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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20240927BHJP
   D06F 39/10 20060101ALI20240927BHJP
   D06F 39/02 20060101ALI20240927BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20240927BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20240927BHJP
【FI】
D06F39/08 301A
D06F39/08 301B
D06F39/08 321
D06F39/08 331
D06F39/10 D
D06F39/10 E
D06F39/02 Z
D06F39/02 B
B01F23/20
B01F35/75
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021092991
(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公開番号】P2022185360
(43)【公開日】2022-12-14
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲之
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-510097(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0301069(US,A1)
【文献】中国実用新案第211965296(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00~51/02
B01F 23/20
B01F 35/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
外部の給水源に接続される給水弁と、
前記外部の給水源から前記給水弁を介して供給された水を受けて前記水槽内に注水する注水ケースと、
前記給水弁の下流側に設けられ、前記給水弁を通って供給された水が空気とともに一時的に貯留される加圧タンクと、
前記注水ケースに接続され、前記加圧タンクから流出した水に微細気泡を析出させる微細気泡発生器と、
前記微細気泡発生器を通過して前記注水ケース内に流入した水を前記注水ケース内の所定の位置に導く微細気泡水用流路と、を備え、
前記微細気泡水用流路は、前記注水ケースの底面と、前記注水ケースの底面の一部を覆う流路形成部材との間の空間に形成される、
濯機。
【請求項2】
前記注水ケースの底面から上方に離れた位置に設けられてユーザから洗濯処理剤の投入を受ける処理剤受け部と、
前記処理剤受け部を貫いて形成されて前記処理剤受け部で受けた洗濯処理剤を前記注水ケースの底面側へ導く処理剤投入口と、を更に備え、
前記微細気泡水用流路の出口は、前記処理剤投入口から流出した洗濯処理剤を前記注水ケースから前記水槽に向かう方向に流す位置に設けられている、
請求項に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記給水弁と前記処理剤受け部とを接続し、前記給水弁を通った水を前記処理剤受け部に導く処理剤用流路を、更に備え、
前記処理剤用流路の出口と前記微細気泡水用流路の出口とは、互いに異なる位置に設けられている、
請求項に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記流路形成部材は、前記処理剤受け部の下方であってかつ前記処理剤投入口とは平面視において重ならない位置に設けられている、
請求項又は請求項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記微細気泡水用流路の出口は、前記流路形成部材に形成された穴又は切り欠きによって構成されている、
請求項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記流路形成部材に沿ってかつ前記注水ケースの底面から立ち上げて形成されて、前記流路形成部材の長手方向に沿って設けられた複数の壁部を、更に備え、
前記複数の壁部のうち前記注水ケースの内壁に対向する位置に配置された壁部に開口が形成されている、
請求項からのいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記微細気泡水用流路の出口は、前記流路形成部材の長手方向に沿って複数配置されている、
請求項又は請求項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記微細気泡水用流路の複数の出口は、等間隔毎に設けられている、
請求項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファインバブルと称されるマイクロバブルやウルトラファインバブル等の微細気泡を含む微細気泡水を洗濯機に用いることで洗浄効果を向上させる技術が注目されている。しかしながら、従来構成においては、微細気泡水による洗浄効果を十分に発揮する点について改善の余地があった。また、微細気泡水を水槽内に供給する際には、微細気泡水に含まれる微細気泡を極力消失させることなく水槽内に供給することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-187686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、微細気泡を含む微細気泡水による洗浄効果を高めて、洗浄性能の向上を図ることができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、水槽と、外部の給水源に接続される給水弁と、前記外部の給水源から前記給水弁を介して供給された水を受けて前記水槽内に注水する注水ケースと、前記給水弁の下流側に設けられ、前記給水弁を通って供給された水が空気とともに一時的に貯留される加圧タンクと、前記注水ケースに接続され、前記加圧タンクから流出した水に微細気泡を析出させる微細気泡発生器と、前記微細気泡発生器を通過して前記注水ケース内に流入した水を前記注水ケース内の所定の位置に導く微細気泡水用流路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第一実施形態による洗濯機の一例を概略的に示す断面図
図2】第一実施形態による加圧溶解装置の構成の一例を示す外観図
図3】第一実施形態による洗剤ケースと仕上げ剤ケースとの位置関係の一例を示す平面図
図4】第一実施形態による洗剤ケースの概略構成の一例を図3のX4-X4線に沿って示す断面図
図5】第一実施形態による仕上げ剤ケースの概略構成の一例を図3のX5-X5線に沿って示す断面図
図6】第一実施形態による加圧溶解装置の概略構成の一例を図3のX6-X6線に沿って示す断面図
図7】第一実施形態による加圧タンクの一例を図6のX7-X7線に沿って示す断面図
図8】第一実施形態による加圧タンクの一例を図6のX8-X8線に沿って示す断面図
図9】第一実施形態による微細気泡発生器の一例を示す断面図
図10】第一実施形態による微細気泡発生器の一例を図9のX10-X10線に沿って示す断面図
図11】第一実施形態による注水ケースの概略構成の一例を示す部分断面図
図12】第一実施形態による注水ケースの概略構成の一例を図11のX12-X12線に沿って示す断面図
図13】第一実施形態による第2開口から流出する水の流れの一例を図4の矢印X13部分を拡大して示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本実施形態において、構成要素等に付された「第1」、「第2」との語句は、類似した構成要素を単に区別するためのものであり、構成要素間の優劣や時間的要素を意味するものではない。
【0008】
図1に示す洗濯機10は、回転槽13の回転軸が水平へ向かう横軸型又は後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。洗濯機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、モータ14、排水経路15、排水弁16、フィルタ装置17、循環経路18、及び循環ポンプ19を備えている。なお、図1において、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。なお、洗濯機は、ドラム式に限らず、回転槽の回転軸が鉛直方向を向いたいわゆる縦型洗濯機であっても良い。
【0009】
図1に示す洗濯機10において、水槽12は、外箱11内に配置されて図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に配置されており、モータ14によって回転駆動される。排水経路15は、水槽12内に貯留されている水を洗濯機10の機外に排出するための経路である。排水経路15は、例えば可撓性を有する排水ホースで構成されており、一方の端部が排水弁16に接続され、他方の端部が洗濯機10の機外に引き出されている。
【0010】
排水弁16は、電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁である。排水弁16は、水槽12の底部に設けられた排水口121と、排水経路15との間に設けられている。排水弁16は、図示しない制御装置からの制御信号に基づき、排水経路15を開閉する。フィルタ装置17は、排水口121と排水弁16との間に設けられている。フィルタ装置17は、内部に網目状のフィルタ171を有しており、そのフィルタ171によって、フィルタ装置17内を通過する水に含まれるリントやゴミを捕集する。
【0011】
循環経路18は、水槽12内に貯留されている水を汲み上げて、その汲み上げた水を水槽12の上部から再び水槽12内に供給するための経路である。循環経路18は、水槽12の内部に設けられている。循環経路18の一方の端部は、フィルタ装置17を介して水槽12の排水口121に接続されており、他方の端部は、水槽12の上部に設けられたノズル部181に接続されている。ノズル部181は、詳細は図示しないが、ノズル部181から吐出された水が水槽12の中央側へ向かうように構成されている。
【0012】
循環ポンプ19は、循環経路18上に設けられている。排水弁16によって排水経路15が閉じられた状態で循環ポンプ19が駆動すると、循環ポンプ19は、排水口121を通して水槽12内の水を汲み上げて、ノズル部181から再び水槽12内へ注水する。これにより、循環ポンプ19は、水槽12内に貯留されている水を、循環経路18を通して循環させる。
【0013】
また、洗濯機10は、接続口21、給水弁22a、22b、22c、第1給水経路23、第2給水経路24、注水ケース30、加圧溶解装置40、及び微細気泡発生器50を備えている。接続口21は、給水ホース100を介して水道の蛇口等の外部の給水源に接続される。給水弁22a、22b、22cは、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁である。給水弁22a、22b、22cは、接続口21に接続され、第1給水経路23この場合流路25、26及び第2給水経路24を個別に開閉する機能を有する。
【0014】
第1給水経路23及び第2給水経路24は、図1に示すように、接続口21を起点に分岐してそれぞれ異なる経路を辿って注水ケース30で合流し、注水ケース30を介して水槽12に至る経路である。すなわち、第1給水経路23及び第2給水経路24は、注水ケース30を介して間接的に水槽12に接続されている。
【0015】
第1給水経路23は、外部の給水源から接続口21に供給された水が2つに分岐されて個々に給水弁22a、22bを通って直接注水ケース30に供給される経路である。第2給水経路24は、外部の給水源から接続口21に供給されて給水弁22cを通った水が加圧溶解装置40、及び微細気泡発生器50を通って注水ケース30に供給される経路である。そして、第2給水経路24は、外部の給水源から供給された水に微細気泡を含ませた微細気泡水を水槽12内に供給する機能を有する。
【0016】
また、第1給水経路23は、処理剤用流路としての洗剤用流路25と、仕上げ剤用流路26と、を有する。洗剤用流路25は、図1等に示すように、給水弁22aと洗剤ケース33とを接続する流路である。すなわち、洗剤用流路25は、給水弁22aを通った水を洗剤ケース33に導く流路である。この場合、洗剤用流路25は、洗剤ケース33が注水ケース30内に収容されている状態で洗剤ケース33に接続されている。
【0017】
仕上げ剤用流路26は、図1等に示すように、給水弁22bと仕上げ剤ケース34とを接続する流路である。すなわち、仕上げ剤用流路26は、給水弁22bを通った水を仕上げ剤ケース34に導く流路である。この場合、仕上げ剤用流路26は、仕上げ剤ケース34が注水ケース30内に収容されている状態で仕上げ剤ケース34に接続されている。
【0018】
洗剤用流路25及び仕上げ剤用流路26は、図4及び図5に示すように、それぞれ出口251、261を有する。図4に示す洗剤用流路25の出口251は、洗剤用流路25を流れた水が流出する部分である。給水弁22aが洗剤用流路25を開放した場合、給水弁22aを通った水は、洗剤用流路25を通って出口251から洗剤ケース33内に流出し、その後、図4の白抜き矢印Aで示す方向に流れる。
【0019】
図5に示す仕上げ剤用流路26の出口261は、仕上げ剤用流路26を流れた水が流出する部分である。給水弁22bが仕上げ剤用流路26を開放した場合、給水弁22bを通った水は、仕上げ剤用流路26を通って出口261から仕上げ剤ケース34内に流出し、その後、図5の白抜き矢印Bで示す方向に流れる。なお、洗剤用流路25及び仕上げ剤用流路26は、注水ケース30と一体に設けられた構造であっても良いし、注水ケース30とは別部材で構成されていても良い。
【0020】
注水ケース30は、例えば樹脂製であって内部に空間を有する略矩形箱状に形成されている。注水ケース30は、外部の給水源から各給水弁22a、22b、22cを介して供給された水を受けて水槽12内に注水する機能を有する。注水ケース30は、図1から図5に示すように、注水口31、接続部32、洗剤ケース33、仕上げ剤ケース34、及び起立部35を有している。注水口31は、図1に示すように、注水ケース30の下部に設けられ、注水ケース30と外部とを連通しており、水槽12側へ向かって開口している。
【0021】
接続部32は、図2に示すように、注水ケース30を構成する壁面のうち加圧溶解装置40と対向する壁面に設けられ、注水ケース30と加圧溶解装置40とを連通している。この場合、加圧溶解装置40から流出した水は、接続部32を通って注水ケース30内に流入する。
【0022】
洗剤ケース33及び仕上げ剤ケース34は、例えば樹脂製の容器で構成され、注水ケース30に収容可能に設けられている。洗剤ケース33及び仕上げ剤ケース34は、処理剤受け部として機能し、注水ケース30の底面301から上方に離れた位置に設けられてユーザから洗濯処理剤の投入を受ける。洗濯処理剤とは、洗剤や柔軟仕上げ剤、香り付け剤、漂白剤等が含まれる。洗剤ケース33及び仕上げ剤ケース34は、第1給水経路23上において対応するいずれかの給水弁22a、22bの下流側に設けられており、注水ケース30内に収容された状態において、それぞれ各給水弁22a、22bを介して注水ケース30内に供給された水を受ける位置に設けられている。
【0023】
洗剤ケース33は、例えば粉末又は液体の洗剤を投入可能に構成されている。洗剤ケース33は、処理剤投入口331を有している。処理剤投入口331は、図3及び図4に示すように、洗剤ケース33を貫いて形成されて、洗剤ケース33で受けた洗剤を注水ケース30の底面301側へ導く。この場合、処理剤投入口331は、注水ケース30における底部に向かって開口している。ユーザは、洗剤ケース33が注水ケース30内に収容された状態で、処理剤投入口331を通して注水ケース30内に粉末又は液体の洗剤を投入する。
【0024】
仕上げ剤ケース34は、例えば柔軟剤や香り付け剤等の液体の仕上げ剤を収容可能に構成されている。仕上げ剤ケース34は、図5に示すように、サイフォン機構部341を有している。サイフォン機構部341は、仕上げ剤ケース34の底部に設けられており、仕上げ剤ケース34の外部と内部とを連通している。
【0025】
仕上げ剤用流路26を通って仕上げ剤ケース34内に供給された水と仕上げ剤とが混合した混合水は、サイフォン機構部341を介して仕上げ剤ケース34外へ流出する。すなわち、給水によって仕上げ剤ケース34内の混合水の水位が上がってサイフォン機構部341の上方まで混合水が満たされると、通水路342から混合水が流れ始め、その後サイフォンの原理によって仕上げ剤ケース34の下方へ向かって混合水の流出が維持される。仕上げ剤ケース34から流出した当該混合水は、注水ケース30の底面301に沿って流れて注水口31を介して水槽12内に供給される。
【0026】
起立部35は、図4に示すように、注水ケース30の底面301を立ち上げて形成されている。底面301の一部は、傾斜角度の異なる複数の面部、この場合、例えば第1面部361、第2面部362、及び第3面部363を有して構成されている。この場合、第1面部361、第2面部362、及び第3面部363によって、複数の段差形状が形成されている。各面部361、362、363は、起立部35から離れる方向に向かうにしたがって次第に上方に傾斜している。第1面部361は、起立部35の端部に連続して形成されている。第2面部362は、第1面部361と第3面部363とを繋ぐ傾斜した面である。第2面部362は、図4に示すように、第1面部361及び第3面部363よりも傾斜が急である。第1面部361及び第3面部363は、傾斜する構成に限らず、洗濯機10の設置面に対して略平行な状態つまり水平であっても良い。
【0027】
加圧溶解装置40は、図1に示すように、第2給水経路24上であって、注水ケース30の上流側に設けられている。加圧溶解装置40は、外部の給水源から供給される水に対し空気成分を加圧溶解させる機能を有する。この場合、加圧溶解装置40は、加圧タンク41内の水を加圧してその水に加圧タンク41内の空気成分を溶解させる。加圧溶解装置40は、図6に示すように、水が黒矢印C方向に流れる流路を構成する。
【0028】
加圧溶解装置40は、図2及び図3に示すように、加圧タンク41、入口部42、出口部43、導水部44、仕切壁45、及び空気導入部46を有している。加圧タンク41は、給水弁22cを通って供給された水が空気とともに一時的に貯留することができる。加圧タンク41は、気密及び水密性を有するとともに耐圧性を有する容器状に構成されている。そして、加圧タンク41は、例えば図示しない複数のネジ部材によって注水ケース30に固定されている。なお、耐圧性とは、外部の給水源から流入する水の圧力この場合水道圧によって、加圧タンク41内の内部圧力が上昇した場合でも、加圧タンク41の変形を抑えて気密性及び水密性が維持されることを意味する。
【0029】
本実施形態では、加圧タンク41は、複数のタンク部材この場合2つのタンク部材411、412を組み合わせて加圧タンク41の内部に空間が形成されるように構成されている。なお、加圧タンク41は、2つのタンク部材を組み合わせた構成に限らず、3つ以上のタンク部材を組み合わせた構成であっても良い。
【0030】
加圧タンク41は、第1タンク部材411、第2タンク部材412、及びシール部材413を有している。第1タンク部材411及び第2タンク部材412は、例えば合成樹脂製で形成されている。この場合、第1タンク部材411と第2タンク部材412とを突き合せた部分つまり接合部分は、例えば振動溶着や超音波溶着等の溶着によって接合されている。すなわち、第1タンク部材411と第2タンク部材412とは、各タンク部材411、412同士の溶着によって接合されている。このように、複数のタンク部材411、412を溶着により一体化することによって、複数のタンク部材411、412間の気密性及び水密性を確保することができる。なお、複数のタンク部材411、412の接合は溶着に限らず、例えばネジ部材や接着剤によって接合する構成としても良い。
【0031】
シール部材413は、図6及び図9に示すように、出口部43の他方の端部の外周面に設けられている。シール部材413は、例えば合成樹脂製のOリングで構成されている。
【0032】
入口部42は、図7に示すように、例えば合成樹脂製で筒状に構成されており、加圧タンク41の外部から内部に流入する水が通る部分である。また、出口部43は、図6に示すように、例えば合成樹脂製で筒状に構成されており、加圧タンク41の内部から外部に流出する水が通る部分である。本実施形態の場合、入口部42及び出口部43は、複数のタンク部材411、412のうち同一のタンク部材411に設けられている。
【0033】
更に、入口部42又は出口部43の一方又は両方は、注水ケース30に直接接続することができる。直接接続とは、入口部42又は出口部43と注水ケース30との間に他の部品が介在することなく相互に接続されることを意味する。本実施形態の場合、入口部42は、図7に示すように、第1タンク部材411の上部側に位置して設けられており、耐圧ホース101を介して給水弁22cに接続されている。このようにして、第2給水経路24に供給された水は、耐圧ホース101を介して入口部42を通って加圧タンク41内に導入される。
【0034】
出口部43は、図6に示すように、一方の端部が第1タンク部材411の底部に接続されて、他方の端部が接続部32に接続されている。つまり、第1タンク部材411は、出口部43を介して接続部32に直接接続されている。この場合、出口部43の他方の端部は、接続部32に挿入可能に構成されている。そして、出口部43の外周面と接続部32の内周面とによってシール部材413が押圧されて、出口部43と接続部32とが水密状態で接続される。このように、本実施形態では、入口部42又は出口部43の一方である出口部43が注水ケース30に直接接続されている。なお、本実施形態においては、出口部43からの排水は加圧タンク41に貯留した水の水圧つまり静水圧のみで行われ、排水のための専用のポンプ等の駆動源を要していない。
【0035】
また、第1タンク部材411は、導水部44を有している。導水部44は、図6及び図7に示すように、入口部42から繋がり第2タンク部材412側へ延びて、入口部42から加圧タンク41内に供給された水を第2タンク部材412側に導くためのものである。導水部44は、例えば筒状に形成されて、一方の端部が第1タンク部材411の内壁に取付けられており、他方の端部つまり先端部441が開放されている。そして、導水部44の先端部441は、図7に示すように、第2タンク部材412の内壁に対して隙間Gを有して配置されている。
【0036】
この場合、第2タンク部材412の内壁において、導水部44の先端部441と対向した位置には窪み部414が形成されている。窪み部414は、例えば第2タンク部材412の内壁を窪み部414の周辺の内壁に対して円形状に外方へ窪ませて形成されている。窪み部414は、導水部44の先端部441を収容可能に構成されている。窪み部414の内径寸法と先端部441の外径寸法とは、例えば嵌め合い公差の関係とすることができ、例えばいわゆる隙間ばめ又は締まりばめ、若しくは中間ばめの関係とすることができる。
【0037】
導水部44は、導水口442、隔壁443、及び通水部444を有している。導水口442は、導水部44の外周面に形成されており、入口部42に接続されている。入口部42を通った水は、導水口442から導水部44内に流出する。隔壁443は、図7に示すように、導水部44の延伸方向において導水口442よりも第1タンク部材411側に設けられている。隔壁443は、導水部44を閉塞する壁として機能しており、導水部44に流入した水の流れを導水部44の延伸方向に変換するためのものである。
【0038】
通水部444は、導水部44の底部に導水部44を厚み方向に貫通して形成されている。通水部444は、導水部44を通る水を加圧タンク41内に落下させるためのものである。このように、通水部444から流出し落下した水は、加圧タンク41内部に貯留した水面の上部の空気を引き込みながら、水面に対して激しく衝突する。これにより、通水部444から落下した水の衝突時のエネルギーによって加圧タンク41内に貯留した水が撹拌されて、加圧タンク41内部の空気成分の溶解が促進される。なお、上述したように、導水部44の先端部441と先端部441に対向した第2タンク部材412の内壁との間には隙間Gが形成されているため、隙間Gからの水の流出が生じるが、その流出量は通水部444から流出する水の量に比べて少量である。
【0039】
仕切壁45は、図6に示すように、加圧タンク41内の底部から立ち上がって設けられ、加圧タンク41内の空間の一部を水平方向に仕切っている。仕切壁45は、複数のタンク部材411、412のうち第2タンク部材412に設けられている。この場合、導水部44は、図6に示すように、平面視において入口部42に対して仕切壁45を越えた位置まで延びており、導水部44内を通る水を入口部42に対して仕切壁45を越えた位置で放水する。すなわち、通水部444は、導水部44の延伸方向において入口部42に対して仕切壁45を超えた位置に配置されている。
【0040】
これにより、図6の黒矢印Cに示すように、通水部444から注水された水が仕切壁45と第2タンク部材412の内壁との間の空間における水面で撹拌されることで、加圧タンク41内の水と空気とを効率良く接触させることができる。よって、加圧タンク41内の水に対する空気成分の溶解を促進することができる。更に、平面視において、通水部444の位置を出口部43からなるべく離れた位置に配置することによって加圧タンク41内における水と空気との接触時間を長くすることができるため、より多くの空気成分を水に溶解させることができる。
【0041】
また、仕切壁45には、図8に示すように、スリット451が形成されている。スリット451は、微細気泡よりも粒径の大きな泡を遮蔽する機能を有している、導水部44を通って通水部444から流出した水のうち仕切壁45の上端よりも下方に位置する水は、仕切壁45のスリット451を通過して出口部43側の空間に流れる。このとき、通水部444から落下した水が水面と衝突することにより発生した例えばミリオーダーの比較的大きな気泡は、スリット451を通過せずに出口部43側の空間に流出することなく消滅する。
【0042】
空気導入部46は、図6に示すように、第1タンク部材411の上部側に設けられており、加圧タンク41の内部と外部とを開閉可能に連通している。この場合、空気導入部46は、注水ケース30に接続されている。空気導入部46は、空気導入管461及び吸気弁462を有している。吸気弁462が開放されると、空気導入管461を介して加圧タンク41内に外気が補充される。
【0043】
吸気弁462は、例えば逆止弁で構成することができる。この場合、吸気弁462は、加圧タンク41の外部から加圧タンク41の内部へ向かう空気は通すが、加圧タンク41の内部から加圧タンク41の外部へ向かう空気は遮断する機能を有する。吸気弁462は、加圧タンク41内の圧力が大気圧よりも高くなると閉じ、加圧タンク41内の圧力が大気圧に近い値になると開く構成とすることができる。なお、吸気弁462は、逆止弁の構成に限らず、空気用の電磁弁で構成されていても良い。
【0044】
次に、加圧溶解装置40における加圧タンク41内の水に空気成分が溶解される状態について説明する。本実施形態では、加圧溶解装置40は、例えば加圧タンク41から流出する水量よりも加圧タンク41内に流入する水量を多くすることで、水道圧のみで加圧タンク41内を加圧することができる。この場合、加圧タンク41内の圧力が大気圧の状態つまり加圧タンク41内に水がほとんど溜まっていない初期の段階で給水弁22cが開放されると、導水部44から流入した水のうち出口部43から流出しなかった残りの水が加圧タンク41内に貯留されて加圧タンク41内の水位が上昇する。このとき、加圧タンク41内の空気は上昇する水面に圧縮され、これにより加圧タンク41内の圧力が上昇して吸気弁462が閉鎖する。
【0045】
その後、導水部44からの水の流入が継続されて加圧タンク41内の水位が所定水位まで上昇すると、加圧タンク41内の圧力と外部の給水源から流入する水の圧力この場合水道圧とが均衡する。その結果、導水部44から流入する水の量と出口部43から加圧タンク41外に流出する水の量とが略等しくなり、加圧タンク41内が最大圧力この場合水道圧に近い圧力となる。このように、加圧タンク41内の圧力が大気圧よりも上昇することにより、加圧タンク41内の空気が加圧タンク41内に貯留されている水に溶解し易くなる。つまり、外部の給水源から供給された水を加圧溶解装置40に通すことによって、加圧溶解装置40の下流側に供給される水に対して、加圧溶解装置40を通らない通常の水に比べて多量の空気成分を溶存させた水を供給することができる。
【0046】
そして、加圧タンク41内に給水が開始されて、例えば給水時間が所定時間経過した後に給水弁22cを閉じると、加圧タンク41内の水位の低下に伴い加圧タンク41内の圧力も大気圧近くまで低下し、吸気弁462が開いて加圧タンク41内に外気が導入される。このように、給水弁22cの開閉を繰り返すことで、加圧溶解装置40は、空気成分を溶解させた水を繰り返し吐出することができる。
【0047】
微細気泡発生器50は、加圧タンク41から流出した水に微細気泡を析出させる機能を有する。微細気泡発生器50は、図6及び図9に示すように、出口部43と接続部32との間にて支持された状態で取付けられている。この場合、微細気泡発生器50は、出口部43と接続部32との間で挟み込まれた状態で取付けられている。なお、微細気泡発生器50は、出口部43と接続部32に対して圧入によって固定される構成としても良い。そして、微細気泡発生器50の外周面には、シール部材61が設けられている。シール部材61は、例えば合成樹脂製のOリングで構成されている。そして、微細気泡発生器50の外周面と接続部32の内周面とによってシール部材61が押圧されて、微細気泡発生器50と接続部32との間の水密性が確保される。
【0048】
本実施形態の微細気泡発生器50は、直径及び全長が例えば数mm~数十mm程度、具体的には直径が最大約15mmで長さが約10mmに設定されている。微細気泡発生器50は、図9に示すように、絞り部51、ストレート部52、及び衝突部53を有している。絞り部51及びストレート部52は、微細気泡発生器50の長手方向へ向かって黒矢印D方向へ水を流す流路を構成する。
【0049】
絞り部51は、微細気泡発生器50の流入側つまり上流側に設けられている。絞り部51は、微細気泡発生器50の長手方向の上流側端部から途中部分にかけて流路の断面積つまり内径が連続的に徐々に減少するようないわゆる截頭円錐形のテーパ管状に形成されている。ストレート部52は、絞り部51の下流側に設けられている。ストレート部52は、内径が変化しない、すなわち流路の断面積つまり液体の通過可能な面積が変化しない円筒形、いわゆるストレート管状に形成されている。
【0050】
衝突部53は、ストレート部52の下流端部分に設けられている。衝突部53は、微細気泡発生器50における水の通過可能な断面積を局所的に縮小することで、微細気泡発生器50を通過する液体中にナノオーダーの微細気泡を多量に発生させることができる。
【0051】
また、本実施形態の場合、衝突部53は、図10に示すように、例えば先端が尖った4本の棒状の部分で構成され、ストレート部52の内周面からこのストレート部52の断面における中心方向へ向かって突出している。4本の衝突部53は、ストレート部52の断面の周方向に向かって相互に等間隔に離間した状態で配置されている。この場合、各衝突部53の下流側の面は、平坦面に形成されている。また、各衝突部53で構成される隙間の面積が、微細気泡発生器50における水の通過可能な最小断面積となる。
【0052】
微細気泡発生器50の上流側に水が流入すると、截頭円錐テーパ形状に縮小するように形成された絞り部51において流路断面積が絞られることによって、流体力学のいわゆるベルヌーイの定理に基づき流速が高められるとともに減圧によるキャビテーションが発生する。そして、その高速流が衝突部53に衝突することで作用するせん断力によって細分化された微細気泡が生成される。これにより、微細気泡発生器50は、微細気泡発生器50内を通過する水の中に溶存している空気を微細気泡として多量に析出させて、微細気泡発生器50を通過する以前よりも微細気泡を多量に含んだ微細気泡水を供給することができる。
【0053】
ここで、一般に、微細気泡又はファインバブルは、その気泡の粒子径によって次のように分類されている。例えば、粒子径が50nm~1,000nm未満つまりナノオーダーの気泡は、ウルトラファインバブルと称されている。これに対し、粒子径が数μmから100μm程度つまりマイクロオーダーの気泡は、マイクロバブルと称されている。なお、本実施形態において、ナノオーダーの微細気泡、ウルトラファインバブル及びナノバブルは、いずれも同義であり、粒子径がナノオーダーの気泡を意味する。
【0054】
ナノバブルは、洗剤に含まれる界面活性剤との相互作用により洗剤のミセル化を防止し洗浄能力を向上させることができる。更に、ナノバブルは、粒径が細かいため繊維の奥の方まで浸透し、汚れや残存している洗剤成分つまり界面活性成分を洗濯物から除去する洗浄効果を発揮することができる。
【0055】
また、マイクロバブルは、電気的特性としてマイナス電荷を帯びており、洗濯物に付着したプラス電荷を帯びた皮脂汚れ等の汚れと静電的に吸着しやすい。マイクロバブルとの電気的反応により洗濯物から引き剥がされた汚れは、マイクロバブル表面に吸着したままマイクロバブルの浮力により水面に浮上し滞留する。更に、気泡表面がマイナスに帯電したマイクロバブル同士は反発しあい結合することがなく液体中では分散するため、洗濯物から取り除いた汚れが洗浄水中で再び洗濯物に付着することを抑制することができる。
【0056】
本実施形態の場合、微細気泡発生器50は、単体では主にナノオーダーの微細気泡つまりナノバブルを析出させる機能を有するが、微細気泡発生器50を通過する水に溶解している空気の量を増やすことで、粒径の大きいマイクロオーダーの微細気泡つまりマイクロバブルも析出させることができる。これは、水に溶解している空気の量が増えると、微細気泡発生器50を通過した際に生成されるナノバブルも増え、その結果、生成されたナノバブルの一部が相互に結合してマイクロバブルに発達するからと推測される。
【0057】
そして、本実施形態では、微細気泡発生器50の上流側に加圧溶解装置40が設けられている。そのため、微細気泡発生器50を通過する水に含まれる空気量を増大させることができる。これにより、微細気泡発生器50を通過した水に、多量のナノバブル及びマイクロバブルを生成させることができ、その結果、ナノバブルによる洗浄効果と、マイクロバブルによる汚れの再付着を抑制する効果と、を同時に得ることができる。
【0058】
ここで、微細気泡発生器50から流出した水は比較的水勢が強い状態で注水ケース30内に導入される。そして、微細気泡発生器50から流出した水が注水ケース30の内壁302等に衝突した場合、生成された微細気泡が消失してしまうおそれがある。この場合、微細気泡水による洗浄効果を効果的に得難いといった事態を招く結果となる。
【0059】
そこで、本実施形態では、注水ケース30は、図11に示すように、流路形成部材71、微細気泡水用流路72、及び壁部73、74を有している。流路形成部材71は、注水ケース30の底面301側へ開放されており、その開放部分が注水ケース30の底面301によって塞がれている。すなわち、流路形成部材71は、注水ケース30の底面301の一部を覆っている。このとき、流路形成部材71の側壁711、712の下端面と注水ケース30の底面301との間には空間が形成されている。この空間は、水等の液体が通過できる程度の大きさである。
【0060】
流路形成部材71は、例えば樹脂製であって注水ケース30の一部を構成しており、注水ケース30の底面301に対して例えばスナップフィットによって着脱可能に取付けられている。流路形成部材71は、例えば、注水ケース30の主要部分を構成する部材、すなわち底面301を有する容器状の部材とは分離可能な異なる部材で構成することができる。この場合、注水ケース30の底面301と、流路形成部材71との間には、少量の水が通過可能な隙間、つまり後述する流水口81から流出する水よりも少ない量の水が通過可能な隙間が形成されていても良い。なお、底面301に対する流路形成部材71の取付けは、接着剤による接着や溶着等であっても良い。
【0061】
流路形成部材71は、図11に示すように、洗剤ケース33の下方であってかつ処理剤投入口331とは平面視において重ならない位置に設けられている。このため、処理剤投入口331から注水ケース30内に流出した洗剤が流路形成部材71上に直接降りかかることが抑制される。
【0062】
また、流路形成部材71は、平面視において例えば略L字状に構成されている。そして、流路形成部材71は、略L字状の外側に位置する2つの面が、注水ケース30の内壁302に対向しかつ隣接して配置されている。隣接とは、流路形成部材71と流路形成部材71に対向する注水ケース30の内壁302との間に他の部材が存在しないことを意味する。このため、流路形成部材71と底面301との隙間から微細気泡水用流路72の外側へ流出した水は、他の部材や構造物によって阻害されずに内壁302に当たり易くなる。
【0063】
流路形成部材71は、流水口81を有している。流水口81は、図4及び図11に示すように、第3面部363と重なる位置に配置されており、流路形成部材71の内部と外部とを連通している。すなわち、流水口81は、微細気泡発生器50と注水ケース30とが接続される接続部32よりも上方に設けられている。また、流水口81は、洗剤ケース33及び仕上げ剤ケース34の下方に設けられている。そして、流水口81は、図4に示すように、洗剤用流路25の出口251とは、注水ケース30内において互いに異なる位置に設けられている。
【0064】
この場合、流水口81は、処理剤投入口331から流出した洗濯処理剤を注水ケース30から水槽12に向かう方向に流す位置に設けられている。つまり、流水口81は、処理剤投入口331から投入された洗濯処理剤と出口251から流出した水とが混合した水に対して、注水ケース30内の上流から水を流すことができる位置に設けられている。これにより、注水ケース30内部に洗濯処理剤が残存することを抑制することができる。
【0065】
流水口81は、図12にも示すように、例えば流路形成部材71の側壁711の下端部を矩形状に切り欠いて形成されている。流水口81は、下流側へ向けて開放されている。流水口81は、流路形成部材71の側壁711の下端部を切り欠いた構成に限らず、側壁711を貫通する穴で構成することができる。流水口81は、例えば流路形成部材71の長手方向に沿って複数この場合3つ配置されている。また、複数の流水口81は、同一形状であって、かつ、等間隔毎に設けられている。なお、複数の流水口81は、同一形状でなくても良く、更に不等間隔で配置されていても良い。すなわち、複数の流水口81の形状や配置位置は、注水ケース30の底面301の形状等に応じて任意に設定することができる。
【0066】
微細気泡水用流路72は、第2給水経路24上に設けられ、加圧溶解装置40及び微細気泡発生器50を通過して注水ケース30内に流入した水を注水ケース30の所定の位置に導く流路である。微細気泡水用流路72は、図11の黒矢印Eで示す方向に液体を供給する。すなわち、微細気泡水用流路72は、加圧溶解装置40及び微細気泡発生器50を通過して注水ケース30内に導入された微細気泡を含んだ微細気泡水を一旦上方に導いて下方へ流すための流路である。この場合、流水口81は、微細気泡水用流路72の出口として機能する。微細気泡水用流路72は、図12に示すように、注水ケース30の底面301、流路形成部材71の側壁711、712、及び上面713との間の空間Sに形成される。
【0067】
壁部73、74は、図11及び図12に示すように、流路形成部材71の側壁711、712に沿うように、注水ケース30の底面301から立ち上げて形成されている。また、壁部73、74は、流路形成部材71の長手方向に沿って設けられている。2つの壁部73、74は、所定間隔をあけて平行に設けられている。
【0068】
そして、壁部73、74の一部は、図11及び図12に示すように、それぞれ流路形成部材71の側壁711、712と突出部714、715との間に挟まれて設けられている。突出部714、715は、流路形成部材71の上面713から注水ケース30の底面301側へ向かって突出して形成されており、流路形成部材71の上流側の端部から下流側へ向かって直線状に延びて形成されている。この場合、突出部714、715は、第3面部363上に至る位置まで延びている。このため、突出部714、715によって空間Sが部分的に仕切られることによって、微細気泡発生器50を通過して注水ケース30内に導入された微細気泡水が注水ケースの底面301に沿って上方に導かれる際に、空間Sつまり微細気泡水用流路72からその微細気泡水が外部に流出してしまうことを抑制することができる。
【0069】
壁部73は、流路形成部材71における流水口81が形成される側壁711と隣接する位置に設けられている。一方、壁部74は、流路形成部材71の側壁711と反対側つまり注水ケース30の内壁302に対向する側の側壁712と隣接する位置に設けられている。以下の説明において、壁部73を第1壁部73と称し、壁部74を第2壁部74と称することがある。第1壁部73及び第2壁部74は、微細気泡水用流路72を流れる水の流れを水平方向に仕切っている。なお、壁部73、74は、注水ケース30と一体に形成されても良いし、別体であっても良い。
【0070】
また、第1壁部73及び第2壁部74は、それぞれ開口731、741を有している。以下の説明では、開口731を第1開口731と称し、開口741を第2開口741と称することがある。第1開口731は、例えば第1壁部73を貫いたスリット状に形成されている。このため、微細気泡水用流路72を流れた水は、第1開口731を通って流水口81を通過した後に、注水ケース30の底面301つまり複数の面部361、362、363及び起立部35に沿って注水ケース30内の下方に向かって流れる。
【0071】
第1開口731は、図11に示すように、流水口81に対応した位置に設けられている。すなわち、第1開口731は、複数この場合3箇所に形成されている。各第1開口731は、対応する各流水口81よりも大きい。複数の第1開口731の合計面積と複数の流水口81の合計面積の合計との大小関係について、第1開口731の合計面積を流水口81の合計面積よりも大きく設定できる。これにより、流水口81に対して十分量の微細気泡水を行き届かせることができるため、効果的に流水口81から微細気泡水を流出させることができる。一方、第1開口731の合計面積を流水口81の合計面積よりも小さく設定できる。これにより、流水口81から流出する水量はやや抑えられるが水勢を強めることができるため、注水ケース30の底面301上に残存した洗剤を除去する効果を高めることができる。
【0072】
流路形成部材71は、上述したように、処理剤投入口331とは平面視において重ならない位置に設けられているため、流路形成部材71上に洗剤が直接降りかかることは抑制されているが、注水ケース30の底面301に当たって上方に跳ね返った洗剤が流路形成部材71上に付着しまう場合がある。そこで、第2壁部74には、第2開口741が設けられている。第2開口741は、図11に示すように、例えば第1壁部73を貫いたスリット状に形成されている。第2開口741は、例えば複数この場合2箇所に形成されている。
【0073】
これにより、図13に示すように、微細気泡水用流路72を流れた水の一部が、第2開口741から流出し、流路形成部材71の側壁712と注水ケース30の内壁302との間に沿って上方に流れることで流路形成部材71の上面を通って下流側へ流れる。したがって、流路形成部材71上に洗剤が付着したとしても、微細気泡水用流路72を流れた水によって当該洗剤を除去することができるため、流路形成部材71を清潔に保つことができる。なお、各開口731、741は、スリット状に限らず、各壁部73、74を貫通した穴で形成しても良い。
【0074】
このような構成において、加圧溶解装置40及び微細気泡発生器50から接続部32を通って注水ケース30内に流入した水は、微細気泡水用流路72を通過して流水口81から流出した後に、注水ケース30の底面301つまり複数の面部361、362、363及び起立部35に沿って注水ケース30内の下方に向かって流れる。このように、微細気泡発生器50から流出した水を比較的断面積が小さく距離のある微細気泡水用流路72に通すことによって、水の勢いを弱めて発生した微細気泡の消滅を抑制することができる。更に、微細気泡水用流路72内を通すことによって水の流れを整えることができる。
【0075】
以上説明した実施形態によれば、洗濯機10は、水槽12と、給水弁22a、22b、22cと、注水ケース30と、加圧タンク41と、微細気泡発生器50と、微細気泡水用流路72と、を備える。給水弁22a、22b、22cは、外部の給水源に接続される。注水ケース30は、外部の給水源から給水弁22a、22b、22cを介して供給された水を受けて水槽12内に注水する。加圧タンク41は、給水弁22cの下流側に設けられ、給水弁22cを通って供給された水が空気とともに一時的に貯留される。微細気泡発生器50は、注水ケース30に接続され、加圧タンク41から流出した水に微細気泡を析出させる。微細気泡水用流路72は、微細気泡発生器50を通過して注水ケース30内に流入した水を注水ケース30内の所定の位置に導く。
【0076】
これによれば、微細気泡発生器50によって析出される微細気泡を含む微細気泡水によって洗浄効果を高めることができる。また、微細気泡発生器50から流出した水は、比較的水勢が強い状態で注水ケース内に導入される。そのため、何ら措置を講じていないと注水ケース30の内壁等に衝突することで微細気泡が消失してしまうおそれがある。そこで、微細気泡発生器50から流出した勢いの強い水を微細気泡水用流路72に通すことによって、水の勢いを弱めて水流を整えることができる。これにより、微細気泡発生器50を通過した水が、強い勢いのまま壁等に衝突することを抑制でき、そのため、微細気泡の消失の低減を図ることができる。このように、本実施形態によれば、加圧タンク41及び微細気泡発生器50によって析出される微細気泡を含む微細気泡水による洗浄効果を効果的に得ることができる。その結果、洗濯機10の洗浄性能の向上を図ることができる。
【0077】
また、微細気泡水用流路72は、注水ケース30の底面301と、注水ケース30の底面301の一部を覆う流路形成部材71との間の空間Sに形成される。これによれば、微細気泡水用流路72を構成する部品として注水ケース30を有効に利用することができる。そのため、部品点数の削減を図ることができるとともに、洗濯機10の組立作業性の低下を極力抑えることができる。
【0078】
更に、洗濯機10は、処理剤受け部33と、処理剤投入口331と、を更に備える。処理剤受け部33は、注水ケース30の底面301から上方に離れた位置に設けられてユーザから洗濯処理剤の投入を受ける。処理剤投入口331は、処理剤受け部33を貫いて形成されて処理剤受け部33で受けた洗濯処理剤を注水ケース30の底面301側へ導く。微細気泡水用流路72の出口81は、処理剤投入口331から流出した洗濯処理剤を注水ケース30から水槽12に向かう方向に流す位置に設けられている。
【0079】
これによれば、微細気泡水用流路72を通った水が流出する出口81を処理剤投入口331から流出した洗剤を流す位置に配置することで、微細気泡水用流路72を通った水を用いて処理剤投入口331から注水ケース30内に投入された洗剤を流すことができる。これにより、注水ケース30内部に洗剤が残存することを抑制することができる。その結果、注水ケース30を清潔に保ち、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0080】
また、洗濯機10は、処理剤用流路として洗剤用流路25を更に備える。洗剤用流路25は、給水弁22aと処理剤受け部33とを接続し、給水弁22aを通った水を処理剤受け部33に導く。そして、処理剤用流路25の出口251と微細気泡水用流路72の出口81とは、互いに異なる位置に設けられている。これによれば、処理剤用流路25を通った水によって流された洗濯処理剤に対して処理剤用流路25を通った水とは異なる方向から流れる微細気泡水用流路72を通った水を更に流すことができる。これにより、注水ケース30内部に洗濯処理剤が残存することをより効果的に抑制することができる。
【0081】
更に、流路形成部材71は、処理剤受け部33の下方であってかつ処理剤投入口331とは平面視において重ならない位置に設けられている。これによれば、処理剤投入口331から流出した洗剤が、注水ケース30の底面301の上方に位置する流路形成部材71に直接降りかかることが抑制される。これにより、注水ケース30内を清潔に保ち、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0082】
また、微細気泡水用流路72の出口81は、流路形成部材71に形成された穴又は切り欠きによって構成されている。これによれば、注水ケース30の底面301の形状等に応じて出口81の位置や形状を調整することによって、微細気泡水用流路72を流れた微細気泡水を所望の位置に流すことができる。
【0083】
更に、洗濯機10は、複数の壁部73、74を更に備える。複数の壁部73、74は、流路形成部材71に沿ってかつ注水ケース30の底面301から立ち上げて形成されて、流路形成部材71の長手方向に沿って設けられている。ここで、微細気泡水用流路72を流れる水を円滑に水槽12に供給するためには、微細気泡水用流路72を流れる水は主に出口81側から流出させることが望ましい。そのため、注水ケース30の内壁302に対向する位置に壁部74が設けられている。これにより、内壁302側から多量の水が流出することを抑えて、出口81側からの水の流出を促すことができる。
【0084】
ところで、注水ケース30内に付着した洗濯処理剤の清掃等のためには注水ケース30の内壁302側にも水を流すことが好ましい。そこで、複数の壁部73、74のうち注水ケース30の内壁302に対向する位置に配置された壁部74に開口741が形成されている。これにより、壁部74に開口741を形成した内壁302側にも出口81側に比べて少量の水を流すことができる。そして、開口741を通った水が流路形成部材71と注水ケース30の内壁302との間から流路形成部材71の上面に流れることによって、流路形成部材71の上面に付着あるいは内壁302と流路形成部材71との間に入り込んだ洗剤を除去することができる。したがって、流路形成部材71ひいては注水ケース30内を清潔に保ち、メンテナンス性の向上を図ることができる。また、複数の壁部73、74によって流路形成部材71を注水ケース30に取付ける際の位置合わせが容易となるため、洗濯機10の組立作業性を向上することができる。
【0085】
微細気泡水用流路72の出口81は、流路形成部材71の長手方向に沿って複数配置されている。これによれば、出口81から流出する微細気泡水を広範囲に流すことができる。そのため、注水ケース30の底面に付着した洗剤を効率良く除去することができる。
【0086】
微細気泡水用流路72の複数の流水口81は、等間隔毎に設けられている。これによれば、複数の出口81を等間隔毎に配置することによって、微細気泡水を規則的に下流側へ向かって案内することができるため、水の流れを整えることができる。これにより、効率良く微細気泡水を供給することができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10…洗濯機、12…水槽、22a、22b、22c…給水弁、25…処理剤用流路、251…出口、30…注水ケース、301…底面、302…内壁、33…処理剤受け部、331…処理剤投入口、40…加圧タンク、50…微細気泡発生器、71…流路形成部材、72…微細気泡水用流路、73、74…壁部、741…開口、81…出口
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