(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】重量物の位置調整装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
E01D 21/00 20060101AFI20240927BHJP
E04G 21/18 20060101ALI20240927BHJP
B66F 3/24 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E01D21/00 Z
E01D21/00 B
E04G21/18 C
B66F3/24 C
(21)【出願番号】P 2023008817
(22)【出願日】2023-01-24
【審査請求日】2024-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】508036743
【氏名又は名称】株式会社横河ブリッジ
(73)【特許権者】
【識別番号】592182573
【氏名又は名称】オックスジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】山浦 明洋
(72)【発明者】
【氏名】水越 秀和
(72)【発明者】
【氏名】亀川 博文
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 豊
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰二
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-087441(JP,A)
【文献】特開2000-351434(JP,A)
【文献】特開昭49-008985(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105507161(CN,A)
【文献】中国実用新案第215210599(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 21/00 - 21/10
E04G 21/14 - 21/18
B66F 3/24 - 3/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向に位置調整可能なX軸方向調整装置と、
このX軸方向調整装置の上に載せられ、Y軸方向に位置調整可能なY軸方向調整装置と、
前記X軸方向調整装置とY軸方向調整装置との間に設けられ、前記Y軸方向調整装置のY軸方向の中心角度を変えるための回転装置と、
前記Y軸方向調整装置の上に設けられ、Z軸方向に位置調整するZ軸方向調整装置と
からなることを特徴とする重量物の位置調整装置。
【請求項2】
前記X軸方向調整装置は、第1基板と、この第1基板の上に摺動自在に設けられた第1移動板と、一端を前記第1基板に固着し、他端を前記第1移動板に固着してなるX軸方向ジャッキとからなり、このX軸方向ジャッキにより前記第1移動板をX軸方向に移動自在に設け、
前記Y軸方向調整装置は、第2基板と、この第2基板の上に摺動自在に設けられた第2移動板と、一端を前記第2基板に固着し、他端を前記第2移動板に固着してなるY軸方向ジャッキとからなり、このY軸方向ジャッキにより前記第2移動板をY軸方向に移動自在に設け、
前記回転装置は、前記第1移動板の上面と前記第2基板の下面のいずれか一方に取り付けられた回転治具と、前記第2基板の下面と前記第1移動板の上面のいずれか一方に取り付けられ、前記回転治具に嵌合して回転する円盤とからなり、
前記Z軸方向調整装置は、前記第2移動板の上に取り付けられた鉛直ジャッキ受け板と、この鉛直ジャッキ受け板の上に載せられZ軸方向に進退する鉛直ジャッキとからなることを特徴とする請求項1記載の重量物の位置調整装置。
【請求項3】
前記X軸方向ジャッキは、前記第1基板と第1移動板の一方側縁部に臨ませて設けられ、前記X軸方向ジャッキのシリンダを前記第1基板に固着し、前記X軸方向ジャッキのロッドを前記第1移動板に固着し、
前記Y軸方向ジャッキは、前記第2基板と第2移動板の一方側縁部に臨ませて設けられ、前記Y軸方向ジャッキのシリンダを前記第2基板に固着し、前記Y軸方向ジャッキのロッドを前記第2移動板に固着したことを特徴とする請求項2記載の重量物の位置調整装置。
【請求項4】
前記X軸方向ジャッキは、前記第1基板と第1移動板の両側縁部に臨ませてそれぞれ設けられ、前記それぞれのX軸方向ジャッキのシリンダを前記第1基板の両側に固着し、前記X軸方向ジャッキのロッドを前記第1移動板の両側に固着し、
前記Y軸方向ジャッキは、前記第2基板と第2移動板の両側縁部に臨ませてそれぞれ設けられ、前記それぞれのY軸方向ジャッキのシリンダを前記第2基板の両側に固着し、前記Y軸方向ジャッキのロッドを前記第2移動板の両側に固着したことを特徴とする請求項2記載の重量物の位置調整装置。
【請求項5】
前記回転装置の円盤は、前記Y軸方向調整装置のY軸を所定の中心角に可変するようにしたことを特徴とする請求項2記載の重量物の位置調整装置。
【請求項6】
前記第1基板の上面に、ガイドレールと摺動板を取り付け、前記第1移動板の下面に、前記摺動板に接して移動するスライド板を設け、
前記第2基板の上面に、ガイドレールと滑動板を取り付け、前記第2移動板の下面に、前記滑動板に接して移動するスライド板を設けたことを特徴とする請求項2記載の重量物の位置調整装置。
【請求項7】
前記X軸方向調整装置と前記Y軸方向調整装置と前記回転装置と前記Z軸方向調整装置に、相互にボルトで分割可能に連結したことを特徴する請求項1又は2記載の重量物の位置調整装置。
【請求項8】
前記円盤は、歯付き円盤からなり、この歯付き円盤を前記回転治具に回転自在に嵌合し、前記歯付き円盤をモーターのモーター歯車に咬み合わせ、前記モーターにより前記歯付き円盤の角度を調整するようにしたことを特徴する請求項2記載の重量物の位置調整装置。
【請求項9】
X軸方向に位置調整可能なX軸方向調整装置と、このX軸方向調整装置の上に載せられ、Y軸方向に位置調整可能なY軸方向調整装置と、前記X軸方向調整装置とY軸方向調整装置との間に設けられ、前記Y軸方向調整装置のY軸方向の中心角度を変えるための回転装置と、前記Y軸方向調整装置の上に設けられ、載せられた重量物をZ軸方向に位置調整するZ軸方向調整装置とからなる位置調整装置を複数台用いて行われる位置調整方法であって、
前記重量物の下面の複数支点に前記位置調整装置を設置する第1の工程と、
前記複数支点のうちの1支点の前記位置調整装置を前記重量物の回転のみ行う基準支点に設定する第2の工程と、
前記基準支点の前記位置調整装置を中心として残りの支点の前記位置調整装置を前記重量物と一体に回転しつつX-Y方向に位置調整をして前記重量物の位置を調整する第3の工程と
からなることを特徴とする重量物の位置調整方法。
【請求項10】
前記第3の工程の後に、前記基準支点の前記位置調整装置を含む全ての前記位置調整装置により一体に前記重量物のX-Y-Z方向に位置調整をする第4の工程を含むことを特徴とする請求項9記載の重量物の位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁等の重量物の位置調整装置及びその方法に関するもので、装置の小型化、位置調整作業の効率向上を図ったものである。さらに詳しくは、同時に複数台の位置調整装置を使用して大型で重量のある橋桁等の位置を調整するのに適した位置調整装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
橋桁、橋梁などの大型で複雑な鉄骨構造物は、工場や現場ヤードで仮組し、所定の位置でセット、結合することで工期の短縮を図ることができる。この地組立は、橋桁の場合、いくつかのブロックに分け、2~5ブロックを地組架台に仮置きし、相互のブロックをボルトで接続して地組立する。接続するボルトの位置合わせのためには、橋桁の高さ(Z)、橋軸(X)、橋軸と直角(Y)の3方向の調整が必要になり、重量物の形状や重量に対応した位置調整ジャッキが使用されてきた。また、既設橋桁や架設された新たな橋桁を全体的に調整する桁位置調整にも同様の方法が実施されてきた。大型で重量のある橋桁10を支える1ブロックの支点は、主に4支点であるため、調整装置も4セット使用し、4台同時動作が基本になるが、X、Y、Zの3方向の調整は1方向ずつ直線的な移動を基本としていた。
【0003】
以上のような橋桁などの重量物の地組立作業や橋脚上での桁位置調整のための装置には、
図10に示すような位置調整装置13が知られている(特許文献1)。
この位置調整装置13は、
図10において、ベースプレート14aの両側にサイドプレート14bを組み込んでジャッキ受け架台14を構成し、前記ベースプレート14aの上に、底部に滑動プレート16を取り付けた環状架台15を摺動自在に載せ、この環状架台15にシリンダ17aとロッド17bからなる鉛直ジャッキ17を嵌合し、また、前記サイドプレート14bに固定したジャッキブラケット18にシリンダ19aとロッド19bからなる水平ジャッキ19を取り付けて構成したものである。
【0004】
この位置調整装置13を用いて橋脚11の沓座12に橋桁10を載せ置くために位置調整するには、
図9に示すように、沓座12の近くに位置調整装置13を設置する。この位置調整装置13は、橋桁10を支える1ブロックの支点が主に4支点であるため、4セット使用される。4セットごとに鉛直ジャッキ17と橋桁10の底部との間に中受けプレート21を介在してシリンダ17aとロッド17bで橋桁10を持ち上げ、水平ジャッキ19のロッド19bを環状架台15に当接してこの水平ジャッキ19で橋桁10を沓座12の方向に環状架台15の下の滑動プレート16で滑動しながら移送する。各セットは、移動距離も移動方向も異なるので、X、Y、Zの3方向の調整は1方向ずつ直線的な移動を基本としている。
X、Y、Zの3方向の調整を1方向ずつ直線的に移動して、橋桁10の各セットのソールプレート20が沓座12の位置に達したら鉛直ジャッキ17のロッド17bを下降して沓座12の上にソールプレート20が位置するようにして橋桁10を載せ置くものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の位置調整装置には、次のような問題点があった。
(1)前述のように、大型で重量のある橋桁10を支える1ブロックの支点は、複数支点であるため、調整装置も複数セット(4台)使用し、4台同時動作が基本になり、X、Y、Zの3方向の調整は、1方向ずつ直線的な移動を基本としていた。
具体的には、
図9に示すような4台の位置調整装置13を、左右の橋脚11の上に2台ずつ橋桁10の両端の底部角隅に相当する位置に設置する。これらの4台の位置調整装置13の上の仮位置に長尺の橋桁10を載せ置く。このとき、やや斜めに載せ置かれた橋桁10の位置調整をするのものとする。まず先に、X軸に対して平行に位置調整をするためには、ずれ位置の大きい側の橋脚11上の水平ジャッキ19をY軸方向に向けてジャッキ受け架台14に取り付ける。ずれ位置の小さい側の橋脚11上の水平ジャッキ19は、油圧をフリー状態とする。この状態でずれ位置の大きい側の橋脚11上の水平ジャッキ19一方向に位置調整して長尺の橋桁10をX軸に対して平行にする。橋桁10がX軸に対して平行になってもまだ、他の方向の位置調整が必要な時は、その都度、ジャッキ受け架台14の水平ジャッキ19の向きを付け替えて同様の調整をする。このように、前記水平ジャッキ19による移送は、1方向ジャッキであり、方向を変える時には、水平ジャッキ19の向きを変えてベースプレート14aの他方側に付け替えなければならない。この付け替え作業が面倒であるばかりか、水平ジャッキ19がジャッキ受け架台14からはみ出した構造であるため、鉛直ジャッキ17で橋桁10の荷重を受けたままで、水平ジャッキ19の向きを変えようとすると、沓座12などの周りの部材や設備に干渉して取り付けができないなどの問題点を有していた。
(2)位置調整装置には、前述のような一方向の調整装置ではなく、X、Y、Zの3方向の調整可能な装置も存在するが、既存の3方向調整装置では、全体の外寸が大きく、橋脚上などの狭い箇所には使用ができないだけでなく、1個の橋桁を複数台の位置調整装置を用いて行う位置調整では、それぞれの移動方向が異なり、かつ、移動量も異なるのでX軸方向とY軸方向を同時に操作して斜め方向に移動するように位置調整することができず、X軸方向とY軸方向は、個別に一方向ずつ操作しなければならないので、極めて作業性が悪いという問題点を有していた。
(3)地組立は、多くのブロックを組み立てるため、繰り返し作業が多くなり、調整ジャッキの転用が必要で、クレーンなどで設置場所の移動を行っている。そのため、設置場所の移動が簡便で、後片付け等に時間がかからないものが望まれていた。
【0007】
本発明は、装置の受け替えをすることなく、ジャッキアップした状態で橋軸、高さ、平面の3方向の調整ができ、また、装置全体を小型化するとともに、3方向の調整装置を1方向ずつ分割しておき、組み立て可能とすることで橋脚などの狭い場所での作業性を良くしたものを提供することを目的とするものである。
前述の橋軸、高さ、平面の3方向の調整とは、橋軸(X軸)方向の調整、高さ(Z軸)方向の調整に加えて、X軸とY軸の交点に回動装置を介在してY軸方向の中心角度を変更可能とし、Y軸をX軸に直角以外(X軸に平行を含む)に設定した平面方向の調整をいうものとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の重量物の位置調整装置は、
X軸方向に位置調整可能なX軸方向調整装置22と、
このX軸方向調整装置22の上に載せられ、Y軸方向に位置調整可能なY軸方向調整装置23と、
前記X軸方向調整装置22とY軸方向調整装置23との間に設けられ、前記Y軸方向調整装置23のY軸方向の中心角度を変えるための回転装置24と、
前記Y軸方向調整装置23の上に設けられ、Z軸方向に位置調整するZ軸方向調整装置25と
からなり、装置ごとに分解して、クレーンなどの重機を使わず、人力で容易に搬入・組立できる構成となっている。
【0009】
より具体的には、前記X軸方向調整装置22は、第1基板26と、この第1基板26の上に摺動自在に設けられた第1移動板27と、一端を前記第1基板26に固着し、他端を前記第1移動板27に固着してなるX軸方向ジャッキ28とからなり、このX軸方向ジャッキ28により前記第1移動板27をX軸方向に移動自在に設ける。
前記Y軸方向調整装置23は、第2基板34と、この第2基板34の上に摺動自在に設けられた第2移動板35と、一端を前記第2基板34に固着し、他端を前記第2移動板35に固着してなるY軸方向ジャッキ36とからなり、このY軸方向ジャッキ36により前記第2移動板35をY軸方向に移動自在に設ける。
前記回転装置24は、前記第1移動板27の上面に取り付けられた回転治具43と、前記第2基板34の下面に取り付けられ、前記回転治具43に嵌合して回転する円盤42とからなる。
前記Z軸方向調整装置25は、前記第2移動板35の上に取り付けられた鉛直ジャッキ受け板50と、この鉛直ジャッキ受け板50の上に載せられZ軸方向に進退する鉛直ジャッキ49とからなる。
前記回転装置24は、前記円盤42を前記第1移動板27の上面に取り付け、
前記回転治具43を前記第2基板34の下面に取り付けてもよい。
【0010】
前記X軸方向ジャッキ28は、前記第1基板26と第1移動板27の一方側縁部に臨ませて設けられ、前記X軸方向ジャッキ28のシリンダ28aを前記第1基板26に固着し、前記X軸方向ジャッキ28のロッド28bを前記第1移動板27に固着し、
前記Y軸方向ジャッキ36は、前記第2基板34と第2移動板35の一方側縁部に臨ませて設けられ、前記Y軸方向ジャッキ36のシリンダ36aを前記第2基板34に固着し、前記Y軸方向ジャッキ36のロッド36bを前記第2移動板35に固着しており、従来の位置調整装置13のように水平ジャッキ19が突出しない形状となるため、小型化が図られる。
【0011】
前記X軸方向ジャッキ28は、前記第1基板26と第1移動板27の両側縁部に臨ませてそれぞれ設けてもよく、前記それぞれのX軸方向ジャッキ28のシリンダ28aを前記第1基板26の両側に固着し、前記X軸方向ジャッキ28のロッド28bを前記第1移動板27の両側に固着する。
前記Y軸方向ジャッキ36は、前記第2基板34と第2移動板35の両側縁部に臨ませてそれぞれ設けてもよく、前記それぞれのY軸方向ジャッキ36のシリンダ36aを前記第2基板34の両側に固着し、前記Y軸方向ジャッキ36のロッド36bを前記第2移動板35の両側に固着する。
【0012】
前記回転装置24の円盤42は、前記Y軸方向調整装置23のY軸を所定の中心角に可変するようにしたことを特徴とする。
【0013】
前記第1基板26の上面に、ガイドレール31と摺動板33を取り付け、前記第1移動板27の下面に、前記摺動板33に接して移動するスライド板32を設け、
前記第2基板34の上面に、ガイドレール39と滑動板41を取り付け、前記第2移動板35の下面に、前記滑動板41に接して移動するスライド板40を設けたことを特徴とする。
【0014】
前記X軸方向調整装置22とY軸方向調整装置23と回転装置24とZ軸方向調整装置25に、相互にボルトで分割可能に連結したことを特徴する。
【0015】
前記円盤42は、モーター57で駆動するため、歯付き円盤42aとし、この歯付き円盤42aを前記回転治具43に回転自在に嵌合し、前記歯付き円盤42aをモーター57のモーター歯車59に咬み合わせ、前記モーター57により前記歯付き円盤42aの角度を調整するようにしたことを特徴する。
【0016】
X軸方向に位置調整可能なX軸方向調整装置22と、このX軸方向調整装置22の上に載せられ、Y軸方向に位置調整可能なY軸方向調整装置23と、前記X軸方向調整装置22とY軸方向調整装置23との間に設けられ、前記Y軸方向調整装置23のY軸方向の中心角度を変えるための回転装置24と、前記Y軸方向調整装置23の上に設けられ、載せられた重量物10をZ軸方向に位置調整するZ軸方向調整装置25とからなる位置調整装置を複数台用いて行われる位置調整方法であって、
前記重量物10の下面の複数支点に前記位置調整装置を設置する第1の工程と、
前記複数支点のうちの1支点の前記位置調整装置を前記重量物の回転のみ行う基準支点に設定する第2の工程と、
前記基準支点の前記位置調整装置を中心として残りの支点の前記位置調整装置を前記重量物と一体に回転しつつX-Y方向に位置調整をして前記重量物の位置を調整する第3の工程と
からなることを特徴とする。
【0017】
前記第3の工程の後に、前記基準支点の前記位置調整装置を含む全ての前記位置調整装置により一体に前記重量物10のX-Y-Z方向に位置調整をする第4の工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、
X軸方向に位置調整可能なX軸方向調整装置と、
このX軸方向調整装置の上に載せられ、Y軸方向に位置調整可能なY軸方向調整装置と、
前記X軸方向調整装置とY軸方向調整装置との間に設けられ、前記Y軸方向調整装置のY軸方向の中心角度を変えるための回転装置と、
前記Y軸方向調整装置の上に設けられ、載せられた重量物をZ軸方向に位置調整するZ軸方向調整装置と
からなるので、重量物を支える1ブロックを複数支点で、支えるために複数セットの調整装置使用した場合、Y軸方向調整装置を回転装置で回転移動を可能にして、装置の受け替えをすることなく、ジャッキアップした状態で橋軸、高さ、平面の3方向の調整ができる。
また、複数セットの調整装置を使用して複数支点で重量物を支えた場合において、いずれかの1つの支点を基準支点とすることにより、他の支点の位置調整は、各支点毎にX軸とY軸をそれぞれ1回ずつ調整するのではなく、すべてのセットの支点のX軸とY軸の異なるベクトル方向に一括して斜めに移動させて1回の動作で位置調整でき、作業効率を向上させることができる。
装置全体を小型化するとともに、3方向の装置を1方向ずつ分割組み立て可能とすることで橋脚などの狭い場所への搬入、組み立て設置の作業性を良くすることができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、
前記X軸方向調整装置は、第1基板と、この第1基板の上に摺動自在に設けられた第1移動板と、一端を前記第1基板に固着し、他端を前記第1移動板に固着してなるX軸方向ジャッキとからなり、このX軸方向ジャッキにより前記第1移動板をX軸方向に移動自在に設け、
前記Y軸方向調整装置は、第2基板と、この第2基板の上に摺動自在に設けられた第2移動板と、一端を前記第2基板に固着し、他端を前記第2移動板に固着してなるY軸方向ジャッキとからなり、このY軸方向ジャッキにより前記第2移動板をY軸方向に移動自在に設け、
前記回転装置は、前記第1移動板の上面に取り付けられた回転治具と、前記第2基板の下面に取り付けられ、前記回転治具に嵌合して回転する円盤とからなり、
前記Z軸方向調整装置は、前記第2移動板の上に取り付けられた鉛直ジャッキ受け板と、この鉛直ジャッキ受け板の上に載せられZ軸方向に進退する鉛直ジャッキとからなるので、X軸方向ジャッキとY軸方向ジャッキが装置本体からからはみ出すことがないため、鉛直ジャッキで橋桁等の荷重を受けたままで、Y軸調整装置の向きを変えても、沓座などの周りの部材や設備にY軸方向ジャッキが干渉することがない。
【0020】
請求項3の記載によれば、
前記X軸方向ジャッキは、前記第1基板と第1移動板の一方側縁部に臨ませて設けられ、前記X軸方向ジャッキのシリンダを前記第1基板に固着し、前記X軸方向ジャッキのロッドを前記第1移動板に固着し、前記Y軸方向ジャッキは、前記第2基板と第2移動板の一方側縁部に臨ませて設けられ、前記Y軸方向ジャッキのシリンダを前記第2基板に固着し、前記Y軸方向ジャッキのロッドを前記第2移動板に固着したので、前記X軸方向ジャッキは、前記X軸方向調整装置の一方側縁部に臨ませて設けられ、前記Y軸方向ジャッキは、前記Y軸方向調整装置の一方側縁部に臨ませて設けられることにより、より小型化できる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、
前記X軸方向ジャッキは、前記第1基板と第1移動板の両側縁部に臨ませてそれぞれ設けられ、前記それぞれのX軸方向ジャッキのシリンダを前記第1基板の両側に固着し、前記X軸方向ジャッキのロッドを前記第1移動板の両側に固着し、
前記Y軸方向ジャッキは、前記第2基板と第2移動板の両側縁部に臨ませてそれぞれ設けられ、前記それぞれのY軸方向ジャッキのシリンダを前記第2基板の両側に固着し、前記Y軸方向ジャッキのロッドを前記第2移動板の両側に固着したので、前記X軸方向ジャッキと前記Y軸方向ジャッキを装置の一方側縁部に臨ませて設けたものよりやや大型化するが、より大きな荷重に対処することができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、
前記回転装置の円盤は、前記Y軸方向調整装置のY軸を所定の中心角に可変するようにしたので、前記Y軸方向調整装置のY軸をX軸に対し、90度以外の角度に設定するだけで、位置調整範囲をXYが90度の範囲外に位置調整できる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、
前記第1基板の上面に、ガイドレールと摺動板を取り付け、前記第1移動板の下面に、前記摺動板に接して移動するスライド板を設け、前記第2基板上面に、ガイドレールと滑動板を取り付け、前記第2移動板の下面に、前記滑動板に接して移動するスライド板を設けたので、前記第1移動板と前記第2移動板の位置調整が円滑になる。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、
前記X軸方向調整装置とY軸方向調整装置と回転装置とZ軸方向調整装置に、相互にボルトで分割可能に連結したので、各装置の組み立て、解体が容易になり、かつ、狭い場所への設置も容易になる。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、
前記円盤は、歯付き円盤からなり、この歯付き円盤を前記回転治具に回転自在に嵌合し、前記歯付き円盤をモーターのモーター歯車に咬み合わせ、前記モーターにより前記歯付き円盤の角度を調整するようにしたので、前記Y軸方向調整装置と、その上に設けられ、載せられた重量物をZ軸方向に位置調整するZ軸方向調整装置との回転を自動制御できる。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、
X軸方向に位置調整可能なX軸方向調整装置と、このX軸方向調整装置の上に載せられ、Y軸方向に位置調整可能なY軸方向調整装置と、前記X軸方向調整装置とY軸方向調整装置との間に設けられ、前記Y軸方向調整装置のY軸方向の中心角度を変えるための回転装置と、前記Y軸方向調整装置の上に設けられ、載せられた重量物をZ軸方向に位置調整するZ軸方向調整装置とからなる位置調整装置を複数台用いて行われる位置調整方法であって、
前記重量物の下面の複数支点に前記位置調整装置を設置する第1の工程と、
前記複数支点のうちの1支点の前記位置調整装置を前記重量物の回転のみ行う基準支点に設定する第2の工程と、
前記基準支点の前記位置調整装置を中心として残りの支点の前記位置調整装置を前記重量物と一体に回転しつつX-Y方向に位置調整をして前記重量物の位置を調整する第3の工程と
からなるので、前記複数支点のうちの1支点の前記位置調整装置を前記重量物の回転のみ行う基準支点に設定することにより、残りの支点の前記位置調整装置を同時に回転しつつX-Y方向に位置調整をして前記重量物の位置を調整することができる。
【0027】
請求項10記載の発明によれば、
前記第3の工程の後に、前記基準支点の前記位置調整装置を含む全ての前記位置調整装置により一体に前記重量物のX-Y-Z方向に位置調整をする第4の工程を含むので、前記基準支点の前記位置調整装置を含むすべての前記位置調整装置を同時にX-Y-Z方向に位置調整をして前記重量物の位置を平行移動調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による重量物の位置調整装置及びその方法の実施例1を示す平面図である。
【
図2】本発明による重量物の位置調整装置及びその方法の移動調整範囲の説明図である。
【
図3】本発明のX軸方向調整装置22と回転装置24の分解斜視図である。
【
図4】本発明のY軸方向調整装置23とZ軸方向調整装置25の分解斜視図である。
【
図5】本発明による重量物の位置調整装置で位置調整する方法の説明図である。
【
図7】本発明の重量物の位置調整装置において、X軸方向調整装置22とY軸方向調整装置23にそれぞれ2台ずつのジャッキを取り付けた他の例を示す平面図である。
【
図8】本発明の回転装置24に回転用のモーターを取り付けた他の例を示すもので、(a)は、平面図、(b)は、断面図である。
【
図9】従来の位置調整装置13による重量物(橋桁)10の位置調整を示す正面図である。
【
図10】
図9における位置調整装置13の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の重量物の位置調整装置9は、
X軸方向に位置調整可能なX軸方向調整装置22と、
このX軸方向調整装置22の上に載せられ、Y軸方向に位置調整可能なY軸方向調整装置23と、
前記X軸方向調整装置22とY軸方向調整装置23との間に設けられ、前記Y軸方向調整装置23のY軸方向の中心角度を変えるための回転装置24と、
前記Y軸方向調整装置23の上に設けられ、載せられた重量物10をZ軸方向に位置調整するZ軸方向調整装置25と
からなり、各装置を分割して搬送し、現場で組立てることができる。
【0030】
各装置は、より詳しくは、
前記X軸方向調整装置22は、第1基板26と、この第1基板26の上に摺動自在に設けられた第1移動板27と、一端を前記第1基板26に固着し、他端を前記第1移動板27に固着してなるX軸方向ジャッキ28とからなり、このX軸方向ジャッキ28により前記第1移動板27をX軸方向に移動自在に設け、
前記Y軸方向調整装置23は、第2基板34と、この第2基板34の上に摺動自在に設けられた第2移動板35と、一端を前記第2基板34に固着し、他端を前記第2移動板35に固着してなるY軸方向ジャッキ36とからなり、このY軸方向ジャッキ36により前記第2移動板35をY軸方向に移動自在に設け、
前記回転装置24は、前記第1移動板27の上面に取り付けられた回転治具43と、前記第2基板34の下面に取り付けられ、前記回転治具43に嵌合して回転する円盤42とからなり、
前記Z軸方向調整装置25は、前記第2移動板35の上に取り付けられた鉛直ジャッキ受け板50と、この鉛直ジャッキ受け板50の上に載せられZ軸方向に進退する鉛直ジャッキ49とからなる。
前記回転装置24は、前記円盤42を前記第1移動板27の上面に取り付け、
前記回転治具43を前記第2基板34の下面に取り付けてもよい。
【0031】
前記X軸方向ジャッキ28は、前記第1基板26と第1移動板27の一方側縁部に臨ませて設けられ、前記X軸方向ジャッキ28のシリンダ28aを前記第1基板26に固着し、前記X軸方向ジャッキ28のロッド28bを前記第1移動板27に固着し、
前記Y軸方向ジャッキ36は、前記第2基板34と第2移動板35の一方側縁部に臨ませて設けられ、前記Y軸方向ジャッキ36のシリンダ36aを前記第2基板34に固着し、前記Y軸方向ジャッキ36のロッド36bを前記第2移動板35に固着してなり、
水平ジャッキを装置の一方側縁部に臨ませて設けてより小型化とする。
なお、前記X軸方向ジャッキ28において、前記シリンダ28aを前記第1移動板27に固着し、前記ロッド28bを前記第1基板26に固着してもよい。また、前記Y軸方向ジャッキ36においても、前記シリンダ36aを前記第2移動板35に固着し、前記ロッド36bを前記第2基板34に固着してもよい。
【0032】
前記X軸方向ジャッキ28は、前記第1基板26と第1移動板27の両側縁部に臨ませてそれぞれ設けられ、前記それぞれのX軸方向ジャッキ28のシリンダ28aを前記第1基板26の両側に固着し、前記X軸方向ジャッキ28のロッド28bを前記第1移動板27の両側に固着し、
前記Y軸方向ジャッキ36は、前記第2基板34と第2移動板35の両側縁部に臨ませてそれぞれ設けられ、前記それぞれのY軸方向ジャッキ36のシリンダ36aを前記第2基板34の両側に固着し、前記Y軸方向ジャッキ36のロッド36bを前記第2移動板35の両側に固着してなり、
水平ジャッキを装置の両側縁部に臨ませて設けてより大きな荷重に対応させる。
【0033】
前記回転装置24の円盤42は、前記Y軸方向調整装置23のY軸を所定の中心角に可変するように構成する。
【0034】
前記第1基板26の上面に、ガイドレール31と摺動板33を取り付け、前記第1移動板27の下面に、前記摺動板33に接して移動するスライド板32を設け、
前記第2基板34の上面に、ガイドレール39と滑動板41を取り付け、前記第2移動板35の下面に、前記滑動板41に接して移動するスライド板40を設けて、重量物10をより円滑に位置移動をする。
【0035】
前記X軸方向調整装置22とY軸方向調整装置23と回転装置24とZ軸方向調整装置25に、相互にボルトで分割可能に連結して、装置の搬入、組み立てを容易にする。
【0036】
前記円盤42は、歯付き円盤42aからなり、この歯付き円盤42aを前記回転治具43に回転自在に嵌合し、前記歯付き円盤42aをモーター57のモーター歯車59に咬み合わせ、前記モーター57により前記歯付き円盤42aの角度を調整して回転を自動制御する。
【0037】
X軸方向に位置調整可能なX軸方向調整装置22と、このX軸方向調整装置22の上に載せられ、Y軸方向に位置調整可能なY軸方向調整装置23と、前記X軸方向調整装置22とY軸方向調整装置23との間に設けられ、前記Y軸方向調整装置23のY軸方向の中心角度を変えるための回転装置24と、前記Y軸方向調整装置23の上に設けられ、載せられた重量物10をZ軸方向に位置調整するZ軸方向調整装置25とからなる位置調整装置を用いて行われる位置調整方法であって、
前記重量物10の下面の複数支点に前記位置調整装置を設置する第1の工程と、
前記複数支点のうちの1支点の前記位置調整装置を前記重量物の回転のみ行う基準支点に設定する第2の工程と、
前記基準支点の前記位置調整装置を中心として残りの支点の前記位置調整装置を前記重量物と一体に回転しつつX-Y方向に位置調整をして前記重量物の位置を調整する第3の工程と
からなり、基準支点を除く残りの支点のX-Y制御を同時に行う。
【0038】
前記第3の工程の後に、前記基準支点の前記位置調整装置を含む全ての前記位置調整装置により一体に前記重量物10のX-Y-Z方向に位置調整をする第4の工程を含むことにより、すべての支点のX-Y-Z方向に位置調整を同時に行う。
【実施例1】
【0039】
本発明の実施例1を図面に基づき説明する。
図1に示す本発明の重量物の位置調整装置9は、
図3におけるX軸方向の位置を調整するX軸方向調整装置22と、このX軸方向調整装置22の上に着脱自在に取り付けられる回転装置24と、
図4における前記回転装置24の上に着脱自在に取り付けられY軸方向の位置を調整するY軸方向調整装置23と、このY軸方向調整装置23の上に着脱自在に取り付けられるZ軸方向の位置を調整するZ軸方向調整装置25とからなるものである。
これらのX軸方向調整装置22と、回転装置24と、Y軸方向調整装置23と、Z軸方向調整装置25からなる重量物の位置調整装置9は、作業現場への搬入、組み立て、解体が容易で狭い箇所でも設置可能なように構成され、また、後述するX軸方向ジャッキ28やY軸方向ジャッキ36が伸びたり、円盤42が回転したりしても第1移動板27や第2移動板35が可能な限りジャッキ載せ台55からはみ出さないように小型化されている。
【0040】
図3において、前記X軸方向調整装置22は、略正方形の第1基板26と、この第1基板26の上に移動可能に載せられた第1移動板27と、これらの第1基板26と第1移動板27の間に設けられたX軸方向ジャッキ28とからなる。このX軸方向ジャッキ28は、伸縮動作をしてもジャッキ載せ台55からはみ出さないように、かつ装置全体の形状をコンパクトに収めるために前記第1基板26と第1移動板27の側縁部に設けられる。
前記第1基板26の上面の両側にガイドレール31が取り付けられ、これらガイドレール31の間に低摩擦の摺動板33が貼り付けられている。前記第1移動板27の下面には、前記摺動板33の上を摺動するスライド板32が貼り付けられている。このスライド板32の両側には、前記ガイドレール31と低摩擦で摺動するMCナイロン等が取り付けられる。前記第1基板26と第1移動板27の一側部には、X軸方向ジャッキ28が取り付けられる。このX軸方向ジャッキ28は、シリンダ28aとロッド28bからなり、前記シリンダ28aの両端部がシリンダ取り付け具29によって第1基板26の側縁部にX軸方向に向けて取り付けられる。前記シリンダ28aを進退する前記ロッド28bは、ロッド取り付け具30によって前記第1移動板27の端部に取り付けられる。
前記シリンダ28aの2個の圧油口54からの油圧の入出力により前記ロッド28bが進退して第1移動板27を軸方向(X軸方向)に位置調整する(例えば、移動量100mm)。
前記第1基板26の側面には、運搬用の取っ手53が取り付けられている。
【0041】
前記第1移動板27の上に、前記回転装置24の回転治具43が組立と解体のため、前記回転治具43のねじ孔47aと前記第1移動板27のねじ孔47bにボルトをねじ込み固定される。この回転治具43の回転穴43aには、円盤42が回転自在に嵌め込まれる。この円盤42には、外周に中心角15度の間隔で角度設定孔46が形成されている。前記回転治具43の外側面2個所に回転止めねじ孔44が水平に穿設され、この回転止めねじ孔44に回転止めねじ45を差し込み、さらに円盤42の角度設定孔46にねじ込むことで、前記円盤42を所定の角度で保持する。
前記
図3に示した円盤42には、外周に中心角15度の間隔で角度設定孔46を形成した例を示したが、この角度設定孔46は、外周に中心角15度以外の中心角の間隔で形成してもよいし、また、非常に微細な角度調整が要求される場合は、前記円盤42の角度設定孔46はあえて設けず、両側の回転止めねじ45で円盤42の外周を挟み込んで固定し、前記円盤42を任意の微細な角度に保持することも可能である。
【0042】
図4において、前記Y軸方向調整装置23は、第2基板34と、この第2基板34の上に移動可能に載せられた第2移動板35と、これらの第2基板34と第2移動板35の間に設けられたY軸方向ジャッキ36とからなる。このY軸方向ジャッキ36は、伸縮動作をしてもジャッキ載せ台55からはみ出さないように、かつ装置全体の形状をコンパクトに収めるために前記第2基板34と第2移動板35の側縁部に設けられる。
前記第2基板34の上面の両側にガイドレール39が取り付けられ、これらガイドレール39の間に低摩擦の滑動板41が貼り付けられている。前記第2移動板35の下面には、前記滑動板41の上を摺動するスライド板40が取り付けられている。このスライド板40の両側には、前記ガイドレール39と低摩擦で摺動するMCナイロン等が取り付けられる。前記第2基板34と第2移動板35の一側部には、Y軸方向ジャッキ36が取り付けられる。このY軸方向ジャッキ36は、シリンダ36aとロッド36bからなり、前記シリンダ36aがシリンダ取り付け具37によって第2基板34の側縁部に直角方向(Y軸方向)に取り付けられる。前記ロッド36bは、ロッド取り付け具38によって前記第2移動板35に取り付けられる。
前記シリンダ36aの2個の圧油口54からの油圧の入出力により前記ロッド36bが進退して第2移動板35を直角方向(Y軸方向)に位置調整する(例えば、移動量50mm)。
前記第2基板34の下面の中心位置(後述する鉛直ジャッキ49が初期位置にあるときの中心位置と一致した位置)に、前記円盤42が前記円盤42のねじ孔48に固定ねじを螺合して固定される。
前記第2基板34の側面には、運搬用の取っ手53が取り付けられる。
【0043】
図4において、前記Z軸方向調整装置25は、鉛直ジャッキ受け板50の上に環状架台51を取り付け、この環状架台51に鉛直ジャッキ49を嵌合する。この鉛直ジャッキ49は、シリンダ49aとロッド49bからなり、このシリンダ49aには、取っ手53と圧油口54が設けられている。
このZ軸方向調整装置25の鉛直ジャッキ受け板50は、ねじ孔52aと前記Y軸方向調整装置23の前記第2移動板35のねじ孔52bにボルトを差し込み取り付けられる。
【0044】
以上のように構成されたX軸方向調整装置22と回転装置24とY軸方向調整装置23とZ軸方向調整装置25が順次重ねられてねじ止めにより着脱自在に一体に連結されて本発明の重量物の位置調整装置9が構成される。
前記重量物の位置調整装置9を表す
図1の平面図は、円盤42の固定位置がX軸方向調整装置22の移動方向(X軸方向)とY軸方向調整装置23の移動方向(Y軸方向)が互いに直交する方向に移動するよう回転止めねじ45で保持してジャッキ載せ台55の上に設置した例を示している。
【0045】
以上のように構成された重量物の位置調整装置9の単体の動作を説明する。本発明の重量物の位置調整装置9を複数台使用して橋桁10の位置調整する場合の動作については、後述する。
図1において、説明の都合上、X軸方向調整装置22のX軸方向ジャッキ28とY軸方向調整装置23のY軸方向ジャッキ36が収縮した状態、すなわちX軸方向調整装置22の第1移動板27が図中左端に位置し、Y軸方向調整装置23の第2移動板35が図中上端に位置している状態を、重量物の位置調整装置9の初期状態(ニュートラル位置)とする。前記鉛直ジャッキ49は、X軸とY軸の交点(中心点O)上にある。この状態で回転止めねじ45を回転止めねじ孔44と角度設定孔46に螺合すると、X軸方向調整装置22のX軸とY軸方向調整装置23のY軸が直角(90度)に固定される。
なお、前記重量物の位置調整装置9が360度全周囲に移動可能な初期状態(ニュートラル位置)は、X軸方向調整装置22の第1移動板27の移動量の中間位置と、Y軸方向調整装置23の第2移動板35の移動量の中間位置の交点(
図2の点O0)をいうが、本発明では、前記中心点Oにある状態を初期状態(ニュートラル位置)とする。
【0046】
前記X軸方向調整装置22とY軸方向調整装置23が90度の状態(円盤42を回転していない状態)であって、初期状態では、鉛直ジャッキ49は
図2における中心位置Oにある。この初期状態から橋桁10を載せた鉛直ジャッキ49をX軸方向調整装置22のX軸方向ジャッキ28とY軸方向調整装置23のY軸方向ジャッキ36を操作する。
橋桁10の位置を
図2のP(x,y)点に移動するには、X軸方向調整装置22による移動距離xとY軸方向調整装置23による移動距離yとなるように、X軸方向ジャッキ28とY軸方向ジャッキ36の伸縮操作をすると、橋桁10の位置P(x,y)は、四角形abcdの範囲内での位置調整ができる。
【0047】
つぎに、円盤42を回転した場合について説明すると、鉛直ジャッキ49を無負荷状態にして回転装置24の円盤42を所定角度回転する。前記中心点Oから下方に伸びた鉛直線を前記初期状態の基準Y軸とすると、この基準Y軸から左回りに、例えば、45度回転した位置にY1軸を設定して回転止めねじ45を回転止めねじ孔44と角度設定孔46にねじ込み固定する。
すると、Y軸方向調整装置23のY軸は、中心点Oから
図2の点hを通るY1軸線となり、Y軸方向調整装置23のY1軸線に沿った移動距離は、(O-h)を半径とする円周までとなる。そのため、
図2において、点d(O)、点h、点g、点aで形成される平行四辺形が前記重量物の位置調整装置9の位置調整可能な範囲となる。すなわち、Y軸方向調整装置23のY軸をY1軸線とすることにより、四角形abcdからはみ出した点Q1(三角形amgの範囲)の位置まで移動することができる。
【0048】
同様に、回転装置24の円盤42を基準Y軸から、例えば、300度(Y2軸)に設定して回転止めねじ45を回転止めねじ孔44と角度設定孔46にねじ込み固定する。
すると、Y軸方向調整装置23のY軸は、中心点Oから
図2の点iを通るY2軸線となり、Y軸方向調整装置23のY2軸線に沿った移動距離は、(O-i)を半径とする円周までとなる。そのため、
図2において、点d(O)、点i、点j、点aで形成される平行四辺形が前記重量物の位置調整装置9の位置調整可能な範囲となり、四角形abcdからはみ出した点Q2(三角形dinの範囲)の位置まで移動することができる。
【0049】
同様に、回転装置24の円盤42を基準Y軸から、例えば、90度(Y3軸)に設定してX軸上に重なるように固定する。
すると、X軸方向調整装置22の直線d-a間の直線移動と、Y軸方向調整装置23の直線a-e間の直線移動が加算された直線d-e間の直線移動のみが重量物の位置調整装置9の位置調整可能な範囲となる。
また、基準Y軸から270度(Y4軸)に設定してX軸上に重なるように固定すると、X軸方向調整装置22の直線d-a間の直線移動と、直線d-f間の直線移動が加算された直線a-f間の直線移動のみが重量物の位置調整装置9の位置調整可能な範囲となる。
同様に、回転装置24の円盤42を基準Y軸から180度(Y5軸)反転して固定すると、重量物の位置調整装置9は、四角形alkdの範囲内での位置調整ができる。
その他の角度に設定した場合にも前記同様である。
【0050】
本発明による重量物の位置調整装置9を4台使用して橋桁の位置調整する例を
図5及び
図6に基づき説明する。
図5において、2個所の橋脚11の既設桁56、56間に新たな橋桁10を設置するものとする。2個所の橋脚11の上に、それぞれ2個所ずつ、合計4支点A、B、C、Dにジャッキ載せ台55を配置し、その上に重量物の位置調整装置9をセットする。新設しようとする橋桁10をクレーンその他の重機で運び、この橋桁10の4隅を前記重量物の位置調整装置9の鉛直ジャッキ49の上に載せ置く。この時、橋桁10は、実線で示すように既設桁56との間で角度ずれが生じているものとする。
【0051】
図5の前記4支点A、B、C、Dを模式的に拡大した
図6において、前記4支点A、B、C、Dのうち、位置調整が必要ないか、位置ずれの最も少ないA支点を固定点とし、他の3支点B、C、Dの位置調整をするものとする。また、A支点の重量物の位置調整装置9を構成する回転装置24の円盤42は、回転止めねじ45を抜いて回転可能な状態としておく。
この状態で、新設の橋桁10を既設桁56と平行な位置に調節するため、A支点を中心にして、橋桁10を角度θだけ回動するために、B支点の鉛直ジャッキ49では、X軸方向調整装置22を図中左側に距離x1、Y軸方向調整装置23を図中上側に距離y1だけ移動するように斜めに鉛直ジャッキ49
1の位置に調整し、C支点の鉛直ジャッキ49では、X軸方向調整装置22を図中左側に距離x2、Y軸方向調整装置23を図中上側に距離y2だけ移動するように斜めに鉛直ジャッキ49
2の位置に調整し、D支点の鉛直ジャッキ49では、X軸方向調整装置22を図中右側に距離x3、Y軸方向調整装置23を図中上側に距離y3だけ移動するように斜めに鉛直ジャッキ49
3の位置に調整する。
このとき、A支点では、初期位置(O)で角度θだけ回転し、この回転に伴い他の3支点B、C、Dのそれぞれの鉛直ジャッキ49の位置は、すべて同期して斜めにそれぞれ鉛直ジャッキ49
1、49
2、49
3に移動する。この結果、橋桁10は、実線位置から2点鎖線位置に調整される。
このように、4セットの調整装置9を使用して複数支点A、B、C、Dで重量物10を支えた場合において、いずれかの1つのA支点を回転可能な基準支点とすることにより、他のB、C、D支点の位置調整は、支点毎にX軸とY軸をそれぞれ1回ずつ調整するのではなく、すべてのB、C、D支点のX軸とY軸の交点を一括して斜めに移動させて1回の操作で位置調整でき、作業効率を向上させることができる。
【0052】
2点鎖線位置の橋桁10が、既設桁56との関係でA支点を含めてX軸、Y軸方向と平行移動の位置調整を必要とするときは、4支点A、B、C、Dを同時にX軸方向の位置調整をし、さらにY軸方向の位置調整をする。また、4支点A、B、C、Dの鉛直方向の調整が必要な時は、鉛直ジャッキ49に制御してZ方向の調整が行われる。
【0053】
前記
図5及び
図6の説明では、3支点B、C、Dの回転装置24の円盤42をX軸とY軸が90度に固定した例としたので、3支点B、C、Dにおける位置調整範囲は、
図2における四角形abcdで表される長方形で表される。
ここで、3支点B、C、Dの回転装置24の円盤42をX軸とY軸が45度(図におけるY1軸)となるように設定すると、3支点B、C、Dにおける位置調整範囲は、
図2における平行四辺形aghdとなる。他の角度に設定した場合も同様である。
【0054】
前記
図1に示す本発明の重量物の位置調整装置9は、X軸方向調整装置22とY軸方向調整装置23に、X軸方向ジャッキ28とY軸方向ジャッキ36を、それぞれ片側の側縁部にだけ1台ずつ設けた例を示しており、この例における全体の寸法は、例えば、縦、横が342×365mmで、鉛直荷重300kN、水平荷重25kN、X軸方向の位置調整移動距離100mm、Y軸方向の位置調整移動距離50mmとした。
この
図1の例に限られるものではなく、
図7に示すように、X軸方向調整装置22とY軸方向調整装置23の両側に、X軸方向ジャッキ28、28とY軸方向ジャッキ36、36を、それぞれ2台ずつ設けることができる。このように両側設けた例における全体の寸法は、例えば、縦、横が430×406mmで、鉛直荷重750kN、水平荷重50kN、X軸方向の位置調整移動距離100mm、Y軸方向の位置調整移動距離50mmとすることができる。
このような
図1の例とするか、
図7の例とするかは、使用目的に応じて選択できる。
以上の寸法は、この例に限られるものではなく、使用目的に応じて適宜設定される。
【0055】
前記実施例では、回転装置24の円盤42の回転は、鉛直ジャッキ49を無負荷にして手動で回転するようにしたが、モーター57で駆動することもでき、その例を
図8(a)(b)に示す。
図8(a)(b)において、回転治具43の回転穴43aに、歯付き円盤42aを回動自在に嵌合する。前記回転治具43の側縁部には、モーター支持枠60によりモーター57が取り付けられる。このモーター57の回転軸58には、モーター歯車59が固着され、このモーター歯車59は、前記歯付き円盤42aと連結歯車61を介在して連結されている。前記回転治具43は、X軸方向調整装置22の第1移動板27に固定的に取り付けられる。前記モーター57は、ジャッキ載せ台55からはみ出さないように構成することが望ましい。
このような構成とすることで、鉛直ジャッキ49に重量物10を載せない無負荷の状態で、前記モーター57の回転でモーター歯車59と連結歯車61を介して歯付き円盤42aを回動し、この歯付き円盤42aと一体のY軸方向調整装置23の鉛直ジャッキ49を回動し、回転位置を調整する。
鉛直ジャッキ49に載せた重量物10が軽量であれば、重量物10を載せた状態で回動して回転位置を調整することもできる。
【符号の説明】
【0056】
9…重量物の位置調整装置、10…重量物(橋桁)、11…橋脚、12…沓座、13…位置調整装置、14…ジャッキ受け架台、14a…ベースプレート、14b…サイドプレート、15…環状架台、16…滑動プレート、17…鉛直ジャッキ、17a…シリンダ、17b…ロッド、18…ジャッキブラケット、19…水平ジャッキ、19a…シリンダ、19b…ロッド、20…ソールプレート、21…中受けプレート、22…X軸方向調整装置、23…Y軸方向調整装置、24…回転装置、25…Z軸方向調整装置、26…第1基板、27…第1移動板、28…X軸方向ジャッキ、28a…シリンダ、28b…ロッド、29…シリンダ取り付け具、30…ロッド取り付け具、31…ガイドレール、32…スライド板、33…摺動板、34…第2基板、35…第2移動板、36…Y軸方向ジャッキ、
36a…シリンダ、36b…ロッド、37…シリンダ取り付け具、38…ロッド取り付け具、39…ガイドレール、40…スライド板、41…滑動板、42…円盤、42a…歯付き円盤、43…回転治具、43a…回転穴、44…回転止めねじ孔、45…回転止めねじ、46…角度設定孔、47a…ねじ孔、47b…ねじ孔、48…ねじ孔、48a…固定ねじ、49…鉛直ジャッキ、49a…シリンダ、49b…ロッド、491…支点Bの位置調整後の鉛直ジャッキ、492…支点Cの位置調整後の鉛直ジャッキ、493…支点Dの位置調整後の鉛直ジャッキ、50…鉛直ジャッキ受け板、51…環状架台、52a…ねじ孔、52b…ねじ孔、53…取っ手、54…圧油口、55…ジャッキ載せ台、56…既設桁、57…モーター、58…回転軸、59…モーター歯車、60…モーター支持枠、61…連結歯車。