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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】部品実装装置およびノズル位置検出方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240927BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H05K13/04 M
H05K13/08 Q
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021040909
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022140873
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康一
(72)【発明者】
【氏名】森 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】松田 鷹則
(72)【発明者】
【氏名】坪田 一総
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-135267(JP,A)
【文献】特開2002-100897(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031057(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持するノズル軸と、ノズル軸に設けられた反射板と、を有するノズルが装着された実装ヘッドと、
前記ノズルが保持する部品を下方から撮像するカメラと、
前記カメラが撮像する前記部品を下方から照らす光を照射する第2照明部と、
前記反射板で反射されて前記部品を上方から照らす光を前記反射板の斜め下方から照射する第1照明部と、
部品を保持していない前記ノズルを前記第1照明部と前記第2照明部で照明して前記カメラで撮像した画像からノズルの位置を検出する画像処理部と、
前記実装ヘッドを水平方向に移動させるヘッド移動機構と、
検出された前記ノズルの位置に基づいて前記ヘッド移動機構を制御し、前記実装ヘッドを移動させて基板に部品を実装させる制御部と、を備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、
前記画像の中の前記反射板の画像から第1のノズル位置を検出し、
前記画像の中の前記ノズル軸の先端の画像から第2のノズル位置を検出し、
前記制御部は、前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置に基づいて、前記実装ヘッドを移動させる、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置の差が所定の範囲内の場合、前記第2のノズル位置に基づいて、前記実装ヘッドを移動させる、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、新たに撮像された前記ノズルの画像から検出された前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置の差が、予め取得されている前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置の差から所定範囲以上変動している場合、新たに検出された第1のノズル位置に基づいて、前記実装ヘッドを移動させる、請求項2または3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記所定範囲以上変動している場合、前記制御部は、新たに検出された第1のノズル位置と、前記予め取得されている前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置の差に基づいて、前記実装ヘッドを移動させる、請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記所定範囲以上変動している場合、前記ノズルの先端に異常がある旨を警告する報知部を、さらに備える、請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項7】
部品を保持するノズル軸とノズル軸に設けられた反射板とを有し、実装ヘッドに装着されたノズルの位置を検出するノズル位置検出方法であって、
前記ノズルが保持する部品を下方から照らす光を照射する第2照明部と、前記反射板で反射されて前記部品を上方から照らす光を前記反射板の斜め下方から照射する第1照明部で、部品を保持していない前記ノズルを照明する照明工程と、
照明された前記ノズルをカメラで下方から撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像された画像から、ノズルの位置を検出する画像処理工程と、を含む、ノズル位置検出方法。
【請求項8】
前記画像処理工程において、前記画像の中の前記反射板の画像から第1のノズル位置が検出され、前記画像の中の前記ノズル軸の先端の画像から第2のノズル位置が検出され、
前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置に基づいて、前記ノズルの位置を決定するノズル位置決定工程をさらに含む、請求項7に記載のノズル位置検出方法。
【請求項9】
前記ノズル位置決定工程において、前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置の差が所定の範囲内の場合、前記第2のノズル位置が前記ノズルの位置に決定される、請求項8に記載のノズル位置検出方法。
【請求項10】
前記ノズル位置決定工程において、検出された前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置の差が、予め取得されている前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置の差から所定範囲以上変動している場合、前記検出された前記第1のノズル位置が前記ノズルの位置に決定される、請求項8または9に記載のノズル位置検出方法。
【請求項11】
前記ノズル位置決定工程において、検出された前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置の差が、予め取得されている前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置の差から所定範囲以上変動している場合、前記検出された前記第1のノズル位置と、前記予め取得されている前記第1のノズル位置と前記第2のノズル位置の差に基づいて、前記ノズルの位置が決定される、請求項8または9に記載のノズル位置検出方法。
【請求項12】
前記ノズルの先端に異常がある旨を報知する報知工程を、さらに含む、請求項10または11に記載のノズル位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を実装するノズルの位置を検出する部品実装装置およびノズル位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、実装ヘッドに装着されたノズルで部品供給装置(テープフィーダ)が供給する部品を取り出して基板に実装する。ところで、ノズルの実装ヘッドへの装着具合やノズルの変形によってノズルの先端の位置が正規の位置からずれることがある。そこで、部品の実装精度を向上させるために、実装基板の生産開始前などにノズルの先端の位置を検出して、ノズルの先端の位置ずれを補正することが行われている。特許文献1に記載の部品実装装置(電子部品装着装置)は、ノズルが保持する部品を撮像するカメラを使用して、カメラの光軸と同じ方向に光を照射する照明装置から強い光を照射して部品を保持していないノズルの先端の位置を撮像し、画像処理によりノズルの先端の位置を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-87304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、ノズルの先端をカメラで撮像してノズルの位置を認識することはできるものの、ノズルの先端にゴミや半田などの異物が付着している場合に、撮像画像ではノズルの先端と異物を区別することができずにノズルの先端の位置を認識できない場合があるという問題点があり、さらなる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、基板に部品を実装するノズルの位置を適切に検出することができる部品実装装置およびノズル位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、部品を保持するノズル軸と、ノズル軸に設けられた反射板と、を有するノズルが装着された実装ヘッドと、前記ノズルが保持する部品を下方から撮像するカメラと、前記カメラが撮像する前記部品を下方から照らす光を照射する第2照明部と、前記反射板で反射されて前記部品を上方から照らす光を前記反射板の斜め下方から照射する第1照明部と、部品を保持していない前記ノズルを前記第1照明部と前記第2照明部で照明して前記カメラで撮像した画像からノズルの位置を検出する画像処理部と、前記実装ヘッドを水平方向に移動させるヘッド移動機構と、検出された前記ノズルの位置に基づいて前記ヘッド移動機構を制御し、前記実装ヘッドを移動させて基板に部品を実装させる制御部と、を備える。
【0007】
本発明のノズル位置検出方法は、部品を保持するノズル軸とノズル軸に設けられた反射板とを有し、実装ヘッドに装着されたノズルの位置を検出するノズル位置検出方法であって、前記ノズルが保持する部品を下方から照らす光を照射する第2照明部と、前記反射板で反射されて前記部品を上方から照らす光を前記反射板の斜め下方から照射する第1照明部で、部品を保持していない前記ノズルを照明する照明工程と、照明された前記ノズルをカメラで下方から撮像する撮像工程と、前記撮像工程において撮像された画像から、ノズルの位置を検出する画像処理工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板に部品を実装するノズルの位置を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の平面図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成説明図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える部品認識カメラの構成説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える部品認識カメラによって撮像された(a)透過照明部により照明されたノズルの撮像画面の説明図(b)同軸照明部により照明されたノズルの撮像画面の説明図(c)透過照明部と同軸照明部により照明されたノズルの撮像画面の説明図
図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える部品認識カメラによって撮像された(a)先端の位置がずれているノズルの撮像画像の説明図(b)先端に異物が付着しているノズルの撮像画像の説明図
図7】本発明の一実施の形態の実装基板の製造方法のフロー図
図8】本発明の一実施の形態のノズル位置検出方法のフロー図
図9】本発明の一実施の形態のノズル位置検出方法における第1のノズル位置決定方法のフロー図
図10】本発明の一実施の形態のノズル位置検出方法における第2のノズル位置決定方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、部品認識カメラの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図2における上下方向)が示される。
【0011】
まず図1図2を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。なお図2は、図1における部品実装装置1の一部を模式的に示している。部品実装装置1は、部品供給部から供給された部品を基板に装着する部品実装作業を実行する機能を有する。基台1aの中央には、基板搬送機構2がX軸に沿って配置されている。基板搬送機構2は、上流側から搬送された基板3を、実装作業位置に搬入して位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流側に搬出する。
【0012】
基板搬送機構2の両側(Y軸の前後方向)には、部品供給部4が配置されている。それぞれの部品供給部4には、複数のテープフィーダ5(部品供給装置)がX軸に沿って並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品Dを格納するポケットが形成された部品テープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、以下に説明する実装ヘッドによって部品Dが取り出される部品供給位置5aに部品Dを供給する。
【0013】
図1図2において、基台1a上面においてX軸における両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル6がY軸に沿って配置されている。Y軸テーブル6には、同様にリニア駆動機構を備えたビーム7が、Y軸に沿って移動自在に結合されている。ビーム7はX軸に沿って配置されている。ビーム7には、実装ヘッド8がX軸に沿って移動自在に装着されている。実装ヘッド8は、部品Dを吸着保持して昇降可能な吸着ユニット8aを備えている。吸着ユニット8aのそれぞれの下端部には、部品Dを吸着保持するノズル9が装着されている。ノズル9は、部品Dを保持するノズル軸9aと、ノズル軸9aの上部(ノズル軸9aの先端面とは反対側)に設けられた反射板9bと、を有している(図3参照)。
【0014】
図1において、Y軸テーブル6およびビーム7は、実装ヘッド8をX軸およびY軸に沿って水平方向に移動させるヘッド移動機構10を構成する。ヘッド移動機構10および実装ヘッド8は、部品供給部4に配置されたテープフィーダ5の部品供給位置5aから部品Dをノズル9のノズル軸9aの先端面に吸着して取り出して、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の実装位置に装着する実装ターンを実行する。すなわち、Y軸テーブル6、ビーム7および実装ヘッド8は、テープフィーダ5の部品供給位置5aに供給される部品Dをノズル9で保持して基板3に装着する部品実装手段を構成する。
【0015】
図1図2において、部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ20が配置されている。部品供給部4から部品Dを取り出した実装ヘッド8のノズル9が部品認識カメラ20の上方を移動する際に(図3の矢印a)、部品認識カメラ20は実装ヘッド8に保持された状態の部品Dを撮像して部品Dの保持姿勢を認識する。
【0016】
実装ヘッド8が取り付けられたプレート7aには基板認識カメラ11が取り付けられている。基板認識カメラ11は、実装ヘッド8と一体的に移動する。実装ヘッド8が移動することにより、基板認識カメラ11は基板搬送機構2に位置決めされた基板3の上方に移動し、基板3に設けられた基板マーク3aを撮像して基板3の位置を認識する。実装ヘッド8による基板3への部品実装動作においては、部品認識カメラ20による部品Dの認識結果と、基板認識カメラ11による基板位置の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0017】
図2において、部品供給部4にはフィーダベース12aに予め複数のテープフィーダ5が装着された状態の台車12がセットされる。台車12には、部品Dを保持した部品テープ13を巻回状態で収納するテープリール14が保持されている。テープリール14から引き出された部品テープ13は、テープフィーダ5によって部品供給位置5aまでピッチ送りされる。
【0018】
図1において、部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル15が設置されている。タッチパネル15は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う。
【0019】
次に図3を参照して、部品認識カメラ20の構成について説明する。部品認識カメラ20は、筐体21の内部に1次元CCDや2次元CMOSセンサなどの撮像素子を有する撮像部22を備えている。筐体21の上面には、透明な板ガラスなどで形成された天井板21aが設置されている。撮像部22の上方には、レンズ23が配置されている。撮像部22は、光軸22aを上方に向けて設置されており、レンズ23と天井板21aを通して、ノズル9が保持する部品Dを撮像する。すなわち、撮像部22とレンズ23は、ノズル9が保持する部品Dを下方から撮像するカメラCを構成する。
【0020】
筐体21の内部であってカメラCの上方には、同軸照明部24と透過照明部25が設置されている。同軸照明部24は、複数のLEDチップなどを備えて構成された照明手段24aとハーフミラー24bを備えて構成されている。ハーフミラー24bは、撮像部22の光軸22aの途中に配置されており、照明手段24aから照射された光をハーフミラー24bの上方に反射させる。すなわち、同軸照明部24(照明手段24a、ハーフミラー24b)は、カメラCが撮像する部品Dを下方から照らす光を照射する第2照明部である。
【0021】
図3において、透過照明部25は複数のLEDチップなどを備えて構成されており、カメラCの上方に位置するノズル9の反射板9bを下斜め方向から照明する。透過照明部25から照射された光は、主にノズル9の反射板9bで反射されてノズル9が保持する部品Dを上方から照明する。すなわち、透過照明部25は、ノズル9の反射板9bで反射されて部品Dを上方から照らす光を反射板9bの斜め下方から照射する第1照明部である。部品認識カメラ20は、撮像する対象に応じて、同軸照明部24による同軸照明と透過照明部25による透過照明を切り替えて、もしくは組み合わせて照明する。
【0022】
次に図4を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1は、制御装置30、基板搬送機構2、テープフィーダ5、実装ヘッド8、ヘッド移動機構10、基板認識カメラ11、部品認識カメラ20、タッチパネル15を備えている。制御装置30は、画像処理部31、ノズル位置決定部32、実装動作処理部33、実装記憶部34を備えている。実装記憶部34は記憶装置であり、実装データ35、判定データ36、ノズル位置データ37などが記憶されている。
【0023】
実装データ35には、基板3の種類(基板種)毎に、基板3のサイズ、実装される部品Dの種類と実装位置(XY座標)など、部品実装作業に必要な情報が記憶されている。画像処理部31は、ヘッド移動機構10、基板認識カメラ11を制御して、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の基板マーク3aを撮像させ、撮像画像を画像処理して基板3の位置を検出する。
【0024】
図4において、画像処理部31は、実装ヘッド8、ヘッド移動機構10、部品認識カメラ20を制御して、ノズル9が保持する部品Dを同軸照明部24または透過照明部25で照明しながらカメラCに撮像させ、撮像画像を画像処理してノズル9に保持された部品Dの位置を検出する。また、画像処理部31は、実装ヘッド8、ヘッド移動機構10、部品認識カメラ20を制御して、部品Dを保持していないノズル9を同軸照明部24(第2照明部)と透過照明部25(第1照明部)で照明しながらカメラCに撮像させ、撮像画像を画像処理して後述するノズル位置を検出する。
【0025】
ここで、図5(a)~図5(c)を参照して、画像処理部31によって撮像された部品Dを保持していないノズル9の撮像画像41~43の例について説明する。図5(a)~図5(c)は、ノズル9やノズル9が装着された吸着ユニット8aに歪みがなく、理想状態で部品認識カメラ20のカメラCがノズル9を撮像した撮像画像41~43である。すなわち、撮像画像41~43の画像中心41c~43cは、ノズル9のノズル軸9aの中心および反射板9bの中心と一致している。
【0026】
図5(a)は、部品Dを保持していないノズル9を透過照明部25(第1照明部)で照明しながらカメラCで撮像した撮像画像41を示している。撮像画像41では、透過照明部25による透過照明が照射された反射板9bが明るく写り、透過照明が照射されないノズル軸9aが暗く写っている。画像処理部31は、撮像画像41の中の反射板9bの画像から第1のノズル位置P1を検出する。この例では、撮像画像41の画像中心41cを原点とし、略円形の反射板9bの外形から認識される反射板9bの中心の位置が第1のノズル位置P1として検出されている。
【0027】
図5(b)は、部品Dを保持していないノズル9を同軸照明部24(第2照明部)で照明しながらカメラCで撮像した撮像画像42を示している。撮像画像42では、同軸照明部24による同軸照明が照射されたノズル軸9aの先端面が明るく写り、同軸照明が照射されない反射板9bは写っていない。画像処理部31は、撮像画像42の中のノズル軸9aの先端の画像から第2のノズル位置P2を検出する。この例では、撮像画像42の画像中心42cを原点とし、略円のドーナツ形のノズル軸9aの先端面の外形から認識されるノズル軸9aの中心の位置が第2のノズル位置P2として検出されている。
【0028】
図5(c)は、部品Dを保持していないノズル9を透過照明部25と同軸照明部24で照明しながらカメラCで撮像した撮像画像43を示している。撮像画像43では、反射板9bとノズル軸9aの先端面が明るく写っている。画像処理部31は、撮像画像43の中の反射板9bの画像から第1のノズル位置P1を、撮像画像43の中のノズル軸9aの先端の画像から第2のノズル位置P2をそれぞれ検出する。
【0029】
このように、画像処理部31は、部品Dを保持していないノズル9を第1照明部(透過照明部25)と第2照明部(同軸照明部24)で照明してカメラCで撮像した撮像画像41~43からノズルの位置(第1のノズル位置P1、第2のノズル位置P2)を検出する。検出された第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2は、ノズル位置データ37として実装記憶部34に記憶される。
【0030】
図4において、ノズル位置決定部32は、画像処理部31により検出された第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2に基づいて、部品実装作業における実装ヘッド8の位置補正に使用するノズル位置(以下、単に「位置補正ノズル位置」と称する。)を決定する。判定データ36には、ノズル位置決定部32がノズル位置を決定する際に使用される判定範囲などが記憶されている。
【0031】
実装動作処理部33は、実装データ35、画像処理部31によって検出された基板搬送機構2に位置決めされた基板3の位置、ノズル9に保持された部品Dの位置、位置補正ノズル位置に基づいて、部品実装作業を実行させる。すなわち、実装動作処理部33は、検出されたノズル9の位置(位置補正ノズル位置)に基づいてヘッド移動機構10を制御し、実装ヘッド8を移動させて基板3に部品Dを実装させる制御部である。
【0032】
ここで、図6(a)、図6(b)を参照しながら、ノズル位置決定部32によるノズル位置の決定の例について説明する。図6(a)は、同軸照明部24と透過照明部25で照明しながら、ノズル9またはノズル9が装着された吸着ユニット8aに歪みが有る状態のノズル9をカメラCで撮像した撮像画像44である。画像処理部31は、撮像画像44から、第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2を検出する。
【0033】
そして、ノズル位置決定部32は、画像処理部31による検出結果から、第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2のX軸方向のオフセット量ΔXとY軸方向のオフセット量ΔY(以下、単に「オフセット量(ΔX,ΔY)」と称する。)を算出する。なお、ノズル9またはノズル9が装着された吸着ユニット8aに歪みが無い場合は、オフセット量(ΔX,ΔY)はX軸方向もY軸方向も「ゼロ」である。すなわち、歪みが無い場合は、第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2は一致する。
【0034】
図6(a)において、ノズル位置決定部32は、オフセット量(ΔX,ΔY)(第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2の差)が判定データ36に含まれる判定範囲以内にある場合は、第2のノズル位置P2を位置補正ノズル位置に決定する。すなわち、検出されたノズル軸9aの先端面の中心を位置補正ノズル位置と決定する。この場合、実装動作処理部33(制御部)は、第2のノズル位置P2(位置補正ノズル位置)に基づいて、実装ヘッド8を移動させる。
【0035】
また、ノズル位置決定部32は、オフセット量(ΔX,ΔY)が判定データ36に含まれる判定範囲より大きい場合は、タッチパネル15にノズル9に異常がある旨を表示させる。すなわち、タッチパネル15は、算出されたオフセット量(ΔX,ΔY)が所定範囲以上である場合に、ノズル9に異常がある旨を警告する報知部である。これにより、ノズル9に異常がある場合は部品実装作業を停止することができ、ノズル9の歪みなどの状態に応じて適切に実装ヘッド8の位置を補正して基板3に部品Dを実装することができる。
【0036】
なお、ノズル位置決定部32は、新たに撮像されたノズル9の撮像画像44から算出されたオフセット量(ΔX,ΔY)が、ノズル位置データ37に記憶されている以前に算出された同じノズル9のオフセット量(ΔX,ΔY)から所定範囲以上変動している場合にも、タッチパネル15にノズル9に異常がある旨を表示させるようにしてもよい。
【0037】
図6(b)は、同軸照明部24と透過照明部25で照明しながら、ノズル軸9aの先端面に異物が付着しているノズル9をカメラCで撮像した撮像画像45である。この例では、画像処理部31は、撮像画像45の反射板9bの画像から第1のノズル位置P1を検出する。しかし、画像処理部31は、異物が付着しているノズル軸9aの先端面の画像からは第2のノズル位置P2を検出することができないか、第2のノズル位置P2を誤認識する。ノズル位置決定部32は、第2のノズル位置P2が検出できない場合は、新たに検出された第1のノズル位置P1を位置補正ノズル位置に決定する。この場合、実装動作処理部33は、第1のノズル位置P1(位置補正ノズル位置)に基づいて、実装ヘッド8を移動させる。
【0038】
または、ノズル位置決定部32は、第2のノズル位置P2が検出できない場合は、新たに検出された第1のノズル位置P1と、ノズル位置データ37に記憶されている以前に算出された同じノズル9のオフセット量(ΔX,ΔY)から第2のノズル位置P2を予測して算出し、位置補正ノズル位置とする。すなわち、ノズル位置決定部32は、新たに検出された第1のノズル位置P1から予め取得されているオフセット量(ΔX,ΔY)だけシフトさせた位置を位置補正ノズル位置と決定する。
【0039】
この場合、実装動作処理部33は、新たに検出された第1のノズル位置P1と、予め取得されている第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2の差(オフセット量(ΔX,ΔY))に基づいて、実装ヘッド8を移動させる。これにより、基板3に部品Dを実装するノズル9の位置を適切に検出し、ノズル9の歪みなどの状態に応じて適切に実装ヘッド8の位置を補正して基板3に部品Dを実装することができる。
【0040】
図6(b)において、ノズル軸9aの先端面に異物が付着している場合、画像処理部31は、第2のノズル位置P2を実際の位置から大きく外れた位置に誤認識する場合がある。そこで、ノズル位置決定部32は、新たに撮像されたノズル9の撮像画像45から検出された第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2の差(オフセット量(ΔX,ΔY))が、予め取得されているオフセット量(ΔX,ΔY)から所定範囲以上変動している場合は、検出された第2のノズル位置P2は誤りと判断して、新たに検出された第1のノズル位置P1を位置補正ノズル位置に決定するようにしてもよい。
【0041】
すなわち、実装動作処理部33(制御部)は、新たに撮像されたノズル9の撮像画像45から検出された第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2の差(オフセット量(ΔX,ΔY))が、予め取得されている第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2の差から所定範囲以上変動している場合、新たに検出された第1のノズル位置P1に基づいて、実装ヘッド8を移動させる。
【0042】
または、ノズル位置決定部32は、オフセット量(ΔX,ΔY)が想定範囲以上変動している場合は、新たに検出された第1のノズル位置P1と、以前に算出された同じノズル9のオフセット量(ΔX,ΔY)から第2のノズル位置P2を予測して算出し、位置補正ノズル位置とするようにしてもよい。すなわち、実装動作処理部33は、オフセット量(ΔX,ΔY)が所定範囲以上変動している場合、新たに検出された第1のノズル位置P1と、予め取得されている第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2の差(オフセット量(ΔX,ΔY))に基づいて、実装ヘッド8を移動させる。
【0043】
図6(b)において、ノズル位置決定部32は、第2のノズル位置P2が検出できない場合、あるいは、オフセット量(ΔX,ΔY)が所定範囲以上変動している場合、タッチパネル15にノズル9の先端に異常がある旨を表示させるようにしてもよい。すなわち、タッチパネル15は、第2のノズル位置P2が検出できない場合、または、オフセット量(ΔX,ΔY)が所定範囲以上変動している場合に、ノズル9の先端に異常がある旨を警告する報知部である。
【0044】
次に図7のフローに沿って、部品実装装置1による実装基板の製造方法について説明する。以下に説明するフローでは、位置補正ノズル位置を決定する工程と基板3に部品Dを装着する工程を主に説明し、基板搬送機構2による基板3の搬入、位置決め、搬出の各工程は省略する。まず、画像処理部31は、ノズル位置の補正のタイミングか否かを判断する(ST1:タイミング判断工程)。
【0045】
補正のタイミングの場合(ST1においてYes)、後述するノズル位置補正工程(ST2)が実行される。例えば、製造する実装基板を変更した段取り替え後、部品実装装置1の電源投入後、ノズル9の交換後などに、ノズル位置検出工程(ST2)が実行される。または、部品実装作業中に、所定の間隔(例えば、部品Dを100回装着する毎)にノズル位置検出工程(ST2)を実行するようにしてもよい。
【0046】
図7において、補正のタイミングでない場合(ST1においてNo)は、ノズル位置補正工程(ST2)はスキップされて、ノズル位置データ37に記憶されている位置補正ノズル位置に基づいて、部品実装作業が実行される。すなわち、実装動作処理部33は、実装ヘッド8のノズル9にテープフィーダ5の部品供給位置5aに供給される部品Dを吸着させて取り出させる(ST3:部品吸着工程)。次いで画像処理部31は、部品認識カメラ20によりノズル9が保持した部品Dを撮像させる(ST4:部品撮像工程)。次いで画像処理部31は、撮像画像を画像処理してノズル9が保持する部品Dの位置を検出する(ST5:部品位置検出工程)。
【0047】
次いで実装動作処理部33は、部品位置検出工程(ST5)で検出された部品Dの位置とノズル位置データ37に記憶されている位置補正ノズル位置に基づいて、ノズル9が保持する部品Dを基板3の実装位置に装着させる(ST6:部品装着工程)。次に基板3に装着する部品Dが有る場合は(ST7においてYes)、タイミング判断工程(ST1)に戻って、部品実装作業が継続される。基板3に装着する部品Dが無い場合は(ST7においてNo)、実装基板の製造が完了する。このように、部品吸着工程(ST3)から部品装着工程(ST6)では、位置補正ノズル位置に基づいて、実装ヘッド8の移動が制御される。
【0048】
次に図8のフローに沿って、ノズル位置検出工程(ST2)(ノズル位置検出方法)の詳細について説明する。ノズル位置検出工程(ST2)では、まず、画像処理部31は、部品Dを保持していないノズル9を部品認識カメラ20の上方に移動させて、透過照明部25(第1照明部)と同軸照明部24(第2照明部)で、部品Dを保持していないノズル9を照明する(ST11:照明工程)。次いで画像処理部31は、照明されたノズル9をカメラCで下方から撮像させる(ST12:撮像工程)。
【0049】
なお、透過照明部25と同軸照明部24で同時にノズルを照明しながら(ST11)カメラCで撮像しても(ST12)、透過照明部25でノズルを照明しながら(ST11)カメラCで撮像し(ST12)、その後、同軸照明部24でノズルを照明しながら(ST11)カメラCで撮像しても(ST12)よい。
【0050】
次いで画像処理部31は、撮像工程(ST12)において撮像された撮像画像から、ノズル9の位置を検出する(ST13:画像処理工程)。画像処理工程(ST13)では、撮像画像の中の反射板9bの画像から第1のノズル位置P1が検出され、画像の中のノズル軸9aの先端の画像から第2のノズル位置P2が検出される(例えば、図6(a)参照)。次いでノズル位置決定部32は、第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2に基づいて、位置補正ノズル位置(ノズルの位置)を決定する(ST14:ノズル位置決定工程)。
【0051】
次に図9のフローに沿って、ノズル位置決定工程(ST14)の第1の実施例(第1のノズル位置決定方法)について説明する。まず、ノズル位置決定部32は、第1のノズル位置と第2のノズル位置の差(オフセット量(ΔX,ΔY))が所定の範囲内であるか否かを判断する(ST21)。差が所定範囲内の場合(ST21においてYes)、ノズル位置決定部32は、第2のノズル位置P2を位置補正ノズル位置に決定して、ノズル位置データ37を更新する(ST22)。
【0052】
すなわち、ノズル位置決定工程(ST14)において、第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2の差が所定の範囲内の場合(ST21においてYes)、第2のノズル位置P2がノズルの位置に決定される。差が所定範囲より大きい場合(ST21においてNo)、ノズル位置決定部32は、タッチパネル15(報知部)にノズル9の先端に汚れ、欠け、歪みなどの異常がある旨を報知させる(ST23:警告報知工程)。これにより、異常があるノズル9を使用する部品実装作業が中断される。
【0053】
次に図10のフローに沿って、ノズル位置決定工程(ST14)の第2の実施例(第2のノズル位置決定方法)について説明する。第2の実施例では、オフセット量(ΔX,ΔY)の変動に基づいて位置補正ノズル位置が決定されるところが第1の実施例とは異なっている。まず、ノズル位置決定部32は、第1のノズル位置と第2のノズル位置の差(オフセット量(ΔX,ΔY))の変動が所定の範囲内であるか否かを判断する(ST31)。変動が所定範囲内の場合(ST31においてYes)、ノズル位置決定部32は、第2のノズル位置P2を位置補正ノズル位置に決定して、ノズル位置データ37を更新する(ST32)。
【0054】
変動が所定範囲より大きい場合(ST31においてNo)、ノズル位置決定部32は、第1のノズル位置P1を位置補正ノズル位置に決定して、ノズル位置データ37を更新する(ST33)。すなわち、ノズル位置決定工程(ST14)において、画像処理工程(ST13)で検出された第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2の差が、予め取得されている第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2の差から所定範囲以上変動している場合(ST31においてNo)、検出された第1のノズル位置P1がノズルの位置に決定される。なお、ノズル位置決定部32は、検出された第1のノズル位置P1と、予め取得されている第1のノズル位置P1と第2のノズル位置P2の差に基づいて、ノズルの位置を決定するようにしてもよい。
【0055】
図10において、次いでノズル位置決定部32は、タッチパネル15(報知部)にノズル9の先端に汚れ、欠け、歪みなどの異常がある旨を報知させる(ST34:異常報知工程)。これにより、部品実装作業は継続しつつ、作業者は、該当するノズル9の清掃、交換などの準備を実行することができる。
【0056】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置1は、ノズル軸9aと反射板9bを有するノズル9が装着された実装ヘッド8と、ノズル9が保持する部品Dを下方から撮像するカメラCと、部品Dを下方から照らす光を照射する第2照明部(同軸照明部24)と、反射板9bで反射される光を反射板9bの斜め下方から照射する第1照明部(透過照明部25)と、部品Dを保持していないノズル9を第1照明部と第2照明部で照明してカメラCで撮像した撮像画像41~45からノズル9の位置を検出する画像処理部31と、検出されたノズルの位置(第1のノズル位置P1,第2のノズル位置P2)に基づいて実装ヘッド8を移動させて基板3に部品Dを実装させる制御部(実装動作処理部33)と、を備えている。これによって、基板3に部品Dを実装するノズル9の位置を適切に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の部品実装装置およびノズル位置検出方法は、基板に部品を実装するノズルの位置を適切に検出することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 部品実装装置
8 実装ヘッド
9 ノズル
9a ノズル軸
9b 反射板
10 ヘッド移動機構
15 タッチパネル(報知部)
24 同軸照明部(第2照明部)
25 透過照明部(第1照明部)
C カメラ
D 部品
P1 第1のノズル位置
P2 第2のノズル位置
ΔX X軸方向のオフセット量
ΔY Y軸方向のオフセット量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10