(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】書類管理システム、書類管理方法、及び書類管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2024034551
(22)【出願日】2024-03-07
【審査請求日】2024-04-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508032491
【氏名又は名称】株式会社リバスタ
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝典
(72)【発明者】
【氏名】入嶋 志郎
(72)【発明者】
【氏名】小畑 秀貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 卓人
(72)【発明者】
【氏名】平井 智也
(72)【発明者】
【氏名】井上 洋二
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/130446(WO,A1)
【文献】特開2004-355526(JP,A)
【文献】特開2019-091212(JP,A)
【文献】特開2005-242849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工現場における作業の成果物を管理する書類管理システムであって、
前記書類管理システムは、記憶部と、登録受付部と、を備え、
前記記憶部は、
前記施工現場における担当業者の従属関係及び該担当業者に属する個人を含んだ施工体制と、前記作業の作業分類を含んだ作業情報と、を対応付けて格納し、
前記登録受付部は、前記施工現場に対応する複数の作業分類の中から、ユーザに選択された
作業分類を示す特定作業分類の入力を受け付け、
前記施工体制及び前記作業情報に基づいて、前記特定作業分類の作業を担当する担当ユーザを特定し、
前記施工現場と、前記特定作業分類と、特定された担当ユーザと、を対応付け、該担当ユーザが前記成果物を入力可能な成果物タスクとして前記記憶部へ登録する、
書類管理システム。
【請求項2】
前記担当ユーザには、前記施工現場において作業を担当する担当業者が含まれ、
前記登録受付部は、前記ユーザに選択された前記特定作業分類の入力を受け付け、前記施工体制に基づいて、前記特定作業分類の作業を担当する担当業者を特定し、
前記施工現場と、前記特定作業分類と、特定された担当業者と、を対応付け、該担当業者が前記成果物を入力可能な成果物タスクとして前記記憶部へ登録する、
請求項1に記載の書類管理システム。
【請求項3】
前記登録受付部は、前記担当業者に属する個人を含んだ前記施工体制に基づいて、前記特定作業分類の作業を担当する担当者を特定し、
前記施工現場と、前記特定作業分類と、前記担当業者と、特定された担当者と、を対応付け、該担当者が前記成果物を入力可能な成果物タスクとして前記記憶部へ登録する、
請求項2に記載の書類管理システム。
【請求項4】
前記書類管理システムは、更に、作成処理部と、承認処理部と、を備え、
前記作成処理部は、前記成果物の書類管理に関連する複数の成果物確認者で構成される回覧グループを作成処理し、
前記承認処理部は、複数の成果物確認者のうち、前記成果物タスクに含まれる成果物の承認権限を有する承認者からの入力に基づいて、当該成果物を承認処理する、
請求項1に記載の書類管理システム。
【請求項5】
前記登録受付部は、複数の前記成果物確認者から前記書類管理に含まれる成果物の確認済みの入力を受け付け、該確認済みの入力に基づいて、各成果物確認者に確認済みフラグを対応付けて登録する、
請求項4に記載の書類管理システム。
【請求項6】
前記作成処理部は、前記施工体制に基づいて、複数の成果物確認者を特定して前記回覧グループを作成処理する、
請求項4に記載の書類管理システム。
【請求項7】
前記作成処理部は、前記施工体制に基づく成果物確認者の候補から、ユーザからの選択入力を受け付けて複数の成果物管理者を決定する、
請求項6に記載の書類管理システム。
【請求項8】
前記登録受付部は、ユーザから、複数の成果物管理者における権限順位の入力を受け付け、
前記作成処理部は、前記権限順位に基づいて、複数の成果物管理者における権限順位が設定された前記回覧グループを作成処理する、
請求項4に記載の書類管理システム。
【請求項9】
前記書類管理システムは、更に表示処理部を備え、
前記表示処理部は、各担当ユーザがそれぞれの成果物を入力するための複数の成果物タスクを、前記施工現場に関連するユーザが一覧で閲覧可能に表示処理する、
請求項1に記載の書類管理システム。
【請求項10】
前記作業情報は、成果物の進捗を示すステータスを含み、
前記表示処理部は、前記施工現場と、前記特定作業分類と、前記担当ユーザと、前記ステータスと、が対応付けられた成果物タスクを表示処理する、
請求項9に記載の書類管理システム。
【請求項11】
前記成果物タスクは、前記施工現場における特定作業分類の作業に関連する複数のユーザが入力可能なコメント欄を含む、
請求項1に記載の書類管理システム。
【請求項12】
前記成果物タスクは、属性の異なる複数のユーザが前記成果物を入力可能である、
請求項1に記載の書類管理システム。
【請求項13】
施工現場における作業の成果物を管理する書類管理システムが実行する書類管理方法であって、
前記書類管理システムは、記憶部と、登録受付部と、を備え、
前記記憶部が、
前記施工現場における担当業者の従属関係及び該担当業者に属する個人を含んだ施工体制と、前記作業の作業分類を含んだ作業情報と、を対応付けて格納するステップと、
前記登録受付部が、前記施工現場に対応する複数の作業分類の中から、ユーザに選択された
作業分類を示す特定作業分類の入力を受け付け、
前記施工体制及び前記作業情報に基づいて、前記特定作業分類の作業を担当する担当ユーザを特定するステップと、
前記登録受付部が、前記施工現場と、前記特定作業分類と、特定された担当ユーザと、を対応付け、該担当ユーザが前記成果物を入力可能な成果物タスクとして前記記憶部へ登録するステップと、を含む、
書類管理方法。
【請求項14】
施工現場における作業の成果物を管理する書類管理プログラムであって、
コンピュータを、記憶部と、登録受付部と、として機能させ、
前記記憶部は、
前記施工現場における担当業者の従属関係及び該担当業者に属する個人を含んだ施工体制と、前記作業の作業分類を含んだ作業情報と、を対応付けて格納し、
前記登録受付部は、前記施工現場に対応する複数の作業分類の中から、ユーザに選択された
作業分類を示す特定作業分類の入力を受け付け、
前記施工体制及び前記作業情報に基づいて、前記特定作業分類の作業を担当する担当ユーザを特定し、
前記施工現場と、前記特定作業分類と、特定された担当ユーザと、を対応付け、該担当ユーザが前記成果物を入力可能な成果物タスクとして前記記憶部へ登録する、
書類管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類管理システム、書類管理方法、及び書類管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から施工現場の作業者は、各施工作業に応じた書類を作成し、当該施工作業の状況について関係者に情報共有や確認作業を行っている。そして昨今では、施工現場における情報共有等について様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば特許文献1には、住宅建設業などにおける作業内容の指示や作業後の確認行為を、作業に関わる人々の役割に応じた各種チェックシートを用いて、タブレット型端末等によりリアルタイムに登録・確認が行え、関係者全員が情報共有出来る遠隔品質管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、特許文献1の技術を利用することで住宅建築業などでは関係者同士の情報共有が実現できる一方、ある程度規模感のある施工現場では複数の協力会社が複雑な対応関係のもとで作業を行っているため、これら各種作業に関する書類やタスクを適切に管理することは困難である。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は、施工現場において、各作業に関連する書類を簡単且つ効果的に管理することができる書類管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、施工現場における作業の成果物を管理する書類管理システムであって、
前記書類管理システムは、記憶部と、登録受付部と、を備え、
前記記憶部は、前記施工現場に関する現場情報と、前記作業の作業分類を含んだ作業情報と、を対応付けて格納し、
前記登録受付部は、前記施工現場に対応する複数の作業分類の中から、ユーザに選択された特定作業分類の入力を受け付け、前記現場情報及び/又は前記作業情報に基づいて、前記特定作業分類の作業を担当する担当ユーザを特定し、
前記施工現場と、前記特定作業分類と、特定された担当ユーザと、を対応付け、該担当ユーザが前記成果物を入力可能な成果物タスクとして前記記憶部へ登録する。
【0008】
また、本発明は、施工現場における作業の成果物を管理する書類管理システムが実行する書類管理方法であって、
前記書類管理システムは、記憶部と、登録受付部と、を備え、
前記記憶部が、前記施工現場に関する現場情報と、前記作業の作業分類を含んだ作業情報と、を対応付けて格納するステップと、
前記登録受付部が、前記施工現場に対応する複数の作業分類の中から、ユーザに選択された特定作業分類の入力を受け付け、前記現場情報及び/又は前記作業情報に基づいて、前記特定作業分類の作業を担当する担当ユーザを特定するステップと、
前記登録受付部が、前記施工現場と、前記特定作業分類と、特定された担当ユーザと、を対応付け、該担当ユーザが前記成果物を入力可能な成果物タスクとして前記記憶部へ登録するステップと、を含む。
【0009】
また、本発明は、施工現場における作業の成果物を管理する書類管理プログラムであって、
コンピュータを、記憶部と、登録受付部と、として機能させ、
前記記憶部は、前記施工現場に関する現場情報と、前記作業の作業分類を含んだ作業情報と、を対応付けて格納し、
登録受付部は、前記施工現場に対応する複数の作業分類の中から、ユーザに選択された特定作業分類の入力を受け付け、前記現場情報及び/又は前記作業情報に基づいて、前記特定作業分類の作業を担当する担当ユーザを特定し、
前記施工現場と、前記特定作業分類と、特定された担当ユーザと、を対応付け、該担当ユーザが前記成果物を入力可能な成果物タスクとして前記記憶部へ登録する。
【0010】
このような構成にすることで、施工現場において、各作業に関連する書類を簡単且つ効果的に管理することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記現場情報は、前記施工現場における担当業者の従属関係を含んだ施工体制であり、
前記担当ユーザには、前記施工現場において作業を担当する担当業者が含まれ、
前記登録受付部は、前記ユーザに選択された前記特定作業分類の入力を受け付け、前記施工体制に基づいて、前記特定作業分類の作業を担当する担当業者を特定し、
前記施工現場と、前記特定作業分類と、特定された担当業者と、を対応付け、該担当業者が前記成果物を入力可能な成果物タスクとして前記記憶部へ登録する。
【0012】
このような構成にすることで、簡単且つ正確に担当業者(協力会社)を特定し、成果物タスクを登録することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記登録受付部は、前記請負業者担当業者に属する個人を含んだ前記施工体制に基づいて、前記特定作業分類の作業を担当する担当者を特定し、
前記施工現場と、前記特定作業分類と、前記担当業者と、特定された担当者と、を対応付け、該担当者が前記成果物を入力可能な成果物タスクとして前記記憶部へ登録する。
【0014】
このような構成にすることで、簡単且つ正確に担当作業者(協力会社に属する作業者)を特定し、成果物タスクを登録することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記書類管理システムは、更に、作成処理部と、承認処理部と、を備え、
前記作成処理部は、前記成果物の書類管理に関連する複数の成果物確認者で構成される回覧グループを作成処理し、
前記承認処理部は、複数の成果物確認者のうち、前記成果物タスクに含まれる成果物の承認権限を有する承認者からの入力に基づいて、当該成果物を承認処理する。
【0016】
このような構成にすることで、成果物タスクに回覧グループを紐づけて登録し、且つ回覧グループにおいて当該成果物タスクの進捗を確認、承認することができる。すなわち、複数の成果物確認者から構成される回覧グループを導入することで、誰がどのタイミングで回覧(書類の確認)を完了しているか(または未だ確認していないか)をグループメンバーの全員が自身の端末から共有することができる。その結果、施工現場の回覧において煩雑な作業(紙ベースの書類をそれぞれのメンバーに持参して回覧する作業)をなくすことができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記登録受付部は、複数の前記確認者から前記書類管理に含まれる成果物の確認済みの入力を受け付け、該確認済みの入力に基づいて、各成果物確認者に確認済みフラグを対応付けて登録する。
【0018】
このような構成にすることで、それぞれの成果物管理者に簡単且つ正確に確認済みフラグを付与することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記現場情報は、前記施工現場における担当業者の従属関係と、該担当業者に属する個人と、を含んだ施工体制であり、
前記作成処理部は、前記施工体制に基づいて、複数の成果物確認者を特定して前記回覧グループを作成処理する。
【0020】
このような構成にすることで、各成果物タスクに対して適切な回覧グループを作成することができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記作成処理部は、前記施工体制に基づく成果物確認者の候補から、ユーザからの選択入力を受け付けて複数の成果物管理者を決定する。
【0022】
このような構成にすることで、ユーザが候補者の中から選択して複数の成果物管理者を決定することができる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記登録受付部は、ユーザから、複数の成果物管理者における権限順位の入力を受け付け、
前記作成処理部は、前記権限順位に基づいて、複数の成果物管理者における権限順位が設定された前記回覧グループを作成処理する。
【0024】
このような構成にすることで、ユーザが自由に権限順位を設定することができる。例えばユーザは回覧グループにおいて、特定の成果物管理者を承認者として設定することができる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記書類管理システムは、更に表示処理部を備え、
前記表示処理部は、各担当ユーザがそれぞれの成果物を入力するための複数の成果物タスクを、前記施工現場に関連するユーザが一覧で閲覧可能に表示処理する。
【0026】
このような構成にすることで、ユーザは、自身に関連する複数の成果物タスクを一覧で確認することができる。
【0027】
前記作業情報は、成果物の進捗を示すステータスを含み、
前記表示処理部は、前記施工現場と、前記特定作業分類と、前記担当ユーザと、前記ステータスと、が対応付けられた成果物タスクを表示処理する。
【0028】
このような構成にすることで、ユーザは、各成果物タスクの進捗状況を簡単に確認することができる。
【0029】
本発明の好ましい形態では、前記成果物タスクは、前記施工現場における特定作業分類の作業に関連する複数のユーザが入力可能なコメント欄を含む。
【0030】
このような構成にすることで、1つの成果物タスクに対して、複数のユーザがコメントを入力し、確認することができる。
【0031】
本発明の好ましい形態では、前記成果物タスクは、属性の異なる複数のユーザが前記成果物を入力可能である。
【0032】
このような構成にすることで、1つの成果物タスクに対して、複数のユーザが成果物を入力し、確認することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、現場情報及び作業情報を利用して所定の処理を実行することで、書類管理システムに係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成のブロック図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び端末のハードウェア構成の一例の概略図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る書類管理システムの処理手順のフローチャートを示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る書類管理システムで利用される各情報の一例を示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係る施工体制の概略イメージ図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係る書類管理システムで利用される各情報の一例を示す。
【
図7】本発明の一実施形態に係る端末における表示処理結果の一例を示す。
【
図8】本発明の一実施形態に係る端末における表示処理結果の一例を示す。
【
図9】本発明の一実施形態に係る書類管理システムにおける承認処理の処理手順のフローチャートを示す。
【
図10】本発明の一実施形態に係る回覧グループの作成画面の一例を示す。
【
図11】本発明の一実施形態に係る回覧グループの作成画面の一例を示す。
【
図12】本発明の一実施形態に係る端末における表示処理結果の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0036】
例えば、本実施形態では書類管理システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法(ステップ)、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0037】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。
【0038】
本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0039】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0040】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム構成を示すブロック図である。
図1に示すように書類管理システム1は、情報処理装置10及びデータベースDBを備える。書類管理システム1は、ネットワークNWを介して複数の管理端末2(
図1では符号2(a)~2(c))、及び作業端末3(符号3(a)~3(c))と通信可能に構成されている。なお、本実施形態において、管理端末2及び作業端末3をあわせてユーザ端末と呼ぶこともある。
【0041】
情報処理装置10は、サーバとして動作し、管理端末2は元請業者などが後述する成果物タスクなどを登録等するために利用する端末であり、作業端末3は協力会社や作業者が成果物タスクへ作業情報を入力等するために利用する端末である。
【0042】
ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0043】
なお、情報処理装置10として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、後述の機能構成要素を複数のコンピュータに実現させ、書類管理システム1を構成することも可能である。
【0044】
管理端末2は、元請業者(または元請業者の担当者)などが利用する端末である。管理端末2として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。管理端末2は、管理用の書類管理アプリプログラムを記憶し、このアプリプログラムはユーザにおいて成果物タスクなどを登録し、あるいは成果物タスクを閲覧等するための機能を有して構成される。
【0045】
作業端末3は、協力会社や作業者などが利用する端末である。作業端末2として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。作業端末3は、作業用の書類管理アプリプログラムを記憶し、作業分類等の入力や選択、及び成果物タスクの入力や閲覧等をするための機能を有して構成される。
【0046】
なお、管理端末2及び作業端末3は、それぞれの書類管理アプリプログラムを有していない構成にすることもできる。この場合、管理端末2及び作業端末3はウェブブラウザ等を利用して各情報を閲覧、送信等することができる。
【0047】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置10は、ハードウェア構成として、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備える。
【0048】
制御部11は、CPU等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係る書類管理プログラム、OS、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の動作処理全体を制御する。
【0049】
記憶部12は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、本発明に係る書類管理プログラム及び、制御部11がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部11が、記憶部12に記憶されている書類管理プログラムに基づき、処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0050】
通信部13は、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報処理装置10を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0051】
図2(b)は端末90(
図1における管理端末2及び作業端末3)のハードウェア構成の一例を示す図である。端末90は、ハードウェア構成として、制御部91と、記憶部92と、通信部93と、入力部94と、出力部95と、を備える。
【0052】
端末90の制御部91は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末90の動作処理全体を制御する。端末90の記憶部92は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、上述の書類管理アプリプログラム並びに、制御部91がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0053】
端末90の通信部93は、ネットワークとの通信を制御する。端末90の入力部94は、タッチパネル、マウス及びキーボード等であって、ユーザによる操作要求を制御部91に入力する。端末90の出力部95は、ディスプレイ等であって、制御部91の処理の結果等を表示する。
【0054】
<機能構成>
図2(a)に示すように、情報処理装置10は、機能構成として、登録受付部101、送信部102、表示処理部103、作成処理部104、承認処理部105、を備える。これらは、ソフトウェア(記憶部12に記憶されている)による情報処理が、ハードウェア(制御部11等)によって具体的に実現されたものである。
【0055】
登録受付部101は、ユーザ端末から各種情報を受け付けて登録する。本実施形態において登録受付部101は、施工現場に対応する複数の作業分類の中から、ユーザに選択された特定作業分類の入力を受け付け、現場情報及び/又は作業情報に基づいて、特定作業分類(例えば鉄筋における施工計画書や手順書)の作業を担当する担当ユーザを特定する。そして登録受付部101は、施工現場と、特定作業分類と、特定された担当ユーザと、を対応付け、当該担当ユーザが成果物を入力可能な成果物タスクとして記憶部12へ登録する。
【0056】
また、登録受付部101は、ユーザに選択された特定作業分類の入力を受け付け、施工体制に基づいて、特定作業分類の作業を担当する担当業者(協力会社)を特定し、施工現場と、特定作業分類と、特定された担当業者と、を対応付け、担当業者が成果物を入力可能な成果物タスクとして記憶部12へ登録する。
【0057】
さらに、登録受付部101は、担当業者に属する個人を含んだ施工体制に基づいて、特定作業分類の作業を担当する担当者(協力会社に属する作業者)を特定し、施工現場と、特定作業分類と、特定された担当業者と、特定された担当者と、を対応付け、担当者が成果物を入力可能な成果物タスクとして記憶部12へ登録することもできる。
【0058】
送信部102は、ユーザ端末へ各種情報を送信する。本実施形態における送信部102は、ユーザからの要求に基づいて、施工現場に対応する複数の作業分類(施工計画書や手順書)を送信する。送信部102は、ユーザが選択可能な複数の作業分類をユーザ端末へ送信することができる。
【0059】
表示処理部103は、管理端末2及び作業端末3の表示画面等を表示処理する。本実施形態における表示処理部103は、各担当ユーザがそれぞれの成果物を入力するための複数の成果物タスクを、施工現場に関連するユーザが一覧で閲覧可能に表示処理する。
【0060】
また、表示処理部103は、施工現場と、特定作業分類(鉄筋における施工計画書や手順書など)と、担当ユーザと、成果物の進捗を示すステータスと、が対応付けられた成果物タスクを表示処理することができる。
【0061】
作成処理部104は、書類管理に利用可能なグループなどを作成処理する。本実施形態における作成処理部104は、成果物の書類管理に関連する複数の成果物確認者で構成される回覧グループを作成処理する。
【0062】
また、作成処理部104は、施工体制に基づく成果物確認者の候補から、ユーザからの選択入力を受け付けて回覧グループにおける複数の成果物管理者を決定することができる。さらに作成処理部104は、ユーザからの入力による権限順位に基づいて、複数の成果物管理者における権限順位が設定された回覧グループを作成処理することもできる。
【0063】
承認処理部105は、ユーザ端末からの入力に基づいて成果物タスクの承認処理をする。本実施形態における承認処理部105は、複数の成果物確認者のうち、成果物タスクに含まれる成果物の承認権限を有する承認者からの入力に基づいて、成果物タスクの承認処理をする。
【0064】
<データベースDB>
図1のデータベースDBは、作業者などのユーザに関するユーザ情報、元請会社や協力会社などの会社情報、施工現場に関する施工現場情報、施工作業に関する作業情報、施工現場における施工体制に関する施工体制情報、成果物タスク情報、回覧グループ情報、その他書類管理や書類の承認処理に必要な情報などを格納する。これらの一部又は全部は、記憶部12等に格納されてもよいし、これらの一部が別のデータベース等に格納されてもよい。
【0065】
以下、
図3~12を参照して、書類管理システム1の説明及び各機能構成要素による処理内容について説明する。
【0066】
<書類管理システムの概要>
本実施形態に係る書類管理システム1は、施工現場で実施される施工作業に関連する書類やタスクなどを簡単且つ適切に管理するためのシステムである。書類管理システム1は、ユーザから現場情報や作業情報の入力を受け付けることで、ユーザに複数の書類(成果物タスク、具体的な施工作業に関するタスク、作業分類や書類分類などとも呼ぶ)を提示し、その中からユーザに選択された成果物タスクを登録することができる。
【0067】
つまり、ユーザは施工現場に関する現場情報と鉄筋やコンクリートといった大枠の作業情報のみを入力することで、予め用意された具体的な成果物タスクを簡単に設定することができる。
【0068】
また、本実施形態に係る書類管理システム1は、施工体制を利用して実際に作業を担当する担当ユーザを特定し、成果物タスクに紐づけて登録することができる。つまり、協力会社同士の複雑な従属関係のもとで作業が進められる施工現場において、ユーザはこの複雑な従属関係を考慮しながら担当ユーザを設定する必要はなく、本システムではユーザが成果物タスクを選択することで自動的に担当ユーザを特定(及び登録)することができる。
【0069】
さらに書類管理システム1は、従来にはない新たな概念として回覧グループを有している。従来の施工現場では、施工計画書などの書類に記入された内容は、この作業に関連する部署や団体の対象者(上長や現場監督など)にそれぞれ回覧し、最終的に承認を得る必要がある。
【0070】
しかしながら、実際の施工現場では、必ずしも回覧される対象者が毎日現場に訪れているとも限らず、場合によっては本社に常駐している対象者に回覧することもある。この場合、対象者全員に回覧するだけでも多大な時間を要し、また文書をその都度持参する必要があるため、書類や文書を回覧すること自体が非常に煩雑な作業となる。
【0071】
そこで本実施形態に係る書類管理システム1では、複数の回覧対象者(成果物確認者とも呼ぶ)から構成される回覧グループを導入することで、誰がどのタイミングで回覧(書類の確認)を完了しているか(または未だ確認していないか)をグループメンバーの全員が自身の端末から共有することができる。その結果、施工現場の回覧において上記の煩雑な作業をなくすことができる。以下、書類書管理システム1における処理の流れについて詳しく説明する。
【0072】
<各種情報の登録>
図3には、本発明の一実施形態に係る書類管理システムにおける処理手順のフローチャートを示す。S201において、元請会社や協力会社(及びこれらに属する個人)などのユーザは、事前にユーザ情報を登録する。情報処理装置10の登録受付部101は、書類管理に利用される各種情報を登録する。なお、本実施形態におけるユーザには、元請会社や協力会社に加え、元請会社の現場担当者や協力会社の作業者など(施工作業に関連する人)も含まれる。
【0073】
図4(a)に示すように、ユーザ情報は、ユーザの氏名、連絡先、職務に関する情報、保有する資格に関する情報、顔画像、ユーザ特定情報、登録日、ユーザが属する会社(元請会社や請負業者)に関する情報(後述する会社ID)、などの情報を含んでユーザIDで管理される。なお、ユーザには、現場監督や現場管理者の他、例えば実際に施工現場に訪れることはないが現場状況を管理し、または施工作業の承認等を行う責任者(元請会社の本社に属する責任者)なども含まれる。
【0074】
本実施形態における書類管理システム1では、ユーザ情報に加えて、ユーザが属する元請会社や協力会社などに関する会社情報、それぞれの施工現場に関する施工現場情報、及び施工現場における作業に関する作業情報も事前に登録している。
【0075】
図4(b)に示すように、会社情報は、A会社やD建設などの会社名、会社の連絡先、会社の住所、元請会社か協力会社かを示す種別、対応可能な職務、などを含んで会社IDで管理される。この会社情報には、例えば一人親方などに関する情報を含めることもできる。
【0076】
また、
図4(c)に示すように、施工現場情報は、A施工現場やB施工現場などの現場名、現場住所、施工期間、などを含んで施工現場IDで管理される。さらに、
図4(d)に示すように、作業情報は、コンクリートや鉄筋などの作業名称(または工種)、作業計画書や手順書などの作業分類、などを含んで作業IDで管理される。なお、本明細書では、「鉄筋における手順書」のように、工種及び具体的な作業を特定したものを作業分類と表現することもある。
【0077】
図3のS202において、情報処理装置10の登録受付部101は、施工現場における施工体制を取得し、記憶部12へ格納(登録)する。本実施形態では、この施工体制を利用してユーザから選択された特定作業分類の作業を担当する担当ユーザ(協力会社や協力会社に属する担当者)を特定することができる。
【0078】
図5には、本発明の一実施形態に係る施工体制の概略イメージ図を示す。同図に示すように、施工体制には元請会社と複数の協力会社同士(請負業者同士)の従属関係が示されている。
【0079】
図5における施工体制は、従属関係等が一目で分かるように図式化して表現されている。
図5は、本実施形態における施工体制を理解するための概略イメージとして表現している。情報処理装置10の記憶部12は、施工現場の情報、元請会社と複数の協力会社同士の従属関係、などを含んだ施工体制情報を格納する。
【0080】
例えば
図4(e)に示すように施工体制情報(施工体制に関する情報)は、施工現場情報の施工現場ID、作業ID、会社ID、ユーザID、一次や二次などの会社同士の従属関係に関する情報、親会社の会社ID、対応可能な職務に関する情報、などを含んで施工体制IDで管理される。なお、本明細書では施工体制情報のことを単に施工体制と表現することもある。
【0081】
図5では元請Aに対し、1次から5次までの協力会社、及びその従属関係が、鉄筋、土木、内装などの職務ごとに示されている。
図5では、職務として「鉄筋作業」を行う協力会社として、D建設(1次)、E工務店(2次)が示され、「土木作業」を行う協力会社として、F組(1次)、G工業(2次)、H機工(3次)が示される。また、「内装作業」を行う協力会社として、J内装(1次)、K工務店(2次)、Lハウス(3次)、山田太郎(4次)、佐藤一郎(5次)、中村次郎(5次)が示されている。
【0082】
また、
図5に示すように、施工体制には元請会社や協力会社の情報を含んだ会社情報、施工作業に関する作業情報、施工現場に関する施工現場情報、及びユーザ情報が紐づけられている。このように、施工体制に会社情報、作業情報、施工現場情報、ユーザ情報を紐づけることで、協力会社同士の複雑な従属関係が生じ得る施工現場において、簡単且つ精度良く成果物タスクの担当ユーザを特定し、この担当ユーザが紐づけられた成果物タスクを登録することができる。
【0083】
<成果物タスクの登録>
図3のS203において、情報処理装置10の送信部102は、管理端末2へ複数の作業分類を送信する。具体的には、登録受付部101が管理端末2から現場情報(例えばA施工現場)や作業情報(例えば鉄筋やコンクリート、工種など)を受け付け、その後に送信部102は管理端末2から受け付けたA施工現場の鉄筋などの情報に基づいて、ユーザが選択可能な複数の作業分類を管理端末2へ送信する。
【0084】
例えば現場情報は、A施工現場、B施工現場、C施工現場などの各施工現場を示す情報であり、作業情報は、鉄筋やコンクリートなどの工種(大分類)を示す情報であり、作業分類は、鉄筋における作業計画書や手順書などを示す情報である。
【0085】
例えば手順書には、鉄筋の組み立て作業の複数の手順が記載され、その手順に従って作業者が実際の作業(タスク)を進めることになる。作業者はそれぞれ手順ごとの作業が完了した段階で、この手順書に施工実績(作業実績)を成果物として登録する。
【0086】
また、登録受付部101は、鉄筋やコンクリートなどの大分類に加えて、「鉄筋の組み立て」や「コンクリートの打ち込み」などの中分類、さらに詳細な作業を示す小分類などの情報を作業情報として受け付けることもできる。このような詳細な情報を受け付けることで、よりピンポイントな作業分類の選択を管理端末2へ提示することができる。
【0087】
S204において、情報処理装置10の登録受付部101は、ユーザから選択された作業分類を受け付ける。具体的には、登録受付部101は、施工現場に対応する複数の作業分類の中から、ユーザに選択された特定作業分類の入力を受け付ける。例えば、登録受付部101は、施工現場Aに対応するコンクリートの作業計画書や手順書などの複数の作業分類の中から、ユーザが作業計画書を選択した場合、当該コンクリートの作業計画書が特定作業分類となる。つまり、本実施形態における特定作業分類は、ユーザが選択した作業分類を意味する。
【0088】
図6(a)に示すように、成果物タスク情報は、タスク名(書類名または成果物名称)、施工体制ID、作業ID、管理担当(元請会社の担当者)、作業担当(協力会社の作業者)、作業会社(協力会社)、タスクの完了期限、着手中や完了などのステータス、タスクの進捗を示すためのデータが保存される保存先、コメントの保存先、後述する回覧ID、社内承認などの承認区分、などを含んでタスクIDで管理される。この他にも成果物タスク情報として、管理担当者が所属する元請会社などを含めることもできる。
【0089】
また、
図6(b)には後述する回覧グループに対応する回覧グループ情報が示されている。回覧グループ情報は、施工体制ID、確認者(成果物確認者)、所長や工場長などの役職、承認者、などを含んで回覧IDで管理される。この回覧グループは、詳細は後述するが、管理端末2から設定することができる。この他にも回覧グループ情報には、承認者の権限順位などを含めることができる。
【0090】
そしてS205において、情報処理装置10の登録受付部101は、特定作業分類の作業を担当する担当ユーザを特定処理する。本実施形態における担当ユーザは、作業を担当する協力会社(業者)、あるいは協力会社に属する実際の作業者などを含む。
【0091】
登録受付部101は、ユーザである元請業者の担当者に選択された特定作業分類の入力を受け付け、現場情報及び/又は作業情報に基づいて、特定作業分類の作業を担当する担当ユーザである業者を特定する。本実施形態では、現場情報として上述した施工体制を利用することができる。また、施工体制に基づいて、作業を担当する担当者(協力会社に属する作業者)を特定することもできる。
【0092】
例えば、元請業者の担当者に鉄筋の作業計画書が選択されている場合、施工体制(及び作業情報)に基づいて、当該作業計画書の担当ユーザが自動的に特定される。上述のとおり施工体制には、協力会社同士の従属関係や担当業種等が示されており、これらの情報に基づいて担当ユーザを特定することができる。このように本実施形態では、協力会社同士の複雑な従属関係のもとで作業が進められる施工現場において、ユーザはこの複雑な従属関係を考慮しながら担当ユーザを設定する必要はなく、担当者が作業計画書を選択することで自動的に担当ユーザが特定されるのである。
【0093】
そしてS206において、登録受付部101は、施工現場と、特定作業分類と、特定された担当ユーザと、を対応付け、担当ユーザが成果物を入力可能な成果物タスクを登録する。担当ユーザは、作業端末3を介して登録された成果物タスクに作業実績などを登録することができる。そして元請業者の担当者(管理者)は、管理端末2を介して当該成果物タスクに登録された作業実績等を確認することができる。
【0094】
本実施形態では、
図7に示すような複数の項目を備えた成果物タスクを登録することができる(詳細は後述)。この成果物タスクは、管理端末2及び作業端末3のいずれもが閲覧可能である。例えば、同一の成果物タスクに対して複数の作業端末3が編集可能な構成にすることもできる。本実施形態では、S201~S206までの一連の処理を実行することで、所定条件に基づいた担当ユーザが自動で設定され、且つ、ユーザの要求に対応した成果物タスクを簡単に登録、閲覧等することができる。
【0095】
<表示処理>
図7には、本発明の一実施形態に係るユーザ端末における表示処理結果の一例を示す。
図7は、管理端末2における表示処理結果を示している。同図に示すように、表示画面W10には、複数の成果物タスクW20が一覧W30で表示される。情報処理装置10の表示処理部103は、ユーザ端末からの表示要求操作に基づいて成果物タスクを表示処理し、その表示処理の結果をユーザ端末へ送信する。
【0096】
この成果物タスクW20は、文書分類(作業分類)、成果物名称、元請担当者、作業担当会社、作業担当者、完了期限、ステータス、保存先、コメント、種別、承認区分、などが並べて表示されている。表示処理部103は、これら複数の項目から、ユーザの選択要求に基づいて選択的に項目を表示処理することもできる。
【0097】
本実施形態では、成果物タスクにおいて進捗状況を共有するためのコメント機能(コメント欄)を有する。成果物タスクは、施工現場における特定作業分類の作業に関連する複数のユーザが入力可能なコメント欄を含む。このコメント欄は、元請業者の担当者(管理者)と協力会社の作業者が情報を共有するために利用し、あるいは、後述する回覧グループに属するメンバー同士が情報を共有するために利用することもできる。例えば、このコメント欄において、現場に属する全てのメンバーで情報を共有し、あるいは所定条件に関連するメンバーで情報を共有することができる。
図7では、未読のコメントの件数が表示されている。本実施形態においてコメントを利用する際、メンション先のユーザを指定することができる。また、例えばメンションされ、且つ未読の場合に、表示処理部103がその部分(アイコン)を強調表示させることで、ユーザに注意を促す(気づきやすくする)こともできる。
【0098】
図7において、ユーザがコメントマーク部分(未読件数の左隣に位置するマーク)をタッチ操作すると、別ウィンドウで新たなコメント(及びコメントの履歴)が表示される(図示は省略)。このようにコメント機能を設け、表示処理部103がユーザの要求操作に応じて各ユーザの端末に表示処理することで、施工作業において適切な進捗確認(及び情報共有)を行うことができる。その結果、当該タスクにおける作業ミスを抑制することができる。
【0099】
図7の表示画面W10では、例えば文書分類、元請担当者、作業担当者、ステータスなどを選択的に成果物タスクとして表示することもできる。この場合、表示処理部103は、ユーザ端末からの選択要求に基づいて指定された項目を含んだ成果物タスクを表示処理し、その表示処理結果を管理端末2へ送信する。
【0100】
また、ユーザの希望に応じて一覧W30における成果物タスクW20の並び替えを行うこともできる。例えば、完了期限が近い順に並び替えを行うことができる。表示処理部103は、ユーザからの入力に基づいて所定条件で並び替えられた成果物タスクを表示処理し、その表示処理結果をユーザ端末へ送信する。このように本実施形態における成果物タスクの一覧W30では、ユーザが希望する項目に基づいて成果物タスクW20を表示でき、さらにユーザの選択要求に基づいて選択された複数の成果物タスクW20を一覧W30で表示することができる。
【0101】
表示画面W10には、「追加・編集」ボタン、「回覧・承認」ボタン、「データ出力」ボタン、「設定」ボタン、「リセット」ボタン、「高度な検索」ボタン、などを設けることもできる。
【0102】
「設定」ボタンは、ユーザからのタッチ操作に基づいて各種設定を行うための設定画面へ遷移するためのボタンであり、「リセット」ボタンは、ユーザが選択や編集などの実行途中で初期画面(
図7に表示される表示画面)へ戻すためのボタンである。「データ出力」ボタンは、成果物タスクW20を、所定のフォーマットに落とし込んで出力等するためのボタンである。本実施形態では、施工現場において成果物タスクを紙ベースで提出するために、施工現場ごとのフォーマットに合わせた成果物タスクを出力することができる。
【0103】
「検索」ボタンは、元請担当者などの検索項目W40を選択(スクロール)した後に成果物タスクの検索を実行するためのものである。
図7では、文書分類、元請担当者、作成担当者、ステータス、などに基づいて成果物タスクの検索が可能である。「追加・編集」ボタンは、成果物タスクを追加し、あるいは編集するためのボタンである。「回覧・編集」ボタンは、後述する回覧グループを作成し、承認処理等を実行する際に利用されるものである。
【0104】
本実施形態では、完了期限までの期間が所定期間である場合(所定条件に該当する場合)に、「残り3日」などの表示を行うことができる。表示処理部103は、成果物タスク情報(完了期限、条件)に基づいて、残り期間を表示処理することができる。表示処理部103がこのような表示処理をすることで、ユーザは複数の成果物タスクの中から、期限の近い成果物タスクの状況を迅速に把握することができる。
【0105】
図7において、ユーザから「高度な検索」W50のタッチ操作を受け付けると、
図8に示すように、より詳細な検索を行うためのスペースが表示される。なお、
図8では、「データ出力」ボタンなどの「高度な検索」W50の説明に不要なボタンを省略して図示している。
【0106】
例えば
図8では、作業担当者、完了期限、種別、承認区分、などの成果物タスクとして表示されている項目が検索項目として新たに表示される。このように本実施形態では、成果物タスクとして表示される全ての項目においてユーザが検索し、その結果を表示処理することができる。また、表示画面W10に「高度な検索」W50を設けることで、ユーザが不要なときにはこれら複数の項目を表示せず、必要に応じて適宜検索項目を表示させることができる(簡略化された閲覧しやすい画面を表示できる)。
【0107】
なお、
図7では管理端末2における表示処理結果を示しているが、例えば作業端末3でも同様の表示処理結果を閲覧することができる。この場合、対象となる成果物タスクに紐づけられた作業者(作業端末3)のみが当該成果物タスクを閲覧することができる。
【0108】
例えば担当ユーザとしてのXX組(作成担当会社)が作業端末3から成果物タスクを閲覧する場合、
図7(及び
図8)において作成担当会社が「XX組」である成果物タスクのみ(1行目の「作業計画書」と4行目の「その他」)を閲覧することができる。
【0109】
<回覧グループ>
次に成果物タスクに対応する回覧グループについて説明する。
図9には、本発明の一実施形態に係る書類管理システム1における承認処理の処理手順のフローチャートを示す。
【0110】
S301において、情報処理装置10の作成処理部104は、回覧グループのメンバーを決定する。上述のとおり、この回覧グループを利用することで、すなわち、複数の回覧対象者(成果物確認者とも呼ぶ)から構成される回覧グループを導入することで、誰がどのタイミングで回覧(書類の確認)を完了しているか(または未だ確認していないか)をグループメンバーの全員が自身の端末から共有することが可能となる。
【0111】
図10には、本実施形態における回覧グループの作成画面の一例を示す。
図10では、表示処理部103が回覧グループの作成画面を、表示画面W10に重ねて別ウィンドウとして表示させている。同図に示すように、ユーザから管理端末2を介して選択操作を受け付けることで、成果物タスクごとに回覧グループに含まれる成果物確認者を選択することができる。
【0112】
作成処理部104は、成果物タスク(及び/またはその他の書類管理)に関連する複数の成果物確認者で構成される回覧グループを作成処理する。具体的には、作成処理部104は、施工体制に基づいて、複数の成果物確認者を特定して回覧グループを作成処理することができる。
【0113】
図10に示すように、施工体制(現場情報)に基づいて、成果物タスクに関連する成果物確認者の候補者が複数表示される。ユーザは、この候補者の中から適宜選択(回覧グループへの追加または削除)をすることができる。例えば
図10のように、役職などの条件ごとに候補者の一覧を並び替えることもできる。
【0114】
成果物確認者(回覧者)としては、例えば所長、工事長、課長など、現場を管理等する役職を有する担当者が該当する。なお、成果物確認者の役職はこれらに限られず、施工現場や成果物タスクの種別に応じて適宜設定することができる。また、作成処理部104は、施工体制に基づいて、成果物タスクに応じて自動で(施工体制に基づいて、複数の成果物確認者を特定して)回覧グループに属する成果物確認者を決定することもできる。
【0115】
そして
図11のように、選択された成果物確認者の中から、最終承認者を決定することができる。例えば従来であれば、成果物タスク(書類や文書)に記入された内容は、この作業に関連する部署や団体の対象者(上長など)にそれぞれ回覧し、最終的に承認を得る必要があるところ、この回覧グループを利用することで、回覧の手間を軽減可能なので、煩雑な作業をなくすことができる。この回覧グループは、元請会社や協力会社同士の複雑な従属関係を有する施工現場で利用することで、特に大きな効果を発揮する。
【0116】
S302において、作成処理部104は、承認者を決定する。
図11では、複数の成果物確認者のうち、「所長の田中一郎」が最終承認者として選択されている。この承認者は必ずしも1人である必要はなく、成果物タスクに応じて複数人を設定することもできる。例えば回覧グループに属する複数の成果物確認者に、権限順位を設定することもできる。この場合、権限順位に応じて後述する承認処理が可能となる。
【0117】
S303において、作成処理部104は、管理端末2からの操作に基づいて、成果物タスクの回覧グループを登録する。
図11では、成果物確認者及び最終承認者が選択済みであるので、ユーザが「回覧・承認申請」をタッチ操作することで、特定の成果物タスクに紐づけて回覧グループが登録される。
【0118】
S304において、作業者(作業端末3)は回覧グループに回覧(及び承認)の申請をする。この回覧の申請は、作業者による全ての作業が完了したタイミングであっても良いし、あるいは作業の途中段階において行うようにすることもできる。
【0119】
図12には、回覧グループの申請に関する申請画面W60の表示処理結果の一例を示す。同図に示すように作業者は、作業端末3を介して申請を希望する成果物タスクW20を選択することができる。また、作業者は複数の成果物タスクW20を選択し、一括して申請操作を行うこともできる。このように複数の成果物タスクを一括して申請できるようにすることで、複数の施工作業等を担当する作業者の利便性を向上させることができる。
【0120】
なお、ユーザ(元請業者の担当者等)は、申請画面W60における「回覧者・承認者の選択」をタッチ操作することで、上述した
図10の回覧グループの作成画面に遷移することができる。
【0121】
図9のS305において、回覧グループの各メンバーによる確認処理が行われる。本実施形態において各メンバーの確認処理の段階では、成果物タスクのステータスが回覧中となる。
図11では、「田中一郎、山川武志、高橋健一、山田次郎、佐藤花子、伊藤明子」のメンバーが成果物確認者であるので、これらのメンバーは自身の管理端末2から成果物タスクの進捗等を確認し、確認を終えた段階で確認済みであることを示す確認済みフラグ(図示は省略)を設定することができる。登録受付部101は、複数の成果物確認者から書類管理に含まれる成果物の確認済みの入力を受け付け、この確認済みの入力に基づいて、各成果物確認者に確認済みフラグを対応付けて登録する。
【0122】
そしてS306において、予め設定した承認者による承認処理が行われる。承認処理部105は、複数の成果物確認者のうち、成果物タスクに含まれる成果物の承認権限を有する承認者からの入力に基づいて、当該成果物タスクを承認処理する。この承認処理が行われると、成果物タスクのステータスが完了となる。
【0123】
本実施形態では、承認者以外の成果物確認者が確認中の場合であっても承認処理をすることができる。この場合、当該成果物タスクの進捗を未確認の成果物確認者に対し、送信部102がアラームを送信するように構成しても良い。例えば、承認処理部105は、承認者以外の成果物確認者の全員が確認を終えた後でなければ承認処理を受け付けない構成にすることもできる。
【0124】
以上のように本発明に係る書類管理システム1によれば、現場情報及び作業情報を利用して所定の処理を実行することで、施工現場における書類管理を簡単且つ効果的に実現することができる。元請業者は、成果物タスクを簡単に設定することができ、さらに本書類管理システムではユーザが成果物タスクを選択することで自動的に担当ユーザを特定することができる。さらに回覧グループを利用することで、施工現場における成果物タスクの回覧で生じていた煩雑な作業をなくすことができる。
【0125】
また、本実施形態では施工現場における書類管理について説明したが、書類書管理システム1を施工現場以外の他の分野で利用する場合にも本発明と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0126】
1 書類管理システム
2 管理端末
3 作業端末
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
90 端末(管理端末2、作業端末3)
91 制御部
92 記憶部
93 通信部
94 入力部
95 出力部
101 登録受付部
102 送信部
103 表示処理部
104 作成処理部
105 承認処理部
NW ネットワーク
W10 表示画面
W20 成果物タスク
W30 一覧
W40 検索項目
W50 高度な検索
W60 申請画面
【要約】
【課題】 本発明は、書類管理システム、書類管理方法、書類管理プログラムに関する。
【解決手段】 書類管理システム1は、記憶部と、登録受付部と、を備える。
記憶部は、施工現場に関する現場情報と、作業の作業分類を含んだ作業情報と、を対応付けて格納する。
登録受付部は、施工現場に対応する複数の作業分類の中から、ユーザに選択された特定作業分類の入力を受け付け、現場情報及び/又は作業情報に基づいて、特定作業分類の作業を担当する担当ユーザを特定する。そして登録受付部は、施工現場と、特定作業分類と、特定された担当ユーザと、を対応付け、担当ユーザが成果物を入力可能な成果物タスクとして記憶部へ登録する。
【選択図】
図1