(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】通信装置、基地局、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/44 20090101AFI20240927BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20240927BHJP
H04W 52/10 20090101ALI20240927BHJP
H04W 52/24 20090101ALI20240927BHJP
【FI】
H04W52/44
H04W24/10
H04W52/10
H04W52/24
(21)【出願番号】P 2021061240
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0034207(US,A1)
【文献】Huawei, HiSilicon,Remaining issues on TRS design[online],3GPP TSG RAN WG1 #92 R1-1801460,フランス,<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_92/Docs/R1-1801460.zip>,2018年02月16日,3節
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ下りリンク帯域幅部分(BWP)として用いられる下りリンクBWPを示す識別子と、前記アクティブ下りリンクBWPで用いられる個別パラメータを示す情報と、前記アクティブ下りリンクBWPにおける同期信号及び物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)の送信を示す情報と、アクティブ上りリンクBWPとして用いられる上りリンクBWPを示す識別子と、を含む無線リソース制御(RRC)メッセージを基地局から受信する受信機と、
前記SSBの送信を示す情報を用いて前記アクティブ下りリンクBWP
上の前記SSB
の送信
が示されている場合、前記SSBに対する受信電力に基づいて算出されるパスロス推定値を用いて前記アクティブ上りリンクBWP上の上りリンク送信の送信電力を算出す
る制御部(120)と、を備え
る
通信装置。
【請求項2】
前記
受信機は、前記
アクティブ下りリンクBWPの周波数ドメイン位置及び帯域幅を示す情報を含む前記RRCメッセージを前記基地局から受信し、
前記SSBの送信を示す情報は、前記SSBの絶対無線周波数チャネル番号を含み、
前記周波数ドメイン位置及び帯域幅を示す情報に基づいて設定される前記アクティブ下りリンクBWPの帯域幅において前記SSBが送信されるように、前記SSBの送信を示す情報によって前記SSBの送信が示される
請求項1に記載の
通信装置。
【請求項3】
前記
上りリンク送信の前記送信電力は、
物理上りリンク共有チャネルに対する送信電力、物理上りリンク制御チャネルに対する送信電力、及び、サウンディング参照信号に対する送信電力の少なくともいずれかである
請求項1
又は2に記載の
通信装置。
【請求項4】
アクティブ下りリンク帯域幅部分(BWP)として用いられる下りリンクBWPを示す識別子と、前記アクティブ下りリンクBWPで用いられる個別パラメータを示す情報と、前記アクティブ下りリンクBWPにおける同期信号及び物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)の送信を示す情報と、アクティブ上りリンクBWPとして用いられる上りリンクBWPを示す識別子と、を含む無線リソース制御(RRC)メッセージを通信装置へ送信する送信機と、
前記SSBの送信を示す情報を用いて前記アクティブ下りリンクBWP上の前記SSBの送信が示されている場合に、前記SSBに対する受信電力に基づいて算出されるパスロス推定値を用いて算出された上りリンク送信の送信電力で前記アクティブ上りリンクBWP上で送信された上りリンク信号を前記通信装置から受信する受信機と、を備える
基地局。
【請求項5】
前記
送信機は、
前記アクティブ下りリンクBWPの周波数ドメイン位置及び帯域幅を示す情報を含む前記RRCメッセージを前記通信装置へ送信し、
前記SSBの送信を示す情報は、前記SSBの絶対無線周波数チャネル番号を含み、
前記周波数ドメイン位置及び帯域幅を示す情報に基づいて設定される前記アクティブ下りリンクBWPの帯域幅において前記SSBが送信されるように、前記SSBの送信を示す情報によって前記SSBの送信が示される
請求
項4に記載の
基地局。
【請求項6】
前記
上りリンク送信の前記送信電力は、物理上りリンク共有チャネルに対する送信電力、物理上りリンク制御チャネルに対する送信電力、及び、サウンディング参照信号に対する送信電力の少なくともいずれかである
請求項
4又は5に記載の
基地局。
【請求項7】
通信装置で実行される通信方法であって、
アクティブ下りリンク帯域幅部分(BWP)として用いられる下りリンクBWPを示す識別子と、前記アクティブ下りリンクBWPで用いられる個別パラメータを示す情報と、前記アクティブ下りリンクBWPにおける同期信号及び物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)の送信を示す情報と、アクティブ上りリンクBWPとして用いられる上りリンクBWPを示す識別子と、を含む無線リソース制御(RRC)メッセージを基地局から受信するステップと、
前記SSBの送信を示す情報を用いて前記アクティブ下りリンクBWP上の前記SSBの送信が示されている場合、前記SSBに対する受信電力に基づいて算出されるパスロス推定値を用いて前記アクティブ上りリンクBWPにおける上りリンク送信の送信電力を算出するステップと、を備える
通信方法。
【請求項8】
前記
アクティブ下りリンクBWPの周波数ドメイン位置及び帯域幅を示す情報を含む前記RRCメッセージを前記基地局から受信するステップを備え、
前記SSBの送信を示す情報は、前記SSBの絶対無線周波数チャネル番号を含み、
前記周波数ドメイン位置及び帯域幅を示す情報に基づく前記アクティブ下りリンクBWPの帯域幅において前記SSBが送信されるように、前記SSBの送信を示す情報によって前記SSBの送信が示される
請求項
7に記載の
通信方法。
【請求項9】
前記
上りリンク送信の前記送信電力は、
物理上りリンク共有チャネルに対する送信電力、物理上りリンク制御チャネルに対する送信電力、及び、サウンディング参照信号に対する送信電力の少なくともいずれかである
請求項
7又は8に記載の
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムで用いるユーザ装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代(5G)の移動通信システム(5Gシステム)では、セルの全帯域幅の一部分である帯域幅部分(以下、BWP)を用いたユーザ装置と基地局との通信が規定されている。ユーザ装置は、基地局との通信に用いるBWP(以下、アクティブBWP)を用いて通信を行う。ユーザ装置には、下り通信用のBWP(以下、下りBWP)及び上り通信用のBWP(以下、上りBWP)のそれぞれで複数のBWPが設定可能である。ユーザ装置は、複数のBWPが設定されている場合、アクティブBWPを切り替えて使用する。
【0003】
基地局は、ユーザ装置が無線品質の測定に用いる同期信号及び物理ブロードキャストチャネルブロック(以下、SSB)を送信する。ユーザ装置は、基地局から受信するSSBに基づいて測定を行う。ユーザ装置は、当該測定により得られた測定結果を基地局との通信制御に用いる。例えば、ユーザ装置は、SSBに対する受信電力の測定結果からパスロス推定値を算出する。ユーザ装置は、算出されたパスロス推定値を用いて、アクティブ下りBWPに対応するアクティブ上りBWPにおいて基地局との上り通信に用いられる上り送信電力を算出できる。
【0004】
近年、移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPPにおいて、通信能力が限定されたユーザ装置(いわゆる、Reduced capable UE)を5Gシステムで提供することが検討されている。このようなユーザ装置は、複数の受信機を有していないため、アクティブBWPでの通信中は、アクティブBWP以外の周波数において送信されるSSBに対する測定を行うことができない。このため、通信能力が限定されたユーザ装置には、SSBが送信されるBWPを設定することが考えられるが、SSBが送信されるBWPは限定されている。このような限定されたBWPに多数のユーザ装置が集中することにより、トラフィック輻輳が発生し得る。
【0005】
トラフィック輻輳を避けるためには、全帯域幅のうち、SSBが送信されないBWPをユーザ装置に設定できることが望ましい(例えば、非特許文献1参照)。SSBが送信されないBWPが設定されたユーザ装置であっても、ユーザ装置に設定された測定ギャップを用いることにより、アクティブBWP以外の周波数において送信されるSSBを受信して測定を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、ユーザ装置は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていない場合、無線品質を測定できないため、パスロス推定値を算出できない。このため、ユーザ装置は、SSBが送信されていないアクティブ下りBWPに対応するアクティブ上りBWPにおいて基地局との上り通信を行う場合、適切な上り送信電力を算出できない虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、SSBが送信されていないアクティブ下りBWPに対応するアクティブ上りBWPにおいて基地局との上り通信に用いられる上り送信電力を適切に算出可能であるユーザ装置及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るユーザ装置は、基地局のセルの全帯域幅の一部分であるBWPにおいて前記基地局との通信を行う。前記ユーザ装置は、前記基地局との下り通信に用いるアクティブ下りBWPと、前記基地局との上り通信に用いるアクティブ上りBWPと、を用いて前記通信を行う通信部と、前記アクティブ下りBWPにおいてSSBが前記基地局から送信されている場合、前記SSBに対する受信電力の測定結果から算出されるパスロス推定値を用いて前記アクティブ上りBWPにおける上り送信電力を算出する第1上り電力制御を行う制御部と、を備える。前記制御部は、前記アクティブ下りBWPにおいて前記SSBが送信されていない場合、前記第1上り電力制御における前記パスロス推定値又は前記上り送信電力の算出を補正する第2上り電力制御を行う。
【0010】
本開示の一態様に係る通信制御方法は、基地局のセルの全帯域幅の一部分であるBWPにおいて前記基地局との通信を行うユーザ装置で実行される。前記通信制御方法は、前記基地局との下り通信に用いるアクティブ下りBWPと、前記基地局との上り通信に用いるアクティブ上りBWPと、を用いて前記通信を行うステップと、前記アクティブ下りBWPにおいてSSBが前記基地局から送信されている場合、前記SSBに対する受信電力の測定結果から算出されるパスロス推定値を用いて前記アクティブ上りBWPにおける上り送信電力を算出する第1上り電力制御を行うステップと、前記アクティブ下りBWPにおいて前記SSBが送信されていない場合、前記第1上り電力制御における前記パスロス推定値又は前記上り送信電力の算出を補正する第2上り電力制御を行うステップと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、SSBが送信されていないアクティブ下りBWPに対応するアクティブ上りBWPにおいて基地局との上り通信に用いられる上り送信電力を適切に算出可能であるユーザ装置及び通信制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態に係るシステムの概略的な構成の一例を示す説明図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るユーザ装置の概略的な機能構成の例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る基地局の概略的な機能構成の例を示すブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態の動作例1に係る処理の概略的な流れの例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本開示の実施形態における動作例1に係る仕様変更例(その1)である。
【
図6】本開示の実施形態における動作例1に係る仕様変更例(その2)である。
【
図7】本開示の実施形態における動作例1に係る仕様変更例(その3)である。
【
図8】本開示の実施形態における動作例1に係る仕様変更例(その4)である。
【
図9】本開示の実施形態における動作例1に係る仕様変更例(その5)である。
【
図10】本開示の実施形態における動作例1に係る仕様変更例(その6)である。
【
図11】本開示の実施形態の動作例2に係る処理の概略的な流れの例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一又は類似の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0014】
(1)システムの構成
(1.1)システム概要
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の構成の例を説明する。システム1は、例えば、移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPPの技術仕様(Technical Specification:TS)に準拠した移動通信システムである。以下において、システム1として、3GPP規格の第5世代システム(5th Generation System:5GS)、すなわち、NR(New Radio)に基づく移動通信システムを例に挙げて説明する。なお、システム1は、この例に限定されない。システム1は、LTE(Long Term Evolution)又は3GPP規格の他の世代システム(例えば、第6世代)のいずれかのTSに準拠したシステムであってよい。システム1は、3GPP規格以外の規格のTSに準拠したシステムであってよい。
【0015】
図1に示すように、システム1は、5Gの無線アクセスネットワーク(いわゆる、Next Generation Radio Access Network:NG-RAN)20と、5Gのコアネットワーク(5G Core Network:5GC)30と、ユーザ装置(User Equipment:UE)100と、を含む。
【0016】
NG-RAN20は、無線アクセスネットワークのノードである基地局(Base Station:BS)200を含む。BS200は、BS200のカバレッジエリア内に位置するUE100と通信できる。BS200は、例えば、RANのプロトコルスタックを使用してUE100と通信する。プロトコルスタックは、例えば、RRC(Radio Resource Control)レイヤ、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤ、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、MAC(Medium Access Control)レイヤ及び物理(Physical:PHY)レイヤを含む。但し、LTEの場合、SDAPレイヤが存在しなくてよい。
【0017】
BS200は、例えば、UE100へ向けたNRユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供し、NGインターフェイスを介して5GC30に接続されるgNBである。なお、BS200は、例えばLTEにおいてUE100へ向けたE-UTRAユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供するeNBであってよい。
【0018】
BS200は、複数のユニットを含んでもよい。複数のユニットは、プロトコルスタックに含まれる上位レイヤ(higher layer)をホストする第1のユニットと、プロトコルスタックに含まれる下位レイヤ(lower layer)をホストする第2のユニットとを含んでよい。上位レイヤは、RRCレイヤ、SDAPレイヤ及びPDCPレイヤを含んでよく、下位レイヤは、RLCレイヤ、MACレイヤ及びPHYレイヤを含んでよい。第1のユニットは、CU(central unit)であってよく、第2のユニットは、DU(Distributed Unit)であってよい。複数のユニットは、PHYレイヤの下位の処理を行う第3のユニットを含んでよい。第2のユニットは、PHYレイヤの上位の処理を行ってよい。第3のユニットは、RU(Radio Unit)であってよい。BS200は、複数のユニットのうちの1つであってよく、複数のユニットのうちの他のユニットと接続されていてよい。また、BS200は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ドナー又はIABノードであってよい。
【0019】
5GC30は、コアネットワーク装置300を含む。コアネットワーク装置300は、例えば、AMF(Access and Mobility Management Function)及び/又はUPF(User Plane Function)を含む。AMFは、UE100のモビリティ管理を行う。UPFは、U-plane処理に特化した機能を提供する。AMF及びUPFは、NGインターフェイスを介してBS200と接続される。
【0020】
UE100は、BS200のカバレッジエリア内に位置する場合に、BS200と通信できる。UE100は、上述のプロトコルスタックを使用してBS200と通信できる。
【0021】
UE100は、ユーザにより利用される装置であればよい。UE100は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話端末、タブレット端末、ノートPC、通信モジュール、又は通信カードなどの移動可能な無線通信装置である。また、UE100は、車両(例えば、車、電車など)又は車両に設けられる装置であってよい。UE100は、車両以外の輸送機体(例えば、船、飛行機など)又は車両以外の輸送機体に設けられる装置であってよい。また、UE100は、センサ又はセンサに設けられる装置であってよい。なお、UE100は、移動局、移動端末、移動装置、移動ユニット、加入者局、加入者端末、加入者装置、加入者ユニット、ワイヤレス局、ワイヤレス端末、ワイヤレス装置、ワイヤレスユニット、リモート局、リモート端末、リモート装置、又はリモートユニット等の別の名称で呼ばれてもよい。
【0022】
UE100は、通信能力が限定されたユーザ装置(いわゆる、Reduced capability NR device:RedCap UE)であってよい。RedCap UEは、例えば、Rel-15又はRel-16の高性能の高速大容量(enhanced Mobile Broadband:eMBB)及び超高信頼低遅延(Ultra-Reliable and Low Latency Communications:URLLC)を満たすUEと比較して、装置コスト及び複雑さが低減されたUEであってよい。RedCap UEは、LPWA (Low Power Wide Area)規格(例えば、LTE Cat.1/1bis、LTECat.M1(LTE-M)、LTECat.NB1(NB-IoT))で規定されている通信速度以上の通信速度で通信可能であってよい。RedCap UEは、LPWA規格で規定されている帯域幅以上の帯域幅で通信可能であってよい。RedCap UEは、Rel-15又はRel-16のUEと比較して、通信に用いる帯域幅が限定されていてよい。FR1(Frequency Range 1)では、例えば、RedCap UEの最大帯域幅は、20MHzであってよく、所定条件下では40MHzであってよい。FR2(Frequency Range 2)では、例えば、RedCap UEの最大帯域幅は、100MHzであってよい。RedCap UEは、無線信号を受信する受信機(いわゆる、Rx chain)を1つのみ有していてよい。RedCap UEは、例えば、産業用ワイヤレスセンサー、ビデオ監視装置、又はウェアラブル装置であってよい。
【0023】
(1.2)ユーザ装置の構成
図2を参照して、本開示の実施形態に係るUE100の構成の例を説明する。UE100は、通信部110及び制御部120を備える。
【0024】
通信部110は、信号を送受信することによって他の通信装置との通信を行う。通信部110は、例えば、BS200からの無線信号を受信し、BS200への無線信号を送信する。また、通信部110は、例えば、他のUEからの無線信号を受信し、他のUEへの無線信号を送信してよい。
【0025】
通信部110は、無線信号を受信する1つ又は複数の受信機及び無線信号を送信する1つ又は複数の送信機を備えてよい。以下においては、通信部110が受信機を1つのみ備える構成を主として想定する。受信機及び送信機は、アンテナ及びRF回路を備えてよい。アンテナは、信号を電波に変換し、当該電波を空間に放射する。また、アンテナは、空間における電波を受信し、当該電波を信号に変換する。アンテナは、送信アンテナ及び受信アンテナで含んでよい。アンテナは、送受信用のアンテナを含んでよい。アンテナは、複数のアンテナ素子を含んでよい。RF回路は、アンテナを介して送受信される信号のアナログ処理を行う。RF回路は、高周波フィルタ、増幅器、変調器及びローパスフィルタ等を含んでよい。
【0026】
制御部120は、UE100における各種の制御を行う。制御部120は、例えば、通信部110を介したBS200又は他のUE100との通信を制御する。後述のUE100の動作は、制御部120の制御による動作であってよい。
【0027】
制御部120は、プログラムを実行可能な1つ以上のプロセッサ及びプログラムを記憶するメモリを含んでよい。1つ以上のプロセッサは、プログラムを実行して、制御部120の動作を行ってもよい。プログラムは、制御部120の動作をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0028】
プロセッサは、アンテナ及びRF回路を介して送受信される信号のデジタル処理を行う。当該デジタル処理は、RANのプロトコルスタックの処理を含む。プロセッサは、単一のプロセッサであってよい。プロセッサは、複数のプロセッサを含んでもよい。当該複数のプロセッサは、デジタル処理を行うベースバンドプロセッサと、他の処理を行う1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、当該プログラムに関するパラメータ、及び、当該プログラムに関するデータを記憶する。メモリは、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリの全部又は一部は、プロセッサ内に含まれていてよい。
【0029】
なお、以下において、UE100が備える機能部(具体的には、通信部110及び制御部120)の動作を、UE100の動作として説明することがある。
【0030】
(1.3)基地局の構成
図3を参照して、本開示の実施形態に係るBS200の構成の例を説明する。BS200は、通信部210及び制御部220を備える。
【0031】
通信部210は、信号を送受信することによって他の通信装置との通信を行う。通信部210は、無線通信部212とネットワーク通信部214とを含む。
【0032】
無線通信部212は、無線通信装置から信号を送受信する。無線通信部212は、例えば、UE100からの無線信号を受信し、UE100への無線信号を送信する。無線通信部212は、無線信号を受信する1つ又は複数の受信機及び無線信号を送信する1つ又は複数の送信機を備えてよい。受信機及び送信機は、アンテナ及びRF回路を備えてよい。アンテナは、信号を電波に変換し、当該電波を空間に放射する。また、アンテナは、空間における電波を受信し、当該電波を信号に変換する。アンテナは、送信アンテナ及び受信アンテナで含んでよい。アンテナは、送受信用のアンテナを含んでよい。アンテナは、指向性アンテナであってよい。アンテナは、複数のアンテナ素子を含んでよい。RF回路は、アンテナを介して送受信される信号のアナログ処理を行う。RF回路は、高周波フィルタ、増幅器、変調器及びローパスフィルタ等を含んでよい。
【0033】
ネットワーク通信部214は、ネットワークから信号を送受信する。ネットワーク通信部214は、例えば、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して接続された隣接基地局から信号を受信し、隣接基地局へ信号を送信する。また、ネットワーク通信部214は、例えば、NGインターフェイスを介して接続されたコアネットワーク装置300から信号を受信し、コアネットワーク装置300へ信号を送信する。ネットワーク通信部214は、ネットワークインターフェースを備えてよい。ネットワークインターフェースは、例えば、ネットワークアダプタである。
【0034】
制御部220は、BS200における各種の制御を行う。制御部220は、例えば、無線通信部212を介したUE100との通信を制御する。また、制御部220は、例えば、ネットワーク通信部214を介したノード(例えば、コアネットワーク内のネットワークノード、隣接基地局、コアネットワーク装置300)との通信を制御する。後述のBS200の動作は、制御部220の制御による動作であってよい。
【0035】
制御部220は、プログラムを実行可能な1つ以上のプロセッサ及びプログラムを記憶するメモリを含んでよい。1つ以上のプロセッサは、プログラムを実行して、制御部220の動作を行ってもよい。プログラムは、制御部220の動作をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0036】
プロセッサは、アンテナ及びRF回路を介して送受信される信号のデジタル処理を行う。当該デジタル処理は、RANのプロトコルスタックの処理を含む。プロセッサは、単一のプロセッサであってよい。プロセッサは、複数のプロセッサを含んでもよい。当該複数のプロセッサは、デジタル処理を行うベースバンドプロセッサと、他の処理を行う1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、当該プログラムに関するパラメータ、及び、当該プログラムに関するデータを記憶する。メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、RAM及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリの全部又は一部は、プロセッサ内に含まれていてよい。
【0037】
制御部220の一部又は全部は、仮想化されていてもよい。すなわち、制御部220の一部又は全部は、仮想マシンとして実装されてもよい。この場合に、制御部220の一部又は全部は、プロセッサ及びメモリ等を含む物理マシン(即ち、ハードウェア)及びハイパーバイザ上で仮想マシンとして動作してもよい。
【0038】
なお、以下において、BS200が備える機能部(通信部210及び制御部220)の動作を、BS200の動作として説明することがある。
【0039】
(1.4)BWP(帯域幅部分)
UE100とBS200とは、セルの全帯域幅の一部分であるBWP(帯域幅部分)を用いて通信を行う。具体的には、BS200は、1つ又は複数のBWPをUE100に設定する。BS200は、設定された1つ又は複数のBWPのうち、BS200との通信に用いるBWP(すなわち、アクティブBWP)をUE100へ通知できる。具体的には、BS200は、設定の実行時にアクティブにするBWP、すなわち、BS200との通信で最初に用いるBWPを示す識別子をUE100へ送信できる。また、アクティブBWPからアクティブBWPでないBWP(以下、非アクティブBWP)への切り替え及び非アクティブBWPからアクティブBWPへの切り替え(いわゆる、BWPスイッチング)の制御には、例えば、物理下り制御チャネル(例えば、下りリンクアサインメント、上りリンクアサインメント)、タイマ(すなわち、bwp-InactivityTimer)、RRCシグナリング、又はMACエンティティなどが用いられる。
【0040】
BWPは、初期BWPと個別BWPとを含む。初期BWPは、少なくともUE100の初期アクセスに用いられる。初期BWPは、複数のUE100に共通に用いられる。初期BWPは、下り通信用の初期BWP(以下、初期下りBWP(Initial DL BWP))と上り通信用の初期BWP(以下、初期上りBWP(Initial UL BWP))とを含む。初期下りBWP及び初期上りBWPのそれぞれを示す識別子(すなわち、bwp-id)の値は、0である。
【0041】
UE100は、例えば、2つの方法で、初期BWP(すなわち、初期下りBWP及び初期上りBWP)を決定できる。第1の方法では、UE100は、物理ブロードキャストチャネル(PBCH)内のマスター情報ブロック(MIB)に含まれる情報を用いて設定されるCORESET#0に基づいて、初期BWPを決定する。第2の方法では、UE100は、システム情報ブロック(SIB)に含まれる情報を用いて設定される周波数ドメインにおける位置及び帯域幅に基づいて、初期BWPを決定する。UE100は、例えば、ランダムアクセス手順におけるメッセージ4の受信までは、第1の方法により決定されたBWPを、BS200との通信に適用してよい。UE100は、例えば、メッセージ4(Msg.4)の受信後は、第2の方法により決定されたBWPを、BS200との通信に適用してよい。
【0042】
個別BWPは、UE100に個別に設定される。個別BWPは、下り通信用の個別BWP(以下、個別下りBWP(UE dedicated DL BWP))と上り通信用の個別BWP(以下、個別上りBWP(UE dedicated UL BWP))とを含む。個別下りBWP及び個別上りBWPのそれぞれを示す識別子の値は0以外である。
【0043】
UE100には、例えば、RRCメッセージに含まれる情報(例えば、下りBWP用の情報(すなわち、BWP-Downlink)及び上りBWP用の情報(すなわち、BWP-Uplink))に基づいて、個別BWPが設定される。下りBWP用の情報及び個別上りBWP用の情報のそれぞれに、例えば、周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報(例えば、locationAndBadwidth)、サブキャリア間隔を示す情報(例えば、subcarrierSpacing)、及び、拡張サイクリックプレフィックスを使用するかを示す情報(例えば、cyclicPrefix)の少なくともいずれかの情報が含まれてよい。
【0044】
(1.5)同期信号及び物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)
SSBは、時間ドメインでは、4OFDMシンボルで構成され、周波数ドメインでは、240の連続するサブキャリアで構成される。SSBは、プライマリ同期信号(以下、PSS)及びセカンダリ同期信号(以下、SSS)と、物理ブロードキャストチャネル(PBCH)とで構成される。PSS及びSSSのそれぞれは、1OFDMシンボル及び127サブキャリアを占有する。PBCHは、3つのOFDMシンボル及び240サブキャリアに及んでいる。SSBがマップされるリソースエレメントの位置は、仕様書に規定されている。
【0045】
BS200は、初期BWP(具体的には、初期下りBWP)においてSSBを送信する。BS200は、SSBを周期的に送信できる。UE100は、初期下りBWPにおいてBS200から送信されたSSBを受信(すなわち、検出)し、時間及び/又は周波数の同期を取ることができる。
【0046】
(1.6)測定
UE100は、BS200から受信する無線信号に基づいて測定可能である。UE100は、例えば、SSBに基づいて無線品質(例えば、受信電力(いわゆる、SS reference signal received power:SS-RSRP)、受信品質(いわゆる、SS reference signal received quality:SS-RSRQ)など)の測定を行う。また、UE100は、例えば、チャネル状態情報参照信号(以下、CSI-RS)に基づいて無線品質(例えば、受信電力(いわゆる、CSI reference signal received power:CSI-RSRP)、受信品質(いわゆる、CSI reference signal received quality:CSI-RSRQ)など)の測定を行ってよい。CSI-RSは、UE100に個別に設定されたリソース(以下、CSI-RSリソース)で送信される。CSI-RSリソースは、初期BWP及び個別BWPのいずれにも設定可能である。
【0047】
UE100は、測定結果をBS200との通信制御に用いてよい。また、UE100は、測定結果をBS200へ報告してもよい。UE100は、SSBに基づく測定を行った場合、例えば、SSB毎の測定結果、SSBに基づくセル毎の測定結果、及び/又はSSBインデックスなどを報告してよい。また、UE100は、CSI-RSに基づく測定を行った場合、例えば、CSI-RSリソース毎の測定結果、CSI-RSリソースに基づくセル毎の測定結果、及び/又は、CSI-RSリソース識別子などを報告してよい。UE100は、周期的、又は所定のイベントをトリガとして、測定結果を報告してよい。UE100は、例えば、上りBWPにおいて物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)で測定結果を報告してよい。
【0048】
なお、BS200は、セルの周波数範囲に含まれる周波数でのSSBに基づく測定(SSB based intra-frequency measurement)に関して、UE100から測定ギャップの要求情報を受信した場合、要求情報に従って測定ギャップを設定してよい。BS200は、UE100から要求情報を受信していない場合であって、初期BWP以外で、当該UE100に設定した複数のBWPのいずれにも初期BWPに関連付けられたSSBの周波数ドメインリソースが含まれていない場合、当該UE100に対して測定ギャップの設定を常に提供してよい。
【0049】
(1.7)上り電力制御
UE100は、BS200との通信制御として、例えば、上り電力制御に測定結果を用いることができる。UE100は、例えば、測定結果に基づいて算出されたパスロス推定値を用いた電力計算式により、PUSCHの上り電力制御を算出する。具体的には、UE100は、インデックスlのPUSCH電力制御調整状態とインデックスjのパラメータセット設定とを用いてサービングセルcのキャリアfのアクティブ上りBWPb上でPUSCHを送信する場合、UEは、PUSCH送信機会iでのPUSCHの上り送信電力P
PUSCHb,f,c(i,j.q
d,l) [dBM]を、例えば、以下の式1(数1)及び式2(数2)を用いて算出する。
【数1】
・・・(式1)
【数2】
・・・(式2)
【0050】
PLb,f,c(qd)は、UE100により算出されたパスロス推定値である。referenceSignalPowerは、SSB又はCSI-RSなどの参照信号の送信電力値である。higher layer filtered RSRPは、SSB又はCSI-RSなどの参照信号の受信電力値である。上記式1及び式2における各パラメータの詳細は、3GPP規格のTSに規定されている。
【0051】
UE100は、参照信号の送信電力値と参照信号の受信電力値とを用いて、式2からパスロス推定値を算出する。UE100は、算出したパスロス推定値を用いて、式1によりPUSCHの送信に用いる上り送信電力を算出できる。なお、UE100は、PUSCHと同様に、例えば、PUCCH及びサウンディング参照信号(SRS)などの送信に用いる上り送信電力を、パスロス推定値を用いた電力計算式により算出できる。
【0052】
(2)システムの動作
(2.1)動作例1
図4を参照して、本開示の実施形態に係るUE100及びBS200の動作例1を説明する。UE100は、BS200が管理するサービングセル内に位置し、サービングセルによりBS200との通信を行う。
【0053】
ステップS101において、BS200は、UE100にBWPを設定するために、設定情報を送信する。UE100は、設定情報をBS200から受信する。BS200は、MIB及び/又はSIB(例えば、SIB1)を用いて、設定情報をUE100へ送信してよい。BS200は、個別RRCシグナリング(例えば、RRCSetup、RRCResume、RRCReestablishmentなど)を用いて、設定情報をUE100へ送信してよい。
【0054】
設定情報は、初期BWPを設定するための情報又は個別BWPを設定するための情報を含んでよい。BS200は、MIB及び/又はSIBを用いて、初期BWPを設定するための設定情報を送信してよい。BS200は、個別RRCシグナリングを用いて、個別BWPを設定するための設定情報を送信してよい。
【0055】
設定情報は、例えば、周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報(例えば、locationAndBadwidth)、サブキャリア間隔を示す情報(例えば、subcarrierSpacing)、拡張サイクリックプレフィックスを使用するかを示す情報(例えば、cyclicPrefix)、初期下りBWPにおける通信に共通に適用されるパラメータを示す情報、及び初期上りBWPにおける通信に共通に適用されるパラメータを示す情報の少なくともいずれかを含んでよい。また、設定情報は、個別BWP(すなわち、個別下りBWP及び/又は個別上りBWP)を設定するための情報を含んでよい。個別BWPを設定するための情報は、BWPを識別する情報(例えば、bwp-id)、個別下りBWPにおける通信に共通に適用されるパラメータを示す情報、個別下りBWPにおける通信に個別に適用されるパラメータを示す情報、個別上りBWPにおける通信に共通に適用されるパラメータを示す情報、及び個別上りBWPにおける通信に個別に適用されるパラメータを示す情報の少なくともいずれかを含んでよい。
【0056】
設定情報は、後述の第2電力制御を行う際に用いる補正値を含んでよい。BS200は、BWPを設定するための設定情報と共に補正値をUE100へ送信してよいし、BWPを設定するための設定情報とは別に補正値をUE100へ送信してよい。UE100は、補正値をBS200から受信してよい。補正値は、例えば、SSBが送信されていないアクティブ下りBWPに対応するアクティブ上りBWPにおける上り通信に用いるチャネル及び信号の種類毎に設定されてよい。
【0057】
補正値は、例えば、アクティブ上りBWPにおける上り通信に用いるチャネル及び信号の種類毎に共通に設定される値であってよい。具体的には、補正値は、PUCCHの上り送信電力を算出する際に用いられる1つの共通の値であってよい。従って、例えば、
図5の点線枠に示すように、PUCCHの電力制御用のUE固有のパラメータを設定するために用いられる設定情報(例えば、PUCCH-PowerControl)に、PUCCH用の1つの補正値(例えば、powerOffsetNonSSB-BWP)が含まれてよい。また、PUSCHの上り送信電力を算出する際に用いられる1つの共通の値であってよい。従って、例えば、
図6の点線枠に示すように、PUSCH用のUE固有の電力制御パラメータを設定するために用いられる設定情報(例えば、PUSCH-PowerControl)に、PUSCH用の1つの補正値が含まれてよい。また、SRSの上り送信電力を算出する際に用いられる1つの共通の値であってよい。従って、例えば、
図7の点線枠に示すように、SRS送信を設定するために用いられる設定情報(例えば、SRS-Config)に、SRS用の1つの補正値が含まれてよい。
【0058】
補正値は、例えば、アクティブ上りBWPにおける上り通信に用いるチャネル及び信号の種類毎に複数設定されてよい。複数の補正値のそれぞれは、SSBを識別する識別子と関連付けられてよい。従って、例えば、
図8の点線枠に示すように、PUCCHの電力制御用のUE固有のパラメータを設定するために用いられる設定情報は、PUCCH用の複数の補正値と、当該複数の補正値のそれぞれに関連付けれたSSBを識別する識別子(例えば、ssb-Index)とを含んでよい。また、例えば、
図9の点線枠に示すように、PUSCH用のUE固有の電力制御パラメータを設定するために用いられる設定情報は、PUSCH用の複数の補正値と、当該複数の補正値のそれぞれに関連付けれたSSBを識別する識別子とを含んでよい。また、例えば、
図10の点線枠に示すように、SRS送信を設定するために用いられる設定情報は、SRS用の複数の補正値と、当該複数の補正値のそれぞれに関連付けれたSSBを識別する識別子とを含んでよい。
【0059】
補正値は、例えば、アクティブ上りBWPにおける上り通信に用いるチャネル及び信号の種類毎に複数設定されてよい。複数の補正値のそれぞれは、BWPを識別する識別子と関連付けられてよい。従って、例えば、PUCCHの電力制御用のUE固有のパラメータを設定するために用いられる設定情報は、PUCCH用の複数の補正値と、当該複数の補正値のそれぞれに関連付けれたBWPを識別する識別子とを含んでよい。また、例えば、PUSCH用のUE固有の電力制御パラメータを設定するために用いられる設定情報は、PUSCH用の複数の補正値と、当該複数の補正値のそれぞれに関連付けれたBWPを識別する識別子とを含んでよい。また、例えば、SRS送信を設定するために用いられる設定情報は、SRS用の複数の補正値と、当該複数の補正値のそれぞれに関連付けれたBWPを識別する識別子とを含んでよい。
【0060】
設定情報は、SSBを測定するための設定情報を含んでよい。設定情報は、測定対象を示す情報として、例えば、SSBが送信されている周波数を示す情報(例えば、絶対無線周波数チャネル番号(ARFCN)など)を含んでよい。
【0061】
設定情報は、SSBの送信電力値を示す情報(例えば、ss-PBCH-BlockPower)を含んでよい。SSBの送信電力値は、例えば、ネットワークがSSB送信に使用したdBm単位でのSSSを伝送するリソースエレメントの平均EPFR(Energy per Resource Element)である。BS200は、例えば、SIB1によりSSBの送信電力値を示す情報を、ステップS101において送信してよいし、ステップS101とは別のタイミングで送信してよい。
【0062】
なお、BS200は、初期BWP以外でUE100に個別に設定した複数のBWPのいずれにも初期BWPに関連付けられたSSBの周波数ドメインリソースが含まれていない場合、SSBが送信されていないBWPにおける通信をUE100がサポートしているか否かを判定してよい。BS200は、例えば、UE100から受信した能力情報に基づいて、SSBが送信されていないBWPにおける通信をUE100がサポートしているか否かを判定できる。BS200は、例えば、UE100から受信した能力情報が、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートを示す情報(例えば、bwp-WithoutRestriction)を含む場合、SSBが送信されていないBWPにおける通信をUE100がサポートしていると判定してよい。この場合、BS200は、SSBが送信されていないBWPをUE100へ設定してよい。なお、帯域幅制限は、例えば、UE100に個別に設定された下りBWPの帯域幅においてSSBが送信されないことがあることを意味する。
【0063】
BS200は、SSBが送信されていないBWPにおける通信をUE100がサポートしていないと判定した場合、当該UE100に対して測定ギャップの設定を常に提供してよい。一方で、BS200は、SSBが送信されていないBWPにおける通信をUE100がサポートしていると判定した場合、当該UE100に対して測定ギャップの設定を省略してよい。
【0064】
なお、BS200は、UE100に個別に設定した下りBWPが、SSBが送信されない個別下りBWPを含む場合、SSBが送信されない個別下りBWPに含まれるCSI-RSリソースを用いた測定をUE100に設定してよい。BS200は、当該測定の設定情報を含むステップS101の設定情報をUE100へ送信してよいし、当該測定の設定情報をステップS101の設定情報とは別にUE100へ送信してよい。
【0065】
ステップS102において、UE100は、BWPでのBS200との通信を行うために、ステップS101にて受信した設定情報に基づく設定を適用する。UE100は、設定情報に基づいて、設定された1つ又は複数のBWPのうちアクティブBWPとして使用するBWPを決定できる。例えば、UE100が時分割複信(Time Division Duplex:TDD)を用いてBS200との通信を行う場合には、アクティブ下りBWPの中心周波数とアクティブ上りBWPの中心周波数とは一致してよい。UE100が周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)を用いてBS200との通信を行う場合には、アクティブ下りBWPの中心周波数とアクティブ上りBWPの中心周波数とは一致してよいし、異なっていてよい。アクティブ下りBWPの帯域幅とアクティブ上りBWPの帯域幅とは一致してよいし、異なっていてよい。なお、アクティブ上りBWPとアクティブ下りBWPとが同じ中心周波数を有する場合に、アクティブ上りBWPとアクティブ下りBWPとが対応する。
【0066】
ステップS103において、UE100は、アクティブBWP、具体的には、アクティブBWPとして設定された下りBWP(以下、アクティブ下りBWP)でSSBが送信されているかどうかを判定する。すなわち、UE100は、アクティブ下りBWPがサービングセルのSSBを含むか否かを判定する。UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていると判定した場合、ステップS105の処理を実行する。一方で、UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていないと判定した場合、SSBを用いた測定を省略してよい。
【0067】
UE100は、例えば、アクティブ下りBWPが初期BWPである場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていると判定する。また、UE100は、例えば、SSBが送信されている周波数を示す情報に基づいて、SSBが送信される周波数がアクティブ下りBWPに含まれる場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていると判定してよい。一方で、UE100は、SSBが送信される周波数がアクティブ下りBWPに含まれない場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていないと判定する。
【0068】
UE100は、例えば、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートする能力を有するRedCap UEである場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されているかどうかを判定してよい。UE100は、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートする能力を有さないRedCap UEである場合、又は、RedCap UE以外のUEである場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されているかどうかを判定せずに、BS200からの測定設定に従って測定を実行してよい。
【0069】
UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていると判定した場合、すなわち、アクティブ下りBWPがサービングセルのSSBを含む場合、SSBの測定を有効(enable)に設定して、サービングセルの測定を行う。一方で、UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていないと判定した場合、すなわち、アクティブ下りBWPがサービングセルのSSBを含まない場合、SSBの測定を無効(disable)に設定して、測定を省略する。すなわち、UE100は、当該サービングセルの測定を実行しない。また、UE100は、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートする能力を有するRedCap UEである場合であって、アクティブ下りBWPがサービングセルのSSBを含まない場合に、サービングセルの測定を実行しなくてよい。
【0070】
本動作例では、UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていると判定したとして、説明を進める。すなわち、アクティブ下りBWPは、SSBがBS200から送信されているBWP(以下、SSB有りBWPと適宜称する)である。
【0071】
ステップS104において、BS200は、サービングセルにおいてSSBを送信する。具体的には、BS200は、UE100へ設定したアクティブ下りBWPにおいてSSBを送信する。
【0072】
ステップS105において、UE100は、アクティブ下りBWPにおいてSSBを用いて測定を行う。UE100は、例えば、SSBを用いて無線品質の測定を行う。無線品質は、例えば、SSBの受信電力、SSBの受信品質などである。なお、UE100は、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートする能力を有するRedCap UEでない場合、BS200からの測定設定に従ってサービングセル用の測定を行ってよい。
【0073】
ステップS106において、UE100は、SSB有りBWPがアクティブBWPであるときに、SSBに対する測定を行って得られた測定結果を保持する。UE100は、例えば、測定により得られたSSBの受信電力値を保持する。
【0074】
ステップS107において、UE100は、SSBに対する受信電力の測定結果から算出されるパスロス推定値を用いてアクティブ上りBWPにおける上り送信電力を算出する第1上り電力制御を行う。具体的には、UE100は、例えば、上述の式1及び式2を用いて、PUSCHの上り送信電力を算出する。より具体的には、第1に、UE100は、SSBの送信電力値とSSBの受信電力値とを用いて、式2からパスロス推定値を算出できる。第2に、UE100は、算出したパスロス推定値を用いて、式1から上り送信電力を算出できる。
【0075】
なお、UE100は、その他の上り通信に用いるチャネル又は信号の上り送信電力を同様に算出してよい。UE100は、例えば、PUSCHと同様に、上り通信に用いるPUCCH又はSRSの送信に用いる上り送信電力を算出してよい。
【0076】
また、UE100は、SSBの受信電力から算出されるパスロス推定値を測定結果として保持してよい。UE100は、算出した上り送信電力を保持してよい。
【0077】
ステップS108において、UE100は、ステップS107において算出した上り送信電力で、アクティブ上りBWPにおいてBS200との上り通信を行う。UE100は、算出した上り送信電力で、例えば、PUCCH、PUSCH及びSRSの少なくともいずれかをBS200へ送信する。BS200は、PUCCH、PUSCH及びSRSの少なくともいずれかをUE100から受信する。なお、アクティブ上りBWPは、測定に用いたSSBが送信されているアクティブ下りBWPに対応する。
【0078】
その後、UE100とBS200とは、アクティブ上りBWPとアクティブ下りBWPとを用いて通信を行ってよい。BS200は、アクティブ下りBWPにおいて、周期的にSSBを送信してよい。UE100は、BS200からSSBを受信する度に、SSBに基づく測定を行ってよい。UE100は、測定によって得られた新たな測定結果により、保持された測定結果を更新してよい。UE100は、測定結果を更新する度に、第1上り電力制御を行ってよい。
【0079】
ステップS109において、BS200は、UE100にBWPを設定するために、設定情報を送信する。BS200は、アクティブ下りBWPにおいて個別RRCシグナリングを用いて設定情報をUE100へ送信してよい。UE100は、設定情報をBS200から受信する。設定情報は、ステップS101と同様の情報を含んでよい。
【0080】
設定情報は、アクティブBWPを切り替えるための制御情報を含んでよい。制御情報は、例えば、アクティブBWPを指定する情報であってよい。本動作例では、制御情報は、アクティブBWPを、SSB有りBWPから、SSBがBS200から送信されているBWP(以下、SSB無しBWPと適宜称する)へ切り替えるための情報である。
【0081】
ステップS110において、UE100は、ステップS109にて受信した設定情報に基づく設定を適用する。UE100は、BS200からの制御情報に基づく設定を適用に応じて、アクティブBWPをSSB有りBWPからSSB無しBWPへ切り替えてよい。UE100は、例えば、制御情報に従って、設定を適用する直前まで通信に用いていたBWPをアクティブBWPから非アクティブBWPへ変更し、アクティブBWPに指定されたBWPを非アクティブBWPからアクティブBWPへ変更する。UE100は、TDDを用いてBS200との通信を行う場合、BWPの切り替えにより、アクティブ下りBWPの中心周波数とアクティブ上りBWPの中心周波数とが一致させる。また、UE100は、FDDを用いてBS200との通信を行う場合、BWPの切り替えにより、アクティブ下りBWPの中心周波数とアクティブ上りBWPの中心周波数とが一致させてよいし、一致させなくてもよい。
【0082】
ステップS111は、ステップS103に対応する。本動作例では、UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていないと判定する。従って、以下において、アクティブ下りBWPは、SSB無しBWPである。
【0083】
ステップS112において、UE100は、第1上り電力制御におけるパスロス推定値又は上り送信電力の算出する第2上り電力制御を行う。すなわち、UE100は、第1上り電力制御におけるパスロス推定値を補正してよく、第1上り電力制御における上り送信電力を補正してよい。以下において、UE100が、PUSCHの上り送信電力を算出するケースを主に説明する。UE100は、その他の上り通信に用いるチャネル又は信号の上り送信電力を同様に算出してよい。
【0084】
第1に、第1上り電力制御におけるパスロス推定値を補正するケースを説明する。UE100は、第2の電力制御において、SSBの送信電力値と、SSBの受信電力値と、SSBの送信電力値又はSSBの受信電力値を補正する補正値とを用いてパスロス推定値を算出してよい。SSBの受信電力値は、ステップS106において保持した測定結果に含まれる。補正値は、例えば、SSBの送信電力値をオフセットする値であってよく、SSBの受信電力値をオフセットする値であってよい。UE100は、例えば、以下の式3(数3)を用いてパスロス推定値を算出できる。これにより、UE100は、補正されたパスロス推定値を得ることができる。
【数3】
・・・(式3)
【0085】
powerOffsetNonSSB-BWPは、補正値である。powerOffsetNonSSB-BWPは、パスロス推定値を導出するために適用される。powerOffsetNonSSB-BWPは、例えば、初期下りBWPに関連するSSBが送信されていないアクティブ下りBWPの電力オフセットを、dB単位で提供するものであってよい。powerOffsetNonSSB-BWPは、上位レイヤによって提供されてよい。
【0086】
UE100は、補正されたパスロス推定値を用いて、式1からPUSCHの上り送信電力を算出できる。なお、パスロス推定値が補正されているため、算出された上り送信電力は、ステップS107において算出された上り送信電力から補正されている。
【0087】
第2に、第1上り電力制御における上り送信電力を補正するケースを説明する。UE100は、第2の電力制御において、第1上り電力制御において算出された上り送信電力を補正する補正値を用いて、上り電力制御を算出してよい。UE100は、例えば、第2の電力制御において、第1電力制御において算出されたパスロス推定値と、パスロス推定値を補正する補正値とを用いて、上り送信電力を算出してよい。補正値は、例えば、パスロス推定値に掛けられる係数であってよい。また、補正値は、第1電力制御における上り送信電力の算出式において、パスロス推定値を補正するオフセット値として新たな項が加えられてよい。UE100は、第1電力制御において算出されたパスロス推定値を用いても、第1上り電力制御における上り送信電力を補正できる。
【0088】
なお、UE100は、ステップS113において送信するチャネル又は信号の種類に応じた補正値を用いてよい。また、UE100は、補正値とSSBを識別する識別子とが関連付けられている場合、測定に用いたSSBを識別する識別子に関連付けられた補正値を用いてよい。また、UE100は、補正値とBWPを識別する識別子とが関連付けられている場合、現在のアクティブ上りBWPに対応するBWPを識別する識別子に関連付けられた補正値を用いてよい。
【0089】
なお、UE100は、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートする能力を有するRedCap UEである場合、第2上り電力制御を行ってよい。UE100は、このようなRedCap UEでない場合、例えば、SSB有りBWPにおいてBS200との通信を行うための設定情報をBS200へ要求してよい。
【0090】
また、UE100は、SSBが送信されていないアクティブ下りBWPにおいて送信されるCSI-RSの(周期的な)受信がUE100に設定されていない場合に、SSB有りBWPがアクティブBWPである間に測定により得られた測定結果、すなわち、ステップS105により得られた測定結果を用いて第2電力制御を行ってよい。UE100は、SSBが送信されていないアクティブ下りBWPにおいて送信されるCSI-RSの(周期的な)受信がUE100に設定されている場合、後述の動作例2を実行してよい。
【0091】
ステップS113において、UE100は、ステップS108と同様に、ステップS112において算出した上り送信電力で、アクティブ上りBWPにおいてBS200との上り通信を行う。
【0092】
以上のように、UE100(通信部110)は、BS200との下り通信に用いるアクティブ下りBWPと、BS200との上り通信に用いるアクティブ上りBWPと、を用いて通信を行う。UE100(制御部120)は、アクティブ下りBWPにおいてSSBがBS200から送信されている場合、BS200に対する受信電力の測定結果から算出されるパスロス推定値を用いてアクティブ上りBWPにおける上り送信電力を算出する第1上り電力制御を行う。UE100(制御部120)は、アクティブ下りBWPにおいてSSBが送信されていない場合、第1上り電力制御におけるパスロス推定値又は上り送信電力の算出を補正する第2上り電力制御を行う。これにより、アクティブ上りBWPに対応するアクティブ下りBWPでSSBが送信されず、UE100がパスロス推定値を算出できなくても、測定された受信電力の測定結果を用いることで、上り送信電力の算出に用いられるパスロス推定値が実際のパスロス推定値と大幅にずれることを低減できる。或いは、第1上り送信電力から補正値によって補正された値が第2上り送信電力となるため、上り送信電力を適切に算出可能である。
【0093】
また、UE100(制御部120)は、第2上り電力制御において、SSBの送信電力値と、SSBの受信電力値と、SSBの送信電力値又はSSBの受信電力値を補正する補正値とを用いて、パスロス推定値を算出してよい。上り送信電力の算出に用いられるパスロス推定値が実際のパスロス推定値と大幅にずれることを低減できる。その結果、UE100は、上り送信電力を適切に算出可能である。
【0094】
また、UE100(制御部120)は、第2上り電力制御において、パスロス推定値と、パスロス推定値を補正する補正値とを用いて、上り送信電力を算出してよい。これにより、UE100は、第1上り電力制御において算出されたパスロス推定値を、補正値によって補正することで、上り送信電力の算出に用いられるパスロス推定値が実際のパスロス推定値と大幅にずれることを低減できる。その結果、UE100は、上り送信電力を適切に算出可能である。
【0095】
また、UE100(通信部110)は、第2上り電力制御における補正に用いる補正値を基地局から受信してよい。BS200は、補正値を指定することができるため、SSBが送信されていないアクティブ下りBWPに対応するアクティブ上りBWPにおける上り送信電力を制御することができる。
【0096】
また、補正値は、SSBが送信されていないアクティブ下りBWPに対応するアクティブ上りBWPにおける上り通信に用いるチャネル及び信号の種類毎に設定されてよい。UE100は、上り通信に用いるチャネル及び信号の種類毎に設定される補正値を用いることができるため、上り送信電力をより適切に算出可能である。
【0097】
また、補正値は、チャネル及び信号の種類毎に共通に設定される値であってよい。UE100は、同じ種類のチャネル又は同じ種類の信号で上り通信を行う場合、補正値を変更せずにすむため、UE100の負荷を低減できる。
【0098】
また、補正値は、前記チャネル及び信号の種類毎に複数設定されてよい。前記複数の補正値のそれぞれは、前記SSBを識別する識別子に関連付けられてよい。BS200がSSBを識別する識別子毎に補正値を設定できるため、UE100は、上り送信電力をより適切に算出可能である。
【0099】
また、補正値は、チャネル及び信号の種類毎に複数設定されてよい。複数の補正値のそれぞれは、BWPを識別する識別子と関連付けられてよい。BS200がBWPを識別する識別子毎に補正値を設定できるため、UE100は、上り送信電力をより適切に算出可能である。
【0100】
(2.2)動作例2
図11を参照して、本開示の実施形態に係るUE100及びBS200の動作例2を説明する。上述した内容との相違点を主として説明する。動作例2では、UE100は、CSI-RSの測定結果を用いて上り送信電力を算出する動作の一例を説明する。
【0101】
ステップS201からS203は、ステップS101からS103に対応する。
【0102】
ステップS201において、設定情報は、CSI-RSを用いた測定を設定するための設定情報を含んでよい。或いは、BS200は、ステップS201における設定情報とは、別に、CSI-RSを用いた測定を設定するための設定情報をUE100へ送信してよい。UE100は、当該設定情報に基づいて、CSI-RSを用いた測定の設定を適用する。
【0103】
CSI-RSを用いた測定を設定するための設定情報は、CSI-RSの送信電力値を決定する情報(例えば、powerControlOffsetSS)を含んでよい。CSI-RSの送信電力値を決定する情報は、例えば、SSBの送信電力値からCSI-RSの送信電力値を算出するためのオフセット値であってよい。UE100は、SSBの送信電力値からオフセット値の分だけオフセットした値をCSI-RSの送信電力値と決定できる。UE100は、例えば、初期BWPがアクティブBWPである場合に、アクティブBWPにおいて送信されるSSBの受信電力を測定し、測定した受信電力を保持してよい。
【0104】
ステップS203において、本動作例では、UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていないと判定したとして、説明を進める。
【0105】
ステップS204において、BS200は、UE100へ設定したCSI-RSリソースを用いて、UE100向けのCSI-RSを送信する。なお、CSI-RSリソースは、UE100に設定されたアクティブ下りBWPに含まれる。
【0106】
ステップS205において、UE100は、アクティブ下りBWPにおいてSSBを用いて測定を行う。UE100は、CSI-RSを用いて無線品質の測定を行う。無線品質は、例えば、CSI-RSの受信電力、CSI-RSの受信品質などである。
【0107】
ステップS206において、UE100は、CSI-RSに基づく測定結果を保持する。UE100は、例えば、測定により得られたCSI-RSの受信電力値を保持する。
【0108】
ステップS207において、UE100は、CSI-RSに対する受信電力の測定結果から算出されるパスロス推定値を用いてアクティブ上りBWPにおける上り送信電力を算出する上り電力制御を行う。具体的には、UE100は、例えば、上述の式1及び式2を用いて、PUSCHの上り送信電力を算出する。第1に、UE100は、CSI-RSの送信電力値とCSI-RSの受信電力値とを用いて、式2からパスロス推定値を算出できる。第2に、UE100は、算出したパスロス推定値を用いて、式1から上り送信電力を算出できる。
【0109】
なお、UE100は、その他の上り通信に用いるチャネル又は信号の上り送信電力を同様に算出してよい。UE100は、例えば、PUSCHと同様に、上り通信に用いるPUCCH又はSRSの送信に用いる上り送信電力を算出してよい。
【0110】
ステップS208において、UE100は、ステップS207において算出した上り送信電力で、アクティブ上りBWPにおいてBS200との上り通信を行う。UE100は、例えば、PUCCH、PUSCH及びSRSの少なくともいずれかをBS200へ送信する。BS200は、PUCCH、PUSCH及びSRSの少なくともいずれかをUE100から受信する。その後、UE100とBS200とは、アクティブ上りBWPとアクティブ下りBWPとを用いて通信を行ってよい。
【0111】
以上のように、UE100(制御部120)は、アクティブ下りBWPにおいて、UE100向けのCSI-RSの測定が設定されている場合、アクティブ下りBWPにおいて測定を行ってよい。UE100(制御部120)は、測定されたCSI-RSが送信されているアクティブ下りBWPにおいてSSBが送信されてない場合、第2上り電力制御を行わずに、CSI-RSの測定結果を用いて上り送信電力を算出してよい。これにより、アクティブ下りBWPにおいてSSBが送信されていない場合であっても、UE100は、アクティブ下りBWPで送信されているCSI-RSの測定結果を用いることで、パスロス推定値を適切に算出できる。その結果、UE100は、上り送信電力を適切に算出することができる。
【0112】
(その他の実施形態)
上述では、本開示の実施形態を説明したが、本開示は実施形態に限定されるものではない。例えば、補正値は、アクティブ上りBWPにおける上り通信に用いるチャネル及び信号の種類に関係なく用いられる1つの補正値であってよい。或いは、補正値は、アクティブ上りBWPにおける上り通信に用いるチャネル及び信号の種類に関係なく用いられる複数の補正値を有してよい。複数の補正値のそれぞれは、BWPを識別する識別子と関連付けられてよい。また、複数の補正値のそれぞれは、SSBを識別する識別子に関連付けられてよい。
【0113】
また、上述の各動作例では、UE100は、BS200から補正値を受信していたが、これに限られない。UE100には、補正値が予め設定されていてよい。従って、UE100は、BWPを用いて通信を行うBS200から補正値を受信しなくてよい。
【0114】
また、上述の各動作例では、UE100がアクティブBWPを切り替えるBWPスイッチングの制御の例としてRRCシグナリングを挙げていたが、これに限られない。BWPスイッチングの制御に、PDCCH、タイマ(すなわち、bwp-InactivityTimer)又はMACエンティティが用いられてよい。従って、BS200は、例えば、PDCCHを用いて、アクティブBWPを切り替えるための制御情報をUE100へ送信してよい。
【0115】
また、上述の各動作例は、別個独立して実施する場合に限らず、各動作例を適宜組み合わせて実施可能である。また、例えば、本明細書に記載されている処理におけるステップは、必ずしもフローチャート又はシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理におけるステップは、フローチャート又はシーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、処理におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0116】
例えば、本明細書において説明した装置の1つ以上の構成要素の動作を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非遷移的実体的記録媒体が提供されてもよい。このような方法、プログラム、及びコンピュータに読み取り可能な非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible computer-readable storage medium)も、本開示に含まれる。また、UE100の少なくとも一部又はBS200の少なくとも一部は、UE100又はBS200が行う各処理を実行する回路が集積化されたチップセット又はSoC(System on Chip)であってよい。
【0117】
本開示において、「送信する(transmit)」は、送信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に送信することを意味してもよい。或いは、「送信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に送信することとの組合せを意味してもよい。同様に、「受信する(receive)」は、受信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に受信することを意味してもよい。或いは、「受信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に受信することとの組合せを意味してもよい。
【0118】
上述では、本開示の実施形態を説明したが、本開示は実施形態に限定されるものではない。実施形態は例示にすぎないということ、及び、本開示のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
【符号の説明】
【0119】
1 :システム
100 :ユーザ装置(UE)
110 :通信部
120 :制御部
200 :基地局(BS)
210 :通信部
212 :無線通信部
214 :ネットワーク通信部
220 :制御部