(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】自転車の前部子乗せシート及び荷籠用カバー
(51)【国際特許分類】
B62J 17/083 20200101AFI20240927BHJP
B62J 1/00 20060101ALI20240927BHJP
B62J 1/20 20060101ALI20240927BHJP
B62J 9/21 20200101ALI20240927BHJP
【FI】
B62J17/083
B62J1/00 D
B62J1/20
B62J9/21
(21)【出願番号】P 2020135908
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】株式会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】鵜川 みち子
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-011816(JP,A)
【文献】特開2005-343266(JP,A)
【文献】特開2013-075657(JP,A)
【文献】特開2000-211570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00 - 1/28
B62J 9/00 - 9/40
B62J 17/00 - 17/10
B62J 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドル部の中央が略U字形状に形成された部分に取り付けられた子乗せシートの略全体を被覆する
カバーとして利用することができ、
かつ、前記子乗せシートの代わりに取り付けられた荷籠の全体を被覆する
カバーとしても利用することができる自転車の前部子乗せシート及び荷籠用カバーであって、
当該カバーの本体部の底面部に開口部を設け、当該開口部から前記子乗せシート又は荷籠の略全体を被覆することができ、
前記本体部の上面部には内部に物品を収納するための入口部が設けられ、
前記本体部の両側面部のそれぞれには自転車のハンドルグリップを挿通させるための挿通部が設けられ、
前記底面部の開口部の周縁部にはこの開口部を拡大縮小することができる拡縮手段を設け、前記入口部にはこの入口部の全体を閉鎖できる開閉自在の蓋部が設けられ、
前記入口部の後方側縁部に子乗せシートのヘッドレストの上縁部又は荷籠の後方上縁部を被覆するように引っ掛けることができる引っ掛け部を設け、
当該引っ掛け部を前記子乗せシートのヘッドレストの上縁部又は前記荷籠の後方上縁部に引っ掛けて前記開口部の拡縮手段を縮小させることにより前記子乗せシート又は荷籠に装着することができ
、
前記本体部の前面
部に所定間隔を開けて
横方向に延びる一対のスライドファスナーを設け、これら一対のスライドファスナーを閉鎖することにより前記前面部の上下方向長さが短くなり、前記スライドファスナーを開放することにより前記前面部の上下方向長さが長くな
ることを特徴とする自転車の前部子乗せシート及び荷籠用カバー。
【請求項2】
前記蓋部は、その前方側が前記本体部と接続し、
左右側方側と後方側が係着部材によって開閉自在に前記入口部に係着することができ、少なくとも前記蓋部の後方側に又は前記蓋部の
左右側方側及び後方側に前記係着部材を被覆する覆い部を設けたことを特徴とする請求項
1に記載の自転車の前部子乗せシート及び荷籠用カバー。
【請求項3】
前記蓋部の裏面にポケット状の収納部を設けたことを特徴とする請求項1
又は2に記載の自転車の前部子乗せシート及び荷籠用カバー。
【請求項4】
前記蓋部と前記入口部の係着部材がスライドファスナー又は面ファスナーであることを特徴とする請求項
2又は
3に記載の自転車の前部子乗せシート及び荷籠
用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル部の中央が略U字形状に形成された部分に予め取り付けられた子乗せシートを荷物入れ用として利用する際に使用するカバーに関し、或いは、子育てを終えて前記子乗せシートを使用しなくなった後に、前記子乗せシートを取り外して代わりに荷籠を取り付けた際に、当該荷籠をも被覆することができるカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の荷籠カバーとしては、本願出願人が提案した下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
特許文献1に記載の発明にあっては、サイズが前後方向に拡縮する荷籠に対応する荷籠カバーを提供することを課題とする。
【0003】
その構成は、底面に開口部を有し、自転車の後方荷台に固定した荷籠を前記開口部から上方より被覆することができるボックス状の本体部からなる。
本体部の前面又は後面の下端略中央部から上方に向けて係着自在の係着部材(スライドファスナー)を設ける。本体部の前面又は後面の上端縁部分には1又は2以上の係止部材を設け、且つこの係止部材が着脱自在に係止する係止受部を本体部の前面又は後面の適宜位置に設ける。上記係着部材を相互に係着し且つ上記係止部材を係止受部にそれぞれ係止することにより、カバーの大きさが縮小し、逆にこれらの係着及び係止を解除するとカバーの大きさが拡大する。底面開口部の周縁部に伸縮部材を設ける。開口部の左右方向に着脱自在の連結部材を設ける。上面部は蓋として開閉自在に構成したものである。
【0004】
特許文献2に記載の発明は、自転車用荷籠カバーにおいてその内容積を簡単に変更できるようにすることをその課題とする。
【0005】
その構成は下端部に開口部を有するボックス形状の本体部からなり、開口部を下に向けて自転車の荷籠及び内部の荷物を共に上から被覆することができる。
本体部は表側シート部材と裏側シート部材と両側の襠部シート部材とからなる。それぞれの襠部シート部材は二つ折りされ、その襠部シート部材の重ね合わせ面の上方部分の対応する位置に少なくとも一対の係止部材を設ける。これら一対の係止部材を相互に係止することにより、本体部が広げられた際に、本体部の内容積が小さく限定される。本体部の下端周縁部の全体又はその一部にはゴム紐等の弾性部材が設けられているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-290557号公報
【文献】特開2015-74324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の荷籠カバーは、自転車の後部荷台に取り付けられ、前後方向にその内容積が拡縮するタイプの後部荷籠を被覆することができるものである。
他方、上記特許文献2に記載の荷籠カバーは、自転車のハンドル部又は後部荷台に取り付けられた前部荷籠又は後部荷籠の何れをも内部の荷物と共に被覆することができる荷籠カバーであって、その上下方向に内容積を拡縮することができるものである。
【0008】
本願発明に係るカバーは、上記従来のような自転車のハンドル部や後部荷台に後から取り付けられた荷籠を被覆するカバーではなく、自転車のハンドル部の中央が略U字形状に形成された部分に取り付けられた子乗せシートや荷籠の略全体を被覆することができるカバーに関するものである。
【0009】
本願発明にあっては、上記した通り、自転車のハンドル部の中央が略U字形状に形成された部分に取り付けられた子乗せシートを荷物入れとして利用する際に使用するカバーであって、従来この種のカバーは存在していなかった。
【0010】
従来では、上記子乗せシートに幼児を載せてその幼児を雨等から防御するためのシートカバーは存在していたが、このシートカバーを利用してこの子乗せシートを荷物入れとして使用すると、カバーが大きすぎてしまうし、カバーを使わずにシートに荷物を乗せると、荷物は飛び出してしまう。
【0011】
そこで、本願発明においては、上記子乗せシートを荷物入れとして、つまり荷籠として利用する際に当該シートを被覆できるカバーを提供することがその課題である。
同時に、子育てを終えて、上記子乗せシートを使用しなくなった後に、シートの代わりに荷籠を取り付けた場合であっても、当該荷籠をも被覆できる荷籠カバーを提供することもその課題となる。
【0012】
更に、上記子乗せシートや荷籠に取り付ける際の取り付け易さ、子乗せシートとボックス形態の荷籠との共用とするための工夫を加えることも本願発明の課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車のハンドル部の中央が略U字形状に形成された部分に取り付けられた子乗せシートの略全体を被覆することができ、又は、前記子乗せシートの代わりに取り付けられた荷籠の全体を被覆することができるカバーであって、当該カバーの本体部の底面部に開口部を設け、当該開口部から前記子乗せシート又は荷籠の略全体を被覆することができ、前記本体部の上面部には内部に物品を収納するための入口部が設けられ、前記本体部の両側面部のそれぞれには自転車のハンドルグリップを挿通させるための挿通部が設けられ、前記底面部の開口部の周縁部にはこの開口部を拡大縮小することができる拡縮手段を設け、前記入口部にはこの入口部の全体を閉鎖できる開閉自在の蓋部が設けられ、前記入口部の後方側縁部に子乗せシートのヘッドレストの上縁部又は荷籠の後方上縁部を被覆するように引っ掛けることができる引っ掛け部を設け、当該引っ掛け部を前記子乗せシートのヘッドレストの上縁部又は前記荷籠の後方上縁部に引っ掛けて前記開口部の拡縮手段を縮小させることにより前記子乗せシート又は荷籠に装着することができることを特徴とする自転車の前部子乗せシート及び荷籠用カバーである。
【0014】
ここで、前記入口部の「後方側縁部」及び荷籠の「後方上縁部」とあるのは、当該カバーを自転車の子乗せシート又は荷籠に取り付けた状態における「後方」を意味し、自転車の進行方向を「前方」として、その逆の方向を意味する。以下、「前・後」の意味合いは同じである。
【0015】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記本体部の前面部の横方向に所定間隔を開けて一対のスライドファスナーを設け、これら一対のスライドファスナーを閉鎖することにより前記前面部の上下方向長さが短くなり、前記スライドファスナーを開放することにより前記前面部の上下方向長さが長くなることを特徴とする自転車の前部子乗せシート及び荷籠用カバーである。
【0016】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記蓋部は、その前方側が前記本体部と接続し、他の両側と後方側が係着部材によって開閉自在に前記入口部に係着することができ、少なくとも前記蓋部の後方側に又は前記蓋部の両側及び後方側に前記係着部材を被覆する覆い部を設けたことを特徴とする自転車の前部子乗せシート及び荷籠カバーである。
【0017】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3のそれぞれの発明において、前記蓋部の裏面にポケット状の収納部を設けたことを特徴とする自転車の前部子乗せシート及び荷籠カバーである。
【0018】
本発明の第5のものは、上記第3又は第4の発明において、前記蓋部と前記入口部の係着部材がスライドファスナー又は面ファスナーであることを特徴とする自転車の前部子乗せシート及び荷籠カバーである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1のものにおいては、自転車のハンドル部の中央が略U字形状に形成された部分に取り付けられた子乗せシートを荷物入れとして使用する際に、当該子乗せシートの略全体を、又は、前記子乗せシートの代わりに取り付けられた荷籠の略全体を被覆することができる。これにより、荷物は子乗せシート又は荷籠から外に飛び出す恐れが無くなるし、雨除けにもなるのである。
【0020】
前記本体部の両側面部のそれぞれには自転車のハンドルグリップを挿通させるための挿通部が設けられているために、前記子乗せシート又は前記荷籠の全体を被覆する際に、前記ハンドルグリップ等を適切にカバーの外部に取り出すことができる。
【0021】
前記入口部の後方側の縁部に子乗せシートのヘッドレストの上縁部又は荷籠の後方上縁部を被覆するように引っ掛けることができる引っ掛け部を設け、当該引っ掛け部を前記子乗せシートのヘッドレストの上縁部又は前記荷籠の後方上縁部に引っ掛けて前記底面部の開口部の拡縮手段を縮小させることにより前記子乗せシート又は荷籠に容易に装着することができることとなる。
【0022】
本発明の第2のものにおいては、本体部の前面部の横方向に所定間隔を開けて一対のスライドファスナーを設け、これら一対のスライドファスナーを閉鎖することにより前記前面部の上下方向長さが短くなり、前記スライドファスナーを開放することにより前記前面部の上下方向長さが長くなる。
ここでいう一対のスライドファスナーというのは、相互に歯合する2本のスライドファスナーを意味するものであって、1組のスライドファスナーと言い換えることもできる。
【0023】
これにより、子乗せシート及び荷籠の両方に適用することができる。即ち、子乗せシートの場合にはその本体部の前面部の上下方向長さが長くなるし、他方、荷籠を被覆する場合にはその本体部の上下方向長さを小さくする必要があり、これら両者を共に被覆するために、本体部の上下方向長さを調整できるようにしたものである。
【0024】
本発明の第3のものにおいては、前記蓋部の構成をより限定したものであり、前記蓋部は、その前方側が前記本体部と接続し、他の両側と後方側が係着部材によって開閉自在に前記入口部に係着することができ、少なくとも前記蓋部の後方側に又は前記蓋部の両側及び後方側に前記係着部材を被覆する覆い部を設けたものである。
係着部材としては例えばスライドファスナー等が利用され得るが、簡単に開閉でき、蓋部の前方側が本体部と連接しており、その蓋部を前方側に容易に解放することができ、この蓋部の少なくとも後方側に又は前記蓋部の両側及び後方側に覆い部を設けて、係着部材を被覆できるようにし、雨水等の侵入を防止できるように構成している。
【0025】
本発明の第4のものにおいては、前記蓋部を更に限定し、前記蓋部の裏面にポケット状の収納部を設けたものであり、蓋部の裏面に各種の小物を容易に収納できるようにしたものである。
【0026】
本発明の第5のものにおいては、上記第3又は第4の発明において特定した係着部材がスライドファスナー又は面ファスナーであることを特定したものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る自転車の前部子乗せシート及び荷籠カバーに係る一実施形態の側面説明図である。
【
図2】上記実施形態を斜め前方から見た斜視説明図である。
【
図3】上記実施形態を背面側斜め横方向から見た説明図である。
【
図4】上記実施形態に係るカバーの前面部を拡大した拡大説明図である。
【
図5】上記実施形態に係るカバーの上面部を図示しており、その蓋部を前面側に解放した状態を図示する説明図である。
【
図6】
図5の状態の略全体を図示する説明図である。
【
図7】自転車のハンドル部に取り付けられていた子乗せシートを取り外し、その代わりに荷籠を装着した状態を図示した説明図である。
【
図8】
図7に図示した荷籠に上記実施形態に係るカバーを装着した状態の全体説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下添付の図面と共に、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る自転車の前部子乗せシート及び荷籠カバーに係る一実施形態の側面説明図である。
図2は、上記実施形態を斜め前方から見た斜視説明図である。
図3は、上記実施形態を背面側斜め横方向から見た説明図である。
【0029】
本発明に係る自転車の前部子乗せシート及び荷籠用カバー(以下単に「カバー」と言う。)は、自転車のハンドル部の中央が略U字形状に形成された部分に予め取り付けられた子乗せシートを荷物入れ用として利用する際に使用するカバーであり、或いは、前記子乗せシートの代わりに荷籠を取り付けた際に、当該荷籠をも被覆することができる略ボックス形態の本体部10を有する。
【0030】
この本体部10の底面部には図には現れていないが開口部が設けられており、この開口部を拡開して上方から子乗せシート及び荷籠の略全体を被覆することができる。
即ち、この開口部の周縁部には当該周縁部に沿って挿通部が形成され、この挿通部内に伸縮自在のゴム紐等の伸縮自在紐状部材17を挿通させ、その両端部を上記本体部10の背面部10hの中央下端部から排出させて、換言すると、上記開口部の背面側中央部に設けた開口から外に引き出して、上記伸縮自在紐状部材17の両端部をストッパー部材18により固定して取り付けることができる(
図3参照)。
或いは、上記ストッパー部材を用いずに、単に上記挿通部内に環状の伸縮自在紐状部材を挿通させただけの構造であっても実施可能である。
【0031】
本体部10の上面部には、入口部が設けられ、この入口部の全体を閉鎖できる蓋部11が設けられている。
この蓋部11は、その前方縁部11fが本体部10に接続しており、その他の両側面及び後方側が係着部材としてのスライドファスナーによって開閉自在に形成されている。
この蓋部11を開放して内部の子乗せシート又は荷籠内に各種物品を収納することができる。
上記の図では、子乗せシートにカバーを被覆した状態を図示している。
【0032】
蓋部11の後方側には覆い部12が設けられており、上記入口部に蓋部11をスライドファスナーによって閉鎖した際に、当該スライドファスナーによる係着部分の後方側を被覆することができる。雨除けのためである。
尚、この蓋部11の両側の周縁部には外側に延長する庇状のヘリ部分が設けられており、このヘリ部分も雨除けの効果を有する。勿論、上記覆い部12を蓋部11の両側及び後方側の全てに設けるのも自由である。
【0033】
本体部10の両側面部10s、10sの略中央部分少し後方寄りにはハンドルグリップGを挿通するための挿通部10gが設けられている。
この挿通部10g、10gを利用してハンドル部の両端のハンドルグリップG及びブレーキレバーB等を外部に露出させることができる。
【0034】
本体部10の前面部10fの中央部やや下方には、その横方向に一対のスライドファスナーを設けている。
図2では、破線で示したスライドファスナー15は、その一方(上方)のスライドファスナー15であって、対を成すもう一方(下方)のスライドファスナーは、
図2の前面部10fの底面側に回り込んだ部分に設けられている。
【0035】
即ち、この
図2の状態で一対のスライドファスナーは開放された状態にあり、これら一対のスライドファスナーは、それぞれ所定の間隔をもって離れた位置に平行に設けられているのである。
従って、
図2の状態では、上記一対のスライドファスナーが分離した状態のため、本体部10の前面部10fは、上下に一番長い状態となっている。
【0036】
そして、所定間隔を維持して平行に設けた上記一対のスライドファスナーを歯合することによって、上記前面部10fの上下方向長さは一番短い状態となるのである。
このように、前面部10fを一番短い状態にすることによって、上記子乗せシートの代わりに荷籠を取り付けた際に、この荷籠を被覆する際に相応しい前面部の長さとなるのである。
【0037】
尚、上記スライドファスナー15には、このスライドファスナー15を被覆するための被覆部16が設けられており、上記一対のスライドファスナーを歯合させた際にも、これら歯合された一対のスライドファスナーは、この被覆部16によって被覆されるように構成している。スライドファスナー部分からの雨水の侵入防止と外観をスマートなものにするためである。
【0038】
図4は、上記実施形態に係るカバーの前面部を拡大した拡大説明図である。
この図から上記の一対の上方側のスライドファスナー15とこれを被覆する被覆部16の部分を良く見て取ることができる。
この図では、被覆部16を上方に捲り上げた状態を図示しており、その被覆部16の下面に設けられた上方のスライドファスナー15と、その右端側に位置するスライダー15sを見て取ることが出来る。
【0039】
この上方のスライドファスナー15と相互に歯合する他方(下方)のスライドファスナーは、本体部10の前面部10fの下端縁部側に上記スライドファスナー15と略平行に設けられているが、この前面部10fの下端縁部は子乗せシートの前面下側に回り込んでいるために、図には現れていない。
【0040】
この図には現れていない他方のスライドファスナーに上記スライドファスナー15を相互に歯合させることにより、前面部10fの上下の長さが短くなり、子乗せシートの代わりに取り付けられた荷籠を被覆するのに相応しいものとなる。
【0041】
図5は、上記実施形態に係るカバーの上面部を図示しており、その蓋部を前面側に開放した状態を図示する説明図である。
本体部10の上面部には入口部20が設けられ、この入口部20を閉鎖するように蓋部11が設けられている。
【0042】
上記蓋部11は、その前方縁部11fが本体部10の前面部に接続しており、この蓋部11の他の両側縁部と後方側縁部には係着部材としてのスライドファスナー11kが設けられている。
【0043】
他方、本体部10の入口部20の両側縁部及び後方側縁部にも係着部材としてのスライドファスナー20kが設けられており、これらスライドファスナー20kと上記スライドファスナー11kとを相互に係着して蓋部11を本体部10の入口部20を閉鎖することができる。換言すると、上記スライドファスナー11kとスライドファスナー20kとは相互に歯合できる一対のスライドファスナーを構成する。
【0044】
ここで、上記入口部20の後方側縁部に引っ掛け部25を設けている。
この引っ掛け部25は、上記入口部20の後方側の縁部と両側縁部の後端側に架けて内部に位置する子乗せシートのヘッドレストHの上縁部を覆うように且つ引っ掛けられるように設けられている。
【0045】
入口部20の周縁部に設けたスライドファスナー20kの後方側と両側の後端側は、上記引っ掛け部25の下方に配置している。
従って、蓋部11が入口部20を閉鎖した際には、この引っ掛け部25は、蓋部11に覆われることとなる。
【0046】
上記引っ掛け部25は、本実施形態に係るカバーを子乗せシート又は荷籠に装着する際に利用するものである。
即ち、上記カバーの本体部10を自転車の子乗せシート又は荷籠に被覆し装着する際には、上記引っ掛け部25を子乗せシートのヘッドレストHの上縁部に又は図示はしていない荷籠の後方上縁部に引っ掛け、本体部10の両側面部10s、10sに設けた挿通部10gにハンドルグリップG等を挿通させ、底面部の開口部を拡大させて子乗せシート又は荷籠に被覆し装着することができる。
【0047】
この際に、本体部10の蓋部11は本体部10の入口部20を閉鎖した状態にしておいても、或いは、解放した状態の何れの状態であってもよい。
また、上記取り付け装着の際に、本体部10の前面部の下端縁部を、即ち底面部の開口部の前方側を子乗せシートの前面下端部又は荷籠の前面下端部に引っ掛けるようにしてもよい。
【0048】
以上の通り、本発明に係るカバーは、その本体部の底面部に設けた開口部が上記した通り伸縮自在、拡縮自在に形成されており、且つ、上記引っ掛け部25の存在により容易に自転車の前部子乗せシート又は荷籠を被覆し装着することができる。
【0049】
図6は、
図5の状態の略全体を図示する説明図である。
この図においては、上記
図5の状態と同じ状態であるが、その本体部10の蓋部11の裏面を表示することを意図したものである。
【0050】
この図から解る通り、蓋部11は、本体部10の前面部10fの上方縁部に接続しており、この蓋部11の裏面には、ポケット状の収納部21が設けられ、その内部に各種の小物を収納することが出来るように構成している。
【0051】
この収納部21の入口21dからその内部に小物を収納することができ、この入口21dの二か所には面ファスナーからなる係止部21mが設けられ、この入口部21dが開閉自在に形成されている。
【0052】
図7は、自転車のハンドル部に取り付けられていた子乗せシートを取り外し、その代わりに荷籠を装着した状態を図示した説明図である。
図8は、
図7に図示した荷籠に上記実施形態に係るカバーを装着した状態の全体説明図である。
【0053】
上記実施形態に係るカバーは、上記子乗せシートを荷物入れとして利用する際に使用するが、育児を終えた使用者が上記子乗せシートの代わりに荷籠を取り付けた際にも、当該荷籠をも同じカバーで被覆できるようにしたものである。
【0054】
その際には、本体部10の前面部10fに設けた被覆部16の下面に位置する一対のスライドファスナーを相互に歯合することによって、前面部10fを上下に短い状態としておく。
その他は、上で記載した通り、子乗せシートに本実施形態に係るカバーを被覆するのと全く同じ要領で荷籠Nにカバーを被覆し装着することができる。
【0055】
荷籠Nに装着する際には、図には現れていないが、上面部の入口部の後方側に設けた引っ掛け部を荷籠Nの後方側上縁部に引っ掛け、底面部の開口部を拡開させて装着することができるのである。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその実施形態を種々設計変更することができる。
カバー本体部の形状、大きさ又はサイズは、適宜必要に応じて設計変更することが出来る。
本体部の素材は、ポリエステル等の柔軟性のある合成繊維製生地を使用することができるが、その蓋部の内部には芯材を配設して実施することもできる。
【0057】
本体部の前面部の被覆部の下に設けた一対のスライドファスナーは、相互に係着できる一対の面ファスナーであってもよい。
上記被覆部の大きさも自由に設計することができる。
【0058】
自転車のハンドルグリップ等を挿通できる挿通部の開口側縁部にも適宜面ファスナーを設けて、ハンドルグリップ等を外部に挿通させた後、その開口部分を閉鎖できるようにすることも大いに好ましい。
【0059】
蓋部の後方側縁部に設けた覆い部もその大きさは自由に設計することができる。
引っ掛け部の大きさも適宜自由に設計することができる。
本体部の前面部に設けた一対(1組)の係着部材としてのスライドファスナーも、略平行に設けた一対(1組)のスライドファスナーの間隔長さも自由に設定することができる。
間隔を大きく設ければ、本体部の前面部の上下長さもより大きく調整することができることとなる。
【0060】
子乗せシートを被覆する際には、子乗せシートのヘッドレストは、一番上に伸長させた状態でも、一番下に降ろした状態であっても、何れの場合にも本発明に係るカバーは被覆することができ、装着することができる。
【0061】
以上、本発明においては、自転車の略U字形状のハンドル部の中央に取り付けられた子乗せシート又はこれに代えて取り付けられた荷籠の何れにも装着することができ、これらの略全体を被覆することができるカバーを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0062】
10 本体部
10f 前面部
10g 挿通部
10h 背面部
10s 側面部
11 蓋部
11f 前方縁部(蓋部の)
11k スライドファスナー
12 覆い部
15 スライドファスナー
15s スライダー
16 被覆部
17 伸縮自在紐状部材
18 ストッパー部材
20 入口部
21 収納部
21d 入口
21m 係止部
25 引っ掛け部
B ブレーキレバー
G ハンドルグリップ
H ヘッドレスト
N 荷物