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特許7561497結晶性ピリミジニル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタニルメタノン化合物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】結晶性ピリミジニル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタニルメタノン化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/08 20060101AFI20240927BHJP
   A61K 31/4995 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C07D487/08 CSP
A61K31/4995
A61P1/04
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/14
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P37/08
A61P43/00 111
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020021119
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2020138960
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2020-11-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】62/806180
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】シャウシン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】アマンダ パトリス スーラジエー サミュエル
【合議体】
【審判長】阪野 誠司
【審判官】瀬良 聡機
【審判官】井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524022(JP,A)
【文献】Journal of Medicinal Chemistry、2018年、Vol.61、p.8597~8612
【文献】平山令明 編著、有機化合物結晶作製ハンドブック-原理とノウハウ-、2008年、丸善株式会社、p.17~23、37~40、45~51、57~65
【文献】川口洋子 外2名、医薬品と結晶多形、2002年、生活工学研究、第4巻、第2号、p.310~317
【文献】森部久仁一 外1名、非晶質医薬品の調製と評価、低温生物工学会誌、2005年、Vol.51、No.1、p.19~24
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAPLUS STN,REGISTRY STN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの結晶であって、2θに関して、5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、前記結晶。
【請求項2】
前記結晶が、非吸湿性および無水である、請求項1に記載の結晶。
【請求項3】
54.6、129.8、および124.9ppm±0.2ppmからなる群から選択される固体13C核磁気共鳴化学シフトによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶。
【請求項4】
1578、1605、および1566cm-1±2cm-1での一組のラマンバンドによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶。
【請求項5】
2θに関して、5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターン、ならびに54.6および129.8ppm±0.2ppmからなる群から選択される固体13C核磁気共鳴化学シフトによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶。
【請求項6】
2θに関して、5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターン、ならびに1578cm-1±2cm-1でのラマンバンドによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶。
【請求項7】
1578cm-1±2cm-1 でのラマンバンド、ならびに54.6および129.8ppm±0.2ppmからなる群から選択される固体13C核磁気共鳴化学シフトによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の結晶および薬学的に許容できる担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
クリーム、経皮パッチ、軟膏、点眼薬、ローションおよびゲルから選択される局所製剤を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
局所製剤が、2θに関して、5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、0.1%~5.0%(w/v)の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの結晶、を含有する、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
狼瘡、リウマチ様関節炎、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬、乾癬性関節炎、およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される疾患の治療のための、治療有効量の請求項1から7のいずれか一項に記載の結晶を含む、医薬組成物。
【請求項12】
局所投与モードによって、白斑、脱毛症、乾癬およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される疾患を治療するための、治療有効量の請求項1から7のいずれか一項に記載の結晶を含む医薬組成物。
【請求項13】
狼瘡、リウマチ様関節炎、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬、乾癬性関節炎およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される障害を治療するための医薬品を調製するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の結晶の使用。
【請求項14】
2θに関して、5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、((S)-2,2-ジにおいて、フルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの結晶を、経皮投与に適した賦形剤と組み合わせることによって調製した、局所製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]-オクタン-8-イル)メタノンの結晶形態に関する。本発明はまた、結晶形態を含む医薬組成物、およびそのような形態を調製するための方法に関する。本発明はさらに、種々の疾患の治療における結晶形態の使用およびその結晶形態を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンは、化学式C1821Oおよび以下の構造式:
【0003】
【化1】
を有する。
【0004】
((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの合成は、同一出願人による米国特許第9,663,526号に記載されており、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]-オクタン-8-イル)メタノン遊離塩基は、プロテインキナーゼ、例えば酵素ヤヌスキナーゼ(JAK)の阻害剤として有用であり、それ自体が臓器移植、異物移植、狼瘡、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬、I型糖尿病および糖尿病由来の合併症、癌、喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫性甲状腺障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、アルツハイマー病、白血病および免疫抑制が望ましいであろう他の徴候のための免疫抑制剤として治療上有用である。本発明は、医薬剤形の製造に使用するための改善された材料特性を有する遊離塩基形態の新規な固体形態に関する。
【0005】
化学的構造に基づくと、化合物が結晶化するかどうか、どんな条件下で化合物が結晶化するか、化合物の多くの結晶固体形態がどのように存在し得るか、またはそれらの形態のいずれかの固体状態の構造については、いかなる確実度でも予測することはできない。あらゆる結晶薬物の非常に重要な特徴は、このような材料の多型挙動である。一般に、薬物の結晶形態は、一つには安定性が優れているので、薬物および薬物中間体の非結晶形態よりも好ましい。例えば、多くの状況において、非結晶薬物は、保存時に結晶薬物形態に変換することが観察されている。薬物の非結晶形態および結晶形態は、典型的に物理的特性および化学的特性が異なっているので、このような相互変換は、医薬での使用における安全性の理由から、望ましくない場合がある。医薬化合物の異なる固体形態によって示される異なる物理的特性は、重要な医薬パラメーター、例えば保存、安定性、圧縮率、密度(製剤および生成物の製造において重要である)、および溶解速度(バイオアベイラビリティの決定において重要である)に影響を及ぼすことができる。安定性の差異は、化学反応性の変化(例えば、差次的加水分解または酸化により、ある特定の多形を含む剤形が、異なる多形を含む剤形よりも急速に変色するおそれがある)、機械的変化(例えば、動態学的に有利な結晶形態が、熱力学的により安定な結晶形態に変換すると、錠剤が保存時に粉砕するおそれがある)、またはその両方(例えば、ある多型の錠剤は、高い湿度でより崩壊しやすいおそれがある)から生じ得る。
【0006】
多形間の溶解度の差異は、極端な状況下では、効力が欠如している結晶形態への移行を生じるか、または過剰曝露を生じるおそれがある。さらに、結晶形態の物理的特性は、医薬処理においても重要となり得る。例えば、特定の結晶形態は、他の結晶形態よりも、溶媒和物をより容易に形成し得るか、または不純物をろ過し、洗い落すのがより困難となり得る(すなわち、粒子形状およびサイズ分布が、一方の結晶形態と、それに対する他の形態とで異なり得る)。
【0007】
異なる物理的形態により異なる利点が提供されるので、薬物の1つの理想的な物理的形態というものは存在しない。最も安定な形態についての研究は困難を伴い、その結果は予測不可能である。したがって、種々の製剤において使用できる種々の独特な薬物形態、例えば、塩、多形、非結晶形態を探究することが重要である。特別な製剤または治療上の適用のための薬物形態を選択するには、種々の特性を考慮する必要があり、特定の適用のための最良の形態は、1つの特別な重要で良好な特性を有すると同時に、他の特性が許容され得るか、またはわずかに許容され得る形態であり得る。
【0008】
薬物の開発を成功させるには、患者にとって治療上有効な治療になるというある特定の一般要件を満たすことが必要である。これらの要件は、(1)剤形の製造を成功させるための要件、ならびに(2)薬物製剤が患者に投与された後の薬物送達および体内動態を成功させるための要件の2つのカテゴリーに該当する。
【0009】
同じ化合物の異なる結晶固体形態は、融点、溶解度、溶解速度、吸湿性、粉末流、機械的特性、化学的安定性および物理的安定性などの固体状態の特性が異なっていることが多い。これらの固体状態の特性は、ろ過、乾燥、および剤形製造の単位操作に利点を付与することができる。したがって、同じ化合物の異なる結晶固体形態が同定されたら、何らかの所与の一連の処理および製造条件下での最適な結晶固体形態、ならびに各結晶固体形態の異なる固体状態の特性を決定することができる。
【0010】
分子の多形は、当技術分野で公知のいくつかの方法によって得ることができる。このような方法には、それに限定されるものではないが、溶融再結晶化、溶融冷却、溶媒再結晶化、脱溶媒和、急速蒸発、急速冷却、緩慢冷却、蒸気拡散および昇華が含まれる。多形は、周知の技術、例えばそれに限定されるものではないが、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、X線粉末回折法(XRPD)、単結晶X線回折法、固体状態核磁気共鳴(NMR)、赤外(IR)分光法、ラマン分光法、およびホットステージ光学顕微鏡を使用して検出し、同定し、分類し、特徴付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第9,663,526号
【文献】米国特許第9,035,074号
【文献】米国特許第4,485,045号
【文献】米国特許第4,544,545号
【文献】米国特許第5,013,556号
【文献】米国特許第3,773,919号
【非特許文献】
【0012】
【文献】B.C.FinninおよびT.M.Morgan、J.Pharm.Sci.、88巻、955~958頁、1999
【文献】Hoover、John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania、1975
【文献】Libermanら、Eds.、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980
【文献】Kibbeら、Eds.、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999
【文献】Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン遊離塩基を対象とする。本発明はまた、結晶性((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン遊離塩基を含有する医薬組成物を含む組成物を対象とする。本発明はさらに、結晶性((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン遊離塩基を調製するための方法を対象とする。
【0014】
例えば、増強されたバイオアベイラビリティまたは安定性を示す薬物製剤が一貫して求められているので、薬物分子の新しいまたはより純粋な多形体が継続的に必要とされている。本明細書に記載される((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの多形は、これらおよび他の必要性を満たす一助になる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]-オクタン-8-イル)メタノンを提供する。
【0016】
一態様では、本発明は、以下からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有する、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンを含む:
I)(a)°2θ±0.2°2θによる表1のピークからなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ以上のピーク、(b)°2θ±0.2°2θによる表1の特徴的ピークからなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ以上のピーク、または(c)図1に示されているものと本質的に同じ2θ値におけるピークを含む、粉末X線粉末回折パターン、
II)(a)cm-1±2cm-1による表2の値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ以上の波数(cm-1)値、(b)cm-1±2cm-1による表2の特徴的値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ以上の波数(cm-1)値、または(c)図2に示されているものと本質的に同じ波数(cm-1)値を含む、ラマンスペクトル、
III)(a)ppm±0.2ppmによる表3の値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ以上の共鳴(ppm)値、(b)ppm±0.2ppmによる表3の特徴的値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ以上の共鳴(ppm)値、または(c)図3に示されているものと本質的に同じ共鳴(ppm)値を含む、13C固体NMRスペクトル(ppm)、
IV)(a)ppm±0.2ppmによる表4の値からなる群から選択される1つ、2つもしくは3つの共鳴(ppm)値、(b)ppm±0.2ppmによる表3の特徴的値、または(c)図3に示されているものと本質的に同じ共鳴(ppm)値を含む、固体19Fスペクトル(ppm)、および
V)互いに合致するという条件で、先の実施形態(I)(a)~(c)、(II)(a)~(c)、(III)(a)~(c)、または(IV)(a)~(c)のいずれか2つ、3つまたは4つの組合せ。
【0017】
別の態様では、本発明は、アセトン、メチルイソブチルケトン、2-プロパノール、メタノール、エタノール、水、またはテトラヒドロフランを含み得る溶媒系から結晶化された、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる結晶形態を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明はまた、結晶性((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンおよび薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。
【0019】
別の態様では、本発明はまた、治療有効量の結晶性((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ-[3.2.1]オクタン-8-イル)-メタノンもしくはその薬学的に許容できる塩、または本明細書に記載される実施形態のいずれかによる医薬組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における疾患を治療する方法を提供し、前記疾患は、リウマチ様関節炎、狼瘡、乾癬、乾癬性関節炎、アトピー性皮膚炎、および炎症性腸疾患からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの粉末X線回折パターンを示す。
図2】結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンのラマンスペクトルを示す。
図3】結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの固体13C核磁気共鳴スペクトルを示す。スピニングサイドバンドは、ハッシュ記号で示されている。
図4】結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの固体19F核磁気共鳴スペクトルを示す。スピニングサイドバンドは、ハッシュ記号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンを対象とする。本発明はまた、結晶形態を含む医薬組成物、およびそのような形態を調製するための方法を対象とする。本発明はさらに、種々の疾患の治療における結晶形態の使用を対象とする。
【0022】
固体化学の当業者が固体形態を分析するために使用できるいくつかの分析方法が存在している。用語「分析する」は、本明細書で使用するとき、固体形態の固体状態の構造に関する情報を得ることを意味する。例えば、粉末X線回折は、非晶質固体形態を結晶固体形態と区別し、化合物の結晶固体形態を特徴付け、同定するのに適した技術である。粉末X線回折はまた、混合物における1つの結晶固体形態(または複数の形態)の量を定量するのに適している。X線粉末回折では、X線を結晶性粉末上に向け、回折X線の強度を、X線源と試料によって回折されたビームとの間の角度の関数として測定する。これらの回折X線の強度は、X線源と回折X線との間の角度(これは「2θ」角度として公知)であるx軸、および回折X線の強度であるy軸を用いて、ピークとしてグラフ上にプロットすることができる。このグラフは、粉末X線回折パターンまたは粉末パターンと呼ばれる。x軸上のピークの位置は、結晶の固体状態の構造の特性なので、異なる結晶固体形態は、異なる粉末パターンを示す。
【0023】
このような粉末パターンまたはその一部は、結晶固体形態を同定するフィンガープリントとして使用することができる。したがって、未知の試料の粉末パターンを得、その粉末パターンを参照粉末パターンと比較することができる。ポジティブマッチとは、未知の試料が、参照のものと同じ結晶固体形態を有することを意味し得る。公知の化合物の粉末パターンの加算および減算によって、固体形態の混合物を含有する未知の試料を分析することもできる。
【0024】
粉末パターンのピークを選択して結晶固体形態を特徴付ける場合、または参照粉末パターンを使用して形態を同定する場合には、その他の固体形態では存在しないある形態のピークまたはピークの収集を同定する。
【0025】
用語「特徴付ける」は、本明細書で使用するとき、ある固体形態を別のものと区別することができる適切なデータ一式を選択することを意味する。粉末X線回折のそのデータ一式は、1つまたは複数のピークの位置である。どの粉末X線回折ピークが特定の形態を定義付けるかを選択することは、その形態を特徴付けるとされる。
【0026】
用語「同定する」は、本明細書で使用するとき、固体形態のための特徴的データを選択し、それらのデータを使用して、その形態が試料に存在するかどうかを決定することを意味する。粉末X線回折では、それらのデータは、先に論じられる当該の形態を特徴付ける1つまたは複数のピークのx軸位置である。例えば、選択数のX線回折ピークが特定の固体形態を特徴付けることを決定したら、それらのピークを使用して、その形態が試料に存在するかどうかを決定することができる。
【0027】
粉末X線回折を用いて同じ化合物の結晶固体形態を特徴付け、かつ/または同定する場合、しばしば、粉末パターン全体を使用する必要はない。粉末パターン全体のより小さいサブセットを使用して、特徴付けおよび/または同定を実施できることが多い。化合物の結晶固体形態を他の結晶固体形態と区別するピークの収集を選択することにより、それらのピークを利用して、例えば、未知の混合物におけるその形態を特徴付け、かつその形態を同定することができる。別の分析技術または粉末パターン由来の追加のピークから得られるものなどの追加のデータを加えて、後に同定されるべき形態、例えば追加の多形を特徴付け、かつ/または同定することができる。
【0028】
機器、試料、および試料調製の差異に起因して、ピーク値は、時々、ピーク値の直前に修飾語「約」を用いて記録される。これは、ピーク値に固有の変動を原因として、固体化学分野では一般的手段である。粉末パターンにおけるピークの2θx軸値の典型的精度は、およそプラスまたはマイナス0.2°2θである。したがって、「約9.2°2θ」に現れる回折ピークは、そのピークが、大部分のX線回折計で大部分の条件下で測定した場合、9.0°2θ~9.4°2θの間になり得ることを意味する。ピーク強度の変動性は、個々の結晶が、試料の容器内で外部X線源に対してどのようにして配向されるか(「好ましい配向」として公知)により生じる。この配向効果は、結晶についての構造的情報を提供するものではない。粉末X線回折は、結晶固体形態を特徴付け、かつ/または同定するために使用することができるいくつかの分析技術の1つに過ぎない。分光学的技術、例えばラマン(顕微鏡的ラマンを含む)、赤外、および固体状態のNMR分光器を使用して、結晶固体形態を特徴付け、かつ/または同定することができる。これらの技術は、混合物中の1つまたは複数の結晶固体形態の量を定量するために使用することもでき、ピーク値は、やはりピーク値の直前に修飾語「約」を用いて記録することができる。FT-ラマンおよびFT-赤外測定と関連するピーク値の典型的な変動性は、およそプラスまたはマイナス2cm-1である。13Cまたは19F化学シフトと関連するピーク値の典型的な変動性は、結晶性材料については、およそプラスまたはマイナス0.2ppmである。示差走査熱量測定の開始温度と関連する値の典型的な変動性は、およそプラスまたはマイナス5℃である。
【0029】
用語「室温」は、本明細書で使用するとき、20℃~23℃の温度範囲を指す。
【0030】
第1の態様では、本発明は、以下からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有する、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンを含む:
I)CuKα1放射線(λ=1.54056Å)を使用して測定して5.0、9.9、および15.3°2θ±0.2°2θでの2θの2θ値を含有する粉末X線回折パターン。
II)CuKα1放射線(λ=1.54056Å)を使用して測定して5.0、9.9、15.3、および19.7°2θ±0.2°2θの2θ値を含有する粉末X線回折パターン。
III)CuKα1放射線(λ=1.54056Å)を使用して測定して5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θの2θ値を含有する粉末X線回折パターン。
【0031】
したがって、本発明は、2θに関して、5.0、9.9、および15.3°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンを有する、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンを提供する。本発明はまた、5.0、9.9、15.3、および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンを有する、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンを提供する。本発明はさらに、5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンを有する、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]-オクタン-8-イル)メタノンを提供する。さらに本発明は、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ-[3.2.1]オクタン-8-イル)-メタノンおよび薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が、5.0、9.9、および15.3°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が、5.0、9.9、15.3、および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記医薬組成物を提供する。さらなる他の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が、5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記医薬組成物を提供する。
【0032】
本発明はまた、クリーム、経皮パッチ、軟膏、点眼薬、ローションおよびゲルから選択される局所製剤を含む、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる前記結晶形態の医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、局所製剤が、約0.1%~約5.0%(w/v)の結晶性((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンを含有する、前記医薬組成物を提供する。
【0033】
さらに本発明は、治療有効量の結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンまたはその薬学的に許容できる塩、および薬学的に許容できる担体を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における疾患を治療する方法を提供し、疾患は、狼瘡、リウマチ様関節炎、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、本発明は、5.0、9.9、および15.3°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンを有する前記結晶形態を提供する。ある特定の他の実施形態では、本発明は、5.0、9.9、15.3、および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンを有する前記結晶形態を提供する。さらに他の特定の実施形態では、本発明は、5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θに関してピークを含む粉末X線回折パターンを有する前記結晶形態を提供する。
【0034】
本発明はまた、治療有効量の結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンまたはその薬学的に許容できる塩、および薬学的に許容できる担体を、それを必要とする哺乳動物に局所投与モードによって投与することを含む、哺乳動物における疾患を局所的に治療する方法を提供し、その疾患は、白斑、脱毛症、乾癬およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が、5.0、9.9、および15.3°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。ある特定の他の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が、5.0、9.9、15.3、および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。ある特定の他の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が、5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θのピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。
【0035】
機器および分析方法:
計算された粉末パターン:XFOG(SHELXTL、Bruker AXS、XFOG、バージョン5.100、1997)およびXPOW(SHELXTL、Bruker AXS、XPOW、バージョン5.102、1997~2000)を含む、SHELXTLのプログラムのパッケージを用いて単結晶X線データから粉末パターンを計算した。オーバーレイグラフィックスに必要とされる適切な波長を、XCHファイル交換プログラム(SHELXTL、Bruker AXS、XCH、バージョン5.0.4、1995~2001)を用いて加えた。
【0036】
粉末X線回折:
粉末X線回折分析は、ゲーベル(gobel)ミラーを利用したツインプライマリーを装備した、Cu放射線源を備えたBruker AXS D8 Advance回折計を用いて実施した。回折放射線は、電動スリット付きLYNXEYE_EX検出器によって検出した。一次および二次の両方とも2.5ソーラースリットを備えていた。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、ステップ毎に0.50秒のスキャン速度を用いて1204ステップで3.0~40.0度2-θからのCuKα波長におけるロックドカップル走査でθ-θゴニオメーターに収集した。試料をケイ素低バックグラウンド試料ホルダーに配置することによって調製し、収集中に回転させた。Bruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用してデータを収集した。EVA diffract plusソフトウェアによって分析を行なった。PXRDデータファイルは、ピーク探索前に処理しなかった。EVAソフトウェアにおけるピーク探索アルゴリズムを使用し、1の閾値で選択されたピークを使用して、予備的ピーク割り当てを行なった。妥当性を確実にするために、手動で調整を行ない、自動割り当ての出力を視覚的に確認し、ピーク位置を最大ピークに調整した。≧2%の相対強度を有するピークが一般に選択された。分解されていないまたはノイズと一致するピークは選択されなかった。PXRDからのピーク位置に関連する典型的な誤差は、±0.2°2θ(USP-941)までである。
【0037】
PXRD反射割り当て:Evaアプリケーション9.0ソフトウェアを使用して、PXRDスペクトルを可視化および評価した。ピーク値は、与えられた反射の最大強度に割り当てられた。10%より大きい相対強度を示す全ての反射が以下の表に含まれている。
【0038】
固体NMR:固体NMR(ssNMR)分析を、Bruker-BioSpin Avance III(商標)500MHz(H周波数)NMR分光計に設置したCPMASプローブで実施した。材料を、標準ドライブキャップで封止した4mmのローターに充填した。15.0kHzのマジック角回転速度を使用した。80~90kHzの相モジュレート(phase modulated)したプロトンデカップリング磁場を、スペクトル取得中に印加した。13C ssNMRスペクトルを、プロトンデカップリング交差分極マジック角回転(CPMAS)実験を使用して収集した。交差分極接触時間を3msに設定し、リサイクル遅延を60秒に設定した。スキャン回数を調整して、適切なシグナル対ノイズ比を得、APIについては768回のスキャンを収集し、薬物生成物についてはより多い、典型的に≧4096回のスキャンを収集した。13C化学シフトスケールを、13C CPMAS実験を使用し、結晶性アダマンタンの外部標準で、そのアップフィールド共鳴を29.5ppmに設定して参照した。
【0039】
19F ssNMRスペクトルを、プロトンデカップリングマジック角回転(MAS)実験を使用して収集した。リサイクル遅延を60秒に設定した。スキャン回数を調整して、適切なシグナル対ノイズ比を得、APIについては64回のスキャンを収集し、薬物生成物についてはより多い、典型的に≧256回のスキャンを収集した。19F化学シフトスケールを、プロトンデカップリング19F MAS実験を使用し、外部標準である50/50(体積/体積)のトリフルオロ酢酸および水で、その共鳴を-76.54ppmに設定して参照した。
【0040】
自動ピーク採取を、Bruker-BioSpin TopSpin(商標)バージョン3.5ソフトウェアを使用して実施した。一般に、5%相対強度の閾値を、予備的なピーク選択のために使用した。自動化ピーク採取の出力を、視覚的にチェックして妥当性を確実にし、必要に応じて手動で調整した。特別な固体NMRピーク値が本明細書で記録されているが、機器、試料、および試料調製の差異に起因して、これらのピーク値にはある範囲が実際存在する。本明細書で記録された固体NMRピーク高さは、相対強度である。固体NMR強度は、CPMAS実験パラメーターの実際の設定および試料の熱履歴に応じて変わり得る。
【0041】
本発明は、1つまたは複数の固体状態分析方法によって同定することができる、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]-オクタン-8-イル)メタノンを提供する。23℃における結晶形態のPXRDピークリストを表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
強度は、CPMAS実験パラメーターの実際の設定および試料の熱履歴に応じて変わり得る。CPMAS強度は、必ずしも定量的ではない。
【0044】
結晶形態のラマンスペクトルピークを表2に示す。
【0045】
【表2-1】
【0046】
【表2-2】
【0047】
【表2-3】
【0048】
結晶形態の13C固体状態および19F固体NMRピークリストを、それぞれ表3および4に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
したがって、本発明は、結晶形態を含む医薬組成物、およびそのような形態を調製するための方法、ならびに医薬に使用するためと、狼瘡、リウマチ様関節炎、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬およびアトピー性皮膚炎などの疾患の治療とに使用するための医薬組成物を提供する。本発明はまた、狼瘡、リウマチ様関節炎、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬、乾癬性関節炎およびアトピー性皮膚炎などの疾患を治療するための医薬品の製造におけるそのような医薬組成物の使用を提供する。
【0052】
本発明はさらに、((2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン)を適切な溶媒から再結晶化させることによって調製した、結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-メタノンを提供する。
【0053】
本発明はまた、その結晶形態を、経皮投与に適した賦形剤と組み合わせることによって調製した、((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-メタノンの局所製剤を提供する。
【0054】
本明細書に列挙された疾患および症候群を治療する方法は、そのような治療を必要とする個体に、治療有効量の本発明の多形または本発明の多形を含有する組成物を投与することを含むと理解される。本明細書で使用するとき、疾患に関する用語「治療すること」は、疾患を予防、阻害および/または改善することを指すことを意味する。
【0055】
本明細書で使用するとき、用語「個体」または「患者」は互換可能に用いられ、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、または霊長類、最も好ましくはヒトを含む任意の動物を意味する。本明細書で使用するとき、語句「治療有効量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床医が求める組織、系、動物、個体またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または薬剤の量を意味し、以下:
(1)疾患の予防、例えば、疾患、症状または障害に罹りやすい可能性はあるが、疾患の病状または徴候を経験していないまたは示していない個体における疾患、症状または障害を予防すること、
(2)疾患の阻害、例えば、疾患、症状または障害の病状または徴候を経験しているまたは示している個体における疾患、症状または障害を阻害すること(すなわち、病状および/または徴候のさらなる発達を抑止するまたは遅らせること)、および
(3)疾患の改善、例えば、疾患、症状または障害の病状または徴候を経験しているまたは示している個体における疾患、症状または障害を改善すること(すなわち、病状および/または徴候を逆にすること)
のうちの1つまたは複数が含まれる。
【0056】
投与量および処方
本発明はまた、本発明の結晶形態の1つまたは複数を、1種または複数の薬学的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクル等と共に利用する医薬組成物を含む。
【0057】
本発明の結晶形態は、本明細書に記載されるような症状を治療するのに有効な量で投与され、結晶性化合物それ自体として、または代わりに薬学的に許容できる塩として投与することができる。投与のためおよび投与目的のために、結晶性化合物それ自体またはその薬学的に許容できる塩は、単に本発明の化合物と呼ばれる。
【0058】
本発明の化合物は、そのような経路に適合した医薬組成物の形態で、かつ目的とする治療に有効な用量で、任意の適当な経路によって投与される。本発明の化合物は、経口的、経直腸的、経膣的、非経口的、または局所的に投与することができる。
【0059】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に進入するように嚥下を含むことができ、あるいは化合物が口から直接血流に進入する頬または舌下投与を用いることができる。
【0060】
別の実施形態では、本発明の化合物はまた、血流へ、筋肉へ、または内臓へ直接投与することができる。非経口投与に適した手段は、静脈内、動脈内、腹膜内、くも膜下腔内、心室内、尿道口内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下を含む。非経口投与に適したデバイスは、針(顕微針を含む)注射器、無針注射器および注入技術を含む。
【0061】
別の実施形態では、本発明の化合物はまた、局所的に皮膚または粘膜に投与することができ、すなわち、皮膚投与または経皮投与することができる。別の実施形態では、本発明の化合物は、鼻腔内投与または吸入によって投与することもできる。別の実施形態では、本発明の化合物は、経直腸的または経膣的に投与することができる。別の実施形態では、本発明の化合物は、眼または耳に直接投与することもできる。
【0062】
本発明の化合物および/または前記化合物を含有する組成物のための投与計画は、患者のタイプ、年齢、体重、性別および健康状態、症状の重症度、投与経路、および使用した特定の化合物の活性を含む、種々の要因に基づいている。したがって、投与計画は、大きく異なっていてよい。一実施形態では、本明細書で論じた示された症状の治療のための本発明の化合物の1日総用量は通常、約0.01~約100mg/kg(すなわち、体重1kg当たり本発明の化合物mg)である。別の実施形態では、本発明の化合物の1日総用量は、約0.1~約50mg/kgであり、別の実施形態では、約0.5~約30mg/kgである。
【0063】
経口投与の場合、組成物は、患者の症状に合わせて投与量を調整して、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75.0、100、125、150、175、200、250および500ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態で提供することができる。医薬品は通常、約0.01mg~約500mgの有効成分を含有し、または別の実施形態では、約1mg~約100mgの有効成分を含有する。静脈内には、用量は、定速注入の間、約0.01~約10mg/kg/分の範囲であってよい。
【0064】
本発明による適当な対象には、哺乳動物対象が含まれる。本発明による哺乳動物には、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、げっ歯類、ウサギ、霊長類などが含まれ、子宮内の哺乳動物が包含される。一実施形態では、ヒトは、適当な対象である。ヒト対象は、どちらの性別でもよく、また任意の発達段階であってよい。
【0065】
別の実施形態では、本発明は、医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、薬学的に許容できる担体を用いて提示された本発明の化合物を含む。他の薬理学的作用物質も、存在していてよい。本明細書で使用するとき、「薬学的に許容できる担体」には、生理学的に適合性のある任意のおよび全ての溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に許容できる担体の例には、1種または複数の水、生理食塩水、リン酸緩衝溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、ならびにその組合せが含まれ、また等張剤、例えば、糖類、塩化ナトリウム、またはマンニトールもしくはソルビトールなどのポリアルコールが組成物中に含まれていてよい。湿潤剤または湿潤剤もしくは乳化剤などの微量の補助物質、防腐剤または緩衝剤などの薬学的に許容できる物質は、抗体または抗体部分の貯蔵寿命または有効性を高める。
【0066】
本発明の組成物は、種々の形態であってよい。これらには、例えば、液状溶液(例えば、注射可能および注入可能な溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸剤、粉末、リポソームおよび坐剤などの液体、半固体および固体剤形が含まれる。形態は、意図する投与モードおよび治療用途によって決まる。
【0067】
典型的な組成物は、注射可能または注入可能な溶液の形態であり、例えば一般に抗体と一緒にヒトの受動免疫化に使用されるものと類似の組成物である。1つの投与モードは、非経口(例えば静脈内、皮下、腹膜内、または筋肉内)である。別の実施形態では、抗体は、静脈内注入または注射によって投与される。さらに別の実施形態では、抗体は、筋肉内または皮下注射によって投与される。
【0068】
固体剤形の経口投与は、例えば、硬または軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ、または錠剤などの、それぞれが所定量の本発明の少なくとも1種の化合物を含有する別個の単位として提供することができる。別の実施形態では、経口投与は、粉末または顆粒形態であってよい。別の実施形態では、経口剤形は、舌下、例えば、ロゼンジなどである。このような固体剤形では、結晶性化合物は、普通は1種または複数の佐剤と組み合わされる。このようなカプセル剤または錠剤は、制御放出製剤を含有していてよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合には、剤形は、緩衝剤を含んでいてもよく、または腸溶コーティングを用いて調製してもよい。
【0069】
別の実施形態では、経口投与は、液状剤形であってもよい。経口投与のための液状剤形には、例えば、当技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤(例えば、水)を含有する、薬学的に許容できる乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。このような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(例えば、甘味)、および/または芳香剤などの佐剤を含むこともできる。
【0070】
別の実施形態では、本発明は、非経口剤形を含む。「非経口投与」には、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内、筋肉内注射、胸骨内注射、および注入が含まれる。注射可能調製物(すなわち、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液)は、適当な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用し、既知の技術に従って製剤することができる。
【0071】
別の実施形態では、本発明は、局所剤形を含む。「局所投与」には、例えば、経皮パッチもしくはイオン導入法デバイスなどによる経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与が含まれる。局所投与のための組成物には、例えば、局所ゲル、スプレー、軟膏、およびクリームも含まれる。局所製剤は、皮膚または他の患部を通して有効成分の吸収または浸透を増強する結晶性化合物を含んでいてもよい。本発明の結晶性化合物が経皮デバイスによって投与された場合、投与は、貯蔵および多孔質膜タイプまたは固体マトリックスバラエティーのいずれかのパッチを用いて達成されるであろう。この目的のための典型的な製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、粉剤、包帯剤、発泡体、フィルム、皮膚パッチ、オブラート、インプラント、スポンジ、繊維、絆創膏およびマイクロエマルジョンが含まれる。リポソームも使用することができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、液状ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。浸透促進剤が組み込まれてもよい-例えば、B.C.FinninおよびT.M.Morgan、J.Pharm.Sci.、88巻、955~958頁、1999を参照。
【0072】
したがって、本開示の結晶形態の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの局所製剤は、経皮、表皮、頬、肺内、眼内、鼻腔内、経膣および直腸投与モードを含む、上皮および粘膜組織を含む体表面および体管腔の内層(inner linings of body passage)を通過する全ての従来の投与方法を包含するそのような調製物を使用して投与することができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、液状ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。このような局所製剤は、追加の薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせて調製することができる。臨床効果に不可欠であろう賦形剤は、1種または複数の浸透促進剤、例えば1種もしくは複数の飽和またはシス-不飽和C10~C18脂肪アルコールである。そのような脂肪アルコールには、C16~C18脂肪アルコールが含まれ、最も好ましくは、C18脂肪アルコールである。シス-不飽和C16~C18脂肪アルコールの例には、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、γ-リノレニルアルコールおよびリノレニルアルコールが含まれる。浸透促進剤として有用な飽和C10~C18脂肪アルコールには、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールおよびステアリルアルコールが含まれる。あるいは、局所製剤を調製するために使用できる他の浸透促進剤には、C10~C18脂肪酸が含まれ、それは飽和すると、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびアラキジン酸が含まれ得る。あるいは、浸透促進剤は、有用にはシス-不飽和脂肪酸、例えばパルミトレイン酸(シス-9-ヘキサデセン酸)、オレイン酸(シス-9-オクタデセン酸)、シス-バクセン酸(シス-11-オクタデセン酸)、リノール酸(シス-9,12-オクタデカジエン酸)、γ-リノレン酸(シス-6,9,12-オクタデカトリエン酸)、リノレン酸(シス-9,12,15-オクタデカトリエン酸)およびアラキドン酸(シス-5,8,11,14-エイコサテトラエン酸)であってよい。浸透促進剤、例えば、C10~C18脂肪アルコールから選択されたものは、約0.1~約5%(w/v)、より好ましくは、1~約4%、さらにより好ましくは、1~約3%(w/v)の範囲の量で使用される。
【0073】
局所製剤は、治療有効量の((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンを含有し、それを必要としている患者に1日1回または1日2回の用量で投与することができる。これらの量は、約0.1%~約5.0%(w/v)、より好ましくは、約0.1%~約3.0%(w/v)の範囲である。これらの製剤の安定性を高める他の賦形剤の中には、アルデヒド捕捉剤、例えばグリセリンおよびプロピレングリコール、ならびに酸化防止剤、例えばブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、プロピルガレート、アスコルビン酸(ビタミンC)、ポリフェノール、トコフェロール(ビタミンE)、およびそれらの誘導体が含まれる。
【0074】
眼への局所投与に適した製剤には、例えば、点眼剤が含まれ、本発明の化合物は適当な担体に溶解または懸濁される。眼または耳投与に適した典型的な製剤は、等張のpH調整された無菌の生理食塩水中に溶かした超微粉砕した懸濁液または溶液の滴剤の形態であってよい。眼および耳投与に適した他の製剤には、軟膏、生分解性(すなわち、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(すなわち、シリコーン)インプラント、オブラート、レンズならびにニオソームまたはリポソームなどの微粒子または小胞系が含まれる。ポリマー、例えば架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲランガムは、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と一緒に組み込むことができる。このような製剤も、イオン導入法によって送達することができる。
【0075】
鼻腔内投与または吸入による投与の場合には、本発明の結晶性化合物は、好都合なことに、患者によって絞り出される、またはポンプで送り出されるポンプスプレー容器からの溶液または懸濁液の形態で、あるいは適当な噴射剤を用いて、加圧容器またはネブライザーからのエアゾールスプレー提示として送達される。鼻腔内投与に適した製剤は、典型的には、乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末(単独で、例えば、ラクトースとのドライブレンドにおける混合物として、または、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合成分粒子としてのいずれか)の形態で、あるいは加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは電気流体力学を用いて細かい霧を発生するアトマイザー)、またはネブライザーからのエアゾールスプレーとして、1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンのような適当な噴射剤を使用するまたは使用しないで、投与される。鼻腔内使用の場合には、粉末は、生物学的接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでいてよい。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、直腸剤形を含む。そのような直腸剤形は、例えば、坐剤の形態であってよい。カカオ脂は、伝統的な坐剤基剤であるが、種々の代替物を適宜使ってもよい。
【0077】
製薬業界で既知の他の担体物質および投与モードも使用することができる。本発明の医薬組成物は、有効な製剤および投与手順などの、任意の周知の薬学的技術によって調製することができる。有効な製剤および投与手順に関する上記の考察事項は、当技術分野で周知であり、標準的な教科書に記載されている。薬物の製剤は、例えば、Hoover、John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania、1975、Libermanら、Eds.、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980、およびKibbeら、Eds.、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999で論じられている。
【0078】
本発明の結晶化合物は、単独で、または他の治療薬と組み合わせて使用することができる。本発明は、本明細書で定義した使用、方法または組成物のいずれかを提供し、ここで、本明細書の結晶化合物、または前記化合物の薬学的に許容できる溶媒和物は、本明細書で論じた1種または複数の他の治療薬と組み合わせて使用する。
【0079】
2種以上の化合物の「組合せ」の投与は、全ての化合物が、一つの存在が任意の他の化合物の生物学的効果を変化させるのに十分近い時間内に投与されることを意味する。2種以上の化合物は、同時に、同時的にまたは順次投与することができる。さらに、同時投与は、投与前に化合物を混合することによって、または同じ時点だが同じもしくは異なる投与部位で別々の剤形として化合物を投与することによって、実施することができる。
【0080】
語句「同時的投与(concurrent administration)」、「共投与(co-administration)」、「同時投与(simultaneous administration)」、および「同時に投与した(administered simultaneously)」は、化合物を組み合わせて投与することを意味する。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、本発明の結晶化合物を1種または複数の他の薬剤と組み合わせて投与することを含む治療方法を提供し、ここで、1種または複数の他の薬剤は、本明細書で論じた薬剤から選択することができる。
【0082】
これらの薬剤および本発明の結晶化合物は、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液などの薬学的に許容できるビヒクルと組み合わせることができる。特定の投与計画、すなわち、用量、タイミングおよび繰り返しは、特定の個体およびその個体の病歴によって決まることになる。
【0083】
許容できる担体、賦形剤、または安定剤は、使用される投与量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液、塩化ナトリウムなどの塩、アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤、防腐剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レソルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾール)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、またはIgsなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、およびブドウ糖、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖類、ナトリウムなどの塩形成対イオン、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含んでいてよい。
【0084】
これらの薬剤および/または本発明の化合物を含有するリポソームは、米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載されているものなど、当技術分野で公知の方法によって調製される。循環時間が増したリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、逆相蒸発法によって生成することができ、脂質組成物は、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG-誘導ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む。リポソームは、定義された孔径のフィルターを通して押出し、所望の直径のリポソームをもたらす。
【0085】
これらの薬剤および/または本発明の化合物は、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョンにおいて、例えば、コアセルベーション技術または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに取り込むこともできる。このような技術は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000)に開示されている。
【0086】
徐放性製剤を使用することができる。徐放性製剤の適当な例には、抗体/本発明の化合物を含有する固体の疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれ、このマトリックスは、成形品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸と7エチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸ロイプロリドからなる注射可能マイクロスフェア)で使用されたもの、スクロース酢酸イソブチレート(sucrose acetate isobutyrate)、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0087】
静脈内投与に使用する製剤は、無菌でなければならない。これは、例えば、無菌ろ過膜を通してろ過することによって容易に達成される。本発明の結晶化合物は、一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって突き刺すことが可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルに入れられる。
【0088】
市販されている脂肪乳濁液、例えばIntralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)およびLipiphysan(商標)を用いて、適当な乳濁液を調製することができる。有効成分を、予混合した乳濁液組成物に溶解することができ、あるいは油(例えば、大豆油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油またはアーモンド油)に溶解し、リン脂質(例えば、卵リン脂質、大豆リン脂質または大豆レシチン)および水と混合して乳濁液を形成することができる。乳濁液の張度を調整するために、他の成分、例えば、グリセロールまたはグルコースを加えてもよいことは理解されよう。適当な乳濁液は、通常、最大20%の油、例えば、5~20%を含有するであろう。脂肪乳濁液は、0.1~1.0μm、特に0.1~0.5μmの脂肪滴を含み得、また5.5~8.0の範囲のpHを有する。
【0089】
これらの教示の化合物は、当技術分野で公知の方法によって調製することができる。これらの教示の化合物の調製に使用される試薬は、市販で入手することができ、または文献に記載されている標準手順で調製することができる。例えば、本発明の化合物は、以下の実施例に例示されている方法に従って調製することができる。
【0090】
本発明の説明では、当業者に周知の種々の略語が使用され、以下を含む:
aq.:水溶液
CHCN:アセトニトリル
DCM:ジクロロメタン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
FT-IR:フーリエ変換-赤外
HOAc:酢酸
MeOH:メタノール
PXRD:粉末X線回折
ss13C NMR:固体状態13C核磁気共鳴
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
【実施例
【0091】
以下の非限定的な実施例は、本発明を例示するためのみに提示される。当業者は、例示されていないが、やはり本教示の一部を形成する多くの等価物および変形例があることを理解するであろう。
【0092】
(実施例1)
((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの調製
表題化合物は、米国特許第9,663,526号の実施例7に従って調製された。粗製物質を、10体積(100mg/ml)の2:1 EtOH/水中で80℃(完全に溶解するまで)まで温め、次いでろ過し、精製された表題化合物が得られるまでゆっくり冷却する。ろ過後、物質は、45~55℃で、真空下で乾燥させる。
【0093】
(実施例2)
((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン形態Iの調製
1モルの水酸化ナトリウム水溶液(1.2当量)および((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンのp-トルエンスルホン酸塩(1.0当量)を、メチルイソブチルケトン(MIBK)(8mL/g)中で合わせた。固体を溶解させ、塩を中和した後、2つの液体層を分離させる。水層をMIBK(5mL/g)で逆抽出し、合わせた有機層を水(3mL/g)で洗浄する。洗浄した有機溶液を、防塵状態でろ過し、濃縮して水を除去する。濃縮物をMIBK(総体積=遊離塩基((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンに対して6.8mL/g)で希釈し、75℃に加熱し、次にn-ヘプタン((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]-オクタン-8-イル)メタノンに対して3.2mL/g)でさらに希釈して、遊離塩基の約2:1v/vのMIBK:n-ヘプタン溶液を得る。溶液を65℃にわずかに冷却し、温めながら、0.02mol%遊離塩基((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン)形態1(0.02当量)を播種する。遊離塩基APIを65℃で約1時間結晶化し、得られたスラリーを周囲温度に冷却し(0.1℃/分で約20℃に)、その温度を14時間保持して、結晶化を完了する。遊離塩基((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン(pyrimidn)-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-メタノン)をろ過によって収集し、3:7v/vのMIBK/n-ヘプタン(0.7mL/g)で洗浄し、フィルター内でまたは場合により真空オーブン中で45℃で乾燥させる。
【0094】
(実施例3)
遊離塩基(S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの調製
非晶質遊離塩基((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン)(100mg)(実施例1で調製)および酢酸エチル(EtOAc)(1mL)をバイアルに添加して溶液を形成し、60℃に加熱した。沈殿物が現れるまでヘプタンを添加し、次に沈殿物が再び溶解するまで、EtOAcを添加し戻した。溶液を室温(RT)に冷却し、RTで終夜撹拌した。透明の油滴をバイアル底部に入れ、混合物を60℃に加熱し、次に周囲条件に冷却した。米国特許第9,663,526号に従って調製したラセミ体種を添加し、混合物を、終夜RTで撹拌した。混合物(ラセミ体由来の種は、まだ溶解していなかったが、他の沈殿も生じていなかった)を35℃で約64時間加熱した。得られた沈殿物を、結晶性遊離塩基((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-メタノン)形態1としてろ過した。
【0095】
(実施例4)
((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン)形態1の調製
1mmolおよび0.72mmolのラセミ体((2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン)、1molの(S)-2,2-ジフルオロシクロプロパン-1-カルボン酸、2.06molのHATU(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロ-ホスフェート、N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾロ-[4,5-b]ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド)およびジクロロメタン8mLを、RTでフラスコに添加し、その後6.88mmolのDIEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)を添加した。反応物をRTで6時間撹拌した。溶媒を除去し、得られた反応粗製材料を、シリカゲルクロマトグラフィーを使用して精製し、30%酢酸エチル70%ヘプタン~100%酢酸エチルで溶出した。それを、シリカゲルクロマトグラフィーによって8%メタノール(MeOH)および92%ジクロロメタン(DCM)を用いてさらに精製した。試料をDCMに溶解させ、塩化アンモニウム(NH4Cl)で3回飽和させた水で洗浄した。有機層を、ガム状になるまで濃縮した。残留物をフラスコに入れ、EtOAc3mLを添加し、60℃に加熱し、次に沈殿物が現れるまでヘプタンを添加し、次に沈殿物が再び溶解するまでEtOAcを添加し戻した。溶液をRTに冷却し、RTで終夜撹拌した。得られた沈殿物を、以下のパラメーター:60℃で2時間保持し、次に20℃に冷却、を用いて温度サイクルで2回処理し、さらに18時間保持した。固体をろ過し、真空下で乾燥させた。PXRDは、この固体が結晶性であることを示した。
【0096】
本明細書に記載された本発明の変更、修正および他の実施は、本教示の趣旨および本質的特徴から逸脱することなく当業者に生じることになる。したがって、本教示の範囲は、前述の例示的な説明によってではなく、以下の特許請求の範囲によって定義されるべきものであり、特許請求の範囲の等価物の意味および範囲内の全ての変更がそこに包含されることを意図するものとする。
【0097】
限定されるものではないが、本明細書中に記載または引用した特許、特許出願、書籍、専門誌、業界誌および学術誌を含む各刊行物は、その全体および全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
非限定的に、本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの結晶形態。
[態様2]
2θに関して、5.0、9.9、および15.3°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、態様1に記載の結晶形態。
[態様3]
2θに関して、5.0、9.9、15.3、および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、態様1に記載の結晶形態。
[態様4]
2θに関して、5.0、9.9、15.3、16.8および19.7°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、態様1に記載の結晶形態。
[態様5]
前記形態が、非吸湿性および無水である、態様1から4のいずれか一項に記載の結晶形態。
[態様6]
前記形態が、実質的に純粋である、態様1から4のいずれか一項に記載の結晶形態。
[態様7]
54.6、129.8、および124.9ppm±0.2ppmからなる群から選択される固体13C核磁気共鳴化学シフトによって特徴付けられる、態様1に記載の結晶形態。
[態様8]
1578、1605、および1566cm-1±2cm-1での一組のラマンバンドによって特徴付けられる、態様1に記載の結晶形態。
[態様9]
2θに関して、5.0、9.9、および15.3°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターン、ならびに54.6および129ppm±0.2ppmからなる群から選択される固体13C核磁気共鳴化学シフトによって特徴付けられる、態様1に記載の結晶形態。
[態様10]
2θに関して、5.0、9.9、および15.3°2θ±0.2°2θでのピークを含む粉末X線回折パターン、ならびに1578cm-1±2cm-1での一組のラマンバンドによって特徴付けられる、態様1に記載の結晶形態。
[態様11]
1578cm-1±2cm-1での一組のラマンバンド、ならびに54.6および129ppm±0.2ppmからなる群から選択される固体13C核磁気共鳴化学シフトによって特徴付けられる、態様1に記載の結晶形態。
[態様12]
態様1から11のいずれか一項に記載の結晶形態および薬学的に許容できる担体を含む、医薬組成物。
[態様13]
クリーム、経皮パッチ、軟膏、点眼薬、ローションおよびゲルから選択される局所製剤を含む、態様12に記載の医薬組成物。
[態様14]
局所製剤が、約0.1%~約5.0%(w/v)の結晶性((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンを含有する、態様13に記載の医薬組成物。
[態様15]
治療有効量の態様1から11のいずれか一項に記載の結晶形態を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における疾患を治療する方法であって、その疾患が、狼瘡、リウマチ様関節炎、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬、乾癬性関節炎、およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される、方法。
[態様16]
哺乳動物における疾患を局所的に治療する方法であって、態様1から11のいずれか一項に記載の治療有効量の結晶形態を、それを必要とする哺乳動物に局所投与モードによって投与することを含み、その疾患が、白斑、脱毛症、乾癬およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される、方法。
[態様17]
医薬品として使用するための、態様1から11のいずれか一項に記載の結晶形態。
[態様18]
狼瘡、リウマチ様関節炎、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬、乾癬性関節炎およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される、障害の治療に使用するための、態様1から11のいずれか一項に記載の結晶形態。
[態様19]
狼瘡、リウマチ様関節炎、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬、乾癬性関節炎およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される障害を治療するための医薬品を調製するための、態様1から11のいずれか一項に記載の結晶形態の使用。
[態様20]
((2,2-ジフルオロシクロプロピル)-((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノン)を適切な溶媒から再結晶化させることによって調製した、((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)-メタノンの結晶形態。
[態様21]
その結晶形態を、経皮投与に適した賦形剤と組み合わせることによって調製した、((S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)((1R,5S)-3-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)メタノンの局所製剤。
図1
図2
図3
図4