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  • 特許-振動発生装置及び電子機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】振動発生装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
B06B1/06 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020038007
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021137741
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文久
(72)【発明者】
【氏名】松井 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】浜田 浩
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/139217(WO,A1)
【文献】特開2001-255993(JP,A)
【文献】特開2012-155526(JP,A)
【文献】特表2020-504892(JP,A)
【文献】特開2003-334396(JP,A)
【文献】特開2005-291149(JP,A)
【文献】特開2018-194967(JP,A)
【文献】特開2013-156682(JP,A)
【文献】特開2019-118850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体と、
前記第2の主面に接合された圧電アクチュエータと、
前記圧電アクチュエータに、周波数が60kHz以上の駆動信号を供給する駆動装置と
を具備し、
前記振動体の音圧特性は、人の指が前記振動体に接触したとき、前記駆動信号の周波数の1/4においてピークを示し、人の指が前記振動体に接触していないとき、前記駆動信号の周波数の1/4より高い周波数においてピークを示す、
振動発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動発生装置であって、
前記振動体は、ガラス又は曲げ弾性率が3.0GPa以下の樹脂材料からなる
振動発生装置。
【請求項3】
第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体と、前記第2の主面に接合された圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータに、周波数が60kHz以上の駆動信号を供給する駆動装置とを備える振動発生装置
を具備し、
前記振動体の音圧特性は、人の指が前記振動体に接触したとき、前記駆動信号の周波数の1/4においてピークを示し、人の指が前記振動体に接触していないとき、前記駆動信号の周波数の1/4より高い周波数においてピークを示す、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動による触覚提示に係る振動発生装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやカーナビゲーション等のタッチパネルでは、入力がなされたことを振動により通知する技術(フォースフィードバック)が用いられている。また、近年では通知だけではなく、パネルの振動にさまざまなバリエーションをもたせることで表示物の感触を表現したり、操作位置を認識させたりするような触覚技術が検討されている。
【0003】
触覚技術として、圧電アクチュエータをパネルへ貼り付け、超音波帯域の振動を生じさせることによりパネル表面に定在波を発生させることができる。その表面を指などで触れるとユーザは触感を感じることができる。そして信号パターンを変えることで、様々なバリエーションの触感を表現することができる。
【0004】
しかしながら、このような触感を発生させているパネル表面に指を触れる際、指とパネルの接触による異音(以下、接触音)が派生する場合がある。これに対し、特許文献1には、発生音に対し、その周波数より高い周波数の抑圧音を発生させることで、二音抑圧効果により聴感上指の接触音を小さく感じさせる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-194967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、接触音の発生自体は抑制されていない。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、接触音の発生を防止しながら、触覚を提示することが可能な振動発生装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る振動発生装置は、振動体と、圧電アクチュエータと、駆動装置とを具備する。
上記振動体は、第1の主面と、上記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する。
上記圧電アクチュエータは、上記第2の主面に接合されている。
上記駆動装置は上記圧電アクチュエータに、周波数が60kHz以上の駆動信号を供給する。
上記振動体の音圧特性は、人の指が前記振動体に接触したとき、上記駆動信号の周波数の1/4においてピークを示し、人の指が前記振動体に接触していないとき、前記駆動信号の周波数の1/4より高い周波数においてピークを示す
【0009】
この構成によれば、指と振動体の接触音の原因となる1/4周波数の振動が、15kHz以上の振動となり、人間の可聴帯域を超えるため、接触音の発生を防止することが可能である。
【0010】
上記振動体は、ガラス又は曲げ弾性率が3.0GPa以下の樹脂材料からなるものであってもよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る電子機器は、振動発生装置を具備する。
上記振動発生装置は、第1の主面と、上記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体と、上記第2の主面に接合された圧電アクチュエータと、上記圧電アクチュエータに、周波数が60kHz以上の駆動信号を供給する駆動装置とを備える。
上記振動体の音圧特性は、人の指が前記振動体に接触したとき、上記駆動信号の周波数の1/4においてピークを示し、人の指が前記振動体に接触していないとき、前記駆動信号の周波数の1/4より高い周波数においてピークを示す
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、接触音の発生を防止しながら、触覚を提示することが可能な振動発生装置及び電子機器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る振動発生装置の模式図である。
図2】上記振動発生装置の斜視図である。
図3】上記振動発生装置の側面図である。
図4】上記振動体の音圧特性を示すグラフである。
図5】上記振動体の振動変位量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る振動発生装置について説明する。なお、以下の各図においてX方向、Y方向及びZ方向を相互に直交する3方向とする。
【0015】
[振動発生装置の構成]
図1は、本実施形態に係る振動発生装置100の模式図である。同図に示すように、振動発生装置100は、振動体101、圧電アクチュエータ102及び駆動装置103を備える。図2は振動発生装置100の斜視図であり、図3は振動発生装置100の側面図である。なお、図2及び図3では駆動装置103の図示は省略する。
【0016】
振動体101は、振動体101に触れるユーザに触覚を提示する。振動体101はガラス又は樹脂材料からなる板状の部材とすることができ、例えば、液晶パネルや電子機器の筐体等である。振動体101が樹脂材料からなる場合、曲げ弾性率が3.0GPa以下の樹脂材料が好適である。振動体101の形状やサイズは特に限定されない。図2及び図3に示すように、振動体101の一方の主面を第1の主面101aとし、第1の主面101aの反対側の主面を第2の主面とする。
【0017】
圧電アクチュエータ102は、振動体101の第2の主面101bに接合され、振動を生じる。圧電アクチュエータ102は、正極、負極及び圧電材料層を備え、正極と負極の間に電圧を印加すると、逆圧電効果により圧電材料層に変形が生じ、振動が発生する。図1において、正極に接続された正極端子102aと、負極に接続された負極端子102bを示す。
【0018】
正極端子102aには正極配線104が接続され、負極端子102bには負極配線105が接続されている。図1に示すように正極配線104及び負極配線105は、駆動装置103に接続され、駆動装置103から駆動信号が供給されると圧電アクチュエータ102に振動が生じる。
【0019】
圧電アクチュエータ102は正極と負極を圧電材料層を介して交互に積層した積層構造を有するものであってもよく、他の構造を有するものであってもよい。圧電アクチュエータ102はエポキシ樹脂等によって第2の主面101bに接合されたものとすることができる。また、圧電アクチュエータ102は2つ以上が第2の主面に接合されてもよい。
【0020】
図3に示すように、振動発生装置100では、ユーザの指Fが第1の主面101aに接触して用いられる。この際、第2の主面101bに接合された圧電アクチュエータ102が振動を発生させることにより、ユーザは指Fに触感を感知することができる。
【0021】
駆動装置103は、例えばアンプであり、正極配線104及び負極配線105を介して圧電アクチュエータ102と接続され、圧電アクチュエータ102に駆動信号を供給する。駆動信号の周波数は60kHz以上が好適である。
【0022】
[駆動信号について]
図4は、振動体101に指Fが接触しない場合と接触した場合のそれぞれの振動体101の音圧特性を示すグラフである。同図に示すように、振動体101に指Fが接触すると、駆動信号の周波数の1/2と1/4にピークが存在し、1/4周波数のピークが接触音として聞こえる。
【0023】
図5は、振動体101に指Fが接触した場合の振動体101の振動変位量を示すグラフである。音圧特性と同様に、振動体101の振動では、駆動信号の周波数の1/2と1/4にピークが存在し、指接触時にその周波数で振動体101が振動している。
【0024】
ここで、上記のように駆動装置103が60kHz以上の駆動信号を生成すると、振動体101において生じる1/4周波数の振動は15kHz以上となる。15kHz以上の振動は人間の可聴帯域外であるため、接触音は聞こえなくなる。
【0025】
このように、振動発生装置100では、駆動装置103が60kHz以上の駆動振動を圧電アクチュエータに供給することにより、接触音の発生を防止しながら、ユーザに触覚を提示することが可能である。
【0026】
振動発生装置100は以上のような構成を有する。振動発生装置100は、スマートフォンや触覚機能デバイス等の各種電子機器に搭載することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
100…振動発生装置
101…振動体
102…圧電アクチュエータ
103…駆動装置
図1
図2
図3
図4
図5