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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】塗布体付き化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/16 20060101AFI20240927BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A45D33/16
A45D34/04 525Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021071737
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166491
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】吉原 伸一
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-119329(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0008061(KR,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0121752(US,A1)
【文献】中国実用新案第201192160(CN,Y)
【文献】特開2001-224437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00-33/16
A45D 34/04
A46B 17/04
A46B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体としての筒状のバレルと、
被塗布部に化粧料を塗布するための塗布体と、
前記塗布体を把持するコアと、
前記化粧料を収容可能であり前記化粧料を通過可能とする開口を先端側に有し前記バレルに装着されたボトルと、
前記バレルに対して軸線方向に摺動可能とされたスリーブと、
前記バレルに対する前記スリーブの摺動動作に連動して前記ボトルに対し軸線方向に移動不能且つ軸線周りに相対回転可能となるように係合され、先端側に開放部及び閉塞部を有すると共に、前記開放部及び前記閉塞部より軸線方向前側に前記コアを装着するジョイントと、を備え、
前記スリーブは、その摺動動作により、前記塗布体を露出させる又は前記塗布体の外周を覆うことが可能とされ、
前記スリーブが前記塗布体を露出させる方向へ摺動すると、前記ジョイントの前記開放部が前記ボトルの前記開口と重なり前記化粧料の通過を可能とし、
前記スリーブが前記塗布体の外周を覆う方向へ摺動すると、前記ジョイントの前記閉塞部が前記ボトルの前記開口と重なり前記化粧料の通過を不可能とすることを特徴とする塗布体付き化粧料容器。
【請求項2】
前記ジョイントの前記開放部及び前記閉塞部と、前記塗布体との間に、前記化粧料の量の調節のための調節部を備えていることを特徴とする請求項1記載の塗布体付き化粧料容器。
【請求項3】
前記ボトルは、前記バレルに着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項1又は2記載の塗布体付き化粧料容器。
【請求項4】
前記コアは、前記ジョイントに着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の塗布体付き化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収容した化粧料を塗布するための塗布体付き化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗布体付き化粧料容器として、以下の特許文献1が知られている。この特許文献1に記載の塗布体付き化粧料容器は、化粧を施すための塗布体(ソフトヘアー)を容器先端に備え、使用時には塗布体を覆うキャップ(保護キャップ)を取り外し、容器内部に収容した化粧料(パウダー)を塗布体により被塗布部(肌)に塗布できるようになっている。この塗布体付き化粧料容器は、持ち運びが便利で使い勝手が良いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-224437
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の塗布体付き化粧料容器にあっては、持ち運んでいる最中や、塗布体の先端を下向きにして置いた際には、意図せずに化粧料が塗布体へ移動してしまい、塗布体に化粧料が付き過ぎてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、使用者が意図しないときに、化粧料が塗布体へ漏れ出る(移動してしまう)ことを防止できる塗布体付き化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による塗布体付き化粧料容器は、容器本体としての筒状のバレルと、被塗布部に化粧料を塗布するための塗布体と、塗布体を把持するコアと、化粧料を収容可能であり化粧料を通過可能とする開口を先端側に有しバレルに装着されたボトルと、バレルに対して軸線方向に摺動可能とされたスリーブと、バレルに対するスリーブの摺動動作に連動してボトルに対し軸線方向に移動不能且つ軸線周りに相対回転可能となるように係合され、先端側に開放部及び閉塞部を有すると共に、開放部及び閉塞部より軸線方向前側にコアを装着するジョイントと、を備え、スリーブは、その摺動動作により、塗布体を露出させる又は塗布体の外周を覆うことが可能とされ、スリーブが塗布体を露出させる方向へ摺動すると、ジョイントの開放部がボトルの開口と重なり化粧料の通過を可能とし、スリーブが塗布体の外周を覆う方向へ摺動すると、ジョイントの閉塞部がボトルの開口と重なり化粧料の通過を不可能とすることを特徴としている。
【0007】
このような塗布体付き化粧料容器によれば、スリーブは、容器本体としてのバレルに対し軸線方向に摺動可能であり、バレルには、化粧料を収容可能であり化粧料を通過可能とする開口を先端側に有するボトルが装着されている。ボトルには、先端側に開放部及び閉塞部を有するジョイントが、軸線方向に移動不能且つ軸線周りに相対回転可能となるように係合されている。ジョイントの開放部及び閉塞部より軸線方向前側には、塗布体を把持したコアが装着されており、スリーブは、その摺動動作により、塗布体を露出させる又は塗布体の外周を覆うことが可能となっている。塗布体付き化粧料容器を例えば持ち運ぶ等の非使用時にあっては、スリーブは、塗布体の外周を覆うようにバレルに対し摺動し引き出されている。この状態では、ジョイントの閉塞部はボトルの開口と重なり、ボトル内の化粧料が開口を通過することが不可能とされている。一方、塗布体付き化粧料容器を使用すべく、スリーブが、塗布体を露出させるようにバレルに対し摺動し押し込まれると、ジョイントがボトルに対して相対回転し、ジョイントの開放部がボトルの開口と重なり、ボトル内の化粧料が開口、開放部を通過して塗布体へ向かい、露出した塗布体により塗布に供することが可能とされている。すなわち、使用者が意図しないときにあっては、化粧料が塗布体へ漏れ出る(移動してしまう)ことを防止できる。
【0008】
ここで、ジョイントの開放部及び閉塞部と、塗布体との間に、化粧料の量の調節のための調節部を備えていると、化粧料の塗布体への出過ぎを防止でき、適量を塗布することができる。
【0009】
また、ボトルは、バレルに着脱可能に装着されていると、例えば化粧料を使い切ってしまった場合等に、化粧料を収容した新たなボトルに容易に交換できる。
【0010】
また、コアは、ジョイントに着脱可能に装着されていると、例えば塗布体が劣化した場合等に、新たな塗布体を把持した新たなコアに容易に交換できる。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、使用者が意図しないときに、化粧料が塗布体へ漏れ出ることを防止できる塗布体付き化粧料容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る塗布体付き化粧料容器を示す縦断面図であり、スリーブが塗布体の外周を覆うようにバレルに対し摺動し引き出されキャップが装着された非使用時の状態を示す縦断面図である。
図2図1の状態からキャップを取り外しスリーブが塗布体を露出させるようにバレルに対し摺動し押し込まれた使用時の状態を示す縦断面図である。
図3図1に示す塗布体付き化粧料容器の塗布体及び調整部を除いた分解斜視図である。
図4図3中のバレルを示す斜視図である。
図5図4に示すバレルの縦断面図である。
図6図3中のボトルを示す側面図である。
図7図6に示すボトルの左側面図である。
図8図7中のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図3中のジョイントを示す斜視図である。
図10図9に示すジョイントの側面図である。
図11図10に示すジョイントの左側面図である。
図12図11中のXII-XII線に沿う断面図である。
図13図3中のスリーブを示す側面図である。
図14図13に示すスリーブの右側面図である。
図15図14中のXV-XV線に沿う断面図である。
図16図3中のコアを示す側面図である。
図17図16中のXVII-XVII線に沿う断面図である。
図18図17に示すコアに調整部を装着した断面図である。
図19】他の調整部を含むコアを後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による塗布体付き化粧料容器の好適な実施形態について図1図19を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る塗布体付き化粧料容器を示す縦断面図であり、スリーブが塗布体の外周を覆うようにバレルに対し摺動し引き出されキャップが装着された非使用時の状態を示す縦断面図、図2は、図1の状態からキャップを取り外しスリーブが塗布体を露出させるようにバレルに対し摺動し押し込まれた使用時の状態を示す縦断面図、図3は、図1に示す塗布体付き化粧料容器の塗布体及び調整部を除いた分解斜視図、図4及び図5は、バレルを示す各図、図6図8は、ボトルを示す各図、図9図12は、ジョイントを示す各図、図13図15は、スリーブを示す各図、図16及び図17は、コアを示す各図、図18は、コアに調整部を装着した断面図、図19は、他の調整部を含むコアを後方から見た斜視図である。
【0014】
本実施形態の塗布体付き化粧料容器は、粉体化粧料としての例えばパウダーを被塗布部である肌等に塗布体により塗布するものである。
【0015】
図1及び図3に示すように、塗布体付き化粧料容器100は、容器本体としてのバレル1と、バレル1の後端側に装着されてバレル1内に位置し、内部にパウダーPを収容するボトル(ここでは、パウダーバレルとも呼ぶ)2と、被塗布部にパウダーPを塗布するための塗布体としてのブラシ(毛筆ブラシ)3と、ブラシ3の後部を把持するコア4と、バレル1内に配置されて軸線方向に摺動可能なスリーブ5(図2も参照)と、先端側にコア4を装着すると共に、スリーブ5の内側に配置されてスリーブ5の摺動動作に連動してボトル2に対し相対回転し、ボトル2内のパウダーPをブラシ3へ向かって流動可能/不能とする弁機能を有するジョイント6(図2も参照)と、ジョイント6とコア4との間に配置され、ジョイント6からブラシ3へ移動するパウダーPの量を調節するための調節部7と、バレル1の先端側に着脱される蓋体としてのキャップ8と、ボトル2の後端部を覆う尾栓9と、を概略備えている。
【0016】
バレル1は、例えばABS等からなり、図3図5に示すように、円筒状に構成される。バレル1の先端部は段差1aを介して縮径され、先端部の外周面には、キャップ8を軸線方向に係合するための凸部1bが円環状に設けられている。
【0017】
バレル1の内周面には、段差1aより多少軸線方向後側の位置から、径方向へへこみ(拡径し)後方へ開放される周方向に幅広の凹部1cを、スリーブ5を軸線方向に摺動させるためのものとして備えている。凹部1cは、軸線周り90°等配の位置にそれぞれ配置されている。バレル1の凹部1cの先端面は、スリーブ5の後述する凸部5aが突き当たるスリーブ5の前進限として機能する。また、バレル1の後端部の内周面には、ボトル2を螺合により装着するための雌螺子1eが螺旋状に設けられ、雌螺子1eより前側には、ジョイント6を装着するための凹部1dが円環状に設けられている。
【0018】
ボトル2は、例えばPET等からなり、図3図6図8に示すように、段付き有頂円筒状に構成される。このボトル2内は、パウダーPを収容するためのものである。
【0019】
ボトル2の後部は拡径部とされ、拡径部の軸線方向中間部は大径円筒部2aとされている。ボトル2の拡径部において大径円筒部2aより前側は縮径され、その外周面には、バレル1の雌螺子1eに螺合する雄螺子2bが螺旋状に設けられている。ボトル2の拡径部において大径円筒部2aより後側は縮径され、その外周面には、凸部2cが円環状に設けられると共に、大径円筒部2aより後側の内周面には、周方向に沿って多数の凹凸が並設されたローレット2dが設けられている。これらの凸部2c及びローレット2dは、尾栓9を圧入嵌合するためのものである。また、ボトル2の先端部の外周面には、Oリング10(図1参照)を装着するためのOリング溝2eが円環状に設けられている。Oリング10は、ボトル2とジョイント6との間の気密を図るためのものである。
【0020】
ボトル2の有頂部2fには、軸線方向視扇子の扇面形状をなし、内外を連通する開口2gが一対、対向するように設けられている。この開口2gは、パウダーPを通過可能とするためのものである。
【0021】
尾栓9は、例えばPP等からなり、図1及び図3に示すように、有底円筒状に構成されると共に、二重円筒状に形成されている。
【0022】
図1に示すように、尾栓9は、ボトル2の後端部に押し込まれ、尾栓9の内筒が、ボトル2の後端部のローレット2dに内挿されて嵌合すると共に、尾栓9の外筒が、ボトル2の後端部の凸部2cに外挿され軸線方向に係合することにより、尾栓9がボトル2に圧入嵌合されている。このように、尾栓9により、その後端部が閉じられたボトル2内が、パウダーPを収容する収容空間とされている。なお、ボトル2内には、パウダーPを撹拌するための撹拌球12が収容されている。
【0023】
ブラシ3は、例えばPBT等よりなり、被塗布部にパウダーPを塗布するためのものである。図1に示すように、ブラシ3は、多数の毛(繊維)3aを束ねたものであり、その外形は略円柱状をなしている。ブラシ3の後部は、例えばアルミ等からなる円筒状のブラシ保持部11に内挿され、例えば接着や溶着等により固着されている。
【0024】
コア4は、例えばABS等からなり、ブラシ3を把持するためのものである。このコア4は、図3図16及び図17に示すように、外筒4a及び内筒4bを有する二重円筒状に構成される。コア4の外筒4aの前半部は、ブラシ3の後部を固定したブラシ保持部11が押し込まれて把持するためのものとして設けられている。
【0025】
内筒4bは、コア4の略前半部にのみ配置され、外筒4aの軸線方向略中央の内周面と内筒4bの後端部は円板状の仕切部4cで連結されている。仕切部4cには、内筒4b内に連通する貫通孔4dが、パウダーPを通過させるためのものとして設けられている。内筒4bは、ブラシ3の後端部の軸心位置に対応し当該後端部に押し込まれるものとして設けられている。コア4の仕切部4cの後端面において貫通孔4dを囲む位置には、後方へ短尺に突出する円筒部4eが、調節部7を装着するために設けられている。
【0026】
コア4の外筒4aの後端部の内周面には、対向して凸部4fが一対、コア4をジョイント6に着脱可能に装着するためのものとして設けられている。外筒4aの凸部4fの前側で仕切部4cへ亘っては、外筒4aの内外を連通する連通孔4gが、それぞれ設けられている。これらの連通孔4gは、金型成形で凸部4fを形成する際に、コアピンを後方へ無理抜きしないための金型が進入するものとして設けられている。
【0027】
また、コア4の外筒4aの先端部の外周面には、周方向に沿って多数の凹凸が並設されたローレット4hが設けられている。このローレット4hは、コア4をジョイント6に着脱する際に、容易に摘まむことを可能とする滑り止めとして設けられている。
【0028】
そして、図1に示すように、ブラシ保持部11が外筒4aに内挿されて固定され、内筒4bが、ブラシ3の後端部の軸心位置に押し込まれる結果、ブラシ3は、スリーブ5から露出した状態(図2参照)では、先端に行くに従ってフワフワと多少径方向に膨んでいく形状となっている。
【0029】
スリーブ5は、例えばPET等からなり、図3図13図15に示すように、円筒状に構成される。スリーブ5は、ブラシ3の外周を覆う前進位置(図1参照)と、ブラシ3を露出させる後退位置(図2参照)との間を摺動するものである。
【0030】
スリーブ5の後端部の外周面には、バレル1の凹部1cに進入し回転方向に係合すると共に凹部1cを摺動するための凸部5aが、軸線周り90°等配の位置にそれぞれ配置されている。スリーブ5の後端部の内周面には、ジョイント6を軸線周りに相対回転可能に案内するための突起5bが、対向して一対設けられている。また、スリーブ5の先端部の外周面には、円環状をなし軸線方向に沿って並ぶ凹凸部5cが、スリーブ5を摺動させる際に、容易に摘まむことを可能とする滑り止めとして設けられている。
【0031】
そして、図1に示すように、スリーブ5は、その先端側からバレル1に内挿され、その凸部5aがバレル1の凹部1cに進入することにより、バレル1に対して軸線方向に摺動可能且つ軸線周りに回転不能とされている。
【0032】
ジョイント6は、例えばPOM等からなり、図3図9図12に示すように、段付き円筒状に構成される。ジョイント6は、スリーブ5の摺動に連動してボトル2に対して相対回転するものである。
【0033】
ジョイント6は、先端側から後端側に亘って、先端部6a、中間部6b、後端部6cが、この順に連設されている。中間部6bの内外径は、先端部6aの内外径より大きくされ、後端部6cの内外径は、中間部6bの内外径より大きくされている。
【0034】
先端部6aの先端6dの外周面は小径とされ、この小径の先端6dから中間部6bまで続く係合筒6eの外周面は先端6dより大径且つ中間部6bより小径とされ、この係合筒6eの外周面には、先端6dの外周面と面一をなす凹溝6fが、コア4の外筒4aの凸部4fが進入し移動するためのものとして、対向して一対設けられている。
【0035】
凹溝6fは、側面視略L字状をなすように外周面に沿って設けられ、L字を形成する一方側6gが、軸線方向に沿って延びて先端6dの外周面に連通し、L字を形成する他方側6hが、周方向に沿って延びている。
【0036】
先端部6a内と中間部6b内とは仕切部6iにより仕切られている。仕切部6iには、ボトル2の有頂部2fの開口2gとほぼ同形状をなし、すなわち、軸線方向視扇子の扇面形状をなし、先端部6a内と中間部6b内を連通する開口としての開放部6jが一対、パウダーPを通過させるためのものとして対向するように設けられている。また、仕切部6iの開放部6j以外の他の部分は、閉塞部6kとされている。これらの開放部6j及び閉塞部6kが、ボトル2内のパウダーPをブラシ3へ向かって流動可能/不能とする弁機能を発揮する。
【0037】
中間部6bの外周面には、スリーブ5の突起5bが進入し案内するための案内溝6mが、対向して一対設けられている。案内溝6mは、軸線方向に螺旋状に延び、軸線方向視において1/4円弧に跨がるように設けられ、中間部6bの軸心を中心とした点対称の形状となっている。案内溝6mは、その先端が前方へ開放されると共にその後端が後端部6cの先端面まで延びている。
【0038】
後端部6cの外周面には、バレル1の凹部1dに軸線方向に係合する凸部6nが、円環状に設けられている。また、後端部6cの先端面は、スリーブ5の凸部5aが突き当たるスリーブ5の後退限として機能する。
【0039】
そして、図1に示すように、ジョイント6は、その先端側からバレル1に内挿され、その凸部6nがバレル1の凹部1dに軸線方向に係合することにより、バレル1に対して軸線方向に移動不能且つ軸線周りに相対回転可能とされる。この状態で、スリーブ5の突起5bが、ジョイント6の案内溝6mの先端側から進入することにより、スリーブ5はジョイント6に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに相対回転可能とされている。
【0040】
この状態で、尾栓9で後端部が閉じられたボトル2は、その先端側からバレル1に内挿され、ボトル2の雄螺子2bより前側が、ジョイント6の中間部6bに内挿されると共に、ボトル2の雄螺子2bがバレル1の雌螺子1eに螺子込まれ、ボトル2の大径円筒部2aの先端面が、バレル1の後端面に突き当たることにより、ボトル2がバレル1に着脱可能に装着されている。すなわち、バレル1とボトル2は一体化され、ジョイント6は、バレル1及びボトル2に対して軸線方向に移動不能、且つ、スリーブ5の軸線方向の摺動動作に連動して軸線周りに相対回転可能とされている。
【0041】
コア4は、その外筒4aの後端側からジョイント6の先端部6aに外挿され、その凸部4f(図17参照)が、図9及び図10に示すように、ジョイント6のL字状の凹溝6fの一方側6gに進入し、コア4が回転されて、その凸部4fが凹溝6fの他方側6hに進入し軸線方向に係合することにより、ジョイント6に着脱可能に装着されている。コア4を取り外す場合には、コア4を逆方向に回転させ、軸線方向前側へ引き出せば良い。
【0042】
調節部7は、例えばスポンジとされ、図1及び図18に示すように、短尺な円柱状に形成されている。この調節部7は、図1に示すように、ブラシ3とジョイント6の仕切部6iとの間に配置されている。より具体的には、調節部7は、図18に示すように、コア4の円筒部4e内に配置されると共に、図1及び図2に示すように、コア4の仕切部4cと、ジョイント6の仕切部6iの開放部6j及び閉塞部6kとの間に配置されており、ジョイント6からブラシ3へのパウダーPの量を調節のためのものとして設けられている。
【0043】
キャップ8は、例えばPP等からなり、図1及び図3に示すように、有頂円筒状に構成される。図1に示すように、キャップ8の後端部の内周面には、バレル1の凸部1bに軸線方向に係合するための凹部8aが円環状に設けられ、このキャップ8の凹部8aがバレル1の凸部1bに係合/離脱することにより、キャップ8がバレル1に着脱可能に装着される。
【0044】
このような構成の塗布体付き化粧料容器100によれば、塗布体付き化粧料容器100を例えば持ち運ぶ等の非使用時にあっては、図1に示すように、スリーブ5は、ブラシ3の外周を覆うようにバレル1に対し摺動し引き出されており、スリーブ5の凸部5aが、バレル1の凹部1cの先端面に突き当たる前進限に位置している。
【0045】
この状態では、ボトル2の有頂部2fの開口2gに対して、ジョイント6の仕切部6iの開放部6jは、周方向に90°ずれた位置にあり、ジョイント6の閉塞部6kがボトル2の開口2gと重なり、ボトル2内のパウダーPが開口2gを通過する(漏れ出る)ことが不可能とされている。
【0046】
また、この状態では、スリーブ5が引き出されてブラシ3の外周を覆うため、図2に示す使用時の際において、先端に行くに従ってフワフワと多少径方向に膨んでいく形状のブラシ3であっても、キャップ8を容易に装着できる。
【0047】
一方、塗布体付き化粧料容器100を使用するにあたっては、図2に示すように、キャップ8が取り外され、スリーブ5が、ブラシ3を露出させるようにバレル1に対し摺動し押し込まれる。すると、スリーブ5の突起5bが、ジョイント6の案内溝6m(図9及び図10参照)に案内されながら、スリーブ5とジョイント6が90°相対回転し、スリーブ5の凸部5aが、ジョイント6の後端部6cの先端面に突き当たる後退限に位置することになる。
【0048】
この状態では、ジョイント6の開放部6jがボトル2の開口2gと重なり、ボトル2内のパウダーPが開口2g、開放部6jを通過してブラシ3へ向かい、露出したブラシ3により塗布に供することが可能とされている。
【0049】
すなわち、本実施形態の塗布体付き化粧料容器によれば、使用者が意図しないときにあっては、パウダーPがブラシ3へ漏れ出る(移動してしまう)ことを防止できる。
【0050】
また、本実施形態によれば、ジョイント6の開放部6j及び閉塞部6kと、ブラシ3との間に、パウダーPの量の調節のための調節部7を備えているため、パウダーPのブラシ3への出過ぎを防止でき、適量を塗布することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、ボトル2は、バレル1に着脱可能に装着されているため、例えばパウダーPを使い切ってしまった場合等に、パウダーPを収容した新たなボトルに容易に交換できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、コア4は、ジョイント6に着脱可能に装着されているため、例えばブラシ3が劣化した場合等に、新たなブラシを把持した新たなコアに容易に交換できる。
【0053】
また、本実施形態によれば、コア4の着脱の際に、コア4の外筒4aの先端部の外周面の滑り止めのローレット4hを摘まんで行えるため、着脱操作が容易である。
【0054】
また、本実施形態によれば、スリーブ5を引き出し/押し込む際に、スリーブ5の先端部の外周面の滑り止めの凹凸部5c摘まんで行えるため、引き出し/押し込み操作が容易である。
【0055】
また、本実施形態によれば、螺子機構により、ボトル2がバレル1に対して着脱されるため、ボトル2がバレル1に対して押し込み/引き出しにより着脱される機構に比して、例えば携行時等にボトル2がバレル1から外れてしまう虞を低減できる。
【0056】
なお、本実施形態においては、ボトル2内のパウダーPをブラシ3へ向かって流動可能/不能とする弁機能を発揮する場合、スリーブ5の摺動操作によって、ジョイント6の開放部6jとボトル2の開口2gとを回転により重ならせて、ボトル2内のパウダーPの開口2gの通過を可能とする一方で、ジョイント6の閉塞部6kとボトル2の開口2gとを回転により重ならせて、ボトル2内のパウダーPの開口2gの通過を不可能としている。また、レフィル(交換式)のボトル2は、ボトル2の回転操作によって、パウダーPを収容した新たなボトルに交換可能となっている。ここで、スリーブ5の摺動操作に代えて、螺子機構による回転操作により上述した弁機能を発揮する構成を採用すると、2箇所に螺合機構が存在することになり、塗布体付き化粧料容器100を使用する際に、間違ってボトル2を回転操作してしまい、ボトル2がバレル1から外れ、パウダーPが出てしまうという虞があるが、本実施形態においては、塗布の際には摺動操作を行い、ボトル2の交換の際には回転操作を行うため、誤操作を確実に防止できるようになっている。
【0057】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、開口2gや開放部6jの個数を2個としているが、1個でも良く、開口2g、開放部6jの大きさを変えることで3個以上としても良い。ジョイント6が例えば45°回転するなら、開口を4個とすることができる。
【0058】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、バレル1に対するボトル2の着脱を螺子により行うようにしているが、必ずしも螺子に限定されるものではなく、例えば嵌合等であっても良い。
【0059】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、ジョイント6に案内溝6mを設け、スリーブ5に、案内溝6mに案内される突起5bを設けているが、これとは逆に、ジョイント6に突起を設け、スリーブ5に案内溝を設けても良い。
【0060】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、バレル1、尾栓9、キャップ8等の外形形状を円形としているが、角形、扁平形、楕円等種々の中から適宜採用できる。
【0061】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、パウダーPの量を調節するための調節部7をスポンジとしているが、スポンジ以外の他の多孔質材としても良い。また、例えば多孔質材をなくし、コア4に代えて、図19に示すコア14を用いても良い。このコア14では、スポンジ取り付け位置に、後方へ突出する中空の略円錐状の円錐部13aを設け、当該円錐部13aの内部空間が内筒4b内に連通し、円錐部13aの周面に、円錐部13aの内部空間と外部を連通するスリット13bが周方向に沿って複数形成された形状とされている。このような円錐部13a及びスリット13bを調節部13として備えたコア14を用いても、スポンジを始めとした多孔質材の調節部7を用いる場合と同様に、パウダーPのブラシ3への出過ぎを防止でき、適量を塗布することができる。
【0062】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、塗布体をブラシ3としているが、コーム、チップ、パフ等としても良い。
【0063】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、化粧料をパウダーPとしているが、パウダー以外の粉体化粧料でも良く、液状化粧料やジェル状化粧料等であっても良い。
【符号の説明】
【0064】
1…バレル、2…ボトル、2g…開口、3…ブラシ(塗布体)、4,14…コア、5…スリーブ、6…ジョイント、6j…開放部、6k…閉塞部、7,13…調節部、100…塗布体付き化粧料容器、P…パウダー(化粧料)。
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