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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20240927BHJP
【FI】
A61M25/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021023339
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125638
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 翔太
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-217253(JP,A)
【文献】実開昭62-186701(JP,U)
【文献】特開2005-334475(JP,A)
【文献】特公平03-014469(JP,B2)
【文献】特開2007-307036(JP,A)
【文献】国際公開第2011/081001(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0045719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張液が流通する内腔を有する中空シャフトと、
前記中空シャフト外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能なバルーンと、を備えているバルーンカテーテルであって、
前記中空シャフトは、前記内腔と前記バルーンの内部とを連通する開口部
前記中空シャフトの外周面に、前記開口部を跨ぐように通りかつ前記外周面に沿って延在するそれぞれ独立した複数の溝部と、が設けられており、
前記独立した複数の溝部それぞれの幅は、前記開口部の開口径よりも小さいことを特徴とするバルーンカテーテル。
【請求項2】
前記溝部は、前記中空シャフトの円周方向に沿って延在している請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記溝部は、前記中空シャフトの円周方向全体に亘って環状に延在している請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記溝部は、前記中空シャフトの長軸方向に対して傾斜する方向に沿って延在している請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、血管内の狭窄部を拡張する医療器具として、バルーンカテーテルが知られている。バルーンカテーテルは、概して、血管を拡張するバルーンと、バルーン内に拡張液を送り込むための中空シャフトとにより構成されている。
【0003】
このようなバルーンカテーテルを用いた手技では、狭窄部の拡張が完了した後、バルーン内の拡張液を中空シャフトに設けられた開口部を介して排出することでバルーンを収縮させ、バルーンカテーテルを体外に抜去する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-116814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来のバルーンカテーテルを用いた手技において、バルーンを収縮する際に中空シャフトの開口部がバルーンにより閉塞する虞がある。このような開口部の閉塞は、例えば、バルーンに対応する部位の中空シャフトが血管の壁に押しつけられ、開口部直上に位置するバルーンが中空シャフトの外周面に強く押し当てられることで起こり得る。かかる場合、バルーンにより開口部が塞がって拡張液が十分に排出されず、例えば、バルーンが意図通りに収縮しないことによりバルーンカテーテルの円滑な抜去が妨げられる虞がある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、バルーンを収縮する際、たとえ開口部の上部に位置するバルーンが中空シャフトの外周面に強く押し当てられたとしても、バルーンを迅速に収縮することが可能なバルーンカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの態様は、
(1)拡張液が流通する内腔を有する中空シャフトと、
前記中空シャフト外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能なバルーンと、を備えているバルーンカテーテルであって、
前記中空シャフトは、前記内腔と前記バルーンの内部とを連通する開口部を有し、
前記中空シャフトの外周面に、前記開口部を通りかつ前記外周面に沿って延在する溝部が設けられていることを特徴とするバルーンカテーテル、
(2)前記溝部は、前記中空シャフトの円周方向に沿って延在している前記(1)に記載のバルーンカテーテル、
(3)前記溝部は、前記中空シャフトの円周方向全体に亘って環状に延在している前記(2)に記載のバルーンカテーテル、
(4)前記溝部は、前記中空シャフトの長軸方向に対して傾斜する方向に沿って延在している前記(1)に記載のバルーンカテーテル、および
(5)前記溝部は、同一の開口部に対して複数設けられている前記(1)から(4)のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル、である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、バルーンを収縮する際、たとえ開口部の上部に位置するバルーンが中空シャフトの外周面に強く押し当てられたとしても、バルーンを迅速に収縮することが可能なバルーンカテーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】第1の実施形態の全体を示す概略的平面図である。
図1B】第1の実施形態の全体を示す概略的側面図である。
図2A図1Aの一部を拡大して示す概略的平面図である。
図2B図1Bの一部を拡大して示す概略的側面図である。
図3図2BのIII-III線で切断した概略的断面図である。
図4】第2の実施形態の一部を拡大して示す概略的側面図である。
図5図4のV-V線で切断した概略的断面図である。
図6】第3の実施形態の一部を拡大して示す概略的側面図である。
図7A】第4の実施形態の一部を拡大して示す概略的平面図である。
図7B】第4の実施形態の一部を拡大して示す概略的側面図である。
図8A】その他の実施形態の一部を拡大して示す概略的側面図である。
図8B】その他の実施形態の一部を拡大して示す概略的側面図である。
図8C】その他の実施形態の概略的断面図である。
図8D】その他の実施形態の概略的断面図である。
図8E】その他の実施形態の一部を拡大して示す概略的側面図である。
図8F】その他の実施形態の一部を拡大して示す概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のバルーンカテーテルは、拡張液が流通する内腔を有する中空シャフトと、上記中空シャフト外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能なバルーンと、を備えているバルーンカテーテルであって、上記中空シャフトは、上記内腔と上記バルーンの内部とを連通する開口部を有し、上記中空シャフトの外周面に、上記開口部を通りかつ上記外周面に沿って延在する溝部が設けられている。
【0011】
なお、本明細書において、「先端側」とは、中空シャフトの軸方向に沿う方向であって、バルーンカテーテルが治療部位に向って進行する方向を意味する。「基端側」とは、中空シャフトの軸方向に沿う方向であって、上記先端側と反対の方向を意味する。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端側の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端側の端部をそれぞれ示す。
【0012】
以下、第1~第4の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、以下の実施形態にのみ限定されるものではない。また、各図面に示したバルーンカテーテルの寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、実際の寸法に対応するものではない。また、各図面において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)である。また、図1A図1B以外の図面では、バルーンが省略されている。
【0013】
[第1の実施形態]
図1図3は、第1の実施形態の概略図である。バルーンカテーテル1は、図1A図1Bに示すように、概略的に、中空シャフト11と、先端チップ21と、バルーン31と、コネクタ41とにより構成されている。
【0014】
中空シャフト11は、拡張液が流通する内腔を有するシャフトである。中空シャフト11は、その先端部に、中空シャフトの内腔11h1と後述するバルーンの内部とを連通する開口部11a1を有している。内腔11h1は、中空シャフト11の開口部11a1から基端部まで貫通するように設けられている。本実施形態のバルーンカテーテル1は、内腔11h1の他に内腔11h2を有している。内腔11h2は、内腔11h1に並行かつ中空シャフト11を先端から基端に亘って貫通するように設けられている。
【0015】
中空シャフト11の外周面に、開口部11a1を通りかつ外周面11bに沿って延在する溝部111が設けられている。溝部111は、周囲の中空シャフト外周面11bに対して中心軸方向に向かって凹んでいる。溝部111が延在する方向は特に限定されない。上記方向としては、例えば、中空シャフト11の円周方向、中空シャフト11の長軸方向、中空シャフト11の長軸方向に対して斜め方向(螺旋方向を含む)、これらを組み合わせた方向等が挙げられる。溝部111は、開口部11a1を起点として一方向に延在していてもよく、多方向に延在していてもよい。
【0016】
溝部111が中空シャフト11の円周方向または中空シャフト11の長軸方向に対して斜め方向に形成されている場合、溝部111の長手方向の両端部111a,111bと中空シャフト11の中心軸Cとがなす角度(図3の角度θ)は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。上記角度は、例えば、90°であってもよく、180°であってもよい。本実施形態では、図2A図2B,図3に示すように、開口部11a1を起点として溝部111が対向する二方向に延在し、かつ溝部111の両端部と中心軸とがなす角度が180°である構成が例示されている。
【0017】
ここで、溝部111の幅は、開口部11a1の開口径と同じであってもよいが、開口径よりも小さくてもよく、大きくてもよい。溝部111の幅が開口径よりも小さい場合、例えば、後述するバルーン31が開口部11a1に対して溝部111をより塞ぎにくく拡張液の流路をより確実に確保することができる。溝部111の幅が開口径よりも大きい場合、例えば、溝部111の流量をより大きくすることができ、バルーン31の縮径をより迅速に行うことができる。
【0018】
先端チップ21は、中空シャフト11の先端に接続された中空形状の部材である。先端チップ21は、具体的には、例えば、長軸方向に沿って貫通する内腔21hを備え、かつ先端部が先端側に向かって略尖鋭形状となるように形成することができる。バルーンカテーテル1は、先端チップ21を備えることで、例えば、血管内を前進する際の抵抗を減らし、バルーンカテーテル1を円滑に進行させることができる。
【0019】
バルーン31は、中空シャフト外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能な部材である。バルーン31は、具体的には、例えば、開口部11a1が設けられた中空シャフト11の先端部外周面11bを覆うように配置することができる。バルーン31の先端は、中空シャフト11の先端部および/または先端チップ21(例えば先端チップ21の先端部や基端部など、先端チップ21のいずれの部位であってもよい)に接合され、バルーン31の基端部は、中空シャフト11の長軸方向の中途に接続することができる。
【0020】
バルーン31は、開口部11a1を介して拡張液が注入されることで膨張(径方向外側に拡径)し、開口部11a1を介して拡張液が排出されることで収縮(径方向内側に縮径)する。これにより、例えば、血管の内壁を押し拡げたり、ステントを拡張して血管内に留置することができる。
【0021】
上述した中空シャフト11、先端チップ21、バルーン31を構成する材料としては、これらが体腔内に挿通されることから、抗血栓性、可撓性および生体適合性を有していることが好ましい。上記材料としては、例えば、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、シリコーン、フッ素樹脂など樹脂材料等を採用することができる。
【0022】
中空シャフト11、先端チップ21およびバルーン31相互の接合方法としては、例えば、樹脂材料どうしを加熱により溶着する方法、接着剤を用いて接着する方法等を採用することができる。
【0023】
コネクタ41は、オペレータがバルーンカテーテル1の基端部を把持する部材である。コネクタ41は、内腔11h1に連通する内腔41h1、および内腔11h2に連通する内腔41h2を有している。コネクタ41は、中空シャフト11の基端部に接続することができる。なお、コネクタ41の形態は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
【0024】
ここで、上述した中空シャフト11の内腔11h1と、コネクタ41の内腔41h1とは連通しており、これらにより、開口部11a1および基端の開口41a1を有する拡張ルーメンL1が形成される。拡張ルーメンL1は、拡張液を流通するルーメンである。拡張ルーメンL1の基端部(開口部41a1)には、例えば、生理食塩水などの拡張液の供給を制御するインデフレータ(不図示)が接続される。先端チップ21の内腔21hと、中空シャフト11の内腔11h2と、コネクタ41の内腔41h2とは連通しており、これらにより、先端の開口部21aおよび基端の開口部41a2を有するガイドワイヤルーメンL2が形成される。ガイドワイヤルーメンL2には、例えば、血管に沿ってバルーンカテーテル1を案内するガイドワイヤなどが挿通される。
【0025】
次に、バルーンカテーテル1の使用態様について説明する。ここでは、バルーンカテーテル1を用いて心臓の冠動脈中に存する狭窄部(治療部位)を拡張する手技について説明する。
【0026】
まず、バルーンカテーテル1の挿入に先立って、ガイドワイヤ(不図示)を治療部位まで押し進めておく。次いで、バルーン31が縮径した状態のバルーンカテーテル1を用い、ガイドワイヤの基端をバルーンカテーテル1のガイドワイヤルーメンL2の開口部21aに差し入れてバルーンカテーテル1をその先端から血管に挿入する。
【0027】
次に、バルーンカテーテル1をガイドワイヤに沿って治療部位まで押し進める。次いで、バルーン31が狭窄部の内側に達した状態にてバルーンカテーテル1を留置した後、開口部41a1から拡張ルーメンL1を介して生理食塩水などの拡張液をバルーン31内に注入することでバルーン31を拡張する。この際、拡張したバルーン31の外周面が狭窄部の内壁に当接しながら押し広げることで狭窄部が拡張される。
【0028】
次に、狭窄部の拡張が終了した後、インデフレータにより拡張液を吸引しながら開口部11a1を介して拡張液をバルーン31内から排出することでバルーン31を縮径させる。この際、バルーン31内の拡張液の一部は、一旦溝部111に入った後、溝部111に沿って開口部11a1に到達し、開口部11a1から内腔11h1に吸入される。次いで、バルーン31が縮径した後、バルーンカテーテル1を後退させながら体外に抜去することでバルーンカテーテル1の使用が完了する。
【0029】
以上のように、バルーンカテーテル1は、上記構成であるので、バルーン31を収縮する際、たとえ開口部11a1直上に位置するバルーン31が中空シャフト11の外周面11bに強く押し当てられたとしても、バルーン31内部の拡張液を溝部111を介して内腔11h1に排出することができ、バルーン31を迅速に収縮することができる。
【0030】
また、バルーンカテーテル1は、溝部111が中空シャフト11の円周方向に沿って延在しているので、例えば、中空シャフト11の円周方向のうちの特定の方向が血管の壁に押しつけられた状態であっても、上記特定の方向以外の方向に延設された溝部111から拡張液を排出することができる。このため、バルーン31により溝部111(拡張液が排出される流路)全体が閉塞するリスクをより低減することできる。
【0031】
[第2の実施形態]
図4図5は、第2の実施形態の概略図である。バルーンカテーテル2は、図4に示すように、概略的に、中空シャフト12と、先端チップ21と、バルーン31(不図示)と、コネクタ41(不図示)とにより構成されている。本実施形態のバルーンカテーテル2は、中空シャフト12の構成が第1の実施形態と異なっている。なお、先端チップ21、バルーン31およびコネクタ41の構成は第1の実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、以下に示す中空シャフト12の構成以外の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0032】
中空シャフト12は、拡張液が流通する内腔を有するシャフトである。中空シャフト12は、その先端部に、中空シャフト12の内腔12h1とバルーン31の内部とを連通する開口部12a1を有している。中空シャフト12の外周面12bに、開口部12a1を通りかつ外周面12bに沿って延在する溝部121が設けられている。
【0033】
本実施形態の溝部121は、中空シャフト12の円周方向全体に亘って環状に延在している。溝部121は、具体的には、例えば、中空シャフト12の円周方向における開口部12a1の反対側の部位まで延在しており、拡張液は円周方向のいずれの方向に流れても開口部12a1に向かうことができる。
【0034】
以上のように、バルーンカテーテル2は、上記構成であるので、少なくとも中空シャフト12の血管の壁に押しつけられた部位と反対の部位では、バルーン31により溝部121が閉塞することなく拡張液を排出するための流路を確保することができる。このため、バルーン31により溝部121(拡張液が排出される流路)全体が閉塞するリスクをより低減することできる。
【0035】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態の概略図である。バルーンカテーテル3は、図6に示すように、概略的に、中空シャフト13と、先端チップ21と、バルーン31(不図示)と、コネクタ41(不図示)とにより構成されている。本実施形態のバルーンカテーテル3は、中空シャフト13の構成が第1の実施形態と異なっている。なお、先端チップ21、バルーン31およびコネクタ41の構成は第1の実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、以下に示す中空シャフト13の構成以外の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0036】
中空シャフト13は、拡張液が流通する内腔を有するシャフトである。中空シャフト13は、その先端部に、中空シャフト13の内腔13h1とバルーン31の内部とを連通する開口部13a1を有している。中空シャフト13の外周面13bに、開口部13a1を通りかつ外周面13bに沿って延在する溝部131が設けられている。
【0037】
本実施形態の溝部131は、中空シャフト13の長軸方向に対して傾斜する方向に沿って延在している。本実施形態では、溝部131が開口部13a1を起点として対向する二方向に向かって螺旋状に延在し、かつ溝部131の両端部と中空シャフト13の中心軸とがなす角度が360°である構成が例示されている。
【0038】
以上のように、バルーンカテーテル3は、上記構成であるので、溝部131が長軸方向にも拡張している分、バルーン31により溝部131(拡張液が排出される流路)全体が閉塞するリスクをより低減することできる。
【0039】
[第4の実施形態]
図7は、第4の実施形態の概略図である。バルーンカテーテル4は、図7A図7Bに示すように、概略的に、中空シャフト14と、先端チップ21と、バルーン31(不図示と、コネクタ41(不図示)とにより構成されている。本実施形態のバルーンカテーテル4は、中空シャフト14の構成が第1の実施形態と異なっている。なお、先端チップ21、バルーン31およびコネクタ41の構成は第1の実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、以下に示す中空シャフト14の構成以外の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0040】
中空シャフト14は、拡張液が流通する内腔を有するシャフトである。中空シャフト14は、その先端部に、中空シャフト14の内腔14h1とバルーン31の内部とを連通する開口部14a1を有している。中空シャフト14の外周面14bに、開口部14a1を通りかつ外周面14bに沿って延在する溝部141が設けられている。
【0041】
本実施形態の溝部141は、同一の開口部に対して複数設けられている。具体的には、本実施形態では、長軸方向に沿った長手形状の開口部14a1が設けられている。また、本実施形態では、円周方向に沿って半円状に延在した第1溝部141A、第2溝部141Bおよび第3溝部141Cが、それぞれ独立して、先端側から基端側に向かって順に配置されている。
【0042】
以上のように、バルーンカテーテル4は、上記構成であるので、溝部141が複数箇所に分散している分、バルーン31により溝部141(拡張液が排出される流路)全体が閉塞するリスクをより低減することできる。
【0043】
なお、本開示は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態の構成のうちの一部を削除したり、他の構成に置換してもよく、上述した実施形態の構成に他の構成を追加等してもよい。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、一つの開口部11a1,12a1,13a1,14a1を有する中空シャフト11,12,13,14を備えたバルーンカテーテル1,2,3,4について説明した。しかしながら、当該バルーンカテーテルは、複数の開口部(例えば、15a11,15a12,15a13)を有し、開口部それぞれに一または二以上の溝部(例えば、151A,151B,151C)が設けられたものであってもよく(図8A参照)、二以上の開口部(例えば、16a11,16a12,16a13)のうちの一部の開口部(例えば、16a11,16a12)にのみ溝部(例えば、161A,161B)が設けられたものであってもよい(図8B参照)。
【0045】
また、上述した実施形態では、開口部11a1,12a1,13a1,14a1が溝部111,121,131,141の中途に位置するバルーンカテーテル1,2,3,4について説明した。しかしながら、当該バルーンカテーテルは、開口部17a1が溝部171の端に位置していてもよい(図8C参照)。
【0046】
また、上述した第1の実施形態では、溝部111が半円状(角度θ=180°)に延在したバルーンカテーテル1について説明した。しかしながら、当該バルーンカテーテルは、溝部112が半円状(角度θ=180°)以外の角度(例えば、角度θ=90°)であってもよい(図8D参照)。
【0047】
また、上述した第4の実施形態では、溝部141が同一の開口部14a1に対して複数設けられ、かつ溝部141が半円状(角度θ=180°)に延在したバルーンカテーテル4について説明した。しかしながら、当該バルーンカテーテルは、溝部142A,142B,142Cが同一の開口部14a1に対して複数設けられ、かつ中空シャフトの円周方向全体に亘って環状に延在していてもよい(図8E参照)。また、当該バルーンカテーテルは、溝部143A,143B,143Cが同一の開口部14a1に対して複数設けられ、かつ中空シャフトの長軸方向に対して傾斜する方向に沿って延在していてもよい(図8F参照)。
【0048】
また、上述した実施形態では、先端チップ21およびコネクタ41を備えたバルーンカテーテル1,2,3,4について説明した。しかしながら、これらのうちの少なくともいずれかを備えていないバルーンカテーテルであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,2,3,4 バルーンカテーテル
11,12,13,14 中空シャフト
11a1,12a1,13a1,14a1 開口部
11b,12b,13b,14b 外周面
11h1,12h1,13h1,14h1 内腔
111,121,131,141,141A,141B,141C 溝部
21 先端チップ
31 バルーン
41 コネクタ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F