(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ヒートシンクを備えた電子機器ハウジング
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240927BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20240927BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20240927BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240927BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
H05K5/02 P
H05K5/00 A
H05K5/06 D
H05K7/20 E
H05K7/20 F
B60R16/02 610D
(21)【出願番号】P 2020517368
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(86)【国際出願番号】 US2018054113
(87)【国際公開番号】W WO2019070815
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-06-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-08
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513307933
【氏名又は名称】パーカー-ハネフィン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PARKER-HANNIFIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6035 Parkland Blvd. Cleveland, OH 44124 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】トロク,ピーター・ゼット
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】伊藤 隆夫
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-040815(JP,A)
【文献】特開2002-184921(JP,A)
【文献】特開2005-189453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00 - 5/06
H05K 7/20
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口及び反対側の第2の開口と、前記第1の開口に外接する凹状フランジと、前記フランジを取り囲む複数の弾性保持部材とを有する、ハウジング基部;及び
前記第1の開口を覆うように位置決めされたヒートシンクであって、前記ヒートシンクの外周を巡るように配置された縁部と、前記縁部から径方向内向きに配置された肩部とを有し、前記縁部は、前記複数の弾性保持部材を受承するための、前記複数の弾性保持部材に対応する複数の穿孔を有する、ヒートシンクと、
間隙充填性能を有し、前記ヒートシンクの内側リムに適用されたエラストマガスケットと、
を備える、電気ハウジング組立体であって、
前記肩部は、前記ハウジング基部の前記フランジに固定状態で係合する、電気ハウジング組立体。
【請求項2】
第1の開口及び反対側の第2の開口と、前記第1の開口に外接する凹状フランジと、前記フランジを取り囲む複数の穿孔とを有する、ハウジング基部;及び
前記第1の開口を覆うように位置決めされたヒートシンクであって、前記ヒートシンクの外周を巡るように配置された縁部と、前記縁部から径方向内向きに配置された肩部とを有し、前記縁部は、複数の弾性保持部材を有する、ヒートシンクと、
間隙充填性能を有し、前記ヒートシンクの内側リムに適用されたエラストマガスケットと、
を備える、電気ハウジング組立体であって、
前記ハウジング基部の前記複数の穿孔は、前記ヒートシンクの前記複数の弾性保持部材を受承するために配設され、前記ヒートシンクの前記肩部は、前記ハウジング基部の前記フランジに固定状態で係合する、電気ハウジング組立体。
【請求項3】
前記第1の開口と、反対側の前記第2の開口との間の空間は、プリント回路基板を前記ハウジング組立体内に受承するための受承用キャビティを画定する、請求項1又は2に記載の電気ハウジング組立体。
【請求項4】
前記ハウジング基部は、ポリマー材料を含み、前記ヒートシンクは金属材料を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気ハウジング組立体。
【請求項5】
前記ヒートシンクはアルミニウムからなる、請求項4に記載の電気ハウジング組立体。
【請求項6】
前記ヒートシンクの前記縁部に位置決めされた環境シールを更に備え、前記環境シールは、係合状態の前記縁部と前記フランジとの間で圧迫される、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気ハウジング組立体。
【請求項7】
前記エラストマガスケットは導電性である、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気ハウジング組立体。
【請求項8】
前記ヒートシンクは、前記ヒートシンクの外向き表面上に配設された、複数の離間した冷却フィンを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の電気ハウジング組立体。
【請求項9】
前記ヒートシンクは、前記ヒートシンクの内向き表面に、少なくとも1つの隆起したサーマルパッドを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の電気ハウジング組立体。
【請求項10】
前記少なくとも1つのサーマルパッドに適用された熱界面材料を更に含む、請求項9に記載の電気ハウジング組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に固定された電子機器から熱を放散させる又は伝達するためのヒートシンクを含む、ハウジング組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用センサは、車両の適切な動作を維持して安全性を強化するために、様々なデータを測定、監視及び制御する。強化される安全機能としては、死角検出、車線変更支援、適応クルーズコントロール、車線逸脱警告、ブレーキ支援及び衝突回避、駐車支援等が挙げられる。電子センサユニットは典型的には、熱、湿気、振動といった非常に厳しい条件にさらされる。
【0003】
従来の車両用電子センサユニットは、プラスチック又は金属製ハウジング、上記ハウジング内のプリント回路基板(PCB)、ヒートシンクプレート、及び車両のワイヤハーネスに接続されるコネクタを有する。上記ヒートシンクプレートは、車両の動作中にPCBが生成する熱を逃がすために、PCBに取り付けられる。
【0004】
自動車両の動作に採用されるセンサの個数が増大するに従って、個々のセンサの電力要件も増大する。その結果、センサユニットのための放熱の強化が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本記載は、電気ハウジング組立体に関し、これは、第1の態様において:第1の開口及び反対側の第2の開口と、上記第1の開口に外接する凹状フランジと、上記フランジを取り囲む複数の弾性保持部材とを有する、ハウジング基部;上記複数の弾性保持部材を受承するための、上記複数の弾性保持部材に対応する複数の穿孔を有する、環状リテーナ;及び上記第1の開口を覆うように位置決めされたヒートシンクであって、上記ヒートシンクの外周を巡るように配置された縁部を有する、ヒートシンクを含み、上記縁部は、係合状態の上記リテーナと上記ハウジング基部の上記フランジとの間に保持される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、上記ハウジング基部はポリマー材料であり、上記ヒートシンクは、アルミニウム等の金属材料で構成される。
【0007】
上記ヒートシンクの上記縁部に環境シールが位置決めされ、上記環境シールは、係合状態の上記縁部と上記フランジとの間で圧迫される。
【0008】
上記ハウジング基部上の各上記弾性保持部材は、遠位端に外向きの突起を含む。上記弾性保持部材は、上記リテーナに対して付与されるスナップイン挿入力に応答して、初期位置から外向きに移動し、上記リテーナリングが上記ハウジング基部及び上記ヒートシンクの上記縁部に当接した後、上記初期位置へと戻る。
【0009】
エラストマガスケットを上記ヒートシンクの内側リムに適用してよい。一実施形態では、上記エラストマガスケットは導電性である。
【0010】
上記ヒートシンクは、上記ヒートシンクの外向き表面上に配設された、複数の離間した冷却フィンを含んでよい。上記ヒートシンクはまた、上記ヒートシンクの内向き表面に、少なくとも1つの隆起したサーマルパッドを含んでよい。熱界面材料(thermal interface material:TIM)を上記少なくとも1つのサーマルパッドに適用してよい。
【0011】
別の態様では、電気ハウジング組立体が提供され、これは:第1の開口及び反対側の第2の開口と、上記第1の開口に外接する凹状フランジと、上記フランジを取り囲む複数の弾性保持部材とを有する、ハウジング基部;及び上記第1の開口を覆うように位置決めされたヒートシンクであって、上記ヒートシンクの外周を巡るように配置された縁部と、上記縁部から径方向内向きに配置された肩部とを有する、ヒートシンクを含み、上記縁部は、上記複数の弾性保持部材を受承するための、上記複数の弾性保持部材に対応する複数の穿孔を有し、上記肩部は、上記ハウジング基部の上記フランジに固定状態で係合する。
【0012】
別の態様では、電気ハウジング組立体が提供され、これは:第1の開口及び反対側の第2の開口と、上記第1の開口に外接する凹状フランジと、上記フランジを取り囲む複数の穿孔とを有する、ハウジング基部;及び上記第1の開口を覆うように位置決めされたヒートシンクであって、上記ヒートシンクの外周を巡るように配置された縁部と、上記縁部から径方向内向きに配置された肩部とを有する、ヒートシンクを含み、上記縁部は、複数の弾性保持部材を有し、上記ハウジング基部の上記複数の穿孔は、上記ヒートシンクの上記複数の弾性保持部材を受承するために配設され、上記ヒートシンクの上記肩部は、上記ハウジング基部の上記フランジに固定状態で係合する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明による例示的なハウジング組立体の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のハウジング組立体の例示的なヒートシンクの上面の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1のハウジング組立体の基部の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1のハウジング組立体のリテーナの斜視図である。
【
図8】
図8は、穿孔の内部を示す、
図6のリテーナの断面図である。
【
図9】
図9は、ヒートシンクとハウジング基部との境界に環境シールを有する、
図2のヒートシンクの部分斜視図
【
図11】
図11は、ヒートシンクのサーマルパッドにTIMが適用された、
図3のヒートシンクの斜視図である。
【
図12】
図12は、
図1の組立体のヒートシンク‐ハウジング積層体の斜視図である。
【
図13】
図13は、境界面に環境シールを有する、
図12のヒートシンク‐ハウジング積層体の部分断面図である。
【
図14】
図14は、環状リテーナが設置用位置にある、
図12のヒートシンク‐ハウジング積層体の斜視図である。
【
図15】
図15は、組み立て前の状態における、
図1のハウジング組立体の構成部品の部分断面図である。
【
図16】
図16は、リテーナがハウジング基部にスナップフィットされた、
図15の組立体の部分断面図である。
【
図19】
図19は、本発明による別の例示的なハウジング組立体の斜視図である。
【
図23】
図23は、組み立て前の状態における、
図19のハウジング組立体の構成部品の部分断面図である。
【
図24】
図24は、ヒートシンクがハウジング基部にスナップフィットされた、
図19の組立体の部分断面図である。
【
図26】
図26は、基部が複数の穿孔を含むハウジング組立体のある実施形態の基部の斜視図である。
【
図27】
図27は、
図26の基部の複数の穿孔に対応する複数の弾性タブを含む例示的なヒートシンクの底面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に記載のハウジング組立体は、改善された環境シールを提供しながら、ハウジング内に固定された電子機器、例えばプリント回路基板(PCB)から熱を伝達するよう構成される。
【0015】
図1を参照すると、例示的なハウジング組立体100は、基部200と、ヒートシンク300と、ヒートシンク300を所定の位置に固定するために基部200にスナップフィットされたリテーナ400とを含む。
【0016】
図2、3は、例示的なヒートシンク300を示す。ヒートシンク300は板状体301を有し、これは、上面302、底面304、及び環状縁部306を画定する。複数のフィン308は上面302に形成され、板状体301から外向きに延在する。フィン308は平行であり、板状体301の長さに沿って離間している。フィン308は、板状体301と一体として形成される。底面304は、PCB(図示せず)に設置された電子機器を冷却するための1つ以上のサーマルパッド310を含む。
【0017】
ヒートシンク300は、金属製ヒートシンクであってよい。この金属は、限定するものではないが、アルミニウム、銅、合金等であってよい。金属の選択によって、熱伝達に加えて電磁干渉(electromagnetic interference:EMI)シールドを提供できる。ヒートシンク300は、金属打ち抜き加工、ダイキャスト、押出成形、粉体金属及び射出成形を含むがこれらに限定されない、多様な技法を用いて製造してよい。一実施形態では、ヒートシンクはダイキャストアルミニウム製である。
【0018】
図4、5を参照すると、ハウジング基部200は概ね長方形であり、凹状開口204と、凹状開口204を取り囲む複数の弾性タブ206とを含む、上面202を有する。タブ206は上面203上に一体として形成され、凹状開口204の水平(x‐y)平面から上向きに(z方向に)延在する。各タブ206は遠位端に突起207を有し、突起207は、凹状開口204の反対側を向いている。環状フランジ208は、凹状開口204を取り囲む。凹状開口204及び環状フランジ208の寸法は、ヒートシンク300に対応する。
【0019】
一般に、ハウジング基部は、PCB(図示せず)及び対応する外部コネクタ、例えば車両のワイヤハーネス(図示せず)と協働する接続要素(図示せず)を含むことになる。
【0020】
図6、7を参照すると、リテーナ400は、ハウジング組立体内でヒートシンク300を基部200に固定するために使用される。環状リテーナ400は、基部200上の複数のタブ206に対応する複数の穿孔402を含む。穿孔402は長方形の形状を有するものとして図示されているが、基部のタブ206及び突起207を収容するいずれの形状のものであってよい。
図8に示すように、穿孔402の内部表面は、ヒートシンクの設置中にタブ206の曲げを促進する、1つ以上の傾斜付き側壁404等の特徴部分を含むように構成してよい。
【0021】
環状リテーナ400は、ヒートシンク300の外周全体をめぐる、高密度のスナップ用特徴部分を提供する。更に、組み立ては、圧力を単に印加するだけで極めて効率的に実施される。環状リテーナ400は射出成形によって製造できる。
【0022】
ハウジング基部200及びリテーナ400はポリマー材料で構成され、上記ポリマー材料は、混合物又は他の混和物であってよく、熱可塑性又は熱硬化性であってよく、具体的には、動作温度、硬度、化学的適合性、弾性、順応性、圧縮‐たわみ、圧縮永久歪み、可撓性、変形後の回復能力、弾性率、引張強度、伸び、力の逃げ、可燃性、又はその他の化学的若しくは物理的特性のうちの1つ以上に応じて選択してよい。用途に応じて、好適な材料としては、特に、ポリウレタン、シリコーン、フルオロシリコーン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル(EVA)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)、ポリスルホン、アクリル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリオレフィン、ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、フルオロポリマー、ポリエステル、アセタール、液晶ポリマー、ポリメチルアクリレート、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン、エポキシ、フェノール、クロロスルホン酸、ポリブタジエン、ブナN、ブチル、ネオプレン、ニトリル、ポリイソプレン、天然ゴム、並びに共重合ゴム(スチレン‐イソプレン‐スチレン(SIS)、スチレン‐ブタジエン‐スチレン(SBS)、エチレン‐プロピレン(EPR)、エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマー(EPDM)、ニトリル‐ブタジエン(NBR)、及びスチレン‐ブタジエン(SBR)等)、並びにこれらのコポリマー及び混合物が挙げられる。上述の材料のいずれを、発泡させずに、又は用途によって必要とされる場合は、ブロー成形若しくはその他の化学的若しくは物理的加工によって連続気泡若しくは独立気泡の発泡体として、使用してよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、ハウジングの基部及びリテーナの成分は、EMIシールド特性を有してよい。これらの実施形態に関して、基部及びリテーナは、樹脂、プラスチック、エラストマ、又は他のポリマー成分と、導電性の微粒子状フィラー成分との混合物又は他の混和物を含んでよい。
【0024】
上記ポリマー成分は一般に、導電性微粒子状フィラーを離散相として分散させることができる材料中に、バインダ、又は他の連続相若しくはマトリクス相を形成できる。上記フィラーは一般に、意図された用途にとって望ましいレベルの導電性を提供するために十分な比率で、上記バインダ内に含まれる。大半の用途に関して、約1,000Ω・cm以下のバルク若しくは体積抵抗率、及び/又は約1000Ω/sq以下の表面抵抗率が許容可能なものと見なされ、これはフィラーの装入量に変換され、上記装入量は、場合によって化合物の総体積又は総重量に基づいて概ね約5~95重量%となり得る。
【0025】
一般に、フィラーはいずれの形状又は複数の形状の組み合わせであってよく、本明細書中では広く「微粒子状(particulate)」と呼ばれるが、これは、中実又は中空の球又は微小球、エラストマのバルーン、フレーク、小板、繊維、ロッド、不規則形状粒子、繊維(これは細断若しくは粉砕されていてよく、又はウィスカであってよい)、及び粉体を含むものとして理解されるものとする。多くの用途に関して、フィラーの粒径又は分布(これは、微粒子の直径、補完された直径(imputed diameter)、長さ、又は他の寸法であってよい)は、典型的には、粉体に関して約0.01ミル(0.25μm)~約10ミル(250μm)、繊維に関して約0.004インチ(0.1mm)~約1インチ(25mm)となる。
【0026】
好適な導電性フィラーとしては:炭素、グラファイト、及び本質的に、即ち内因的に導電性のポリマーといった、非金属;金、銀、ニッケル、銅、スズ、アルミニウム、及びニッケル等の貴金属及び非貴金属;金又は銀でめっきされた銅、ニッケル、又はアルミニウム、及びスズ又はニッケルでめっきされた銅、銀、ビスマス、インジウム、及び鉛等の貴金属又は非貴金属で、めっき、クラッディング、金属化、又はその他のコーティングを施された貴金属及び非貴金属;金、銀及び/又はニッケルでめっき又はクラッディングされたグラファイト、即ち金でめっきされニッケルでクラッディングされたグラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック、エラストマ、及びマイカ等の、貴金属又は非貴金属でコーティングされた非金属;非金属でコーティングされた金属及び非金属;並びにこれらの組み合わせ及び混合物が挙げられる。導電性フィラーは、具体的には、導電性、樹脂の要件、硬度、例えばポリマー成分との化学的適合性、及びコストのうちの1つ以上に応じて選択してよい。コーティングの場合、コーティングは、同一の材料の1つ以上の層、又は異なる材料の複数の層で形成されていてよい。
【0027】
想定される特定の用途の要件に応じて、材料の処方に追加のフィラー及び添加剤が含まれていてもよい。このようなフィラー及び添加剤は、官能性又は不活性であってよく、湿潤剤又は界面活性剤、分散剤、染料及び他の着色料、乳白剤、発泡剤又は消泡剤、帯電防止剤、チタン酸塩等の結合剤、連鎖延長オイル(chain extending oil)、粘着性付与剤、流動性改良剤、顔料、二硫化モリブデン(MoS2)等の潤滑剤、シラン、過酸化水素、膜補強ポリマー、並びに他の作用剤、安定剤、乳化剤、抗酸化剤、増粘剤、及び/又は難燃剤、並びに他のフィラー、例えばアルミニウム三水和物、三酸化アンチモン、金属酸化物及び塩、インターカレートグラファイト粒子、リン酸エステル、デカブロモジフェニルオキシド、ホウ酸塩、リン酸塩、ハロゲン化合物、ガラス、シリカ(ヒュームドシリカであっても結晶質であってもよい)、シリケート、マイカ、セラミック、及びガラス又はポリマー微小球を含んでよい。典型的には、これらのフィラー及び添加剤は、上記処方又はそのポリマー成分と混合又は混和してよく、処方の総体積の約0.05~80%以上を構成してよい。
【0028】
図9、10を参照すると、ヒートシンク300を基部200に設置する前に、縁部306の下側307に環境シール500を適用する。環境シール500は、事前に形成されたガスケット、又は環状縁部306全体に適用される分注されたエラストマ材料であってよい。一実施形態では、環境シールはシリコーン系ゲルを含む。
【0029】
図11を参照すると、熱界面材料(TIM)504をサーマルパッド310の表面に適用することにより、PCB(図示せず)からヒートシンク300への熱伝達を促進する。TIMは例えば、分注されたサーマルペースト又はサーマルゲルであってよい。あるいはTIMは、事前に切断され、圧力感受性の接着剤で取り付けられた、間隙用パッドであってよい。
【0030】
図10に示すように、導電性ガスケット502又はガスケット様材料を、ヒートシンクの下側リム305に適用してよい。導電性ガスケット又はガスケット様材料502は、間隙充填性能を提供する弾性コア要素を有するガスケットの形態で提供でき、このコア要素は、導電性要素が装入されていてよく、導電性要素で被覆されていてよく、又は導電性要素でコーティングされていてよい。発泡していてもしていなくてもよい、中実又は管状の弾性コア要素は、典型的には、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレン‐EPDM混合物、又はブタジエン、スチレン‐ブタジエン、ニトリル、クロロスルホン酸塩、ネオプレン、ウレタン、シリコーン若しくはフルオロシリコーン等の熱可塑性若しくは熱硬化性ゴムで、成形、押出成形、ダイカット、又はその他の方法で形成できる。
【0031】
フィラー、被覆、又はコーティングのための導電性材料としては、金属又は金属めっき粒子、布地、メッシュ、及び繊維が挙げられる。好ましい金属としては、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、又はモネル等の合金が挙げられ、好ましい繊維及び布地としては、綿、ウール、シルク、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン、ポリイミドといった天然又は合成繊維が挙げられる。炭素、グラファイト、めっきガラス、又は導電性ポリマー材料といった他の導電性粒子及び繊維で代用してもよい。あるいは、ガラスケットは、全金属製編み線構造のものとなるように、又は硬化性かつ導電性のシリコーン若しくはウレタン組成物のオーバーモールド若しくはインプレース成形(formed‐in‐place:FIP)ビーズとして、提供してもよい。FIP構造に関しては、上記組成物を流動状態で一方又は他方の表面上へと分注した後、熱の印加によって、又は大気中の湿気、UV、放射線、若しくは他のエネルギ源によって、その場で硬化又は発泡させてよい。
【0032】
図12、13を参照すると、事前に適用された環境シール500を備えたヒートシンク300は、基部200の凹状開口204内へと組み込まれる。ヒートシンク300の長さ及び幅は、凹状開口204の寸法に対してクリアランスを有する。環境シール500が適用されたヒートシンクの縁部306は、基部200の環状フランジ208に係合する。
【0033】
図14~16を参照すると、ヒートシンク300を基部200に組み込む際、リテーナ400を、基部200のタブ206を覆うように配置し、穿孔402を対応するタブ206と整列させる。組み立て前位置P
1では、タブ206は、スナップイン挿入力がリテーナ400に印加されるのに応答して、初期位置から離れるように内向きに曲がる。
図16の組み立て後位置P
2で示されるように、リテーナ400が基部200及びヒートシンクの縁部306と当接すると、タブ206はその初期位置に戻り、ここで突起207がリテーナ400の上面と把持係合する。スナップイン位置では、リテーナ400は、ヒートシンクの縁部306と環状フランジ208との間の環境シール500を圧迫する。ヒートシンクの外周全体をめぐるスナップ特徴部分は、環境シールの極めて均一な圧迫を提供する。
【0034】
図17を参照すると、ヒートシンク300及び基部200の長さ及び幅寸法に組み込まれたクリアランス(c
1、c
2)により、金属製のヒートシンク300とプラスチック製の基部200との間の熱膨張係数(CTE)のミスマッチを、割れ又はシールの分離による破損を伴わずに許容できる。
【0035】
図18に示すように、ハウジング組立体100は、PCB(図示せず)を受承するための受承用空間210を含む。TIM504が適用されたサーマルパッド310は、熱生成部品から熱を伝達するために、PCB上の熱生成部品と整列してこれに接触するように位置決めされる。サーマルパッドの位置及びサイズを、ハウジング組立体内に格納されるように、PCBの特定の特徴部分に対して調整してよい。
【0036】
図19を参照すると、代替的なハウジング組立体600は、基部200及びヒートシンク620を含み、ヒートシンク620は、ヒートシンク620を基部200にスナップフィットさせるためのリテーナ特徴部分を有する。基部200については上述されており、
図4、5に図示されている。
【0037】
図20、21は、ヒートシンク620を示す。ヒートシンク620は板状体621を有し、これは上面622、底面623、及び環状リテーナ縁部627を画定する。環状リテーナ縁部627は、基部200上の複数のタブ206に対応する複数の穿孔628を含む。穿孔628は長方形の形状を有するものとして図示されているが、基部のタブ206及び突起207をその上に収容するいずれの形状のものであってよい。
図22に示すように、穿孔628の内部表面は、ヒートシンクの設置中にタブ206の曲げを促進する、1つ以上の傾斜付き側壁629等の特徴部分を含むように構成してよい。複数のフィン625は上面622に形成され、板状体621から外向きに延在する。フィン625は平行であり、板状体621の長さに沿って離間している。フィン625は、板状体621と一体として形成される。底面623は、環状縁部627から径方向内側に配置された肩部624を含む。底面は、PCB(図示せず)に設置された電子機器を冷却するための1つ以上のサーマルパッド626を含む。
【0038】
ヒートシンク620は、金属製ヒートシンクであってよい。この金属は、限定するものではないが、アルミニウム、銅、合金等であってよい。金属の選択によって、熱伝達に加えて電磁干渉(EMI)シールドを提供できる。ヒートシンク620は、金属打ち抜き加工、ダイキャスト、押出成形、粉体金属及び射出成形を含むがこれらに限定されない、多様な技法を用いて製造してよい。一実施形態では、ヒートシンクはダイキャストアルミニウム製である。
【0039】
図22を参照すると、ヒートシンク620を基部200上に設置する前に、肩部624に環境シール500を適用する。環境シール500は、事前に形成されたガスケット、又は肩部624全体に適用される分注されたエラストマ材料であってよい。一実施形態では、環境シールはシリコーン系ゲルを含む。
【0040】
図23を参照すると、事前に形成された環境シール500を有するヒートシンク620を、基部200のタブ206を覆うように配置し、穿孔628を対応するタブ206と整列させる。
図24の組み立て後位置で示されるように、突起207は保持用縁部627の上面と把持係合する。スナップイン又は固定位置では、環境シール500が、肩部624と基部200の環状フランジ208との間で圧迫される。ヒートシンクの外周全体をめぐるスナップ特徴部分は、環境シールの極めて均一な圧迫を提供する。ヒートシンク620及び基部200の長さ及び幅寸法に組み込まれたクリアランス(c
3、c
4)により、金属製のヒートシンク620とプラスチック製の基部200との間の熱膨張係数(CTE)のミスマッチを、割れ又はシールの分離による破損を伴わずに許容できる。
【0041】
図25に示すように、ハウジング組立体600は、PCB(図示せず)を受承するための受承用空間630を含む。TIM504が適用されたサーマルパッド626は、熱生成部品から熱を伝達するために、PCB上の熱生成部品と整列してこれに接触するように位置決めされる。サーマルパッドの位置及びサイズを、ハウジング組立体内に格納されるように、PCBの特定の特徴部分に対して調整してよい。
【0042】
図26、27に示されている更なる実施形態では、ハウジング基部700は、凹状開口704と、凹状開口704を取り囲む複数の穿孔706とを含む、上面702を有する。ヒートシンク720は、上面722及び底面723、並びに環状リテーナ縁部727を有する。環状リテーナ縁部727は、複数の弾性タブ728を含む。ハウジング基部700の複数の穿孔706は、ヒートシンク720上の複数のタブに対応する。上述のように、穿孔706は、タブ728及び突起をその上に収容するいずれの形状のものであってよい。電子ハウジング組立体のヒートシンク及びハウジング基部の他の特徴部分については上述されている場合がある。
【0043】
従来のハウジング組立体に比べて、本明細書に記載の電子ハウジング組立体は、ヒートシンクの重量の削減及び容易な設置を提供し、また金属製ヒートシンク及びプラスチック製ハウジング基部の異なる熱膨張特性を順応させる能力により、密着した環境シールを提供する。
【0044】
特定の1つ以上の実施形態に関して本発明を図示及び説明したが、本明細書及び添付の図面を読んで理解すれば、同等の代替形態及び修正形態が当業者に想起されるであろうことは明らかである。特に、上述の要素(構成部品、組立体、デバイス、組成物等)によって実現される様々な機能に関して、このような要素を説明するために使用されている用語(「手段(means)」に関する言及を含む)は、特段の記載がない限り、記載されている要素の具体的な機能を実現する(即ち機能的に同等の)いずれの要素に対応することを意図したものであり、上記いずれの要素は、本明細書中で例示されている本発明の1つ以上の例示的実施形態において該機能を実現する開示されている構造と、構造的に同等でない場合さえある。更に、例示されている複数の実施形態のうちの1つ又はいくつかだけに関して、本発明の特定の特徴を上で説明している場合があるが、いずれの所与の又は特定の用途にとってそれが望ましくかつ有利となり得る場合には、該特徴を他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせることもできる。