(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】生体試料凍結保存容器
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240927BHJP
A61J 1/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61J3/00 301
A61J1/10 333A
(21)【出願番号】P 2019157256
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-06-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 良至
(72)【発明者】
【氏名】籠田 将慶
(72)【発明者】
【氏名】原田 怜
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】近藤 利充
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-15062(JP,A)
【文献】特開2009-136597(JP,A)
【文献】特開2002-337934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/00-19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料凍結保存容器であって、
生体試料を収容可能な収容部と、
前記収容部の周囲に位置する周辺部と、を備え、
前記周辺部の領域内に、前記周辺部に衝撃が加わった際に仮想破壊線に沿って破壊するように構成された易破壊構造部が形成され、
前記仮想破壊線は、前記収容部を通過せず、
前記易破壊構造部は、前記仮想破壊線に沿う前記周辺部の破壊を開始する破壊開始部を有し、
前記破壊開始部は
1つ以上の開口を含み、
全ての前記開口の全体が、前記周辺部のうち、前記周辺部の外縁に位置する周辺部底辺と、前記周辺部の外縁に位置する周辺部側辺と、前記収容部の収容部底辺の延長線と、前記収容部の収容部側辺の延長線とによって囲まれる領域に形成され、前記周辺部側辺と前記収容部側辺とは、前記収容部に対して同一の側に位置
し、
前記開口は、前記周辺部底辺、前記周辺部側辺、前記収容部底辺の延長線、及び前記収容部側辺の延長線から離間して配置され、
前記開口は、対向する一対の角部を有し、前記仮想破壊線は、前記開口の前記対向する一対の角部を直線的に結ぶように形成されている、生体試料凍結保存容器。
【請求項2】
前記破壊開始部は矩形状の開口を含む、請求項1に記載の生体試料凍結保存容器。
【請求項3】
前記易破壊構造部は、
前記仮想破壊線上に位置し、前記仮想破壊線に沿って破壊するように誘導する破壊誘導部を有する、請求項1
又は2に記載の生体試料凍結保存容器。
【請求項4】
前記破壊誘導部は、ミシン目
又は折り曲げ
線である、請求項
3に記載の生体試料凍結保存容器。
【請求項5】
前記仮想破壊線は、前記周辺部の外縁に位置する辺に対して45°の角度で交わる、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の生体試料凍結保存容器。
【請求項6】
前記仮想破壊線は、前記周辺部の角部と前記収容部の角部との中間点よりも前記周辺部の角部側に配置されている、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の生体試料凍結保存容器。
【請求項7】
前記仮想破壊線は、前記周辺部の角部の角の二等分線に対して直交している、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の生体試料凍結保存容器。
【請求項8】
前記周辺部は4つの角部を有し、前記易破壊構造部は、前記4つの角部の近傍全てに設けられている、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の生体試料凍結保存容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体試料凍結保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
生体細胞等の生体試料は、通常、樹脂製の凍結保存容器に収容され、液体窒素、極低温フリーザー等の手段によって、凍結保存することが行われている。凍結保存された生体試料を移植、輸注などに実際に使用する際には、細胞凍結保存容器を例えば37℃~40℃の温浴槽内に浸漬して解凍することが行われる。
【0003】
このような樹脂製の細胞凍結保存容器は、液体窒素等によって超低温環境下で凍結し、ガラス化している。このため、細胞凍結保存容器の搬送中や、細胞凍結保存容器を液体窒素等から取り出して解凍する際、誤って細胞凍結保存容器を落下させたり、外部環境に接触させたりして衝撃が加わると、細胞凍結保存容器が破損し、解凍後に生体試料が漏洩してしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、樹脂製の第1シート状部材の周縁部と、樹脂製の第2シート状部材の周縁部とが溶着されて構成された細胞凍結保存容器が開示されている。特許文献1の細胞凍結保存容器は、端壁部の形状を工夫することにより、外縁部の厚みが厚くかつ均一化されるため、外縁部を破損しにくくできると考えられる。
【0006】
しかしながら、ガラス化した状態で細胞凍結保存容器に衝撃を加えた場合には、外縁部が破損し、解凍後に生体試料が漏洩するリスクが高いと考えられる。また、ガラス化した状態で細胞凍結保存容器が破損した場合、破損した部分を見ても、細胞凍結保存容器の使用可否を容易に判断できないという課題もある。
【0007】
本開示は、ガラス化した状態で周辺部に衝撃が加わり、周辺部が破損した場合でも、収容部内の生体試料が漏洩しないようにすることが可能な、生体試料凍結保存容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器は、生体試料凍結保存容器であって、生体試料を収容可能な収容部と、前記収容部の周囲に位置する周辺部と、を備え、前記周辺部の領域内に、前記周辺部に衝撃が加わった際に仮想破壊線に沿って破壊するように構成された易破壊構造部が形成され、前記仮想破壊線は、前記収容部を通過しない。
【0009】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記易破壊構造部は、前記仮想破壊線に沿う前記周辺部の破壊を開始する破壊開始部を有してもよい。
【0010】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記破壊開始部は、切込み、開口又は突起を含んでもよい。
【0011】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記破壊開始部は開口を含み、前記開口は、前記周辺部のうち、前記周辺部の外縁に位置する一対の辺と、前記収容部の一対の辺の延長線とによって囲まれる領域に形成されてもよい。
【0012】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記破壊開始部は矩形状の開口を含んでもよい。
【0013】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記破壊開始部は円形状の開口を含み、前記円形状の開口と前記周辺部の外縁に位置する各辺との最短距離は7mm未満であってもよい。
【0014】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記易破壊構造部は、前記仮想破壊線に沿って破壊するように誘導する破壊誘導部を有してもよい。
【0015】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記破壊誘導部は、ミシン目、折り曲げ線又は開口であってもよい。
【0016】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記易破壊構造部は、前記周辺部の他の部分よりも薄肉化された薄肉部を有してもよい。
【0017】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記仮想破壊線は、前記周辺部の外縁に位置する辺に対して45°の角度で交わってもよい。
【0018】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記仮想破壊線は、前記周辺部の角部と前記収容部の角部との中間点よりも前記周辺部の角部側に配置されていてもよい。
【0019】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記仮想破壊線は、前記周辺部の角部の角の二等分線に対して直交していてもよい。
【0020】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記周辺部は4つの角部を有し、前記易破壊構造部は、前記4つの角部の近傍全てに設けられていてもよい。
【0021】
本実施の形態による生体試料凍結保存容器において、前記易破壊構造部は、前記周辺部の外縁に位置する辺に沿うように設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本実施の形態によれば、ガラス化した状態で周辺部に衝撃が加わり、周辺部が破損した場合でも、収容部内の生体試料が漏洩しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、一実施の形態による生体試料凍結保存容器を示す概略正面図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図(
図1のII部拡大図)である。
【
図3】
図3(a)(b)は、仮想破壊線の各種変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図4】
図4(a)-(c)は、仮想破壊線の各種変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図5】
図5は、生体試料凍結保存容器の変形例を示す概略正面図である。
【
図6】
図6は、生体試料凍結保存容器の変形例を示す概略正面図である。
【
図7】
図7(a)-(c)は、易破壊構造部の各種変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図8】
図8は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図9】
図9は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図10】
図10は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図11】
図11(a)-(c)は、易破壊構造部の各種変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図12】
図12(a)(b)は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図13】
図13は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図14】
図14は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図15】
図15(a)-(c)は、易破壊構造部の各種変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図16】
図16は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図17】
図17は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図18】
図18は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図19】
図19は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図20】
図20は、易破壊構造部の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図21】
図21(a)(b)は、薄肉部を有する周辺部を示す概略断面図である。
【
図22】
図22は、生体試料凍結保存容器の変形例を示す概略正面図である。
【
図23】
図23(a)(b)は、比較例による易破壊構造部を示す部分拡大正面図である。
【
図24】
図24は、生体試料凍結保存容器を凍結している状態を示す概略斜視図である。
【
図25】
図25は、実施例1による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図26】
図26は、実施例2による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図27】
図27は、実施例3による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図28】
図28は、実施例4による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図29】
図29は、実施例5による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図30】
図30は、実施例6による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図31】
図31は、実施例7による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図32】
図32は、実施例8による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図33】
図33は、実施例9による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図34】
図34は、比較例1による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図35】
図35は、比較例2による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図36】
図36は、比較例3による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【
図37】
図37は、比較例4による生体試料凍結保存容器を示す部分拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら一実施の形態について具体的に説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0025】
以下、本実施の形態による生体試料凍結保存容器について詳細に説明する。本実施の形態は以下に記載されるものに限定されるものではない。
【0026】
まず
図1及び
図2を参照して、本実施の形態による生体試料凍結保存容器の構成について説明する。
図1は、本実施の形態による生体試料凍結保存容器10を示す正面図であり、
図2は、本実施の形態による生体試料凍結保存容器10を示す正面図である。
【0027】
[生体試料凍結保存容器]
図1に示すように、生体試料凍結保存容器10は、第1フィルム11によって形成された第1面13と第2フィルム12によって形成された第2面14とを備えている。
【0028】
生体試料凍結保存容器10は、生体試料である内容物を収容可能な収容部20を含む。収容部20の外縁は、複数(4つ)の辺21~24を有する。具体的には、収容部20は、収容部20の底部を構成する収容部底辺21と、一方の側部に沿って上下方向に延びる収容部第1側辺22と、他方の側部に沿って上下方向に延びる収容部第2側辺23と、収容部20の上部を構成する収容部上辺24と、によって取り囲まれている。収容部20の外縁は、複数(4つ)の角部25~28を有する。具体的には、収容部底辺21と収容部第1側辺22とは、第1収容部角部25で交わり、収容部底辺21と収容部第2側辺23とは、第2収容部角部26で交わっている。また、収容部上辺24と収容部第1側辺22とは、第3収容部角部27で交わり、収容部上辺24と収容部第2側辺23とは、第4収容部角部28で交わっている。第1収容部角部25乃至第4収容部角部28は、それぞれ直角状に形成されているがこれに限られるものではない。第1収容部角部25乃至第4収容部角部28の1つ又は全部は、丸みを帯びていても良い。
【0029】
収容部20に収容される生体試料は、凍結保存されるものであれば特に限られることはない。収容部20に収容される生体試料が生体細胞である場合、例えば、癌細胞(例えば、肝癌細胞、グリオーマ細胞、結腸癌細胞、腎癌細胞、膵癌細胞、前立腺癌細胞、大腸癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞)、肝細胞、クッパー細胞、内皮細胞(例えば、血管内皮細胞、角膜内皮細胞)、線維芽細胞、骨芽細胞、砕骨細胞、歯根膜由来細胞、表皮細胞(例えば、表皮角化細胞)、上皮細胞(例えば、気管上皮細胞、消化管上皮細胞、子宮頸部上皮細胞、角膜上皮細胞)、乳腺細胞、ペリサイト、筋細胞(例えば、平滑筋細胞、心筋細胞)、腎細胞、膵ランゲルハンス島細胞、神経細胞(例えば、末梢神経細胞、視神経細胞)、軟骨細胞、骨細胞、卵細胞、受精卵、ES細胞(胚性幹細胞)、iPS細胞(人工多能性幹細胞)等が挙げられる。また、凍結保存する細胞は、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞等の多能性幹細胞、単分化能を有する血管内皮前駆細胞等の単能性幹細胞、分化が終了した細胞、再生医療用細胞等であってもよい。凍結保存する細胞は、1種のみでもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0030】
生体試料凍結保存容器10は例えば、第1面13と第2面14とが対向するように第1フィルム11及び第2フィルム12を互いに熱溶着などによって接合することによって構成されている。第1フィルム11とは、生体試料凍結保存容器10の表面(
図1に示されている側の面)を構成するフィルムのことであり、第2フィルム12とは、生体試料凍結保存容器10の裏面(表面の裏側にある面)を構成するフィルムのことである。
【0031】
図1において、収容部20の周囲には周辺部30が位置している。周辺部30は、第1フィルム11及び第2フィルム12のうち熱溶着によって形成された部分である。また、収容部20は、周辺部30によって全周にわたって取り囲まれている。なお生体試料凍結保存容器10の製造工程において、第1フィルム11及び第2フィルム12は、互いに分離された別個のフィルムとして準備されてもよく、若しくは、一連のフィルムとして準備されてもよい。生体試料を適切に凍結保存して密封することができる限りにおいて、生体試料凍結保存容器10のタイプが特に限られることはない。例えば生体試料凍結保存容器10は、三方シール袋として構成されていてもよく、二方シール袋、チューブ袋、又はチューブ容器として構成されていてもよい。
【0032】
図1に示すように、各フィルムを熱溶着することによって構成される周辺部30は、生体試料凍結保存容器10の底部を構成する底部周辺部41と、生体試料凍結保存容器10の一方の側部に沿って上下方向に延びる第1側部周辺部42と、生体試料凍結保存容器10の他方の側部に沿って上下方向に延びる第2側部周辺部43と、生体試料凍結保存容器10の上部を構成する上部周辺部44と、を含んでいる。これら底部周辺部41、第1側部周辺部42、第2側部周辺部43、及び上部周辺部44は、第1フィルム11及び第2フィルム12を互いに熱溶着することによって構成されたシール部である。なお、生体試料を収容部20に収容する前の状態では、底部周辺部41、第1側部周辺部42及び第2側部周辺部43がシールされる一方、上部周辺部44はシールされることなく開口部を形成する。生体試料を収容部20に収容した後、上部周辺部44がシールされて収容部20が密閉される。
【0033】
周辺部30の外縁は、複数(4つ)の辺31~34を有する。具体的には、周辺部30は、周辺部30の底辺を構成する周辺部底辺31と、周辺部30の一方の側辺を構成する周辺部第1側辺32と、周辺部30の他辺を構成する周辺部第2側辺33と、周辺部30の上辺を構成する周辺部上辺34と、を含む。周辺部30の外縁は、複数(4つ)の角部35~38を有する。具体的には、周辺部底辺31と周辺部第1側辺32とは、第1周辺部角部35で交わり、周辺部底辺31と周辺部第2側辺33とは、第2周辺部角部36で交わっている。また、周辺部上辺34と周辺部第1側辺32とは、第3周辺部角部37で交わり、周辺部上辺34と周辺部第2側辺33とは、第4周辺部角部38で交わっている。第1周辺部角部35乃至第4周辺部角部38は、それぞれ直角状に形成されているが、これに限られるものではない。第1周辺部角部35乃至第4周辺部角部38の1つ又は全部は、丸みを帯びていても良い。
【0034】
次に、第1フィルム11及び第2フィルム12の構成について説明する。第1フィルム11及び第2フィルム12は、生体試料を含む内溶液を無菌的に収容できるもの、かつ少なくとも0℃以下、好ましくは-80℃以下、さらに好ましくは-150℃以下(超低温フリーザーや液体窒素気相下の温度)、特に好ましくは-196℃(液体窒素温度)の環境下で物理的に耐えうる物性を有することが望ましい。このような材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド並びにエチレン-酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂及び、それらの積層体などを好適に用いることができる。
【0035】
第1フィルム11及び第2フィルム12の厚みは、それぞれ例えば1μm以上1000μm以下とすることが好ましく、10μm以上500μm以下とすることがより好ましく、100μm以上300μm以下とすることさらに好ましい。
【0036】
ところで、生体試料凍結保存容器10は、液体窒素等によって超低温環境下で凍結保存される。このような凍結された状態の生体試料凍結保存容器10に衝撃が加えられると、生体試料凍結保存容器10は容易に破損してしまうおそれがある。すなわち、生体試料凍結保存容器10が凍結されることにより、収容部20及び周辺部30はガラス化している。このため、例えば生体試料凍結保存容器10を解凍するために液体窒素等の中から取り出した際、誤って生体試料凍結保存容器10が落下したり、外部環境に接触したりすると、ガラス化した生体試料凍結保存容器10が衝撃によって破損するおそれがある。そして収容部20が破損した場合、生体試料凍結保存容器10を解凍したとき、収容部20内の生体試料が漏洩してしまう。
【0037】
これに対して本実施の形態において、周辺部30の領域内に、周辺部30に衝撃が加わった際に仮想破壊線Lに沿って破壊するように構成された易破壊構造部50が形成されている。本実施の形態において。易破壊構造部50は、周辺部30のうち、第1周辺部角部35の近傍に設けられている。
図1及び
図2に示すように、易破壊構造部50は、周辺部底辺31に形成された第1切込み51と、周辺部第1側辺32に形成された第2切込み52とを有している。第1切込み51及び第2切込み52は、それぞれ周辺部30を切り欠くことにより形成されており、平面視矩形形状を有している。
【0038】
仮想破壊線Lは、第1切込み51と第2切込み52とを繋ぐように形成される。より具体的には、第1切込み51の角部と第2切込み52の角部とを直線的に結ぶように仮想破壊線Lが形成される。仮想破壊線Lは、生体試料凍結保存容器10を凍結して周辺部30に衝撃を加えた際、最も破壊されやすい箇所であり、それに沿って周辺部30が破壊するように想定される線である。仮想破壊線Lは、周辺部30の他の箇所より物理的な強度が弱められた箇所であっても良く、周辺部30に衝撃を加えた際、仮想破壊線Lに沿って周辺部30の他の箇所よりも優先的に破損するように意図されている。優先的に破壊される仮想破壊線Lが収容部20の周辺の周辺部30に設けられることにより、周辺部30の外部より加えられた衝撃は、仮想破壊線Lに沿ってとどめられ、仮想破壊線Lを越えて伝播することを抑制することができ、仮想破壊線Lより収容部20側の部分において衝撃による破壊を抑制できる。なお、仮想破壊線Lは、実際には目視できない線であり、
図1及び
図2において仮想線で示されている(他の図面についても同様)。
【0039】
この場合、第1切込み51及び第2切込み52は、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を開始する破壊開始部としての役割を果たす。すなわち、第1切込み51及び第2切込み52は、凍結された生体試料凍結保存容器10の周辺部30に衝撃が加わった際、仮想破壊線Lに沿った破壊を開始するように意図された箇所であり、最初に周辺部30の破壊が始まる部分である。このため、仮想破壊線Lの端部は、第1切込み51及び第2切込み52に接続されている。このように、凍結された生体試料凍結保存容器10の周辺部30に衝撃が加わった際、第1切込み51及び第2切込み52から周辺部30の破壊が開始され、この破壊は仮想破壊線Lに沿って伝播する。この結果、周辺部30のうち、第1切込み51、仮想破壊線L、第2切込み52、周辺部第1側辺32、及び周辺部底辺31によって取り囲まれた領域が、周辺部30の他の部分から分離する。このように、易破壊構造部50が破壊開始部を有する場合、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を所定の方向に向けて開始させることができ、仮想破壊線Lに沿った周辺部30の破壊をより効果的に進めることができる。
【0040】
仮想破壊線Lは、周辺部30のみを通過し、収容部20を通過しないようになっている。すなわち、仮想破壊線Lは、その全体が周辺部30内に位置しており、収容部20の各辺21~24よりも外側に位置している。このため、周辺部30に衝撃が加わり、周辺部30が仮想破壊線Lに沿って破壊された際、収容部20が破壊されないようになっている。これにより、生体試料凍結保存容器10を解凍した後、収容部20から生体試料が漏洩してしまうことを防止している。また、生体試料凍結保存容器10を解凍する前においても、収容部20の無菌性が担保できなくなることを抑制している。
【0041】
なお、上述した易破壊構造部50は、第1周辺部角部35の周辺に限らず、第1周辺部角部35乃至第4周辺部角部38のうち、1つ又は複数の角部の周辺に設けられていても良い。とりわけ、易破壊構造部50は、第1周辺部角部35乃至第4周辺部角部38の全てに設けられていることが好ましい。これにより、第1周辺部角部35乃至第4周辺部角部38のいずれの箇所においても、周辺部30に衝撃が加わった際に、周辺部30が仮想破壊線Lに沿って破壊されるので、収容部20が破壊することを防止することができる。このため、生体試料凍結保存容器10に衝撃が加わる方向に関わらず、収容部20の破壊を防止する効果を得ることができる。
【0042】
[仮想破壊線]
次に、
図3(a)(b)及び
図4(a)-(c)を参照して仮想破壊線Lの各種変形例について説明する。仮想破壊線Lは、上述したように、周辺部30内に位置しており、収容部20を通過しないようになっている。
図3(a)(b)及び
図4(a)-(c)は、それぞれ周辺部30に位置する各種の仮想破壊線Lを示しており、
図3(a)、
図4(a)、(c)はそれぞれ三方シール袋を示し、
図3(b)、
図4(b)はそれぞれチューブ袋を示している。なお、
図3(a)(b)及び
図4(a)-(c)において、第1切込み51及び第2切込み52等の破壊開始部や、破壊誘導部(後述)の図示を省略している。
【0043】
図3(a)(b)に示すように、仮想破壊線Lの両端は、周辺部底辺31及び周辺部第1側辺32にそれぞれ接続されていても良い(
図3(a)(b)の仮想破壊線L
1、L
2、L
3)。この場合、仮想破壊線Lは、周辺部底辺31及び周辺部第1側辺32とそれぞれ45°の角度で交わっていても良い(
図3(a)(b)の仮想破壊線L
2)。これにより、仮想破壊線Lが収容部底辺21及び収容部第1側辺22の両方と略均一な距離だけ離れるので、第1周辺部角部35に加わる衝撃の方向に関わらず、収容部20の破壊を抑えることができる。
【0044】
あるいは、
図3(a)(b)に示すように、仮想破壊線Lの両端は、周辺部第1側辺32及び周辺部第2側辺33にそれぞれ接続されていても良い(
図3(a)(b)の仮想破壊線L
4、L
5)。この仮想破壊線Lは、周辺部底辺31と収容部底辺21との間であって、周辺部底辺31及び収容部底辺21の両方から離間して配置されている。この場合、仮想破壊線Lは、周辺部底辺31と平行になっていても良い(
図3(a)(b)の仮想破壊線L
4、L
5)。これにより、生体試料凍結保存容器10から生体試料を自動分注する作業時に、図示しない自動分注装置によって生体試料凍結保存容器10の底面に与えられる衝撃を周辺部30が吸収することができる。これにより、衝撃によって、細胞などの生体試料に悪影響を及ぼす気泡が生体試料中に発生することを抑制することができる。
【0045】
さらに、
図3(a)(b)に示すように、仮想破壊線Lが、周辺部底辺31と収容部底辺21との間であって、周辺部底辺31及び収容部底辺21の両方から離間して配置されている場合、仮想破壊線Lは、周辺部底辺31と収容部底辺21との中間線よりも周辺部底辺31側に配置されていても良い(
図3(a)(b)の仮想破壊線L
4)。この場合、易破壊構造部50の位置が収容部20からより離れるため、生体試料が収容部20から漏洩するリスクをより低く抑えることができる。
【0046】
また、
図4(a)-(c)に示すように、仮想破壊線Lの両端が周辺部底辺31及び周辺部第1側辺32にそれぞれ接続されている場合、仮想破壊線Lは、第1周辺部角部35の角の二等分線L
aに対して直交していても良い。とりわけ三方シール袋の場合(
図4(a)、(c))、仮想破壊線Lが収容部底辺21及び収容部第1側辺22の両方と略均一な距離だけ離れるので、第1周辺部角部35に加わる衝撃の方向に関わらず、収容部20の破壊を抑えることができる。この場合、仮想破壊線Lは、第1周辺部角部35と第1収容部角部25との中間点よりも第1周辺部角部35側に配置されていても良い(
図4(a)の仮想破壊線L
6)。これにより、易破壊構造部50の位置が収容部20からより離れるため、生体試料が収容部20から漏洩するリスクをより低くすることができる。なお、第1収容部角部25が丸みを帯びている場合(
図4(c)参照)、第1収容部角部25の角とは、周辺部底辺31の延長線と周辺部第1側辺32の延長線とがなす角をいう。
【0047】
また、
図5に示すように、生体試料凍結保存容器10がチューブ容器であり、チューブ容器のシール部が周辺部30となっていても良い。この場合においても、周辺部30の領域内に、周辺部30に衝撃が加わった際に仮想破壊線Lに沿って破壊するように構成された易破壊構造部50が形成されている。
【0048】
また、
図6に示すように、生体試料凍結保存容器10の上部周辺部44は、送液ポート47及び排出ポート48を介してシールされていても良い。この場合、送液ポート47を介して生体試料を収容部20に収容し、その後、送液ポート47を熱溶着等により密閉しても良い。送液ポート47は、収容部20に達するまで延びていないが、これに限らず、収容部20中に達するまで延びていても良い。また、排出ポート48は、プラスチック針等を接続し、生体試料を排出可能なポートであり、密封されたポートである。この排出ポート48は、1つ又は複数設けられていても良い。また、排出ポート48は、収容部20中に達するまで延びていても良い。なお、上述した送液ポート47及び排出ポート48が設けられる場合、送液ポート47及び排出ポート48と上部周辺部44との接続部49は周辺部30に含まれなくても良い。
【0049】
[易破壊構造部]
次に、
図7乃至
図22を参照して易破壊構造部50の各種変形例について説明する。易破壊構造部は、上述したように、凍結された生体試料凍結保存容器10の周辺部30に衝撃が加わった際、仮想破壊線Lに沿って破壊するように構成された部分である。易破壊構造部50は、仮想破壊線Lに沿った破壊を開始するように意図された破壊開始部を有していても良い。この破壊開始部は、最初に周辺部30の破壊が始まる部分である。
【0050】
上述したように、
図1及び
図2において、易破壊構造部50は、平面視矩形形状を有する切込み(第1切込み51及び第2切込み52)を有する場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、
図7(a)に示すように、易破壊構造部50は、周辺部底辺31、周辺部第1側辺32、周辺部第2側辺33及び周辺部上辺34のいずれかに形成された平面視略半円形状の切込み53を有していても良い。この切込み53は、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を開始する破壊開始部としての機能を有していても良い。また、図示しないが、易破壊構造部50は、平面視略半楕円形状、平面視略かまぼこ形状、平面視略三角形形状等の切込みを有していても良い。
【0051】
また
図7(b)に示すように、易破壊構造部50は、周辺部30を厚み方向に貫通する平面視略円形状の開口54を有していても良い。この開口54は、周辺部底辺31、周辺部第1側辺32、周辺部第2側辺33及び周辺部上辺34から離間して配置されている。開口54は、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を開始する破壊開始部としての機能を有していても良い。なお、周辺部30の破壊を促進しやすくするため、易破壊構造部50の開口54は、周辺部30のうち、収容部20よりも周辺部底辺31、周辺部第1側辺32、周辺部第2側辺33又は周辺部上辺34に近い位置に位置することが好ましい。開口54は、平面視略半楕円形状、平面視略かまぼこ形状、平面視略四角形形状、平面視略三角形形状等であっても良い。
【0052】
また
図7(c)に示すように、易破壊構造部50は、周辺部底辺31、周辺部第1側辺32、周辺部第2側辺33及び周辺部上辺34のいずれかから外側に突出する平面視略半円形状の突起55を有していても良い。突起55は、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を開始する破壊開始部としての機能を有していても良い。また、図示しないが、易破壊構造部50は、平面視略半楕円形状、平面視略かまぼこ形状、平面視略四角形形状、平面視略三角形形状等の突起を有していても良い。
【0053】
図8に示すように、易破壊構造部50は、周辺部底辺31から離間して形成された第1開口56と、周辺部第1側辺32から離間して形成された第2開口57とを有していても良い。第1開口56及び第2開口57は、それぞれ周辺部30を厚み方向に貫通することにより形成されており、平面視矩形形状を有している。第1開口56及び第2開口57は、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を開始する破壊開始部としての機能を有していても良い。仮想破壊線Lは、第1開口56及び第2開口57を繋ぐように形成される。より具体的には、仮想破壊線Lは、互いに対向する第1開口56の角部と第2開口57の角部とを結ぶ直線上に形成されている。この場合、第1開口56と第2開口57とは互いに隣接していても良く、第1開口56と第2開口57とが互いに離間して配置されていても良い。
【0054】
また、
図9に示すように、易破壊構造部50は、周辺部第1側辺32及び周辺部底辺31の両方から離間して形成された1つの開口58を有していても良い。この開口58は、それぞれ周辺部30を厚み方向に貫通することにより形成されており、平面視矩形形状を有している。開口58は、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を開始する破壊開始部としての機能を有していても良い。仮想破壊線Lは、開口58の対向する一対の角部を直線的に結ぶように形成されている。これにより、周辺部30に形成される開口の数を少なくすることにより、易破壊構造部50の構成が簡単になるため、生体試料凍結保存容器10の製造工程を簡略化することができる。また開口58が平面視矩形形状を有することにより、周辺部30に衝撃が加わった際、矩形の一対の角部に応力が集中しやすい。これにより、開口58の一対の角部から仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を開始しやすくすることができる。
【0055】
図10に示すように、易破壊構造部50が1つの開口58を有する場合、開口58は、第1周辺部角部35と第1収容部角部25との中間点よりも第1周辺部角部35側に配置されていても良い。これにより、易破壊構造部50の位置が収容部20からより離れるため、生体試料が収容部20から漏洩するリスクをより低くすることができる。
【0056】
また、
図11(a)-(c)に示すように、易破壊構造部50が1つの開口58を有する場合、開口58は、周辺部30のうち、周辺部底辺31と、周辺部第1側辺32と、収容部底辺21の延長線と、収容部第1側辺22の延長線と、によって囲まれる領域に形成されることが好ましい。これにより、仮想破壊線Lが収容部20を通過する可能性がより低減されるため、生体試料が収容部20から漏洩するリスクをより低くすることができる。なお、
図11(a)は、第1収容部角部25と第1周辺部角部35とがともに直角になっている場合を示し、
図11(b)は、第1収容部角部25が丸みを帯びるとともに第1周辺部角部35が直角になっている場合を示している。
図11(c)は、第1収容部角部25と第1周辺部角部35とがともに鋭角になっている場合を示している。また、
図11(a)-(c)において、周辺部30のうち、周辺部底辺31と、周辺部第1側辺32と、収容部底辺21の延長線と、収容部第1側辺22の延長線と、によって囲まれる領域を斜線で示している。
【0057】
図12(a)(b)に示すように、易破壊構造部50が1つの開口59を有し、開口59の平面形状が、一対の角部(又は他の角部よりも曲率半径が小さい丸め部)59aを有し、この一対の角部59aを仮想破壊線Lが通過するものであってもよい。一対の角部59aは、鋭角的であっても良く(
図12(a))、丸みを帯びていても良い(
図12(b))。一対の角部59aが丸みを帯びている場合(
図12(b))、開口59と周辺部底辺31との最短距離d
3、及び、開口59と周辺部第1側辺32との最短距離d
4をそれぞれ7mm未満とすることが好ましい。開口59と、周辺部底辺31又は周辺部第1側辺32との最短距離d
3、d
4を7mm未満とすることにより、周辺部30に衝撃が加わった際に、開口59の一対の角部に応力が集中しやすいため、この一対の角部59aを通過する仮想破壊線Lに沿って周辺部30が破壊される。これにより、周辺部30の破壊が収容部20まで到達してしまうことを抑制することができる。
【0058】
また、
図13に示すように、開口61の平面形状は円形であっても良い。この場合、開口61と周辺部30の各辺との最短距離をそれぞれ短くすることにより、仮想破壊線Lが収容部20を通過しないようにすることができる。具体的には、開口61と周辺部底辺31との最短距離d
1、及び、開口61と周辺部第1側辺32との最短距離d
2をそれぞれ7mm未満とすることが好ましい。また円形の開口61と、周辺部底辺31又は周辺部第1側辺32との最短距離d
1、d
2を7mm未満とすることにより、周辺部30に衝撃が加わった際、開口61から仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を開始しやすくすることができる。これにより、周辺部30の破壊が収容部20まで到達してしまうことを抑制することができる。
【0059】
また、易破壊構造部50が切込みを有する場合、細長い形状をもつ一対の切込みが周辺部30の長手方向の両端に形成されていても良い。例えば
図14に示すように、一対の矩形状の細長い切込み62が周辺部底辺31の長手方向両端近傍に形成されていても良い。
図14において、一対の切込み62は、それぞれ周辺部第1側辺32と周辺部第2側辺33とに形成されている。これら一対の切込み62は互いに離間して配置され、一対の切込み62の間には、中間部63が設けられている。この場合、仮想破壊線Lは、中間部63を横切るように、一対の切込み62の長手方向に平行に延びている。
【0060】
ところで、易破壊構造部50は、凍結された生体試料凍結保存容器10の周辺部30に衝撃が加わった際、仮想破壊線Lに沿って周辺部30の破壊が進行するように誘導する破壊誘導部を有していても良い。破壊誘導部は、周辺部30に衝撃が加わった際、仮想破壊線Lに沿った破壊を誘導するように意図された箇所であり、周辺部30の他の箇所よりも物理的に弱められた箇所であることが好ましい。また破壊誘導部は、仮想破壊線Lに沿った周辺部30の破壊の方向を決める機能も有しており、仮想破壊線Lに沿って形成されることが好ましい。このように、易破壊構造部50が破壊誘導部を有する場合、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を所定の方向に誘導することができ、仮想破壊線Lに沿った周辺部30の破壊をより効果的に進めることができる。
【0061】
例えば
図15(a)に示すように、易破壊構造部50は、周辺部30内で仮想破壊線Lに沿って形成されたミシン目64を有していても良い。ミシン目64は、周辺部30を貫通するように断続的に形成された複数の貫通線から構成される。このミシン目64は、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を誘導する破壊誘導部としての機能を有していても良い。この場合、凍結された周辺部30に衝撃が加わった際、ミシン目64が連続的に破壊され、仮想破壊線Lに沿って周辺部30の破壊が進行する。
【0062】
また
図15(b)に示すように、易破壊構造部50は、周辺部30を折り曲げることにより形成された折り曲げ線65を有していても良い。この折り曲げ線65は、周辺部30を折り曲げることにより連続的に形成される。折り曲げ線65は、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を誘導する破壊誘導部としての機能を有していても良い。また折り曲げ線65は、仮想破壊線Lに沿って形成される。この場合、凍結された周辺部30に衝撃が加わった際、折り曲げ線65に沿って応力が加わり、仮想破壊線Lに沿って周辺部30の破壊が進行する。
【0063】
また
図15(c)に示すように、易破壊構造部50は、周辺部30を厚み方向に貫通する平面視略円形状の開口66を有していても良い。開口66は、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を誘導する破壊誘導部としての機能を有していても良い。なお、開口66は、平面視略半楕円形状、平面視略かまぼこ形状、平面視略四角形形状、平面視略三角形形状等であっても良い。
【0064】
易破壊構造部50が上述した開口66を有する場合、この開口66は複数設けられていても良い。例えば
図16に示すように、複数の開口66が互いに等しい間隔を空けて一直線状に並んでいても良い。この場合、仮想破壊線Lは、複数の開口66を結ぶように形成される。複数の開口66は、周辺部底辺31と収容部底辺21との間であって、周辺部底辺31及び収容部底辺21の両方から離間して配置されている。この場合、仮想破壊線Lは、周辺部底辺31及び収容部底辺21と平行になっていても良い。これにより、生体試料凍結保存容器10から生体試料を自動分注する作業時に、自動分注装置によって生体試料凍結保存容器10の底面に与えられる衝撃を易破壊構造部50が吸収することができる。これにより、衝撃によって細胞などの生体試料に悪影響を及ぼす気泡が生体試料中に発生することを抑制することができる。
【0065】
また、易破壊構造部50が複数の開口66を有する場合、複数の開口66は、周辺部底辺31と収容部底辺21との中間線よりも周辺部底辺31側に配置されていても良い(
図17参照)。この場合、易破壊構造部50の位置が収容部20からより離れるため、生体試料が収容部20から漏洩するリスクをより低くすることができる。
【0066】
また、
図18に示すように、易破壊構造部50が、周辺部30に沿う細長い形状の開口67を有していても良い。この開口67は、矩形状の細長い形状を有し、周辺部30の長手方向に沿って延びていても良い。開口67は、周辺部底辺31と収容部底辺21と周辺部第1側辺32と周辺部第2側辺33とに取り囲まれる領域であって、これら各辺の全てから離間して配置されている。この場合、仮想破壊線Lは、開口67の長手方向に平行に延びる。なお、開口67は、仮想破壊線Lに沿う周辺部30の破壊を誘導する破壊誘導部としての機能を有していても良い。
【0067】
さらに、
図19に示すように、易破壊構造部50は、周辺部30の他の部分よりも薄肉化された薄肉部68を有していても良い。薄肉部68は、周辺部30の幅方向外側に形成されており、周辺部第1側辺32、周辺部底辺31及び周辺部第2側辺33に沿って形成されている。仮想破壊線Lは、薄肉部68内にどのように形成されてもよく、例えば周辺部第1側辺32と周辺部底辺31とを繋ぐように、あるいは周辺部第1側辺32と周辺部第2側辺33とを繋ぐように薄肉部68内に形成されてもよい。また、仮想破壊線Lは、薄肉部68と他の部分との境界に沿うように形成されてもよい。この薄肉部68と他の部分との境界には仮想破壊停止線Sが形成され、仮想破壊停止線Sは、衝撃が加わった際にそこに沿って破壊の伝播が抑制される役割を果たす。仮想破壊停止線Sが仮想破壊線Lと一致しても良く、仮想破壊停止線Sが仮想破壊線Lと一致しなくてもよい。この場合、薄肉部68は、第1フィルム11及び第2フィルム12のうちいずれか一方から構成されていても良く、周辺部30の他の部分は、第1フィルム11及び第2フィルム12の両方から構成されていても良い。易破壊構造部50が薄肉部68を有することにより、周辺部30に衝撃が加わった際に薄肉部68が優先的に破壊され、薄肉部68よりも厚い周辺部30の他の部分まで破壊が伝播しにくくすることができる。これにより、周辺部30の破壊が収容部20まで到達してしまうことを抑制することができる。
【0068】
また、
図20に示すように、易破壊構造部50が薄肉部68を有する場合、薄肉部68は、周辺部第1側辺32と第1収容部角部25と周辺部底辺31とによって取り囲まれた平面視三角形形状を有していても良い。この場合、仮想破壊線Lは、薄肉部68と周辺部30の他の部分との境界に位置する仮想破壊停止線S(周辺部第1側辺32と周辺部底辺31とを繋ぐ線)に一致していても良い。
【0069】
なお、
図19及び
図20において、薄肉部68を網掛けで示している(他の図についても同様)。また、比較例として
図23(a)(b)に示すように、薄肉部68が収容部20に対して点Paで接したり(
図23(a))、線Pbで接したり(
図23(b))する場合、仮想破壊線Lが収容部20を通過してしまう可能性がある。このため、
図19及び
図20に示すように、薄肉部68が収容部20に直接接しない位置に設けられていることが好ましい。
【0070】
薄肉部68を形成する方法としては、例えば
図21(a)に示すように、周辺部30の他の部分69(薄肉部68以外の部分)を、相対する部材同士(例えば、2枚の重なったフィルム)を熱溶着等でシールすることにより形成し、薄肉部68を、相対する部材がなくシールしていない部分(例えば、フィルム1枚)により形成しても良い。あるいは、
図21(b)に示すように、周辺部30の全体を、相対する部材同士(例えば、2枚の重なったフィルム)を熱溶着等でシールすることにより形成しても良い。この場合、薄肉部68は、他の部分69(薄肉部68以外の部分)よりも薄肉となる条件で熱溶着等によりシールされても良い。上記薄肉となる条件としては、例えば圧力を高くしたり、温度を高くしたりすること等が挙げられる。これにより、薄肉部68の樹脂の分子は、他の部分69よりも、周辺部30を薄肉化した際に樹脂が引き延ばされた方向(例えば
図21(b)の左方向)に配向しやすい。このため、周辺部30に衝撃が加わると、上記配向した方向に直交する方向(例えば
図21(b)の紙面手前方向又は奥方向)に沿って薄肉部68が破損しやすくなるため、より好ましい。
【0071】
また、
図22(a)(b)に示すように、易破壊構造部50は、周辺部30の外縁に位置する辺に沿うように設けられていても良い。このうち
図22(a)は、易破壊構造部50が仮想破壊線Lに沿って形成されたミシン目64を有する場合を示し、
図22(a)は、易破壊構造部50が薄肉部68を有する場合を示している。また
図22(a)(b)において、易破壊構造部50は、周辺部30の外縁に位置する全ての辺(周辺部底辺31、周辺部第1側辺32、周辺部第2側辺33、周辺部上辺34)に沿って形成されているが、これに限らず1辺のみ、2辺のみ又は3辺のみに沿って形成されていても良い。これにより、周辺部30に衝撃が加わった際、易破壊構造部50が周辺部30の外縁に位置する辺に沿って優先的に破壊される。これにより、周辺部30の破壊が収容部20まで到達することを抑制することができる。
【0072】
本実施の形態において、易破壊構造部50は、破壊開始部及び破壊誘導部の両方を有していても良く、いずれか一方のみを有していても良い。また、易破壊構造部50は、破壊開始部及び破壊誘導部のいずれも有していなくてもよい。
【0073】
[本実施の形態の作用]
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0074】
まず、細胞等の生体試料を生体試料凍結保存容器10の収容部20に収容し、密封する。次に、
図24に示すように、生体試料を収容した複数個の生体試料凍結保存容器10をラック71等に載置した後、生体試料凍結保存容器10をラック71ごと液体窒素N等が充填された保存容器72に収容する。保存容器72内で、生体試料凍結保存容器10は液体窒素Nによって凍結され、少なくとも0℃以下、好ましくは-80℃以下、さらに好ましくは-150℃以下(超低温フリーザーや液体窒素気相下の温度)、特に好ましくは-196℃(液体窒素温度)の環境下で保存又は搬送される。なお、生体試料凍結保存容器10が液体窒素Nによって凍結される場合、生体試料凍結保存容器10は、保存容器72内で液体窒素Nに直接浸漬されても良く(
図24参照)、あるいは、液体窒素N上の気相中で凍結されても良い。
【0075】
細胞等の生体試料を使用する際には、生体試料凍結保存容器10を保存容器72から取り出して解凍する。このとき、生体試料凍結保存容器10は、ラック71ごと保存容器72から引き上げられ、その後、ラック71から取り出される。次いで、生体試料凍結保存容器10は、例えば37℃~40℃の温浴槽内に浸漬されて解凍される。
【0076】
ところで、生体試料凍結保存容器10は、液体窒素N等によって超低温環境下で凍結されることによりガラス化し、衝撃によって容易に破損しやすくなっている。例えば、生体試料凍結保存容器10は、保存容器72内で保存又は搬送されている間、あるいは、保存容器72から取り出されて解凍される間、誤って落下したり、硬い物体に衝突したりする場合がある。この場合、ガラス化した生体試料凍結保存容器10が破損するおそれがある。このとき、仮に破損した箇所が収容部20まで達していると、生体試料凍結保存容器10を解凍した際、収容部20内の生体試料が破損した箇所から漏洩してしまう。
【0077】
これに対して本実施の形態によれば、周辺部30の領域内に、周辺部30に衝撃が加わった際に仮想破壊線Lに沿って破壊するように構成された易破壊構造部50が形成されている。このため、周辺部30に衝撃が加わった際、易破壊構造部50が仮想破壊線Lに沿って優先的に破壊される。また、仮想破壊線Lは、収容部20を通過しないため、易破壊構造部50が破壊した際、周辺部30のみが破壊され、収容部20が破壊されることはない。この結果、生体試料凍結保存容器10を解凍した際、収容部20内の生体試料が漏洩することを抑止することができる。また、生体試料凍結保存容器10を解凍する前においても、収容部20の無菌性が担保できなくなることを抑制している。
【0078】
また、輸送時等、当事者が認識していないところで生体試料凍結保存容器10が強い衝撃を受けた場合にも、易破壊構造部50が優先的に破損する。この場合、周辺部30のうち仮想破壊線Lよりも外側の部分が、周辺部30の他の部分から分離して脱落する。このため、生体試料凍結保存容器10の破損の有無を目視で確認することが容易であり、凍結した状態で生体試料凍結保存容器10の使用可否を容易に判断することができる。これにより、収容部20が破損した生体試料凍結保存容器10を誤って解凍してしまい、細胞等の生体試料が温浴槽内に流出することを抑えることができる。
【0079】
[実施例]
次に、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
【0080】
(実施例1)
図25に示す構成をもつ易破壊構造部を有する生体試料凍結保存容器を作製した。この場合、生体試料凍結保存容器は、厚さ220μm~260μmのポリエチレンフィルムを2枚重ねて熱溶着することにより構成され、周辺部(幅5mm)を溶着することで袋状に形成した。この生体試料凍結保存容器内に水を封入した。この生体試料凍結保存容器の第1周辺部角部には、2つの矩形の切込みを形成した。仮想破壊線(二点鎖線)は周辺部のみを通過するようにした。この生体試料凍結保存容器を、液体窒素中に浸漬して凍結状態となったことを確認した後、生体試料凍結保存容器を液体窒素中から取り出し、直ぐに高さ40cmの位置から第1周辺部角部に衝撃が加わるように落下させた。この結果、易破壊構造部の仮想破壊線に沿って周辺部のみが破損した。このため、内容物(水)の漏洩を防止することができた。なお、
図25中、破損した領域を斜線で示し、内容物(水)が収容された領域を灰色で示している(
図26乃至
図37についても同様)。
【0081】
(実施例2)
図26に示すように、易破壊構造部が2つの矩形の開口を有すること、以外は、実施例1と同様にして、実施例2の生体試料凍結保存容器を作製した。実施例1の場合と同様に実施例2の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、易破壊構造部の仮想破壊線に沿って周辺部のみが破損したため、内容物(水)の漏洩を防止することができた。
【0082】
(実施例3)
図27に示すように、周辺部の幅を10mmとし、易破壊構造部が薄肉部(網掛け)を有すること、以外は、実施例1と同様にして、実施例3の生体試料凍結保存容器を作製した。なお、薄肉部は
図21(a)のように構成した。すなわち薄肉部はポリエチレンフィルム1枚の厚さ分(220μm~260μm)になり、周辺部の他の部分は、ポリエチレンフィルム2枚の厚さ分(440μm~520μm)になっている。実施例1の場合と同様に実施例3の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、易破壊構造部の仮想破壊線に沿って周辺部のみが破損したため、内容物(水)の漏洩を防止することができた。
【0083】
(実施例4)
図28に示すように、易破壊構造部が1つの円形の開口を有すること、以外は、実施例1と同様にして、実施例4の生体試料凍結保存容器を作製した。実施例1の場合と同様に実施例4の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、易破壊構造部の仮想破壊線に沿って周辺部のみが破損したため、内容物(水)の漏洩を防止することができた。
【0084】
(実施例5)
図29に示すように、周辺部の幅を10mmとし、易破壊構造部の開口の位置を変更したこと、以外は、実施例4と同様にして、実施例5の生体試料凍結保存容器を作製した。実施例1の場合と同様に実施例5の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、易破壊構造部の仮想破壊線に沿って周辺部のみが破損したため、内容物(水)の漏洩を防止することができた。
【0085】
(実施例6)
図30に示すように、易破壊構造部が1つの矩形の開口を有すること、以外は、実施例1と同様にして、実施例6の生体試料凍結保存容器を作製した。実施例1の場合と同様に実施例6の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、易破壊構造部の仮想破壊線に沿って周辺部のみが破損したため、内容物(水)の漏洩を防止することができた。
【0086】
(実施例7)
図31に示すように、周辺部の幅を10mmとし、易破壊構造部の開口の位置を変更したこと、以外は、実施例6と同様にして、実施例7の生体試料凍結保存容器を作製した。実施例1の場合と同様に実施例7の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、易破壊構造部の仮想破壊線に沿って周辺部のみが破損したため、内容物(水)の漏洩を防止することができた。
【0087】
(実施例8)
図32に示すように、周辺部の幅を11mmとし、易破壊構造部の開口の位置を変更したこと、以外は、実施例6と同様にして、実施例8の生体試料凍結保存容器を作製した。実施例1の場合と同様に実施例8の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、易破壊構造部の仮想破壊線に沿って周辺部のみが破損したため、内容物(水)の漏洩を防止することができた。
【0088】
(実施例9)
図33に示すように、生体試料凍結保存容器が厚さ360μmのポリエチレンフィルムで構成されたチューブ容器であり、周辺部の幅を10mmとし、易破壊構造部が薄肉部(網掛け)を有すること、以外は、実施例1と同様にして、実施例9の生体試料凍結保存容器を作製した。なお、薄肉部は
図21(a)のように構成した。すなわち薄肉部はポリエチレンフィルム1枚の厚さ分(360μm)になり、周辺部の他の部分は、ポリエチレンフィルム2枚の厚さ分(720μm)になっている。実施例1の場合と同様に実施例9の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、易破壊構造部の仮想破壊線に沿って周辺部のみが破損したため、内容物(水)の漏洩を防止することができた。
【0089】
(比較例1)
図34に示すように、易破壊構造部を設けなかったこと、以外は、実施例1と同様にして、比較例1の生体試料凍結保存容器を作製した。実施例1の場合と同様に比較例1の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、周辺部だけでなく、収容部が破損したため、内容物(水)が漏洩してしまった。
【0090】
(比較例2)
図35に示すように、易破壊構造部が2つの矩形の開口を有し、仮想破壊線が収容部を通過するようにしたこと、以外は、実施例2と同様にして、比較例2の生体試料凍結保存容器を作製した。実施例1の場合と同様に比較例2の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、周辺部だけでなく、収容部が破損したため、内容物(水)が漏洩してしまった。
【0091】
(比較例3)
図36に示すように、周辺部の幅を11mmとし、易破壊構造部の開口の位置を変更したこと、以外は、実施例4と同様にして、比較例3の生体試料凍結保存容器を作製した。実施例1の場合と同様に比較例3の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、周辺部だけでなく、収容部が破損したため、内容物(水)が漏洩してしまった。
【0092】
(比較例4)
図37に示すように、易破壊構造部を設けなかったこと、以外は、実施例9と同様にして、比較例4の生体試料凍結保存容器(チューブ容器)を作製した。実施例1の場合と同様に比較例4の生体試料凍結保存容器を落下させたところ、周辺部だけでなく、収容部が破損したため、内容物(水)が漏洩してしまった。
【0093】
上記実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 生体試料凍結保存容器
20 収容部
21 収容部底辺
22 収容部第1側辺
23 収容部第2側辺
24 収容部上辺
25 第1収容部角部
26 第2収容部角部
27 第3収容部角部
28 第4収容部角部
30 周辺部
31 周辺部底辺
32 周辺部第1側辺
33 周辺部第2側辺
34 周辺部上辺
35 第1周辺部角部
36 第2周辺部角部
37 第3周辺部角部
38 第4周辺部角部
50 易破壊構造部