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特許7561641販売管理システム、販売管理装置及びその制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】販売管理システム、販売管理装置及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240927BHJP
   G06Q 30/0201 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q30/0201
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021014912
(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公開番号】P2021136013
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2020030048
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】原 法義
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206159(JP,A)
【文献】特許第6646176(JP,B1)
【文献】特開平7-320153(JP,A)
【文献】特開2018-160140(JP,A)
【文献】特開2017-157216(JP,A)
【文献】特開2019-211891(JP,A)
【文献】特開2016-207164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列場所に陳列されている商品の減少を検出する検出手段と、
陳列場所に対する客の商品取扱行動を監視する監視手段と、
商品の減少が検出された陳列場所に対して商品取扱行動が確認された客の人数を取得する人数取得手段と、
前記人数が一名の場合、その一名の客を購買者として特定し、当該購買者に特定された客の購買リストに前記減少が検出された商品の販売データを登録する登録手段と、
前記人数が複数名の場合、登録エラーを通知するエラー通知手段と、
を具備する販売管理システム。
【請求項2】
前記検出手段は、複数の陳列場所に設けられ、
前記人数が二名の場合、前記商品の減少が検出された第1の陳列場所の近傍に位置する第2の陳列場所に陳列されている商品の減少が検出されているか判定する判定手段と、
前記第2の陳列場所に陳列されている商品の減少が検出されている場合、前記二名の客のうち前記第1の陳列場所の近くにいる一名の客を購買者として特定し、当該購買者に特定された客の購買リストに前記第1の陳列場所で減少が検出された商品の販売データを登録する第2登録手段と、
をさらに具備し、
前記エラー通知手段は、前記第2の陳列場所で商品の減少が検出されていない場合、又は前記人数が三名以上の場合、登録エラーを通知する、請求項1記載の販売管理システム。
【請求項3】
前記エラー通知手段は、前記商品の減少が検出された陳列場所の近傍に備えられた通知部を介して客に登録エラーを通知する、請求項1又は2記載の販売管理システム。
【請求項4】
前記検出手段は、商品の増加を検出する機能をさらに有し、
登録エラーの通知の後で、前記商品の減少が検出された陳列場所において減少分と同等の商品の増加が検出されると、前記通知部を介して客に購買行動の再開を通知する再開通知手段、
をさらに具備する請求項3記載の販売管理システム。
【請求項5】
前記人数が複数名の場合、商品を購入する可能性のある購買候補者を特定し、当該購買候補者に関連づけて、前記減少が検出された商品の販売データを購買者が特定されていないことを識別可能に登録する仮登録手段、
をさらに具備する請求項1記載の販売管理システム。
【請求項6】
店員が決済のための情報を入力する有人会計機と、
客が決済のための情報を入力するセルフ会計機と、
をさらに具備し、
前記エラー通知手段は、前記有人会計機で決済を行うことを客に通知する、請求項5記載の販売管理システム。
【請求項7】
店員が決済のための情報を入力する有人会計機と、
客が決済のための情報を入力するセルフ会計機と、
前記仮登録手段によって登録された販売データを前記セルフ会計機で決済することを禁止する決済禁止手段と、
をさらに具備する請求項5記載の販売管理システム。
【請求項8】
前記有人会計機またはセルフ会計機に購買者が特定されていないことを識別可能に販売データを送信する送信手段、
をさらに具備する請求項6又は7記載の販売管理システム。
【請求項9】
陳列場所に陳列されている商品の減少を検出する検出手段により商品の減少が検出された陳列場所に対して、陳列場所に対する客の商品取扱行動を監視する監視手段により商品取扱行動が確認された客の人数を取得する人数取得手段と、
前記人数が一名の場合、その一名の客を購買者として特定し、当該購買者に特定された客の購買リストに前記減少が検出された商品の販売データを登録する登録手段と、
前記人数が複数名の場合、登録エラーを通知するための信号を出力する出力手段と、を具備する販売管理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
陳列場所に陳列されている商品の減少を検出する検出手段により商品の減少が検出された陳列場所に対して、陳列場所に対する客の商品取扱行動を監視する監視手段により商品取扱行動が確認された客の人数を取得する機能、
前記人数が一名の場合、その一名の客を購買者として特定し、当該購買者に特定された客の購買リストに前記減少が検出された商品の販売データを登録する機能、及び、
前記人数が複数名の場合、登録エラーを通知するための信号を出力する機能、
を実現させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売管理システム及びこのシステムの販売管理装置並びにコンピュータを当該販売管理装置として機能させるための制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗に陳列された商品を店員の関与なしに販売可能とする販売管理システムは種々考案されている。
一例としての販売管理システムは、店内に設置された多数のカメラで客の行動を追跡するとともに、センサによって商品棚等に陳列されている商品を監視する。そして販売管理システムは、カメラで撮影された画像とセンサからの信号とにより、購買された商品、いわゆる購買商品とその購買商品を購入した客、いわゆる購買者とを特定し、購買商品の販売データを、購買者に特定された客の購買リストに登録する。販売管理システムは、購買リストに登録された販売データを基に、客の会計を処理する。
【0003】
このような販売管理システムでは、例えば二人の客が商品棚に陳列されている商品をほぼ同時に購入しようとした場合、どちらの客が商品を購入したのかを特定することが困難である。そのような場合、現存の販売管理システムでは、いずれか一方の客を購買者として特定して販売データを処理しており、間違いが発生し易い。このため、他の客と同時に商品を購入しないように来店者に注意喚起をしているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平08-190672号公報
【文献】特開2000-123086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、購買者の特定が困難な場合でも高い信頼性をもって販売データを管理できる販売管理システム及びこのシステムの販売管理装置並びにコンピュータを当該販売管理装置として機能させるための制御プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、販売管理システムは、検出手段と、監視手段と、人数取得手段と、登録手段と、エラー通知手段とを備える。検出手段は、陳列場所に陳列されている商品の減少を検出する。監視手段は、陳列場所に対する客の商品取扱行動を監視する。人数取得手段は、商品の減少が検出された陳列場所に対して商品取扱行動が確認された客の人数を取得する。登録手段は、人数が一名の場合、その一名の客を購買者として特定し、当該購買者に特定された客の購買リストに減少が検出された商品の販売データを登録する。エラー通知手段は、人数が複数名の場合、登録エラーを通知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る販売管理システムの概略構成を示すブロック図。
図2】同販売管理システムにおけるゲート装置の要部回路構成を示すブロック図。
図3】同販売管理システムにおける人物追跡装置の要部回路構成を示すブロック図。
図4】人物追跡装置が有する追跡ファイルのデータ構造を示す模式図。
図5】同販売管理システムにおける監視装置の要部回路構成を示すブロック図。
図6】商品陳列場所に配置される機器の位置関係を示す模式図。
図7】商品陳列場所に配置される機器の位置関係を示す模式図。
図8】監視装置が有する監視テーブルの主要なデータ構造を示す模式図。
図9】監視装置から販売管理装置へと出力される変動データの構成を示す模式図。
図10】同販売管理システムにおける販売管理装置の要部回路構成を示すブロック図。
図11】販売管理装置が有する変換テーブルのデータ構造を示す模式図。
図12】販売管理装置が有する購買リストの一例を示す模式図。
図13】販売管理装置のプロセッサが制御プログラムに従って実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図。
図14】返品処理の要部制御手順を示す流れ図。
図15】返品処理の要部制御手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、販売管理システム及び販売管理装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態は、商品棚、商品ケース、販売スペース等の陳列場所に陳列されている商品を客が入手した時点で、その商品を購買商品として特定し、客を購買者として特定して、購買商品の販売データを購買者の購買リストに登録するようにした販売管理システムに関する。そして、複数の客が同じ陳列場所から同時に商品を購入しようとした場合にはエラーを通知して、誤った販売データが登録されないようにした販売管理システム及びそのシステムの販売管理装置を例示する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る販売管理システム1の概略構成を示すブロック図である。販売管理システム1は、ゲート装置10、人物追跡装置20、監視装置30、会計機40、店舗サーバ50及び販売管理装置60を含む。ゲート装置10は、人物追跡装置20と通信手段によって接続されている。人物追跡装置20、監視装置30、会計機40及び店舗サーバ50は、それぞれ販売管理装置60と通信手段によって接続されている。ゲート装置10は、店舗サーバ50及び販売管理装置60の少なくとも一方と通信手段によってさらに接続されていてもよい。通信手段は、典型的にはLAN(Local Area Network)である。LANは、有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。
【0010】
次に、ゲート装置10、人物追跡装置20、監視装置30、会計機40及び店舗サーバ50について順番に説明する。
ゲート装置10は、来店者である客が入店するためのチェックイン操作を受け付ける。そしてゲート装置10は、客の入店を許容する開放状態と、客の入店を阻止する閉鎖状態とを選択的に形成する。
【0011】
図2は、ゲート装置10の要部回路構成を示すブロック図である。ゲート装置10は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、通信インターフェース14、タッチパネル15、リーダ16、インターフェース17、システム伝送路18及びゲート機構101を備えている。ゲート機構101は、インターフェース17と接続している。プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、通信インターフェース14、タッチパネル15、リーダ16及びインターフェース17は、それぞれシステム伝送路18と接続している。システム伝送路18は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。ゲート装置10では、プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶デバイス13がシステム伝送路18で接続されて、ゲート装置10を制御するための情報処理を行うコンピュータが構成されている。
【0012】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、ゲート装置10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0013】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域及び揮発性のメモリ領域を含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを揮発性のメモリ領域で記憶する。またメインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0014】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス13としては、例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の周知の記憶デバイスを単独で、あるいは複数組み合わせて用いられる。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ11での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス13は、アプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0015】
通信インターフェース14は、通信手段であるネットワークを介して接続された他の機器とデータ通信を行うための回路である。
【0016】
タッチパネル15は、操作者に対して各種の情報を提示するための画面を表示する。そしてタッチパネル15は、操作者による画面のタッチ操作によって指定されるデータを入力する。なお、ゲート装置10の操作者は、多くの場合は客であるが、店員が操作者となる場合もある。
【0017】
リーダ16は、来店した客が提示する客IDを読み取る。客IDは、来店者として会員登録された客に対して割り当てられた一意の識別コードである。客IDは、例えば客が携帯するスマートフォンのディスプレイにバーコードの形態で表示される。この場合、リーダ16は、バーコードリーダとなる。客IDは、例えば客が携帯するカード媒体のICチップに保存されていてもよい。この場合、リーダ16は、カードリーダとなる。
【0018】
インターフェース17は、ゲート機構101に対して開放指令信号又は閉鎖指令信号を出力する。ゲート機構101は、ゲートを開閉するための扉と、人物がゲートを通過したことを検出するセンサ、つまりはゲート通過センサとを含む。ゲート通過センサは、例えば光学式のセンサである。ゲート機構101は、開放指令信号に応じて扉を開くことによりゲートを開放する。ゲート機構101は、閉鎖指令信号に応じて扉を閉じることによりゲートを閉鎖する。ゲート機構101は、ゲート通過センサの検出信号をインターフェース17へと出力する。インターフェース17は、ゲート通過センサの検出信号を入力し、プロセッサ11へと出力する。
【0019】
かかる構成のゲート装置10においては、リーダ16で客IDが読み取られると、プロセッサ11が、通信インターフェース14を介してその客IDの有効性を問い合わせる。問合せ先は、例えば店舗サーバ50である。客IDの有効性が認められると、プロセッサ11は、ゲート機構101のゲートを開放するとともに、通信インターフェース14を介して客IDを人物追跡装置20へと通知する。ゲートが開放されることによって、客の入店が許容される。客IDの有効性が認められなかった場合には、プロセッサ11は、タッチパネル15に入店拒否を客に通知するための画像を表示させる。またプロセッサ11は、ゲート機構101のゲートを閉塞する。ゲートが閉塞されることによって、客の入店が阻止される。
【0020】
なお、図1では、ゲート装置10を1つだけ示しているが、ゲート装置10の数は特に限定されない。販売管理システム1は、複数のゲート装置10を備えていてもよい。
【0021】
人物追跡装置20は、ゲートを通って入店した客の動線を追跡するための装置である。人物追跡装置20は、店舗の天井等に取り付けられた多数のカメラで撮影される画像を分析することで、客の動線を追跡する。
【0022】
図3は、人物追跡装置20の要部回路構成を示すブロック図である。人物追跡装置20は、プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶デバイス23、通信インターフェース24、時計25、第1カメラコントローラ26、第2カメラコントローラ27、システム伝送路28、第1カメラ201及び第2カメラ202を備えている。第1カメラ201は、第1カメラコントローラ26と接続している。第2カメラ202は、第2カメラコントローラ27と接続している。プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶デバイス23、通信インターフェース24、時計25、第1カメラコントローラ26及び第2カメラコントローラ27は、それぞれシステム伝送路28と接続している。システム伝送路28は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。人物追跡装置20では、プロセッサ21、メインメモリ22及び補助記憶デバイス23がシステム伝送路28で接続されて、人物追跡装置20を制御するための情報処理を行うコンピュータが構成される。
【0023】
プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶デバイス23及び通信インターフェース24に対する説明は、ゲート装置10のプロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13及び通信インターフェース14に対する説明と重複する。よって、ここでの説明は省略する。
【0024】
時計25は、人物追跡装置20の時刻情報源として機能する。プロセッサ21は、時計25によって計時されている時刻を現在時刻として取得する。
【0025】
第1カメラコントローラ26は、第1カメラ201で撮影された画像を取り込む。第1カメラ201は、ゲート装置10のゲート付近を撮影するためのカメラである。第1カメラ201は、ゲートを通過する客を捕捉し特定するための客特定カメラとして機能する。第1カメラ201は、ゲート付近に配置されている。第1カメラ201は、例えば光学カメラである。赤外線カメラ、TOF(Time of Flight)カメラ、ステレオカメラ等が第1カメラ201として使用されてもよい。
【0026】
第2カメラコントローラ27は、第2カメラ202で撮影された画像を取り込む。第2カメラ202は、店舗の全域を撮影するためのカメラである。第2カメラ202は、店舗内を移動する客を追跡するための客追跡カメラとして機能する。第2カメラ202は、店舗の天井等に多数配置されている。第2カメラ202は、例えば光学カメラである。赤外線カメラ、TOFカメラ、ステレオカメラ等が第2カメラ202として使用されてもよい。
【0027】
かかる構成の人物追跡装置20においては、ゲート装置10から客IDを受信すると、プロセッサ21が、その客IDを設定した追跡ファイル231を作成して補助記憶デバイス23に保存する。またプロセッサ21は、第1カメラ201によって撮影されている画像から、ゲート装置10のゲートを通過した人物を捕捉し、その人物を当該客IDの客として特定する。そしてプロセッサ21は、第2カメラ202によって撮影されている画像から、当該客IDの客を追跡する。プロセッサ21は、例えば1秒毎に客の位置情報を取得し、当該客IDの追跡ファイル231にその時刻と位置情報とを時系列に記述する。位置情報は、例えば床面の任意地点をX-Y平面の原点Oとし、この原点Oから客の地点までのX方向とY方向の距離を所定の分解能で分割して求めたX-Y座標で特定したものである。
【0028】
図4は、追跡ファイル231(231A,231B)のデータ構造を示す模式図である。図4に示すように、追跡ファイル231(231A,231B)には、客IDと、時刻及び位置情報の対データと、が記述されている。対データは、時系列に記述されている。対データは、客IDで特定される客の店舗内での移動軌跡、つまりは動線データである。すなわち図4において、追跡ファイル231Aは、客IDが「CID0001」の客の動線データを記述したデータファイルである。追跡ファイル231Bは、客IDが「CID0002」の客の動線データを記述したデータファイルである。
【0029】
監視装置30は、例えば商品棚、商品ケース、販売スペース等のような商品の陳列場所を監視する装置である。監視装置30は、陳列場所に陳列されている商品の減少または増加を検出する機能と、その陳列場所に対する客の商品取扱行動を監視する機能とを有する。商品取扱行動には、陳列場所から商品を取り出す行動がある。以下、このような行動を購買行動と称する。商品取扱行動には、陳列場所に商品を戻す行動がある。以下、このような行動を返品行動と称する。監視装置30は、客の購買行動及び返品行動を監視する。
【0030】
図5は、監視装置30の要部回路構成を示すブロック図である。監視装置30は、プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、通信インターフェース34、時計35、カメラコントローラ36、インターフェース37、音声合成回路38、システム伝送路39、カメラ301、第1重量センサ302A、第2重量センサ302B及びスピーカ303を備えている。カメラ301は、カメラコントローラ36と接続している。第1重量センサ302A及び第2重量センサ302Bは、インターフェース37と接続している。スピーカ303は、音声合成回路38と接続している。プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、通信インターフェース34、時計35、カメラコントローラ36、インターフェース37及び音声合成回路38は、それぞれシステム伝送路39と接続している。システム伝送路39は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。監視装置30では、プロセッサ31、メインメモリ32及び補助記憶デバイス33がシステム伝送路39で接続されて、監視装置30を制御するための情報処理を行うコンピュータが構成される。
【0031】
プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、通信インターフェース34及び時計35に対する説明は、人物追跡装置20のプロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶デバイス23、通信インターフェース24及び時計25に対する説明と重複する。よって、ここでの説明は省略する。
【0032】
カメラコントローラ36は、カメラ301で撮影された画像を取り込み、画像メモリに保存する。画像メモリは、例えばメインメモリ32の揮発性領域に形成されている。プロセッサ31は、画像メモリに保存された画像を処理することにより、客の商品取扱行動、すなわち購買行動又は返品行動を監視する。客は、購買行動を行う場合も返品行動を行う場合も商品の陳列場所に対して一方の腕又は両方の腕を伸ばす。プロセッサ31は、客が商品の陳列場所に対して腕を伸ばす行動を商品取扱行動と認識する。
【0033】
インターフェース37は、第1重量センサ302A及び第2重量センサ302Bから計測信号を入力する。計測信号は、プロセッサ31に与えられる。プロセッサ31は、第1重量センサ302Aの計測信号により、当該第1重量センサ302Aが検出した重量値を得る。プロセッサ31は、第2重量センサ302Bの計測信号により、当該第2重量センサ302Bが検出した重量値を得る。プロセッサ31は、第1重量センサ302A又は第2重量センサ302Bが検出した重量値の変動により、陳列場所に陳列されている商品の減少または増加を検出する。
【0034】
音声合成回路38は、音声データを合成し、その音声データをスピーカ303へと出力する。スピーカ303は、音声データにより音声を発する。
【0035】
さて、本実施形態では、カメラ301と、第1重量センサ302A及び第2重量センサ302Bと、スピーカ303とを1つの組とする。そしてこの1組のカメラ301、第1重量センサ302A及び第2重量センサ302B及びスピーカ303を、接近した二か所の商品陳列場所に対応付けて配置する。
【0036】
図6及び図7は、二か所の商品陳列場所71A,71Bに配置される1組のカメラ301、第1重量センサ302A及び第2重量センサ302B及びスピーカ303の位置関係を示す模式図である。以下では、一方の商品陳列場所71Aを第1の陳列場所71Aと称し、他方の商品陳列場所71Bを第2の陳列場所71Bと称する。
【0037】
図6及び図7に示すように、第1の陳列場所71Aと第2の陳列場所71Bとは床面と平行に隣り合っている。第1の陳列場所71Aには、商品81が陳列されている。第2の陳列場所71Bには、商品82が陳列されている。カメラ301は、第1の陳列場所71A又は第2の陳列場所71Bの近傍に居る客を撮影可能な位置に配置されている。カメラ301は、例えばデジタルビデオカメラである。光学カメラ、赤外線カメラ、TOFカメラ、ステレオカメラ等がカメラ301として使用されてもよい。
【0038】
第1重量センサ302Aは、第1の陳列場所71Aに配置されている。第1重量センサ302Aは、第1の陳列場所71Aに陳列されている商品81の総重量を計量する。第2重量センサ302Bは、第2の陳列場所71Bに配置されている。第2重量センサ302Bは、第2の陳列場所71Bに陳列されている商品82の総重量を計量する。
【0039】
スピーカ303は、第1の陳列場所71Aまたは第2の陳列場所71Bの近傍に居る客が音声を聞き取りやすい場所に配置されている。図6及び図7では、スピーカ303は、第1の陳列場所71Aと第2の陳列場所71Bとの間に配置されている。
【0040】
因みに、図6は、カメラ301の撮像領域に3人の客M1,客M2,客M3が居る場合であって、客M1が右手で商品81を取り出すと同時に、客M2が両手で別の商品82を取り出す場面を示している。一方、図7は、客M1が右手で商品81を取り出すと同時に、客M2が左手で同じ商品81を取り出す場面を示している。すなわち、図6又は図7のいずれにおいても、客M1と客M2の2名が商品取扱行動をしておる。客M3は、商品取扱行動をしていない。
【0041】
監視装置30は、複数組のカメラ301、第1重量センサ302A及び第2重量センサ302B及びスピーカ303を、カメラコントローラ36、インターフェース37及び音声合成回路38に接続している。そして監視装置30は、補助記憶デバイス33に監視テーブル331を形成している。
【0042】
図8は、監視テーブル331の主要なデータ構造を示す模式図である。図示するように監視テーブル331は、センサIDのフィールドと、場所コードのフィールドと、商品コードのフィールドと、商品名のフィールドと、単位重量のフィールドとを備えている。
【0043】
センサIDのフィールドには、インターフェース37に接続されている第1重量センサ302A又は第2重量センサ302BのセンサIDが記述されている。各組の第1重量センサ302A及び第2重量センサ302Bには、予め固有のセンサIDが設定されている。
【0044】
場所コードのフィールドには、対応するセンサIDで識別される第1重量センサ302A又は第2重量センサ302Bが配置されている第1の陳列場所71A又は第2の陳列場所71Bの場所コードが記述されている。各陳列場所には、予め固有の場所コードが設定されている。ただし、同じ組の第1の陳列場所71A又は第2の陳列場所71Bとには、共通の場所コードが設定されている。
【0045】
商品コードのフィールドには、対応するセンサIDで識別される第1重量センサ302A又は第2重量センサ302Bで総重量が計測される商品の商品コードが記述されている。各商品には、予め固有の商品コードが設定されている。そして単位重量のフィールドには、その商品コードで識別される商品の1点当たりの重量が記述されている。
【0046】
かかる構成の監視装置30においては、第1重量センサ302A又は第2重量センサ302Bの計測値が、当該第1重量センサ302A又は第2重量センサ302BのセンサIDに対応する単位重量以上変動する毎に、変動データ90(図9を参照)が販売管理装置60に出力される。
【0047】
図9は、変動データ90の構成を示す模式図である。図示するように、変動データ90は、増減フラグ、増減時刻、場所コード、商品コード、増減個数、フレーム画像、行動客数等を含む。
【0048】
増減フラグは、計測値が減少したのか増加したのかを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、計測値が減少した場合の増減フラグを“0”とし、計測値が増加した場合の増減フラグを“1”とする。増減時刻は、計測値が単位重量以上変動した時点の時計35の時刻である。場所コード及び商品コードは、計測値が単位重量以上変動した第1重量センサ302A又は第2重量センサ302BのセンサIDと対応付けて監視テーブル331に設定されている場所コード及び商品コードである。変動個数は、計測値を単位重量で除算したときの商の整数である。フレーム画像は、計測値が単位重量以上変動した時点においてカメラ301で撮影された画像である。行動客数は、第1の陳列場所71A又は第2の陳列場所71Bに対して商品取扱行動と認識された客の人数である。
【0049】
ここに、第1重量センサ302A、第2重量センサ302B、インターフェース37及びプロセッサ31は、検出手段を構成する。カメラ301、カメラコントローラ36及びプロセッサ31は、監視手段を構成する。スピーカ303は、通知部として機能する。
なお、登録エラーを通知する場合は、プロセッサ31の処理により、計測値が減少した場合に変動データ90を出力し、計測値が増加した場合に変動データ90を出力しなくてもよい。つまり検出手段は、実質的には、陳列場所に陳列されている商品の減少を検出する手段となる。
【0050】
会計機40は、客との商取引を決済するための端末である。会計機40は、現金決済、クレジットカード決済、電子マネー決済、ポイント決済、コード決済(モバイル決済又はスマートフォン決済等とも称される)等、周知の決済方式により商取引を決済することができる。
【0051】
会計機40には、店員が決済のための情報を入力するようにした有人会計機40Aと、客が決済のための情報を入力するようにしたセルフ会計機40Bとがある。有人会計機40Aとしては、従来周知のPOS端末を適用することができる。セルフ会計機40Bとしては、従来周知のセルフ式又はセミセルフ方式の会計機を適用することができる。
【0052】
店舗サーバ50は、商品データベース、会員データベース等の種々のデータベースを管理する。商品データベースは、店舗で販売されている各商品のデータを記述した商品レコードの集合体である。商品レコードは、商品コード、商品名、価格等のデータ項目で構成される。会員データベースは、来店者として会員登録を行った客、いわゆる会員に関するデータを記述した会員レコードの集合体である。会員レコードには、客ID、有効期間、累積ポイント等のデータ項目を含む。有効期間は、会員としての有効な期間を示すデータである。データは、期間の開始日と終了日であってもよいし、開始日と期間の日数であってもよい。累積ポイントは、会員との商取引においてその会員に付与されたポイントを累積したものである。
【0053】
店舗サーバ50は、ゲート装置10でのチェックイン操作により、客IDの有効性について問い合わせを受けると、会員データベースを検索する。そして店舗サーバ50は、問い合わせのあった客IDを含む会員レコードの有効期間を調べる。店舗サーバ50は、現在の日時が有効期間内の場合、ゲート装置10に対して有効性有りの応答を返す。現在の日時が有効期間外の場合には、ゲート装置10に対して有効性無しの応答を返す。なお、有効性有無の判定条件は、有効期限に限定されるものでない。例えば過去の店舗利用実績から入店禁止の設定がなされている客IDについては、有効性無しの応答を返してもよい。
【0054】
最後に、販売管理装置60について説明する。
販売管理装置60は、ゲート装置10でのチェックイン操作に対して有効性が承認され、人物追跡装置20によって追跡されている客の購買商品に係るデータを管理する。そして販売管理装置60は、そのデータを基に会計データを生成し、会計機40へと出力する機能を有している。
【0055】
図10は、販売管理装置60の要部回路構成を示すブロック図である。販売管理装置60は、プロセッサ61、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、通信インターフェース64、時計65及びシステム伝送路66を備えている。そしてプロセッサ61、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、通信インターフェース64及び時計65は、それぞれシステム伝送路66と接続している。システム伝送路66は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。販売管理装置60では、プロセッサ61、メインメモリ62及び補助記憶デバイス63がシステム伝送路66で接続されて、販売管理装置60を制御するための情報処理を行うコンピュータが構成される。
【0056】
プロセッサ61は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ61は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、販売管理装置60としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ61は、例えばCPUである。
【0057】
メインメモリ62は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域及び揮発性のメモリ領域を含む。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ62は、プロセッサ61が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを揮発性のメモリ領域で記憶する。またメインメモリ62は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ61によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0058】
補助記憶デバイス63は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス63としては、例えばEEPROM、HDD又はSSD等の周知の記憶デバイスを単独で、あるいは複数組み合わせて用いられる。補助記憶デバイス63は、プロセッサ61が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ61での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス63は、アプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0059】
補助記憶デバイス63に記憶されるアプリケーションプログラムには、販売管理に係る制御プログラムが含まれる。制御プログラムを補助記憶デバイス63にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に制御プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により制御プログラムを配信して、補助記憶デバイス63にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。制御プログラムは、補助記憶デバイス63ではなくメインメモリ62にインストールしてもよい。
【0060】
通信インターフェース64は、通信手段であるネットワークを介して接続された他の機器とデータ通信を行うための回路である。
【0061】
時計65は、販売管理装置60の時刻情報源として機能する。プロセッサ61は、時計25によって計時されている時刻を現在時刻として取得する。
【0062】
かかる構成の販売管理装置60は、補助記憶デバイス63において変換テーブル631を記憶している。また販売管理装置60は、補助記憶デバイス63の記憶領域の一部を、複数の購買リスト632を保持するための領域としている。
【0063】
図11は、変換テーブル631のデータ構造を示す模式図である。図11に示すように、変換テーブル631は、場所コードと商品コードとの対データに関連付けて、複数の位置情報を記憶している。場所コードは、前述したように、各商品の陳列場所を識別するために陳列場所毎に設定された一意の識別コードである。商品コードは、場所コードで特定される陳列場所に陳列されている商品の識別コードである。複数の位置情報は、場所コードと商品コードとで特定される陳列場所に陳列されている商品を購入する客が立つと推定される床面の区画に対して人物追跡装置20で得られる位置情報の集合である。区画は、隣り合う区画と領域の一部が重複することを妨げない。位置情報は、陳列場所に近い順に登録されている。なお、変換テーブル631と同様のテーブル631Aは、人物追跡装置20の補助記憶デバイス23にも記憶されている。人物追跡装置20に記憶される変換テーブル631Aは、商品コードが省略されていてもよい。
【0064】
図12は、購買リスト632の一例を示す模式図である。図示するように、購買リスト632は、客IDを記述するための領域と、複数の購買レコードを記述するための領域とからなる。購買レコードは、商品コード、商品名、単価、個数、仮登録フラグF1、削除フラグF2等のデータ項目を含む。商品コード、商品名、単価及び個数は、購買商品の販売データ、いわゆる商品販売データである。仮登録フラグF1は、当該購買レコードが仮登録のレコードなのか本登録のレコードなのかを識別するための1ビットデータである。つまり、仮登録フラグF1は、商品を購入する客(購買者)が特定されていないことを示している。仮登録の購買レコードで特定される商品の販売データは、本登録の購買レコードで特定される商品の販売データのように客自身が会計機40で決済することはできない。仮登録と本登録との違いについては後述する。本実施形態では、仮登録の購買レコードの仮登録フラグF1を“1”とし、本登録の購買レコードの仮登録フラグF1を“0”とする。削除フラグF2は、当該購買レコードが削除状態なのか否かを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、削除状態の購買レコードの削除フラグF2を“1”とし、非削除状態の購買レコードの削除フラグF2を“0”とする。
【0065】
図13乃至図15は、販売管理装置60のプロセッサ61が制御プログラムに従って実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。以下、各図を用いて販売管理装置60の動作について説明する。なお、以下に説明する動作説明は一例である。同様な結果が得られるのであれば、その手順等は特に限定されるものではない。
はじめに、監視装置30から増減フラグが“0”、すなわち計測値が減少したときの変動データ90を販売管理装置60が受信したときの動作を説明する。
【0066】
プロセッサ61は、通信インターフェース64を介して変動データ90を受信すると、図13の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。プロセッサ61は、ACT1として変動データ90の増減フラグを調べる。増減フラグが“0”の場合、プロセッサ61は、ACT1においてYESと判定し、ACT2へと進む。プロセッサ61は、ACT2として変動データ90の行動客数を調べる。行動客数が1名の場合、プロセッサ61は、ACT2においてNOと判定し、ACT5へと進む。そしてプロセッサ61は、ACT5乃至ACT8として後述する本登録処理を実行する。
【0067】
行動客数が2名以上の場合には、プロセッサ61は、ACT2においてYESと判定し、ACT3へと進む。プロセッサ61は、ACT3として行動客数が2名であるか否かを確認する。行動客数が3名以上の場合、プロセッサ61は、ACT3においてNOと判定し、ACT9へと進む。そしてプロセッサ61は、ACT9乃至ACT13として後述する仮登録処理を実行する。
【0068】
行動客数が2名の場合には、プロセッサ61は、ACT3においてYESと判定し、ACT4へと進む。プロセッサ61は、ACT4としてほぼ同時刻に場所コードが共通の他方の陳列場所で商品の変動があったか否かを確認する。具体的には、プロセッサ61は、変動データ90の増減時刻との差分が閾値時間、例えば2秒未満の他の変動データ90xであって、場所コードは一致するが商品コードは一致しない変動データ90xの有無を確認する。ほぼ同時刻に場所コードが共通の他方の陳列場所で商品の変動がある場合、変動データ90xが存在する。
【0069】
変動データ90xが存在する場合、プロセッサ61は、ACT4においてYESと判定し、ACT5へと進む。すなわちプロセッサ61は、本登録処理を実行する。変動データ90xが存在しない場合には、プロセッサ61は、ACT4においてNOと判定し、ACT9へと進む。すなわちプロセッサ61は、仮登録処理を実行する。
【0070】
次に、本登録処理について説明する。
プロセッサ61は、ACT5として購買者を特定する。具体的にはプロセッサ61は、人物追跡装置20に対して検索要求コマンドを出力する。検索要求コマンドには、変動データ90から取得した増減時刻と場所コードとが含まれる。
【0071】
検索要求コマンドを受信した人物追跡装置20のプロセッサ21は、追跡ファイル231を検索する。そしてプロセッサ21は、増減時刻と対応付けられた位置情報が、変換テーブル631Aの当該場所コードと関連付けられた位置情報群に含まれている客IDを検出する。検出された客IDは、増減時刻に場所コードで識別される第1の陳列場所71A又は第2の陳列場所72Bの近くにいる客の客IDである。プロセッサ21は、販売管理装置60に対して応答コマンドを出力する。応答コマンドには、検出された客IDと、その客IDが設定された追跡ファイル231において増減時刻と対応付けられて記憶されている位置情報とを関連付けたデータが含まれる。因みに、複数の客IDが検出された場合には、各客IDについてその客IDと位置情報とを関連付けたデータが応答コマンドに含まれる。
【0072】
プロセッサ61は、応答コマンドから客IDと位置情報とを関連付けたデータを取得する。取得し得たデータが1つの場合、プロセッサ61は、そのデータの客IDを購買者の客IDとして特定する。2以上のデータを取得した場合には、プロセッサ61は、変動データ90のフレーム画像から商品取扱行動を行った客の位置を推定する。そしてプロセッサ61は、その推定位置に最も近い位置情報が関連付けられた客IDを、購買者の客IDとして特定する。
【0073】
なお、購買者の客IDを特定する手段は、上述した手順の処理に限定されるものではない。要は、場所コードと商品コードとで定まる陳列場所の近くに行動客が一人しかいない場合には、その行動客の客IDを購買者の客IDとして特定する。同陳列場所に2名の行動客がいる場合には、当該陳列場所に近い方の行動客の客IDを購買者の客IDとして特定する。このような処理を行うことができればよい。
【0074】
こうして、1人の購買者の客IDを特定したならば、プロセッサ61は、ACT6として購買レコードを作成する。すなわちプロセッサ61は、変動データ90の商品コードで特定される商品の商品名、単価を商品データベースから取得する。そしてプロセッサ61は、販売データである商品コード、商品名及び単価と、変動データ90の増減個数とで、購買レコードを作成する。またプロセッサ61は、ACT7として当該購買レコードの仮登録フラグF1と削除フラグF2とをいずれも“0”とする。すなわち購買データは販売データを含む。こうして、購買データを作成したならば、プロセッサ61は、ACT8としてその購買レコードを、購買者の客IDが設定された購買リスト632に登録する。以上で、本登録処理は終了する。
【0075】
このように、仮登録フラグF1を“0”として購買リスト632に購買データを登録することが本登録処理である。すなわち本登録処理は、商品を購入する客(購買者)が特定されている場合の登録処理をいう。
【0076】
次に、仮登録処理について説明する。
プロセッサ61は、ACT9として複数の購買者の客IDをそれぞれ特定する。具体的にはプロセッサ61は、本登録処理の場合と同様に、人物追跡装置20に対して検索要求コマンドを出力する。これにより、人物追跡装置20から販売管理装置60に対して応答コマンドが出力される。この場合は、複数の購買者が想定されるので、応答コマンドには、客IDと位置情報とを関連付けたデータが複数含まれている。
【0077】
プロセッサ61は、変動データ90のフレーム画像から商品取扱行動を行った複数の客の位置をそれぞれ推定する。そしてプロセッサ61は、推定位置毎に、最も近い位置情報が関連付けられた客IDを、各購買者の客IDとしてそれぞれ特定する。すなわち、商品を購入する可能性のある購買候補者を特定する。
【0078】
こうして、複数名の購買者の客IDをそれぞれ特定したならば、プロセッサ61は、ACT10として購買レコードを作成する。またプロセッサ61は、ACT11として当該購買レコードの仮登録フラグF1を“1”とし、削除フラグF2を“0”とする。こうして、購買データを作成したならば、プロセッサ61は、ACT11としてその購買レコードを、各購買者の客IDが設定された購買リスト632にそれぞれ登録する。
【0079】
このように、購買候補者の客IDに対応して購買リスト632に仮登録フラグF1を“1”として購買データを登録することが仮登録処理である。すなわち仮登録処理は、購買候補者に特定された客に関連づけて商品を購入する客(購買者)が特定されていない場合、特定されていないことを識別可能に登録する処理をいう。仮登録処理は、仮登録手段と言い換えることもできる。
【0080】
さらにプロセッサ61は、ACT13としてエラー通知を行う。具体的にはプロセッサ61は、通信インターフェース64を介して監視装置30へとエラー通知のための音声信号を出力する。これにより、監視装置30では、音声合成回路38によってエラー通知のための音声が合成され、スピーカ303からその音声が発せられる。
【0081】
因みに、エラー通知のための音声は、複数名の客が同時に商品を購入したために登録エラーとなったことを通知する内容のものである。例えば「エラーが発生しました。商品を戻してください。」等の音声がスピーカ303から発せられる。
【0082】
なお、登録エラーとは、購買者が特定されていないことを示しているものである。したがって、購買者が特定されていないことを識別可能に登録する仮登録が通常の登録処理の一形態である、つまりは購買者が特定されていない状態が通常の登録処理の一形態であり、プロセッサ61の処理として異常な登録ではないとしても、仮登録がされたことを通知する、購買者が特定されていない状態を通知する、本登録がされなかったことを通知する等は、登録エラーとなったことを通知することに相当する。
以上で、仮登録処理は終了する。
【0083】
ここに、プロセッサ61は、ACT1乃至ACT3の処理を実行することにより、人数取得手段を構成する。すなわちプロセッサ61は、商品の減少が検出された陳列場所に対して商品取扱行動が確認された客の人数を取得する。具体的にはプロセッサ61は、商品取扱行動が確認された客が1名なのか、2名なのか、3名以上なのかを取得する。
【0084】
プロセッサ61は、ACT5乃至ACT8の処理を実行することにより、登録手段を構成する。すなわちプロセッサ61は、商品取扱行動が確認された客の人数が一名の場合、その一名の客を購買者として特定し、当該購買者に特定された客の購買リスト632に減少が検出された商品の販売データを登録する。
【0085】
プロセッサ61は、ACT3及びACT4の処理を実行することにより、判定手段を構成する。すなわちプロセッサ61は、商品取扱行動が確認された客の人数が二名の場合、商品の減少が検出された第1の陳列場所の近傍に位置する第2の陳列場所に陳列されている商品の減少または増加が検出されているか判定する。
【0086】
プロセッサ61は、ACT4乃至ACT8の処理を実行することにより、第2登録手段を構成する。すなわちプロセッサ61は、第2の陳列場所に陳列されている商品の減少または増加が検出されている場合、二名の客のうち第1の陳列場所の近くにいる一名の客を購買者として特定し、当該購買者に特定された客の購買リスト632に第1の陳列場所で減少が検出された商品の販売データを登録する。
【0087】
プロセッサ61は、ACT3、ACT4及びACT13の処理を実行することにより、出力手段を構成する。すなわちプロセッサ61は、第2の陳列場所で商品の減少または増加が検出されていない場合、又は商品取扱行動が確認された客の人数が三名以上の場合、登録エラーを通知するための信号を監視装置30へと出力する。そして、監視装置の通知部であるスピーカ303は、登録エラーを通知するための音声を発する。ここにスピーカ303は、エラー通知手段として機能する。
【0088】
例えば、図6において、客M1だけが第1の陳列場所71Aに陳列されている商品81を1品取り出す購買行動を行った場合を想定する。この場合、監視装置30からは、変動データ90Aが販売管理装置60へと出力される。変動データ90Aは、増減フラグを“0”とする。また変動データ90Aは、第1の陳列場所71と第2の陳列場所72とに共通に設定された場所コードと、商品81の商品コードとを含む。また、増減個数は「1」であり、行動客数も「1」である。その結果、販売管理装置60では、ACT1においてYESと判定され、ACT2においてNOと判定される。したがって、本登録処理が実行される。この本登録処理により、客M1の客IDが購買者の客IDとして特定される。そして、当該客IDが設定された購買リスト632Aに、商品81を1点購入した場合の購買レコードが登録される。当該購買レコードの仮登録フラグF1及び削除フラグF2とは、いずれも“0”である。すなわち、当該購買レコードは本登録のレコードであり、削除対象のレコードではない。なお、購買リスト632Aは、客M1の購買リスト632を示す。
【0089】
例えば、図6において、客M1の上述した購買行動とほぼ同時に、客M2が第2の陳列場所71Bに陳列されている商品82を2点取り出す購買行動を行ったとする。この場合、監視装置30からは、2種類の変動データ90B、90Cが販売管理装置60へと出力される。一方の変動データ90Bは、増減フラグ、場所コード、商品コード及び増減個数が変動データ90Aと一致する。ただし、行動客数は「2」となる。他方の変動データ90Cは、増減フラグ、場所コード及び行動客数が変動データ90Bと一致する。ただし、商品コードは、商品82の商品コードであり、増減個数は「2」である。そして、変動データ90Bの増減時刻と変動データ90Cの増減時刻との差分は、閾値時間よりも短い。
【0090】
この場合、販売管理装置60では、ACT1乃至ACT4においていずれもYESと判定される。したがって、本登録処理が実行される。この本登録処理により、変動データ90Bに関しては、第1の陳列場所70Aの近くにいる客M1の客IDが購買者の客IDとして特定される。そして、客M1の購買リスト632Aに、商品81を1点購入した場合の購買レコードが登録される。当該購買レコードの仮登録フラグF1及び削除フラグF2は、いずれも“0”である。すなわち、当該購買レコードは本登録のレコードであり、削除対象のレコードではない。
【0091】
また、変動データ90Bに関しても変動データ90Aと同様に処理される。すなわち販売管理装置60では、ACT1乃至ACT4においていずれもYESと判定される。したがって、本登録処理が実行される。この本登録処理により、第2の陳列場所70Bの近くにいる客M2の客IDが購買者の客IDとして特定される。そして、当該客IDが設定された購買リスト632Bに、商品82を2点購入した場合の購買レコードが登録される。当該購買レコードの仮登録フラグF1及び削除フラグF2は、いずれも“0”である。すなわち、当該購買レコードは本登録のレコードであり、削除対象のレコードではない。なお、購買リスト632Bは、客M2の購買リスト632を示す。
【0092】
一方、図7に示すように、客M1の上述した購買行動とほぼ同時に、客M2が第1の陳列場所71Aに陳列されている商品81を1点取り出す購買行動を行ったとする。この場合、監視装置30からは、1種類の変動データ90Dが販売管理装置60へと出力される。変動データ90Dは、増減フラグ、商品コード、場所コード及び行動客数が変動データ90Bと一致する。ただし、増減個数は「2」である。
【0093】
この場合、販売管理装置60では、ACT1乃至ACT3においていずれもYESと判定されるが、ACT4においてNOと判定される。したがって、仮登録処理が実行される。この仮登録処理により、客M1の客IDと客M2の客IDとがいずれも購買者の客IDとして特定される。そして、客M1の購買リスト632Aと、客M2の購買リスト632Bとに、それぞれ商品81を2点購入した場合の購買レコードが登録される。当該購買レコードの仮登録フラグF1は“1”であり、削除フラグF2は“0”である。すなわち、当該購買レコードは仮登録のレコードである。また、当該購買レコードは削除対象のレコードではない。
【0094】
このとき、第1の陳列場所71A及び第2の陳列場所71Bの近傍に設けられているスピーカ303から、登録エラーを通知するための音声が発せられる。したがって、客M1と客M2は、入手した商品81の登録がエラーとなったことを知り得る。
【0095】
なお、図7において、客M1及び客M2と同時に客M3が第2の陳列場所71Bから商品82を2点購入した場合には、監視装置30から2種類の変動データ90E、90Fが販売管理装置60へと出力される。一方の変動データ90Eは、増減フラグ、商品コード、場所コード及び増減個数が変動データ90Dと一致する。ただし、行動客数は「3」である。他方の変動データ90Fは、増減フラグ、商品コード、場所コード及び増減個数が変動データ90Bと一致する。ただし、行動客数は「3」である。
【0096】
このように、変動データ90E及び変動データ90Fは、いずれも行動客数が「3」であるので、販売管理装置60では、ACT3においてNOと判定される。したがって、仮登録処理が実行される。この仮登録処理により、客M1の客IDと客M2の客IDと客M3の客IDとがいずれも購買者の客IDとして特定される。そして、客M1の購買リスト632Aと、客M2の購買リスト632Bとには、それぞれ商品81を2点購入した場合の購買レコードが登録される。当該購買レコードの仮登録フラグF1は“1”であり、削除フラグF2は“0”である。すなわち、当該購買レコードは仮登録のレコードであり、削除対象のレコードではない。
【0097】
同様に、客M3の客IDが設定された購買リスト632Cには、商品82を2点購入した場合の購買レコードが登録される。当該購買レコードの仮登録フラグF1は“1”であり、削除フラグF2は“0”である。すなわち、当該購買レコードは仮登録のレコードであり、削除対象のレコードではない。なお、購買リスト632Cは、客M3の購買リスト632を示す。
【0098】
このときも、第1の陳列場所71A及び第2の陳列場所71Bの近傍に設けられているスピーカ303から、登録エラーを通知するための音声が発せられる。したがって、客M1、客M2及び客M3は、入手した商品81及び商品82の登録がエラーとなったことを知り得る。
【0099】
さて、登録エラーを通知する音声を確認した客M1、客M2及び客M3は、それぞれ入手した商品81及び商品82を元の陳列場所71A,71Bに戻すこととなる。商品が陳列場所に戻されると、増減フラグが“1”、すなわち計測値が増加したときの変動データ90が監視装置30から販売管理装置60へと出力される。そこで次に、増減フラグが“1”の変動データ90を受信したときの販売管理装置60の動作について説明する。
【0100】
通信インターフェース64を介して変動データ90を受信したプロセッサ61は、ACT1としてその変動データ90の増減フラグを調べる。この場合、増減フラグは“1”なので、プロセッサ61は、ACT1においてNOと判定し、ACT15へと進む。プロセッサ61は、ACT15として返品処理を実行する。
【0101】
図14及び図15は、返品処理の要部制御手順を示す流れ図である。返品処理を開始すると、プロセッサ61は、図14のACT21として変動データ90の行動客数が2名以上であるか否かを確認する。行動客数が1名の場合、プロセッサ61は、ACT21においてNOと判定し、ACT22へと進む。プロセッサ61は、ACT22として返品者の客IDを特定する。この特定処理は、ACT5の処理として説明した購買者の客IDの特定処理と同様である。よって、ここでの説明は省略する。
【0102】
返品者の客IDが特定されると、プロセッサ61は、ACT23としてその客IDが設定された購買リスト632を検索する。そしてプロセッサ61は、ACT24として変動データ90に含まれている商品コードを含む購買レコードが購買リスト632に登録されているか否かを確認する。該当する購買レコードが購買リスト632に登録されている場合、プロセッサ61は、ACT24においてYESと判定し、ACT25へと進む。プロセッサ61は、ACT25としてその購買レコードの個数から、変動データ90に含まれている増減個数を減算する。そしてプロセッサ61は、ACT26として減算後の個数が0個になったか否かを確認する。
【0103】
減算後の個数が0個の場合、プロセッサ61は、ACT26においてYESと判定し、ACT27へと進む。プロセッサ61は、ACT27としてその購買レコードの削除フラグF2を“1”に更新する。これにより、当該購買レコードは削除対象のレコードとなる。
【0104】
一方、減算後の個数が1個以上の場合には、プロセッサ61は、ACT26においてNOと判定し、ACT27の処理をスキップする。したがって、当該購買レコードは、個数が返品された数だけ減算され、削除対象のレコードとはならない。
以上で、プロセッサ61は、返品処理を終了する。
【0105】
なお、返品者の購買リスト632を検索したが該当する購買レコードを検出できなかった場合、プロセッサ61は、ACT24においてNOと判定し、ACT28へと進む。プロセッサ61は、ACT28としてエラー通知を行う。すなわちプロセッサ61は、通信インターフェース64を介して監視装置30へとエラー通知のための音声信号を出力する。これにより、監視装置30では、音声合成回路38によってエラー通知のための音声が合成され、スピーカ303からその音声が発せられる。
【0106】
返品者の購買リスト632から返品商品の購買レコードを検出できないということは、そもそも返品商品を購入した時点で購買レコードが登録されなかったエラーが発生していると考えられる。そこで、ACT28の処理により、登録エラーが発生しているために有人会計機40Aで会計を行うことを客に通知する音声がスピーカ303から発せられる。
【0107】
一方、変動データ90の行動客数が2名以上であった場合には、プロセッサ61は、ACT21においてYESと判定し、図15のACT31へと進む。プロセッサ61は、ACT31として行動客数分の返品者の客IDを特定する。この処理は、ACT9の処理として説明した複数の購買者の客IDを特定する処理と同様である。よって、ここでの説明は省略する。
【0108】
各返品者の客IDが特定されると、プロセッサ61は、ACT32として各返品者の客IDが設定された購買リスト632をそれぞれ検索する。そしてプロセッサ61は、ACT33として変動データ90に含まれている商品コードを含む購買レコードが少なくとも一人の返品者の購買リスト632に登録されているか否かを確認する。少なくとも一人の返品者の購買リスト632に該当する購買レコードが登録されている場合、プロセッサ61は、ACT33においてYESと判定し、ACT34へと進む。プロセッサ61は、ACT34としてその購買レコードの仮登録フラグF1を調べる。
【0109】
仮登録フラグF1が“1”、すなわち仮登録の購買レコードである場合、プロセッサ61は、ACT34においてYESと判定し、ACT35へと進む。プロセッサ61は、ACT35としてその購買レコードの個数が変動データ90の増減個数と一致するか否かを確認する。
【0110】
個数と増減個数とが一致する場合、プロセッサ61は、ACT35においてYESと判定し、ACT36へと進む。プロセッサ61は、ACT36としてその購買レコードの削除フラグF2を“1”に更新する。すなわち、当該購買レコードを削除対象とする。さらにプロセッサ61は、ACT37としてエラー解除通知を行う。すなわちプロセッサ61は、通信インターフェース64を介して監視装置30へとエラー解除通知のための音声信号を出力する。これにより、監視装置30では、音声合成回路38によってエラー解除通知のための音声が合成され、スピーカ303からその音声が発せられる。
【0111】
因みに、エラー解除通知のための音声は、登録エラーが解除されたことを客に通知する内容のものである。例えば、「エラーが解除されました。一人ずつ商品を購入してください」等の音声がスピーカ303から発せられる。
以上で、返品処理は終了する。
【0112】
一方、購買レコードの仮登録フラグF1が“1”でなかった場合には、プロセッサ61は、ACT34においてNOと判定し、ACT38へと進む。プロセッサ61は、ACT38として返品商品の購買レコードを含む購買リスト632が1つだけであるか否かを確認する。返品商品の購買レコードを含む購買リスト632が1つだけである場合、その購買リスト632の客IDで識別される客が商品を返品したと推定される。そこでプロセッサ61は、ACT38においてYESと判定し、図14のACT25へと進む。そしてプロセッサ61は、ACT25乃至ACT27の処理を前記と同様に実行する。
【0113】
これに対し、返品商品の購買レコードを含む購買リスト632が2つ以上存在する場合には、正しい返品者を特定することができない。この場合、プロセッサ61は、ACT38においてNOと判定し、図14のACT28へと進む。また、全ての返品者の購買リスト632に該当する購買レコードが登録されていない場合、あるいは購買レコードの個数が変動データ90の増減個数と一致しない場合も、正しい返品者を特定できない。すなわちプロセッサ61は、ACT33においてNOと判定された場合、または、ACT35においてNOと判定された場合も、図14のACT28へと進む。プロセッサ61は、ACT28としてエラー通知を行う。
【0114】
例えば図7に示すように、1つの陳列場所71Aから二人の客M1及び客M2がほぼ同時に商品81を1点ずつ購入した場合、前述したように、販売管理装置60では仮登録処理が実行される。すなわち、客M1の購買リスト632Aと客M2の購買リスト632Bとに商品81を2点購入した購買レコードがそれぞれ登録される。そしてこの購買レコードの仮登録フラグF1は“1”となる。また、スピーカ303から登録エラーを通知するための音声が発せられる。したがって、客M1及び客M2は、音声に従い、商品81を陳列場所71Aに戻すこととなる。
【0115】
このとき、客M1及び客M2がほぼ同時に商品81を陳列場所71Aに戻した場合には、増減フラグが“1”、増減個数が「2」、行動客数が「2」の変動データ90Gが監視装置30から販売管理装置60へと出力される。その結果、販売管理装置60では、ACT21においてYESと判定され、さらにACT33乃至ACT35においてもYESと判定されて、ACT36及びACT37の処理が実行される。その結果、仮登録されていた購買レコードが削除対象となる。そしてスピーカ303からエラー解除を通知する音声が発せられる。したがって客M1と客M2は、音声に従い、順番に商品81を購入することとなる。そうすることにより、客M1及び客M2の各購買リスト632には、商品81の購買データが本登録される。
【0116】
因みに、例えば一方の客M1だけが商品81を陳列場所71Aに戻した場合には、ACT35においてNOと判定されるので、登録エラーは解除されない。その結果、客M1及び客M2は、いずれも有人会計機40Aにて会計を行うこととなる。
【0117】
ここにプロセッサ61は、ACT31乃至ACT37の処理により、再開通知手段を構成する。すなわちプロセッサ61は、登録エラーの通知の後で、商品の減少が検出された陳列場所において減少分と同等の商品の増加が検出されると、通知部(スピーカ303)を介して客に購買行動の再開を通知する。
【0118】
以上説明したように、例えば二人の客M1及び客M2が1つの陳列場所71Aに陳列されている商品81をほぼ同時に1点ずつ購入しようとした場合、客M1の購買リスト632Aと客M2の購買リスト632Bとに、それぞれ商品81を2点購入した場合の購買データが仮登録されて、登録エラーが通知される。
【0119】
そこで、客M1及び客M2が陳列場所71Aに商品81をほぼ同時に戻すと、購買リスト632A及び購買リスト632Bに仮登録されていた購買データが削除対象となる。
【0120】
その後、一方の客M1が陳列場所71Aから商品81を1点購入すると、購買リスト632Aに、商品81を1点購入した場合の購買データが本登録される。続いて、他方の客M1が陳列場所71Aから商品81を1点購入すると、購買リスト632Bに、商品81を1点購入した場合の購買データが本登録される。
【0121】
因みに、購買リスト632に登録されている購買データがすべて本登録の客は、セルフ会計機40Bで商取引を決済することができる。また、仮登録の購買データが含まれる場合でも、削除対象となっている場合には、セルフ会計機40Bで商取引を決済することができる。これに対し、少なくとも1つの購買データが仮登録されており、尚且つ削除対象となっていない客は、セルフ会計機40Bでは商取引を決済することができない。このような客は、有人会計機40Aで商取引を決済することとなる。
【0122】
ところで、セルフ会計機40Bは、例えば次のような処理を行う。すなわちセルフ会計機40Bは、リーダで客が提示する客IDを読み取ると、その客IDを販売管理装置60へ送信して決済を要求する。販売管理装置60は、通信インターフェース64を介してセルフ会計機40Bが送信した客IDを受信する。販売管理装置60のプロセッサ61は、客IDを送信してきた会計機が有人会計機40Aであるのか、セルフ会計機40Bであるのかを確認する。有人会計機40A及びセルフ会計機40Bは、客IDとともに、会計機を識別するための会計機IDを一緒に送信する。プロセッサ61は、会計機IDに基づいて、客IDを送信してきた会計機、いわゆる送信元会計機がセルフ会計機40Bであるか、有人会計機40Aであるかを確認できる。
【0123】
送信元会計機がセルフ会計機40Bである場合、プロセッサ61は、当該客IDの購買リスト632の中に、削除対象とはなっていない仮登録の購買データが含まれているか否かを確認する。仮登録の購買データが含まれていない場合には、プロセッサ61は、購買リスト632の購買データを送信元会計機であるセルフ会計機40Bへ送信する。セルフ会計機40Bは、購買データに含まれる販売データに基づいて決済処理を実行する。
【0124】
これに対し、仮登録の購買データが含まれている場合には、プロセッサ61は、送信元会計機であるセルフ会計機40Bに、決済不可の応答を送信する。決済不可の応答を受信したセルフ会計機40Bは、決済処理を実行できない。ここに販売管理装置60は、仮登録の販売データの決済を禁止する決済禁止手段を構成する。なお、販売管理装置60が購買リスト632の購買データをセルフ会計機40Bへ送信するものの、仮登録の販売データの決済を禁止する処理はセルフ会計機40Bで行っても良い。
【0125】
こうすることで、仮登録の販売データがセルフ会計機40Bで決済されることを防ぐことができる。また有人会計機40Aへ客を導くことができる。
【0126】
一方、有人会計機40Aは、例えば次のような処理を行う。すなわち有人会計機40Aは、客が提示する客IDを読み取ると、その客IDを販売管理装置60へ送信して決済の要求をする。販売管理装置60は、通信インターフェース64を介して有人会計機40Aが送信した客IDを受信する。販売管理装置60のプロセッサ61は、客IDを送信してきた会計機が有人会計機40Aであるのか、セルフ会計機40Bであるのかを確認する。
【0127】
送信元会計機が有人会計機40Aである場合、プロセッサ61は、受信した客IDで識別される購買リスト632の購買データを有人会計機40Aへ送信する。したがって、購買リスト632に仮登録の販売データが含まれている場合には、販売管理装置60は、仮登録の販売データであることを識別可能に、購買データを有人会計機40Aへ送信する。ここに販売管理装置60は、購買者が特定されていないことを識別可能に、販売データを送信する送信手段を構成する。
【0128】
有人会計機40Aの制御部は、受信した購買データの中に削除対象となっていない仮登録の販売データが含まれているか否かを確認する。仮登録の販売データが含まれている場合には、制御部は、購買データの中の販売データを一覧表示する。店員は、仮登録の販売データに対応する商品を客から受け取り、有人会計機40Aを操作して本登録を行う。例えば店員は、商品のバーコードを読み取る。なお、該当する商品が無い場合には、店員は、操作部を用いて販売データの削除操作を行う。これにより、仮登録の購買データは本登録または削除対象に変更される。その後、有人会計機40Aは、その他の本登録の販売データとともに決済処理を実行する。
【0129】
したがって、本実施形態によれば、購買者の特定が困難な場合でも高い信頼性をもって販売データを管理できる販売管理システム1及びこのシステムの販売管理装置60を提供することができる。
詳しくは、第1の陳列場所と第2の陳列場所の商品の減少の検出を利用して高い信頼性をもって販売データを管理できる販売管理システム1及びこのシステムの販売管理装置60を提供することができる。
また、登録エラーが発生した場合には、登録エラーの発生した陳列場所で登録エラーを客に通知することができる。
また、商品の増加を検出したことと連動して購買行動の再開を通知することもできる。
【0130】
以上、一実施形態について説明したが、かかる実施形態はこれに限定されるものではない。
例えば前記実施形態では、1組のカメラ301、第1重量センサ302A及び第2重量センサ302B及びスピーカ303を、接近した二か所の商品陳列場所に対応付けて配置した。この点に関しては、重量センサを増やすことによって、3か所以上の商品陳列場所に対応付けて配置することも可能である。また、複数の陳列場所は、床面と平行に隣り合っていなくてもよい。上下に段差のある複数の商品陳列場所に対応付けて配置してもよい。
【0131】
また、店舗内の全ての陳列場所に1組のカメラ301、第1重量センサ302A及び第2重量センサ302B及びスピーカ303を配置する必要はない。例えば特定の商品を陳列する陳列棚に1組のカメラ301、第1重量センサ302A及び第2重量センサ302B及びスピーカ303を配置し、他の商品を陳列する棚には配置しなくてもよい。その場合、他の商品を陳列する棚の商品は、例えばカートに備えられた読取装置で商品のバーコードを読み取ることで登録する。この場合、購買リスト632には陳列場所で生成した購買データとカートで読み取ったバーコードで生成した購買データが混在するようになる。このように、必要な陳列場所だけに本発明を適用することも可能である。
【0132】
また、購買リスト632に本登録と仮登録の購買データを登録したが、購買リスト632とは別に仮登録の購買データを客IDに対応させて仮登録リストとして補助記憶デバイス63に保持してもよい。このように仮登録リストとして保存することも、購買候補者に特定された客に関連づけて商品を購入する客(購買者)が特定されていないことを識別可能に登録する仮登録手段である。なお、この仮登録リストは仮登録の販売データを記憶することから、仮登録フラグF1、削除フラグF2を設けなくても良い。このように、仮登録のリストを客IDに対して保持し、そのリストを履歴データとして保存しておくことで、事後検証をすることが可能となる。また、登録エラーを引き起こした客とその時の販売データを記憶することができる。例えば、同じ客が頻繁に仮登録をしている場合に、その客の行動を監視するなどのセキュリティーの強化にも活用できる。
【0133】
前記実施形態では、登録エラーを通知するための信号を監視装置30へと出力する場合を例示した。信号の出力先は、監視装置30に限定されるものではない。例えば、店員がオペレータとなる端末を信号の出力先としてもよい。そうすることにより、端末からエラー通知が発せられるので、そのエラーに対して店員が適切に対処することができる。また、店員がオペレータとなる端末ではなく、客が所持するスマートフォン等の端末を信号の出力先としてもよい。そうすることにより、登録エラーの通知が客に直接伝わるので、エラー解除のための返品動作を客が確実に行うようになる。
【0134】
また、仮登録の処理の後のACT13のエラー処理として、有人会計機40Aで決済を行うことを客に通知する音声をスピーカ303から発しても良い。つまり、仮登録が発生した場合は、返品を促すことなく、決済を有人会計機40Aですることを促しても良い。こうすることで、購買者の特定が困難な場合には、客に有人会計機40Aへ行くことを通知できる。つまり、客に返品させるわずらわしさを与えることを防止できる。
【0135】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0136】
1…販売管理システム、10…ゲート装置、20…人物追跡装置、30…監視装置、40…会計機、40A…有人会計機、40B…セルフ会計機、50…店舗サーバ、60…販売管理装置、301…カメラ、302A…第1重量センサ、302B…第2重量センサ、303…スピーカ、331…監視テーブル、631…変換テーブル、632…購買リスト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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