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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】非常用外部電源変換ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/04 20060101AFI20240927BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240927BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H02J9/04
H02J7/34 G
H02J7/00 301
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020156711
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022050228
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】高井 邦治
(72)【発明者】
【氏名】小林 諒平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 秀正
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/152850(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0175023(US,A1)
【文献】国際公開第2012/111081(WO,A1)
【文献】特開2017-169305(JP,A)
【文献】特開昭57-151791(JP,A)
【文献】特開昭56-008005(JP,A)
【文献】特開2001-245443(JP,A)
【文献】特開平07-139276(JP,A)
【文献】特開2014-096927(JP,A)
【文献】特表2012-517796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/04
H02J 7/34
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子を有する外部電源としてのバッテリに接続され、前記バッテリから入力された電力を、商用電源と同じ電圧の電力へ変換する変換手段と、
その一端に、前記バッテリの前記接続端子につなぐためのコネクタ手段を有し、前記変換手段と前記バッテリとを接続する第1のケーブルと、
前記変換手段と前記商用電源の被供給設備とを接続する第2のケーブルと、
一端に、前記バッテリの前記接続端子と係合する形状のコネクタ手段を有し、他端に、前記第1のケーブルの前記コネクタ手段と係合する形状のコネクタ手段を有する第1のケーブルハーネス手段とを備え、
前記変換手段は、異なる入力電圧用の複数の一次側入力端子を有する変圧器と、前記変圧器の前記一次側入力端子への前記バッテリの接続を切り替える電圧切替回路と、前記バッテリの電圧に応じ、前記電圧切替回路を切り替えるための入力電圧切替スイッチとを有し、
前記バッテリの前記接続端子の形状と前記第1のケーブルの前記コネクタ手段の形状とが異なり、互いにはめ合わせることができないとき、前記バッテリの前記接続端子と前記第1のケーブルの前記コネクタ手段とを、前記第1のケーブルハーネス手段を介して接続して、
前記変換手段により変換した電力を前記被供給設備へ供給することを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記変換手段は、電動フォークリフトに搭載された前記外部電源としての車載バッテリに接続され、前記車載バッテリから入力された電力を、前記商用電源と同じ電圧の電力へ変換することを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記第2のケーブルは、その一端に、前記被供給設備に設けられたコネクタ手段に接続するためのコネクタ手段を有し、
一端に、前記第2のケーブルの前記コネクタ手段と係合する形状のコネクタ手段を有し、他端に、交流用又は直流用の汎用のコンセントを有する第2のケーブルハーネス手段を備えたことを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記第1のケーブル及び/又は前記第2のケーブルは、それらの他端が、予め、前記変換手段に接続されていることを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項5】
請求項1、2、3、又は4に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記変換手段、前記第1のケーブル、及び前記第2のケーブルを収容する携帯用ケースを備え、
前記携帯用ケースは、取り出し口を有するケース本体と、前記ケース本体の前記取り出し口を覆う蓋と、前記蓋を開放状態に保持するストッパー手段とを有し、前記ストッパー手段は、前記蓋を支持する支持部材と、前記支持部材を固定し、また前記支持部材の固定を解除する移動片とを有することを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項6】
請求項1、2、3、4、又は5に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記変換手段は、入力電圧の大きさを検出して表示する入力電圧検出手段と、出力電圧の大きさを検出して表示する出力電圧検出手段とを有することを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停電時など商用電源の供給が無い場合に、外部電源の電力を商用電源と同じ電圧の電力に変換して、電気機器などの被供給設備へ供給するのに好適な非常用外部電源変換ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、モータ等の電気機器などを用いた装置として、以下に開閉体装置を例にとって説明する。
シャッターカーテンなどのような開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部に設置され、その開閉体を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。この開閉体装置は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどの開閉体を、開口部の上部から繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖するように構成されている。このような開閉体装置は、開閉体の開閉動作を電動で行なう場合が多い。電動の開閉体装置としては、電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などがある。
【0003】
一般に電動の開閉体装置は、建物などの構造物の開閉用空間部を昇降開閉するための開閉体を、構造物の天井裏またはシャッターケースに配置された開閉機(モータ等)によって昇降駆動するようになっている。このような電動の開閉体装置では、例えば、停電時に所定の操作を行うことにより、開閉体自体が自重降下して全閉状態に保持されるように構成されているものがある。そこで、従来は、停電時において、全閉状態の開閉体を開放する際、例えば、開閉機の出力回転軸(回転軸)をその近傍に備え付けの手動操作用ハンドルで回転させるなど、手動により開閉体を巻き上げて開放するようにしていた。
【0004】
このような電動の開閉体装置の中には、火災による停電時でも、消防隊のホースを給水口(送水口)に連結し放水(送水)することによって、開閉体装置を電動にて動作させて開閉体を非常開放するように構成された非常電源装置を備えたものがある。非常電源装置は、バッテリからなる予備電源及びインバータ機器などの電子部品を搭載して構成されている。この非常電源装置には、開閉体装置の自動閉鎖装置、障害物感知装置、危害防止用連動中継器、起動ボタンを備えた操作スイッチ及び水圧スイッチなどの外部機器や外部電源線などが接続されている。このような非常電源装置を備えた開閉体装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。その他、商用電源の停電時に、発電機を使用して開閉機(モータ等)の制御装置へ電力を供給するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-79457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
商用電源の停電時などに手動操作用ハンドルを用いて操作を行う場合、作業者が脚立や作業台などに上って上部に設けられた点検口を開放しながら、開閉体の開閉操作を行う必要があり、操作が大変面倒であった。一方、特許文献1に記載のような非常電源装置を設ける場合、設備費用が増大し、かつ予備電源のバッテリ交換を定期的に行なう必要があった。あるいは、発電機を使用する場合も、設備費用が増大し、かつ発電機への燃料の補給やオイル交換などのメンテナンスが必要であった。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、設備費用やメンテナンス作業を大幅に増大させることなく、停電時など商用電源の供給が無い場合に、外部電源から電気機器などの被供給設備へ容易に電力を供給することができる非常用外部電源変換ユニットを、安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第1の特徴は、接続端子を有する外部電源としてのバッテリに接続され、バッテリから入力された電力を、商用電源と同じ電圧の電力へ変換する変換手段と、その一端に、バッテリの接続端子につなぐためのコネクタ手段を有し、変換手段とバッテリとを接続する第1のケーブルと、変換手段と商用電源の被供給設備とを接続する第2のケーブルと、一端に、バッテリの接続端子と係合するコネクタ手段を有し、他端に、第1のケーブルのコネクタ手段と係合するコネクタ手段を有する第1のケーブルハーネス手段とを備え、バッテリの接続端子と第1のケーブルのコネクタ手段とをはめ合わせることができないとき、バッテリの接続端子と第1のケーブルのコネクタ手段とを、第1のケーブルハーネス手段を介して接続して、変換手段により変換した電力を被供給設備へ供給することにある。
なお、本明細書において、「被供給設備」とは、通常時は商用電源が供給され、停電時など商用電源の供給が無い場合に外部電源に基づく電力が供給される、あるいは、通常時は商用電源などの電力が供給されず、非常時(随時)に外部電源に基づく電力が供給される、電気機器などの設備を言う。
【0009】
本発明は、非常用外部電源変換ユニットを、例えば、停電時などの非常時用の防災装置として提供するものであり、停電時などの非常時に外部電源から被供給設備へ容易に電力を供給することができる非常時用の防災装置が、安価に提供される。
そして、非常用外部電源変換ユニットが、変換手段、第1のケーブル、及び第2のケーブルを備えるので、バッテリ及び非常用外部電源変換ユニットを準備すると、必要な接続作業が直ちに可能となる。
ただし、変換手段とバッテリとを接続する第1のケーブルは、接続作業のために数メートル程度の長さが必要であり、バッテリの接続端子に複数の種類がある場合、従来は、バッテリの接続端子に合うコネクタ手段を有する長尺の第1のケーブルを、複数種類用意しておく必要があった。
そこで、一端に、バッテリの接続端子と係合するコネクタ手段を有し、他端に、第1のケーブルのコネクタ手段と係合するコネクタ手段を有する第1のケーブルハーネス手段を備えることにより、バッテリの接続端子と第1のケーブルのコネクタ手段とをはめ合わせることができないとき、バッテリの接続端子と第1のケーブルのコネクタ手段とを、第1のケーブルハーネス手段を介して接続することが可能となる。従って、第1のケーブルとしては、1種類のコネクタ手段を有するものを1本だけを用意すればよく、異なるコネクタ手段を有する複数の長尺の第1のケーブルを用意する必要がなくなって、安価かつ小型な構成となる。
【0010】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、変換手段が、電動フォークリフトに搭載された外部電源としての車載バッテリに接続され、車載バッテリから入力された電力を、商用電源と同じ電圧の電力へ変換することにある。
【0011】
例えば、開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部及びその近傍に設置されるので、フォークリフトや自動車などの車両が容易に近づくことができる。特に、工場、倉庫、車庫などの建物内では、電動フォークリフトが使用されていることが多く、電動フォークリフトを容易に準備することができる。電動フォークリフトには、バッテリが搭載されており、その車載バッテリを利用することにより、特許文献1に記載のような非常電源装置や発電機などを使用することなく、停電時などに車載バッテリから被供給設備へ容易に電力を供給することが可能となる。また、電動フォークリフトの車載バッテリの電圧は、自動車の車載バッテリの電圧と同等かそれ以上の大きさであるので、商用電源と同じ電圧の電力への変換が容易である。
【0012】
電動フォークリフトの車載バッテリには、接続端子として、コネクタが設けられている。電動フォークリフトの車載バッテリのコネクタには、サイズが大型及び小型の2種類あり、大型の電動フォークリフトの車載バッテリでは、主に大型のサイズのコネクタが使用され、小型の電動フォークリフトの車載バッテリでは、主に小型のサイズのコネクタが使用されている。大型のサイズのコネクタと小型のサイズのコネクタとは、互換性がなく、電動フォークリフトの車載バッテリを外部電源として利用する場合、従来は、各サイズのコネクタを有する複数の長尺の第1のケーブルを用意する必要があった。
【0013】
本発明では、電動フォークリフトの車載バッテリのコネクタのサイズと第1のケーブルのコネクタのサイズとが異なるとき、車載バッテリのコネクタと第1のケーブルのコネクタとを、第1のケーブルハーネス手段を介して接続する。従って、第1のケーブルとしては、大小いずれかのサイズのコネクタを有するものを1本だけ用意すればよく、各サイズのコネクタを有する複数の長尺の第1のケーブルを用意する必要がなくなって、安価かつ小型な構成となる。
【0014】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第3の特徴は、前記第1の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、第1のケーブルハーネス手段の、バッテリの接続端子と係合するコネクタ手段が、ブースタークリップであることである。
第1のケーブルハーネス手段のバッテリの接続端子と係合するコネクタ手段をブースタークリップとすることにより、接続端子としてコネクタ以外の端子(電極)を有するバッテリを使用することが可能となり、汎用性が増す。
【0015】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第4の特徴は、前記第3の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、変換手段が、自動車又は自動二輪車に搭載された外部電源としての車載バッテリ、あるいは車用エンジンスターターに接続され、車載バッテリあるいは車用エンジンスターターから入力された電力を、商用電源と同じ電圧の電力へ変換することにある。
なお、本明細書において、「車用エンジンスターター」とは、自動車、自動二輪車、トラック、重機などの車載バッテリの電力が低下したときに、車載バッテリに代わってエンジンをスタートさせるための携帯型の電力供給装置(いわゆる、「ジャンプスターター」)をいう。
自動車又は自動二輪車に搭載された車載バッテリ、あるいは車用エンジンスターターを利用することにより、特許文献1に記載のような非常電源装置や発電機などを使用することなく、停電時などに車載バッテリあるいは車用エンジンスターターから被供給設備へ容易に電力を供給することが可能となる。
【0016】
なお、車載バッテリは、電動フォークリフトや自動車などの車両から取り外す必要はなく、車載バッテリを搭載した車両を開閉体装置の近傍まで移動して来て、車載バッテリを車両に取り付けたまま、変換手段の接続作業を行えばよい。外部電源としての車載バッテリは、電動フォークリフトや自動車などに限らず、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部の周囲又は内部を走行可能な他の車両に搭載されているものも含む。
【0017】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第5の特徴は、前記第1、第2、第3、又は第4の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、第2のケーブルが、その一端に、被供給設備に設けられたコネクタ手段に接続するためのコネクタ手段を有し、一端に、第2のケーブルのコネクタ手段と係合するコネクタ手段を有し、他端に、交流用又は直流用の汎用のコンセントを有する第2のケーブルハーネス手段を備えたことにある。
【0018】
第1のケーブルが、その一端に、バッテリの接続端子につなぐためのコネクタ手段を有し、第2のケーブルが、その一端に、被供給設備に設けられたコネクタ手段に接続するためのコネクタ手段を有するので、変換手段のバッテリへの接続作業、及び変換手段の被供給設備への接続作業が容易になる。
そして、普段は、第2のケーブルのコネクタ手段を商用電源の被供給設備に設けられたコネクタ手段から取り外して、非常用外部電源変換ユニットを他の保管場所に保管することができ、商用電源の供給が無い場合に、保管場所から持ってきた非常用外部電源変換ユニットの第2のケーブルのコネクタ手段を商用電源の被供給設備のコネクタ手段に接続して、電気工事士の資格が必要な電気工事を施工することなく、必要な電力を変換手段から商用電源の被供給設備へ供給することが可能となる。
さらに、第2のケーブルハーネスの他端に、交流用又は直流用の汎用のコンセントを設けることにより、停電時などの商用電源がないときに、第2のケーブルハーネスを用いて、例えば照明装置、温度調節装置、ヒーター、冷蔵庫などの汎用のコンセントプラグを有する被供給設備へ電力を供給することができ、汎用性が増す。
【0019】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第6の特徴は、前記第5の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、第1のケーブル及び/又は第2のケーブルは、それらの他端が、予め、変換手段に接続されていることにある。
第1のケーブル及び/又は第2のケーブルの他端が、予め、変換手段に接続されているので、非常用外部電源変換ユニットを使用する際、改めて第1のケーブルや第2のケーブルを変換手段に接続する作業を行う必要がなく、必要最小限の作業を迅速に行うことができる。
【0020】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第7の特徴は、前記第1、第2、第3、第4、第5、又は第6の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、変換手段、第1のケーブル、及び第2のケーブルを収容する携帯用ケースを備え、携帯用ケースが、取り出し口を有するケース本体と、ケース本体の取り出し口を覆う蓋と、蓋を開放状態に保持するストッパー手段とを有し、ストッパー手段が、蓋を支持する支持部材と、支持部材を固定し、また支持部材の固定を解除する移動片とを有することにある。
第1のケーブル及び第2のケーブルを携帯用ケースのケース本体の取り出し口から取り出す際、携帯用ケースの蓋が開放状態に固定されていないと、誤って蓋が閉まり、手や第1のケーブル及び第2のケーブルをケース本体と蓋の間に挟む可能性がある。蓋を開放状態に保持するストッパー手段を設けることにより、手や第1のケーブル及び第2のケーブルをケース本体と蓋の間に挟む虞がなくなる。そして、ストッパー手段に、蓋を支持する支持部材と、支持部材を固定し、また支持部材の固定を解除する移動片とを設けることにより、ストッパー手段に指を挟むなどの虞なく、蓋の開放状態の保持を解除して蓋を閉めることができる。
【0021】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第8の特徴は、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、又は第7の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、変換手段が、入力電圧の大きさを検出して表示する入力電圧検出手段と、出力電圧の大きさを検出して表示する出力電圧検出手段とを有することにある。
変換手段の入力系統または出力系統において故障が発生した場合、故障個所の特定は難しく、テスターなどの測定機器を用いて入力ライン及び出力ラインの電圧の測定を行う作業は、災害や停電などの非常時には困難である。入力電圧検出手段を用いて、変換手段へ入力される電圧の大きさを検出して表示し、また、出力電圧検出手段を用いて、変換手段から出力される電圧の大きさを検出して表示するので、故障個所が特定し易くなり、メンテナンス上の利便性が向上する。
【0022】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第9の特徴は、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、又は第8の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、被供給設備が、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉機を駆動して、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源の供給が無い場合に外部電源に基づく電力を制御手段へ供給可能とする電源切替手段とを備えた開閉体装置の電源切替手段であって、非常用外部電源変換ユニットが、変換手段により変換した電力を電源切替手段へ供給することにある。
バッテリから開閉体装置の開閉機(モータ)へ容易に電力を供給することができる、開閉体装置用の非常用外部電源変換ユニットが提供される。
【0023】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第10の特徴は、前記第9の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、電源切替手段が、商用電源の供給がある時には、商用電源の電力を制御手段へ供給することにある。
商用電源の供給がある時には、商用電源を用いて動作される開閉体装置用の非常用外部電源変換ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の非常用外部電源変換ユニットによれば、設備費用やメンテナンス作業を大幅に増大させることなく、停電時など商用電源の供給が無い場合に、外部電源から被供給設備へ容易に電力を供給することができる非常用外部電源変換ユニットを、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】開閉体装置であるシャッター装置の概略構成の一例を示す図である。
図2図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。
図3】本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの外部電源変換装置の回路構成の一例を示す図である。
図4】直流・交流変換回路の構成の一例を示す図である。
図5】本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの一例を示す図である。
図6図6(a)は携帯用ケースの側面図、図6(b)は携帯用ケースの底面図である。
図7図7(a)は外部電源変換装置、直流用ケーブル、交流用ケーブル、及び第1のケーブルハーネスの外観図の一例、図7(b)はケーブル収納装置の外観図の一例である。
図8図8(a)は交流用ケーブルを巻き付けたケーブル収納装置の外観図、図8(b)はさらに直流用ケーブルを巻き付けたケーブル収納装置の外観図である。
図9】使用方法表示の一例を示す図である。
図10】本発明の一実施の形態による第1のケーブルハーネスの構成と使用例を説明する図である。
図11】本発明の他の実施の形態による第1のケーブルハーネスを示す図である。
図12】本発明の一実施の形態による第2のケーブルハーネスを示す図である。
図13】本発明の一実施の形態によるストッパー具を説明する図である。
図14】外部電源変換装置の入力電圧検出器及び出力電圧検出器の表示と、故障個所とを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に従って、本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、開閉手段として上下に開閉動作されるシャッターカーテンを備えたシャッター装置用の、非常用外部電源変換ユニットを例に説明する。図1は、開閉体装置であるシャッター装置の概略構成の一例を示す図である。図1において、開閉体装置10は、出入口の開口部を上下に開閉するシャッター装置である。
【0027】
開閉体装置10は、建物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース11、シャッターカーテン12、ガイドレール13,14、巻取シャフト15、チェーン16、モータ17、位置検出装置172、制御装置18、障害物感知器185、操作スイッチ19、及び電源切替装置20などを含んで構成される。この開閉体装置10は、通常時には、操作スイッチ19の操作に応じて、開閉機であるモータ17を駆動して開閉制御するようになっている。さらに、この開閉体装置10では、シャッターカーテン12が巻取シャフト15に巻き取られている開放状態を機械的な保持機構(図示せず)によって保持しており、この開放状態で外部から火災の発生などを示す非常信号BSなどが制御装置18に入力された場合には、その保持機構による開放状態の保持が解除されて、シャッターカーテン12は、その自重で自然降下して開口部を自動閉鎖する機能も備えている
【0028】
ガイドレール13,14は、シャッターカーテン12の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材又はこれと同等の部材で構成されている。シャッターカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。
【0029】
巻取シャフト15は、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン16は、モータ17の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト15の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ17の回転駆動力は、チェーン16を介して巻取シャフト15側に伝達され、モータ17が回転すると、チェーン16を介して巻取シャフト15が回転し、シャッターカーテン12の開閉動作が制御されるようになっている。
【0030】
モータ17には、その回転位置、すなわちシャッターカーテン12の開閉位置と開閉状態を検出するための位置検出装置172(図2参照)が設けられている。この位置検出装置172は、パルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成される。モータ17の回転に応じたパルス信号が制御装置18に出力されるので、モータ17の回転位置やシャッターカーテン12の閉鎖側先端部の開口部における位置などは、このパルスの発生状況に基づいて制御装置18が演算にて求めることになる。
【0031】
制御装置18は、マイクロコンピューター構成になっており、電源ラインACから電源切替装置20を介して電力が供給されている。制御装置18は、操作スイッチ19上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号やモータ17に設けられた位置検出装置172からの信号やプロテクタからの信号などに基づいて、モータ17の回転を制御したり、非常信号BSに基づいて保持機構を解除したりする。
【0032】
操作スイッチ19は、開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、上昇(開)ボタン19A、停止(停)ボタン19B、下降(閉)ボタン19Cをそれぞれ有し、これら各ボタンの操作状態に応じた制御信号を制御装置18に出力する。なお、図1では示していないが、制御装置18は無線型リモコン装置によっても操作可能となっている。
【0033】
非常信号BSは、火災発生などの非常時に外部の制御室などから供給される電圧24[V]の信号であり、制御装置18内の図示しない危害防止用連動中継器に入力される。なお、外部からの非常信号BSの入力と併せて、又は代わりに、シャッターケース11の内側であって、まぐさ部の開口部近傍、すなわちシャッターカーテン12が昇降する部分に温度感知器などを設けてもよい。この温度感知器としては、常時接点がオン状態にあり、接点が所定温度(摂氏100~300度の範囲の任意温度)に達した時点で接点を開きオフ状態となるB接点の自動復帰型の高温度用バイメタル式サーモスタットなどで構成され、接点が開いた場合には火災などが発生したことを示す信号を非常信号BSに相当する信号として出力するようにしてもよい。
【0034】
障害物感知器185は、送信機がシャッターカーテン12の下端部(座板)に設けられたもので、障害物感知時には、内蔵された座板スイッチの移動に対応した感知信号を制御装置18に送信し、また、その後の障害物の除去により座板スイッチの復帰移動時には、復帰信号を送信する構成となっている。障害物感知器185の送信機から制御装置18への信号の送信は、図のような有線方式に限らず、電池を電源として作動する無線方式のものでもよい。また、シャッターカーテン12の下端部に障害物の接触で移動する座板スイッチを設け、障害物接触時の座板の移動力でガイドレール13,14の高さ方向に沿って設けられたテープスイッチを押圧する構成や、テープスイッチから制御装置18に対し感知信号を有線出力する構成としてもよい。この他、開口部に光電管やLED等の投受光センサを設け、画像認識等により障害物を非接触で感知する構成としてもよい。
【0035】
図2は、図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。制御装置18は、電源切替装置20から供給された電力により、操作スイッチ19、障害物感知器185及び位置検出装置172からの各信号、並びに非常信号BSに基づいて、モータ17を制御する。なお、図2では、制御装置18以外への商用電源の接続関係については、その図示を省略してある。
【0036】
本例の電源切替装置20は、操作者が手動で切り替える手動スイッチであって、普段は、電源ラインAC側へ接続されており、電源ラインACから供給される商用電源の電力を制御装置18へ供給する。そして、商用電源の停電時は、操作者が手動で電源切替装置20を外部電源変換装置30側へ切り替え、電源切替装置20は、外部電源変換装置30から供給される電力を制御装置18へ供給する。電源切替装置20には、後述する非常用外部電源変換ユニットの外部電源変換装置30を接続するためのコネクタ20aが設けられている。
なお、電源切替装置20として、電源ラインACから供給される商用電源の電力を検出し、商用電源の停電時に外部電源変換装置30側へ自動的に切り替わる自動スイッチを使用してもよい。また、再度、外部電源から商用電源へ戻す際も、手動で切り替えを行い、あるいは自動的に切り替わるスイッチを設けてもよい。
【0037】
後述する非常用外部電源変換ユニットの外部電源変換装置30は、車載バッテリ40から入力される直流の電力を、商用電源と同じ電圧200[V]の三相交流の電力に変換して、電源切替装置20へ出力する。ここで、車載バッテリ40は、電動フォークリフトや自動車などの車両に搭載されたバッテリであり、通常、電動フォークリフトでは24又は48[V]、ガソリン車では12[V]、ディーゼル車では24[V]の電圧のバッテリが使用されている。なお、図1及び図2に示す例では、接続端子としてコネクタ40aを有する、電動フォークリフトの車載バッテリ40が図示されている。
【0038】
図1において、開閉体装置10は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部及びその近傍に設置されるので、フォークリフトや自動車などの車両が容易に近づくことができる。そして、電動フォークリフトや自動車などの車両には、バッテリが搭載されており、その車載バッテリ40を利用することにより、特許文献1に記載のような非常電源装置や発電機などを使用することなく、停電時に開閉体の開閉動作を容易に行うことが可能となる。
【0039】
車載バッテリ40は、電動フォークリフト又は自動車などの車両から取り外す必要はなく、車載バッテリ40を搭載した車両を開閉体装置10の近傍まで移動して来て、車載バッテリ40を車両に取り付けたまま、外部電源変換装置30との接続作業を行えばよい。外部電源としての車載バッテリ40は、電動フォークリフトや自動車に限らず、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部の周囲又は内部を走行可能な他の車両に搭載されているものも含む。
【0040】
なお、ガソリン車やディーゼル車の車載バッテリを利用する場合、開閉体装置10のシャッターカーテン12の開閉動作を行っている間は、エンジンをアイドリング状態に駆動させておくことにより、車載バッテリの過放電(いわゆる「バッテリ上がり」)が回避される。
【0041】
図3は、本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの外部電源変換装置の回路構成の一例を示す図である。本例は、車載バッテリ40の電圧(48、24又は12[V])に関わらず、共通の外部電源変換装置30を設け、車載バッテリ40の電圧に応じて手動切替を行うものである。外部電源変換装置30は、遮断器31、直流・交流変換回路32、入力電圧切替スイッチ33、入力電圧検出器34、及び出力電圧検出器35を含んで構成されている。車載バッテリ40の正極側端子は直流入力(+)として、また負極側端子は直流入力(-)として、遮断器31に接続される。遮断器31は、入力電圧を直流・交流変換回路32へ供給し、入力電流が所定の遮断値に達したとき、車載バッテリ40からの入力電流を遮断する。
【0042】
なお、図3の例では、遮断器31が外部電源変換装置30の入力側だけに設けられているが、外部電源変換装置30の出力側にも、遮断器を設けてもよい。遮断器31を外部電源変換装置30の入力側に設けることにより、車載バッテリ40からの入力電流が異常な大電流であっても、入力電流が遮断されて、不具合発生の虞が回避される。また、遮断器を外部電源変換装置30の出力側に設けることにより、外部電源変換装置30が故障しても、異常な大電流が電源切替装置20へ供給されてしまう虞が回避される。
【0043】
図4は、直流・交流変換回路の構成の一例を示す図である。直流・交流変換回路32は、スイッチング回路32a、電圧切替回路32b、変圧器32c、整流回路32d、インバータ回路32e、フィルタ回路32f、及びスイッチング制御・ドライバ回路32gを含んで構成されている。スイッチング回路32aは、スイッチング制御・ドライバ回路32gの制御に従って、変圧器32cの一次側入力端子へ供給される一次電流をオン/オフする。
【0044】
変圧器32cは、48、24又は12[V]の異なる入力電圧用の複数の一次側入力端子を有する。そして、スイッチング回路32aと変圧器32cとの間には、電圧切替回路32bが設けられている。電圧切替回路32bには、スイッチング制御・ドライバ回路32gを介して、入力電圧切替スイッチ33の作動状態が伝達される。電圧切替回路32bは、入力電圧切替スイッチ33の作動状態に応じて、遮断器31及びスイッチング回路32aを介した、変圧器32cの一次側入力端子への車載バッテリ40の接続を切り替える。電圧切替回路32bの切り替えにより、変圧器32cは、車載バッテリ40の電圧に応じて変圧比が変わり、48、24又は12[V]の一次側電圧を、200[V]の二次側電圧に変圧する。
【0045】
入力電圧切替スイッチ33は、車載バッテリ40の電圧に応じ、直流・交流変換回路32内の電圧切替回路32bを、操作者が手動で切り替えるための手動スイッチである。入力電圧切替スイッチ33の切り替えに応じて、遮断器31の遮断値、及び直流・交流変換回路32内のスイッチング制御・ドライバ回路32gのスイッチング制御動作も、48、24又は12[V]の各電圧用に切り替えられる。
【0046】
整流回路32dは、変圧器32cの二次電流を整流する。インバータ回路32eは、スイッチング制御・ドライバ回路32gの駆動に基づいて、整流回路32dが整流した変圧器32cの二次電流に対して、周波数変換を行う。フィルタ回路32fは、正弦波フィルタ及びノイズフィルタを含み、インバータ回路32eから出力された交流電流をフィルタリングして、三相交流出力として出力する。
【0047】
異なる入力電圧用の複数の一次側入力端子を有する変圧器32cと、変圧器32cの一次側入力端子への車載バッテリ40の接続を切り替える電圧切替回路32bとを設けることにより、電圧の異なる複数の車載バッテリのいずれかを使用することが可能となり、利便性が向上する。
【0048】
図3において、手動式の入力電圧切替スイッチ33の代わりに、車載バッテリ40の電圧値を検出して、自動で直流・交流変換回路32内の変圧器32cの一次側入力端子への接続切替を行う自動式の入力電圧切替装置を設けてもよい。
【0049】
なお、図3は、直流の車載バッテリ40(外部電源)の電圧を交流の商用電源の電圧に変換する外部電源変換装置30の例を示しているが、被供給設備が直流用の電気機器(モータなど)で構成されている場合、外部電源変換装置は、直流―交流変換を行う必要はない。
【0050】
図5は、本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの一例を示す図である。非常用外部電源変換ユニット60は、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61、交流用ケーブル62、第1のケーブルハーネス63、携帯用ケース70、使用方法表示79、及びケーブル収納装置80を含んで構成されている。なお、図5において、本例では、外部電源変換装置30が、携帯用ケース70内のケーブル収納装置80の下に収容されていて見えないため、図示されていない。
【0051】
直流用ケーブル61は、例えばコネクタ1を有するコネクタ付きケーブルである。本例では、直流用ケーブル61のコネクタ1を電動フォークリフトに搭載されている車載バッテリ40の接続端子としてのコネクタ40aに接続することにより、外部電源変換装置30と車載バッテリ40との接続が行われる。交流用ケーブル62は、例えばコネクタ2を有するコネクタ付きケーブルである。本例では、交流用ケーブル62のコネクタ2を電源切替装置20のコネクタ20aに接続することにより、外部電源変換装置30と開閉体装置10の電源切替装置20との接続が行われる。
【0052】
携帯用ケース70は、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61、交流用ケーブル62、第1のケーブルハーネス63、使用方法表示79、及びケーブル収納装置80を収容し、それらは、使用時に携帯用ケース70から取り出し可能である。ただし、外部電源変換装置30及びケーブル収納装置80は、使用時に携帯用ケース70から取り出すことを要しない。
携帯用ケース70を用いて、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62を容易に一緒に持ち運ぶことが可能となる。なお、ケーブル収納装置80を携帯用ケース70内に収容するのではなく、ケーブル収納装置80を携帯用ケース70の外側に取り付ける構造であってもよい。また、第1のケーブルハーネス63は、携帯用ケース70内に収容するのではなく、携帯用ケース70とは別に保管してもよい。
【0053】
本実施の形態の非常用外部電源変換ユニット60によれば、停電時に、車載バッテリ40を用いて、開閉体装置10の電源切替装置20へ容易に電力を供給することができる、停電時用の防災装置を、安価に提供することができる。そして、非常用外部電源変換ユニット60が、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62を備えるので、車載バッテリ40及び非常用外部電源変換ユニット60を準備すると、必要な接続作業が直ちに可能となる。
【0054】
携帯用ケース70は、上面に取り出し口を有するケース本体70aと、ケース本体70aの取り出し口を覆う蓋70bとを有する。蓋70bは、ケース本体70aに開閉可能に取り付けられている。図6(a)は携帯用ケースの側面図、図6(b)は携帯用ケースの底面図である。携帯用ケース70のケース本体70aの長い方の側面には、取っ手71aが設けられている。取っ手71aは、図6(a)の図面垂直方向に90度回転して起き上がるように取り付けられている。また、ケース本体70aの短い方の側面には、取っ手71bが設けられている。携帯用ケース70に取っ手71a,71bを設けることにより、携帯用ケース70の携帯及び運搬が容易になる。
【0055】
図6(a),(b)において、携帯用ケース70のケース本体70aの取っ手71bが設けられた側面と反対側の側面には、床に転がして移動するための4つの車輪72が取り付けられている。また、ケース本体70aの底面の4か所には、脚台73が取り付けられている。これらの脚台73により、蓋70bを上方に向けて携帯用ケース70を床に置いたときに、携帯用ケース70が水平に支持される。さらに、ケース本体70aの底面の中央付近から図面上方にかけて、床に転がして移動するときに把持するハンドル74が取り付けられている。携帯用ケース70に車輪72及びハンドル74を設けることにより、携帯用ケース70を床に転がして移動することができ、非常用外部電源変換ユニット60の運搬が極めて容易になる。
【0056】
ハンドル74は、ハンドル上部74aとハンドル下部74bと把持部74cとで構成されており、ハンドル上部74aは、図6(b)に示す矢印方向へスライドさせて、ハンドル下部74b内に収納可能に構成されている。ハンドル上部74aをハンドル下部74b内に収納することにより、ハンドル74を使用しないとき、ハンドル上部74a及び把持部74cがケース本体70aの底面から突出して作業の邪魔になることがない。
【0057】
図7(a)は、は外部電源変換装置、直流用ケーブル、交流用ケーブル、及び第1のケーブルハーネスの外観図の一例である。図7(a)において、本例の直流用ケーブル61には、その一端に、フォークリフトの車載バッテリ40のコネクタ40aにつなぐためのコネクタ1が設けられている。また、本例の交流用ケーブル62には、その一端に、開閉体装置10の電源切替装置20に設けられたコネクタ20aに接続するためのコネクタ2が設けられている。コネクタ2には、使用しないときにその接合部を覆って保護するためのキャップ2aが付属されている。
【0058】
直流用ケーブル61が車載バッテリ40のコネクタ40aにつなぐためのコネクタ1を有し、交流用ケーブル62が開閉体装置10の電源切替装置20のコネクタ20aに接続するためのコネクタ2を有するので、外部電源変換装置30の車載バッテリ40への接続作業、及び外部電源変換装置30の開閉体装置10の電源切替装置20への接続作業が容易になる。
さらに、普段は、交流用ケーブル62のコネクタ2を電源切替装置20のコネクタ20aから取り外して、非常用外部電源変換ユニット60を他の保管場所に保管することができ、商用電源の停電時に、保管場所から持ってきた非常用外部電源変換ユニット60の交流用ケーブル62のコネクタ2を電源切替装置20のコネクタ20aに接続して、電気工事士の資格が必要な電気工事を施工することなく、必要な電力を外部電源変換装置30から開閉体装置10の電源切替装置20へ供給することが可能となる。
【0059】
図7(a)において、本例の直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62は、それらの他端がそれぞれ、予め、外部電源変換装置30に接続されている。直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の他端がそれぞれ、予め、外部電源変換装置30に接続されているので、非常用外部電源変換ユニット60を使用する際、改めて直流用ケーブル61や交流用ケーブル62を外部電源変換装置30に接続する作業を行う必要がなく、必要最小限の作業を迅速に行うことができる。
【0060】
図5において、本例では、携帯用ケース70のケース本体70a内に、ケーブル収納装置80が収容されている。図7(b)は、ケーブル収納装置の外観図の一例である。ケーブル収納装置80は、台座81、複数の支柱82、第1のコネクタ収納具83、及び第2のコネクタ収納具84を含んで構成されている。台座81には、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62を巻き付けるための複数の円柱形の支柱82が取り付けられている。本例では、4本の支柱82が設けられており、4本の支柱82の間の空間に、第1のコネクタ収納具83及び第2のコネクタ収納具84が配置されている。第1のコネクタ収納具83及び第2のコネクタ収納具84は、例えば、面ファスナーが付いた可撓性のテープなどで構成されており、台座81に取り付けられている。
【0061】
なお、支柱82の数は4本に限らず、3本以下又は5本以上の支柱82を設けてもよい。また、支柱82は、必ずしも円柱形である必要はなく、巻き付けた直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62が接触する箇所が、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62に損傷を与えないように、尖った角のない形状であればよい。
【0062】
図8(a)は、交流用ケーブルを巻き付けたケーブル収納装置の外観図である。交流用ケーブル62を、4本の支柱82の外側に巻き付け、交流用ケーブル62のコネクタ2を、第2のコネクタ収納具84を用いて台座81に固定する。図8(b)は、さらに直流用ケーブルを巻き付けたケーブル収納装置の外観図である。直流用ケーブル61を、4本の支柱82の外側に巻き付け、直流用ケーブル61のコネクタ1を、第1のコネクタ収納具83を用いて、台座81に固定する。なお、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62を巻き付ける順序は、上述した順番に限らず、任意の順序で巻き付けを行ってもよい。
【0063】
直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62をケーブル収納装置80の複数の支柱82に巻き付け、直流用ケーブル61のコネクタ1を、コネクタ収納具83に収納し、交流用ケーブル62のコネクタ2をコネクタ収納具84に収納することにより、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の携帯用ケース70への収容及び携帯用ケース70からの取り出しが極めて容易になると共に、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の絡まりや捩じれが抑制され、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の損傷、断線などが回避される。
【0064】
図5において、携帯用ケース70の蓋70bの内側には、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の使用方法を記載した使用方法表示79が設けられている。図9は、使用方法表示の一例を示す図である。開閉体装置10の関連機器の取扱い方法を記載した取扱い説明書は、従来、冊子やコンピュータソフトなどで提供されているが、停電等の非常時に備えて、判り易い場所に保管されていることが望ましい。外部電源変換装置30、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の使用方法を記載した使用方法表示を携帯用ケース70に設けることにより、外部電源変換装置30を容易に使用することが可能となる。
【0065】
なお、使用方法表示79には、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の使用方法に限らず、後述する第1のケーブルハーネス63の使用方法、必要な注意書きや製品仕様などの他の情報を併記してもよい。また、使用方法表示79は、携帯用ケース70の蓋70bの内側に限らず、携帯用ケース70の表面などに設けてもよい。
【0066】
図1において、電動フォークリフトの車載バッテリ40の接続端子としてのコネクタ40aには、サイズが大型及び小型の2種類あり、大型の電動フォークリフトの車載バッテリでは、主に大型のサイズのコネクタが使用され、小型の電動フォークリフトの車載バッテリでは、主に小型のサイズのコネクタが使用されている。大型のサイズのコネクタと小型のサイズのコネクタとは、互換性がなく、電動フォークリフトの車載バッテリ40を外部電源として利用する場合、従来は、各サイズのコネクタを有する複数の直流用ケーブルを用意する必要があった。
【0067】
図7において、第1のケーブルハーネス63は、正負一対のケーブルの一端に小型のサイズのコネクタ3が取り付けられ、他端に大型のサイズのコネクタ4が取り付けられている。図10は、本発明の一実施の形態による第1のケーブルハーネスの構成と使用例を説明する図である。
図10(a)は、大型のサイズのコネクタ4の上面図、図10(b)は、同側面図である。コネクタ4は、コネクタ本体4aと、接合台4bと、2つの凸型接合部4cと、2つの凹型接合部4dとを含んで構成されている。図10(a)において、接合台4bは、コネクタ本体4aの略半分の厚さであり、接合台4bの上面には、2つの凸型接合部4cが設けられている。一方、図10(b)において、接合台4bの内側には、2つの凹型接合部4dが設けられている。そして、各凸型接合部4c及び各凹型接合部4dには、それぞれ、電極が設けられている。小型のサイズのコネクタ3の構成も、大型のサイズのコネクタ4の構成と同様である。
【0068】
電動フォークリフトの車載バッテリ40に設けられたコネクタ40aの構成、および直流用ケーブル61のコネクタ1の構成も、上述したコネクタ4の構成と同様である。従って、コネクタ1,3,4,40aには雄雌の区別が無く、同じサイズのコネクタ同士を接続するとき、一方のコネクタを他方のコネクタに対して裏返した状態で、互いの凸型接合部と凹型接合部とを係合させる。係合させた一方のコネクタの凸型接合部の電極が、他方のコネクタの凹型接合部の電極と接触して、コネクタ同士の接続が行われる。
【0069】
図10(c)は、電動フォークリフトの車載バッテリ40のコネクタ40aが、大型のサイズのコネクタであり、直流用ケーブル61のコネクタ1が、小型のサイズのコネクタの場合である。この場合、第1のケーブルハーネス63の一端の大型のサイズのコネクタ4を、車載バッテリ40の大型のサイズのコネクタ40aに係合させ、第1のケーブルハーネス63の他端の小型のサイズのコネクタ3を、直流用ケーブル61の小型のサイズのコネクタ1に係合させる。
【0070】
逆に、図10(d)は、電動フォークリフトの車載バッテリ40のコネクタ40aが、小型のサイズのコネクタであり、直流用ケーブル61のコネクタ1が、大型のサイズのコネクタの場合である。この場合、第1のケーブルハーネス63の一端の小型のサイズのコネクタ3を、車載バッテリ40の小型のサイズのコネクタ40aに係合させ、第1のケーブルハーネス63の他端の大型のサイズのコネクタ4を、直流用ケーブル61の大型のサイズのコネクタ1に係合させる。
【0071】
車載バッテリ40のコネクタ40aのサイズと直流用ケーブル61のコネクタ1のサイズとが異なるとき、車載バッテリ40のコネクタ40aと直流用ケーブル61のコネクタ1とを、第1のケーブルハーネス63を介して接続することができる。従って、直流用ケーブル61としては、大小いずれかのサイズのコネクタを有するものを1本だけを用意すればよく、各サイズのコネクタを有する複数の直流用ケーブル61を用意する必要がなくなって、安価かつ小型な構成となる。
【0072】
図11は、本発明の他の実施の形態による第1のケーブルハーネスを示す図である。本実施の形態は、第1のケーブルハーネス63’の、バッテリの接続端子と係合するコネクタ4’を、ブースタークリップとしたものである。
第1のケーブルハーネス63’のバッテリの接続端子と係合するコネクタ4’をブースタークリップとすることにより、接続端子としてコネクタ以外の端子(電極)を有するバッテリを使用することが可能となり、汎用性が増す。
【0073】
例えば、このコネクタ4’(ブースタークリップ)を、自動車又は自動二輪車に搭載された外部電源としての車載バッテリの端子(電極)、あるいは車用エンジンスターターの端子(電極)に係合させ、他端のコネクタ3を、直流用ケーブル61のコネクタ1に接続する。このとき、コネクタ3のサイズと直流用ケーブル61のコネクタ1のサイズとが異なるときは、さらに、上述の第1のケーブルハーネス63を用いることができる。
外部電源変換装置30を用いて、自動車又は自動二輪車の車載バッテリ、あるいは車用エンジンスターターから入力された電力を、商用電源と同じ電圧の電力へ変換することができる。
【0074】
本実施の形態では、さらに、図7(a)では図示されていない、交流用ケーブル62と他の被供給設備とを接続するための、第2のケーブルハーネスを設ける。図12は、本発明の一実施の形態による第2のケーブルハーネスを示す図である。第2のケーブルハーネス64は、その一端に、交流用ケーブル62のコネクタ2と係合するコネクタ5を有する。そして、第2のケーブルハーネス64は、その他端に、交流用又は直流用の汎用のコンセント6を有する。なお、第2のケーブルハーネス64は、第1のケーブルハーネス63,63’と同様に、携帯用ケース70内に収容してもよく、または携帯用ケース70とは別に保管してもよい。
【0075】
第2のケーブルハーネス64に、交流用又は直流用の汎用のコンセント6を設けることにより、停電時などの商用電源が無いときに、第2のケーブルハーネス64を用いて、開閉体装置10以外の、例えば照明装置、温度調節装置、ヒーター、冷蔵庫などの汎用のコンセントプラグを有する被供給設備へ電力を供給することができ、汎用性が増す。
なお、交流用の汎用のコンセントとしては、被供給設備に使用されているコンセントプラグに応じて、三相用のものに限らず、単相用のものであってもよい。例えば、非常電源装置を備えた開閉体装置などでは、安価な構成とするために、単相200Vのコンセントプラグが使用されている。
【0076】
図5において、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62を携帯用ケース70のケース本体70aの取り出し口から取り出す際、携帯用ケース70の蓋70bが開放状態に固定されていないと、誤って蓋70bが閉まり、手や直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62をケース本体70aと蓋70bの間に挟む可能性がある。特に、ケース本体70a及び蓋70bの外側表面が、アルミニウムなどの硬質の材料からなる場合、手にけがを負い、または直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62が損傷するなどの虞がある。そこで、本実施の形態では、携帯用ケース70に、蓋70bの開放状態を保持するストッパー具を設ける。
【0077】
図13は、本発明の一実施の形態によるストッパー具を説明する図である。図13(a)において、矢印Aの左側に示した携帯用ケース70の破線で示す箇所に、矢印Aの右側の破線内に示したストッパー具75が、図面と略垂直に立ち上がらせた状態で取り付けられている。ストッパー具75は、上部アーム75a、下部アーム75b、連結具75c、上部取り付け具75d、下部取り付け具75e、及び移動片75fを含んで構成されている。これらの各部材は、例えば板状の金属板などを、レーザー加工などにより切断して成形されている。また、移動片75fは、プレス加工などにより、断面がコの字状に成形されている。
【0078】
上部アーム75aは、連結具75c及び上部取り付け具75dに対して、それぞれ回転可能に取り付けられている。下部アーム75bは、連結具75c及び下部取り付け具75eに対して、それぞれ回転可能に取り付けられている。なお、連結具75cを、上部アーム75aまたは下部アーム75bに一体化して、上部アーム75aと下部アーム75bとが連結具75cの部分を中心にして回転する構成であってもよい。
上部取り付け具75dは、蓋70bの内側の面に固定され、下部取り付け具75eは、ケース本体70aの内壁に固定されている。移動片75fは、コの字状の断面の向かい合う2つの面で板状の上部アーム75aを挟み、上部アーム75aに設けられた長孔に、上下にスライド可能に取り付けられている。そして、断面がコの字状の移動片75fの内部には、移動片75fを下方向に付勢するばねが取り付けられている。蓋70bを開放したとき、移動片75fの下端部が下部アーム75bに設けられた凹状の切り欠き部75gに篏合して、蓋70bの開放状態が保持される。
【0079】
蓋70bを閉めるときは、ばねの付勢力に抗し、移動片75fを矢印Bで示す上方向に押し上げて、移動片75fの下端部を下部アーム75bの凹状の切り欠き部75gから外し、蓋70bの開放状態の保持を解除しながら蓋70bを閉める。蓋70bを閉めると、上部アーム75aが矢印Cの方向に回転し、また下部アーム75bが矢印Dの方向に回転して、ストッパー具75は、図13(b)の破線内に示す状態に折り畳まれる。
【0080】
蓋70bを開放状態に保持するストッパー具75を設けることにより、手や直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62をケース本体70aと蓋70bの間に挟む虞がなくなる。そして、ストッパー具75に、蓋70bを支持する支持部材としての上部アーム75a及び下部アーム75bと、上部アーム75aと下部アーム75bとを固定し、また上部アーム75aと下部アーム75bとの固定を解除する移動片75fを設けることにより、ストッパー具75に指を挟むなどの虞なく、蓋70bの開放状態の保持を解除して蓋70bを閉めることができる。このとき、ストッパー具75は、ケース本体70aと蓋70bとの間の片側一箇所のみに設けられているので、一方の手で移動片75fを操作しながら、他方の手で蓋70bを閉める動作を行うことができる。
【0081】
なお、本実施の形態のストッパー具のように蓋や扉などを一定の角度で保持する金具は、一般に「ステー」と呼ばれている。そして、天蓋用の上開き式のステーは、通常、折り畳んだとき、邪魔にならないよう、回転軸(連結具75cに相当)が操作者から遠ざかる方向(奥行き方向)へ移動するように取り付けられる。これに対し、本実施の形態のストッパー具75は、折り畳んだとき、回転軸(連結具75c)が操作者に近づく方向(手前方向)へ移動するように取り付けられており、これにより、移動片75fが操作者の手前に位置して、操作者による移動片75fの操作が容易になる。
【0082】
図3において、外部電源変換装置30の入力電圧検出器34は、直流電圧計と表示部とを含み、遮断器31から直流・交流変換回路32へ入力される直流電圧の大きさを検出し、検出した電圧の大きさを表示部に表示する。また、外部電源変換装置30の出力電圧検出器35は、交流電圧計と表示部とを含み、直流・交流変換回路32から出力される交流電圧の大きさを検出し、検出した電圧の大きさを表示部に表示する。
【0083】
外部電源変換装置30の入力系統または出力系統において故障が発生した場合、故障個所の特定は難しく、テスターなどの測定機器を用いて入力ライン及び出力ラインの電圧の測定を行う作業は、災害や停電などの非常時には困難である。入力電圧検出器34を用いて、外部電源変換装置30へ入力される直流電圧の大きさを検出して表示し、また、出力電圧検出器35を用いて、外部電源変換装置30から出力される交流電圧の大きさを検出して表示するので、故障個所が特定し易くなり、メンテナンス上の利便性が向上する。入力電圧検出器34及び出力電圧検出器35の表示部は、例えば7セグメントの数字表示器や液晶表示装置などを用いると、視覚による認識性が良くなる。
【0084】
図14は、外部電源変換装置の入力電圧検出器及び出力電圧検出器の表示と、故障個所とを説明する図である。図14(a)は、車載バッテリ40から開閉体装置10の制御装置18への電力の供給経路を示す図である。なお、図14(a)では、外部電源変換装置30内の遮断器31、及び電源切替装置20が省略されている。以下、車載バッテリ40の電圧を、例えば、48Vの直流電圧とする。そして、直流・交流変換回路32は、入力電圧の減圧率が-20%になるまでは200Vの交流電圧の出力を維持し、入力電圧の減圧率が-25%になると100Vの交流電圧を出力し、入力電圧の減圧率が-30%に達すると出力電圧が0Vとなる仕様で設計されているものとする。
【0085】
この場合、図14(b)において、入力電圧検出器34の表示から、入力電圧の減圧率が-20%になるまでは、出力電圧検出器35の表示が200Vであれば、車載バッテリ40及び直流・交流変換回路32に故障個所は無いと判断することができる。一方、このとき出力電圧検出器35の表示が200V未満であれば、故障個所は直流・交流変換回路32であると判断することができる。
入力電圧検出器34の表示から、入力電圧の減圧率が-25%であるとき、出力電圧検出器35の表示が100Vであれば、故障個所は車載バッテリ40であると判断することができる。一方、このとき出力電圧検出器35の表示が100V未満であれば、故障個所は車載バッテリ40及び直流・交流変換回路32であると判断することができる。
入力電圧検出器34の表示から、入力電圧の減圧率が-30%であるとき、故障個所は少なくとも車載バッテリ40であると判断することができる。このとき、出力電圧検出器35の表示は0Vとなるが、故障個所に直流・交流変換回路32が含まれるか否かは、判断することができない。
そして、車載バッテリ40及び直流・交流変換回路32に故障個所が無いと判断することができるにもかかわらず、開閉体装置10が正常に動作しない場合は、制御装置18以降の装置に不具合があるものと判断することができる。
【0086】
以上説明した実施の形態によれば、車載バッテリ40から開閉体装置10の開閉機(モータ17)へ容易に電力を供給することができる、開閉体装置用の非常用外部電源変換ユニット60が提供される。
また、開閉体装置10の電源切替装置20が、商用電源の供給がある時には、商用電源の電力を制御装置18へ供給するので、商用電源の供給がある時には、商用電源を用いて動作される開閉体装置用の非常用外部電源変換ユニット60が提供される。
【0087】
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるシャッターカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、引き戸装置、開き戸装置、折れ戸装置、門扉装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【0088】
さらに、本発明の非常用外部電源変換ユニットは、開閉体装置に限らず、各種の装置や機器などに対し、停電時など商用電源の供給が無い場合に、外部電源から電力を供給する際に使用することができる。
なお、上述の実施の形態では、直流を交流に変換するインバータ回路を例に説明したが、インバータには、直流を直流、交流を直流、又は交流を交流に変換するコンバータ回路を含むものである。
【符号の説明】
【0089】
1,2,3,4,5…コネクタ
4’…コネクタ(ブースタークリップ)
6…コンセント
10…開閉体装置
11…シャッターケース
12…シャッターカーテン
13,14…ガイドレール
15…巻取シャフト
16…チェーン
17…モータ
172…位置検出装置
18…制御装置
185…障害物感知器
19…操作スイッチ
19A…上昇(開)ボタン
19B…停止(停)ボタン
19C…下降(閉)ボタン
20…電源切替装置
20a…コネクタ
30…外部電源変換装置
31…遮断器
32…直流・交流変換回路
33…入力電圧切替スイッチ
34…入力電圧検出器
35…出力電圧検出器
40…車載バッテリ
40a…コネクタ
60…外部電源変換ユニット
61…直流用ケーブル(第1のケーブル)
62…交流用ケーブル(第2のケーブル)
63,63’…第1のケーブルハーネス
64…第2のケーブルハーネス
70…携帯用ケース
70a…ケース本体
70b…蓋
71a,71b…取っ手
72…車輪
73…脚台
74…ハンドル
75…ストッパー具
79…使用方法表示
80…ケーブル収納装置
81…台座
82…支柱
83…第1のコネクタ収納具
84…第2のコネクタ収納具
図1
図2
図3
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図5
図6
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図14