IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 親和パッケージ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】収納容器
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20240927BHJP
   B65D 88/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E04B1/343 K
B65D88/10 A
E04B1/343 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023202540
(22)【出願日】2023-11-30
【審査請求日】2023-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593232402
【氏名又は名称】親和パッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重実 敬之
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】西田 明
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0134171(US,A1)
【文献】特開平04-154583(JP,A)
【文献】特開2005-104563(JP,A)
【文献】実開昭63-183091(JP,U)
【文献】特開2020-094437(JP,A)
【文献】特開平07-113277(JP,A)
【文献】特開2002-061339(JP,A)
【文献】実開平05-032545(JP,U)
【文献】特開平05-332683(JP,A)
【文献】特表2020-530086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0222649(US,A1)
【文献】特開平08-183589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
B65D 88/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン蓄電池又はリチウムイオン蓄電池を用いた蓄電池設備を収納するための収納容器であって、
対向して配置される底面部及び天面部と、前記底面部及び前記天面部の間において前記底面部及び前記天面部における複数の辺に沿って立設される複数の側面部と、を備え、
前記底面部及び前記複数の側面部は、枠状のフレームと、前記フレームに嵌め込まれるパネルと、を備え、
前記パネルは、鋼製の平板と、前記平板の一方面に接合された鋼製の波形板と、を備えた複合パネルであり、
前記フレームは、内側に突き出しかつ嵌め込まれた前記複合パネルの前記平板の外周縁部が重ね合わされる支持面を備え、
前記底面部の前記複合パネルは、前記波形板を上側にかつ前記平板を下側にして配置される、収納容器。
【請求項2】
前記波形板の厚さが0.35mm以上0.7mm以下であり、前記平板の厚さが0.35mm以上0.7mm以下である、請求項1に記載の収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、平板及び波形板の複合パネルを備えた収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばリチウムイオン蓄電池に含まれる電解液は、石油類と同様に引火する危険性を有している。そのため、リチウムイオン蓄電池の発火により火災が発生するおそれがある。リチウムイオン蓄電池などの火災危険性を有する物の貯蔵及び取扱いに際しては、万が一に火災が発生した場合に周囲へ延焼拡大しないように、安全対策が必要である。安全対策としては、厚さの大きな鋼板で造られた耐火性及び防火性を有する箱型の収納容器にリチウムイオン蓄電池などを収納することが従来から行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】総務省消防庁,“リチウムイオン蓄電池の貯蔵及び取扱いに係る運用について”,平成23年12月27日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、底面部、天面部及び各側面部のパネルに厚さの大きな鋼板が用いられた収納容器は、大きな重量を有するために取扱いにくく、また、鋼板の厚さが大きいために材料コストがかかるという課題がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することを目的としており、パネルの厚さを小さくして軽量化及び低コストを実現しながらも、パネルに厚さの大きな鋼板を用いた場合と比較して耐火性及び防火性において同等以上の性能を有する収納容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の収納容器は、上記課題を解決するため、以下の項1に記載の収納容器を主題として包含する。
【0007】
項1.対向して配置される底面部及び天面部と、前記底面部及び前記天面部の間において前記底面部及び前記天面部における複数の辺に沿って立設される複数の側面部と、を備え、
前記底面部、前記天面部及び前記複数の側面部の少なくとも一つは、鋼製の平板と鋼製の波形板とが接合された複合パネルを備える、収納容器。
【0008】
また、本開示の収納容器は、上記項1に記載の収納容器の好ましい態様として、以下の項2に記載の収納容器を包含する。
【0009】
項2.前記底面部、前記天面部及び前記複数の側面部は、枠状のフレームと、前記フレームに嵌め込まれるパネルと、を備え、
前記フレームは、嵌め込まれた前記パネルの外周縁部が重ね合わされる支持面を備える、項1に記載の収納容器。
【0010】
また、本開示の収納容器は、上記項1又は項2に記載の収納容器の好ましい態様として、以下の項3に記載の収納容器を包含する。
【0011】
項3.前記複数の側面部の隣り合う二つの側面部は、一方の側面部の側方の端部に形成された凹溝にもう一方の側面部の側方の端部に形成された凸部が嵌まり合うことで、連結される、項1又は2に記載の収納容器。
【0012】
また、本開示の収納容器は、上記項1から項3のいずれかに記載の収納容器の好ましい態様として、以下の項4に記載の収納容器を包含する。
【0013】
項4.前記天面部及び前記複数の側面部のうちの一つは、収納物の出入口を形成するために前記パネルが前記フレームから取り外し可能である、項1から3のいずれか一項に記載の収納容器。
【0014】
また、本開示の収納容器は、上記項1から項4のいずれかに記載の収納容器の好ましい態様として、以下の項5に記載の収納容器を包含する。
【0015】
項5.リチウムイオン蓄電池が収納される、請求項1から4のいずれか一項に記載の収納容器。
【発明の効果】
【0016】
本開示の収納容器によれば、側面部、天面部及び各側面部のパネルが、平板と波形板を組み合わせた複合パネルであるため、パネルの厚さを小さくして軽量化及び低コストを実現可能であり、かつ、パネルに厚さの大きな鋼板を用いた場合と比較して同等以上の耐火性及び防火性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本開示の一実施形態に係る収納容器の斜視図である。
図2図2図1の一部分を拡大して示す斜視図である。
図3図3図1の収納容器の正面図である。
図4図4図1の収納容器の背面図である。
図5図5図1の収納容器の平面図である。
図6図6図1の収納容器の底面図である。
図7図7図1の収納容器の右側面図である。
図8図8図1の収納容器において前側面パネルを取り外した状態の斜視図である。
図9図9は底面部の平面図である。
図10図10は底面フレームの平面図である。
図11図11は底面部の分解斜視図である。
図12図12(A)から図12(D)は底面フレームを構成する各フレーム材の断面図であり、図12(E)は脚部材の断面図である。
図13図13は底面パネルの一部分の断面図である。
図14図14は前側面部を除いた側面部の正面図である。
図15図15は側面フレームの正面図である。
図16図16は前側面部を除いた側面部の分解斜視図である。
図17図17(A)から図17(D)は側面フレームを構成する各フレーム材の断面図である。
図18図18は前側面フレームの正面図である。
図19図19は前側面フレームの分解斜視図である。
図20図20(A)から図20(D)は前側面フレームを構成する各フレーム材の断面図である。
図21図21は前側面パネルの正面図である。
図22図22は枠体の正面図である。
図23図23は前側面パネルの分解斜視図である。
図24図24(A)はパネル本体に取り付けられた固定材の断面図であり、図24(B)から図20(D)は枠体を構成する各固定材の断面図である。
図25図25は天面部の平面図である。
図26図26は天面フレームの平面図である。
図27図27は天面部の分解斜視図である。
図28図28(A)から図28(D)は天面フレームを構成する各フレーム材の断面図である。
図29図29図1の収納容器を組み立てる手順を示す斜視図である。
図30図30図29に引き続いて図1の収納容器を組み立てる手順を示す斜視図である。
図31図31図30に引き続いて図1の収納容器を組み立てる手順を示す斜視図である。
図32図32図31の一部分を拡大して示す斜視図である。
図33図33図31の一部分を拡大して示す斜視図である。
図34図34図31に引き続いて図1の収納容器を組み立てる手順を示す斜視図である。
図35図35は底面パネルの変形例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の収納容器に関する実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0019】
<収納容器の概要>
図1から図7は、本開示の一実施形態に係る収納容器100を示す。収納容器100は、例えば引火性液体などを含んだ火災危険性を有する物(本開示では「発火性危険物」という。)を収納するためのコンテナである。発火性危険物としては、例えばリチウムイオン蓄電池やリチウムイオン蓄電池を用いた蓄電池設備が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0020】
収納容器100は、底面部1と、底面部1と対向して配置される天面部2と、底面部1及び天面部2の間に立設される複数の側面部3とを備えた箱型を呈する。複数の側面部3は、角筒状に連結されており、底面部1及び天面部2における複数の辺に沿ってそれぞれ配置されている。本実施形態では、底面部1及び天面部が平面視で矩形状を呈しており、底面部1及び天面部2における四つの辺に沿って前後左右の四つの側面部3がそれぞれ配置されている。
【0021】
底面部1、天面部2及び複数の側面部3はそれぞれ、フレームと、フレームに取り付けられるパネルとで構成される。天面部2及び複数の側面部3のうちの一つは、フレームからパネルを容易に取り外すことが可能(着脱可能)である。当該フレームからパネルを取り外すことで、収納容器100には、収納容器100の内部空間に対して収納物を出し入れできる出入口が形成される。本実施形態では、四つの側面部3のうち、図8に示すように、前側の前側面部3Dにおいて前側面フレーム35から前側面パネル36を取り外し可能である。
【0022】
次に、収納容器100の各構成部材について説明する。なお、以下の説明において、「内側」は収納容器100の内部空間側を指し、「外側」は内側の反対側である収納容器100の外部空間側を指す。
【0023】
<底面部の構成>
底面部1は、図9から図12に示すように、底面フレーム10と、底面パネル11と、複数の脚部材12とを備える。本実施形態では、底面部1は、四つの脚部材12を備える。
【0024】
底面フレーム10は、平面視で矩形の枠状を呈する。底面フレーム10は、四つのフレーム材13A-13Dを矩形状に組み合わせたものである。各フレーム材13A-13Dは、図12(A)から(D)に示すように、断面視で「F」の字状を呈する。各フレーム材13A-13Dには、鋼材が用いられている。本実施形態では、各フレーム材13A-13Dは、第一の鋼材17及び第二の鋼材18が組み合わされて構成される。
【0025】
各フレーム材13A-13Dの第一の鋼材17は、断面視で「コ」の字状を呈しており、細長い板状の底壁133と、底壁133の対向する長辺から直立する細長い板状の対向する一対の側壁131,132(以下、外側の側壁131を「第一側壁131」といい、内側の側壁132を「第二側壁132」という。)とを備える。第一の鋼材17において、第一側壁131及び第二側壁132の間には、凹状の溝130(以下、「凹溝130」という。)が形成されている。
【0026】
各フレーム材13A-13Dの第二の鋼材18は、略平板状又は断面視で「L」の字状を呈しており、第一の鋼材17の底壁133よりも幅の大きい水平な支持壁180を備える。第二の鋼材18は、支持壁180の上面に第一の鋼材17の底壁133が例えば溶接やボルトなどによって接合されている。これにより、第二の鋼材18は、支持壁180の一部分が第一の鋼材17の底壁133から内側に突き出るようにして第一の鋼材17に一体化されている。
【0027】
底面フレーム10は、各フレーム材13A-13Dの凹溝130が上側を向くようにして配置される。各フレーム材13A-13Dの凹溝130には、四つの側面部3の下端側の一部分が嵌め込まれる。四つの側面部3は、各フレーム材13A-13Dの凹溝130に嵌め込まれることで、底面フレーム10に立設される。
【0028】
複数の脚部12は、底面フレーム10の対向する一対のフレーム材13C,13Dの一方から他方にわたって延びる長さを有する。複数の脚部12には、鋼材が用いられている。複数の脚部12は、断面視で略「コ」の字状又は略「U」の字状を呈しており、図12(E)に示すように、凹状の溝120(以下、「凹溝120」という。)が上側を向くようにして配置されて、底面フレーム10に取り付けられている。各脚部12は、凹溝120を挟む対向する一対の側壁121の上端からそれぞれ外側に向かって水平にフランジ122が突き出ている。各脚部12は、フランジ122の上面に底面フレーム10の対向する一対のフレーム材13C,13Dが例えば溶接やボルトなどによって接合されている。また、両端の二つの脚部12は、フランジ122の上面に底面フレーム10の他の対向する一対のフレーム材13A,13Bが例えば溶接やボルトなどによって接合されている。
【0029】
底面フレーム10は、図10に示すように、各フレーム材13A-13Dの第一鋼材17の第二側壁132が矩形状に組み合わされることで、平面視矩形状を呈する囲繞壁が形成されている。また底面フレーム10は、各フレーム材13A-13Dの第二の鋼材18の支持壁180において第一鋼材17の第二側壁132から内側に突き出す部分が矩形状に組み合わされることで、囲繞壁の内部に平面視矩形状の支持面が形成されている。
【0030】
底面パネル11は、図9に示すように、底面フレーム10の囲繞壁の内部側に嵌め込まれる。底面フレーム10に取り付けられた底面パネル11は、外周縁部が底面フレーム10の支持面に当接しており、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。これにより、底面パネル11は、底面フレーム20と一体化されている。
【0031】
底面フレーム10の支持面に底面パネル11の外周縁部が重ね合わされていることから、底面フレーム10及び底面パネル11の継ぎ目の部分が塞がれている。これにより、底面部1は、底面フレー230及び底面パネル11の継ぎ目を火が通り抜けて収納容器100の内外に火が燃え移るのを遮断できる。
【0032】
底面パネル11は、図9に示すように、平面視矩形状を呈する。底面パネル11は、図11に示すように、鋼製の平板15と、鋼製の波形板16とを備えた複合パネルである。平板15は、両面が平坦な平らな板である。波形板16は、両面が波形状に湾曲した凹凸板(コルゲート板)であり、一方向に凹(谷)及び凸(山)が連続に並んだ板である。波形板16は、例えば平板を波形状に加工することで形成される。平板15及び波形板16は、同じ大きさ及び形状である。平板15及び波形板16の厚さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。波形板16のそれぞれの凹(谷)の底が平板15の一方面に例えば溶接やボルトなどによって接合されることで、平板15及び波形板16が一体化されている。底面パネル11は、波形板16を上側、平板15を下側にして配置されるが、平板15及び波形板16が逆の配置でも構わない。
【0033】
平板15及び波形板16はそれぞれ、一枚の板材で形成されてもよいし、例えば二枚の板材をそれぞれの端部において例えば溶接やボルトなどなどによって繋げて一枚ものにしてもよい。
【0034】
波形板16における凹(谷)及び凸(山)の形状は、特に限定されるものではなく、断面視において、例えば、円弧状、三角形状、四角形状、台形状など、種々の形状を採用できる。
【0035】
図13に示すように、波形板16の厚さ(板厚)tは、特に限定されないが、パネルの強度の観点からは0.25mm以上であることが好ましく、0.35mm以上であることがより好ましい。一方で、波形板16の厚さ(板厚)tは、パネルの軽量化の観点からは0.7mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
【0036】
なお、収納容器100にリチウムイオン蓄電池(リチウムイオン蓄電池を用いた「蓄電池設備」も含む。)を収納する場合、現状のリチウムイオン蓄電池の貯蔵及び取扱いの運用においては、万が一火災が発生した場合に周囲へ延焼拡大しないように、出入口(厚さ1.6mm以上の鋼板又はこれと同等以上の性能を有する材料で造られたものに限る。)以外の開口部を有しない厚さ1.6mm以上の鋼板又はこれと同等以上の性能を有する材料で造られた箱に、リチウムイオン蓄電池を収納することが求められている。そのため、リチウムイオン蓄電池を収納容器100に収納する場合には、波形板16の厚さ(板厚)tは、0.35mm以上であることが好ましい。
【0037】
平板15の厚さ(板厚)Tは、特に限定されないが、パネルの強度の観点からは0.25mm以上であることが好ましく、0.35mm以上であることがより好ましい。一方で、平板15の厚さ(板厚)Tは、パネルの軽量化の観点からは0.7mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。なお、収納容器100にリチウムイオン蓄電池を収納する場合には、平板15の厚さ(板厚)Tは、0.35mm以上であることが好ましい。
【0038】
<側面部の構成>
(1)左側面部、右側面部及び後側面部
四つの側面部3のうち、左側の左側面部3A、右側の右側面部3B、及び後ろ側の後側面部Cは、図14から図17に示すように、側面フレーム30と、側面パネル31とを備える。
【0039】
側面フレーム30は、平面視で矩形の枠状を呈する。側面フレーム30は、四つのフレーム材32A-32Dを矩形状に組み合わせたものである。四つのフレーム材32A-32Dには、鋼材が用いられている。
【0040】
上側のフレーム材32Aは、図17(A)に示すように、断面視で「コ」の字状又は「U」の字状を呈しており、細長い板状の上壁323と、上壁323の対向する長辺から垂下する細長い板状の対向する一対の側壁321,322(以下、外側の側壁321を「第一側壁321」といい、内側の側壁322を「第二側壁322」という。)とを備える。上側のフレーム材32Aにおいて、第一側壁321及び第二側壁322の間には、凹状の溝320(以下、「凹溝320」という。)が形成されている。上側のフレーム材32Aは、凹溝320が下側を向くようにして配置される。
【0041】
下側のフレーム材32Bは、図17(B)に示すように、断面視で「L」の字状を呈しており、直交する細長い板状の底壁324及び側壁325を備える。
【0042】
両側の二つのフレーム材32C,32Dは、図17(C)及び(D)に示すように、断面視で略「コ」の字状又は略「U」の字状を呈しており、細長い板状の対向する一対の近位壁328及び遠位壁329と、近位壁328及び遠位壁329の外側の長辺同士を繋ぐ細長い板状の第一側壁327と、近位壁328の内側の長辺から遠位壁329側と反対側に向かって水平に突き出る第二側壁330とを備える。両側の二つのフレーム材32C,32Dにおいて、第一側壁327、近位壁328及び遠位壁329が側面パネル31から側方に突き出る凸部332をなしている。また、両側の二つのフレーム材32C,32Dにおいて、近位壁328及び遠位壁329の間には、凹状の溝326(以下、「凹溝326」という。)が形成されている。両側の二つのフレーム材32C,32Dは、凹溝326が内側を向くようにして配置される。
【0043】
上側のフレーム材32Aは、図15に示すように、第二側壁322の両端部が両側の二つのフレーム材32C,32Dの第二側壁330の外面に重ね合わされて、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。下側のフレーム材32Bは、側壁325の両端部が両側の二つのフレーム材32C,32Dの第二側壁330の外面に重ね合わされて、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。これにより、四つのフレーム材32A-32Dが矩形状に組み合わされている。
【0044】
側面フレーム30は、上側のフレーム材32Aの上壁323、両側のフレーム材32C,32Dの近位壁328、及び下側のフレーム材32Bの底壁324が矩形状に組み合わされることで、平面視矩形状の囲繞壁が形成されている。また側面フレーム30は、上側のフレーム材32Aの第二側壁322、下側のフレーム材32Bの側壁325、及び両側のフレーム材32C,32Dの第二側壁330が矩形状に組み合わされることで、囲繞壁の内部に平面視矩形状の支持面が形成されている。
【0045】
側面パネル31は、上端側の一部分が上側のフレーム材32Aの凹溝320に嵌め込まれながら、側面フレーム30の囲繞壁の内部側に嵌め込まれる。側面フレーム30に取り付けられた側面パネル31は、外周縁部が側面フレーム30の支持面に当接しており、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。これにより、側面パネル31は、側面フレーム30と一体化されている。
【0046】
側面フレーム30の支持面に側面パネル31の外周縁部が重ね合わされていることから、側面フレーム30及び側面パネル31の継ぎ目の部分が塞がれている。これにより、側面部3A-3Cは、側面フレーム30及び側面パネル31の継ぎ目を火が通り抜けて収納容器100の内外に火が燃え移るのを遮断できる。
【0047】
上側のフレーム材32Aの上壁323には、図16に示すように、長さ方向の両側の端の近傍に貫通孔331が形成されている。貫通孔331は、本実施形態では細長いスリット状を呈する。
【0048】
側面パネル31は、図14及び図16に示すように、平面視矩形状を呈する。側面パネル31の内面は平坦であり、側面パネル31の内側に収納物が収納される。側面パネル31は、鋼製の平板33と、鋼製の波形板34とを備えた複合パネルである。平板33は、両面が平坦な平らな板である。波形板34は、両面が波形状に湾曲した凹凸板(コルゲート板)であり、一方向に凹(谷)及び凸(山)が連続に並んだ板である。波形板34は、例えば平板を波形状に加工することで形成される。平板33及び波形板34は、同じ大きさ及び形状である。平板33及び波形板34の厚さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。波形板34のそれぞれの凹(谷)の底が平板33の一方面に例えば溶接やボルトなどによって接合されることで、平板33及び波形板34が一体化されている。側面パネル31は、波形板34を外側、平板33を内側にして配置されるが、平板33及び波形板34が逆の配置であっても構わない。
【0049】
平板33及び波形板34はそれぞれ、一枚の板材で形成されてもよいし、例えば二枚の板材をそれぞれの端部で例えば溶接やボルトなどによって繋げて一枚ものにしてもよい。
【0050】
波形板34における凹(谷)及び凸(山)の形状は、特に限定されるものではなく、断面視において、例えば、円弧状、三角形状、四角形状、台形状など、種々の形状にできる。
【0051】
波形板34の厚さ(板厚)は、特に限定されないが、パネルの強度の観点からは0.25mm以上であることが好ましく、0.35mm以上であることがより好ましい。一方で、波形板34の厚さ(板厚)は、パネルの軽量化の観点からは0.7mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。なお、収納容器100にリチウムイオン蓄電池を収納する場合、波形板34の厚さ(板厚)は、底面パネル11と同様に0.35mm以上であることが好ましい。
【0052】
平板33の厚さ(板厚)は、特に限定されないが、パネルの強度の観点からは0.25mm以上であることが好ましく、0.35mm以上であることがより好ましい。一方で、平板33の厚さ(板厚)は、パネルの軽量化の観点からは0.7mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。なお、収納容器100にリチウムイオン蓄電池を収納する場合、平板33の厚さ(板厚)は、底面パネル11と同様に0.35mm以上であることが好ましい。
【0053】
(2)前側面部
四つの側面部3のうち、前側の前側面部3Dは、図18及び図21に示すように、前側面フレーム35と、前側面パネル36とを備える。
【0054】
前側面フレーム35は、図18から図20に示すように、平面視で矩形の枠状を呈する。前側面フレーム35は、四つのフレーム材37A-37Dを矩形状に組み合わせたものである。四つのフレーム材37A-37Dには、鋼材が用いられている。上側のフレーム材37Aは、第一の鋼材38及び第二の鋼材39が組み合わされて構成される。
【0055】
上側のフレーム材37Aの第一の鋼材38は、図20(A)に示すように、断面視で「コ」の字状又は「U」の字状を呈する、細長い板状の上壁383と、上壁383の対向する長辺から垂下する細長い板状の一対の側壁381,382(以下、外側の側壁381を「第一側壁381」といい、内側の側壁382を「第二側壁382」という。)とを備える。第一の鋼材38において、第一側壁381及び第二側壁382の間には、凹状の溝380(以下、「凹溝380」という。)が形成されている。第一の鋼材38は、凹溝380が下側を向くようにして配置される。
【0056】
上側のフレーム材37Aの第二の鋼材39は、図20(A)に示すように、断面視で略「Z」の字状を呈しており、細長い板状の水平壁390と、水平壁390の外側の長辺から直立する第一側壁391と、水平壁390の内側の長辺から垂下する第二側壁392とを備える。第二の鋼材39は、第一側壁391が第一の鋼材38の第一側壁381の内面に重ね合わされて、例えば溶接やボルトなどによって接合され、第二側壁392が第一の鋼材38の第二側壁382の外面に重ね合わされて、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。これにより、第二の鋼材39は、水平壁390が第一の鋼材38の凹溝380を蓋するようにして第一の鋼材38に一体化されている。
【0057】
下側のフレーム材37Bは、図20(B)に示すように、断面視で「L」の字状を呈しており、直交する細長い板状の底壁370及び側壁371を備える。
【0058】
両側の二つのフレーム材37C,37Dは、図20(C)及び(D)に示すように、断面視で略「コ」の字状又は略「U」の字状を呈しており、細長い板状の対向する一対の近位壁374及び遠位壁375と、近位壁374及び遠位壁375の外側の長辺同士を繋ぐ細長い板状の第一側壁373と、近位壁374の内側の長辺から遠位壁375側と反対側に向かって水平に突き出る第二側壁376とを備える。両側の二つのフレーム材37C,37Dにおいて、第一側壁373、近位壁374及び遠位壁375が前側面パネル36から側方に突き出る凸部384をなしている。また、両側の二つのフレーム材37C,37Dにおいて、近位壁374及び遠位壁375の間には、凹状の溝372(以下、「凹溝372」という。)が形成されている。両側の二つのフレーム材37C,37Dは、凹溝372が内側を向くようにして配置される。
【0059】
上側のフレーム材37Aは、図18に示すように、第一の鋼材38の第二側壁382の両端部が両側の二つのフレーム材37C,37Dの第二側壁376の外面に重ね合わされて、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。下側のフレーム材37Bは、側壁371の両端部が両側の二つのフレーム材37C,37Dの第二側壁376の外面に重ね合わされて、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。これにより、四つのフレーム材37A-37Dが矩形状に組み合わされている。
【0060】
前側面フレーム35は、上側のフレーム材37Aの第二の鋼材39の水平壁390、両側のフレーム材37C,37Dの近位壁374、及び下側のフレーム材37Bの底壁370が矩形状に組み合わされることで、平面視矩形状の囲繞壁が形成されている。また前側面フレーム35は、上側のフレーム材37Aの第二側壁382,392、下側のフレーム材37Bの側壁371、及び両側のフレーム材37C,37Dの第二側壁376が矩形状に組み合わされることで、囲繞壁の内部に平面視矩形状の支持面が形成されている。
【0061】
前側面パネル36は、前側面フレーム35の囲繞壁の内部側に嵌め込まれる。前側面フレーム35に取り付けられた前側面パネル36は、外周縁部が前側面フレーム35の支持面に当接している。
【0062】
前側面フレーム35の支持面に前側面パネル36の外周縁部が重ね合わされていることから、前側面フレーム35及び前側面パネル36の継ぎ目の部分が塞がれている。これにより、前側面部3Dは、前側面フレーム35及び前側面パネル36の継ぎ目を火が通り抜けて収納容器100の内外に火が燃え移るのを遮断できる。
【0063】
上側のフレーム材37Aにおいて、第一の鋼材38の上壁383には、図19に示すように、長さ方向の両側の端の近傍に貫通孔377が形成されている。貫通孔377は、本実施形態では細長いスリット状を呈する。
【0064】
前側面パネル36は、図21及び図23に示すように、平面視矩形状を呈する。前側面パネル36は、平面視矩形状を呈するパネル本体40と、パネル本体40が取り付けられる枠体41とを備える。
【0065】
パネル本体40は、上パネル部分と下パネル部分とで構成される。下パネル部分は、左側面部3A、左側面部3B及び後側面部Cの側面パネル31と同様に、鋼製の平板33と、鋼製の波形板34とを備えた複合パネルである。前側面パネル36の平板33及び波形板34は、他の側面部3A―3Cの側面パネル31の平板33及び波形板34よりもサイズが小さい。上パネル部分は、上端部が外側に向かって断面視で「L」の字状に折り曲げられた平板状の鋼板42で構成される。鋼板42の厚さ(板厚)は、特に限定されないが、収納容器100にリチウムイオン蓄電池を収納する場合には、例えば1.6mm以上である。鋼板42は、下端部が下パネル部分を構成する平板33の内面の上端部に例えば溶接やボルトなどによって接合されていることで、下パネル部分に一体化されている。
【0066】
上パネル部分の鋼板42の外面には、下側の端の近傍に、固定材45が取り付けられている。固定材45には、鋼材が用いられている。固定材45は、図24(A)に示すように、断面視で「Z」の字状を呈しており、細長い板状の水平壁450と、水平壁450の外側の長辺から垂下する第一側壁451と、水平壁450の内側の長辺から直立する第二側壁452とを備える。固定材45は、第二側壁452が鋼板42の外面に重ね合わされて、例えば溶接やボルトなどによって接合されていることで、鋼板42に一体化されている。これにより、パネル本体40の上パネル部分には、鋼板42及び固定材45の第一側壁451の間に凹状の溝453(以下、「凹溝453」という。)が形成されている。下パネル部分の平板33及び波形板34は、上端側の一部分が上パネル部分の凹溝453に嵌め込まれている。
【0067】
枠体41は、図22及び図23に示すように、三つの固定材43,44A,44Bを平面視で「コ」の状に組み合わせたものである。三つの固定材43,44A,44Bには、鋼材が用いられている。
【0068】
下側の固定材43は、図24(B)に示すように、断面視で略「コ」の字状又は「U」の字状を呈しており、細長い板状の底壁431と、底壁431の対向する長辺から直立する細長い板状の対向する一対の側壁432,433(以下、外側の側壁432を「第一側壁432」といい、内側の側壁433を「第二側壁433」という。)とを備える。下側の固定材43において、第一側壁432及び第二側壁433の間には、凹状の溝430(以下、「凹溝430」という。)が形成されている。下側の固定材43は、凹溝430が上側を向くようにして配置される。
【0069】
両側の二つの固定材44A,44Bは、図24(C)及び(D)に示すように、断面視で略「コ」の字状又は略「U」の字状を呈しており、細長い板状の対向する一対の近位壁441及び遠位壁442と、近位壁441及び遠位壁442の外側の長辺同士を繋ぐ細長い板状の第一側壁443と、近位壁441の内側の長辺から遠位壁442側と反対側に向かって水平に突き出る第二側壁444とを備える。両側の二つの固定材44A,44Bにおいて、近位壁441及び遠位壁442の間には、凹状の溝440(以下、「凹溝440」という。)が形成されている。両側の二つの固定材44A,44Bは、凹溝440が内側を向くようにして配置される。
【0070】
下側の固定材43は、図22に示すように、第二側壁433の両端部が両側の二つの固定材44A,44Bの第二側壁444の外面に重ね合わされて、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。これにより、三つの固定材43,44A,44Bが「コ」の字状に組み合わされている。
【0071】
パネル本体40は、下端側の一部分が枠体41の下側の固定材43の凹溝430に嵌め込まれ、外周縁部が枠体41の下側の固定材43の第二側壁433の外面及び両側の二つの固定材44A,44Bの第二側壁444の外面に重ね合わされて、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。これにより、パネル本体40は、枠体41と一体化されている。
【0072】
枠体41の三つの第二側壁433,444,444からなる「コ」の字状の支持面にパネル本体40の外周縁部が重ね合わされていることから、枠体41及びパネル本体40の継ぎ目の部分が塞がれている。これにより、前側面パネル36は、枠体41及びパネル本体40の継ぎ目を火が通り抜けて収納容器100の内外に火が燃え移るのを遮断できる。
【0073】
前側面パネル36は、前側面フレーム35に取り付けられた後、例えば図21及び図23に示すパネル本体40の上パネル部分の把手部分420(鋼板42のL字状に折り曲げられた部分)を手で持って手前に引くことで、前側面フレーム35から容易に取り外すことが可能(着脱可能)である。
【0074】
前側面パネル36のパネル本体40において、図21及び図23に示すように、上パネル部分には複数の補強部材46が例えば溶接やボルトなどによって接合されている。複数の補強部材46には、鋼材が用いられている。複数の補強部材46は、上パネル部分において把手部分420と固定材45の水平壁450の間に延びることで鋼板42を補強している。前側面パネル36は、上パネル部分が手前に引っ張られることで、前側面フレーム35から取り外すことが可能であるが、この際に複数の補強部材46により上パネル部分の鋼板42が変形するのが抑制される。
【0075】
前側面パネル36のパネル本体40において、図21及び図23に示すように、上パネル部分には、長さ方向の両側の端部にロック部材47が例えばボルトやリベットなどによって接合されている。ロック部材47は、前側面パネル36を前側面フレーム35から取り外すことを規制するものである。ロック部材47は、本実施形態では、横方向にスライド可能な棒状部材470を備える。
【0076】
前側面パネル36の枠体41において、図23に示すように、両側の二つの固定材44A,44Bの近位壁441には、上側の端の近傍に貫通孔445が形成されている。貫通孔445は、棒状部材470が挿通可能な円形状を呈する。
【0077】
前側面フレーム35において、図19に示すように、両側の二つのフレーム材37C,37Dの近位壁374には、上側の端の近傍に貫通孔378が形成されている。貫通孔378は、本実施形態では長円状を呈する。
【0078】
前側面フレーム35に前側面パネル36が取り付けられた際、図19に示す前側面フレーム35の貫通孔378と、図23に示す前側面パネル36の貫通孔445は横方向に隣接して連なっている。そのため、ロック部材47の棒状部材470をスライド移動させて、前側面パネル36の貫通孔445及び前側面フレーム35の貫通孔378に挿通することで、前側面パネル36が前側面フレーム35に固定され、前側面パネル36の取り外しが規制される。
【0079】
<天面部の構成>
天面部2は、図25から図28に示すように、天面フレーム20と、天面パネル21とを備える。
【0080】
天面フレーム20は、平面視で矩形の枠状を呈する。天面フレーム20は、四つのフレーム材22A-22Dを矩形状に組み合わせたものである。各フレーム材22A-22Dには、鋼材が用いられている。各フレーム材22A-22Dは、図28(A)から(D)に示すように、断面視で略「Z」の字状又は略「コ」の字状を呈しており、細長い板状の底壁220と、底壁220の外側の長辺から直立する側壁221と、側壁221の上端から外側に向かって水平に突き出る上壁222とを備える。
【0081】
図26に示すように、四つのフレーム材22A-22Dのうちの対向する一対のフレーム材22A,22Bは、その底壁220の両端部が、他の対向する一対のフレーム材22C,22Dの底壁220の上面に重ね合わされて、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。これにより、四つのフレーム材22A-22Dが矩形状に組み合わされている。
【0082】
天面フレーム20は、四つのフレーム材22A-22Dの側壁221が矩形状に組み合わされることで、平面視矩形状の囲繞壁が形成されている。また天面フレーム20は、四つのフレーム材22A-22Dの底壁220が矩形状に組み合わされることで、囲繞壁の内部に平面視矩形状の支持面が形成されている。
【0083】
天面パネル21は、図25に示すように、天面フレーム20の囲繞壁の内部側に嵌め込まれる。天面フレーム20に取り付けられた天面パネル21は、外周縁部が天面フレーム20の支持面に当接しており、例えば溶接やボルトなどによって接合されている。これにより、天面パネル21は、天面フレーム20と一体化されている。
【0084】
天面フレーム20の支持面に天面パネル21の外周縁部が重ね合わされていることから、天面フレーム20及び天面パネル21の継ぎ目の部分が塞がれている。これにより、天面部2は、天面フレーム20及び天面パネル21の継ぎ目を火が通り抜けて収納容器100の内外に火が燃え移るのを遮断できる。
【0085】
天面フレーム20の四つのフレーム材22A-22Dの上壁222には、図25から図27に示すように、長さ方向の両側の端の近傍に貫通孔223が形成されている。貫通孔223は、本実施形態では細長いスリット状を呈する。
【0086】
天面パネル21は、図25及び図27に示すように、平面視矩形状を呈する。天面パネル21の下面は平坦であり、天面パネル21の下側に収納物が収納される。天面パネル21は、鋼製の平板23と、鋼製の波形板24とを備えた複合パネルである。平板23は、両面が平坦な平らな板である。波形板24は、両面が波形状に湾曲した凹凸板(コルゲート板)であり、一方向に凹(谷)及び凸(山)が連続に並んだ板である。波形板24は、例えば平板を波形状に加工することで形成される。平板23及び波形板24は、同じ大きさ及び形状である。平板23及び波形板24の厚さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。波形板24のそれぞれの凹(谷)の底が平板23の一方面に例えば溶接やボルトなどによって接合されることで、平板23及び波形板24が一体化されている。天面パネル21は、波形板24を上側、平板23を下側にして配置されるが、平板23及び波形板24が逆の配置であっても構わない。
【0087】
平板23及び波形板24はそれぞれ、一枚の板材で形成されてもよいし、例えば二枚の板材をそれぞれの端部で例えば溶接やボルトなどなどによって繋げて一枚ものにしてもよい。
【0088】
波形板24における凹(谷)及び凸(山)の形状は、特に限定されるものではなく、断面視において、例えば、円弧状、三角形状、四角形状、台形状など、種々の形状にできる。
【0089】
波形板24の厚さ(板厚)は、特に限定されないが、パネルの強度の観点からは0.25mm以上であることが好ましく、0.35mm以上であることがより好ましい。一方で、波形板24の厚さ(板厚)は、パネル軽量化の観点からは0.7mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることよりが好ましい。なお、収納容器100にリチウムイオン蓄電池を収納する場合、波形板24の厚さ(板厚)は、0.35mm以上であることが好ましい。
【0090】
平板23の厚さ(板厚)は、特に限定されないが、パネルの強度の観点からは0.25mm以上であることが好ましく、0.35mm以上であることがより好ましい。一方で、平板23の厚さ(板厚)は、パネル軽量化の観点からは0.7mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。なお、収納容器100にリチウムイオン蓄電池を収納する場合、平板23の厚さ(板厚)は、0.35mm以上であることが好ましい。
【0091】
<収納容器の組み立て方法>
次に、上述した収納容器100の組み立て方法について説明する。まず図29に示すように、底面部1を脚部材12を下側にして床などに載置する。次に図30に示すように、四つの側面部3A―3Dのうちの左側面部3A及び右側面部3Bについて、下端側の一部分を底面部1の凹溝130に嵌め込みながら底面部1上に立設する。次に図31に示すように、後側面部3C及び前側面部3Dについて、下端側の一部分を底面部1の凹溝130に嵌め込みながら底面部1上に立設する。その際、図32に示すように、前側面部3Dの両側の二つのフレーム材37C,37Dの凹溝372に、左側面部3Cの両側の二つのフレーム材32C,32Dの他方のフレーム材32Dを嵌め込むとともに、右側面部3Dの両側の二つのフレーム材32C,32Dの他方のフレーム材32Cを嵌め込む。同様に、図33に示すように、後側面部3Cの両側の二つのフレーム材32C,32Dの凹溝326に、左側面部3Cの両側の二つのフレーム材32C,32Dの一方のフレーム材32Cを嵌め込むとともに、右側面部3Dの両側の二つのフレーム材32C,32Dの一方のフレーム材32Dを嵌め込む。これにより、四つの側面部3A-3Dが連結される。
【0092】
例えば、前側面部3D及び右側面部3Bの連結部分では、図32に示すように、前側面部3Dの側方のフレーム材37Dの凹溝372に、右側面部3Bの側方のフレーム材32Cの凸部332が嵌め込まれて、フレーム材同士が重ね合わされている。また、後側面部3C及び左側面部3Aの連結部分では、図33に示すように、後側面部3Cの側方のフレーム材32Dの凹溝326に、左側面部3Aの側方のフレーム材32Cの凸部332が嵌め込まれて、フレーム材同士が重ね合わされている。このように、後側面部3C及び左側面部3Aの連結部分や前側面部3D及び右側面部3Bの連結部分においては、隣り合う二つの側面部の一方の側面部の側方の端部に形成された凹溝に、もう一方の側面部の側方の端部に形成された凸部が嵌まり合って密接することで、継ぎ目の部分が塞がれるため、継ぎ目を火が通り抜けて収納容器100の内外に火が燃え移るのを遮断できる。なお、後側面部3C及び右側面部3Bの連結部分、並びに、前側面部3D及び左側面部3Aの連結部分においても同様である。
【0093】
次に、図34に示すように、天面部2を四つの側面部3A-3Dの上から被せる。この際、天面部2の天面フレーム20が四つの側面部3A-3Dの側面フレーム30,35上に載置されるが、各側面フレーム30,35の上側のフレーム材32A,37Aに形成された貫通孔331,377と、天面フレーム20に形成された貫通孔223は上下方向に隣接して連なっている。
【0094】
最後に、図1に示すように、天面部2の四隅にそれぞれ連結部材5を取り付ける。連結部材5には、鋼板が用いられる。連結部材5は、図2に示すように、平面視で直角三角形状を呈する覆い部50を備え、覆い部50の直交する二つの辺には下側に直角に折り曲げられたガイド部51が設けられるとともに、ガイド部51よりも内側において下側に直角に折り曲げられた差込部52が設けられている。
【0095】
四つの連結部材5を、覆い部50を天面フレーム20の上に載せ、差込部52を天面フレーム20の各フレーム材22A-22Dに形成された貫通孔223及び四つの側面部3A-3Dの各側面フレーム30,35に形成された貫通孔331,377に差し込むようにして、天面部2の四隅に取り付ける。これにより、天面部2及び四つの側面部3A-3Dが連結される。
【0096】
<収納容器の作用・効果>
上述した本実施形態の収納容器100は、対向して配置される底面部1及び天面部2と、底面部1及び天面部2の間において底面部1及び天面部2における複数の辺に沿って立設される複数の側面部3A-3Dとを備え、底面部1、天面部2及び複数の側面部3A-3Dは、鋼製の平板15,23,33の一方面に凹凸が連続で並ぶ鋼製の波形板16,24,34が接合された複合パネルを備える、ことを特徴としている。
【0097】
本実施形態の収納容器100は、底面部1、天面部2及び複数の側面部3A-3Cの各パネル11,21,31、並びに前側面部3Dのパネル本体40が、鋼製の平板15,23,33と鋼製の波形板16,24,34を組み合わせた複合パネルを備えることにより、同等の耐火性、防火性及び耐熱性を有する鋼板よりもパネルの総厚さ(平板の厚さと波形板の厚さの和)を小さくできる。
【0098】
そのため、本実施形態の収納容器100によれば、パネルの総厚さを小さくして収納容器100の軽量化による取扱いやすさの向上及び低コストを実現しながらも、厚さの大きな鋼板で造られた箱と、耐火性、防火性及び耐熱性において同等以上の性能を実現できる。
【0099】
各パネル11,21,31,36を例えば厚さ0.35mm以上の鋼製の平板15,23,33と例えば厚さ0.35mm以上の鋼製の波形板16,24,34を組み合わせた複合パネルとすることで、各パネル11,21,31,36は、厚さ1.6mm以上の鋼板と同等以上の耐火性、防火性及び耐熱性を有する。そのため、リチウムイオン蓄電池を収納容器100に収納した場合において、リチウムイオン蓄電池が発火した場合でも収納容器100の内外に火が燃え移って収納容器100の周囲の物に延焼することが抑制でき、収納容器100の周辺で火災が発生した場合でも収納容器100の内外に火が燃え移ってリチウムイオン蓄電池に延焼するのを抑制できる。よって、火災危険性を有するリチウムイオン蓄電池などを安全に収納できる。
【0100】
<変形例>
以上、本開示の収納容器の一実施形態について説明したが、本開示の収納容器は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形ができる。
【0101】
例えば底面部1の底面パネル11について、図35に示すように、平板15は、その外周縁をなす各辺において垂直に立ち上がる側壁150を備えていてもよい。本実施形態では、平面視矩形状の平板15の四つの辺のそれぞれに側壁150が一体に設けられている。隣り合う二つの側壁150の突合せ部分151は、例えば溶接、コーキング材、止水テープなどで繋がれている。側壁150の高さは、その上端が平板15の上に配置される波形板16よりも上方に突き出るように、設計されている。底面パネル11において収納物を載置するスペースは複数の側壁150により全周にわたって囲まれている。この変形例によれば、仮に底面パネル11上に載置する収納物(例えばリチウムイオン蓄電池)から電解液などの液体が漏れた場合に、複数の側壁150によって液体を複数の側壁150の内側に止めておくことができ、外部に漏れ出すことを抑制できる。この変形例では、底面パネル11に例えばドレンボルトを設置しておいてもよい。
【0102】
また上記実施形態の収納容器100では、前側面フレーム35から取り外し可能な前側面パネル36は、一部分(下側の部分)が平板及び波形板の複合パネルで構成されているが、全てが平板及び波形板の複合パネルで構成されていてもよい。
【0103】
また上記実施形態の収納容器100では、前側面部3Dにおいて前側面パネル36が前側面フレーム35から取り外し可能であるが、他の側面部3A-3C又は天面部2においてパネルがフレームから取り外し可能であってもよい。
【0104】
また上記実施形態の収納容器100では、底面部1、天面部2及び複数の側面部3A-3Dの全てのパネルに平板及び波形板の複合パネルが用いられているが、底面部1、天面部2及び複数の側面部3A-3Dの少なくとも一つのパネルに平板及び波形板の複合パネルが用いられていればよい。例えば、天面部2や、前側面パネル36が前側面フレーム35から取り外し可能な前側面部3Dについてはパネルを平らな鋼板で構成し、底面部1やその他の側面部3A-3Cについてはパネルを平板及び波形板の複合パネルで構成することができる。
【0105】
また上記実施形態の収納容器100は、側面部が四つの平面視矩形状の箱であるが、側面部が三つ又は五つ以上の平面視多角形状の箱であってもよい。
【0106】
また、底面部1、天面部2及び複数の側面部3におけるフレームの形状や、箱型とするために底面部1、天面部2及び複数の側面部3を連結する方法は、上記実施形態に限定されず、種々の方法を採用できる。
【実施例
【0107】
以下、実施例に基づき本開示の収納容器の作用効果について説明する。なお、本開示の収納容器は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0108】
<防火性及び耐熱性>
収納容器にリチウムイオン蓄電池を収納した場合に周囲で火災が発生した際の防火性及び耐熱性を評価するための試験を行った。試験に用いたリチウムイオン蓄電池は、KEEP POWER社製の「18650 3500mA 3.7V」であり、満充電の状態(100%充電)のものと、流通段階で最高の充電率と考えられる状態(50%充電)のものを用いた。
【0109】
試験は、「リチウムイオン電池に係る危険物施設の安全対策のあり方に関する検討報告書」(平成23年12月 総務省消防庁危険物保安室発刊)に準じて実施した。試験品となる鋼板を水平にして設置し、鋼板の上方で鋼板から1cm程度離れた位置にリチウムイオン蓄電池を固定した。鋼板の下方にガスバーナーを設置し、火炎の長さを10cm程度にして、火炎の先端が鋼板に当たるように調整した。このように試験品となる鋼板を火炎とリチウムイオン蓄電池の間に挿入した状態でリチウムイオン蓄電池を火炎によって加熱し、リチウムイオン蓄電池の温度上昇値を、Keysight社製の熱電対ロガー(型番34970A)を用いて計測した。なお、リチウムイオン蓄電池の加熱時間は20分とし、20分加熱後の畜電池表面温度から加熱直前の蓄電池表面温度を引いた温度をリチウムイオン蓄電池の温度上昇値とした。一つの試験品に対する試験回数は、個々のリチウムイオン蓄電池で差異があることなどを考慮して3回とした。
【0110】
実施例1の試験品は、厚さ0.35mmの鋼製の平板の一方面に厚さ0.35mmの鋼製の波形板を接合した複合パネルである。実施例2の試験品は、厚さ0.4mmの鋼製の平板の一方面に厚さ0.4mmの鋼製の波形板を接合した複合パネルである。実施例3の試験品は、厚さ0.5mmの鋼製の平板の一方面に厚さ0.5mmの鋼製の波形板を接合した複合パネルである。比較例の試験品は、厚さ1.6mmの平らな鋼板である。
【0111】
実施例1から3の試験品については、収納容器の内部空間側となる平板をリチウムイオン蓄電池側に向け、収納容器の外部側となる波形板側に火炎を当てた。なお、実施例1から3の試験品については、火炎の先端が波形板の凹(谷)に当たる場合と、波形板の凸(山)に当たる場合とに分けて試験を行った。満充電の状態のリチウムイオン蓄電池についての試験結果を表1に、50%充電の状態のリチウムイオン蓄電池についての試験結果を表2に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
表1及び表2の試験結果によると、厚さ0.35mm以上の鋼製の平板と厚さ0.35mm以上の鋼製の平板を組み合わせた複合パネルは、厚さ1.6mmの平らな鋼板との比較で、防火性及び耐熱性に関して同等以上の性能を有することが確認された。これにより、平板及び波形板の複合パネルは、同等の防火性及び耐熱性を有する鋼板よりもパネルの総厚さ(平板の厚さと波形板の厚さの和)を小さくできることが分かる。
【0115】
<耐火性>
収納容器にリチウムイオン蓄電池を収納した場合にリチウムイオン蓄電池が発火した際の耐火性を評価するための試験を行った。試験は、「特定防火設備の要求事項(建築基準法施行令第112条第1項) 通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後一時間当該加熱面以外の面に火炎を出さない」に準じて実施した。
【0116】
試験品となる鋼板を鉛直にして設置し、鋼板の側方から鋼板の一方面の中心に対してガスバーナーにより火炎を当てて、鋼板を加熱した。加熱開始後、1分間隔で鋼板の温度を計測した。鋼板の加熱時間は60分とした。鋼板の温度は、東京測器研究所社製の温度ロガー(型番TDS-530)を用いて計測した。鋼板の温度は、鋼板の加熱面及び非加熱面のそれぞれで計測し、加熱面については鋼板から10cm離れた位置で温度を計測し、非加熱面については鋼板の中心から10mm離れた位置と5cm離れた位置で温度を計測した。
【0117】
実施例1の試験品は、厚さ0.35mmの鋼製の平板の一方面に厚さ0.35mmの鋼製の波形板を接合した複合パネルである。実施例2の試験品は、厚さ0.4mmの鋼製の平板の一方面に厚さ0.4mmの鋼製の波形板を接合した複合パネルである。実施例3の試験品は、厚さ0.5mmの鋼製の平板の一方面に厚さ0.5mmの鋼製の波形板を接合した複合パネルである。比較例の試験品は、厚さ1.6mmの平らな鋼板である。
【0118】
実施例1から3の試験品については、収納容器の内部空間側となる平板をガスバーナー側に向け、平板側に火炎を当てて試験を行った。また、実施例1及び3の試験品については、波形板をガスバーナー側に向け、波形板側に火炎を当てる試験も行った。試験結果を表3に示す。
【0119】
【表3】
【0120】
表3の試験結果によると、厚さ0.35mm以上の鋼製の平板と厚さ0.35mm以上の鋼製の平板を組み合わせた複合パネルは、厚さ1.6mmの鋼板との比較で、耐火性に関して同等以上の性能を有することが確認された。
【0121】
また、鋼板の加熱後に非加熱面の状態を目視により観察したところ、比較例1及び実施例1から3のいずれの試験品についても、著しい形状変更や、火炎が通る亀裂、ひび割れなどの損傷が生じていなかった。よって、実施例1から3の試験品は加熱時に非加熱面側へ火炎を出していないことから、この点からも、厚さ0.35mm以上の鋼製の平板と厚さ0.35mm以上の鋼製の平板を組み合わせた複合パネルは、厚さ1.6mmの鋼板との比較で、耐火性に関して同等以上の性能を有することが確認された。これにより、平板及び波形板の複合パネルは、同等の耐火性を有する鋼板よりもパネルの総厚さ(平板の厚さと波形板の厚さの和)を小さくできることが分かる。
【0122】
なお、上述した実施例の平板の厚さ及び波形板の厚さ0.35mm、0.4mm、0.5mmはあくまでも例示である。平板の厚さ及び波形板の厚さが0.35mmよりも小さい場合には厚さ1.6mmの鋼板と同等以上の防火性、耐熱性及び耐火性を有さないというわけではなく、厚さ1.6mmの鋼板と同等以上の防火性、耐熱性及び耐火性を有する平板の厚さ及び波形板の厚さについて、0.35mmよりも小さい範囲を除外しているわけではない。
【符号の説明】
【0123】
100 収納容器
1 底面部
10 底面フレーム
11 底面パネル
15 平板
16 波形板
2 天面部
20 天面フレーム
21 天面パネル
23 平板
24 波形板
3A-3D 側面部
30 両側及び後ろ側の側面フレーム
31 両側及び後ろ側の側面パネル
33 平板
34 波形板
35 前側の側面フレーム
36 前側の側面パネル
【要約】
【課題】パネルの厚さを小さくして軽量化及び低コストを実現し、パネルに厚さの大きな鋼板を用いた箱と耐火性及び防火性において同等以上の性能を有する収納容器を提供する。
【解決手段】収納容器100は、底面部1、天面部2及び複数の側面部3A-3Dを備え、底面部1、天面部2及び複数の側面部3A-3Dの少なくとも一つは、鋼製の平板15,23,33と鋼製の波形板16,24,34とが接合された複合パネルを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35