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特許7561347部品装着システム、カバーテープ回収方法及び部品供給装置用保持部
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  • 特許-部品装着システム、カバーテープ回収方法及び部品供給装置用保持部 図1
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  • 特許-部品装着システム、カバーテープ回収方法及び部品供給装置用保持部 図9B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】部品装着システム、カバーテープ回収方法及び部品供給装置用保持部
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020177730
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022068910
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】礒端 美伯
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-068218(JP,A)
【文献】特開2012-099724(JP,A)
【文献】特開2004-228245(JP,A)
【文献】特開平07-226599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30、
13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品装着システムであって、
基板に部品を装着する部品装着装置と、
キャリアテープと前記キャリアテープに貼り付けられたカバーテープとを含む部品テープを搬送して前記キャリアテープに収納された部品を前記部品装着装置に供給する複数の部品供給装置を保持する保持部と、を備え、
前記保持部または前記部品装着装置は、前記複数の部品供給装置のそれぞれで前記キャリアテープから剥離され排出された複数の前記カバーテープを一括して収容する収容部を有し、
前記保持部は、前記複数の部品供給装置を保持するための複数のスロットを有し、
前記収容部は、前記複数のスロットの並び方向における幅が伸縮自在である、
部品装着システム。
【請求項2】
前記収容部は、前記複数の部品供給装置のそれぞれから排出された複数の前記カバーテープを切断する切断部を有する、
請求項1に記載の部品装着システム。
【請求項3】
前記収容部は、前記複数の部品供給装置において前記部品テープの搬送路の上流側、かつ前記搬送路の上方に位置する第一位置に設けられている、
請求項1または2に記載の部品装着システム。
【請求項4】
前記収容部は、前記第一位置と、前記部品供給装置を前記保持部に対し着脱する際に当該部品供給装置に干渉しない第二位置との間で移動自在である、
請求項3に記載の部品装着システム。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の部品装着システムを用いて、前記複数の部品供給装置のそれぞれで前記キャリアテープから剥離され排出された複数の前記カバーテープを前記収容部で一括して回収する、
カバーテープ回収方法。
【請求項6】
キャリアテープと前記キャリアテープに貼り付けられたカバーテープとを含む部品テープを搬送して前記キャリアテープに収納された部品を部品装着装置に供給する複数の部品供給装置を保持する部品供給装置用保持部であって、
前記複数の部品供給装置のそれぞれで前記キャリアテープから剥離され排出された複数の前記カバーテープを一括して収容する収容部と、
前記複数の部品供給装置を保持するための複数のスロットとを有し、
前記収容部は、前記複数のスロットの並び方向における幅が伸縮自在である
部品供給装置用保持部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品装着システム、カバーテープ回収方法及び部品供給装置用保持部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品装着システムでは、複数の部品を収容するキャリアテープ及びキャリアテープに貼り付けられたカバーテープを含む部品テープを個別に搬送する複数の部品供給装置が備えられている。各カバーテープは、搬送時にキャリアテープから剥がされて、各部品供給装置に備わる収容部に個別に回収されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-161355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の部品供給装置のそれぞれの収容部でカバーテープを回収すると、各収容部内に貯まったカバーテープの廃棄作業も個別に行わなければならず、廃棄作業が煩雑になってしまう。
【0005】
このため、本発明の課題は、カバーテープの廃棄作業を効率化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る部品装着システムは、基板に部品を装着する部品装着装置と、キャリアテープとキャリアテープに貼り付けられたカバーテープとを含む部品テープを搬送してキャリアテープに収納された部品を部品装着装置に供給する複数の部品供給装置を保持する保持部と、を備えている。保持部または部品装着装置は、複数の部品供給装置のそれぞれでキャリアテープから剥離され排出された複数のカバーテープを一括して収容する収容部を有する。
【0007】
また、本発明の一態様に係るカバーテープ回収方法は、上記部品装着システムを用いて、複数の部品供給装置のそれぞれでキャリアテープから剥離され排出された複数のカバーテープを収容部で一括して回収する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る部品供給装置用保持部は、キャリアテープとキャリアテープに貼り付けられたカバーテープとを含む部品テープを搬送してキャリアテープに収納された部品を部品装着装置に供給する複数の部品供給装置を保持する部品供給装置用保持部であって、複数の部品供給装置のそれぞれでキャリアテープから剥離され排出された複数のカバーテープを一括して収容する収容部を有する。
【0009】
これらによれば、収容部が、複数の部品供給装置のそれぞれから排出された複数のカバーテープを一括して収容するので、複数のカバーテープをまとめて回収することができる。したがって、廃棄作業もまとめて行うことができるので、廃棄作業の効率化が可能である。
【0010】
また、収容部は、複数の部品供給装置のそれぞれから排出された複数のカバーテープを切断する切断部を有する、としてもよい。
【0011】
これによれば、収容部に備わる切断部が、複数の部品供給装置のそれぞれから排出されたカバーテープを切断するので、作業者が器具(ハサミまたはカッター)などを用いなくとも、切断部でカバーテープを切断することができる。したがって、廃棄作業をより効率化することが可能である。
【0012】
また、収容部は、複数の部品供給装置において部品テープの搬送路の上流側、かつ搬送路の上方に位置する第一位置に設けられている、としてもよい。
【0013】
ここで、複数の部品供給装置において部品テープの搬送路の下流側には、部品装着装置の部品実装機構が配置されている。この位置に収容部を配置してしまうと、部品実装機構の動作を妨げるおそれがある。つまり、複数の部品供給装置において部品テープの搬送路の上流側に収容部を配置すれば、部品実装機構と干渉しにくくなり、好適である。
【0014】
さらに、収容部は、部品テープの搬送路の上方に配置されているので、搬送中の部品テープの上方に配置されている。このため、廃棄作業において部品テープが邪魔となりにくく、廃棄作業をより効率化することができる。
【0015】
また、収容部は、第一位置と、部品供給装置を保持部に対し着脱する際に当該部品供給装置に干渉しない第二位置との間で移動自在である、としてもよい。
【0016】
これによれば、第一位置と、部品供給装置を保持部から着脱する際に当該部品供給装置に干渉しない第二位置との間で収容部が移動自在であるので、部品供給装置を保持部から着脱する際に収容部を第二位置に退避させることができる。したがって、第二位置に収容部を退避させておけば、部品供給装置の着脱をスムーズに行うことができる。
【0017】
また、保持部は、複数の部品供給装置を保持するための複数のスロットを有し、収容部は、複数のスロットの並び方向における幅が伸縮自在である、としてもよい。
【0018】
これによれば、収容部において複数のスロットの並び方向における幅が伸縮自在であるので、部品供給装置が装着されていないスロットがある場合、つまり、カバーテープの回収が不要なスロットがある場合には、それだけ収容部の幅を縮めることができる。したがって、カバーテープの回収が必要なスロットに対応して収容部を伸縮できるので、使用状況に応じた大きさに収容部を調整することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カバーテープの廃棄作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態に係る部品実装ラインの構成説明図である。
図2】実施の形態に係る部品装着システムの概略構成を示す平面図である。
図3】実施の形態に係る部品装着システムの概略構成を示す断面図である。
図4】実施の形態に係る部品テープの概略構成を示す斜視図である。
図5】実施の形態に係る部品供給装置の概略構成を示す模式図である。
図6】実施の形態に係る収容部の概略構成を示す斜視図である。
図7】実施の形態に係る収容部が第二位置に配置された状態を示す断面図である。
図8】変形例に係る収容部を示す平面図である。
図9A】変形例に係る収容部が伸長した状態を示す模式断面図である。
図9B】変形例に係る収容部が収縮した状態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態及びその変形例に係る部品装着システムについて説明する。なお、以下で説明する実施の形態及びその変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及びその変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図は、模式図であり、寸法等は必ずしも厳密に図示したものではない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0022】
また、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行している、とは、当該2つの方向が完全に平行していることを意味するだけでなく、実質的に平行していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。さらに、単に、「X軸方向」という場合は、X軸に平行な双方向またはいずれか一方の方向を意味する。Y軸及びZ軸に関する用語についても同様である。
【0023】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る部品実装ライン1の構成説明図である。図1に示すように、本実施の形態に係る部品装着システム10は、基板6に部品を実装して実装基板を製造する機能を有するものであり、部品実装ライン1に組み込まれている。部品実装ライン1は、印刷装置2、複数の部品装着システム10、リフロー装置3の各装置を連結して通信ネットワークによって接続し、全体を管理コンピュータ7によって制御する構成となっている。
【0024】
印刷装置2は、基板6に形成された部品接合用の電極にペースト状の半田をスクリーン印刷する。部品装着システム10は、保持部50に配列された複数の部品供給装置70から実装ヘッド43によって部品を取り出して基板6に移送搭載する部品実装作業を行う。リフロー装置3は、半田を融解させて基板6に搭載された部品端子を基板6の電極に半田接合する。
【0025】
[部品装着システム]
以降、本実施の形態に係る部品装着システムについて詳細に説明する。図2は、実施の形態に係る部品装着システム10の概略構成を示す平面図である。図3は、実施の形態に係る部品装着システム10の概略構成を示す断面図である。具体的には、図3は、図2におけるIII-III切断面を部分的に示している。
【0026】
図2及び図3に示すように、部品装着システム10は、基台20と、基板搬送機構30と、一対の部品装着装置40と、一対の保持部50と、複数の部品供給装置70とを備えている。
【0027】
基台20は、基板搬送機構30を支持する台座であり、その上面に基板搬送機構30が配置されている。また、基台20を挟む位置に、一対の保持部50が配置されている。
【0028】
基板搬送機構30は、基台20のY軸方向の中央において、X軸方向に沿って配置されている。基板搬送機構30は上流側から搬入された基板6を搬送し、部品実装作業を実行するために設定された実装ステージに当該基板6を位置決めして保持する。基板搬送機構30の両側方には、それぞれ保持部50が配置されている。各保持部50は、X軸方向に配列された複数のスロット51を有している。各スロット51には、部品供給装置70が着脱自在に装着されるようになっている。つまり、保持部50は、複数のスロット51を介することで複数の部品供給装置70を保持する部品供給装置用保持部の一例である。
【0029】
保持部50における各スロット51には、個々の部品供給装置70が装着された位置を特定するためのアドレスが設定されており、部品実装作業においては、これらのアドレスを介して、各スロット51における各部品供給装置70が特定される。
【0030】
保持部50は、基台20に対してクランプ機構(図示省略)でクランプすることにより、基台20に対する保持部50の位置が固定されている。保持部50には、部品を保持した部品テープ16を巻回状態で収納する供給リール17が保持されている。供給リール17から引き出された部品テープ16は、部品供給装置70によって吸着ノズル45の部品吸着位置までピッチ送りされる。
【0031】
図4は、実施の形態に係る部品テープ16の概略構成を示す斜視図である。図4に示すように、部品テープ16は、供給リール17に巻回された状態となっている。部品テープ16は、複数の部品ポケット161を有するキャリアテープ162と、キャリアテープ162に貼り付けられ、各部品ポケット161を覆うカバーテープ163とを有している。キャリアテープ162において、カバーテープ163から露出した位置には、スプロケット751、761(後述)が係合する多数の貫通孔164が形成されている。
【0032】
図2及び図3に示すように、保持部50は、部品実装作業に伴い、キャリアテープ162から剥離されたカバーテープ163を収容する収容部90を備えている。収容部90の詳細については後述する。
【0033】
部品装着装置40は、Y軸移動テーブル41とX軸移動テーブル42とを備えている。具体的には、Y軸移動テーブル41は、リニア駆動機構を有しており、基台20上面においてX方向の一方側の端部に配置されている。Y軸移動テーブル41には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸移動テーブル42が、Y軸方向に移動自在に結合されている。2基のX軸移動テーブル42には、それぞれ実装ヘッド43がX軸方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド43は複数の保持ヘッド44を備えた多連型実装ヘッドであり、それぞれの保持ヘッド44の下端部には、図3に示すように、部品を吸着して保持し個別に昇降可能な吸着ノズル45が装着されている。
【0034】
Y軸移動テーブル41及びX軸移動テーブル42が駆動することにより、実装ヘッド43はX軸方向、Y軸方向に移動する。これにより2つの実装ヘッド43は、それぞれ対応した保持部50に配置された部品供給装置70の部品吸着位置から部品を吸着ノズル45によって吸着保持して取り出して、基板搬送機構30に位置決めされた基板6の実装点に移送搭載する。
【0035】
保持部50で保持された複数の部品供給装置70と基板搬送機構30との間には、部品認識カメラ13が配設されている。部品供給装置70から部品を取り出した実装ヘッド43が部品認識カメラ13の上方を移動する際に、部品認識カメラ13は実装ヘッド43に保持された状態の部品を撮像して部品の保持姿勢を認識する。X軸移動テーブル42の下面には、それぞれ実装ヘッド43と一体的に移動する基板認識カメラ14が装着されている。
【0036】
実装ヘッド43が移動することにより、基板認識カメラ14は基板搬送機構30に位置決めされた基板6の上方に移動し、基板6を撮像して基板6の状態を認識する。実装ヘッド43による基板6への部品実装動作においては、部品認識カメラ13による部品の認識結果と、基板認識カメラ14による基板認識結果とを加味して搭載位置補正が行われる。
【0037】
次に、部品供給装置70の詳細について説明する。図5は、実施の形態に係る部品供給装置70の概略構成を示す模式図である。部品供給装置70は、テープフィーダであり、図5に示すように、本体部71と、本体部71の下面から下方に凸設された装着部72とを備えている。本体部71は、保持部50の各スロット51に装着されることで、保持部50に保持されている。本体部71の内部には、供給リール17から引き出されて本体部71内に取り込まれた部品テープ16を案内する搬送路73が設けられている。搬送路73は、本体部71においてテープ送り方向の上流端部に形成された挿入口74から、実装ヘッド43によって部品を取り出す部品吸着位置まで連通して設けられている。部品実装作業を継続して実行する過程において、複数の部品テープ16が挿入口74から順次挿入されて部品供給装置70に供給される。
【0038】
ここで、本実施の形態に示す部品供給装置70では、相前後して送られる2つの部品テープ16を、それぞれが分離された状態のまま挿入口74に順次挿入して供給するスプライシングレス方式(自動ローディング方式)を採用している。そのため、部品供給装置70に既に装着されて、実装ヘッド43による部品取り出しの対象となる部品テープ16の末尾端部と、部品切れに際して新たに追加して装着される部品テープ16の先頭端部とを接合テープによって継ぎ合わせる必要はない。
【0039】
図5において、搬送路73における下流側、上流側には、部品テープ16をテープ送りするための第一送り機構75と、第二送り機構76とが配設されている。上流側に設けられた第二送り機構76は、新たに装着される部品テープ16を挿入口74側から第一送り機構75側に連続的にテープ送りする機能を有しており、スプロケット761を図示しないモータで回転駆動する構成となっている。
【0040】
なお、第二送り機構76の下方には、テープ押しつけ機構762及びテープストッパ機構763が配設されている。挿入口74から挿入された新たな部品テープ16は、テープ押しつけ機構762によってスプロケット761に対して押しつけられ、これにより新たな部品テープ16がスプロケット761と係合して第二送り機構76によるテープ送りが可能な状態となる。テープストッパ機構763は、新たな部品テープ16の先頭端部を、一時的に停止させる機能を有している。
【0041】
下流側に設けられた第一送り機構75は、部品テープ16を所定の送りピッチで実装ヘッド43による部品吸着位置にピッチ送りする機能を有しており、スプロケット751をモータ752で回転駆動する構成となっている。第一送り機構75の上方には、部品テープ16を上方から押さえるとともに部品テープ16に収納された部品を露出させる押さえ部材753が装着されている。部品吸着位置にピッチ送りされた部品は、押さえ部材753に形成された部品取り出し開口754を介して実装ヘッド43の吸着ノズル45によって真空吸着によりピックアップされる。
【0042】
また、第一送り機構75において搬送路73の上流側であって、搬送路73の上方には、部品テープ16のカバーテープ163をキャリアテープ162から剥離するための剥離部80が配設されている。剥離部80は、剥離したカバーテープ163を上流側に向けて搬送するようになっている。剥離部80において、後方(上流側)の壁部には、剥離したカバーテープ163を排出するための排出口81が形成されている。
【0043】
図2図3及び図5に示すように、第二送り機構76の上方には、各部品供給装置70の剥離部80から排出された複数のカバーテープ163を一括して収容する収容部90が配設されている。図5では、収容部90に進入したカバーテープ163を破線で示している。
【0044】
次に、収容部90について説明する。図6は、実施の形態に係る収容部90の概略構成を示す斜視図である。図5及び図6に示すように、収容部90は、複数のスロット51の並び方向(X軸方向)に長尺な箱状体であり、複数のスロット51の全てに対応するように配置されている。具体的には、収容部90は、複数の部品供給装置70の上面視において、複数の部品供給装置70の中心よりも搬送路73の上流側に寄った位置であって、搬送路73の上方に配置されている。この位置を第一位置といい、収容部90がカバーテープ163を回収可能な位置である。
【0045】
収容部90の内部には、複数のカバーテープ163が一括して収容される。収容部90において、前方(下流側)の壁面には、開口部91が形成されており、この開口部91と、各部品供給装置70の排出口81とが対向するように配置されている。開口部91は、図6に示すように、各部品供給装置70の排出口81と一対一となるように複数設けられていてもよいし、1つの開口部91で少なくとも2つの排出口81に対応する個数及び大きさに設けられてもよいし、1つの開口部91で全ての排出口81に対応する大きさに設けられていてもよい。
【0046】
図5に示すように、収容部90の内部において開口部91の近傍には、複数のカバーテープ163を切断する切断部92が設けられている。切断部92は、自動式であっても手動式であってもよい。切断部92は、例えばX軸方向に移動自在なカッターを有しており、当該カッターがX軸方向に移動することで複数のカバーテープ163を一括して切断することができるようになっている。図5及び図6では、切断部92により切断されて収容部90内に堆積したカバーテープ163も破線で図示している。
【0047】
また、収容部90は、第一位置と、各部品供給装置70を保持部50のスロット51に対し着脱する際に当該部品供給装置70に干渉しない第二位置との間で移動自在となっている。
【0048】
図7は、実施の形態に係る収容部90が第二位置に配置された状態を示す断面図である。具体的には図7図3に対応する図である。また、図2では、第二位置に配置された収容部90を破線で示している。具体的には、保持部50には、収容部90を第一位置と第二位置との間で移動させる移動機構(図示省略)が設けられている。本実施の形態の場合、移動機構は、収容部90におけるX軸プラス方向及びY軸マイナス方向の角部を中心に収容部90を回転させる機構である。第二位置に収容部90が配置されると、収容部90は各スロット51の上方から退避する。つまり、各スロット51の上方が開放されるので、各スロット51に対し部品供給装置70を着脱する際には、収容部90が邪魔とならない。
【0049】
なお、第二位置は、各部品供給装置70を保持部50のスロット51に対し着脱する際に当該部品供給装置70に干渉しない位置であれば如何様でもよい。また、移動機構は、上述した回転式に限定されるものではなく、第一位置と第二位置との間で収容部90を移動させることができるのであれば、その態様は如何様でもよい。その他の態様としては、直線方向(例えば、Y軸方向)への往復スライド式などが挙げられる。
【0050】
また、収容部90は、保持部50に対して着脱自在になっていてもよい。この場合、収容部90が保持部50から取り外されると、各スロット51の上方が開放されるので、収容部90が第二位置に配置されたものとみなすことができる。収容部90が着脱式であると、収容部90内にカバーテープ163が満杯となった場合に空の収容部90と交換することができる。なお、保持部50に保持された状態の収容部90に吸引装置を接続し、当該吸引装置で収容部90内のカバーテープ163を吸引することで、収容部90を空にすることも可能である。
【0051】
[カバーテープの回収方法]
このような部品装着システム10では、以下のようなカバーテープ回収方法が実行される。部品装着システム10で部品実装作業が進行するにしたがって、各部品供給装置70からはキャリアテープ162から剥がされたカバーテープ163が排出される。これにより、収容部90では、複数のカバーテープ163が開口部91から進入し、収容部90の内部に収容される。これにより、複数のカバーテープ163が一括して1つの収容部90に回収される。また、収容部90に収容された複数のカバーテープ163は、切断部92により所定のタイミングで切断される。これにより、より多くのカバーテープ163を収容部90内に収容することが可能である。
【0052】
[効果]
以上説明したように、部品装着システム10は、基板6に部品を装着する部品装着装置40と、キャリアテープ162とキャリアテープ162に貼り付けられたカバーテープ163とを含む部品テープ16を搬送してキャリアテープ162に収納された部品を部品装着装置40に供給する複数の部品供給装置70を保持する保持部50と、を備えている。保持部50は、複数の部品供給装置70のそれぞれでキャリアテープ162から剥離され排出された複数のカバーテープ163を一括して収容する収容部90を有している。
【0053】
また、カバーテープ回収方法では、部品装着システム10を用いて、複数の部品供給装置70のそれぞれでキャリアテープ162から剥離され排出された複数のカバーテープ163を収容部90で一括して回収する。
【0054】
これによれば、収容部90が、複数の部品供給装置70のそれぞれから排出された複数のカバーテープ163を一括して収容するので、複数のカバーテープ163をまとめて回収することができる。したがって、廃棄作業もまとめて行うことができるので、廃棄作業の効率化が可能である。
【0055】
また、複数の部品供給装置70には、カバーテープ163を個別に収容する収容器を設けなくともよいので、部品供給装置70自体の軽量化が可能である。これにより、個々の部品供給装置70の振動に対する耐性も高められる。
【0056】
また、収容部90は、複数の部品供給装置70のそれぞれから排出された複数のカバーテープ163を切断する切断部92を有している。
【0057】
これによれば、収容部90に備わる切断部92が、複数の部品供給装置70のそれぞれから排出されたカバーテープ163を切断するので、作業者が器具(ハサミまたはカッター)などを用いなくとも、切断部92でカバーテープ163を切断することができる。したがって、廃棄作業をより効率化することが可能である。
【0058】
また、収容部90は、複数の部品供給装置70において部品テープ16の搬送路73の上流側、かつ搬送路73の上方に位置する第一位置に設けられている。
【0059】
ここで、複数の部品供給装置70において部品テープ16の搬送路73の下流側には、部品装着装置40の部品実装機構(Y軸移動テーブル41、X軸移動テーブル42、実装ヘッド43など)が配置されている。この位置に収容部90を配置してしまうと、部品実装機構の動作を妨げるおそれがある。つまり、複数の部品供給装置70において部品テープ16の搬送路73の上流側に収容部90を配置すれば、部品実装機構と干渉しにくくなり、好適である。
【0060】
さらに、収容部90は、部品テープ16の搬送路73の上方に配置されているので、搬送中の部品テープ16の上方に配置されている。このため、廃棄作業において部品テープ16が邪魔となりにくく、廃棄作業をより効率化することができる。
【0061】
また、収容部90は、第一位置と、部品供給装置70を保持部50に対し着脱する際に当該部品供給装置70に干渉しない第二位置との間で移動自在である。
【0062】
これによれば、第一位置と、部品供給装置70を保持部50から着脱する際に当該部品供給装置70に干渉しない第二位置との間で収容部90が移動自在であるので、部品供給装置70を保持部50から着脱する際に収容部90を第二位置に退避させることができる。したがって、第二位置に収容部90を退避させておけば、部品供給装置70の着脱をスムーズに行うことができる。
【0063】
[その他]
以上、本発明の実施の形態に係る部品装着システム10について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0064】
例えば、上記実施の形態では、保持部50が収容部90を有している場合を例示した。しかしながら、部品装着装置が保持部を有していてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、収容部90が定形である場合を例示した。しかしながら、収容部は形状が可変であってもよい。図8は、変形例に係る収容部90aを示す平面図である。具体的には図8図2に対応する図である。図9Aは、変形例に係る収容部90aが伸長した状態を示す模式断面図である。図9Bは、変形例に係る収容部90aが収縮した状態を示す模式断面図である。図9A及び図9Bは、図8に示すIX-IX切断面を見た断面図である。図8図9A及び図9Bに示すように、収容部90aは、複数のスロットの並び方向(X軸方向)における幅が伸縮自在となっている。具体的には、図9A及び図9Bに示すように、収容部90aは、一対の箱体901、902を有している。一方の箱体901は、X軸マイナス方向の端部を底とする有底筒状の箱体である。他方の箱体902は、X軸プラス方向の端部を底とする有底筒状の箱体である。一方の箱体901の開放端部は、他方の箱体902の開放端部内に収容されている。一対の箱体901、902は、図示しないスライド機構によって相対的にX軸方向に移動することで、収容部90aが全体として伸縮するようになっている。
【0066】
この変形例においては、上記実施の形態の場合と比べて、Y軸マイナス方向の複数のスロット51が製造上不要なため、当該スロット51には部品供給装置70が装着されていない。この部品供給装置70が存在しない部分まで収容部90aがあると無駄にスペースを消費してしまうことになる。このため、変形例においては収容部90aがX軸方向に幅を縮めることで適切な大きさとなっている。このように、カバーテープ163の回収が必要なスロット51に対応して収容部90aを伸縮できるので、使用者の要望に応じた大きさに収容部90aを調整することが可能である。例えば、部品供給装置70が存在しない部分まで収容部90aがあることを懸念する使用者においては、各部品供給装置70が存在する部分にのみ対応するように収容部90aの幅を収縮させる。一方、収容部90aの容量を大きくしたい使用者においては、部品供給装置70が存在しない部分にまで対応するように収容部90aを伸長させる。なお、収容部90aは、自動で幅が調整される構造であっても、手動で幅が調整される構造であってもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、1つの保持部50が1つの収容部90を有している場合を例示した。しかしながら、1つの収容部が少なくとも2つの部品供給装置から排出されたカバーテープを収容できるのであれば、1つの保持部における収容部の設置個数は如何様でもよい。つまり、収容部の設置個数は、複数の部品供給装置の設置個数よりも少なければよい。
【0068】
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、複数の部品供給装置を有する部品装着システムなどに適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 部品実装ライン
2 印刷装置
3 リフロー装置
6 基板
7 管理コンピュータ
10 部品装着システム
13 部品認識カメラ
14 基板認識カメラ
16 部品テープ
17 供給リール
20 基台
30 基板搬送機構
40 部品装着装置
41 Y軸移動テーブル
42 X軸移動テーブル
43 実装ヘッド
44 保持ヘッド
45 吸着ノズル
50 保持部(部品供給装置用保持部)
51 スロット
70 部品供給装置
71 本体部
72 装着部
73 搬送路
74 挿入口
75 第一送り機構
76 第二送り機構
80 剥離部
81 排出口
90、90a 収容部
91 開口部
92 切断部
161 部品ポケット
162 キャリアテープ
163 カバーテープ
164 貫通孔
751、761 スプロケット
752 モータ
753 押さえ部材
754 開口
762 テープ押しつけ機構
763 テープストッパ機構
901、902 箱体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B