(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】デバイスのスクリーン用の光フィルタリングフィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/22 20060101AFI20240927BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240927BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G02B5/22
G02F1/1335 500
G02F1/1333
(21)【出願番号】P 2022091653
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2020526348の分割
【原出願日】2018-11-14
【審査請求日】2022-06-15
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516353560
【氏名又は名称】アイセーフ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】バレット、ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】モー、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ、ボニー
(72)【発明者】
【氏名】トル、ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、デレック
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-126064(JP,A)
【文献】特開2011-144280(JP,A)
【文献】特開2017-116951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスのスクリーン用の光フィルタリングフィルムであって、
ポリマー基板と、
前記ポリマー基板と組み合わされた第1の吸収化合物であって、前記第1の吸収化合物が、50nm以下の半値全幅を有する青色ノッチバンド内の青色光を吸収する、第1吸収化合物と、
前記ポリマー基板と組み合わされた第2の吸収化合物であって、前記第2の吸収化合物が、50nm以下の全幅半値を有するノッチバンド内の光を吸収する、第2吸収化合物と、を含み、
前記第1の吸収化合物および前記第2の吸収化合物は、前記光フィルタリングフィルムを透過する前記スクリーンによって生成される光に対応する相関色温度が、前記光フィルタリングフィルムを透過しない前記スクリーンによって生成された光に対応する相関色温度から1000ケルビン以内にあるように、組み合わせて提供され、
前記第1吸収化合物は415nmと455nmの間
に最大吸収ピークがある吸収を有し、前記第2吸収化合物は
600nmと700nmの間
に最大吸収ピークがある吸収を有し、
前記第2吸収化合物の前記第1吸収化合物に対する比率は1:1以上である光フィルタリングフィルム。
【請求項2】
デバイスのスクリーン用の光フィルタリングフィルムであって、
ポリマー基板と、
前記ポリマー基板と組み合わされた第1の吸収化合物であって、前記第1の吸収化合物が、50nm以下の半値全幅を有する青色ノッチバンド内の青色光を吸収する、第1吸収化合物と、
前記ポリマー基板と組み合わされた第2の吸収化合物であって、前記第2の吸収化合物が、50nm以下の全幅半値を有するノッチバンド内の光を吸収する、第2吸収化合物と、を含み、
前記第1の吸収化合物および前記第2の吸収化合物は、前記光フィルタリングフィルムを透過する前記スクリーンによって生成される光に対応する相関色温度が、前記光フィルタリングフィルムを透過しない前記スクリーンによって生成された光に対応する相関色温度から1000ケルビン以内にあるように、組み合わせて提供され、
前記第1吸収化合物は415nmと455nmの
間に最大吸収ピークがある吸収を有し、前記第2吸収化合物は600nmと750nmの
間に最大吸収ピークがある吸収を有し、
前記第2吸収化合物の前記第1吸収化合物に対する比率は1:1以上である光フィルタリングフィルム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記第2吸収化合物は630nmと700nmの間に最大吸収ピークがある吸収を有する光フィルタリングフィルム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記第2吸収化合物は620nmと700nmの間に最大吸収ピークがある吸収を有する光フィルタリングフィルム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記第2吸収化合物は650nmと690nmの間に最大吸収ピークがある吸収を有する光フィルタリングフィルム。
【請求項6】
請求項2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記第2吸収化合物は670nmと730nmの間
に最大吸収ピークがある吸収を有する光フィルタリングフィルム。
【請求項7】
請求項2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記第2吸収化合物は
670nmと
720nmの間
に最大吸収ピークがある吸収を有する光フィルタリングフィルム。
【請求項8】
請求項1又は
2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記ポリマー基板は、アクリルポリマー、エポキシポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、PETGとPCTGの共重合ポリエステル、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、スチレンアクリロニトリル、を含む光フィルタリングフィルム。
【請求項9】
請求項1又は
2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
防眩コーティング、ハードコーティングおよびタックコーティングのうちの少なくとも一つを有する光フィルタリングフィルム。
【請求項10】
請求項1又は
2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
電子デバイスに適用される光フィルタリングフィルム。
【請求項11】
請求項10に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記電子デバイスはLED(光発光ダイオード)、LCD(液晶ディスプレー)、コンピュータモニター、装置スクリーン、テレビ、タブレット、携帯電話のうちの少なくとも一つを含む光フィルタリングフィルム。
【請求項12】
請求項10に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記電子デバイスは静電容量型タッチスクリーンを含む光フィルタリングフィルム。
【請求項13】
請求項1又は
2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記第1吸収化合物はその中に分散した青色または青緑の有機染料を有する光フィルタリングフィルム。
【請求項14】
請求項13に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記有機染料は青緑色フタロシアニンを含む光フィルタリングフィルム。
【請求項15】
請求項1又は
2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
D65白点から1000ケルビン以内にある光を出光する光フィルタリングフィルム。
【請求項16】
請求項1又は
2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記第1吸収化合物、前記第2吸収化合物またはこれら両方は前記ポリマー基板の中に含浸されている光フィルタリングフィルム。
【請求項17】
請求項1又は
2に記載する光フィルタリングフィルムであって、
接着剤を含む光フィルタリングフィルム。
【請求項18】
請求項
17に記載する光フィルタリングフィルムであって、
前記接着剤は感圧接着剤である光フィルタリングフィルム。
【請求項19】
光フィルタリングフィルムの作製方法であって、
電子デバイス用のスクリーンを提供する工程と、
ポリマー基板と組み合わされた第1の吸収化合物および前記ポリマー基板と組み合わされた第2の吸収化合物のうちの少なくとも一つを含浸する工程を含み、前記第1の吸収化合物が50nm以下の半値全幅を有する青色ノッチバンド内の青色光を吸収するものであり、前記第2の吸収化合物が50nm以下の全幅半値を有するノッチバンド内の光を吸収するものであり、
前記第1の吸収化合物および前記第2の吸収化合物は、前記光フィルタリングフィルムを透過する前記スクリーンによって生成される光に対応する相関色温度が、前記光フィルタリングフィルムを透過しない前記スクリーンによって生成された光に対応する相関色温度から1000ケルビン以内にあるように、組み合わせて提供され、
前記第1吸収化合物は415nmと455nmの間
に最大吸収ピークがある吸収を有し、前記第2吸収化合物は
600nmと700nmの間
に最大吸収ピークがある吸収を有し、
前記第2吸収化合物の前記第1吸収化合物に対する比率は1:1以上である光フィルタリングフィルムの生成方法。
【請求項20】
光フィルタリングフィルムの作製方法であって、
電子デバイス用のスクリーンを提供する工程と、
ポリマー基板と組み合わされた第1の吸収化合物および前記ポリマー基板と組み合わされた第2の吸収化合物のうちの少なくとも一つを含浸する工程を含み、前記第1の吸収化合物が50nm以下の半値全幅を有する青色ノッチバンド内の青色光を吸収するものであり、
前記第2の吸収化合物が50nm以下の全幅半値を有するノッチバンド内の光を吸収するものであり、
前記第1の吸収化合物および前記第2の吸収化合物は、前記光フィルタリングフィルムを透過する前記スクリーンによって生成される光に対応する相関色温度が、前記光フィルタリングフィルムを透過しない前記スクリーンによって生成された光に対応する相関色温度から1000ケルビン以内にあるように、組み合わせて提供され、
前記第1吸収化合物は415nmと455nmの間
に最大吸収ピークがある吸収を有し、前記第2吸収化合物は600nmと750nmの間
に最大吸収ピークがある吸収を有し、
前記第2吸収化合物の前記第1吸収化合物に対する比率は1:1以上である光フィルタリングフィルムの生成方法。
【請求項21】
請求項
19又は
20に記載する光フィルタリングフィルムの生成方法であって、
前記光フィルタリングフィルムを前記スクリーンに適用する前に、前記ポリマー基板上に接着剤をコーティングする工程をさらに含む光フィルタリングフィルムの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月14日に出願された、「LIGHT EMISSION REDUCING COMPOUNDS FOR ELECTRONIC DEVICES」という名称の米国非仮出願第15/813,010号の利益を主張する。
【0002】
本出願は、2015年5月22日に出願された、「LIGHT EMISSION REDUCING FILM FOR ELECTRONIC DEVICES」という名称の米国非仮特許出願第14/719,604号、2014年5月23日に出願された、「LIGHT EMISSION REDUCING FILM FOR ELECTRONIC DEVICES」という名称の米国仮特許出願第62/002,412号、2015年6月15日に出願された、「LIGHT EMISSION REDUCING
FILM FOR ELECTRONIC DEVICES」という名称の米国仮特許出願第62/175,926号、2015年11月13日に出願された、「LIGHT EMISSION REDUCING COMPOUNDS FOR ELECTRONIC DEVICES」という名称の米国仮特許出願第62/254,871号、2015年11月13日に出願された、「LIGHT EMISSION REDUCING FILM FOR VIRTUAL REALITY HEADSET」という名称の米国仮特許出願第62/255,287号、2016年4月14日に出願された、「LIGHT EMISSION REDUCING FILM FOR ELECTRONIC
DEVICES」という名称の米国仮特許出願第62/322,624号、2015年5月22日に出願された、「LIGHT EMISSION REDUCING FILM FOR ELECTRONIC DEVICES」という名称の特許協力条約に基づく国際出願PCT/US2015/032175号、2016年6月14日に出願された、「LIGHT EMISSION REDUCING COMPOUNDS FOR ELECTRONIC DEVICES」という名称の特許協力条約に基づく国際出願PCT/US2016/037457号、および前述の出願に起因するいくつかのその他の米国、国際、または国内段階の特許出願に関する。
【0003】
前述の特許出願は、参照により本明細書に組み込まれ、そのような組み込みは、本明細書の明示的な開示に反する主題が組み込まれないように制限される。上記の文書の参照による組み込みは、文書に含まれる請求項が参照により本明細書に組み込まれないようにさらに制限される。上記の文書の参照による組み込みは、文書に提供された定義がすべて、本明細書に明示的に含まれない限り、参照により本明細書に組み込まれないように、なおもさらに制限される。
【0004】
本開示は、電子デバイスの表示スクリーンを含む電子デバイス上に配置され得、またはその中に組み込まれ得る吸収化合物(複数可)に関する。
【背景技術】
【0005】
電子デジタルデバイスは、通常、様々な波長の光線からなる光のスペクトルを放出する。この光のスペクトルは、人間の目で約350~約700ナノメートル(nm)の可視スペクトルを検出することができる。目に見える範囲および目に見えない範囲の両方で、この光の特定の特性はユーザに有害である可能性があり、また限定されないが、眼精疲労、目の乾燥および炎症を起こした目、疲労、かすみ目および頭痛などの、健康症状およびと悪影響な健康への反応をもたらす可能性がある。電子デバイスに見られる青色光への暴露と人間の健康への危険、特に目への潜在的な有害なリスクとの間に関連がある可能性がある。デジタルデバイスのスクリーンから放出されるような青色光および/または高エネルギー可視光への曝露は、他の問題の中でも特に、加齢性黄斑変性症、メラトニンレベルの低下、急性網膜損傷、網膜の老化の加速、および心調律の乱れにつながる可能性があると考える人もいる。追加の研究により、青色光スペクトルへの長時間の曝露から生じる追加の筋骨格の問題が明らかになる可能性がある。
【0006】
より具体的には、デジタルデバイスによって放出された高エネルギー可視(HEV)光は、可視光スペクトルの他の波長よりも眼精疲労を増加させることが知られている。青色光は、例えば、紫外線よりも眼の奥深くまで届き、網膜に損傷を与える可能性がある。さらに、青色光への曝露と加齢性黄斑変性症(AMD)および白内障の発症との間には因果関係がある可能性もある。さらに、デジタル電子デバイスの使用は、眼精疲労症状を引き起こすことが知られている。損傷は、黄斑染料を透過するHEV光によって引き起こされ、それにより、網膜の変化がより速くなると考えられている。
【0007】
さらに、青色光への露出は、緑色光の約2倍メラトニンを抑制し、概日リズムを2倍シフトさせる。青色の波長の光は、夜間に最も破壊的であるようである。研究はまた、スマートフォンなどの電子デバイスからのLEDによって生成される周波数と同様に、青色光の周波数が、緑色光よりも光受容体の死を引き起こす上で50~80倍より効率的であることを示している。青色光スペクトルへの曝露は、可視光スペクトルの他の領域よりもAMDを加速するようである。しかしながら、赤および緑の光スペクトルへの曝露も健康上のリスクをもたらす可能性があることも疑われており、その波長範囲のデバイスによって生成される光の吸収によって軽減することができる。
【0008】
さらに、紫外線A(UVA)光(320~380nmの範囲)は、目のケアの専門家にとって特に重要である。UVA光は、人間の目の水晶体に直接影響を与えるため、悪影響を及ぼすと考えられている。一実施形態では、フィルム200は、380~1400nmの範囲のスペクトルエミッタンスに対する目のスペクトル感度を重み付けする、国際安全装置協会によって設定された規格、具体的には、ANSI/ISEA Z87.1-2010規格に従って高エネルギー可視光を低減する。
【0009】
デジタルデバイスからのLEDによって生成された光は人間の視覚では正常に見えるが、380~500ナノメートルの範囲の青色光の強いピークはまた、このようなデジタルデバイスのスクリーンによって生成された白色光スペクトル内で放出される。この青色光は網膜の危険の既知のスペクトルに対応しているため、そのような光への曝露からユーザを保護する手段が必要である。
【0010】
光学フィルターは、LCD(液晶ディスプレイ)位相差フィルム用の光フィルターを含む幅広いアプリケーションで使用される。LCD位相差フィルムは、電気めっきされた顔料、含浸された顔料、または印刷法の材料で構成される材料の代替層を使用する。これらの方法は、摩擦、熱、または湿気を経験すると損なわれ、ゴースト効果を引き起こす可能性がある。光学密度の透過率および持続可能性の要件がまた、湿気および機械的完全性のために失敗する可能性がある。
【0011】
これらの有害な光線への曝露を減らすためにいくつかの対策が講じられてきたが、これらの対策は不十分であった。一部の対策では、放出される波長を減らすためのソフトウェアソリューションを実装しているが、効果が低くなるように簡単に変更され、選択した波長からの光を遮断しすぎて、したがって、ユーザが見ることができる色が変わるため、視聴体験が変わる可能性がある。他の対策では、スクリーン上に配置される物理デバイスを実装している。しかしながら、これらのデバイスは、ユーザに見える色を大幅に変更し、ほとんどの場合、カラースペクトルから少なくとも1つの色全体を完全に遮断する。
【0012】
より具体的には、現在のフィルム基板技術は、UV光に対する安定性、可視範囲での選択的透過率、ならびにUVおよび高強度青色光範囲での吸収または他の吸収特性などの望ましい光学特性を欠くことが多い。現在のフィルム基板はまた、所望の薄さでの耐熱性および機械的堅牢性などの所望の機械的特性を欠いている。ガラス、ポリカーボネート、アクリル、ならびにナイロンのレンズおよびフィルムは、存在するが、染料または顔料の分散を維持することができず、この厚さで高い透過値を維持するのに十分な光学濃度を達成することができない場合がある。一実施形態では、Kentek Corporationによって製造されるようなF700フィルムは、湿気および湿度に対して耐性がある。このようなフィルムは、ガラスよりも好ましいため、再研磨が必要になる場合がある。その他の利点として、色解像度の向上、再現性、バインダー剤の必要性の欠如がある。
【発明の概要】
【0013】
この開示において、我々は、狭い波長帯域、すなわち「ノッチ」における青色スペクトルと赤色スペクトルの両方からの光をフィルタリングする、電子デバイス用のダブルノッチフィルターの概念を説明する。青色光を除去することによる単一ノッチ青色フィルタリング/吸収フィルターは、結果としてフィルター処理された光を(フィルターへの入力光のスペクトルと比較して)より低い色温度にシフトさせることができる。これは、少なくとも色管理上の理由から望ましくない場合がある。また、スペクトルの赤い部分の光の狭帯域部分を削除することにより、色温度をより高い値に戻すようにシフトすることができ、このことは、色管理にとってより望ましい場合がある。
【0014】
いくつかの実施例では、ダブルノッチフィルターは、従来のLEDバックライト付きLCDディスプレイからの入力光を使用して、D65ホワイトポイントの実質的に満足できる基準として測定され得る光を出力することができる。いくつかの実施例では、ダブルノッチフィルターは、D65ホワイトポイントのほぼ条件を満たす基準として+/-500ケルビン以内で測定され得る光を出力することができる。いくつかの実施例では、ダブルノッチフィルターは、D65ホワイトポイントのほぼ条件を満たす基準として+/-1000ケルビン以内で測定され得る光を出力することができる。
【0015】
上記の要約は、開示の各およびすべての実施例またはすべての実装形態を説明することを意図していない。以下の説明は、様々な例示的な実施形態をより具体的に例示している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本開示の一実施形態による光吸収フィルムを示している。
【
図1B】本開示の一実施形態による光吸収フィルムを示している。
【
図1C】本開示の一実施形態による光吸収フィルムを示している。
【
図1D】本開示の一実施形態による光吸収フィルムの透過曲線を示している。
【
図1E】本開示の一実施形態による光吸収フィルムの透過曲線を示している。
【
図2A】本開示の一実施形態による、目と光吸収フィルムを備えたデバイスとの間の例示的な相互作用を示している。
【
図2B】光吸収フィルムの例示的な有効波長吸収範囲を示している。
【
図2C-1】光吸収フィルムの一実施形態の所望の特性を達成するために利用され得る、複数の吸収化合物を示している。
【
図2C-2】光吸収フィルムの一実施形態の所望の特性を達成するために利用され得る、複数の吸収化合物を示している。
【
図2C-3】光吸収フィルムの一実施形態の所望の特性を達成するために利用され得る、複数の吸収化合物を示している。
【
図2C-4】光吸収フィルムの一実施形態の所望の特性を達成するために利用され得る、複数の吸収化合物を示している。
【
図2C-5】光吸収フィルムの一実施形態の所望の特性を達成するために利用され得る、複数の吸収化合物を示している。
【
図2C-6】光吸収フィルムの一実施形態の所望の特性を達成するために利用され得る、複数の吸収化合物を示している。
【
図2C-7】光吸収フィルムの一実施形態の所望の特性を達成するために利用され得る、複数の吸収化合物を示している。
【
図3A】本開示の一実施形態による、様々な吸収性フィルムの波長の関数としての透過率を示すグラフを描写している。
【
図4A】本開示の一実施形態によるデバイス用の光吸収フィルムを生成するための方法を示している。
【
図4B】本開示の一実施形態によるデバイス用の光吸収フィルムを生成するための方法を示している。
【
図4C】本開示の一実施形態によるデバイス用の光吸収フィルムを生成するための方法を示している。
【
図5A】ガラスおよび/またはプラスチックのいくつかの層で構成される電子デバイスのスクリーンの分解図を示している。
【
図5B】ガラスおよび/またはプラスチックのいくつかの層で構成される電子デバイスのスクリーンを示している。
【
図5C】ガラスおよび/またはプラスチックのいくつかの層で構成され、吸収フィルム層がいくつかの層のうちの2つの層の間に挿入されている、電子デバイスのスクリーンの分解図を示している。
【
図5D】ガラスおよび/またはプラスチックのいくつかの層で構成され、吸収フィルム層がいくつかの層のうちの2つの層の間に挿入されている、電子デバイスのスクリーンを示している。
【
図5E】ガラスおよび/またはプラスチックのいくつかの層で構成され、光吸収接着剤がいくつかの層のうちの1つに追加されている、電子デバイスのスクリーンの分解図を示している。
【
図5F】ガラスおよび/またはプラスチックのいくつかの層で構成され、光吸収コーティングがいくつかの層のうちの1つに追加されている、電子デバイスのスクリーンを示している。
【
図5G】ガラスおよび/またはプラスチックのいくつかの層で構成される電子デバイスのスクリーンから放出された光波を示している。
【
図5H】ガラスおよび/またはプラスチックのいくつかの層で構成され、吸収フィルム層がいくつかの層のうちの2つの層の間に挿入されている、電子デバイスのスクリーンから放出され、かつそれによって遮断された光波を示している。
【
図6A】仮想現実ヘッドセット内に挿入された光吸収層の一実施形態を備えた仮想現実ヘッドセットを示している。
【
図6B】仮想現実ヘッドセット内に挿入された光吸収層の一実施形態を備えた仮想現実ヘッドセットを示している。
【
図6C】仮想現実ヘッドセット内に挿入された光吸収層の一実施形態を備えた仮想現実ヘッドセットを示している。
【
図7】本開示のシステムが有利に使用され得る、例示的なディスプレイシステムの概略断面図である。
【
図8】本開示の狭いノッチの青色光フィルタリング染料の変化する濃度のスペクトルを示している。
【
図9】様々な濃度の色補正染料の効果を示している。
【
図10】色補正染料を使用しない、様々な濃度の広帯域青色吸収染料の効果を示している。
【
図11】LEDバックライトの色補正最適化試験を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般に、本開示は、電子デバイス上に配置されるか、またはその中に組み込まれる1つ以上のポリマー基板と組み合わせることができる、吸収化合物(複数可)に関する。吸収化合物は、理想的には青色ベースであり、電子デバイスによって放出される潜在的に有害な光から個人を保護し、ポリマー基板は、電子デバイスへの、または電子デバイス内での適用のために使用される。本明細書に記載されている吸収化合物とポリマー基板の組み合わせは、可視波長透過率について定義された透過特性および光学密度特性を有する光学フィルターを作製するための材料を含むことができる。このようなフィルターを作製するための材料は、いくつかの実施形態では、有機染料を含浸させたポリカーボネート組成物を含むことができる。適用において、保護フィルムは、電子デバイスの購入後にデバイスのスクリーン表面に適用され得るか、または保護フィルムは、製造中にスクリーン内に組み込まれ得る。さらなる実施形態では、吸収化合物は、保護コーティング層として、デバイススクリーン内の既存のフィルム層または他の基板に適用することができる。
【0018】
フィルムおよびフィルム特性
図1A~
図1Cは、本開示の一実施形態において、特定の波長の光を吸収するのに有用な例示的なフィルムを示している。以下に含まれる実施形態のうちのいずれかに記載されるように、複数のフィルム材料が適切であり得る。フィルム材料は、様々な特性に基づいて特定の用途に合わせて選択され得る。例えば、フィルム材料は、特定の硬度、耐引っかき性、透明性、導電性などのために選択され得る。一実施形態において、フィルムは、少なくとも1つの吸収性化合物と、以下の表1に列挙されるポリマーベースのうちのいずれか1つ以上などのポリマー材料から構成される。上述のように、ポリマーベースは、吸収化合物が適用されている技術のタイプに基づいて選択される。
【0019】
【0020】
一実施形態では、表1に列挙された任意の1つ以上のポリマーは、1つ以上の吸収化合物、例えば、以下の表2に列挙されたものと組み合わされて、1つ以上のデバイス(例えば、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、眼鏡、または電子ディスプレイデバイスで使用されるいくつかのその他の透明な表面)で利用することができるフィルム100を生成する。一実施形態では、フィルム100のポリマーベースは、少なくとも部分的に、透明性に基づいて選択されるため、ユーザは依然としてフィルム100を通して電子ディスプレイデバイスのスクリーンを見ることができる。別の実施形態では、ポリマーベースは、少なくとも部分的に、所望の吸収化合物との適合性に基づいて選択される。さらなる実施形態では、ポリマーベースは、吸収化合物が組み込まれるかまたは付着される基板に基づいて選択される。
【0021】
一実施形態によれば、
図1Aに示されるように、フィルム100は、スクリーン104を有するデバイス102に適用される。
図1Aはデバイス102をスマートフォンとして示しているが、フィルム100は、例えば、
図1Bに示されるスクリーン154上のフィルム150を有するラップトップ152などの任意の他のデバイスに適用されるように例示的に設計され得る。さらに、別の実施形態では、フィルム100は、コンタクトレンズまたは一対の眼鏡のレンズなどのデバイスの層に組み込むことができる。
【0022】
フィルム100は、ポリマーなどの適切な材料と、職業用および個人用電子デバイスからの電磁放射のピークおよび傾斜を選択的に低減する1つ以上の光吸収染料とから形成される。そのようなフィルムが使用され得る電子デバイスの他の実施例は、例えば、LED、LCD、コンピュータモニター、機器スクリーン、テレビ、タブレット、携帯電話などを含み得る。しかしながら、それは、例えば、コンタクトレンズまたは眼鏡に組み込まれた、視聴体験のユーザ側端で使用され得る。
【0023】
図1Cは、フィルム100の2つの層を示している。一実施形態では、フィルムは、フィルム170によって示されるように、防眩コーティングを含まない。別の実施形態では、フィルム100はコーティング172を含み、コーティング172は、防眩コーティング172、ハードコーティング172、および/またはタックコーティング172を含む。一実施形態では、吸収化合物は、ベースフィルム層の代わりに、コーティング材料に直接的に組み込まれ得る。これは、例えば、吸収化合物と所望のポリマー基板との間の適合性のために行われ得る。
【0024】
一実施形態では、フィルム100は、青色ベースであり、選択された吸収化合物の少なくとも一部の結果としてわずかに色合いを有し、スクリーン104からの発光を低減するためのフィルターとして機能する。一実施形態では、CIE光源D65の下では、7.75ミルの厚さを有するフィルム100は、(L、a、b)値が(90.24、-12,64,3.54)であり、X-Y-Z値がそれぞれ(67.14,76.83,78.90)である明るい青緑色である。別の実施形態では、フィルム100は、負荷が低減されているため、より軽く見える。
【0025】
一実施形態では、フィルム100は、例えば、200nm~3000nmの範囲の光の広いスペクトルにわたる発光を低減するように構成される。別の実施例では、フィルム100は、この広いスペクトルの一部分のみ、例えば、可視スペクトル390nm~700nm内のみ、またはスペクトル200nm~1400nm内などの可視スペクトルの一部分内のみの発光を低減するように構成され得る。
【0026】
一実施形態では、フィルム100は、スペクトル全体にわたる光強度のピークが低減されるように、スクリーン104からの発光を正規化するように構成される。一実施例では、発光強度は、0.0035と0.0038との間の最大吸光度レベルに正規化される。
【0027】
図1Aの例示の実施形態では、フィルム100は、タッチスクリーン(例えば、容量性タッチスクリーン)を有するデバイスとともに使用するように構成されている。スクリーン104などの容量性タッチスクリーンとともに使用される場合、フィルム100は、ユーザタッチ入力がデバイスによって正確に登録されるように、適切な電気的特性を有するように構成され得る。例えば、フィルム100は、4未満の誘電率を有し得る。別の実施例では、誘電率は、3未満である。特定の一実施形態では、フィルム100の誘電率は、2.2~2.5である。
【0028】
一実施形態では、フィルム100は、10~30ミルの厚さおよび30ロックウェルRを超える硬度を有する。一実施形態では、フィルム100の硬度は、45~125ロックウェルRである。
【0029】
図1A~
図1Cに示される実施形態は、製造後に電子デバイスに適用されるフィルムの文脈で説明されるが、説明される特徴は、限定されないが、アイウェア(例えば、眼鏡、コンタクトなど)への適用や、例えば、レーザーから保護するための窓への適用など、他のアプリケーションで使用され得ることに留意されたい。それはまた、光が透過し、人間の目によって受容される可能性のある他の任意の表面で使用されてもよい。一実施形態では、フィルム100は、矯正レンズ眼鏡、サングラス、安全眼鏡などのアイウェアレンズに適用される。フィルム100は、
図1Aおよび
図1Bでは、アフターマーケット機能としてデバイス102に適用されるものとして示され、かつ
図1Cに示されるようにユーザに提供されているが、別の実施形態では、フィルム100は、デバイス102の製造中にデバイス102内に含まれ、その結果、フィルム100は、スクリーン104の背後に配置されるか、またはデバイス102のスクリーン104を含む。
【0030】
図1Dおよび
図1Eは、本開示の実施形態において有用であり得る異なるフィルムについての複数の透過曲線を示している。フィルム、例えばフィルム100の透過特性は、
図1Dまたは
図1Eに示されるような透過曲線によって定義され得る。具体的には、曲線180は、フィルタガラスの例示的な透過曲線を示している。曲線182は、4ミルの厚さを有するフィルム100の例示的な透過曲線を示している。曲線184は、7.75ミルの厚さを有するフィルム100の例示的な透過曲線を示している。透過曲線は、可視光波長範囲における透過極大と、可視光波長範囲の各端部に近接する第1および第2の透過極小と、を含む。
【0031】
一実施形態では、透過極大は575nm~425nmの位置にあり、第1の透過極小は、約700nm以上の位置またはその付近にあり、第2の透過極小は、約300nm以下の位置またはその付近にある。透過極大の透過率は、85%以上になる場合がある。透過極大はさらに、90%以上の透過を有し得る。一実施形態では、第1および第2の透過極小は、30%未満の透過を有し得る。別の実施形態では、第1および第2の透過極小は、5%未満の透過率を有し得る。一実施形態では、透過曲線はまた、それぞれの透過極小と透過極大との間の第1および第2の50%透過カットオフを含み得る。
【0032】
透過曲線はまた、一実施形態では、少なくとも750nm~575nmの透過曲線の減少した傾斜によって形成される曲線ショルダーを含み、可視スペクトル(例えば、赤色光)のこの端での波長の透過を増加させ得る。一実施形態では、曲線ショルダーは、644nm±10nmの位置を通過する。他の実施形態では、曲線ショルダーは、580nm±10nmの位置を通過することができる。50%の透過カットオフのうちの1つは、例えば、644nm±10nmで曲線ショルダーと一致する場合がある。
【0033】
本明細書で使用される場合、「光学密度」および「吸光度」という用語は、材料に入射する電磁放射の量と材料を透過する電磁放射の量の対数比を指すために互換的に使用され得る。本明細書で使用される場合、「透過」または「透過度」または「透過率」は、材料を通過する特定の波長での入射電磁放射の分率または割合を指すために互換的に使用され得る。本明細書で使用される場合、「透過曲線」は、波長の関数としての、光学フィルターを通る光の透過パーセントを指す。「透過極大」は、光学フィルターを通る光の透過が曲線上の隣接する位置に対して最大値にある、曲線上の位置(すなわち、少なくとも1つの点)を指す。「透過極小」は、透過が曲線上の隣接する位置に対して最小値にある曲線上の位置を指す。本明細書で使用される場合、「50%透過カットオフ」は、光学フィルターを通る電磁放射(例えば、光)の透過が約50%である透過曲線上の位置を指す。
【0034】
一実施形態では、例えば以下の
図3に示すものなどの光学フィルターの透過特性は、一実施形態では、ポリマー基板としてポリカーボネートフィルムを使用し、青または青緑の有機染料をその中に分散させることによって達成され得る。有機染料含浸ポリカーボネートフィルムは、0.3mm未満の厚さを有し得る。別の実施形態では、ポリカーボネートフィルムは、0.1mm未満の厚さを有し得る。ポリカーボネートフィルムの薄さは、デバイスによって生成される光の90%を超える最大透過率を促進し得る。少なくとも1つの実施形態では、有機染料含浸フィルムは、2.5ミル~14ミルの厚さを有することができる。本開示の1つ以上の実施形態では、ポリカーボネート基板と青または青緑の有機染料との組み合わせを使用して、厚さが薄くなっても向上した耐熱性および機械的堅牢性が提供される。
【0035】
ポリカーボネートフィルムは、例えば、LEXAN 123Rなどの任意のタイプの光学グレードのポリカーボネートを含み得る。ポリカーボネートは、薄膜に望ましい機械的および光学的特性を提供するが、環状オレフィルムコポリマー(COC)などの他のポリマーがまた使用され得る。
【0036】
一実施形態では、同様の透過特性は、例えば、その中に分散された青緑色有機染料を有するアクリルフィルムを使用することによっても達成され得る。有機染料含浸アクリルフィルムは、0.3mm未満の厚さを有し得る。別の実施形態では、アクリルフィルムは、0.1mm未満の厚さを有し得る。アクリルフィルムの薄さは、デバイスによって生成される光の90%を超える最大透過率を促進し得る。少なくとも1つの実施形態では、有機染料含浸フィルムは、2.5ミル~14ミルの厚さを有することができる。1つ以上の実施形態では、アクリル基板と青緑色有機染料の組み合わせを使用して、厚さを薄くしても耐熱性と機械的堅牢性を向上させることができる。
【0037】
別の実施形態では、同様の透過特性は、例えば、その中に分散された青緑色の有機染料を有するエポキシフィルムを使用することによっても達成され得る。有機染料含浸エポキシフィルムは、0.1mm未満の厚さを有し得る。別の実施形態では、エポキシフィルムは、1ミル未満の厚さを有し得る。エポキシフィルムの薄さは、デバイスによって生成される光の90%を超える最大透過率を促進し得る。1つ以上の実施形態では、エポキシ基板と青緑色有機染料の組み合わせを使用して、厚さを薄くしても耐熱性と機械的堅牢性を向上させることができる。
【0038】
さらなる実施形態では、同様の透過特性は、例えば、その中に分散された青緑色の有機染料を有するPVCフィルムを使用することによっても達成され得る。有機染料含浸PVCフィルムは、0.1mm未満の厚さを有し得る。別の実施形態では、PVCフィルムは、1ミル未満の厚さを有し得る。PVCフィルムの薄さは、デバイスによって生成される光の90%を超える最大透過率を促進し得る。1つ以上の実施形態では、PVC基板と青緑色有機染料の組み合わせを使用して、厚さを薄くしても耐熱性と機械的堅牢性を向上させることができる。
【0039】
有機染料含浸ポリカーボネートフィルムはまた、一実施形態では、この減少した厚さにおいて、最大25アーク秒の平行度および0~30°の主光線の入射角を有する所望の光学特性を有し得る。好ましい実施形態では、入射角は、0~26°の範囲内である。有機染料含浸ポリカーボネートフィルムは、UV範囲において5を超える光学密度で改善されたUV吸収をさらに提供することができる。ポリカーボネート基板と青緑色染料との例示的な組み合わせは、例示のみを目的として提供されている。以下で詳細に説明する吸収化合物のいずれかを、上述のポリマー基板のいずれかと組み合わせて、所望の機械的特性および透過率を有するフィルムを生成できることを理解されたい。
【0040】
本明細書で説明するような光学フィルター100の実施形態は、演色性とデジタルイメージングを改善するための光フィルターとして、優れた機械的特性を備えたLCD位相差フィルム、優れたUV吸収、有害な可能性のある光の波長を低減する電子デバイス用の発光低減フィルム、および高いレーザー保護値を持つ光学的に正確な薄いレーザーウィンドウを含むが、これらに限定されない様々な用途に使用され得る。これらの実施形態では、光学フィルターは、各用途に望ましい光学特性を備えた薄膜として製造されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、本開示の実施形態による透過から生じる演色評価数(CRI)の変化は、最小限である。例えば、本開示の実施形態を電子デバイスに適用する前後のCRI値の差は、1から3の間であり得る。したがって、本開示の実施形態が電子デバイスのディスプレイに適用される場合、ディスプレイを見ているユーザは、色の変化があったとしても最小限に見え、すべての色が可視のままである。
【0042】
吸収および吸収材料
光の波長の吸収は、光が化合物に遭遇するときに発生する。光源からの光線は、様々な波長と関連付けられており、各波長は異なるエネルギーと関連付けられている。光が化合物に衝突すると、光からのエネルギーが、その化合物内の電子を反結合軌道に促進する可能性がある。この励起は、主に、特定の波長の光と関連付けられたエネルギーが電子を励起するのに十分であり、したがってエネルギーを吸収するときに発生する。したがって、電子が異なる構成の異なる化合物は、異なる波長の光を吸収する。一般に、電子を励起するのに必要なエネルギー量が大きいほど、必要な光の波長は短くなる。さらに、単一の化合物は、様々な構成で存在する電子を有し得るので、単一の化合物は、光源からの光の複数の波長範囲を吸収し得る。
【0043】
図2Aは、本開示の一実施形態において有用であり得る例示的なフィルムを用いた、デバイスと眼との間の例示的な相互作用を示している。一実施形態では、フィルム200は、例えば、アフターマーケット追加として、デバイス202上に配置されたフィルムを含む。別の実施形態では、フィルム200は、デバイス202の一部分、例えば、デバイス202のスクリーンを含む。さらなる実施形態では、フィルムは、例えば、コンタクトレンズとして、または一対の眼鏡のレンズの部分として、アフターマーケットアプリケーションまたはレンズ自体の部分のいずれかとして、目250の上またはその近くに着用される物理的バリアである。
【0044】
図2Aに示されるように、デバイス202は、高強度UV光210、青紫色光212、ブルーターコイズ光214および可視光218を含む、複数の波長の光を生成する。高強度UV光は、一実施形態では、315~380nmの範囲の光の波長を含み得る。この波長範囲の光は、眼のレンズに損傷を与える可能性があることが知られている。一実施形態では、青紫色光212は、380~430nmの範囲の光の波長を含むことができ、加齢性黄斑変性症を引き起こす可能性があることが知られている。ブルーターコイズ光214は、430~500nmの範囲の光を含み得、睡眠サイクルおよび記憶に影響を与えることが知られている。可視光218はまた、可視光スペクトルにおける他の波長の光を含み得る。
【0045】
本明細書で使用する場合、「可視光」または「可視波長」は、380~750nmの波長範囲を指す。「赤色光」または「赤色波長」は、約620~675nmの波長範囲を指す。「オレンジ色の光」または「オレンジ色波長」は、約590~620nmの波長範囲を指す。「黄色光」または「黄色波長」は、約570~590nmの波長範囲を指す。「緑色光」または「緑色波長」は、約495~570nmの波長範囲を指す。「青色光」または「青色波長」は、約450~495nmの波長範囲を指す。「紫色光」または「紫色波長」は、約380~450nmの波長範囲を指す。本明細書で使用される場合、「紫外線」または「UV」は、350nm未満の波長を含み、10nm程度の波長範囲を指す。「赤外線」または「IR」とは、750nm以上、3,000nmまでの波長を含む、波長範囲を指す。
【0046】
特定の波長の光が化合物に吸収されると、その特定の波長に対応する色は、人間の目には届かず、見えなくなる。したがって、例えば、光源からのUV光をフィルター除去するために、化合物は、350nm未満の波長を有する光を吸収するフィルムに導入されてもよい。様々な範囲の波長に対するいくつかの例示的な光吸収化合物のリストが、以下の表2に示され、これは、
図2Dに示される例示的な吸収スペクトルに対応する。本開示で使用される吸収材料は、個人の保護を達成すると同時に、デバイスのカラー画像の状態を損なわないままにする。したがって、吸収化合物は、理想的には各色の波長範囲の一部分のみを遮断するため、電子デバイスのスクリーンを見ている個人には、各色相が依然として見える。さらに、遮断される波長範囲は、人には見えない色の波長範囲であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、フルカラー認識を可能にする中性濃度フィルターを提供する。
【0047】
【0048】
一実施形態では、フィルム200は、表2の第1の列から基板の1つを選択し、かつ吸収対象の波長範囲に応じて、列2~4のうちの1つ以上から1つの吸収列を選択することによって製造される。一実施形態では、ポリマー基板がUV阻害剤、UV安定剤を含有するか、さもなければ本質的にUV吸収特性を有する場合、UVターゲティング吸収化合物は必要とされない。次に、ターゲット波長範囲で生成される光の吸収を増加させるために、吸収化合物を、追加するために列2~4のうちのいずれかから選択することができる。光の高い透過率が維持され、色合いが維持され、そのためデバイスによって生成された色の完全性が真のままである限り、吸収化合物を組み合わせて選択することができる。一実施形態では、吸収化合物は、ポリマーまたはペレットの形態で提供され、フィルム200を生成するためにポリマー基板と同時押出される。別の実施形態では、吸収化合物は、例えば、ポリマー基板に適用されるコーティング層中の成分として、または追加の引っかき抵抗層として、ポリマー基板とは別の層に提供される。
【0049】
さらに、列2、3および4の各々に記載されている例示的な化合物の多くは、他のポリマー基板に所望の特性をもたらすために置き換えることができる。例えば、化合物1002は、ポリカーボネート基板との組み合わせに最適な化合物として列挙されているが、PVC、アセタール、およびセルロースエステルを含浸させるための適合性のある化合物としても知られている。表2に示される化合物およびポリマー基板のいくつかの潜在的な例示的な組み合わせは、以下の実施例においてさらに詳細に記載される。しかしながら、表1に列挙され、かつ表2には再度提示されないポリマー基板との組み合わせを含む他の可能な組み合わせが可能であることを理解されたい。
【0050】
一実施形態では、ポリマー基板に分散された有機染料は、例えば、青色光波長および/または赤色光波長の透過率の低減を含む、選択的透過特性を提供する。特定の帯域または波長のこれらの不自然に高い放出率レベルを日光をより表すレベルに低減することは、デジタル電子デバイスの使用の望ましくない影響の一部を低減するのに役立つ。さらに、光学フィルムは、デバイス202によって放出される範囲のHEV光を低減することができる。しかしながら、光学フィルム200はまた、一実施形態では、デバイス202による演色を維持するために、例えば、シアン色などの他の青色波長の光を通過させるために構成される。
【0051】
ポリカーボネートの実施例
一実施形態では、フィルム200は、260~400nmの範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1002を含浸させたポリカーボネート基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1002は、300~400nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾールとしても知られるCiba Specialty Chemicalsにより提供されるティヌビン(登録商標)である。しかしながら、300~400nmの範囲で強い吸収特性を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物も、UV光を吸収するのに適しているであろう。ティヌビン(登録商標)を利用してUV保護を提供する実施形態では、表1に列挙されているような他のポリマー基板も、フィルム200の生成に適している。
【0052】
一実施形態では、フィルム200は、400~700nmの範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1004を含浸させたポリカーボネート基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1004は、400~700nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1004は、600~700nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。さらに具体的には、一実施形態では、吸収化合物は、635~700nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、ABS 668という商品名で、エキシトン(登録商標)によって製造された独自の化合物である。しかしながら、可視スペクトルの600~700nmの範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物も、フィルム200の生成に適している可能性がある。別の実施形態では、化合物1004はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0053】
一実施形態では、フィルム200は、赤外線範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1006を含浸させたポリカーボネート基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1006は、800~1100nmの範囲で生成される光を標的化するように選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1006は、900~1000nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な化合物は、QCR Solutions Corporationによって製造されたNIR1002A染料であり得る。しかしながら、赤外線範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物がまた、フィルム200の生成に適している場合がある。別の実施形態では、化合物1006はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0054】
一実施形態では、化合物1002、1004、および1006のうちのいずれか2つが両方とも含まれてフィルム200を形成するように、ポリマー基板に、化合物1002、1004、および1006の組み合わせを含浸させる。別の実施形態では、化合物1002、1004、および1006の3つすべてが、ポリマー基板内で組み合わされて、フィルム200を形成する。
【0055】
別の実施形態では、ポリカーボネート基板は、化合物1002、1008、1022、1028、1040または1046のうちのいずれか1つとともにフィルム200で提供される。これは、一実施形態では、化合物1004、1010、1018、1024、1030、1036、1042または1048のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。これは、一実施形態では、化合物1006、1020、1026、1032、1038、1044または1050のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。
【0056】
PVCフィルターの実施例
一実施形態では、フィルム200は、260~400nmの範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1008を含浸させたポリ塩化ビニル(PVC)基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1008は、320~380nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、Adam Gates&Company,LLCによって製造されるDYE VIS347である。しかしながら、300~400nmの範囲で強い吸収特性を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物も、UV光を吸収するのに適しているであろう。DYE VIS347を利用してUV保護を提供する実施形態では、表1に列挙されているような他のポリマー基板も、フィルム200の生成に適している。
【0057】
一実施形態では、フィルム200は、400~700nmの範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1010を含浸させたPVC基板を含む。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1010は、550~700nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。さらに具体的には、一実施形態では、吸収化合物は、600~675nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、2-[5-(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-プロピル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3-ペンタジエニル]-3,3-ジメチル-1-プロピル-3H-過塩素酸インジウムとしても知られる、American Dye Source, Inc.によって製造されたADS640PPである。しかしながら、可視スペクトルの600~700nmの範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物も、フィルム200の生成に適している可能性がある。別の実施形態では、化合物1010はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0058】
一実施形態では、ポリマー基板は、化合物1008と化合物1010の組み合わせで含浸される。別の実施形態では、PVC基板は、化合物1002、1008、1022、1028、1040または1046のうちのいずれか1つとともにフィルム200で提供される。これは、一実施形態では、化合物1004、1010、1018、1024、1030、1036、1042または1048のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。これは、一実施形態では、化合物1006、1020、1026、1032、1038、1044または1050のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。
【0059】
エポキシの実施例
一実施形態では、フィルム200は、260~400nmの範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1016を含浸させたエポキシ基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1016は、300~400nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1016は、375~410の範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、例えば、399nmでピーク吸収を有する、エキシトンによって製造されたABS400である。しかしながら、300~400nmの範囲で強い吸収特性を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物も、UV光を吸収するのに適しているであろう。ABS400を利用してUV保護を提供する実施形態では、表1に列挙されているような他のポリマー基板も、フィルム200の生成に適している可能性がある。
【0060】
一実施形態では、フィルム200は、400~700nmの範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1018を含浸させたエポキシ基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1018は、400~700nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1018は、600~700nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。さらに具体的には、一実施形態では、吸収化合物は、650~690nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、QCR Solutions Corporationによって製造された、商標名VIS675Fであり、675nmでのクロロホルム中のピーク吸収を有する独自の化合物である。しかしながら、可視スペクトルの600~700nmの範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物も、フィルム200の生成に適している可能性がある。別の実施形態では、化合物1018はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0061】
一実施形態では、フィルム200は、赤外線範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1020を含浸させたエポキシ基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1020は、800~1100nmの範囲で生成される光を標的化するように選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1020は、900~1080nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。一実施形態では、吸収化合物は、QCR Solutions Corporationによって製造された、商標名NIR1031Mであり、1031nmでのアセトン中のピーク吸収を有する独自の化合物である。しかしながら、赤外線範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物がまた、フィルム200の生成に適している場合がある。別の実施形態では、化合物1020はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0062】
一実施形態では、化合物1016、1018、および1020のうちのいずれか2つが両方とも含まれてフィルム200を形成するように、ポリマー基板に、化合物1016、1018、および1020の組み合わせを含浸させる。別の実施形態では、化合物1016、1018、および1020の3つすべてが、ポリマー基板内で組み合わされて、フィルム200を形成する。
【0063】
別の実施形態では、エポキシ基板は、化合物1002、1008、1022、1028、1040または1046のうちのいずれか1つとともにフィルム200で提供される。これは、一実施形態では、化合物1004、1010、1018、1024、1030、1036、1042または1048のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。これは、一実施形態では、化合物1006、1020、1026、1032、1038、1044または1050のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。
【0064】
ポリアミドの実施例
一実施形態では、フィルム200は、260~400nmの範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1022を含浸させたポリアミド基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1022は、260~350nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、例えば、製品名UV290Aで、QCR Solutions Corporationによって製造される。しかしながら、260~400nmの範囲で強い吸収特性を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物1022も、UV光を吸収するのに適しているであろう。UV290Aを利用してUV保護を提供する実施形態では、表1に列挙されているような他のポリマー基板も、フィルム200の生成に適している。
【0065】
一実施形態では、フィルム200は、400~700nmの範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1024を含浸させたポリアミド基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1024は、600~700nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1024は、620~700nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、Adam Gates&Company LLCによって、製品名DYE VIS670で製造された独自の化合物であり、これも310~400nmに吸収ピークを有する。しかしながら、可視スペクトルの600~700nmの範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物も、フィルム200の生成に適している可能性がある。別の実施形態では、化合物1024はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0066】
一実施形態では、フィルム200は、赤外線範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1026を含浸させたポリアミド基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1026は、800~1200nmの範囲で生成される光を標的化するように選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1026は、900~1100nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、QCR Solutions Corporationによって製造された、製品名NIR1072Aである独占的な化合物であり、これは、アセトン中で1072nmに吸収ピークを有する。しかしながら、赤外線範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物がまた、フィルム200の生成に適している場合がある。別の実施形態では、化合物1026はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0067】
一実施形態では、化合物1022、1024、および1026のうちのいずれか2つが両方とも含まれてフィルム200を形成するように、ポリマー基板に、化合物1022、1024、および1026の組み合わせを含浸させる。別の実施形態では、化合物1022、1024、および1026の3つすべてが、ポリマー基板内で組み合わされて、フィルム200を形成する。
【0068】
別の実施形態では、ポリアミド基板は、化合物1002、1008、1022、1028、1040または1046のうちのいずれか1つとともにフィルム200で提供される。これは、一実施形態では、化合物1004、1010、1018、1024、1030、1036、1042または1048のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。これは、一実施形態では、化合物1006、1020、1026、1032、1038、1044または1050のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。
【0069】
ポリエステルの実施例
一実施形態では、フィルム200は、400~700nmの範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1036を含浸させたポリエステル基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1036は、600~750nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1036は、670~720nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、ポリカーボネート中で696nmに吸収ピークを有する、商品名ABS691であるエキシトン(登録商標)によって製造された独自の化合物である。しかしながら、可視スペクトルの600~700nmの範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物も、フィルム200の生成に適している可能性がある。別の実施形態では、化合物1036はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0070】
一実施形態では、フィルム200は、赤外線範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1038を含浸させたポリエステル基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1038は、800~1300nmの範囲で生成される光を標的化するように選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1038は、900~1150nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物1038は、メチルエチルケトン(MEK)中で1073nmに吸収ピークを有する、製品名IR Dye1151であるAdam Gates & Company, LLCによって製造された独自の化合物である。しかしながら、赤外線範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物がまた、フィルム200の生成に適している場合がある。別の実施形態では、化合物1038はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0071】
一実施形態では、ポリマー基板は、化合物1036と化合物1038の組み合わせで含浸される。別の実施形態では、ポリエステル基板は、化合物1002、1008、1022、1028、1040または1046のうちのいずれか1つとともにフィルム200で提供される。これは、一実施形態では、化合物1004、1010、1018、1024、1030、1036、1042または1048のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。これは、一実施形態では、化合物1006、1020、1026、1032、1038、1044または1050のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。
【0072】
ポリエチレンの実施例
一実施形態では、フィルム200は、400~700nmの範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1042を含浸させたポリエチレン基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1042は、600~750nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1042は、670~730nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、クロロホルム中で701nmに吸収ピークを有する、商品名LUM690であるMoleculumによって製造された独自の化合物である。しかしながら、可視スペクトルの600~700nmの範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物も、フィルム200の生成に適している可能性がある。別の実施形態では、化合物1042はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0073】
一実施形態では、フィルム200は、赤外線範囲で生成される光を標的化するように選択された吸収化合物1044を含浸させたポリエチレン基板を含む。一実施形態では、吸収化合物1044は、800~1100nmの範囲で生成される光を標的化するように選択される。具体的には、一実施形態では、吸収化合物1044は、900~1100nmの範囲のピーク吸収に対して選択される。1つの例示的な吸収化合物は、クロロホルム中で1001nmに吸収ピークを有する、商品名LUM1000AであるMoleculumによって製造された独自の化合物である。しかしながら、赤外線範囲で強い吸収を有するいくつかの他の例示的な吸収化合物がまた、フィルム200の生成に適している場合がある。別の実施形態では、化合物1044はまた、表1とは異なるポリマー基板と組み合わされてもよい。
【0074】
一実施形態では、化合物1040、1042、および1044のうちのいずれか2つが両方とも含まれてフィルム200を形成するように、ポリマー基板に、化合物1040、1042、および1044の組み合わせを含浸させる。別の実施形態では、化合物1040、1042、および1044の3つすべてが、ポリマー基板内で組み合わされて、フィルム200を形成する。
【0075】
別の実施形態では、ポリカーボネート基板は、化合物1002、1008、1022、1028、1040または1046のうちのいずれか1つとともにフィルム200で提供される。これは、一実施形態では、化合物1004、1010、1018、1024、1030、1036、1042または1048のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。これは、一実施形態では、化合物1006、1020、1026、1032、1038、1044または1050のうちのいずれか1つとの組み合わせであってもよい。
【0076】
他の例示的な実施形態
青緑色有機吸収化合物は、所望の波長での選択的透過および/または減衰を提供する(例えば、赤色光に対して青色光を減衰させることにより)ように選択され得る。青緑色有機染料には、例えば、プラスチック用途に適しており、可視光線透過率、光安定性、および熱安定性が良好で、融点が170℃を超える青緑色フタロシアニン染料が含まれる場合がある。有機染料含浸ポリカーボネート化合物は、約0.05重量%~2重量%の吸収化合物を含み得る。青緑色フタロシアニン染料は、押出成形プロセス中に溶融ポリカーボネート中に分散され得る粉末の形態であってもよい。青緑色染料はまた、押出成形プロセスの前にポリカーボネート樹脂ビーズ内に分散されてもよい。
【0077】
別の実施形態では、1つ以上の追加の染料を、フィルム内に分散することができる。赤外線保護を追加するには、例えば、追加のIRフィルタリング染料を使用して、IR範囲で9以上の光学濃度を提供することができる。IRフィルタリング染料の一実施例は、LUM1000Aを含み得る。有機染料含浸させたポリカーボネート混合物は、約0.05~2重量%の吸収化合物を含み得る。
【0078】
一実施形態では、デジタル電子デバイス用の光学フィルターは、可視波長での選択的透過を伴う定義された電磁放射透過特性を備えている。一実施形態では、光学フィルターは、複数の波長範囲、例えば、青色光波長範囲および赤色光波長範囲の両方における光の透過を遮断または低減するように設計される。光学フィルターは、限定はしないが、光フィルター、電子デバイス用の発光低減フィルム、およびLCD位相差フィルムを含む様々な用途に使用することができる。光学フィルターは、一実施形態では、ポリカーボネートフィルムなどのポリマー基板中に分散または含浸された有機染料を含む組成物から作製される。別の実施形態において、任意の1つ以上のポリマー基板は、上記の表1から選択され得る。
【0079】
図2Aに示されるように、波長210、212、214、および218の光は、デバイス202によって生成される。次に、これらの波長の光は、一実施形態では、フィルム200に遭遇する。光の波長がフィルム200に遭遇すると、フィルム200は、光の波長の一部のみを通過させるように構成されている。例えば、
図2Aに示されるような一実施形態では、UV光は、フィルム200を通過することが実質的に防止される。青紫色光がまた、フィルム200を通過することが実質的に防止される。ブルーターコイズ光214は、フィルム200を通過することを少なくとも部分的に防止され、一方で、青色光波長216のいくつかの他の範囲を通過させる。これらは、一実施形態では、シアン色範囲の光の波長を含むことができる。しかしながら、一実施形態では、ユーザが見るのに安全であり得る可視光218は、フィルムを通過することができる。光の波長がフィルム200に遭遇し、フィルム200を通過すると、一実施形態では、それらは、次に、デバイス202を使用するユーザの人間の目によって知覚される。一実施形態では、
図2Aに示されるように、目252の領域は、UV光の影響を強く受けることが知られており、目254の領域は青色光の影響を強く受けることが知られている。したがって、デバイス202と目250との間にフィルム200を挿入することにより、領域252および254で目に損傷を与える可能性が高い光線は、ユーザの目に到達することを実質的に防止される。
【0080】
図2Bは、本開示の一実施形態において有用であり得る複数のフィルムの例示的な有効波長吸収範囲を示している。フィルム200は、一実施形態では、1つ以上の波長範囲の光を吸収するように構成された1つ以上の吸収化合物を含むことができる。一実施形態では、ある範囲の波長がフィルム272によって遮断されてもよく、300~400nmの範囲の少なくともいくつかの光線は、フィルム272によってユーザの目に到達することを遮断されるが、波長スペクトルの残りの部分は、実質的に影響を受けない。別の実施形態では、フィルム274は、300~500nmの範囲の光がユーザの目に到達することを実質的に低減するが、波長スペクトルの残りの部分は、実質的に影響を受けない。別の実施形態では、フィルム276は、300~650nmの範囲の光がユーザの目に到達することを実質的に低減するが、波長スペクトルの残りの部分は、実質的に影響を受けない。さらなる実施形態では、フィルム278は、300~3,000nmの範囲の光の量がユーザの目に到達することを低減するが、波長スペクトルの残りの部分は、実質的に影響を受けない。デバイス202のユーザに影響を与える異なる状態に応じて、医学的状態を治療または予防するために、異なるフィルム272、274、276、および278を、ユーザのデバイス202に適用することができる。
【0081】
図2Cおよび上記の実施例は、本開示の一実施形態において、フィルムの所望の特性を達成するために、単独または組み合わせのいずれかで利用され得る複数の吸収化合物スペクトルを示している。一実施形態では、
図2Cに示される吸収剤のうちの1つ以上が、ポリマー基板内に含浸されて、所望の透過率を達成する。
【0082】
一実施形態では、フィルム272は、99.9%のUV光、15~20%のHEV光、および15~20%の感光性(PS)光を実質的に遮断するように構成されている。一実施形態では、フィルム272は、少なくとも5ミルの厚さを有するUV抑制ポリカーボネート基板を含む。一実施形態では、厚さは、10ミル未満である。一実施形態では、フィルム272はまた、フィルム272の少なくとも1%を含むUV抑制添加剤を含む。一実施形態では、UV抑制添加剤は、フィルムの少なくとも2%であるが、フィルム272の3%未満を構成する。一実施形態では、フィルム272はまた、ハードコートを含む。一実施形態では、フィルム272はまた、280~380nmの範囲で少なくとも3、380~390nmの範囲で少なくとも0.7、390~400nmの範囲で少なくとも0.15、400~600nmの範囲で少なくとも0.09、および600~700nmの範囲で少なくとも0.04である光学密度を有するものとして特徴付けられ得る。
【0083】
一実施形態では、フィルム274は、99.9%のUV光、30~40%のHEV光、および20~30%のPS光を実質的に遮断する。一実施形態では、フィルム274は、少なくとも5ミルの厚さを有するUV抑制ポリカーボネート基板を含む。一実施形態では、厚さは、10ミル未満である。一実施形態では、フィルム274はまた、フィルム274の少なくとも1%を含むUV抑制添加剤を含む。一実施形態では、UV抑制添加剤は、フィルムの少なくとも2%であるが、フィルム274の3%未満を構成する。一実施形態では、フィルム274はまた、フィルム274の少なくとも0.0036%を含むフタロシアニン染料を含む。一実施形態では、フタロシアニン染料は、フィルム274の少なくとも0.005%、または少なくとも0.008%であるが、0.01%未満を構成する。一実施形態では、フィルム274は、ハードコーティングを含む。一実施形態では、フィルム274はまた、280~380nmの範囲で少なくとも4、380~390nmの範囲で少なくとも2、290~400nmの範囲で少なくとも0.8、400~600nmの範囲で少なくとも0.13、および600~700nmの範囲で少なくとも0.15である光学密度を有するものとして特徴付けられ得る。
【0084】
一実施形態では、フィルム276は、99.9%のUV光、60~70%のHEV光、および30~40%の感光性(PS)光を遮断する。一実施形態では、フィルム276は、少なくとも5ミルの厚さを有するUV抑制ポリカーボネート基板を含む。一実施形態では、厚さは、10ミル未満である。一実施形態では、フィルム276はまた、フィルム276の少なくとも1%を含むUV抑制添加剤を含む。一実施形態では、UV抑制添加剤は、フィルムの少なくとも2%であるが、フィルム276の3%未満を構成する。一実施形態では、フィルム274はまた、フィルム274の少なくとも0.005%を含むフタロシアニン染料を含む。一実施形態では、フタロシアニン染料は、フィルム276の少なくとも0.01%、または少なくとも0.015%であるが、0.02%未満を構成する。一実施形態では、フィルム276は、ハードコーティングを含む。一実施形態では、フィルム276はまた、280~380nmの範囲で少なくとも4、380~390nmの範囲で少なくとも2、290~400nmの範囲で少なくとも0.8、400~600nmの範囲で少なくとも0.13、および600~700nmの範囲で少なくとも0.15である光学密度を有するものとして特徴付けられ得る。
【0085】
一実施形態では、フィルム278は、99%のUV光、60~70%のHEV光、および30~40%のPS光を遮断する。一実施形態では、フィルム278は、少なくとも8ミルの厚さを有するUV抑制PVCフィルムを含む。一実施形態では、厚さは、少なくとも10ミル、または少なくとも15ミルであるが、20ミル未満の厚さである。一実施形態では、フィルム278はまた、エラストマーを含む。
【0086】
一実施形態では、フィルムは、200~315nmの範囲の紫外線の99%、315~380nmの範囲の紫外線の99%、およびPS光(すなわち、約555nmの光)の約10%を実質的に遮断するように構成されている。一実施形態では、フィルムは、可視光(すなわち、380nm~780nmの範囲の光)の最大65%を通過させるように構成されている。一部の実施形態では、フィルムは、様々な量の青色光を遮断することができる。例えば、フィルムは、15%の青色光を遮断する層、30%の青色光を遮断する層、60%の青色光を遮断する層、またはそれらの組み合わせを有することができる。一実施形態では、フィルムは、7~9ミルの厚さを有するUV抑制フィルムを含む。
【0087】
図3は、本開示の一実施形態において有用であり得る様々なフィルムの波長の関数としての透過率を示すグラフを描写している。一実施形態では、吸収スペクトル300は、Nabiによって製造された一般的なストックフィルムと関連付けられる。吸収スペクトル302は、Nabiによって提供される別のストックフィルムと関連付けられ得る。吸収スペクトル304は、Armorブランドのフィルムと関連付けられ得る。一実施形態では、吸収スペクトル306は、フィルム272と関連付けられてもよい。一実施形態では、吸収スペクトル308は、フィルム276と関連付けられてもよい。吸収スペクトル310は、エラストマーを含む別の実施形態では、フィルム278と関連付けられてもよい。一実施形態では、吸収スペクトル312は、フィルム274と関連付けられてもよい。
図3に示すように、フィルム272、274、276、または278のいずれかを使用すると、デバイスによって生成される吸収スペクトルの減少がもたらされる。例えば、吸収スペクトル306は、青色光範囲の最大透過率が約1.00から0.37に減少することを示している。したがって、フィルム272、274、276、または278のうちのいずれかをデバイス、例えば、デバイス202に適用すると、既知の波長範囲の有害な光線が減少する可能性があり、したがって、上述の眼に関連する複数の問題のいずれかが減少する可能性がある。
【0088】
一実施形態では、
図3に示されるフィルムのうちのいずれか1つの適用は、以下の表3に示されるように、デバイスからユーザへの光の透過における測定可能な変化を提供する。表3は、示された適用フィルムを通過した後に各波長範囲に残っているエネルギーのパーセンテージを示している。
【0089】
【0090】
上記の表3に示すように、本明細書に記載のフィルムはいずれも、デバイス202などのデバイスによって生成された光と目250との間でフィルタリングした後、複数の波長範囲に残るエネルギーの大幅な低減を提供する。フィルム272、274、276、および278は、デバイス202によって放出されたUV光をほぼ完全に吸収する。
【0091】
フィルム272、274、276または278などの有機染料含浸フィルムは、一実施形態では、
図1Cに示されるように、長方形または正方形のフィルム片の形態で提供されてもよい。次に、所望の形状の1つ以上の光学フィルターを、フィルムからカットすることができる。
図1Aに示されるように、例えば、光学フィルムの一実施形態は、スマートフォンのボタンについて円が除去された、スマートフォンについての実質的に長方形の形状を含み得る。別の実施形態では、光学フィルターは、例えば、携帯電話または他の電子デバイスのカメラ内のデジタル画像センサをカバーするための、円フィルター設計を含み得る。さらなる実施形態では、光学フィルターは、製造業者またはユーザがフィルムを所望のサイズにカットすることができるように、製造業者またはユーザのいずれかにシートで提供される。別の実施形態では、フィルムは、それが所望のデバイスのためにサイジングされ、次いで取り付けられることができるように、接着剤バッキングを備えている。
【0092】
材料またはコーティングの1つ以上の追加の層を、フィルム上に設けることもできる。材料の追加の層は、例えば、輸送中または使用中にフィルムを保護するためのハードコーティングを含むことができる。一実施形態では、ハードコーティング層を含む他の任意のコーティングの適用時を含む、フィルムに特定の反射防止特性を適用することにより、透過率を改善することができる。フィルムはまた、またはその代わりに、防眩コーティングまたはタックコーティングが適用されていてもよい。
【0093】
1つの製造方法によれば、有機染料が製造され、フィルム材料(例えば、一実施形態ではポリカーボネート)に分散され、ペレットに配合され、次いで当業者に一般に知られている技術を使用して、薄いフィルムに押出成形される。したがって、有機染料含浸フィルム組成物は、ペレットの形態で、またはローラー上に提供され、次いで特定の用途に応じるサイズにカットされ得る、押出成形フィルムの形態で提供され得る。
【0094】
光吸収フィルムを作成するための方法
図4A~
図4Cは、本開示の一実施形態によるデバイス用の光吸収フィルムを生成するための複数の方法を示している。
図4Aに示されるように、方法400は、ブロック402で始まり、ここでユーザは自分のデバイスを得る。デバイスは、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、またはデバイス102などの他の発光デバイスであり得る。次に、ユーザは、ブロック404に示すように、フィルム100などのフィルムを得て、それを適用する。ユーザは、特定の目の問題、または1つ以上の特定の目に関連する問題を防止したいという要望に基づいて、フィルム100を選択することができる。ユーザは、デバイスを入手した後、例えば、接着剤層を利用することによって、フィルム100を適用することができる。接着剤層は、フィルム272、274、276、または278などのアフターマーケットフィルム上に見られ得る。
【0095】
図4Bに示されるように、方法410は、デバイスの製造者がより安全なスクリーンをユーザに提供する方法を示しており、ここにおいて、より安全なスクリーンは、フィルム272、274、276および/または278に関して上述したような特性を有するフィルムを含む。一実施形態では、方法140は、ブロック420で始まり、ここで、製造業者は、1つ以上の吸収化合物の組み合わせでスクリーンを生成する。一実施形態では、デバイスからの光の特定の波長(複数可)の透過を低減するために、染料は、上述のいずれかから選択されてもよい。製造業者は、染料がスクリーン自体の中に含浸され、かつスクリーンに別個のフィルムとして適用されないようにスクリーンを製造することができる。次に、方法は、ブロック422に続き、ここで、製造業者は、例えば、接着剤の使用によるなど、任意の適切な機構を使用して、デバイスにスクリーンを適用する。一実施形態では、次に、方法はブロック424に続き、ここで、製造業者は、デバイスをユーザに提供し、これは、販売または他の取引によることを含み得る。
【0096】
図4Cは、本開示の実施形態による、特定の吸収特性を有するフィルムを生成するための方法を示している。一実施形態では、方法430は、フィルムが吸収する波長の選択、またはさもなければそれらがユーザの目に到達するのを阻止する波長の選択を伴うブロック440で始まる。次に、方法はブロック442に続き、ここで、例えば上記の表1から選択された波長範囲を吸収するために、1つ以上の吸収化合物が選択される。次に、方法はブロック444に続き、ここで、適切なフィルムベースが選択される。適切なフィルムベースは、デバイスのスクリーンであり得る。別の実施形態では、適切なフィルムベースは、選択された染料と適合性がある任意の一連のポリマーのうちの1つであり得る。一実施形態では、ユーザは、例えば、デバイス特性に基づいて、最初に適切なフィルムを選択し、次に適切な染料を選択し、したがって、ブロック442および444の順序を逆にすることができる。
【0097】
方法430は、染料含浸フィルムが生成されるブロック446に続く。一実施形態では、これは、フィルムと複数の吸収化合物との共押出成形を含み得る。フィルムは、一連の樹脂ビーズとして提供されてもよく、所望の吸収化合物を含む一連の樹脂ビーズと混合されてもよい。代替の実施形態では、吸収化合物は、液体溶液で提供されてもよい。しかしながら、染料含浸フィルムを製造するためのいくつかの他の適切なメカニズムをまた、ブロック446で使用することができる。一実施形態では、フィルムが別の処理、例えば、グレア低減機能またはプライバシースクリーン機能を適用することが望ましい場合もある。別の実施形態では、フィルムは、ハードコーティングを有するように処理されてもよく、またはタックコーティングで処理されてもよい。一実施形態では、これらの治療のいずれかまたはすべてが、ブロック448で提供されてもよい。
【0098】
一実施形態では、方法はブロック450に続き、ここで、フィルム、例えばフィルム100は、デバイス、例えば、デバイス102に提供される。前述したように、これは、製造業者が、適切な製造手順を使用して、所望の特性を備えたスクリーン102などのスクリーンをデバイス100に適用することを含み得る。それはまた、染料を含浸させたアフターマーケットフィルムをユーザに提供することを含み得、ユーザは、次に、例えば、前述の方法400および410のいずれかにより、デバイスにフィルムを適用する。
【0099】
デバイス用の光吸収フィルムを生成するための方法の一実施形態では、フィルムは、いくつかのコーティングを互いの上に積層することによって生成される。より具体的には、フィルムは、マットトップコート、青色染料層、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」)層、UV保護層、感圧接着剤(以下「PSA」)、およびライナーなどであるが、これらに限定されないいくつかの層から構成されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、適用される第1の層は、最終実施形態では最上層であり、マットトップコートである。マットトップコートは、防眩機能を提供することができ、耐油性であることができ、かつ指紋防止特性を含むことができる。さらに、マットトップコートは、青色光などの少量の高エネルギー可視光を遮断する場合がある。一実施形態において、マットトップコートは、フィルムの曇りを表すヘイズ係数を含む。理想的には、ユーザのデバイススクリーンの表示を妨げないように、ヘイズ係数は約3%である。しかしながら、ヘイズ係数は、最大26%の範囲になる。開示されたフィルムのいくつかの実施形態は、マットトップコートを含まず、代わりに、トップコートを持たないか、またはクリアハードコートを有する。
【0101】
適用され得る次の層は、青色染料である。青色染料層は、青色光などの様々な量の高エネルギー可視光を遮断することができる。例えば、青色染料層は、青色光の30%を遮断し得、かつ色がクールブルーであり得る。別の実施例では、青色染料層は、青色光の60%を遮断し得、かつ色が青緑色であり得る。青色染料層はまた、最初の層として追加される場合、ハードコートとして機能することを可能にする特性を組み込んでもよい。しかしながら、いくつかの実施形態は、これらの青色染料層のいずれも含まない。
【0102】
青色染料層が含まれているかどうかに関係なく、次の層は、約15%の青色光を遮断するPET層である。したがって、フィルムは、30%の青色光を遮断する層と、15%の青色光を遮断する追加の層と、を有し得るか、また15%の青色光を遮断する1つの層に限定され得る。PET層は、好ましくは透明であり、かつ色合いを含まない。フィルムにマットトップコートまたは青色染料層がない場合、PET層はまた、トップコートとしても機能し、残りの層を保護する特性を組み込むことができる。
【0103】
PET層に追加される次の層は、UV光の少なくとも99%を遮断することができるUV保護層である。UV保護層は、上述の特徴のうちのいずれかを有し得る。UV層の上に、シリコーンPSAなどのPSAを適用することができる。接着剤は、デバイスへのフィルムの適用中にフィルムとデバイスとの間に気泡が形成されるのを防ぐように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルムは、接着剤層を含まなくてもよい。例えば、接着剤を使用してフィルムを大画面の電子デバイス(例:コンピュータモニター)に適用することは、現実的ではない場合があるため、フィルムをモニターにクリップで留めるクリップなど、異なる取り付け方法が使用される。
【0104】
接着剤またはUV層が適用された後、コンピュータに面する層がUV層またはPSAのどちらであるかに関係なく、コンピュータに面する層を保護するために、上部に白い紙のライナーおよび/または透明な印刷可能なライナーが適用されてもよい。これにより、フィルムが、物体に付着したり、または電子デバイスに付着する前に汚れおよび破片にさらされたりすることを防ぐ。
【0105】
一実施形態では、例えば、光フィルターとして使用される場合、有機染料含浸フィルムは、特定の波長、例えば、可視波長スペクトルの端部の近くでの標的透過カットオフを可能にする。この用途では、曲線は、可視波長、例えば、赤の波長の全体的な透過率をさらに増加させるはずである。光フィルターは、赤および青の波長での吸収の不均衡を補正することにより、一実施形態では光吸収体としてシリコンを使用して、デジタル画像センサの真の色レンダリングを改善し、それにより、改善された色定義により改善された画質をもたらし得る。
【0106】
LCD位相差フィルムとして使用する場合、別の実施形態と一貫して、有機染料含浸フィルムは、入射角の0~30°または0~26°の主光線、50%透過カットオフでの選択的な可視波長、ならびに0.01mm未満の厚さでの優れた機械的堅牢性などの望ましい光学特性を提供する。基本的に、顔料は、染料または基板を適用するプロセスのいずれかが与えられるいくつかの染料と同様に、表面上に留まる傾向がある。開示された製品は、支持基板全体に染料粒子を具現化する、したがって、基板に当たる光は、基板を通過する途中のどこかで染料粒子と衝突する。したがって、基板は、一実施形態では、30°の最小入射角で安全になるように設計されている。LCD位相差フィルムはまた、他の従来のLCD位相差フィルムよりも良好なUV吸収を提供することができる。
【0107】
さらなる実施形態と一致する発光低減フィルムとして使用される場合、有機染料含浸フィルムは、ユーザに有害であり得る特定の波長での電子デバイスからの発光を低減する。発光低減フィルムは、電磁発光のピークおよび勾配(例えば、青色光範囲、緑色光範囲およびオレンジ色光範囲)を低減して、可視範囲の発光スペクトルを正規化することができる。放出スペクトルは、例えば、0.0034~0.0038の間で正規化され得る。これらの光学特性は、業界標準の可視光透過要件を満たしながら、可視および近赤外線範囲で最も薄い基板の有害な放射を最大に抑制することができる。
【0108】
LCDディスプレイが図に示されているが、本開示の少なくともいくつかの実施形態は、陰極線管(CRT)または発光ダイオード(LED)ディスプレイなどの異なるディスプレイ生成技術を利用するデバイスに適用することができる。
【0109】
電子デバイスへの組み込み
上述のように、いくつかの実施形態では、保護フィルムは、ポリマー基板の組み合わせを含み、デバイスによって生成される有害な光を吸収するような量で吸収化合物を組み込む。しかし、他の実施形態では、
図5C~
図5Fおよび
図5Hに示すように、吸収化合物およびポリマー基板を製造中にデバイスのスクリーン層に組み込むことができ、その結果、これらの有害な光線からの保護が組み込まれた電子デバイスが製造される。
【0110】
以下の説明は、同封の
図5A~
図5Hを伴うように設計されている。しかしながら、本実施形態は、容量グリッド層506を介して提供されるタッチスクリーン機能を備えたデバイスに関して説明されるが、本開示の少なくともいくつかの実施形態は、タッチスクリーン機能のないデバイスに適用することができることを理解されたい。さらに、LCDディスプレイが図に示されているが、本開示の少なくともいくつかの実施形態は、異なるディスプレイ生成技術を利用するデバイスに適用することができる。例えば、陰極線管(CRT)または発光ダイオード(LED)ディスプレイが可能である。
【0111】
一実施形態では、
図5Aおよび
図5Bに示すように、電子デバイスのスクリーンは、ガラスおよび/またはプラスチックのいくつかの層を含む。これらの層は、追加機能、例えば、タッチスクリーン機能、ならびに使用により損傷するデバイスの保護を提供するように構成され得る。
図5Aおよび
図5Bは、LCD層510、ガラス層508、容量グリッド層506、可撓性保護カバー504、および表面コーティング層502の5つの層から構成されるデジタルデバイスの例示的なスクリーンを示している。デバイスは、タッチスクリーンを備えた携帯電話またはタブレットなどの容量性デバイスであってもよい。デバイスはまた、非容量型スクリーンを備えたテレビなどであるが、これに限定されないディスプレイデバイスの別の形態であってもよい。さらに、デバイスは、光にさらされたユーザが着用する、眼鏡またはコンタクトレンズなどのヘッドギアの形態であってもよい。
【0112】
一実施形態では、
図5Cおよび
図5Dに示すように、1つ以上の吸収化合物をポリマー層に提供して、電子デバイスのスクリーンを構成する層(例えば、
図5Aおよび
図5Bに関して前述した層)のうちの1つの間に挿入される吸収フィルム層512を作成することができる。
図5Cおよび
図5Dに示されるように、吸収フィルム層512は、LCD層510とガラス層508との間に適用され得る。しかしながら、別の実施形態では、吸収フィルム層512は、ガラス層508と容量グリッド層506との間に適用され得る。別の実施形態では、吸収フィルム層512は、容量グリッド層506と可撓性保護カバー504との間に適用され得る。別の実施形態では、吸収フィルム層512は、可撓性保護カバー504と表面コーティング層502との間に適用され得る。
【0113】
一実施形態では、吸収フィルム層512は、電子デバイスのスクリーンを構成する層のいくつかの間に挿入されたフィルム層として、または電子デバイスのスクリーンを構成する層のうちのいずれか1つへのハードコーティングとして適用され得る。別の実施形態では、吸収フィルム層512は、ホットコーティングとして、または塗装層として適用され得る。
【0114】
さらなる実施形態では、1つ以上の吸収フィルム層を、電子デバイスのスクリーンを構成する層、例えば、
図5Aおよび
図5Bに関して前述した層と組み合わせることができる。例えば、4つの吸収フィルム層512は、それらがスクリーンの5つの層の各々の間に適合するように提供され得る。しかしながら、別の実施形態では、スクリーンの5つの層のうちの少なくともいくつかの間に、2つまたは3つの吸収フィルム層512が提供される。
【0115】
吸収フィルム層512は、少なくともポリマー基板を含むことができる。一実施形態では、選択されたポリマー基板は、所望の波長の光を吸収する。しかしながら、別の実施形態では、光の所望の波長のすべてを吸収するために、追加の吸収化合物が使用される。さらなる実施形態では、いくつかの吸収化合物を単一のポリマー基板と組み合わせて、所望の保護を達成することができる。
図5Gは、コンピュータスクリーンから放出されている光波を示している。
図5Hは、吸収フィルム層512が吸収し、したがって、それらの特定の光波がユーザに到達することを遮断することを示している。一実施形態で利用することができるいくつかのポリマーベースのリストを以下の表4に提供する。
【0116】
【0117】
一実施形態では、表4から選択されるポリマーのうちの1つは、以下の表5に示されるように、所望の目標範囲内の1つ以上の吸収化合物と組み合わされる。表5に列挙されている吸収化合物は、所与の波長範囲での望ましい保護のために選択可能な吸収化合物のいくつかの実施例である。
【0118】
【0119】
一実施形態では、吸収フィルム層512は、選択された吸収化合物の少なくとも一部の結果としてわずかに色合いを有し、スクリーンからの発光を低減するためのフィルターとして機能する。一実施形態では、CIE光源D65の下では、7.75ミルの厚さを有する吸収フィルム層512は、(L、a、B)値が(90.24、-12,64,3.54)であり、(X-Y-Z)値がそれぞれ(67.14,76.83,78.90)である明るい青緑色である。別の実施形態では、吸収フィルム層512は、負荷が低減されているために明るく見える。
【0120】
一実施形態では、ポリマー基板と吸収化合物(複数可)は混合され、ペレットとして押出成形され、その後、吸収フィルム層512に成形することができる。あるいは、それらはホットコートに向かわせることができる。別の実施形態において、ポリマー基板および1つ以上の吸収化合物は、デバイスのスクリーンの層のいずれかの部分として押出成形されるか、または生成される。
【0121】
一実施形態では、電子デバイスのスクリーンの層の各々の1つ以上の間で、接着剤化合物を使用して、層が確実に合うことを確実にすることができる。接着剤化合物はさらに、層間のシールを提供することができる。したがって、スクリーン内の追加のフィルム層として有害な光の波長からの保護を提供する代わりに、スクリーンの層を結合するために使用される接着剤を介して、保護を提供することができる。
【0122】
図5Eおよび
図5Fは、波長吸収特性を有する光吸収接着剤514を組み込んだデジタルデバイスの例示的なスクリーンを示している。一実施形態では、
図5Eおよび
図5Fに示すように、
図5Aおよび
図5Bに関して前述した層の上側または底側をコーティングする光吸収接着剤514に、1つ以上の吸収化合物が提供される。例えば、
図5Eおよび
図5Fに示されるように、容量グリッド層506を可撓性保護カバー504に接着する接着剤として、光吸収接着剤514を適用することができる。しかしながら、別の実施形態では、光吸収接着剤514は、LCD層510をガラス層508に結合する接着剤として適用され得る。別の実施形態では、光吸収接着剤514は、ガラス層508を容量グリッド層506に結合する接着剤として適用することができる。別の実施形態では、光吸収接着剤514は、それが可撓性保護カバー504を表面コーティング層502に結合するように適用され得る。
【0123】
さらなる実施形態では、1つ以上の吸収化合物を、5つの層の各々の間を結合する接着剤の部分として使用することができる。例えば、光吸収接着剤514は、5つの層の間に使用される唯一の接着剤であり得る。しかしながら、別の実施形態では、光吸収接着剤514は、スクリーンの2つまたは3つの層の間に使用され得る。一実施形態では、選択される吸収化合物は、遮断する選択された範囲の光波長に基づく。例えば、選択される吸収化合物は、表5の列2~4のいずれからのものであってもよい。
【0124】
光吸収接着剤514は、少なくともポリマー基板を含むことができる。一実施形態では、選択されたポリマー基板は、所望の波長の光を吸収する。しかしながら、別の実施形態では、光の所望の波長のすべてを吸収するために、追加の吸収化合物が使用される。さらなる実施形態では、いくつかの吸収化合物を単一のポリマー基板と組み合わせて、所望の保護を達成することができる。
【0125】
一実施形態では、シリコーン接着剤は、表5の列2~4に列挙されている任意の吸収化合物とともに使用され得る。一実施形態では、感圧接着剤は、表5の列2~4に列挙されている任意の吸収化合物とともに使用され得る。別の実施形態では、ホットメルト接着剤は、表5の列2~4に列挙されている任意の吸収化合物とともに使用され得る。さらなる実施形態において、アクリル接着剤は、表5の列2~4に列挙されている任意の吸収化合物とともに使用され得る。
【0126】
一実施形態では、所望の吸収化合物をケトンベースの溶媒、好ましくは、メチルエチルケトンに溶解することにより、接着剤を作成することができる。次に、溶解した吸収化合物は、所望の接着剤化合物では失敗する可能性がある。例えば、一実施形態では、感圧接着剤は、ケトンベースの溶媒に溶解された吸収化合物と組み合わされ得る。少なくとも1つの実施形態では、方法は、溶解していない吸収化合物を除去するための少なくとも1つのフィルタリングステップを含む。別の実施形態では、方法は、プロセスに沿ってケーキングを引き起こす吸収化合物を再溶解するための追加の溶媒の添加を含む。
【0127】
一実施形態では、接着剤層は、選択された吸収化合物の少なくとも一部の結果としてわずかに色合いを有し、スクリーンからの発光を低減するためのフィルターとして機能する。一実施形態では、CIE光源D65の下では、7.75ミルの厚さを有する接着剤層は、(L、a、B)値が(90.24、-12,64,3.54)であり、(X-Y-Z)値がそれぞれ(67.14,76.83,78.90)である明るい青緑色である。別の実施形態では、接着剤層は、負荷が低減されているため、より軽く見える。
【0128】
いくつかの実施形態では、吸収化合物は、電子スクリーンの偏光フィルターと統合される1つ以上のポリマー基板に提供され得る。例えば、LCDスクリーンを備えた電子スクリーンの場合、スクリーンには、2つの偏光フィルターがあり、吸収化合物をスクリーンの偏光フィルターのうちの1つの上にコーティングすることができる。コーティングの場合、吸収化合物は、偏光子フィルターが吸収化合物と積層されることを可能にするポリマー基板中に提供され得る。別の実施例では、吸収化合物を、2つの偏光フィルターのうちの1つに直接的に組み込むことができる。
【0129】
上述のように、吸収化合物は、理想的には各色の波長範囲の一部分のみを遮断するため、電子デバイスのスクリーンを見ている個人には、各色相が依然として見える。したがって、吸収化合物が電子デバイススクリーンに組み込まれる実施形態では、開示された技術によってそれらの波長の部分が遮断される色を増幅して、吸収化合物を通して許容される狭い範囲をより明るくすることができる。
【0130】
仮想現実ヘッドセットへの組み込み
容量グリッドを介して提供されるタッチスクリーン機能を備えたデバイスに関して他の実施形態を説明したが、本開示の少なくともいくつかの実施形態は、タッチスクリーン機能のないデバイスに適用することができることを理解されたい。例えば、一実施形態では、本開示は、
図6A~
図6Cに示されているような仮想現実ヘッドセットデバイス、または光源によって生成された光の波長を吸収するように構成された別のタイプのヘッドマウントガラスデバイスに適用または統合することができる。
【0131】
仮想現実(VR)ヘッドセットは、ユーザが没入型視聴覚体験のために目の上に着用することができるヘッドギアの部品である。より具体的には、VRヘッドセットは、ユーザの顔から数インチ離れたスクリーンを提供する。さらに、VRヘッドセットは、周囲の光を遮断し、ユーザの視野への侵入を防ぐ。スクリーン、したがってUV光および青色光がユーザの目に近接しているため、VRヘッドセットは、ユーザに一連の固有のリスクをもたらす。開示された技術は、VRヘッドセットでこれらの有害な波長を遮断することができるため、非常に有用である。いくつかの実施形態では、VRヘッドセットは周囲光がスクリーンに干渉するのを遮断するため、光吸収材料で使用される染料沈着または化学構造は、ユーザの色体験を妨害する可能性があり、したがって、VRヘッドセットに使用される光吸収材料は、上記の実施形態とは異なり得る。
【0132】
一部の仮想現実ヘッドセットは、眼鏡、フレーム、またはヘッドフォンもしくはその他のリスニングデバイスと組み合わせたユニットを含み、スクリーンとして機能する携帯電話を受容することができる。米国特許第8,957,835号(’835特許)に記載されているように、電話はヘッドセットにパチンとはまり、ユーザは電話のモバイルアプリケーションを利用することができる。’835特許の
図4は、1つのタイプの電話ベースの仮想現実ヘッドセットを示している。本開示は、
図6Aに示されるように、この仮想現実ヘッドセットと併せて使用され得る。この実施形態では、光吸収層602は、電話の前方の仮想現実ヘッドセットのフレームに組み込むことができるため、光が電話から送信されたときに、その光は、ヘッドセットの残りの部分を通過して、ユーザの目に進む前に、光吸収層602を通過しなければならない。光吸収層602は、上述のいくつかの特性のいずれかを具体化することができる。
【0133】
電話をスクリーンとして使用する代わりに、他の仮想現実ヘッドセットには、スクリーンパネルが組み込まれている。例えば、Oculus VRによって開発されたOculus Riftは、各目について有機発光ダイオード(OLED)パネルを使用している。これらの仮想現実ヘッドセットでは、
図6Bおよび
図6Cに示されるように、光吸収層602を光ディスプレイパネルの前方に含めることができる。光吸収層602は、両方の目を覆う1つの連続層であってもよい。別の実施形態では、各眼に1つずつ、2つの光吸収層602があってもよい。いくつかの実施形態では、各光吸収層602は、フラットパネルである。他の実施形態では、各光吸収層602は、ヘッドセットの内部の周りで湾曲している。
【0134】
ディスプレイシステム
図7は、本開示のシステムを有利に使用することができる、例示的なディスプレイシステム700の概略断面図である。そのようなディスプレイシステム700は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)モニター、LCD-TV、ハンドヘルド、タブレット、ラップトップ、または他のコンピューティングデバイスで使用されてもよい。
図7のディスプレイシステム700は、単なる例示であるが、本開示のシステムは、システム700と同様または類似のシステムでの使用に限定されない。本開示のシステムは、液晶ディスプレイ技術を必ずしも含まない他の種類のディスプレイシステムで有利に使用され得る。
【0135】
ディスプレイシステム700は、液晶(LC)パネル750と、照明光をLCパネル750に提供するように位置付けられた照明アセンブリ701と、を含むことができる。LCパネル750は、通常、パネルプレート754の間に配置されたLC752の層を含む。プレート754は、LC層752内の液晶の配向を制御するために、それらの内面に電極構造体および位置合わせ層を含むことができる。これらの電極構造体は、LCパネルピクセルを定義するように配設され得る。LCパネル750によって表示される画像に色を付けるために、プレート752のうちの1つ以上にカラーフィルターを含めることもできる。
【0136】
LCパネル750は、上部吸収偏光子756と下部吸収偏光子758との間に位置付けられ得る。吸収偏光子756、758およびLCパネル750の組み合わせは、照明アセンブリ701から観察者への光の透過を制御することができ、観察者は、一般に
図7の上部の方に位置付けられ、かつ一般に表示システム700において(
図7に関して)下を向いている。コントローラ704は、LC層752のピクセルを選択的にアクティブ化して、観察者に見える画像を形成することができる。
【0137】
例えば、ディスプレイに光学的機能ならびに/または機械的および/もしくは環境保護を提供するために、上部吸収偏光子756の上に1つ以上の任意の層757を設けることができる。
【0138】
照明アセンブリ701は、バックライト708と、バックライト708とLCパネル750との間に位置付けられた1つ以上の光管理フィルム740と、を含むことができる。ディスプレイシステム700のバックライト708は、LCパネル750を照明する光を生成するいくつかの光源712を含むことができる。光源712は、任意の適切な照明技術を含むことができる。いくつかの実施形態では、光源712は、発光ダイオード(LED)とすることができ、より具体的には、白色LEDとすることができる。図示されているバックライト708は、光源のアレイ712が、実質的にパネルの領域のほとんどまたはすべてにわたってLCパネル750の背後に配置される、「直接照明」バックライトであり得る。図示されているバックライト708は、単に概略的なものであるが、多くの他の他のバックライト構成が可能である。例えば、一部のディスプレイシステムには、光源からの光をLCパネル750の領域のほとんどまたはすべてに実質的に分配することができる、ライトガイドの1つ以上の側面に光源(LEDなど)が配置される、「サイド照明」バックライトを含めることができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、バックライト708は概して白色光を放出し、LCパネル750は、カラーフィルタマトリクスと組み合わされて、表示される画像が多色になるように多色ピクセルのグループを形成する。
【0140】
バックライト708はまた、LCパネル750から離れる方向に伝搬する光源712からの光を反射するための反射基板702を含み得る。反射基板702はまた、ディスプレイシステム700内で光を再利用するために有用であり得る。
【0141】
フィルムスタック、バックライトフィルムスタック、または光管理ユニットとも称され得る光管理フィルムの配設740は、バックライト708とLCパネル750との間に位置付けられ得る。光管理フィルム740は、ディスプレイシステム700の動作を改善するように、バックライト708から伝搬する照明光に影響を与えることができる。光管理ユニット740は、本明細書に図示および記載されているすべての構成要素を必ずしも含む必要はない。
【0142】
光管理フィルムの配設740は、拡散器720を含むことができる。拡散器720は、光源712から受け取った光を拡散することができ、これにより、LCパネル750に入射する照明光の均一性を高めることができる。拡散器層720は、任意の適切な拡散器フィルムまたはプレートであり得る。
【0143】
光管理ユニット740は、反射偏光子742を含むことができる。光源712は、通常、偏光されていない光を生成するが、下部吸収偏光子758は、単一の偏光状態のみを透過させる。したがって、光源712によって生成された光の約半分は、LC層752を通じて透過されない。しかしながら、反射偏光子742は、さもなければ下部吸収偏光子758で吸収されるであろう光を反射するために使用されてもよい。その結果、この光は、反射偏光子742と、反射基板702を含む下にあるディスプレイ構成要素との間の反射によって再利用され得る。反射偏光子742によって反射された光の少なくとも一部は、偏光解消され、その後、反射偏光子742および下部吸収偏光子758を通ってLC層752に透過される偏光状態で、反射偏光子742に戻され得る。このようにして、反射偏光子742は、LC層752に到達する光源712によって放出された光の割合を増加させるために使用され、それにより、より明るいディスプレイ出力を提供することができる。反射偏光子742には、任意の適切なタイプの反射偏光子を使用することができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、偏光子板720と反射偏光子742との間に、偏光制御層744を設けることができる。偏光制御層744を使用して、反射偏光子742から反射される光の偏光を変化させることができるので、再利用された光の増加した割合が、反射偏光子742を透過する。
【0145】
光管理フィルムの配設740はまた、1つ以上の輝度向上層を含むことができる。輝度向上層は、軸外光をディスプレイの軸により近い方向に向け直す表面構造を含むことができる。これは、LC層752を通って軸上を伝搬する光の量を増加させることができ、したがって、観察者によって見られる画像の輝度が増加する。輝度向上層の一実施例は、プリズム状輝度向上層であり、これは、屈折および反射を通じて照明光を向け直す多数のプリズム状隆起を有する。プリズム輝度向上層の実施例には、3M Companyから入手可能なBEFプリズムフィルムが含まれる。他の種類の輝度向上層には、非プリズム構造体を組み込むことができる。
【0146】
図7に示す例示的な実施形態は、反射偏光子742とLCパネル750との間に配置された第1の輝度向上層746aを示している。プリズム状の輝度向上層は、通常、一次元で光学利得を提供する。任意の第2の輝度向上層746bがまた、第1の輝度向上層746aのプリズム構造体に対して直角に配向されたプリズム構造体を有する、光管理層の配設740に含まれ得る。このような構成は、二次元でディスプレイシステム700の光学利得を増加させることをもたらす。他の例示的な実施形態では、輝度向上層746a、746bは、バックライト708と反射偏光子742との間に位置付けられてもよい。
【0147】
光管理ユニット740の異なる層は、自立することができる。他の実施形態では、光管理ユニット740内の層のうちの2つ以上を一緒に積層することができる。他の例示的な実施形態では、光管理ユニット740は、2つ以上のサブアセンブリを含み得る。
【0148】
概略図として、ディスプレイシステム700の構成要素は、一定の縮尺で示されておらず、一般に、それらの横方向の範囲(左右方向に沿った)に比べて非常に誇張された厚さ(
図7の上下方向に沿った)で示されていることが理解されよう。702、720、742、744、746a、746b、752、754、756、および757を含む(これらに限定されるわけではない)ディスプレイシステム700の多くの要素は、「表示領域」とも称され得るディスプレイの可視領域にほぼ等しい領域にわたって、それらの厚さに一般的に直交する(すなわち、
図7の平面に対して垂直である)二次元で延在することができる。
【0149】
バックライト708に戻ると、いくつかの実施形態では、光源712は、UVおよび青色光範囲(特に、約455nm未満)などの潜在的に有害な波長範囲でかなりの量の光を放出することができる。本開示のシステムを含まないディスプレイシステム700では、そのような潜在的に有害な光の有意な量が、ディスプレイシステム700によってユーザに向けて(
図7に関して上方に)放出され得る。この文脈では、「有意な」光量は、ディスプレイのユーザに有毒な健康影響をもたらす可能性のある光量を意味することができる。この危険性を考慮して、本開示は、システム700などのディスプレイシステムから放出される有害な青色光の量を低減するためのシステムを提供する。
【0150】
電子デバイスディスプレイからの青色光放出の危険を軽減するいくつかのアプローチでは、吸収材料を使用して、ユーザの目に到達する特定の波長範囲(UVおよび青色光の波長範囲など)の光の量を低減することができる。これらの解決策の一部は、2015年5月22日に出願された、電子デバイス用の光放出低減フィルムという名称の米国非仮特許出願第14/719,604号、2014年5月23日に出願された、電子デバイス用の光放出低減フィルムという名称の米国仮特許出願第62/002,412号、2015年6月15日に出願された、電子デバイス用の光放出低減フィルムという名称の米国仮特許出願第62/175,926号、2015年11月13日に出願された、電子デバイス用の光放出低減化合物という名称の米国仮特許出願第62/254,871号、2015年11月13日に出願された、仮想現実ヘッドセット用の光放出低減フィルムという名称の米国仮特許出願第62/255,287号、2016年4月14日に出願された、電子デバイス用の光放出低減フィルムという名称の米国仮特許出願第62/322,624号、2016年11月14日に出願された、電子デバイス用の光放出低減化合物という名称の米国仮特許出願第62/421,578号、2015年5月22日に出願された、電子デバイス用の光放出低減フィルムという名称の特許協力条約に基づく国際出願PCT/US2015/032175号、および2016年6月14日に出願された、電子デバイス用の光放出低減化合物という名称の特許協力条約に基づく国際出願PCT/US2016/037457号に記載されており、これらは、参照により組み込まれ、本明細書の明示的な開示に反する主題が組み込まれないように制限される。
【0151】
ディスプレイシステムへの光吸収材料の組み込み
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、光吸収材料は、ディスプレイの光源から離れた任意の適切な場所に配置され得る。いくつかの実施形態では、光吸収材料は、光管理フィルム740のうちの1つ以上のフィルム、および/または
図7に示されていない別の1つ以上のフィルムの中、それらの上、またはそれらに含まれ得る。一般に、光吸収材料は、光吸収材料によって吸収される光と比較して、異なる方向性および/または偏光性を有する光を再放出することができる。したがって、いくつかの実施形態では、再放出光が、ユーザに向かってディスプレイを出る前に、フィルム742、746a、および746b(そのようなフィルムがディスプレイシステムに存在する場合)を通過するように、光吸収材料は、反射偏光子742および/または輝度向上層746a、746bのうちの1つ以上の下方(
図7の配向に対して)に含まれ得る。しかしながら、これは限定的ではなく、光吸収材料は、潜在的に、光管理フィルム740の任意の構成要素内に、または、またはそれとともに配置され得る。
【0152】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、光吸収材料は、
図7の層757などの、LC層752とユーザとの間のディスプレイ層内に、その上に、またはそれとともに含まれ得る。
【0153】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、光吸収材料は、反射基板702内に、その上に、またはそれとともに含まれ得る。
【0154】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、光吸収材料は、光管理フィルム740、反射体702、または層757などの別の層内に、その上に、またはそれとともに含まれるか、または提供されるときに、ディスプレイの表示領域に対応するほぼ全領域に実質的に分配され得る。いくつかのそのような実施形態では、光吸収材料は、そのような領域にわたって実質的に均一に分配され得る。
【0155】
光吸収材料は、任意の適切な様式で、光管理フィルム740、反射体702、または層757などの別の層の中、その上、またはそれとともに含まれるか、または提供され得る。いくつかの実施形態では、光吸収材料は、フィルムとともに押出成形されるか、または鋳造され得る。いくつかの実施形態では、光吸収材料は、フィルム上にコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、光吸収材料は、ディスプレイシステム700の任意の適切な層またはフィルムなどのディスプレイシステムの1つ以上の層を結合または積層するために使用される接着剤内または接着剤とともに提供され得る。光吸収材料を組み込んだそのような接着剤は、実質的に光学的に透明であり、それは、光吸収材料による吸収および再放出と関連付けられた光の方向転換以外は、接着剤を透過する光の無視することができる散乱を示す。
【0156】
いくつかの実施形態では、光吸収材料は、ポリマー樹脂または接着剤などのディスプレイシステム700の任意の適切なフィルムまたは層の構成要素または前駆体である材料全体に、可溶性または不溶性に分布または分配され得る。一部の実施形態では、光吸収材料はナノ粒子を含むことができ、その一部は、ポリマーおよび一般的に使用される溶媒に不溶性であり得る。可溶性の光吸収材料を使用する一部のシステムでは均一な分布がより簡単に実現され得るが、製造中に適切な処理を行う不溶性の光吸収材料を使用すると、不均一な分布でも実現することができる。
【0157】
網膜保護因子(RPF)
青色光または高エネルギー可視光は、眼の健康に潜在的に有害であると多くの情報源によって認識されている。Health Physics 105(1):74-96; 2013で公開されたICNIRPガイドラインで概説されているこの青色光ハザードの毒性は、ANSI Z80.3およびCE-166基準で採用されており、以下の表6に要約される。
【0158】
【0159】
RPF(網膜保護係数)の値は、青色光ハザード(BLH)について上記の表6で概説されているような、青色光の最も有毒な波長の選択的フィルタリングの使用による減少率に基づいている。光源の輝度対波長は、分光光度計を使用して計算される。次に、それらの排出量に、上記の表の毒性の係数を掛ける。次に、可視スペクトルの範囲にわたるこれらの値の合計は、次の式と定義に従って、その光源の重み付き毒性レベルになる。
総青色光ハザード=ΣL(λ)XBLH(λ)X(Δλ)
BLH(λ)。上記の表6の青色光ハザード毒性重み付け関数。
L(λ)=カンデラ/平方メートルの単位でのモニターの輝度または放出
(Δλ)=毒性評価が関連付けられている帯域幅(5nm)
【0160】
次に、候補フィルムが光源(ディスプレイ)に適用され、測定および光の毒性が、同じ手順で再び計算される。その場合、毒性の減少は、%減少として表される
(100X[フィルムなしの毒性-フィルムありの毒性]/フィルムなしの毒性)=(x)%減少=RPF(x)
436染料-低、中、および高濃度-スペクトルスキャン、RPF値、輝度の変化、色域、RGB位置の変化、およびデルタE
【0161】
青色光低減フィルムを特定する場合、ディスプレイ製造業者は、青色光毒性の低減と、特定のディスプレイの色および輝度への影響を最小限に抑えることとのバランスをとることを望む場合がある。
【0162】
ノッチ吸収材および複数のノッチフィルター
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、青色光の特定の危険な波長をより具体的に標的にしながら、色および輝度への悪影響を最小化する「ノッチ」吸収染料を利用する。この技術の目的のための「ノッチ」吸収材は、それらのそれぞれの全幅半値(FWHM)で50nm以下の吸収帯幅を持つ吸収体として定義され得る。いくつかの実施例では、ノッチは、約40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、および/または約10nm未満のFWHMを有することができる。本明細書の実施例はノッチ吸収染料の使用を説明することができるが、吸収性染料以外の他の光フィルタリング機構を使用して、ノッチバンドを含む特定の波長範囲の光をフィルタリングすることができることを理解されたい。例えば、多層干渉フィルターは、狭い波長範囲に影響を与えるように正確に調整することができる。
【0163】
この開示では、我々は、青色スペクトルおよび赤色スペクトルの両方から光をフィルタリングする電子デバイス用のダブルノッチフィルターの概念について説明する。どちらか一方または両方の吸収領域は、吸収染料で達成され得るが、概念は、そのような吸収性染料に限定されない。特定の技術または技術の組み合わせ(例えば、2つの領域の吸収性染料)を具体的に使用するいくつかの実施例は、同じ結果として生じる最終的な濾過に影響を与えることができる光濾過技術の任意の組み合わせを含むように一般化され得る。
【0164】
フィルターに赤色光フィルター/吸収材を追加する1つの理由は、単一のノッチ青色フィルター/吸収材フィルターが青色光を除去することにより、(フィルターに入力される光のスペクトルと比較して)結果として得られるフィルター処理された光をより低い色温度にシフトする可能性があることである。これは、少なくとも色管理上の理由から望ましくない場合がある。また、スペクトルの赤い部分の光の狭帯域部分を削除することにより、色温度をより高い値に戻すようにシフトすることができ、このことは、色管理にとってより望ましい場合がある。
【0165】
いくつかの実施例では、ダブルノッチフィルターは、従来のLEDバックライト付きLCDディスプレイからの入力光を使用して、D65ホワイトポイントの実質的に満足できる基準として測定され得る光を出力することができる。いくつかの実施例では、ダブルノッチフィルターは、D65ホワイトポイントのほぼ条件を満たす基準として+/-500ケルビン以内で測定され得る光を出力することができる。いくつかの実施例では、ダブルノッチフィルターは、D65ホワイトポイントのほぼ条件を満たす基準として+/-1000ケルビン以内で測定され得る光を出力することができる。
【0166】
図8は、本開示の狭いノッチの青色光フィルタリング染料の変化する濃度のスペクトルを示している。
【0167】
表7は、青色光をフィルタリングするときにバランスをどのように達成することができるかを示し、かつ濃度の変化がRPF値および色温度の変化CCTにどのように影響するかを示している。表の後半(第2のセットの3行目)は、赤の吸収「色補正染料」(約630nmにピーク吸収を持つノッチ吸収染料)を使用して、絶対変化を999から47に減らすが、青色吸収染料の濃度は一定に保たれることを示している。これは、(例えば、製造業者、ユーザ、および何人かのその他の関係者が)許容できると見なされる相関色温度(CCT)、輝度、およびホワイトポイントの色(デルタEで測定される)の変化によってバランスをとることができる。
図9は、表7の最後の3行に対応する、青色光吸収染料濃度を一定に保った状態での、色補正染料の様々な濃度の効果を示している。
【0168】
【0169】
比較のために、
図10は、色補正染料を使用しない、広帯域(狭いノッチではない)の青色光吸収染料の影響を示している。表8は、RPFおよびカラー基準での「ノッチ」染料とより広い吸収染料の比較を示している。狭いノッチ染料の利点は、RPF保護値が高く、また透過フィルムが高いほど、最も重要である。最高レベルの保護と透過率の高いフィルムでは、輝度の損失が50%大きくなる(より広い吸収体では15%、狭いノッチ染料では10%)。
【0170】
【0171】
染料の濃度(複数可)は、染料または染料を含有するコーティングを組み込むためのベースフィルム(基板)の変化に基づいて調整され得る。
【0172】
【0173】
「ノッチ」染料ならびに色補正染料の両方の染料濃度は、特定のディスプレイおよびバックライトで使用されているLEDに基づいて最適なパフォーマンスに調整され得る。表10は、2つの異なるシナリオを示している。
図11は、
図9に示したものと同様のLEDバックライト「B」に対して行われた最適化を示している。
【0174】
【0175】
本明細書では本発明の原理について説明したが、この説明は実施例としてのみ行われ、本発明の範囲に関する限定としてではないことは当業者には理解されるべきである。本明細書に示され、かつ説明される例示的な実施形態に加えて、他の実施形態が本開示の範囲内で企図される。当業者による修正および置換は、本開示の範囲内であると見なされる。