(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】光電センサ
(51)【国際特許分類】
G01J 1/42 20060101AFI20240927BHJP
G01J 1/00 20060101ALI20240927BHJP
G01V 8/12 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01J1/42 N
G01J1/00 B
G01V8/12 A
(21)【出願番号】P 2021023499
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】今村 眞也
(72)【発明者】
【氏名】尾之江 毅斉
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 和哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】内山 聡
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189419(JP,A)
【文献】特開2009-122120(JP,A)
【文献】特開平06-094843(JP,A)
【文献】特開2011-199448(JP,A)
【文献】特開平09-083333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 1/60
G01J 11/00
G01V 8/12
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出光を投光する投光部と、
前記検出光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した前記検出光の光量に基づいて検出対象物の有無を検出し、検出信号を出力する検出部と、
前記受光部が受光した前記検出光の光量に基づいて、前記光量に応じたパルス幅の受光量信号を生成し、前記受光量信号を出力する信号生成部と、
前記検出信号と前記受光量信号とを出力端子に出力する出力回路と、
前記検出部が前記検出信号を出力している状態と、前記信号生成部が前記受光量信号を出力している状態とを切換える切換部と、
を備えた光電センサ。
【請求項2】
入力端子に接続され、前記入力端子を介して外部入力信号を入力する入力回路と、
前記外部入力信号のパルス幅を計測し、前記パルス幅が第1の幅値のときに第1内部制御信号を生成する入力信号判定部と、
を備え、
前記切換部は、前記第1内部制御信号に応答して前記信号生成部が前記受光量信号を出力している状態に切換え、前記受光量信号を出力した後に前記検出部が前記検出信号を出力している状態に切換える、
請求項
1に記載の光電センサ。
【請求項3】
前記切換部は、設定時間により前記信号生成部が前記受光量信号を出力している状態に切換え、前記受光量信号を出力した後に前記検出部が前記検出信号を出力している状態に切換える、
請求項
1に記載の光電センサ。
【請求項4】
前記切換部は、操作部の操作に基づいて前記信号生成部が前記受光量信号を出力している状態に切換え、前記受光量信号を出力した後に前記検出部が前記検出信号を出力している状態に切換える、
請求項
1に記載の光電センサ。
【請求項5】
入力端子に接続され、前記入力端子を介して外部入力信号を入力する入力回路と、
前記外部入力信号のパルス幅を計測し、前記パルス幅が第1の幅値のときに第1内部制御信号を生成する入力信号判定部と、
を備え、
前記切換部は、前記第1内部制御信号に応答して前記信号生成部が前記受光量信号を出力している状態に切換える、
請求項
3または請求項
4に記載の光電センサ。
【請求項6】
前記入力信号判定部は、前記パルス幅が第2の幅値のときに第2内部制御信号を生成し、
前記第2内部制御信号に応答してティーチング処理を行う制御部を備えた、
請求項
2に記載の光電センサ。
【請求項7】
前記出力回路は、
前記検出信号を前記出力端子に出力する第1出力回路と、
前記受光量信号を前記出力端子に出力する第2出力回路と、
を備えた、請求項
1に記載の光電センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体の検出に用いられる光電センサは、センサユニットと、センサユニットに接続された投光部および受光部を有する。投光部および受光部は、物体が通過する領域を挟んで配置される。センサユニットは、受光部における受光量に基づいて、投光部と受光部との間の検出領域における物体の有無を示す検出信号を出力する。光電センサは、受光部が受光する受光量を表示する表示器を備えたものである(例えば、特許文献1参照)。また、上記の透過型の光電センサに対して、投光部と受光部とが一体に設けられ、物体にて反射された光の受光量に基づいて物体の有無を示す検出信号を出力する反射型の光電センサもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、受光部における受光量は、周囲環境の影響で投光部や受光部に埃等が付着することにより低下する。受光量の低下は、誤検出の要因となる。このため、上記の光電センサのように、センサユニットに備えられた表示器にて受光量を確認し、埃等の除去や、受光量に対する検出のためのしきい値を変更するなどの処理を行う必要となる。しかしながら、センサユニットまで見に行かなければならなかったり、センサユニットの設置状態によっては表示器が見えない所に設置され確認し難かったりする場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の光電センサは、検出光を投光する投光部と、前記検出光を受光する受光部と、前記受光部が受光した前記検出光の光量に基づいて検出対象物の有無を検出し、検出信号を出力する検出部と、前記受光部が受光した前記検出光の光量に基づいて、前記光量に応じたパルス幅の受光量信号を生成し、前記受光量信号を出力する信号生成部と、を備えた。
【発明の効果】
【0006】
本開示における光電センサは、パルス幅により受光量を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を
図1~
図6に従って説明する。
図1に示すように、光電センサ10は、検出対象物Wの有無を検出する。検出対象物Wは、例えば、回路基板、樹脂成形品、等の物体である。
【0009】
光電センサ10は、投光器11、受光器12、コントローラ20を備えている。投光器11は、投光ヘッド11aとファイバケーブル11bを有している。ファイバケーブル11bは、コントローラ20に接続されている。コントローラ20は、ファイバケーブル11bを着脱可能に構成されている。受光器12は、受光ヘッド12aとファイバケーブル12bを有している。ファイバケーブル12bは、コントローラ20に接続されている。コントローラ20は、ファイバケーブル12bを着脱可能に構成されている。
【0010】
コントローラ20は、処理装置100に接続されている。例えば、処理装置100は、汎用I/Oポートを有し、コントローラ20は汎用I/Oポートに接続される。処理装置100は、検出対象物Wを処理する。検出対象物Wを回路基板とした場合、処理装置100は、検出対象物W(回路基板)の搬送の制御、回路基板に対する電子部品等の実装、等を行うものである。
【0011】
投光ヘッド11aと受光ヘッド12aは、それらの間を検出対象物Wが通過するように配置される。例えば、投光ヘッド11aと受光ヘッド12aは、検出対象物Wを搬送する搬送路を挟んで配置される。投光ヘッド11aと受光ヘッド12aは、互いに対向するように固定される。受光ヘッド12aは、投光ヘッド11aから出射される検出光LWを受光する。検出対象物Wは、投光ヘッド11aから受光ヘッド12aに向かう検出光LWの少なくとも一部を遮る。受光ヘッド12aにおける検出光LWの光量、つまり受光量は、検出対象物Wの有無により変化(減少)する。コントローラ20は、この受光量の変化に基づいて、検出対象物Wの有無を検出する。そして、コントローラ20は、検出対象物Wの有無を示す検出信号K1を出力する。
【0012】
コントローラ20は、処理装置100から所定の外部入力信号CNXを入力する。外部入力信号CNXは、処理装置100が光電センサ10に対して所定の処理を行うように指示を行うもの(処理命令)である。コントローラ20は、外部入力信号CNXに基づいて、処理を実行する。
【0013】
光電センサ10における処理は、例えば、検出処理、ティーチング処理、入光量確認処理を含む。検出処理は、通常検出動作および検出出力を行うものである。ティーチング処理は、飽和回避およびリミットティーチングを行うものである。入光量確認処理は、受光量出力を行うものである。
【0014】
通常検出動作および検出出力は、上記したように、投光ヘッド11aから受光ヘッド12aに向けて検出光LWを出射し、受光ヘッド12aにおける受光量に基づいて検出対象物Wの有無を検出し、検出信号K1を出力するものである。飽和回避は、受光回路23において受光信号DWのレベルが飽和しないように投光ヘッド11aにおける投光量、つまり検出光LWの光量を調整するものである。リミットティーチングは、検出対象物Wの有無を判定するためのしきい値を設定するものである。飽和回避によって設定された検出光LWを受光した受光量を基準レベルとし、その基準レベルから所定値(シフト量)低下した値をしきい値として設定する。
【0015】
ティーチング処理は、例えば投光ヘッド11aと受光ヘッド12aとの間の距離(ヘッド間距離)を変更したときに実施される。ヘッド間距離に対して検出対象物Wが小さいと、検出対象物Wによる検出光LWの光量の変化、つまり受光量の変化が小さい。この場合、投光ヘッド11aと受光ヘッド12aとの間の検出対象物Wを検出しない、つまり誤検出が生じる場合がある。このため、ヘッド間距離を検出対象物Wの大きさに応じて調整する、つまり、ヘッド間距離を小さくする。すると、受光ヘッド12aにおける検出光LWの入射光量が多くなって、受光信号DWが飽和状態となる。このため、投光ヘッド11aにおける検出光LWの投光量を調整する。
【0016】
図2に示すように、コントローラ20は、操作部26、表示部27を備えている。操作部26は、複数のスイッチ26a,26b,26c,26dを含む。スイッチ26aは、例えばモード選択のためのスイッチである。スイッチ26b~26dは、設定値の変更等を行うためのスイッチである。コントローラ20は、表示部27に、受光ヘッド12aにおける検出光LWの入射光量(受光量)、設定値(しきい値)、等を表示する。表示部27に表示される受光量により、入射光量(受光量)の確認、投光ヘッド11aおよび受光ヘッド12aの位置調整、等を行うことができる。
【0017】
図3に示すように、コントローラ20は、制御回路21、投光回路22、受光回路23、入力回路24、出力回路25、表示部27、操作部26、端子部28を備えている。
投光回路22は、投光素子22aを含む。投光回路22は、投光信号CWに応じた光を出射するように投光素子22aを駆動する。駆動された投光素子22aは光を出射する。投光素子22aから出射された光は、ファイバケーブル11bを介して投光ヘッド11aに送られる。投光ヘッド11aは、所定形状のレンズを含み、帯状の光(検出光LW)を出射する。
【0018】
受光ヘッド12aにて受光された光は、ファイバケーブル12bを介して受光回路23へ送られる。受光回路23は、受光素子23aを含む。受光素子23aは、ファイバケーブル12bにより伝達された光を光電変換して電圧信号を生成する。受光回路23は、受光素子23aにより生成された電圧信号を増幅し、その増幅後の信号を受光信号DWとして出力する。この受光信号DWは、受光ヘッド12aにおける受光量と、電圧信号を増幅する増幅率に対応したレベル(電圧)のアナログ信号である。投光ヘッド11aとファイバケーブル11bと投光回路22(投光素子22a)は投光部を構成し、受光ヘッド12aとファイバケーブル12bと受光回路23(受光素子23a)は受光部を構成する。
【0019】
端子部28は、4つの端子28a,28b,28c,28dを含む。端子部28は、例えば信号線を接続するコネクタとして構成される。第1端子28aと第4端子28dは、コントローラ20に電源を供給するものである。第1端子28aには動作電圧VSが供給され、第4端子28dはグランド(GND)である。動作電圧VSは、制御回路21、投光回路22、受光回路23、出力回路25、入力回路24に供給される。第2端子28bは、出力端子であり、上記した検出信号K1と受光量信号K2とがコントローラ20の外部に向けて出力される。第3端子28cは、入力端子であり、上記した外部入力信号CNXが、コントローラ20の外部、
図1に示す処理装置100から供給される。入力回路24は、第3端子28cに接続される。入力回路24は、外部入力信号CNXを受け取り、外部入力信号CNXに応じた外部指令信号CNIを制御回路21に出力する。外部入力信号CNXはパルス信号であり、入力回路24は、外部入力信号CNXのパルス幅と等しいパルス幅の外部指令信号CNIを出力する。なお、外部指令信号CNI(外部入力信号CNX)にパルスが含まれているときに信号入力が有るとし、パルスが含まれていないときに信号入力が無いとする。
【0020】
制御回路21は、制御部31、投光制御部32、検出部33、信号生成部34、切換部35、入力信号判定部36を備えている。なお、制御回路21は、例えばCPU等の演算処理装置によって構成することもできる。
【0021】
投光制御部32は、記憶部32aを含む。記憶部32aには、投光量が記憶される。投光量は、操作部26の操作、ティーチング処理により設定される。投光制御部32は、投光量に応じた光が投光回路22の投光素子22aから出射されるように、投光信号CWを出力する。
【0022】
検出部33は、受光信号DWを入力する。検出部33は、記憶部33aを含む。記憶部33aには、判定のためのしきい値が記憶される。このしきい値は、操作部26の操作、ティーチング処理により設定される。検出部33は、受光信号DWのレベル(受光レベルDL)としきい値とを比較し、検出対象物Wの有無を検出する。例えば、検出部33は、AD変換器(アナログ-デジタル変換器)を含み、受光信号DWのレベル値としきい値とを比較する。そして、検出部33は、検出結果に応じた検出信号K1を出力する。例えば、検出部33は、
図5に示すように、検出対象物Wを検出しているときに第1レベル(例えばHレベル)の検出信号K1を出力し、検出対象物Wを検出していないときに第1レベルと異なる第2レベル(例えばLレベル)の検出信号K1を出力する。
【0023】
信号生成部34は、受光信号DWを入力する。信号生成部34は、受光信号DWのレベル(受光レベルDL)に応じたパルス幅の受光量信号K2を生成し、その受光量信号を出力する。例えば、信号生成部34は、AD変換器を含み,受光信号DWのレベル値を得る。そして、信号生成部34は、そのレベル値に比例したパルス幅の受光量信号K2を生成する。信号生成部34は、レベル値の基本単位を1msとしたパルス幅の受光量信号K2を生成する。例えば、レベル値が「3000」の場合、受光量信号K2のパルス幅は3000msとなる。
【0024】
なお、比例係数が設定されてもよい。信号生成部34は、記憶部34aを有し、その記憶部34aに比例係数が記憶される。信号生成部34は、レベル値と比例係数とに基づいてパルス幅を算出する。例えば、信号生成部34は、レベル値に比例係数を乗算した結果をパルス幅とする。
【0025】
入力信号判定部36は、外部指令信号CNIのパルス幅を計測する。入力信号判定部36は、パルス幅に基づいて、
図1に示す処理装置100からの処理命令を判定する。そして、入力信号判定部36は、処理命令に対応する内部制御信号を出力する。外部入力信号CNX(外部指令信号CNI)は、入力信号判定部36において識別可能なパルス幅となるように処理装置100によって生成される。本実施形態において、外部入力信号CNX(外部指令信号CNI)のパルス幅は、第1の幅値、または第2の幅値に設定される。例えば、第1の幅値は250msに設定され、第2の幅値は150msに設定される。なお、第1の幅値および第2の幅値は、標準的なパルス幅を示すものである。そして、計測したパルス幅が標準的なパルス幅を含む所定範囲の値であるとき、そのパルス幅を第1の幅値または第2の幅値と判定する。第1の幅値、第2の幅値は、適宜変更されてもよい。
【0026】
例えば、外部指令信号CNI(外部入力信号CNX)のパルス幅が第1の幅値であるとき、その外部指令信号CNI(外部入力信号CNX)は、受光量出力指令を示す。入力信号判定部36は、外部指令信号CNIのパルス幅が第1の幅値のとき、第1内部制御信号CN1を出力する。また、外部指令信号CNI(外部入力信号CNX)のパルス幅が第2の幅値であるとき、その外部指令信号CNI(外部入力信号CNX)は、ティーチング処理指令を示す。入力信号判定部36は、外部指令信号CNIのパルス幅が第2の幅値のとき、第2内部制御信号CN2を出力する。
【0027】
制御部31は、第1内部制御信号CN1を切換部35に出力する。切換部35は、検出部33と信号生成部34とを切換える。詳しくは、切換部35は、検出部33が検出信号K1を出力する状態と、信号生成部34が受光量信号K2を出力する状態とを切換える。
【0028】
切換部35は、第1内部制御信号CN1に応答して状態を切換える。
詳述すると、第1内部制御信号CN1を入力しないとき、切換部35は、検出部33が検出信号K1を出力する状態とする。これにより、光電センサ10は、検出対象物Wの検出結果を示す検出信号K1を、端子部28の第2端子28bから出力する。
【0029】
切換部35は、第1内部制御信号CN1を入力すると、信号生成部34が受光量信号K2を出力する状態に切換える。信号生成部34は、第1内部制御信号CN1を入力し、そのときの受光レベルDLに応じたパルス幅の受光量信号K2を生成する。そして、信号生成部34は、第1内部制御信号CN1を入力してから所定時間経過後に、受光レベルDLに応じたパルス幅の受光量信号K2を出力する。第1内部制御信号CN1の入力から受光量信号K2のパルスまでの時間を第3の幅値とする。第3の幅値は、例えば250msに設定される。第3の幅値は、適宜変更されてもよい。
【0030】
つまり、光電センサ10は、受光量出力指令を示す外部入力信号CNXを入力後、第3の幅値の経過後に、受光レベルDLに応じたパルス幅の受光量信号K2を、端子部28の第2端子28bから出力する。したがって、
図1に示す処理装置100は、受光量出力指令を示すパルス幅の外部入力信号CNXを出力した後、第3の幅値の後に入力する信号のパルス幅により、光電センサ10におけるその時の受光レベルDLを受け取ることができる。
【0031】
切換部35は、信号生成部34に切換えた後、所定の時間経過後に、検出部33が検出信号K1を出力する状態に切換える。このときの時間は、受光量信号K2のパルスが外部に向けて出力されるのに十分な時間に設定される。詳しくは、受光レベルDLの最大値に応じた時間よりも大きく設定される。
【0032】
図4は、制御回路21における処理の流れを示す。
制御回路21は、ステップS1において、外部入力信号CNXがあるか否かを判定する。制御回路21は、外部入力信号CNXがないと判定した場合(判定:NO)、ステップS2へ移行し、通常検出動作および検出出力を実行し、検出信号K1を出力する。
【0033】
制御回路21は、ステップS1において外部入力信号CNXがあると判定した場合(判定:YES)、ステップS3に移行し、パルス幅計測を実行する。制御回路21は、外部入力信号CNXのパルス幅を計測し、ステップS4に移行する。
【0034】
ステップS4において、パルス幅が150ms(第2の幅値)か否かを判定する。パルス幅が150msであると判定した場合(判定:YES)、制御回路21は、ステップS5に移行する。ステップS5において、制御回路21は、飽和回避およびリミットティーチング処理を実行する。
【0035】
ステップS4において、パルス幅が150msではないと判定した場合(判定:NO)、制御回路21は、ステップS6に移行する。ステップS6において、制御回路21は、パルス幅が250ms(第2の幅値)か否かを判定する。パルス幅が250msと判定した場合(判定:YES)、制御回路21はステップS7に移行する。ステップS7において、制御回路21は、受光量出力処理を実行する。
【0036】
ステップS6において、パルス幅が250msではないと判定した場合(判定:NO)、制御回路21は、ステップS8に移行する。ステップS8において、制御回路21は、通常検出動作および検出出力を実行し、検出信号K1を出力する。
【0037】
図4において、ステップS8において実行する処理は、ステップS2において実行する処理と等しい。これは、外部入力信号CNXに対する誤動作を抑制するものである。外部入力信号CNXは、
図1に示すように、処理装置100から光電センサ10のコントローラ20に向けて、信号線WXにより伝達される。光電センサ10が検出する検出対象物Wを処理する装置の状態によって、例えば装置の稼働中において信号線WXにより伝達される信号にノイズが混入する場合がある。このようなノイズによって外部入力信号CNXに生じるパルスのパルス幅は、第1の幅値(250ms)および第2の幅値(150ms)と異なる。このため、第1の幅値および第2の幅値と異なる場合に、通常検出動作および検出出力を実行する。これにより、検出対象物Wをより確実に検出できるようになる。
【0038】
(作用)
次に、上記の光電センサ10の作用を説明する。
図6は、外部入力信号CNXと受光量信号K2とを示す。
【0039】
図3に示すコントローラ20の制御回路21は、外部入力信号CNXのパルス幅PW1を計測する。制御回路21は、パルス幅PW1が第1の幅値(250ms)の場合、受光量信号K2を出力する。このとき、外部入力信号CNXの判定後、例えば外部入力信号CNXのパルスから所定時間PW2経過後に、受光レベルに応じたパルス幅PW3の受光量信号K2を出力する。
図1に示す処理装置100は、受光量信号K2のパルス幅を計測し、光電センサ10における受光レベルを得る。つまり、処理装置100において、受光量信号K2のパルス幅により、光電センサ10の受光レベルを確認できる。これにより、光電センサ10の表示部27を作業者が確認する手間を省くことができる。また、コントローラ20の表示部27を確認する必要が無くなるため、コントローラ20の配置の自由度が高くなる。そして、処理装置100において光電センサ10の受光レベルを確認できるため、確認した受光レベルによって処理装置100から投光ヘッド11aおよび受光ヘッド12aにおける埃等の付着状態を判断でき、清掃などの処理を通知することができる。
【0040】
受光量を確認する別の手段として、アナログ出力タイプのコントローラを用いたアナログ通信や、通信ユニットを用いたシリアル通信により行うものがある。しかし、これらの別の手段では、通信のためのユニット等が必要となって設備に係る費用の増加や設置のために広いスペースが必要となる、等の問題がある。その点、本実施形態の光電センサ10は、出力回路25を備えたコントローラ20を処理装置100の汎用I/Oポートに接続した簡易的な構成により、検出対象物Wの有無の検出と、受光量の確認とを行うことができる。
【0041】
コントローラ20の制御回路21は、外部入力信号CNXのパルス幅を計測し、そのパルス幅が第2の幅値(150ms)の場合、飽和処理およびリミットティーチング処理を行う。このため、検出対象物Wに応じて投光ヘッド11a及び受光ヘッド12aの位置を変更したときに、投光量およびしきい値を容易に設定することができる。
【0042】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)光電センサ10は、検出光LWを投光する投光器11と、検出光LWを受光する受光器12と、コントローラ20とを備える。コントローラ20は、受光器12が受光した検出光LWの光量に基づいて検出対象物Wの有無を検出し、検出信号K1を出力する検出部33と、受光器12が受光した検出光LWの光量に基づいて、光量に応じたパルス幅の受光量信号K2を生成し、受光量信号K2を出力する信号生成部34と、を備えた。この構成によれば、受光量信号K2のパルス幅により、受光器12における受光量を容易に確認することができる。
【0043】
(2)コントローラ20は、検出信号K1と受光量信号K2とを第2端子28bに出力する出力回路25と、検出部33が検出信号K1を出力している状態と、信号生成部34が受光量信号K2を出力している状態とを切換える切換部35と、を備えた。この構成によれば、1つの第2端子28bにより、端子数を変更することなく、検出信号K1と受光量信号K2とを出力することができる。そして、端子数の増加による形状変更やコントローラ20の大型化を抑制できる。
【0044】
(3)コントローラ20は、第3端子28cに接続され、第3端子28cを介して外部入力信号CNXを入力する入力回路24と、外部入力信号CNXのパルス幅を計測し、パルス幅が第1の幅値のときに第1内部制御信号を生成する入力信号判定部36と、を備えた。切換部35は、第1内部制御信号に応答して信号生成部34が受光量信号K2を出力している状態に切換え、受光量信号K2を出力した後に検出部33が検出信号K1を出力している状態に切換える。この構成によれば、パルス幅の異なる外部入力信号CNXによって、検出信号K1と受光量信号K2との出力を容易に切換えることができる。そして、検出信号K1を出力する状態と受光量信号K2を出力する状態とを切換えることで、外部に出力される信号が検出信号K1と受光量信号K2とのいずれの信号かを判定することなく、容易に両信号を受け取ることができる。
【0045】
(4)入力信号判定部36は、パルス幅が第2の幅値のときに第2内部制御信号CN2を生成する。コントローラ20は、第2内部制御信号CN2に応答してティーチング処理を行う制御部31を備えた。この構成によれば、例えば投光ヘッド11aと受光ヘッド12aとの間の距離(ヘッド間距離)を変更したときに、受光回路23における飽和回避としきい値の設定とを容易に行うことができる。
【0046】
[変更例]
実施の形態に関する説明は本開示に関する光電センサが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示は実施の形態以外に例えば以下に示される実施の形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0047】
・
図7は、変更例の光電センサ10aの概略ブロック図を示す。この光電センサ10aの出力回路25は、検出部33に接続された第1出力回路25aと、信号生成部34に接続された第2出力回路25bとを備える。第1出力回路25aと第2出力回路25bとを備えることにより、信号の出力に適した回路構成とすることができる。
【0048】
・
図7に示す変更例の光電センサ10aにおいて、切換部35は、第1出力回路25aと第2出力回路25bとを切換えるようにしてもよい。
・
図7に示す変更例の光電センサ10aにおいて、第1出力回路25aに接続された端子と、第2出力回路25bに接続された端子とを備える構成としてもよい。
【0049】
・光電センサ10,10aは、タイマ部を備える構成としてもよい。タイマ部は、切換部35に備える構成、切換部35と別に備える構成、または制御部31が備える構成としてもよい。タイマ部により、設定時間で信号生成部34が受光量信号を出力する状態としてもよい。設定時間としては、数時間、1日に相当する24時間、複数日の相当する時間、等適宜設定することができる。
【0050】
また、タイマ部により、設定時間として所定の時刻に信号生成部34が受光量信号を出力する状態としてもよい。例えば、
図1に示す処理装置100が稼動開始又は稼動終了する時刻に合わせて状態を切換えるようにしてもよい。
【0051】
・投光素子22aが投光ヘッド11aに搭載され、受光素子23aが受光ヘッド12aに搭載された構成の光電センサとしてもよい。
・切換部35は、操作部26の操作に基づいて検出部33と信号生成部34とを切換えるようにしてもよい。例えば、
図1に示す処理装置100に複数の光電センサが接続されている場合、操作部26の操作により処理装置100が受光レベルDLを得ることで、操作した光電センサについて清掃等の処置が必要か否かを容易に判定できる。
【0052】
・上記実施形態に対し、投光ヘッド11aと受光ヘッド12aとが一体の投受光ヘッドとして構成され、検出対象物Wからの反射光により検出対象物Wの有無に応じた検出信号を出力する光電センサとしてもよい。また、投光素子22aと受光素子23aとが投受光ヘッドに搭載された構成の光電センサとしてもよい。投受光ヘッドとコントローラとが一体的に構成された光電センサとしてもよい。
(付記1)
検出光を投光する投光部と、
前記検出光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した前記検出光の光量に基づいて検出対象物の有無を検出し、検出信号を出力する検出部と、
前記受光部が受光した前記検出光の光量に基づいて、前記光量に応じたパルス幅の受光量信号を生成し、前記受光量信号を出力する信号生成部と、
を備えた光電センサ。
(付記2)
前記検出信号と前記受光量信号とを出力端子に出力する出力回路と、
前記検出部が前記検出信号を出力している状態と、前記信号生成部が前記受光量信号を出力している状態とを切換える切換部と、
を備えた、付記1に記載の光電センサ。
(付記3)
入力端子に接続され、前記入力端子を介して外部入力信号を入力する入力回路と、
前記外部入力信号のパルス幅を計測し、前記パルス幅が第1の幅値のときに第1内部制御信号を生成する入力信号判定部と、
を備え、
前記切換部は、前記第1内部制御信号に応答して前記信号生成部が前記受光量信号を出力している状態に切換え、前記受光量信号を出力した後に前記検出部が前記検出信号を出力している状態に切換える、
付記2に記載の光電センサ。
(付記4)
前記切換部は、設定時間により前記信号生成部が前記受光量信号を出力している状態に切換え、前記受光量信号を出力した後に前記検出部が前記検出信号を出力している状態に切換える、
付記2に記載の光電センサ。
(付記5)
前記切換部は、操作部の操作に基づいて前記信号生成部が前記受光量信号を出力している状態に切換え、前記受光量信号を出力した後に前記検出部が前記検出信号を出力している状態に切換える、
付記2に記載の光電センサ。
(付記6)
入力端子に接続され、前記入力端子を介して外部入力信号を入力する入力回路と、
前記外部入力信号のパルス幅を計測し、前記パルス幅が第1の幅値のときに第1内部制御信号を生成する入力信号判定部と、
を備え、
前記切換部は、前記第1内部制御信号に応答して前記信号生成部が前記受光量信号を出力している状態に切換える、
付記4または付記5に記載の光電センサ。
(付記7)
前記入力信号判定部は、前記パルス幅が第2の幅値のときに第2内部制御信号を生成し、
前記第2内部制御信号に応答してティーチング処理を行う制御部を備えた、
付記3または付記6に記載の光電センサ。
(付記8)
前記出力回路は、
前記検出信号を前記出力端子に出力する第1出力回路と、
前記受光量信号を前記出力端子に出力する第2出力回路と、
を備えた、付記2から付記7のいずれか1つに記載の光電センサ。
【符号の説明】
【0053】
10,10a 光電センサ
11 投光器
11a 投光ヘッド
11b ファイバケーブル
12 受光器
12a 受光ヘッド
12b ファイバケーブル
20 コントローラ
21 制御回路
22 投光回路
22a 投光素子
23 受光回路
23a 受光素子
24 入力回路
25 出力回路
25a 第1出力回路
25b 第2出力回路
26 操作部
27 表示部
28 端子部
28a 第1端子
28b 第2端子
28c 第3端子
28d 第4端子
31 制御部
32 投光制御部
32a 記憶部
33 検出部
33a 記憶部
34 信号生成部
34a 記憶部
35 切換部
36 入力信号判定部
100 処理装置
CN1 第1内部制御信号
CN2 第2内部制御信号
CNI 外部指令信号
CNX 外部入力信号
CW 投光信号
DL 受光レベル
DW 受光信号
K1 検出信号
K2 受光量信号
LW 検出光
PW1 パルス幅
PW2 所定時間
PW3 パルス幅
S1~S8 ステップ
VS 動作電圧
W 検出対象物
WX 信号線