(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ブロードキャスティングモードがあるスピーカ及びスピーカのブロードキャスティング方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/12 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H04R3/12 Z
(21)【出願番号】P 2020067269
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/084928
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ツイ チ ホ
【審査官】川▲崎▼ 博章
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-507661(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154996(WO,A1)
【文献】特開2018-011204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0083284(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0055781(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロードキャスティングモードを有するスピーカであって、前記スピーカは、
マスターモードと、
スレーブモードと、を含み、
前記マスターモードでは、前記スピーカは
、スマートデバイスに接続され、音声ストリームを前記スマートデバイスから取得し、前記音声ストリームを再ブロードキャストし、
前記スレーブモードでは、前記スピーカは、前記マスターモードである別のスピーカに接続さ
れ、前記音声ストリームを受信し、前記音声ストリームを再生
し、
前記スピーカは、入って来るA2DP音声ストリームが存在するときに前記スレーブモードから前記マスターモードに自動的に切り替わることと、前記A2DP音声ストリームが停止するときに前記マスターモードから前記スレーブモードに自動的に切り替わることとを行うように構成される、スピーカ。
【請求項2】
前記ブロードキャスティングモードでは、前記スピーカは、前記マスターモードと前記スレーブモードとに切り替えられることができる、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記ブロードキャスティングモードはブロードキャスタモードを含み、入って来る前記音声ストリームがA2DP音声ストリームであるとき、前記スピーカは前記ブロードキャスタモードに移行する、請求項2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記ブロードキャスティングモードはレシーバモードを含み、入って来るものがA2DP音声ストリームではないとき、前記スピーカは前記レシーバモードに入る、請求項2に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記ブロードキャスティングモードは、さらに、前記スピーカがイベントを待機する一時モードを含む、請求項2に記載のスピーカ。
【請求項6】
前記イベントは、設定確認イベント、起動確認イベント、削除確認イベント、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載のスピーカ。
【請求項7】
前記スピーカはボタンが提供され、前記ボタンを1回押すことによって、前記スピーカは前記ブロードキャスティングモードと通常モードとに切り替わり得る、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項8】
前記スマートデバイスは、ブルートゥース(登録商標)接続性がある携帯電話、タブレット、またはコンピュータを備える、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項9】
前記スピーカはブルートゥース(登録商標)式ポータブルスピーカである、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項10】
ブロードキャスティングモードを有するマルチスピーカブロードキャスティングシステムであって、
請求項1に記載の複数のスピーカを備え、
前記複数のスピーカのうちの1つのスピーカは
前記マスターモードであり、
前記複数のスピーカのうちの少なくとも1つのスピーカは
前記スレーブモードである
、マルチスピーカブロードキャスティングシステム。
【請求項11】
ブロードキャスティングモードを実施するための方法であって、
前記方法は、
複数のスピーカのうちの1つのスピーカを、前記1つのスピーカがマスターモードで音声ストリームを取得する音声再生デバイスに接続するステップと、
前記複数のスピーカのうちの少なくとも1つのスピーカを、前記マスターモードの前記1つのスピーカに接続するステップであって、前記少なくとも1つのスピーカは、スレーブモードで、前記1つのスピーカから音声ストリームを受信する
、ステップと、
前記マスターモードの前記1つのスピーカから、前記スレーブモードの前記少なくとも1つのスピーカに、前記音声ストリームを再ブロードキャストするステップと、
入って来るA2DP音声ストリームが存在するときに前記少なくとも1つのスピーカを前記スレーブモードから前記マスターモードに自動的に切り替えるステップと、
前記A2DP音声ストリームが停止するときに前記少なくとも1つのスピーカを前記マスターモードから前記スレーブモードに自動的に切り替えるステップと
を含む
、方法。
【請求項12】
前記スピーカは、前記ブロードキャスティングモードにおいて連続的に前記マスターモードと前記スレーブモードとに切り替わることができる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ブロードキャスティングモードはブロードキャスタモードを含み、入って来る前記音声ストリームがA2DP音声ストリームであるとき、前記スピーカは前記ブロードキャスタモードに移行する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ブロードキャスティングモードはレシーバモードを含み、入って来るものがA2DP音声ストリームではないとき、前記スピーカは前記レシーバモードに入る、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記ブロードキャスティングモードは、さらに、前記スピーカがイベントを待機する一時モードを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記イベントは、設定確認イベント、起動確認イベント、及び削除確認イベントのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記スピーカはボタンが提供され、前記ボタンを押すことによって、前記スピーカは前記ブロードキャスティングモードと通常モードとに切り替わり得る、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記マスターモードで前記スピーカはスマートデバイスに接続され、前記スマートデバイスは携帯電話またはコンピュータを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記スピーカはブルートゥース(登録商標)式ポータブルスピーカである、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ブロードキャスティングモードがあるスピーカに関する。より具体的には、本開示は、音声を複数のスピーカにストリームすることを可能にする、ブロードキャスティングモードがあるスピーカに関する。本開示は、さらに、マルチスピーカブロードキャスティングシステムと、ブロードキャスティングモードを実施するための当該システムの方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、ブルートゥース(登録商標)式ポータブルスピーカは、一般ユーザによって広く使用されている。通常、スピーカは、携帯電話、タブレット、コンピュータ、または音声再生デバイス等のスマートデバイスに接続され、Advanced Audio Distribution Profile(A2DP)によって、デバイスから来る音楽音声ストリームをストリームし、音声を再生し得る。しかしながら、各デバイスに存在する1つのブルートゥース(登録商標)接続だけによって制限され、1つのスピーカだけが、そのデバイスに接続されることができ、ひいては、この音声ストリームは1対1の関係だけにおいて行われる。
【0003】
スマートフォンとスピーカとの間のブルートゥース(登録商標)接続の例は
図1に示される。
図1に示されるアーキテクチャでは、それらの示されるスピーカのうちの1つのスピーカ(スピーカ1)だけが、ブルートゥース(登録商標)によってスマートフォン1に接続され、スマートフォン1から取得されたA2DP音楽を受信及び再生している。
【0004】
したがって、同時に複数のスピーカの全てのスピーカ上で音声ストリームを再生するように、音声再生デバイスに接続するスピーカから、複数のスピーカに音声ストリームを再ブロードキャストする必要性があり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ブロードキャスティングモードがあるスピーカを提供することによって、前述の欠点の一部を克服する。
【0006】
一実施形態では、ブロードキャスティングモードの提供されるスピーカは、音声再生デバイスに接続するスピーカから複数のスピーカに音声ストリームを再ブロードキャストすることが可能である。この特徴は、本開示では、ブロードキャスト機能またはパーティーブースト機能と呼ばれる。
【0007】
一実施形態では、本開示は、さらに、ブロードキャスティングモードがあるマルチスピーカブロードキャスティングシステムを提供する。常に、音声再生デバイスに接続する1つのマスタースピーカと、本システム内のマスタースピーカに接続する少なくとも1つのスレーブスピーカとが存在する。本システムのブロードキャスティングモードでは、マスタースピーカは、音声再生デバイスから複数のスレーブスピーカに音声ストリームを再ブロードキャストすることが可能であり、ひいては、音声ストリームは、本システム内の全てのスピーカ上で再生され得る。
【0008】
一実施形態では、本開示は、さらに、マルチスピーカシステムのブロードキャスティングモードを実施するための方法を提供する。
【0009】
別の実施形態では、スピーカがブロードキャスト機能を行うブロードキャスティングモードは、本開示に提供されるパーティーブーストキー等のスピーカ上のボタンを1回押すことによって、オン及びオフになり得る。アーキテクチャ及びユーザインタフェース/ユーザエクスペリエンスの定義により、スピーカは、パーティーブーストキーを1回押すことによってブロードキャスティングモードに入る。スレーブモードのスピーカは、入って来るA2DP音声ストリームが存在するとき、マスターモードに変わる。そうでなければ、A2DP音声ストリームが停止するとき、スピーカはスレーブモードに戻るように変わる。ブロードキャスティングモードでは、スピーカのブロードキャスタの役割またはレシーバの役割の定義は、ユーザが操作しなくても自動的に完了するであろう。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
ブロードキャスティングモードを有するスピーカであって、上記スピーカは、
マスターモードと、
スレーブモードと、を含み、
上記マスターモードでは、上記スピーカはスマートデバイスに接続され、音声ストリームを上記スマートデバイスから取得し、上記音声ストリームを再ブロードキャストし、
上記スレーブモードでは、上記スピーカは、上記マスターモードである別のスピーカに接続される、上記音声ストリームを受信し、上記音声ストリームを再生する、上記スピーカ。
(項目2)
上記ブロードキャスティングモードでは、上記スピーカは、上記マスターモードと上記スレーブモードとに切り替えられることができる、上記項目に記載のスピーカ。
(項目3)
上記ブロードキャスティングモードはブロードキャスタモードを含み、入って来る上記音声ストリームがA2DP音声ストリームであるとき、上記スピーカは上記ブロードキャスタモードに移行する、上記項目のいずれか一項に記載のスピーカ。
(項目4)
上記ブロードキャスティングモードはレシーバモードを含み、入って来るものがA2DP音声ストリームではないとき、上記スピーカは上記レシーバモードに入る、上記項目のいずれか一項に記載のスピーカ。
(項目5)
上記ブロードキャスティングモードは、さらに、上記スピーカがイベントを待機する一時モードを含む、上記項目のいずれか一項に記載のスピーカ。
(項目6)
上記イベントは、設定確認イベント、起動確認イベント、削除確認イベント、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれか一項に記載のスピーカ。
(項目7)
上記スピーカはボタンが提供され、上記ボタンを1回押すことによって、上記スピーカは上記ブロードキャスティングモードと通常モードとに切り替わり得る、上記項目のいずれか一項に記載のスピーカ。
(項目8)
上記スマートデバイスは、ブルートゥース(登録商標)接続性がある携帯電話、タブレット、またはコンピュータを備える、上記項目のいずれか一項に記載のスピーカ。
(項目9)
上記スピーカはブルートゥース(登録商標)式ポータブルスピーカである、上記項目のいずれか一項に記載のスピーカ。
(項目10)
ブロードキャスティングモードを有するマルチスピーカブロードキャスティングシステムであって、
上記項目のいずれか一項に記載の複数のスピーカを備え、
上記複数のスピーカのうちの1つのスピーカはマスターモードであり、
上記複数のスピーカのうちの少なくとも1つのスピーカはスレーブモードである、上記マルチスピーカブロードキャスティングシステム。
(項目11)
ブロードキャスティングモードを実施するための方法であって、
複数のスピーカのうちの1つのスピーカを、上記1つのスピーカがマスターモードで音声ストリームを取得する音声再生デバイスに接続するステップと、
上記複数のスピーカのうちの少なくとも1つのスピーカを、上記マスターモードの上記1つのスピーカに接続するステップであって、上記少なくとも1つのスピーカは、スレーブモードで、上記1つのスピーカから音声ストリームを受信する、上記接続するステップと、
上記マスターモードの上記1つのスピーカから、上記スレーブモードの上記少なくとも1つのスピーカに、上記音声ストリームを再ブロードキャストするステップと、
を含む、上記方法。
(項目12)
上記スピーカは、上記ブロードキャスティングモードにおいて連続的に上記マスターモードと上記スレーブモードとに切り替わることができる、上記項目に記載のシステム。
(項目13)
上記ブロードキャスティングモードはブロードキャスタモードを含み、入って来る上記音声ストリームがA2DP音声ストリームであるとき、上記スピーカは上記ブロードキャスタモードに移行する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目14)
上記ブロードキャスティングモードはレシーバモードを含み、入って来るものがA2DP音声ストリームではないとき、上記スピーカは上記レシーバモードに入る、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目15)
上記ブロードキャスティングモードは、さらに、上記スピーカがイベントを待機する一時モードを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目16)
上記イベントは、設定確認イベント、起動確認イベント、及び削除確認イベントのうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目17)
上記スピーカはボタンが提供され、上記ボタンを押すことによって、上記スピーカは上記ブロードキャスティングモードと通常モードとに切り替わり得る、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
上記スマートデバイスは携帯電話またはコンピュータを備える、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
上記スピーカはブルートゥース(登録商標)式ポータブルスピーカである、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(摘要)
ブロードキャスティングモードを有するスピーカ、マルチスピーカシステムと、ブロードキャスティングを実施するための方法とが開示される。ブロードキャスティングモードでは、スピーカは、音声再生デバイスに接続するスピーカから複数のスピーカに音声ストリームを再ブロードキャストすることが可能である。単純及び直感的に1回ボタンを押すことを利用することによって、スピーカはブロードキャスティングモードに入り、ユーザが操作しなくても、レシーバの役割と、ブロードキャスタの役割とを自動的に切り替えることができる。
【0010】
本開示は、添付図を参照して、非限定実施形態の以下の説明を読むことから良好に理解され得る。図では、同様の参照数字は対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】通常モードで作動するスピーカを示す概略図である。
【
図2】
図2Aは、本発明の実施形態による、ブロードキャスティングモード1のマスタースピーカ及びスレーブスピーカを示す概略図である。
図2Bは、本発明の実施形態による、ブロードキャスティングモード2のマスタースピーカ及びスレーブスピーカを示す概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による、スピーカのスピーカボタンレイアウトの一例を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施形態による、スピーカのブロードキャスト状態の変化を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示される。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態及び代替の形態で具体化され得る本発明の単なる例であることを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りではない。一部の特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小にされ得る。したがって、本明細書に開示される具体的な構造及び機能の詳細は、限定するものではなく、単に当業者が本発明を様々に使用するのに教示するための代表的な基準として解釈されたい。
【0013】
当業者によって理解されることができるように、スピーカは、同義語で、本開示のブロードキャスティングモードがあるマルチスピーカシステムに関与するスピーカのユニットとして説明される。
【0014】
本発明の1つの目的は、本システム内の全てのスピーカ上で音声を再生するように、音声再生デバイスに接続するスピーカから複数のポータブルスピーカに音声ストリームを再ブロードキャストするために、ブロードキャスティングモードがあるスピーカを提供することである。
【0015】
スピーカは、ユニットをオンにするとき、初期設定によって通常モードで作動する。通常モードでは、いずれかのブロードキャスト機能が存在しない。スピーカをブロードキャスティングモードに切り替えるとき、ブロードキャスティングモードのスピーカは、ブロードキャスタの役割またはレシーバの役割のいずれかを果たす。音声ストリームによってスマートフォンと対になることが成功したスピーカは、本システム内のマスタースピーカとしてのブロードキャスタの役割を担う。いずれかのスマートフォンと対にならない、またはいずれかの音声ストリームがないスマートフォンと対になる、のいずれかのスピーカは、スレーブスピーカとしてのレシーバの役割を担う。ブロードキャスティングモードでは、常に、複数のスレーブスピーカに接続し得るブロードキャスティングシステム内に1つのマスタースピーカが存在し、ひいては、マスタースピーカは、全てのスピーカ上で音声を再生するように、このマスタースピーカから複数のスレーブスピーカに音声ストリームを再ブロードキャストし得る。
【0016】
一実施形態では、
図2Aは、本開示に提供されるブロードキャスティングモード1の概略図を示す。具体的には、マスターモードのマスタースピーカ1は、ブルートゥース(登録商標)によって、スマートフォン1に接続される。スレーブモードのスレーブスピーカ2及びスレーブスピーカNは、マスタースピーカ1に接続される。マスタースピーカ1に接続される他のスレーブスピーカが存在し得るが、図に示されていない。ブロードキャスティングモード1の間、マスタースピーカ1はA2DPによって、音源をスマートフォン1から取得し、音声ストリームを複数のスレーブスピーカ2,Nに再ブロードキャストするブロードキャスタの役割を果たす。スレーブスピーカ2,Nは、それぞれ、レシーバの役割を果たし、マスタースピーカ1からブロードキャストされる音声ストリームを受信する。マスタースピーカ1とスレーブスピーカ2,Nとの間の接続は、出願者によって定義されるブルートゥース(登録商標)低エネルギー(BLE)に基づいて特許で保護されたプロトコル等の方法で行われることができる。
【0017】
図2Aのブロードキャスティングモード1では、マスタースピーカ1は、音声ストリームを複数のスレーブスピーカ2,Nにストリームする。スマートフォン1が音楽を再生し続ける限り、スピーカ1から到達可能な範囲内で、マスタースピーカ1は、スマートフォン1からA2DP音声ストリームを取得及び再生することを継続し、スレーブスピーカ2,Nに再ブロードキャストすることを継続する。そして、スレーブスピーカ2,Nは、それらのスレーブスピーカがマスタースピーカ1から到達可能なとき、マスタースピーカ1から音声ストリームを受信及び再生することを継続する。一般的に、スピーカ1,2,Nのマスターまたはスレーブの役割は、事前に定義される必要があり、スマートフォンアプリ、またはスピーカのそれぞれの特殊設計のボタンを組み合わせて押すこと等を利用することによって設定される必要がある。
【0018】
別の実施形態では、
図2Bは、本開示に提供されるブロードキャスティングモード2の概略図を示す。ブロードキャスティングモード2では、スピーカは、ブロードキャスタの役割またはレシーバの役割を果たし、2つの役割を切り替えることが可能である。例として、スレーブモードのスピーカ2は、例えば、別のスマートフォン2から入って来るA2DP音声ストリームが存在するとき、マスターモードに変わる。A2DP音声ストリームが停止するとき、スピーカ2のマスターモードはスレーブモードに戻るように変わる。スピーカ2は、リセットすることなく、連続的及び自動的に、マスターとスレーブとに切り替わり得る。全ての役割定義は、ユーザが操作しなくても、自動的に完了し得る。
【0019】
さらに、
図2Bを参照すると、例として、A2DP音声ストリームがスマートフォン2から来るとき、スレーブモードのスピーカ2はマスターモードに変わる。スピーカ2の役割がレシーバからブロードキャスタに変わるとき、別のスレーブスピーカN’は、例えば、マスタースピーカ2に接続することを増やし得、それからブロードキャスティング音声ストリームを受信することを開始する。スレーブスピーカN’は、例として、スピーカ1の代わりに、強力な信号源を伴うスピーカ2と接続する状態になるとき、強力な信号源を捜し得る。本発明では、スレーブスピーカがブロードキャスティング音声ストリームを元のマスタースピーカから受信しなくなるまで、スレーブスピーカは強力な源だけを捜す。
【0020】
代替として、本発明に従ったスピーカは、ボタンが提供され、スピーカのブロードキャスティングモードは、このボタンを1回押すことによって、オン及びオフになり得る。いったんボタンが押されると、スピーカはブロードキャスティングモード2に入る。
【0021】
図3は、本開示のスピーカ上のボタンレイアウトの実施形態を示す。ポータブルスピーカは一般ユーザをターゲットにしているため、スピーカのユーザインタフェースは単純にするべきである。
図3では、ブルートゥース(登録商標)ペアリングボタン、電源オン/オフボタン、再生/一時停止ボタン、音量アップボタン及び音量ダウンボタン等の、一般的にスピーカに設けられるボタンに加えて、スピーカ上に配置される別のボタン、すなわち、
図3に示されるパーティーブーストキーが存在する。このパーティーブーストキーの単純及び直感的に1回ボタンを押すことを利用することによって、スピーカはブロードキャスティングモード2に入り、マスターモードとスレーブモードとを自動的に切り替え得る。
【0022】
係るパーティーブーストキーのボタンを1回押すと、スピーカのブロードキャスティングモードの初期化を開始し得る。アプリケーション層は、ボタン押しイベントを受信することと、音声再生の状態を判定することと、マスター/スレーブモードを決定することと等を含む、この初期化機能を可能にするように構成される。
【0023】
係るパーティーブーストキーのボタンを1回押すと、さらに、ブロードキャストの状態マシンの初期化を開始し得る。ブロードキャストの状態マシンを初期化するために各スピーカ上に提供されたパブリックインターフェースが存在し、いったんインターフェースが呼び出されると、ブロードキャスタの役割は初期化され、状態マシンは自動的に起動する。
【0024】
図4に示されるように、本発明に従ったスピーカは、4つのサブ状態、すなわち、通常モード、レシーバモード、ブロードキャスタモード、及び一時モードを含有する。これらの4つのサブ状態について、通常モード、レシーバモード、及びブロードキャスタモードは安定モードであり、一時モードは中間状態である。
【0025】
通常モード
スピーカは、ユニットをオンにするとき、初期設定によって通常モードで作動する。通常モードでは、いずれかのブロードキャスト機能が存在しない。例として、
図4に示される通常モードのスピーカは、音楽を再生する独立型スピーカとして作動する。通常モードのスピーカの場合、
図1のスピーカ1を参照し得る。
【0026】
ブルートゥース(登録商標)A2DPは、デバイスと、通常モードのスピーカ上で確立される。いったんスピーカ上のパーティーブーストキーが通常モードで押されると、現在の音楽再生状態に応じて、スピーカは、音楽が再生中である場合、ブロードキャスタモードに入り、そうでなければ、スピーカはレシーバモードに入る。
【0027】
ブロードキャスタモードまたはレシーバモードと、通常モードとにスピーカを切り替える唯一の方法は、パーティーブーストキーを押すことによるも方法である、または、ユニットの電源をオフにし、次に、その電源をオンにすることである。
【0028】
レシーバモード
レシーバモードは、ブロードキャスティングモードの安定したサブ状態である。スピーカは、スレーブスピーカとして、このレシーバモードで作動し、音声ストリームを、ブロードキャスティングシステムのマスタースピーカから受信する。
図4に示される実施形態では、レシーバモードのスピーカは、ブロードキャスティング音楽音声ストリームをブロードキャスタモードの強力な信号デバイスから受信する。加えて、レシーバモードのスピーカは、また、スレーブスピーカの存在を他のアプリケーションに通知している。いったんパーティーブーストキーがレシーバモードで押されると、スピーカは通常モードに戻り、次に、スピーカは受信または通知することを停止する。
【0029】
ブロードキャスタモード
ブロードキャスタモードは、また、ブロードキャスティングモードの安定したサブ状態である。スピーカは、マスタースピーカとして、このブロードキャスタモードで作動し、音声ストリームを複数のスレーブスピーカに再ブロードキャストする。
図4に示される実施形態では、ブロードキャスタモードのスピーカは、音楽音声ストリームを送信し、レシーバモードで他のレシーバにブロードキャストする。加えて、ブロードキャスタモードのスピーカは、また、スピーカと他のアプリケーションとの間で情報を同期するように、他のアプリケーションをスキャンしている。いったんパーティーブーストキーがブロードキャスタモードで押されると、スピーカは通常モードに戻り、次に、スピーカはブロードキャストまたはスキャンすることを停止する。
【0030】
ブロードキャスタモード及びレシーバモードは、ブロードキャスト機能を行うスピーカの2つの安定したサブ状態であり、スピーカは、それらのモードを動的に及び自動的に切り替えることができる。いったんA2DP音楽が停止されると、スピーカは、自動的にレシーバモードに切り替わる。そうでなければ、いったんA2DP音楽が再び始まると、スピーカはブロードキャスタモードに自動的に切り替わる。
【0031】
一時モード
上記の安定モードのいずれかでは、スピーカが新しいイベントを有し、そのイベントに対するいくつかのアクションを行うことが必要であり、また、そのアクションに対する応答を待機している場合、そのスピーカは一時モードに切り替わる。
【0032】
一時モードは、ブロードキャスティングモードの不安定な中間サブ状態である。
【0033】
いったんスピーカが応答を得て、さらに他のものを待機する必要がなくなると、スピーカは、以前の安定モードに戻るように切り替わる。この不安定モードは、全てのメッセージ伝送が本システムにおいて非同期であり得るため、スピーカが切り替え前のシーンを除去できることを確認するのに一時的で及び短い。状態切替は不安定モードで進行することが可能ではない。いったんスピーカが安定モードに戻ると、スピーカはターゲットモードに自動的に切り替わる。
【0034】
ブロードキャストの状態マシンを動的に切り替える詳細は、
図4を参照して以下のように説明される。
【0035】
通常モード→レシーバモード
(ブルートゥース(登録商標)A2DPがデバイスと確立される)音楽が再生中ではない場合、スピーカ上のパーティーブーストキーを押すと、スピーカは一時モードに入り、レシーバモードに切り替わり始める。レシーバの役割が既に初期化されている場合、スピーカは、直接、レシーバモードに入る。そうでなければ、ブロードキャスタの役割が既に初期化されている場合、最初にブロードキャスタ役割を削除し、削除が成功した後、次に、レシーバの役割は、自動的に初期化される。初期化が完了したとき、例えば、設定確認イベントが受信されるとき等、スピーカはレシーバモードに入る。
【0036】
レシーバモード→通常モード
スピーカ上のパーティーブーストキーを押すと、スピーカはレシーバモードを終了する。スピーカが音楽をブロードキャスタから受信中の場合、スピーカは、音楽を再生することを停止するであろう、そして、通常モードになる。音楽が再生中ではない場合、直接、通常モードになる。
【0037】
通常モード→ブロードキャスタモード
音楽が再生中である場合、スピーカ上のパーティーブーストキーを押すと、スピーカは一時モードに入り、ブロードキャスタモードに切り替わり始める。ブロードキャスタモードに入る前に、レシーバの役割が既に初期化されている場合、スピーカは、最初に、レシーバ役割を削除する。削除が成功した後に、次に、ブロードキャスタの役割を初期化する。ブロードキャスタの役割が既に初期化されている場合、スピーカはブロードキャスタを設定する。そうでなければ、いったん設定確認イベントを受信すると、スピーカはブロードキャスタを起動する。いったん起動確認イベントが受信されると、スピーカはブロードキャスタモードに入る。
【0038】
ブロードキャスタモード→通常モード
スピーカ上のパーティーブーストキーを押すと、スピーカはブロードキャスタモードを終了する。スピーカは、一時モードに入り、ブロードキャスティングを停止する。いったん停止確認イベントが受信されると、スピーカは通常モードになる。
【0039】
レシーバ→ブロードキャスタモード
スピーカがレシーバモードでA2DP音楽を再生することを開始する場合、スピーカはブロードキャスタモードに自動的に切り替わる。A2DPによって入って来る音声ストリームは、このスピーカへの(A2DP音声ストリームを再生するスマートデバイス等への)ブルートゥース(登録商標)接続が確立されていることを意味する。
【0040】
スピーカがレシーバモードからブロードキャスタモードに切り替わるために、スピーカは、最初に、一時モードに入り、レシーバの役割を削除する。いったん削除イベントが受信されると、次に、スピーカは、ブロードキャスタの役割を初期化する。残りのステップは、通常モードからブロードキャスタモードへの切り替えと同じである。
【0041】
ブロードキャスタ→レシーバモード
ブロードキャスタモードのスピーカがA2DP音楽を再生することを停止する場合、スピーカは、レシーバモードに自動的に切り替わる。
【0042】
ブロードキャスタモードからレシーバモードに切り替わるために、スピーカは、最初に、一時モードに入り、ブロードキャスタの役割を削除する。いったんブロードキャスタの役割が削除されると、例えば、削除確認イベントが受信されるとき等、次に、スピーカは、レシーバの役割を初期化する。残りのステップは、通常モードからレシーバモードへの切り替えと同じである。
【0043】
例示的な実施形態を上記に説明したが、これらの実施形態が本発明の全ての可能な形態を説明することが意図されない。むしろ、本明細書で使用される単語は、限定的ではなく説明のための単語であり、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが理解される。加えて、本発明のさらなる実施形態を形成するために、実施形態を様々に実装する特徴を組み合わせ得る。