(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】施工管理システム、施工管理方法、及び施工管理用のコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2020157998
(22)【出願日】2020-09-21
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520367016
【氏名又は名称】株式会社インフィニティ
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】金子 潤
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-206099(JP,A)
【文献】特開2019-109718(JP,A)
【文献】特開2007-164741(JP,A)
【文献】特開2006-268765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築又は土木の施工現場において作業者が操作可能な作業者端末と、前記施工現場の監督者が操作可能な監督者端末とにおいて、各種の情報を共有するための施工管理システムであって、
前記作業者端末又は前記監督者端末を介して入力された作業情報を前記施工現場の図面情報に付加する作業情報付加手段と、
前記作業情報が付加された前記図面情報を含
み、作業当日より前に作業者と監督者との間で行われる作業打合せ内容を記録した情報である打合せ情報を前記作業者端末
及び前記監督者端末に
同期して配信する打合せ情報配信手段と、
を備えることを特徴とする、施工管理システム。
【請求項2】
複数の前記作業者端末又は前記監督者端末を介して前記作業情報付加手段により付加された複数の前記作業情報を一の前記図面情報に集約する作業情報集約手段と、
前記作業情報集約手段により複数の前記作業情報を集約して生成された一の前記図面情報を含む連絡情報を複数の前記作業者端末及び前記監督者端末に配信する連絡情報配信手段と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の施工管理システム。
【請求項3】
前記作業者端末を介して入力された複数の現場作業員の署名を受け付ける署名受付手段と、
前記署名受付手段により受け付けられた複数の現場作業員の署名に基づき、現場作業員の人数を算出する作業員人数算出手段と、
前記作業者端末を介して入力された作業者の属性情報、作業の安全に関する安全点検情報、及び前記作業員人数算出手段に算出された現場作業員の人数を示す作業員人数情報を安全情報として前記監督者端末に送信する安全情報送信手段と、備え、
前記連絡情報配信手段は、複数の前記作業者端末を介して前記作業員人数算出手段により得られた前記作業員人数情報に基づき、前記属性情報ごとに現場作業員の合計人数を示す属性別合計人数情報を生成し、当該属性別合計人数情報を前記連絡情報に含めて配信することを特徴とする、請求項2に記載の施工管理システム。
【請求項4】
建築又は土木の施工現場において作業者が操作可能な作業者端末と、前記施工現場の監督者が操作可能な監督者端末とにおいて、各種の情報を共有するための施工管理
システムが実行する方法であって、
前記作業者端末又は前記監督者端末を介して入力された作業情報を前記施工現場の図面情報に付加する作業情報付加ステップと、
前記作業情報が付加された前記図面情報を含
み、作業当日より前に作業者と監督者との間で行われる作業打合せ内容を記録した情報である打合せ情報を前記作業者端末
及び前記監督者端末に
同期して配信する打合せ情報配信ステップと、
を含むことを特徴とする、施工管理方法。
【請求項5】
建築又は土木の施工現場において作業者が操作可能な作業者端末と、前記施工現場の監督者が操作可能な監督者端末とにおいて、各種の情報を共有するため
の施工管理システムを制御するコンピュータ
を、
前記作業者端末又は前記監督者端末を介して入力された作業情報を前記施工現場の図面情報に付加する作業情報付加手
段、
前記作業情報が付加された前記図面情報を含
み、作業当日より前に作業者と監督者との間で行われる作業打合せ内容を記録した情報である打合せ情報を前記作業者端末
及び前記監督者端末に
同期して配信する打合せ情報配信手段
、
として機能させるため
のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築又は土木といった施工作業の関係者が利用可能な施工管理システム、施工管理方法、及び施工管理用のコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の施工管理システムとしては、例えば、発注・納品管理、工事に伴う承認管理、報告書作成に適したものが従来において提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-215854号公報
【文献】特開2009-134685号公報
【文献】特開2010-140103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のいずれの施工管理システムでも、施工現場にて職長として従事する多数の作業者と監督者とのやり取りを容易に行うことができるような構成が採用されていないので、特に現場管理や監督業務に伴う労力を低減することができない難点があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、作業者と監督者とがスムーズかつ容易に施工作業に伴う情報をやり取りすることができ、ひいては現場管理や監督業務に伴う労力を低減することができる施工管理システム、施工管理方法、及び施工管理用のコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)建築又は土木の施工現場において作業者が操作可能な作業者端末と、前記施工現場の監督者が操作可能な監督者端末とにおいて、各種の情報を共有するための施工管理システムであって、
前記作業者端末又は前記監督者端末を介して入力された作業情報を前記施工現場の図面情報に付加する作業情報付加手段と、
前記作業情報が付加された前記図面情報を含み、作業当日より前に作業者と監督者との間で行われる作業打合せ内容を記録した情報である打合せ情報を前記作業者端末及び前記監督者端末に同期して配信する打合せ情報配信手段と、
を備えることを特徴とする、施工管理システム。
【0007】
(1)の発明において、施工管理システムは、作業者端末と監督者端末とにおいて各種の情報を共有するためのものであり、作業情報付加手段と打合せ情報配信手段とを備える。
作業情報付加手段は、作業者端末又は監督者端末を介して入力された作業情報を施工現場の図面情報に付加する。
打合せ情報配信手段は、作業情報が付加された図面情報を含み、作業当日より前に作業者と監督者との間で行われる作業打合せ内容を記録した情報である打合せ情報を作業者端末及び監督者端末に同期して配信する。
【0008】
(1)の発明によれば、作業者と監督者とが作業者端末及び監督者端末をそれぞれ用いて、作業情報が付加された図面情報を含む打合せ情報をスムーズかつ容易にやり取りすることができるので、現場管理や監督業務において必要な打合せ作業における労力を低減することができる。
【0009】
(2)複数の前記作業者端末又は前記監督者端末を介して前記作業情報付加手段により付加された複数の前記作業情報を一の前記図面情報に集約する作業情報集約手段と、
前記作業情報集約手段により複数の前記作業情報を集約して生成された一の前記図面情報を含む連絡情報を複数の前記作業者端末及び前記監督者端末に配信する連絡情報配信手段と、
を備えることを特徴とする、(1)に記載の施工管理システム。
【0010】
(2)の発明によれば、複数の作業情報が集約された一の図面情報を含む連絡情報を複数の作業者端末と監督者端末とで共有することができるので、現場管理や監督業務において必要な全体連絡業務における労力を低減することができる。
【0011】
(3)前記作業者端末を介して入力された複数の現場作業員の署名を受け付ける署名受付手段と、
前記署名受付手段により受け付けられた複数の現場作業員の署名に基づき、現場作業員の人数を算出する作業員人数算出手段と、
前記作業者端末を介して入力された作業者の属性情報、作業の安全に関する安全点検情報、及び前記作業員人数算出手段に算出された現場作業員の人数を示す作業員人数情報を安全情報として前記監督者端末に送信する安全情報送信手段と、備え、
前記連絡情報配信手段は、複数の前記作業者端末を介して前記作業員人数算出手段により得られた前記作業員人数情報に基づき、前記属性情報ごとに現場作業員の合計人数を示す属性別合計人数情報を生成し、当該属性別合計人数情報を前記連絡情報に含めて配信することを特徴とする、(2)に記載の施工管理システム。
【0012】
(3)の発明によれば、作業者の属性情報や安全点検情報のほか、複数の現場作業員の署名に基づき得られた作業員人数情報を含めた安全情報が監督者端末に送信され、さらに、属性情報ごとに現場作業員の合計人数を示す属性別合計人数情報が連絡情報に含めて複数の作業者端末と監督者端末とに配信されるので、現場管理や監督業務において必要な危険予知活動における労力を低減することができる。
【0013】
(4) 建築又は土木の施工現場において作業者が操作可能な作業者端末と、前記施工現場の監督者が操作可能な監督者端末とにおいて、各種の情報を共有するための施工管理システムが実行する方法であって、
前記作業者端末又は前記監督者端末を介して入力された作業情報を前記施工現場の図面情報に付加する作業情報付加ステップと、
前記作業情報が付加された前記図面情報を含み、作業当日より前に作業者と監督者との間で行われる作業打合せ内容を記録した情報である打合せ情報を前記作業者端末及び前記監督者端末に同期して配信する打合せ情報配信ステップと、
を含むことを特徴とする、施工管理方法。
【0014】
(4)の発明によれば、各ステップを順次実行することにより、(1)の発明と同様の効果を得ることができる。
【0015】
(5)建築又は土木の施工現場において作業者が操作可能な作業者端末と、前記施工現場の監督者が操作可能な監督者端末とにおいて、各種の情報を共有するための施工管理システムを制御するコンピュータを、
前記作業者端末又は前記監督者端末を介して入力された作業情報を前記施工現場の図面情報に付加する作業情報付加手段、
前記作業情報が付加された前記図面情報を含み、作業当日より前に作業者と監督者との間で行われる作業打合せ内容を記録した情報である打合せ情報を前記作業者端末及び前記監督者端末に同期して配信する打合せ情報配信手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【0016】
(5)の発明によれば、作業者端末あるいは監督者端末のコンピュータに各プログラムを実行させることにより、(1)の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作業者と監督者とがスムーズかつ容易に施工作業に伴う情報をやり取りすることができ、ひいては現場管理や監督業務に伴う労力を低減することができる施工管理システム、施工管理方法、及び施工管理用のコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る施工管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る施工管理システムによる処理を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態に係る施工管理システムによるメニュー画面の表示例を説明するための説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る施工管理システムによる打合せ画面の表示例を説明するための説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る施工管理システムによる打合せ画面の表示例を説明するための説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る施工管理システムによるKY画面の表示例を説明するための説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る施工管理システムによるKY画面の表示例を説明するための説明図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る施工管理システムによる朝礼画面の表示例を説明するための説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る施工管理システムによる朝礼画面の表示例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、同一又は類似の構成には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る施工管理システムの機能構成を示すブロック図である。本発明の一実施形態に係る施工管理システムAは、建築現場あるいは土木現場といった施工現場において作業する職長クラスの作業者とその現場監督にあたる元請け会社の監督者とが各種の情報を共有するためのシステムである。以下の説明では、職長を作業者、職長以外の施工作業に従事する現場作業員を単に作業員という。施工管理システムAは、サーバ1、ネットワーク2、複数の作業者端末3、及び監督者端末4を有して構成される。サーバ1は、元請け会社あるいは第三者にあたる会社等が管理するファイル共有機能や通信機能を備えたクラウドサーバである。ネットワーク2は、いわゆるインターネットであり、サーバ1及び作業者端末3、監督者端末4の間で各種の情報の通信を可能とする。作業者端末3は、基本的に作業者が操作するものであり、ネットワーク2に接続可能なタブレットあるいはスマートフォンが好適に用いられる。監督者端末4は、元請け会社あるいは下請け会社の監督者が操作するものであり、作業者端末3と同様にタブレットあるいはスマートフォンが適用可能であるが、ネットワーク2に接続可能なノートパソコンやデスクトップパソコンも適用可能である。
【0021】
サーバ1は、主として、通信手段10、情報記憶手段11、作業情報付加手段12、打合せ情報配信手段13、安全情報送信手段14、作業情報集約手段15、連絡情報配信手段16を有して構成される。このサーバ1には、後述する施工管理処理を実行するためのプログラムが含まれる。
【0022】
通信手段10は、作業者端末3あるいは監督者端末4との間で各種の情報をやり取りする。
【0023】
情報記憶手段11は、作業者端末3あるいは監督者端末4から送信されてきた各種の情報を記憶する。各種の情報としては、例えば作業者情報、監督者情報、新規入場者情報、図面情報、作業情報、打合せ情報、連絡情報、安全情報(作業者の属性情報、安全点検情報、作業員人数情報)、属性別合計人数情報等がある。作業者情報は、作業者端末3に紐付けて登録された作業者に関する情報である。監督者情報は、監督者端末4に紐付けて登録された監督者に関する情報である。新規入場者情報は、施工現場に新規入場する作業員の個人情報であり、これに対応して例えばQRコード(登録商標)が生成・発行される。図面情報は、施工現場の図面に関するデータであり、例えばCADデータといったベクトルデータや、図面の画像データが該当する。作業情報は、施工現場における各種の作業内容を示す情報であり、基本的に作業者端末3を介して入力された文字情報である。打合せ情報は、作業当日より前(例えば作業前日)に作業者と監督者との間で行われる作業打合せ内容を記録した情報である。連絡情報は、作業当日の朝礼に際して作業者及び監督者が確認する事項を示した情報であり、作業者端末3及び監督者端末4に配信可能とされる。安全情報は、作業当日の朝礼前に行われる危険予知活動(以下、略してKY活動という)に際して作業者及び監督者が安全点検すべき事項を示した情報であり、作業者端末3及び監督者端末4に配信可能とされる。安全情報には、作業者が所属する会社を示す属性情報、施工作業に際して事前に確認すべき点検事項を示す安全点検情報、作業当日に施工作業に従事する作業員の人数を示す作業員人数情報等が含まれる。属性別合計人数情報は、作業者が所属する会社ごとに当日作業に従事する作業員の合計人数を示す情報であり、朝礼時に対応する連絡情報に含まれるものである。
【0024】
作業情報付加手段12は、特定の作業者と監督者との間で打合せを行う際、主として作業者端末3を介して入力された作業情報を図面情報の対応する部分に書き加えたものを作成する。こうして作業情報が付加された図面情報は、当該作業情報が入力された作業者端末3に対応した部分図面情報として情報記憶手段11に記憶される。なお、作業情報付加手段12は、監督者端末4を介して入力された作業情報を図面情報に書き加えることも可能である。
【0025】
打合せ情報配信手段13は、特定の作業者と監督者との間で打合せを行う際、作業情報付加手段12により作成された部分図面情報を他の情報と共に打合せ情報として監督者端末4及び作業者端末3に配信する。
【0026】
安全情報送信手段14は、作業者と監督者との間でKY活動を行う際、作業者端末3を介して入力された安全情報を監督者端末4に送信する。
【0027】
作業情報集約手段15は、一の図面情報に対して複数の作業情報が付加された複数の部分図面情報を当該一の図面情報に集約し、統合図面情報として作成する。こうして複数の作業情報が集約された統合図面情報は、情報記憶手段11に記憶される。
【0028】
連絡情報配信手段16は、朝礼を行う際、統合図面情報や属性別合計人数情報を含む連絡情報を監督者端末4及び作業者端末3に配信する。
【0029】
作業者端末3は、タブレットあるいはスマートフォンが有する基本的な通信機能や表示操作機能のほか、署名受付手段30、作業員人数算出手段31を有して構成される。
【0030】
署名受付手段30は、作業者と監督者との間でKY活動を行う際、作業者端末3を介して例えば手書き入力された複数の作業員の署名(サイン)を受け付ける。
【0031】
作業員人数算出手段31は、作業者と監督者との間でKY活動を行う際、作業者端末3を介して署名された作業員の署名数から当日施工作業に従事する作業員の人数を算出する。こうして算出された作業員の人数は、作業員人数情報としてサーバ1に送信され、さらに作業員人数情報が安全情報に含めてサーバ1から監督者端末4に送信される。また、複数の作業者端末3から送信された複数の作業員人数情報に基づき、サーバ1は、属性別合計人数情報を作成し、朝礼を行う際に属性別合計人数情報を含む連絡情報を監督者端末4及び作業者端末3に配信する。なお、監督者端末4も、基本的に作業者端末3と同様の機能を有して構成される。このような作業者端末3及び監督者端末4には、後述する施工管理処理を実行するためのネイティブアプリが含まれる。
【0032】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータプログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータプログラムによって実現される。すなわち、各機能処理手段は、このコンピュータプログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0033】
次に、
図2を参照して施工管理処理について説明する。
図2は、サーバ1による施工管理処理を示すフローチャートである。なお、施工管理処理に係るプログラムは、主としてサーバ1において実行されるが、一部のプログラムについては、作業者端末3又は監督者端末4の操作に応じてネイティブアプリにより実行される。
【0034】
まず、施工管理処理においては、例えば作業者端末3や監督者端末4のメニュー画面(
図3参照)から打合せのアイコン100が選択され、打合せ処理に係るコマンドがサーバ1に送信される。
図2に示すように、打合せ処理に係るコマンドを受信したサーバ1は、打合せ処理を行う(ステップS1)。この打合せ処理では、作業者端末3における作業者の操作又は監督者端末4における監督者の操作に基づき、
図4に示すような作業関連情報110と図面情報111とを含む打合せ情報を生成し、この打合せ情報を打合せ情報配信手段13により、が作業者端末3及び監督者端末4に対して同期しつつ配信される。これにより、作業者と監督者とは、施工現場と事務所のデスクといった場所で互いに離れていても、作業者端末3及び監督者端末4に同期して表示される打合せ情報(打合せ画面)を用いて適宜打合せを行うことができる。
【0035】
このような打合せ処理において、作業者端末3や監督者端末4に打合せ画面が表示されると、作業関連情報110及び図面情報111が打合せ情報として表示される(
図4参照)。図面情報111は、それを選択する操作がなされると、表示画面が横画面となって図面情報111のみが表示される。図面情報111が表示された画面領域においてピンチ操作を行うと、図面情報111が拡大表示・縮小表示される。そして、
図5に示すように、図面情報111内の所望とする領域を囲うように指定するドラッグ操作を行い、例えば「天井、壁配管作業」といった作業内容を文字入力すると、該当する作業領域と作業内容とを示す作業情報111aが図面情報111にオーバーラップ表示される。この際、文字入力は、手書き入力も可能である。また、図面情報111内において所望とするポイントから他のポイントまで直線的に真っすぐ引くようなドラッグ操作を行うと、これらのポイント間の直線距離を示す距離情報111bが図面情報111にオーバーラップ表示される。これらの操作に応じたコマンドは、サーバ1に送信され、サーバ1においては、作業情報付加手段12により、図面情報111内の指定された箇所に作業情報111a及び距離情報111bが付加される(ステップS2)。このようにして作業情報111a及び距離情報111bが付加された図面情報111は、打合せ情報配信手段13により、打合せ情報として作業者端末3及び監督者端末4に配信される(ステップS3)。これにより、作業者端末3及び監督者端末4においては、作業情報111a及び距離情報111bが付加された図面情報111(部分図面情報)が同期して表示され(
図5参照)、作業者と監督者とは、同期して表示される図面情報111(部分図面情報)を用いて互いに食い違いなくスムーズに打合せを行うことができる。
【0036】
次に、例えば作業者端末3のメニュー画面(
図3参照)からKYのアイコン200が選択され、KY処理に係るコマンドがサーバ1に送信される。
図2に示すように、KY処理に係るコマンドを受信したサーバ1は、KY処理を行う(ステップS4)。このKY処理では、作業者端末3における作業者や作業員の操作の操作に基づき、
図6及び
図7に示すような属性情報210、安全点検情報220、作業員人数情報230を含む安全情報を生成し、この安全情報を安全情報送信手段14により、作業者端末3及び監督者端末4に対して同期しつつ送受信される。これによれば、作業者と監督者とは、作業者端末3及び監督者端末4に同期して表示される安全情報(KY画面)を用いて安全点検事項を互いに確認することができる。
【0037】
このようなKY処理において、作業者端末3にKY画面が表示されると、
図6に示すように、作業者の属性情報210、作業者によって点検事項がチェックされた内容を示す安全点検情報220が表示され、夫々の情報に必要事項を入力することができる。また、
図7に示すように、署名欄240に各々の作業員が自筆による手書き入力によって署名をすると、作業者端末3においては、署名受付手段30により各者の署名が受け付けられ、作業員人数算出手段31により署名数に基づいて作業員人数情報230が自動的に生成される。そうして、属性情報210、安全点検情報220、作業員人数情報230を含む安全情報がサーバ1に送信されると、この安全情報を受信したサーバ1は、安全情報送信手段14により監督者端末4に対しても同一の安全情報を送信する(ステップS5)。これにより、作業者端末3及び監督者端末4においては、KY活動に必要な安全情報が同期して表示され(
図6、
図7参照)、作業者と監督者とは、同期したKY画面に表示される安全情報を用いてスムーズに安全点検を行うことができる。
【0038】
次に、例えば監督者端末4のメニュー画面(
図3参照)から朝礼のアイコン300が選択されると、朝礼処理に係るコマンドがサーバ1に送信される。
図2に示すように、朝礼処理に係るコマンドを受信したサーバ1は、対応する作業者端末3と監督者端末4とを相互接続して朝礼処理を行う(ステップS6)。この朝礼処理では、連絡情報配信手段16により
図8及び
図9に示すような図面情報(統合図面情報)310や属性別合計人数情報320を含む連絡情報が作業者端末3及び監督者端末4に対して同期しつつ配信される。これによれば、作業者と監督者とは、作業者端末3及び監督者端末4に同期して表示される連絡情報を確認しながら朝礼を行うことができる。
【0039】
このような朝礼処理においては、作業情報集約手段15によりステップS2において一の図面情報111に付加された複数の作業情報111a等(直線情報111bを含む)が集約され、一の図面上に複数の作業情報111a等がまとめて示される統合図面情報310が生成される(ステップS7)。また、朝礼処理においては、ステップS5において受信した安全情報に含まれる属性情報210及び作業員人数情報230に基づき、会社別の作業員人数を示す属性別合計人数情報320が生成される。このような統合図面情報310及び属性別合計人数情報320が得られると、サーバ1は、連絡情報配信手段16により作業者端末3及び監督者端末4に対して統合図面情報310及び属性別合計人数情報320を含む連絡情報を配信する(ステップS8)。これにより、作業者端末3及び監督者端末4においては、朝礼時に必要な作業情報や会社別の作業員人数情報が同期して表示され(
図8、
図9参照)、作業者と監督者とは、同期した朝礼画面に表示される連絡情報を用いてスムーズに朝礼を行うことができる。
【0040】
なお、特に図示しないが、施工管理処理においては、新規入場者(作業員)を事前に登録しておくことも可能である。例えば、作業者端末3のメニュー画面(
図3参照)から新規登録のアイコン400を選択すると、新規入場者に関する個人情報(名前、住所、緊急連絡先、端末のアドレス等)を作業者端末3を介して入力することができる。そうして個人情報が入力されると、その個人情報がサーバ1に送信され、サーバ1においては、個人情報に対応するQRコード(登録商標)が生成される。生成されたQRコード(登録商標)は、例えば、新規入場者の端末(図示無し)や、監督者端末4に送信される。監督者は、監督者端末4のメニュー画面(
図3参照)からコード読み取りのアイコン500を選択し、提示された新規入場者の端末に表示されたQRコード(登録商標)を、監督者端末4で読み取ることで、新規入場者に関する個人情報を確認することができる。
【0041】
このような施工管理システムAによれば、作業者と監督者とが個別に行う作業前日の打合せにおいては、作業者端末3及び監督者端末4をそれぞれ用いて、作業情報111a等が付加された図面情報(部分図面情報)111を含む打合せ情報をスムーズかつ容易にやり取りすることができるので、現場管理や監督業務において必要な打合せ作業における労力を低減することができる。
【0042】
また、複数の作業者と監督者とが作業当日に行う朝礼においては、複数の作業情報111a等が集約された一の統合図面情報310を含む連絡情報を複数の作業者端末3と監督者端末4とで共有することができるので、現場管理や監督業務において必要な全体連絡業務を伴う朝礼時の労力を低減することができる。
【0043】
また、作業者と監督者とが作業当日の朝礼前に行うKY活動においては、作業者の属性情報210や安全点検情報220のほか、複数の作業員の署名に基づき得られた作業員人数情報230を含めた安全情報が監督者端末4に送信され、さらに、属性情報210ごとに作業員の合計人数を示す属性別合計人数情報320が連絡情報に含めて複数の作業者端末3と監督者端末4とに配信されるので、現場管理や監督業務において必要な危険予知活動における労力を低減することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記の実施形態や実施例に限定されるものではない。
【0045】
上記の実施形態では、基本的にサーバ1を介して情報をやり取りするようにしているが、基本的な情報処理機能を作業者端末3及び監督者端末4に備えるようにし、いわゆるクラウドコンピューティングによって相互にやり取りすべき必要な情報のみをクラウドサーバに登録してやり取りするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
A 施工管理システム
1 サーバ
3 作業者端末
4 監督者端末
12 作業情報付加手段
13 打合せ情報配信手段
14 安全情報送信手段
15 作業情報集約手段
16 連絡情報配信手段
30 署名受付手段
31 作業員人数算出手段
111a 作業情報
111 図面情報
210 属性情報
220 安全点検情報
230 作業員人数情報
320 属性別合計人数情報