(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】動線分析装置及び動線分析方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20230101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/02
(21)【出願番号】P 2021567077
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2020043355
(87)【国際公開番号】W WO2021131448
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2019236729
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【氏名又は名称】竹内 寛
(72)【発明者】
【氏名】安達 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】秦 秀彦
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/079456(WO,A1)
【文献】特開2010-123069(JP,A)
【文献】特開2015-087841(JP,A)
【文献】特開2017-123026(JP,A)
【文献】特開2011-248836(JP,A)
【文献】特開2016-207059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体による動線に関連する関連情報を表示する動線分析装置であって、
前記関連情報を表示する表示部と、
複数の動線を示す動線データおよび前記関連情報を格納する記憶部と、
ユーザの操作による入力を受け付ける入力部と、
前記記憶部に格納された情報および前記入力部から入力されるユーザ操作に基づいて、前記表示部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記動線データに基づき前記複数の動線がそれぞれ滞留した滞留箇所を前記表示部に表示させて、前記入力部から少なくとも1つの滞留箇所を選択するユーザ操作による入力結果を取得し、
選択された滞留箇所に基づき、前記複数の動線から、前記選択された滞留箇所に滞留した複数の動線を抽出して、抽出した複数の動線を前記表示部に表示させ、
さらに、前記選択された滞留箇所とは別の指定箇所であって、前記抽出した複数の動線のうちの少なくとも1つの動線が通過する指定箇所を指定するユーザ操作による入力結果を、前記入力部から取得し、
前記指定箇所に基づき、前記選択された滞留箇所により抽出した複数の動線から、前記表示部に表示される動線を制限し、
前記選択された滞留箇所及び前記指定箇所に基づき、前記表示部に表示される関連情報を抽出する
動線分析装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記移動体が位置する地図を示す地図データをさらに格納し、
前記制御部は、前記滞留箇所と前記地図とを重畳して前記表示部に表示させる
請求項1に記載の動線分析装置。
【請求項3】
前記地図は、複数の分割エリアに分割され、
前記制御部は、
前記分割エリア毎に、前記選択された滞留箇所において滞留する動線が通る回数を前記表示部に表示させ、
前記入力部において、前記指定箇所として前記複数の分割エリアのいずれかを指定するユーザ操作を受け付ける
請求項
2に記載の動線分析装置。
【請求項4】
前記関連情報は、前記移動体に関する動画と、前記動画の候補が含まれたリストとのうちの少なくとも一方を含む
請求項1
から3のいずれか1項に記載の動線分析装置。
【請求項5】
移動体による動線に関連する関連情報を表示する動線分析方法であって、
コンピュータの制御部が、
記憶部に格納された動線データに基づ
き複数の動線がそれぞれ滞留した滞留箇所を表示部に表示させて、入力部から少なくとも1つの滞留箇所を選択するユーザ操作による入力結果を取得するステップと、
選択された滞留箇所に基づき、前記複数の動線から、前記選択された滞留箇所に滞留した複数の動線を抽出して、抽出した複数の動線を前記表示部に表示させるステップと、
さらに、前記選択された滞留箇所とは別の指定箇所であって、前記抽出した複数の動線のうちの少なくとも1つの動線が通過する指定箇所を指定するユーザ操作による入力結果を、前記入力部から取得するステップと、
前記指定箇所に基づき、前記選択された滞留箇所により抽出した複数の動線から、前記表示部に表示される動線を制限するステップと、
前記選択された滞留箇所及び前記指定箇所に基づき、前記表示部に表示される関連情報を制限するステップとを含む
動線分析方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の動線分析方法をコンピュータの制御部に実行させるためのプログラム。
【請求項7】
移動体による動線に関連する関連情報を表示する動線分析装置であって、
前記関連情報を表示する表示部と、
複数の動線を示す動線データおよび前記関連情報を格納する記憶部と、
ユーザの操作による入力を受け付ける入力部と、
前記記憶部に格納された情報および前記入力部から入力されるユーザ操作に基づいて、前記表示部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記動線データに基づき前記複数の動線がそれぞれ滞留した滞留箇所を前記表示部に表示させて、前記入力部から少なくとも1つの滞留箇所を選択するユーザ操作による入力結果を取得し、
選択された滞留箇所に基づき、前記複数の動線から、前記選択された滞留箇所に滞留した複数の動線を抽出して、抽出した複数の動線を前記表示部に表示させ、
さらに、前記選択された滞留箇所とは別の指定箇所であって、前記抽出した複数の動線のうちの少なくとも1つの動線が通過する指定箇所を指定するユーザ操作による入力結果を、前記入力部から取得し、
前記指定箇所に基づき、前記選択された滞留箇所により抽出した複数の動線から、前記表示部に表示される動線を制限する
動線分析装置。
【請求項8】
前記関連情報は、前記動線データが示す複数の動線にそれぞれ関連付けられた動線毎のリンク情報を含み、
前記制御部は、前記表示部に表示される関連情報の抽出結果として、前記選択された滞留箇所及び前記指定箇所により制限された動線に関連付けられたリンク情報を生成する
請求項1
から4のいずれか1項に記載の動線分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体による動線に関連する関連情報を表示する動線分析装置及び動線分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、店舗における顧客の動線を解析する販売分析装置を開示する。特許文献1の販売分析装置は、購入情報の指定により選択された顧客の購入時刻から、当該顧客に対応する動線データを抽出して表示する。このように、顧客が購入した商品と関連させた顧客の動線データを抽出することで、店舗における客単価を向上させる商品配置への活用を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、動線の関連情報を分析し易くすることができる動線分析装置及び動線分析方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る動線分析装置は、移動体による動線に関連する関連情報を表示する。動線分析装置は、表示部と、記憶部と、入力部と、制御部とを備える。表示部は、動線と関連情報を表示する。記憶部は、複数の動線を示す動線データおよび関連情報を格納する。入力部は、ユーザの操作による入力を受け付ける。制御部は、記憶部に格納された情報および入力部から入力されるユーザ操作に基づいて、表示部を制御する。制御部は、動線データに基づき動線が滞留した滞留箇所を表示部に表示させて、入力部から少なくとも1つの滞留箇所を選択するユーザ操作による入力結果を取得する。制御部は、さらに入力部から選択された滞留箇所とは別の指定箇所を指定するユーザ操作による入力結果を取得して、選択された滞留箇所及び指定箇所に基づき、表示部に表示される関連情報を抽出する。
【0006】
本開示の一態様に係る動線分析方法は、移動体による動線に関連する関連情報を表示する。動線分析方法は、コンピュータの制御部が、記憶部に格納された動線データに基づき動線が滞留した滞留箇所を表示部に表示させて、入力部から少なくとも1つの滞留箇所を選択するユーザ操作による入力結果を取得するステップと、入力部から選択された滞留箇所とは別の指定箇所を指定するユーザ操作による入力結果を取得して、選択された滞留箇所及び指定箇所に基づき、表示部に表示される関連情報を制限するステップとを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示における動線分析装置及び動線分析方法によると、動線の関連情報を分析し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る動線分析システムの概要を示す図
【
図2】動線分析システムに係る動線分析装置の構成を例示するブロック図
【
図3】動線分析装置における動線分析部の機能的構成を例示するブロック図
【
図4】動線分析装置における動線データを説明するための図
【
図5】動線分析装置における地図データを説明するための図
【
図6】動線分析装置における滞留データを説明するための図
【
図7】動線分析装置におけるエリア情報を説明するための図
【
図8】実施の形態1に係る動線分析装置における滞留エリア及び動線の表示例を示す図
【
図9】実施の形態1に係る動線分析装置において滞留エリアが選択された場合の表示例を示す図
【
図10】実施の形態1に係る動線分析装置における動線分析部の動作を説明するためのフローチャート
【
図11】実施の形態2に係る動線分析装置の表示例を示す図
【
図12】実施の形態2に係る動線分析装置における動線分析部の動作を説明するためのフローチャート
【
図13】実施の形態1の変形例に係る動線分析装置における動線分析部の動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0010】
(実施の形態1)
1.構成
実施の形態1に係る動線分析システムについて、
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る動線分析システム100の概要を示す図である。
【0011】
1-1.動線分析システムの概要
本システム100は、
図1に示すように、カメラ20と、動線分析装置50とを備える。本システム100は、工場または店舗等の作業場200において、作業者11及び12といった移動体の動きの軌跡である動線などの情報を蓄積する。本システム100は、例えば作業場200の管理者または分析担当者といったユーザ30が、設備のレイアウトや業務効率化を検討するために、作業者11及び12の動線等を分析する際に適用可能である。
【0012】
本システム100において、カメラ20は、例えば作業場200において作業者11及び12等が動く範囲全体が映るように配置される。カメラ20は、作業場200における動画を撮影して動画データD0を生成する。カメラ20は、例えば全方位カメラまたはボックスカメラ等であってもよい。本システム100では、動画データD0に基づき各種動線を示す動線データD1が得られる。本実施形態に係る動線分析装置50は、動画データD0及び動画データD1などの蓄積された情報を、ユーザ30に分析可能に提示する。
【0013】
1-2.動線分析装置の構成
以下、本システム100における動線分析装置50の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態の動線分析装置50の構成を例示するブロック図である。
【0014】
動線分析装置50は、例えばパーソナルコンピュータまたはタブレット端末のような情報処理装置で構成される。
図2に例示する動線分析装置50は、カメラ20のような外部機器と接続するための機器インタフェース51と、ユーザ30の操作を受け付ける操作部52と、画面表示を行う表示部53と、動線分析装置50の動作を制御する制御部54と、データ及びプログラムを記憶する記憶部57とを備える。
【0015】
機器インタフェース51は、例えばUSB、IEEE 802.11またはBluetooth(登録商標)といった規格に準拠して、機器間の接続及びデータの通信等を行う接続回路である。動線分析システム100は、機器インタフェース51を介して、カメラ20から動線分析装置50に動画データを転送する。機器インタフェース51は、外部機器からユーザ操作を入力する入力部を構成してもよい。
【0016】
操作部52は、例えばキーボード、マウス、トラックパッド及びタッチパネル等のいずれか、またはそれらの組み合わせにより構成される。操作部52は、ユーザの操作によって入力される諸情報を取得する。操作部52は、本実施形態における動線分析装置50の入力部の一例である。
【0017】
表示部53は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにより構成される。表示部53は、操作部52を操作するための各種アイコン及び操作部52から入力された情報など、各種の情報を表示してもよい。表示部53には、プロジェクタおよびヘッドマウントディスプレイなど各種の表示デバイスが用いられてもよい。また、例えば外付けの表示デバイスを用いる場合、動線分析装置50の表示部53は、例えばHDMI(登録商標)規格などに準拠した映像信号等の出力インタフェース回路であってもよい。
【0018】
制御部54は、例えばソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPUまたはMPUで構成される。制御部54は、記憶部57に格納されたデータ及びプログラムを読み出して種々の演算処理を行い、各種の機能を実現する。例えば、制御部54は、動線分析装置50の各種処理を実現するための命令群を含んだプログラムを実行する。上記のプログラムは、例えばアプリケーションプログラムであり、インターネット等の通信ネットワークから提供されてもよいし、可搬性を有する記憶媒体に格納されてもよい。
【0019】
図2に例示する動線分析装置50において、制御部54は、例えば機能的構成として動線生成部55及び動線分析部56を含む。動線生成部55は、例えば記憶部57に格納された動画データD0に画像認識技術を適用することで、動線データD1を生成して、記憶部57に出力する。動線分析部56は、操作部52におけるユーザ操作に応じて、動線データD1に基づく動線等の情報をフィルタリングして表示させる処理を実行する。動線分析部56の構成に関しては後述する。
【0020】
なお、制御部54は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路又は再構成可能な電子回路などのハードウェア回路であってもよい。制御部54は、CPU、MPU、GPU、GPGPU、TPU、マイコン、DSP、FPGA及びASIC等の半導体集積回路で構成されてもよい。また、制御部54は、各種のデータ及びプログラムを保持する一時的な記憶領域として内部メモリを備えてもよい。
【0021】
記憶部57は、データ及びプログラムを記憶する記録媒体であり、例えばハードディスクドライブ(HDD)または半導体記憶装置(SSD)により構成される。記憶部57は、例えば動画データD0、動線データD1、及び作業場200の地図を示す地図データD2といった各種のデータを格納する。
図5に例示する地図データD2は、例えばユーザ30により入力された地図の画像から、制御部54により生成される。記憶部57が格納する動線データD1及び地図データD2等の詳細は後述する。記憶部57は、例えばDRAMまたはSRAM等のRAMにより構成される一時的な記憶素子を備えてもよく、制御部54の作業領域として機能してもよい。例えば、記憶部57は、後述する滞留データD3及びエリア情報D4を一時的に記憶する。
【0022】
1-3.動線分析部の構成
以下、
図3を用いて動線分析部56の構成を説明する。
図3は、本実施形態における動線分析部56の機能的構成を例示するブロック図である。
【0023】
図3において、動線分析部56は、動線データ読込部61と、動線データ変換部62と、表示制御部63と、動線及び関連する情報を表示部53に表示させる動線データ表示部64と、地図データD2を管理する地図情報管理部65と、動線データフィルタ部66とを備える。
【0024】
動線データ読込部61は、記憶部57に格納された動線データD1を読み込む。動線データ変換部62は、動線データ読込部61から読み込まれた動線データD1を、作業者11、12等の移動体の滞留が検出された位置及び時間を示す滞留データD3(
図6参照)に変換する。動線データ変換部62は、記憶部57から地図情報管理部65を介して地図データD2を取得して、地図データD2と滞留データD3とを対応付けた情報を、表示制御部63に通知する。動線データ変換部62はさらに、記憶部57から取得した動画データD0の動画と動線データD1に基づく動線とを対応させた情報を表示制御部63に通知する。
【0025】
表示制御部63は、動線データ変換部62または動線データフィルタ部66から通知される各種の情報を、動線データ表示部64を制御して表示させる。動線データフィルタ部66は、動線の通過位置を指定するように、操作部52におけるユーザ操作により入力されるエリア情報D4に応じて、動線データ表示部64が表示部53に表示させる情報を決定する。
【0026】
1-4.各種データについて
本実施形態の動線分析装置50は、以上のように動線データD1、地図データD2、滞留データD3及びエリア情報D4を記憶部57に格納する。動線データD1、地図データD2、滞留データD3及びエリア情報D4について、
図4~7を用いて説明する。
【0027】
図4は、動線分析装置50における動線データD1を説明するための図である。動線データD1は、動画データD0に基づき動線生成部55により生成される。動線生成部55は、例えば動画データD0の各フレームに、地図データD2が含む地図画像と重ね合わせるように幾何補正を適用すると、画像認識技術を用いて作業者11、12等の移動体を検知する。動線データD1は、例えば
図4に示すように、フレームが記録された「時間」、検知した移動体を識別する「ID」、並びに各フレームにおいて移動体が検知された地図画像上の座標を示す「X」及び「Y」を関連付けて記憶する。座標X及びYは、それぞれ地図画像の幅方向及び高さ方向における座標である。
【0028】
動線分析部56は、動線データD1において、同一のIDを有するデータの座標X及びYを、当該座標と関連付いた時間によって時系列順に結合することで動線を表示させる。また、動線分析部56は、動線データD1において動線として結合した時間区間に基づき、動画データD0から動線に対応する時間区間の動画を表示させる。
図4に示すように、動線データD1は、同時に複数の移動体が検知されることにより、同じ時間において異なる複数のIDを有するデータを含む場合がある。
【0029】
図5は、地図データD2を説明するための図である。地図データD2は、例えば
図5に示すように、「地図画像」、「幅」、「高さ」及び「縮尺」を関連付けて記録する。地図データD2において、「地図画像」は、例えば作業場200における各種設備のレイアウトといった地図の画像データを示す。「幅」及び「高さ」は、地図画像の幅及び高さを示す。「縮尺」は、作業場200と地図との縮尺を示す。
図5の例において、画像の幅及び高さの単位は、例えばセンチメートルである。地図画像は、例えば操作部52におけるユーザ操作に応じて、機器インタフェース51により動線分析装置50の外部から予め取得される。
【0030】
図6は、滞留データD3を説明するための図である。滞留データD3は、例えば
図6に示すように、「開始時間」、「終了時間」、「ID」、「X」及び「Y」を関連付けてデータレコードとして記憶する。滞留データD3は、
図3に示す動線分析部56の動線データ変換部62により、動線データD1を変換して得られる。動線データ変換部62は、動線データD1において、同一のIDが座標の所定範囲内で所定時間以上検知されている場合に、当該IDにより識別される移動体が滞留したと判断して、滞留データD3を生成する。所定範囲は、一地点とみなせる程度に狭い範囲であり、例えば当該範囲の中心の座標を滞留データD3における座標として用いる。所定時間は、移動体が所定範囲内で停止しているとみなせる程度に長い時間である。
【0031】
滞留データD3において、「開始時間」及び「終了時間」は、動線データD1において記録された時間に基づく滞留の開始時間及び終了時間を示す。「ID」は、開始時間から終了時間まで動線データD1において検知されたIDを示す。「X」及び「Y」は、滞留と判断された近傍の座標の範囲における1点の座標X及びYを示し、例えば地図画像を所定間隔で格子状に分割した領域の交点を示す。
【0032】
なお、滞留データD3の生成において、所定時間、所定間隔及び所定座標の近傍を示す範囲は、ユーザ30により設定されてもよい。また、滞留データD3は、同時に複数の移動体の滞留が検知されることにより、同じ時間において異なる複数のIDを有するデータを含む場合がある。
【0033】
図7は、動線分析装置50におけるエリア情報D4を説明するための図である。エリア情報D4は、操作部52において、例えば表示部53に表示された地図画像上で矩形領域指定するユーザ操作により、動線データフィルタ部66に入力される。エリア情報D4は、例えば
図7に示すように、「X」、「Y」、「幅」及び「高さ」を関連付けて記憶する。
図7に例示するエリア情報D4において、「X」及び「Y」は、ユーザ30が地図画像上で指定する矩形領域の1つの頂点を示す。「幅」及び「高さ」は、当該矩形領域の幅と高さを示し、例えば単位はセンチメートルである。
【0034】
2.動作
以上のように構成される動線分析システム100及び動線分析装置50の動作を、以下説明する。
【0035】
2-1.動作の概要
本実施形態に係る動線分析システム100及び動線分析装置50の動作の概要を、
図1及び
図8~9を用いて説明する。
【0036】
本システム100において、動線分析装置50は、例えば
図1に示すように、作業者11及び12等が動く作業場200の動画をカメラ20により撮影した動画データD0を取得して、記憶部57に蓄積する。動線分析装置50は、例えば動線生成部55において、動画データD0から動線データD1を生成する。本実施形態の動線分析装置50は、ユーザ30の操作に応じて、動線データD1に基づく動線等の情報をユーザ30が分析可能に表示する。動線分析装置50の表示例を
図8~9に示す。
【0037】
図8(A)は、動線分析装置50の表示部53が動線を表示する前の状態を例示する。
図8(A)の表示例では、地図データD2の地図画像M1上に、滞留エリア80が表示されている。滞留エリア80は、動線データD1から得られる滞留データD3に基づいて、動線が滞留する位置を示す。本表示例において、動線分析装置50の表示部53は、複数の滞留エリア80を表示している。滞留エリア80は、本実施形態における滞留箇所の一例である。
【0038】
滞留エリア80は、例えば作業者11及び12等の移動体が滞留した期間の長さに応じた大きさを有する。例えば滞留エリア80は、表示制御部63の制御により、滞留データD3における座標X及びYを中心に、滞留の期間が長いほど、即ち滞留データD3における開始時間と終了時間の差が大きいほど大きい半径を有する円として表示される。
【0039】
動線分析装置50は、例えば長期間にわたる動画データD0により多数の動線を蓄積して得られる滞留エリア80によって、作業場200における作業者11及び12等の滞留の傾向を、精度良く可視化することができる。
【0040】
図8(B)は、
図8(A)から動線90を表示させた状態を例示する。本実施形態において、動線分析装置50は、
図8(A)に例示したような表示時に、複数の滞留エリア80から1つの滞留エリアを選択するユーザ操作を、操作部52において受け付ける。こうしたユーザ操作において選択される特定の滞留エリアを以下「滞留エリアAs」という。ユーザ30は、例えば作業場200において作業者11及び12が行う作業などを考慮して、動線90を分析したい滞留エリアAsを選択可能である。
【0041】
図9(A)は、
図8(B)の状態において動画リストT1を表示した表示部53の表示例を示す。本表示例において、表示部53は、
図8(A)の状態から、選択された滞留エリアAsで滞留した複数の動線90を表示すると共に、対応する動画リストT1を表示している。動画リストT1は、例えば表示された動線90のID毎に、各動線90に対応して動画データD0の動画を表示させる動画リンクと滞留データD3における滞留の開始時間とを関連付けて表示する。
【0042】
動画リストT1により、動線分析装置50は、表示した各々の動線90に対応する動画を視聴可能にする。ユーザ30は、動画を視聴することで、例えば当該動画に基づく動線90が形成された要因を分析することができる。動画リストT1及び動画リストT1の動画リンクが示す動画は、それぞれ本実施形態における関連情報の一例である。
【0043】
ここで、
図9(A)の表示例のように、多数の動線90が選択された滞留エリアAsにおいて滞留する場合、動画リストT1は、各動線90に対応する多数の動画リンクを含むこととなる。このように、動画の候補が過剰に表示されると、ユーザ30が全ての動画を視聴するためには過大な時間を要してしまう。よって、ユーザ30は分析したい滞留エリアAsを選択しても、所望の動画を見つけ出すことが困難になり、動線の分析を行い難くなる事態が考えられる。そこで、本実施形態の動線分析装置50は、滞留エリアAsの選択に加えて別途、動線が通る通過エリアを指定するユーザ操作を受け付けて、動画の候補の絞り込みを行う。
【0044】
図9(B)は、
図9(A)の状態からユーザ操作により、通過エリアApが指定された場合の表示例を示す。本表示例において、表示される動線90の本数は、
図9(A)で表示された多数の動線90から、通過エリアApを通る2本にまで低減されている。また、動画リストT2は、滞留エリアAsにおいて滞留し且つ通過エリアApを通る2本の動線90に対応した動画リンクのみを表示している。このような表示を行う本実施形態の動線分析装置50によると、ユーザ30は、動線の分析のために少数の動画リンクが示す動画を確認すればよく、動線及びその関連情報を分析し易くなる。さらに、動線分析装置50は少数の動画リンクを生成すればよく、関連情報の表示における処理負荷を低減することができる。
【0045】
2-2.動線分析部の動作
本実施形態の動線分析装置50における動線分析部56の動作について、
図3及び
図10を用いて説明する。
【0046】
図10は、動線分析部56の動作を説明するためのフローチャートである。
図10のフローチャートに示す各処理は、例えば制御部54が動線生成部55としての動作を実行後に、動線分析部56として機能することにより実行される。
図10のフローチャートは、例えば操作部52がユーザ30による動線等の分析を始めるための所定の操作を入力すると開始される。
【0047】
まず、動線分析部56としての制御部54は、記憶部57から各種データを取得する(S1)。例えば
図3に示すように、動線分析部56の動線データ読込部61は、動線データD1(
図4参照)を読み込む。また、地図情報管理部65は、地図データD2(
図5参照)を取得する。動線データ変換部62は、動線データ読込部61からの動線データD1に基づき滞留データD3(
図6参照)を生成して、地図情報管理部65からの地図データD2と共に表示制御部63に出力する。
【0048】
次に、制御部54は、表示制御部63及び動線データ表示部64として機能して、例えば
図8(A)に示すように、滞留データD3に基づく滞留エリア80を、地図データD2の地図画像M1上に重畳して表示部53に表示させる(S2)。具体的には、動線データ表示部64は、地図データD2における座標X及びYと、滞留データD3における座標X及びYとを対応付けて、滞留エリア80を表示させる。
【0049】
次に、制御部54は、操作部52において滞留エリアAsを選択するユーザ操作が入力されたか否かを判断する(S3)。滞留エリアAsの選択操作は、例えば、マウス等によって滞留エリアAsをクリックしたり、タッチパッド等によりタッチしたりする操作である。
【0050】
制御部54は、滞留エリアAsの選択操作が入力されていないと判断した場合(S3でNO)、ステップS3の判断を繰り返す。
【0051】
滞留エリアAsの選択操作が入力されると(S3でYES)、制御部54は、例えば
図8(B)に示すように、滞留エリアAsにおいて滞留した動線90を地図画像M1上に表示するように表示部53を制御する(S4)。本ステップの処理は、例えば制御部54が動線データ変換部62として生成した滞留データD3を参照して行われる。
【0052】
例えば、ステップS4において制御部54は、まず、
図6に例示した滞留データD3において、選択された滞留エリアAsの座標X及びYに該当するデータレコードを収集する。次いで、制御部54は、
図4に例示した動線データD1における時間、座標X及びYが滞留データD3から収集したデータレコードにおける時間、座標X及びYを含む、動線のID等を検知することにより、滞留エリアAsにおいて滞留した動線90を抽出する。この際、制御部54は、動線データ変換部62として抽出した各動線に対応する動画を表示させるための動画リンクを生成して、例えば
図9(A)に示すように動画リストT1を表示させてもよい。
【0053】
次に、制御部54は、例えば動線データフィルタ部66として機能して、操作部52において、通過エリアApを指定するユーザ操作が入力されたか否かを判断する(S5)。通過エリアApの指定操作は、例えばマウスまたはタッチパッド等により、地図画像M1上で矩形領域が通過エリアApとして指定される操作である。通過エリアApは、本実施形態における指定箇所の一例である。
【0054】
制御部54は、通過エリアApの指定操作が入力されていないと判断する場合(S5でNO)、ステップS5の判断を繰り返す。
【0055】
通過エリアApの指定操作が入力されると(S5でYES)、制御部54は、滞留エリアAsに滞留する動線90のうち、通過エリアApを通る動線90を抽出して表示部53に表示させる(S6)。本ステップの処理は、例えば制御部54が操作部52から通過エリアApを示すエリア情報D4(
図7参照)を取得して、動線データフィルタ部66として機能することによって行われる。
【0056】
ステップS6において、例えば、動線データフィルタ部66は、動線データ変換部62から滞留エリアAsを用いて抽出された動線90を示す情報を取得する。動線データフィルタ部66は、取得した情報の動線90から、エリア情報D4が示す通過エリアApの範囲内の座標X及びYが含まれる動線90を検知することにより、滞留エリアAsで滞留して且つ通過エリアApを通過する動線90を抽出する。
【0057】
さらに、制御部54は、動線データフィルタ部66として決定した各動線に対応する動画を示す動画リンクを生成して、動画リストT2を表示部53に表示させる(S7)。例えば
図9(B)は、ステップS6~S7の処理によって表示される。
【0058】
次に、制御部54は、操作部52において動画リストT2の動画リンクから表示させる動画を選択するユーザ操作が入力されたか否かを判断する(S8)。動画の選択操作は、例えば、マウス等による動画リンクのクリック操作、またはタッチパッド等によるタッチ操作である。
【0059】
制御部54は、動画の選択操作が入力された場合(S8でYES)、選択された動画を再生するように表示部53に表示させる(S9)。
【0060】
一方、制御部54は、動画の選択操作が入力されていないと判断した場合(S8でNO)、例えばステップS8の判断を繰り返す。
【0061】
制御部54は、動画を再生表示した(S9)後に、本フローチャートによる処理を終了する。なお、ステップS8~S9においては、複数の動画が再生表示されてもよい。
【0062】
以上の動線分析部56の動作によると、動線データD1に基づいて滞留エリア80を表示させ(S2)、ユーザ30により選択された滞留エリアAsにおいて滞留した動線90を表示させる(S4)。本実施形態の動線分析装置50において、制御部54はさらに、滞留エリアAsに加えて、ユーザ操作により指定される通過エリアApによって更なる動線90の抽出を行って、抽出した動線90、及び対応する動画リストT2を表示させる(S6,S7)。このように、動線分析部56は、ユーザ指定の通過エリアApに応じて表示させる動線90及び動画を絞り込むことにより、ユーザ30が動線90の関連情報を分析する際に、動線90に対応する動画の確認を行い易くすることができる。
【0063】
本実施形態において、制御部54は、動線分析部56として、ユーザ30が指定した通過エリアApを通る動線90を抽出し、対応する動画リストT2と共に表示させる(S6,S7)。例えば、ユーザ30は、作業場200において、選択した滞留エリアAsから想定されるような作業とは無関係な場所を通過エリアApとして指定できる。これにより、上記作業からは想定外の行動を含むような興味深い動線90の動画を即時に確認でき、作業場200の設備レイアウトや業務効率化の検討に利用しやすい動線の動画を分析することができる。
【0064】
また、制御部54は、本実施形態のステップS8において、動画が選択されないと判断する場合(S8でNO)、ステップS8の判断を繰り返し実行したが、これに限らない。例えば制御部54は、ステップS5以降の処理を再度実行してもよい。また、ステップS3において選択される滞留エリアAsの個数は1つに限らず、複数であってもよい。この場合、制御部54は、選択された滞留エリアAsの全てで滞留する動線90を表示部53に表示させてもよいし、何れかの選択エリアAsで滞留する動線90を表示させてもよい。
【0065】
3.効果等
以上のように、本実施形態において、動線分析システム100の動線分析装置50は、作業者11及び12といった移動体による動線に関連する関連情報を表示する。動線分析装置50は、表示部53と、記憶部57と、操作部52(入力部)と、制御部54とを備える。表示部53は、動線90と、関連情報の一例として各動線90に対応する動画と動画リストT1~T2を表示する(S4,S6,S7,S9)。記憶部57は、複数の動線90を示す動線データD1および関連情報を格納する。操作部52は、ユーザの操作による入力を受け付ける(S3,S8)。制御部54は、記憶部57に格納された情報および操作部52から入力されるユーザ操作に基づいて、表示部53を制御する。制御部54は、動線データD1に基づき動線が滞留した滞留箇所の一例として滞留エリア80を表示部53に表示させて、操作部52から少なくとも1つの滞留エリアを選択するユーザ操作による入力結果を取得する(S2,S3)。制御部54は、さらに操作部52から、選択された滞留エリアAsとは別の指定箇所の一例として通過エリアApを指定するユーザ操作を入力して、選択された滞留エリアAs及び通過エリアApに基づき、表示部53に表示される関連情報を抽出する(S6,S7)。
【0066】
以上のように動線分析装置50は、滞留エリアAsの選択に加えて、通過エリアApの指定により、表示部53に表示させる関連情報を制限する。これにより、動線分析装置50は、表示させる関連情報を、動線分析システム100のユーザ30の指定に応じて制限することで、ユーザ30が動線の関連情報を分析し易くすることができる。また、動線分析装置50は、表示させる関連情報を制限することで、表示のための処理負荷を低減することができる。
【0067】
本実施形態において、制御部54は、複数の動線90のうち、選択された滞留エリアAsに滞留して且つ指定された通過エリアApを通る動線の関連情報の一例として動画リストT2に、表示部53に表示される関連情報を制限する(S7)。これにより、動線分析装置50はユーザ30が確認する関連情報を、滞留エリアAsと通過エリアApに応じて2段階にフィルタリングして表示することで、ユーザ30が動線の関連情報を分析し易くすることができる。
【0068】
本実施形態において、制御部54は、滞留エリアApを選択するユーザ操作が入力されると、複数の動線90のうちの、選択された滞留箇所Asに滞留した動線を表示部53に表示させる(S4)。制御部54は、通過エリアApを指定するユーザ操作が入力されると、指定された通過エリアApに基づき、滞留エリアAsに滞留した動線から表示部53に表示される動線を制限する(S6)。
【0069】
以上の動線分析装置50によると、滞留エリアAsの選択に加えて、通過エリアApがユーザ30により指定されると、滞留エリアAsに滞留して且つ通過エリアApを通る動線のみが表示される。例えば作業場200の滞留エリアAsにおける作業とは無関係な箇所が通過エリアApとして指定されると、上記作業とは無関係の挙動を含む動線とその関連情報を抽出できる。これにより、動線分析装置50は、ユーザ30が検討を要する動線の関連情報を分析し易くすることができる。
【0070】
本実施形態において、記憶部57は、作業者11,12等の移動体が位置する地図、即ち地図画像M1を示す地図データD2をさらに格納する。制御部54は、滞留エリア80を地図と重畳して表示部53に表示させる。これにより、ユーザ30は、地図データD2の地図画像M1上で動線を確認することができ、動線等を分析し易い。
【0071】
本実施形態において、関連情報は、移動体に関する動画と、動画の候補が含まれたリストの一例として、動画リストT1及びT2とのうちの少なくとも一方を含む。これにより、ユーザ30は、移動体の動きを動画により具体的に確認することができる。
【0072】
本実施形態における動線分析方法は、移動体による動線に関連する関連情報を表示する。本方法は、制御部54が、記憶部57に格納された動線データD1に基づき、動線が滞留した滞留箇所の一例として滞留エリア80を表示部53に表示させて、操作部52(入力部)から少なくとも1つの滞留エリアを選択するユーザ操作による入力結果を取得するステップS2,S3と、操作部52から選択された滞留箇所Asとは別の箇所の一例として、通過エリアApを指定するユーザ操作による入力を取得して、滞留箇所As及び指定箇所Apに基づき、表示部53に表示される関連情報を制限するステップS5~S7とを含む。
【0073】
本実施形態では、上記の動線分析方法をコンピュータの制御部に実行させるためのプログラムが提供される。本実施形態の動線分析方法によると、ユーザ30が動線の関連情報を分析し易くすることができる。
【0074】
(実施の形態2)
以下、図面を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態1では、滞留エリアAsの選択後に動線90を表示して通過エリアApの指定操作を受け付ける動線分析システム100を説明した。実施の形態2では、地図データD2において動線が通過した回数を表示して、通過箇所を指定するユーザ操作を受け付ける動線分析システム100について説明する。
【0075】
以下、実施の形態1に係る動線分析システム100と同様の構成、動作の説明は適宜、省略して、本実施形態に係る動線分析システム100の動線分析装置50を説明する。
【0076】
図11は、実施の形態2に係る動線分析装置50の表示例を示す。本実施形態においては、例えば所定の分割エリア85が動線分析装置50に設定されている。分割エリア85は、例えば地図画像M1全体を格子状に分割するように、地図データD2に応じて設定される。本実施形態における動線分析装置50は、滞留エリアAsが選択された状態において分割エリア85毎に、滞留エリアAsで滞留した動線が当該分割エリア85を通過する回数をカウントして、カウントした通過回数を各分割エリア85に表示する。
【0077】
図11の表示例は、通過回数のカウントが1回の分割エリアを選択するユーザ操作が入力された状態を示す。こうしたユーザ操作において選択される特定の分割エリアを以下「分割エリアAc」という。本表示例において、動線分析装置50は、滞留エリアAsで滞留した動線から、選択された分割エリアAcを通る動線91を抽出して表示している。動線分析装置50は、滞留エリアAsで滞留し且つ分割エリアAcを通る1本の動線91と併せて、当該動線91に対応する動画の動画リンクを含む動画リストT3を表示する。これにより、本実施形態に係る動線分析システム100のユーザ30は、作業場200において作業者11及び12等が稀にのみ通る箇所を発見し易くなり、当該箇所を通る動線の分析を行うことができる。
【0078】
図12は、実施の形態2に係る動線分析部56の動作を説明するためのフローチャートである。本実施形態に係る動線分析装置50において、制御部54は、例えば実施の形態1における
図10のステップS4~S6の処理に代えて、
図11に示すように、動線の通過回数に応じた分割エリアAcの選択により表示させる動線を絞り込むための処理を実行する(S11~S13)。
【0079】
本実施形態に係る動線分析装置50の制御部54は、例えば
図12に示すような複数の分割エリア85を地図データD2の地図画像M1と対応付けた情報を、内部メモリ等に保持する。本実施形態の制御部54は動線分析部56として、ステップS3で選択された滞留エリアAsにおいて滞留した動線が、各分割エリア85を通る通過回数をカウントし、通過回数を分割エリア85毎に地図画像M1と重畳して表示部53に表示させる(S11)。この際、制御部54は、
図10のS4と同様に、滞留エリアAsにおいて滞留した動線を表示させてもよい。
【0080】
制御部54は、動線分析部56として、操作部52において1つの分割エリアAcを選択するユーザ操作が入力されたか否かを判断する(S12)。
【0081】
制御部54は、分割エリアAcを選択するユーザ操作が入力されていないと判断すると(S12でNO)、例えばステップS12の判断を繰り返す。
【0082】
分割エリアAcが選択されると(S12でYES)、制御部54は、実施の形態1の動線分析部56と同様に、滞留エリアAsにおいて滞留した動線から、選択された分割エリアAcを通る動線91を抽出する。動線分析部56は、抽出した動線91を表示部53に表示させる(S13)。これにより、本実施形態に係る動線分析システム100のユーザ30は、例えば通過回数が少ない分割エリア85を確認し、分割エリアAcとして選択することで、作業場200における作業では通常発生しない動きを調査するように、動線に関する動画を分析することができる。選択された分割エリアAcは、本実施形態における指定箇所の一例である。
【0083】
以上のように、本実施形態の動線分析装置50において、地図データD2の地図画像M1は、複数の分割エリア85に分割される。制御部54は、分割エリア85毎に、選択された滞留箇所の一例として滞留エリアAsにおいて滞留する動線が通る回数を、表示部53に表示させる(S11)。制御部54は、操作部52(入力部)において、指定箇所の一例として複数の分割エリア85のいずれかを指定するユーザ操作を受け付ける(S12,S13)。これにより、本システム100のユーザ30は、例えば動線が稀に通る箇所を選択することで、作業場200における特異な挙動を含む動線に関する動画を分析することができる。
【0084】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1~2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記の各実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0085】
上記の各実施形態において、動線分析システム100のカメラ20は、移動体の例として作業者11及び12の動きを説明した。本実施形態において、移動体は特に人に限らず、例えば、トラック、フォークリフト、電車といった車両であってもよい。
【0086】
上記の各実施形態において、動線分析システム100のカメラ20は、作業場200に設置された。本実施形態のカメラ20は、特に作業場200に限らず、例えば車両のような移動体に設置されてもよい。この際、動線データD1は、移動体のカメラ20により撮影された動画から、例えば自己位置推定の技術を用いて生成してもよい。
【0087】
上記の各実施形態において、動線分析システム100は、カメラ20による動画データD0に基づいて動線データD1を生成した。本実施形態の動線分析システム100は、特にカメラ20による動画データD0に限らず、例えば作業場200及び移動体がビーコン信号を送受信可能な機器を有し、ビーコン信号に基づいて動線データD1を生成してもよい。また、動線データD1は、車両等の移動をGPS等の技術を用いて追跡することにより生成されてもよい。
【0088】
実施の形態1において、動線分析システム100の動線分析装置50は、選択された滞留エリアAsにおいて滞留した動線を表示させる(
図10のS4)際、動画リストT1を表示させた(
図9参照)。本実施形態の動線分析装置50は、特に動画リストT1を表示させなくてもよい。また、本実施形態の動線分析装置50は、例えば表示させる動線の数が所定の閾値以下の場合のみ動画リストT1を表示させ、それ以外の場合には表示させなくてもよい。
【0089】
実施の形態1において、動線分析装置50は、指定箇所の一例である通過エリアApを矩形領域として入力し、エリア情報D4を取得した(
図10のS6)。本実施形態の動線分析装置50において、通過エリアApは、特に矩形領域に限らず、例えば曲線で囲まれた領域であってもよい。また、本実施形態の指定箇所は、特に領域としての入力に限らず、例えば線であってもよい。
【0090】
実施の形態1において、動線分析装置50は、指定箇所の一例である通過エリアApを入力し、通過エリアApを通る動線90及び対応する動画リストT2を表示した(
図10のS6~S7)が、複数の通過エリアApが指定されてもよい。このような変形例について、
図13を用いて説明する。
【0091】
図13は、実施の形態1の変形例に係る動線分析装置50における動線分析部56の動作を説明するためのフローチャートである。動線分析部56として機能する制御部54は、例えば
図10のステップS1~S9の処理に加えて、通過エリアApの指定(S5)による動線等の絞り込み表示(S6~S7)の後、ユーザ30により通過エリアApを追加または削除する操作が入力されたか否かを判断する(S21)。当該操作は、例えば追加または削除する通過エリアApの指定操作として入力される。
【0092】
ユーザ操作により通過エリアApが追加または削除された場合(S21でYES)、制御部54は、エリア情報D4(
図7参照)を更新して、ステップS6~S7の処理を再度実行する。例えば通過エリアApが追加されて複数あるとき、制御部54は、全ての通過エリアApを通る動線90等を表示させる(S6~S7)。通過エリアApが追加または削除されていない場合(S21でNO)、制御部54は、ステップS8以降の処理に進む。このように、ユーザ操作により追加または削除された通過エリアApに応じて表示させる動線90等を絞り込むことで、ユーザ30が動線90の関連情報を分析し易くすることができる。
【0093】
上記の各実施形態において、動線分析装置50は、動画リストT1~T3に表示される動画リンクを選択するユーザ操作を入力して(
図10及び
図12のS8)、動画を表示させた(
図10及び
図12のS9)。本実施形態における動線分析装置50は、特にステップS8の処理を実行せず、動線を直接選択するユーザ操作を入力して、動画を表示させてもよい。
【0094】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0095】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0096】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、移動体による動線と関連する関連情報を表示する動線分析装置及び動線分析方法に適用可能である。