(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】エリア遷移予測装置及びエリア遷移予測プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0203 20230101AFI20240927BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/0203
G06Q30/0601 330
(21)【出願番号】P 2019167190
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】望月 克人
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-014357(JP,A)
【文献】特開2011-113471(JP,A)
【文献】特表2017-502401(JP,A)
【文献】特開2006-113711(JP,A)
【文献】特開2015-197689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店内を撮影した撮影画像から、ユーザの位置情報及び位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報を取得する取得部と、
前記店内において商品が陳列される棚に対向する複数のエリアを含むマップ情報及び前記行動履歴情報に基づきユーザの現在位置から複数の滞在エリアへの遷移確率を予測し、遷移確率が高い滞在エリアの陳列商品情報を遷移確率が低い滞在エリアの陳列商品情報より増やす情報処理部と、
遷移確率の予測に基づく各滞在エリアの陳列商品情報を出力する出力部と、
を備えるエリア遷移予測装置。
【請求項2】
前記情報処理部は、遷移確率が高い滞在エリアの陳列商品情報を遷移確率が低い滞在エリアの陳列商品情報より多くの推薦レベルで選択する、請求項1のエリア遷移予測装置。
【請求項3】
前記情報処理部は、最も高い確率で遷移が予測される滞在エリアの陳列商品情報については、所定数の推薦レベルに対応した陳列商品情報を選択し、二番目に高い確率で遷移が予測される滞在エリアの陳列商品情報については、前記所定数より少ない数の推薦レベルに応じた陳列商品情報を選択する、請求項2のエリア遷移予測装置。
【請求項4】
前記情報処理部は、各滞在エリアの陳列商品情報として、少なくとも最も高い推薦レベルに対応した陳列商品情報を選択する、請求項3のエリア遷移予測装置。
【請求項5】
前記取得部は、ユーザ識別情報を取得し、
前記情報処理部は、前記ユーザ識別情報に対応する登録ユーザの現在位置から滞在エリアへの遷移を予測し、
前記出力部は、前記ユーザ識別情報に対応する通知先に、遷移予測に基づく情報を通知する、請求項1乃至4のいずれか一つのエリア遷移予測装置。
【請求項6】
商品データベースは、商品のデータを記述した商品レコードの集合体を含み、
前記商品レコードは、陳列エリア情報を含み、
前記情報処理部は、前記商品レコードに基づき、遷移先の滞在エリアに陳列される商品の陳列商品情報を選択する、請求項1のエリア遷移予測装置。
【請求項7】
店内を撮影した撮影画像から、ユーザの位置情報及び位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報を取得する取得部と、
前記店内において商品が陳列される棚に対向する複数のエリアを含むマップ情報及び前記行動履歴情報に基づきユーザの現在位置から滞在エリアへの遷移を予測する情報処理部と、
遷移予測に基づく情報を出力する出力部と、
を備え、
前記取得部は、ユーザ識別情報及び購買商品情報を取得し、
前記情報処理部は、滞在エリアの陳列商品情報及び前記購買商品情報に基づき推薦商品情報を選択し、
前記出力部は、前記ユーザ識別情報に対応する通知先に、前記推薦商品情報を通知する、エリア遷移予測装置。
【請求項8】
商品データベースは、商品のデータを記述した商品レコードの集合体を含み、
前記商品レコードは、陳列エリア情報を含み、
前記情報処理部は、前記商品レコードに基づき、遷移先の滞在エリアに陳列される商品の陳列商品情報を選択する、請求項7のエリア遷移予測装置。
【請求項9】
コンピュータに、
店内を撮影した撮影画像から、ユーザの位置情報及び位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報を取得する手順と、
前記店内において商品が陳列される棚に対向する複数のエリアを含むマップ情報及び前記行動履歴情報に基づきユーザの現在位置から複数の滞在エリアへの遷移確率を予測し、遷移確率が高い滞在エリアの陳列商品情報を遷移確率が低い滞在エリアの陳列商品情報より増やす手順と、
遷移確率の予測に基づく各滞在エリアの陳列商品情報を出力する手順と、
を実行させるためのエリア遷移予測プログラム。
【請求項10】
商品データベースは、商品のデータを記述した商品レコードの集合体を含み、
前記商品レコードは、陳列エリア情報を含み、
前記陳列
商品情報を増やす手順は、前記商品レコードに基づき、遷移先の滞在エリアに陳列される商品の陳列商品情報を選択する手順を含む、請求項9のエリア遷移予測プログラム。
【請求項11】
コンピュータに、
店内を撮影した撮影画像から、ユーザの位置情報及び位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報を取得する手順と、
前記店内において商品が陳列される棚に対向する複数のエリアを含むマップ情報及び前記行動履歴情報に基づきユーザの現在位置から滞在エリアへの遷移を予測する手順と、
遷移予測に基づく情報を出力する手順と、
を実行させるためのプログラムであって、
さらに、ユーザ識別情報及び購買商品情報を取得する手順と、
滞在エリアの陳列商品情報及び前記購買商品情報に基づき推薦商品情報を選択する手順と、
前記ユーザ識別情報に対応する通知先に、前記推薦商品情報を通知する手順と、
を実行させるためのエリア遷移予測プログラム。
【請求項12】
商品データベースは、商品のデータを記述した商品レコードの集合体を含み、
前記商品レコードは、陳列エリア情報を含み、
前記推薦商品情報を選択する手順は、前記商品レコードに基づき、遷移先の滞在エリアに陳列される商品の陳列商品情報を選択する手順を含む、請求項11のエリア遷移予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エリア遷移予測装置及びエリア遷移予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット又はコンビニエンスストアなどの多くの店舗において、商品販売データ処理システムが導入されている。このような商品販売データ処理システムは、商品の割引券等を発行する機能を有し、本機能により商品の販売促進効果が期待される。また、店舗内のユーザの動線に着目して、動線に沿って商品広告等を貼り出し、販売促進を狙う手法もよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
店舗内等におけるユーザの経路情報から動線を推定する技術が知られているが、動線には単なる通過が含まれるため、動線を推定しただけではユーザの目的行動を掴みきれないことがある。このような背景から、ユーザの目的行動をより高精度に予測する技術が望まれている。
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、ユーザの目的行動の予測精度に優れたエリア遷移予測装置及びエリア遷移予測プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエリア遷移予測装置は、取得部、情報処理部、及び出力部を備える。前記取得部は、ユーザの位置情報及び位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報を取得する。前記情報処理部は、複数のエリアを含むマップ情報及び前記行動履歴情報に基づきユーザの現在位置から滞在エリアへの遷移を予測する。前記出力部は、遷移予測に基づく情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る取引処理システムの一例を示す全体構成図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る取引処理システムを導入した店舗のレイアウトの一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、情報端末の要部回路構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、店舗サーバの要部回路構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、情報端末が設けられたカートの一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、仮想POSサーバの要部回路構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、店内の各売り場のレイアウトの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7のレイアウトに対応するマップ情報の一例である。
【
図9】
図9は、
図7のレイアウト又は
図8のマップ上に重ねた客の動線の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、店舗サーバによる特定の客の行動分析の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、店舗サーバで管理される第1の滞在エリア分析データベースの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、店舗サーバに登録されるエリア管理データベースの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、店舗サーバで管理される第2の滞在エリア分析データベースの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、店舗サーバによる滞在エリアの遷移確率の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、店舗サーバによる滞在エリアの遷移予測及び情報出力の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、店舗サーバによる遷移予測処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、店舗サーバによる情報出力処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。本実施形態では、ユーザである客が購買商品の登録から決済までをセルフで行うことを可能とした取引処理システムにおける滞在エリアの遷移予測及びエリア遷移に基づく情報出力について説明する。なお、本実施形態では、売場にてショッピングカートに取り付けられた情報端末を操作して購買商品の販売データを登録した客が、有人対応の会計機又はセルフ対応の会計機のいずれかを利用して決済を行うことを可能とした取引処理システムを例示する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る取引処理システム1の一例を示す全体構成図であり、
図2は、同取引処理システム1を導入した店舗のレイアウトの一例を示す模式図である。はじめに、
図1及び
図2を用いて、取引処理システム1の概略について説明する。
【0010】
図1に示すように取引処理システム1は、情報端末10、店舗サーバ20、仮想POS(Point Of Sales)サーバ30、有人会計機40、セルフ会計機50、アクセスポイント60、カメラ70、及びネットワーク80を含む。ネットワーク80は、例えばLAN(Local Area Network)である。取引処理システム1は、このネットワーク80に、店舗サーバ20、仮想POSサーバ30、有人会計機40、セルフ会計機50、アクセスポイント60、及びカメラ70を接続している。
【0011】
情報端末10は、購買者である客が、購買商品の登録に係るデータの入力をセルフで行うことを可能とした端末である。
図2に示すように情報端末10は、ショッピングカートCに取り付けられている。以下では、ショッピングカートCを単にカートCと称する。カートCは、そのカートCのユーザである客M1の購買商品を搬送する搬送体の一例である。情報端末10は、カートCに対して着脱自在に取り付けられていることが好ましい。
【0012】
情報端末10は、アクセスポイント60と無線通信を行うための無線ユニット14(
図3を参照)を備えている。アクセスポイント60は、情報端末10とネットワーク80に繋がる各機器との通信を中継する。アクセスポイント60は、一台又は複数台が配置される。
【0013】
店舗サーバ20は、店舗業務全般を支援するコンピュータであり、行動履歴情報等の取得、エリア遷移予測、及び遷移予測に基づく情報出力等を実行するエリア遷移予測装置である。店舗サーバ20は、商品データベースを含む種々のデータベースを記憶し管理する。商品データベースは、店舗で販売されている各商品のデータを記述した商品レコードの集合体である。商品レコードには、商品コード、価格、商品名、陳列エリア情報、及び推薦商品情報等の商品情報が記述されている。商品コードは、商品を個々に識別するために商品毎に設定された識別コードである。各商品には、通常、商品コードを表したバーコード又は二次元データコードが付されている。店舗サーバ20の詳細については後述する。
【0014】
仮想POSサーバ30は、情報端末10と協働することで、その情報端末10がPOS端末として機能しているように見せかけるための支援を行うコンピュータである。仮想POSサーバ30は、取引処理装置の一態様である。情報端末10及び仮想POSサーバ30の詳細については後述する。
【0015】
有人会計機40は、少なくとも購買商品の決済を店員が行うようにした端末である。すなわち有人会計機40は、有人対応の会計機の一例である。購買商品の登録を有人会計機40で行ってもよい。このため、従来周知のPOS端末をそのまま有人会計機40として利用することができる。
【0016】
セルフ会計機50は、購買商品の決済を客がセルフで行うようにした端末である。すなわちセルフ会計機50は、セルフ対応の会計機の一例である。従来周知のセミセルフ方式の会計機をそのままセルフ会計機50として利用することができる。あるいは、セルフ方式のPOS端末をそのままセルフ会計機50として利用することも可能である。
【0017】
カメラ70は、店舗内を撮影するカメラである。例えば、複数台のカメラ70がネットワーク80に接続され、これら複数台のカメラ70により店舗内全域が撮影される。カメラ70は、ネットワーク80を介して、撮影した画像を店舗サーバ20へ送信する。
【0018】
図2に示すように、有人会計機40は、対面レジG1に設置されている。対面レジG1には、原則、店員M2が常駐する。客M1は、必ずしも情報端末10を用いて購買商品の登録をセルフで行うとは限らない。購買商品の登録を対面レジG1の店員M2に委ねる客M1もいる。有人会計機40は、基本的にはこのような客M1の購買商品の登録と会計に対応したものである。
【0019】
対面レジG1には、スキャナSC1が設けられている。スキャナSC1は、有人会計機40と接続している。スキャナSC1は、定置式であってもよいし手持ち式であってもよい。店員M2は、スキャナSC1で客M1の購買商品に付されたバーコードをスキャニングする。このスキャニングにより、有人会計機40において購買商品が登録され、一取引の決済金額が有人会計機40の表示デバイスに表示される。そこで客M1は、決済金額相当の代金を店員M2に支払う。代金は現金、クレジットカード、電子マネーの他、商品券、ギフト券等の金券で支払うこともできる。店員は、代金支払いに関するデータを有人会計機40に入力する。これにより、有人会計機40では決済処理が実行されて、購買商品が決済される。
【0020】
図2に示すように、セルフ会計機50は、セルフレジG2に設置されている。セルフレジG2には、店員が常駐していない。情報端末10を用いて購買商品の登録をセルフで行った客M1は、セルフレジG2へ行き、空いているセルフ会計機50で購買商品を決済することができる。すなわち取引処理システム1においては、購買商品の登録から決済までを客がセルフで行うことができる。
【0021】
セルフレジG2には、スキャナSC2が設けられている。スキャナSC2は、セルフ会計機50と接続している。スキャナSC2は、定置式であってもよいし手持ち式であってもよい。客M1は、スキャナSC2で後述する会計バーコードをスキャニングする。このスキャニングにより、客M1の購買商品リストがセルフ会計機50に入力され、一取引の決済金額が表示される。そこで客M1は、決済金額相当の現金をセルフ会計機50に備えられた釣銭機に投入する。あるいは客M1は、クレジットカード、電子マネーカード等の決済用カードに記録されたデータをセルフ会計機50のリーダで読み取らせる。これにより、セルフ会計機50では決済処理が実行されて、購買商品が決済される。
【0022】
ところで、支払方法には、現金、クレジットカード、電子マネーカード等とともに商品券、ギフト券等の金券がある。ただし金券は、不正防止等の観点から、基本的にセルフレジG2では使用することができない。このため本実施形態では、セルフ会計機50は、金券による支払いを受け付けない。金券による支払いは、店員M2が常駐する対面レジG1の有人会計機40にて受け付ける。このため有人会計機40においても、店員M2がスキャナSC1で会計バーコードをスキャニングすると、客M1の購買商品リストが有人会計機40に入力され、一取引の決済金額が表示される。以後は、店員M2の介在の下、金券等の支払方法によって代金が支払われることにより、購買商品が決済される。
【0023】
なお、対面レジG1に設置される有人会計機40とセルフレジG2に設置されるセルフ会計機50との台数の比率は、特に限定されるものではない。買物客の傾向、店舗面積、人件コスト等を考慮して、店舗毎に適宜決められる事項である。
【0024】
次に、情報端末10と店舗サーバ20と仮想POSサーバ30とについて詳細に説明する。
図3は、情報端末10の要部回路構成の一例を示すブロック図である。情報端末10は、プロセッサ11、主記憶デバイス12、補助記憶デバイス13、無線ユニット14、タッチパネル15、スキャナ16、リーダ17、カメラ18及びシステム伝送路19を備える。システム伝送路19は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。情報端末10は、システム伝送路19に、プロセッサ11、主記憶デバイス12、補助記憶デバイス13、無線ユニット14、タッチパネル15、スキャナ16、リーダ17、カメラ18を接続する。情報端末10では、プロセッサ11、主記憶デバイス12及び補助記憶デバイス13と、これらを接続するシステム伝送路19とによってコンピュータが構成される。
【0025】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムに従って、情報端末10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0026】
主記憶デバイス12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。主記憶デバイス12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。主記憶デバイス12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムの一部又は全部を記憶する。主記憶デバイス12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。主記憶デバイス12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0027】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)(登録商標)、HDD(Hard Disc Drive)、及びSSD(Solid State Drive)等のうちの一つ又は複数により構成される。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ11での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス13は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0028】
無線ユニット14は、アクセスポイント60との間で無線通信プロトコルに従いデータの無線通信を行う。
【0029】
タッチパネル15は、情報端末10の入力デバイスと表示デバイスとを兼ね備えた機器である。タッチパネル15は、表示された画像に対するタッチ位置を検出し、そのタッチ位置情報をプロセッサ11に出力する。
【0030】
スキャナ16は、商品に付されたバーコード、二次元データコード等のコードシンボルを読み取る。商品には、その商品コードを表すコードシンボルが付されている。スキャナ16は、読み取ったコードシンボルのデータをプロセッサ11に出力する。スキャナ16は、レーザ光の走査によりコードシンボルを読み取るタイプであってもよいし、撮像デバイスで撮像した画像からコードシンボルを読み取るタイプであってもよい。
【0031】
リーダ17は、記憶媒体に記憶されたデータを読み取り、読み取ったデータをプロセッサ11に出力する。リーダ17は、記憶媒体が磁気カードの場合は磁気カードリーダであり、接触式ICカードの場合にはICカードリーダである。非接触式ICカード又はスマートフォン等のようにRFID(Radio Frequency Identification)を使用した記憶媒体の場合には、RFIDリーダがリーダ17として使用される。
【0032】
カメラ18は、カートCの籠受部C3(
図5を参照)に置かれた買物カゴを上方から撮影できるように、カートCに設けられている。カメラ18は、カートCのユーザである客が買上商品を正しく買物カゴに入れたか否かを監視するためのものである。
【0033】
以上のような回路構成要素を備えた情報端末10において、プロセッサ11、主記憶デバイス12、補助記憶デバイス13、無線ユニット14及びタッチパネル15は、タブレット端末TMによって構成されている。そしてこのタブレット端末TMに、スキャナ16、リーダ17及びカメラ18を電気的に接続することで、情報端末10が構成されている。
【0034】
図4は、店舗サーバ20の要部回路構成の一例を示すブロック図である。店舗サーバ20は、プロセッサ21、主記憶デバイス22、補助記憶デバイス23、通信ユニット24、入力部25、ディスプレイ26、及びシステム伝送路27を備える。システム伝送路27は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。店舗サーバ20は、システム伝送路27に、プロセッサ21、主記憶デバイス22、補助記憶デバイス23、通信ユニット24、入力部25、及びディスプレイ26を接続する。店舗サーバ20では、プロセッサ21、主記憶デバイス22、及び補助記憶デバイス23と、これらを接続するシステム伝送路27とによってコンピュータが構成される。
【0035】
プロセッサ21は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ21は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムに従って、店舗サーバ20としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ21は、例えばCPUである。
【0036】
主記憶デバイス22は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。主記憶デバイス22は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。主記憶デバイス22は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムの一部又は全部を記憶する。主記憶デバイス22は、プロセッサ21が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。主記憶デバイス22は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ21によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0037】
補助記憶デバイス23は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM、HDD、及びSSD等のうちの一つ又は複数により構成される。補助記憶デバイス23は、プロセッサ21が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ21での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス23は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0038】
主記憶デバイス22又は補助記憶デバイス23に記憶されるアプリケーションプログラムには、店舗サーバ20で実行される情報処理に関して記述した制御プログラムが含まれる。制御プログラムを主記憶デバイス22又は補助記憶デバイス23にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記憶媒体に制御プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により制御プログラムを配信して、主記憶デバイス22又は補助記憶デバイス23にインストールすることができる。記憶媒体は、CD-ROM、メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であれば、その形態は問わない。
【0039】
通信ユニット24は、アクセスポイント60との間で無線通信プロトコルに従いデータの無線通信を行う。また、通信ユニット24は、ネットワーク80を介して接続される他の機器との間で通信プロトコルに従いデータ通信を行う。
入力部25は、オペレータからの各種情報の入力を受け付ける。
ディスプレイ26は、各種情報を表示する表示部である。
【0040】
図5は、情報端末10が設けられたカートCの一例を示す斜視図である。カートCは、移動用のキャスタ部C1と、ハンドルフレーム部C2と、籠受部C3とを備えている。キャスタ部C1は、床面上を円滑に移動させるための4輪の車輪C11を有している。またキャスタ部C1は、買物カゴSBに入らないような大きな荷物を置くための受け部C12を備えている。ハンドルフレーム部C2は、キャスタ部C1の後輪側に立設された一対の縦フレームC21,C21と、これら縦フレームC21,C21の上端を連結するハンドルバーC22と、を含む。籠受部C3は、ハンドルフレーム部C2の中途部位から前方にある。カートCは、籠受部C3に、店備え付けの買物カゴSBを載置することができる。買物カゴSBは、商品を収容するためのものである。
【0041】
スキャナ16は、ハンドルバーC22の中途部にある。スキャナ16は、手前側に読取窓が位置するようにハンドルバーC22に取り付けられている。手前側は、ハンドルバーC22を持ってカートCを押す客が立つ側である。
【0042】
一方の縦フレームC21に、ポールC4が取り付けられている。ポールC4は、その先端がハンドルバーC22よりも上方に位置している。タブレット端末TMは、タッチパネル15の画面を手前にしてポールC4の先端部に取り付けられている。リーダ17は、カードスリットが手前側に位置するようにタブレット端末TMに取り付けられている。
図5においては、リーダ17を磁気カードリーダとしている。カメラ18は、籠受部C3に置かれた買物カゴSBの全体を上方から撮像するように、ポールC4の中途部に取り付けられている。
【0043】
バッテリBTは、ハンドルフレーム部C2の下端側に、縦フレームC21,C21に亘って取り付けられている。バッテリBTは、タブレット端末TM、スキャナ16、リーダ17及びカメラ18の駆動電源となる。
【0044】
図6は、仮想POSサーバ30の要部回路構成の一例を示すブロック図である。仮想POSサーバ30は、プロセッサ31、主記憶デバイス32、補助記憶デバイス33、通信インターフェース34及びシステム伝送路35を備える。システム伝送路35は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。仮想POSサーバ30は、システム伝送路35に、プロセッサ31、主記憶デバイス32、補助記憶デバイス33、通信インターフェース34を接続する。仮想POSサーバ30では、プロセッサ31、主記憶デバイス32及び補助記憶デバイス33と、これらを接続するシステム伝送路35とによってコンピュータが構成される。
【0045】
プロセッサ31は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ31は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムに従って、仮想POSサーバ30としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ31は、例えばCPUである。
【0046】
主記憶デバイス32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。主記憶デバイス32は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。主記憶デバイス32は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムの一部又は全部を記憶する。主記憶デバイス32は、プロセッサ31が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。主記憶デバイス32は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ31によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0047】
補助記憶デバイス33は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM、HDD、及びSSD等のうちの一つ又は複数により構成される。補助記憶デバイス33は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ31での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス33は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0048】
主記憶デバイス32又は補助記憶デバイス33に記憶されるアプリケーションプログラムには、仮想POSサーバ30で実行される情報処理に関して記述した制御プログラムが含まれる。制御プログラムを主記憶デバイス32又は補助記憶デバイス33にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記憶媒体に制御プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により制御プログラムを配信して、主記憶デバイス32又は補助記憶デバイス33にインストールすることができる。記憶媒体は、CD-ROM、メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であれば、その形態は問わない。
【0049】
通信インターフェース34は、ネットワーク80に接続される。通信インターフェース34は、ネットワーク80を介して接続される他の機器との間で通信プロトコルに従いデータ通信を行う。
【0050】
次に、店舗サーバ20によるエリア遷移予測について説明する。
図7は、店内の各売り場のレイアウトの一例を示す図である。
図7に示すように、各売り場には、商品が陳列される棚(斜線部)が配置され、棚と棚の間が客の通路になる。
【0051】
図8は、
図7のレイアウトに対応するマップ情報の一例である。店舗サーバ20の補助記憶デバイス23は、マップ情報を記憶する。マップ情報は、商品が陳列される棚に対向する複数のエリアを含み、さらに、会計のためのエリアを含む。商品が陳列される棚に対向する複数のエリアにはエリアID(Identification)(E1~E13)が割り当てられ、会計のためのエリアにもID(E14)が割り当てられる。エリアE1~E13に滞在する客は、対向する位置に陳列される商品を見たり、手に取ったりすることができる。言い換えれば、エリアE1~E13に滞在する客は、対向する位置に陳列される商品に興味、関心があることが推定される。
【0052】
図9は、
図7のレイアウト又は
図8のマップ上に重ねた客の動線の一例を示す図である。カメラ70は、店内を撮影し、撮影日時を含む撮影画像を店舗サーバ20へ送信する。例えば、撮影日時は、年、月、日、時、分、及び秒で表される日時データである。店舗サーバ20の通信ユニット24は、カメラ70からの撮影画像を受信し、プロセッサ21は、撮影画像を補助記憶デバイス13の画像データベースへ登録する。
【0053】
プロセッサ21は、画像データベースに登録された撮影画像に含まれる顔画像等を解析し、客の位置を検出し、客の位置情報及び位置情報に対応する日時情報(撮影日時)を含む行動履歴情報を生成し取得する。また、プロセッサ21は、異なる客を判別し、それぞれの客の位置を検出し、それぞれの客の位置情報と位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報を生成し取得する。なお、店舗サーバ20とは異なるコンピュータが行動履歴を生成し、このコンピュータが店舗サーバ20へ行動履歴を送信し、店舗サーバ20の通信ユニット24が行動履歴を受信し取得してもよい。このように、プロセッサ21及び通信ユニット24の少なくとも一方が、行動履歴情報を取得する取得部として機能する。
【0054】
ここで、行動履歴情報に基づく客の行動分析について説明する。例えば、店舗サーバ20のプロセッサ21は、複数のエリアE1~E14を含むマップ情報及び客別の位置情報及び位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報に基づき、それぞれの客の動線等を検出する。さらに、プロセッサ21は、マップ情報及び行動履歴情報に基づき、特定の客がエリアE2を通過した場合、エリアE2を特定の客の通過エリアとして分析し、特定の客がエリアE3に滞在した場合、エリアE3を特定の客の滞在エリアとして分析する。例えば、プロセッサ21は、客が連続して5秒以上滞在したエリアを滞在エリア、客が進入したが連続して5秒以上滞在しなかったエリアを通過エリアとして分析する。
【0055】
さらに、プロセッサ21は、事前登録された顧客登録データに基づき、客を特定することもできる。例えば、補助記憶デバイス13は、事前登録される顧客登録データを記憶し、顧客登録データは、登録顧客(登録ユーザ)の顔画像及び顔画像に対応する顧客識別情報(以下、顧客ID)を含む。プロセッサ21は、顧客登録データに基づき、撮影画像に含まれる客の顔画像から客に対応する顧客IDを検出する。このようにプロセッサ21は、特定された客の行動を分析することができる。
【0056】
また、客によって所持されるスマートデバイス、又はショッピングカートCに取り付けられる情報端末10を利用して、スマートデバイス又は情報端末10の位置を客の位置として検出し、行動履歴情報を生成し取得し、客の行動を分析するようにしてもよい。例えば、スマートデバイス又は情報端末10(以下、スマートデバイス等)は会員用アプリケーション及び位置測位アプリケーションを記憶し、これらアプリケーションを実行する。客は、スマートデバイス等の会員用アプリケーションに事前登録した顧客IDとパスワードを入力する。スマートデバイス等は、アクセスポイント60等を介して店舗サーバ20等と通信し、顧客IDとパスワードに基づきログインする。さらに、スマートデバイス等は、位置測位アプリケーションの実行により、ネットワーク80に接続された1又は複数台のビーコン機器と通信し、ビーコン機器からの電波強度及びビーコン機器の位置情報に基づき、スマートデバイス等の位置を測位し位置情報を取得する。スマートデバイス等は、取得した位置情報を店舗サーバ20へ送信する。店舗サーバ20は、顧客IDに対応付けてスマートデバイス等の位置情報を客の位置情報として検出し、客の位置情報及び位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報を取得する。
【0057】
図10は、店舗サーバ20による特定の客の行動分析の一例を示す図である。店舗サーバ20のプロセッサ21は、マップ情報及び行動履歴情報に基づき、各エリアにおける特定の客の通過(P)と滞在(S)を分析する。
【0058】
図11は、店舗サーバ20で管理される第1の滞在エリア分析データベースの一例を示す図である。店舗サーバ20のプロセッサ21は、マップ情報、行動履歴情報、及び顧客登録データに基づき、複数レコードを含む第1の滞在エリア分析データベースを生成する。1レコードは、顧客IDと滞在エリアIDと1個前の滞在エリアIDとを含む。第1の滞在エリア分析データベースにより、顧客の足取りを追うことができる。
【0059】
図12は、店舗サーバ20に登録されるエリア管理データベースの一例を示す図である。エリア管理データベースは複数レコードを含む、各レコードはエリアIDとエリア名とカテゴリを含む。例えば、エリア名は、入口、青果、魚類、肉類、又は菓子類などである。カテゴリは、入口、青果、魚類、肉類、又は菓子類などである。
【0060】
図13は、店舗サーバ20で管理される第2の滞在エリア分析データベースの一例を示す図である。店舗サーバ20のプロセッサ21は、マップ情報、行動履歴情報、及び顧客登録データに基づき、複数レコードを含む第2の滞在エリア分析データベースを生成する。1レコードは、顧客IDと滞在エリアIDと1個前の滞在エリアIDと2個前の滞在エリアIDとパターンの発生回数を含む。第1の滞在エリア分析データベースにより、顧客の行動パターンの傾向を分析することができる。
【0061】
図14は、店舗サーバ20による滞在エリアの遷移確率の一例を示す図である。店舗サーバ20のプロセッサ21は、マップ情報、行動履歴情報、及び顧客登録データに基づき、客の現在位置である現在の滞在エリアから次の滞在エリアへの遷移を予測する情報処理部として機能する。例えば、プロセッサ21は、顧客ID毎に、滞在エリアの遷移を予測する。
図14に示すように、プロセッサ21は、滞在エリアE5から滞在エリアE7に遷移した後、滞在エリアE7(現在の滞在エリア)から滞在エリアE2(次の滞在エリア)への遷移確率を56.7%、滞在エリアE7(現在の滞在エリア)から滞在エリアE11(次の滞在エリア)への遷移確率を34%、滞在エリアE7(現在の滞在エリア)から滞在エリアE4(次の滞在エリア)への遷移確率を8.9%と予測し、滞在エリア予測データベースを生成し、滞在エリア予測データベースを補助記憶デバイス23へ登録する。つまり、滞在エリア遷移予測データベースは、顧客別の滞在エリアの遷移予測を含む。
【0062】
プロセッサ21は、滞在エリア予測データベースに基づき、ある顧客の現在位置である現在の滞在エリアから次の滞在エリアへの遷移を予測する。例えば、プロセッサ21は、顧客別の滞在エリアの遷移予測に基づき、統計的に一般的な顧客が現在位置である現在の滞在位置から次ぎの滞在エリアへの遷移確率を算出し、ある顧客の次の滞在エリアへの遷移を予測する。
【0063】
或いは、プロセッサ21が、顧客登録データに基づき、店内の顧客を特定することができる場合は、滞在エリア予測データベースに含まれる特定顧客の滞在エリアの遷移予測に基づき、特定顧客の次の滞在エリアへの遷移を予測する。このように、特定顧客の滞在エリアの遷移予測を用いることにより、予測精度を高めることができる。
【0064】
プロセッサ21は、遷移予測を示す情報又は遷移予測に基づく情報を生成し、通信ユニット24は、遷移予測を示す情報又は遷移予測に基づく情報を送信し、通信ユニットは、これら情報を出力する出力部として機能する。或いは、ディスプレイ26は、遷移予測を示す情報又は遷移予測に基づく情報を表示し、ディスプレイ26は、これら情報を出力する出力部として機能する。
【0065】
図15は、店舗サーバ20による滞在エリアの遷移予測及び情報出力の一例を示すフローチャートである。プロセッサ21は、客の位置情報及び位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報を生成することにより、行動履歴情報を取得する(ACT1)。或いは、通信ユニット24は、他のコンピュータが生成した行動履歴情報を受信することにより、行動履歴情報を取得する(ACT1)。
【0066】
プロセッサ21は、複数のエリアを含むマップ情報及び行動履歴情報に基づき、顧客の現在位置である現在の滞在エリアから次の滞在エリアへの遷移を予測する(ACT2)。ACT2の遷移予測処理については、
図16に示すフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0067】
通信ユニット24は、遷移予測に基づく情報を出力する(ACT3)。プロセッサ21は、予測される遷移先の滞在エリアの陳列商品情報を選択し、通信ユニット24は、選択された陳列商品情報を出力する。例えば、店舗サーバ20の補助記憶デバイス23は、商品データベースを記憶する。商品データベースは、商品レコードの集合体であり、商品レコードには、商品コード、価格、商品名、陳列エリア情報、及び推薦商品情報等の商品情報が記述されている。陳列エリア情報はエリアIDを含み、推薦商品情報は推薦する商品の商品コードを含む。例えば、推薦商品情報により、パスタに対してパスタソースを推薦したり、カレールーに対して肉又は野菜を推薦したりすることができる。或いは、推薦商品情報は、第1の推薦レベル、第2の推薦レベル、第3の推薦レベル、又は非推薦の情報を含んでもよい。第1の推薦レベルを最も高い推薦レベルとし、第2の推薦レベルを2番目に高い推薦レベルとし、第3の推薦レベルを3番目に高い推薦レベルとする。プロセッサ21は、商品レコードに基づき、予測される遷移先の滞在エリアに陳列される商品名等の情報を選択し、通信ユニット24は、選択された商品名等の情報を出力する。ACT3の情報出力処理については、
図17に示すフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0068】
図16は、店舗サーバ20による遷移予測処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ21は、マップ情報、行動履歴情報、及び顧客登録データに基づき、顧客の行動パターンを分析する(ACT21)。プロセッサ21は、エリア管理データベース等を参照し、どのような商品が陳列されているエリアに滞在した後、どのような商品が陳列されているエリアに滞在するかを分析し、分析結果に基づき滞在エリアへの遷移を予測する(ACT22)。
【0069】
図17は、店舗サーバ20による情報出力処理の一例を示すフローチャートである。例えば、店舗サーバ20の通信ユニット24は、アクセスポイント60を介して情報端末10と通信し、情報端末10に入力された顧客識別情報及び購買商品情報を取得する(ACT31)。プロセッサ21は、商品データベースに基づき、遷移が予測される滞在エリアに陳列される商品情報(陳列商品情報)を選択する(ACT32)。プロセッサ21は、陳列商品情報及び購買商品情報に基づき推薦商品情報を選択する(ACT33)。例えば、プロセッサ21は、商品データベースに基づき、陳列商品の中から、購買商品を推薦商品として指定するものを選択する。
【0070】
プロセッサ21は、顧客識別情報に対応する通知先に商品推薦情報(例えば商品名)を通知する(ACT34)。例えば、プロセッサ21は、顧客識別情報を送信した情報端末10を顧客識別情報に対応する通知先として認識し、通信ユニット24は、情報端末10に商品推薦情報を送信する。情報端末10の無線ユニット14は、推薦商品情報を受信し、タッチパネル15は、推薦商品情報を表示する。或いは、通信ユニット24は、各エリアに対応して設けられた表示装置のうち、顧客の現在の滞在エリアに設けられた表示装置に商品推薦情報を送信する。
【0071】
或いは、プロセッサ21は、遷移が予測される滞在エリアの陳列商品情報のうち、第1の推薦レベルが設定された陳列商品情報を選択し、通信ユニット24は、選択された陳列商品情報を送信するようにしてもよい。
【0072】
或いは、プロセッサ21は、遷移が予測される複数の滞在エリアの遷移確率を予測し、各滞在エリアの遷移確率に応じて各滞在エリアの陳列商品情報を選択し、通信ユニット24は、選択された各滞在エリアの陳列商品情報を送信するようにしてもよい。例えば、プロセッサ21は、最も高い確率で遷移が予測される滞在エリアの陳列商品情報については、第1、第2、及び第3の推薦レベルが設定された陳列商品情報を選択する。また、プロセッサ21は、二番目に高い確率で遷移が予測される滞在エリアの陳列商品情報については、第1及び第2の推薦レベルが設定された陳列商品情報を選択する。また、プロセッサ21は、三番目に高い確率で遷移が予測される滞在エリアの陳列商品情報については、第1の推薦レベルが設定された陳列商品情報を選択する。
【0073】
本実施形態によれば、顧客の目的行動の予測精度に優れたエリア遷移予測装置及びエリア遷移予測プログラムを提供することができる。マップ情報により複数のエリアを定義し、顧客がエリアを通過したのか滞在したのかを判定し、滞在エリアに着目して顧客の行動を分析することにより、顧客の目的行動を高精度に予測することができる。これにより、次の滞在エリアへの遷移を高精度に予測することができ、効果的な商品案内を提示したり、また、混雑を予測したりすることができる。例えば、
図14に示すエリアE14は会計エリアであるが、会計エリアの混雑を予測することができる。
【0074】
また、次の滞在エリアに陳列される陳列商品情報を事前に通知することにより商品の販売促進効果が期待できる。さらに、複数の滞在エリアへの遷移確率を予測し、各滞在エリアの遷移確率に応じた各滞在エリアの陳列商品情報を出力することにより、遷移確率に応じた情報提供が可能となる。例えば、遷移確率の高い滞在エリアに陳列されている商品の案内を増やし、遷移確率の低い滞在エリアに陳列されている商品の案内を減らすことにより、効率良く商品を案内することができる。或いは、遷移確率の高い滞在エリアに陳列されている商品の案内を大きくし、遷移確率の低い滞在エリアに陳列されている商品の案内を小さくすることで、効率良く商品を案内するようにしてもよい。
【0075】
また、顧客識別情報により顧客を特定することにより、予測精度を高めることができる。加えて、顧客識別情報に対応する購買商品情報に基づき推薦商品を通知することにより、さらなる販売促進効果が期待できる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載の発明を付記する。
[C1]
ユーザの位置情報及び位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報を取得する取得部と、
複数のエリアを含むマップ情報及び前記行動履歴情報に基づきユーザの現在位置から滞在エリアへの遷移を予測する情報処理部と、
遷移予測に基づく情報を出力する出力部と、
を備えるエリア遷移予測装置。
[C2]
前記情報処理部は、滞在エリアの陳列商品情報を選択し、
前記出力部は、前記陳列商品情報を出力する、[C1]のエリア遷移予測装置。
[C3]
前記情報処理部は、複数の滞在エリアへの遷移確率を予測し、各滞在エリアの遷移確率に応じた各滞在エリアの陳列商品情報を選択し、
前記出力部は、各滞在エリアの陳列商品情報を出力する、[C2]のエリア遷移予測装置。
[C4]
前記取得部は、ユーザ識別情報を取得し、
前記情報処理部は、前記ユーザ識別情報に対応する登録ユーザの現在位置から滞在エリアへの遷移を予測し、
前記出力部は、前記ユーザ識別情報に対応する通知先に、遷移予測に基づく情報を通知する、[C1]乃至[C3]のいずれか一つのエリア遷移予測装置。
[C5]
前記取得部は、ユーザ識別情報及び購買商品情報を取得し、
前記情報処理部は、滞在エリアの陳列商品情報及び前記購買商品情報に基づき推薦商品情報を選択し、
前記出力部は、前記ユーザ識別情報に対応する通知先に、前記推薦商品情報を通知する、[C1]乃至[C3]のいずれか一つのエリア遷移予測装置。
[C6]
コンピュータに、
ユーザの位置情報及び位置情報に対応する日時情報を含む行動履歴情報を取得する手順と、
複数のエリアを含むマップ情報及び前記行動履歴情報に基づきユーザの現在位置から滞在エリアへの遷移を予測する手順と、
遷移予測に基づく情報を出力する手順と、
を実行させるためのエリア遷移予測プログラム。
【符号の説明】
【0077】
1…取引処理システム
10…情報端末
11…プロセッサ
12…主記憶デバイス
13…補助記憶デバイス
14…無線ユニット
15…タッチパネル
16…スキャナ
17…リーダ
18…カメラ
19…システム伝送路
20…店舗サーバ
21…プロセッサ
22…主記憶デバイス
23…補助記憶デバイス
24…通信ユニット
25…入力部
26…ディスプレイ
27…システム伝送路
30…仮想POSサーバ
31…プロセッサ
32…主記憶デバイス
33…補助記憶デバイス
34…通信インターフェース
35…システム伝送路
40…有人会計機
50…セルフ会計機
60…アクセスポイント
70…カメラ
80…ネットワーク