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特許7561620繊維製品用液体洗浄剤及び容器入り液体洗浄剤製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】繊維製品用液体洗浄剤及び容器入り液体洗浄剤製品
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/29 20060101AFI20240927BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C11D1/29
C11D17/08
C11D1/14
C11D1/22
C11D3/20
C11D1/722
C11D1/72
C11D1/04
C11D17/04
C11D3/22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020541315
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(86)【国際出願番号】 JP2019035174
(87)【国際公開番号】W WO2020050399
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2018168016
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】小熊 知美
(72)【発明者】
【氏名】小倉 弘嗣
(72)【発明者】
【氏名】花田 真一
(72)【発明者】
【氏名】山口 由佳
(72)【発明者】
【氏名】立川 将史
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-214568(JP,A)
【文献】特開2017-160381(JP,A)
【文献】特表2018-517028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0325814(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分と、
下記(B)成分とを含む繊維製品用液体洗浄剤であって、
前記(A)成分が下記LASのみからなる場合、LASの含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して15質量%超であり、
前記(B)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して3~20質量%であり、
下記(C)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して5質量%未満であり、
下記(D)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して10質量%未満であり、
界面活性剤(但し、石鹸を除く)の総質量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して30質量%以下であり、
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.2~5である、繊維製品用液体洗浄剤。
(A)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、アルキル硫酸エステル又はその塩(AS)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、及びアルカンスルホン酸又はその塩(SAS)からなる群から選ばれる1種以上。
(B)成分:糖アルコール。
(C)成分:下記一般式(c-1)で表される化合物。
(D)成分:クエン酸。
-O-[(EO)/(PO)]-R ・・・(c-1)
式(c-1)中、Rは炭素数6~22の炭化水素基であり、Rは水素原子、アルキル基又はアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、sはEOの平均繰り返し数を表し、3~15の数であり、tはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数である。
【請求項2】
前記(A)成分がポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩であり、前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.2~5である、請求項1に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
【請求項3】
前記(B)成分が、グリセリン及びソルビトールの少なくとも一方である、請求項1又は2に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
【請求項4】
下記(E)成分をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
(E)成分:石鹸。
【請求項5】
繊維製品にふりかけて用いる、請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維製品用液体洗浄剤がスクイズ容器に収容された、容器入り液体洗浄剤製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用液体洗浄剤及び容器入り液体洗浄剤製品に関する。
本願は、2018年9月7日に、日本に出願された特願2018-168016号、に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
液体洗浄剤は、衣類等の繊維製品に付着した汚れに直接塗布できるため、落ちにくい部分的な皮脂汚れや油汚れの除去において効果を発揮しやすい。
特許文献1には、特定のノニオン界面活性剤(オキシエチレン基の平均付加モル数が5~8であるポリオキシエチレンアルキルエーテル)を含む液体洗浄剤を、皮脂による黒ずみ汚れに塗布し、5分間放置した後に、粉末洗剤を含む洗浄液で洗濯した例が記載されている。
特許文献2には、特定のノニオン界面活性剤(オキシエチレン基の平均付加モル数が2~50であるポリオキシエチレンアルキルエーテル)を含む液体洗浄剤を、紅茶による汚れに塗布した後に、水で洗濯した例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-132898号公報
【文献】特開2009-263464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2の方法は必ずしも充分ではなく、さらなる洗浄力の向上が求められる。
そこで本発明者等は洗浄力の向上を期待して、特許文献1の液体洗浄剤を汚れ部分に塗布してから洗濯するまでの放置時間を長くしたところ、汚れ部分が洗濯前よりも拡がってしまうことを知見した。そのため、従来の液体洗浄剤では、汚れ部分に塗布した後、すぐに洗浄処理する必要がある。
また、液体洗浄剤には、液体の状態を維持できる安定性(液安定性)が要求される。
【0005】
本発明は、液安定性が良好で、洗浄力に優れ、被洗物に塗布してから放置したときの汚れの拡がりを抑える効果(汚れの拡がり防止性)に優れる繊維製品用液体洗浄剤及び容器入り液体洗浄剤製品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記(A)成分と、
下記(B)成分とを含む繊維製品用液体洗浄剤であって、
前記(A)成分が下記LASのみからなる場合、LASの含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して15質量%超であり、
前記(B)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して3~20質量%であり、
下記(C)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して5質量%未満であり、
下記(D)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して10質量%未満であり、
界面活性剤(但し、石鹸を除く)の総質量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して30質量%以下であり、
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.2~5である、繊維製品用液体洗浄剤。
(A)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、アルキル硫酸エステル又はその塩(AS)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、内部オレフィンスルホン酸又はその塩のオレフィン体(IOS)及びヒドロキシ体(HAS)並びにアルカンスルホン酸又はその塩(SAS)からなる群から選ばれる1種以上。
(B)成分:糖アルコール。
(C)成分:下記一般式(c-1)で表される化合物。
(D)成分:クエン酸。
-O-[(EO)/(PO)]-R ・・・(c-1)
式(c-1)中、Rは炭素数6~22の炭化水素基であり、Rは水素原子、アルキル基又はアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、sはEOの平均繰り返し数を表し、3~15の数であり、tはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数である。
[2] 前記(A)成分がポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩であり、前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.2~5である、繊維製品用液体洗浄剤。
[3] 前記(B)成分が、グリセリン及びソルビトールの少なくとも一方である、[1]又は[2]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[4] 下記(E)成分をさらに含む、[1]~[3]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
(E)成分:石鹸。
[5] 前記(E)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して0.1~3.0質量%である、[4]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[6] 前記(E)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して0.5~1.5質量%である、[5]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[7] 前記(A)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して4質量%以上である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[8] 前記(A)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して7~25質量%である、[7]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[9] 前記(A)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して10~20質量%である、[8]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[10] 前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.5~3である、[1]~[9]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[11] 前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.8~2である、[10]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[12] 全界面活性剤/前記(C)成分で表される質量比が5以上である、[1]~[11]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[13] 全界面活性剤/前記(C)成分で表される質量比が15以上である、[12]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[14] 前記(A)成分が、下記一般式(a-1)で表される化合物である、[1]~[13]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
-O-[(EO)/(PO)]-SO ・・・(a-1)
式(a-1)中、Rは炭素数8~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、kはEOの平均繰り返し数を表し、0以上の数であり、nはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、Mは対カチオンである。
[15] 前記式(a-1)中のRが炭素数12及び14の直鎖のアルキル基であり、kが1であり、nが0であり、Mがナトリウムである、[14]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[16] 前記(C)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して1質量%以下である、[1]~[15]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[17] 前記(C)成分を含まない、[16]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[18] 前記(D)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して5質量%以下である、[1]~[17]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[19] 前記(D)成分の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して1質量%以下である、[18]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[20] 前記(D)成分を含まない、[19]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[21] 界面活性剤の総質量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して5~25質量%である、[1]~[20]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[22] 前記(A)成分及び前記(C)成分以外の界面活性剤(他の界面活性剤)の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して10質量%以下である、[1]~[21]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[23] 前記他の界面活性剤の含有量が前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して1質量%以下である、[22]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[24] 前記他の界面活性剤を含まない、[23]に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[25] 前記繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して水を50~85質量%含む、[1]~[24]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[26] 繊維製品にふりかけて用いる、[1]~[25]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[27] [1]~[26]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤がスクイズ容器に収容された、容器入り液体洗浄剤製品。
[28] [1]~[26]のいずれか1つに記載の繊維製品用液体洗浄剤を繊維製品に塗布し、30分以上放置した後に、水又は新たな洗浄剤を含む洗浄液と接触させて洗浄処理を行う、繊維製品の洗濯方法。
[29] 前記繊維製品用液体洗浄剤を前記繊維製品にふりかけて、前記繊維製品用液体洗浄剤を前記繊維製品に塗布する、[28]に記載の繊維製品の洗濯方法。
[30] スクイズ容器に収容された前記繊維製品用液体洗浄剤をシャワー状に前記繊維製品にふりかける、[29]に記載の繊維製品の洗濯方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液安定性が良好で、洗浄力に優れ、被洗物に塗布してから放置したときの汚れの拡がりを抑える効果に優れる繊維製品用液体洗浄剤及び容器入り液体洗浄剤製品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、洗濯される繊維製品を「被洗物」ともいう。
【0009】
「液体洗浄剤」
本発明の繊維製品用液体洗浄剤(以下、単に「液体洗浄剤(α)」ともいう。)は、以下に示す(A)成分及び(B)成分を含む組成物である。液体洗浄剤(α)は、任意で、以下に示す(C)成分、(D)成分、(E)成分及び水のうちの1つ以上をさらに含んでいてもよい。
【0010】
<(A)成分>
(A)成分は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、アルキル硫酸エステル又はその塩(AS)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、内部オレフィンスルホン酸又はその塩のオレフィン体(IOS)及びヒドロキシ体(HAS)並びにアルカンスルホン酸又はその塩(SAS)からなる群から選ばれる1種以上である。
これらの中でも、(A)成分としてはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩が好ましい。
【0011】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、下記一般式(a-1)で表される化合物(以下、「化合物(a-1)」という。)が挙げられる。
-O-[(EO)/(PO)]-SO ・・・(a-1)
式(a-1)中、Rは炭素数8~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、kはEOの平均繰り返し数を表し、0以上の数であり、nはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、Mは対カチオンである。
式(a-1)におけるk=0であり、かつn=0である成分(a0)の含有量は、(A)成分の総質量に対して35~55質量%であることが好ましい。
【0012】
は、炭素数10~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数12~14の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
kは0~5が好ましく、0.1~2がより好ましく、0.5~2がさらに好ましく、0.5~1.5が特に好ましい。
nは0~3が好ましく、0がより好ましい。
k+nは0超の数が好ましく、1~5がより好ましい。
k及びnがそれぞれ0でない場合、つまり化合物(a-1)がEOとPOとの両方を有する場合、[(EO)/(PO)]において、EOとPOとはブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されていてもよい。EOとPOとをブロック状に付加する方法としては、例えば、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入する方法、プロピレンオキシドを導入した後にエチレンオキシドを導入する方法が挙げられる。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの付加モル数分布は特に限定されない。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸の塩としては、ナトリウム、カリウム等とのアルカリ金属塩、マグネシウム等とのアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等とのアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0013】
AOSの炭素数は8~24が好ましい。
ASの炭素数は8~20が好ましい。
LASは、炭素数8~18のアルキル基を有することが好ましい。
IOS及びHASの炭素数はそれぞれ8~24が好ましい。
SASの炭素数は8~20が好ましい。
α-オレフィンスルホン酸の塩、アルキル硫酸エステルの塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の塩、内部オレフィンスルホン酸の塩、アルカンスルホン酸の塩としては、それぞれナトリウム、カリウム等とのアルカリ金属塩、マグネシウム等とのアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等とのアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0014】
(A)成分としては、市販品を用いてもよいし、公知の合成方法で製造してもよい。(A)成分を公知の合成方法で製造する場合、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに、無水硫酸を反応させる方法又はクロルスルホン酸を反応させる方法により(A)成分を製造することができる。
液体洗浄剤(α)に含まれる(A)成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0015】
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、(A)成分の含有量は4質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。また、液体洗浄剤(α)の総質量に対して、(A)成分の含有量は25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、17質量%以下がさらに好ましい。液体洗浄剤(α)の総質量に対して、(A)成分の含有量は4~25質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、7~25質量%がさらに好ましく、10~20質量%が特に好ましく、10~17質量%が最も好ましい。(A)成分の含有量が上記範囲の下限値以上であると、汚れの拡がり防止性(特に、油汚れに対する汚れの拡がり防止性)及び洗浄力により優れる。(A)成分の含有量が上記範囲の上限値以下であると、使用性及び洗浄時の泡立ち防止性に優れる。
ただし、(A)成分がLASのみからなる場合、LASの含有量は液体洗浄剤(α)の総質量に対して15質量%超であり、20質量%以上が好ましい。液体洗浄剤(α)の総質量に対して、LASの含有量は15質量%超、25質量%以下が好ましく、20~25質量%がより好ましい。
【0016】
<(B)成分>
(B)成分は、糖アルコールである。
「糖アルコール」とは、糖のアルデヒド基及びケトン基を還元してアルコール基とした多価アルコールのことである。
糖アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール(D-ソルビトール)、マンニトール、マルチトール、トレハロース等が挙げられる。これらの中でも、洗浄力がより向上する観点から、グリセリン、ソルビトールが好ましい。
液体洗浄剤(α)に含まれる(B)成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0017】
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、(B)成分の含有量は3質量%以上であり、3質量%超が好ましく、4質量%以上がより好ましく、5%質量以上がさらに好ましく、7質量%以上が特に好ましい。また、液体洗浄剤(α)の総質量に対して、(B)成分の含有量は20質量%以下であり、17質量%以下が好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。液体洗浄剤(α)の総質量に対して、(B)成分の含有量は3~20質量%であり、4~20質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましく、7~20質量%がさらに好ましく、7~17質量%が特に好ましく、10~15質量%が最も好ましい。(B)成分の含有量が、上記範囲の下限値以上であると洗浄力がより向上し、上限値以下であると汚れの拡がり防止性及び使用性に優れる。
【0018】
(A)成分/(B)成分で表される質量比(A/B比)は0.2以上であり、0.5以上が好ましく、0.75以上がより好ましい。また、A/B比は5以下であり、3以下が好ましく、2以下がより好ましい。A/B比は0.2~5であり、0.5~3が好ましく、0.75~2がより好ましい。A/B比が、上記範囲の下限値以上であると汚れの拡がり防止性及び洗浄力に優れ、上限値以下であると液安定性に優れる。
特に、(A)成分がポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩の場合、A/B比は0.2以上であり、0.5以上が好ましく、0.75以上がより好ましい。また、A/B比は5以下であり、3以下が好ましく、2以下がより好ましい。A/B比は0.2~5であり、0.5~3が好ましく、0.75~2がより好ましい。A/B比が、上記範囲の下限値以上であると汚れの拡がり防止性及び洗浄力に優れ、上限値以下であると液安定性に優れる。
【0019】
<(C)成分>
(C)成分は、下記一般式(c-1)で表される化合物(以下、「化合物(c-1)」という。)である。
-O-[(EO)/(PO)]-R ・・・(c-1)
式(c-1)中、Rは炭素数6~22の炭化水素基であり、Rは水素原子、アルキル基又はアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、sはEOの平均繰り返し数を表し、3~15の数であり、tはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数である。
【0020】
である炭化水素基は飽和でもよく不飽和でもよい。Rとしては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
の炭素数は8~22が好ましく、10~18がより好ましく、12~16がさらに好ましい。
におけるアルキル基の炭素数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましい。
におけるアルケニル基の炭素数は、2~6が好ましく、2~3がより好ましい。
sは7~15が好ましく、12~15がより好ましい。
tは0~3が好ましく、0~1がより好ましい。
s+tは0超の数であり、5~20が好ましい。
tが0でない場合、つまり化合物(c-1)がEOとPOとの両方を有する場合、[(EO)/(PO)]において、EOとPOとはブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されていてもよい。
【0021】
液体洗浄剤(α)を繊維製品に塗布してから放置したときの汚れの拡がりを抑える点で、(C)成分の含有量は少ない方が好ましい。
具体的には、液体洗浄剤(α)の総質量に対して(C)成分の含有量が5質量%未満であることが好ましい。
すなわち、液体洗浄剤(α)は、(C)成分を含まない態様、又は液体洗浄剤(α)の総質量に対する(C)成分の含有量が0質量%超、5質量%未満である態様が好ましい。
上記(C)成分の含有量は1質量%以下がより好ましく、1質量%未満がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましく、0.1質量%以下が最も好ましい。
【0022】
<他の界面活性剤>
液体洗浄剤(α)は、(A)成分及び(C)成分のいずれにも該当しない、他の界面活性剤を1種以上、含んでもよい。
他の界面活性剤としては、(A)成分以外のアニオン界面活性剤(後述の(E)成分(石鹸)を除く)、(C)成分以外のノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤が挙げられる。これらは液体洗浄剤において公知の界面活性剤が使用できる。液体洗浄剤(α)の総質量に対して、他の界面活性剤の含有量は25質量%以下が好ましい。
【0023】
(C)成分以外のノニオン界面活性剤としては、下記一般式(c-2)で表される化合物(以下、「化合物(c-2)」という。)が挙げられる。
-O-[(EO)/(PO)]-(EO)-R ・・・(c-2)
式(c-2)中、Rは炭素数6~22の炭化水素基であり、Rは水素原子、アルキル基又はアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、pはEOの平均繰り返し数を表し、qはPOの平均繰り返し数を表し、rはEOの平均繰り返し数を表し、pとrの合計は16以上の数であり、qは0~10の数である。
p及びqが0でない場合、すなわち化合物(c-2)がEOとPOとの両方を有する場合、[(EO)/(PO)]において、EOとPOとはブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されていてもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、化合物(c-2)の含有量は25質量%以下が好ましい。
【0024】
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、界面活性剤の総質量(後述の(E)成分(石鹸)を除く)は30質量%以下であり、4~30質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましく、5~25質量%がさらに好ましく、5~20質量%が特に好ましい。界面活性剤の総質量が上記範囲の下限値以上であると洗浄力及び汚れの拡がり防止性に優れる。界面活性剤の総質量が上記範囲の上限値以下であると使用性及び洗浄時の泡立ち防止性に優れる。また、液安定性に優れる。
なお、「界面活性剤の総質量」とは、(A)成分、(C)成分及び他の界面活性剤の総質量のことである。
【0025】
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、他の界面活性剤の含有量は25質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。他の界面活性剤の含有量はゼロでもよい。
界面活性剤の総質量に対して、(A)成分の含有量は40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましく、90質量%以上が最も好ましく、100質量%が非常に好ましい。また、(A)成分がポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩の場合、界面活性剤の総質量に対して、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩の含有量は40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましく、90質量%以上が最も好ましく、100質量%が非常に好ましい。
全界面活性剤/(C)成分で表される質量比(全界面活性剤/C比)は5以上が好ましく、10以上がより好ましく、15以上がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると汚れの拡がり防止性により優れる。ここで、「全界面活性剤」とは、液体洗浄剤(α)に含まれる全ての界面活性剤(後述の(E)成分(石鹸)を除く)のことである。全界面活性剤/C比は、80以下が好ましく、70以下がより好ましく、50以下がさらに好ましく、30以下が特に好ましい。
【0026】
<(D)成分>
(D)成分は、クエン酸である。
クエン酸としては、一般の液体洗浄剤に使用されるクエン酸のいずれも使用できる。
【0027】
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、(D)成分の含有量は10質量%未満である。すなわち、液体洗浄剤(α)としては、(D)成分を含まない態様、又は液体洗浄剤(α)の総質量に対する(D)成分の含有量が0質量%超、10質量%未満である態様が挙げられる。
上記(D)成分の含有量は5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、2質量%以下が特に好ましい。(D)成分の含有量が上記範囲の上限値以下であると液安定性に優れる。
また、液体洗浄剤(α)が(D)成分を含有する場合、その含有量は0.1質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましい。(D)成分の含有量が上記範囲の下限値以上であると液安定性を維持しつつ、使用性に優れる粘度となるように液体洗浄剤(α)の粘度を容易に調整できる。
【0028】
<(E)成分>
(E)成分は、石鹸である。
石鹸としては、一般の液体洗浄剤に使用される石鹸のいずれも使用でき、なかでも炭素数10~20の高級脂肪酸及びその塩が好ましく、炭素数12~18の高級脂肪酸及びその塩がより好ましい。
石鹸を構成する高級脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよく、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物であってもよい。高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、ヤシ脂肪酸等が挙げられる。
高級脂肪酸の塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等とのアルカリ金属塩、マグネシウム等とのアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等とのアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0029】
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、(E)成分の含有量は0.1~3.0質量%が好ましく、0.2~2.0質量%がより好ましく、0.5~1.5質量%がさらに好ましい。(E)成分の含有量が、上記範囲の下限値以上であると洗浄時の泡立ち防止性に優れ、上記範囲の上限値以下であると液安定性に優れる。
【0030】
<水>
液体洗浄剤(α)は、水を含むことが好ましい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、水の含有量は30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。水の含有量が上記範囲の下限値以上であると使用性及び洗浄時の泡立ち防止性に優れる。加えて、液体洗浄剤(α)を調製しやすくなる。また、液安定性に優れる。さらに、液体洗浄剤(α)を繊維製品に塗布する際に、液体洗浄剤(α)を繊維製品にふりかけやすくなる。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、水の含有量は90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。
【0031】
<任意成分>
液体洗浄剤(α)は、上記(A)~(E)成分、他の界面活性剤及び水以外に、液体洗浄剤の分野で公知の成分を、任意成分として含んでもよい。
任意成分としては、例えば、(B)成分以外の有機溶剤、(D)成分以外の有機酸、消泡剤、金属イオン捕捉剤(キレート剤)、酵素、アルカリ剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、風合い向上剤、移染防止剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、分散剤、ハイドロトロープ剤、着香剤、着色剤、乳濁化剤、蛍光剤、エキス等が挙げられる。
【0032】
(B)成分以外の有機溶剤としては、例えば、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ポリエチレングリコール、3-メトキシ-3-メチルブタノ-ル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
液体洗浄剤(α)に含まれる(B)成分以外の有機溶剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、(B)成分以外の有機溶剤の含有量は1~30質量%が好ましい。
【0033】
消泡剤としては、例えばシリコーン、アルコールのプロピレンオキシド付加物((C)成分及び(C)成分以外のノニオン界面活性剤を除く)、脂肪酸エステル等が挙げられる。
シリコーンとしては、例えばジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーンが挙げられる。液体洗浄剤(α)の総質量に対して、シリコーンの含有量は0.001~20質量%が好ましい。
アルコールのプロピレンオキシド付加物((C)成分及び(C)成分以外のノニオン界面活性剤を除く)としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等のモノアルコールにプロピレンオキシドを付加させたもの;エタンジオール等のジオール、グリセリン等のトリオール、エリスリトール等のテトラオール、ソルビトール等のヘキサオール等の多価アルコールにプロピレンオキシドを付加させたもの等が挙げられる。液体洗浄剤(α)の総質量に対して、アルコールのプロピレンオキシド付加物の含有量は0.1~10質量%が好ましい。
脂肪酸エステルとしては、例えば2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル(別称:イソオクチル酸2-エチルヘキシル、2H08)等が挙げられる。液体洗浄剤(α)の総質量に対して、脂肪酸エステルの含有量は0.01~5質量%が好ましい。
【0034】
金属イオン捕捉剤(キレート剤)としては、例えば乳酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、トリエチレンテトラ酢酸(TTHA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)等の酸又はその塩の有機ホスホン酸類等が挙げられる。キレート剤の塩の形態としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
液体洗浄剤(α)に含まれるキレート剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、キレート剤の含有量は0.001~10質量%が好ましい。
【0035】
酵素としては、例えばプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ等が挙げられる。ここで、「酵素」とは、酵素製剤のことを意味する。
プロテアーゼとしては、プロテアーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる、Medley(登録商標) Core210L、Savinase(登録商標)16L等が挙げられる。
アミラーゼとしては、アミラーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる、Amplify 12L(登録商標)、Medley(登録商標) Core210L(商品名)等が挙げられる。
リパーゼとしては、リパーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できるLipex(登録商標)100L等が挙げられる。
液体洗浄剤(α)に含まれる酵素は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、酵素の含有量は0.01~10質量%が好ましい。
【0036】
酸化防止剤としては、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)等が挙げられる。
液体洗浄剤(α)に含まれる酸化防止剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、酸化防止剤の含有量は0.01~3質量%が好ましい。
【0037】
防腐剤としては、ダウ・ケミカル社製「ケーソンCG」(商品名)、ソー・ジャパン社製「アクチサイドMBS」(商品名)、クラリアント社製「NIPACIDE BIT 20」(商品名)等が挙げられる。
液体洗浄剤(α)に含まれる防腐剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、防腐剤の含有量は0.001~1質量%が好ましい。
【0038】
抗菌剤としては、例えばダイクロサン、トリクロサン、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム)などの陽イオン殺菌剤等が挙げられる。
液体洗浄剤(α)に含まれる抗菌剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、抗菌剤の含有量は0.001~10質量%が好ましい。
【0039】
ソイルリリース剤としては、アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位、並びにオキシアルキレン単位を有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、例えば国際公開第2017/142012号に記載されているものが挙げられる。SR剤の市販品としては、例えばクラリアント社製の商品名「TexCare SRN -170」等が挙げられる。
また、ソイルリリース剤としては、ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体等の高分子(P)が挙げられる。ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体としては、例えば国際公開第2017/142012号や特表2017-514967号公報に記載されているものが挙げられる。高分子(P)としては、例えばBASF社製の商品名「Sokalan HP20」等が挙げられる。
また、ソイルリリース剤としては、特開2019-90057に記載されているカチオン化セルロースが挙げられる。
液体洗浄剤(α)に含まれるソイルリリース剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、ソイルリリース剤の含有量は0.1~20質量%が好ましい。
【0040】
分散剤としては、例えばポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、高分子ポリカルボン酸またはそれらの塩等が挙げられる。
液体洗浄剤(α)に含まれる分散剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、分散剤の含有量は0.01~5質量%が好ましい。
【0041】
着香剤としては、香料原料単体、又は、香料原料と香料用溶剤と香料安定化剤等とからなる香料組成物を含むものが挙げられ、液体洗浄剤組成物に通常用いられる香料を配合することができる。また、カプセル香料を配合してもよい。
液体洗浄剤(α)に含まれる着香剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、着香剤の含有量は0.01~5質量%が好ましい。
【0042】
着色剤としては、キノン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、キノリン系色素、ピレン系色素等が挙げられる。本明細書において、「C.I.」は、カラーインデックスの略である。
各色素の構造は「法定色素ハンドブック」(日本化粧品工業連絡会編)、染料便覧(有機合成化学協会編)に記載されている。
キノン系色素としては、例えばC.I.Solvent Blue 63(C.I.ソルベント ブルー 63、青色403号)、ミリケン社製のLiquitint Blue HP、Liquitint Blue BL、Liquitint Blue MC等の商品名が挙げられる。
トリフェニルメタン系色素としては、例えば緑色3号(C.I.42053)等が挙げられる。
キノリン系色素としては、例えば黄色203号(C.I.Acid Yellow 3)等が挙げられる。
液体洗浄剤(α)に含まれる着色剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、着色剤の含有量は0.1~100質量ppmが好ましい。
【0043】
蛍光剤としては、4,4’-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニ ルジナトリウム塩などのビフェニル型の蛍光剤、4,4’-ビス((4-アミノ-6-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-2)アミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホン酸塩などのスチルベン型の蛍光剤等が挙げられる。
液体洗浄剤(α)に含まれる蛍光剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
液体洗浄剤(α)の総質量に対して、蛍光剤の含有量は0.01~10質量%が好ましい。
【0044】
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、アンモニア等が挙げられる。これらの中でも、液安定性の観点から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。
液体洗浄剤(α)に含まれるpH調整剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0045】
<pH>
液体洗浄剤(α)の25℃におけるpHは、5~9が好ましく、5.5~8.5がより好ましく、6~8がさらに好ましく、6.5~8が特に好ましく、7~8が最も好ましい。液体洗浄剤(α)のpHが上記範囲内であれば、液安定性に優れる。また、塗布放置時の繊維製品への影響を防止しやすい。
液体洗浄剤(α)のpHは、必要に応じて、pH調整剤を添加することにより調整できる。
本明細書におけるpHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(製品名:HM-30G、東亜ディーケーケー社製)により測定される値を意味する。
【0046】
<粘度>
液体洗浄剤(α)の20℃における粘度(V20)は、5~200mPa・sが好ましく、10~100mPa・sがより好ましく、15~60mPa・sがさらに好ましい。液体洗浄剤(α)の粘度(V20)が上記範囲の下限値以上であると、液体洗浄剤(α)を繊維製品にふりかけた際に、液体洗浄剤(α)が繊維製品に付着した汚れに留まりやすくなる。液体洗浄剤(α)の粘度(V20)が上記範囲の上限値以下であると、液体洗浄剤(α)を繊維製品に塗布する際に、液体洗浄剤(α)を繊維製品にふりかけやすくなる。
また、粘度(V20)に対する、液体洗浄剤(α)の5℃における粘度(V)の比率(V/V20)は、1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2がさらに好ましい。
液体洗浄剤(α)の粘度は、必要に応じて、溶剤、ハイドロトロープ剤(例えばトルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩など)の添加量、pH等により調整できる。
本明細書における粘度は、測定対象を20℃又は5℃とし、B型(ブルックフィールド型)粘度計を用いて測定される値を意味する。
【0047】
<容器入り液体洗浄剤製品>
液体洗浄剤(α)は、容器に収容して容器入り液体洗浄剤製品として用いることが好ましい。
容器としては、スクイズ容器、トリガー容器、液を繊維製品に直に塗りつける塗布面を持った容器等が挙げられる。これらの中でも、1回の塗布量が多く、広範囲でも均一かつ速やかに塗布でき、しかも狭い範囲にもピンポイントで塗布できる観点から、スクイズ容器が好ましい。
スクイズ容器は、スクイズ(圧搾)により変形する容器本体と、容器本体内に収容された液体洗浄剤(α)を吐出する吐出口が形成され、容器本体の口部に取り付けられたキャップとを有し、容器本体を傾倒又は倒立させつつ、容器本体の胴部を手でスクイズすることによって容器本体を変形させて、液体洗浄剤(α)を吐出口から吐出させるものである。このようなスクイズ容器は、スクイズした状態を開放すると容器本体の変形が解除され、その際のバッグサクション機構(吸引機構)により、吐出口内に残存した液体洗浄剤(α)が容器本体内に戻される。スクイズ容器としては公知の容器を用いることができ、例えば特開2002-264958号公報などに開示されている公知のスクイズ容器を使用できる。
【0048】
<製造方法>
液体洗浄剤(α)は、従来公知の液体洗浄剤の製造方法に準じて製造することができる。例えば、水を含む液体洗浄剤(α)を製造する場合、分散媒である水の一部に、pH調整剤を除く各成分を加えて混合した後、必要に応じてpH調整剤を添加してpHを調整した後、水の残部を加えて全体量を100質量%として、液体洗浄剤(α)とする。さらに、スクイズ容器等の容器に収容して容器入り液体洗浄剤製品とすることが好ましい。
【0049】
本発明の液体洗浄剤(α)は、上述した(A)成分及び(B)成分を特定量含み、かつ液体洗浄剤(α)中の(C)成分及び(D)成分の含有量を規定しているので、液安定性が良好であり、洗浄力に優れ、汚れの拡がり防止性に優れる。
【0050】
<使用方法(洗濯方法)>
本発明の液体洗浄剤(α)は、高い洗浄力を得るため、液体洗浄剤(α)を水等で希釈することなく、原液のまま繊維製品(被洗物)の汚れに塗布し、放置した後に洗濯処理を行う方法に好適である。
液体洗浄剤(α)を繊維製品に塗布することにより、繊維製品の汚れ部分に液体洗浄剤(α)を含浸させ、汚れと液体洗浄剤(α)とを接触させる。
液体洗浄剤(α)を繊維製品に塗布する際は、液体洗浄剤(α)の濃度を保った状態で汚れと接触させることが好ましく、そのために、繊維製品を水に浸漬させることなく、汚れに液体洗浄剤(α)を塗布する。
【0051】
液体洗浄剤(α)を繊維製品に塗布する方法としては特に制限されない。例えば、液体洗浄剤(α)がスクイズ容器やトリガー容器等に収容された容器入り液体洗浄剤製品を用い、容器の吐出口を繊維製品から離して(すなわち、吐出口と繊維製品とが非接触の状態で)液体洗浄剤(α)を繊維製品にふりかけてもよい。また、液体洗浄剤(α)が塗布面を持った容器等に収容された容器入り液体洗浄剤製品を用い、容器の塗布面を繊維製品に接触させて液体洗浄剤(α)を繊維製品に直塗りしてもよい。広範囲に均一かつ速やかに塗布できる観点から、液体洗浄剤(α)を繊維製品にふりかける方法が好ましい。その中でも特に、1回の塗布量が多く、広範囲でも均一かつ速やかに塗布できる観点から、スクイズ容器に収容された液体洗浄剤(α)をシャワー状に繊維製品にふりかける方法が好ましい。なお、汚れ部分の領域に応じて、スクイズの力を調節すればよく、汚れ部分が広範囲の場合はスクイズの力を強めて液体洗浄剤(α)をシャワー状にふりかければよい。汚れ部分が狭い場合は、スクイズの力を弱めて液体洗浄剤(α)をピンポイントにふりかければよい。
【0052】
液体洗浄剤(α)の塗布量は、汚れの付着部分の全体に液体洗浄剤(α)が浸透する量以上とすることが好ましい。また、液体洗浄剤(α)の塗布量は、対繊維重量で100%o.w.f.(繊維製品の単位重量当たりに塗布した液体洗浄剤(α)の量)以上が好ましく、より好ましくは200%o.w.f.以上であり、さらに好ましくは300%o.w.f.以上である。液体洗浄剤(α)の塗布量の上限値については特に制限されないが、例えば対繊維重量で1000%o.w.f.以下となる量が好ましい。
【0053】
液体洗浄剤(α)を繊維製品に塗布した後、洗濯するまでの放置時間は30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、3時間以上がさらに好ましく、6時間以上が特に好ましい。30分以上放置することにより、繊維製品に塗布された液体洗浄剤(α)中の水分が蒸発し、繊維製品上で液体洗浄剤(α)が濃縮される。その結果、汚れに対する相溶性が高まり、優れた洗浄力が発揮される。
液体洗浄剤(α)は汚れの拡がり防止性に優れるため、従来よりも放置時間を長くできるという利点を有する。放置時間は、例えば24時間以上でもよい。放置時間の上限値については特に制限されないが、例えば放置時間は168時間(1週間)以下が好ましい。
放置後の液体洗浄剤(α)中の水の含有量は、液体洗浄剤(α)の総質量に対して30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、0質量%であってもよい。なお、放置前後の繊維製品の重さを測定し、その差(減少量)を蒸発した水分量とみなして、放置後の液体洗浄剤(α)中の水の含有量を求めることができる。
【0054】
塗布後の放置時の環境については特に制限されないが、温度は5~40℃が好ましく、10~35℃がより好ましく、15~30℃がさらに好ましい。また、湿度は90%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、50%以下がより好ましい。湿度の下限値については特に制限されないが、例えば湿度は15%以上が好ましい。
放置場所についても特に制限されず、例えば、洗濯槽、洗濯カゴ、洗面器など、いずれの場所でもよいが、洗濯カゴのような湿度がこもらない場所がより好ましい。
【0055】
洗濯処理の方法は、液体洗浄剤(α)が塗布された繊維製品を、水又は新たな洗浄剤(β)を含む洗浄液と接触させて、繊維製品に付着している汚れと液体洗浄剤(α)を水中に移行させて除去する方法であればよく、特に限定されない。通常の洗濯処理は、洗浄処理とすすぎ処理を含む。すすぎ処理は、洗浄処理後に、繊維製品に残留している液体洗浄剤(α)を取り除くための処理である。すすぎ処理後は乾燥等を行い、繊維製品から水分を除去する。
洗浄処理では、水又は新たな洗浄剤(β)を含む洗浄液中で、好ましくは繊維製品に外力を加えて汚れを洗浄液中に移行させた後、脱水等を行って、繊維製品を洗浄液から分離する。
すすぎ処理では、洗浄処理を行った後に、液体洗浄剤(α)及び洗浄剤(β)を含まないすすぎ水中で、好ましくは繊維製品に外力を加えて、繊維製品に残留している液体洗浄剤(α)をすすぎ水中に移行させた後、脱水等を行って、繊維製品をすすぎ水から分離する。
洗浄処理は通常1回行う。すすぎ処理は1回でもよく、2回以上繰り返してもよい。すすぎ処理が1回ですむと、すすぎ水の使用を節約でき、洗濯時間も短縮できるため好ましい。
繊維製品に外力を加える方法は、例えば洗濯機により機械力を加える方法でもよく、もみ洗い、押し洗い、たたき洗い、つかみ洗い、つまみ洗い、又は振り洗い等の手洗いによる方法でもよい。
【0056】
洗浄処理の開始時に、繊維製品に接触させるのは水のみでもよく、水と新たな洗浄剤(β)とを含む洗浄液でもよい。水のみを接触させると、繊維製品に塗布された液体洗浄剤(α)が水中に分散されて洗浄液となる。水と洗浄剤(β)とを含む洗浄液を接触させると、繊維製品に塗布された液体洗浄剤(α)が洗浄液中に分散され、洗浄液中の洗浄剤成分の濃度が増す。
洗浄剤(β)は、液体でもよいし、粉末でもよい。洗浄剤(β)としては特に制限されず、公知の繊維製品用の洗浄剤を用いることができる。また、洗浄剤(β)として液体洗浄剤(α)を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。特に、洗浄剤(β)としてはポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル(MEE)及びポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)を含む洗浄剤が好ましい。
洗浄剤(β)の市販品としては、例えば、ライオン社製の「トップ NANOX」、「トップクリアリキッド」;花王社製の「アタックNEO」、「アタックZERO」、「アタック高浸透バイオジェル」;プロクター・アンド・ギャンブル社製の「アリエールイオンパワージェル」、「アリエールパワージェルボール」等が挙げられる。
【0057】
洗濯処理における繊維製品は、液体洗浄剤(α)が塗布された繊維製品だけでなく、液体洗浄剤(α)が塗布されていない他の繊維製品を含んでよい。
洗浄処理において使用される洗浄剤の量は、繊維製品の合計質量(布量)/洗浄剤の合計質量(液体洗浄剤(α)及び洗浄剤(β)の総質量)の比が、10~500が好ましく、10~300がより好ましく、10~100がさらに好ましい。繊維製品の合計質量/洗浄剤の合計質量の比が、上記範囲の下限値以上であると長時間塗布した際のすすぎ性に優れ、上記範囲の上限値以下であると液体洗浄剤(α)が塗布されていない他の繊維製品の洗浄力により優れる。
洗浄剤(β)として液体洗浄剤(α)を用いる場合、洗浄処理において使用される液体洗浄剤(α)の全部を、繊維製品の汚れへの塗布に使用してもよく、一部を繊維製品の汚れに塗布し、残りを洗浄処理時に追加してもよい。
洗浄処理において使用される水量は、洗浄処理において使用される洗浄剤の量(液体洗浄剤(α)及び洗浄剤(β)の総質量)の50倍以上が好ましく、50~1500倍がより好ましく、50~1000倍がさらに好ましい。洗浄処理において使用される水量が、上記範囲の下限値以上であるとすすぎ性がより優れ、上記範囲の上限値以下であると洗浄性能がより優れる。
【0058】
上述した繊維製品の洗濯方法によれば、本発明の液体洗浄剤(α)を用いるので、繊維製品(被洗物)に液体洗浄剤(α)を塗布してから長時間(例えば30分以上)放置しても、汚れの拡がりを抑制でき、優れた洗浄力を発揮できる。
【0059】
繊維製品としては、例えば衣料、布巾、シーツ、カーテン、枕カバーなどが挙げられる。これの繊維製品の中でも特に、衣料、枕カバーなどが好適である。繊維製品の素材は特に限定されず、綿、絹、羊毛等の天然繊維、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維等のいずれでもよい。
【実施例
【0060】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
なお、実施例16は参考例である。
【0061】
「使用原料」
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A-1:AES。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムとポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウムとの混合物、EOの平均付加モル数1)。式(a-1)におけるRが炭素数12及び14の直鎖状のアルキル基であり、kが1であり、nが0であり、Mがナトリウムである。また、A-1全体に対する、kが0であり、かつnが0である化合物(成分(a0))の割合が43質量%である。下記調製例1の方法で合成したもの。
・A-2:α-オレフィンスルホン酸ナトリウム(AOS)、商品名「リポランLB-840」、ライオン社製。
・A-3:ラウリル硫酸ナトリウム(AS)、SDS、商品名「ドデシル硫酸ナトリウム」、和光純薬工業社製。
・A-4:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、商品名「ライポンLS-250」、ライオン社製。
・A-5:セカンダリーアルカンスルホン酸ナトリウム(SAS)、商品名「SAS30」、クラリアント・ジャパン社製。
・A-6:IOS。特開2001-247534号公報の実施例7に記載された方法により合成されたインナーオレフィンスルホネート。
【0062】
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・B-1:グリセリン。商品名「化粧品用グリセリン」、阪本薬品工業社製。
・B-2:ソルビトール。商品名「ソルビットL-70」、三菱商事フードテック社製。
【0063】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C-1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(式(c-1)において、Rが炭素数12のアルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖状のアルキル基(C14)(質量比でC12:C14=75:25)であり、Rが水素原子であり、sが6であり、tが0である化合物)、商品名「レオックスCL-60」、ライオン社製。
・C-2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(式(c-1)において、Rが炭素数12のアルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖状のアルキル基(C14)(質量比でC12:C14=75:25)であり、Rが水素原子であり、sが15であり、tが0である化合物)、商品名「LMAO-90」、ライオンケミカル社製。
【0064】
(D)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・D-1:クエン酸。商品名「無水クエン酸」、扶桑化学工業社製。
【0065】
(E)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・E-1:ヤシ脂肪酸。商品名「椰子脂肪酸(PKO)TC」、日油社製。
【0066】
任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
[共通成分X]計0.7質量%
・香料・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1質量%。
・イソオクチル酸2-エチルヘキシル・・・0.5質量%。
・酵素・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1質量%。
【0067】
[共通成分Y]計11.7質量%
・香料・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1質量%。
・酵素・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1質量%。
・クメンスルホン酸ナトリウム・・・・・・1.5質量%。
・フェノキシエタノール・・・・・・・・・3.0質量%。
・AE(10EO2PO10EO)・・・・7.0質量%。
【0068】
なお、共通成分の構成成分は以下の通りである。
・香料:特開2003-268398号公報の表7~14に記載の香料組成物A。
・イソオクチル酸2-エチルヘキシル:商品名「イソオクチル酸2-エチルヘキシル」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製。
・酵素:商品名「Medley Core210L」、Novozymes社製。
・クメンスルホン酸ナトリウム:商品名「テイカトックスN5040」、テイカ社製。
・フェノキシエタノール:商品名「フェニルグリコール」、日本乳化剤社製。
・AE(10EO2PO10EO):天然アルコール(質量比で炭素数12アルコール/炭素数14アルコール=7/3)に、10モル相当のエチレンオキシド、2モル相当のプロピレンオキシド、10モル相当のエチレンオキシドを、この順にブロック付加したもの。式(c-2)において、Rが炭素数12のアルキル基(C12)及び炭素数14のアルキル基(C14)(質量比でC12:C14=70:30)であり、Rが水素原子であり、pが10であり、qが2であり、rが10である化合物。
【0069】
[その他の任意成分]
・PEG:重量平均分子量1000のポリエチレングリコール。商品名「PEG#1000-L60」、ライオン社製。
・pH調整剤:MEA(モノエタノールアミン(アルカリ剤))、商品名「モノエタノールアミン」、日本触媒製社製。
【0070】
[調製例1:(A-1)成分の合成]
容量4Lのオートクレーブ中に、原料アルコールとしてプロクター・アンド・ギャンブル社製の商品名CO1270アルコール(炭素数12のアルコールと炭素数14のアルコールとの質量比75/25の混合物)400gと、反応用触媒として水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、該オートクレーブ内を窒素で置換した後、攪拌しながら昇温した。続いて、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しながらエチレンオキシド91gを導入し、反応させることによりアルコールエトキシレートを得た。
ガスクロマトグラフ:Hewlett-Packard社製のGC-5890と、検出器:水素炎イオン化型検出器(FID)と、カラム:Ultra-1(HP社製、L25m×φ0.2mm×T0.11μm)と、を用いて分析した結果、得られたアルコールエトキシレートは、エチレンオキシドの平均付加モル数が1.0であった。また、エチレンオキシドが付加していない化合物(最終的に成分(a0)となるもの)の量が、得られたアルコールエトキシレート全体に対して43質量%であった。
次に、上記で得たアルコールエトキシレート237gを、攪拌装置付の500mLフラスコに採り、窒素で置換した後、液体無水硫酸(サルファン)96gを、反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。次いで、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりA-1を得た。
【0071】
「実施例1~17、比較例1~7」
表1~4に示す組成で、各成分を水に加え、混合して各例の液体洗浄剤(α)を調製した。
表中の配合量は純分換算値である。表中に配合量が記載されていない成分は、配合されていない。pH調整剤の含有量「適量」は、各例の液体組成物の25℃におけるpHを7に調整するのに要した量である。水の含有量「バランス」は、液体組成物(α)に含まれる全成分の合計が100質量%となるように加えられる残部を意味する。
各例の液体洗浄剤(α)について、下記の方法で汚れの拡がり防止性、洗浄力、液安定性を評価した。結果を表1~4に示す。
【0072】
「評価方法」
<汚れの拡がり防止性の評価>
(1)油汚れ汚垢布の作製
5cm×5cmに裁断したB.V.D. GOLD 綿100% 丸首半袖Tシャツ(谷頭商店)を未汚垢布として用いた。
実施例1~11、比較例1~7については、未汚垢布に、オレイン酸及びトリオレイン等を含む混合油に0.03質量%のオイルレッドを添加した皮脂モデル汚垢油を0.050mL滴下し、室温にて1時間乾燥させたものを油汚れ汚垢布とした。
実施例12~17については、未汚垢布にラー油(エスビー食品社製)を0.050mL滴下し、室温にて1時間乾燥させたものを油汚れ汚垢布とした。
【0073】
(2)汚れの拡がり防止性の評価
油汚れ汚垢布5枚のそれぞれに対し、油を滴下した部分にピペットを用いて評価対象の液体洗浄剤(α)を0.3mLふりかけて塗布し、25℃、60%の環境下で12時間放置したものを試験布とした。
液体洗浄剤(α)を塗布する前の油汚れ汚垢布(対照)、及び液体洗浄剤(α)を塗布し、12時間放置した試験布について、油汚れの長軸の長さを拡がり径として測定した。5枚の油汚れ汚垢布の拡がり径の平均値を算出し、下記の基準で汚れの拡がり防止性を評価した。
試験布における拡がり径の平均値をA(mm)、対照における拡がり径の平均値をB(mm)とするとき、A-Bを「拡がり径の平均値の差」とする。「拡がり径の平均値の差」が6mm未満であるとき合格と判定する。
(評価基準)
I :拡がり径の平均値の差が3mm未満。
II :拡がり径の平均値の差が3mm以上6mm未満。
III:拡がり径の平均値の差が6mm以上。
【0074】
<洗浄力の評価>
(1)油汚れ汚垢布の作製と洗浄
前述の未汚垢布に、牛脂をクロロホルムで5倍に希釈し0.03質量%のオイルレッドを添加したモデル汚垢油を0.050mL滴下し、室温にて2時間風乾したものを油汚れ汚垢布(洗浄前)とした。
油汚れ汚垢布5枚のそれぞれに対し、油を滴下した部分にピペットを用いて評価対象の液体洗浄剤(α)を0.3mLふりかけて塗布し、25℃、60%の環境下で6時間、放置したものを試験布とした。
次いで、15℃の水道水900mLと市販の洗剤(商品名「トップ NANOX」、ライオン社製)0.3gを入れたTerg-O-Tometer(UNITED STATES TESTING社製)に、上記試験布5枚と、チャージ布(メリヤス布を細かく裁断し、充分に洗浄とすすぎを行い乾燥したもの)を入れ、120rpmで10分間洗浄した。チャージ布の量は、浴比(洗浄液の質量/チャージ布の総質量)が20倍となるように設定した。
その後、洗浄後の試験布5枚を取り出し、2槽式洗濯機(品番「CW-C30A1型」三菱電機社製)で3分間流水すすぎをし、1分間脱水した後、風乾したものを洗浄後の油汚れ汚垢布とした。
【0075】
(2)洗浄力の評価
測色色差計(商品名「SE2000」、日本電色社製)を用い、未汚垢布、及び洗浄前後の油汚れ汚垢布についての反射率をそれぞれ測定し、下記式(ii)により洗浄率(%)を求めた。
洗浄率(%)=(洗浄前の油汚れ汚垢布のK/S-洗浄後の油汚れ汚垢布のK/S)/(洗浄前の油汚れ汚垢布のK/S-未汚垢布のK/S)×100 ・・・(ii)
[式(ii)中、K/Sは、(1-R/100)/(2R/100)であり、Rは、洗浄前の油汚れ汚垢布、洗浄後の油汚れ汚垢布又は未汚垢布の反射率(%)を表す。また、Kは吸光係数、Sは散乱係数、Rは絶対反射率をそれぞれ表す。]
この洗浄率の値が大きいほど、洗浄力が高いことを意味する。
5枚の油汚れ汚垢布の洗浄率の平均値を算出し、下記の基準で洗浄力を評価した。洗浄率の平均値が65%以上であるとき合格と判定する。
(評価基準)
I :洗浄率の平均値が75%以上。
II :洗浄率の平均値が65%以上75%未満。
III:洗浄率の平均値が55%以上65%未満。
IV :洗浄率の平均値が55%未満。
【0076】
<液安定性の評価>
透明のガラス製瓶に、各例の液体洗浄剤(α)40gをそれぞれ充填し、蓋を閉めて密封した。この状態で0℃、及び50℃の各恒温槽にそれぞれ24時間静置して保存した。
24時間の保存の後、液の外観を目視で観察し、下記の基準で液体洗浄剤(α)の液安定性を評価した。
(評価基準)
I :0℃、及び50℃で保存後も無色透明であり流動性がある。
II:0℃、及び50℃の少なくとも一方で保存後、析出又は濁りの発生や内容液の固化が認められた。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
表1~4中、「A/B比」は、(A)成分/(B)成分で表される質量比である。「全界面活性剤/C比」は、全界面活性剤/(C)成分で表される質量比である。
【0082】
表1~4に示すように、実施例1~17は、洗浄力及び液安定性が良好であり、液体洗浄剤(α)を塗布して長時間放置したときの汚れの拡がり防止性に優れていた。
一方、(A)成分を含有しない比較例1は、洗浄力及び汚れの拡がり防止性が劣った。
(A)成分がLASのみからなり、LASの含有量が15質量%である比較例2は、洗浄力が劣った。また、実施例1~17に比べると汚れの拡がり防止性にも劣った。
(B)成分の含有量が3質量%未満である比較例3は、洗浄力が劣った。
(C)成分の含有量が5質量%以上である比較例4は、汚れの拡がり防止性が劣った。
(D)成分の含有量が10質量%以上である比較例5は、液安定性が劣った。
A/B比が0.2未満である比較例6は、洗浄力が劣った。また、実施例1~17に比べると汚れの拡がり防止性にも劣った。
A/B比が5超である比較例7は、液安定性が劣った。