(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】積層体、ラベル及び印刷物
(51)【国際特許分類】
B32B 27/08 20060101AFI20240927BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20240927BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20240927BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240927BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20240927BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B32B27/08
B32B7/022
B32B27/40
B32B27/32 Z
B32B7/027
G09F3/02 E
G09F3/02 F
(21)【出願番号】P 2020057400
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-11-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122313
【氏名又は名称】株式会社ユポ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100226827
【氏名又は名称】芝田 美香
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(74)【代理人】
【識別番号】100208649
【氏名又は名称】鈴木 満
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 祐一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 李香
(72)【発明者】
【氏名】座間 高広
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170656(WO,A1)
【文献】特開2004-002825(JP,A)
【文献】特開2003-221566(JP,A)
【文献】特開2011-148265(JP,A)
【文献】特表2013-503058(JP,A)
【文献】特開昭62-151341(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0257156(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0020196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
G09F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂層を一方の表面に有するシートと、前記シートの前記熱可塑性樹脂層の面上に設けられた樹脂含有層と、を有する積層体であって、
前記樹脂含有層が、前記シートを覆う熱可塑性樹脂を含有し、
前記樹脂含有層の前記熱可塑性樹脂が、熱可塑性樹脂粒子又は熱可塑性樹脂粒子の融着物を含み、
前記熱可塑性樹脂粒子の最低造膜温度が40℃以下であり、
前記シートの押し込み硬さが、0N/mm
2超60N/mm
2以下である、積層体。
【請求項2】
前記樹脂含有層における前記熱可塑性樹脂が、ポリウレタン樹脂を含有する、請求項
1に記載の積層体。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂層が、ランダムポリプロピレンを含有する、請求項1
又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂層における前記ランダムポリプロピレンの含有量が、60質量%以上である、請求項
3に記載の積層体。
【請求項5】
前記樹脂含有層が、機能性粒子を含有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記機能性粒子が、カチオン性金属酸化物を有する粒子を含有する、請求項
5に記載の積層体。
【請求項7】
前記機能性粒子が、オレフィン系重合体粒子を含有する、請求項
5に記載の積層体。
【請求項8】
前記シートが、基材層と、前記基材層の面上に設けられた前記熱可塑性樹脂層とを有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、ラベル及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体上に印刷層を設けた印刷物は、屋外広告、本、カレンダー、表示ラベルなどに広く利用されている。
【0003】
印刷媒体上に印刷層を設ける際、印刷媒体の表面には、印刷媒体の印刷性等の観点から、熱可塑性樹脂粒子から形成される層が設けられることがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、印刷媒体に含まれる熱可塑性樹脂層の表面に熱可塑性樹脂粒子から形成される樹脂含有層を設けると、樹脂含有層と、樹脂含有層の面上に設けた印刷層との関係で印刷性が向上するものの、印刷層を設けた印刷物を打ち抜き等で切断した際に印刷層の剥離が生じる問題を本発明者らは発見した。これは、樹脂含有層と、樹脂含有層の下地となる熱可塑性樹脂層との間の密着性が、切断等の厚さ方向の応力に対して十分でなかったことによるものと考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、打ち抜き等で印刷物を切断した際の印刷層の剥離を抑制することが可能な積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、シートを覆う熱可塑性樹脂を含有する樹脂含有層の下地となる熱可塑性樹脂層を一方の表面に有するシートの押し込み硬さを調整することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0008】
[1]熱可塑性樹脂層を一方の表面に有するシートと、前記シートの前記熱可塑性樹脂層の面上に設けられた樹脂含有層と、を有する積層体であって、
前記樹脂含有層が、前記シートを覆う熱可塑性樹脂を含有し、
前記シートの押し込み硬さが、0N/mm2超60N/mm2以下である、積層体。
[2]前記シートの押し込み硬さが、0.1N/mm2以上60N/mm2以下である、前記[1]に記載の積層体。
[3]前記シートの押し込み硬さが、10N/mm2以上60N/mm2以下である、前記[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記樹脂含有層における前記熱可塑性樹脂が、ポリウレタン樹脂を含有する、前記[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記熱可塑性樹脂層が、ランダムポリプロピレンを含有する、前記[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記ランダムポリプロピレンの引張弾性率が、30~1200N/mm2である、前記[5]に記載の積層体。
[7]前記ランダムポリプロピレンの融点が、100~145℃である、前記[5]又は[6]に記載の積層体。
[8]前記熱可塑性樹脂層における前記ランダムポリプロピレンの含有量が、60質量%以上である、前記[5]~[7]のいずれかに記載の積層体。
[9]前記樹脂含有層が、機能性粒子を含有する、前記[1]~[8]のいずれかに記載の積層体。
[10]前記機能性粒子が、カチオン性金属酸化物を有する粒子を含有する、前記[9]に記載の積層体。
[11]前記機能性粒子が、オレフィン系重合体粒子を含有する、前記[9]に記載の積層体。
[12]前記シートが、基材層と、前記基材層の面上に設けられた前記熱可塑性樹脂層とを有する、前記[1]~[11]のいずれかに記載の積層体。
[13]前記[1]~[12]のいずれかに記載の積層体と、
前記積層体の前記樹脂含有層側と反対側の面上に設けられた接着層と、
を有する、ラベル。
[14]前記[1]~[12]のいずれかに記載の積層体と、
前記積層体の前記樹脂含有層の面上に設けられた印刷層と、
を有する、印刷物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、打ち抜き等で印刷物を切断した際の印刷層の剥離を抑制することが可能な積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の積層体の構成例を示す断面図である。
【
図2】本実施形態の積層体の他の構成例を示す断面図である。
【
図3】本実施形態の印刷物の構成例を示す断面図である。
【
図4】本実施形態の印刷物の他の構成例を示す断面図である。
【
図5】本実施形態の印刷物の他の構成例を示す断面図である。
【
図6】本実施形態の印刷物の他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の積層体、及び印刷物について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様としての一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0012】
なお、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含する。
また、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリルとメタクリルの両方を示す。
【0013】
(積層体)
本発明の積層体は、シートと樹脂含有層とを有する。
シートは、熱可塑性樹脂層を一方の表面に有する。
樹脂含有層は、シートの熱可塑性樹脂層の面上に設けられている。
樹脂含有層は、シートを覆う熱可塑性樹脂を含有する。
シートは、0N/mm2超60N/mm2以下の押し込み硬さを有する。
【0014】
樹脂含有層は、印刷層を形成する際の濡れ性、及び印刷層と積層体との間の密着性等を向上させることができる。一方、樹脂含有層は、下地となる熱可塑性樹脂層との間で打ち抜き等の応力に対する密着性が十分でなく、印刷層の剥離が生じることがあった。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、樹脂含有層の下地となる熱可塑性樹脂層を一方の表面に有するシートの押し込み硬さを0N/mm2超60N/mm2以下とすることで、打ち抜き等で印刷物を切断した際の印刷層の剥離を抑制できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0015】
積層体は、例えば、印刷用紙、包装紙、壁紙等として使用される。
【0016】
<シート>
シートは、熱可塑性樹脂層を一方の表面に有する。
シートは、例えば、積層体に剛度(コシ)を付与する。
【0017】
シートの押し込み硬さ(HIT)は、0N/mm2超60N/mm2以下である。シートの押し込み硬さは、後述する実施例で示すように、シートの熱可塑性樹脂層側(すなわち、樹脂含有層を設ける面)に対するナノインデンデーション試験により測定される。押し込み硬さ(HIT)を測定するナノインデンデーション試験は、国際規格ISO14577により制定されている。押し込み硬さが60N/mm2以下である柔軟な熱可塑性樹脂層がシートの表面に設けられていることにより、熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂層の面上に設けられた樹脂含有層との界面に生じる応力を分散(緩和)させ、樹脂含有層と熱可塑性樹脂層との間に強い密着力を付与できると考えらえる。その結果、印刷後の打ち抜き等により外部から積層体に応力が加わった場合にも、印刷層の剥離を抑制することができる。上記効果は、樹脂含有層における熱可塑性樹脂が層状に形成され、単位面積当たりの質量として0.05g/m2以上(さらには、0.1g/m2以上)で樹脂含有層を設けた場合であっても、十分得られる。
【0018】
シートの押し込み硬さは、樹脂含有層と熱可塑性樹脂層との間に強い密着力を付与し、打ち抜き等で印刷物を切断した際の印刷層の剥離を抑制する観点からは、小さければ小さいほうがよく、60N/mm2以下であれば、特に限定されないが、50N/mm2以下が好ましい。シートの押し込み硬さは、例えば、0.1N/mm2以上であってもよいし、10N/mm2以上であってもよい。シートのべたつきを抑制する観点からは、シートの押し込み硬さは、10N/mm2以上が好ましい。
ここで、シートのべたつきとは、熱可塑性樹脂層の物に対する付着感をいう。シートにべたつきがあると、シートをロール状に巻き取って又はシートを重ねて保存した際の、シート同士のブロッキングが生じやすくなる。
【0019】
シートは、1層構成であってもよく、2層構成であってもよく、3層以上の構成であってもよい。
シートは、例えば、基材層と、基材層の面上に設けられた熱可塑性樹脂層とを有する。
シートが基材層を有する3層以上の構成である場合、シートにおいて、基材層の一方の面側の層構成と他方の面側の層構成とは、対称の層構成であってもよく、非対称の層構成であってもよい。例えば、シートは、基材層の両面のそれぞれに熱可塑性樹脂層を有していてもよい。この場合、両面の2つの熱可塑性樹脂層は、材質、厚みなどが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
シートの厚みとしては、特に限定されないが、取り扱いの容易性及びシワの発生の防止等の観点から、20μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、60μm以上がさらに好ましい。一方、取り扱いの容易性及び生産性の観点から、250μm以下が好ましく、200μm以下がさらに好ましい。
シートの厚みは、例えば、JISK7130:1999に従い、定圧厚さ測定器を用いて測定する。
【0021】
<<熱可塑性樹脂層>>
シートは、熱可塑性樹脂層を一方の表面に有する。
シートは、基材層の両面のそれぞれに熱可塑性樹脂層を有していてもよい。この場合、両面の2つの熱可塑性樹脂層は、材質、厚みなどが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を含有する。
熱可塑性樹脂層は、例えば、熱可塑性樹脂から構成される。その際、熱可塑性樹脂は、例えば、マトリックス樹脂である。
シートが、基材層の両面のそれぞれに熱可塑性樹脂層を有している場合、シートの押し込み硬さは、少なくとも片面において0N/mm2超60N/mm2以下を満たし、両面において0N/mm2超60N/mm2以下を満たすことが好ましい。
【0022】
熱可塑性樹脂層に含有される熱可塑性樹脂としては、シートの押し込み硬さが60N/mm2以下である柔軟な熱可塑性樹脂層を得るために、低弾性の熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。低弾性の熱可塑性樹脂としては、例えば、低弾性のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。なお、ポリオレフィン系樹脂であっても、オレフィンの種類、分子量、分岐度、結晶性、共重合比率等によって引張弾性率は様々に異なる。そのため、ポリオレフィン系樹脂の中から、低弾性のもの(即ち、引張弾性率が低いもの)を選択して用いることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、及び4-メチル-1-ペンテン(共)重合体等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低結晶性又は非晶性のエチレン・α-オレフィン共重合体、及びエチレン-環状オレフィン共重合体等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、結晶性ポリプロピレン、低結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体(ランダム共重合体又はブロック共重合体)、プロピレン・α-オレフィン共重合体、及びプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体等が挙げられる。
なお、プロピレン・α-オレフィン共重合体、及びプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては、エチレン及びプロピレンと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、及び1-オクテン等が挙げられる。
これらの中でも、ランダムポリプロピレンが所定の弾性率が得られやすい点及びシート成形中に熱可塑性樹脂層の一部が剥がれて積層体表面を汚染することを抑制する点から好ましい。ランダムポリプロピレンは、プロピレン・エチレン共重合体の一種である、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体であり、本明細書においては、全モノマーに対するプロピレンのモル比が0.5以上のものを指す。上記プロピレン・エチレン共重合体はプロピレンとエチレンと別のコモノマーとの共重合体であってもよい。
【0023】
低弾性の熱可塑性樹脂の引張弾性率としては、特に限定されないが、1200MPa以下が好ましく、1150MPa以下がより好ましく、1100MPa以下がさらに好ましい。引張弾性率が1200MPa以下であることにより、シート表面の押し込み硬さを低下させることができ、打ち抜き等で印刷物を切断した際の印刷層の剥離をより抑制できる傾向にある。一方、引張弾性率が30MPa以上であることにより、シートのべたつきを抑える傾向がある。
引張弾性率は、JIS K 7162に準拠して求めることができる。
【0024】
低弾性の熱可塑性樹脂の融点としては、特に限定されないが、160℃以下が好ましく、145℃以下がより好ましく、140℃以下がさらに好ましい。融点が上記上限温度以下であることにより、シート製造工程中の延伸の際に、樹脂含有層に生じる空孔の量が低減できる傾向がある。その結果、シート表面の平滑性が向上し、優れた美粧性が得られるとともに、グラビア印刷でドットスキップを起こしにくくなる。また、融点は、60℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。融点が60℃以上であることにより、ブロッキングを防止しやすくなる。
融点(融解温度)は、JIS K 7121:1987に準拠して求めることができる。
【0025】
熱可塑性樹脂層における低弾性の熱可塑性樹脂の含有量としては、低弾性の熱可塑性樹脂の引張弾性率にも依存するが、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。含有量が40質量%以上であることにより、シート表面の押し込み硬さを低下させやすくなり、打ち抜き等で印刷物を切断した際の印刷層の剥離をより抑制できる傾向がある。熱可塑性樹脂層における低弾性の熱可塑性樹脂の含有量は、100質量%であってもよいし、100質量%未満であってもよい。例えば、他の層の収縮率とのバランスの観点から、含有量は、95質量%以下であってもよいし、90質量%以下であってもよい。
【0026】
低弾性の熱可塑性樹脂が熱可塑性樹脂層と隣接する層に含有される樹脂材料と相溶しない場合には、熱可塑性樹脂層において、低弾性の熱可塑性樹脂は、樹脂材料と相溶する樹脂とともに使用されることが好ましい。例えば、基材層にポリプロピレン系樹脂が使用され、熱可塑性樹脂層を構成する低弾性の熱可塑性樹脂としてポリエチレン系樹脂を選択する場合、熱可塑性樹脂層において、ポリエチレン系樹脂はポリプロピレン系樹脂とともに使用されることが好ましい。
【0027】
熱可塑性樹脂層に使用される熱可塑性樹脂は、低弾性の熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン系樹脂、及びポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
【0028】
熱可塑性樹脂層は、無機粒子、及び有機粒子等の粒子を含有していてもよいし、含有していなくてもよいが、含有していることが好ましい。熱可塑性樹脂層がこれらの粒子を含有することにより、空孔及び粒子により表面が適度に粗面化され、投錨効果による印刷層との密着性が向上しやすくなる。熱可塑性樹脂層が粒子を含有する場合の熱可塑性樹脂層における粒子の含有量としては、例えば、10~50質量%である。含有量が50質量%以下であることにより、シートの押し込み硬さを低下させやすくなる。
【0029】
熱可塑性樹脂層の厚みとしては、特に限定されないが、シートの押し込み硬さの制御が容易な観点から、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましい。一方、取り扱いの容易性の観点から、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
【0030】
<<基材層>>
基材層は、例えば、熱可塑性樹脂を含有する。基材層は、熱可塑性樹脂の他に、フィラー等を含有していてもよい。
【0031】
<<<熱可塑性樹脂>>>
基材層において、熱可塑性樹脂は、例えば、マトリックス樹脂であり、シートに機械的強度を付与する。
基材層に含有される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、及び4-メチル-1-ペンテン(共)重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1~8であることが好ましい)、マレイン酸変性ポリエチレン、及びマレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有オレフィン系樹脂;芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等)、及び脂肪族ポリエステル(ポリブチレンサクシネート、及びポリ乳酸等)等のポリエステル系樹脂;ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、及びナイロン-6,12等のポリアミド系樹脂;シンジオタクティックポリスチレン、アタクティックポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン(AS)共重合体、スチレン-ブタジエン(SBR)共重合体、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリカーボネート樹脂;並びにポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
【0032】
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低結晶性又は非晶性のエチレン・α-オレフィン共重合体、及びエチレン-環状オレフィン共重合体等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、結晶性ポリプロピレン、低結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、及びプロピレン・エチレン共重合体(ランダム共重合体又はブロック共重合体)、プロピレン・α-オレフィン共重合体、及びプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体等)等が挙げられる。
なお、プロピレン・α-オレフィン共重合体、及びプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては、エチレン及びプロピレンと共重合可能であれば、特に限定されず、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、及び1-オクテン等が挙げられる。
これら熱可塑性樹脂のなかでも、耐水性及び耐薬品性を低コストで得ることができる点で、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、積層体に印刷媒体としての適度な剛度を与えることができる点で、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0033】
基材層における熱可塑性樹脂の含有量としては、特に限定されないが、延伸の安定性等の観点から、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。一方、印刷媒体としての不透明度及び白色度等を得る観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
【0034】
<<<フィラー>>>
フィラーは、例えば、基材層を形成する際の空孔の形成に寄与する。基材層に空孔が形成されることにより、積層体は所望の白色度及び不透明度を得ることができる。一方、透明な積層体を製造する場合には基材層はフィラーを含有しなくてもよい。
基材層に含まれるフィラーとしては、例えば、無機フィラー、及び有機フィラー等が挙げられる。
【0035】
フィラーの平均粒子径は、レーザー回折法によって測定された体積平均粒子径によって表され、該体積平均粒子径は、延伸により基材層を白色化及び不透明化する観点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましい。一方、上記体積平均粒子径は、積層体表面の外観を良好にする観点から、15μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
【0036】
無機フィラーは、低コストで粒子径が異なる多数の製品が商業的に入手可能な点で好ましい。無機フィラーとしては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、及びガラスファイバー等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なかでも、空孔形成性及びコストの観点から、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、及び酸化チタンが好ましく、重質炭酸カルシウムがより好ましい。
これらの無機フィラーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
基材層におけるフィラーの含有量としては、特に限定されないが、基材層に十分な空孔を形成する観点から、2質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、14質量%以上が特に好ましい。一方、基材層の強度の低下を抑える観点から、含有量は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下が特に好ましい。透明な積層体を製造する場合には、含有量は2質量%未満であってもよい。
【0038】
基材層の厚みとしては、特に限定されないが、積層体に適度の剛度を付与する観点から、20μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、60μm以上がさらに好ましい。一方、製造コスト等の観点から、250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
【0039】
<<シートの製造方法>>
シートの製造方法としては、特に限定されない。例えば、スクリュー型押出機に接続された単層又は多層のTダイ、Iダイなどにより溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、インフレーション成形などを用いて、熱可塑性樹脂層、基材層を成形することができる。また、熱可塑性樹脂と、有機溶媒又はオイルとの混合物をキャスト成形またはカレンダー成形した後、溶媒又はオイルを除去する方法を用いて、熱可塑性樹脂層、及び基材層を成形してもよい。
【0040】
シートは、延伸されたシートであってもよいし、延伸されていないシートであってもよい。
シートの延伸方法としては、特に限定されず、例えば、ロール群の周速差を利用した縦(MD)延伸、テンターオーブンを使用した横(TD)延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸、若しくは、テンターとパンタグラフとの組み合わせによる同時二軸延伸、又は、これらの組合せ等が挙げられる。
【0041】
シートが多層構成の場合、各層の延伸回数及び延伸方向は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、シートが、基材層と熱可塑性樹脂層とを有する場合、縦延伸した基材層と、無延伸の熱可塑性樹脂層とを重ね、横延伸して、シートを製造してもよい。この場合、基材層は縦横方向に延伸された2軸延伸層であり、熱可塑性樹脂層は横方向に延伸された1軸延伸層である。
【0042】
シートの各層の延伸は、各層に含まれる熱可塑性樹脂に好適な温度範囲内で実施することが好ましい。各層の延伸温度は、各層に用いられる熱可塑性樹脂が非結晶性樹脂の場合には、当該熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の範囲であることが好ましい。また、各層に用いられる熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合には、当該熱可塑性樹脂の非結晶部分のガラス転移点以上であって、当該熱可塑性樹脂の結晶部分の融点以下の範囲内であることが好ましい。具体的には、各層の延伸温度は、各層に用いられる熱可塑性樹脂の融点よりも2~60℃低い温度が好ましい。
【0043】
各層に用いられる熱可塑性樹脂がプロピレンの単独重合体(融点155~167℃)である場合には、各層の延伸温度は152~164℃の範囲内であることが好ましい。各層に用いられる熱可塑性樹脂が高密度ポリエチレン(融点121~134℃)である場合には、各層の延伸温度は110~120℃の範囲内であることが好ましい。各層に用いられる熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレート(融点246~252℃)である場合には、各層の延伸温度は104~115℃の範囲内であることが好ましい。
【0044】
延伸速度は、特に限定されるものではないが、20~350m/分の範囲内であることが好ましい。延伸倍率は特に限定されず、各層に用いられる熱可塑性樹脂の特性などを考慮して適宜決定される。例えば、各層に用いられる熱可塑性樹脂がプロピレンの単独重合体又はその共重合体である場合には、一方向に延伸する場合の延伸倍率は、約1.2~12倍が好ましく、2~10倍がより好ましい。二軸延伸の場合の延伸倍率は、面積倍率で1.5~60倍が好ましく、10~50倍がより好ましい。上記以外の熱可塑性樹脂を使用する場合には、一方向に延伸する場合の延伸倍率は、1.2~10倍が好ましく、2~5倍がより好ましい。二軸延伸の場合の延伸倍率は、面積倍率で1.5~20倍が好ましく、4~12倍がより好ましい。
【0045】
<樹脂含有層>
樹脂含有層は、シートを覆う熱可塑性樹脂を含有する。
樹脂含有層は、例えば、更に機能性粒子、及び水溶性ポリマー等を含有する。
積層体において、樹脂含有層は、シートの熱可塑性樹脂層の面上に設けられている。
【0046】
<<熱可塑性樹脂>>
熱可塑性樹脂は、例えば、樹脂含有層を構成するマトリックス樹脂である。
熱可塑性樹脂は、例えば、層状で樹脂含有層に存在し、シートを覆っている。熱可塑性樹脂がシートを覆うことで、耐水性が得られやすい一方で、打ち抜き等で印刷物を切断した際の印刷層の剥離が生じやすくなる。そこで、本発明では、係る課題を解決している。
熱可塑性樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂粒子の融着物である。熱可塑性樹脂粒子の融着物は、熱可塑性樹脂粒子が加熱により融着したものである。融着は、例えば、樹脂含有層を形成する際の加熱により生じる。これにより、熱可塑性樹脂が層状に形成され、耐水性が得られやすくなる。また、層状に形成された熱可塑性樹脂に機能性粒子が取り込まれて積層体に固定され、機能性粒子の機能が発揮されやすくなる。融着物においては、熱可塑性樹脂粒子同士の界面が消滅していてもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲で界面が残っていてもよい。
【0047】
熱可塑性樹脂粒子を融着させたい場合、熱可塑性樹脂粒子の最低造膜温度としては、特に限定されないが、40℃以下が好ましい。最低造膜温度が40℃以下であることにより、樹脂含有層を形成する際の加熱などにより、熱可塑性樹脂粒子が融着しやすくなる。最低造膜温度の下限値としては、特に限定されないが、例えば、-10℃以上であってもよい。
【0048】
樹脂含有層を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0049】
ビニル系樹脂を構成するビニル系モノマーとしては、例えば、オレフィン類;ビニルエステル類;不飽和カルボン酸類及びそれらのアルカリ金属塩若しくは酸無水物;炭素数12までの分岐または環状構造を有してよいアルキル基のエステル;(メタ)アクリルアミド、炭素数1~4のアルキル基及び炭素数1または2のアルキレン基を同時に有する誘導体;及び、ジメチルジアリルアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上であってよい。なお、上記の塩は酸残基であり、係る酸イオンとしてはメチル硫酸イオン、塩化物イオンが好ましい。
【0050】
オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、及びブタジエン等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド、炭素数1~4のアルキル基及び炭素数1または2のアルキレン基を同時に有する誘導体としては、例えば、N-アルキルアミノアルキレン(メタ)アクリレート、N-アルキルアミノアルキレン(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキルアミノアルキレン(メタ)アクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキレン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシアルキレントリアルキルアンモニウム塩、及び(メタ)アクリロイルアミノアルキレントリアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0051】
ビニル系樹脂として、分子内に4級アンモニウム塩構造を有する共重合体を得るには、上記の中から4級アンモニウム塩構造を有するモノマーを必須成分として直接共重合してもよく、上記の中から3級アミン構造を有するモノマーを必須成分として共重合体を得たのち、該3級アミンをジメチル硫酸、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、及びグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド等の4級化剤で4級化してもよく、窒素を含有しないモノマーのみを用いて共重合体を得たのち、4級アンモニウム塩構造を有するモノマーをグラフトしてもよい。
【0052】
ポリウレタン樹脂は、カチオン性のポリウレタン樹脂であってよい。カチオン性のポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂骨格にカチオン性基を導入した共重合体である。共重合体は、例えば、1分子中にエポキシ基を2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られる3級アミノ基含有ポリオールをポリイソシアネートと反応して得られるウレタン樹脂を、前記4級化剤で4級化して得られる。また、共重合体は、ポリオールの一部にN,N-ジアルキルアルカノールアミン類;N-メチル-N,N-ジエタノールアミン、N-ブチル-N,N-ジエタノールアミン等のN-アルキル-N,N-ジアルカノールアミン類;及び、トリアルカノールアミン類からなる群から選択される1種以上を添加して、ポリイソシアネートと反応して得られるウレタン樹脂を、前記4級化剤で4級化して得てもよい。
【0053】
例えば、樹脂含有層を形成する際、熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂粒子のエマルジョンの状態で使用される。エマルジョンを得る方法としては、目的の重合体を構成するモノマーを水に乳化分散させて重合させる方法、及び、塊状重合等により目的の重合体を得た後、二軸押出機を使用して原料樹脂の溶融混練と乳化を逐次行う方法等が挙げられる。分子内に4級アンモニウム塩構造を有するビニル系樹脂、又は、ポリウレタン樹脂骨格にカチオン性の親水性基を導入した共重合体に導入されるカチオンの量は、例えば、熱可塑性樹脂のポリビニル硫酸カリウム溶液によるコロイド滴定法で得られるコロイド当量で評価する。樹脂含有層を形成するための塗工剤において金属酸化物を有する粒子が分散して安定に存在するためには、熱可塑性樹脂粒子のコロイド当量は0.2meq/g以上が好ましく、0.6meq/g以上がより好ましく、1.0meq/g以上がさらに好ましい。一方、分子内に4級アンモニウム塩構造を有するビニル系樹脂、又は、ポリウレタン樹脂骨格にカチオン性の親水性基を導入した共重合体のカチオン当量が高すぎると樹脂含有層の水への再溶解率が上昇する傾向がある。そこで、熱可塑性樹脂のカチオン当量は5meq/g以下が好ましく、4meq/g以下がより好ましく、3meq/gがさらに好ましい。
【0054】
樹脂含有層を構成する熱可塑性樹脂の軟化点としては、特に限定されないが、ブロッキングを抑制する観点から、30℃以上であってよく、50℃以上であってもよい。一方、軟化点は、300℃以下が好ましい。
軟化点は、高化式フローテスターにより測定することができる。
【0055】
樹脂含有層における熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されないが、15質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。含有量が15質量%以上であることにより、印刷性が向上する。一方、樹脂含有層における熱可塑性樹脂の含有量は、65質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。含有量が65質量%以下であることにより、帯電防止性が発現しやすくなる。
なお、ここでの含有量は、樹脂含有層中の全ての熱可塑性樹脂の含有量を意味する。例えば、樹脂含有層中に、熱可塑性樹脂粒子の融着物と、粒子状の熱可塑性粒子とが共存する場合、ここでの含有量は、それらの合計の含有量である。
【0056】
<<機能性粒子>>
機能性粒子は、積層体表面に種々の機能を付与可能な無機粒子又は有機粒子である。
当該機能としては、帯電防止機能、印刷性向上機能及びブロッキング防止機能等が挙げられる。
機能性粒子は、樹脂含有層を構成する熱可塑性樹脂によって樹脂含有層に固定されている。機能性粒子は、例えば、樹脂含有層を構成する熱可塑性樹脂中に分布している。機能性粒子は、樹脂含有層を構成する層状の熱可塑性樹脂中に埋没されていてもよいし、樹脂含有層を構成する層状の熱可塑性樹脂の表面に露出していてもよい。
【0057】
帯電防止機能を有する機能性粒子としては、金属酸化物を有する粒子が挙げられる。
金属酸化物を有する粒子としては、カチオン性化合物粒子、カチオン性化合物被覆粒子等が挙げられる。
また、金属酸化物を有する粒子としては、例えば、表面に金属酸化物の層を有する無機物粒子、及び金属酸化物粒子などが挙げられる。
【0058】
表面に金属酸化物の層を有する無機物粒子は、コロイダルシリカの表面に金属酸化物層を有するコロイダルシリカ粒子であってもよい。樹脂含有層を形成する際、コロイダルシリカ粒子は、例えば、コロイダルシリカ粒子を含有するゾル(以下、「コロイダルシリカゾル」と称することがある。)の状態で使用される。コロイダルシリカゾルの製造方法としては、特に限定されないが、ケイ酸アルカリ金属塩水溶液(例えば水ガラス)を原料とし、イオン交換樹脂または電気泳動法等でアルカリ金属塩を除去して無水ケイ酸ゾルとし、さらに酸またはアルカリを添加してpHを調整し安定化する方法、オルトケイ酸テトラエトキシド(TEOS)等のアルコキシドを酸またはアルカリで加水分解する方法(いわゆるゾルゲル法)、及び四塩化ケイ素等の有機ケイ素化合物を水素等の火炎に導入して合成する方法(いわゆる気相法)等が挙げられる。
【0059】
コロイダルシリカゾルは、カチオン性コロイダルシリカゾルであってもよく、アニオン性コロイダルシリカであってもよい。コロイダルシリカゾルは、アニオン性のコロイダルシリカの表面をカチオン性化合物で被覆したカチオン性化合物被覆コロイダルシリカゾルであってもよい。カチオン性化合物被覆コロイダルシリカゾルは、アニオン性のコロイダルシリカの表面を金属酸化物で被覆した金属酸化物被覆コロイダルシリカゾルであってもよい。カチオン性化合物被覆コロイダルシリカゾルは、例えば、シリカを分散媒に分散させる分散工程以降の工程において、コロイダルシリカゾルに、カチオン性化合物またはその前駆体を添加することによって得られる。金属酸化物被覆コロイダルシリカゾルは、例えば、シリカの分散工程以降の工程において、コロイダルシリカゾルに、金属酸化物またはその前駆体を添加することによって得られる。例えば、コロイダルシリカゾルにアルミニウム水溶性塩を添加することによって、コロイダルシリカの表面を処理することで、アルミナ被覆コロイダルシリカゾルが得られる。金属酸化物を有する粒子としてカチオン性のアルミナ被覆コロイダルシリカ粒子を用いることで、アニオン性のコロイダルシリカ粒子を用いた場合と比較して、帯電防止性及び印刷性等が向上する。
【0060】
コロイダルシリカゾルに含まれるコロイダルシリカ粒子は、表面にシラノール基(≡Si-OH)を有していてもよい。また、上記の粒子は単分散粒子であってもよい。上記の粒子のCV値(Coefficient of Variation)[%]は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。上記の粒子は、長鎖状であってもよい。
【0061】
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化ハフニウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子、酸化イットリウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化銅粒子、酸化ゲルマニウム粒子、酸化タングステン粒子、酸化インジウム粒子、及び酸化スズ粒子等が挙げられる。
樹脂含有層を形成する際、これらの金属酸化物粒子は、例えば、ゾル(以下、「金属酸化物ゾル」と称することがある。)の状態で用いられてもよい。
金属酸化物ゾルとしては、例えば、酸化ハフニウムゾル、酸化ジルコニウムゾル、酸化亜鉛ゾル、酸化チタンゾル、酸化イットリウムゾル、酸化アルミニウムゾル、酸化銅ゾル、酸化ゲルマニウムゾル、酸化タングステンゾル、酸化インジウムゾル、及び酸化スズゾル等が挙げられる。例えば、酸化アルミニウムゾルを製造する方法としては、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドを酸で加水分解して製造する方法、及び塩化アルミニウムを水素等の火炎中に導入して合成する方法(いわゆる気相法)等が挙げられる。
【0062】
金属酸化物ゾルに含まれる金属酸化物粒子は単分散粒子であってよい。上記の粒子のCV値(Coefficient of Variation)[%]は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。上記の粒子は、長鎖状であってもよい。
【0063】
コロイダルシリカの表面に金属酸化物層を有するコロイダルシリカ粒子、及び金属酸化物粒子に用いられる金属酸化物は、アルミニウム、亜鉛、スズ、インジウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、アルミニウムを含むことがより好ましい。金属酸化物は、アルミナであってもよい。金属酸化物がアルミナであると、コロイダルシリカの表面に金属酸化物の層を有するコロイダルシリカ粒子、及び金属酸化物粒子の表面がカチオン性になり、帯電防止性及び印刷性等が向上する。
【0064】
金属酸化物を有する粒子の平均一次粒子径は、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、25nm以下がさらに好ましい。金属酸化物を有する粒子の平均粒子径が200nm以下になると、樹脂含有層の表面光沢性が発現しやすくなり、樹脂含有層の帯電防止性が発現しやすくなる。また、樹脂含有層の強度がより向上する。一方、金属酸化物を有する粒子の平均一次粒子径は、1nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、7nm以上がさらに好ましい。平均一次粒子径が1nm以上になると、粒子の製造がより容易になる。なお、上記の粒子の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察された粒子の面積円相当径の平均値として算出する。
【0065】
樹脂含有層における帯電防止機能を有する機能性粒子の含有量は、特に限定されないが、85質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。帯電防止機能を有する機能性粒子の含有量が85質量%以下であることにより、印刷性がより向上する。同様の理由により、樹脂含有層を形成するための塗工液中における帯電防止機能を有する機能性粒子の質量と、熱可塑性樹脂の質量との比率(金属酸化物を有する粒子:熱可塑性樹脂)は、30:70~85:15が好ましく、40:60~85:15がより好ましく、40:60~70:30がさらに好ましい。
【0066】
印刷性向上機能を有する機能性粒子としては、オレフィン系重合体粒子等が挙げられる。オレフィン系重合体粒子は、樹脂含有層において疎水性を発現し、樹脂含有層に過剰の水分をなじませないようにする。そうすることにより、オフセット印刷時の水負けを抑制すると推測される。また、同様の理由で印刷物の経時安定性に寄与すると推測される。一方、溶融熱転写印刷方式、電子写真印刷方式などの加熱を利用する印刷方式においては、積層体表面に存在するオレフィン系共重合体粒子が印刷時に一部溶融して、溶融熱転写インク又はトナーと相溶することで、溶融熱転写インク又はトナーを固定すると推測される。
【0067】
オレフィン系重合体粒子を構成するオレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、及びブタジエン等が挙げられる。
オレフィン系重合体粒子は、これらオレフィン類の単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。
【0068】
樹脂含有層を形成する際、オレフィン系重合体粒子は、エマルジョンの状態で使用され
ることが好ましい。これにより、後述する金属酸化物を有する粒子を樹脂含有層の表面に接着固化することができる。同様の理由で、オレフィン系重合体粒子の重量平均分子量は、1000以上が好ましく3000以上がより好ましく、5000以上がさらに好ましい。
【0069】
熱可塑性樹脂粒子について上述したような融着した粒子は、機能性粒子から排除される。したがって、機能性粒子としての有機粒子の最低造膜温度としては、特に限定されないが、40℃超であってもよいし、60℃以上であってもよいし、80℃以上であってもよい。
【0070】
ブロッキング防止機能を有する機能性粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。ブロッキング防止機能を有するためには、機能性粒子の平均粒子径は5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましい。
【0071】
<<水溶性ポリマー>>
水溶性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン等のビニル系共重合体;部分ケン化のポリビニルアルコール(以下、「PVA」と称することがある)、完全ケン化のPVA、及びイソブチレン-無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等のビニル系共重合体加水分解物;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、及びポリ(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸誘導体;変性ポリアミド;カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、及びポリエチレングリコール等の開環重合系高分子またはそれらの変性物;ゼラチン、及び澱粉等の天然系高分子等またはそれらの変性物等が挙げられる。これらの中でも、部分ケン化のPVA、完全ケン化のPVA、ポリエチレンイミン、及びポリエチレンイミン変性物を使用することが好ましい。
【0072】
なお、樹脂含有層の構成において、水溶性ポリマーは、熱可塑性樹脂には含まれない。
【0073】
水溶性ポリマーは、樹脂含有層を形成するための塗工剤中では水に溶解し、該塗工剤がシートにおける熱可塑性樹脂層の面に塗工され、乾燥された後には水に再溶解しない性質を有することが好ましい。
【0074】
樹脂含有層が水溶性ポリマーを含有する場合の該水溶性ポリマーの含有量としては、特に限定されないが、樹脂含有層中の熱可塑性樹脂と機能性粒子との密着の観点から、熱可塑性樹脂と機能性粒子との合計100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましい。一方、印刷性及び加工性等の観点から、含有量は、熱可塑性樹脂と機能性粒子との合計100質量部に対して、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましい。
【0075】
樹脂含有層の厚みは単位面積当たりの質量として評価される。樹脂含有層の厚みとしては、特に限定されないが、打ち抜き等で印刷物を切断した際の印刷層の剥離をより抑制する観点から、20g/m2以下が好ましく、10g/m2以下がより好ましく、1g/m2以下がさらに好ましい。一方、厚みは、印刷性等の観点から、0.01g/m2以上が好ましく、0.05g/m2以上がより好ましく、0.1g/m2以上がさらに好ましい。
【0076】
<<樹脂含有層の形成方法>>
樹脂含有層の形成方法としては、特に限定されないが、シートにおける熱可塑性樹脂層の面に塗工剤を塗工し、乾燥する方法が、配合及び形成方法が容易であることから好ましい。
塗工剤は、例えば、熱可塑性樹脂粒子及び水を含有する。塗工剤は、機能性粒子を含有していてもよい。例えば、熱可塑性樹脂粒子の一部又は全部は、塗工後に最低造膜温度以上に加熱されることで融着する。
【0077】
塗工剤の製造工程において、例えば、金属酸化物を有する粒子及びオレフィン系重合体粒子の固形濃度が高い場合、塗工剤のpHがオレフィン系重合体粒子の等電点近くにある場合、金属酸化物を有する粒子とオレフィン系重合体粒子とのゼータ電位が逆符号の関係にある場合、または、価数の高いイオン性物質(特に、官能基を有するポリマー)を添加した場合に、金属酸化物を有する粒子及びオレフィン系重合体粒子の少なくとも一方が、凝集することがある。そこで、塗工剤の製造工程において、各材料を希釈水に順次投入したり、投入する順番や投入する速度を適宜調節したりして、各材料の濃度が局所的に高くならないようにすることが好ましい。また、塗工剤の製造工程において、塗工剤のpHを調節したり、分散剤を添加したりして、粒子同士の反発力を高めてもよい。これらにより、凝集を抑制することができる。
【0078】
塗工剤の固形分濃度は、樹脂含有層の乾燥後塗工量と塗工剤の塗工方法に応じて適宜調整できるが、0.5質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。また、35質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。塗工剤のpHは、塗工剤に含まれる各材料が凝集しないことが必要であるが、作業者の安全性や機械の腐食を防止する観点から、pH3~11であることが好ましく、pH4~10がより好ましい。
【0079】
図1は、本発明の一実施形態として、積層体1aの構成例を示す。
図1に示すように、積層体1aは、シート2aと樹脂含有層5とを有する。シート2aは、熱可塑性樹脂層4を一方の表面に有する。シート2aは、更に基材層3を有する。樹脂含有層5は、シート2aの熱可塑性樹脂層4の面上に設けられている。
シート2aの熱可塑性樹脂層4側に対するナノインデンデーション試験により測定される、シート2aの押し込み硬さは、0N/mm
2超60N/mm
2である。
【0080】
図2は、本発明の他の一実施形態として、積層体1bの構成例を示す。
図2に示すように、積層体1bは、シート2bと樹脂含有層5と樹脂含有層7とを有する。シート2bは、熱可塑性樹脂層4を一方の表面に有し、熱可塑性樹脂層6を他方の表面に有する。シート2bは、更に熱可塑性樹脂層4及び熱可塑性樹脂層6の間に基材層3を有する。樹脂含有層5は、シート2bの熱可塑性樹脂層4の面上に設けられている。樹脂含有層7は、シート2bの熱可塑性樹脂層6の面上に設けられている。
シート2bの熱可塑性樹脂層4側に対するナノインデンデーション試験により測定される、シート2bの押し込み硬さは、0N/mm
2超60N/mm
2である。
シート2bの熱可塑性樹脂層6側に対するナノインデンデーション試験により測定される、シート2bの押し込み硬さは、特に限定されないが、0N/mm
2超60N/mm
2であることが好ましい。
【0081】
(ラベル)
ラベルは積層体の一方の面上に接着層を有する。接着層は常温で粘着性を有する粘着層であってもよく、加熱により活性化するヒートシール層であってもよい。ラベルが粘着層を有する場合、当該ラベルは粘着ラベルである。また、ラベルがヒートシール層を有する場合、当該ラベルは感熱ラベルである。
例えば、ラベルは積層体の樹脂含有層側と反対側の面上に接着層を有する。
【0082】
粘着層としては、特に限定されない。粘着層に用いる材料や組成については、例えば、特開2002-169470号公報に記載の粘着性ポリマー及び架橋剤により架橋された粘着性ポリマー、特開平9-197972号公報に記載の再剥離性粘着剤層、特開2004-216098号公報に記載の粘着剤層、特開2009-275231号公報に記載の粘着剤層、及び特開2014-012808号公報に記載の粘着剤組成物に用いられる材料や組成を適宜用いることができる。
【0083】
粘着層は、例えば、上記の材料又は組成を有する塗工液を積層体上に塗布することにより形成される。粘着層は積層体の一方の表面上に設けられる。積層体が樹脂含有層を一方の面にのみ有する場合には、粘着層は積層体の他方の表面上に設けられることが好ましい。
また、粘着層の厚みとしては、例えば固形分量で3g/m2以上であることが好ましく、10g/m2以上であることがより好ましい。また、粘着層の厚みは固形分量で60g/m2以下であることが好ましく、40g/m2以下であることがより好ましい。
【0084】
ヒートシール層はヒートシール性樹脂を有する。ヒートシール性樹脂の融点は、基材層中の熱可塑性樹脂の融点より10℃以上低いことが好ましく、15℃以上低いことがより好ましい。ヒートシール性樹脂の融点は60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。
【0085】
ヒートシール性樹脂としては、ポリエチレン、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ポリエステル系共重合体、スチレン系エラストマー樹脂、及びポリアミド系共重合体等が挙げられる。ヒートシール層は、ヒートシール性を阻害しない範囲で、染料、核剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
【0086】
ヒートシール層の形成方法としては、スクリュー型押出機に接続された単層又は多層のTダイ、Iダイなどにより溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、及びインフレーション成形等が挙げられる。ヒートシール層は積層体の一方の表面上に設けられる。積層体が樹脂含有層を一方の面にのみ有する場合には、ヒートシール層は積層体の他方の表面上に設けられることが好ましい。
また、ヒートシール層の厚みは、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。ヒートシール層の厚みは、10μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましい。
【0087】
(印刷物)
本発明の印刷物は、本発明の積層体と、積層体の樹脂含有層の面上に設けられた印刷層と、を有する。印刷物は、印刷層を片面に有してもよいし、両面に有していてもよい。また、印刷物は、接着層を有する印刷ラベルであってもよい。
【0088】
印刷層は、文字、枠線、絵柄等の印刷によって形成される層である。
印刷層は、樹脂含有層の面上の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。
【0089】
印刷層の形成方法である印刷方法としては、特に限定されず、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シール印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法を使用することができる。印刷層は、インクジェット方式、電子写真方式、液体トナー方式等の各種プリンタによる印字、ホットスタンプ、コールドスタンプ等の箔押し、転写箔、ホログラム等の従来公知の装飾を含むこともできる。
【0090】
印刷には、印刷方法に合わせて、油性インク、酸化重合硬化型インク、紫外線硬化型インク、水性インク、粉体トナー、液体トナー(エレクトロインク)等の各種インクを使用することができる。
【0091】
印刷物は、更に、粘着層の面上に設けられた剥離層を有していてもよい。
剥離層としては、特に制限されないが、例えば、上質紙やクラフト紙をそのまま、あるいは上質紙やクラフト紙にカレンダー処理、樹脂コート、フィルムラミネートをしたもの、またはグラシン紙、コート紙、プラスチックフィルム等のシリコーン処理を施したもの等を使用することができる。
【0092】
図3は、本発明の一実施形態として、印刷物10aの構成例を示す。
図3に示すように、印刷物10aは、積層体1aと印刷層8とを有する。積層体1aは、
図1に示す積層体1aである。印刷物10aにおいて、印刷層8は、積層体1aの樹脂含有層5の面上に設けられている。
【0093】
図4は、本発明の他の一実施形態として、印刷物10bの構成例を示す。
図4に示すように、印刷物10bは、積層体1aと印刷層8と粘着層11とを有する。積層体1aは、
図1に示す積層体1aである。印刷層8は、積層体1aの樹脂含有層5の面上に設けられている。粘着層11は、積層体1aの基材層3の面上に設けられている。
【0094】
図5は、本発明の他の一実施形態として、印刷物10cの構成例を示す。
図5に示すように、印刷物10cは、積層体1bと印刷層8と印刷層9とを有する。積層体1bは、
図2に示す積層体1bである。印刷層8は、積層体1bの樹脂含有層5の面上に設けられている。印刷層9は、積層体1bの樹脂含有層7の面上に設けられている。
【0095】
図6は、本発明の他の一実施形態として、印刷物10dの構成例を示す。
図6に示すように、印刷物10dは、積層体1bと印刷層8と粘着層11とを有する。積層体1bは、
図2に示す積層体1bである。印刷層8は、積層体1bの樹脂含有層5の面上に設けられている。粘着層11は、積層体1bの樹脂含有層7の面上に設けられている。
【実施例】
【0096】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」、「%」等の記載は、断りのない限り、質量基準の記載を意味する。
【0097】
(樹脂含有層用塗工剤の調製)
以下の表1に示す原料を用いて、樹脂含有層用塗工剤を調製した。
【0098】
【0099】
<製造例1-1:樹脂含有層用塗工剤No.1>
表1に記載の水溶性ポリマー3.0質量部及び水100質量部を混合し、5分間撹拌を行った。その後、10%濃度の酢酸を用いて、水溶性ポリマー及び水の混合物のpHが5.0になるようにpHを調整した。
次に、pH調整を行って得られた混合液に、表1に記載の機能性粒子A〔日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックスST-AK、平均粒径15nmのアルミナ表面処理コロイダルシリカ、固形分濃度19%〕52.9質量部、及び表1に記載の熱可塑性樹脂粒子A〔DIC(株)製、製品名:ハイドランCP7050、平均粒径75nmのウレタンエマルジョン、最低造膜温度:0℃、固形分濃度25%〕30.6質量部を添加し、5分間撹拌した。これにより、樹脂含有層用塗工剤No.1を得た。
得られた塗工剤No.1における各原料の固形分割合を表2に示した。
【0100】
<製造例1-2:樹脂含有層用塗工剤No.2>
表1に記載の水溶性ポリマー2.7質量部及び水100質量部を混合し、5分間撹拌を行った。その後、10%濃度の酢酸を用いて、水溶性ポリマー及び水の混合物のpHが5.0になるようにpHを調整した。
次に、pH調整を行って得られた混合液に、表1に記載の機能性粒子A 47.5質量部、及び表1に記載の熱可塑性樹脂粒子B〔DIC(株)製、商品名:ボンコートVO8、平均粒径300nmのアクリルエマルジョン、最低造膜温度25℃、固形分濃度:40%)〕17.2質量部を添加し、5分間撹拌した。これにより、樹脂含有層用塗工剤No.2を得た。
得られた塗工剤No.2における各原料の固形分割合を表2に示した。
【0101】
<製造例1-3:樹脂含有層用塗工剤No.3>
表1に記載の水溶性ポリマー2.8質量部及び水100質量部を混合し、5分間撹拌を行った。その後、10%濃度の酢酸を用いて、水溶性ポリマー及び水の混合物のpHが5.0になるようにpHを調整した。
次に、pH調整を行って得られた混合液に、表1に記載の機能性粒子B〔日産化学工業(株)製、商品名:アルミナゾル520、平均粒径20nmのアルミナゾル、固形分濃度22%〕42.6質量部、及び表1に記載の熱可塑性樹脂粒子A 28.5質量部を添加し、5分間撹拌した。これにより、樹脂含有層用塗工剤No.3を得た。
得られた塗工剤No.3における各原料の固形分割合を表2に示した。
【0102】
<製造例1-4:樹脂含有層用塗工剤No.4>
表1に記載の水溶性ポリマー4.4質量部及び水100質量部を混合し、5分間撹拌を行った。その後、10%濃度の酢酸を用いて、水溶性ポリマー及び水の混合物のpHが5.0になるようにpHを調整した。
次に、pH調整を行って得られた混合液に、表1に記載の機能性粒子A 100.7質量部を添加し、5分間撹拌した。これにより、樹脂含有層用塗工剤No.4を得た。
得られた塗工剤No.4における各原料の固形分割合を表2に示した。
【0103】
<製造例1-5:樹脂含有層用塗工剤No.5>
表1に記載の水溶性ポリマー3.5質量部及び水100質量部を混合し、5分間撹拌を行った。その後、10%濃度の酢酸を用いて、水溶性ポリマー及び水の混合物のpHが5.0になるようにpHを調整した。
次に、pH調整を行って得られた混合液に、表1に記載の機能性粒子C〔中央理化工業(株)製、商品名:アクアテックスAC-3100、エチレン-メタクリル酸共重合体エマルジョン溶液、平均分散粒子径0.7μm、最低造膜温度100℃)〕14.9質量部、及び表1に記載の熱可塑性樹脂粒子A26.8質量部を添加し、5分間撹拌した。これにより、樹脂含有層用塗工剤No.5を得た。
得られた塗工剤No.5における各原料の固形分割合を表2に示した。
【0104】
<製造例1-6:樹脂含有層用塗工剤No.6>
表1に記載の水溶性ポリマー3.2質量部及び水100質量部を混合し、5分間撹拌を行った。その後、10%濃度の酢酸を用いて、水溶性ポリマー及び水の混合物のpHが5.0になるようにpHを調整した。
次に、pH調整を行って得られた混合液に、表1に記載の機能性粒子C 13.5質量部、及び表1に記載の熱可塑性樹脂粒子B 15.2質量部を添加し、5分間撹拌した。これにより、樹脂含有層用塗工剤No.6を得た。
得られた塗工剤No.6における各原料の固形分割合を表2に示した。
【0105】
<製造例1-7:樹脂含有層用塗工剤No.7>
表1に記載の水溶性ポリマー3.5質量部及び水100質量部を混合し、5分間撹拌を行った。その後、10%濃度の酢酸を用いて、水溶性ポリマー及び水の混合物のpHが5.0になるようにpHを調整した。
次に、pH調整を行って得られた混合液に、表1に記載の機能性粒子D〔住友精化(株)製、商品名:セポルジョンG315、オレフィン系樹脂エマルジョン、平均分散粒子径1.5μm、最低造膜温度85℃)〕14.9質量部、及び表1に記載の熱可塑性樹脂粒子A 26.8質量部を添加し、5分間撹拌した。これにより、樹脂含有層用塗工剤No.7を得た。
得られた塗工剤No.7における各原料の固形分割合を表2に示した。
【0106】
【0107】
(シートの製造)
以下の表3に示す原料を用いて、シートを製造した。
【0108】
【0109】
<製造例2-1:シートNo.1>
<<工程(2-1A)>>
表3に示すPP-1(三井化学(株)製、商品名:タフマー PN0040、エチレン・プロピレン共重合体)77質量部、表3に示すCA-1(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン #1800、重質炭酸カルシウム)22質量部、及び表3に示すTI-1(石原産業(株)製、商品名:ルチル型二酸化チタン、タイペーク CR-60)1質量部を混合して混合物を得た。得られた混合物を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、押出機からシート状に押し出し、冷却装置により冷却することで、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを150℃の温度にまで再度加熱した後、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD方向)に4倍に延伸することで、縦4倍延伸フィルムを得た。
【0110】
<<工程(2-1B)>>
工程(2-1A)とは別に、表3に示すPP-1を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、工程(2-1A)で得られた縦4倍延伸フィルムの片面に積層することで、二層構造の積層フィルムを得た。
【0111】
<<工程(2-1C)>>
次に、工程(2-1B)で得られた二層構造の積層フィルムを60℃の温度にまで冷却した後、再び165℃の温度にまで加熱して、テンターを用いて横方向(TD方向)に9倍延伸した。その後、175℃の温度でアニーリング処理し、60℃の温度にまで冷却した後、耳部をスリットすることで、二層構造の積層延伸フィルムを得た。
【0112】
得られた二層構造の積層延伸フィルム(シート)の各層(熱可塑性樹脂層/基材層)のそれぞれの延伸軸数は、一軸延伸/二軸延伸であった。得られた二層構造の積層延伸フィルムの全体の厚みは75μmであり、各層(熱可塑性樹脂層/基材層)のそれぞれの厚みは4μm/71μmであった。
【0113】
<製造例2-2:シートNo.2>
製造例2-1において、工程(2-1B)を以下の工程(2-2B)に変更した以外は、製造例2-1と同様にして、シートNo.2を得た。
【0114】
<<工程(2-2B)>>
工程(2-1A)とは別に、表3に示すPP-2(エクソンモービル製、商品名:VISTAMAXX 3588FL、エチレン・プロピレン共重合体)を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、工程(2-1A)で得られた縦4倍延伸フィルムの片面に積層することで、二層構造の積層フィルムを得た。
【0115】
<製造例2-3:シートNo.3>
製造例2-1において、工程(2-1B)を以下の工程(2-3B)に変更した以外は、製造例2-1と同様にして、シートNo.3を得た。
【0116】
<<工程(2-3B)>>
工程(2-1A)とは別に、表3に示すPP-4(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP EG7F、エチレン・プロピレン共重合体)を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、工程(2-1A)で得られた縦4倍延伸フィルムの片面に積層することで、二層構造の積層フィルムを得た。
【0117】
<製造例2-4:シートNo.4>
製造例2-1において、工程(2-1B)を以下の工程(2-4B)に変更した以外は、製造例2-1と同様にして、シートNo.4を得た。
【0118】
<<工程(2-4B)>>
工程(2-1A)とは別に、表3に示すPP-5(日本ポリプロ(株)製、商品名:ウインテック WFW4、エチレン・プロピレン共重合体)を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、工程(2-1A)で得られた縦4倍延伸フィルムの片面に積層することで、二層構造の積層フィルムを得た。
【0119】
<製造例2-5:シートNo.5>
製造例2-1において、工程(2-1B)を以下の工程(2-5B)に変更した以外は、製造例2-1と同様にして、シートNo.5を得た。
【0120】
<<工程(2-5B)>>
工程(2-1A)とは別に、表3に示すPP-6(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP MG3F、エチレン・プロピレン共重合体)を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、工程(2-1A)で得られた縦4倍延伸フィルムの片面に積層することで、二層構造の積層フィルムを得た。
【0121】
<製造例2-6:シートNo.6>
製造例2-1において、工程(2-1B)を以下の工程(2-6B)に変更した以外は、製造例2-1と同様にして、シートNo.6を得た。
【0122】
<<工程(2-6B)>>
工程(2-1A)とは別に、表3に示すPP-7(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP MA3、プロピレン単独重合体)を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、工程(2-1A)で得られた縦4倍延伸フィルムの片面に積層することで、二層構造の積層フィルムを得た。
【0123】
<製造例2-7:シートNo.7>
製造例2-1において、工程(2-1B)を以下の工程(2-7B)に変更した以外は、製造例2-1と同様にして、シートNo.7を得た。
【0124】
<<工程(2-7B)>>
工程(2-1A)とは別に、表3に示すPP-5とPP-7とを質量比50:50で混合して混合物を得た。得られた混合物を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、工程(2-1A)で得られた縦4倍延伸フィルムの片面に積層することで、二層構造の積層フィルムを得た。
【0125】
<製造例2-8:シートNo.8>
製造例2-1において、工程(2-1B)を以下の工程(2-8B)に変更した以外は、製造例2-1と同様にして、シートNo.8を得た。
【0126】
<<工程(2-8B)>>
工程(2-1A)とは別に、表3に示すPP-5とPP-7とを質量比(PP-5:PP-7)40:60で混合して混合物を得た。得られた混合物を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、工程(2-1A)で得られた縦4倍延伸フィルムの片面に積層することで、二層構造の積層フィルムを得た。
【0127】
<製造例2-9:シートNo.9>
製造例2-1において、工程(2-1B)を以下の工程(2-9B)に変更した以外は、製造例2-1と同様にして、シートNo.9を得た。
【0128】
<<工程(2-9B)>>
工程(2-1A)とは別に、表3に示すPE-1(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックHD HJ362N、高密度ポリエチレン)を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、工程(2-1A)で得られた縦4倍延伸フィルムの片面に積層することで、二層構造の積層フィルムを得た。
【0129】
<シートの押し込み硬さ>
エリオニクス製のナノインデンテーションテスターENT-2100を用いて、以下の条件でバーコビッチ圧子(先端三角錐)を用いて、シートにおける熱可塑性樹脂層の表面側から負荷-除荷試験による押し込み試験を1種類の層につき5回実施し、各々の平均値より表面層の押し込み硬さを算出した。結果を表4に示した。
・温度:30℃
・最大荷重:0.05mN
・負荷速度:0.005mN
・最大荷重での保持時間:1秒
・表面検出方式:傾斜方式
・表面検出閾値係数:2.0
・ばね補正:なし
【0130】
【0131】
(実施例1)
製造例2-1で製造したシートNo.1の熱可塑性樹脂層の面上に、製造例1-1で製造した樹脂含有層用塗工剤No.1を塗工した。樹脂含有層用塗工剤No.1は、塗工量が単位面積(m2)当たり乾燥後固形分で0.8gとなるように塗工した。塗工にはバーコーターを用いた。樹脂含有層用塗工剤No.1が塗工されたシートを60℃のオーブンで乾燥させて樹脂含有層を形成することで、実施例1の積層体を得た。
【0132】
(実施例2~実施例11、及び比較例1~比較例4)
実施例1において、シート及び塗工剤を表5に記載のシート及び塗工剤に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0133】
<ラベル打ち抜き評価:印刷層剥離性>
印刷層の剥離の有無を下記方法にて評価した。
実施例1~11及び比較例1~4で得られた積層体の樹脂含有層上に、オフセット印刷機(リョービ(株)製、機器名:RYOBI3300CR)、UVオフセット印刷用インキ(T&K TOKA株式会社製、製品名:BC161)を用いて、2000枚印刷した。印刷面にUV(照射量100mJ/cm2)を照射し、インクを固化させて印刷層を形成した。
得られた印刷物を、ロータリーカットマシン(岩崎鉄工製のMDT)を用いてラベルサイズ120mm×60mmで打ち抜いた。
ラベルサイズに打ち抜いた後に、ラベルの端部の印刷層の剥離状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。結果を表5に示した。
〔評価基準〕
A(良好):剥離が見られない。
B(可):一部に剥離が見られるものの問題なし。
C(不良):端部の全体に剥離が見られる。
【0134】
<帯電防止性>
実施例1~8及び比較例1~4で得られた積層体の樹脂含有層の面を23℃、相対湿度30%の環境下で、STATICHONESTMETER(SHISHIDOELECTROSTATIC.LTD製、製品名:TYPES5109)を用いてJISL1094:1997「織物及び編物の帯電性試験方法」に記載の半減期測定法に準拠して、測定を行った。この際、印加を止めてからの測定時間は300秒とし、帯電半減期S(Sec)を求めた。以下の評価基準で評価した。結果を表5に示した。
〔評価基準〕
A(良好): 帯電半減期Sが30秒以下である。
B(可): 帯電半減期Sが30秒を超え、300秒以下である。
C:(不良) 帯電半減期Sが300秒を超える。
【0135】
<溶融熱転写適性>
(インク転移性評価)
実施例9~11で得られた積層体への印画は、バーコードプリンター(商品名:B-30-S5、株式会社テック社製)と溶融型樹脂性インクリボン(商品名:B110C、株式会社リコー社製)とを用いて、35℃の温度および85%の相対湿度の雰囲気下で、積層体の樹脂含有層の面にCODE39バーコードを印画することで実施した。
【0136】
インク転移性評価は、バーコード検証機(商品名:LASERCHEKII、富士電機冷凍機株式会社社製)を用いて、積層体上に印画されたバーコードのANSIグレードを測定することで実施した。インク転移性の評価基準は下記の通りであり、ANSIグレードA~Cを合格とした。
〔評価基準〕
A(良好):ANSIグレードA又はB(鮮明な画像が得られている。)
B(可):ANSIグレードC(バーコードに若干のかすれが見られるが、実用レベルを維持。)
C(不良):ANSIグレードD~F(バーコードのかすれにより線切れが生じる。)
D(不可):ANSIグレードN/G(CODE39のバーコードと認識できない。)
【0137】
【0138】
シートの押し込み硬さが60N/mm2以下であると、印刷層の剥がれが抑制できた。印刷層の剥がれは、50N/mm2以下であるとより抑制された。
高密度ポリエチレンは、ランダムポリプロピレンよりも脆い傾向がある。そのため、熱可塑性樹脂層にランダムポリプロピレンではなく、高密度ポリエチレンを用いた実施例6では、シート成形中に熱可塑性樹脂層の一部が剥がれて、積層体表面を汚染した。
シートのべたつきに関し、シートNo.1のシートよりも、シートNo.2~No.9のシートの方が、べたつきが小さかった。すなわち、シートのべたつきの観点からは、シートの押し込み硬さは、10N/mm2以上が好ましい。
【符号の説明】
【0139】
1a,1b・・・積層体、2a,2b・・・シート、3・・・基材層、4・・・熱可塑性樹脂層、5・・・樹脂含有層、6・・・熱可塑性樹脂層,7・・・樹脂含有層、8・・・印刷層、9・・・印刷層、10a,10b,10c,10d・・・印刷物、11・・・粘着層