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特許7561384バッテリ充電モジュール、バッテリ交換装置、およびバッテリ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】バッテリ充電モジュール、バッテリ交換装置、およびバッテリ装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240927BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/256 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20240927BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240927BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 X
H01M50/244 Z
H01M50/256 101
H01M50/244 A
H01M10/46 101
H01M10/42 A
B60K1/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021542922
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2020031989
(87)【国際公開番号】W WO2021039773
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2019154707
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹村 将志
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 健一郎
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-134641(JP,A)
【文献】特開平09-198571(JP,A)
【文献】特開2000-339538(JP,A)
【文献】特開2019-068719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 50/244
H01M 50/256
H01M 10/46
H01M 10/42
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ装置を保持し、支持体に複数取り付けられてバッテリ交換装置を構成するバッテリ充電モジュールであって、
前記支持体に着脱可能に固定され、
前記バッテリ装置を所定の装着位置に案内してそのバッテリ装置を保持するトレイを備え、
このトレイは、
前記バッテリ装置に充電用電力を伝送する給電端子と、
前記バッテリ装置からのバッテリ管理情報を伝送する通信端子と、
前記バッテリ装置の充電状態を表示する表示部と、を有することを特徴とするバッテリ充電モジュール。
【請求項2】
前記トレイが、
前記バッテリ装置を、取っ手を前記装着位置からの取り出し方向、かつ斜め上方に向けた傾斜状態で保持することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ充電モジュール。
【請求項3】
前記トレイが、
前記バッテリ装置の底面を支持する底面支持部と、前記バッテリ装置の1つの側面を支持する側面支持部とを備え、
前記底面支持部と前記側面支持部が側面視でL字形状をなすことを特徴とする請求項2に記載のバッテリ充電モジュール。
【請求項4】
前記側面支持部の前端部に前記表示部が配置されていることを特徴とする請求項3に記載のバッテリ充電モジュール。
【請求項5】
バッテリ装置を保持するバッテリ充電モジュールを支持体に複数取り付けて構成されたバッテリ交換装置であって、
前記バッテリ充電モジュールは、
前記支持体に着脱可能に固定され、
前記バッテリ装置を所定の装着位置に案内してそのバッテリ装置を保持するトレイを備え、
このトレイは、
前記バッテリ装置に充電用電力を伝送する給電端子と、
前記バッテリ装置からのバッテリ管理情報を伝送する通信端子と、
前記バッテリ装置の充電状態を表示する表示部と、を有し、
前記バッテリ充電モジュールおよび前記支持体のいずれかは、
前記バッテリ装置の前記装着位置からの取り出しを阻止するロック部材およびその駆動部を有することを特徴とするバッテリ交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリ装置を保持し、支持体に複数取り付けられてバッテリ交換装置を構成するバッテリ充電モジュール、バッテリ交換装置、およびバッテリ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、排気ガスによる大気汚染や燃料コストの問題を解消する観点から、電動バイクなどの電動車両が注目されている。このような電動車両では、バッテリ装置の性能向上により航続距離が伸びているが、バッテリ装置の充電が支障となって、長時間の連続走行ができないという不便がある。
【0003】
そこで、このような不便を解消するため、従来、電動車両に、着脱可能なバッテリ装置を搭載して、バッテリステーションにおいて、残量が少なくなったバッテリ装置と充電済みのバッテリ装置とを交換できるようにして、長時間の連続走行を実現するバッテリ交換サービスが知られている。
【0004】
このバッテリ交換サービスでは、バッテリステーションにバッテリ交換装置を設置して、そのバッテリ交換装置において、ユーザが持ち込んだバッテリ装置を収容して、その代わりに、充電済みのバッテリ装置をユーザに貸し出すようにすればよい。このとき、バッテリ装置が比較的重量が大きいため、バッテリ交換作業をユーザが容易に行えるようにして、ユーザの負担を軽減すると、ユーザの利便性を高めることができる。
【0005】
このようなバッテリ交換作業を行うユーザの負担を軽減するものとして、従来、収納されたバッテリ装置の一端を突出させることで、バッテリ装置の取り出しの作業を容易にする技術が知られている(特許文献1参照)。また、バッテリ装置の収容部が手前側に傾動することで、バッテリ装置の収容および取り出しの作業を容易にする技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4479977号公報
【文献】特開2014-072951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、バッテリ交換サービスの需要の程度は、設置場所に応じて異なる。このため、需要の程度を予測して、その予測結果に応じた規模でバッテリ交換装置を設置する。ところが、バッテリ交換サービスの運用を開始してみると、バッテリ交換サービスの実際の利用状況が予測結果と大きく異なることが判明することが多い。このため、サービスの運用を開始した後に、バッテリ交換装置の規模を調整する必要が生じる。
【0008】
一方、特許文献1に開示された従来の技術では、スロットを蓋で覆って、利用可能なスロットの数を増減することで、バッテリ交換サービスの実際の需要に応じた適切な規模に調整することができる。また、特許文献2に開示された従来の技術でも、連結するバッテリ充電ロッカーの数を増減することで、バッテリ交換装置の規模を調整することができる。しかしながら、これらの従来の技術では、サービスの運用を開始した後に、バッテリ交換装置の規模を調整する際に、安価かつ簡単に対応できないという問題があった。
【0009】
そこで、本開示は、サービスの運用を開始した後でも、バッテリ交換装置の規模を調整する必要が生じた場合には、安価かつ簡単に対応することができるバッテリ充電モジュール、バッテリ交換装置、およびバッテリ装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のバッテリ充電モジュールは、バッテリ装置を保持し、支持体に複数取り付けられてバッテリ交換装置を構成するバッテリ充電モジュールであって、前記支持体に着脱可能に固定され、前記バッテリ装置を所定の装着位置に案内してそのバッテリ装置を保持するトレイを備え、このトレイは、前記バッテリ装置に充電用電力を伝送する給電端子と、前記バッテリ装置からのバッテリ管理情報を伝送する通信端子と、前記バッテリ装置の充電状態を表示する表示部と、を有する構成とする。
【0011】
また、本発明のバッテリ交換装置は、バッテリ装置を保持するバッテリ充電モジュールを支持体に複数取り付けて構成されたバッテリ交換装置であって、前記バッテリ充電モジュールは、前記支持体に着脱可能に固定され、前記バッテリ装置を所定の装着位置に案内してそのバッテリ装置を保持するトレイを備え、このトレイは、前記バッテリ装置に充電用電力を伝送する給電端子と、前記バッテリ装置からのバッテリ管理情報を伝送する通信端子と、前記バッテリ装置の充電状態を表示する表示部と、を有し、前記バッテリ充電モジュールおよび前記支持体のいずれかは、前記バッテリ装置の前記装着位置からの取り出しを阻止するロック部材およびその駆動部を有する構成とする。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、バッテリ交換サービスの実際の利用状況に応じて、バッテリ充電モジュールの増設や撤去を容易に行うことができる。これにより、サービスの運用を開始した後でも、バッテリ交換装置の規模を調整する必要が生じた場合には、安価かつ簡単に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係るバッテリ共用システムの全体構成図
図2】第1実施形態に係るバッテリ交換機3の正面図
図3】第1実施形態に係るバッテリ交換機3の側面図
図4】第1実施形態に係るバッテリ充電モジュール23の取付構造を示す説明図
図5】第1実施形態に係るバッテリ交換機3のロック機構41を示す説明図
図6】第1実施形態に係るバッテリパック2およびバッテリ充電モジュール23の概略構成を示すブロック図
図7】第1実施形態に係るバッテリ充電モジュール23におけるバッテリパック2のガイド構造を示す説明図
図8】第1実施形態の第1変形例に係るバッテリ交換機3のロック機構101を示す説明図
図9】第1実施形態の第2変形例に係るバッテリ交換機3のロック機構111を示す説明図
図10】第2実施形態に係るバッテリ交換機201の正面図
図11】第2実施形態に係るバッテリ交換機201の平面図
図12】第2実施形態に係るバッテリ交換機201のロック機構221を示す説明図
図13】第3実施形態に係るバッテリ交換機301の正面図
図14】第3実施形態に係るバッテリ交換機301の側面図
図15】第4実施形態に係るバッテリ交換機401の正面図
図16】第4実施形態に係るバッテリ交換機401の側面図
図17】第5実施形態に係るバッテリ交換機501の正面図
図18】第5実施形態に係るバッテリ交換機501の側面図
図19】第6実施形態に係るバッテリ交換機601の正面図
図20】第6実施形態に係るバッテリ交換機601の側面図
図21】第7実施形態に係るバッテリパック701およびバッテリ充電モジュール702を示す説明図
図22】第7実施形態に係るバッテリパック701およびバッテリ充電モジュール702の概略構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、バッテリ装置を保持し、支持体に複数取り付けられてバッテリ交換装置を構成するバッテリ充電モジュールであって、前記支持体に着脱可能に固定され、前記バッテリ装置を所定の装着位置に案内してそのバッテリ装置を保持するトレイを備え、このトレイは、前記バッテリ装置に充電用電力を伝送する給電端子と、前記バッテリ装置からのバッテリ管理情報を伝送する通信端子と、前記バッテリ装置の充電状態を表示する表示部と、を有する構成とする。
【0016】
これによると、バッテリ交換サービスの実際の利用状況に応じて、バッテリ充電モジュールの増設や撤去を容易に行うことができる。これにより、サービスの運用を開始した後でも、バッテリ交換装置の規模を調整する必要が生じた場合には、安価かつ簡単に対応することができる。また、バッテリ充電モジュールに装着されたバッテリ装置ごとの充電状態をユーザが確認することができる。
【0021】
また、第2の発明は、前記トレイが、前記バッテリ装置を、取っ手を前記装着位置からの取り出し方向、かつ斜め上方に向けた傾斜状態で保持する構成とする。
【0022】
これによると、バッテリ装置をトレイに装着した状態の高さ寸法を小さく抑えることができるため、より多くのバッテリ装置をバッテリ交換装置に収容することができる。
また、第3の発明は、前記トレイが、前記バッテリ装置の底面を支持する底面支持部と、前記バッテリ装置の1つの側面を支持する側面支持部とを備え、前記底面支持部と前記側面支持部が側面視でL字形状をなす構成とする。
これによると、2つの支持部により簡単な構成でトレイを設けることができる。
また、第4の発明は、前記側面支持部の前端部に前記表示部が配置されている構成とする。
これによると、充電状態をユーザが確認する表示部を簡単にトレイに設けることができる。
【0025】
また、第5の発明は、バッテリ装置を保持するバッテリ充電モジュールを支持体に複数取り付けて構成されたバッテリ交換装置であって、前記バッテリ充電モジュールは、前記支持体に着脱可能に固定され、前記バッテリ装置を所定の装着位置に案内してそのバッテリ装置を保持するトレイを備え、このトレイは、前記バッテリ装置に充電用電力を伝送する給電端子と、前記バッテリ装置からのバッテリ管理情報を伝送する通信端子と、前記バッテリ装置の充電状態を表示する表示部と、を有し、前記バッテリ充電モジュールおよび前記支持体のいずれかは、前記バッテリ装置の前記装着位置からの取り出しを阻止するロック部材およびその駆動部を有する構成とする。
【0026】
これによると、第1の発明と同様に、サービスの運用を開始した後でも、バッテリ交換装置の規模を調整する必要が生じた場合には、安価かつ簡単に対応することができる。さらに、充電未了状態のバッテリ装置が誤って貸し出されることを避けることができ、また、バッテリ装置が地震の揺れで落下して破損することを避けることができる。また、バッテリ充電モジュールに装着されたバッテリ装置ごとの充電状態をユーザが確認することができる。
【0033】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るバッテリ共用システムの全体構成図である。
【0035】
このバッテリ共用システムは、電動バイクなどの電動車両1に搭載するバッテリパック2(バッテリ装置)を複数のユーザで共用するサービス(バッテリ交換サービス)を提供するものであり、バッテリ交換機3(バッテリ交換装置)と、管理サーバ4と、を備えている。
【0036】
電動車両1は、バッテリパック2を搭載し、バッテリパック2の電力により走行する。図1に示す例では、電動車両1を電動バイクとしたが、4輪の自動車でもよい。また、車道走行が前提となっていないモビリティ装置である電動車椅子、電動カート、テーマパークやゴルフ場等での乗用カートであってもよい。
【0037】
バッテリパック2は、筐体11の上部に取っ手12が設けられており、ユーザが取っ手12を把持することで、バッテリパック2を持ち運ぶことができる。また、バッテリパック2は、取っ手12側を上方に向けた直立状態で電動車両1に搭載され、ユーザが取っ手12を把持して、バッテリパック2を引き上げることで取り外すことができる。また、バッテリパック2は、取っ手12側を手前にした状態でバッテリ交換機3に収容され、ユーザが一方の手で取っ手12を把持し、必要に応じてもう一方の手で筐体の側面や底面を支えて、バッテリ交換機3に収容することができる。
【0038】
バッテリ交換機3は、ユーザから返却されたバッテリパック2を収容して充電すると共に、返却されたバッテリパック2と交換で充電済みのバッテリパック2をユーザに貸し出す。このバッテリ交換機3は、コンビニやガソリンスタンドなどの施設(店舗)に併設されたバッテリステーションに配置される。
【0039】
このバッテリ交換機3は、バッテリ充電ユニット21と、コントローラ22と、で構成される。バッテリ充電ユニット21は、バッテリパック2が1基ずつ装着されるバッテリ充電モジュール23を複数備えている。バッテリ充電ユニット21は1基でもよく複数でもよい。コントローラ22は、バッテリ充電ユニット21を制御する機能と、管理サーバ4と通信を行う機能とを有している。なお、バッテリ交換機3と管理サーバ4とは、例えばインターネットなどのネットワークを介して接続されている。
【0040】
管理サーバ4は、バッテリ交換サービスに加入してバッテリパック2を使用する人物をユーザ(会員)として登録し、バッテリパック2とその貸出先のユーザとを紐付けて管理する。また、管理サーバ4は、バッテリ交換機3でのバッテリパック2の交換状況を管理する。
【0041】
なお、バッテリ交換に訪れたユーザを識別するユーザ認証を行うようにしてもよい。この場合、カメラの撮影画像から顔認証によりユーザを識別するようにしてもよい。また、ユーザが所持するRFID(radio frequency identifier)のタグや、非接触型ICカードや、NFC(Near field communication)の機能を備えたユーザ端末との間の通信で、ユーザを識別するようにしてもよい。また、カメラの撮影画像から、バッテリパック2に添付された2次元コードを読み取ることで、ユーザがバッテリパック2を返却しようとしていることを検知するようにしてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、電動車両1に搭載されるバッテリパック2を例にして説明するが、バッテリパック2が搭載されるバッテリ搭載装置は電動車両1に限定されず、例えば可搬型の給電装置などでもよい。
【0043】
次に、第1実施形態に係るバッテリ交換機3について説明する。図2は、バッテリ交換機3の正面図である。図3は、バッテリ交換機3の側面図である。
【0044】
図2に示すように、バッテリ交換機3において、複数のバッテリ充電モジュール23が支持ポスト25(支持体)に支持された状態で設けられている。支持ポスト25はバッテリ充電モジュール23を挟んで左右に1対設けられている。バッテリ充電モジュール23は上下に複数段配置される。図2に示す例では、バッテリ充電モジュール23が上下に4段配置されている。
【0045】
バッテリ充電モジュール23と支持ポスト25とでバッテリ充電ユニット21が構成され、このバッテリ充電ユニット21を1台または複数台並べてバッテリ交換機3が構成される。図2に示す例では、3台のバッテリ充電ユニット21でバッテリ交換機3が構成される。
【0046】
バッテリ交換機3を構成する1台のバッテリ充電ユニット21には、ディスプレイモジュール27が設けられている。このディスプレイモジュール27は、通常時は、広告などのコンテンツを表示するデジタルサイネージとして動作し、バッテリ交換に訪れた人物を検知すると、バッテリ交換に関する案内画面が表示される。ディスプレイモジュール27は、バッテリ充電モジュール23と同様に、左右の支持ポスト25に挟まれた状態でその支持ポスト25に固定される。
【0047】
図3に示すように、バッテリパック2は、取っ手12側を斜め上方に向けた傾斜状態でバッテリ充電モジュール23に装着される。バッテリ充電モジュール23は、1基のバッテリパック2が装着されるトレイ31を備えている。このトレイ31は、バッテリパック2の筐体11の底面を支持する底面支持部32と、バッテリパック2の1つの側面を支持する側面支持部33と、を備え、側面視でL字形状をなしている。このように本実施形態では、バッテリパック2が傾斜状態でトレイ31に保持されるため、1段分の高さが低くなり、縦方向により多くのバッテリパック2を収容することができる。
【0048】
バッテリ充電モジュール23におけるトレイ31の前端部には、バッテリパック2の充電状態を表示する表示部35が設けられている。この表示部35は、例えば、複数色の光源(LEDランプなど)の切り替え点灯により、バッテリパック2の充電状態が異なる色で表示される。例えば、充電完了状態(貸出可能状態)が緑色で表示され、充電未了状態(貸出不可状態)が赤色で表示される。
【0049】
バッテリパック2の交換時には、まず、ユーザは、バッテリパック2の返却のために、空き状態のバッテリ充電モジュール23を探して、その空き状態のバッテリ充電モジュール23のトレイ31にバッテリパック2を装着する。次に、充電完了状態のバッテリパック2の貸し出しのために、ユーザは、充電完了状態のバッテリパック2を探して、その充電完了状態のバッテリパック2をバッテリ充電モジュール23のトレイ31から取り出す。
【0050】
なお、本実施形態では、バッテリパック2の充電を行うバッテリ充電モジュール23、および各種の画面を表示するディスプレイモジュール27を支持ポスト25に複数取り付けるようにしたが、このような充電や画面表示以外の機能を有するモジュールを支持ポスト25に取り付けるようにしてもよい。例えば、カメラやカードリーダなどを備えて、顔認証などによりバッテリパック2の貸し出しの可否を判定する処理(ユーザ認証)や決済処理を行うモジュール、管理サーバ4との間で通信を行うモジュール、太陽光発電を行うモジュールなどを支持ポスト25に取り付けるようにしてもよい。
【0051】
次に、第1実施形態に係るバッテリ充電モジュール23の取付構造について説明する。図4は、バッテリ充電モジュール23の取付構造を示す説明図である。
【0052】
バッテリ充電モジュール23は、ボルト37により着脱可能に支持ポスト25に固定される。支持ポスト25には、取り付け可能な最大数のバッテリ充電モジュール23に対応した取付孔38が予め設けられており、この取付孔38にボルト37を挿通して締結することで、バッテリ充電モジュール23が支持ポスト25に固定される。
【0053】
このような取付構造により、支持ポスト25に対するバッテリ充電モジュール23の取り付けおよび取り外しを容易に行うことができる。このため、バッテリ交換機3の運用を開始した後に、バッテリ交換機3の実際の利用頻度に応じて、バッテリ充電モジュール23を増設したり撤去したりすることができ、バッテリ充電モジュール23の取付数を自由に調整することができる。図4に示す例では、4段のうちの中間の2段のみにバッテリ充電モジュール23が取り付けられている。
【0054】
なお、バッテリ充電モジュール23の取付構造は、ボルト締結に限定されず、その他の着脱可能の固定構造を採用することができる。なお、バッテリステーションの建設者以外がボルトを簡単に取外しできないよう特殊形状のボルトを用いたり、ボルトの存在を分かりにくくする隠蔽部材を支持ポスト25へ貼り付けたりするとよい。
【0055】
次に、第1実施形態に係るバッテリ交換機3のロック機構41について説明する。図5は、バッテリ交換機3のロック機構41を示す説明図である。
【0056】
バッテリ交換機3は、バッテリ充電モジュール23のトレイ31からのバッテリパック2の取り出しを阻止するロック機構41を備えている。このロック機構41により、バッテリパック2の取り出しを阻止することで、充電未了状態のバッテリパック2が誤って貸し出されることを避けることができる。また、バッテリ交換に訪れたユーザを識別するユーザ認証を行う場合には、正規のユーザでない人物にバッテリパック2が誤って貸し出されることを避けることができる。
【0057】
ロック機構41は、支持ポスト25に設けられており、バッテリパック2の動きを規制するロックピン42(ロック部材)と、このロックピン42をロック位置とロック解除位置との間で軸方向に進退動作させる駆動部43と、を有している。なお、図5に示す例では、かさ歯車46および送りねじ47により、電動モータ45の回転に応じてロックピン42を軸方向に進退動作させる構成となっているが、この駆動部43の構成は図示する例に限定されない。例えば、ソレノイドなどの電動モータ以外のアクチュエータでロックピン42を動作させる構成も可能である。
【0058】
図5(A)に示すように、ロック状態では、ロックピン42が、バッテリパック2における筐体11の取っ手12側に突出することで、トレイ31からのバッテリパック2の取り外しが阻止される。一方、図5(B)に示すように、ロックピン42を後退させると、ロック解除状態に遷移する。このロック解除状態では、ロックピン42が、バッテリパック2における筐体11の取っ手12側に位置しないため、バッテリパック2をトレイ31から取り外すことができる。
【0059】
次に、第1実施形態に係るバッテリパック2およびバッテリ充電モジュール23の概略構成について説明する。図6は、バッテリパック2およびバッテリ充電モジュール23の概略構成を示すブロック図である。
【0060】
バッテリパック2は、電池セル51と、給電端子52と、通信端子53と、充放電回路54と、メモリ55と、プロセッサ56と、を備えている。
【0061】
給電端子52は、充電時にバッテリ充電モジュール23から供給される充電用電力を伝送する。また、給電端子52は、電動車両1に装着された状態で電池セル51の電力を電動車両1に伝送する。
【0062】
通信端子53は、バッテリ充電モジュール23とバッテリパック2との間で情報の送受信を行う。なお、給電端子52が通信端子を兼用する構成としてもよい。
【0063】
充放電回路54は、バッテリ充電モジュール23から供給される充電用電力で電池セル51を充電する動作と、電動車両1に走行用の電力を供給するために電池セル51に放電させる動作と、を行う。
【0064】
メモリ55は、プロセッサ56で実行されるプログラムを記憶する。また、メモリ55は、バッテリ交換サービスの管理で必要となるバッテリ管理情報を記憶する。このバッテリ管理情報は、例えば、バッテリパック2のID(シリアル番号などの個体識別情報)、バッテリパック2を使用中のユーザのID、バッテリパック2の異常状態を表すアラート、過去の充電回数などの履歴情報、電池セル51の劣化情報などである。
【0065】
プロセッサ56は、バッテリパック2の各部を制御する。例えば、各種の環境センサ(温度,湿度,電圧,電流)などを設け、電池セル51の異常や劣化状態を検知して、アラートや劣化情報をメモリ55に記憶する。
【0066】
バッテリ充電モジュール23は、表示部35の他に、給電端子61と、通信端子62と、入出力部63と、を備えている。
【0067】
給電端子61は、充電時にコントローラ22から供給される充電用電力をバッテリパック2に伝送する。
【0068】
通信端子62は、バッテリ充電モジュール23とバッテリパック2との間で情報の送受信を行う。なお、給電端子61が通信端子を兼用する構成としてもよい。
【0069】
入出力部63は、バッテリパック2との間での情報の送受信を中継する。
【0070】
コントローラ22は、充電制御回路71と、電源部72と、入出力部73と、通信部74と、メモリ75と、プロセッサ76と、を備えている。
【0071】
充電制御回路71は、電源部72からバッテリ充電モジュール23に供給する充電用電力を制御する。
【0072】
通信部74は、管理サーバ4との間で通信を行う。具体的には、バッテリパック2から取得したバッテリ管理情報(バッテリパック2のIDなど)を管理サーバ4に送信する。また、通信部74は、管理サーバ4からバッテリパック2ごとの充電の実施可否や目標とする充電量に関する制御情報を受信する。これにより、バッテリパック2ごとに充電のタイミングや充電量を制御することができる。また、通信部74は、管理サーバ4からバッテリパック2の貸し出しの可否情報を受信し、プロセッサ76により、貸し出すバッテリパック2を選定する貸し出し処理を実施してもよい。さらに、通信部74は、ユーザ認証を目的として取得した認証情報(顔画像やRFIDのユーザIDなど)を管理サーバ4または認証サーバ(図示せず)に送信し、管理サーバ4または認証サーバより認証結果を受信して、プロセッサ76により、貸し出し可否の判定を行うようにしてもよい。
【0073】
メモリ75は、プロセッサ76で実行されるプログラムを記憶する。
【0074】
プロセッサ76は、バッテリ充電モジュール23におけるバッテリパック2の充電などに関する制御を行う。具体的には、入出力部73を介してバッテリパック2から取得した情報に基づいて充電制御回路71を制御する。また、バッテリパック2から取得した充電情報に基づいて表示部35を制御し、バッテリパック2の充電状態に応じた色を表示部35に表示させる。また、バッテリ充電モジュール23のトレイ31からのバッテリパック2の取り出しを阻止するロックピン42を進退動作させる駆動部43を制御する。
【0075】
なお、電動車両1の走行軌跡に関する情報、例えば、GPSなどの測位システムを利用して取得した電動車両1の各時刻の位置情報を、バッテリパック2内のメモリ55に蓄積して、その情報をバッテリパック2からバッテリ交換機3を介して管理サーバ4に送信するようにしてもよい。また、電動車両1にドライブレコーダとしてのカメラが搭載されている場合に、ドライブレコーダ用に確保された容量の範囲内で、走行中の映像をバッテリパック2内のメモリ55に蓄積して、その映像をバッテリパック2からバッテリ交換機3を介して管理サーバ4に送信するようにしてもよい。
【0076】
次に、第1実施形態に係るバッテリ充電モジュール23におけるバッテリパック2のガイド構造について説明する。図7は、バッテリ充電モジュール23におけるバッテリパック2のガイド構造を示す説明図である。
【0077】
バッテリ充電モジュール23におけるトレイ31の底面支持部32には、給電端子61と通信端子62とが設けられている。一方、バッテリパック2の底面に給電端子52と通信端子53とが設けられている。バッテリパック2をトレイ31に装着すると、トレイ31側の給電端子61および通信端子62とバッテリパック2側の給電端子52および通信端子53とが接合される。
【0078】
また、トレイ31の底面支持部32および側面支持部33にはそれぞれガイド部81,82が設けられている。このガイド部81,82により、トレイ31側の給電端子61および通信端子62とバッテリパック2側の給電端子52および通信端子53とが整合する正規の装着位置にバッテリパック2が案内される。
【0079】
(第1実施形態の第1変形例)
次に、第1実施形態の第1変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図8は、第1実施形態の第1変形例に係るバッテリ交換機3のロック機構101を示す説明図である。
【0080】
第1実施形態(図5参照)では、バッテリ充電モジュール23からのバッテリパック2の取り出しを阻止するロック機構41を構成するロックピン42(ロック部材)およびその駆動部43が支持ポスト25に設けられているが、本変形例では、ロック機構101を構成するフック102(ロック部材)およびその駆動部103がバッテリ充電モジュール23に設けられている。
【0081】
図8(A)に示すように、ロック状態では、トレイ31に設けられたフック102が、バッテリパック2に設けられたストッパ104に係合することで、トレイ31からのバッテリパック2の取り外しが阻止される。一方、図8(B)に示すように、ロック解除状態では、フック102がストッパ104に係合していないため、トレイ31からバッテリパック2を取り外すことができる。
【0082】
なお、図8に示す例では、フック102(ロック部材)がストッパ104に係合することで、バッテリパック2の取り出しが阻止されるようにしたが、ロック機構はこのような構成のものに限定されない。
【0083】
なお、本変形例では、第1実施形態に係る構成を前提として、ロック機構を構成するロック部材およびその駆動部をバッテリ充電モジュールに設けたが、後述する他の実施形態に係る構成を前提として、ロック機構を構成するロック部材およびその駆動部をバッテリ充電モジュールに設けることも可能である。
【0084】
(第1実施形態の第2変形例)
次に、第1実施形態の第2変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図9は、第1実施形態の第2変形例に係るバッテリ交換機3のロック機構111を示す説明図である。
【0085】
第1変形例(図8参照)では、バッテリ充電モジュール23のトレイ31からのバッテリパック2の取り出しを阻止するロック機構101を構成するフック102(ロック部材)およびその駆動部103がバッテリ充電モジュール23に設けられているが、本変形例では、ロック機構111を構成するフック112(ロック部材)およびその駆動部113がバッテリパック2に設けられている。
【0086】
図9(A)に示すように、ロック状態では、バッテリパック2に設けられたフック112が、トレイ31に設けられたストッパ114に係合することで、トレイ31からのバッテリパック2の取り外しが阻止される。一方、図9(B)に示すように、ロック解除状態では、フック112がストッパ114に係合していないため、トレイ31からバッテリパック2を取り外すことができる。
【0087】
なお、図9に示す例では、フック112(ロック部材)がストッパ114に係合することで、バッテリパック2の取り出しが阻止されるようにしたが、ロック機構はこのような構成のものに限定されない。
【0088】
また、本変形例では、バッテリパック2に設けたロック部材(フック112)が、バッテリ充電モジュール23のトレイ31に係合することで、バッテリパック2を拘束するようにしたが、バッテリパック2に設けたロック部材が、支持ポスト25(支持体)に係合することで、バッテリパック2を拘束するようにしてもよい。例えば、バッテリパック2の側面にロックピン(ロック部材)を出没可能に設けて、そのロックピンが、支持ポスト25に設けた孔に嵌合することで、バッテリパック2が拘束されるようにしてもよい。
【0089】
なお、本変形例では、第1実施形態に係る構成を前提として、ロック機構を構成するロック部材およびその駆動部をバッテリパックに設けたが、後述する他の実施形態に係る構成を前提として、ロック機構を構成するロック部材およびその駆動部をバッテリパックに設けることも可能である。
【0090】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図10は、第2実施形態に係るバッテリ交換機201の正面図である。図11は、バッテリ交換機201の平面図である。
【0091】
図10に示すように、バッテリ交換機201において、複数のバッテリ充電モジュール202が支持ポスト203(支持体)に支持された状態で設けられている。また、複数のバッテリ充電モジュール202は、支持ポスト203の周囲に所定間隔をおいて設けられている。図10に示す例では、4基のバッテリ充電モジュール202が、90度の角度をおいて配置されている。
【0092】
バッテリパック2は、第1実施形態と同様に、取っ手12側を斜め上方に向けた傾斜状態でバッテリ充電モジュール202のトレイ205に装着される。
【0093】
また、バッテリ充電モジュール202は、上下に複数段配置されている。図10に示す例では、バッテリ充電モジュール202が上下に2段配置されている。
【0094】
このバッテリ交換機201では、ユーザは、空き状態のトレイ205や充電完了状態のバッテリを探す際に、バッテリ交換機201の周囲を周回する。
【0095】
図11に示すように、上段のバッテリ充電モジュール202と下段のバッテリ充電モジュール202とは、取付位置をずらして配置されている。図11に示す例では、上段のバッテリ充電モジュール23と下段のバッテリ充電モジュール202とが、取付位置を45度ずらして配置されている。
【0096】
また、トレイ205の側面側を支持ポスト203に固定した状態で支持ポスト203に取り付けられている。これにより、径方向の突出寸法を短く抑えて省スペース化を図ることができる。
【0097】
また、バッテリ充電モジュール202は、支持ポスト203に対してボルト(図示せず)で着脱可能に固定されている。これにより、バッテリ交換機201の実際の利用頻度に応じて、支持ポスト203に取り付けるバッテリ充電モジュール202の数を調整することができる。
【0098】
なお、図10に示すように、このバッテリ交換機201は、全体として樹木を連想させる形態に形成されている。すなわち、支持ポスト203の上端部の放射状に広がった部分が樹木の枝を連想させ、複数のバッテリ充電モジュール202が樹木の果実を連想させる。また、支持ポスト203の上端部の放射状に広がった部分にランプを設けることで、街灯としての機能を付与することができる。また、支持ポスト203の上端部の放射状に広がった部分に雨や日差しを遮る庇を設けるようにしてもよい。
【0099】
次に、第2実施形態に係るバッテリ交換機201のロック機構221について説明する。図12は、バッテリ交換機201のロック機構221を示す説明図である。
【0100】
本実施形態では、バッテリ充電モジュール202には、トレイ205からのバッテリパック2の取り出しを阻止するロック機構221を構成するアーム222およびその駆動部223が設けられている。アーム222の基端側は、回動可能にトレイ205に固定されている。アーム222の先端側には、ロックピン225(ロック部材)が設けられている。駆動部223は、電動モータなどのアクチュエータを備えている。
【0101】
図12(A)に示すように、ロック状態では、ロックピン225が、バッテリパック2における筐体11の取っ手12側に位置することで、トレイ205からのバッテリパック2の取り外しが阻止される。一方、図12(B)に示すように、アーム222を回動させると、ロック解除状態に遷移する。このロック解除状態では、ロックピン225が、バッテリパック2における筐体11の取っ手12側に位置しないため、バッテリパック2をトレイ205から取り外すことができる。
【0102】
なお、バッテリ充電モジュール202のトレイ205は、第1実施形態と同様に、バッテリパック2の筐体11の底面を支持する底面支持部212と、バッテリパック2の1つの側面を支持する側面支持部213と、を備え、側面視でL字形状をなしている。また、トレイ505の前面部には、バッテリパック2の充電状態を表示する表示部231が設けられている。
【0103】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図13は、第3実施形態に係るバッテリ交換機301の正面図である。図14は、バッテリ交換機301の側面図である。
【0104】
図13に示すように、本実施形態では、第2実施形態と同様に、バッテリ交換機301において、複数のバッテリ充電モジュール302が支持ポスト303(支持体)に支持された状態で支持ポスト303の周囲に設けられているが、第3実施形態とは異なり、支持ポスト303の中心軸(鉛直方向の軸)周りに回転可能な支持フレーム305を介して、複数のバッテリ充電モジュール302が支持ポスト303に支持されている。
【0105】
また、バッテリ充電モジュール302は、バッテリパック2を保持するトレイ306を有している。このトレイ306にバッテリパック2が直立状態で保持される。具体的には、トレイ306に凹部307が設けられており、この凹部307にバッテリパック2の底部が嵌め込まれる。ユーザは、トレイ306の上方からバッテリパック2をトレイ306の凹部307に嵌め込むことで、バッテリパック2がトレイ306に装着される。
【0106】
図14に示すように、支持フレーム305は、中心筒状部311と、トレイ支持部312と、ハンドル部313と、を有している。トレイ支持部312およびハンドル部313は、中心筒状部311の外周面から径方向に放射状に突出している。中心筒状部311は、支持ポスト303の中心軸(鉛直方向の軸)周りに回転可能に支持ポスト303に固定されている。トレイ306は、トレイ支持部312およびハンドル部313に固定されている。ユーザは、ハンドル部313を押すことで、容易に支持フレーム305およびそれに支持されたバッテリ充電モジュール302を回転させることができる。
【0107】
このように本実施形態では、バッテリ充電モジュール302が支持ポスト303の周囲を回転するため、空き状態のバッテリ充電モジュール302や充電完了状態のバッテリパック2を探す際に、ユーザがバッテリ交換機301の周囲を周回する必要がない。
【0108】
ハンドル部313には、ロック機構321を構成するロックピン322(ロック部材)と、そのロックピン322を進退動作させる駆動部323と、が設けられている。ロックピン322は、バッテリパック2における筐体11の取っ手12側に突出することで、バッテリパック2の取り出しを阻止する。
【0109】
図13に示すように、ハンドル部313の前面には、バッテリパック2の充電状態を表示する表示部331が設けられている。
【0110】
また、バッテリ充電モジュール302のトレイ306は、支持フレーム305に対してボルト(図示せず)で着脱可能に固定されている。これにより、バッテリ交換機301の実際の利用頻度に応じて、支持フレーム305に取り付けるバッテリ充電モジュール302の数を調整することができる。
【0111】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図15は、第4実施形態に係るバッテリ交換機401の正面図である。図16は、バッテリ交換機401の側面図である。
【0112】
図15に示すように、本実施形態では、バッテリ交換機401において、バッテリ充電モジュール402が支持パネル403(支持体)に支持された状態で設けられている。バッテリ充電モジュール402は、支持パネル403の前面に沿って左右方向および上下方向に複数並べて設けられている。
【0113】
支持パネル403と、この支持パネル403に支持された複数のバッテリ充電モジュール402とにより、バッテリ充電ユニット411が構成される。このバッテリ充電ユニット411が1基または複数並べてバッテリ交換機401が構成される。1台のバッテリ充電ユニット411では、支持パネル403にディスプレイ412が設けられている。
【0114】
図16に示すように、バッテリ充電モジュール402は、バッテリパック2が装着されるトレイ405と、このトレイ405を支持するブラケット406と、を備えている。トレイ405には、第3実施形態(図13参照)と同様に、バッテリパック2が直立状態で装着される。これにより、バッテリ交換機401の奥行を短縮することができる。
【0115】
バッテリ充電モジュール402は、支持パネル403の前面側に固定される。トレイ405およびブラケット406の両方を支持パネル403に固定すればよいが、ブラケット406のみを支持パネル403に固定するようにしてもよい。
【0116】
また、バッテリ充電モジュール402のトレイ405およびブラケット406は、支持パネル403に対してボルト(図示せず)で着脱可能に固定されている。これにより、バッテリ交換機401の実際の利用頻度に応じて、支持パネル403に取り付けるバッテリ充電モジュール402の数を容易に調整することができる。なお、ブラケット406は支持パネル403に固定したままで、トレイ405のみを着脱できるようにしてもよい。
【0117】
図15に示すように、ブラケット406には、ロック機構421を構成するロックピン422(ロック部材)と、そのロックピン422を進退動作させる駆動部423と、が設けられている。ロックピン422は、バッテリパック2における筐体11の取っ手12側に突出することで、バッテリパック2の取り出しを阻止する。
【0118】
トレイ405の前面部には、バッテリパック2の充電状態を表示する表示部431が設けられている。
【0119】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図17は、第5実施形態に係るバッテリ交換機501の正面図である。図18は、バッテリ交換機501の側面図である。
【0120】
図17図18に示すように、本実施形態では、バッテリ交換機501において、バッテリ充電モジュール502が支持ポスト503(支持体)に支持された状態で設けられている。バッテリ充電モジュール502は、支持ポスト503の左右両側に配置されている。また、バッテリ充電モジュール502は、支持ポスト503に沿って上下に複数段設けられている。
【0121】
バッテリ充電モジュール502は、第4実施形態と同様に、バッテリパック2が装着されるトレイ505と、このトレイ505を支持するブラケット506と、を備えている。トレイ505には、バッテリパック2が直立状態で装着される。ブラケット506は支持ポスト25に固定されている。
【0122】
また、バッテリ充電モジュール502は、支持ポスト503に対してボルト(図示せず)で着脱可能に固定されている。これにより、バッテリ交換機501の実際の利用頻度に応じて、支持ポスト503に取り付けるバッテリ充電モジュール502の数を容易に調整することができる。なお、ブラケット506は支持ポスト503に固定したままで、トレイ505のみを着脱できるようにしてもよい。
【0123】
図17に示すように、ブラケット506には、トレイ205からのバッテリパック2の取り出しを阻止するロック機構521を構成するロックピン522(ロック部材)と、そのロックピン522を進退動作させる駆動部523と、が設けられている。ロックピン522は、バッテリパック2における筐体11の取っ手12側に突出することで、バッテリパック2の取り出しを阻止する。
【0124】
トレイ505の前面部には、バッテリパック2の充電状態を表示する表示部531が設けられている。
【0125】
支持ポスト503の前面側には、広告などのコンテンツを表示するデジタルサイネージとして機能する縦長のディスプレイ541が設けられている。
【0126】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図19は、第6実施形態に係るバッテリ交換機601の正面図である。図20は、バッテリ交換機601の側面図である。
【0127】
図19に示すように、本実施形態では、第5実施形態(図17参照)と同様に、バッテリ交換機601において、バッテリ充電モジュール602が支持ポスト603の左右両側に支持された状態で設けられている。一方、支持ポスト603の背面側に設けられた支持パネル604に支持ポスト603の上端が連結され、支持ポスト603が支持パネル604に支持された状態で設けられている。バッテリ充電モジュール602は、第4実施形態と同様に、トレイ607とブラケット608とを備えている。
【0128】
また、バッテリ充電モジュール602と支持ポスト603と支持パネル604とで構成されるバッテリ充電ユニット611に隣接して、ディスプレイユニット612が設けられている。このディスプレイユニット612には、ディスプレイ613が支持パネル614に設けられている。ディスプレイ613には、顔認識などに関する画面が表示され、ユーザが画面操作を行うことができる。ディスプレイ613の左右両側にはプライバシーパネル615が設けられている。
【0129】
また、なお、5実施形態(図17参照)と同様に、ブラケット608に、トレイ607からのバッテリパック2の取り出しを阻止するロック機構621が設けられている。また、トレイ505の前面部に、バッテリパック2の充電状態を表示する表示部631が設けられている。
【0130】
また、バッテリ充電モジュール602は、支持ポスト603に対してボルト(図示せず)で着脱可能に固定されている。これにより、バッテリ交換機601の実際の利用頻度に応じて、支持ポスト25に取り付けるバッテリ充電モジュール23の数を容易に調整することができる。なお、ブラケット608は支持ポスト503に固定したままで、トレイ607のみを着脱できるようにしてもよい。
【0131】
図20に示すように、支持パネル604,614は、上端側が前面側に傾斜するように湾曲した形態に形成されており、支持パネル604,614の上端側が、雨や日差しを遮る庇として機能する。
【0132】
(第7実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図21は、第7実施形態に係るバッテリパック701およびバッテリ充電モジュール702を示す説明図である。
【0133】
第1実施形態(図7参照)では、バッテリ充電モジュール23に設けられた給電端子52と、バッテリパック2に設けられた給電端子61とを接合して、バッテリ充電モジュール23からバッテリパック2に充電用電力を供給するようにしたが、本実施形態では、電磁誘導を利用したワイヤレス給電(非接触給電)によりバッテリ充電モジュール702からバッテリパック701に充電用電力を供給する。
【0134】
バッテリ充電モジュール702のトレイ704には、送電コイル705が設けられている。一方、バッテリパック701には、電池セル51や給電端子52の他に、受電コイル707が設けられている。
【0135】
なお、バッテリ充電モジュール702のトレイ704は、第1実施形態と同様に、バッテリパック701の筐体の底面を支持する底面支持部712と、バッテリパック2の1つの側面を支持する側面支持部713と、を備え、側面視でL字形状をなしている。また、トレイ704の前面部には、バッテリパック2の充電状態を表示する表示部731が設けられている。
【0136】
また、図21に示す例は、第1実施形態に係るバッテリパック2およびバッテリ充電モジュール23にワイヤレス給電を適用した構成となっているが、他の実施形態に係るバッテリパックおよびバッテリ充電モジュールにワイヤレス給電を適用することも可能である。
【0137】
次に、第7実施形態に係るバッテリパック701およびバッテリ充電モジュール702の概略構成について説明する。図22は、バッテリパック701およびバッテリ充電モジュール702の概略構成を示すブロック図である。なお、コントローラ22の構成は、第1実施形態(図6参照)と同様である。
【0138】
バッテリパック701は、受電コイル707の他に、受電回路741と、ワイヤレス通信部742と、を備えている。受電コイル707および受電回路741によりワイヤレス給電部743が構成される。
【0139】
受電回路741は、送電コイル705との間での電磁誘導により受電コイル707に誘起された交流電流を所定の電圧の電力(直流電力)に変換して、その電力を充放電回路54に出力する。その他は第1実施形態(図6参照)と同様である。
【0140】
ワイヤレス通信部742は、バッテリ充電モジュール702との間でワイヤレス通信(近距離通信)を行う。具体的には、メモリ55に記憶されたバッテリ管理情報(バッテリパック2のIDなど)をバッテリ充電モジュール702に送信する。なお、ワイヤレス(近距離通信)は、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外通信,RFID(Radio Frequency Identifier)などである。
【0141】
なお、バッテリ充電モジュール23との間ではワイヤレスで給電および通信が行われるため、給電端子52および通信端子53は利用されないが、電動車両1との間では給電端子52および通信端子53を利用して有線で給電および通信が行われるため、給電端子52および通信端子53を備えている。
【0142】
バッテリ充電モジュール702は、送電コイル705の他に、送電回路751と、ワイヤレス通信部752と、を備えている。送電コイル705および送電回路751によりワイヤレス給電部753が構成される。
【0143】
送電回路751は、コントローラ22から供給される電力(直流電力)を所定の周波数の交流電圧に変換して送電コイル705に供給する。
【0144】
ワイヤレス通信部752は、バッテリパック701との間でワイヤレス通信(近距離通信)を行う。具体的には、バッテリパック701から送信されるバッテリ管理情報(バッテリパック2のIDなど)を受信する。なお、ワイヤレス(近距離通信)は、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外通信,RFIDなどである。
【0145】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本開示に係るバッテリ充電モジュール、バッテリ交換装置、およびバッテリ装置は、サービスの運用を開始した後でも、バッテリ交換装置の規模を調整する必要が生じた場合には、安価かつ簡単に対応することができる効果を有し、バッテリ装置を保持し、支持体に複数取り付けられてバッテリ交換装置を構成するバッテリ充電モジュール、バッテリ交換装置、およびバッテリ装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0147】
1 電動車両
2 バッテリパック(バッテリ装置)
3 バッテリ交換機(バッテリ交換装置)
11 筐体
12 取っ手
23 バッテリ充電モジュール
25 支持ポスト(支持体)
31 トレイ
35 表示部
37 ボルト
38 取付孔
41 ロック機構
42 ロックピン
43 駆動部
52 給電端子
53 通信端子
61 給電端子
62 通信端子
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