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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ガスタービンシステム
(51)【国際特許分類】
   F02C 3/045 20060101AFI20240927BHJP
   F02C 7/08 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F02C3/045
F02C7/08 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021043564
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143177
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】玉田 俊一郎
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0213048(US,A1)
【文献】特開2001-152871(JP,A)
【文献】特表2018-528357(JP,A)
【文献】実開昭59-040532(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00 - 9/58
F23R 3/00 - 7/00
F01D 13/00 - 15/12
F01D 23/00 - 25/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一圧縮機及び前記第一圧縮機と一体回転する第一タービンを有する第一ガスタービン要素と、
第二圧縮機及び前記第二圧縮機と一体回転する第二タービンを有する第二ガスタービン要素と、
前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素にそれぞれ接続される単一の燃焼器と、
前記第一圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第一圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の吸気口へ流通させる第一供給管と、
前記第二圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第二圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の前記吸気口へ流通させる第二供給管と、
前記第一圧縮機の出口と前記第二圧縮機の入口とを連通する圧縮機連通管と、
前記燃焼器から排出されて前記第一タービンへ流入した流体を外部へ排出させる第一排出管と、
前記燃焼器から排出されて前記第二タービンへ流入した流体を外部へ排出させる第二排出管と、
前記第一供給管及び前記第二供給管を流通する低温流体と、前記第一排出管及び前記第二排出管を流通する高温流体と、がそれぞれ流通可能であり、かつ前記低温流体と前記高温流体との間で熱交換させる熱交換器と、
前記第一供給管に設けられ、前記第一供給管内の空気の流通を遮断可能な第一開閉弁と、
前記第二圧縮機の入口よりも空気の流通方向の上流側に設けられ、前記第二圧縮機への空気の流入を遮断可能な第二開閉弁と、
前記圧縮機連通管に設けられ、前記圧縮機連通管内の空気の流通を遮断可能な第三開閉弁と、
を備えることを特徴とするガスタービンシステム。
【請求項2】
前記燃焼器と前記第一タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された流体を前記第一タービンへ流通させる第一出口管と、
前記燃焼器と前記第二タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された流体を前記第二タービンへ流通させる第二出口管と、
前記第二排出管と前記第一出口管とを連通するタービン連通管と、
前記第二排出管と前記タービン連通管との接続部に設けられ、前記タービン連通管内への流体の流通を遮断可能な第四開閉弁と、
前記第一出口管と前記タービン連通管との接続部に設けられ、前記タービン連通管から前記第一タービンへの流体の流通を遮断可能な第五開閉弁と、
を備え、
前記第四開閉弁及び前記第五開閉弁は、三方弁であり、
前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素に対する要求出力が所定値より大きい大出力運転モードのとき、前記第一開閉弁及び前記第二開閉弁を開くとともに前記第三開閉弁を閉じ、前記タービン連通管への流体の流通を遮断して前記第二排出管内を流体が流通するように前記第四開閉弁が開閉され、前記タービン連通管から前記第一出口管への流体の流通を遮断して前記第一出口管内を流体が流通するように前記第五開閉弁が開閉されることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンシステム。
【請求項3】
前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素に対する要求出力が前記所定値より小さい小出力運転モードのとき、前記第一開閉弁及び前記第二開閉弁を閉じるとともに前記第三開閉弁を開き、前記第二排出管から前記タービン連通管へ流体が流通するとともに前記第二排出管から外部への流体の排出を遮断するように前記第四開閉弁が開閉され、前記タービン連通管から前記第一出口管へ流体が流通するとともに前記第一出口管において前記燃焼器から前記第一タービンへの流体の流通を遮断するように前記第五開閉弁が開閉されることを特徴とする請求項2に記載のガスタービンシステム。
【請求項4】
第一圧縮機及び前記第一圧縮機と第一回転軸を介して接続されて前記第一圧縮機と一体回転する第一タービンを有する第一ガスタービン要素と、
第二圧縮機及び前記第二圧縮機と第二回転軸を介して接続されて前記第二圧縮機と一体回転する第二タービンを有する第二ガスタービン要素と、
前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素にそれぞれ接続される単一の燃焼器と、
前記第一圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第一圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の吸気口へ流通させる第一供給管と、
前記第二圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第二圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の前記吸気口へ流通させる第二供給管と、
前記燃焼器と前記第一タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された空気を前記第一タービンへ流通させる第一出口管と、
前記燃焼器と前記第二タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された空気を前記第二タービンへ流通させる第二出口管と、
前記第一タービンから排出された流体を外部へ排出させる第一排出管と、
前記第二タービンから排出された流体を外部へ排出させる第二排出管と、
前記第一供給管及び前記第二供給管を流通する低温流体と、前記第一排出管及び前記第二排出管を流通する高温流体と、がそれぞれ流通可能であり、かつ前記低温流体と前記高温流体との間で熱交換させる熱交換器と、
を備え、
前記第一ガスタービン要素は、前記第一回転軸に接続されるとともに、前記第一回転軸の軸方向において前記第一圧縮機と前記第一タービンとの間に配置される第一発電機を有し、
前記第二ガスタービン要素は、前記第二回転軸に接続されるとともに、前記第二回転軸の軸方向において前記第二圧縮機と前記第二タービンとの間に配置される第二発電機を有することを特徴とするガスタービンシステム。
【請求項5】
前記第一供給管に設けられ、前記第一供給管内の空気の流通を遮断可能な第六開閉弁と、
前記第一出口管に設けられ、前記第一出口管内の空気の流通を遮断可能な第七開閉弁と、
前記第一排出管に設けられ、前記第一排出管内の空気の流通を遮断可能な第八開閉弁と、
前記第二供給管に設けられ、前記第二供給管内の空気の流通を遮断可能な第九開閉弁と、
前記第二出口管に設けられ、前記第二出口管内の空気の流通を遮断可能な第十開閉弁と、
前記第二排出管に設けられ、前記第二排出管内の空気の流通を遮断可能な第十一開閉弁と、
を備え、
出力値が所定値よりも大きい第一運転モードと、出力値が前記所定値より小さい第二運転モードと、に切り替え可能であり、
前記第二運転モードにおいて、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の一方の動作を停止するとともに、前記停止されたガスタービン要素に接続される供給管、出口管及び排出管に設けられる開閉弁を閉じることを特徴とする請求項4に記載のガスタービンシステム。
【請求項6】
前記燃焼器は、
前記第一供給管と接続される第一吸気口と、
前記第二供給管と接続される第二吸気口と、
前記第一出口管と接続される第一排気口と、
前記第二出口管と接続される第二排気口と、
前記燃焼器の内部に設けられる遮蔽壁と、
を備え、
前記遮蔽壁は、前記第一吸気口及び前記第一排気口に連通する第一空間と、前記第二吸気口及び前記第二排気口に連通する第二空間と、に前記燃焼器内の空間を仕切ることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のガスタービンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機等の機体に搭載され、機体を推進させるための動力源としてのガスタービンエンジンを用いたガスタービンシステムの構成が知られている。これらのガスタービンシステムでは、例えば離着陸などの高負荷時に高出力を得るための技術が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、複数の圧縮機と複数のタービンとを複数の回転軸にそれぞれ直結し、複数の圧縮機からの圧縮空気を単一の燃焼器に供給する構成が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、複数の圧縮機から単一の燃焼器へ圧縮空気を供給することで、離着陸などの高負荷時に高出力を得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2013/0213048号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の圧縮機及びタービンと、単一の燃焼器と、を単純に組み合わせた特許文献1に記載の技術にあっては、高負荷時に大出力を発生させやすいが、例えば航空機の巡航時等の低負荷時には無駄な燃料消費が発生するおそれがあった。これにより燃費が低下するおそれがあった。また、ガスタービンエンジンは、他の内燃機関と比較して熱効率が低下しやすいため、さらに燃費が低下するおそれがあった。
よって、特許文献1に記載の技術にあっては、燃費を向上させる点において課題が残されていた。
【0006】
そこで、本発明は、従来技術と比較して燃費を向上したガスタービンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係るガスタービンシステム(例えば、第1実施形態におけるガスタービンシステム1)は、第一圧縮機(例えば、第1実施形態における第一圧縮機21)及び前記第一圧縮機と一体回転する第一タービン(例えば、第1実施形態における第一タービン22)を有する第一ガスタービン要素(例えば、第1実施形態における第一ガスタービン要素2)と、第二圧縮機(例えば、第1実施形態における第二圧縮機31)及び前記第二圧縮機と一体回転する第二タービン(例えば、第1実施形態における第二タービン32)を有する第二ガスタービン要素(例えば、第1実施形態における第二ガスタービン要素3)と、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素にそれぞれ接続される単一の燃焼器(例えば、第1実施形態における燃焼器4)と、前記第一圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第一圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の吸気口(例えば、第1実施形態における第一吸気口41)へ流通させる第一供給管(例えば、第1実施形態における第一供給管61)と、前記第二圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第二圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の前記吸気口(例えば、第1実施形態における第二吸気口42)へ流通させる第二供給管(例えば、第1実施形態における第二供給管62)と、前記第一圧縮機の出口(例えば、第1実施形態における出口21b)と前記第二圧縮機の入口(例えば、第1実施形態における入口31a)とを連通する圧縮機連通管(例えば、第1実施形態における圧縮機連通管63)と、前記燃焼器から排出されて前記第一タービンへ流入した流体を外部へ排出させる第一排出管(例えば、第1実施形態における第一排出管66)と、前記燃焼器から排出されて前記第二タービンへ流入した流体を外部へ排出させる第二排出管(例えば、第1実施形態における第二排出管67)と、前記第一供給管及び前記第二供給管を流通する低温流体と、前記第一排出管及び前記第二排出管を流通する高温流体と、がそれぞれ流通可能であり、かつ前記低温流体と前記高温流体との間で熱交換させる熱交換器(例えば、第1実施形態における熱交換器5)と、前記第一供給管に設けられ、前記第一供給管内の空気の流通を遮断可能な第一開閉弁(例えば、第1実施形態における第一開閉弁71)と、前記第二圧縮機の入口よりも空気の流通方向の上流側に設けられ、前記第二圧縮機への空気の流入を遮断可能な第二開閉弁(例えば、第1実施形態における第二開閉弁72)と、前記圧縮機連通管に設けられ、前記圧縮機連通管内の空気の流通を遮断可能な第三開閉弁(例えば、第1実施形態における第三開閉弁73)と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係るガスタービンシステムは、前記燃焼器と前記第一タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された流体を前記第一タービンへ流通させる第一出口管(例えば、第1実施形態における第一出口管64)と、前記燃焼器と前記第二タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された流体を前記第二タービンへ流通させる第二出口管(例えば、第1実施形態における第二出口管65)と、前記第二排出管と前記第一出口管とを連通するタービン連通管(例えば、第1実施形態におけるタービン連通管68)と、前記第二排出管と前記タービン連通管との接続部(例えば、第1実施形態における中途部59)に設けられ、前記タービン連通管内への流体の流通を遮断可能な第四開閉弁(例えば、第1実施形態における第四開閉弁74)と、前記第一出口管と前記タービン連通管との接続部(例えば、第1実施形態における中途部58)に設けられ、前記タービン連通管から前記第一タービンへの流体の流通を遮断可能な第五開閉弁(例えば、第1実施形態における第五開閉弁75)と、を備え、前記第四開閉弁及び前記第五開閉弁は、三方弁であり、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素に対する要求出力が所定値より大きい大出力運転モード(例えば、第1実施形態における大出力運転モードM1)のとき、前記第一開閉弁及び前記第二開閉弁を開くとともに前記第三開閉弁を閉じ、前記タービン連通管への流体の流通を遮断して前記第二排出管内を流体が流通するように前記第四開閉弁が開閉され、前記タービン連通管から前記第一出口管への流体の流通を遮断して前記第一出口管内を流体が流通するように前記第五開閉弁が開閉されることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係るガスタービンシステムは、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素に対する要求出力が前記所定値より小さい小出力運転モード(例えば、第1実施形態における小出力運転モードM2)のとき、前記第一開閉弁及び前記第二開閉弁を閉じるとともに前記第三開閉弁を開き、前記第二排出管から前記タービン連通管へ流体が流通するとともに前記第二排出管から外部への流体の排出を遮断するように前記第四開閉弁が開閉され、前記タービン連通管から前記第一出口管へ流体が流通するとともに前記第一出口管において前記燃焼器から前記第一タービンへの流体の流通を遮断するように前記第五開閉弁が開閉されることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明に係るガスタービンシステムは、第一圧縮機(例えば、第2実施形態における第一圧縮機21)及び前記第一圧縮機と第一回転軸(例えば、第2実施形態における第一回転軸23)を介して接続されて前記第一圧縮機と一体回転する第一タービン(例えば、第2実施形態における第一タービン22)を有する第一ガスタービン要素(例えば、第2実施形態における第一ガスタービン要素2)と、第二圧縮機(例えば、第2実施形態における第二圧縮機31)及び前記第二圧縮機と第二回転軸(例えば、第2実施形態における第二回転軸33)を介して接続されて前記第二圧縮機と一体回転する第二タービン(例えば、第2実施形態における第二タービン32)を有する第二ガスタービン要素(例えば、第2実施形態における第二ガスタービン要素3)と、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素にそれぞれ接続される単一の燃焼器(例えば、第2実施形態における燃焼器4)と、前記第一圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第一圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の吸気口(例えば、第2実施形態における第一吸気口41)へ流通させる第一供給管(例えば、第2実施形態における第一供給管61)と、前記第二圧縮機と前記燃焼器とを接続し、前記第二圧縮機により圧縮された空気を前記燃焼器の前記吸気口(例えば、第2実施形態における第二吸気口42)へ流通させる第二供給管(例えば、第2実施形態における第二供給管62)と、前記燃焼器と前記第一タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された空気を前記第一タービンへ流通させる第一出口管(例えば、第2実施形態における第一出口管64)と、前記燃焼器と前記第二タービンとを接続し、前記燃焼器から排出された空気を前記第二タービンへ流通させる第二出口管(例えば、第2実施形態における第二出口管65)と、前記第一タービンから排出された流体を外部へ排出させる第一排出管(例えば、第2実施形態における第一排出管66)と、前記第二タービンから排出された流体を外部へ排出させる第二排出管(例えば、第2実施形態における第二排出管67)と、前記第一供給管及び前記第二供給管を流通する低温流体と、前記第一排出管及び前記第二排出管を流通する高温流体と、がそれぞれ流通可能であり、かつ前記低温流体と前記高温流体との間で熱交換させる熱交換器(例えば、第2実施形態における熱交換器5)と、を備え、前記第一ガスタービン要素は、前記第一回転軸に接続されるとともに、前記第一回転軸の軸方向において前記第一圧縮機と前記第一タービンとの間に配置される第一発電機(例えば、第2実施形態における第一発電機24)を有し、前記第二ガスタービン要素は、前記第二回転軸に接続されるとともに、前記第二回転軸の軸方向において前記第二圧縮機と前記第二タービンとの間に配置される第二発電機(例えば、第2実施形態における第二発電機34)を有することを特徴としている。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係るガスタービンシステムは、前記第一供給管に設けられ、前記第一供給管内の空気の流通を遮断可能な第六開閉弁(例えば、第2実施形態における第六開閉弁276)と、前記第一出口管に設けられ、前記第一出口管内の空気の流通を遮断可能な第七開閉弁(例えば、第2実施形態における第七開閉弁277)と、前記第一排出管に設けられ、前記第一排出管内の空気の流通を遮断可能な第八開閉弁(例えば、第2実施形態における第八開閉弁278)と、前記第二供給管に設けられ、前記第二供給管内の空気の流通を遮断可能な第九開閉弁(例えば、第2実施形態における第九開閉弁279)と、前記第二出口管に設けられ、前記第二出口管内の空気の流通を遮断可能な第十開閉弁(例えば、第2実施形態における第十開閉弁280)と、前記第二排出管に設けられ、前記第二排出管内の空気の流通を遮断可能な第十一開閉弁(例えば、第2実施形態における第十一開閉弁281)と、を備え、出力値が所定値よりも大きい第一運転モード(例えば、第2実施形態における第一運転モードQ1)と、出力値が前記所定値より小さい第二運転モード(例えば、第2実施形態における第二運転モードQ2)と、に切り替え可能であり、前記第二運転モードにおいて、前記第一ガスタービン要素及び前記第二ガスタービン要素の一方の動作を停止するとともに、前記停止されたガスタービン要素に接続される供給管(例えば、第2実施形態における第二供給管62)、出口管(例えば、第2実施形態における第二出口管65)及び排出管(例えば、第2実施形態における第二排出管67)に設けられる開閉弁(例えば、第2実施形態における第九開閉弁279、第十開閉弁280及び第十一開閉弁281)を閉じることを特徴としている。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係るガスタービンシステムは、前記燃焼器(例えば、第3実施形態における)は、前記第一供給管と接続される第一吸気口(例えば、第3実施形態における第一吸気口41)と、前記第二供給管と接続される第二吸気口(例えば、第3実施形態における第二吸気口42)と、前記第一出口管と接続される第一排気口(例えば、第3実施形態における第一排気口43)と、前記第二出口管と接続される第二排気口(例えば、第3実施形態における第二排気口44)と、前記燃焼器の内部に設けられる遮蔽壁(例えば、第3実施形態における遮蔽壁345)と、を備え、前記遮蔽壁は、前記第一吸気口及び前記第一排気口に連通する第一空間(例えば、第3実施形態における第一空間A1)と、前記第二吸気口及び前記第二排気口に連通する第二空間(例えば、第3実施形態における第二空間A2)と、に前記燃焼器内の空間を仕切ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載のガスタービンシステムによれば、ガスタービンシステムは、2個のガスタービン要素と単一の燃焼器とを備える。これにより、複数の燃焼器を設ける場合と比較して、部品点数を削減し、ガスタービンシステム全体の軽量化を図ることができる。ガスタービンシステムを軽量化することにより、燃料消費を抑え、ガスタービンシステムの燃費を向上することができる。
ガスタービンシステムは、熱交換器を備える。熱交換器には、第一供給管及び第二供給管を流通する低温流体(空気)と、第一排出管及び第二排出管を流通する高温流体(燃焼ガス)と、がそれぞれ流通する。熱交換器を流通することにより、低温流体と高温流体との間で熱交換が行われる。これにより、燃焼後に排出される高温流体の熱を利用して、燃焼器に流入する前の空気を温めることができる。温められた空気を燃焼させるので、外気から吸入した冷たい空気を燃焼させる従来技術と比較して、燃焼器における熱効率を向上することができる。また、従来排気ガスとして捨てられていた高温流体の熱を有効利用できる。よって、燃焼に係るエネルギー効率を高め、ガスタービンシステムの燃費を向上できる。
ガスタービンシステムの各配管には、第一から第三の開閉弁がそれぞれ設けられている。これらの開閉弁を開閉動作させることにより、流体の流通する経路を変更し、ガスタービンシステムにおける出力の大きさや燃焼効率等を変化させることができる。これにより、例えば航空機の離着陸時などの高負荷時と、巡航時などの低負荷時と、の複数の運転モードにおいてそれぞれ最適な形態でガスタービンシステムを使用することができる。よって、従来技術と比較してガスタービンシステムの燃費を向上できる。
したがって、従来技術と比較して燃費を向上したガスタービンシステムを提供できる。
【0014】
本発明の請求項2に記載のガスタービンシステムによれば、第四開閉弁は、第二排出管とタービン連通管との接続部に設けられた三方弁である。第五開閉弁は、第一出口管とタービン連通管との接続部に設けられた三方弁である。ガスタービンシステムは、要求出力が所定値より大きい大出力運転モードと、要求出力が所定値より小さい小出力運転モードと、に切り替え可能となっている。高負荷時に対応する大出力運転モードにおいて、第一開閉弁及び第二開閉弁が開くとともに第三開閉弁が閉じる。第四開閉弁は、タービン連通管への流体の流通を遮断して第二排出管内を流体が流通するように開閉動作される。第五開閉弁は、タービン連通管から第一出口管への流体の流通を遮断して第一出口管内を流体が流通するように開閉動作される。これにより、第一圧縮機に流入した空気は、熱交換器、燃焼器、第一タービン、熱交換器の順に流通して排出される。同様に、第二圧縮機に流入した空気は、熱交換器、燃焼器、第二タービン、熱交換器の順に流通して排出される。このように、大出力運転モードでは、各圧縮機により圧縮された空気が単一の燃焼器にそれぞれ流入する。よって、燃焼器への空気の流入量が増加するので、ガスタービンシステムから高い出力を得ることができる。したがって、特に離着陸時等の高負荷時において好適な運転モードを実行できる。
【0015】
本発明の請求項3に記載のガスタービンシステムによれば、低負荷時に対応する小出力運転モードにおいて、第一開閉弁及び第二開閉弁が閉じるとともに第三開閉弁が開く。第四開閉弁は、第二排出管からタービン連通管へ流体が流通するとともに第二排出管から外部への流体の排出を遮断するように開閉動作される。第五開閉弁は、タービン連通管から第一出口管へ流体が流通するとともに第一出口管において燃焼器から第一タービンへの流体の流通を遮断するように開閉動作される。これにより、第一圧縮機に流入した空気は、第二圧縮機、熱交換器、燃焼器、第二タービン、第一タービン、熱交換器の順に流通して排出される。空気は、第一圧縮機及び第二圧縮機により多段圧縮された後に燃焼器に供給される。このように、小出力運転モードでは、多段圧縮されることにより圧力が高められた空気が燃焼器へ供給されるので、エンジンサイクルの改善により、エネルギー効率を高めることができる。よって、低負荷時におけるガスタービンシステムの低燃費化を実現できる。したがって、従来技術と比較して、特に低負荷時におけるガスタービンシステムの燃費を向上できる。
第一から第五の各開閉弁の開閉動作により上述の各モードを容易に切り替えることができる。これにより、過剰な重量増加を抑制しつつ、要求出力(負荷の大きさ)に応じてガスタービンシステムの動作を最適化できる。よって、ガスタービンシステムの燃費を向上できる。
【0016】
本発明の請求項4に記載のガスタービンシステムによれば、ガスタービンシステムは、2個のガスタービン要素と単一の燃焼器とを備える。これにより、複数の燃焼器を設ける場合と比較して、部品点数を削減し、ガスタービンシステム全体の軽量化を図ることができる。ガスタービンシステムを軽量化することにより、ガスタービンシステムの燃費を向上することができる。
ガスタービンシステムは、熱交換器を備える。熱交換器には、第一供給管及び第二供給管を流通する低温流体(空気)と、第一排出管及び第二排出管を流通する高温流体(燃焼ガス)と、がそれぞれ流通する。熱交換器は、低温流体と高温流体との間で熱交換させる。これにより、燃焼後に排出される高温流体の熱を利用して、燃焼器に流入する前の空気を温めることができる。温められた空気を燃焼させることにより、外気から吸入した冷たい空気を燃焼させる従来技術と比較して、燃焼器における熱効率を向上することができる。また、従来排気ガスとして捨てられていた高温流体の熱を有効利用できる。よって、燃焼に係るエネルギー効率を高め、ガスタービンシステムの燃費を向上できる。
第一発電機は、第一回転軸の軸方向において第一圧縮機と第一タービンとの間に設けられている。第二発電機は、第二回転軸の軸方向において第二圧縮機と第二タービンとの間に設けられている。このように、各発電機を圧縮機とタービンとの間にそれぞれ配置することにより、軸方向における圧縮機とタービンとの間の空間を有効利用し、ガスタービン要素全体での軸長を短くすることができる。よって、ガスタービンシステムの大型化を抑制してガスタービンシステムを軽量化できる。したがって、ガスタービンシステムの燃費を向上することができる。
したがって、従来技術と比較して燃費を向上したガスタービンシステムを提供できる。
【0017】
本発明の請求項5に記載のガスタービンシステムによれば、第六開閉弁は、第一供給管に設けられる。第七開閉弁は、第一出口管に設けられる。第八開閉弁は、第一排出管に設けられる。第九開閉弁は、第二供給管に設けられる。第十開閉弁は、第二出口管に設けられる。第十一開閉弁は、第二排出管に設けられる。これらの開閉弁を開閉動作させることにより、流体の流通する経路を変更し、ガスタービンシステムにおける出力の大きさや燃焼効率等を変化させることができる。これにより、例えば航空機の離着陸時などの高負荷時と、巡航時などの低負荷時と、の複数の運転モードにおいてそれぞれ最適な形態でガスタービンシステムを使用することができる。よって、従来技術と比較してガスタービンシステムの燃費を向上できる。
低負荷時に対応する第二運転モードでは、2個のガスタービン要素のうち一方のガスタービン要素を停止させる。このとき、停止されたガスタービン要素に接続される各配管に設けられる開閉弁を閉じる。これにより、一方のガスタービン要素の動作を停止させつつ、残りの他方のガスタービン要素を動作させることができる。このとき、停止されたガスタービン要素と燃焼器との間、及び停止されたガスタービン要素と動作中のガスタービン要素との間における空気の流通が開閉弁により遮断される。このため、動作中のガスタービン要素を流通する空気が、停止されたガスタービン要素に向かって流出することがない。よって、1個のガスタービン要素だけを安定的に動作させ、低負荷時における過剰な電力生成を抑制できる。したがって、熱交換器による熱効率の向上と併せて、より一層ガスタービンシステムの燃費を向上できる。
【0018】
本発明の請求項6に記載のガスタービンシステムによれば、燃焼器は内部に遮蔽壁を有する。遮蔽壁は、第一吸気口及び第一排気口に連通する第一空間と、第二吸気口及び第二排気口に連通する第二空間と、に燃焼器内の空間を仕切る。これにより、例えば2個のガスタービン要素のうち1個のガスタービン要素を停止させた場合に、燃焼器から停止されたガスタービン要素側への高温の空気の流入が抑制される。よって、停止されたガスタービン要素に設けられた開閉弁等の部品が熱により損傷することを抑制できる。
また、2個のガスタービン要素を両方とも作動させた場合、遮蔽壁により両方のタービンに均一な流量の流体(燃焼ガス)を供給できる。よって、ガスタービン要素におけるエネルギー効率を向上し、ガスタービンシステムの燃費を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係るガスタービンシステムを搭載した航空機の外観図。
図2】第1実施形態に係るガスタービンシステム(大出力運転モード)の概略構成図。
図3】第1実施形態に係る熱交換器の部分断面図。
図4】第1実施形態に係るガスタービンシステム(小出力運転モード)の概略構成図。
図5】第2実施形態に係るガスタービンシステムの概略構成図。
図6】第3実施形態に係る燃焼器の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
(第1実施形態)
(ガスタービンシステム)
図1は、第1実施形態に係るガスタービンシステム1を搭載した航空機10の外観図である。
航空機10は、例えば、機体11と、複数のロータ12A~12Dと、複数の電動機14A~14Dと、取り付け部材16A~16Dと、ガスタービンシステム1と、を備える。以下、複数のロータ12A~12Dを互いに区別しない場合は、ロータ12と称し、複数の電動機14A~14Dを互いに区別しない場合は、電動機14と称する。
【0022】
ロータ12Aは、取り付け部材16Aを介して機体11に取り付けられている。ロータ12Aの基部(回転軸)には、電動機14Aが取り付けられている。電動機14Aは、ロータ12Aを駆動させる。電動機14Aは、例えばブラシレスDCモータである。ロータ12Aは、航空機10が水平姿勢である場合に、重力方向と平行な軸線周りに回転するブレードの固定翼である。ロータ12B~12D、取り付け部材16B~16D、および電動機14B~14Dについても、上記と同様の機能構成を有するため説明を省略する。
【0023】
制御信号に応じてロータ12が回転することで、航空機10は、所望の飛行状態で飛行する。制御信号は、操作者の操作または自動操縦における指示に基づく航空機10を制御するための信号である。例えば、ロータ12Aとロータ12Dとが第1方向(例えば時計方向)に回転し、ロータ12Bとロータ12Cとが第2方向(例えば反時計方向)に回転することで航空機10が飛行する。また、上記のロータ12の他に、不図示の姿勢保持用あるいは水平推進用の補助ロータ等が設けられてもよい。
【0024】
図2は、第1実施形態に係るガスタービンシステム1(大出力運転モードM1)の概略構成図である。
ガスタービンシステム1は、航空機10の内部に搭載されている。ガスタービンシステム1は、航空機10のロータ12A~12D(図1参照)を駆動させる動力源となる電力を発電する。ガスタービンシステム1は、いわゆるガスタービンエンジンからなる。ガスタービンシステム1は、第一ガスタービン要素2と、第二ガスタービン要素3と、単一の燃焼器4と、熱交換器5と、複数の配管6と、複数の開閉弁7と、を備える。
【0025】
(ガスタービン要素)
第一ガスタービン要素2は、第一圧縮機21と、第一タービン22と、第一回転軸23と、第一発電機24と、を有する。第一圧縮機21は、航空機10の機体11に設けられた不図示の通風孔から吸入される吸入空気を圧縮する。第一タービン22は、第一圧縮機21と接続されて第一圧縮機21と一体回転する。第一回転軸23は、第一圧縮機21と第一タービン22とを連結している。第一回転軸23は、例えば機体11の前後方向(ヨー軸)に平行な方向に沿って延びている。第一回転軸23の前端部に第一圧縮機21が接続されている。第一回転軸23の後端部に第一タービン22が接続されている。
【0026】
第一発電機24は、第一圧縮機21と第一タービン22との間に配置されている。第一発電機24は、第一回転軸23と同軸上に設けられるとともに、減速機構等を介して第一回転軸23に接続されている。第一発電機24は、第一タービン22の駆動によって電力(交流電力)を発電する。第一発電機24で発電された交流電力は不図示のパワードライブユニット(PDU)のコンバータで直流電力に変換され、不図示のバッテリに貯留される。バッテリからの放電電力が電動機14に供給されることにより、電動機14が駆動する。
【0027】
第二ガスタービン要素3は、第一ガスタービン要素2と平行に並んで設けられている。第二ガスタービン要素3の構成は、第一ガスタービン要素2の構成と同等である。つまり、第二ガスタービン要素3は、第二圧縮機31と、第二タービン32と、第二回転軸33と、第二発電機34と、を有する。第二圧縮機31は、機体11に設けられた通風孔(不図示)から吸入される吸入空気を圧縮する。第二タービン32は、第二圧縮機31と接続されて第二圧縮機31と一体回転する。第二回転軸33は、第二圧縮機31と第二タービン32とを連結している。
【0028】
第二発電機34は、第二圧縮機31と第二タービン32との間に配置されている。第二発電機34は、第二回転軸33と同軸上に設けられるとともに、減速機構等を介して第二回転軸33に接続されている。第二発電機34は、第二タービン32の駆動によって電力(交流電力)を発電する。第二発電機34で発電された交流電力は不図示のパワードライブユニット(PDU)のコンバータで直流電力に変換され、不図示のバッテリに貯留される。なお、本実施形態において、第一発電機24及び第二発電機34は共通のバッテリに接続されて電力を貯蓄するが、第一発電機24及び第二発電機34がそれぞれ異なるバッテリに接続されてそれぞれのバッテリに電力を貯蓄する構成であってもよい。
【0029】
以下の説明において、圧縮機21,31及びタービン22,32のうち、空気の流通方向の上流側に位置して空気が流入する部分を「入口21a,22a,31a,32a」といい、空気の流通方向の下流側に位置して空気が排出される部分を「出口21b,22b,31b,32b」という場合がある。
【0030】
(燃焼器)
燃焼器4は、2個のガスタービン要素(第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3)に対して1個設けられる。燃焼器4は、第一ガスタービン要素2と第二ガスタービン要素3との間に配置されている。燃焼器4は、各ガスタービン要素2,3の軸方向において、各圧縮機21,31と各タービン22,32との間に位置している。具体的に、燃焼器4は2個の吸気口(第一吸気口41及び第二吸気口42)を有する。第一吸気口41及び第二吸気口42は、第一圧縮機21の出口21b及び第二圧縮機31の出口31bより後方に設けられている。燃焼器4は2個の排気口(第一排気口43及び第二排気口44)を有する。第一排気口43及び第二排気口44は、第一タービン22の入口22a及び第二タービン32の入口32aより前方に設けられている。燃焼器4は、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3にそれぞれ接続される。燃焼器4には、第一圧縮機21及び第二圧縮機31の少なくとも一方からの圧縮空気が流入する。
【0031】
(熱交換器)
図3は、第1実施形態に係る熱交換器5の部分断面図である。
図2及び図3に示すように、熱交換器5は、燃焼器4に流入する前の空気と、燃焼器4から排出された後の燃焼ガスと、がそれぞれ流通して互いに熱交換するように構成されている。図3に示すように、熱交換器5は、低温側流路51と、高温側流路52と、を有する。低温側流路51には、燃焼器4に流入する前の流体であって、第一圧縮機21及び第二圧縮機31により圧縮された低温流体(空気)が流通する。高温側流路52には、燃焼器4から排出された後の流体であって、第一タービン22及び第二タービン32から排出され、低温流体よりも温度が高い高温流体(燃焼ガス)が流通する。
【0032】
低温側流路51と高温側流路52との間は伝熱プレート53により仕切られている。伝熱プレート53は、例えば熱伝導率の高い金属等の板部材を表裏交互に折り曲げることにより、断面視で蛇腹状(bellows pattern)に形成されている。伝熱プレート53の表面は低温側流路51に面している。伝熱プレート53の裏面は高温側流路52に面している。よって、熱交換器5は、伝熱プレート53を介して低温流体と高温流体との間で熱交換させる。
【0033】
(複数の配管)
図2に示すように、複数の配管6は、第一供給管61と、第二供給管62と、圧縮機連通管63と、第一出口管64と、第二出口管65と、第一排出管66と、第二排出管67と、タービン連通管68と、を有する。
第一供給管61は、第一圧縮機21の出口21bと燃焼器4の第一吸気口41とを接続する。第一供給管61は、第一圧縮機21により圧縮された空気を燃焼器4へ向けて流通させる。第一供給管61の一部は、熱交換器5に接続されている。第一供給管61内の空気は、熱交換器5の低温側流路51を流通する。
【0034】
第二供給管62は、第二圧縮機31の出口31bと燃焼器4の第二吸気口42とを接続する。第二供給管62は、第二圧縮機31により圧縮された空気を燃焼器4へ向けて流通させる。第二供給管62の一部は、熱交換器5に接続されている。第二供給管62内の空気は、熱交換器5の低温側流路51を流通する。第一供給管61と第二供給管62とは、互いに内部の空気が混ざることなく独立して形成されている。つまり、熱交換器5のうち第一供給管61内の空気が流通する低温側流路51と、第二供給管62内の空気が流通する低温側流路51と、は区別されている。
圧縮機連通管63は、第一圧縮機21の出口21bと第二圧縮機31の入口31aとを連通している。圧縮機連通管63は、第一圧縮機21で圧縮された空気を第二圧縮機31へ向けて流通させる。
【0035】
第一出口管64は、燃焼器4の第一排気口43と第一タービン22の入口22aとを接続する。第一出口管64は、燃焼器4から排出された燃焼ガスを第一タービン22へ向けて流通させる。燃焼ガスが第一タービン22へ流入することにより、第一タービン22が回転する。
第二出口管65は、燃焼器4の第二排気口44と第二タービン32の入口32aとを接続する。第二出口管65は、燃焼器4から排出された燃焼ガスを第二タービン32へ向けて流通させる。燃焼ガスが第二タービン32へ流入することにより、第二タービン32が回転する。
【0036】
第一排出管66は、第一タービン22の出口22bに接続されている。第一排出管66は、第一タービン22から排出された高温流体(燃焼ガス)を機体の外部へ排出する。第一排出管66の一部は、熱交換器5に接続されている。第一排出管66内の空気は、熱交換器5の高温側流路52を流通する。
第二排出管67は、第二タービン32の出口32bに接続されている。第二排出管67は、第二タービン32から排出された高温流体を機体の外部へ排出する。第二排出管67の一部は、熱交換器5に接続されている。第二排出管67内の空気は、熱交換器5の高温側流路52を流通する。第一排出管66と第二排出管67とは、互いに内部の空気が混ざることなく独立して形成されている。つまり、熱交換器5のうち第一排出管66内の空気が流通する高温側流路52と、第二排出管67内の空気が流通する高温側流路52と、は区別されている。
【0037】
タービン連通管68は、第一タービン22の入口22aと第二タービン32の出口32bとを連通している。タービン連通管68は、第二タービン32から排出された空気を第一タービン22へ向けて流通させる。本実施形態において、タービン連通管68のうち燃焼ガスの流通方向における上流側の端部は、第二排出管67の中途部59に接続されている。第二排出管67の中途部59は、熱交換器5よりも上流側に設けられている。つまり、第二排出管67は、中途部59において二股に分岐している。タービン連通管68のうち燃焼ガスの流通方向における下流側の端部は、第一出口管64の中途部58に接続されている。
【0038】
(複数の開閉弁)
複数の開閉弁7は、第一開閉弁71と、第二開閉弁72と、第三開閉弁73と、第四開閉弁74と、第五開閉弁75と、を有する。各開閉弁は、例えば通電のオン/オフの切り替えによって弁を開閉する電磁弁等である。各図において、開閉弁7が白く塗られたものは開閉弁7が開いていることを示す。黒く塗られたものは、開閉弁7が閉じていることを示す。
第一開閉弁71は、第一供給管61に設けられている。第一開閉弁71は、第一供給管61内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。
第二開閉弁72は、第二圧縮機31の入口31aよりも空気の流通方向の上流側に設けられている。第二開閉弁72は、第二圧縮機31への空気の流入を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。
第三開閉弁73は、圧縮機連通管63に設けられている。第三開閉弁73は、圧縮機連通管63内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。
【0039】
第四開閉弁74は、第二排出管67とタービン連通管68との接続部(第二排出管67の中途部59)に設けられている。第四開閉弁74は、第二排出管67からタービン連通管68内への流体の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。第四開閉弁74は、流入弁74aと、第一の流出弁74bと、第二の流出弁74cと、を有する三方弁である。流入弁74aは、第二排出管67のうち中途部59よりも上流側に設けられている。流入弁74aは、第二タービン32から排出された燃焼ガスの中途部59への流入を許可又は遮断する。第一の流出弁74bは、第二排出管67のうち中途部59よりも下流側に設けられている。第一の流出弁74bは、中途部59に流入した燃焼ガスの第二排出管67の下流側への流入を許可又は遮断する。第二の流出弁74cは、タービン連通管68の上流側の端部に設けられている。第二の流出弁74cは、中途部59に流入した燃焼ガスのタービン連通管68への流入を許可又は遮断する。
【0040】
第五開閉弁75は、第一出口管64とタービン連通管68との接続部(第一出口管64の中途部58)に設けられている。第五開閉弁75は、タービン連通管68から第一出口管64内を通って第一タービン22へ向かう流体の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。第五開閉弁75は、第一の流入弁75aと、第二の流入弁75bと、流出弁75cと、を有する三方弁である。第一の流入弁75aは、第一出口管64のうち中途部58よりも上流側に設けられている。第一の流入弁75aは、燃焼器4から排出された燃焼ガスの中途部58への流入を許可又は遮断する。第二の流入弁75bは、タービン連通管68の下流側の端部に設けられている。第二の流入弁75bは、タービン連通管68内を流通する燃焼ガスの中途部58への流入を許可又は遮断する。流出弁75cは、第一出口管64のうち中途部58よりも下流側に設けられている。流出弁75cは、中途部58へ流入した燃焼ガスの第一タービン22への流入を許可又は遮断する。
【0041】
複数の開閉弁7は、不図示の制御部によりそれぞれ開閉可能に制御されている。制御部は、例えば電気的な方法により各開閉弁に信号を送信する。複数の開閉弁7は、それぞれ受信した信号により開状態又は閉状態に切り替えられる。制御部は、航空機の状態情報やパイロットからの操作情報に基づいて、航空機が所定の運転モードであることを特定し、特定された運転モードの種類に応じて所定の組み合わせで各開閉弁を開閉させる。本実施形態において、制御部は、少なくとも大出力運転モードM1と小出力運転モードM2との2個の運転モードを特定可能である。
【0042】
(各運転モードにおけるガスタービンシステムの動作)
次に、各運転モードにおけるガスタービンシステム1の動作について説明する。
始めに、大出力運転モードM1におけるガスタービンシステム1の動作を図2に基づいて説明する。大出力運転モードM1は、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3に対する要求出力が所定値より大きい場合の運転モードである。要求出力とは、航空機が制御信号に応じた飛行状態に移行するため、または飛行状態を維持するために必要な電力である。大出力運転モードM1は、高負荷時に対応する運転モードである。
【0043】
図2に示すように、制御部は、例えば航空機が離着陸を行う際に、ガスタービンシステム1を大出力運転モードM1に移行させる。大出力運転モードM1において、制御部は、第一開閉弁71及び第二開閉弁72を開くとともに第三開閉弁73を閉じる。つまり、制御部は、第一圧縮機21及び第二圧縮機31から燃焼器4へそれぞれ空気を流通させるとともに、第一圧縮機21から第二圧縮機31への空気の流通を遮断する。また、制御部は、第四開閉弁74の流入弁74a及び第一の流出弁74bを開き、第二の流出弁74cを閉じる。換言すれば、第四開閉弁74は、タービン連通管68への流体の流通を遮断して第二排出管67内を流体が流通するように開閉制御される。さらに、大出力運転モードM1において、制御部は、第五開閉弁75の第一の流入弁75a及び流出弁75cを開き、第二の流入弁75bを閉じる。換言すれば、第五開閉弁75は、タービン連通管68から第一出口管64への流体の流通を遮断して第一出口管64内を流体が流通するように開閉制御される。
【0044】
第一圧縮機21は、外気を吸入して圧縮する。第一圧縮機21により圧縮された空気は、第一供給管61及び熱交換器5の低温側流路51を流通して燃焼器4へ流入する。同様に、第二圧縮機31は、外気を吸入して圧縮する。第二圧縮機31により圧縮された空気は、第二供給管62及び熱交換器5の低温側流路51を流通して燃焼器4へ流入する。これにより、燃焼器4には、第一圧縮機21及び第二圧縮機31のそれぞれから圧縮空気が流入するので、燃焼器4に要求された出力を発生するのに十分な流量の空気が供給される。またこのとき、熱交換器5で熱エネルギーを受け取ることにより外気と比較して温められた空気が燃焼器4に流入する。
【0045】
燃焼器4から排出された燃焼ガスの約半分は、第一出口管64を流通して第一タービン22に供給され、第一タービン22を回転させる。その後、燃焼ガスは第一排出管66を流通して第一タービン22から外部へ排出される。第一排出管66を流通する高温の燃焼ガス(高温流体)は、外部へ排出される前に熱交換器5の高温側流路52を流通し、熱交換器5で熱エネルギーを渡した後に外部へ排出される。
燃焼器4から排出された燃焼ガスの残りの半分は、第二出口管65を流通して第二タービン32に供給され、第二タービン32を回転させる。その後、燃焼ガスは第二排出管67を流通して第二タービン32から外部へ排出される。第二排出管67を流通する高温の燃焼ガス(高温流体)は、外部へ排出される前に熱交換器5の高温側流路52を流通し、熱交換器5で熱エネルギーを渡した後に外部へ排出される。
【0046】
次に、小出力運転モードM2におけるガスタービンシステム1の動作を図4に基づいて説明する。図4は、第1実施形態に係るガスタービンシステム1(小出力運転モードM2)の概略構成図である。小出力運転モードM2は、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3に対する要求出力が所定値より小さい場合の運転モードである。小出力運転モードM2は、大出力運転モードM1よりも出力の小さい運転モードである。小出力運転モードM2は、低負荷時に対応する運転モードである。
【0047】
図4に示すように、制御部は、例えば航空機が巡航する際に、ガスタービンシステム1を小出力運転モードM2に移行させる。小出力運転モードM2において、制御部は、第一開閉弁71及び第二開閉弁72を閉じるとともに第三開閉弁73を開く。つまり、制御部は、第一圧縮機21から燃焼器4への空気の流通を遮断するとともに、第一圧縮機21から第二圧縮機31へ空気を流通させる。また、制御部は、第四開閉弁74の流入弁74a及び第二の流出弁74cを開き、第一の流出弁74bを閉じる。換言すれば、第四開閉弁74は、第二排出管67からタービン連通管68へ流体が流通するとともに第二排出管67から外部への流体の排出を遮断するように開閉制御される。さらに、小出力運転モードM2において、制御部は、第五開閉弁75の第二の流入弁75b及び流出弁75cを開き、第一の流入弁75aを閉じる。換言すれば、第五開閉弁75は、タービン連通管68から第一出口管64へ流体が流通するとともに第一出口管64において燃焼器4から第一タービン22への流体の流通を遮断するように開閉制御される。
【0048】
第一圧縮機21は、外気を吸入して圧縮する。第一圧縮機21により圧縮された空気は、圧縮機連通管63を流通して第二圧縮機31へ流入する。第二開閉弁72が閉じているため、第二圧縮機31には、第一圧縮機21からの圧縮空気のみが供給される。第二圧縮機31は、第一圧縮機21からの圧縮空気をさらに圧縮する。第一圧縮機21及び第二圧縮機31により多段圧縮された空気は、第二供給管62及び熱交換器5の低温側流路51を流通して燃焼器4へ流入する。このように、第一圧縮機21及び第二圧縮機31を順に経て空気が段階的に圧縮されることにより、大出力運転モードM1の圧縮空気よりも高い圧力の圧縮空気が燃焼器4に供給される。
【0049】
第五開閉弁75の第一の流入弁75aが閉じているので、燃焼器4から排出された燃焼ガスは、第二排気口44のみから排出される。燃焼器4から排出された燃焼ガスは、第二排出管67を流通して第二タービン32へ供給され、第二タービン32を回転させる。第二タービン32の出口32bから排出された燃焼ガスは、第四開閉弁74より上流側の第二排出管67及び第四開閉弁74を介してタービン連通管68へ流入する。さらに、燃焼ガスは、タービン連通管68を流通した後、第五開閉弁75及び第五開閉弁75より下流側の第一出口管64を介して第一タービン22の入口22aへ供給され、第一タービン22を回転させる。その後、燃焼ガスは第一排出管66を流通して第一タービン22から外部へ排出される。小出力運転モードM2では、第二供給管62内を流通する低温流体(空気)と、第一排出管66内を流通する高温流体(燃焼ガス)と、の間で熱交換が行われる。
【0050】
(作用、効果)
次に、上述のガスタービンシステム1の作用、効果について説明する。
本実施形態のガスタービンシステム1によれば、ガスタービンシステム1は、2個のガスタービン要素2,3と単一の燃焼器4とを備える。これにより、複数の燃焼器4を設ける場合と比較して、部品点数を削減し、ガスタービンシステム1全体の軽量化を図ることができる。ガスタービンシステム1を軽量化することにより、燃料消費を抑え、ガスタービンシステム1の燃費を向上することができる。
【0051】
ガスタービンシステム1は、熱交換器5を備える。熱交換器5には、第一供給管61及び第二供給管62を流通する低温流体(空気)と、第一排出管66及び第二排出管67を流通する高温流体(燃焼ガス)と、がそれぞれ流通する。熱交換器5を流通することにより、低温流体と高温流体との間で熱交換が行われる。これにより、燃焼後に排出される高温流体の熱を利用して、燃焼器4に流入する前の空気を温めることができる。温められた空気を燃焼させるので、外気から吸入した冷たい空気を燃焼させる従来技術と比較して、燃焼器4における熱効率を向上することができる。また、従来排気ガスとして捨てられていた高温流体の熱を有効利用できる。よって、燃焼に係るエネルギー効率を高め、ガスタービンシステム1の燃費を向上できる。
【0052】
ガスタービンシステム1の各配管6には、第一から第三の開閉弁71,72,73がそれぞれ設けられている。これらの開閉弁を開閉動作させることにより、流体の流通する経路を変更し、ガスタービンシステム1における出力の大きさや燃焼効率等を変化させることができる。これにより、例えば航空機の離着陸時などの高負荷時と、巡航時などの低負荷時と、の複数の運転モードにおいてそれぞれ最適な形態でガスタービンシステム1を使用することができる。よって、従来技術と比較してガスタービンシステム1の燃費を向上できる。
したがって、従来技術と比較して燃費を向上したガスタービンシステム1を提供できる。
【0053】
第四開閉弁74は、第二排出管67とタービン連通管68との接続部(中途部59)に設けられた三方弁である。第五開閉弁75は、第一出口管64とタービン連通管68との接続部(中途部58)に設けられた三方弁である。ガスタービンシステム1は、要求出力が所定値より大きい大出力運転モードM1と、要求出力が所定値より小さい小出力運転モードM2と、に切り替え可能となっている。高負荷時に対応する大出力運転モードM1において、第一開閉弁71及び第二開閉弁72が開くとともに第三開閉弁73が閉じる。第四開閉弁74は、タービン連通管68への流体の流通を遮断して第二排出管67内を流体が流通するように開閉動作される。第五開閉弁75は、タービン連通管68から第一出口管64への流体の流通を遮断して第一出口管64内を流体が流通するように開閉動作される。これにより、第一圧縮機21に流入した空気は、熱交換器5、燃焼器4、第一タービン22、熱交換器5の順に流通して排出される。同様に、第二圧縮機31に流入した空気は、熱交換器5、燃焼器4、第二タービン32、熱交換器5の順に流通して排出される。このように、大出力運転モードM1では、各圧縮機21,31により圧縮された空気が単一の燃焼器4にそれぞれ流入する。よって、燃焼器4への空気の流入量が増加するので、ガスタービンシステム1から高い出力を得ることができる。したがって、特に離着陸時等の高負荷時において好適な運転モードを実行できる。
【0054】
低負荷時に対応する小出力運転モードM2において、第一開閉弁71及び第二開閉弁72が閉じるとともに第三開閉弁73が開く。第四開閉弁74は、第二排出管67からタービン連通管68へ流体が流通するとともに第二排出管67から外部への流体の排出を遮断するように開閉動作される。第五開閉弁75は、タービン連通管68から第一出口管64へ流体が流通するとともに第一出口管64において燃焼器4から第一タービン22への流体の流通を遮断するように開閉動作される。これにより、第一圧縮機21に流入した空気は、第二圧縮機31、熱交換器5、燃焼器4、第二タービン32、第一タービン22、熱交換器5の順に流通して排出される。空気は、第一圧縮機21及び第二圧縮機31により多段圧縮された後に燃焼器4に供給される。このように、小出力運転モードM2では、多段圧縮されることにより圧力が高められた空気が燃焼器4へ供給されるので、エンジンサイクルの改善により、エネルギー効率を高めることができる。よって、低負荷時におけるガスタービンシステム1の低燃費化を実現できる。したがって、従来技術と比較して、特に低負荷時におけるガスタービンシステム1の燃費を向上できる。
【0055】
第一から第五の各開閉弁7の開閉動作により上述の各モードを容易に切り替えることができる。これにより、過剰な重量増加を抑制しつつ、要求出力(負荷の大きさ)に応じてガスタービンシステム1の動作を最適化できる。よって、ガスタービンシステム1の燃費を向上できる。
【0056】
第一発電機24は、第一回転軸23の軸方向において第一圧縮機21と第一タービン22との間に設けられている。第二発電機34は、第二回転軸33の軸方向において第二圧縮機31と第二タービン32との間に設けられている。このように、各発電機24,34を圧縮機21,31とタービン22,32との間にそれぞれ配置することにより、軸方向における圧縮機21,31とタービン22,32との間の空間を有効利用し、ガスタービン要素全体での軸長を短くすることができる。よって、ガスタービンシステム201の大型化を抑制してガスタービンシステム201を軽量化できる。したがって、ガスタービンシステム201の燃費を向上することができる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係るガスタービンシステム201の概略構成図である。図5は、詳しくは後述する2個の運転モードのうち第二運転モードQ2におけるガスタービンシステム201の動作を示している。以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では、配管6及び開閉弁7の構成が上述した第1実施形態と相違している。
【0058】
第2実施形態において、複数の配管206は、第一供給管61と、第二供給管62と、第一出口管64と、第二出口管65と、第一排出管66と、第二排出管67と、を有する。第2実施形態における第一供給管61、第二供給管62、第一出口管64、第二出口管65、第一排出管66及び第二排出管67の構成は、第1実施形態におけるそれと同等の構成となっている。換言すれば、第2実施形態は、上述の第1実施形態における圧縮機連通管63及びタービン連通管68(図2参照)を省略した構成となっている。
【0059】
第2実施形態において、複数の開閉弁207は、第六開閉弁276と、第七開閉弁277と、第八開閉弁278と、第九開閉弁279と、第十開閉弁280と、第十一開閉弁281と、を有する。
第六開閉弁276は、第一供給管61に設けられている。第六開閉弁276は、熱交換器5より上流側に設けられている。第六開閉弁276は、第一供給管61内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。
第七開閉弁277は、第一出口管64に設けられている。第七開閉弁277は、第一出口管64内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。
第八開閉弁278は、第一排出管66に設けられている。第八開閉弁278は、熱交換器5より上流側に設けられている。第八開閉弁278は、第一排出管66内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。
【0060】
第九開閉弁279は、第二供給管62に設けられている。第九開閉弁279は、熱交換器5より上流側に設けられている。第九開閉弁279は、第二供給管62内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。
第十開閉弁280は、第二出口管65に設けられている。第十開閉弁280は、第二出口管65内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。
第十一開閉弁281は、第二排出管67に設けられている。第十一開閉弁281は、熱交換器5より上流側に設けられている。第十一開閉弁281は、第二排出管67内の空気の流通を許可又は遮断するように切り替え可能となっている。
【0061】
制御部が上述した複数の開閉弁207を開閉制御することにより、ガスタービンシステム201は、少なくとも高負荷時に対応する第一運転モードQ1と、低負荷時に対応する第二運転モードQ2(図5参照)と、の2個の運転モードに切り替え可能となっている。本実施形態において、第一運転モードQ1は、2個のガスタービン要素2,3が両方とも動作する運転モードであり、第二運転モードQ2は、2個のガスタービン要素2,3のうち一方のガスタービン要素を停止させる運転モードである。
【0062】
(各運転モードにおけるガスタービンシステムの動作)
次に、各運転モードにおけるガスタービンシステム201の動作について説明する。始めに、第一運転モードQ1におけるガスタービンシステム201の動作について説明する。第一運転モードQ1は、出力値が所定値よりも大きい運転モードである。
【0063】
第一運転モードQ1において、制御部は、第六開閉弁276、第七開閉弁277、第八開閉弁278、第九開閉弁279、第十開閉弁280及び第十一開閉弁281を開く。つまり、第一供給管61、第二供給管62、第一出口管64、第二出口管65、第一排出管66及び第二排出管67の全ての配管内に流体(空気又は燃焼ガス)が流通可能となっている。
【0064】
第一圧縮機21は、外気を吸入して圧縮する。第一圧縮機21により圧縮された空気は、第一供給管61及び熱交換器5の低温側流路51を流通して燃焼器4へ流入する。第二圧縮機31は、外気を吸入して圧縮する。第二圧縮機31により圧縮された空気は、第二供給管62及び熱交換器5の低温側流路51を流通して燃焼器4へ流入する。これにより、燃焼器4には、第一圧縮機21及び第二圧縮機31のそれぞれから圧縮空気が流入するので、燃焼器4に要求された出力を発生するのに十分な流量の空気が供給される。
【0065】
燃焼器4から排出された燃焼ガスの約半分は、第一出口管64を流通して第一タービン22に供給され、第一タービン22を回転させる。その後、燃焼ガスは第一排出管66及び熱交換器5の高温側流路52を流通して第一タービン22から外部へ排出される。燃焼器4から排出された燃焼ガスの残りの半分は、第二出口管65を流通して第二タービン32に供給され、第二タービン32を回転させる。その後、燃焼ガスは第二排出管67及び熱交換器5の高温側流路52を流通して第二タービン32から外部へ排出される。第一タービン22及び第二タービン32が回転することにより、第一発電機24及び第二発電機34が回転駆動され、電力を発電する。
このとき、熱交換器5では、第1実施形態と同様、第一供給管61及び第二供給管62内の低温流体(空気)と、第一排出管66及び第二排出管67内の高温流体(燃焼ガス)と、の間で熱交換が行われる。
【0066】
次に、第二運転モードQ2におけるガスタービンシステム201の動作について説明する。第二運転モードQ2は、出力値が所定値よりも小さい運転モードである。
図5に示すように、第二運転モードQ2において、制御部は、第一ガスタービン要素2及び第二ガスタービン要素3のうち一方の動作を停止するとともに、停止されたガスタービン要素に接続される供給管、出口管及び排出管に設けられる開閉弁207をそれぞれ閉じる。図5に示す例では、第二ガスタービン要素3の動作を停止した場合について説明する。図5に示す例において、制御部は、停止された第二ガスタービン要素3に接続される第二供給管62、第二出口管65及び第二排出管67に設けられる開閉弁207を閉じる。具体的に、制御部は、第六開閉弁276、第七開閉弁277及び第八開閉弁278を開くとともに、第九開閉弁279、第十開閉弁280及び第十一開閉弁281を閉じる。これにより、制御部は、第二ガスタービン要素3の動作を停止させ、かつ第一ガスタービン要素2を動作させる。
【0067】
第二運転モードQ2において、第一圧縮機21は、外気を吸入して圧縮する。第一圧縮機21により圧縮された空気は、第一供給管61及び熱交換器5の低温側流路51を流通して燃焼器4へ流入する。燃焼器4から排出された燃焼ガスは、第一出口管64を流通して第一タービン22に供給され、第一タービン22を回転させる。その後、燃焼ガスは第一排出管66及び熱交換器5の高温側流路52を流通して第一タービン22から外部へ排出される。
このとき、熱交換器5では、第一供給管61内の低温流体(空気)と、第一排出管66内の高温流体(燃焼ガス)と、の間で熱交換が行われる。
【0068】
第2実施形態によれば、ガスタービンシステム201は、2個のガスタービン要素2,3と、単一の燃焼器4と、熱交換器5と、を備える。よって、上述の第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
したがって、従来技術と比較して燃費を向上したガスタービンシステム201を提供できる。
【0069】
第六開閉弁276は、第一供給管61に設けられる。第七開閉弁277は、第一出口管64に設けられる。第八開閉弁278は、第一排出管66に設けられる。第九開閉弁279は、第二供給管62に設けられる。第十開閉弁280は、第二出口管65に設けられる。第十一開閉弁281は、第二排出管67に設けられる。これらの開閉弁207を開閉動作させることにより、流体の流通する経路を変更し、ガスタービンシステム201における出力の大きさや燃焼効率等を変化させることができる。これにより、例えば航空機の離着陸時などの高負荷時と、巡航時などの低負荷時と、の複数の運転モードにおいてそれぞれ最適な形態でガスタービンシステム1を使用することができる。よって、従来技術と比較してガスタービンシステム1の燃費を向上できる。
【0070】
低負荷時に対応する第二運転モードQ2では、2個のガスタービン要素のうち一方のガスタービン要素(本実施形態では第二ガスタービン要素3)を停止させる。このとき、停止された第二ガスタービン要素3に接続される各配管206(第二供給管62、第二出口管65及び第二排出管67)に設けられる開閉弁279,280,281を閉じる。これにより、一方の第二ガスタービン要素3の動作を停止させつつ、残りの第一ガスタービン要素2を動作させることができる。このとき、停止された第二ガスタービン要素3と燃焼器4との間、及び停止された第二ガスタービン要素3と動作中の第一ガスタービン要素2との間における空気の流通が開閉弁279,280,281により遮断される。このため、動作中の第一ガスタービン要素2を流通する空気が、停止された第二ガスタービン要素3に向かって流出することがない。よって、1個のガスタービン要素だけを安定的に動作させ、低負荷時における過剰な電力生成を抑制できる。したがって、熱交換器5による熱効率の向上と併せて、より一層ガスタービンシステム1の燃費を向上できる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。図6は、第3実施形態に係る燃焼器304の概略断面図である。以下の説明において、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では、燃焼器304が遮蔽壁345を有する点で上述した各実施形態と相違している。
【0072】
第3実施形態において、燃焼器304は、内部に遮蔽壁345を有する。遮蔽壁345は、燃焼器304の第一吸気口41及び第一排気口43に連通する第一空間A1と、第二吸気口42及び第二排気口44に連通する第二空間A2と、に燃焼器304内の空間を仕切っている。遮蔽壁345は、例えば燃焼器304とは別体で設けられた板部材である。
【0073】
第3実施形態によれば、例えば2個のガスタービン要素のうち1個のガスタービン要素を停止させた場合(第2実施形態に適用した場合)に、燃焼器304から停止されたガスタービン要素側への高温の空気の流入が抑制される。よって、停止されたガスタービン要素に設けられた開閉弁207等の部品が熱により損傷することを抑制できる。
また、2個のガスタービン要素を両方とも作動させた場合(第1実施形態に適用した場合)、遮蔽壁345により両方のタービン22,32に均一な流量の流体(燃焼ガス)を供給できる。よって、ガスタービン要素におけるエネルギー効率を向上し、ガスタービンシステム1の燃費を向上できる。
【0074】
遮蔽壁345を燃焼器304とは別体で設けられる構成としたので、遮蔽壁345を簡素な構成とすることができる。よって、燃焼器304を複数設ける場合と比較して、燃焼器304の重量増加を抑制できる。
【0075】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の第1実施形態において、熱交換器5は、第一ガスタービン要素2を流通する流体及び第二ガスタービン要素3を流通する流体が流通する単一の低温側流路51を有してもよい。つまり、熱交換器5のうち第一供給管61内の空気が流通する低温側流路51と、第二供給管62内の空気が流通する低温側流路51と、は同一であってもよい。同様に、熱交換器5は、第一ガスタービン要素2を流通する流体及び第二ガスタービン要素3を流通する流体が流通する単一の高温側流路52を有してもよい。つまり、熱交換器5のうち第一排出管66内の空気が流通する高温側流路52と、第二排出管67内の空気が流通する高温側流路52と、は同一であってもよい。
【0076】
上述の第2実施形態では第二ガスタービン要素3を停止させる構成について説明したが、これに限られない。第二運転モードQ2において、第一ガスタービン要素2を停止させ、第二ガスタービン要素3を動作させてもよい。この場合、制御部は、第六開閉弁276、第七開閉弁277及び第八開閉弁278を閉じるとともに、第九開閉弁279、第十開閉弁280及び第十一開閉弁281を開く。
ガスタービンシステム1は3個以上のガスタービン要素を有してもよい。この場合、第二運転モードQ2において、例えば複数のガスタービン要素のうち任意の1個以上のガスタービン要素を停止させてもよい。
【0077】
遮蔽壁345には、例えば第一空間A1と第二空間A2とを連通する孔や隙間等が形成されていてもよい。この場合、第一空間A1と第二空間A2の圧力を均一にすることができる。
遮蔽壁345は、製造時に燃焼器4に対して着脱可能に取り付けられてもよい。
【0078】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1,201 ガスタービンシステム
2 第一ガスタービン要素
3 第二ガスタービン要素
4,304 燃焼器
5 熱交換器
21 第一圧縮機
21b (第一圧縮機の)出口
22 第一タービン
23 第一回転軸
24 第一発電機
31 第二圧縮機
31a (第二圧縮機の)入口
32 第二タービン
33 第二回転軸
34 第二発電機
41 第一吸気口(吸気口)
42 第二吸気口(吸気口)
43 第一排気口
44 第二排気口
58 (第一出口管の)中途部(接続部)
59 (第二排出管の)中途部(接続部)
61 第一供給管
62 第二供給管
63 圧縮機連通管
64 第一出口管
65 第二出口管
66 第一排出管
67 第二排出管
68 タービン連通管
71 第一開閉弁
72 第二開閉弁
73 第三開閉弁
74 第四開閉弁
75 第五開閉弁
276 第六開閉弁
277 第七開閉弁
278 第八開閉弁
279 第九開閉弁
280 第十開閉弁
281 第十一開閉弁
M1 大出力運転モード
M2 小出力運転モード
Q1 第一運転モード
Q2 第二運転モード
図1
図2
図3
図4
図5
図6