IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マプリィの特許一覧

<>
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図1
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図2
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図3
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図4
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図5
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図6
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図7
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図8
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図9
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図10
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図11
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図12
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図13
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図14
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図15
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図16
  • 特許-図面作成システム及び図面作成方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】図面作成システム及び図面作成方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240927BHJP
【FI】
G06T19/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024101495
(22)【出願日】2024-06-24
【審査請求日】2024-06-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521224642
【氏名又は名称】株式会社マプリィ
(74)【代理人】
【識別番号】100170025
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 一
(72)【発明者】
【氏名】山口 圭司
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-103659(JP,A)
【文献】特開2023-018180(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107220954(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107392987(CN,A)
【文献】特開2005-215917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元レーザースキャナーとカメラとが同じ方向を向いて設置された携帯端末装置を備えた図面作成システムであって、
前記三次元レーザースキャナーが対象物に向けられて、スタートキーが選択されると、当該対象物に対して異なる視点において、前記視点毎に、前記三次元レーザースキャナーで前記対象物をスキャンすることで、点群座標系における前記対象物の点群の三次元座標を取得する点群取得制御部と、
前記視点毎に、前記カメラで前記対象物を撮影することで、当該対象物が写された撮影画像を取得する画像取得制御部と、
前記視点毎に、前記点群の点群座標系を前記撮影画像のカメラ座標系に対応付ける対応制御部と、
前記視点毎に、前記携帯端末装置に付属の位置通信装置を用いて、地理座標系における当該携帯端末装置の現在位置の三次元座標を取得し、前記点群の点群座標系を前記地理座標系に変換する変換制御部と、
前記取得された点群を所定の点群画面に表示するとともに、当該点群画面上において、前記取得された点群内の任意の点を指定可能に表示する表示指定制御部と、
所定の切替キーが入力されると、前記対象物に対して異なる視点の複数の撮影画像から、前記カメラの位置と姿勢及び前記対象物の三次元構造を復元し、当該復元した対象物の三次元構造と、前記対象物の点群とを照合することで、前記対象物の三次元構造を前記点群に対応付け、当該点群に対応付けた対象物の三次元構造に対応し、前記複数の撮影画像内の対象物を示す対象物画像を点群に貼り付け、当該対象物画像を介して点群内の任意の点を指定可能に表示した所定の画像画面に切り替える切替制御部と、
前記点群画面又は前記画像画面において、図形用の所定の点が図形点として指定されると、当該図形点の三次元座標を取得し、当該図形点の三次元座標に基づいて、図形を描画する描画制御部と、
前記図形が描画された後に、所定の二次元図面の作成キーが入力されると、前記図形点の三次元座標に基づいて、地理座標系における二次元図面を作成する作成制御部と、
を備える図面作成システム。
【請求項2】
前記複数の撮影画像から、前記カメラの位置と姿勢及び前記対象物の三次元構造を復元する方法は、SfM(Structure from Motion)、MVS(Multi View Stereo)のいずれかを含む、
請求項1に記載の図面作成システム。
【請求項3】
前記描画制御部は、前記図形点が指定されると、前記点群画面又は前記画像画面のカメラ座標系における図形点の二次元座標を取得し、所定の変換情報を用いて、地理座標系における対応点の三次元座標に変換し、当該変換した対応点の三次元座標を中心とした所定の指定範囲内に前記点群の点が存在するか否かを判定し、
前記判定の結果、前記指定範囲内に前記点群の点が存在する場合、前記描画制御部は、前記存在した点群の点の三次元座標を取得し、
前記判定の結果、前記指定範囲内に前記点群の点が存在しない場合、前記描画制御部は、前記対応点の三次元座標を取得する、
請求項1に記載の図面作成システム。
【請求項4】
三次元レーザースキャナーとカメラとが同じ方向を向いて設置された携帯端末装置を備えた図面作成システムの図面作成方法であって、
前記三次元レーザースキャナーが対象物に向けられて、スタートキーが選択されると、当該対象物に対して異なる視点において、前記視点毎に、前記三次元レーザースキャナーで前記対象物をスキャンすることで、点群座標系における前記対象物の点群の三次元座標を取得する点群取得制御工程と、
前記視点毎に、前記カメラで前記対象物を撮影することで、当該対象物が写された撮影画像を取得する画像取得制御工程と、
前記視点毎に、前記点群の点群座標系を前記撮影画像のカメラ座標系に対応付ける対応制御工程と、
前記視点毎に、前記携帯端末装置に付属の位置通信装置を用いて、地理座標系における当該携帯端末装置の現在位置の三次元座標を取得し、前記点群の点群座標系を前記地理座標系に変換する変換制御工程と、
前記取得された点群を所定の点群画面に表示するとともに、当該点群画面上において、前記取得された点群内の任意の点を指定可能に表示する表示指定制御工程と、
所定の切替キーが入力されると、前記対象物に対して異なる視点の複数の撮影画像から、前記カメラの位置と姿勢及び前記対象物の三次元構造を復元し、当該復元した対象物の三次元構造と、前記対象物の点群とを照合することで、前記対象物の三次元構造を前記点群に対応付け、当該点群に対応付けた対象物の三次元構造に対応し、前記複数の撮影画像内の対象物を示す対象物画像を点群に貼り付け、当該対象物画像を介して点群内の任意の点を指定可能に表示した所定の画像画面に切り替える切替制御工程と、
前記点群画面又は前記画像画面において、図形用の所定の点が図形点として指定されると、当該図形点の三次元座標を取得し、当該図形点の三次元座標に基づいて、図形を描画する描画制御工程と、
前記図形が描画された後に、所定の二次元図面の作成キーが入力されると、前記図形点の三次元座標に基づいて、地理座標系における二次元図面を作成する作成制御工程と、
を備える図面作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面作成システム及び図面作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元測量機(トータルステーション)を用いた測量技術の他に、写真測量技術やレーザー測量技術が存在している。ここで、近年、点群を取得する三次元レーザースキャナーの発達に伴い、この三次元レーザースキャナーとカメラとを用いた測量技術が登場している。
【0003】
例えば、本出願人は、特許第6973726号公報(特許文献1)、特許第7057578号公報(特許文献2)、特許第7143001号公報(特許文献3)、特許第7250296号公報(特許文献4)に示すように、三次元レーザースキャナーとカメラとを利用した発明を既に出願し、権利化している。
【0004】
一方で、三次元レーザースキャナーにより取得された点群と、カメラにより取得された撮影画像とを組み合わせる技術も存在する。
【0005】
例えば、特開2016-4486号公報(特許文献5)には、距離画像取得部と、色画像取得部と、特徴箇所検出部と、較正部と、位置合わせ処理部とを有する情報処理装置が開示されている。この距離画像取得部は、観察対象の少なくとも2つの距離画像を取得し、色画像取得部は、各距離画像にそれぞれ対応する観察対象の色画像を取得する。距離画像は、点群に対応する。特徴箇所検出部は、取得された色画像から特徴箇所を検出し、較正部は、色画像の各画素と、各画素に対応する距離画像の各点とを関連付けるキャリブレーション処理を行い、各画素に対応する各点を示すキャリブレーション情報を生成する。そして、位置合わせ処理部は、検出された特徴箇所およびキャリブレーション情報を用いて、各特徴箇所同士が重なり合うように、各距離画像の位置合わせを行う。これにより、観察対象物体の3次元モデルデータから抽出した特徴が、撮影画像中に撮像される観察対象物体から抽出できる特徴と大きく異なる場合でも、安定して位置姿勢推定を可能とすることが出来るとしている。
【0006】
又、特表2022-516298号公報(特許文献6)には、対象物を3D再構築するための方法であって、A)少なくとも1つのカメラを用いて、特に異なるカメラ角度および位置から、対象物の複数の画像を生成するステップと、B)複数の画像から対象物の特徴を抽出するステップと、C)対象物を表す3次元モデルに配置された3次元点群を生成するステップとを備える。又、3次元点の各々は、複数の画像のうちの少なくとも2つの画像から抽出可能な1つの特徴に対応し、D)複数の画像のうちの1つの画像から、対象物の構築ブロックとしての所定の3次元幾何学的構造の少なくとも一部の投影を含む領域を選択するステップとを含む。そして、所定の3次元幾何学的構造は、複数の未知係数を含む数学方程式によって表現可能であり、各々が3次元点のうちの1つの3次元点に対応する対象物の特徴のサブセットは、領域に含まれ、特徴のサブセット内の特徴の数は、数学方程式の未知係数の数の以上である。更に、E)特徴のサブセット内の少なくとも1つの特徴を含む画像を各々特定するステップと、F)ステップDで選択された特徴のサブセットに対応する第1セットの3次元点と、特徴のサブセットに含まれないが、ステップEで特定された画像のうちの少なくとも2つの画像から抽出可能な少なくとも1つの特徴に対応する少なくとも1つの3次元点を含む第2セットの3次元点とを決定するステップと、を含む。そして、G)第1セットの3次元点および第2セットの3次元点を用いて、所定の3次元幾何学的構造に対応する数学方程式を決定するステップと、H)少なくとも所定の3次元幾何学的構造を用いて、対象物の3次元モデルをレンダリングするステップとを含む。これにより、対象物の迅速、且つ、より正確な3D再構築を可能とするとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6973726号公報
【文献】特許第7057578号公報
【文献】特許第7143001号公報
【文献】特許第7250296号公報
【文献】特開2016-4486号公報
【文献】特表2022-516298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、建設分野、土木分野、森林分野、測量分野、防災分野等の様々な分野において、三次元レーザースキャナーにより得られる点群の三次元座標を収集して活用するニーズが高まってきている。
【0009】
ところが、現在、上述した分野では、平面図や断面図等の二次元図面を基本としている。例えば、ユーザが、建築物、構造物等の対象物の二次元図面を作成する場合、現場へ行って、現場の対象物の四隅等の測定点を選定し、その測定点の三次元座標を三次元測量機で測定し、事務所へ戻って、測定点の三次元座標を用いて、対象物の輪郭や外形等の図形を表した二次元図面を作成している。この二次元図面は、DXF(Drawing Exchange Format)形式のファイルである。このような二次元図面の作成方法では、手間や時間を要するとともに、現場におけるユーザの測定点の選定ミス等の人的ミスが生じる可能性があり、二次元図面の作成精度が低下するという課題がある。
【0010】
一方で、三次元レーザースキャナーでは、三次元座標を有する点群を基本としている。そのため、ユーザが、現場の対象物の点群を取得したとしても、これらの点群の三次元座標を対象物の二次元図面用の二次元座標に変換する必要があり、ユーザが、点群をそのまま用いて二次元図面を作成することは難しいという課題がある。
【0011】
このような背景から、業務効率化のために、ユーザが、点群の三次元座標に対象物の図形を追加して、二次元図面を作成する方法が求められていた。
【0012】
ここで、特許文献1に記載の技術では、断面図を作成することが出来、特許文献2に記載の技術では、プロットの境界線を作成することが出来るものの、点群を用いて、上述のような二次元図面を作成することは出来ない。又、特許文献3に記載の技術では、点群の三次元座標の点群座標系を地理座標系に変換する技術であり、特許文献4に記載の技術では、対象物の点群と撮影画像とを関連付ける技術であり、これらの技術では、点群を用いて、上述のような二次元図面を作成することは出来ない。
【0013】
又、特許文献5に記載の技術では、距離画像の点群の位置合わせに関する技術であり、特許文献6に記載の技術では、対象物の3D再構築の技術であり、これらの技術では、点群を用いて、二次元図面の作成を行うことが出来ない。
【0014】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、点群内に図形を正確に描画して、二次元図面を簡単に作成することが可能な図面作成システム及び図面作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る図面作成システムは、三次元レーザースキャナーとカメラとが同じ方向を向いて設置された携帯端末装置を備えた図面作成システムであって、点群取得制御部と、画像取得制御部と、対応制御部と、変換制御部と、表示指定制御部と、切替制御部と、描画制御部と、作成制御部と、を備える。点群取得制御部は、前記三次元レーザースキャナーで前記対象物をスキャンすることで、点群座標系における前記対象物の点群の三次元座標を取得する。画像取得制御部は、前記カメラで前記対象物を撮影することで、当該対象物が写された撮影画像を取得する。対応制御部は、前記点群の点群座標系を前記撮影画像のカメラ座標系に対応付ける。変換制御部は、前記携帯端末装置に付属の位置通信装置を用いて、地理座標系における当該携帯端末装置の現在位置の三次元座標を取得し、前記点群の点群座標系を前記地理座標系に変換する。表示指定制御部は、前記取得された点群を所定の点群画面に表示するとともに、当該点群画面上において、前記取得された点群内の任意の点を指定可能に表示する。切替制御部は、所定の切替キーが入力されると、前記対象物に対して異なる視点の複数の撮影画像に基づいて、前記点群上に、前記撮影画像内の対象物を示す対象物画像を貼り付け、当該対象物画像を介して点群内の任意の点を指定可能に表示した所定の画像画面に切り替える。描画制御部は、前記点群画面又は前記画像画面において、図形用の所定の点が図形点として指定されると、当該図形点の三次元座標を取得し、当該図形点の三次元座標に基づいて、図形を描画する。作成制御部は、前記図形が描画された後に、所定の二次元図面の作成キーが入力されると、前記図形点の三次元座標に基づいて、地理座標系における二次元図面を作成する。
【0016】
本発明に係る図面作成方法は、三次元レーザースキャナーとカメラとが同じ方向を向いて設置された携帯端末装置を備えた図面作成システムの図面作成方法であって、点群取得制御工程と、画像取得制御工程と、対応制御工程と、変換制御工程と、表示指定制御工程と、切替制御工程と、描画制御工程と、作成制御工程と、を備える。図面作成方法の各制御工程は、図面作成システムの各制御部に対応する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、点群内に図形を正確に描画して、二次元図面を簡単に作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る図面作成システムの一例を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る図面作成方法の実行手順を示すためのフローチャートである。
図3】スキャン開始画面の一例を示す図(図3A)と、三次元レーザースキャナーで点群を取得するとともに、カメラで撮影画像を取得する場合の一例を示す図(図3B)と、である。
図4】点群と撮影画像との対応関係の一例を示す図(図4A)と、位置通信装置により携帯端末装置の現在位置の三次元座標を取得する場合の一例を示す図(図4B)と、である。
図5】点群をメッシュデータに変換した場合の一例を示す図(図5A)と、点群画面の一例を示す図(図5B)と、である。
図6】複数の撮影画像から、カメラの位置と姿勢及び対象物の三次元構造を復元する場合の一例を示す図(図6A)と、対象物の三次元構造と、対象物の点群とを照合する場合の一例を示す図(図6B)と、である。
図7】対象物画像を点群に貼り付ける場合の一例を示す図(図7A)と、画像画面の一例を示す図(図7B)と、である。
図8】線分の始点の指定から点群の点の三次元座標を取得する場合の一例を示す図である。
図9】線分の終点の指定から点群の点の三次元座標を取得し、線分を描画する場合の一例を示す図である。
図10】点群の点が存在しない位置における線分の終点の指定から対応点の三次元座標を取得し、線分を描画する場合の一例を示す図である。
図11】図形点の三次元座標から平面図の作成と、正面図の作成の一例を示す図である。
図12】点群の点が存在しない位置における図形点の三次元座標から平面図の作成と、正面図の作成の一例を示す図である。
図13】図形の種類の一例を示す図(図13A)と、ドアの四隅点を繋いだ四角形を描画した場合の一例を示す図(図13B)と、である。
図14】実施例における点群と撮影画像との取得の一例を示す図(図14A)と、点群画面と画像画面の一例を示す図(図14B)と、である。
図15】画像画面において図形点を指定する場合の一例を示す図(図15A)と、点群画面において線分及び折れ線を描画する場合の一例を示す図(図15B)と、である。
図16】点群画面において四角形を描画する場合の一例を示す図(図16A)と、点群画面において線分と円形を追加して描画した場合と、平面図を作成した場合の一例を示す図(図16B)と、である。
図17】二次元平面図と近隣地図とを重ねて表示した場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0020】
本発明に係る図面作成システム1は、図1に示すように、携帯端末装置10と、三次元レーザースキャナー11と、カメラ12と、位置通信装置13とを備える。図1では、三次元レーザースキャナー11とカメラ12のそれぞれは、携帯端末装置10に付属の形態であるが、携帯端末装置10に無線又は有線で接続されて連携する構成であっても構わない。
【0021】
ここで、携帯端末装置10は、画面を表示する表示部と、ユーザの操作により所定の指示キーの入力を受け付ける受付部(入力部)と、データを記憶させる記憶部と、各部を制御する制御部と、データを出力する出力部と、通信部と、を備えている。携帯端末装置10は、例えば、タブレット型端末装置、携帯用のノートパソコン、タッチパネル付きの携帯端末装置(スマートフォン)等を挙げることが出来る。
【0022】
又、三次元レーザースキャナー11は、レーザー照射部と、散乱光検出部と、点群算出部と、を備える。ここで、レーザー照射部は、対象物にパルス状のレーザーを発光する。散乱光検出部は、対象物に照射したレーザーに対する散乱光を検出する。点群算出部は、検出された散乱光に基づいて、三次元レーザースキャナー11から対象物までの距離や対象物の表面における散乱光が散乱した位置の点群の三次元データを算出する。
【0023】
ここで、三次元レーザースキャナー11は、携帯端末装置10に付属される場合、例えば、Lidar(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)センサーを挙げることが出来る。三次元レーザースキャナー11で取得される三次元点群データは、点群に含まれる複数の点の三次元座標の集合体である。又、三次元レーザースキャナー11は、携帯端末装置10に接続される場合、携帯端末装置10と独立した単体の三次元レーザースキャナーを挙げることが出来る。
【0024】
又、カメラ12は、可視光カメラを基本とし、デジタル写真を撮影することが出来れば、どのような種類のカメラでも良い。図1では、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とは同じ方向を向いて携帯端末装置10に付属されている。そのため、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とを所定の対象物に向けると、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とが同一の対象物に対する三次元点群データと二次元画像の撮影画像とを得ることが出来る。尚、撮影画像は、静止画でも動画でも構わない。又、カメラ12は、携帯端末装置10に接続される場合、携帯端末装置10と独立した単体のカメラ12を挙げることが出来る。
【0025】
又、位置通信装置13に特に限定は無いが、例えば、携帯端末装置に付属のGPS機能でも良いし、アンテナを備えた移動局でも良い。位置通信装置13は、地理座標系における携帯端末装置10(位置通信装置13)の現在位置を算出することが出来る。ここで、地理座標系とは、所定の地理基準位置を基準とした三次元座標系であり、建設分野、土木分野、森林分野、測量分野、防災分野等の様々な分野で利用されている。又、位置通信装置13は、携帯端末装置10の位置情報を取得することが出来れば、どのような種類の位置通信装置13でも良いが、例えば、GPS受信装置(1周波GNSS受信機)や2周波マルチGNSS受信機を挙げることが出来る。
【0026】
さて、携帯端末装置10は、図示しないCPU、ROM、RAM、HDD、SSD等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD、SSD等に記憶されているプログラムを実行する。又、後述する各制御部についても、CPUがプログラムを実行することで当該各制御部を実現する。
【0027】
次に、図1図13を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。先ず、測量者が、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とを設けた携帯端末装置10を携帯して、測量を希望する所定の対象物O(例えば、建物の内装)に訪れ、携帯端末装置10の所定のアプリケーションを起動させる。すると、携帯端末装置10の選択受付制御部101は、スキャンを開始するためのスタートキーの入力を受け付ける(図2:S101)。
【0028】
ここで、選択受付制御部101の受付方法に特に限定は無いが、例えば、選択受付制御部101は、スキャン開始画面を携帯端末装置10の表示部に表示させる。スキャン開始画面300には、図3Aに示すように、スキャンの開始を促す旨のメッセージ301「スキャンを開始」と、データ保存先の名前の指定を促す旨のメッセージ302「名前を指定してください。」と、名前指定欄303と、自動スキャンをするためのオートキー304と、テクスチャ撮影を同時に行うためのテクスチャキー305と、キャンセルキー306とが表示される。ここで、テクスチャ撮影とは、カメラ11での撮影を同時に行うことを意味する。そして、オートキー304とテクスチャキー305とのそれぞれは、選択されることで、スタートキーの入力を兼ね備える。
【0029】
そこで、測量者は、所定の名前303a(例えば、「AAA」)を指定して、測量者は、図3Bに示すように、三次元レーザースキャナー11のレーザー照射部を対象物O(例えば、建物内のドア付近)に向けて、テクスチャキー305を選択すると、選択受付制御部101は、名前303a(「AAA」)とテクスチャキー305の選択を受け付けて、スタートキーの入力を受け付ける。
【0030】
さて、選択受付制御部101の受付が完了すると、次に、携帯端末装置10の点群取得制御部102は、三次元レーザースキャナー11で対象物Oをスキャンすることで、点群座標系における対象物Oの点群Pの三次元座標を取得する(図2:S102)。
【0031】
ここで、点群取得制御部102の取得方法に特に限定は無い。例えば、点群取得制御部102は、スタートキーの入力を受けて、三次元レーザースキャナー11のレーザーの照射を開始する。照射されたレーザーは、三次元レーザースキャナー11に対向する対象物Oの一部で反射して散乱光として散乱する。そして、三次元レーザースキャナー11の散乱光検出部は、散乱光を検出し、三次元レーザースキャナー11の点群算出部は、散乱光が散乱した位置の点群Pの点の三次元座標(三次元点群データ)を取得する。ここで、点群Pの点の三次元座標は、散乱光が三次元レーザースキャナー11に戻ってきた位置の点を含み、散乱光が三次元レーザースキャナー11に戻ってこなかった位置の点は含まれない。又、点群Pの三次元座標に含まれる所定の点P1の三次元座標(xp1、yp1、zp1)は、三次元レーザースキャナー11の点群基準位置P0(例えば、三次元レーザースキャナー11のレーザー照射部)の三次元座標(xp0、yp0、zp0)を基準(原点)とした三次元座標系(点群座標系)で構成される。
【0032】
さて、点群取得制御部102の取得が完了すると、次に、携帯端末装置10の画像取得制御部103は、カメラ12で対象物Oを撮影することで、当該対象物Oが写された撮影画像Iを取得する(図2:S103)。
【0033】
ここで、画像取得制御部103の取得方法に特に限定は無いが、例えば、図3Bに示すように、測量者は、三次元レーザースキャナー11とともに、カメラ12を対象物Oに向けることで、画像取得制御部103は、対象物Oの一部を撮影して、対象物Oの一部を示した撮影画像I(二次元画像)を取得する。尚、ここでは、撮影画像Iは、静止画として説明するが、動画でも構わない。
【0034】
ここで、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とのそれぞれは、携帯端末装置10に付属であり、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とは、同じ方向を向いているため、三次元レーザースキャナー11により取得された点群Pには、カメラ12により取得された撮影画像Iに含まれる対象物Oが含まれることになる。
【0035】
尚、本発明では、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とは、携帯端末装置10と独立した単体でも構わないため、例えば、三次元レーザースキャナー11は、対象物Oの一方の方向を向いて、点群Pを取得し、携帯端末装置10のカメラ12を、対象物Oの一方の方向に向けることで、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とを同じ方向に向けた構成とすることが出来る。
【0036】
さて、画像取得制御部103が取得を完了すると、次に、携帯端末装置10の対応制御部104は、点群Pの点群座標系を撮影画像Iのカメラ座標系に対応付ける(図2:S104)。
【0037】
ここで、対応制御部104の対応方法に特に限定は無い。例えば、対象物Oの点群Pと撮影画像Iとの関係について、携帯端末装置10に付属の三次元レーザースキャナー11とカメラ12とが同じ方向を向いている場合には、図4Aに示すように、点群座標系における点群Pのうち、任意の点P1の三次元座標(xp1、yp1、zp1)と、カメラ座標系における撮影画像I内の点群のうち、対応点Q1の二次元座標(vq1、uq1)とは、三次元レーザースキャナー11とカメラ12の撮影位置や姿勢情報、カメラ12の焦点距離、キャリブレーションマトリックスなどの変換情報に基づいて対応付けることが出来る。
【0038】
ここで、点群座標系は、所定の点群基準位置P0を原点として、例えば、横軸をx軸とし、縦軸をy軸とし、奥行軸(視野軸)をz軸とする。z軸は、三次元レーザースキャナー11から対象物Oに向かった方向の軸を意味する。又、カメラ座標系は、撮影画像Iにおける所定の点Oを原点として、横軸をv軸とし、縦軸をu軸とする。撮影画像Iは、カメラ12の中心から対象物Oに向かってz軸方向に焦点距離fだけ離れた位置に、z軸に対して垂直に位置する。ここで、x軸方向は、例えば、点群座標系の横方向(左右方向)であり、z軸方向は、点群座標系の奥行方向(前後方向)であり、y軸方向は、点群座標系の上下方向(垂直方向)である。
【0039】
このように、対象物Oの点群Pの任意の点P1と撮影画像Iの対応点Q1とは、点群座標系とカメラ座標系において対応付けることが可能である。そのため、例えば、対応制御部104が、上述した変換情報を用いて、点群座標系の点群Pの任意の点Pの三次元座標(xp、yp、zp)を、カメラ座標系の撮影画像I内の点群の対応点Qの二次元座標(vq、uq)に変換する。これにより、変換後の対応点Qの二次元座標(vq、uq)を撮影画像I内に表示させることが可能となる。
【0040】
さて、対応制御部104が対応を完了すると、次に、携帯端末装置10の変換制御部105は、携帯端末装置10に付属の位置通信装置13を用いて、地理座標系における当該携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得し、点群Pの点群座標系を地理座標系に変換する(図2:S105)。
【0041】
ここで、変換制御部105の変換方法に特に限定は無い。例えば、図4Bに示すように、変換制御御部105は、携帯端末装置10に付属(内蔵)の位置通信装置13を介して、現場で、地理座標系における携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得する。地理座標系とは、所定の地理基準位置を原点として、例えば、点群座標系に対応して、横軸をx軸とし、縦軸をy軸とし、奥行軸をz軸としている。
【0042】
次に、変換制御御部105は、携帯端末装置10を基準とする点P1の三次元座標(xp1、yp1、zp1)から、携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を減算して、減算点R1の三次元座標(xr1、yr1、zr1)を算出する。つまり、変換制御部105は、点群Pの点P1の三次元座標(xp1、yp1、zp1)の基準点を携帯端末装置10の点群基準位置P00から地理座標系の基準点に変更することで、点群Pの点群座標系を地理座標系に変換することが出来る。これにより、点群の三次元座標を地理座標系における三次元座標(計測用のデータ)として取り扱うことが可能となる。
【0043】
ここで、変換制御御部105は、三次元レーザースキャナー11の点群基準位置P0と、位置通信装置13の位置基準位置R0(携帯端末装置10の現在位置が取得される点)との間の三次元差分D(dx、dy、dz)を予め算出しておき、この三次元差分D(dx、dy、dz)を用いて、点群POの点P1の三次元座標(xp1、yp1、zp1)から、三次元差分D(dx、dy、dz)と、携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)とを減算し、当該減算点R1の三次元座標(xr1、yr1、zr1)を算出しても良い。これにより、点群Pの点群座標系を地理座標系に高精度に変換することが可能であり、二次元図面の作成精度を向上させることが出来る。
【0044】
ここで、位置通信装置13が、携帯端末装置10に付属のGPS受信装置(1周波GNSS受信機)である場合、変換制御部105が取得する携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)の精度(測定限界)は、一般的に、10m程度になる。そこで、携帯端末装置10にRTK受信機(図示せず)を取り付けて、位置通信装置13が、RTK受信機の2周波マルチGNSS受信機である場合は、変換制御部105が取得する携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)の精度は、数cm程度になり、携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)の精度が極めて向上する。この場合、対象物Oの点群P0と撮影画像I0とを関連付ける携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)の精度も向上するため、二次元図面の作成精度を向上させることが出来る。
【0045】
尚、ここでの2周波マルチGNSS受信機による地理座標系における携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)(GNSS情報)は、タッチパネル付きの携帯端末装置10(スマートフォン)やタブレット型端末装置10に内蔵の受信機により取得されても良いし、上述のように2周波マルチGNSS受信機を携帯端末装置10に別途装着して、この2周波マルチGNSS受信機により取得されても構わない。
【0046】
又、上述では、携帯端末装置10が、現場で、ネットワークと接続可能な環境の場合、変換制御部105は、現場で、地理座標系における携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得したが、これに限定されない。例えば、携帯端末装置10が、現場で、ネットワークと接続不可の環境の場合、変換制御部105は、携帯端末装置10の位置通信装置13を用いて、現場で、地理座標系における携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得することが出来ない。そのため、例えば、変換制御部105は、携帯端末装置10の位置通信装置13を用いて、現場で、測位に関するオフラインの情報を取得し、その後、携帯端末装置10がネットワークと接続可能な環境になり、変換制御部105が、オフラインの情報に基づいて、点群Pと撮影画像Iとを取得した際の地理座標系における携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得しても構わない。測位に関するオフラインの情報は、GNSS受信機の観測データ(RAWデータ)や国土地理院の電子基準点の観測データを挙げることが出来る。このような位置情報(三次元座標)の取得方法をスタティック測位(位置情報の修正)と称する。スタティック測位では、例えば、携帯端末装置10がネットワークと接続不可の山奥や森林内等の環境の場合、特に有効である。変換制御部105は、スタティック測位により、地理座標系における携帯端末装置10の現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得し、その現在位置R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を用いて、点群Pの点群座標系を地理座標系に変換することが出来る。
【0047】
尚、上述では、先ず、対象物Oの点群Pの三次元座標を取得し(図2:S102)、次に、当該対象物Oが写された撮影画像Iを取得し(図2:S103)、点群Pの点群座標系を撮影画像Iのカメラ座標系に対応付け(図2:S104)、最後に、点群Pの点群座標系を地理座標系に変換した(図2:S105)が、これらの順番に特に限定は無い。例えば、先ず、対象物Oが写された撮影画像Iを取得し(図2:S103)、次に、対象物Oの点群Pの三次元座標を取得し(図2:S102)、点群Pの点群座標系を撮影画像Iのカメラ座標系に対応付け(図2:S104)、最後に、点群Pの点群座標系を地理座標系に変換しても良い(図2:S105)。又、点群Pの点群座標系を撮影画像Iのカメラ座標系に対応付けてから(図2:S104)、点群Pの点群座標系を地理座標系に変換した(図2:S105)が、例えば、点群Pの点群座標系を地理座標系に変換して(図2:S105)、点群Pの地理座標系を撮影画像Iのカメラ座標系に対応付けても構わない(図2:S104)。これは、点群Pの三次元座標は、点群座標系と地理座標系との間で可換であり、且つ、点群の三次元座標は、点群座標系又は地理座標系とカメラ座標系との間でも可換であるからである。
【0048】
ところで、点群Pの三次元座標について、点群取得制御部102は、図5Aに示すように、取得した点群Pの三次元座標で表される形状の表面をメッシュ化して、多角形から構成された、対象物Oの表面を表すメッシュデータに変換しても良い。点群取得制御部102は、例えば、三角形分割法等のメッシュ化のアルゴリズムに基づいて、点群Pの三次元座標を、全ての面が三つの頂点の三角形から構成されるメッシュデータMに変換する。ここで、点群Pの三次元座標は、三次元座標IDと、画像IDと、三次元座標との各項目から構成される。一方、メッシュデータMは、点群Pの三次元座標をメッシュ(網目)として表現するデータであり、メッシュIDと、メッシュ頂点と、法線ベクトルとの各項目から構成される。メッシュ頂点には、三次元座標の頂点が所定数(1以上の数)格納される。法線ベクトルは、メッシュ面に対して垂直なベクトルであり、メッシュ面上の全ての直線と垂直であるベクトルと意味し、メッシュ面の法線ベクトルを三次元で表現したものが格納される。ここで、メッシュデータMでは、メッシュを構成する多角形の頂点と多角形の外向きの法線ベクトルであるため、個々の点群Pの三次元座標と比較すると、データ量が圧縮される。このように、点群Pの三次元座標をメッシュ化することで、データ量の多い点群データを、データ量を圧縮したメッシュデータMに変換し、簡単に取り扱うことが可能となる。又、メッシュデータMは、対象物Oの表面を表しており、後述する対象物画像の貼り付けを容易にするため、測量者による作図点の指定を容易にすることが出来る。尚、上述では、メッシュ形状として三角形を採用したが、このメッシュ形状の種類に特に限定は無く、三角形の他に、例えば、四角形、五角形等を挙げることが出来る。
【0049】
さて、変換制御部105が変換を完了すると、対象物Oに対する特定の視点の撮影画像Iと点群Pとの取得が完了する。ここで、測量者は、続いて、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とを対象物Oに走査すると、対象物Oに対して異なる視点(方向)において、点群取得制御部102は、対象物Oの点群Pの三次元座標を取得し(図2:S102)、画像取得制御部103は、撮影画像Iを取得し(図2:S103)、対応制御部104は、点群Pの点群座標系を撮影画像Iのカメラ座標系に対応付け(図2:S104)、変換制御部105は、点群Pの点群座標系を地理座標系に変換する(図2:S105)。このような処理が繰り返されることで、対象物Oに対して異なる視点(方向)の複数の撮影画像Iと点群Pとが取得される。
【0050】
さて、測量者が、取得された点群Pを確認するために、所定の表示キーを携帯端末装置10に入力すると、携帯端末装置10の表示指定制御部106は、取得された点群Pを所定の点群画面に表示するとともに、当該点群画面上において、取得された点群P内の任意の点Rを指定可能に表示する(図2:S106)。
【0051】
ここで、表示指定制御部106の表示方法に特に限定は無いが、例えば、点群Pを点群座標系又は地理座標系からカメラ座標系へ対応付けることで、点群Pを撮影画像I内に表示させることが可能であることから、図5Bに示すように、表示指定制御部106は、カメラ座標系における点群Pを表示受付部(例えば、タッチパネル)上に点群画面S0として表示させるとともに、タッチパネルに表示された点群Pの任意の点R1を指定可能に表示させる。これにより、測量者は、点群画面S0を見ながら、点群Pの任意の点R1を指定することが出来る。
【0052】
ここで、点群Pのデータ数が多い場合は、対象物Oの輪郭や詳細部分が明確になるため、測量者が、対象物Oのうち、所望の部分を正確に指定することが出来る可能性はあるが、点群Pのデータ数が少ない場合は、図5Bに示すように、測量者が、どの点が、対象物Oのどの部分に対応しているか、一見して確認し難い。
【0053】
そこで、測量者は、所定の切替キーを携帯端末装置10に入力すると、携帯端末装置10の切替制御部107は、対象物Oに対して異なる視点(方向)の複数の撮影画像Iに基づいて、点群P上に、撮影画像I内の対象物を示す対象物画像IOを貼り付け、当該対象物画像IOを介して点群P内の任意の点Rを指定可能に表示した所定の画像画面S1に切り替える(図2:S107)。
【0054】
ここで、切替制御部107の切替方法に特に限定は無い。例えば、測量者が、対象物Oに対して携帯端末装置10を適当に移動させて、対象物Oに対して異なる視点の複数の撮影画像Iが取得されている場合、図6Aに示すように、複数の撮影画像(ここでは、二枚の撮影画像I0、I1)は、対象物Oに対して多視点の画像となる。そこで、切替制御部107は、複数の撮影画像I0、I1から、カメラ12の位置と姿勢及び対象物Oの三次元構造3DSを復元する。この復元方法は、SfM(Structure from Motion)やMVS(Multi View Stereo)を挙げることが出来る。
【0055】
次に、切替制御部107は、図6Bに示すように、復元した対象物Oの三次元構造3DSと、対象物Oの点群Pとを照合することで、対象物Oの三次元構造3DSを点群Pに対応付ける。ここで、照合方法に特に限定は無く、例えば、復元した対象物Oの三次元構造3DSにおけるカメラ12の位置及び姿勢と、対象物Oの点群Pにおける三次元レーザースキャナー11の位置及び姿勢とを照合したり、対象物Oの三次元構造3DSにおける特徴点と、対象物Oの点群Pにおける特徴点とを照合したりする方法を挙げることが出来る。
【0056】
そして、切替制御部107は、図7Aに示すように、点群Pに対応付けた対象物Oの三次元構造3DSに対応し、複数の撮影画像I0、I1内の対象物Oを示す対象物画像IO(テクスチャ)を点群Pに貼り付けて、図7Bに示すように、対象物画像IOが貼り付けられた点群Pを示す画像画面S1をタッチパネル上に表示させる。ここで、画像画面S1内の点群Pの任意の点R1は、指定可能に表示される。これにより、点群Pに対応する対象物画像IOが画像画面S1に表示されることで、点群Pのデータ数が少ない場合であっても、測量者が、対象物画像IOを見ながら、対象物Oのうち、所望の位置を正確に指定することで、対象物画像IOが貼り付けられた点群P内の点R1を指定することが可能となる。
【0057】
尚、図7Bでは、対象物画像IOが、対象物Oの輪郭で切断されているため、対象物画像IOの間に点群Pが見られるが、ここでは、本発明の理解を容易にするために、点群Pを強調して表示している。実際は、点群Pは、極めて小さな点であるため、対象物画像IOが点群Pに貼り付けられることで、点群Pが見え難くなる。
【0058】
さて、切替制御部107が切替を完了すると、測量者は、点群画面S0又は画像画面S1において、複数の種類の図形のうち、所定の図形(例えば、線分)を選択して、選択された図形用の所定の点を図形点として指定すると、携帯端末装置10の描画制御部108は、指定された図形点の三次元座標を取得して、当該図形点の三次元座標に基づいて、図形を描画する(図2:S108)。
【0059】
ここで、描画制御部108の描画方法に特に限定は無いが、例えば、図8に示すように、測量者が、線分を選択して、携帯端末装置10のタッチパネルを介して、画像画面S1のうち、所定の対象物画像IO(例えば、ドア)を確認して、ドアの下方の一端部に対応する位置に、線分用の所定の点L1を線分の始点として指定する。すると、描画制御部108は、画像画面S1のカメラ座標系における線分の始点L1の二次元座標(vl1、ul1)を取得し、上述の変換情報を用いて、地理座標系における対応点N1の三次元座標(xn1、yn1、zn1)に変換する。そして、描画制御部108は、変換した対応点N1の三次元座標(xn1、yn1、zn1)を中心として所定の指定範囲(円又は正方形の範囲)内に、点群Pの点Rが存在するか否かを判定する。
【0060】
判定の結果、所定の指定範囲内に点群Pの点R1が存在するため、描画制御部108は、存在した点群Pの点R1の三次元座標(xr1、yr1、zr1)を取得する。これにより、測量者は、画像画面S1を見ながら、線分用の始点L1を正確に指定することが出来る。ここで、指定範囲内に点群Pの複数の点Rが存在する場合は、描画制御部108は、存在した複数の点Rのうち、対応点N1に最も近接する点R1の三次元座標(xr1、yr1、zr1)を取得すれば良い。
【0061】
尚、図8に示すように、測量者が、点群画面S0を見て、ドアの下方の一端部を認識することが出来れば、このドアの下方の一端部に対応する位置に線分の始点L1を指定すれば良い。
【0062】
次に、図9に示すように、測量者は、画像画面S1のうち、対象物画像IOのドアの下方の他端部に対応する位置に、線分用の所定の点L2を線分の終点として指定する。すると、描画制御部108は、線分の始点L1と終点L2とに基づいて線分Lを画像画面S1に描画し、カメラ座標系における線分の終点L2の二次元座標(vl2、ul2)を取得し、変換情報を用いて、地理座標系における対応点N2の三次元座標(xn2、yn2、zn2)に変換する。そして、描画制御部108は、変換した対応点N2の三次元座標(xn2、yn2、zn2)を中心として所定の指定範囲内に点群Pの点Rが存在するか否かを判定する。
【0063】
判定の結果、ここでも、所定の指定範囲内に点群Pの点R2が存在するため、描画制御部108は、存在した点群Pの点R2の三次元座標(xr2、yr2、zr2)を取得する。これにより、測量者は、線分Lの始点L1の三次元座標(xr1、yr1、zr1)と終点L2の三次元座標(xr2、yr2、zr2)に基づいて、地理座標系の空間内に線分Lを描画することが可能となる。
【0064】
尚、上述と同様に、図9に示すように、測量者が、点群画面S0を見て、ドアの下方の他端部を認識することが出来れば、上述と同様に、このドアの下方の一端部に対応する位置に線分の終点L2を指定すれば良い。
【0065】
ところで、S108において、測量者が指定した図形点に対応する点群Pの点Rが存在しない場合は、下記のようになる。即ち、図10に示すように、例えば、測量者が、線分用の始点L1を指定した後に、携帯端末装置10のタッチパネルを介して、画像画面S1のうち、点群Pの点Rが存在しない位置に、線分用の所定の点L2を線分の終点として指定したとする。すると、描画制御部108は、カメラ座標系における線分の終点L2の二次元座標(vl2、ul2)を取得し、変換情報を用いて、地理座標系における対応点N2の三次元座標(xn2、yn2、zn2)に変換する。そして、描画制御部108は、変換した対応点N2の三次元座標(xn2、yn2、zn2)を中心として所定の指定範囲内に、点群Pの点Rが存在するか否かを判定する。
【0066】
判定の結果、ここでは、所定の指定範囲内に点群Pの点Rが存在しないため、描画制御部108は、指定された線分の終点L2に対応する対応点N2の三次元座標(xn2、yn2、zn2)を取得する。これにより、点群Pの点Rが存在しない場合であっても、カメラ座標系における図形点L2の二次元座標を地理座標系における対応点N2の三次元座標に変換して取得することで、地理座標系の空間に図形を自由に描画することが可能となる。これは、例えば、現在の対象物Oから、将来建設されるであろう予定の対象物の輪郭や外形等を描画したい場合に、特に有効である。
【0067】
尚、上述と同様に、図10に示すように、測量者が、点群画面S0を見て、点群Pの点Rが存在しない位置に線分の終点L2を指定しても、同様となる。
【0068】
さて、描画制御部108が描画を完了し、線分の図面が描画された後に、測量者は、所定の二次元図面の作成キーを入力すると、携帯端末装置10の作成制御部109は、指定された図形点の三次元座標に基づいて、地理座標系における二次元図面を作成する(図2:S109)。
【0069】
ここで、作成制御部109の作成方法に特に限定は無いが、例えば、測量者が、地理座標系の水平方向(左右方向)をx軸方向とし、地理座標系の奥行方向(前後方向)をz軸方向とした二次元の平面図の作成キーを入力した場合は、作成制御部109は、図11に示すように、線分Lの始点L1の三次元座標(xr1、yr1、zr1)のうち、x軸方向とz軸方向の二次元座標(xr1、zr1)を取得し、平面図に始点L1の二次元座標(xr1、zr1)をプロットする。又、作成制御部109は、線分Lの終点L2の三次元座標(xr2、yr2、zr2)のうち、x軸方向とz軸方向の二次元座標(xr2、zr2)を取得し、平面図に終点L2の二次元座標(xr2、zr2)をプロットする。そして、作成制御部109は、平面図において、始点L1と終点L2とを結ぶ線分Lを作成し、二次元の平面図を表示する。これにより、測量者は、二次元の平面図を簡単に手に入れることが可能となる。特に、描画した線分Lは、地理座標系を基準としているため、そのまま、他の分野で使用される二次元図面(CAD図面、DXF図面等)と組み合わせることが可能であり、作業の効率化を図ることが出来る。
【0070】
又、測量者が、地理座標系の水平方向(左右方向)をx軸方向とし、地理座標系の鉛直方向(上下方向)をy軸方向とした二次元の正面図の作成キーを入力した場合は、作成制御部109は、図11に示すように、線分Lの始点L1の三次元座標(xr1、yr1、zr1)のうち、x軸方向とy軸方向の二次元座標(xr1、yr1)を取得し、正面図に始点L1の二次元座標(xr1、yr1)をプロットし、線分Lの終点L2の三次元座標(xr2、yr2、zr2)のうち、x軸方向とy軸方向の二次元座標(xr2、yr2)を取得し、正面図に終点L2の二次元座標(xr2、yr2)をプロットする。そして、作成制御部109は、正面図において、始点L1と終点L2とを結ぶ線分Lを作成し、二次元の正面図を表示する。これにより、他の二次元図面も簡単に作成することが出来る。尚、作成された二次元図面は、例えば、最初に入力された所定の名前303a(「AAA」)と関連付けられて保存されるため、測量者は、名前303aを用いて、二次元図面を直ぐに呼び出すことが出来る。
【0071】
上述では、x軸方向とz軸方向の二次元の平面図と、x軸方向とy軸方向の二次元の正面図とを例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、y軸方向とz軸方向の二次元の側面図や断面図であっても同様である。
【0072】
又、上述では、作成制御部109は、点群P0の点Pの三次元座標を用いて、二次元図面を作成したが、上述のように、対応点Nの三次元座標を用いて、二次元図面を作成しても構わない。例えば、上述のように、線分Lの始点L1が、点群Pの点R1の三次元座標(xr1、yr1、zr1)であり、線分Lの終点L2が、対応点N2の三次元座標(xn2、yn2、zn2)である場合、図13に示すように、二次元の平面図の作成キーが入力された場合は、作成制御部109は、始点L1のx軸方向とz軸方向の二次元座標(xr1、zr1)と終点L2のx軸方向とz軸方向の二次元座標(xn2、zn2)とを平面図にプロットし、平面図において、始点L1と終点L2とを結ぶ線分Lを作成し、二次元の平面図を表示する。又、二次元の正面図の作成キーが入力された場合は、作成制御部109は、始点L1のx軸方向とy軸方向の二次元座標(xr1、yr1)と終点L2のx軸方向とy軸方向の二次元座標(xn2、yn2)とを正面図にプロットし、正面図において、始点L1と終点L2とを結ぶ線分Lを作成し、二次元の平面図を表示する。これにより、測量者は、自由に図形を描画して二次元図面を作成することが可能となる。
【0073】
ところで、上述では、図形として線分を採用したが、これに限らず、他の種類の図形であっても構わない。例えば、図13Aに示すように、図形が四角形の場合、四角形の中心点を図形点として指定して、縦と横の長さとを入力することで、描画制御部108は、指定された中心点の三次元座標から縦の長さと横の長さとを展開することで、四角形を描画することが出来る。ここで、点群Pの点Rは、地理座標系を基準としていることから、縦と横の長さは、実寸法で入力することで、現実世界の寸法で反映された四角形を描画することが出来る。その他に、図形が四角形の場合、四角形の四隅点を図形点として指定することで、描画制御部108は、指定された四隅点の三次元座標から、四角形を描画することが出来る。又、図形が五角形であっても、多角形であっても同様である。又、例えば、図形が円形の場合、円形の中心点を図形点として指定して、半径を入力することで、描画制御部108は、指定された中心点の三次元座標から半径を展開することで、円形を描画することが出来る。更に、例えば、図形が折れ線の場合、折れ線の折れ点を図形点として指定することで、描画制御部108は、指定された折れ点の三次元座標から、折れ線を描画することが出来る。
【0074】
ここで、図形が四角形の場合、例えば、図13Bに示すように、測量者が、画像画面S1のうち、ドアの輪郭を二次元図面で作成したいと考えて、四角形を選択して、ドアの四隅点を図形点として指定すると、点群Pのうち、ドアの四隅点を繋いだ四角形を描画することが可能となる。ここで、ドアの四隅点の三次元座標を利用することで、ドアの輪郭の二次元図面を簡単に作成することが出来るのである。対象物Oは、ドアに限らず、建設分野、土木分野、森林分野、測量分野、防災分野等の様々な分野において、あらゆる建築物、建設物の対象物に適用可能である。
【0075】
さて、本発明に係る実施例について説明する。先ず、図1図13に示す図面作成システム1及び図面作成方法を携帯端末装置10に具現化し、点群内に図形の描画と二次元図面の作成とを行った。先ず、対象物Oとして一軒家の建物内装を想定し、測量者が、携帯端末装置10の所定のアプリケーションを起動して、スタートキーを選択する。そして、測量者は、携帯端末装置10の三次元レーザースキャナー11とカメラ12とを対象物Oに向けることで、対象物Oの点群Pと撮影画像Iとを取得する。
【0076】
ここで、図14Aに示すように、携帯端末装置10のタッチパネル上には、撮影画像Iと、点群Pとが表示されている。点群Pは、撮影画像Iの右上に設けられた四角部分W(小型ウインドウ)に表示されている。携帯端末装置10では、点群Pの地理座標系を撮影画像Iのカメラ座標系に対応付け、点群Pの点群座標系を地理座標系に変換している。尚、点群Pから変換されたメッシュデータMが撮影画像I内に重なってうっすらと表示されている。
【0077】
続いて、測量者が、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とを対象物Oに走査することで、携帯端末装置10は、対象物Oに対して異なる視点(方向)の複数の撮影画像Iと点群Pとを取得する。
【0078】
ここで、測量者が、所定の表示キーを携帯端末装置10に入力すると、図14Bに示すように、携帯端末装置10は、取得された点群P内の任意の点を指定可能な点群画面S0を表示する。ここで、図14Bに示すように、点群画面S0において、点群Pのデータ数が少ない場合は、どの点が対象物Oのどの部分に対応しているか、一見して確認し難い。
【0079】
そこで、測量者が、所定の切替キーを携帯端末装置10に入力すると、図14Bに示すように、携帯端末装置10は、点群Pに対象物画像IOを貼り付けた画像画面S1を表示する。これにより、点群Pでは、対象物Oを確認し難かったものの、対象物画像IOの貼り付けによって、対象物Oを明確に確認出来ることが理解される。
【0080】
測量者が、画像画面S1を見ながら、所定の図形として線分を選択して、対象物Oの畳の中心点を始点として指定すると、図15Aに示すように、携帯端末装置10は、指定された始点L1の三次元座標を取得し、始点L1を画像画面S1に表示する。測量者は、画像画面S1の対象物画像IOの上から点群Pの点を指定することが出来るため、所望の位置に始点L1を精度高く指定することが可能となる。例えば、対象物Oの畳の境界や四隅が対象物画像IOで明確に示されるため、測量者は、対象物Oの畳の境界や四隅を正確に指定することが出来るのである。
【0081】
さて、測量者が、例えば、点群画面S0を見ながら、線分の終点L2を指定すると、図15Bに示すように、携帯端末装置10は、指定された終点L2の三次元座標を取得し、終点L2を点群画面S0に表示する。又、携帯端末装置10は、始点L1と終点L2の三次元座標に基づいて、線分Lを描画する。これにより、測量者、線分Lを簡単に描画することが出来る。ここでは、線分Lの長さ(「1.12m」)が、始点L1と終点L2の三次元座標に基づいて算出され、表示されている。このように、始点L1と終点L2の三次元座標を活用することで、実寸法も簡単に算出することが出来る。
【0082】
ここで、測量者が、例えば、図形として折れ線Lを選択して、複数の図形点を指定することで、図15Bに示すように、点群画像S0の点群P内に折れ線Lを簡単に描画することが出来る。又、折れ線Lの各図形点毎の長さが、各図形点毎の三次元座標に基づいて算出され、表示されている。尚、点群画像S0において、点群Pを表示させる方向は自由に設定することが出来る。
【0083】
又、測量者が、例えば、図形として四角形Lを選択して、縦と横の長さ(「1.00m」)を入力し、四角形Lを設置したい位置に図形点を指定すると、図16Aに示すように、携帯端末装置10は、指定された図形点の三次元座標を取得し、縦と横の長さから、四角形Lを描画する。縦と横の長さは、四角形Lに表示されている。又、四角形Lを選択すると、四角形Lを構成する四隅点や中心点が表示される。これらの点を選択して移動させることで、四角形Lを移動させることが出来る。
【0084】
更に、測量者が、図形として線分Lを選択して、始点と終点を指定することで、図16Bに示すように、携帯端末装置10は、指定された始点と終点の三次元座標を取得し、四角形Lに加えて線分Lを描画する。又、測量者が、図形として円形Lを選択して、半径(「0.50m」)を入力し、円形Lを設置したい位置に図形点を指定すると、図16Bに示すように、携帯端末装置10は、指定された図形点の三次元座標を取得し、半径から、円形Lを描画する。このように、測量者は、様々な図形を点群Pに描画することが出来るのである。
【0085】
そして、測量者が、例えば、二次元図面のうち、平面図の作成キーを入力すると、図16Bに示すように、携帯端末装置10は、指定された図形点の三次元座標に基づいて、地理座標系における二次元平面図Aを作成する。ここでは、地理座標系において、二次元平面図を示すマス目が表示されている。このように、測量者は、二次元図面Aを簡単に作成することが出来ることが理解される。
【0086】
ここで、図形点の三次元座標は、地理座標系を基準としていることから、例えば、外部の地図データベースと連携すると、図17に示すように、二次元平面図Aと、二次元平面図Aに描画された図形の三次元座標に近接する三次元座標を有する地図データベースの近隣地図Bとを重ねて表示することが出来る。これにより、作成した二次元平面図Aを既存の地図データベースに組み合わせて、建築物、建設物の設計や企画、変更等を円滑に進めることが出来るのである。
【0087】
尚、本発明の実施形態では、携帯端末装置10が各制御部を備えるよう構成したが、当該各部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、プログラムを装置に読み出させ、当該装置が各制御部を実現する。その場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各制御部が実行する工程をハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明に係る図面作成システム及び図面作成方法は、建設分野、土木分野、森林分野、測量分野、防災分野等、地理座標系における二次元図面を活用するあらゆる分野に有用であり、点群内に図形を正確に描画して、二次元図面を簡単に作成することが可能な図面作成システム及び図面作成方法として有効である。
【符号の説明】
【0089】
1 図面作成システム
10 携帯端末装置
11 三次元レーザースキャナー
12 カメラ
13 位置通信装置
101 選択受付制御部
102 点群取得制御部
103 画像取得制御部
104 対応制御部
105 変換制御部
106 表示指定制御部
107 切替制御部
108 描画制御部
109 作成制御部
【要約】      (修正有)
【課題】点群内に図形を正確に描画して、二次元図面を簡単に作成することが可能な図面作成システム及び図面作成方法を提供する。
【解決手段】図面作成システム1において、携帯端末装置10の切替制御部107は、所定の切替キーが入力されると、対象物に対して異なる視点の複数の撮影画像に基づいて、点群上に、撮影画像内の対象物を示す対象物画像を貼り付け、当該対象物画像を介して点群内の任意の点を指定可能に表示した所定の画像画面に切り替える。描画制御部108は、前記点群画面又は前記画像画面において、図形用の所定の点が図形点として指定されると、当該図形点の三次元座標を取得し、当該図形点の三次元座標に基づいて、図形を描画する。作成制御部109は、前記図形が描画された後に、所定の二次元図面の作成キーが入力されると、前記図形点の三次元座標に基づいて、地理座標系における見た二次元図面を作成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17