(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】自転車用チャイルドシートカバー
(51)【国際特許分類】
B62J 17/083 20200101AFI20240927BHJP
B62J 1/00 20060101ALI20240927BHJP
B62J 1/16 20060101ALI20240927BHJP
B62J 1/20 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B62J17/083
B62J1/00 D
B62J1/16 Z
B62J1/20
(21)【出願番号】P 2020081194
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】株式会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-098675(JP,U)
【文献】実開昭52-038862(JP,U)
【文献】特開2017-206201(JP,A)
【文献】特開2020-037374(JP,A)
【文献】特開2014-024517(JP,A)
【文献】登録実用新案第3196748(JP,U)
【文献】特開2018-108779(JP,A)
【文献】特開2004-338705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00
B62J 1/16
B62J 1/20
B62J 17/08 - 17/083
B62J 23/00
B60N 2/58 - 2/60
B62B 7/00 - 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されるヘッドレスト及びフード付きチャイルドシートの略全体を被覆できる自転車用前部チャイルドシートカバー
又は自転車用後部チャイルドシートカバーにおいて、
前記前部チャイルドシートカバーは、チャイルドシートの上方部分
、背面部分及び少なくとも両側
面部分の
後方部分を被覆できる本体部と、
チャイルドシートの前方部分
を被覆することができる前方本体部との2つの部分から構成され、
前記本体部がチャイルドシートの上方部分を被覆する上方被覆部の周縁部全体に渡り可撓性及び弾力性を有する環状線状部材を配設し、
前記本体部の前方開口部の周縁部にはスライドファスナーを設け、
他方、これに対応する前記前方本体部の周縁部にも前記スライドファスナーと相互に係合するスライドファスナーを設けて係合離脱させることができ、
前記前方本体部に設けたスライドファスナーの上端略中央部には使用者の手が挿入できる所定間隔の範囲にスライドファスナーが設けられていない又は係合できない非係合部を設け、
前記スライドファスナーを係合するためのスライダーを前記本体部に設けたスライドファスナー及び前記前方本体部に設けたスライドファスナーの何れか一方の側に設けることにより前記前方本体部
の側方周縁部の両側の
スライドファスナーの下端の係合始端から
前記スライダーを上方に引き上げるようにして前記前方本体部を前記本体部に係合させ、その略中央部の
前記非係合部は係合されないままの状態となり、
これにより緊急時、前記非係合部に手を挿入して前記前方本体部を把持して前方及び/又は下方に引っ張ることにより一気に前記前方本体部が前記本体部から開放されることを特徴と
し、
前記後部チャイルドシートカバーは、チャイルドシートの上方部
分を被覆できる本体部と、
チャイルドシートの前方部分、両側面部分及び少なくとも背面部分の両方の側部分を被覆することができる前方本体部との2つの部分から構成され、
前記本体部がチャイルドシートの上方部分を被覆する上方被覆部の周縁部全体に渡り可撓性及び弾力性を有する環状線状部材を配設し、
前記本体部の
下方開口部の周縁部には
前方から後方に向かって下方に傾斜して延びるスライドファスナーを設け、
他方、これに対応する前記前方本体部の周縁部にも前記スライドファスナーと相互に係合するスライドファスナーを設けて係合離脱させることができ、
前記前方本体部に設けたスライドファスナーの上端略中央部には使用者の手が挿入できる所定間隔の範囲にスライドファスナーが設けられていない又は係合できない非係合部を設け、
前記スライドファスナーを係合するためのスライダーを前記本体部に設けたスライドファスナー及び前記前方本体部に設けたスライドファスナーの何れか一方の側に設けることにより前記前方本体部
の両側
に位置するスライドファスナーの下端の係合始端から
前記スライダーを上方に引き上げるようにして前記前方本体部を前記本体部に係合させ、その略中央部の
前記非係合部は係合されないままの状態となり、
これにより緊急時、前記非係合部に手を挿入して前記前方本体部を把持して前方及び/又は下方に引っ張ることにより一気に前記前方本体部が前記本体部から開放されることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項2】
自転車用チャイルドシートカバーは、前記前部チャイルドシートカバーと前記後部チャイルドシートカバーのうちの前記前部チャイルドシートカバーであり、
前記本体部が、自転車のハンドル部に固定された前部チャイルドシートの上方部分、背面部分及び少なくとも両側面部分の後方部分を被覆できるものからなり、
前記本体部の両側面被覆部に自転車のハンドルグリップ部分を挿通できる挿通部をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項3】
前記前方本体部に設けた非係合部の周縁部に沿って補強部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項4】
前記本体部の前方縁部に日除け用庇を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項5】
前記前方本体部の少なくとも上方部分を透明シート素材から形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項6】
前記本体部の背面部にエアー排出孔を設け、このエアー排出孔を被覆するように被覆シートを設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル部に固定された前部チャイルドシート又は自転車の後部荷台部に固定された後部チャイルドシートの略全体を被覆することができるチャイルドシートカバーに関するものである。
ここで被覆されるチャイルドシートとしては、その背凭れ部の上端にヘッドレスト及び日除け用のフードが設けられたものが対象となる。
【背景技術】
【0002】
上記チャイルドシートとしては、現在良く知られているように、前部チャイルドシートにあっては、その座部が自転車のハンドル部中央の略U字形状に湾曲した部分に固定され、座部の前方には開閉自在で使用時に下方に開放される足乗せ部が設けられ、その背面部である背凭れ部には上下に摺動可能なヘッドレスト(ヘッドサポートともいう。)が設けられ、座部の前には着席した幼児が把持する取手部が設けられた形態を有するものである。上記ヘッドレストは、上下に摺動しない固定式のタイプのものも存在し、足乗せ部も開閉しないタイプのものもある。
【0003】
他方、後部チャイルドシートにあっては、その座部は自転車の後部荷台部に固定され、足乗せ部は自転車の後輪の両側に配設され、座部の背面部である背凭れ部にはやはり上下に摺動可能なヘッドレストが設けられた形態を有し、座部の前には着席する幼児が把持する取手部が設けられたものである。
勿論、この種のシートとしては、上記ヘッドレストが上下に摺動しない固定式のタイプのものも存在する。
【0004】
これらのチャイルドシート(以下単に「シート」とも言う。)にあっては、そのヘッドレストの上方に更にフード(日除け)が設けられたタイプのものが存在する(添付図面の
図3に示している。)。
このフードは、ベビーカーに設けられているような形態のもので、左右方向に掛け渡された複数本の逆U字形状のフレームを側面視扇状に開閉することができ、これらのフレームにメッシュ生地が張設されたものから成り、後方に折り畳んで解放し、前方に引き出して広げて日除けとして使用することができるものである。
本願発明は、このタイプのチャイルドシートに被覆できるものに関する。
【0005】
現在市販されているチャイルドシートカバー(以下単に「カバー」とも言う。)としては、上記フードの付いていないタイプのチャイルドシートに適用できるもので、その座部の底面部を除く略全体を被覆することができる各種形態のチャイルドシートカバーが提案されている。
この種のカバーとしては、下記特許文献1に記載のものは、本願出願人が先に提案した自転車用チャイルドシートカバーに関するものであり、装脱着が簡単で、夏冬兼用で使用できるものである。
【0006】
その構成は、チャイルドシートカバーが上方被覆部と下方被覆部との2つの部分から成り、これら両者は相互に係合分離可能に連結できるものである。
上方被覆部の周縁部全体に渡り可撓性及び弾力性を有する環状線状部材を配設し、当該周縁部の内面の両側部分にはそれぞれ係着部材を配設し、これらの係着部材と相互に係着する係着部材をチャイルドシートのヘッドレストの両側面にそれぞれ設けることにより、前記上方被覆部の係着部材と前記ヘッドレストの係着部材を相互に係着することにより上方被覆部がヘッドレストに装着される。
そして、下方被覆部の上方縁部を上方被覆部の周縁部に連結してチャイルドシートの略全体を被覆することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来のチャイルドシートカバーにおいては、雨対策用又は防寒用としてばかりでなく、夏の暑い盛りには、下方被覆部を取り外し、日除け用のものとして、夏でも冬でも一年中何時でも使用することができるタイプのチャイルドシートカバーを提案することをその課題とし、加えて、装着及び脱着も極めて容易なものを提案することをその課題として提案したものである。
【0009】
ところが、上記した通り、最近のチャイルドシートとして、フードが設けられたシートが市販されており、この場合、カバーの側及びシートのヘッドレストの側に係着部材を必ずしも設けなくとも装着できることとなる。というのも、上記フードの上に載せて被覆することも可能だからである。
【0010】
そこで、本願発明においては、上記のようなフード付きのシートであっても簡単に装脱着することができること、そして更に、本願発明においては、緊急時に極めて容易にカバーを開放することができるようにすることをその第一の課題としている。
シートに載せた幼児に何らかの緊急事態が生じた際、或いは、自転車が転倒した際には、例えば、カバーの前方部分を簡単に開放することができるように安全を考慮したカバーを提供することをその第一の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されるヘッドレスト及びフード付きチャイルドシートの略全体を被覆できる自転車用チャイルドシートカバーにおいて、
このチャイルドシートカバーは、チャイルドシートの上方部分、又は、上方部分、背面部分及び少なくとも両側部分の後方部分を被覆できる本体部と、チャイルドシートの前方部分、又は、前方部分、両側部分及び少なくとも背面部分の両側部分を被覆することができる前方本体部との2つの部分から構成され、
前記本体部がチャイルドシートの上方部分を被覆する上方被覆部の周縁部全体に渡り可撓性及び弾力性を有する環状線状部材を配設し、
前記本体部の下方開口部又は前方開口部の周縁部にはスライドファスナーを設け、
他方、これに対応する前記前方本体部の周縁部にも前記スライドファスナーと相互に係合するスライドファスナーを設けて係合離脱させることができ、
前記前方本体部に設けたスライドファスナーの上端略中央部には使用者の手が挿入できる所定間隔の範囲にスライドファスナーが設けられていない又は係合できない非係合部を設け、
前記スライドファスナーを係合するためのスライダーを前記本体部に設けたスライドファスナー又は前記前方本体部に設けたスライドファスナーの何れか一方の側に設けることにより前記前方本体部の上方及び側方周縁部の両側から前記本体部に係合させ、その略中央部の非係合部は係合されないままの状態となり、
これにより緊急時、前記非係合部に手を挿入して前記前方本体部を把持して前方及び/又は下方に引っ張ることにより一気に前記前方本体部が前記本体部から開放されることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
尚、上記発明において記載した「前方」及び「後方」という記載は、カバーを装着する自転車の進行方向が「前方」を、その反対方向が「後方」を意味する。
【0012】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記本体部が、自転車のハンドル部に固定された前部チャイルドシートの上方部分、背面部分及び少なくとも両側部分の後方部分を被覆できるものからなり、
前記本体部の両側面被覆部に自転車のハンドルグリップ部分を挿通できる挿通部をそれぞれ設けたことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
【0013】
本発明の第3のものは、上記第1の発明において、前記本体部が、自転車の荷台部に固定された後部チャイルドシートの上方部分を被覆できるものからなり、
当該本体部の両側部分の内側に帯状部材を設け、
当該環状帯状部材をチャイルドシートのヘッドレストの両端部分に装着することができることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
【0014】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3のそれぞれの発明において、前記前方本体部に設けた非係合部の周縁部に沿って補強部材を設けたことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
【0015】
本発明の第5のものは、上記第1乃至第4のそれぞれの発明において、前記本体部の前方縁部に日除け用庇を設けたことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
【0016】
本発明の第6のものは、上記それぞれの発明において、前記前方本体部の少なくとも上方部分を透明シート素材から形成したことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
【0017】
本発明の第7のものは、上記それぞれの発明において、前記本体部の背面部にエアー排出孔を設け、このエアー排出孔を被覆するように被覆シートを設けたことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1のものにおいては、カバーが本体部と前方本体部との2つの部分から構成され、つまり、ツーピースから成るものであり、一方の本体部をシートのフード等に被覆し且つ載置した状態で装着でき、その後、前方本体部を前記本体部の下方開口部又は前方開口部の周縁部にスライドファスナーによって係合し、連結させることができ、簡単にチャイルドシートに装着できる。
勿論、前記本体部の内面に従来のように装着用ゴムバンド等を一対設け、シートのヘッドレストの両端部に引っ掛けるような手段を付加してもよい。
【0019】
また、本体部の上方被覆部の周縁部に可撓性及び弾力性を有する環状線状部材を配設しているため、その上方被覆部の全体形状が屋根のように確定され、シートの上端部のフード部に適切に載置されて装着され、シートの外形形状に沿うように保持され、その後に上記前方本体部が容易にスライドファスナーによって係合連結されることとなる。
換言すれば、上記本体部は、上記環状線状部材を骨組みとしたテントの如きものとしてその外形形状が確定されるのである。
また、この環状線状部材の存在によって、この本体部は、この線条材を8の字状にした状態で、その交差部で二つに折り重ねることによって小さく折り畳むこともでき、収納に便利なものとなる。
【0020】
前記前方本体部として、例えば、これをメッシュ生地等のエアー流通可能な生地によって形成することにより、夏用のものとして使用することもできる。
また、前記本体部は日除けの機能をも有しており、この本体部のみを日除けとして使用することもできる。
勿論、このカバーは、雨天時又は防寒用としても使用することができ、一年中使用可能なものである。
【0021】
そして、本発明の第一の特徴であるその前方本体部の上端略中央部には非係合部が設けられており、緊急時には、この非係合部に手を挿入して前記前方本体部を把持して前方及び/又は下方に引っ張ることにより一気に前記前方本体部が前記本体部から開放されることとなり、内部に着席している幼児を緊急時即座に救出することができる。
【0022】
本発明の第2のものにおいては、前記前方本体部の両側面被覆部に自転車のハンドルグリップ部分を挿通できる挿通部をそれぞれ設けて、前部チャイルドシート用のカバーとして特定すると共に、この両側の挿通部の存在によりカバー本体部が下方にズレてしまわないという効果をも発揮することとなるのである。
【0023】
本発明の第3のものにおいては、前記本体部が自転車の後部チャイルドシートを被覆できるものであることを特定し、加えて、当該本体部の両側部分の内側に環状帯状部材を設けることにより、当該環状帯状部材をチャイルドシートのヘッドレストの両端部分に引っ掛けて、或いは、巻き付けて装着することができることを特定している。
この環状帯状部材がない場合でも、本発明に係るカバーは後部シートを被覆し装着することができるのであるが、その装着をより確実なものとするために設けたものである。
【0024】
本発明の第4のものにおいては、前記前方本体部に設けた非係合部の周縁部に沿って、例えば、布製テープ等の補強部材を設けたものである。
この非係合部は、使用者の手を挿入して把持する部分であって、その補強のために設けたものであり、使用者の使い勝手を考慮したものである。
【0025】
本発明の第5のものにおいては、前記本体部の前方縁部に日除け用庇を設けたものであり、シートに備わるフードに加えて、内部に着席する幼児の日除けを目的として更に付加し、その効果を高めたものである。
【0026】
本発明の第6のものにおいては、前記前方本体部の少なくとも上方部分を透明シート素材から形成したことを特定したものであり、カバー内外からの視認性を向上させたものである。
【0027】
本発明の第7のものにおいては、前記本体部の背面部にエアー排出孔を設け、このエアー排出孔を被覆するように被覆シートを設けたことを特定したものであり、カバー内部のエアー交換及び流通を可能とし、居住性を向上させたものである。
本発明においては、上記した通り前方本体部の上端略中央部に非係合部が設けられており、この非係合部からは外気も導入されるため、その外気の排出孔を設けたのである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る自転車用チャイルドシートカバーの第1実施形態を自転車の前部チャイルドシートに装着した状態の全体説明図である。
【
図2】上記第1実施形態の後方側からみた全体説明図である。
【
図3】上記第1実施形態が被覆する自転車のハンドル部に固定された前部チャイルドシートを示す全体説明図である。
【
図4】上記第1実施形態に係る本体部が前部チャイルドシートに取り付けられた状態を図示した説明図である。
【
図5】上記第1実施形態に係る分離した状態の前方本体部の平面説明図である。
【
図6】本発明に係る自転車用チャイルドシートカバーの第2実施形態を自転車の後部チャイルドシートに装着した状態の全体説明図である。
【
図7】上記第2実施形態に係るカバーの前方本体部を分離して広げた状態を示す平面説明図である。
【
図8】上記第1実施形態に係るカバーが前部シートに装着され、その庇部を上に持ち上げた状態を示す説明図である。
【
図9】上記第1実施形態に係るカバーの非係合部に手を挿入し把持して下方に半分ほど開放した状態を示す説明図である。
【
図10】上記第1実施形態に係るカバーの前方本体部のほぼ全体を開放した状態を示す説明図である。
【
図11】上記第2実施形態に係るカバーが後部シートに装着され、その庇部を上に持ち上げた状態を示す説明図である。
【
図12】上記第2実施形態に係るカバーの非係合部に手を挿入し把持して下方に半分ほど開放した状態を示す説明図である。
【
図13】上記第2実施形態に係るカバーの前方本体部のほぼ全体を開放した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下添付の図面と共に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る自転車用チャイルドシートカバーの第1実施形態を自転車の前部チャイルドシートに装着した状態の全体説明図である。
図2は、上記第1実施形態の後方側からみた全体説明図である。
図3は、上記第1実施形態が被覆する自転車のハンドル部に固定された前部チャイルドシートを示す全体説明図である。
【0030】
これら3図から良く解る通り、本発明に係るチャイルドシートカバー1は、
図3に示したフードF付のチャイルドシートSのほぼ全体を被覆することができるものである。
この
図3に示したチャイルドシートSは、座部Zの背凭れ部の上縁にヘッドレストHが設けられ、座部Zの前方には足乗せ部Nが連続的に設けられた形態を有している。
【0031】
そして、このチャイルドシートSには、座部Zの両側部の上縁部でワンタッチ式に連結離脱できるフードFが設けられている。
このフードFは、略逆U字形状の3本の枠体Wの両脚部の下端部を軸着して前方及び後方方向に開閉することができ、その両側の夫々の軸着部の下方延長部でチャイルドシートSの両側部の上縁部で着脱自在に取り付けることができる構造である。
上記3本の枠体Wにはメッシュ生地が張設されて、日除けの機能を有するものである。
【0032】
本発明に係る上記第1実施形態に係るチャイルドシートカバー1は、
図3に図示した全部チャイルドシートSのほぼ全体を被覆することができるのであるが、その概略を
図1及び
図2を用いて以下説明する。
尚、この
図1及び
図2に示したチャイルドシートは、
図3に示したチャイルドシートSとその足乗せ部の形態が少し異なっており、当該足乗せ部が下方に解放できるタイプのものである。
【0033】
しかし、その他の構造は上記チャイルドシートSと同じであり、上記足乗せ部を下方に解放した状態で
図3のチャイルドシートSと同様の形態となるものである。
本発明に係るチャイルドシートカバー1は、チャイルドシートSの上方部分(フード部Fとヘッドレスト部Hと背凭れ部)とチャイルドシートSの両側面部の後方側部分を被覆する本体部10と、チャイルドシートSの前方部分及び足乗せ部Nを被覆する前方本体部20との2つの部分から構成される。
【0034】
本体部10は、上方被覆部11と背面被覆部12と両側の側面被覆部13とから成る。
上方被覆部11は、チャイルドシートのフード、ヘッドレスト及び背凭れ部の上方部分を被覆し、背面被覆部12はシートの背凭れ部の下方部分と座部の底面の一部を被覆し、両側の側面被覆部13はシートの側面部分と座部の底面の一部を被覆できる。
【0035】
上記両側の側面被覆部13には自転車のハンドルグリップG部分を挿通させるための挿通部13hが設けられている。
この挿通部13hの存在は、当該本体部10が下方にズレてしまうことを防止する機能をも発揮する。
【0036】
上記上方被覆部11の下縁部には環状の可撓性及び弾力性を有する環状線状部材15が配設されている。
この環状線状部材15は上記上方被覆部11の下端周縁部の全体に挿通部を形成してその内部に配設することができる。
【0037】
この環状線状部材15は、この実施形態ではPOM樹脂を利用しており、可撓性及び弾力性に富む素材を用いている。
その他この線条部材は、可撓性及び弾力性を有する金属製ワイヤーやFRP(ファイバー・リインフォースド・プラスチック/繊維強化プラスチック)等を利用することもできる。
【0038】
この環状線状部材15により、本体部10の上方被覆部11(天井部)は、云わば傘或いは帽子のような形態を保持し、シートのフードの上に載置されて装着される。
更に、この上方被覆部11には左右方向に2本の骨部材11bを掛け渡すように内設しており、この骨部材11bの存在により、その上方被覆部11の全体形状が保持されることとなり、且つ、被覆されるシートのフードの形状と適合し、より相応しくフードの上に載置され、当該フードを被覆し、装着されることとなる。
【0039】
この骨部材11bもPOM樹脂から成る線条材を用いているが、その太さが上記環状線状部材15よりも細いものを使用している。しかし、この骨部材11bは、これを用いずに実施することもできる。上記上方被覆部11の素材として保形性を有する素材を用いることにより製作することも可能だからである。
【0040】
上記本体部10の上方被覆部11の背面部上方には
図2では隠れているが、エアー排出孔を複数設けており、このエアー排出孔の上に被覆シート17を設けている。この被覆シート17は雨除けである。
更に、本体部10の背面部の下方部分にはポケット形態の収納部18を設けており、この収納部18の内部に次に説明する前方本体部20を収納することができる。
【0041】
上記本体部10の前方開口部に次に説明する前方本体部20が着脱自在にスライドファスナーによって係合されるのである。
この前方本体部20の前面被覆部21と両側面被覆部22の上方部分はPVC等の透明素材から形成されており、その前面被覆部21及び側面被覆部22の略中央部横方向には骨部材23を設けて、当該前方本体部20が適切に外側に膨出するような外形形状を保持できるようにしている。
ただし、この骨部材23もこれを用いずに製作することも可能である。
【0042】
この前方本体部20は、チャイルドシートの前方部分と下方の足乗せ部分と両側の側面部分の前方側部分を被覆でき、上に説明した本体部10の前方開口部と相互にスライドファスナーfによって係合離脱することができる。
即ち、後に説明するが、前方本体部20の上方縁部と両側縁部とにスライドファスナーfを設け、他方、これに対応するように、上記本体部10の前方開口部の縁部にもスライドファスナーfを設けて相互に係合離脱できるように構成している。
図1中、破線で示した部分がファスナーfである。
【0043】
更に、本発明の特徴部分であるが、上記図面には表れていないが、上記前方本体部20の上端中央部にはスライドファスナーfを設けていない部分を設け、この部分を非係合部25としている。
【0044】
この非係合部25は、使用者の手が入る大きさの範囲に設ければよく、後に説明するが、この非係合部25に手を挿入して、前方本体部20を手で把持し、前方及び/又は下方に引き下げることにより前方本体部20が本体部10の前方開口部から一気に解放されることとなる。
緊急時の内部の幼児を救出するために設けたものであるが、詳しくは後に説明する。
また、幼児の乗降に際しては、上記ファスナーfの左右の一方の側を開放して行うことができる。
【0045】
図4は、上記第1実施形態に係る本体部が前部チャイルドシートに取り付けられた状態を図示した説明図である。
図5は、上記第1実施形態に係る分離した状態の前方本体部の平面説明図である。
【0046】
図4は、上記
図1において、前方本体部20を取り除いた状態を示している。
この図から良く解る通り、この本体部10は、シートSのフード、ヘッドレストH、シートの背凭れ部、両側面部分の後方側部分、及び座部の底面の周縁部を被覆する。
そして、この本体部10の前面開口部の縁部に沿ってその全体にスライドファスナー10fが設けられている。
【0047】
このスライドファスナー10fは、
図4中、破線で示した。
他方、
図5に示した前方本体部20には、その上方縁部と両側縁部にスライドファスナー20f、20fを設け、これらのスライドファスナー20f、20fが上記本体部10のスライドファスナー10f、10fと相互に係合する。
【0048】
ここで、前方本体部20の上端中央部、即ち上方縁部の略中央部に非係合部25を設けている。
この非係合部25は、スライドファスナー20fが設けられていない部分で、丁度使用者の手が入る程度の幅で設けている。
【0049】
この非係合部25には、帯状の布地を補強部材として縫着して補強し、手で把持してこの前方本体部20の上縁部を把持し易く形成している。
この非係合部25の使用方法については後に説明する。
【0050】
他方、本体部10の上方被覆部11の下方縁部に配設された環状線状部材15の前方部から両側部にかけて日除け用の庇部30が設けられている。
この庇部30は、上記環状線状部材15の前方側にもう1つの線状部材を配設して、これら両線状部材間に生地を張設することによっても形成される。
【0051】
図5に示した前方本体部20においては、その上方部分とその中央部から前方部分(下方部分)を透明なPVC等の素材によって形成し、その中央部横方向に骨部材23としての線状部材を配設して、前方本体部20の保形性を持たせている。
【0052】
この前方本体部20の中央部下端縁部20sは、シートの足乗せ部の下面に回り込み、その両側の側面部下端縁部20rはシートの足乗せ部の両側面の下面側に回り込み収束され得る。
前方本体部20の下端縁部には適宜ゴム紐等の収束部材が縫い込まれているからである。
【0053】
上記前方本体部20を上記本体部10に係合する際は、前方本体部の両側縁部下端に位置するそれぞれのスライダー20gを前方本体部10の両側下端部のスライドファスナー10fのそれぞれの始端に係合させて、前記スライダー20gを上方に引き上げるようにして両者を係合させることができる。
【0054】
但し、当該両スライダー20g、20gは、前方本体部20の上端中央部にある非係合部25の位置でその係合が停止する。従って、当該非係合部25は係合されないまま、孔部として残されるのである。
後に説明するが、この非係合部25の孔部に手を挿入して前方本体部20を本体部10から解放させることができることとなる。
【0055】
図6は、本発明に係る自転車用チャイルドシートカバーの第2実施形態を自転車の後部チャイルドシートに装着した状態の全体説明図である。
図7は、上記第2実施形態に係るカバーの前方本体部を分離して広げた状態を示す平面説明図である。
【0056】
この第2実施形態に係るカバー2は、自転車の後部荷台に固定されている後部チャイルドシートを被覆し、装着されるものである。
この後部チャイルドシートにあっては、その基本構成は上記前部チャイルドシートと同様であるが、その足乗せ部の位置が異なっている。
即ち、この後部チャイルドシートにあっては、その足乗せ部は、シートの座部の前方両側、つまり自転車の後輪の両側に配置されている点である。
【0057】
この第2実施形態に係るカバー2においては、その本体部10は、上記第1実施形態に係る本体部10の上方被覆部11と同じ形態を有しており、シートのフード、ヘッドレスト、シートの背凭れ部の上方部分を被覆でき、その下方周縁部に沿って環状線状部材15が配設されている。
そして、この本体部10の下方開口部の縁部に沿ってその全体にスライドファスナー10fが設けられている。
【0058】
このスライドファスナー10fは、
図6中、庇部30に隠れた部分を破線で示した。
他方、
図7に示した前方本体部20には、その上方縁部から両側縁部の中間部までスライドファスナー20fを設け、このスライドファスナー20fが上記本体部10のスライドファスナー10fと相互に係合して、
図6の状態となる。
【0059】
この前方本体部20は、上記のように本体部10の下方開口部の縁部に沿って係合されるため、シートの前面部、両側面部及び背凭れ部の背面部を被覆することとなる。
即ち、この前方本体部20の前面被覆部21がシートの前面部を被覆し、その両側面被覆部22がシートの両側面を被覆し、その背面被覆部24がシートの背凭れ部の背面側(下方部分)を被覆することとなる。
【0060】
ここで、上記第1実施形態と同様に、前方本体部20の上端中央部、即ち上方縁部の略中央部に非係合部25を設けている。
この非係合部25は、スライドファスナー20fが設けられていない部分で、丁度使用者の手が入る程度の幅で設けている。
【0061】
この非係合部25には、帯状の布地を補強部材として縫着して補強し、手で把持してこの前方本体部20の上縁部を把持し易く形成している点も上記第1実施形態と同じである。
この非係合部25の使用方法については後に説明する。
【0062】
また、この第2実施形態においても、本体部10の下方縁部に配設された環状線状部材15の前方部から両側部にかけて日除け用の庇部30が設けられている点も上記第1実施形態と同様である。
この庇部30は、上記環状線状部材15の前方側にもう1つの線状部材を配設して、これら両線状部材間に生地を張設することによって形成される。
【0063】
図7に示した前方本体部20においては、その上方部分とその中央部から前方部分(下方部分)を透明なPVC等の素材によって形成し、その中央部横方向に骨部材23としての線状部材を配設して、前方本体部20の保形性を持たせている。
【0064】
この前方本体部20の下端中央部には切込み部26を設けているが、この切込み部26は自転車の荷台の前方支持部を除けるために設けたものであり、その両側の部分がシートの足乗せ部を被覆する足乗せ部被覆部27、27となる。
【0065】
更に、前方本体部20の下方部分の両側部に該当する側縁部28、28は、当該前方本体部20が上記本体部10にスライドファスナー10f及び20fによって係合されて後部シートに装着された際には、シートの背凭れ部の背面側に回り込んで装着される。
【0066】
図7中、上記両側の側縁部28、28にはそれぞれワンタッチ式の雌雄の係止バックル29、29がベルト部材の先端に設けられ、相互に係止できる構成である。
また、足乗せ部27、27の周縁部には伸縮自在のゴム紐が縫い込まれ、収束できるように形成しており、この部分をシートの足乗せ部に被覆してその底面部に引っ掛けるようにして確実に装着できる。
【0067】
尚、上記前方本体部20と本体部10とのスライドファスナーによる係合は、上記第1実施形態と同様であるが、前方本体部20の両側に位置するスライドファスナー20f、20fの始端である両下端部に位置するスライダー20g、20gを本体部10のスライドファスナー10fの両始端(本体部10の後方の略中央部に位置する両始端)に係合させて前方にスライドさせて係合することができる。
【0068】
そして、非係合部25の個所でスライダー20gは停止して、当該非係合部25の個所に孔部が形成される。
以下に説明するが、この孔部に手を挿入して前方本体部20を本体部10から容易に開放させることができるのである。
尚、幼児の乗り降りに際しては、上記スライドファスナー10f及び20fの左右の何れか一方を開放して行うことが出来る点は、上記第1実施形態と同じである。
【0069】
以下、
図8乃至
図10により上記第1実施形態に係るカバーの緊急脱出方法を、
図11乃至
図13により上記第2実施形態に係るカバーの緊急脱出方法を説明する。
【0070】
図8は、上記第1実施形態に係るカバーが前部シートに装着され、その庇部を上に持ち上げた状態を示す説明図である。
図9は、上記第1実施形態に係るカバーの非係合部に手を挿入し把持して下方に半分ほど開放した状態を示す説明図である。
図10は、上記第1実施形態に係るカバーの前方本体部のほぼ全体を開放した状態を示す説明図である。
【0071】
まず
図8において、図には手を描いていないが、本体部10の庇部30を片手で上方に持ち上げる。
すると前方本体部20の上端中央部に位置する非係合部25が孔部として出現する。
この孔部を形成する非係合部25に他方の手を挿入して、この前方本体部20の非係合部25の部位を把持する。
そして、この把持した非係合部25を前方又は下方に、或いは斜め前下方向に引っ張る(
図9の中間状態)。
【0072】
これにより、左右両側のスライドファスナー10fと20fの係合が左右対称に分離され、前方本体部20が本体部10から解放、分離されるのである(
図10のほぼ全体開放状態)。
このようにして、着席した内部の幼児が緊急状態となったときに、一瞬にして前方本体部20を本体部10から解放して救出することができる。
【0073】
従来のカバーにあっても、その開閉手段としてスライドファスナーが用いられているが、その開閉を行うスライダーの位置はまちまちであり、或いは、一方の側の一番下方に位置していたりして、解放に手間取ってしまうのである。
【0074】
即ち、緊急事態が生じた際に、当該スライダーの位置を探さねばならず、時間が掛ってしまうのであり、本発明ではこのような問題を無くするために、一番分かりやすい前方本体部の上端中央部に非係合部を設けて、常にこの部位に緊急脱出用の把持部を設けていざというときに備えたのである。
勿論、この緊急脱出方法による前方本体部20の開放を、幼児の乗降用とするのも自由である。
【0075】
図11は、上記第2実施形態に係るカバーが後部シートに装着され、その庇部を上に持ち上げた状態を示す説明図である。
図12は、上記第2実施形態に係るカバーの非係合部に手を挿入し把持して下方に半分ほど開放した状態を示す説明図である。
図13は、上記第2実施形態に係るカバーの前方本体部のほぼ全体を開放した状態を示す説明図である。
【0076】
まず
図11において、本体部10の庇部30を片手で持ち上げる。
すると前方本体部20の上端中央部に位置する非係合部25が孔部として出現する。
この孔部を形成する非係合部25に他方の手を挿入して、この前方本体部20の非係合部25の部位を把持する。
そして、この把持した非係合部25を前方又は下方に、或いは斜め前下方向に引っ張る(
図12の中間状態)。
【0077】
これにより、左右両側のスライドファスナー10fと20fの係合が左右対称に分離され、前方本体部20が本体部10から解放、分離されるのである(
図13のほぼ全体開放状態)。
このようにして、着席した内部の幼児が緊急状態となったときに、一瞬にして前方本体部20を本体部10から解放して救出することができるのである。
上記第1実施形態の場合と同様に、この緊急脱出方法を通常の幼児の乗降に使用するのも自由である。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り種々設計変更が可能である。
まず、全体の大きさや形状に関しては適宜シートの形態に合わせて変更可能である。
またその素材もカバーの部位に応じて適宜変更することができる。
【0079】
例えば、透明部分はPVCシートを利用し、その他の部位はポリエステル生地やナイロン生地を使用することができる。
本体部の内面に帯状部材や環状ベルト部材を設け、これら帯状部材や環状ベルト部材をシートのヘッドレスト部に装着することもできる。
この帯状部材としては、一対のベルト部材の端部に係止具を設けたものを相互に連結できる形式のものでもよいし、伸縮自在の環状ベルトをシートの内面に縫着したものであってもよい。
カバーの本体部がシートから脱落してしまわないように備えとして設けることができる。
【0080】
本体部の下方開口部又は前方開口部の周縁部に設けたスライドファスナーに係合するスライドファスナーを前方本体部の上縁部及び両側縁部に設けたが、両者を係合するスライダーは、本体部の側又は前方本体部の側の何れか一方に設けることができる。
そして、前方本体部のスライドファスナーの両端(始端)で、本体部のスライドファスナーの両端部(両始端)に係合し、スライダーを上方に引き上げて係合させ、その上端中央部の非係合部まで係合することにより、非係合部に孔部が形成される訳である。
【0081】
そして、この非係合部の存在が本発明の特徴部分となっており、この部分に使用者の手を挿入して前方本体部の上端中央部を把持して、前方及び/又は下方に引き下げることによって前方本体部が本体部から一気に解放されることとなるのである。これにより内部に着席した幼児の緊急脱出が図れることとなるのである。
【0082】
前方本体部の下方縁部に挿通部を形成して、その内部に伸縮性のある紐状部材を配設することも自由であるし、この下方部分の前面中央下端にベルト部材を設けて、自転車のサドルポストやその他のフレームに固定させることもできる。
【0083】
以上、本発明においては、自転車用チャイルドシートカバーを本体部と前方本体部との2つの部材から構成し、本体部又は本体部の上方被覆部の下端周縁部に可撓性及び弾力性を有する環状線条部材を配設し、この本体部をフード付きシートに被覆して装着し、且つ、この本体部に前方本体部をスライドファスナーによって容易に連結することができ、このスライドファスナーの係合に際してその前方本体部の上端中央部に非係合部が設けられ、この非係合部を把持して前方本体部が本体部から一気に解放され、内部に着席した幼児を緊急救出することができる極めて安全性の高いチャイルドシートにカバーを提供することができた。
【符号の説明】
【0084】
1、 2 チャイルドシートカバー
10 本体部
10f、20f スライドファスナー
11 上方被覆部
11b 骨部材
12 背面被覆部
13 側面被覆部
13h 挿通部
15 環状線状部材
17 被覆シート
18 収納部
20 前方本体部
20g スライダー
20s 中央部下端縁部
20r 側面部下端縁部
21 前面被覆部
22 側面被覆部
23 骨部材
24 背面被覆部
25 非係合部
26 切込み部
27 足乗せ部被覆部
28 側縁部
29 バックル
30 庇部
F フード
H ヘッドレスト
N 足載せ部
S チャイルドシート
W 枠体
Z 座部