(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】カム及び大型丸編機のカム構造
(51)【国際特許分類】
D04B 15/36 20060101AFI20240927BHJP
F16H 23/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
D04B15/36 103
F16H23/04
(21)【出願番号】P 2023190347
(22)【出願日】2023-11-07
【審査請求日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】202310817134.1
(32)【優先日】2023-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523422048
【氏名又は名称】常熟市華坤針紡織有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANGSHU HUAKUN KNITTING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Zhiwang Road, Dongbang Town, Changshu, Suzhou, Jiangsu 215500, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】呉健
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-161874(JP,A)
【文献】特開昭61-070050(JP,A)
【文献】特開2010-159530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 15/36
F16H 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム本体(1)を含むカムにおいて、
前記カム本体(1)には針入れ溝(11)、運針溝(12)及び針出し溝(13)がこの順に開設され、前記運針溝(12)は、前記針入れ溝(11)及び前記針出し溝(13)に連通し、前記運針溝(12)の幅は、3.1mm~3.3mmであ
り、
前記カム本体(1)は、第1半体(3)と、第2半体(4)と、接続体(5)と、第1接続ボルト(6)とを含み、
前記第1半体(3)は、前記第1接続ボルト(6)によって前記接続体(5)に接続され、前記第2半体(4)のほうも前記第1接続ボルト(6)によって前記接続体(5)に接続され、且つ、前記第1半体(3)及び前記第2半体(4)が前記接続体(5)において前記針入れ溝(11)、前記運針溝(12)及び前記針出し溝(13)を形成し、
前記接続体(5)は、第3半体(51)と、第4半体(52)と、第2接続ボルト(53)とを含み、
前記第3半体(51)に第1ねじ穴が開設され、前記第4半体(52)に第2ねじ穴が開設され、前記第2接続ボルト(53)は、前記第4半体(52)上の前記第2ねじ穴を通過して、前記第3半体(51)上の前記第1ねじ穴にねじ接続され、且つ、前記第2ねじ穴は前記第2接続ボルト(53)にもねじ接続され、
前記第1半体(3)は、前記第1接続ボルト(6)によって前記第3半体(51)に接続され、前記第2半体(4)は、前記第1接続ボルト(6)によって前記第4半体(52)に接続されることを特徴とするカム。
【請求項2】
前記運針溝(12)は、前記カム本体(1)に順に開設される上昇溝(121)、下降溝(122)、糸引掛け溝(123)及びニット溝(124)を含み、
前記上昇溝(121)の前記下降溝(122)から離れた一端は前記針入れ溝(11)に連通し、且つ、前記針入れ溝(11)の前記上昇溝(121)に連通した箇所に第1円弧が形成され、
前記上昇溝(121)の前記下降溝(122)に接続した箇所に第2円弧が形成され、
前記糸引掛け溝(123)の断面は円弧状であり、
前記ニット溝(124)の前記糸引掛け溝(123)から離れた一端は前記針出し溝(13)に連通し、且つ、前記ニット溝(124)の前記針出し溝(13)に連通した箇所に第3円弧が形成されることを特徴とする請求項1に記載のカム。
【請求項3】
前記下降溝(122)と前記上昇溝(121)との間の夾角は、59°~61°であることを特徴とする請求項2に記載のカム。
【請求項4】
前記カム本体(1)に2つのガイドブロック(2)が設けられ、2つの前記ガイドブロック(2)が前記針出し溝(13)に連通したガイド穴(21)を形成することを特徴とする請求項1に記載のカム。
【請求項5】
サドルボディ(71)と、複数のセットの接続アセンブリ(72)と、調整アセンブリ(73)とを含み、
前記接続アセンブリ(72)は、2つの調整ブロック(721)と、複数の第3接続ボルト(722)とを含み、2つの前記調整ブロック(721)は、いずれも、前記サドルボディ(71)においてスライドして設けられ、前記第3半体(51)は、1つの前記第3接続ボルト(722)によって一方の前記調整ブロック(721)に接続され、前記第4半体(52)は、1つの前記第3接続ボルト(722)によって他方の前記調整ブロック(721)に接続され、
前記調整アセンブリ(73)は前記サドルボディ(71)に設けられ、且つ、複数のセットの前記接続アセンブリ(72)中の前記調整ブロック(721)はいずれも前記調整アセンブリ(73)に接続されることを特徴とする
請求項1に記載のカムを含む大型丸編機のカム構造。
【請求項6】
前記調整アセンブリ(73)は、調整軸(731)と、二方向スクリュー(732)とを含み、
前記調整軸(731)は、前記サドルボディ(71)において回転して設けられ、
前記二方向スクリュー(732)は、複数設けられ、複数の前記二方向スクリュー(732)は、いずれも前記調整軸(731)に設けられ、前記二方向スクリュー(732)と前記接続アセンブリ(72)は、一対一で対応し、前記二方向スクリュー(732)は2つの前記調整ブロック(721)を通過し、且つ、同一のセットの前記接続アセンブリ(72)中の2つの前記調整ブロック(721)は、それぞれ、同一の前記二方向スクリュー(732)の両端にねじ接続されることを特徴とする
請求項5に記載の大型丸編機のカム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型丸編機の技術分野に関し、特に、カム及び大型丸編機のカム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ニット円形緯編み機は、通称、ニット大型丸編機(又はニット円型緯編機)と呼ばれる。ニット大型丸編機はニットシステム(業界では、給糸フィーダー数又はニットフィーダー数と呼ばれ、フィーダー数と略称される)が多く、回転数が速く、生産量が高く、パターンが変りやすく、編み物の品質が良く、工程が少なく、製品の適合性が高いため、早く発展されている。ニット大型丸編機は、フレーム、編み機構、給糸機構、伝動機構、潤滑除塵機構、電気制御機構、引張巻取機構及び他の付属装置によって構成される。そのうち、編み機構は、ニット大型丸編機の心臓部に相当するもので、主に、シリンダ、編針、カム、カムシート(サドル)、シンカー(片面編み機のみ)などの部品によって構成される。カムは、トライアングルなどとも呼ばれ、それは、ニット大型丸編機の編みの種類によって、編針及びシンカーを制御してシリンダ溝内で往復運動させる。カムは、ニットカム、タックカム、ステッチカム、ウェルトカム、ニードルカムの5種類がある。
【0003】
従来、カムは、カム本体を含み、カム本体には、編針の運動方向に沿って針入れ溝、運針溝及び針出し溝がこの順に開設され、針溝は、カム本体に順に開設される上昇溝、下降溝、糸引掛け溝及びニット溝を含み、針入れ溝は上昇溝に連通しかつ連通した箇所に第1円弧が形成され、上昇溝の下降溝に接続した箇所に第2円弧が形成され、ニット溝は針出し溝に連通しかつ連通した箇所に第3円弧が形成され、上昇溝、下降溝、糸引掛け溝及びニット溝の幅はいずれも6.5mmであり、即ち、運針溝の幅は6.5mmである。編針は、針入れ溝内から上昇溝に入り、次に、下降溝を経て、続いて糸引掛け溝に入り、さらにニット溝に入り、最後に針出し溝から運動してカム本体を出る。
【0004】
発明者は、本発明を実現する過程で、当該技術には少なくとも次の問題があることを見出した。運針溝の幅が比較的広いため、編針が運針溝内で運動する時、編針は上下運動の慣性でストロークが増加することで、編んだループの密度は低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、編んだループの密度を向上させるために、カム及び大型丸編機のカム構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様において、本発明によって提供されるカムは、以下の技術的解決手段を用いる。
カム本体を含むカムであって、前記カム本体には針入れ溝、運針溝及び針出し溝がこの順に開設され、前記運針溝は、前記針入れ溝及び前記針出し溝に連通し、前記運針溝の幅は、3.1mm~3.3mmである。
【0007】
上記の技術的解決手段を用いると、編針は、針入れ溝から運針溝に入り、次に、運針溝内から針出し溝内まで運動し、最後に針出し溝から運動してカム本体を出て、編針が運針溝内で運動する時に糸をループに編み、編針は、幅が3.1mm~3.3mmである運針溝内で運動し、上下運動の慣性により編針の増加するストロークを減少させることができ、これにより、編んだループの密度を向上させ、密度は、1インチあたり5メッシュ~10メッシュ増加する。
【0008】
任意に、前記運針溝は、前記カム本体に順に開設される上昇溝、下降溝、糸引掛け溝及びニット溝を含み、前記上昇溝の前記下降溝から離れた一端は前記針入れ溝に連通し、且つ、前記針入れ溝の前記上昇溝に連通した箇所に第1円弧が形成され、前記上昇溝の前記下降溝に接続した箇所に第2円弧が形成され、前記糸引掛け溝の断面は円弧状であり、前記ニット溝の前記糸引掛け溝から離れた一端は前記針出し溝に連通し、且つ、前記ニット溝の前記針出し溝に連通した箇所に第3円弧が形成される。
【0009】
上記の技術的解決手段を用いると、編針は、針入れ溝内から上昇溝に入り、次に、下降溝を経て、続いて糸引掛け溝に入り、さらにニット溝に入り、最後に針出し溝内から運動してカム本体を出て、形成されている第1円弧、第2円弧及び第3円弧は、編針が運動する時、編針を安定的に移行させて、編針が損傷することを減らすことができる。
【0010】
任意に、前記下降溝と前記上昇溝との間の夾角は、59°~61°である。
【0011】
上記の技術的解決手段を用いると、上昇溝と下降溝との間の夾角は、編針を安定的に移行させることができ、編針を保護しながらも、後には、編針は糸をループに編みやすい。
【0012】
任意に、前記カム本体に2つのガイドブロックが設けられ、2つの前記ガイドブロックが前記針出し溝に連通したガイド穴を形成する。
【0013】
上記の技術的解決手段を用いると、2つのガイドブロックによって形成されたガイド穴により、編針はカムの針出し溝から隣接するカムの針入れ溝内まで一層確実に運動する。
【0014】
任意に、前記カム本体は、第1半体と、第2半体と、接続体と、第1接続ボルトとを含み、前記第1半体は、前記第1接続ボルトによって前記接続体に接続され、前記第2半体のほうも前記第1接続ボルトによって前記接続体に接続され、且つ、前記第1半体及び前記第2半体が前記接続体において前記針入れ溝、前記運針溝及び前記針出し溝を形成する。
【0015】
上記の技術的解決手段を用いると、第1半体又は第2半体が損傷する時に、第1半体及び第2半体によって接続体において形成された運針溝が変形して、編針の運動経路が変化し、編んだループに問題が生じる。したがって、第1半体又は第2半体が損傷した場合は、第1接続ボルトを回転させて、第1接続ボルトを接続体から分離させ、次に、損傷した第1半体又は第2半体を取り替えて、編んだループの品質を保証し、また、損傷した部分だけを取り替えるのは、資源の節約を実現できる。
【0016】
任意に、前記接続体は、第3半体と、第4半体と、第2接続ボルトとを含み、前記第3半体に第1ねじ穴が開設され、前記第4半体に第2ねじ穴が開設され、前記第2接続ボルトは、前記第4半体上の前記第2ねじ穴を通過して、前記第3半体上の前記第1ねじ穴にねじ接続され、且つ、前記第2ねじ穴は前記第2接続ボルトにもねじ接続され、前記第1半体は、前記第1接続ボルトによって前記第3半体に接続され、前記第2半体は、前記第1接続ボルトによって前記第4半体に接続される。
【0017】
上記の技術的解決手段を用いると、まず、第1半体を第1接続ボルトによって第3半体に接続させ、第2半体を第1接続ボルトによって第4半体に接続させ、第3半体に位置する第1半体及び第4半体に位置する第2半体によって形成された運針溝の幅が3.1mm~3.3mmにない場合は、所望により第3半体と第4半体との間の距離を調整して、運針溝の幅を3.1mm~3.3mmとしてもよく、第3半体の第4半体に対する位置が確定すると、第2接続ボルトを第4半体上の第2ねじ穴を通過させて第3半体上の第1ねじ穴にねじ接続させ、第4半体上の第2ねじ穴のほうも第2接続ボルトにねじ接続され、第3半体と第4半体の接続を実現し、したがって、調整可能な接続体を設けても、カムの正常な使用を保証することができる。
【0018】
第2態様において、本発明によって提供される大型丸編機のカム構造は、以下の技術的解決手段を用いる。
サドルボディと、複数のセットの接続アセンブリと、調整アセンブリとを含む大型丸編機のカム構造であって、前記接続アセンブリは、2つの調整ブロックと、複数の第3接続ボルトとを含み、2つの前記調整ブロックは、いずれも、前記サドルボディにおいてスライドして設けられ、前記第3半体は、1つの前記第3接続ボルトによって一方の前記調整ブロックに接続され、前記第4半体は、1つの前記第3接続ボルトによって他方の前記調整ブロックに接続され、前記調整アセンブリは前記サドルボディに設けられ、且つ、複数のセットの前記接続アセンブリ中の前記調整ブロックはいずれも前記調整アセンブリに接続される。
【0019】
上記の技術的解決手段を用いると、まず、第2接続ボルトによって接続されている第3半体及び第4半体を、それぞれ、第3接続ボルトによって2つの調整ブロックに接続させ、第3半体と第4半体との間の距離を調整する必要がある場合は、即ち、運針溝の幅を調整する必要がある場合は、まず、第2接続ボルトを第4半体上の第2ねじ穴から分離させ、次に、調整アセンブリによって接続アセンブリ中の2つの調整ブロックの位置を調整すると、2つの調整ブロックが第3半体及び第4半体の位置を変え、第3半体及び第4半体の位置が確定すると、第2接続ボルトを第4半体上の第2ねじ穴にねじ接続させ、また、サドルを大型丸編機に取り付ける必要がある場合は、まず、第3半体と第4半体との間の距離を増加させて、第1半体と第2半体のいずれも編針に完全には当接しないようにしてもよく、次に、調整アセンブリによって第3半体及び第4半体の位置を調整して、第1半体と第2半体との間で形成されている運針溝の幅を減少させ、これにより、編針は運針溝内に一層確実に位置し、速やかに編針をサドルボディ上に位置するカムの運針溝に適合させて、調整時間を短縮して効率を向上させる。
【0020】
任意に、前記調整アセンブリは、調整軸と、二方向スクリューとを含み、前記調整軸は、前記サドルボディにおいて回転して設けられ、前記二方向スクリューは、複数設けられ、複数の前記二方向スクリューは、いずれも前記調整軸に設けられ、前記二方向スクリューと前記接続アセンブリは、一対一で対応し、前記二方向スクリューは2つの前記調整ブロックを通過し、且つ、同一のセットの前記接続アセンブリ中の2つの前記調整ブロックは、それぞれ、同一の前記二方向スクリューの両端にねじ接続される。
【0021】
上記の技術的解決手段を用いると、調整軸を回転させて、調整軸が二方向スクリューを連れて回転させると、二方向スクリューは2つの調整ブロックを連れて対向して又は背中合わせに運動させ、設けられた調整アセンブリは、構造がシンプルで操作しやすい。
【0022】
以上から分かるように、本発明は、次の有益な技術的効果の少なくとも1つを含む。
1.編針は、幅が3.1mm~3.3mmである運針溝内で運動し、上下運動の慣性により編針の増加するストロークを減少させることができ、これにより、編んだループの密度を向上させ、密度は、1インチあたり5メッシュ~10メッシュ増加する。
2.設けられたカム構造は、速やかに編針をサドルボディ上に位置するカムの運針溝に適合させて、調整時間を短縮して効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施例のカムの構造模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例の接続体の構造模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例の大型丸編機のカム構造の構造模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例の調整アセンブリの構造模式図である。
【0024】
符号の説明:1...カム本体、11...針入れ溝、12...運針溝、121...上昇溝、122...下降溝、123...糸引掛け溝、124...ニット溝、13...針出し溝、2...ガイドブロック、21...ガイド穴、3...第1半体、4...第2半体、5...接続体、51...第3半体、52...第4半体、53...第2接続ボルト、6...第1接続ボルト、71...サドルボディ、72...接続アセンブリ、721...調整ブロック、722...第3接続ボルト、73...調整アセンブリ、731...調整軸、732...二方向スクリュー。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、
図1~
図4を参照して本発明を一層詳細に説明する。
【0026】
本発明の実施例は、カム及び大型丸編機のカム構造を開示する。
【0027】
図1を参照すると、カム本体1を含むカムであって、カム本体1は、接続体5を含み、接続体5の一端に第1半体3が設けられ、接続体5の他端には第2半体4が設けられる。
【0028】
図2を参照すると、接続体5は、第3半体51を含み、第3半体51に第1ねじ穴が開設され、第3半体51の片側に第4半体52が設けられ、第4半体52に第2ねじ穴が開設され、第4半体52には、第4半体52上の第2ねじ穴を通過して、第3半体51上の第1ねじ穴にねじ接続される第2接続ボルト53が設けられ、且つ、第2接続ボルト53は、第4半体52上の第2ねじ穴にもねじ接続される。
【0029】
第1半体3は第3半体51に当接し、且つ、第1半体3には、第1半体3を通過して第3半体51にねじ接続される第1接続ボルト6が設けられ、第2半体4は第4半体52に当接し、且つ、第2半体4には、第2半体4を通過して第4半体52にねじ接続される第1接続ボルト6が設けられる。
【0030】
図1を参照すると、第3半体51に接続される第1半体3と第4半体52に接続される第2半体4との間に、編針の運動方向に沿って針入れ溝11、運針溝12及び針出し溝13がこの順に形成される。運針溝12は、編針の運動方向に沿って上昇溝121と、下降溝122と、糸引掛け溝123と、ニット溝124とをこの順に含む。上昇溝121の一端が針入れ溝11に連通し、且つ、針入れ溝11の上昇溝121に連通した箇所に第1円弧が形成され、上昇溝121の針入れ溝11から離れた一端は下降溝122に連通し、且つ、上昇溝121の下降溝122に連通した箇所に第2円弧が形成され、上昇溝121と下降溝122との間の夾角は、59°~61°であり、本実施例では、60°であることが好ましく、下降溝122の上昇溝121から離れた一端は糸引掛け溝123に連通し、糸引掛け溝123の断面は円弧状であり、糸引掛け溝123の下降溝122から離れた一端はニット溝124に連通し、ニット溝124の糸引掛け溝123から離れた一端は針出し溝13に連通し、且つ、ニット溝124の針出し溝13に連通した箇所に第3円弧が形成される。
【0031】
運針溝12の幅は、3.1mm~3.3mmであり、本実施例では、3.25mmであることが好ましく、即ち、上昇溝121、下降溝122、糸引掛け溝123及びニット溝124の幅はいずれも3.25mmである。
【0032】
図2を参照すると、第1半体3の針出し溝13に近い一端及び第2半体4の針出し溝13に近い一端に、いずれも1つのガイドブロック2が固定して接続され、第1半体3上のガイドブロック2及び第2半体4上のガイドブロック2がガイド穴21を形成し、且つ、ガイド穴21は針出し溝13に連通する。
【0033】
編針は、針入れ溝11内から上昇溝121に入り、次に、下降溝122を経て、続いて糸引掛け溝123に入り、さらにニット溝124に入り、次に、針出し溝13内からガイド穴21内まで運動し、最後にガイド穴21から運動してカム本体1を出る。
【0034】
本発明の実施例のカムの実施原理は次のとおりである。第1半体3を第1接続ボルト6によって第3半体51に接続させ、第2半体4を第1接続ボルト6によって第4半体52に接続させる。
【0035】
次に、第3半体51及び第4半体52の位置を調整して、第1半体3及び第2半体4によって形成された運針溝12の幅を3.25mmとする。最後に、第2接続ボルト53を第4半体52上の第2ねじ穴を通過させて第3半体51上の第1ねじ穴にねじ接続させ、且つ、第2接続ボルト53は、第4半体52上の第2ねじ穴にもねじ接続される。
【0036】
本発明の実施例は、また、大型丸編機のカム構造を開示する。
【0037】
図3及び
図4を参照すると、サドルボディ71を含む大型丸編機のカム構造であって、サドルボディ71にスライド溝が開設され、サドルボディ71に4セットの接続アセンブリ72が設けられ、各セットの接続アセンブリ72に1つのカム本体1が接続され、各セットの接続アセンブリ72は、いずれも、スライド溝内においてスライドして接続される2つの調整ブロック721を含み、カム本体1中の第3半体51は一方の調整ブロック721に当接し、且つ、第3半体51には、第3半体51を通過して調整ブロック721にねじ接続される第3接続ボルト722が設けられ、カム本体1中の第4半体52は他方の調整ブロック721に当接し、且つ、第4半体52にも第4半体52を通過して調整ブロック721にねじ接続される第3接続ボルト722が設けられる。
【0038】
図3及び
図4を参照すると、サドルボディ71に調整アセンブリ73が設けられ、調整アセンブリ73は、スライド溝内において回転する調整軸731を含み、調整軸731に4つの二方向スクリュー732が設けられ、4つの二方向スクリュー732と4セットの接続アセンブリ72は、一対一で対応し、且つ、各セットの接続アセンブリ72中の2つの調整ブロック721は、それぞれ、二方向スクリュー732の両端にねじ接続される。
【0039】
本発明の実施例の大型丸編機のカム構造の実施原理は次のとおりである。まず、第2接続ボルト53によって接続されている第3半体51及び第4半体52を、それぞれ、第3接続ボルト722によって同一のセットの接続アセンブリ72の2つの調整ブロック721に接続させ、第3半体51と第4半体52との間の距離を調整する必要がある場合は、即ち、運針溝12の幅を調整する必要がある場合は、まず、第2接続ボルト53を第3半体51上の第1ねじ穴から分離させ、次に、調整軸731を回転させて、調整軸731が二方向スクリュー732を連れて回転させると、二方向スクリュー732は2つの調整ブロック721を連れて対向して又は背中合わせに運動させ、2つの調整ブロック721上の第3半体51と第4半体52との間の距離が変わり、第3半体51及び第4半体52の位置が固定されると、第2接続ボルト53を第3半体51上の第1ねじ穴にねじ接続させる。
【0040】
上述したのは、いずれも本発明の好ましい実施例であり、これをもって本発明の保護範囲が限定されるものではない。したがって、本発明の構造、形状、原理において同等な変化を行った場合は、そのいずれも本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、編んだループの密度を向上させるために、カム及び大型丸編機のカム構造を提供する。
【解決手段】本発明は、大型丸編機の技術分野に関し、特に、カム及び大型丸編機のカム構造に関する。前記カムは、カム本体を含み、前記カム本体には針入れ溝、運針溝及び針出し溝がこの順に開設され、前記運針溝は、前記針入れ溝及び前記針出し溝に連通し、前記運針溝の幅は、3.1mm~3.3mmであり、編針は、幅が3.1mm~3.3mmである運針溝内で運動し、上下運動の慣性により編針の増加するストロークを減少させることができ、これにより、編んだループの密度を向上させ、密度は、1インチあたり5メッシュ~10メッシュ増加する。
【選択図】
図1