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特許7561538外科用アクセスアセンブリ用のセンタリング機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】外科用アクセスアセンブリ用のセンタリング機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A61B17/34
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020132848
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2021041147
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】16/564,534
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ニコレット ラピエール
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ バリル
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ディニーノ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ソーミャ バナジー
(72)【発明者】
【氏名】ロイ ピレティア
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-535712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0105076(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0031958(US,A1)
【文献】特開2019-037770(JP,A)
【文献】特表2017-508534(JP,A)
【文献】特開2001-128985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスアセンブリであって、前記アクセスアセンブリは、
空洞を画定する器具バルブハウジングと、
前記器具バルブハウジングの前記空洞内に配置されているバルブアセンブリ
を含み
前記バルブアセンブリは、
前記器具バルブハウジングの第1の表面および第2の表面にシール関係で調節可能に係合するように構成されている弓状部分を含むフランジシール部材と、
前記アクセスアセンブリに挿入された外科用器具にシール関係で係合するように構成されているシールアセンブリと、
前記バルブアセンブリを前記器具バルブハウジングの前記空洞内のほぼ中央の位置に向けて付勢するように構成されているセンタリング機構であって、前記センタリング機構は、複数のコイルを含み、前記複数のコイルは、円形構成で配列され、かつ中央開口を画定し、前記複数のコイルは、前記シールアセンブリで動作可能に固定されている内側コイル部分と、前記器具バルブハウジングの前記第1の表面に係合するように構成されている外側コイル部分とを含む、センタリング機構と、
前記センタリング機構および前記フランジシール部材および前記シールアセンブリを単一の構築物として結合するように構成されているリテーナフレームアセンブリであって、前記リテーナフレームアセンブリは、第1の部材および第2の部材を含み、前記センタリング機構の前記内側コイル部分は、前記シールアセンブリと前記リテーナフレームアセンブリの前記第2の部材との間に配置されている、リテーナフレームアセンブリ
を含む、アクセスアセンブリ。
【請求項2】
前記センタリング機構は、実質的に平坦なプロファイルを有する、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項3】
前記センタリング機構は、第1の状態第2の状態との間で前記センタリング機構を遷移させる弾性材料で形成されており、前記第1の状態では、前記センタリング機構の前記中央開口がほぼ中央の位置に配置されており、前記第2の状態では、前記中央開口が前記ほぼ中央の位置から半径方向に変位されている、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項4】
前記センタリング機構が前記第2の状態にあるとき、前記センタリング機構の一部が圧縮可能である、請求項3に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項5】
前記センタリング機構の前記複数のコイルの各コイルは、円形プロファイルを有する、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項6】
前記複数のコイルの各コイルは、前記器具バルブハウジングの前記第1の表面と前記リテーナフレームアセンブリの前記第1の部材の一対の隣接するピンによって画定されたギャップとの間に延びている、請求項5に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項7】
隣接する内側コイル部分は、それらの間にギャップを画定する、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項8】
前記リテーナフレームアセンブリの前記第1の部材は、複数のピンを含み、前記リテーナフレームアセンブリの前記第2の部材は、前記複数のピンを受け入れるように構成されている環状溝を画定する、請求項7に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項9】
各内側コイル部分の少なくとも一部が隣接するピンの間に固定されるように、前記第1の部材の前記複数のピンの各ピンは、前記隣接する内側コイル部分の間に画定された前記ギャップ内に少なくとも部分的に配置されている、請求項8に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項10】
前記センタリング機構の前記外側コイル部分は、前記リテーナフレームアセンブリの前記第2の部材の半径方向外側に配置されている、請求項8に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項11】
前記シールアセンブリは、前記シールアセンブリの中央開口の周りに周状に配置されている複数の放射状凸部を含み、前記複数の放射状凸部の各放射状凸部は、前記センタリング機構の対応する内側コイル部分を支持するように構成されている、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項12】
前記バルブアセンブリは、前記フランジシール部材で固定されるように構成されているガードアセンブリをさらに含み、前記ガードアセンブリは、前記外科用器具の挿入および操作中に前記シールアセンブリを保護するように構成されている、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項13】
前記フランジシール部材は、対向する第1の表面および第2の表面を含み、前記ガードアセンブリは、前記フランジシール部材の前記第1の表面上に重ね合わされた関係で配置されており、前記シールアセンブリは、前記フランジシール部材の前記第2の表面で取り外し可能に固定されている、請求項12に記載のアクセスアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低侵襲手術のための外科用アクセスアセンブリに関する。より具体的には、本開示は、外科用アクセスアセンブリと共に使用するためのセンタリング機構に関する。
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術を容易にするために、作業空間が、所望の外科用空間において作成されなければならない。注入ガス、典型的には、COが、患者の腹部に導入されて、気腹と呼ばれる膨張状態を生成する。外科用アクセスアセンブリは、外科用器具および内視鏡(または他の視覚化ツール)の導入を可能にするために利用される。これらの外科用アクセスアセンブリは、それらが1つ以上のシールを有するために、気腹の圧力を維持する。典型的に、外科用アクセスアセンブリにおける「ゼロシール」は、外科用アクセスアセンブリ内に外科用器具がない際に外科用アクセスアセンブリをシールし、器具シールは、外科用アクセスアセンブリを通して挿入される外科用器具の周囲をシールする。
【0003】
外科的処置には、シールの完全性を損なうことなく、外科用アクセスアセンブリを通って延びる外科用器具の操作に適応できる堅牢なシールが必要である。したがって、シールの性能および耐久性が向上した外科用アクセスアセンブリを有することは有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態により、アクセスアセンブリは、空洞を画定する器具バルブハウジング、および器具バルブハウジングの空洞内に配設されたバルブアセンブリを含む。バルブアセンブリは、フランジシール部材、シールアセンブリ、センタリング機構、およびリテーナフレームアセンブリを含む。フランジシール部材は、器具バルブハウジングの第1および第2の表面にシール関係で調節可能に係合するように構成された弓状部分を含む。シールアセンブリは、アクセスアセンブリに挿入された外科用器具にシール関係で係合するように構成されている。センタリング機構は、バルブアセンブリを器具バルブハウジングの空洞内のほぼ中央の位置に向けて付勢するように構成されている。センタリング機構は、円形形状で配置された複数のコイルを含み、中央開口を画定する。複数のコイルは、シールアセンブリで動作可能に固定された内側コイル部分と、器具バルブハウジングの第1の表面に係合するように構成された外側コイル部分とを含む。リテーナフレームアセンブリは、センタリング機構、フランジシール部材、およびシールアセンブリを単一の構築物として結合するように構成されている。リテーナフレームアセンブリは第1および第2の部材を含む。センタリング機構の内側コイル部分は、シールアセンブリとリテーナフレームアセンブリの第2の部材との間に配設される。
【0005】
一実施形態では、センタリング機構は、実質的に平坦なプロファイルを有してもよい。
【0006】
別の実施形態では、センタリング機構は、センタリング機構の中央開口がほぼ中央の位置に配設されている第1の状態と、中央開口がほぼ中央の位置から半径方向に変位されている第2の状態との間でセンタリング機構を遷移させる弾性材料で形成されてもよい。
【0007】
さらに別の実施形態では、センタリング機構が第2の状態にあるときに、センタリング機構の一部が圧縮可能であってもよい。
【0008】
一実施形態では、センタリング機構の複数のコイルの各コイルは円形プロファイルを有してもよい。
【0009】
別の実施形態では、各コイルは、器具バルブハウジングの第1の表面と、リテーナフレームアセンブリの第1の部材の一対の隣接するピンによって画定されるギャップとの間に延びてもよい。
【0010】
さらに別の実施形態では、隣接する内側コイル部分は、それらの間のギャップを画定してもよい。
【0011】
一実施形態では、リテーナフレームアセンブリの第1の部材は複数のピンを含んでもよく、リテーナフレームアセンブリの第2の部材は、複数のピンを受け入れるように構成された環状溝を画定してもよい。
【0012】
別の実施形態では、第1の部材の複数のピンの各ピンは、各内側コイル部分の少なくとも一部が隣接するピン間に固定されるように、隣接する内側コイル部分間に画定されたギャップ内に少なくとも部分的に配設されてもよい。
【0013】
一実施形態では、センタリング機構の外側コイル部分は、リテーナフレームアセンブリの第2の部材の半径方向外側にあってもよい。
【0014】
別の実施形態では、シールアセンブリは、シールアセンブリの中央開口の周りに周状に配置された複数の放射状凸部を含んでもよい。複数の放射状凸部の各放射状凸部は、センタリング機構の対応する内側コイル部分を支持するように構成されてもよい。
【0015】
さらに別の実施形態では、バルブアセンブリは、フランジシール部材で固定されるように構成されたガードアセンブリをさらに含んでもよい。ガードアセンブリは、外科用器具の挿入および操作中にシールアセンブリを保護するように構成されてもよい。
【0016】
さらに別の実施形態では、フランジシール部材は、対向する第1および第2の表面を含んでもよい。ガードアセンブリは、重ね合わされた関係でフランジシール部材の第1の表面上に配設されてもよく、シールアセンブリは、フランジシール部材の第2の表面で取り外し可能に固定されてもよい。
【0017】
本開示の別の実施形態により、アクセスアセンブリは、空洞を画定する器具バルブハウジング、および器具バルブハウジングの空洞内に配設されたバルブアセンブリを含む。バルブアセンブリは、フランジシール部材、シールアセンブリ、およびセンタリング機構を含む。フランジシール部材は、器具バルブハウジングの側面および遠位表面にシール関係で調節可能に係合するように構成された弓状部分を含む。シールアセンブリは、アクセスアセンブリに挿入された外科用器具にシール関係で係合するように構成されている。センタリング機構は、バルブアセンブリを器具バルブハウジングの空洞内のほぼ中央の位置に向けて付勢するように構成されている。センタリング機構は、トロイダル形状を有するメッシュを含む。メッシュは、器具バルブハウジングの側面とフランジシール部材の一部との間に挿入されるように構成されている。
【0018】
一実施形態では、メッシュは、フランジシール部材の弓状部分の遠位に配設されてもよい。
【0019】
別の実施形態では、メッシュは、メッシュによって画定された中央開口がほぼ中央の位置にある第1の状態と、メッシュの中央開口が半径方向に変位される第2の状態との間で遷移可能であってもよい。
【0020】
一実施形態では、バルブアセンブリは、第1および第2の部材を含むリテーナフレームアセンブリを含んでもよい。リテーナフレームアセンブリは、フランジ機構、フランジシール部材、およびシールアセンブリを単一の構築物として結合するように構成されてもよい。
【0021】
別の実施形態では、メッシュの中央開口は、シールアセンブリによって画定された中央開口と同心状に配設されてもよい。
【0022】
一実施形態では、フランジシール部材の弓状部分の一部は、メッシュと重ね合わされた関係にあってもよい。
【0023】
別の実施形態では、メッシュは、メッシュの少なくとも一部が圧縮されたときにフランジシール部材の弓状部分の一部が器具バルブハウジングの側面に係合するように、半径方向に圧縮可能であってもよい。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
アクセスアセンブリであって、
空洞を画定する器具バルブハウジングと、
上記器具バルブハウジングの上記空洞内に配設されたバルブアセンブリと、を含み、上記バルブアセンブリが、
上記器具バルブハウジングの第1および第2の表面にシール関係で調節可能に係合するように構成された弓状部分を含むフランジシール部材と、
上記アクセスアセンブリに挿入された外科用器具にシール関係で係合するように構成されたシールアセンブリと、
上記バルブアセンブリを上記器具バルブハウジングの上記空洞内のほぼ中央の位置に向けて付勢するように構成されたセンタリング機構であって、上記センタリング機構が、円形構成で配置され、かつ中央開口を画定する複数のコイルを含み、上記複数のコイルが上記シールアセンブリで動作可能に固定された内側コイル部分と、上記器具バルブハウジングの上記第1の表面に係合するように構成されている外側コイル部分とを含む、センタリング機構と、
上記センタリング機構、上記フランジシール部材、および上記シールアセンブリを単一の構築物として結合するように構成されたリテーナフレームアセンブリであって、上記リテーナフレームアセンブリが第1および第2の部材を含み、上記センタリング機構の上記内側コイル部分がシールアセンブリと上記リテーナフレームアセンブリの上記第2の部材との間に配設されている、リテーナフレームアセンブリと、を含む、アクセスアセンブリ。
(項目2)
上記センタリング機構が実質的に平坦なプロファイルを有する、上記項目に記載のアクセスアセンブリ。
(項目3)
上記センタリング機構が、上記センタリング機構の上記中央開口がほぼ中央の位置に配設された第1の状態と、上記中央開口が上記ほぼ中央の位置から半径方向に変位された第2の状態との間で上記センタリング機構を遷移させる弾性材料で形成されている、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目4)
上記センタリング機構が上記第2の状態にあるとき、上記センタリング機構の一部が圧縮可能である、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目5)
上記センタリング機構の上記複数のコイルの各コイルが円形プロファイルを有する、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目6)
上記複数のコイルの各コイルが、上記器具バルブハウジングの上記第1の表面と上記リテーナフレームアセンブリの上記第1の部材の一対の隣接するピンによって画定されたギャップとの間に延びている、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目7)
隣接する内側コイル部分がそれらの間にギャップを画定する、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目8)
上記リテーナフレームアセンブリの上記第1の部材が複数のピンを含み、上記リテーナフレームアセンブリの上記第2の部材が、上記複数のピンを受け入れるように構成された環状溝を画定する、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目9)
各内側コイル部分の少なくとも一部が隣接するピンの間に固定されるように、上記第1の部材の上記複数のピンの各ピンが、上記隣接する内側コイル部分の間に画定された上記ギャップ内に少なくとも部分的に配設される、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目10)
上記センタリング機構の上記外側コイル部分が、上記リテーナフレームアセンブリの上記第2の部材の半径方向外側に配設される、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目11)
上記シールアセンブリが、上記シールアセンブリの中央開口の周りに周状に配置された複数の放射状凸部を含み、上記複数の放射状凸部の各放射状凸部が、上記センタリング機構の対応する内側コイル部分を支持するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目12)
上記バルブアセンブリが、上記フランジシール部材で固定されるように構成されたガードアセンブリをさらに含み、上記ガードアセンブリが、上記外科用器具の挿入および操作中に上記シールアセンブリを保護するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目13)
上記フランジシール部材が、対向する第1および第2の表面を含み、上記ガードアセンブリが、上記フランジシール部材の上記第1の表面上に重ね合わされた関係で配設され、上記シールアセンブリが、上記フランジシール部材の上記第2の表面で取り外し可能に固定される、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目14)
アクセスアセンブリであって、
空洞を画定する器具バルブハウジングと、
上記器具バルブハウジングの上記空洞内に配設されたバルブアセンブリと、を含み、上記バルブアセンブリが、
上記器具バルブハウジングの側面および遠位表面にシール関係で調節可能に係合するように構成された弓状部分を含むフランジシール部材と、
上記アクセスアセンブリに挿入された外科用器具にシール関係で係合するように構成されたシールアセンブリと、
上記バルブアセンブリを上記器具バルブハウジングの上記空洞内のほぼ中央の位置に向けて付勢するように構成されたセンタリング機構であって、上記センタリング機構が、トロイダル形状を有するメッシュを含み、上記メッシュが、上記器具バルブハウジングの上記側面と上記フランジシール部材の一部との間に介在されるように構成されている、センタリング機構と、を含む、アクセスアセンブリ。
(項目15)
上記メッシュが、上記フランジシール部材の上記弓状部分の遠位に配設されている、上記項目に記載のアクセスアセンブリ。
(項目16)
上記メッシュが、上記メッシュによって画定された中央開口がほぼ中央の位置にある第1の状態と、上記メッシュの上記中央開口が半径方向に変位された第2の状態との間で遷移可能である、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目17)
上記バルブアセンブリが、第1および第2の部材を含むリテーナフレームアセンブリを含み、上記リテーナフレームアセンブリが、上記フランジ機構、上記フランジシール部材、および上記シールアセンブリを単一の構築物として結合するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目18)
上記メッシュの上記中央開口が、上記シールアセンブリによって画定された中央開口で同心状に配設されている、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目19)
上記フランジシール部材の上記弓状部分の一部が、上記メッシュと重ね合わされた関係にある、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(項目20)
上記メッシュの少なくとも一部が圧縮されたとき、上記フランジシール部材の上記弓状部分の一部が上記器具バルブハウジングの上記側面に係合するように、上記メッシュが半径方向に圧縮可能である、上記項目のいずれか一項に記載のアクセスアセンブリ。
(摘要)
アクセスアセンブリは、空洞を画定する器具バルブハウジングと、バルブアセンブリとを含む。バルブアセンブリは、フランジシール部材、シールアセンブリ、センタリング機構、およびリテーナフレームアセンブリを含む。フランジシール部材は、器具バルブハウジングの第1および第2の表面にシール関係で調節可能に係合するように構成された弓状部分を含む。センタリング機構は、空洞内のほぼ中央の位置に向けてバルブアセンブリを付勢するように構成されている。センタリング機構は、シールアセンブリで動作可能に固定された内側コイル部分と、器具バルブハウジングの第1の表面に係合するように構成された外側コイル部分とを含む、複数のコイルを含む。リテーナフレームアセンブリは第1および第2の部材を含む。センタリング機構の内側コイル部分は、シールアセンブリとリテーナフレームアセンブリの第2の部材との間に配設されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を例証し、上述した開示の一般的な説明、および下記の実施形態の詳細な説明と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
図1】本開示の一実施形態による、外科用アクセスアセンブリの斜視図である。
図2図1の外科用アクセスアセンブリの器具バルブハウジングの斜視図である。
図3図2の器具バルブハウジングの底面斜視図である。
図4】本開示の一実施形態による、図2の器具バルブハウジングのバルブアセンブリの上面斜視図である。
図5図4のバルブアセンブリの底面斜視図である。
図6】部品が分離された図4のバルブアセンブリの分解斜視図である。
図7】ほぼ中央の位置にあるバルブアセンブリを示す、図1の切断線7-7に沿って取られた外科用アクセスアセンブリの断面図である。
図8】半径方向に変位された位置にあるバルブアセンブリを示す、図1の切断線7-7に沿って取られた外科用アクセスアセンブリの断面図である。
図9】本開示の別の実施形態による外科用アクセスアセンブリの部分斜視図である。
図10図9のバルブアセンブリの半径方向変位を示す、図9の外科用アクセスアセンブリの断面図である。
図11】本開示の別の実施形態による、図1の外科用アクセスアセンブリと共に使用するためのバルブアセンブリのセンタリング機構の斜視図である。
図12】ハウジングの一部が取り除かれた、図11のセンタリング機構を含む器具バルブハウジングの斜視図である。
図13図12の器具バルブハウジングのバルブアセンブリの斜視図である。
図14図12のバルブハウジングの断面図である。
図15】バルブハウジングの半径方向変位を示す、図14のバルブハウジングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照して以下に記載されている。しかしながら、開示されている実施態様は、特定の開示の単なる例示に過ぎず、様々な形態で具現化され得ることが理解されるべきである。周知の機能または構造体は、不必要な詳細で本開示を曖昧にすることを避けるために、詳細には記載されない。したがって、本明細書で開示されている構造的および機能的な詳細は、限定的であると解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、かつ当業者に教示して本開示を実質的に任意の適切に詳細な構造において様々に用いるための代表的な基礎として解釈されるべきである。同様の参照番号は、図面の記載を通して類似または同一の要素を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、ユーザからより遠い、器具またはその構成要素の部分を指し、「近位」という用語は、ユーザにより近い、器具またはその構成要素の部分を指す。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、数値が概算であり、小さな変動が開示された実施形態の実施に著しく影響を及ぼさないことを意味する。
【0027】
ここでまず図1図3を参照すると、本開示の態様による外科用アクセスアセンブリは、概してカニューレアセンブリ100として示されている。カニューレアセンブリ100は、低侵襲手術中、例えば、腹腔鏡手術中に利用され、腹腔などの吹送された体腔への外科用器具のシールされたアクセスを提供する。カニューレアセンブリ100は、カニューレ102、およびカニューレ102に取り外し可能に固定された器具バルブハウジング110を含む。器具バルブハウジング110は、外科用器具10を受け入れるための長手方向通路111を画定する。さらに、器具バルブハウジング110は、その中にバルブアセンブリ120を調節可能に支持するように構成された空洞115を画定する。バルブアセンブリ120は、器具バルブハウジング110内に支持されて、カニューレアセンブリ100を通る外科用器具10のシールされた通過を提供する。実施形態では、器具バルブハウジング110は、例えば、ローレット、くぼみ、タブを含んでもよいか、そうでなければ、臨床医による係合を容易にするように構成されてもよい。
【0028】
カニューレアセンブリ100は、器具バルブハウジング110およびカニューレ102を通して挿入された栓子(図示せず)と共に使用するように構成されてもよい。栓子は、鈍い遠位端、またはブレード付きまたはブレードなしの貫通遠位端を有してもよい。栓子は、カニューレアセンブリ100が腹部に導入され得るように、腹壁を切開するために使用されてもよい。栓子のハンドルは、カニューレアセンブリ100の器具バルブハウジング110に係合しても、または選択的にロックしてもよい。例示的な栓子およびカニューレの構造および機能の詳細な説明については、共同で所有する国際特許公開第WO2016/186905号(「’905公開」)を参照することができ、この開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
さらに、カニューレアセンブリ100はまた、患者との固定のための特徴を含み得る。例えば、カニューレ102の遠位端は、内側から腹部と係合するバルーンアンカーまたは別の拡張可能部材を支持してもよい。腹壁の反対側の機能は、接着タブまたは調整可能なフォームカラーなどのカニューレアセンブリ100をさらに安定させるために使用されてもよい。カニューレアセンブリにおけるそのような特徴の詳細な説明については、共同で所有する米国特許第7,300,448号(「’448特許」)を参照することができ、この開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
ここで図4図6を参照すると、本開示の一実施形態によるバルブアセンブリ120は、フランジシール部材130、ガードアセンブリ140、シールアセンブリ150、センタリング機構160、およびリテーナフレームアセンブリ 180を含む。フランジシール部材130は、フランジシール部材130がその中にガードアセンブリ140を受け入れるように構成された凹部135を画定するように、環状ベース132、および環状ベース132から延びるフランジ部分138を含む。環状ベース132は、それを通って外科用器具10を受け入れるように構成された中央開口132a、および中央開口132aの周りに円周方向に画定された複数のボア132bを画定する。複数のボア132bは、以下で説明するように、リテーナフレームアセンブリ180の第1の部材181のそれぞれのピン182を受け入れるように構成されている。
【0031】
特に、フランジシール部材130のフランジ部分138は、半径方向外側に延びる弓状部分134を含む。弓状部分134は、それらの間にギャップ(図示せず)を画定する内側セグメント134aおよび外側セグメント134bを含む。そのような構成では、弓状部分134は、器具バルブハウジング110の、例えば、遠位表面(図示せず)などの第1の表面をシール関係で調節可能に係合し、長手方向通路111(図2)内の外科用器具10の挿入および移動中にそのような接触を維持するように構成されている。例えば、器具バルブハウジング110の遠位表面は、器具バルブハウジング110の長手方向通路111によって画定される長手方向軸「L-L」(図2)と直交してもよい。従来のベースシール部材は、その移動中に座屈または屈曲を被る可能性があり、その結果、外科用器具10および/または器具バルブハウジングとのシール接触が失われる可能性がある。対照的に、フランジシール部材130は、空洞115内でのバルブアセンブリ120の移動中に、器具バルブハウジング110にシール関係で係合する。特に、フランジシール部材130の弓状部分134は、器具バルブハウジング110の遠位表面に調節可能に係合して、例えば、空洞115内での半径方向の移動中に、シール接触を可能にする。
【0032】
さらに、フランジシール部材130の弓状部分134は、シールアセンブリ120の偏心移動中にシール関係で器具バルブハウジング110の、例えば、側面110a(図3)などの第2の表面に調節可能に係合するように構成されている。側面110aは、器具バルブハウジング110の長手方向通路111(図2)によって画定される長手方向軸「L-L」(図2)と実質的に平行であってもよい。そのような構成では、弓状部分134は、互いに実質的に直交する2つの表面をシールして係合してもよい。特に、フランジシール部材130の弓状部分134の内側セグメント134aと外側セグメント134bとの間に画定されたギャップは、弓状部分134が、バルブアセンブリ120の移動中にシール関係で器具バルブハウジング110の側面110aおよび遠位表面(図示せず)と調節可能に係合することを可能にする。具体的には、センタリング機構160の一部が器具バルブハウジング110の側面110aに対して圧縮されるとき、フランジシール部材130の弓状部分134の外側セグメント134bは、器具バルブハウジング110とのシール接触を維持するために半径方向内側に撓むことができる。そのような構成では、フランジシール部材130は、複数の位置で器具バルブアセンブリ110と係合し、器具バルブアセンブリ110とのシール関係を強化することができる。このようにして、フランジシール部材130は、以下で説明するように、センタリング機構160が半径方向に偏心しているとき、器具バルブハウジング110の少なくとも2つの表面とシール関係で係合するように構成されている。
【0033】
特に図6を参照すると、ガードアセンブリ140は、環状ベース132と重ね合わされた関係で、フランジシール部材130に画定された凹部135内に配設されるように構成されている。ガードアセンブリ140は、シールアセンブリ150内への外科用器具10の挿入中およびシールアセンブリ150からの外科用器具10の引き抜き中に、シールアセンブリ150を保護するように構成されている。ガードアセンブリ140は、環状部材142と、隣接する花弁144が少なくとも部分的に重なり合ってそれらの間のスライド移動を可能にするように環状部材142上で円周方向に支持される複数の花弁144と、を含む。複数の花弁144は、中央開口146を画定する。花弁144はまた、シールアセンブリ150を通して外科用器具10を案内する、および方向付けるように動作する。中央開口146は、それを通して外科用器具10を受け入れるように構成されている。環状部材142は、以下で説明するように、円周方向に配置されたボア142aを画定し、各花弁144の周辺部分は、環状部材142のそれぞれのボア142aと整列するボア(図示せず)を画定して、リテーナフレームアセンブリ180の第1の部材のそれぞれのピン182を受け入れる。
【0034】
ガードアセンブリ140は、花弁144を形成するツールで打ち抜くことにより、例えば、プラスチック/ポリマー材料のシートから形成され得る。花弁144は、外科用器具10との係合時に、遠位に(すなわち、リテーナフレームアセンブリ180の第1の部材181から離れるように)屈曲して、シールアセンブリ150を通る外科用器具10の通過を容易にし、これにより、次々に、シールアセンブリ150を伸ばして、シールアセンブリ150の中央開口151のサイズを大きくするように構成されている。シールアセンブリ150の中央開口151のサイズが大きくなると、バルブアセンブリ120を通して外科用器具10(図7)を受け入れることができる。
【0035】
ガードアセンブリ140は、任意の数の花弁144を含んでもよく、花弁144は、任意のサイズまたは構成のフラップ部分を含んでもよいことが想定される。ガードアセンブリの詳細な説明については、例示的なガードアセンブリについて、米国特許第5,895,377号および同第6,569,120号、ならびに国際特許公開第WO91/12838号を参照することができ、これらの開示の全体が参照により全て本明細書に組み込まれる。
【0036】
図6を引き続き参照すると、バルブアセンブリ120のシールアセンブリ150は、器具バルブハウジング110を通過する外科用器具10の外側表面の周囲にシールを提供するように構成されている。シールアセンブリ150は、中央開口151を画定する実質的な円周方向の内側表面を有するシールを形成するために積み重ね可能な複数のシールセグメント152を含み、シールアセンブリ150を通る外科用器具10のシールされた通過を容易にする。実施形態では、中央開口151は、直径が約0.025インチ~約0.100インチであってもよい。
【0037】
シールアセンブリ150は、例えば、実質的に平面の六角形部材を画定してもよい。六角形の形状は、シールアセンブリ150の組み立てを容易にして、互いに対する関係でシールセグメント152の迅速な配置を可能にして、および/またはシールアセンブリ150の迅速な目視検査を可能にして、シールセグメント152が適切に組み立てられることを確実にする。単一のシール部材を通る連続した中実開口を有することに代えて、複数のシールセグメント152から中央開口151を形成すること、すなわち、実質的な円周方向の内側表面を形成することにより、それを通る外科用器具10の挿入、取り外しおよび/または使用中のシールアセンブリ150の引き裂きの可能性が大幅に削減される。シールアセンブリ150のシールセグメント152は、弾性材料、例えば、ゴム、ポリイソプレン、またはシリコーンエラストマーで形成されてもよい。一実施形態では、シールアセンブリ150は液体シリコンゴム(LSR)で形成される。実施形態では、シールセグメント152は1つ以上の布地層を含んでもよい。シールアセンブリ150の各シールセグメント152は、実質的に翼形状であり、シールアセンブリ150が組み立てられたまたは積み重ねられた構成にあるとき、隣接するシールセグメント152と部分的に重なり合うように構成されてもよい。各シールセグメント152は、ベース部分152a、およびベース部分152aから延びるシール部分152bを含む。ベース部分152aおよびシール部分152bは、同じまたは異なる材料で形成されてもよい。シールセグメント152のベース部分152aは、複数の開口153を画定して、積み重ね構成でのシールアセンブリ150の組み立ておよび保持を容易にする。より具体的には、複数の開口153は、互いに対してシールセグメント152を固定するため、リテーナフレームアセンブリ180の第1の部材のピン182を受け入れるように構成されている。特に、シールアセンブリ150の各シールセグメント152のシール部分152bは、半径方向内側に先細りであり、シールアセンブリ150を通る外科用器具10の受け入れを容易にし得、および/または外科用器具10の周りのシールを強化させ得る。
【0038】
組み立てられたまたは積み重ねられた構成では、シールアセンブリ150は、実質的に均一な厚さを有する実質的に平面の本体を含む。本開示の態様は、実質的に錐形状の本体を有するアクセスアセンブリと共に使用するために変更されてもよいことが想定される。シールアセンブリ150のシールセグメントのいずれか1つの位置ずれは、シールアセンブリ150の完全性を損なう可能性がある。シールアセンブリ150の構成は、シールアセンブリ150の目視検査を可能にして、シールアセンブリ150が適切に組み立てられているかどうかを判定する。
【0039】
図4図6を再び参照すると、本開示の一実施形態によるセンタリング機構160は、バルブアセンブリ120をほぼ中央の位置に向けて付勢する、すなわち、器具バルブハウジング110の空洞115内に同心状に位置決めされるように構成されている(図3)。センタリング機構160は、外科用器具10がバルブアセンブリ120を介して受け入れられ、臨床医によって操作されるとき、器具バルブハウジング110に対するバルブアセンブリ120の、例えば、半径方向の動きを可能にする。センタリング機構160は、外科用器具10が器具バルブハウジング110から引き抜かれる、または半径方向の移動が止まる場合に、バルブアセンブリ120をほぼ中央の位置に戻す。センタリング機構160は、器具バルブハウジング110の様々な点に係合して、センタリング機構160をほぼ中央の位置に付勢するように構成されている。
【0040】
臨床医が、例えば、肥満手術中に15mmのポートを介して5mmの外科用器具を操作するとき、動的漏れはよくあることである。このような動的漏れを低減および抑制するために、バルブアセンブリ120が器具バルブハウジング110の空洞115(図3)内で直径方向に変位されるとき、センタリング機構160は圧縮可能であり、センタリング機構160はまた、外科用器具10が器具バルブハウジング110から取り外されるときにセンタリング機構160がバルブアセンブリ120をほぼ中央の位置に戻すように、弾性である。このようにして、センタリング機構160は、長手方向通路111内での外科用器具10の操作中の動的漏れの発生を低減し得る。
【0041】
センタリング機構160は、複数のコイル162を有する実質的に平坦なプロファイルを有する。複数のコイル162は、中央開口166を画定する環状体164を含む。中央開口166は、それを通して外科用器具10を受け入れるように寸法決めされている。特に、中央開口166は、臨床医が最大の自由度を提供しながら外科用器具10を操作することを可能にするように寸法決めされている。複数のコイル162は、複数の内側コイル部分162aおよび外側コイル部分162bを画定する。特に図5を参照すると、隣接する内側コイル部分162aは、それらの間にギャップ162cを画定する。ギャップ162cは、リテーナフレームアセンブリ180の第1の部材181のピン182(図4)を少なくとも部分的に受け入れるように寸法決めされている。このようにして、各内側コイル部分162aは、リテーナフレームアセンブリ180の第1の部材181の隣接する一対のピン182によって支持される。外側コイル部分162bは、シールアセンブリ150から半径方向外側にあり、器具バルブハウジング110の側面110a(図3)と係合するように構成されている。隣接する一対のピン182は、対応する内側コイル部分162aの内側半径方向変位を抑制し、一方、外側コイル部分162bの半径方向圧縮を可能にする。このようにして、センタリング機構160は、圧縮性かつ弾性であり、偏心したバルブアセンブリ120を器具バルブハウジング110の空洞115(図3)内のほぼ中央の位置に向けて付勢する。そのような構成では、偏心位置にあるバルブアセンブリ120から外科用器具10が引き抜かれると、センタリング機構160はバルブアセンブリ120をほぼ中央の位置に戻す。センタリング機構は、全方向性で、ほぼ一定のセンタリング力がシールアセンブリに加えられるという利点を有する。この設計は、センタリング機構が常にその自然な状態でセンタリングされるために、常にまたはほぼ常にシールアセンブリを中央の位置に戻す機構を可能にする。センタリング機構は、外科的に許容される金属または適切なプラスチックからなり得る。それは、再使用可能なトロカールカニューレアセンブリで使用するために再殺菌され得る材料からなり得る。
【0042】
図6を再び簡単に参照すると、バルブアセンブリ120のリテーナフレーム部材180は、ガードアセンブリ140、フランジシール部材130、シールアセンブリ150、およびセンタリング機構160を、バルブアセンブリ120を形成する単一の構築物として一緒に結合するように構成されている。リテーナフレーム部材180は第1の部材181および第2の部材185を含む。第1の部材181は、第1の部材181の遠位表面から延びる複数のピン182を含む。第2の部材185は、第1の部材181の複数のピン182を受け入れるように構成された環状溝185aを画定して、第1の部材181をそこに固定する。例えば、ピン182は、環状溝189a内に摩擦により受け入れられてもよい。あるいは、ピン182は、第1および第2の部材181、185を一緒に固定するために、第2の部材185の環状溝185aに溶接、のり付け、接着剤付け、接合、または他の方法で固定されてもよい。
【0043】
第1の部材181の複数のピン182は、ガードアセンブリ140のそれぞれのボア142aおよびフランジシール部材130のボア132bを通って延びる。複数のピン182は、シールアセンブリ150の複数の開口153を通って、第2の部材185の環状溝185a内にさらに延びる。そのような構成では、ガードアセンブリ140は、フランジシール部材130の凹部135に受け入れられ、シールアセンブリ150は、フランジシール部材130とリテーナフレームアセンブリ180の第2の部材185との間に挿入される。
【0044】
特に図4および図5を再び参照すると、上述のように、第1の部材181の各ピン182は、センタリング機構160の一対の隣接する内側コイル部分162aによって画定されるギャップ162c内に少なくとも部分的に配設される。そのような構成では、各内側コイル部分162aは、一対の隣接するピン182によって支持される。さらに、複数のピン182は、第2の部材185の環状溝185a内に受け入れられる。このようにして、内側コイル部分162の一部は、シールアセンブリ150とリテーナフレームアセンブリ180の第2の部材185との間に固定される。シールアセンブリ150と第2の部材185との間の内側コイル部分162aの固定をさらに強化させるために、シールアセンブリ150は、中央開口151の周りに周状に配置された放射状凸部155を含み、センタリング機構160の内側コイル部分162aの部分を支持することができる。外側コイル部分162は、器具バルブハウジング110の側面110a(図3)と係合し、バルブアセンブリ120を器具バルブハウジング110の空洞115内のほぼ中央の位置に向けて付勢する。
【0045】
図6図8を参照すると、使用中に、バルブアセンブリ120は、最初に、外科用器具10がない際に、器具バルブハウジング110内のほぼ中央に位置決めされる。センタリング機構160の外側コイル部分162bは、器具バルブハウジング110の側面110aと係合する。このとき、フランジシール部材130の弓状部分134は、器具バルブハウジング110の遠位表面とシール関係で係合する。外科用器具10は、器具バルブハウジング110の長手方向通路111(図2)を通って器具バルブハウジング110に導入されるため、外科用器具10の遠位端は、それぞれの花弁144をシールアセンブリ150に向けて遠位に屈曲させるガードアセンブリ140の花弁144と係合する。そのような花弁144の屈曲は、シールアセンブリ150の中央開口151を開いて、外科用器具10の通過を適合させる。このように、ガードアセンブリ140は、外科用器具10がシールアセンブリ150を介して受け入れられかつそこから引き出されるため、シールアセンブリ150を引き裂きまたは他の損傷から保護する。
【0046】
外科用器具10に任意の半径方向の力が加えられずに、外科用器具10が長手方向通路111内に配設されるとき、バルブアセンブリ120は、図7に示すように、ほぼ中央の位置に配設されてもよい。しかしながら、バルブアセンブリ120は、外科的処置の間に空洞115内を移動する場合がある。臨床医は、バルブアセンブリ120が半径方向に変位されてもよいように外科用器具10を操作することができ、これにより、次々に、センタリング機構160の外側コイル部分162bの一部が圧縮される(図8)。このとき、フランジシール部材130の弓状部分134(図6)は、器具バルブハウジング110の側面110a(図3)および遠位表面とシール関係で係合することができる。外科用器具10が器具バルブハウジング110から引き抜かれると、センタリング機構160は、バルブアセンブリ120をほぼ中央の位置(図7)に戻し、一方、弓状部分134は、上部ハウジングセクション112の遠位表面112aとのシール関係を維持する。
【0047】
センタリング機構160は、異なる形状および構成を有するコイルを含んでもよいことが想定される。図9および図10を参照すると、センタリング機構260は、センタリング機構260の周りに円周状に配置された複数のコイル262を含み得る。特に、各コイル262は、単一の円形コイルが側面110aと一対の隣接するピン182によって画定されるギャップとの間に延びるように、円形プロファイルを有し得る。上述のように、各円形コイル262は、臨床医による外科用器具10の操作中に、例えば長方形形状に圧縮されてもよく、バルブアセンブリ120がほぼ中央の位置に戻るとき、円形に弾け戻ってもよい。
【0048】
ここで図11および図12を参照すると、本開示の別の実施形態によるセンタリング機構は、概してセンタリング機構360として示されている。センタリング機構360は、バルブアセンブリ120(図6)と共に使用するように構成されている。センタリング機構160、260と実質的に同一のセンタリング機構360の部分については、不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるために、本明細書では説明しない。センタリング機構360は、例えば、メッシュまたは複数のコイル362を含んで、トロイダル形状またはドーナツ形状を有してもよい。特に、センタリング機構360は、器具バルブハウジング110の空洞115内にあるように寸法決めされている。センタリング機構360は、フランジシール部材130の弓状部分134(図6)の遠位に配設される。さらに、センタリング機構360は、バルブアセンブリ320がほぼ中央の位置にあるときに、器具バルブハウジング110の側面110aと係合するように構成されている。そのような構成では、バルブアセンブリ320が半径方向に変位されると、センタリング機構360の一部は、バルブアセンブリ320を通って延びる外科用器具の操作中に圧縮される。このとき、フランジシール部材130の弓状部分134は、器具バルブハウジング110の側面110aとシール関係で係合することができる。図13を参照すると、センタリング機構360は、センタリング機構360が側面110aと第2の部材185との間に非圧縮状態で挿入されるように、すなわち、バルブアセンブリ320が通常は付勢された位置にまたはほぼ中央の位置にあるときに、リテーナフレームアセンブリ180の第2の部材185を受け入れるように寸法決めされた中央開口366を画定する。
【0049】
図14および図15を参照すると、センタリング機構360の部分は、器具バルブハウジング110の側壁110aに対して圧縮され、図15に示されるように、圧縮された部分と直径方向に対向するセンタリング機構360の部分は、側壁110aから取り外されるように、バルブアセンブリ320は、通常は付勢された位置またはほぼ中央の位置から半径方向に変位され得る。外科用器具に加えられる任意の半径方向の力がない場合、バルブアセンブリ320は、ほぼ中央の位置に戻る。センタリング機構360の使用は、センタリング機構160の使用と実質的に同一であり、したがって、本明細書に記載していない。
【0050】
本開示の様々な実施形態が本明細書に示され、かつ説明されたが、これらの実施形態が、例としてのみ提供されることは当業者にとって明らかであろう。多数の変形、変更、および置換が、ここで本開示から逸脱することなく、当業者に思い浮かぶであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲によってのみ限定されることが意図される。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15