(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】生分解性トリブロックコポリマーおよびそれから作製された埋め込み型医療用デバイス
(51)【国際特許分類】
D01F 6/62 20060101AFI20240927BHJP
A61L 17/12 20060101ALI20240927BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20240927BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20240927BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20240927BHJP
C08G 63/08 20060101ALI20240927BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
D01F6/62 304
A61L17/12
A61L31/06
A61L31/14
A61L31/16
C08G63/08 ZBP
C08L101/16
(21)【出願番号】P 2019154508
(22)【出願日】2019-08-27
【審査請求日】2022-08-04
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(73)【特許権者】
【識別番号】597147278
【氏名又は名称】ソフラディム・プロダクション
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター スカラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー ブリュヌ
(72)【発明者】
【氏名】ダーリーン ネビンガー
(72)【発明者】
【氏名】セス グライマン
(72)【発明者】
【氏名】ロベール ヴェストベリ
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-525487(JP,A)
【文献】特開平04-231963(JP,A)
【文献】特表2010-532216(JP,A)
【文献】特開平08-295730(JP,A)
【文献】特開平04-226527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
C08G
C08L
D01F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメントであって、前記フィラメントが、生分解性トリブロックコポリマーを含み、前記生分解性トリブロックコポリマーが、A-B-A’構造を含み、AおよびA’ブロックが、それぞれポリラクチドを含み、Bブロックが、85~100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、0~15モルパーセントのポリラクチドとを含み、前記生分解性トリブロックコポリマーが、全体として15~25モルパーセントの前記ポリトリメチレンカーボネートと、75~85モルパーセントの前記ポリラクチドとを含み、前記フィラメントが、50℃で6週間後に引張強度の少なくとも50%を保持する、フィラメント。
【請求項2】
前記Bブロックが、85~95モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、5~15モルパーセントのポリラクチドとを含む、請求項1に記載のフィラメント。
【請求項3】
前記生分解性トリブロックコポリマーが、全体として25モルパーセントの前記ポリトリメチレンカーボネートと、75モルパーセントの前記ポリラクチドとを含む、または前記生分解性トリブロックコポリマーが、全体として20モルパーセントの前記ポリトリメチレンカーボネートと、80モルパーセントの前記ポリラクチドとを含む、または前記生分解性トリブロックコポリマーが、全体として15モルパーセントの前記ポリトリメチレンカーボネートと、85モルパーセントの前記ポリラクチドとを含む、請求項1または2に記載のフィラメント。
【請求項4】
前記生分解性トリブロックコポリマーが、150,000g/mol~225,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1~3のいずれかに記載のフィラメント。
【請求項5】
前記生分解性トリブロックコポリマーが、100,000g/mol~150,000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する、請求項1~4のいずれかに記載のフィラメント。
【請求項6】
前記生分解性トリブロックコポリマーが、160℃~185℃の範囲の融解温度(T
m)を示す、請求項1~5のいずれかに記載のフィラメント。
【請求項7】
前記生分解性トリブロックコポリマーが、40℃~65℃の範囲のガラス転移温度(T
g)を示す、請求項1に記載のフィラメント。
【請求項8】
埋め込み型医療用デバイスであって、
請求項1~7のいずれかに記載の生分解性トリブロックコポリマーを含む少なくとも1つのフィラメントを含む、埋め込み型医療用デバイス。
【請求項9】
前記医療用デバイスが、外科用縫合糸、外科用ステープル、外科用ピン、外科用ねじ、外科用縫合糸綿撒糸、外科用ステープルバットレス、外科用メッシュ、外科用プラグ、血管閉塞用デバイス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の埋め込み型医療用デバイス。
【請求項10】
前記医療用デバイスが、外科用縫合糸である、請求項9に記載の埋め込み型医療用デバイス。
【請求項11】
前記医療用デバイスが、外科用メッシュである、請求項9に記載の埋め込み型医療用デバイス。
【請求項12】
前記埋め込み型医療用デバイスが、50℃で2週間後に引張強度の少なくとも80%を保持する、または前記埋め込み型医療用デバイスが、50℃で6週間後に引張強度の少なくとも50%を保持する、または前記埋め込み型医療用デバイスが、50℃で8週間後に引張強度の少なくとも35%を保持する、請求項9に記載の埋め込み型医療用デバイス。
【請求項13】
前記生分解性トリブロックコポリマーが、150,000g/mol~225,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項9に記載の埋め込み型医療用デバイス。
【請求項14】
前記生分解性トリブロックコポリマーが、50℃で1週間後に85%を超える
重量平均分子量保持率を示す、または前記生分解性トリブロックコポリマーが、50℃で8週間後
に35%以上の
重量平均分子量保持率を示す、または前記生分解性トリブロックコポリマーが、50℃で14週間後
に15%以上の
重量平均分子量保持率を示す、請求項13に記載の埋め込み型医療用デバイス。
【請求項15】
請求項1~7のいずれかに記載のフィラメント中の生分解性トリブロックコポリマーを形成する方法であって、
ABA’トリブロックコポリマーのBブロックを形成するために、トリメチレンカーボネートおよび任意にラクチドのモノマー単位を、少なくとも1つの第1の開始剤および少なくとも1つの第1の触媒と共に乾燥形態で反応器中で混合することと、
AおよびA’ブロックを前記Bブロックに付加し、それによって前記ABA’トリブロックコポリマーを形成するために、ラクチドのモノマー単位と少なくとも1つの第2の触媒とを前記Bブロックと共に混合することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の開始剤が、ジエチレングリコールである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の触媒が、オクタン酸第一スズである、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の触媒が、オクタン酸第一スズである、請求項15、16、または17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生分解性トリブロックコポリマーおよびそれから作製された埋め込み型医療用デバイスに関し、特に、ポリ乳酸およびポリトリメチレンカーボネートを含むABA’トリブロックコポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
純粋なポリ乳酸(PLA)から作製されたフィラメントを含む埋め込み型医療用デバイスが知られている。純粋なPLAは、高められた強度を有する埋め込みに適した長期間の生分解性材料として有益であると考えられている。しかしながら、純粋なPLAはまた、加工するのに非常に脆くおよび/または硬くなる可能性があり、それによってフィラメントへの押し出しおよび/または紡糸が困難になる。加えて、フィラメントに首尾よく形成された場合、純粋なPLAフィラメントは、それらの脆性および/または剛性の性質のために、応力をかけたときに早期破損する傾向があり得る。純粋なPLA材料が完全に劣化する前に故障または破損が起こり得るため、故障は早期である。例えば、純粋なPLAフィラメントは、37℃(体温)で完全に分解するために12か月以上を要し得るが、37℃で6~12ヶ月の間に故障し、破壊した純粋なPLAフィラメントを長期にわたって効果を著しく低くする場合がある。純粋なPLAよりも良好な長期持続性ならびに良好な取扱いおよび強度特性を提供するフィラメント形成に好適な生分解性材料を提供することは有利であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、A-B-A’構造を含む生分解性トリブロックコポリマーを記載し、ここで、AおよびA’ブロックは、それぞれポリラクチドまたはポリ乳酸を含み、Bブロックは、約55~約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、0~約45モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として15~約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸とを含む。
【0004】
加えて、本開示は、本明細書に記載の生分解性トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つと、少なくとも1つの追加の生態的合成材料とを含む組成物を記載し、ここで生分解性トリブロックコポリマーは、構造A-B-A’のものであり、AおよびA’ブロックは、それぞれポリラクチドまたはポリ乳酸を含み、Bブロックは、約55~約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、0~約45モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として15~約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸とを含む。
【0005】
本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、単独でまたは本明細書に記載の組成物のうちの1つでは、埋め込み型医療用デバイス、特に繊維状埋め込み型医療用デバイスに形成されるようにさらに記載される。
【0006】
特に、本開示は、A-B-A’構造を含む生分解性トリブロックコポリマーから作製された少なくとも1つのフィラメントを含む埋め込み型医療用デバイスを記載し、ここで、AおよびA’ブロックは、それぞれポリラクチドまたはポリ乳酸を含み、Bブロックは、約55~約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約0~約45モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として15~約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸とを含む。
【0007】
本開示はまた、生分解性トリブロックコポリマーと、追加の生体適合性材料とを含む組成物から作製された少なくとも1つのフィラメントを含む埋め込み型医療用デバイスを記載し、トリブロックコポリマーは、A-B-A’構造を含み、ここで、AおよびA’ブロックは、それぞれポリラクチドまたはポリ乳酸を含み、Bブロックは、約55~約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約0~約45モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として15~約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸とを含む。
【0008】
本明細書に記載の生分解性トリブロックコポリマーを形成する方法、およびトリブロックコポリマーを含む埋め込み型医療用デバイスも提供される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
生分解性トリブロックコポリマーであって、
A-B-A’構造であって、AおよびA’ブロックが、それぞれポリラクチドを含み、Bブロックが、約55~約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、0~約45モルパーセントのポリラクチドとを含み、前記生分解性トリブロックコポリマーが、全体として約15~約25モルパーセントの前記ポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントの前記ポリラクチドとを含む、A-B-A’構造、を含む、生分解性トリブロックコポリマー。
(項目2)
前記Bブロックが、約80モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約20モルパーセントのポリラクチドとを含み、好適には、前記Bブロックが、約85モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約15モルパーセントのポリラクチドとを含み、より好適には、前記Bブロックが、約90モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約10モルパーセントのポリラクチドとを含み、さらにより好適には、前記Bブロックが、約95モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約5モルパーセントのポリラクチドとを含み、なおさらにより好適には、前記Bブロックが、約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートを含む、前記項目に記載の生分解性トリブロックコポリマー。
(項目3)
前記生分解性トリブロックコポリマーが、全体として約25モルパーセントの前記ポリトリメチレンカーボネートと、約75モルパーセントの前記ポリラクチドとを含む、または前記生分解性トリブロックコポリマーが、全体として約20モルパーセントの前記ポリトリメチレンカーボネートと、約80モルパーセントの前記ポリラクチドとを含む、または前記生分解性トリブロックコポリマーが、全体として約15モルパーセントの前記ポリトリメチレンカーボネートと、約85モルパーセントの前記ポリラクチドとを含む、前記項目のいずれかに記載の生分解性トリブロックコポリマー。
(項目4)
前記生分解性トリブロックコポリマーが、約150,000g/mol~約225,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有し、好適には、前記生分解性トリブロックコポリマーが、約160,000g/mol~約215,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有し、より好適には、前記生分解性トリブロックコポリマーが、約175,000g/mol~約210,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する、前記項目のいずれかに記載の生分解性トリブロックコポリマー。
(項目5)
前記生分解性トリブロックコポリマーが、約100,000g/mol~約150,000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し、好適には、前記生分解性トリブロックコポリマーが、約110,000g/mol~約140,000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し、より好適には、前記生分解性トリブロックコポリマーが、約112,000g/mol~約130,000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する、前記項目のいずれかに記載の生分解性トリブロックコポリマー。
(項目6)
前記生分解性トリブロックコポリマーが、約160℃~約185℃の範囲の融解温度(Tm)を示し、好適には、前記生分解性トリブロックコポリマーが、約165℃~約180℃の範囲の融解温度(Tm)を示し、より好適には、前記生分解性トリブロックコポリマーが、約170℃~約175℃の範囲の融解温度(Tm)を示す、前記項目のいずれかに記載の生分解性トリブロックコポリマー。
(項目7)
前記生分解性トリブロックコポリマーが、約40℃~約65℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を示し、好適には、前記生分解性トリブロックコポリマーが、約45℃~約60℃の範囲の融解温度(Tg)を示し、より好適には、前記生分解性トリブロックコポリマーが、約52℃~約57℃の範囲の融解温度(Tg)を示す、前記項目のいずれかに記載の生分解性トリブロックコポリマー。
(項目8)
組成物であって、
前記項目のいずれかに記載の生分解性トリブロックコポリマーと、
追加の生体適合性材料と、を含む、組成物。
(項目9)
埋め込み型医療用デバイスであって、
前記項目のいずれかに記載の生分解性トリブロックコポリマーを含む少なくとも1つのフィラメントを含む、埋め込み型医療用デバイス。
(項目10)
前記医療用デバイスが、外科用縫合糸、外科用ステープル、外科用ピン、外科用ねじ、外科用縫合糸綿撒糸、外科用ステープルバットレス、外科用メッシュ、外科用プラグ、血管閉塞用デバイス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記項目のいずれかに記載の埋め込み型医療用デバイス。
(項目11)
前記医療用デバイスが、外科用縫合糸である、前記項目のいずれかに記載の埋め込み型医療用デバイス。
(項目12)
前記医療用デバイスが、外科用メッシュであり、好適には、前記外科用メッシュが、前記生分解性トリブロックコポリマーを含む前記少なくとも1つのフィラメントのみから作製され、より好適には、前記外科用メッシュが、前記外科用メッシュの少なくとも1つの面から突出するスパイク状ナップを含む、前記項目のいずれかに記載の埋め込み型医療用デバイス。
(項目13)
前記埋め込み型医療用デバイスが、引張強度を含み、50℃で2週間後に前記引張強度の少なくとも約80%を保持する、または前記埋め込み型医療用デバイスが、引張強度を含み、50℃で6週間後に前記引張強度の少なくとも約50%を保持する、または前記埋め込み型医療用デバイスが、引張強度を含み、50℃で8週間後に前記引張強度の少なくとも約35%を保持する、前記項目のいずれかに記載の埋め込み型医療用デバイス。
(項目14)
前記生分解性トリブロックコポリマーが、約150,000g/mol~約225,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する、前記項目のいずれかに記載の埋め込み型医療用デバイス。
(項目15)
前記生分解性トリブロックコポリマーが、50℃で1週間後に前記分子量の少なくとも約85%を保持する、または前記生分解性トリブロックコポリマーが、50℃で8週間後に前記分子量の少なくとも約35%を保持する、または前記生分解性トリブロックコポリマーが、50℃で14週間後に前記分子量の少なくとも約15%を保持する、前記項目のいずれかに記載の埋め込み型医療用デバイス。
(項目16)
前記項目のいずれかに記載の生分解性トリブロックコポリマーを形成する方法であって、
ABA’トリブロックコポリマーのBブロックを形成するために、トリメチレンカーボネートおよび任意にラクチドのモノマー単位を、少なくとも1つの第1の開始剤および少なくとも1つの触媒と共に乾燥形態で反応器中で混合することと、
AおよびA’ブロックを前記Bブロックに付加し、それによって前記ABA’トリブロックコポリマーを形成するために、ラクチドのモノマー単位と少なくとも1つの第2の触媒とを前記Bブロックと共に混合することと、を含む、方法。
(項目17)
前記第1の開始剤が、ジエチレングリコールである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
前記第1の触媒が、オクタン酸第一スズである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
前記第2の触媒が、オクタン酸第一スズである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(摘要)
A-B-A’構造であって、AおよびA’ブロックが、それぞれポリラクチドを含み、Bブロックが、約55~約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと0~約45モルパーセントのポリラクチドとを含み、生分解性トリブロックコポリマーが、全体として15~約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントのポリラクチドとを含む、A-B-A’構造、を含む生分解性トリブロックコポリマー。それから作製される組成物および埋め込み型医療用デバイスも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つからフィラメントを製造するのに適した装置の概略図である。
【
図2】本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つを含み、かつ針に取り付けられた縫合糸の斜視図である。
【
図3】本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つを含み、かつ針(複数)に取り付けられた有棘縫合糸の斜視図である。
【
図4】本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つを含む外科用メッシュの上面図である。
【
図5】本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つを含む自己把持型外科用メッシュの側面図である。
【
図6】縫合糸綿撒糸および縫合糸のうちの少なくとも1つが、本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つを含む、両端針縫合糸上に位置付けられた縫合糸綿撒糸の側面図である。
【
図7】増強された分解条件に曝された種々のフィラメントの下の数週間での分解時間と比べた力保持パーセントのグラフであり、フィラメントのいくつかは、本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーを含み、一部のフィラメントは、他の比較ポリマー材料を含む。
【
図8】増強された分解条件に曝された種々のフィラメントの数週間での分解時間と比べたモル質量保持パーセントのグラフであり、フィラメントのいくつかは、本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーを含み、一部のフィラメントは、他の比較ポリマー材料を含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、ポリ乳酸およびポリトリメチレンカーボネートを含む生分解性ABA’トリブロックコポリマーを記載する。生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、組成物および埋め込み型医療用デバイス、特にフィラメントを含む医療用デバイスを形成するのに好適である。生分解性ABA’トリブロックコポリマーを形成する方法も記載される。
【0011】
「ABA’トリブロックコポリマー」という用語は、本明細書では、一般式-{[A-]a-[B]b-[A’]a’}-dに従って配置された部分A、BおよびA’を有するブロックコポリマーとして定義され、式中、「a」、「b」、「a’」および「d」のそれぞれは、独立して1以下(≧)である。例えば、「a」、「b」、「a’」、および「d」のそれぞれは、独立して、1~1000の範囲であり得る。実施形態では、各「a」、「b」、「a’」、および「d」は、独立して、1~600の範囲であり得る。実施形態では、各「a」、「b」、「a’」、および「d」は、独立して、約2~300の範囲であり得る。実施形態では、各「a」、「b」、「a’」、および「d」は、独立して、約5~125の範囲であり得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、各「a」および「a’」は、独立して、約100~約500の範囲であり得る。実施形態では、各「a」および「a’」は、独立して、約150~約400の範囲であり得る。実施形態では、各「a」および「a’」は、独立して、約200~約300の範囲であり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、各「a」および「a’」は、約100~約500の範囲のほぼ同じ数であり得る。実施形態では、各「a」および「a’」は、約150~約400の範囲のほぼ同じ数であり得る。実施形態では、各「a」および「a’」は、約200~約300の範囲のほぼ同じ数であり得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、「b」は、約200~約800の範囲であり得る。実施形態では、「b」は、約300~約700の範囲であり得る。実施形態では、「b」は、約400~約600の範囲であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、各「a」および「A’」は独立して約100~約500の範囲であり得、かつ「b」は約200~約800の範囲であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、各「a」および「A’」は、約100~約500の範囲のほぼ同じ数であり得、かつ「b」は、約200~約800の範囲であり得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、各「a」および「A’」は独立して約150~約400の範囲であり得、かつ「b」は約300~約700の範囲であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、各「a」および「A’」は、約150~約400の範囲のほぼ同じ数であり得、かつ「b」は、約300~約700の範囲であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、各「a」および「A’」は独立して約200~約300の範囲であり得、かつ「b」は約400~約600の範囲であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、各「a」および「A’」は、約200~約300の範囲のほぼ同じ数であり得、かつ「b」は、約400~約600の範囲であり得る。
【0021】
加えて、本明細書で提供される任意の範囲は、その範囲の開始数および終了数だけでなく、その範囲内に含まれる任意の整数部または少数部も、個々にまたはより狭い範囲の組合せも含める範囲全体を包括的に包含する容易とされる。例えば、80~100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネート(pTMC)と0~20モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸(PLA)とを含むBブロックは、pTMC/PLAを以下のように含んでもよい:80/20、81/19、82/18、83/17、84/16、85/15、86/14、87/13、88/12、89/11、90/10、91;9、92/8、93/7、94/6、95/5、96/4、97/3、98/2、99/1、および100/0などの個々の整数比;個々の少数比、例えば、以下の非限定的な例、82.5/17.5、83.25/16.75、85.3/14.7、91.4/8.6、99.7/0.3など;またはより狭い範囲、例えば、以下の非限定的な例、81~99モルパーセントのpTMCおよび1~19モルパーセントのPLA、または84.5~93.6モルパーセントのpTMCおよび6.4~15.5モルパーセントのPLAなど。
【0022】
本開示は、生分解性ABA’トリブロックコポリマーを記載し、ここで、AおよびA’ブロックは、それぞれポリラクチドまたはポリ乳酸を含み、Bブロックは、約55~約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約0~約45モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として15~約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸とを含む。
【0023】
本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのAおよびA’ブロックは、それぞれ独立してポリラクチドまたはポリ乳酸を含む。実施形態では、AおよびA’ブロックは、ポリラクチドまたはポリ乳酸からなるか、または本質的にそれからなる。他の実施形態では、最大約10モル%、20モル%、30モル%、または40モル%の他のモノマー単位が存在してもよい。
【0024】
用語「ポリラクチド」および「ポリ乳酸」は、本開示を通して互換的に使用される。「ポリラクチド」および「ポリ乳酸」が異なるように解釈され得る限りにおいて、本明細書に記載の各実施形態は、「ポリラクチド」、「ポリ乳酸」または両方を含み得る。用語「ポリラクチド」および「ポリ乳酸」は、ラクチドの重合によって得られる残基を含むポリマー、すなわち、以下の式(I)に示すように式-OCH(CH3)COOCH(CH3)CO-のポリマー残基を指す。用語「ポリトリメチレンカーボネート」は、トリメチレンカーボネートの重合によって得られる残基、すなわち、下記式(I)に示されるような式-OCH2CH2CH2OCO-の残基を含有するポリマーを指す。本明細書に記載のポリラクチド/ポリグリコリドまたはポリトリメチレンカーボネートのモルパーセントは、下記式(I)に示されるような式OCH(CH3)COOCH(CH3)CO-の残基、または下記式(I)に示されるような-OCH2CH2CH2OCOの残基の、それぞれ、本発明のポリマー中のモルパーセントを指す。
【0025】
ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリ-D-乳酸(PDLA)、ならびにポリ-DL-ポリ乳酸(PDLLA)などの両方の組み合わせおよび/またはラセミバージョンを含む、いくつかの異なる種類のポリラクチドおよび/またはポリ乳酸ポリマーがある。本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのAおよびA’ブロックは、それぞれ独立して、少なくとも1つの種類のポリ乳酸を含む。いくつかの実施形態では、AおよびA’ブロックは同じ種類のポリ乳酸を含む。いくつかの実施形態では、AおよびA’ブロックは異なる種類のポリ乳酸を含む。
【0026】
本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのBブロックは、約55~約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、0~約45モルパーセントのポリ乳酸とを含む。Bブロックは、これらのモルパーセント範囲のポリトリメチレンカーボネートとポリ乳酸とのランダムコポリマーであり得る。適切には、ABA’トリブロックコポリマーのBブロックは、他のモノマー単位を実質的に含まない、ポリトリメチレンカーボネートおよびポリ乳酸モノマー単位からなるか、または本質的にそれからなる。実施形態では、最大約10モル%、20モル%、30モル%、または40モル%の他のモノマー単位が存在してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのBブロックは、約55~約95モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約5~約45モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのBブロックは、約85~約95モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約5~約15モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、AおよびA’ブロックは両方とも純粋なポリ乳酸であり、Bブロックはポリトリメチレンカーボネートとポリ乳酸とのランダムコポリマーである。
【0030】
いくつかの特定の実施形態では、Bブロックは、約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約0モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0031】
いくつかの特定の実施形態では、Bブロックは、約95モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約5モルパーセントのポリ乳酸を含む
【0032】
いくつかの特定の実施形態では、Bブロックは、約90モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約10モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0033】
いくつかの特定の実施形態では、Bブロックは、約85モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約15モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0034】
いくつかの特定の実施形態では、Bブロックは、約80モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約20モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0035】
いくつかの特定の実施形態では、Bブロックは、約75モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約25モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0036】
いくつかの特定の実施形態では、Bブロックは、約70モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約30モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0037】
いくつかの特定の実施形態では、Bブロックは、約65モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約35モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0038】
いくつかの特定の実施形態では、Bブロックは、約60モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約40モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0039】
いくつかの特定の実施形態では、Bブロックは、約55モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートおよび約45モルパーセントのポリ乳酸を含む。
【0040】
本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーのBブロックは、主にポリトリメチレンカーボネートであるが、ABA’トリブロックコポリマー(複数可)の全体、すなわち3つすべてのブロックA、B、およびA’を含むものは、主にポリ乳酸である。主に、材料は、ブロック、すなわちBブロックおよび/またはトリブロック全体の75モルパーセント以上を占める。いくつかの実施形態では、ABA’トリブロックコポリマーは全体として主にポリ乳酸であり、一方主にポリトリメチレンカーボネートであるBブロックを含む。
【0041】
実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、全体として、約15~約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントのポリ乳酸とを含むことができる。
【0042】
実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、全体として、わずか約15~約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、全体として、約15モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約85モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、全体として、約20モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約80モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、全体として、約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0046】
いくつかの特定の実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーが記載され、ここでは、AおよびA’ブロックがそれぞれポリ乳酸を含み、Bブロックが約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと0モルパーセントのポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として、約20モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約80モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0047】
いくつかの特定の実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーが記載され、ここでは、AおよびA’ブロックがそれぞれポリ乳酸を含み、Bブロックが約95モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと5モルパーセントのポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として、約20モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約80モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0048】
いくつかの特定の実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーが記載され、ここでは、AおよびA’ブロックがそれぞれポリ乳酸を含み、Bブロックが約90モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと10モルパーセントのポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として、約20モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約80モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0049】
いくつかの特定の実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーが記載され、ここでは、AおよびA’ブロックがそれぞれポリ乳酸を含み、Bブロックが約85モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと15モルパーセントのポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として、約20モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約80モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0050】
いくつかの特定の実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーが記載され、ここでは、AおよびA’ブロックがそれぞれポリ乳酸を含み、Bブロックが約80モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと20モルパーセントのポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として、約20モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約80モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0051】
いくつかの特定の実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーが記載され、ここでは、AおよびA’ブロックがそれぞれポリ乳酸を含み、Bブロックが約70モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと30モルパーセントのポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として、約20モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約80モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0052】
いくつかの特定の実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーが記載され、ここでは、AおよびA’ブロックがそれぞれポリ乳酸を含み、Bブロックが約55モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと45モルパーセントのポリ乳酸とを含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として、約20モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約80モルパーセントのポリ乳酸とを含む。
【0053】
上記定義の全てにおいて、特定量のポリラクチドおよび/またはトリメチレンカーボネートを含むABA’ブロックコポリマーへの言及は、好適には、これらの成分から本質的になるか、またはこれらの成分からなるコポリマーブロックを指す。
【0054】
本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、約160℃~約185℃の範囲の融解温度(Tm)を示す。実施形態では、本明細書に記載のコポリマーは、約165℃~約180℃の範囲のTmを示す。実施形態では、本明細書に記載のコポリマーは、約170℃~約175℃の範囲のTmを示す。
【0055】
本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマー(複数可)は、約40℃~約65℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を示す。実施形態では、本明細書に記載のコポリマーは、約45℃~約60℃の範囲のTgを示す。実施形態では、本明細書に記載のコポリマーは、約52℃~約57℃の範囲のTgを示す。
【0056】
フィラメントおよび/または医療用デバイスを形成するために、本明細書に記載のトリブロックコポリマー(複数可)は、十分なモル質量、すなわち重量平均分子量(Mw)および/または数平均分子量(Mn)を有する必要がある。したがって、いくつかの実施形態では、任意選択で本明細書に記載の1つ以上の他の実施形態と組み合わせて、トリブロックコポリマーは、少なくとも約100,000g/molの分子量(Mw)を有する。いくつかの実施形態では、トリブロックコポリマーは少なくとも約150,000g/molのMwを有する。いくつかの実施形態では、トリブロックコポリマーは少なくとも約180,000g/molのMwを有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、任意選択で本明細書に記載の1つ以上の他の実施形態と組み合わせて、トリブロックコポリマーは、約150,000g/mol~約225,000g/molのMwの範囲である。他の実施形態では、トリブロックコポリマーは、約160,000g/mol~約215,000g/molのMwの範囲である。さらに他の実施形態では、トリブロックコポリマーは、約175,000g/mol~約210,000g/molのMwの範囲である。さらに他の実施形態では、トリブロックコポリマーは、約170,000g/mol~約190,000g/molのMwの範囲である。
【0058】
いくつかの実施形態では、任意選択で本明細書に記載の1つ以上の他の実施形態と組み合わせて、トリブロックコポリマーは、少なくとも約100,000g/molのポリマー数平均分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態では、トリブロックコポリマーは少なくとも約110,000g/molのMnを有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、任意選択で本明細書に記載の1つ以上の他の実施形態と組み合わせて、トリブロックコポリマーは、約100,000g/mol~約150,000g/molのMnの範囲である。いくつかの実施形態では、トリブロックコポリマーは、約110,000g/mol~約140,000g/molのMnの範囲である。いくつかの実施形態では、トリブロックコポリマーは、約112,000g/mol~約130,000g/molのMnの範囲である。いくつかの実施形態では、トリブロックコポリマーは、約115,000g/mol~約125,000g/molのMnの範囲である。いくつかの実施形態では、トリブロックコポリマーは、約100,000g/mol~約120,000g/molのMnの範囲である。
【0060】
約100,000g/mol~約225,000g/molのMwおよびMnを有する本開示の生分解性トリブロックコポリマーは、フィラメントおよび/または医療用デバイスを形成するためにより好適であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の生分解性トリブロックコポリマーは、約110,000g/mol~約210,000g/molのMwおよびMnを有する。いくつかの実施形態では、本開示の生分解性トリブロックコポリマーは、フィラメントおよび/または医療用デバイスに加工するために、1.4:1~1.75:1、いくつかの実施形態では1.5:1~1.65:1の範囲のMwとMnとの比、すなわち、多分散指数(PDI)を有する。
【0061】
本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのMw、Mn、およびPDIは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、絶対モル質量測定は、光散乱およびRI検出を備えたWaters APC(Advanced polymer chromatography system,Waters Corporation,Milford,USA)などのクロマトグラフィーシステムを使用して実施することができる。このようなシステムは、HFIP(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール)を含むがこれらに限定されない様々な溶媒を使用して、かつ様々な温度で操作することができる。場合によっては、約30μlの注入量、約0.3mL/分の流速、および約1.5mg/mlの試料濃度で、約40℃の温度で分析を行うことができる。場合によっては、システムは、カラムPL HFIPゲルガード50×4.6mmおよび/またはカラムPL HFIPゲル250×4.6mmなどのAgilent Technologies(Santa Clara,CA,USA)のカラムを含み得る。場合によっては、システムは、Wyatt technologies(Santa Barbara,CA,USA)からのOptilab T-rEX、および/または同じくWyatt technologiesからのマルチアングル光散乱検出器Dawn Heleos II(波長660.4nm)などのRI検出器を含み得る。光散乱測定値およびRI測定値は、やはりWyatt technologiesからのAstra 6.1.7ソフトウェアを使用して計算され得る。
【0062】
本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのTmおよびTgは、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、DSC測定は、ソフトウェアSTAReと統合されたMettler Toledo DSC熱分析器で実施することができる。場合によっては、測定された各参照について、5つの試料(5~6mg)を、200℃(10℃/分)への加熱走査、0℃(10℃/分)への冷却走査、および200℃(10℃/分)への第2の加熱走査にかけた。Tm、Tg、および結晶化度(Xc)を、第2の加熱ランプから決定した。PLAの結晶化度を計算するために、93.1J/gの基準融解エンタルピーを用いた。
【0063】
いくつかの特定の実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、以下の式のものであり得る。
【化1】
【0064】
式中、mおよびnは、独立して1~2000であり、いくつかの実施形態では、mおよびnは、独立して1~1000である。
【0065】
式Iは生分解性ABA’トリブロックコポリマーを描写しており、式中、末端ブロック、すなわち、AおよびA’ブロックは、それぞれポリラクチドまたはポリ乳酸を含み、中間ブロック、すなわち、Bブロックは、100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、0モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸を含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として、約15~約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、独立して、約25~約2000の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、独立して、約50~約1000の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、独立して、約100~約500の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、独立して、約150~約400の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、独立して、約200~約300の範囲であり得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、独立して、約10~約2000の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、独立して、約200~約1000の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、独立して、約300~約800の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、独立して、約400~約600の範囲であり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、約50~約1000の範囲の同じ数であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、約100~約500の範囲の同じ数であり得る。実施形態では、式Iの各「m」は、約150~約400の範囲の同じ数であり得る。実施形態では、式Iの各「m」は、約200~約300の範囲の同じ数であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、約10~約2000の範囲の同じ数であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、約200~約1000の範囲の同じ数であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、約300~約800の範囲の同じ数であり得る。いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、約400~約600の範囲の同じ数であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、式Iの「n」は、約200~約800の範囲であり得る。実施形態では、式Iの「n」は、約300~約700の範囲であり得る。実施形態では、式Iの「n」は、約400~約600の範囲であり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は独立して約100~約500の範囲であり得、式Iの「n」は約200~約800の範囲であり得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、式Iの各「m」は、約100~約500の範囲の同じ数であり得、そして式Iの「n」は、約200~約800の範囲であり得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は独立して約150~約400の範囲であり得、式Iの「n」は約300~約700の範囲であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、式Iの各「m」は、約150~約400の範囲の同じ数であり得、そして式Iの「n」は、約300~約700の範囲であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は独立して約200~約300の範囲であり得、式Iの「n」は約400~約600の範囲であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、式Iの各「m」は、約200~約300の範囲の同数であり得、かつ式Iの「n」は、約400~約600の範囲であり得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、式Iの「m」および「n」は、独立して約50~約100である。いくつかの特定の実施形態では、式Iの「m」は約70であり、式Iの「n」は約50である。
【0078】
いくつかの実施形態では、式IのトリブロックコポリマーのMnおよびMwは、約100,000g/mol~約225,000g/molである。いくつかの特定の実施形態では、式IのトリブロックコポリマーのMnは、約100,000g/mol~約150,000g/molであり、式IのトリブロックコポリマーのMwは、約150,000g/mol~約225,000g/molである。
【0079】
いくつかの実施形態では、式IのトリブロックコポリマーのMnおよびMwは、約100,000g/mol~約190,000g/molである。いくつかの特定の実施形態では、式IのトリブロックコポリマーのMnは、約100,000g/mol~約120,000g/molであり、式IのトリブロックコポリマーのMwは、約170,000g/mol~約190,000g/molである。
【0080】
いくつかの特定の実施形態では、生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、以下の式のものであり得、
【化2】
【0081】
式中、m、n1およびn2は、独立して1~2000であり、いくつかの実施形態では1~1000である。
【0082】
式IIは生分解性ABA’トリブロックコポリマーを描写しており、式中、末端ブロック、すなわち、AおよびA’ブロックは、それぞれポリラクチドまたはポリ乳酸を含み、中間ブロック、すなわち、Bブロックは、約55~約100モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約0~約45モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸を含み、生分解性トリブロックコポリマーは、全体として、約15~約25モルパーセントのポリトリメチレンカーボネートと、約75~約85モルパーセントのポリラクチドまたはポリ乳酸を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、独立して、約25~約2000の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、独立して、約50~約1000の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、独立して、約100~約500の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、独立して、約150~約400の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、独立して、約200~約300の範囲であり得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、独立して、約10~約2000の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、独立して、約200~約1000の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、独立して、約300~約800の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、独立して、約400~約600の範囲であり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約50~約1000の範囲の同じ数であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約100~約500の範囲の同じ数であり得る。実施形態では、式IIの各「m」は、約150~約400の範囲の同じ数であり得る。実施形態では、式IIの各「m」は、約200~約300の範囲の同じ数であり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約10~約2000の範囲の同じ数であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約200~約1000の範囲の同じ数であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約300~約800の範囲の同じ数であり得る。いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約400~約600の範囲の同じ数であり得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、式IIの「n1」は、約100~約900の範囲であり得る。実施形態では、式IIの「n1」は、約200~約800の範囲であり得る。実施形態では、式IIの「n1」は、約300~約700の範囲であり得る。実施形態では、式IIの「n1」は、約400~約600の範囲であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は独立して約100~約500の範囲であり得、かつ式IIの「n1」は約200~約800の範囲であり得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約100~約500の範囲の同数であり得、かつ式IIの「n1」は、約200~約800の範囲であり得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は独立して約150~約400の範囲であり得、かつ式IIの「n1」は約300~約700の範囲であり得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約150~約400の範囲の同数であり得、かつ式IIの「n1」は、約300~約700の範囲であり得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は独立して約200~約300の範囲であり得、かつ式IIの「n1」は約400~約600の範囲であり得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約200~約300の範囲の同数であり得、かつ式IIの「n1」は、約400~約600の範囲であり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、式IIの「m」および「n1」は、独立して約50~約100である。いくつかの特定の実施形態では、式IIの「m」は約70であり、かつ式IIの「n1」は約50である。
【0095】
いくつかの実施形態では、式IIの「n2」は、約0~約405の範囲であり得る。実施形態において、式IIの「n2」は、約0~約360の範囲であり得る。実施形態において、式IIの「n2」は、約0~約315の範囲であり得る。実施形態において、式IIの「n2」は、約0~約270の範囲であり得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、式IIの「n2」は、約15~約405の範囲であり得る。実施形態において、式IIの「n2」は、約30~約360の範囲であり得る。実施形態において、式IIの「n2」は、約45~約315の範囲であり得る。実施形態において、式IIの「n2」は、約60~約270の範囲であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、「n1」は「n2」より大きい。
【0098】
いくつかの実施形態では、「n1」は(2)(「n2」)より大きい。
【0099】
いくつかの実施形態では、「n1」は(3)よりも大きい(「n2」)。
【0100】
いくつかの実施形態では、「n1」は(4)よりも大きい(「n2」)。
【0101】
いくつかの実施形態では、「m」は「n2」よりも大きい「n1」よりも大きい。
【0102】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は独立して約100~約500の範囲であり得、かつ式IIの「n2」は約15~約405の範囲であり得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約100~約500の範囲の同数であり得、かつ式IIの「n2」は、約15~約405の範囲であり得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は独立して約150~約400の範囲であり得、そして式IIの「n2」は約30~約360の範囲であり得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約150~約400の範囲の同数であり得、かつ式IIの「n1」は、約30~約360の範囲であり得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は独立して約150~約400の範囲であり得、そして式IIの「n2」は約45~約315の範囲であり得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約150~約400の範囲の同数であり得、そして式IIの「n1」は、約45~約315の範囲であり得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は独立して約200~約300の範囲であり得、かつ式IIの「n1」は約60~約270の範囲であり得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、式IIの各「m」は、約200~約300の範囲の同数であり得、そして式IIの「n1」は、約60~約270の範囲であり得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、式IIの「m」および「n2」は、独立して約50~約100である。いくつかの特定の実施形態では、式IIの「m」は約70であり、かつ式IIの「n2」は約50である。
【0111】
いくつかの実施形態では、式IIの「m」、「n1」、および「n2」は、独立して約50~約100である。いくつかの特定の実施形態では、式IIの「m」および「n1」は約70であり、かつ式IIの「n2」は約50である。
【0112】
いくつかの実施形態では、式IIの「n1」は約100~約900の範囲であり得、かつ式IIの「n2」は約15~約405の範囲であり得、ここで、「n1」は、「n2」より大きい。実施形態では、式IIの「n1」は約200~約800の範囲であり得、かつ式IIの「n2」は約30~約360の範囲であり得、ここで、「n1」は、「n2」より大きい。実施形態では、式IIの「n1」は約300~約700の範囲であり得、かつ式IIの「n2」は約45~約315の範囲であり得、ここで、「n1」は、「n2」より大きい。実施形態では、式IIの「n1」は約400~約600の範囲であり得、かつ式IIの「n2」は約60~約270の範囲であり得、ここで、「n1」は、「n2」より大きい。
【0113】
いくつかの実施形態では、式IIのトリブロックコポリマーのMnおよびMwは、約100,000g/mol~約225,000g/molである。いくつかの特定の実施形態では、式IIのトリブロックコポリマーのMnは、約100,000g/mol~約150,000g/molであり、式IIのトリブロックコポリマーのMwは、約150,000g/mol~約225,000g/molである。
【0114】
いくつかの実施形態では、式IIのトリブロックコポリマーのMnおよびMwは、約100,000g/mol~約190,000g/molである。いくつかの特定の実施形態では、式IIのトリブロックコポリマーのMnは、約100,000g/mol~約120,000g/molであり、式IIのトリブロックコポリマーのMwは、約170,000g/mol~約190,000g/molである。
【0115】
トリブロックコポリマーの形成
本開示のトリブロックコポリマーは、一段または多段重合プロセスを使用して調製することができる。実施形態では、トリブロックコポリマーは、Bブロックが第1の段階で形成され、AおよびA’ブロックが少なくとも2つの異なる段階で個々に、または単一段階で同時のいずれかでBブロックと組み合わされる、多段階プロセスを使用して形成される。
【0116】
本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーを形成するのに好適な多段階プロセスの一例は、反応器内で、Bブロックのモノマー単位(例えば、乳酸および/またはトリメチレンカーボネートのモノマー)を、開始剤と、触媒とに、乾燥形態かつ乾燥条件下で混合することを含む第1の段階を含む。混合された各成分は、乾燥形態にある。反応器は、混合ブレードまたはマグネチックスターラーなどの混合手段を含み得る。混合はまた、窒素雰囲気下で、最初は室温でも起こるが、温度を上昇させて、反応を促進して、トリブロックコポリマーのBブロックを形成させる。Bブロックの形成後、混合の少なくとも第2の段階が行われ、ここでAおよびA’ブロックのモノマー単位(例えば、ラクチドモノマー)と、乾燥形態の第2の触媒とが反応器中でBブロックと混合されて、本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーを形成する。第2の段階は、窒素雰囲気下および/または混合手段を用いて積極的に混合しながら行われてもよい。第2の段階の間の温度もまた、反応を促進するために上昇される。反応が完了したら、ポリマーを押出し、ペレット化し、熱および真空下で乾燥して、水分および未反応モノマーを除去する。
【0117】
ABA’トリブロックコポリマーを形成するために、任意の適切な開始剤および/または触媒を本明細書で提供される各段階で使用することができる。好適な開始剤のいくつかの非限定的な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、およびポリ(カプロラクトン)ジオールが挙げられる。第1および第2の開始剤は、同じあっても、または異なっていてもよい。好適な触媒のいくつかの非限定的な例としては、塩化第一スズ、オクタン酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化亜鉛および酸化亜鉛が挙げられる。いくつかの実施形態では、第1の段階の開始剤は、ジエチレングリコールであり、触媒はオクタン酸第一スズである。いくつかの実施形態では、第1の段階の開始剤は、ジエチレングリコールであり、触媒はオクタン酸第一スズである。
【0118】
本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーの少なくとも1つを形成するのに適した多段階プロセスの別の例では、エタノールまたは乳酸などのモノアルコールが、触媒と共に、最初にAブロックのモノマー単位、すなわち乳酸のモノマーと混合されてもよい。Bブロックのモノマー単位、すなわち乳酸および/またはトリメチレンカーボネートのモノマーを、触媒と共にAブロックに添加して、A-Bコポリマーを形成することができる。次いで、A’ブロックのモノマー単位、すなわち乳酸のモノマーを触媒と共にA-Bコポリマーに添加して、ABA’トリブロックコポリマーを形成することができる。
【0119】
組成物
本発明はさらに、本発明のトリブロックコポリマーを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる組成物を提供する。好適には、組成物は、少なくとも1重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約90重量%、または少なくとも約99重量%の、本発明のトリブロックコポリマーを含む。
【0120】
例えば、トリブロックコポリマーとして独立していることに加えて、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、非生分解性ポリマー材料、生分解性ポリマー材料、および/または生物活性剤を含む少なくとも1つの追加の生体適合性材料と組み合わされてもよい。追加の生体適合性材料のそれぞれは、好適には、約0.1%~約90%、または約1%~約50%、または約2%~約25%の量で存在し得る。
【0121】
本出願において、「生体適合性」とは、この特性を有する材料を人体または動物の体内に埋め込むことができることを意味すると理解される。
【0122】
全ての生体適合性材料は、合成または天然の、生分解性、非生分解性、または生分解性と非生分解性との組み合わせであってもよい。本明細書で使用される場合、「生分解性」という用語は、生体吸収性材料および生体再吸収性材料の両方を含むと定義される。生分解性とは、その材料が身体条件下で分解するかまたは構造的一体性を失うか(例えば酵素分解または加水分解)、または分解生成物が体内から排出可能または吸収可能であるように、体内での生理的条件の下で(物理的または化学的に)分解されることを意味する。
【0123】
好適な生分解性材料としては、ポリグリコール酸(PGA)、酸化セルロース、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリビニルアルコール(PVA))、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、これらの化合物のコポリマーおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。生分解性材料はまた、ゼラチン、コラーゲン、キトサン、ケラチン、エラスチン、セルロース、アルギン酸塩、ならびにこれらの誘導体および組み合わせなどの材料から誘導されるバイオポリマー材料を含み得る。
【0124】
好適な非生分解性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンのコポリマー、およびポリエチレンとポリプロピレンのブレンドなどのポリオレフィン、ナイロンなどのポリアミド、ポリアミン、ポリイミン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブテスターなどのポリエーテル-エステル、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4-ブタンジオール、ポリウレタン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態において、非生分解性材料は、絹、綿、麻、炭素繊維、およびこれらの組み合わせを含んでもよい。ポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレン、またはアイソタクチックおよびシンジオタクチックもしくはアタクチックポリプロピレンの混合物であり得る。
【0125】
生物学的に活性な薬剤とは、治療的または予防的効果を提供する任意の薬剤、組織増殖、細胞増殖、および細胞分化に影響を及ぼすかまたはそれらに関与する化合物、免疫応答などの生物学的作用を引き起こすことができる化合物、または1つ以上の生物学的プロセスで他の役割を果たし得る化合物が挙げられる。
【0126】
本開示に従って利用され得る生物学的に活性な薬剤の部類の例としては、癒着防止剤、抗菌剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、抗癲癇薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症薬、心血管薬、診断用薬、交感神経興奮薬、コリン模倣薬、抗ムスカリン薬、鎮痙薬、ホルモン、成長因子、筋弛緩薬、アドレナリン作動性ニューロン遮断薬、抗新生物薬、免疫原薬、免疫抑制薬、消化管薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖、多糖、血小板活性化薬、凝固因子および酵素が挙げられる。これらの薬剤の組み合わせが使用され得ることもまた意図される。
【0127】
本明細書に記載のトリブロックコポリマーと組み合わせることができる好適な抗菌剤としては、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテルとしても知られるトリクロサン、酢酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジングルコネート、クロルヘキシジン塩酸塩、ならびに硫酸クロルヘキシジンが含まれるクロルヘキシジンおよびその塩、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ化銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク質、ならびにスルファジアジン銀が含まれる銀およびその塩、ポリミキシン、テトラサイクリン、トブラマイシンおよびゲンタマイシンなどのアミノグリコシド、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジキシン酸、ペフロキサシン、エノキサシン、およびシプロフロキサシンなどのキノロン、オキサシリンおよびピプラシルなどのペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。加えて、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシンBなどの抗菌タンパク質およびペプチドもまたトリブロックコポリマーと組み合わせることができる。
【0128】
他の適切な生物学的に活性な薬剤としては、局所麻酔剤、非ステロイド系不妊薬、副交感神経様作用薬;心理療法剤、精神安定剤、鬱血除去薬、催眠・鎮静薬、ステロイド、スルホンアミド、交感神経刺激薬、ワクチン、ビタミン剤、抗マラリア薬、抗片頭痛薬、L-ドーパなどの抗パーキンソン剤、鎮痙薬、抗コリン薬(例えば、オキシブチニン)、鎮咳薬、気管支拡張薬、冠状血管拡張薬およびニトログリセリンなどの心血管薬、アルカロイド、鎮痛剤、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなどのような麻薬、サリチレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d-プロポキシフェンなどの非麻薬、ナルトレキソン、ナロキソンなどのオピオイド受容体拮抗薬、抗癌剤、抗けいれん薬、制吐剤、抗ヒスタミン剤、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなどのような抗炎症剤、プロスタグランジンならびに細胞傷害性薬、化学療法剤、エストロゲン、抗菌剤、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗凝固剤、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン剤、および免疫剤が挙げられる。
【0129】
適切な薬剤のさらに他の例としては、ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、その類似体、ムテイン、ならびにそれらの活性フラグメント、例えば、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(IL-2、IL-3、IL-4、IL-6)、インターフェロン(β-IFN、(α-IFNおよびγ-IFN)、エリスロポエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例、GCSF、GM-CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍剤および腫瘍抑制剤、血液タンパク質、フィブリン、トロンビン、フィブリノーゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノーゲン、ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモン類似体(例えば、成長ホルモン)、ワクチン(例えば、腫瘍性、細菌性およびウイルス性抗原)、ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;成長因子(例えば、神経成長因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質、TGF-B、タンパク質阻害剤、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAiなどの核酸;オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;およびリボザイムが挙げられる。
【0130】
追加の生体適合性材料を本明細書に記載のトリブロックコポリマーと任意の適切な方法で組み合わせて、医療用デバイスを形成するのに適した組成物を形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、トリブロックコポリマーと追加の生体適合性材料とを混合してブレンドを形成してもよい。他の実施形態では、追加の生体適合性材料は、本明細書に記載のトリブロックコポリマーのペンダント部分に直接結合および/または架橋することができ、ここでABA’トリブロックコポリマーは無傷のままである。例えば、追加の生体適合性材料は、文字「C」で表すことができ、トリブロックコポリマーに結合して、限定するものではないが、CABA’、ABA’C、またはCABA’Cなどのフォーマットを形成することができる。当業者に既知の任意の適切な方法を使用して、CをABA’トリブロックコポリマーのペンダント部分に結合することができる。いくつかの非限定的な例としては、架橋剤の使用、ならびに相補的反応性官能基、すなわち求電子性/求核性官能基、またはアジドおよびアルキンなどのクリックケミストリー反応性基の特異的結合対の使用が挙げられる。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーは、単独でまたは追加の生体適合性材料と組み合わせて使用して、埋め込み型医療機器全体ではないとしても埋め込み型機器の少なくとも一部を形成する。
【0132】
埋め込み型医療用デバイス
本明細書で使用される場合、「埋め込み型医療用デバイス」は、動物に埋め込むことができる任意の装置であり得る。実施形態では、埋め込み型医療用デバイスは、少なくとも本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーを含む少なくとも1つのフィラメントから作製される。少なくとも1つのフィラメントから作製される埋め込み型医療用デバイスの例としては、外科用縫合糸、外科用ステープル、外科用ピン、外科用ねじ、外科用縫合糸綿撒糸、外科用ステープルバットレス、外科用メッシュ、外科用プラグ、血管閉塞用装置、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、埋め込み型医療用デバイスを形成するのに好適なフィラメントを形成するために、単独で、または追加の生体適合性材料と組み合わせて使用することができる。フィラメントは、当業者に既知の任意の適切な方法を用いて形成することができる。いくつかの非限定的な例としては、押出成形、湿式紡糸、ゲル紡糸、電界紡糸、成形などが挙げられる。いくつかのフィラメントを形成するのに適した方法の追加の非限定的な例は、それぞれが、参照に撚り本明細書に組み込まれる、米国特許第5,403,347号、同第5,217,485号、同第5,279,783号、および同第6,881,766号に記載されている。
【0134】
図1は、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーから作製されたフィラメントの製造に好適な少なくとも1つのフォーマットを概略的に図示する。押出機ユニット10は、既知のまたは従来のタイプのものであり、その様々なゾーンにおいてバレル11の温度を調節するための制御装置を備えている。実施形態では、温度は、バレルの長さに沿って3つの連続したゾーンA、B、およびCにおいて徐々に上昇する。本開示のABA’トリブロックコポリマーを含むペレットまたは粉末は、ホッパー12を通して押出機に導入される。本明細書に記載のABA’トリブロックコポリマーのいずれも、単独で、または追加の生体適合性材料との組成物で使用することができる。
【0135】
電動計量ポンプ13は、溶融押出されたABA’トリブロックコポリマーを単独でまたは組成物として紡糸パック14に一定の速度で送り、その後所望の直径の1つ以上のオリフィスを有する紡糸口金15を通して溶融モノフィラメント16を供給し、次いで、溶融モノフィラメント16が、例えば、水などの冷却液を含む急冷浴17に入り、そこでモノフィラメントが固化する。
【0136】
モノフィラメント16は、従動ローラ18の周りでかつアイドルローラ19の上で急冷浴17を通過する。任意選択的に、ワイパー(図示せず)は、それが急冷浴17から除去されるときにモノフィラメントから過剰の水を除去することができる。急冷浴を出ると、モノフィラメントは、ニップロール22を備えた第1のゴデット21の周りに巻き付けられ、そうでなければ後続の引き伸ばし操作から生じ得る滑りを防止する。モノフィラメントは続いて、交互のゴデット101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、および112ならびに加熱チャンバ23および25を通って、ものフィラメントを使用可能な形態およびサイズに引き伸ばし、および/またはアニールする。
【0137】
単独で、または他の追加の生体適合性材料と組み合わせて本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーから作製されたフィラメント、モノフィラメント縫合糸の少なくとも一方、マルチフィラメント縫合糸、有棘縫合糸、端針縫合糸、ループ付き縫合糸、結び目付き縫合糸などのうちの少なくとも1つを形成するために使用することができる。例えば、
図2に示すように、針100に一方の端部に取り付けられた縫合糸101は、単独で、または他の追加の生体適合性材料と組み合わせて、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つから作製される。実施形態では、縫合糸101は、本明細書に記載の少なくとも1つの生分解性ABA’トリブロックコポリマーから単独で作製される。本明細書に記載の縫合糸は、モノフィラメント縫合糸またはマルチフィラメント縫合糸であり得る。
【0138】
別の例では、
図3に示すように、細長い本体114の外周から延び、両端で針116a、116bに取り付けられた複数の棘112a、112bを含む有棘縫合糸110は、単独で、または他の追加の生体適合性材料と組み合わせて、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも一つから作製される。実施形態では、有棘縫合糸110は、本明細書に記載の少なくとも1つの生分解性ABA’トリブロックコポリマーから単独で作製される。本明細書に記載の有棘縫合糸は、一方向、双方向、または多方向の有棘縫合糸であり得る。本明細書に記載の有棘縫合糸はまた、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの縫合糸であり得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーは、単独で、または追加の生体適合性材料と組み合わせて、さらに布地を形成するように加工することができるフィラメントを形成するために使用される。布は、織り合わせフィラメントで形成されてもよい。フィラメントは、編組、製織、編成などを含むがこれらに限定されない任意の好適な方法を用いて織り合わせることができる。布地は、縫合綿撒糸、ステープルバットレス、または外科用メッシュなどの埋め込み型医療用デバイスを形成するために使用され得る。例えば、
図4に示すように、外科用メッシュ202は、単独で、または他の追加の生体適合性材料と組み合わせて、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つから作製された織り合わせフィラメント200を含む。実施形態では、フィラメント200を含む外科用メッシュ202は、本明細書に記載の少なくとも1つの生分解性ABA’トリブロックコポリマーから単独で作製される。織り合わせフィラメント200は、それらの間に細孔201を形成して少なくとも1つの多孔質表面を形成する。長方形として示されているが、メッシュ202は任意の適切な形状でありってもよく、二次元または三次元メッシュであってもよい。実施形態では、メッシュ202は、フィラメント200が互いに編まれてメッシュ202を形成するニットである。フィラメント200は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントであり得る。
【0140】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフィラメントは、自己把持型外科用メッシュ203(例えば、Progrip登録商標メッシュ)を形成するために一緒に編成することができ、自己把持型外科用メッシュ203は、スパイク付きナップなどのグリップ部材205を含み、本体205bよりも幅の広いヘッド205aを有し、組織および/または他のメッシュ材料に直接取り付けるように構成されている。本明細書に記載のトリブロックコポリマーを単独で、または追加の生体適合性材料と組み合わせて含むフィラメントを使用して、グリップ部材205を含む自己把持型外科手術用メッシュ203のあらゆる要素を形成することができる。実施形態では、自己把持型外科手術用メッシュ203は、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーのみから作製される。例えば、自己把持型外科手術用メッシュは、AおよびA’ブロックが純粋なPLAであり、Bブロックが0~15/85~100モルパーセントのPLA/TMCであり、全体として、生分解性トリブロックコポリマーが、80/20モルパーセントのPLA/TMCである、生分解性ABA’トリブロックコポリマーから作製されてもよい。
【0141】
実施形態では、布地は、腹側ヘルニア、鼠径ヘルニア、大腿ヘルニア、臍ヘルニア、および上腹壁ヘルニアを含む任意の種類のヘルニアを治療するために使用することができる。実施形態では、布は、膀胱脱出、直腸脱出、小腸脱出、尿道脱出、子宮脱出、および膣脱出を含むがこれらに限定されない任意の種類の脱出を治療するために使用することができる。
【0142】
図6に示すように、いくつかの実施形態では、布地を用いて形成されるものは、針518aおよび518bを含む、縫合糸516の中央領域に取り付けられた縫合糸綿撒糸517(縫合糸/綿撒糸接合部519aおよび519bは、破線で示された縫合糸516の一部が綿撒糸517の後ろに配置された状態で、縫合糸516が綿撒糸517のどこを通過するかを示している)であり、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つから、単独で、または追加の生体適合性材料と組み合わせて作製される。実施形態では、縫合糸綿撒糸517は、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つのみで作製されている。
【0143】
いくつかの実施形態では、縫合糸綿撒糸517および縫合糸516は両方とも、本明細書に記載の生分解性ABA’トリブロックコポリマーのうちの少なくとも1つから、単独でまたは追加の生体適合性材料と組み合わせて作製されてもよい。いくつかの実施形態では、縫合糸綿撒糸517および縫合糸516は両方とも、同じ生分解性ABA’トリブロックコポリマーから作製される。いくつかの実施形態では、縫合糸綿撒糸517および縫合糸516は両方とも、本明細書に記載の異なる生分解性ABA’トリブロックコポリマーから作製される。
【実施例】
【0144】
以下の実施例は、本開示において提供される情報の理解を助けるために与えられるものであり、多少なりとも本開示の範囲を限定することを意味するものではない。
【0145】
実施例1
全体として、80モル%のPLAおよび20モル%のpTMCを含み、Bブロック[PLA-pTMC]が0モル%のPLAおよび100モル%のpTMCであるポリ(乳酸)-[ポリ(乳酸)-ポリ(トリメチレンカーボネート)]-ポリ(乳酸)のABA’トリブロックコポリマー(PLA-[PLA-pTMC]-PLA)の合成。
【0146】
重合の第1の段階において、5,000gのトリメチレンカーボネート、24.65gのジエチレングリコール、および0.02%のオクタン酸第一スズを、2つのヘリコンスタイルの混合ブレードを装備した清浄で乾燥したステンレス鋼円錐形容器に添加し、窒素雰囲気下および室温で混合乾燥した。反応器温度を180℃に上昇させて、第1の段階の反応を、本例では100%ポリ(TMC)のBブロックの形成が完了するまで監視した。
【0147】
重合の第2の段階において、窒素雰囲気の上下のヘリオンタイプの混合ブレードを用いて、28,261gの乾燥ラクチドモノマーと0.02%のオクタン酸第一スズを、重合の第1の段階からのBブロックを含むステンレス鋼円錐形容器に添加した。反応器の温度を195℃に上昇させて、ABA’トリブロックコポリマー、本実施例では、PLA-pTMC-PLA(PLA/pTMC 0/100モル%のBブロックを含む、全体として、PLA/pTMC 80/20モル%)の形成が完了するまで第2の段階の反応を監視し、反応器から取り出した。
【0148】
実施例2
全体として、80モル%のPLAおよび20モル%のpTMCを含み、Bブロック[PLA-pTMC]が15モル%のPLAおよび85モル%のpTMCであるポリ(乳酸)-[ポリ(乳酸)-ポリ(トリメチレンカーボネート)]-ポリ(乳酸)のABA’トリブロックコポリマー(PLA-[PLA-pTMC]-PLA)の合成。
【0149】
重合の第1の段階において、5,000gのトリメチレンカーボネート、1247gの乾燥Lラクチドモノマー、2.75gのジエチレングリコール、および2.90gのオクタン酸第一スズを、2つのヘリコンスタイルの混合ブレードを装備した清浄で乾燥したステンレス鋼円錐形容器に添加し、窒素雰囲気下および室温で混合乾燥した。反応器温度を180℃に上昇させ、第1の段階の反応を、Bブロック、本実施例では、15モルパーセントのPLAと85モルパーセントのpTMCを含むランダムコポリマーの形成が完了するまでを監視した。
【0150】
重合の第2の段階において、窒素雰囲気の上下のヘリオンタイプの混合ブレードを用いて、27,014gの乾燥ラクチドモノマーを、重合の第1の段階からのBブロックを含むステンレス鋼円錐形容器に添加した。反応器の温度を195℃に上昇させて、ABA’トリブロックコポリマー、本実施例では、PLA-[PLA-pTMC]-PLA(PLA/pTMC 15/85モル%のBブロックを含む、全体として、PLA/pTMC 80/20モル%)の形成が完了するまで第2の段階の反応を監視し、反応器から取り出した。
【0151】
実施例3
本明細書の上記実施例1および2で形成されたABA’トリブロックコポリマーの各々、ならびに純粋なPLA単独、および種々の全体的なモル百分率および/または中間ブロックのモル百分率を有するいくつかの追加PLA/TMCトリブロックコポリマーを押出して、様々な直径のフィラメントを形成した。ポリマーフィラメントの引張強度およびモル質量をインビトロで試験して、各フィラメントの分解プロファイルを得た。具体的には、50℃での引張強度保持プロファイルおよび50℃でのモル質量保持プロファイルを試験した。分解を、50℃でpH=7.4において、1/1モルのリン酸緩衝液中で行った。分解および張力強度ならびにモル質量の測定を、ISO 13781:1997“Poly(L-lactide)resins and fabricated forms for surgical implants-in vitro degradation testing”に従って実施した。本明細書における、用語「50℃での引張強度保持」および50℃でのモル質量保持」は、この方法によって測定されときのこれらのパラメータを指す。100~150マイクロメートルの間の異なる糸直径を試験したところ、直径は結果(モル質量または力保持率)に影響を及ぼさないことが分かった。試験の結果を、
図7および8にそれぞれ示す。
【0152】
図7に示すように、純粋なPLA単独から作製されたフィラメントの力保持(張力強度保持)率は、50℃で約2週間後に80%より上にとどまり、約6週間後に約50%を維持するが、その後落ちる。PLA/pTMC 80/20[0/100]およびPLA/pTMC 80/20[15/85]から作製されたフィラメント、すなわち本出願のABA’トリブロックコポリマーの非限定的な例は、50℃で約2週間後に80%を上回る力保持率を示し、約6週間後に約50%以上の力保持率を維持し、かつ6週間後または8週間後にも落ちない。しかしながら、PLA/pTMC 80/20[45/55]およびPLA/pTMC 88/12[0/100]から作製されたフィラメントの力保持率は、2週間よりも前に80%を下回り、それぞれ2週目および3週目周辺で50%を大幅に下回り、PLA/pTMC 80/20[30/70]は、4週目周辺で50%を下回る。さらに注目に値するのは、これら3つの最後に述べたフィラメントの力保持率が、6週目までに30%(さらにこれら3つのフィラメントのうち2つでも10%)を下回り、これらの3つの最後に述べたフィラメントを長期間の、すなわち、6ヶ月を超えるおよび/または12ヶ月を超える、組織支持を提供するには不適切なものにすることである。PLA/pTMC 80/20[0/100]およびPLA/pTMC 80/20[15/85]から作製されたフィラメントの力保持率は、8週間後に、約35%超(およびこれらの2つのフィラメントのうちの少なくとも1つについては約60%超)を維持し、これらのフィラメントが、長期間、すなわち、6ヶ月を超えるおよび/または12ヶ月を超える、組織支持を提供するのに適していることを示唆している。
【0153】
図2に示すように、PLA単独から作製されたフィラメントのモル質量保持率は、約1週間後に85%より上にとどまり、約8週間後に約35%より上にとどまり、約14週間後にはさらに約10%周辺である。しかしながら、PLA/pTMC 80/20[0/100]およびPLA/pTMC 80/20[15/85]から作製されたフィラメント、すなわち本出願のABA’トリブロックコポリマーの非限定的な例は、約1週間後に85%を超えるモル質量保持率、約8週間後に約35%以上のモル質量保持率、および14週間後に約15%以上のモル質量保持率を示す。PLA/pTMC 80/20[45/55]、PLA/pTMC 80/20[30/70]、およびPLA/pTMC 88/12[0/100]から作製されたフィラメントのモル質量保持率は、1週目よりも前に85%より下に低下し、6週目までに落ち、8週目よりも前に(約6週目に)に35%を下回る。
【0154】
力保持率とモル質量保持率の結果の組み合わせは、本出願のABA’トリブロックコポリマーおよび/またはそれから作製されるフィラメントならびに医療用デバイスが、通常の条件下で、構造破壊なく、長期間、すなわち6ヶ月を超えておよび/または12ヶ月を超えて組織支持を提供するのに適していることを示唆している。
【0155】
本開示の実施形態が図面に示されているが、本開示は当該技術分野が許容する広い範囲として捉えられるべきであり、本明細書も同様に読み取られるべきと考えられるので、本開示はこれらの実施形態に限定されるものではないことが意図される。上記の実施形態の任意の組み合わせもまた想定され、これらは、添付の特許請求の範囲の範囲内である。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および主旨内での他の修正を想定するであろう。