IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱マテリアルテクノ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ディスク型処理装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/20 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
F26B17/20 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020179744
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2022070598
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390004879
【氏名又は名称】三菱マテリアルテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】古城 和幸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 賢亮
(72)【発明者】
【氏名】竹田 孝平
(72)【発明者】
【氏名】中園 浩幸
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-349316(JP,A)
【文献】特開2014-171446(JP,A)
【文献】特開2002-250589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側に配置された第1端壁部と、他方側に配置された第2端壁部と、前記一方側において前記第1端壁部と接続されるとともに前記他方側において前記第2端壁部と接続され、上部に開口部が形成された周壁部と、を有するケーシング本体と、
前記ケーシング本体の前記開口部を開閉可能とされ前記ケーシング本体と協働してケーシングを構成する開閉蓋部材と、
前記第1端壁部と前記第2端壁部に支持され前記ケーシング内に配置されるとともに、軸線の周りに回転可能とされた回転軸と、
前記回転軸の周囲に前記軸線方向に間隔をあけて形成され、前記回転軸とともに回転可能とされた複数のディスク部材と、
前記ディスク部材に配置され、前記ケーシング内において処理対象物を前記軸線方向に沿って移送する処理対象物移送手段と、
前記ケーシング本体を、前記開口部が下方を向くように傾動可能とされたケーシング傾動機構と、
を備え、
前記ケーシング本体の前記周壁部には、処理が完了した処理対象物を排出し、前記開口部とは異なる製品排出口が形成されていて、
前記製品排出口を開閉可能な排出口蓋部材を備え、
加熱媒体または冷却媒体により、処理対象物を加熱または冷却可能であることを特徴とするディスク型処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク型処理装置であって、
前記周壁部は、
前記回転軸の軸線に沿って見たときに上方が開口する円弧状壁部と、
前記円弧状壁部の両側の端部から上方に向かって伸びる一対の立上り壁部と、
を有し、
前記製品排出口は、前記一対の立上り壁部の一方に、上下方向に長尺な矩形に形成されている
ことを特徴とするディスク型処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のディスク型処理装置であって、
前記開閉蓋部材を開閉可能に移動させる
蓋部材開閉機構を備えている
ことを特徴とするディスク型処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のディスク型処理装置であって、
前記ケーシング傾動機構は、
前記回転軸と同軸の軸線の周りに回動させて前記ケーシング本体を傾動させる
ことを特徴とするディスク型処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のディスク型処理装置であって、
前記排出口蓋部材と連結され、前記排出口蓋部材により前記製品排出口を開閉する排出口開閉機構を備えている
ことを特徴とするディスク型処理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のディスク型処理装置であって、
前記ケーシング傾動機構は、
前記ケーシング本体を傾動するための駆動源を備えている
ことを特徴とするディスク型処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケーシング内において処理対象物を連続的に乾燥または冷却することが可能なディスク型処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば、一般工業製品、合成樹脂等の化学製品、飼料、食品や薬品等、幅広い産業分野で、処理対象物を効率的に乾燥処理させるためにディスクドライヤ等のディスク型処理装置が広く使用されている。
【0003】
ディスク型処理装置は、例えば、両端部に配置された側壁部と、側壁部の間を接続する周壁部とを有するドラム等のケーシングと、このケーシングの内部空間に配置された回転軸と回転軸に形成され、軸線方向に間隔をあけて配置された複数のディスクを備えた構成のものが開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0004】
このようなディスク型処理装置は、各ディスクの内部やケーシングの周壁部等に形成されたジャケットやディスクの内部に水蒸気や温水等の加熱媒体または冷却水等の冷却媒体を流通させて、処理対象物を加熱または冷却可能とされている。
【0005】
また、各ディスクの周囲には、ディスクの回転方向に対して所定の傾きをもって設けられた送り羽根と傾きのない平羽根が設けられていて、送り羽根によって、軸線方向に沿ってケーシング内で処理対象物を移送するように構成されている。
このような構成により、ディスク型処理装置は、処理対象物を効率的に乾燥することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-349316号公報
【文献】特開2009-45525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ファインケミカル品等の処理対象物を乾燥または冷却させる場合には、処理対象物と異なる種類の異物の影響があると商品価値が低下することから、異なる処理対象物が混入するのを最大限抑制することが必要である。
【0008】
そこで、ケーシング内の洗浄性、清掃性を向上することが必要となるが、ケーシング内を充分に清掃、洗浄するのは容易ではなく、ケーシング内において処理対象物に異物が混入するのを確実に防止するための技術が望まれる。
【0009】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであって、処理対象物を開口部から容易かつ効率的に排出させることが可能とされ、ケーシング内に処理対象物が残留するのを抑制することが可能なディスク型処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、一方側に配置された第1端壁部と、他方側に配置された第2端壁部と、前記一方側において前記第1端壁部と接続されるとともに前記他方側において前記第2端壁部と接続され、上部に開口部が形成された周壁部と、を有するケーシング本体と、前記ケーシング本体の開口部を開閉可能とされ前記ケーシング本体と協働してケーシングを構成する開閉蓋部材と、前記第1端壁部と前記第2端壁部に支持され前記ケーシング内に配置されるとともに、軸線の周りに回転可能とされた回転軸と、前記回転軸の周囲に前記軸線方向に間隔をあけて形成され、前記回転軸とともに回転可能とされた複数のディスク部材と、前記ディスク部材に配置され、前記ケーシング内において処理対象物を前記軸線方向に沿って移送する処理対象物移送手段と、前記ケーシング本体を、前記開口部が下方を向くように傾動可能とされたケーシング傾動機構と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係るディスク型処理装置によれば、第1端壁部と、第2端壁部と、一方側において第1端壁部と接続され他方側において第2端壁部と接続され上部に開口部が形成された周壁部と、を有するケーシング本体と、このケーシング本体の開口部を開閉する開閉蓋部材と、ケーシング本体を傾動させるケーシング傾動機構と、を備えていて、このケーシング傾動機構により、開閉蓋部材が外されたケーシング本体を、開口部が下方を向くように傾動させることが可能とされているので、開口部を下側に向けることにより、ケーシング本体内の処理対象物を開口部から容易かつ効率的に排出させることができる。
その結果、ケーシング内に処理対象物が残留するのを抑制することができる。
また、ディスク型処理装置のケーシング内の清掃性、洗浄性を向上させることができる。
【0012】
また、ケーシング内には、回転軸と、回転軸の周囲に軸線方向に間隔をあけて形成されたディスク部材が配置され、処理対象物移送手段により処理対象物を移送しながら乾燥または冷却させるので、処理対象物を効率的かつ連続的に処理することができる。
【0013】
ここで、ケーシング本体を、開口部が下方を向くように傾動するとは、周壁部の地面に対する傾斜角度が、処理対象物の安息角よりも大きくなることを意味している。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディスク型処理装置であって、前記開閉蓋部材を開閉可能に移動させる蓋部材開閉機構を備えていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係るディスク型処理装置によれば、開閉蓋部材を開閉可能に移動させる蓋部材開閉機構を備えているので、人手によることなく、開閉蓋部材を容易かつ効率的に開閉することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のディスク型処理装置であって、前記ケーシング傾動機構は、前記回転軸と同軸の軸線の周りに回動させて前記ケーシング本体を傾動させることを特徴とする。
【0017】
この発明に係るディスク型処理装置によれば、ケーシング傾動機構が、回転軸と同軸の軸線の周りに回動させてケーシング本体を傾動させるので、ケーシング本体を傾動させる際のスペースが大きくなるのを抑制することができる。
その結果、ディスク型処理装置の大型化を抑制して小型化することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載のディスク型処理装置であって、前記ケーシング本体には、処理が完了した処理対象物を排出する製品排出口が形成されていて、前記製品排出口を開閉可能な排出口蓋部材を備えていることを特徴とする。
【0019】
この発明に係るディスク型処理装置によれば、ケーシング本体に処理が完了した処理対象物を排出する製品排出口が形成されていて、製品排出口を開閉可能な排出口蓋部材を備えているので、排出口蓋部材を外して製品排出口を開放することにより、ケーシング本体を容易に傾動させることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のディスク型処理装置であって、前記排出口蓋部材と連結された排出口開閉機構を備え、前記排出口開閉機構は、前記排出口蓋部材を前記製品排出口から離間可能に構成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明に係るディスク型処理装置によれば、排出口蓋部材と連結された排出口開閉機構を備えていて、排出口開閉機構は、排出口蓋部材を製品排出口から離間可能に構成されているので、ケーシング本体から排出口蓋部材を容易かつ効率的に外してケーシング本体を傾動可能な状態とすることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載のディスク型処理装置であって、前記ケーシング本体は、プレートコイル(登録商標)を用いて形成されていることを特徴とする。
【0023】
この発明に係るディスク型処理装置によれば、周壁部がプレートコイル(登録商標)を用いて形成されているので、ケーシング本体を軽量に形成することが可能となり、ケーシング本体を容易に傾動させることができる。
【0024】
ここで、プレートコイルとは、例えば、少なくとも一枚の波状板部材を用いることにより、波状板部材を構成している凹凸によって流体が流通可能な流路が形成された板状熱交換器をいう。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスク型処理装置であって、前記ケーシング傾動機構は、前記ケーシング本体を傾動するための駆動源を備えていることを特徴とする。
【0026】
この発明に係るディスク型処理装置によれば、ケーシング傾動機構が、ケーシング本体を傾動するための駆動源を備えているので、ケーシング本体を効率的に傾動させることが可能となり、ケーシング内の処理対象物を効率的に排出することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明に係るディスク型処理装置によれば、処理対象物を開口部から容易かつ効率的に排出させることが可能とされ、ケーシング内に処理対象物が残留するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係るディスク型処理装置の概略構成を説明する側面から見た図である。
図2】第1実施形態に係るディスク型処理装置の概略構成を説明する平面図である。
図3】第1実施形態に係るディスク型処理装置の概略構成を説明する一方側から見た斜視図である。
図4】第1実施形態に係るディスク型処理装置の概略構成を説明する他方側から見た斜視図である。
図5】第1実施形態に係る処理装置本体の概略構成を説明する平面視した部分断面図である。
図6】第1実施形態に係る処理装置本体の概略構成を説明する図5に矢視VI-VIで示した部分断面図である。
図7A】第1実施形態に係るディスク型処理装置のケーシングの概略構成を説明する他方側から見た斜視図である。
図7B】第1実施形態に係るディスク型処理装置のケーシング本体の概略構成を説明する他方側から見た斜視図である。
図7C】第1実施形態に係るディスク型処理装置の開閉蓋部材の概略構成を説明する他方側から側面図である。
図8】第1実施形態に係るディスク型処理装置のディスク回転体の概略構成を説明する側面から見た図である。
図9】第1実施形態に係るディスク型処理装置のディスク回転体の概略構成を説明する軸線に沿って見た図である。
図10】第1実施形態に係るディスク型処理装置のディスク回転体の概略構成を説明する羽根部材の配置の一例を示す展開図である。
図11】第1実施形態に係るディスク型処理装置の蓋部材開閉機構の概略構成を説明する平面図である。
図12】第1実施形態に係るディスク型処理装置の蓋部材開閉機構の概略構成を説明する他方側から見た側面図である。
図13】第1実施形態に係るディスク型処理装置のケーシング傾動機構の概略構成を説明する平面視した要部の拡大図である。
図14】第1実施形態に係るディスク型処理装置のケーシング傾動機構の概略構成を説明する側面から見た拡大した部分断面図である。
図15】第1実施形態に係るディスク型処理装置の排出口開閉機構の概略を説明する概念図である。
図16A】第1実施形態に係るディスク型処理装置の動作の概略を説明する開閉蓋部材が閉状態とされた概念図である。
図16B】第1実施形態に係るディスク型処理装置の動作の概略を説明する開閉蓋部材が開状態とされた概念図である。
図16C】第1実施形態に係るディスク型処理装置の動作の概略を説明するケーシング本体が傾動された状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1図15を参照して、本発明の一実施形態に係るディスク型処理装置について説明する。
図1図2は、本発明の第1実施形態に係るディスク型処理装置の概略構成を説明する図であり、図1は側面から見た図であり、図2は平面図である。また、図3は、ディスク型処理装置の概略構成を説明する一方側から見た斜視図であり、図4は、他方側から見た斜視図である。また、図5は処理装置本体の概略構成を説明する平面視した部分断面図であり、図6は側面視した部分断面図である。また、図7Aはケーシングの概略構成を説明する斜視図であり、図7Bはケーシング本体を説明する斜視図であり、図7Cは開閉蓋部材の側面図である。
【0030】
図において、符号100はディスク型処理装置を、符号110は処理装置本体を、符号120はケーシングを、符号122Aは開口部を、符号126は開閉蓋部材を、符号130はディスク回転体を、符号132は回転軸を、符号135はディスク集合体を、符号136はディスク部材を、符号140は回転軸駆動部を、符号150は蓋部材開閉機構を、符号160はケーシング傾動機構を、符号170は排出口開閉機構を示している。
【0031】
第1実施形態に係るディスク型処理装置100は、図1図4に示すように、例えば、処理装置本体110と、蓋部材開閉機構150と、ケーシング傾動機構160と、排出口開閉機構170と、を備えている。
【0032】
処理装置本体110は、図1図6に示すように、例えば、支持架台112と、支持架台112の上部に配置されたケーシング120と、ケーシング120内に配置されたディスク回転体130と、ディスク回転体130を回転駆動させる回転軸駆動部140と、を備えている。
この実施形態において、支持架台112は、例えば、架台ベース111の上面に立設されている。
そして、処理装置本体110は、投入された処理対象物(不図示)を、連続的に処理(例えば、乾燥または冷却)して製品(処理物)とするように構成されている。
【0033】
処理装置本体110が処理する処理対象物は、任意に設定することが可能であるが、例えば、ファインセラミックス、半導体材料、薬品、機能性樹脂等のファインケミカルが挙げられる。
【0034】
ケーシング120は、図1図5図7Aに示すように、例えば、ケーシング本体122と、開閉蓋部材126と、排出口蓋部材128(図2図4図5参照)と、を備えている。
【0035】
ケーシング本体122は、図5図6図7A図7Bに示すように、例えば、軸線O1方向における一方側Lに配置された第1端壁部123Lと、他方側Rに配置された第2端壁部123Rと、第1端壁部123Lと第2端壁部123Rとを接続する周壁部125と、天板部材125Aと、を備えている。
【0036】
第1端壁部123Lは、図5図6図7A図7Bに示すように、例えば、軸線O1に沿って見たときに、下部が略U字形に形成されるとともに、U字形の上端部同士が接続された外形形状とされ、ケーシング本体122の内方から一方側Lに向かって突出して形成されている。
また、第1端壁部123Lには、軸線O1を中心とし、一方側Lから他方側Rに貫通する貫通穴(第2端壁部123Rの123Hを参照)が形成されている。
また、第1端壁部123Lには、周囲にフランジ部が形成されている。
【0037】
第2端壁部123Rは、図5図6図7A図7Bに示すように、例えば、軸線O1に沿って見たときに、第1端壁部123Lと同様に、下部が略U字形に形成されるとともに、U字形の上端部同士が接続された外形形状とされ、ケーシング本体122の内方から他方側Rに向かって突出して形成されている。
また、第2端壁部123Rには、図7A図7Bに示すように、軸線O1を中心とし、一方側Lから他方側Rに貫通する貫通穴123Hが形成されている。
また、第2端壁部123Rには、周囲にフランジ部が形成されている。
【0038】
周壁部125は、図7A図7Bに示すように、例えば、平面視略矩形に形成されるとともに、軸線O1に沿って見たときに略U字形に形成されている。
具体的には、軸線O1に沿って見たときに、例えば、軸線O1より下側が略半円の円弧状壁部とされ、その円弧状壁部の両側の端部から立上り壁部が鉛直上方に伸びる構成とされている。なお、周壁部125を軸線に沿って見たときの形状については任意に設定することができる。
また、周壁部125の一方側Lと他方側Rの端部には、ケーシング本体122の内方から外方に向かって伸びるフランジ部が形成されている。
【0039】
周壁部125を形成する材料は任意に設定することが可能であるが、この実施形態において、周壁部125は、例えば、プレートコイル(登録商標)(不図示)を用いて形成されている。
具体的には、例えば、周壁部125の円弧状壁部とその円弧状壁部を軸線O1に沿って見たときの円弧状壁部の両端から上方に伸びる立ち上がり壁部の一部(例えば、処理対象物と接触可能な軸線O1よりも少し上側までの範囲)に、プレートコイルが適用されている。なお、プレートコイルを適用して形成する範囲は任意に設定することが可能である。
【0040】
その結果、周壁部125の内部にはジャケットが形成され、蒸気や温水、冷却水等の温度調整用媒体を流通させることにより、加温又は冷却に適用することが可能となる。
なお、プレートコイル(不図示)を用いることなく、周壁部125を複数枚(例えば、2重)構造とすることでジャケットを形成してもよいし、温度調整用のジャケットを設けない構成としてもよい。
【0041】
ここで、プレートコイルとは、例えば、少なくとも一枚の波状板部材と他の板状部材の互いの面同士を対向させて接続することにより、波状板部材を構成する凹凸によって温度調整用媒体が流通可能な流路が形成された板状熱交換器をいう。
なお、プレートコイルの構成は任意に設定することが可能であり、プレートコイルが波形状とは別に湾曲等の形状を有していてもよいし、波状板部材同士、波状板部材と平板状部材を組み合わせてもよいし、3枚以上の板部材の面同士を対向させて接続してもよい。
【0042】
天板部材125Aは、図5図7A図7Bに示すように、例えば、周壁部125の一方側Lの上端部と他方側Rの上端部に配置されていて、それぞれ周壁部125を構成するU字形状において対向する立ち上がり壁部の上端部同士を接続する構成されている。
【0043】
また、一方側Lに配置される天板部材125Aは、図6図7Bに示すように、側面から見たときに略チャネル状に形成されていて、一方側Lにフランジ部が形成されている。そして、天板部材125Aが周壁部125と接続されたときに、周壁部125のフランジ部と協働して、第1端壁部123Lのフランジ部と対応するようになっている。
そして、周壁部125と天板部材125Aが協働して形成したフランジ部には、第1端壁部123Lが連結可能とされている。
また、一方側Lに配置される天板部材125Aの他方側Rには、立ち上がり壁部が形成されていて、開口部122Aの一方側Lの周縁部を形成する構成とされている。
【0044】
また、他方側Rに配置される天板部材125Aは、図6図7Bに示すように、側面から見たときに略チャネル状に形成されていて、他方側Rにはフランジ部が形成され、一方側Lに立ち上がり壁部が形成されている。
他方側Rに配置される天板部材125Aは、軸線O1方向における反対向きに配置される点以外は一方側Lに配置される天板部材125Aと同様であるので、説明を省略する。
【0045】
これにより、ケーシング本体122の上部には、周壁部125の対向する立ち上がり壁部同士と、一方側Lと他方側Rの天板部材125Aで囲まれ、上方に開口する開口部122Aが形成される。
また、開口部122Aは、例えば、平面視略矩形に形成されている。
天板部材125Aを形成する材料は任意に設定することが可能である。
【0046】
また、ケーシング本体122には、図7Bに示すように、例えば、周壁部125の背面側Bの立上り壁部に製品排出口125Dが形成されている。
製品排出口125Dは、図7Bに示すように、例えば、上下方向に長尺な矩形に形成されている。
また、製品排出口125Dには、図7Bに示すように、排出口蓋部材128が配置可能とされている。
【0047】
開閉蓋部材126は、図7Cに示すように、例えば、開口部122Aと対応して略矩形の枠状に形成されたフランジ部126Aと、フランジ部126Aの上面に接続され上方に突出する略矩形箱状に形成された蓋部材本体126Bと、を備えている。
【0048】
また、フランジ部126Aの下方には、ケーシング本体122の開口部122Aを閉じたときに、開口部122Aを介してケーシング本体122内に向かって伸び、ケーシング本体122の内部空間に収容される重なり部壁部126Eが形成されている。
また、フランジ部126Aの下面は、開口部122Aの周縁部を閉塞する封止面126Fとされている。
【0049】
また、開閉蓋部材126には、図7Cに示すように、内部に下方に向かって伸びるへら状部材126Cが配置されていて、処理対象物がディスク回転体130に付着するのを抑制可能とされている。
また、開閉蓋部材126には、例えば、上部に処理対象物投入口126Dが形成されるとともに、必要に応じて点検用窓等を任意に設定することができる。
【0050】
排出口蓋部材128は、例えば、製品排出口125Dを閉塞可能な略矩形枠状の封止部(不図示)を有している。
また、排出口蓋部材128は、図7Bに示すように、矢印T1で示すように、製品排出口125Dに対して離間、接近することにより、製品排出口125Dを開閉することが可能とされている。
また、排出口蓋部材128が製品排出口125Dに配置されたときに、封止部(不図示)によって製品排出口125Dを閉塞することにより、製品排出口125Dは封止されるようになっている。
【0051】
そして、製品排出口125Dは封止されることで、処理装置本体110が処理対象部を処理(例えば、乾燥、冷却)することが可能となる。また、ケーシング120内から処理対象物が漏れ出たり、ケーシング120内に異物の混入するのを抑制可能に構成されている。
【0052】
また、排出口蓋部材128は、内部に、処理された処理対象物の排出量を調整する排出量調整機構(不図示)が配置されている。
排出量調整機構(不図示)は、例えば、仕切板(不図示)を備えていて、この仕切板を上部のハンドル(図4図15参照)128Aによって上下方向に移動可能に構成されている。
【0053】
そして、仕切板(不図示)を上下方向に移動させて、仕切板を超える製品(処理物)の量を調整することにより、ケーシング120内に滞留する処理対象物及び製品の滞留時間を調整するとともに、製品排出口125Dから排出される製品の量が調整されるように構成されている。
【0054】
次に、図5図6図8図10を参照して、ディスク回転体130について説明する。
図8は、第1実施形態に係るディスク型処理装置のディスク回転体の概略構成を説明する側面から見た図であり、図9は、ディスク回転体の概略構成を説明する軸線に沿って見た図である。また、図10は、ディスク回転体の概略構成を説明する羽根部材の配置の一例を示す展開図である。
【0055】
ディスク回転体130は、例えば、回転軸132と、ディスク集合体135と、羽根部材137と、回転軸駆動部140と、を備えている。
図において、符号137は羽根部材を、符号137Aは送り羽根部材(処理対象物移送手段)を、符号137Bは平羽根部材を示している。
【0056】
回転軸132は、例えば、略水平方向(横方向)に配置された回転軸線(軸線)O1に沿った多段円筒状に形成されている。
そして、回転軸132は、一方側Lと他方側Rを後述する軸受部材147によって支持され、回転軸線O1の周りに回転可能とされている。
【0057】
また、回転軸132の内方には、例えば、軸線O1における一方側Lに熱媒体を流入させる流入口(不図示)が形成され、他方側Rに熱媒体を排出させる排出口(不図示)が形成されている。
また、回転軸132は、軸線O1方向における中央側にディスク集合体135が配置されている。
【0058】
ディスク集合体135は、軸線O1に沿った方向に間隔をあけて配置された複数のディスク部材136を備えている。
そして、ディスク集合体135は、図5図6に示すように、ケーシング120の内部空間に配置されている。
【0059】
ディスク部材136は、図5図6図8に示すように、例えば、一対のディスク板136L、136Rの軸線O1方向において対向する端面同士を接合することにより構成されている。
また、ディスク部材136は、中心部に軸線O1を中心とする円形の貫通穴が開口するドーナツ状とされ、この貫通穴に回転軸132が挿入されて回転軸132と接続されている。
【0060】
具体的には、ディスク部材136は、例えば、軸線O1方向における一方側L側に膨出する第1ディスク板136Lの他方側Rの端面と、他方側Rに膨出する第2ディスク板136Rの一方側Lの端面を溶接等によって接合することにより略そろばん玉状に形成されている。
【0061】
また、ディスク部材136には、例えば、内部に熱媒体が流通可能な熱媒体流通空間(不図示)が形成されている。
その結果、回転軸132の流入口(不図示)から供給された熱媒体が一方側Lのディスク部材136から他方側Rのディスク部材136に向かって順次流通する。
そして、回転軸132の排出口(不図示)から排出されるようになっている。
【0062】
また、ディスク部材136を形成する材料は任意に設定することが可能であるが、例えば、ステンレス鋼により形成することが好適である。
また、ディスク集合体135を構成するディスク部材136の数は任意に設定することが可能である。
【0063】
羽根部材137は、図8図10に示すように、例えば、送り羽根部材(処理対象物移送手段)137Aと、平羽根部材137Bと、を備え、ディスク部材136の外周縁に配置されている。
【0064】
送り羽根部材(処理対象物移送手段)137Aは、図8図10に示すように、例えば、回転軸132の回転軸線O1に対して、移送条件と対応させた所定のリード角となるように配置された平板により形成されていて、ステーによってディスク部材136の周縁部に連結されている。
【0065】
平羽根部材137Bは、図8図10に示すように、例えば、回転軸132の回転軸線O1と平行な平面により形成されていて、ステーによってディスク部材136の周縁部に連結されている。
そして、平羽根部材137Bは、回転軸132が回転すると、処理対象部とを軸線O1方向に移動させることなく攪拌するように構成されている。
【0066】
この実施形態では、羽根部材137は、図10に示すように、例えば、ディスク部材136の周縁部に180°の間隔をあけて配置されている。
具体的には、送り羽根部材(処理対象物移送手段)137Aと平羽根部材137Bが各ディスク部材136に一つずつ配置されている。
【0067】
また、隣接するディスク部材136では、送り羽根部材(処理対象物移送手段)137A、平羽根部材137Bが90°間隔で交互に配置されている。
なお、羽根部材137の配置、位置、数については、例えば、処理対象物の種類や回転軸132の回転速度等に基づいて任意に設定することが可能である。
【0068】
そして、回転軸132が回転すると、図9に示すように、ディスク回転体130に配置された送り羽根137Aが矢印S1で示す方向に回転する。
その結果、ケーシング120内の処理対象物は、図8図10に示すように、ケーシング120内において一方側Lから他方側Rに向かって矢印S2方向に移送されるように構成されている。
【0069】
回転軸駆動部140は、図5図6に示すように、例えば、回転軸132を回転駆動する駆動モータ142Mと、駆動伝達装置144と、軸受部材147と、シール部材148と、を備えている。
【0070】
駆動伝達装置144は、図5図6に示すように、例えば、駆動モータ142Mの駆動軸に連結された減速機145と減速機145の出力軸に配置されたスプロケット146Aと、回転軸132の一方側Lの端部に配置されたスプロケット146Cと、スプロケット146Aとスプロケット146Cとを接続するチェーン146Bとを備えている。
そして、駆動モータ142Mが発生した回転駆動力は、減速機145、スプロケット146A、チェーン146B、スプロケット146Cを介して回転軸132に伝達され、回転軸132を回転軸線O1の周りに回転するように構成されている。
【0071】
軸受部材147は、図5図6に示すように、例えば、回転軸132の一方側Lを回転可能に支持する第1軸受部材147Lと、他方側Rを回転可能に支持する第2軸受部材147Rと、を備えている。
【0072】
第1軸受部材147Lは、図5図6に示すように、回転軸132の一方側Lが挿入され、後述するケーシング傾動筒163L内に嵌挿されている。
そして、第1傾動ピローブロック164Lを介して、一方側Lの支持架台112の上部に配置されている。
【0073】
第2軸受部材147Rは、図5図6に示すように、回転軸132の他方側Rが挿入され、後述するケーシング傾動筒163R内に嵌挿されている。
そして、第2傾動ピローブロック164Rを介して、他方側Rの支持架台112の上部に配置されている。
このように構成されることで、回転軸132は、左右の支持架台112に対して回転することが可能となる。
【0074】
シール部材148は、図5図6に示すように、例えば、ケーシング120を挟んで一方側Lに配置される第1シール部材148Lと、他方側Rに配置される第2シール部材148Rと、を備えている。
具体的には、第1シール部材148Lは、例えば、第1端壁部123Lの一方側Lの外面に連結され、内周側に形成されたシール穴に、回転軸132が回転可能に挿入されている。そして、第1端壁部123Lの貫通穴123Hを介してケーシング120内と外部とを密封する構成とされている。
【0075】
また、第2シール部材148Rは、例えば、第2端壁部123Rの他方側Rの外面に連結され、内周側に内周側に形成されたシール穴に、回転軸132が回転可能に挿入されている。
そして、第2端壁部123Rの貫通穴123Hを介してケーシング120内と外部とを密封する構成とされている。
【0076】
かかる構成により、回転軸駆動部140は、回転軸132を支持架台112に対して回転軸線(軸線)O1周りに回転させることが可能とされるとともに、回転軸132がケーシング120(ケーシング本体122)に対して回転可能とされる。
その結果、ディスク集合体135が、ケーシング120内で回転することが可能となる。
【0077】
次に、図11図12を参照して、蓋部材開閉機構の概略構成について説明する。
図11は、第1実施形態に係るディスク型処理装置の蓋部材開閉機構の概略構成を説明する平面図であり、図12は、他方側Rから見た側面図である。
図において、符号154は開閉蓋支持部材を、符号158は蓋部材開閉操作部を示している。
【0078】
蓋部材開閉機構150は、図11図12に示すように、例えば、支柱部材151と、支柱部材151の上部に配置された軸受部材152と、開閉蓋支持部材154と、蓋部材開閉操作部158と、を備えている。
【0079】
開閉蓋支持部材154は、図11図12に示すように、例えば、蓋部材連結バー155と、基端側連結軸156と、先端側軸部材157と、を備えている。
【0080】
蓋部材連結バー155は、例えば、開閉蓋部材126の一方側Lと他方側Rの側面(軸線O1と直交する面)に配置される左右一対の蓋部材連結バー155L、155Rを備えている。
また、蓋部材連結レバー155L、155Rは、例えば、溶接等によって開閉蓋部材126の両側の側面に接続されている。
【0081】
基端側連結軸156は、図11図12に示すように、例えば、軸線O1と平行な軸線O2を中心とする軸部材とされており、軸線O2の一方側Lと他方側Rにおいて、蓋部材連結レバー155L、155Rの基端部と連結されている。
また、基端側連結軸156は、例えば、一方側Lと他方側Rにおいて、蓋部材連結レバー155L、155Rよりも軸線O2方向における外方において、軸受部材152に支持されている。
そして、基端側連結軸156は、軸線O2の周りに回動することが可能とされている。
【0082】
先端側軸部材157は、図11図12に示すように、例えば、軸線O1と平行な軸線O2を中心とする軸部材とされている。
そして、先端側軸部材157は、一方側Lと他方側Rの端部が、蓋部材連結バー155L、155Rの先端部と連結されている。
また、先端側軸部材157は、例えば、開閉蓋部材126の内方の軸線O1と対応する位置(開閉蓋部材126を閉じたときに軸線O1上に位置される箇所)に配置されている。
そして、先端側軸部材157には、図12に示すように、例えば、上述のへら状部材126Cが取付けられている。
【0083】
そして、開閉蓋支持部材154は、図11に示すように、例えば、平面視したときに、略矩形枠状に形成されている。
かかる構成により、開閉蓋支持部材154は、開閉蓋部材126を保持するために充分な強度が確保され、開閉蓋部材126を安定して保持することができる。
【0084】
蓋部材開閉操作部158は、図11図12に示すように、例えば、インライン減速機(減速手段)158Aと、操作ハンドル部158Bと、を備えている。
インライン減速機(減速手段)158Aは、入力軸と出力軸が、減速機構部を介して同軸上に配置された減速機であり、周知のものを適用することが可能である。
また、インライン減速機(減速手段)158Aの出力軸は、基端側連結軸156に連結されている。
【0085】
操作ハンドル部158Bは、インライン減速機(減速手段)158Aの入力軸に接続され、手動操作による操作力をインライン減速機(減速手段)158Aに入力するように構成されている。
そして、操作ハンドル158Bを回動して入力された操作力は、インライン減速機(減速手段)158Aの減速比に対応して増大する構成とされている。
【0086】
以上の構成により、蓋部材開閉機構150は、図12に示すように、例えば、操作ハンドル158Bを回動してインライン減速機(減速手段)158Aを駆動させると、基端側連結軸156が軸線O2周りに回動され、結果的に、開閉蓋支持部材154が軸線O2の周りに回動される。
その結果、開閉蓋部材126が、図12示すように、矢印T2方向に移動して、ケーシング本体122の開口部122Aが開閉される。
【0087】
次に、図5図6図13図14を参照して、ケーシング傾動機構の概略構成について説明する。
図13は、第1実施形態に係るディスク型処理装置のケーシング傾動機構の概略構成を説明する平面視した要部の拡大図であり、図14は、側面から見た拡大した部分断面図である。
図において、符号162(162L、162R)はケーシング保持ブラケットを、符号163(163L、163R)はケーシング傾動筒部材を、符号164(164L、164R)は傾動ピローブロックを、符号165は軸受部材本体を、符号167は傾動力伝達部を、符号168はケーシング傾動操作部を示している。
【0088】
ケーシング傾動機構160は、図5図6図13図14に示すように、例えば、ケーシング保持ブラケット162と、ケーシング傾動筒部材163と、軸受部材本体165と、傾動力伝達部167と、ケーシング傾動操作部168と、を備えている。
【0089】
ケーシング保持ブラケット162は、図5図13に示すように、処理装置本体110におけるケーシング120の一方側Lに配置される第1保持ブラケット162Lと、他方側Rに配置される第2保持ブラケット162Rと、を備えている。
【0090】
ケーシング傾動筒部材163は、図5図6図13図14に示すように、例えば、処理装置本体110の一方側Lに配置される第1筒部材163Lと、他方側Rに配置される第2筒部材163Rと、を備えている。
【0091】
ケーシング傾動筒部材163(163L、163R)は、図5図6図13図14に示すように、例えば、内方に軸線O1に沿った貫通穴が形成された略円筒状とされ、一方側Lと、他方側Rの端部にはフランジ部が形成されている。
そして、ケーシング傾動筒部材163(163L、163R)の貫通穴には、前述の軸受部材147(147L、147R)が嵌挿されている。
【0092】
また、軸受部材147(147L、147R)に回転軸132を嵌挿して、ケーシング傾動筒部材163(163L、163R)の貫通穴に配置したときに、回転軸132とケーシング傾動筒部材163(163L、163R)の貫通穴の内周面との間には間隙が形成され、回転軸132は、ケーシング傾動筒部材163(163L、163R)の貫通穴に配置したときに、ケーシング傾動筒部材163(163L、163R)は、回転軸132と相対的に回転可能とされている。
【0093】
第1保持ブラケット162Lは、図5図13に示すように、平面視略矩形の枠状に形成されていて、他方側Rの端部が、ケーシング本体122の一方側Lの端部に接続されている。
また、第1保持ブラケット162Lは、一方側Lの端部が、第1筒部材163Lの他方側Rの端部に接続されていている。
【0094】
第2保持ブラケット162Rは、図5図13に示すように、平面視略矩形の枠状に形成されていて、一方側Lの端部が、ケーシング本体122の他方側Rの端部に接続されている。
また、第2保持ブラケット162Rは、他方側Rの端部が、第2筒部材163Rの一方側Lの端部に接続されている。
【0095】
傾動ピローブロック164は、図5図6B図13図14に示すように、処理装置本体110の一方側Lに配置される第1傾動ピローブロック164Lと、他方側Rに配置される第2傾動ピローブロック164Rと、を備えている。
また、傾動ピローブロック164(164L、164R)は、内部に軸受部材本体165(165L、165R)を備えている。
【0096】
そして、第1傾動ピローブロック164Lは、第1筒部材163Lを回転可能に支持している。
具体的には、軸受部材本体165Lに第1筒部材163Lが嵌挿され、第1筒部材163Lが回転可能とされている。
また、第1傾動ピローブロック164Lは、第1軸受部材147Lを介して回転軸132の一方側Lを回転可能に支持している。
【0097】
また、第2傾動ピローブロック164Rは、第2筒部材163Rを回転可能に支持している。
具体的には、軸受部材本体165Rに第2筒部材163Rが嵌挿され、第2筒部材163Rが回転可能とされている。
また、第2傾動ピローブロック164Rは、第2軸受部材147Rを介して回転軸132の他方側Rを回転可能に支持している。
【0098】
このような構成により、傾動ピローブロック164は、ケーシング傾動筒部材163、ケーシング保持ブラケット162を介して、ケーシング120を回動可能に支持することとなる。
また、傾動ピローブロック164は、例えば、ケーシング傾動筒部材163(163L、163R)と回転軸132とが、互いに軸線O2の周りに独立して回転するのを可能としている。
【0099】
傾動力伝達部167は、図13に示すように、例えば、軸線O3の周りに回動する駆動側歯車167Aと、軸線O1の周りに回動する従動側歯車167Bと、を備えている。
また、駆動側歯車167Aと従動側歯車167Bは、互いの歯車が係合して、駆動力を伝達可能に構成されている。
また、従動側歯車167Bは、一方側Lの端部が第1筒部材163Lに接続されている。その結果、従動側歯車167Bは、第1筒部材163L、第1保持ブラケット162Lを介して、ケーシング本体122を回動させることが可能とされている。
【0100】
インライン操作部168は、図13図14に示すように、例えば、インライン減速機(減速手段)168Aと、操作ハンドル部168Bと、を備えている。
インライン減速機(減速手段)168Aは、入力軸と出力軸が、減速機構部を介して同軸上に配置された減速機であり、周知のものを適用することが可能である。
また、インライン減速機(減速手段)168Aの出力軸は、駆動側歯車167Aに接続され、操作力を駆動側歯車167Aに伝達可能とされている。
【0101】
操作ハンドル部168Bは、インライン減速機(減速手段)168Aの入力軸に接続され、手動操作による操作力を、インライン減速機(減速手段)168Aに伝達して軸線O3の周りに回動する構成とされている。
また、操作ハンドル168Bを回動して入力された操作力は、インライン減速機(減速手段)168Aの減速比に対応して増大する構成とされている。
【0102】
以上の構成により、ケーシング傾動機構160は、例えば、操作ハンドル168Bを回動してインライン減速機(減速手段)168Aを駆動させると、駆動側歯車167Aが軸線O3の周りに回動して従動歯車167Bが軸線O2の周りに回動される。
そして、第1筒部材163Lを介して第1保持ブラケット162Lが、軸線O1の周りに回動する。
その結果、回転軸132はそのままで、ケーシング本体122が軸線O1の周りに回動して、開口部122Aを下方に向けることが可能となる。
【0103】
次に、図15を参照して、排出口開閉機構の概略構成について説明する。
図15は、第1実施形態に係るディスク型処理装置の排出口開閉機構の概略を説明する概念図である。
【0104】
排出口開閉機構170は、排出口蓋部材128と連結するための連結部材(不図示)と、駆動手段(不図示)とを備えている。
そして、排出口開閉機構170は、図15に示すように、例えば、駆動手段(不図示)を作動させることにより、排出口蓋部材128を矢印T1方向に移動させることが可能とされている。
その結果、排出口蓋部材128は、製品排出口125Dに対して接近、離間して、製品排出口125Dを開閉することが可能とされている。
【0105】
開閉蓋部材126がケーシング本体122から離間されている状態で、排出口開閉機構170によって、排出口蓋部材128を製品排出口125Dから離間させて開いた状態とすることで、排出口蓋部材128がケーシング本体122から離れるとともに、ケーシング本体122との間に間隙が形成され、ケーシング本体122が軸線O1周りに傾動可能となる。
【0106】
次に、図16A図16Cを参照して、ディスク型処理装置100の動作の概略について説明する。
図16A図16Cは第1実施形態に係るディスク型処理装置の動作の概略を説明する概念図であり、図16Aは開閉蓋部材が閉塞された状態を、図16Bは開閉蓋部材が開いた状態を、図16Cはケーシング本体が傾動された状態を示している。
【0107】
(1)まず、例えば、図16Aに示すように、排出口開閉機構170によって排出口蓋部材128を矢印T3方向に移動させて、製品排出口125Dを開状態とする。
製品排出口125Dを開状態とすることで、排出口蓋部材128がケーシング本体122から離間される。
【0108】
(2)次に、図16Bに示すように、蓋部材開閉機構150を作動させて、ケーシング本体122から開閉蓋部材126を上方に向かって矢印T4方向に移動させて、開口部122Aを開いた状態とする。
その結果、開閉蓋部材126がケーシング本体122から離間して、ケーシング本体122の傾動が可能な状態となる。
【0109】
(3)次いで、図16Cに示すように、ケーシング傾動機構160を作動させて、ケーシング本体122を回転軸線O1の周りに矢印T5方向に回動して、開口部122Aが下方を向くようにケーシング本体122を傾動させる。
開口部122Aが下方を向くようにケーシング本体122を傾動させることにより、ケーシング本体122の周壁部125の内壁面は、地面に対する傾斜角度が、処理対象物の安息角よりも大きくなるように構成されている。
その結果、ケーシング本体122内に残留していた処理対象物は(不図示)は、ケーシング本体122の周壁部125の内壁面を滑り落ちて開口部122Aからケーシング本体122の外に排出される。
【0110】
第1実施形態に係るディスク型処理装置100によれば、ケーシング傾動機構160によって、開閉蓋部材126が外されたケーシング本体122を、開口部122Aが下方を向くように傾動させることで、ケーシング本体122内の処理対象物を開口部122Aから容易かつ効率的に排出させることができる。
その結果、ケーシング120内に処理対象物が残留するのを抑制することができる。
また、ディスク型処理装置100のケーシング120内の清掃性、洗浄性を向上させることができる。
【0111】
また、ディスク型処理装置100によれば、回転軸132と、回転軸132の周囲に軸線O1方向に間隔をあけて形成されたディスク部材136が配置され、送り羽根(処理対象物移送手段)137Aによって処理対象物を移送しながら処理(乾燥または冷却)するので、処理対象物を効率的かつ連続的に処理することができる。
【0112】
また、ディスク型処理装置100によれば、開閉蓋部材126を開閉可能に移動させる蓋部材開閉機構150を備えているので、人手によることなく、開閉蓋部材126を容易かつ効率的に開閉することができる。
【0113】
また、ディスク型処理装置100によれば、ケーシング傾動機構160が、回転軸O1と同軸の軸線の周りに回動させてケーシング本体122を傾動させるので、ケーシング本体122を傾動させる際のスペースが大きくなるのを抑制することができる。
その結果、ディスク型処理装置100の大型化を抑制して小型化することができる。
【0114】
また、ディスク型処理装置100によれば、ケーシング本体122に処理が完了した処理物を排出する製品排出口125Dが形成されていて、製品排出口125Dを開閉可能とする排出口蓋部材128を備えているので、排出口蓋部材128により製品排出口125Dを封止することにより、処理対象部が外部に漏れ出したり異物がケーシング120内に混入するのを抑制して処理装置本体110による処理をすることができる。一方、排出口蓋部材128を外して製品排出口125Dを開放することにより、ケーシング本体122との間隙を確保してケーシング120を容易に傾動可能な状態とすることができる。
【0115】
また、ディスク型処理装置100によれば、排出口蓋部材128と連結された排出口開閉機構170を備えていて、排出口開閉機構170は、排出口蓋部材128を製品排出口125Dから離間可能に構成されているので、ケーシング本体122から排出口蓋部材128を容易かつ効率的に外す(離間させる)ことができる。
【0116】
また、ディスク型処理装置100によれば、周壁部125がプレートコイルを用いて形成されているので、ケーシング本体122の強度を向上させることが可能であるとともに、軽量に形成することが可能となり、ケーシング本体122を容易に傾動させることができる。
【0117】
また、ディスク型処理装置100によれば、ケーシング傾動機構160が、ケーシング本体122を傾動するためのインライン減速機168Aを備えているので、ケーシング本体122を効率的に傾動させることが可能となる。また、ケーシング傾動機構160を小型化することができる。
【0118】
なお、上記の実施形態において記載した技術的事項については、上記実施形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0119】
例えば、上記実施の形態においては、ケーシング本体122の周壁部125が軸線O1方向に沿って見たときに、略U字形に形成されている場合について説明したが、ケーシング本体122の周壁部125の構成は任意に設定してもよい。
例えば、略U字形の周壁部に代えて、軸線O1に沿って見たときに、略J字形に形成されていてもよい。
【0120】
また、上記実施形態においては、ケーシング傾動機構160が、ケーシング本体122を回転軸132の回転軸線O1と同軸な軸線の周りに回動させて傾動する場合について説明したが、ケーシング本体122を回動させる場合の軸線は回転軸線O1に限定されることなく任意に設定することが可能である。
【0121】
また、上記実施形態においては、ケーシング傾動機構160が手動により操作される構成である場合について説明したが、ケーシング傾動機構160がモータ等の駆動源を備えていてもよく、手動操作とするか駆動源によって作動させるかどうかは任意に設定することが可能である。また、手動操作する場合の傾動機構(減速機)についてもインライン減速機168Aに限定されることなく任意に設定することが可能である。
【0122】
また、上記実施形態においては、蓋部材開閉機構150が開閉蓋部材126を手動操作で開閉する場合について説明したが、蓋部材開閉機構150を手動操作とするか駆動源によって作動させるかは任意に設定することが可能である。
また、手動操作する場合の開閉機構(減速機)についてもインライン減速機158Aに限定されることなく任意に設定することが可能である。
【0123】
また、上記実施形態においては、ケーシング本体122がプレートコイルを用いて形成されている場合について説明したが、ケーシング本体122を形成する際にプレートコイルを用いるかどうかは任意に設定することが可能である。
また、ケーシング本体122をプレートコイルを用いて形成する場合に、どの範囲にプレートコイルを用いるかは任意に設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明に係るディスク型処理装置によれば、処理対象物を開口部から容易かつ効率的に排出させることが可能とされ、ケーシング内に処理対象物が残留するのを抑制することができるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0125】
O1 回転軸線(軸線)
O2 蓋部材回動軸
100 ディスク型処理装置
110 処理装置本体
111 架台ベース
112 支持架台
120 ケーシング
122 ケーシング本体
123L 第1端壁部
123R 第2端壁部
125 周壁部
125D 製品排出口
126 開閉蓋部材
128 排出口蓋部材
130 ディスク回転体
132 回転軸
135 ディスク集合体
136 ディスク部材
137 羽根部材
137A 送り羽根部材(処理対象物移送手段)
140 回転軸駆動部
150 蓋部材開閉機構
160 ケーシング傾動機構
170 排出口開閉機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C