(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】外気侵入抑制装置
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20240927BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240927BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F25D21/04 N
F25D21/04 M
F25D23/02 301B
F25D23/06 303U
(21)【出願番号】P 2021000655
(22)【出願日】2021-01-06
【審査請求日】2023-12-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年8月2日に株式会社ロジスティクス・ネットワーク 船橋物流センターにて、鈴木 智人が発明した外気侵入抑制装置について、その性能評価試験を実施。
(73)【特許権者】
【識別番号】521010388
【氏名又は名称】株式会社アメージング
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智人
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-303477(JP,A)
【文献】特開2011-117646(JP,A)
【文献】特開2018-204857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵倉庫の荷物搬入出口に設けられた外気侵入抑制装置であって、
前記冷蔵倉庫の外部側に設けられたシェルターと、
前記冷蔵倉庫の内部側に設けられたシャッターと、
前
記シェルターと前記シャッターとの間に形成された前室と、
前記前室の上部に設けられ、前記前室内の空気を外部へ強制的に排気する機能を備える排気装置と、を有
し、
前記排気装置は、換気扇と、前記換気扇の吸気側に接続された吸気管と、前記吸気管の外周に接続され、前記前室内の空気を吸い込む複数のダクトとを有する
外気侵入抑制装置。
【請求項2】
前記ダクトは、下方に向かって開口している請求項
1に記載の外気侵入抑制装置。
【請求項3】
前記ダクトは、前記前室上方の前記シャッター寄りに設けられている請求項
1または
2に記載の外気侵入抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気侵入抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流用冷蔵庫と運搬用トラックとの間で荷の搬入搬出を行なう際に、物流用冷蔵庫の搬入出口部からは冷気が逃げるだけでなく、外気が侵入して冷蔵庫内に結露を生じたり、或いは粉塵や昆虫等が飛び込んできたりする不具合があった。
【0003】
これを防止する方法として、物流用冷蔵庫の搬入出口部の外方に、トラックの荷台部分の外方を覆うことが可能なエアシェルターやドックシェルターなどを設置して、粉塵や昆虫の侵入を防ぐと共に、前記トラックの荷台の後端部を物流用冷蔵庫の搬入出口部のプラットホームに当接させてトラックを停車させて、荷の搬入搬出時にトラックの荷台の後端部と前記プラットホーム端部との隙間から冷気が洩れるのを防止するようにした例が知られている。
【0004】
しかし、このようなエアシェルター等を用いた方法では、外気の侵入を抑制することが十分ではなく、冷蔵庫内の結露を十分に防止することが困難であった。
さらに、ドックシェルターと荷捌き室のオーバースライド(オーバードア)との間の空間(除湿室)に除湿手段を設けて、冷蔵庫内に結露が発生するのを防止する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の装置では、除湿室内部で外気を循環させるため、完全には湿気を除去することができず、また、そもそも急速に除湿することは難しく、日に何度も繰り返される荷の搬入搬出時において、冷蔵庫内の結露を十分に抑制することができなかった。
そこで、本発明は、荷の搬入搬出時等において、冷蔵庫内の結露を十分に抑制することが可能な外気侵入抑制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、冷蔵倉庫の荷物搬入出口に設けられた外気侵入抑制装置であって、
前記冷蔵倉庫の外部側に設けられたシェルターと、
前記冷蔵倉庫の内部側に設けられたシャッターと、
前記シェルターと前記シャッターとの間に形成された前室と、
前記前室の上部に設けられ、前記前室内の空気を外部へ強制的に排気する機能を備える排気装置と、を有し、
前記排気装置は、換気扇と、前記換気扇の吸気側に接続された吸気管と、前記吸気管の外周に接続され、前記前室内の空気を吸い込む複数のダクトとを有する
外気侵入抑制装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷の搬入搬出時等において、冷蔵庫内の結露を十分に抑制することが可能な外気侵入抑制装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】外気侵入抑制装置の全体構成の一例を示す横断面図である。
【
図2】
図1に示す外気侵入抑制装置の縦断面図である。
【
図3】
図1に示す外気侵入抑制装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の外気侵入抑制装置について、詳細に説明する。
図1は、外気侵入抑制装置の全体構成の一例を示す横断面図、
図2は、
図1に示す外気侵入抑制装置の縦断面図、
図3は、
図1に示す外気侵入抑制装置の正面図である。
【0011】
図1~3に示すように、外気侵入抑制装置100は、冷蔵倉庫の荷物搬入出口10に設けられている。
また、外気侵入抑制装置100は、冷蔵倉庫の外部側に設けられたシェルター1と、冷蔵倉庫の内部側に設けられたシャッター2と、シェルター1とシャッター2との間に形成された前室3と、前室3の上部に設けられ、前室3内の空気を外部へ強制的に排気する機能を備える排気装置4と、を有している。
また、冷蔵倉庫には、前室3の奥側(冷蔵庫内部側)に荷捌き室6が設けられている。荷捌き室6は、0~10℃に温度管理されている。
【0012】
シェルター1は、
図1および
図3に示すように、冷蔵倉庫の外部側に設けられている。シェルター1は、
図3に示すように、左側シェルター1A、右側シェルター1Bおよび上側シェルター1Cで構成されている。
【0013】
シェルター1は、荷物搬入出口10において、荷の搬入搬出時に、トラックの荷台の後端部に、左側シェルター1A、右側シェルター1Bおよび上側シェルター1Cのそれぞれが密着して、トラックの荷台の後端部側から冷気が洩れるのを抑制しつつ、外気が冷蔵倉庫内部に入り込むのを抑制する。
【0014】
シェルター1としては、例えば、エアシェルター、ドッグシェルター、オートシェルター等が挙げられ、いずれのものも用いることができる。
なお、シェルター1よりもさらに外部側にシャッター等の隔壁があってもよい。
【0015】
シャッター2は、冷蔵倉庫の内部側に設けられている。シャッター2は、冷蔵庫内の荷捌き室6と前室3とを仕切る機能を備えている。また、シャッター2は、荷の搬入搬出時には上部に巻き上げられ、前室3と荷捌き室6とを行き来できるように構成されている。
シャッター2としては、特に限定されず、シートシャッターなどの既存のシャッターを用いることができる。
【0016】
前室3は、シェルター1とシャッター2との間に設けられている。
前室3は、
図1および2に示すように、外部側のシェルター1、荷捌き室6側のシャッター2、前室床部(プラットホーム)31、前室天井部32、左右の前室壁部33に囲まれた空間で構成されている。
【0017】
排気装置4は、前室3の上部に設けられており、前室3内の空気を外部へ強制的に排気する機能を備えている。
排気装置4は、換気扇41と、換気扇41の吸気側に接続された吸気管42と、吸気管42の外周に接続された複数のダクト(吸気口)43と、換気扇41の排気側に接続された排気管44と、排気管44の末端に設けられた排気口45とで構成されている。
換気扇41としては、例えば、シロッコファンタイプ、プロペラファンタイプ、斜流ファンタイプ、ターボファンタイプ、ラインファンタイプ等を用いることができる。
【0018】
換気扇41の風量(排気の風量)は、特に限定されないが、1300m3/h以上であることが好ましく、1400m3/h以上3000m3/h以下であることがより好ましく、1500m3/h以上2600m3/h以下であることがさらに好ましい。換気扇41の風量が前記下限値未満であると、前室3の大きさによっては、十分な量の空気を外部に排出することが困難となる場合がある。これに対して、換気扇41の風量が大きすぎると、前室3の大きさによっては、前室3内で空気の乱流が生じてしまい、冷蔵庫内の結露を十分に抑制することができない場合がある。
【0019】
吸気管42は、換気扇41の吸気側に設けられている。
また、吸気管42は、一方の前室壁部33側から他方の前室壁部33側に向かって延在しており、シャッター2と略平行となるように配置されている。
吸気管42の外周には5つのダクト43が接続されている。
5つのダクト43は、略均等間隔で配置されている。すなわち、5つのダクト43は、一方の前室壁部33側から他方の前室壁部33側に向かって略等間隔で配列した構成となっている。
また、各ダクト43は、下方に向かって開口している。
【0020】
また、吸気管42およびダクト43は、図示の構成のように、前室上方のシャッター2寄りに設置されている。これにより、前室3内において、シャッター2の近傍で、下から上に向かう空気の流れが発生し、この空気流によって、前室3内の外気が荷捌き室6内に侵入するのを抑制することができる。
なお、吸気管42の内径およびダクト43の開口径は、130~400mm程度であるのが好ましく、150~300mm程度であるのがより好ましい。
【0021】
なお、ダクト43の数は、図示の構成では、5つであるが、その数は、特に限定されず、1つでもよいし、2~4つでもよいし、6つ以上であってもよく、前室3の大きさによってその数を増減させることができる。一般的には、ダクト43の数は、3~5つ程度であることが好ましい。
【0022】
排気管44は、換気扇41の排気側に接続されている。
排気管44は、前室3の前室壁部33を貫通して、冷蔵倉庫外部へと延在しており、吸気した空気を、末端の排気口45を介して、冷蔵倉庫外部へ排気できるよう構成されている。
【0023】
また、荷捌き室6とシャッター2との間には、オーバードア5が設けられている。このオーバードア5は、断熱性を備えており、荷捌き室6の内部温度に対する前室3の内部温度の影響を低減するよう構成されている。
【0024】
以上説明したような外気侵入抑制装置100によれば、前室3と荷捌き室6との間に下から上に向かう空気の流れが形成されるため、前室3に入った外気が荷捌き室6へ侵入するのを抑制することができ、外気による冷蔵庫(荷捌き室6)内の結露を十分に抑制することができる。
【0025】
以上、本発明の外気侵入抑制装置の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されない。
【符号の説明】
【0026】
1 シェルター
1A 左側シェルター
1B 右側シェルター
1C 上側シェルター
2 シャッター
3 前室
31 前室床部(プラットホーム)
32 前室天井部
33 前室壁部
4 排気機構
41 換気扇
42 吸気管
43 ダクト(吸気口)
44 排気管
45 排気口
5 オーバードア
6 荷捌き室
7 トラック
10 荷物搬入出口