(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】消火設備の点検システム
(51)【国際特許分類】
A62C 37/50 20060101AFI20240927BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240927BHJP
G16Y 10/75 20200101ALI20240927BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A62C37/50
G05B23/02 301T
G16Y10/75
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2021039023
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
(72)【発明者】
【氏名】小島 美典
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-103623(JP,A)
【文献】特開2015-130926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 27/00-99/00
G05B 23/02
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火設備に組み込まれた所定の設備機器を撮像し、ネットワークを介して前記設備機器の画像を送信する撮像装置と、
前記ネットワークを介して受信された前記設備機器の画像から前記設備機器の状態を認識して表示させる処理装置と、
が設けられ、
前記処理装置は、前記撮像装置で撮像している前記設備機器を含む前記消火設備の系統図を表示し、前記系統図に示された設備機器に、前記設備機器の画像から認識された前記設備機器の状態を表示させることを特徴とする消火設備の点検システム。
【請求項2】
請求項1記載の消火設備の点検システムに於いて、
前記処理装置は、前記設備機器の状態から異常を検出した場合に、警報を出力することを特徴とする消火設備の点検システム。
【請求項3】
請求項1記載の消火設備の点検システムに於いて、
前記撮像装置で撮像される設備機器は圧力計であり、
前記処理装置は、前記撮像手段で撮像している前記圧力計を含む前記消火設備の系統図を表示し、前記系統図に示された前記圧力計に、前記圧力計の画像から認識された圧力値を表示させることを特徴とする消火設備の点検システム。
【請求項4】
請求項1記載の消火設備の点検システムに於いて、
前記撮像装置で撮像される設備機器は、消火設備の設置区域に配置された消火器の圧力計であり、
前記処理装置は、前記撮像装置で撮像している前記消火器の圧力計を含む前記消火設備の系統図を画面表示し、前記系統図に示された前記消火器の圧力計に、前記消火器の圧力計の画像から認識された圧力値を表示させることを特徴とする消火設備の点検システム。
【請求項5】
請求項3又は4記載の消火設備の点検システムに於いて、
前記処理装置は、前記圧力計の圧力値の異常を検出した場合に、警報を出力することを特徴とする消火設備の点検システム。
【請求項6】
請求項1記載の消火設備の点検システムに於いて、
前記撮像装置で撮像される設備機器は弁の操作部であり、
前記処理装置は、前記撮像装置で撮像している前記弁を含む前記消火設備の系統図を表示し、前記系統図に示された前記弁に、前記弁の操作部の画像から認識された前記弁の開状態又は閉状態を表示させることを特徴とする消火設備の点検システム。
【請求項7】
請求項6記載の消火設備の点検システムに於いて、
前記処理装置は、前記弁の開状態又は閉状態から異常を検出した場合に、警報を出力することを特徴とする消火設備の点検システム。
【請求項8】
請求項1記載の消火設備の点検システムに於いて、
前記処理装置は、所定の周期毎に前記撮像装置から前記設備機器の画像を受信して認識し、前記設備機器の異常を検出した場合は、前記所定の周期をそれより短い周期に変更することを特徴とする消火設備の点検システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災による閉鎖型のスプリンクラーヘッドの作動で消火ポンプ等の加圧送水装置から供給した消火用水を放水して消火する消火設備の点検システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般ビル向けの消火設備として、湿式スプリンクラー消火設備が知られている。湿式スプリンクラー消火設備は、水による初期消火を目的として、火災感知から消火まで全て自動で行う消火設備である。
【0003】
一般ビル向けの湿式スプリンクラー消火設備は、消火ポンプに接続した給水本管から防護区画毎に、開閉操作自在な制御弁と自動警報弁(流水検知装置)を介して分岐管を引き出し、自動警報弁の2次側配管に閉鎖型のスプリンクラーヘッドを複数接続し、配管内に消火用水を加圧状態で充水している。
【0004】
スプリンクラーヘッドは火災による熱気流を受けると、感熱部が熱分解して開放作動し、毎分80リットル以上の水を連続散水して消火する。このとき自動警報弁は2次側配管の減圧による一次側圧力との差圧により弁体を開放作動し、弁体の開放作動により流水検知スイッチ(圧力スイッチ)から流水検知信号をスプリンクラー制御盤に出力して放水表示を行う。
【0005】
また、スプリンクラーヘッドの作動に伴う給水本管の圧力低下に対し、給水本管の管内圧力を導入した空気タンクに設けた圧力スイッチが所定のポンプ起動圧力以下になったことを検出してオンし、圧力低下検出信号をポンプ制御盤に出力し、これによりポンプ制御盤が消火ポンプを自動起動し、水源水槽からくみ上げた消火用水を加圧して送水し、作動したスプリンクラーヘッドからの放水を継続させる。
【0006】
また通常監視状態にあっては、温度上昇による配管膨張等で管内圧力が低下したような場合、空気タンクに設けた圧力スイッチが所定のポンプ起動圧力以下になったことを検出するとポンプ制御盤が消火ポンプを自動起動し、これにより管内圧力が回復してポンプ起動圧力より高めに設定した所定のポンプ停止圧力に達すると、圧力スイッチがオフして圧力回復検出信号をポンプ制御盤に出力して消火ポンプを自動停止する。
【0007】
一方、火災によるスプリンクラーヘッドの作動で消火ポンプを起動した場合には、火災の消火を確認した後に、スプリンクラーヘッドが作動した防護区画に対応した制御弁室に設けている制御弁を閉じで放水を停止し、これにより配管内の圧力が回復して空気タンクに設けた圧力スイッチがオンした状態で、ポンプ制御盤に設けているポンプ停止スイッチを操作することで、消火ポンプを手動停止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】登録第2589333号公報
【文献】特公平04-048470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来のスプリンクラー消火設備の点検は、現在に至るまで人による点検を行っており、法的な定めに従った年に2回の定期点検の実施であるため、日常点検は行っておらず、定期点検の間に設備が故障して機能不全に至れば、火災時に消火できない場合や誤作動する可能性がある。このような設備の故障による異常は定期点検の際に発見されることになるが、これは前回の定期点検が終了した後の何れかの日時に発生していた異常であり、次の定期点検まで異常が発見できない問題がある。
【0010】
このような日常点検ができない問題を解決するため、自動点検設備が用いられることがある(特許文献2)。自動点検設備は、建物に設けられた専用の制御盤からスケジュールに沿って中継器に信号を送り、末端試験装置を開閉することで、ポンプの起動から巻末放水まで確認することにより、人による点検を自動化して、日常点検を可能としている。
【0011】
しかしながら、自動点検設備は導入費用が高額であることはもちろん、実際に配管内に水が通過することやポンプ運転に伴う音や振動が発生するため、医療施設等では自動点検設備が普及しない状況にある。また、自動点検設備自体の老朽化も避けられず、自動点検設備も点検を必要とするためランニングコストの負担も大きい。
【0012】
更に、自動点検設備は、本来の消火設備に直接組み込まれているため、自動点検設備のオーバーホール中は消火設備が起動できないこととなるため、コストのかかる自動点検設備の運用を途中で中止するような状況も見られる。
【0013】
本発明は、消火設備の現場に出向くことなく、設備機器の状態をリアルタイムで把握して、日常的な設備点検を可能とする消火設備の点検システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(消火設備の点検システム)
本発明は、消火設備の点検システムに於いて、
消火設備に組み込まれた所定の設備機器を撮像し、ネットワークを介して設備機器の画像を送信する撮像装置と、
ネットワークを介して受信された設備機器の画像から設備機器の状態を認識して表示させる処理装置と、
が設けられ、
処理装置は、撮像装置で撮像している設備機器を含む消火設備の系統図を画面表示し、系統図に示された設備機器に、設備機器の画像から認識された設備機器の状態を表示させたことを特徴とする。
【0015】
(設備機器の異常警報)
処理装置は、設備機器の状態から異常を検出した場合に、警報を出力する。
【0016】
(圧力計の監視)
撮像装置で撮像される設備機器は圧力計であり、
処理装置は、撮像装置で撮像している圧力計を含む消火設備の系統図を画面表示し、系統図に示された圧力計に、圧力計の画像から認識された圧力値を表示させる。
【0017】
(消火器圧力計の監視)
撮像装置で撮像される設備機器は、消火設備の設置区域に配置された消火器の圧力計であり、
処理装置は、撮像装置で撮像している消火器の圧力計を含む消火設備の系統図を画面表示し、系統図に示された消火器の圧力計に、消火器の圧力計の画像から認識された圧力値を表示させる。
【0018】
(圧力計による異常警報)
処理装置は、圧力計の圧力値の異常を検出した場合に、警報を出力する。
【0019】
(弁の開閉監視)
撮像装置で撮像される設備機器は弁の操作部であり、
処理装置は、撮像装置で撮像している弁を含む設備の系統図を画面表示し、系統図に示された弁に、弁の操作部の画像から認識された弁の開状態又は閉状態を表示させる。
【0020】
(弁操作状態の異常警報)
処理装置は、弁の開状態又は閉状態から異常を検出した場合に、警報を出力する。
【0021】
(設備機器画像の受信周期)
処理装置は、所定の周期毎に撮像装置から設備機器の画像を受信して認識し、設備機器の異常を検出した場合に、所定の周期をそれより短い周期に変更する。
【発明の効果】
【0022】
(基本的な効果)
本発明は、消火設備の点検システムに於いて、消火設備に組み込まれた所定の設備機器を撮像し、ネットワークを介して撮像された設備機器の画像を送信する撮像装置と、ネットワークを介して受信された撮像装置で撮像された設備機器の画像から設備機器の状態を認識して表示させる処理装置とが設けられ、処理装置は、撮像装置で撮像している設備機器を含む消火設備の系統図を画面表示し、系統図に示された設備機器に、設備機器の画像から認識された設備機器の状態を表示させたため、消火設備の設置現場に出向くことなく、遠隔的に設備機器の状態が把握され、設置現場に出向いているとほぼ同等な日常的な点検が可能となり、設備機器の故障等による異常を速やかに発見して対処可能とする。また、消火設備の全体像と画像認識により状態を監視している設備機器の関係を明確に把握可能とし、設備機器の画像認識による状態表示を利用した消火設備の日常的な点検を分かりやすく進めることを可能とする。
【0023】
また、日常点検は処理装置で設備機器の状態を遠隔的に見るだけであり、末端試験装置を開閉することで、ポンプの起動から巻末放水まで確認するような点検は必要とせず、点検に伴う音や振動の発生がないため、病院施設等であっても問題なく適用できる。
【0024】
(設備機器の異常による効果)
また、処理装置は、設備機器の状態から異常を検出した場合に、警報を出力するようにしたため、警報が出力された場合に、担当者は機器の状態を確認すれば良く、また、点検会社と契約を行うことにより、処理装置に表示している設備機器の状態に対する診断結果を元に、速やかに故障に対応することを可能とする。
【0025】
(圧力計の監視による効果)
また、撮像装置で撮像される設備機器は圧力計であり、処理装置は、撮像装置で撮像している圧力計を含む消火設備の系統図を画面表示し、系統図に示された圧力計に、圧力計の画像から認識された圧力値を表示させるようにしたため、消火設備のポンプ、一斉開放弁、末端試験装置等に設けられている圧力計に表示されている圧力値から、設備が正常に機能しているか、機能不全を起こしているかの判断を適確に行うことが可能となる。
【0026】
(消火器圧力計の監視による効果)
また、撮像装置で撮像される設備機器は、消火設備の設置区域に配置された消火器の圧力計であり、処理装置は、撮像装置で撮像している消火器の圧力計を含む消火設備の系統図を画面表示し、系統図に示された消火器の圧力計に、消火器の圧力計の画像から認識された圧力値を表示させるようにしたため、消火器に設けられた圧力計に表示されている圧力値から、消火器が正常に使用可能か、圧力低下により正常に作動しないかが簡単にわかり、圧力低下に対しては消火器の交換といった対応を速やかに行うことを可能とする。また、消火器の圧力計の画像が受信できない場合には、消火器が別の場所に持ち出されて正しい場所に配置されていないことが分かり、消火器を元に戻すといった対応を速やかに行うことを可能とする。
【0027】
(圧力計による異常の効果)
また、処理装置は、圧力計の圧力値の異常を検出した場合に、警報を出力するようにしたため、処理装置で消火設備の状態を常時監視していなくとも、警報が出力された場合に、担当者は機器の状態を確認すれば良く、警報が出された圧力異常から設備故障を判断して、速やかに故障に対応することを可能とする。
【0028】
(弁の開閉による効果)
また、撮像装置で撮像される設備機器は弁の操作部であり、処理装置は、撮像装置で撮像している弁を含む設備の系統図を画面表示し、系統図に示された弁に、弁の操作部の画像から認識された弁の開状態又は閉状態を表示させるようにしたため、消火設備における現在の弁の開閉状態を処理装置で見ることができ、消火設備に設けられている各種の弁が正しい操作位置にあることを日常点検により簡単に確認可能とする。
【0029】
(弁操作状態の異常警報による効果)
また、処理装置は、弁の開状態又は閉状態から異常を検出した場合に、警報を出力するようにしたため、年2回の定期点検や設備機器の修理交換等で操作した弁の戻し忘れ等があると、弁の開閉状態の異常警報が出力され、戻し忘れた弁を元の開閉状態に戻すといった対応を速やかに行うことを可能とする。
【0030】
(設備機器画像の受信周期による効果)
また、処理装置は、所定の周期毎に撮像装置から設備機器の画像を受信して認識し、設備機器の異常を検出した場合に、異常を検出した設備機器の撮像装置から所定の周期より短い周期毎に設備機器の画像を受信して認識するようにしたため、例えば1時間に1回といった一定周期による設備機器の画像認識では、一定周期のあいだに一時的に異常となり、その後に異常が回復した場合には、異常が発生して回復したことが分からないことから、設備機器の異常が検出された場合には、例えば1分に1回といった短い周期に変更することで、設備機器の異常が継続的なものか、一時的なものかの判断を可能とし、設備機器の異常の状況に合わせた適切な対応を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による消火設備点検システムの概略を示した説明図である。
【
図2】湿式スプリンクラー消火設備を例にとって設備機器に対するカメラの配置を示した説明図である。
【
図3】ポンプ吐出圧力を表示する圧力計を撮像するカメラ配置を示した説明図である。
【
図4】末端試験弁を撮像するカメラ配置を示した説明図である。
【
図5】ポンプ吸込圧を表示する連成計を撮像するカメラ配置を示した説明図である。
【
図6】消火器の圧力計を撮像するカメラ配置を示した説明図である。
【
図7】各階に設置された自動警報弁の1次側圧力を表示する圧力計の画像処理で検出された圧力値とその異常検出を示したグラフ図である。
【
図8】サーバによる消火設備の点検制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明に係る消火設備の点検システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0033】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、消火設備の点検システムに関するものである。
【0034】
ここで、「消火設備」とは、建物の室内等に設置された設備、機器、器具等の所定の消火対象エリア内で発生した火災を抑制消火する設備であり、例えば、スプリンクラー消火設備を含むものである。また、「スプリンクラー消火設備」とは、閉鎖型のスプリンクラーヘッドが火災による熱気流を受けて開放作動することで消火剤を放出して火災を抑制消火する設備であり、スプリンクラーヘッドが接続された配管に水を加圧状態で充填した湿式スプリンクラー消火設備、空気又は不活性ガスを加圧状態で充填した乾式スプリンクラー消火設備などを含む概念である。
【0035】
また、「点検システム」とは、消火設備に組み込まれた設備機器に悪い箇所や異常がないか、一つ一つ検査することであり、人による検査を支援するシステムを含む概念である。
【0036】
本実施形態による消火設備の点検システムは、撮像装置と処理装置で構成されるものである。
【0037】
「撮像装置」とは、消火設備に組み込まれた所定の設備機器を撮像し、ネットワークを介して設備機器の画像を送信するものであり、一例として、CCDカメラと通信装置で構成されるものである。ここで、「設備機器の画像」とは、消火設備で点検対象となる設備機器の画像であり、例えば、圧力計や弁の操作部などの画像を含むものである。また、「画像をネットワークを介して処理装置へ送信する」とは、CCDカメラで撮像された設備機器の画像を、通信装置によりインターネットなどのネットワークを使用して外部へ送信することである。
【0038】
また、「処理装置」とは、撮像装置からネットワークを介して受信された設備機器の画像から設備機器の状態を認識して表示させものであり、更に、処理装置は、撮像装置で撮像している設備機器を含む消火設備の系統図を表示し、系統図に示された設備機器に、設備機器の画像から認識された設備機器の状態を表示させるものである。ここで、「設備機器の画像から設備機器の状態を認識して表示させる」とは、例えば、圧力計の画像であれば、圧力値を認識して表示させ、末端試験弁であれば操作部の位置から開状態か閉状態かを認識して表示させることを意味する。
【0039】
また、「処理装置」は、認識された設備機器の状態から異常を検出した場合に、警報を出力するものであり、また、消火設備の系統図に示された設備機器に、認識された設備機器の状態や検出された異常を表示させるものである。
【0040】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す具体的な実施形態では、「消火設備」が「湿式スプリンクラー消火設備」であり、「撮像装置」が「CCDカメラとインターネット用の通信装置」であり、「撮像される設備機器」が「消火ポンプの連成計と圧力計」、「空気タンクの圧力計」、「自動警報弁の圧力計」、「末端試験弁の圧力計」、及び「末端試験弁の操作部」である場合について説明する。
【0041】
[実施形態の具体的内容]
消火設備の点検システムについて、より詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a.消火設備の点検システムの概要
a1.消火設備と点検システム
a2.サーバ
a3.点検制御部
b.スプリンクラー消火設備の概要
c.設備機器に対するCCDカメラの設置
c1.圧力計
c2.末端試験弁
c3.連成計
c4.消火器の圧力計
d.異常検出
d1.圧力計の監視による異常検出
d2.末端試験弁の異常検出
e.点検制御
f.本発明の変形例
【0042】
[a.消火設備の点検システムの概要]
消火設備の点検システムについて、より詳細に説明する。
図1は本発明による消火設備の点検システムの概要を示した説明図である。
【0043】
(a1.消火設備と点検システム)
図1に示すように、本実施形態による消火設備の点検システムは、複数の消火設備10を点検対象としており、左端の消火設備10に代表して示すように、消火設備10の状態を表示している設備機器として、圧力計12に対し撮像装置として機能するCCDカメラ16が配置され、圧力計12の画像を撮像している。また、消火設備10に設置されている手動弁14に対しCCDカメラ16が配置され、手動弁14の開閉状態を示す操作ハンドル14aを含む画像を撮像している。
【0044】
CCDカメラ16で撮像された圧力計12及び手動弁14の画像データは通信装置18に出力される。通信装置18は画像データを含むTCP信号(トランスミッション・コントロール・プロトコル信号)とインターネット22側のIP信号(インターネット・プロトコル信号)とのプロトコル変換を行い、インターネット22を経由してサービスセンタ等に設置された処理装置として機能するサーバ20へ画像データを送信している。ここで、通信装置18による画像データの送信は、例えば、サーバ20からの画像データ要求信号を受信して行われる。
【0045】
(a2.サーバ)
処理装置として機能するサーバ20について、より詳細に説明する。サーバ20は、消火設備10の通信装置18からインターネット22を介して送信された設備機器の画像から設備機器の状態を認識して表示させるものであり、その構成や機能は任意であるが、例えば、通信部24、点検制御部25、データベース26、キーボードやマウス等の操作部27、液晶ディスプレイを用いた表示部28で構成されるものである。
【0046】
(a3.点検制御部)
点検制御部25について、より詳細に説明する。点検制御部25は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成されており、プログラムの実行により画像認識部30と異常検出部32の機能を備える。通信部24は制御部25側のTCP信号とインターネット22側のIP信号とのプロトコル変換を行っている。
【0047】
点検制御部25は、所定周期、例えば1時間に1回の所定の時刻毎に、インターネット22を介して複数の消火設備10の通信装置18に画像データ要求信号を送信し、消火設備10に設置されたCCDカメラ16で撮像された圧力計12や手動弁14の画像データを送信させ、インターネット22を介して受信された画像データをデータベース26に記憶させる制御を行う。
【0048】
続いて点検制御部25は画像認識部30を起動し、データベース26に記憶された圧力計12の画像データを読み出して画像認識し、圧力計12の指針が差し示している圧力値を認識し、このとき表示部28に画面表示している消火設備系統図の該当する圧力計シンボルに、認識した圧力値を例えば数値表示させる。なお、圧力計シンボルによる圧力値の表示は、圧力計シンボルのマウスクリック等によりダイヤログを開いて圧力値を表示させるようにしても良い。
【0049】
また、点検制御部25は画像認識部30により、データベース26に記憶された手動弁14の画像データを読み出し、画像データから操作レバー14aの位置が開状態にあるか、閉状態にあるかを認識し、表示部28に画面表示している消火設備系統図の中の手動弁14を示すシンボルを開状態(白抜き)又は閉状態(黒塗り)の表示とする。
【0050】
また、点検制御部25は異常検出部32を起動し、画像認識部30により認識された圧力計12の圧力値を所定の閾値や平均圧力等と比較して異常の有無を検出し、異常を検出した場合は、表示部28に画面表示している圧力計12のシンボルをフリッカさせると共に警報音を出力させて異常を示す警報を出力させる制御を行う。
【0051】
また、点検制御部25は、画像認識部30により認識された手動弁14の開閉状態を正常な場合の開閉状態と比較して異常の有無を検出し、異常を検出した場合は、表示部28に画面表示している手動弁14のシンボルをフリッカさせると共に警報音を出力させて異常を示す警報を出力させる制御を行う。
【0052】
また、点検制御部25は異常検出部32により例えば圧力計12で表示されている圧力値の異常を検出して警報した場合、1時間に1回に設定している画像取得の周期を、それより短い例えば1分に1回といった短い周期に変更し、この短い周期で異常を検出した圧力計12の画像データを消火設備10の通信装置18から取得し、異常が検出された圧力計の画像データから圧力値を短い周期で認識して画面表示させる制御を行い、異常圧力値が一時的なものであるかの確認や、継続的なものである場合の変化の様子を監視可能としている。
【0053】
また、点検制御部25は異常検出部32により手動弁14の開状態又は閉状態の異常を検出した場合には、同様に、画像取得の周期を短い周期に変更して画像データの認識を行って画面表示させる制御を行い、手動弁14が正しい状態に復旧操作されることを監視可能としている。
【0054】
なお、CCDカメラ16による設備機器の撮像は、消火設備10の設備機器に限定されず、例えば、消火設備10が設置された施設や建物に消火器が設置されており、消火器に圧力計が設けられている場合には、消火器に対しCCDカメラ16を設置して消火器の圧力計の画像データをサーバ20に送り、圧力計12の場合と同様に、画像データから圧力値を認識し、また、所定の閾値や平均圧力等との比較で消火器圧力の異常を検出した場合は、画面表示された消火設備系統図の中の消火器シンボルに圧力異常を表示させる制御を行う。
【0055】
また、点検制御部25は、消火器に対し設置されたCCDカメラ16の画像データから圧力計が認識できない異常が検出された場合には、CCDカメラ16の撮像エリアに消火器そのものが存在していない異常を検出し、表示部28の画面の消火設備系統図の中に、消火器の不存在を示すシンボル表示を行わせる制御を行う。
【0056】
[b.スプリンクラー消火設備]
スプリンクラー消火設備について、より詳細に説明する。
図2は湿式スプリンクラー消火設備を例にとって設備機器に対するCCDカメラの配置を示した説明図である。
【0057】
図2に示すように、湿式スプリンクラー消火設備は、建物の地下階B1などのポンプ室には加圧送水装置として機能する消火ポンプ34が設置され、モータ36により駆動される。モータ36は加圧送水制御盤として機能するポンプ制御盤40により起動・停止の運転制御を受ける。モータ36により駆動された消火ポンプ34は水源水槽38からの消火用水を吸入し、建物の高さ方向に配置した給水本管45に加圧した消火用水を供給する。消火ポンプ34に対しては呼水槽42を設けられ、また、給水本管45には建物の屋上に設置された高架水槽47からの消火用水が充水されている。
【0058】
消火ポンプ34の吸込み側には吸込圧を表示する連成計60が設けられ、消火ポンプ34の2次側には吐出圧力を表示する圧力計62が設けられている。
【0059】
また消火ポンプ34の起動に使用する空気タンク44が設けられる。空気タンク44は給水本管45に接続され、配管内の加圧消火用水を導入して内部の空気を圧縮している。空気タンク44には圧力検出器65と圧力計64が設けられている。
【0060】
圧力検出器65としては例えば圧力スイッチを使用し、給水本管45の管内圧力が規定の起動圧力以下した場合にオンして圧力低下検出信号をポンプ制御盤40に出力する。また、圧力検出器65は、圧力低下信号を出力した後に、規定の起動圧力より高い規定の停止圧力以上に回復した場合にオフし、圧力回復検出信号をポンプ制御盤40に出力する。
【0061】
ポンプ制御盤40は圧力検出器65のオンによる圧力低下検出信号を受信すると、モータ36を駆動して消火ポンプ34を運転し、水源水槽38に貯水している消火用水を給水本管45に加圧供給する。
【0062】
給水本管45からは各階ごとに分岐管46が引き出され、分岐管46の分岐部分には、制御弁48に続いて流水検知装置として機能する自動警報弁50が設けられている。自動警報弁50の1次側には1次側圧力を表示する圧力計66が設けられ、2次側には2次側圧力を表示する圧力計68が設けられている。
【0063】
自動警報弁50の2次側の分岐管46には閉鎖型のスプリンクラーヘッド52が設けられ、2次側配管内には消火用水が加圧状態で充水されている。分岐管46の末端側には末端試験弁54が設けられ、その2次側は、オリフィス56を介して排水管57に接続されている。
【0064】
自動警報弁50には流水検知器72が設けられる。自動警報弁50は開閉自在な弁体を備え、弁体は通常の監視状態では閉鎖しており、スプリンクラーヘッド52が開放作動して2次側の分岐管46に充水している消火用水を放水して2次側が減圧すると、1次側に充水している消火用水との差圧により弁体が開放し、1次側から2次側に消火用水を供給してスプリンクラーヘッド52から放水する。自動警報弁50の弁体が開放されると、流水検知器72が流水検知信号をスプリンクラー制御盤35に出力し、スプリンクラー制御盤35は放水表示を行う。
【0065】
一方、自動警報弁50の弁体が開放すると、その1次側に接続している給水本管45の圧力も低下し、空気タンク44に設けている圧力検出器65が所定圧力以下への低下を検出してオンし、圧力低下検出信号をポンプ制御盤40に送信して消火ポンプ34を起動させる。
【0066】
このような湿式スプリンクラー消火設備に対し、本実施形態にあっては、消火ポンプ34に設けられた連成計60と圧力計62、空気タンク44に設けられた圧力計64、自動警報弁50に設けられた圧力計66,68、末端試験弁54の1次側に設けられた圧力計70、及び手動弁を用いた末端試験弁54の各々に対し、CCDカメラ16が設置され、CCDカメラ16からの信号線は通信装置18に接続されている。
【0067】
ここで、CCDカメラ16により撮像される圧力計等の設備機器の場所が暗い場合には、照明ランプ付きのCCDカメラ16を設置する。また、CCDカメラ16に対する電源供給は通信装置18から行われている。
【0068】
更に、消火設備の各階には、所定の場所に圧力計76を備えた消火器74が設置されており、消火器74に設けられた圧力計76に対してもCCDカメラ16が設置されている。
【0069】
[c.設備機器に対するCCDカメラの設置]
湿式スプリンクラー消火設備の設備機器に対するCCDカメラの設置について、より詳細に説明する。
【0070】
(c1.圧力計)
圧力計に対するCCDカメラの配置について、より詳細に説明する。
図3はポンプ吐出圧力を表示する圧力計を撮像するカメラ配置を示した説明図である。
図3は
図2の消火ポンプ34に設けられた吐出圧力を表示する圧力計62を例にとっており、圧力計62の接続配管に例えばフレキシブル金属チューブを用いた支持アーム78を介してCCDカメラ16が支持され、破線に示すように、CCDカメラ16の撮像エリアを圧力計62の指針が設けられた表示板に向くように配置している。CCDカメラ16は圧力計62の指針を備えた表示板の画像を撮像して
図1のサーバに画像データを送信する。なお、圧力計62の設置場所が暗い場合には、CCDカメラ16と一体に照明ランプを設けることになる。
【0071】
(c2.末端試験弁)
末端試験弁に対するCCDカメラの配置について、より詳細に説明する。
図4は末端試験弁を撮像するカメラ配置を示した説明図である。
図4に示すように、端試験弁54に接続された配管の片側に取付部材80が固定され、取付部材80に設けられたレキシブル金属チューブを用いた支持アーム78の先端にCCDカメラ16が支持され、CCDカメラ16の破線で示す撮像エリアを、末端試験弁54に設けられた操作ハンドル54aに向くように配置している。
【0072】
末端試験弁54は図示の操作ハンドル54aが配管方向に向いた操作位置で開状態にあり、操作ハンドル54aを90°回すと閉状態になる。CCDカメラ16は末端試験弁54の操作ハンドル54aを含む画像を撮像して
図1のサーバ20に送信する。なお、末端試験弁54の設置場所が暗い場合には、CCDカメラ16と一体に照明ランプを設けることになる。
【0073】
(c3.連成計)
消火ポンプの連成計に対するCCDカメラの配置について、より詳細に説明する。
図5はポンプ吸込圧を表示する連成計を撮像するカメラ配置を示した説明図である。
図5は
図2の消火ポンプ34に設けられた吸込圧力を表示する連成計60の接続配管にフレキシブル金属チューブを用いた支持アーム78を介してCCDカメラ16が支持されており、破線に示すように、CCDカメラ16の撮像エリアを連成計60の指針が設けられた表示板に向くように配置している。
【0074】
連成計60は圧力ゼロに対し負圧目盛りと正圧目盛りが設けられている。CCDカメラ16は連成計60の指針を備えた表示板の画像を撮像して
図1のサーバ20に画像データを送信する。なお、連成計60の設置場所が暗い場合には、CCDカメラ16と一体に照明ランプを設けることになる。
【0075】
(c4.消火器の圧力計)
消火器の圧力計に対するCCDカメラの配置について、より詳細に説明する。
図6は消火器の圧力計を撮像するカメラ配置を示した説明図である。
図6に示すように、消火設備が設置された建物の所定の場所に配置された消火器74には圧力計76が設けられており、消火器74のボンベ内に収納されているガス容器に充填されているガス圧が表示されている。
【0076】
消火器74の上方には、適宜の場所に固定されたフレキシブル金属チューブを用いた支持アーム78によりCCDカメラ16が支持されており、破線に示すように、CCDカメラ16の撮像エリアを圧力計76の指針が設けられた表示板に向くように配置している。本実施形態の消火器74は、CCDカメラ16による上方からの撮像に対応して圧力計76を水平に配置している。
【0077】
CCDカメラ16は消火器76に設けられた圧力計76の指針を備えた表示板の画像を撮像して
図1のサーバ20に画像データを送信する。なお、消火器74の設置場所が暗い場合には、CCDカメラ16と一体に照明ランプを設けることになる。
【0078】
[d.異常検出]
{d1.圧力計の監視による異常検出}
圧力計の監視による異常検出について、より詳細に説明する。
図1のサーバ20に設けた点検制御部25の異常検出部32は、CCDカメラ16により撮像して認識した例えば
図2の各階に設けられた自動警報弁50の1次側圧力を検出する圧力計66の圧力値について、例えば、
図7に示すように、階別の圧力値をプロットして直線で連結しており、この階別の圧力は
図2の給水本管45の高さに応じた水頭圧を示しており、階が高くなるほど圧力値が段階的に減少している。
【0079】
ここで、
図7は平均圧力82と最新圧力84を示しており、最新圧力84のうち、2Fの圧力値が、平均圧力から大きく低下し、本来下回ることのない3Fの圧力値より低い圧力値を示している。このため異常検出部32は、2Fの圧力値の異常を検出して警報を行い、この警報を受けて保守要員は、2Fの圧力計66の故障と判断して、修理交換等の対応をとることになる。
【0080】
このような異常検出部32による圧力計の画像から認識した圧力値の異常検出は、他の圧力計62,64,68,70,76や連成計60についても、同様に平均圧力を求め、最新圧力を平均圧力と比較して所定の閾値を超えて変化した場合に異常を検出する。
【0081】
また、
図6に示した消火器74の圧力計76の画像については、圧力値以外に、例えば、消火器74に設けた圧力計76の画像から圧力値が全く認識できなかった場合には、消火器74がその場所に存在していないと判断し、消火器不存在の警報を出力させ、この警報を受けて担当者は、別の場所に持ち出している消火器を元の場所に戻すといった対応をとることになる。
【0082】
(d2.末端試験弁の異常検出)
末端試験弁の異常検出について、より詳細に説明する。
図1のサーバ20に設けた点検制御部25の異常検出部32は、
図4に示すように、CCDカメラ16により撮像して認識した末端試験弁54の操作ハンドル54aの画像から例えば操作ハンドル54aが図示の操作位置にあって開状態と認識された場合には、末端試験弁54の通常時の正しい操作状態は閉状態であることから、末端試験弁54の異常を検出して警報する制御を行う。この警報を受けて担当者は末端試験弁54の操作ハンドル54aを閉状態とする操作を行うことになり、例えば、消火設備の点検に伴う末端試験弁54の戻し忘れ等を確実に防止可能とする。
【0083】
[e.点検制御]
サーバによる消火設備の点検制御について、より詳細に説明する。
図8はサーバによる消火設備点検制御を示したフローチャートであり、サーバ20に設けられた点検制御部25による制御となる。
【0084】
図8に示すように、点検制御部28は、ステップS1で例えば1時間に1回といった一定周期となる設備機器画像の収集タイミングへの到達を判別するとステップS2に進み、消火設備10に設けられた通信装置18に画像データ要求信号を送信し、これを受けた通信装置18によるCCDカメラ16の制御により、
図2の消火設備に設けられた連成計60、圧力計62,64,66,68,70,76、末端試験弁54を含む設備機器を撮像した画像データを受信してデータベース26に記憶する。
【0085】
続いて、点検制御部25はデータベース26に記憶された設備機器の画像データを順次読み出し、画像認識部30の機能により圧力計の指針で示す圧力値や末端試験弁の操作ハンドルの位置から開又は閉状態を認識し、ステップS4で表示部28の画面上に表示している
図2の消火設備に対応した消火設備系統図の圧力計に認識した圧力値を表示すると共に末端試験弁のシンボルを閉状態に表示させる。
【0086】
ここで、消火設備系統図とは、湿式スプリンクラー消火設備の設備機器と配管系統をシンボル化して示した図であり、その表現形式は任意であるが、例えば、湿式スプリンクラー消火設備を示した
図2に対応した消火設備系統図とするものであり、連成計60、圧力計62,64,66,68,70,76のシンボルに対し画像から認識された圧力値が表示され、また末端試験弁54のシンボルを黒で塗り潰すことで閉状態に表示させるものである。
【0087】
続いて、点検制御部25はステップS5で異常検出部32の機能により、ステップS3で画像から認識された圧力計の圧力値や末端試験弁の開状態又は閉状態について異常の有無を検出し、異常を検出した場合はステップS6に進み、警報を出力させる。続いて、点検制御部25は、ステップS7に進んで全画像の処理が済んだか否か判別し、全画像の処理が済むまでステップS3からの処理を繰り返し、全画像の処理が済むとステップS8に進み、例えば、異常を検出した設備機器の画像を取得する周期を短くして画像認識による圧力値や弁開閉状態の変化を監視する監視処理を行い、例えば修理等により異常が解消された場合にステップS1の処理に戻る。
【0088】
[f.本発明の変形例]
本発明による消火設備の点検システムの変形例について、より詳細に説明する。本発明の消火設備の点検システムは、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
(共同住宅のスプリンクラー消火設備)
上記の実施形態は、一般ビル向けのスプリンクラー消火設備の点検システムを例にとるものであったが、共同住宅向けのスプリンクラー消火設備についても、同様に適用できる。
【0089】
(消火設備)
また、上記の実施形態は、湿式スプリンクラー消火設備を例にとっているが、自動警報弁の2次側配管に空気又は不活性ガスなどの気体を加圧状態で充填した乾式スプリンクラー消火設備、火災を検知した場合に自動弁装置(流水検知装置)に設けた予作動弁を開放制御する予作動式スプリンクラー消火設備などの閉鎖型スプリンクラーヘッドを使用する適宜の消火設備に適用することができる。
【0090】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0091】
10:消火設備
12,62,64,66,68,70,76:圧力計
14:手動弁
14a,54a:操作ハンドル
16:CCDカメラ
18:通信装置
20:サーバ
22:インターネット
24:通信部
25:点検制御部
26:データベース
27:操作部
28:表示部
30:画像認識部
32:異常検出部
34:消火ポンプ
35:スプリンクラー制御盤
36:モータ
38:水源水槽
40:ポンプ制御盤
42:呼水槽
44:空気タンク
45:給水本管
47:高架水槽
48:制御弁
50:自動警報弁
52:スプリンクラーヘッド
54:末端試験弁
60:連成計
65:圧力検出器
72:流水検知器
74:消火器