に配置され
、前記2つの焦点のうちの他方は、前記測定対象物の測定位置である
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項9】
さらに、
前記測定対象物に対してサブテラヘルツ波を放射する第2の放射面を含む第2の光源と、
前記第2の放射面より放射されたサブテラヘルツ波の、前記測定対象物に対して鏡面反射する反射波の強度を検出する第2のイメージセンサを含む第2の検出器と、を備える
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項10】
前記第1のイメージセンサは、検出したサブテラヘルツ波の強度に基づく第1の画像を出力し、
前記第2のイメージセンサは、検出したサブテラヘルツ波の強度に基づく第2の画像を出力し、
さらに、前記第1の画像と前記第2の画像とを比較明合成して合成画像を生成し、生成した前記合成画像を出力する画像処理部を備える
請求項9に記載の撮影装置。
【請求項11】
前記画像処理部は、前記第1の画像と前記第2の画像との少なくともどちらかに、所定の特徴を有する物体が含まれているか否かを判定し、
前記第1の画像と前記第2の画像との少なくともどちらかに、前記所定の特徴を有する物体が含まれていると判定する場合には、所定の第1の検知信号を出力し、
前記第1の画像と前記第2の画像との少なくともどちらかに、前記所定の特徴を有する物体が含まれていると判定しない場合には、前記合成画像を生成し、さらに、前記合成画像に前記所定の特徴を有する物体が含まれているか否かを判定し、
前記合成画像に前記所定の特徴を有する物体が含まれていると判定する場合には、所定の第2の検知信号を出力する
請求項10に記載の撮影装置。
【請求項12】
前記第1の光源と前記第2の光源とが通路を挟んで設置され、
前記第1の検出器と前記第2の検出器とが前記通路を挟んで設置され、
前記第1の検出器は、前記第1の放射面及び前記第2の放射面より放射されたサブテラヘルツ波の、前記通路上の前記測定対象物に対して鏡面反射する反射波の強度を前記第1のイメージセンサで検出し、
前記第2の検出器は、前記第1の放射面及び前記第2の放射面より放射されたサブテラヘルツ波の、前記通路上の前記測定対象物に対して鏡面反射する反射波の強度を前記第2のイメージセンサで検出する、
請求項9に記載の撮影装置。
【請求項13】
前記サブテラヘルツ波は、0.08THz以上1THz以下の周波数の電磁波である
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服等の下に隠れて直接視認することができない物体を撮影する撮影装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、衣服等を透過する電磁波を人物に向けて放射する点光源と、点光源から放射された電磁波の反射波を受波する検知器とを備え、その人物の衣服等の下に隠れている物体を撮影する撮影装置が知られている。上記従来の撮影装置において、衣服等を透過する電磁波は、人体、金属等に対して鏡面反射する。このため、上記従来の撮影装置では、点光源から放射された電磁波を鏡面反射する人体、金属等のうち、反射波が検知器に入射する角度となる領域しか撮影することができない。従って、上記従来の撮影装置では、衣服等の下に隠れて直接視認することができない人体、金属等の形状を高精度に撮影することが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、衣服等の下に隠れて直接視認することができない物体の形状を、従来よりも精度よく撮影することができる撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る撮影装置は、測定対象物に対してサブテラヘルツ波を放射する第1の放射面を含む第1の光源と、前記第1の放射面より放射されたサブテラヘルツ波の、前記測定対象物による反射波の強度を検出する第1のイメージセンサを含む第1の検出器と、を備える。なお、「サブテラヘルツ波」の語は、0.08THz以上1THz以下の周波数の電磁波を意味する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る撮影装置によれば、衣服等の下に隠れて直接視認することができない物体の形状を、従来よりも精度よく撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、電磁波が物質を透過する際の、減衰率と周波数との関係を示す図である。
【
図2】
図2は、電磁波の周波数と解像度との関係を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る撮影装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る光源の構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る検出器が反射波を受波する様子の断面を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第1の比較例に係る検出器が反射波を受波する様子の断面を示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る撮影装置が設置されている様子を示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る撮影装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2に係る検出器が反射波を受波する様子の断面を示す模式図である。
【
図10】
図10は、第2の比較例に係る検出器が反射波を受波する様子の断面を示す模式図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る撮影装置が設置されている様子の断面を示す模式図である。
【
図13】
図13は、変形例に係る撮影装置の外観の一部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
発明者は、衣服等の下、カバンの中等に隠し持つ危険物(例えば、刃物等)の検知が可能となる撮影を行うことができる撮影装置について、鋭意検討を行った。
【0010】
以下、発明者が行った検討の内容について説明する。
【0011】
発明者は、衣服、カバン等の材料となる物質を電磁波が透過する際の、減衰率と周波数との関係について検討した。
【0012】
図1は、電磁波が物質を透過する際の、減衰率と周波数との関係を示す図である。
【0013】
図1に示すように、1THz以下の周波数の電磁波は、衣服、カバン等の材料となる物質の多くを透過することができる。
【0014】
発明者は、上記検討の結果、衣服等の下、カバンの中等に隠し持った危険物を検知するためには、1THz以下の周波数の電磁波を利用することが適切であるとの知見を得た。
【0015】
また、発明者は、危険物の形状を撮影することができる解像度を実現する周波数について検討した。
【0016】
電磁波の周波数(波長)と解像度(分解能)との関係は、アッベの式として知られている(式1)により表現される。
【0017】
【0018】
式1において、δは分解能、λは電磁波の波長、NAはレンズの開口数、nは物体とレンズとの間の媒質の屈折率、θは、物体からレンズに入射する光線の光軸に対する最大角度を示す。ここで、撮像レンズの入射瞳径をDとし、撮像レンズの入射瞳位置から物体までの距離d、d≫Dであるとして近似をすると、(式2)が得られる。
【0019】
【0020】
図2は、空気環境下を想定してn=1とし、D=0.5m、d=2.5mの条件下で、(式2)をグラフ化した図である。
【0021】
図2に示すように、80GHz(0.08THz)以上の周波数の電磁波を利用することで、刃物等の危険物の形状を撮影することができる。
【0022】
発明者は、上記検討の結果、刃物等の危険物の形状を撮影するためには、0.08THz以上の周波数の電磁波を利用することが適切であるとの知見を得た。
【0023】
すなわち、発明者は、これらの検討を通じて、衣服等の下、カバンの中等に隠し持つ危険物の検知が可能となる撮影を行うためには、0.08THz以上1THz以下の周波数の電磁波であるサブテラヘルツ波を利用することが適切であるとの知見を得た。
【0024】
また、サブテラヘルツ波は、人体に悪影響を生じないことが知られている。このため、人体に向けて放射する電磁波としてサブテラヘルツ波を利用することは、安全性の観点から問題はない。
【0025】
一方、サブテラヘルツ波は、人体、金属等に対して鏡面反射する。このため、従来のように、点光源から放射された電磁波(ここでは、サブテラヘルツ波)を利用する撮影では、人体の形状、刃物等といった金属性の危険物の形状を高精度に撮影することが困難である。この問題を解決するために、発明者は、サブテラヘルツ波を放射する光源の形状等について検討した。その結果、発明者は、サブテラヘルツ波を放出する光源が面光源であれば、点光源である場合と比べて、撮影対象となる物体に対して多様な角度からサブテラヘルツ波を照射することが可能となるため、人体、金属等のサブテラヘルツ波を鏡面反射する物体の形状を、従来よりも精度よく撮像することができるとの知見を得た。
【0026】
発明者は、上記知見に基づいて、下記撮影装置に想到した。
【0027】
本開示の一態様に係る撮影装置は、測定対象物に対してサブテラヘルツ波を放射する第1の放射面を含む第1の光源と、前記第1の放射面より放射されたサブテラヘルツ波の、前記測定対象物による反射波を受波する第1のイメージセンサを含む第1の検出器と、を備える。
【0028】
上記撮影装置は、面光源となる第1の光源から放射されたサブテラヘルツ波を利用して撮影を行う。このため、上記撮影装置によると、衣服等の下に隠れて直接視認することができない人体、金属等といった物体の形状を、従来よりも精度よく撮影することができる。
【0029】
また、前記第1の光源は、サブテラヘルツ波を放射する1以上の点光源と、前記1以上の点光源から放射されたサブテラヘルツ波から、前記第1の放射面から放射されるサブテラヘルツ波を生成する光学素子と、を含むとしてもよい。
【0030】
また、前記光学素子は、前記1以上の点光源から放射されたサブテラヘルツ波を拡散反射することで、前記第1の放射面から放射されるサブテラヘルツ波を生成する反射板を含むとしてもよい。
【0031】
また、前記光学素子は、前記1以上の点光源から放射されたサブテラヘルツ波を拡散透過することで、前記第1の放射面から放射するサブテラヘルツ波を生成する拡散板を含むとしてもよい。
【0032】
また、前記第1の放射面は、曲面であるとしてもよい。
【0033】
また、前記曲面は、回転楕円面の内面の一部を含むとしてもよい。
【0034】
また、前記回転楕円面は、球面であるとしてもよい。
【0035】
また、前記第1の放射面は、回転楕円面の内面の一部を含み、前記第1の光源は、サブテラヘルツ波を放射する点光源と、前記点光源から放射されたサブテラヘルツ波から、前記第1の放射面から放射されるサブテラヘルツ波を生成する光学素子と、を含み、前記回転楕円面の2つの焦点のうちの一方に配置されるとしてもよい。
【0036】
また、さらに、サブテラヘルツ波を放射する第2の放射面を含む第2の光源と、前記第2の放射面より放射されたサブテラヘルツ波の反射波を受波する第2のイメージセンサを含む第2の検出器と、を備えるとしてもよい。
【0037】
また、前記第1のイメージセンサは、検出したサブテラヘルツ波の強度に基づく第1の画像を出力し、前記第2のイメージセンサは、検出したサブテラヘルツ波の強度に基づく第2の画像を出力し、さらに、前記第1の画像と前記第2の画像とを比較明合成して合成画像を生成し、生成した前記合成画像を出力する画像処理部を備えるとしてもよい。
【0038】
また、前記画像処理部は、前記第1の画像と前記第2の画像との少なくともどちらかに、所定の特徴を有する物体が含まれているか否かを判定し、前記第1の画像と前記第2の画像との少なくともどちらかに、前記所定の特徴を有する物体が含まれていると判定する場合には、所定の第1の検知信号を出力し、前記第1の画像と前記第2の画像との少なくともどちらかに、前記所定の特徴を有する物体が含まれていると判定しない場合には、前記合成画像を生成し、さらに、前記合成画像に前記所定の特徴を有する物体が含まれているか否かを判定し、前記合成画像に前記所定の特徴を有する物体が含まれていると判定する場合には、所定の第2の検知信号を出力するとしてもよい。
【0039】
また、前記サブテラヘルツ波は、0.08THz以上1THz以下の周波数の電磁波であるとしてもよい。
【0040】
以下、本開示の一態様に係る撮影装置の具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定するものではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。以下において、平面という用語は、正確に平面である面だけでなく、実質的に平面である面を意味する。また、以下において、回転楕円面という用語は、正確に回転楕円面である面だけでなく、実質的に回転楕円面である面を意味する。
【0041】
なお、本開示の包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0042】
(実施の形態1)
ここでは、人物に対してサブテラヘルツ波を放射し、その人物により反射された反射波を受波し、受波した反射波の強度を検出することで、その人物が衣服等の下に隠し持つ刃物等の危険物を撮影する撮影装置について説明する。
【0043】
図3は、実施の形態1に係る撮影装置10の構成を示すブロック図である。
【0044】
図3に示すように、撮影装置10は、光源20と、検出器30と、画像処理部40とを備える。
【0045】
光源20は、測定対象物(ここでは、人物100)に対してサブテラヘルツ波を放射する。
【0046】
【0047】
図4に示すように、光源20は、点光源21と、光学素子23とを含んで構成される。
【0048】
点光源21は、サブテラヘルツ波を点光源21の周囲の全方位へ放射状に放射する。
【0049】
光学素子23は、放射面22を有し、点光源21から放射されたサブテラヘルツ波から、放射面22から放射するサブテラヘルツ波を生成する。ここで、放射面22は、平面である。このため、光学素子23は、平面である放射面22からサブテラヘルツ波を放射する面光源として機能する。ここで、サブテラヘルツ波の放射面は、説明の便宜上、平面としているが、後述する回転楕円体の内面、球面の内面でもよく、さらに、任意の曲面であってもよい。
【0050】
図5は、光源20がサブテラヘルツ波を放出する面光源として機能する様子、及び、後述する検出器30が、測定対象物による反射波を受波する様子の断面を示す模式図である。
【0051】
図5に示すように、光学素子23は、拡散板24を含んで構成され、その表側の主平面を放射面22とする。
【0052】
拡散板24は、点光源21から放射されたサブテラヘルツ波を拡散透過することで、放射面22から放射されるサブテラヘルツ波を生成する。拡散板24は、マクロ的視点で見ると、放射面22に平行な平板状である。一方で、拡散板24は、ミクロ的視点で見ると、透過するサブテラヘルツ波が拡散するように、全面に微小な起伏が形成されている。
【0053】
図5に示すように、光源20において、点光源21は、光学素子23の裏側に配置される。点光源21から放射されたサブテラヘルツ波は、光学素子23の裏側の主表面から光学素子23の内部に侵入して拡散板24に到達する。拡散板24に到達したサブテラヘルツ波は、拡散板24を拡散透過する。そして、拡散板24を拡散透過したサブテラヘルツ波は、放射面22に伝搬し、放射面22から外部に放射される。
【0054】
【0055】
検出器30は、イメージセンサ31を含んで構成される。
【0056】
イメージセンサ31は、被写体から発せられたサブテラヘルツ波の像を、その強度に応じた電気信号に変換する。そして、イメージセンサ31は、変換した電気信号に基づく画像を生成する。以下では、イメージセンサ31が被写体の像を含む画像を生成することを「撮像する」とも称する。
図3に示すように、光源20から放射されたサブテラヘルツ波が被写体である測定対象物(ここでは、人物100)により反射され、その反射波がイメージセンサに到達する場合に、イメージセンサ31は、その反射波を受波する。
【0057】
前述したように、サブテラヘルツ波は、人体、金属等に対して鏡面反射する。このため、イメージセンサ31は、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物のうち、鏡面反射した反射波がイメージセンサ31に入射する角度の領域からの反射波を受波する。そして、イメージセンサ31は、受波する反射波の強度を検出する。
【0058】
前述したように、光源20は、放射面22からサブテラヘルツ波を放射する面光源として機能する。このため、光源20は、人物100に対して多様な角度からサブテラヘルツ波を照射することができる。このため、イメージセンサ31は、
図5に示されるように、人物100の表面、すなわち、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の表面のうち、比較的広い範囲の領域101からの反射波を受波することができる。従って、撮影装置10は、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の表面のうち、比較的広い範囲の領域101を撮像することができる。
【0059】
図6は、光源20から、光学素子23が削除されて構成される第1の比較例に係る撮影装置、すなわち、点光源21が放射するサブテラヘルツ波をそのまま外部に放射する構成の第1の比較例に係る撮影装置において、検出器30が反射波を受波する様子の断面を示す模式図である。
【0060】
図6に示すように、第1の比較例に係る撮影装置においては、イメージセンサ31は、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の表面のうち、鏡面反射した反射波がイメージセンサ31に入射する角度の領域101aからの反射波しか受波することができない。従って、第1の比較例に係る撮影装置は、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の表面のうち、比較的狭い範囲の領域101aしか撮像することができない。
【0061】
このように、実施の形態1に係る撮影装置10は、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の形状を、第1の比較例に係る撮影装置よりも精度よく撮像することができる。
【0062】
再び
図3に戻り、撮影装置10の説明を続ける。検出器30は、イメージセンサ31により生成された画像を、画像処理部40に出力する。
【0063】
画像処理部40は、検出器30より画像を受け取ると、受け取った画像を外部に出力すると共に、受け取った画像に対して画像処理を行い、その画像処理の結果を外部に出力する。
【0064】
画像処理部40が行う画像処理は、例えば、検出器30から出力された画像に、所定の特徴を有する物体(例えば、刃物の特徴を有する物体)が含まれているか否かを判定し、所定の特徴を有する物体が含まれていると判定する場合には、所定の検知信号(例えば、刃物の特徴を有する物体が撮影されている旨を示す警報)を出力する処理であってもよい。画像処理部40は、例えば、プロセッサとメモリとを備え、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0065】
上記構成の撮影装置10は、例えば、空港内の通路、駅の改札口付近等に設置される。
【0066】
図7は、撮影装置10が空港内の通路に設置されている様子を示す模式図である。
【0067】
図7に示すように、撮影装置10は、例えば、光学素子23と検出器30とが、空港におけるクランク状の通路200の壁の内部に埋め込まれて設置されてもよい。
【0068】
図7において、壁の内部の放射面22から放射されたサブテラヘルツ波は、壁を透過して人物100に照射される。そして、人物100により反射されたサブテラヘルツ波の反射波は、再び壁を透過して検出器30に入射される。これにより、撮影装置10は、通路200を通行する人物100が衣服等の下に隠し持つ刃物等の危険物を撮影することができる。
【0069】
(実施の形態2)
ここでは、実施の形態1に係る撮影装置10から、その構成の一部が変更された実施の形態2に係る撮影装置について説明する。以下では、実施の形態2に係る撮影装置について、撮影装置10との相違点を中心に説明する。
【0070】
図8は、実施の形態2に係る撮影装置10aの構成を示すブロック図である。
【0071】
図8に示すように、撮影装置10aは、実施の形態1に係る撮影装置10から、光源20が第1の光源20aと第2の光源20bとに変更され、検出器30が第1の検出器30aと第2の検出器30bとに変更され、画像処理部40が画像処理部40aに変更されて構成される。
【0072】
第1の光源20aは、測定対象物(ここでは、人物100)に対してサブテラヘルツ波を放射する。
【0073】
図9は、第1の光源20aの構成、第1の光源20aが面光源として機能する様子、及び、後述する第1の検出器30aが反射波を受光する様子の断面を示す模式図である。
【0074】
図9に示すように、第1の光源20aは、点光源21aと、光学素子23aとを含んで構成される。
【0075】
点光源21aは、サブテラヘルツ波を点光源21aの周囲の全方位へ放射状に放射する。
【0076】
光学素子23aは、第1の放射面22aを有し、点光源21aから放射されたサブテラヘルツ波から、第1の放射面22aから放射するサブテラヘルツ波を生成する。ここで、第1の放射面22aは、回転楕円面の内面である。このため、光学素子23aは、回転楕円面の内面である第1の放射面22aからサブテラヘルツ波を放射する面光源として機能する。
【0077】
図9に示すように、光学素子23aは、反射板24aを含んで構成され、その内側の曲面を第1の放射面22aとする。
【0078】
反射板24aは、点光源21aから放射されたサブテラヘルツ波を拡散反射することで、第1の放射面22aから放射されるサブテラヘルツ波を生成する。反射板24aは、マクロ的視点で見ると、第1の放射面22aと同等もしくはより大きな、第1の放射面22aの相似形であり、その2つの焦点の位置は、それぞれ、第1の放射面22aの2つの焦点の位置と一致する。一方で、反射板24aは、ミクロ的視点で見ると、反射するサブテラヘルツ波が拡散するように、反射面全面に微小な起伏が形成されている。
【0079】
図9に示すように、第1の光源20aにおいて、点光源21aは、第1の放射面22aの2つの焦点のうちの一方の焦点301aに配置される。点光源21aから放射されたサブテラヘルツ波は、第1の放射面22aから光学素子23aの内部に侵入して反射板24aに到達する。反射板24aに到達したサブテラヘルツ波は、反射板24aで拡散反射する。そして、反射板24aで拡散反射したサブテラヘルツ波は、第1の放射面22aに伝搬し、第1の放射面22aから外部に放射される。外部に放射されたサブテラヘルツ波は、例えば、第1の放射面22aの2つの焦点のうちの他方の焦点302aの近傍の人物100に照射される。
【0080】
図8における第2の光源20bは、第1の光源20aと同様の機能であり、その形状は、第1の光源20aと鏡像関係にある。このため、第2の光源20bは、その形状が第1の光源20aと鏡像関係にある点を除いて、第1の光源20aの説明から、点光源21aを点光源21bに読み替え、光学素子23aを光学素子23bに読み替え、反射板24aを反射板24bに読み替え、一方の焦点301aを一方の焦点301bに読み替え、他方の焦点302aを他方の焦点302bに読み替えることで説明される。
【0081】
【0082】
第1の検出器30aは、第1のイメージセンサ31aを含んで構成される。第1の検出器30aは、実施の形態1に係る検出器30と同様である。すなわち、第1のイメージセンサ31aは、実施の形態1に係るイメージセンサ31と同様である。
【0083】
第2の検出器30bは、第1の検出器30aと同様である。このため、第2の検出器30bは、第1の検出器30aの説明から、第1のイメージセンサ31aを第2のイメージセンサ31bに読み替えることで説明される。
【0084】
前述したように、第1の光源20aは、第1の放射面22aからサブテラヘルツ波を放射する面光源として機能する。このため、第1の光源20aは、他方の焦点302a近傍の人物100に対して多様な角度からサブテラヘルツ波を照射することができる。このため、第1のイメージセンサ31aは、
図9に示すように、人物100の表面、すなわち、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の表面のうち、比較的広い範囲の領域102からの反射波を受波することができる。従って、撮影装置10aは、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の表面のうち、比較的広い範囲の領域102を撮像することができる。
【0085】
図10は、第1の光源20aから、反射板24aが、反射板24aaに変更されて構成される第2の比較例に係る撮影装置において、第1の検出器30aが反射波を受波する様子の断面を示す模式図である。ここで、反射板24aaは、マクロ的視点で見ると、反射板24aと同等の形状をしている一方で、ミクロ的視点で見ると、反射するサブテラヘルツ波が鏡面反射するように、反射面全面が滑らかに形成されている。このため、一方の焦点301aから放射されて反射板24aaにより反射されたサブテラヘルツ波は、反射板24aaのいずれの場所で反射されたとしても、全て、他方の焦点302aに向けて進行する。このため、
図10に示すように、第2の比較例に係る撮影装置においては、第1のイメージセンサ31aは、他方の焦点302a近傍の人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の表面のうち、他方の焦点302aに位置する領域102aからの反射波しか受波することができない。従って、第2の比較例に係る撮影装置は、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の表面のうち、比較的狭い範囲の領域102aしか撮像することができない。
【0086】
このように、実施の形態2に係る撮影装置10aは、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の形状を、第2の比較例に係る撮影装置よりも精度よく撮像することができる。
【0087】
【0088】
第1の検出器30a及び第2の検出器30bは、それぞれ、第1のイメージセンサ31a及び第2のイメージセンサ31bにより生成された第1の画像及び第2の画像を、画像処理部40aに出力する。
【0089】
画像処理部40aは、第1の検出器30a及び第2の検出器30bより、それぞれ、第1の画像及び第2の画像を受け取ると、受け取った第1の画像及び第2の画像を外部に出力すると共に、受け取った第1の画像及び第2の画像に対して画像処理を行い、その画像処理の結果を外部に出力する。
【0090】
画像処理部40aが行う画像処理は、例えば、第1の検出器30a及び第2の検出器30bから出力された第1の画像及び第2の画像に、所定の特徴を有する物体(例えば、刃物の特徴を有する物体)が含まれているか否かを判定し、第1の画像と第2の画像との少なくともどちらかに、所定の特徴を有する物体が含まれていると判定する場合には、所定の検知信号(例えば、刃物の特徴を有する物体が撮影されている旨を示す警報)を出力する処理であってもよい。画像処理部40aが行う画像処理は、さらに、第1の画像と第2の画像との少なくともどちらかに、所定の特徴を有する物体が含まれていると判定しない場合には、第1の画像と第2の画像とを比較明合成して合成画像を生成し、生成した合成画像に所定の特徴を有する物体が含まれているか否かを判定し、合成画像に所定の特徴を有する物体が含まれていると判定する場合には、所定の検知信号を出力する処理を含んでいてもよい。画像処理部40aは、例えば、プロセッサとメモリとを備え、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0091】
上記構成の撮影装置10aは、例えば、空港内の通路、駅の改札口付近に設置される。
【0092】
図11は、撮影装置10aが駅の改札口近傍の通路に設置されている様子の断面を示す模式図である。
【0093】
図11に示すように、撮影装置10aは、例えば、光学素子23aと光学素子23bとが、駅の改札口付近の通路400の壁の内部に埋め込まれて設置されてもよい。より具体的には、撮影装置10aは、例えば、光学素子23aが通路400の一方の側壁である壁401aの内部に埋め込まれて設置され、光学素子23bが通路400の他方の側壁である壁401bの内部に埋め込まれて設置されてもよい。このように、撮影装置10aは、第1の光源20aと第2の光源20bとが、通路400を挟んで設置されてもよく、さらには、第1の検出器30aと第2の検出器30bとが、通路400を挟んで設置されてもよい。これにより、第1の検出器30aは、第1の放射面22a及び第2の放射面22bより放出されたサブテラヘルツ波の、通路400上の測定対象物(ここでは、人物100)による反射波の強度を第1のイメージセンサ31aで検出し、第2の検出器30bは、第1の放射面22a及び第2の放射面22bより放出されたサブテラヘルツ波の、通路400上の測定対象物(ここでは、人物100)による反射波の強度を第2のイメージセンサ31bで検出する。この際、光学素子23aの他方の焦点302aと、光学素子23bの他方の焦点302bとが、通路400の中心線上において略一致するように、光学素子23aと光学素子23bとが設置されることが望ましい。このように配置されることで、点光源21aから放射されるサブテラヘルツ波と、点光源21bから放射されるサブテラヘルツ波とを、他方の焦点302aと他方の焦点302bとの付近の領域(以下、「焦点領域」とも称する)に多様な角度から照射させることができる。このため、第1の検出器30a及び第2の検出器30bのそれぞれに含まれる第1のイメージセンサ31a及び第2のイメージセンサ31bは、
図11に示すように、焦点領域を歩行する人物100の表面、すなわち、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の表面のうち、比較的広い範囲の領域103からの反射波を受波することができる。従って、撮影装置10aは、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物の表面のうち、比較的広い範囲の領域103を撮像することができる。また、第1の検出器30a及び第2の検出器30bのそれぞれに含まれる第1のイメージセンサ31a及び第2のイメージセンサ31bは、それぞれ、領域103からの互いに異なる角度の反射波を受波する。従って、撮影装置10aは、同一の被写体である、人物100の体、及び、人物100が隠し持つ刃物を、互いに異なる角度から撮像することができる。
【0094】
以下、上記構成の撮影装置10aが行う動作について説明する。
【0095】
撮影装置10aは、一例として、画像解析処理を行う。画像解析処理とは、撮影装置10aが、第1の画像と第2の画像とを撮像し、撮像した第1の画像と第2の画像とに基づいて、刃物の特徴を有する物体が撮影されている旨を示す警報である検知信号を出力する処理である。
【0096】
図12は、撮影装置10aが行う画像解析処理のフローチャートである。
【0097】
画像解析処理は、焦点領域に人物が侵入したことにより開始される。
【0098】
焦点領域に人物が侵入すると、撮影装置10aは、焦点領域に人物が侵入したことを検知する。撮影装置10aは、例えば、焦点領域に人物が侵入したことを検知する外部センサから、焦点領域に人物が侵入した旨を示す信号を受信することで、焦点領域に人物が侵入したことを検知してもよい。
【0099】
焦点領域に人物が侵入したことが検知されると、第1の光源20aと第2の光源20bとは、互いに同期して、同じタイミングでサブテラヘルツ波を放射する(ステップS100)。また、第1の検出器30aと第2の検出器30bとは、互いに同期して、第1の光源20aと第2の光源20bとがサブテラヘルツ波を放出するタイミングで、焦点領域に侵入した人物を撮像する(ステップS110)。そして、第1の検出器30aと第2の検出器30bとは、それぞれ、第1の画像と第2の画像とを画像処理部40aに出力する。
【0100】
第1の画像と第2の画像とが出力されると、画像処理部40aは、出力された第1の画像と第2の画像とを受け取り、受け取った第1の画像と第2の画像とを外部に出力する(ステップS120)。そして、画像処理部40aは、第1の画像と第2の画像との少なくともどちらかに、所定の特徴である刃物の特徴を有する物体が含まれるか否かを判定する(ステップS130)。
【0101】
ステップS130の処理において、第1の画像と第2の画像との少なくともどちらかに、所定の特徴を有する物体が含まれていると判定しない場合に(ステップS130:No)、画像処理部40aは、第1の画像と第2の画像とを比較明合成して合成画像を生成し、生成した合成画像を外部に出力する(ステップS140)。そして、画像処理部40aは、生成した合成画像に、所定の特徴である刃物の特徴を有する物体が含まれるか否かを判定する(ステップS150)。
【0102】
ステップS130の処理において、第1の画像と第2の画像との少なくともどちらかに、所定の特徴を有する物体が含まれていると判定する場合と(ステップS130:Yes)、ステップS150の処理において、合成画像に所定の特徴を有する物体が含まれていると判定する場合と(ステップS150:Yes)に、画像処理部40aは、刃物の特徴を有する物体が撮影されている旨を示す警報である検知信号を外部に出力する(ステップS160)。
【0103】
ステップS160の処理が終了した場合と、ステップS150の処理において、合成画像に所定の特徴を有する物体が含まれていると判定しない場合と(ステップS150:No)に、撮影装置10aは、その画像解析処理を終了する。
【0104】
(他の実施の形態)
以上、本開示の一態様に係る撮影装置について、実施の形態1及び実施の形態2に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態に限定されるものではない、本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形をこれら実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0105】
(1)実施の形態2において、撮影装置10aは、回転楕円面の内面である第1の放射面22aを有する光学素子23aを含む第1の光源20aと、回転楕円面の内面である第2の放射面22bを有する光学素子23bを含む第2の光源20bとを含んで構成されるとして説明した。これに対して、本開示の一態様の他の一例である変形例に係る撮影装置は、実施の形態2に係る撮影装置10aから、光学素子23aの代わりに、回転楕円面の内面である第1の放射面22aの形状が球面の内面に変更された変形例に係る第1の光源を備え、光学素子23bの代わりに、回転楕円面の内面である第2の放射面22bの形状が球面の内面に変更された変形例に係る第2の光源を備えるように変更されて構成されてもよい。
【0106】
図13は、変形例に係る撮影装置の外観の一部を示す模式図である。
【0107】
図13に示すように変形例に係る撮影装置10bにおいて、変形例に係る第1の光源20cは、点光源21aと、球面の内面である第1の放射面22cを有する光学素子23cとを含んで構成される。そして、点光源21aは、球面の中心近傍に配置される。また、変形例に係る第2の光源20dは、点光源21bと、球面の内面である第2の放射面22dを有する光学素子23dとを含んで構成される。そして、点光源21bは、球面の中心近傍に配置される。
【0108】
(2)実施の形態1において、光学素子23は、拡散板24を含んで構成されるとして説明した。これに対して、他の一例として、光学素子23は、拡散板24そのものであるとしてもよい。この場合、拡散板24の表面が放射面22となる。
【0109】
(3)実施の形態2において、光学素子23a及び光学素子23bは、それぞれ、反射板24a及び反射板24bを含んで構成されるとして説明した。これに対して、他の一例として、光学素子23a及び光学素子23bは、それぞれ、反射板24aそのもの及び反射板24bそのものであるとしてもよい。この場合、反射板24aの反射面及び反射板24bの反射面が、それぞれ、第1の放射面22a及び第2の放射面22bとなる。
【0110】
(4)実施の形態1において、光源20には、点光源21が1つ含まれるとして説明した。しかしながら、光源20に含まれる点光源は、必ずしも1つに限定される必要はなく、複数であってもよい。この場合、光学素子23は、これら複数の点光源から放射されたサブテラヘルツ波から、放射面22から放射するサブテラヘルツ波を生成することとなる。
【0111】
(5)実施の形態2において、第1の光源20a及び第2の光源20bには、それぞれ、点光源21a及び点光源21bが1つ含まれるとして説明した。しかしながら、第1の光源20a及び第2の光源20bに含まれる点光源は、必ずしもそれぞれ1つに限定される必要はなく、それぞれ複数であってもよい。この場合、光学素子23a及び光学素子23bは、それぞれ、これら複数の点光源から放射されたサブテラヘルツ波から、第1の放射面22a及び第2の放射面22bから放射するサブテラヘルツ波を生成することとなる。
【0112】
(6)本開示の一態様は、実施の形態1、実施の形態2に係る撮影装置だけではなく、撮影装置に含まれる特徴的な構成部をステップとする撮影方法であってもよい、また、本開示の一態様は、撮影方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本開示は、物体を撮影する撮影装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0114】
10、10a 撮影装置
20 光源
20a、20c 第1の光源
20b、20d 第2の光源
21、21a、21b 点光源
22 放射面
22a、22c 第1の放射面
22b、22d 第2の放射面
23、23a、23b、23c、23d 光学素子
24 拡散板
24a、24aa、24b 反射板
30 検出器
30a 第1の検出器
30b 第2の検出器
31 イメージセンサ
31a 第1のイメージセンサ
31b 第2のイメージセンサ
40、40a 画像処理部
100 人物
101、101a、102、102a、103 領域
200、400 通路
301a、301b 一方の焦点
302a、302b 他方の焦点
401a、401b 壁