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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020106081
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022000122
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2023-04-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕士
(72)【発明者】
【氏名】西村 博司
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/039141(WO,A1)
【文献】特開2010-005247(JP,A)
【文献】特開2002-200395(JP,A)
【文献】特開2013-085851(JP,A)
【文献】特開2013-217597(JP,A)
【文献】特開2020-171394(JP,A)
【文献】実開昭52-171168(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0233928(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110799693(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に衣類を収容する水槽と、
前記水槽に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置と、を備え、
前記自動投入装置は、
洗濯運転複数回分の量の前記洗濯処理剤を貯留可能でかつ外部に開放された開口部を有するタンクと、
前記タンクに設けられて前記タンクの内部と外部とを連通し前記タンク内に貯留された前記洗濯処理剤を前記タンクの外部に吐出可能な吐出部と、
前記タンク内に工具を用いることなく着脱可能に設けられて前記吐出部側の領域と前記開口部側の領域とを仕切り前記開口部から投入された前記洗濯処理剤が前記吐出部側へ流れる際に前記洗濯処理剤に含まれる異物を除去可能なフィルタ部材と、を有し、
前記フィルタ部材は、前記洗濯処理剤を透過可能な複数の透過部と、前記開口部側の領域からユーザの指を掛けることが可能な取っ手部と、を有し、
前記取っ手部は、前記フィルタ部材から前記開口部側の領域に向かって突出しており、
前記タンクは、前記フィルタ部材の移動を規制する一又は複数の規制部を有し、
前記フィルタ部材を前記一又は複数の規制部の少なくとも一部による規制から解放させる際の前記取っ手部の引っ張り方向は、前記フィルタ部材を前記タンクから取り外す際の引っ張り方向と異なる、
洗濯機。
【請求項2】
前記フィルタ部材は、水平に延びる上面部と、上下方向に延びる側面部と、を有し、
前記一又は複数の規制部は、
前記タンクの上下方向へ延びる面に設けられ前記フィルタ部材の前記上面部に係止して前記フィルタ部材の上方への移動を規制する第1規制部と、
前記タンクの底部に設けられ前記フィルタ部材の前記側面部に係止して前記フィルタ部材の前記底部に沿った方向への移動を規制する第2規制部と、を含み、
前記取っ手部は、前記上面部又は前記側面部の少なくともいずれか一方に設けられている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記第1規制部は、前記タンクの上下方向に延びる面から突出して設けられて前記上面部の端部を係止する機能を有している、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記第2規制部は、前記タンクの前記底部を溝状に窪ませて形成されて前記側面部の端部を溝状の内側に挟み込んで前記側面部の端部を係止する機能を有している、
請求項2又は3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記フィルタ部材は、前記フィルタ部材の他に前記タンクに取り付けるための構造を有しておらず、前記フィルタ部材の端部が直接前記第1規制部及び前記第2規制部に係止される、
請求項2から4のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記フィルタ部材は、前記透過部を避けた位置に設けられて前記フィルタ部材を補強する機能を有するリブを有し、
前記取っ手部は、前記リブと一体に設けられている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤を自動投入用のタンク内に予め複数回分貯留しておき、運転中に必要量をタンクから自動的に水槽内へ投入する自動投入部を備えた洗濯機が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-74081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動投入用のタンクには、洗濯処理剤の原液が比較的長期間貯留されることとなる。そのため、洗濯処理剤が水分の蒸発により濃縮される等して、タンクの底部に固化してしまうことがある。固化した洗濯処理剤は、タンクを水で濯ぐだけでは簡単にとることができない。
【0005】
そこで、ユーザが洗浄し易い自動投入用の処理剤タンクを備えた洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の洗濯機は、内部に衣類を収容する水槽と、前記水槽に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置と、を備える。前記自動投入装置は、洗濯運転複数回分の量の洗濯処理剤を貯留可能でかつ外部に開放された開口部を有するタンクと、前記タンクに設けられて前記タンクの内部と外部とを連通し前記タンク内に貯留された前記洗濯処理剤を前記タンクの外部に吐出可能な吐出部と、前記タンク内に工具を用いることなく着脱可能に設けられて前記吐出部側の領域と前記開口部側の領域とを仕切り前記開口部から投入された前記洗濯処理剤が前記吐出部側へ流れる際に前記洗濯処理剤に含まれる異物を除去可能なフィルタ部材と、を有する。前記フィルタ部材は、前記洗濯処理剤を透過可能な複数の透過部と、前記開口部側の領域からユーザの指を掛けることが可能な取っ手部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による洗濯機の一例の縦断側面図
図2】一実施形態による洗濯機の一例について構成の一部の概要を示す図
図3】一実施形態による洗濯機の一例についてトップカバーの一部を示す斜視図
図4】一実施形態による洗濯機の一例についてタンクの構成を示す分解斜視図
図5】一実施形態による洗濯機の一例のタンクの平面図
図6】一実施形態による洗濯機の一例について図5のA-Aに沿って示すタンクの断面図
図7】一実施形態による洗濯機の一例について図6のX7を拡大して示す図
図8】一実施形態による洗濯機の一例について図6のX8を拡大して示す図
図9】その他の実施形態による洗濯機の一例について図5のA-Aに沿って示すタンクの断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態による洗濯機について、図面を参照して説明する。
図1を参照して、洗濯機1の概略構成について説明する。洗濯機1は、洗濯機本体10、水槽11、回転槽12、モータ13、排水弁14、注水装置30、及び自動投入装置40を備えている。なお、図1の左側を洗濯機1の前側とし、図1の右側を洗濯機1の後ろ側とする。この場合、通常ユーザは、洗濯機1の前側に位置するものとする。また、洗濯機1の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯機1の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯機1の上側とする。そして、洗濯機1の前後方向及び上下方向に対して直角な方向を、洗濯機1の幅方向すなわち左右方向とする。
【0009】
本実施形態の洗濯機1は、回転槽12の回転軸が鉛直方向を向いたいわゆる縦軸型の洗濯機である。なお、洗濯機1は、いわゆる縦型の洗濯機に限られず、回転槽の回転軸が水平又は傾斜したいわゆるドラム式であっても良い。また、洗濯機1は、乾燥機能を備えていても良いし、備えていなくても良い。
【0010】
洗濯機本体10は、図1に示すように、外箱21、トップカバー22、本体蓋23、及びバックカバー24を有する。外箱21は、洗濯機1の外殻を構成している。外箱21は、例えば鋼板等によって略矩形の箱状に形成されており、上側が開口している。水槽11は、洗濯機本体10の内部すなわち外箱21の内部に収容されている。回転槽12は、水槽11の内部に収容されている。水槽11は、上側が開口した有底円筒形状形成されている。
【0011】
トップカバー22は、図1に示すようにトップカバー開口部221を有しており、矩形の環状に構成されている。トップカバー22は、外箱21の上部に設けられている。本体蓋23は、トップカバー22に設けられており、トップカバー開口部221を開閉する。バックカバー24は、洗濯機1の左右方向に長い矩形状に構成されている。バックカバー24は、トップカバー22上部の後端部に設けられている。
【0012】
モータ13は、水槽11の底部の外側に設けられており、水槽11を貫いて回転槽12に接続されている。モータ13は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。モータ13は、回転槽12を回転させる。
【0013】
排水弁14は、電磁駆動可能な液体用の開閉弁であり、図示しない制御装置によって駆動制御される。排水弁14の入力側は、水槽11内に接続されており、排水弁14の出力側は、洗濯機1の外部に接続されている。排水弁14は、水槽11内に貯留されている水を洗濯機1の外部に排水するための排水経路を開閉する。排水弁14が閉じると、水槽11内は水を貯留可能な状態となる。また、排水弁14が開くと、水槽11内に貯留された水が切外へ排水可能となる。
【0014】
注水装置30は、洗濯機本体10内の上側後部であって、トップカバー22の内部に設けられている。注水装置30は、図2に示すように、給水弁31、注水ケース32、処理剤ケース33、及び注水ホース34を有している。注水装置30は、給水ホース100を介して、例えば図示しない水道の蛇口等外部の水源に接続される。
【0015】
給水弁31は、電磁駆動可能な液体用の開閉弁であり、図示しない制御装置によって受動制御される。給水弁31の入力側は、水道等の外部の水源に接続されており、給水弁31の出力側は、注水ケース32に接続されている。給水弁31は、水道等の外部の水源から注水ケース32を介して水槽11内へ給水するための給水経路を開閉する。
【0016】
注水ケース32は、注水装置30の外殻を構成するものであり、例えば樹脂製であって箱状に形成されている。注水ケース32の上流側は給水弁31に接続されており、注水ケース32の下流側は注水ホース34を介して水槽11に接続されている。
【0017】
処理剤ケース33は、例えば樹脂製の容器であって、一回の洗濯運転で使用する量の洗剤及び柔軟剤等の洗濯処理剤を収容可能に構成されている。処理剤ケース33は、例えばトップカバー22の内部において前方へ引き出し可能に構成されている。処理剤ケース33は、注水ケース32内に収容された状態において、給水弁31を介して注水ケース32内に供給された水を受ける位置に設けられている。ユーザは、洗濯処理剤を手動で水槽11内に投入する場合に、処理剤ケース33を前方へ引き出した状態で、洗剤や柔軟剤を処理剤ケース33に投入する。処理剤ケース33内に貯留された洗濯処理剤は、注水装置30を介して水槽11に注水される水と共に水槽11内に流し落とされる。
【0018】
自動投入装置40は、予め洗濯運転複数回分の洗濯処理剤を貯留しておき、複数回分の洗濯運転に亘って所定量の洗濯処理剤を自動で水槽11内に供給する機能を有している。本実施形態の場合、自動投入装置40は、図3に示すように、外箱21内で且つ水槽11の上方にあって、洗濯機1の左右方向の一方側寄り例えば左側寄りに設けられている。
【0019】
自動投入装置40は、図1図3に示すように、供給ポンプ41、タンク収容部50、及びタンク60を有している。タンク収容部50は、洗濯機本体10に設けられており、タンク60を着脱可能に収容する。タンク60は、複数回分の洗濯処理剤を貯留可能に構成されており、ユーザの操作によってタンク収容部50に着脱される。
【0020】
タンク収容部50は、図2に示すように、タンク収容部50の内部と外部とを連通する接続部51を有している。タンク60は、タンク60の内部と外部とを連通する吐出部611を有している。そして、タンク60がタンク収容部50の正しい位置に挿入されると、タンク60の挿入側の端部において吐出部611がタンク収容部50の接続部51に接続される。これにより、タンク60内に貯留されている洗濯処理剤が、吐出部611及び接続部51を通って、タンク60及びタンク収容部50の外部に流出可能になる。
【0021】
供給ポンプ41は、例えばピストン式のポンプであり、タンク収容部50の外部に設けられて接続部51に接続されている。供給ポンプ41は、タンク60がタンク収容部50に収容されて吐出部611が接続部51に接続された状態で、タンク60から所定量の洗濯処理剤を吸出し、その吸い出した洗濯処理剤を上述した給水経路に投入する。洗濯機1は、例えば洗濯運転の洗い工程やすすぎ工程における注水中に供給ポンプ41を動作させることで、洗濯運転に必要な洗濯処理剤を、給水経路を流れる水に乗せて水槽11に投入することができる。なお、供給ポンプ41は、タンク60に設けても良いし、タンク収容部50の内部に設けても良い。
【0022】
次にタンク収容部50及びタンク60の詳細について説明する。なお、以下の説明において、タンク収容部50及びタンク60の前後、上下、及び左右若しくは幅方向とは、ユーザが洗濯機1を使用する際に通常ユーザが立つと想定される位置を基準にしたものである。つまり、タンク収容部50及びタンク60の前後、上下、及び左右若しくは幅方向とは、洗濯機1の前後、上下、及び左右若しくは幅方向と必ずしも一致している必要はないが、本実施形態では説明の便宜上、洗濯機1の各方向の定義と一致させている。
【0023】
図3に示すように、タンク収容部50は、収容部本体52と、スライドケース53とを有する。収容部本体52は、タンク収容部50の外殻を構成する。収容部本体52は、略矩形の箱状に形成され、一方の面この場合前方が開口している。詳細は図示しないが、接続部51は、収容部本体52の開口とは反対側つまり後部に設けられている。
【0024】
スライドケース53は、上部が開口した略矩形の箱状に形成され、収容部本体52の内部に引き出し可能に収容されている。スライドケース53が収容部本体52に出し入れされる際の、スライドケース53の移動方向を、スライドケース53又はタンク60の挿抜方向と称する。本実施形態の場合、スライドケース53又はタンク60の挿抜方向は前後方向である。そして、スライドケース53が収容部本体52から引き出される際の、スライドケース53の移動方向をスライドケース53又はタンク60の引き出し方向と称する。また、スライドケース53が収容部本体52に押し戻される際の、スライドケース53の移動方向をスライドケース53又はタンク60の挿入方向と称する。
【0025】
収容部本体52は、受け部54を有する。受け部54は、収容部本体52の左右の内壁を収容部本体52の外部に向かって窪ませた溝形状に形成され、スライドケース53の挿抜方向に直線状に延びている。スライドケース53は、レール55を有する。レール55は、スライドケース53の左右の側面にそれぞれ設けられ、スライドケース53の挿抜方向つまりこの場合前後方向に直線状に延びる。レール55は、収容部本体52の受け部54に受け入れられ、スライドケース53の挿抜方向つまりこの場合前後方向への摺動を可能にする。収容部本体52、スライドケース53、レール55は、例えばいずれも樹脂製である。
【0026】
スライドケース53は、内部に複数この場合2個のタンク60を収容可能である。本実施形態の場合、2個のタンク60は、左右方向に並べてスライドケース53の内部に収容される。
【0027】
タンク60は、例えば合成樹脂製であって、前後方向又は左右方向に長い矩形状で中空の容器で構成されており、液状の洗濯処理剤を貯留することができる。この場合、タンク60は、複数回の洗濯運転で使用する洗濯処理剤を貯留するために十分な容量を有している。この場合、タンク60の容量は特に限定されないが、ユーザの利便性を考慮すると、少なくとも数百mL~2L程度に設定することが好ましい。また、本実施形態の場合、自動投入装置40は、タンク60を2つ有している。この場合、2つのタンク60のうち一方は、洗濯処理剤として洗剤を貯留するためのものである。また、2つのタンク60のうち他方は、洗濯処理剤として柔軟剤を貯留するためのものである。なお、これら2つのタンク60の容量は同一であっても良いし異なっていても良い。
【0028】
タンク60は、図4に示すように、タンク本体61、蓋部材62、吸込み管63、漏出防止弁64を有している。タンク本体61は、タンク60の外殻を構成している。
【0029】
本実施形態の場合、図3図4図6等に示すように、タンク本体61は、全体として直方体状に形成されており、前壁部612、側壁部613、背壁部614、及び底部615を有している。前壁部612は、タンク本体61の前面を構成する。側壁部613は、タンク本体61の側面を構成する。背壁部614は、タンク本体61の背面を構成する。底部615は、タンク本体61の底面を構成する。また、タンク本体61は開口部616を有している。開口部616は、タンク本体61の上部に設けられた開口、すなわち前壁部612、側壁部613、及び背壁部614に囲まれて形成された開口で、タンク本体61の内部をタンク本体61の外部に露出する。
【0030】
図4図5等に示すように、蓋部材62は、略矩形の板状に形成され、タンク本体61の上部に着脱可能に取り付けられて開口部616を閉塞する。蓋部材62は、蓋部材本体621と、投入口622と、開閉蓋623とを有する。蓋部材本体621は、蓋部材62の外殻を構成する。蓋部材本体621は、略矩形の板状に形成され、一部に投入口622を有する。投入口622は、ユーザが洗濯処理剤をタンク60に貯留する際に洗濯処理剤を投入する開口である。投入口622は、この場合、蓋部材本体621のうち、引き出し方向の端部つまり前端部よりの部分に設けられている。開閉蓋623は、蓋部材本体621にヒンジ部624を介して回動可能に設けられ、投入口622を開閉する。ヒンジ部624は、投入口622の挿入方向側に設けられている。
【0031】
ユーザは、タンク60に洗濯処理剤を注入する場合、まず、図3に示すようにタンク収容部50からスライドケース53ごとタンク60を引き出す。そして、開閉蓋623を開き、投入口622を通して洗濯処理剤をタンク60に投入する。ユーザは、所定の量まで洗濯処理剤を投入した後、開閉蓋623を閉じ、再びスライドケース53ごとタンク60をタンク収容部50に押し戻す。なお、ユーザは、蓋部材62をタンク本体61から取り外して、開口部616から洗濯処理剤を投入しても良い。
【0032】
吐出部611は、図4に示すようにタンク本体61の後部、この場合背壁部614に設けられている。吸込み管63は、吐出部611に接続されており、タンク本体の底部615の近傍まで垂直下方に延びる。吸込み管63の下端部は、タンク本体61の底部615からわずかに空間を隔てて位置している。なお、底部615のタンク本体61の内側の面は、前後方向及び左右方向に関して傾斜している。すなわち、底部615は、後方に向けて下降するように僅かに傾斜している。また、吸込み管63の下端部に対面する位置に向けて下降するように左右方向に傾斜している。これにより、吸込み管63の下端部に対面する位置に洗濯処理剤が流れやすくなる。
【0033】
漏出防止弁64は、吐出部611と吸込み管63との間に設けられている。漏出防止弁64は、タンク60がタンク収容部50から取り外されて、吐出部611が接続部51に接続されていない場合に、タンク本体61内に貯留されている洗濯処理剤が吐出部611からタンク本体61外部へ漏れ出ることを防止する機能を有する。漏出防止弁64は、吐出部611に接続部51が接続されている場合には、吐出部611と吸込み管63との間の経路を開く。これにより、供給ポンプ41は、タンク本体61内に貯留されている洗濯処理剤を吸い出すことが可能になる。一方、漏出防止弁64は、吐出部611に接続部51が接続されていない場合には、吐出部611と吸込み管63との間の経路を閉じ、これによりタンク本体61内の洗濯処理剤が吐出部611から外部へ流出することを防ぐ。
【0034】
タンク60は、更に、図4に示すようにフィルタ部材70を有する。フィルタ部材70は、図6に示すように、タンク本体61内に設けられて、タンク本体61の内部空間において、開口部616側の領域A1と、吸込み管63が設けられた吐出部611側の領域A2と、を仕切っている。これにより、フィルタ部材70は、投入口622からタンク本体61内に投入された洗濯処理剤が吸込み管63から供給ポンプ41に吸い込まれる際に、その洗濯処理剤中に含まれている埃などの異物を捕集する機能を有する。
【0035】
フィルタ部材70は、板材をL字状に曲げた形状に形成されている。そのため、フィルタ部材70は、上面部71と、側面部72と、を有する。上面部71は、水平方向に延びる略矩形の板状に形成され、フィルタ部材70の上面を構成する。側面部72は、鉛直方向に延びる略矩形の板状に形成され、フィルタ部材70の側面この場合前面を構成する。上面部71の後端部つまり挿入方向側の端部は、図6及び図7にも示すように、タンク本体61の背壁部614内面にほぼ当接している。具体的には、上面部71の後端部は、タンク本体61の背壁部614の上下方向の中心部よりも上方であって、背壁部614の上端部よりも下方にほぼ当接している。側面部72の下端部は、図6及び図8にも示すように、タンク本体61の底部615の前後方向の中心部付近にほぼ当接している。具体的には、側面部72の下端部は、底部615の前後方向の中心部付近にほぼ当接している。なお、本明細書において、「ほぼ当接」とは、完全に当接している必要はなく、若干の隙間は許容されることを意味する。
【0036】
図4に示すように、フィルタ部材70は、枠部73と、複数この場合4個の透過部74と、を有する。枠部73は、上面部71と側面部72との全面に亘って、フィルタ部材70の外殻を構成する。また、枠部73は、フィルタ部材70の上面部71と側面部72との全面に亘って、矩形の環状を複数連ねた格子形状を形成している。この場合、枠部73は、上面部71に4つ、側面部72に4つ、併せて8つの格子を形成している。
【0037】
複数の透過部74は、枠部73の複数の格子の内側をそれぞれ覆うように設けられている。各透過部74は、多数の小孔741を有し、洗濯処理剤の通過を許すが異物の透過を阻害する。これにより、複数の透過部74は、フィルタ部材70による異物の捕集を可能にする。
【0038】
また、フィルタ部材70は、図4に示すように、一又は複数のリブ75を有する。リブ75は、上面部71又は側面部72から垂直方向に突出して設けられている。この場合、リブ75は、フィルタ部材70に対して、開口部616側の領域A1に向けて突出している。つまり、リブ75は、上面部71から上方に向かって、又は側面部72から前方すなわち引き出し方向に向かって突出している。また、リブ75は、枠部73に沿って設けられている。つまり、リブ75は、透過部74を避けた位置に設けられている。
【0039】
本実施形態では、リブ75は、フィルタ部材70の上面部71に4本、側面部72に4本設けられている。上面部71に設けられたリブ75のうち、3本は前後方向つまり挿抜方向に平行に延び、1本は左右方向に平行に延びる。上面部71に設けられた挿抜方向に平行に延びるリブ75は、上面部71の左右の両端部と、左右方向に関して中央部分とに位置する枠部73に沿って設けられている。上面部71に設けられた左右方向に平行に延びるリブ75は、上面部71の挿抜方向に関して中央部分に位置する枠部73に沿って設けられている。
【0040】
更に、側面部72に設けられたリブ75のうち、3本は上下方向に平行に延び、1本は左右方向に平行に延びる。側面部72に設けられた上下方向に平行に延びるリブ75は、側面部72の左右の両端部と、左右方向に関して中央部分とに位置する枠部73に沿って設けられている。側面部72に設けられた左右方向に平行に延びるリブ75は、側面部72の上下方向に関して中央部分に位置する枠部73に沿って設けられている。なお、本実施形態では、上面部71に設けられた挿抜方向に平行に延びる3本のリブ75と、側面部72に設けられた上下方向に平行に延びる3本のリブ75とは、上面部71と側面部72との設置部分で接続しているが、別の実施形態では、接続していなくても良い。
【0041】
リブ75は、フィルタ部材70を補強する機能を有する。すなわち、透過部74には多数の小孔741が設けられているため、小孔がない場合と比較してフィルタ部材70は荷重や曲げ応力に対して機械的強度や剛性が劣る。リブ75は、フィルタ部材70の機械的強度を増加させ、変形しづらくする。
【0042】
次に、フィルタ部材70のタンク本体61への組付け機構について説明する。タンク本体61は、窪み部65と、突条部66と、溝部67と、支持部材68と、を更に有する。窪み部65は、左右の側壁部613において後ろ側部分つまり挿入方向の端部側部分の一部をタンク本体61の中心側に向かって窪ませて形成されている。この場合、窪み部65は、底部615と接する位置から、左右の側壁部613上下方向の中心部よりも上方であって、左右の側壁部613の上端部よりも下方まで延びている。突条部66は、左右の側壁部613からタンク本体61の中心側に突出して上下方向に直線状に延びる突条を形成している。突条部66は、窪み部65の前端部つまり引き出し方向側の端部からやや空間を隔てて設けられている。
【0043】
溝部67は、窪み部65の前端部が左右の側壁部613に形成する段差と突条部66との間において、タンク本体61の中心側に向かって開口した溝形状を形成する。つまり溝部67は、上下方向に延びる直線状に形成され、タンク本体61の上下方向に延びる面この場合左右の側壁部613に設けられている。この場合、溝部67は、側壁部613の前後方向つまり挿抜方向の中心部付近に設けられている。
【0044】
溝部67は、内部にフィルタ部材70の側面部72の左右の両端部を摺動可能に受け入れる。つまり、フィルタ部材70がタンク本体61に装着される際、フィルタ部材70の側面部72の左右の両端部は、溝部67内部を下側に向かって摺動する。そして、フィルタ部材70がタンク本体61に装着された状態において、側面部72の左右の両端部は溝部67に受け入れられている。なお、この場合、上面部71は、窪み部65の上端部が左右の側壁部613に形成する段差に上方からほぼ当接している。
【0045】
支持部材68は、水平方向に延びる短冊状に形成され、フィルタ部材70の下方において、背壁部614からタンク本体61の中心側に向かって突出する。支持部材68は、フィルタ部材70がタンク本体61に装着された状態において、フィルタ部材70の上面部71の下側に当接する。
【0046】
図6図8に示すように、タンク本体61は、第1規制部81と、第2規制部82と、を更に有する。第1規制部81は、タンク本体61の上下方向に延びる面この場合背壁部614に設けられている。また、第1規制部81は、背壁部614の上下方向の中央部付近に設けられている。具体的には、第1規制部81は、背壁部614の上下方向の中心部よりも上方であって、背壁部614の上端部よりも下方に設けられている。また、第1規制部81は、背壁部614の左右方向の中央部に設けられている。第1規制部81は、フィルタ部材70の上面部71に係止して、フィルタ部材70の上方への移動を規制する機能を有する。具体的には、第1規制部81は、フィルタ部材70の上面部71の後端部つまり挿入方向側の端部に係止する。本実施形態の場合、第1規制部81は、フィルタ部材70の上面部71の後端部を、いわゆるスナップフィットにより係止する。
【0047】
この場合、第1規制部81は、左右方向に直線状に延び背壁部614からタンク本体61の中心側に向かって突出した突条を形成する。第1規制部81は、フィルタ部材70がタンク本体61に装着された状態において、フィルタ部材70の上面部71の上側に当接する。
【0048】
更に、タンク本体61は、1又は複数この場合3個のガイド部69を有する。ガイド部69は、上下方向に延びる短冊状に形成され、第1規制部81の上方において背壁部614から前方に突出して設けられている。ガイド部69は、図4及び図7に示すように、上部に傾斜が設けられている。つまり、ガイド部69は、前後方法つまり挿抜方向の長さ寸法である奥行きが、上部で小さく、下部で大きくなるように変化している。ガイド部69の下端部の奥行きは、第1規制部81の前後方法つまり挿抜方向の長さ寸法である奥行きと同一に設定されている。ガイド部69の上端部は、背壁部614と滑らかに接続し、ガイド部69の下端部は、第1規制部81の上面と滑らかに接続している。つまり、第1規制部81とガイド部69とは、一体に設けられている。
【0049】
ガイド部69は、フィルタ部材70をタンク本体61に設置する際にフィルタ部材70の後端部が第1規制部81を乗り越えやすくするためのガイドとして機能する。つまり、フィルタ部材70の上面部71の後端部がガイド部69の前方側の表面を上から下に向かって摺動することで、フィルタ部材70はガイド部69ひいては背壁部614を後方つまり挿入方向に向かって押すため、背壁部614が後方に向かって撓む。それにより、上面部71が第1規制部81を乗り越えることを容易にする。ガイド部69は背壁部614の左右方向に関する中央部に設けられていることで、フィルタ部材70を取り付ける際に背壁部614を撓みやすくしている。なお、第1規制部81、ガイド部69、突条部66、及び支持部材68は、いずれもタンク本体61と一体成形されている。
【0050】
第2規制部82は、タンク本体61の底部615に設けられている。第2規制部82は、フィルタ部材70の側面部72に係止して、フィルタ部材70の底部615に沿った方向への移動を規制する。具体的には、第2規制部82は、フィルタ部材70の前後方向つまり挿抜方向への移動を規制する。第2規制部82は、フィルタ部材70の一方の端部この場合側面部72の下端部に係止する。この場合、第2規制部82は、底部615を下方に向かって窪ませ上方に向かって開口した左右方向に延びる直線状の溝形状を有する。そして、第2規制部82は、フィルタ部材70の側面部72の下端部を溝形状の内部に挟み込む。
【0051】
フィルタ部材70は、更に取っ手部76を有する。取っ手部76は、枠部73に設けられ、枠部73から突出又は窪ませて形成されている。取っ手部76は、開口部616側の領域A1から、ユーザの指を掛けることが可能に構成されている。つまり、取っ手部76は、ユーザがフィルタ部材70をタンク本体61から取り外す際に、指を掛けて操作しやすくする機能を有する。
【0052】
本実施形態の場合、取っ手部76は、枠部73から開口部616側の領域A1に向かって突出して形成されている。この場合、取っ手部76は、上面部71又は側面部72から、上面部71又は側面部72に対して直角方向に突出させて形成されている。本実施形態では、取っ手部76は、上面部71から上方に向かって突出している。なお、別の実施形態では、取っ手部76は、例えば側面部72を前方つまり引き出し方向に向かって突出させて形成しても良い。
【0053】
この場合、取っ手部76は、上面部71のうち、4つの透過部74の中央に設けられている。具体的には、取っ手部76は、枠部73に設けられたリブ75と一体に設けられている。そして、取っ手部76は、背壁部614と平行に延びる板状に形成された第1部分761と、側壁部613と平行に延びる板状に形成された第2部分762とを有し、平面視でT字形を成している。これにより、第1部分761の後方側はフラットに形成されて指を掛けるエリアが確保されているため、ユーザは、例えば第1部分761に後方から指を掛けて操作しやすくなっている。この際、第1部分761に掛ける指は1本でもいいし、2本以上でもいい。また、この場合第2部分762は、第1部分761に掛かる荷重を支え、第1部分761の破損を防ぐ機能を有する。
【0054】
なお、本実施形態では、第1部分761の後方に第2部分762を設けていないが、別の実施形態では、第1部分761の前方と後方とに第2部分762を設けて取っ手部76を平面視で十字形となるように形成しても良い。また、更に別の実施形態では、第1部分761の後方に第2部分762を設けて取っ手部76を平面視でT字形となるように形成しても良い。また、ユーザは、第2部分762を例えば2本又は3本の指で挟んで操作しても良い。
【0055】
ユーザがタンク60を洗浄する等のために、フィルタ部材70をタンク本体61から取り外す場合について説明する。まず、ユーザはタンク収容部50からタンク60を取り出す。そして、ユーザは蓋部材62をタンク本体61から取り外す。次に、ユーザは取っ手部76に指を掛けて、フィルタ部材70をタンク本体から取り外すことができる。
【0056】
この際、まず、ユーザは、取っ手部76に指を掛ける。そして、ユーザは取っ手部76を手前に引っ張り、フィルタ部材70を弾性変形させて上面部71の後端部を第1規制部81の係止から解放させる。その際、ユーザは、例えば、第1部分761に後方から指を掛けることができる。またユーザは、第1部分761に掛けていない指を第1部分761の手前側に掛けて、いわばそれらの指で第1部分761を挟んで手前に引っ張っても良い。また、ユーザは、第1部分761に掛けていない指をフィルタ部材70の側面部72に掛けても良いし、どこにも掛けなくても良い。
【0057】
その後、ユーザは、フィルタ部材70を上方に引っ張り、側面部72の下端部を第2規制部82の係止から解放させる。側面部72の左右の両端部は溝部67を摺動し、ユーザは、フィルタ部材70をタンク本体61から取り外すことができる。このようにして、ユーザは、工具を使うことなく、フィルタ部材70をタンク本体61から取り外すことができる。
【0058】
そして、タンク本体61の内部を洗浄した後、上記と逆の手順により、フィルタ部材70をタンク本体61に取り付ける。この場合、まず、ユーザは、側面部72の左右の両端部を溝部67にはめ込み、溝部67内を下方に向かって摺動させる。ユーザは、側面部72の下端が第2規制部82に嵌まり込むまでフィルタ部材70を下方に向かって押し付ける。
【0059】
その後或いはそれと同時に、ユーザは、上面部71の後端部がガイド部69を通り過ぎて第1規制部81を乗り越えるまで上面部71を下方に押し込む。この際、ユーザは、取っ手部76に指を掛け、上面部71を前方つまり引き出し方向に向かって引っ張っても良いし、引っ張らなくても良い。上述のように、上面部71の後端部がガイド部69の傾斜の表面を摺動することで背壁部614が撓むので、上面部71の後端部は第1規制部81を乗り越えやすくなる。そして、上面部71の後端部が第1規制部81を乗り越えることで、上面部71の後端部は第1規制部81によって係止される。こうして、ユーザは、上面部71の後端部を第1規制部81によって係止し、側面部72の下端部を第2規制部82によって係止することで、フィルタ部材70をタンク本体61に固定することができる。
【0060】
ここで、例えば自動投入装置40を長期間使用しないと、タンク本体61内に残存した洗濯処理剤が濃縮して底部615で固化することがある。更に、上述のように底部615は、吸込み管63周辺に洗濯処理剤を集めるため吸込み管63に向かって下降するように傾斜している。そのため、タンク本体61内の洗濯処理剤の残存量が少ないと、その洗濯処理剤は吸込み管63がある領域つまり吐出部611側の領域A2に溜まり易く、その結果、更に吸込み管63周辺で乾燥し固化しがちとなる。しかし、吐出部611側の領域A2は、通常フィルタ部材70によって開口部616側の領域A1と隔てられており、フィルタ部材70をタンク本体61から取り外さないと、固化した洗濯処理剤を洗浄することは困難である。
【0061】
一方で、フィルタ部材70は洗濯運転時の振動等によって外れないように強固にタンク本体61に組み付けてあるため、ユーザがタンク本体の吐出部611側の領域A2を洗浄しようと思っても、特別な工具がないと取り外すことが容易ではない。
【0062】
これに対し、以上説明した本実施形態の洗濯機1は、内部に衣類を収容する水槽11と、水槽11に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置40と、を備える。自動投入装置40は、タンク60と、タンク60に設けられた吐出部611と、タンク60内に工具を用いることなく着脱可能に設けられたフィルタ部材70とを有する。タンク60は、洗濯運転複数回分の量の洗濯処理剤を貯留可能でかつ外部に開放された開口部616を有する。吐出部611は、タンク60の内部と外部とを連通し前記タンク内に貯留された前記洗濯処理剤を前記タンクの外部に吐出可能である。
【0063】
フィルタ部材70は、吐出部611側の領域A2と開口部616側の領域A1とを仕切り、開口部616から投入された洗濯処理剤が吐出部611側へ流れる際に洗濯処理剤に含まれる異物を除去可能である。フィルタ部材70は、洗濯処理剤を透過可能な複数の透過部74と、開口部616側の領域A1からユーザの指を掛けることが可能な取っ手部76と、を有する。
【0064】
これによれば、フィルタ部材70は、取っ手部76に指を掛けることで、特別な工具がなくても簡単に取り外せるようになったので、タンク洗浄時のユーザの利便性が向上される。
【0065】
また、取っ手部76は、フィルタ部材70から開口部616側の領域A1に向かって突出している。これによれば、取っ手部76は、ユーザの位置する側に向かって突出しているため、ユーザが操作しやすくなり、更に容易にフィルタ部材70をタンク本体61から取り外すことができる。
【0066】
更に、フィルタ部材70は、水平に延びる上面部71と、上下方向に延びる側面部72と、を有する。タンク60は、第1規制部81と、第2規制部82とを有する。第1は、タンク60の側面部72に設けられフィルタ部材70の上面部71に係止してフィルタ部材70の上方への移動を規制する。第2規制部82は、タンク60の底部615に設けられフィルタ部材70の側面部72に係止してフィルタ部材70の底部615に沿った方向への移動を規制する。取っ手部76は、上面部71又は側面部72の少なくともいずれか一方に設けられている。
【0067】
これによれば、取っ手部76は、ユーザから見て近い側つまりユーザからアプローチしやすい上面部71又は側面部72に設けられている。そのため、ユーザは取っ手部76に指を掛けやすくなり、一層ユーザの利便性が向上する。
【0068】
更にまた、第1規制部81は、タンク60の上下方向に延びる面つまり背壁部614から突出して設けられて上面部71の端部を係止する機能を有している。これによれば、上面部71の後端部は第1規制部81により係止され、上方への移動が規制されている。これに対し、ユーザは、上面部71に設けられた取っ手部76を前方に引っ張って第1規制部81の規制を外した後、フィルタ部材70を上方に移動させることができる。このように、比較的簡単な構成でユーザのタンク60洗浄時の利便性を向上することができる。
【0069】
更にまた、第2規制部82は、タンク60の底部615を溝状に窪ませて形成されて側面部72の下端部を溝状の内側に挟み込んで側面部72の下端部を係止する機能を有している。これによれば、第2規制部82によってフィルタ部材70の前後方向つまり挿抜方向への移動が規制されるので、洗濯運転時に振動等があってもフィルタ部材は十分にタンク本体61に固定される。
【0070】
フィルタ部材70は、フィルタ部材70の他に、タンク60に取り付けるための構造を有しておらず、フィルタ部材70の端部が直接第1規制部81及び第2規制部82に係止される。これによれば、フィルタ部材70自体には爪部等が設けられていないため、フィルタ部材70は、タンクの第1規制部81及び第2規制部82の係止から解放されると、スムーズに外すことができる。また、フィルタ部材70形状をシンプルにできるため、フィルタ部材70の製造性ひいては、洗濯機1の製造性を向上することができる。
【0071】
フィルタ部材は、透過部74を避けた位置に設けられてフィルタ部材70を補強する機能を有するリブ75を有する。取っ手部76は、リブ75と一体に設けられている。これによれば、補強用のリブ75と一体に取っ手部76を設けたため、リブ75による補強効果をより向上することができる。更に、取っ手部76は、透過部74を避けた位置に設けられているため、透過部74による洗濯処理剤のろ過機能を低下させることが抑制される。
【0072】
更に、別の実施形態では、フィルタ部材70は、図9に示すように、取っ手部76の代わりに、取っ手部77を有していても良い。取っ手部77は、上面部71又は側面部72を、吐出部611側の領域A2に向かって窪ませて形成しても良い。つまり、取っ手部77は、上面部71を下方に向かって窪ませて、又は側面部72を後方つまり挿入方向に向かって窪ませて形成しても良い。図9に示す実施形態の場合、取っ手部77は、上面部71に設けられ、上面部71を下方に向かって窪ませて形成されている。この場合も、ユーザは、取っ手部77に指を掛けて、フィルタ部材70を簡便にタンク本体61から取り外すことができるので、上記と同様の効果が奏される。
【0073】
なお、第1規制部81と第2規制部82とは、必ずしも両方が必要な訳ではなく、どちらか一方のみを設ける構成としても良い。その場合であっても、取っ手部76に指を引掛けることにより、ユーザは、フィルタ部材70をタンク本体61から簡便に取り外すことができる。
【0074】
また、上記の実施形態では、第1規制部81は、スナップフィットによってフィルタ部材70の移動を規制するが、移動の規制の方式はこれに限らない。例えば、第1規制部81は、フィルタ部材70の上面部71の端部に設けられた凸形状又は凹形状に対応して形成された凹形状又は凸形状であり、互いに嵌合してフィルタ部材70の上方への移動を規制しても良い。
【0075】
更に、第1規制部81に替え、蓋部材62に下方に向かって突出する突形状を設け、当該突形状によって、フィルタ部材70の上面部71を下方に向かって押さえつけることで、フィルタ部材70の上下方向への移動を規制する方式であっても良い。
【0076】
なお、図面は上記の説明と併せて参照したときに分かりやすくなるように描いてあり、そのため必ずしも一定の縮尺や正確な角度によって表されたものではない。
【0077】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1…洗濯機、11…水槽、40…自動投入装置、60…タンク、611…吐出部、614…背壁部、615…底部、616…開口部、70…フィルタ部材、71…上面部、72…側面部、74…透過部、75…リブ、76…取っ手部、81…第1規制部、82…第2規制部、開口部側の領域…A1、吐出部側の領域…A2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9