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特許7561695取付金具、柱構造、及び柱のリフォーム方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】取付金具、柱構造、及び柱のリフォーム方法。
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20240927BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20240927BHJP
   E04F 19/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E04F13/08 101P
E04G23/02 C
E04F19/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021099528
(22)【出願日】2021-06-15
(65)【公開番号】P2022190969
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000107985
【氏名又は名称】セイコー産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】中松 保二
(72)【発明者】
【氏名】七野 正人
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-193403(JP,A)
【文献】特開平1-244052(JP,A)
【文献】特開平5-248058(JP,A)
【文献】実開昭55-18524(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/00
E04F 13/00-13/18
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角形管状の柱本体に半円筒状に形成された2つの半円筒材を組み合わせて円筒形状に形成される柱化粧材を固定する取付金具であって、
前記柱本体の角部を形成する2つの側面に固定される山形の基部と、
前記基部の一端を直角に折り曲げて形成され、先端に前記半円筒材がビス止めされる固定部と、
前記基部の他端を直角に折り曲げて形成され、先端が前記半円筒材の内面に当接する係止部と、を有する、
全体形状が上方から見て略W字形状であり、
2つの前記取付金具がそれぞれの前記基部を前記柱本体の対角となる2つの角部に固定されて、2つの前記半円筒材を保持して、前記柱化粧材を前記柱本体に固定することを特徴とする取付金具。
【請求項2】
柱本体に柱化粧材を固定する柱構造であって、
角形管状の前記柱本体と、
当該柱本体の外周に設けられ、2つの半円筒材を組み合わせて円筒形状に形成される前記柱化粧材と、
互いに柱本体の対角に固定される2つの請求項1に記載の取付金具と、を備えることを特徴とする柱構造。
【請求項3】
前記2つの半円筒材は、互いに両側端部が重なりあって円筒形状を形成するものであり、
前記取付金具は、前記固定部の前記2つの半円筒材の重なった部分がビス止めされるものであるとともに、前記係止部は前記半円筒材の円周方向の中間部に当接することを特徴とする請求項2に記載の柱構造。
【請求項4】
前記2つの半円筒材の互いに重なりあう前記両側端部は、当該半円筒材の外周面よりも半径方向の内側に配置されており、当該両側端部の底面同士が重なりあう溝状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の柱構造。
【請求項5】
既設の前記柱本体の外周に新設の前記柱化粧材を固定することにより、請求項2から請求項4のいずれかに記載の柱構造を施工する柱のリフォーム方法であって、
前記柱本体の対角となる2つの前記角部にそれぞれ前記取付金具の基部を固定する工程と、
前記取付金具の前記係止部の先端に内面が当接するように2つの前記半円筒材を配置する工程と、
前記2つの半円筒材の互いに重なりあう両側端部と、前記取付金具の前記固定部と、をビス止めする工程と、
を備えることを特徴とする柱のリフォーム方法。
【請求項6】
前記柱本体は断面正方形であり、
前記柱本体の寸法に応じて、異なる寸法の取付金具が用いられることを特徴とする請求項5に記載の柱のリフォーム方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角形管状の柱本体に、円筒形状の柱化粧材を固定する取付金具、当該取付金具を用いた柱構造、及び、既設の柱本体の外周に新たな柱化粧材を固定する柱のリフォーム方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より角形の柱本体に円形の柱化粧材を配置する構成が知られている(特許文献1、及び特許文献2参照)。特許文献1には、支柱の外周面全体を覆うように化粧カバーを取り付けた化粧柱であって、支柱と、円筒体を長さ方向に分割した一対の半体からなり支柱を被覆可能な化粧カバー材と、化粧カバー材の半体のそれぞれと支柱の間に固着され化粧カバー材を支柱に固定する中間部材とからなる化粧柱が記載されている。また、特許文献2には、玄関ポーチなどの柱が記載されており、当該柱は、柱本体の周囲にスペーサを沿設し、スペーサの対角線上のコーナ部に取付けたL形の基板を有する一対の取付金物によって、柱カバーが弾性保持されるものである点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-193403号公報
【文献】特開平07-317289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような化粧柱は、中間部材が柱本体の一辺にのみ固定されているので、ビス固定されているので、中間部材と柱本体との取付強度が弱くなりやすい。また、円筒体を分割した半体は一端が中間部材に固定されて柱本体と接合するととももに、他端が他方の半体に接合されるものであり、それぞれ接合する必要があるので、施工手間がかかる。
【0005】
そこで、本発明は、柱本体への柱化粧材の固定を強固且つ容易なものとすることができる取付金具、柱構造、及び柱のリフォーム方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の取付金具は、角形管状の柱本体に半円筒状に形成された2つの半円筒材を組み合わせて円筒形状に形成される柱化粧材を固定する取付金具であって、前記柱本体の角部を形成する2つの側面に固定される山形の基部と、前記基部の一端を直角に折り曲げて形成され、先端に前記半円筒材がビス止めされる固定部と、前記基部の他端を直角に折り曲げて形成され、先端が前記半円筒材の内面に当接する係止部と、を有する、全体形状が上方から見て略W字形状であり、2つの前記取付金具がそれぞれの前記基部を前記柱本体の対角となる2つの角部に固定されて、2つの前記半円筒材を保持して、前記柱化粧材を前記柱本体に固定することを特徴としている。
【0007】
本発明の柱構造は、柱本体に柱化粧材を固定する柱構造であって、角形管状の前記柱本体と、当該柱本体の外周に設けられ、2つの半円筒材を組み合わせて円筒形状に形成される前記柱化粧材と、互いに柱本体の対角に固定される2つの上記の取付金具と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の柱構造は、前記2つの半円筒材は、互いに両側端部が重なりあって円筒形状を形成するものであり、前記取付金具は、前記固定部の前記2つの半円筒材の重なった部分がビス止めされるものであるとともに、前記係止部は前記半円筒材の円周方向の中間部に当接することを特徴としている。
【0009】
本発明の柱構造は、前記2つの半円筒材の互いに重なりあう前記両側端部は、当該半円筒材の外周面よりも半径方向の内側に配置されており、当該両側端部の底面同士が重なりあう溝状に形成されることを特徴としている。
【0010】
本発明の柱のリフォーム方法は、既設の前記柱本体の外周に新設の前記柱化粧材を固定することにより、請求項2から請求項4のいずれかに記載の柱構造を施工する柱のリフォーム方法であって、前記柱本体の対角となる2つの前記角部にそれぞれ前記取付金具の基部を固定する工程と、前記取付金具の前記係止部の先端に内面が当接するように2つの前記半円筒材を配置する工程と、前記2つの半円筒材の互いに重なりあう両側端部と、前記取付金具の前記固定部と、をビス止めする工程と、を備えることを特徴としている。
【0011】
本発明の柱のリフォーム方法は、前記柱本体は断面正方形であり、前記柱本体の寸法に応じて、異なる寸法の取付金具が用いられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の取付金具によると、山形に形成された基部を柱本体の角部を形成する2つの側面にそれぞれ固定するので、取付金具を取付位置に容易に配置することができ、取付金具の固定が容易且つ強固なものとなる。取付金具は、係止部が半円筒材の内面に当接しつつ、固定部に半円筒材がビス止めされるので、取付金具への半円筒材の固定が容易となり、柱本体へ柱化粧材を固定する施工作業を容易なものとすることができる。
【0013】
本発明の柱構造によると、上記の取付金具を用いて、柱本体に柱化粧材を固定するので、施工作業を容易なものとすることができる。
【0014】
本発明の柱構造によると、2つの半円筒材の互いに重なりあう両側端部が、取付金具の固定部にビス止めされるので、1つのビスで2つの半円筒材の側端部を固定することができ、施工手間を減らすことができるとともに、それぞれの半円筒材は、両側端部が固定部にビス止めされるとともに、中間部の内面が係止部に当接することで、より強固に柱本体に固定することができる。
【0015】
本発明の柱構造によると、互いに重なりあい取付金具の固定部にビス止めされる両側端部が、当該半円筒材の外周面よりも半径方向の内側に配置されており、当該両側端部の底面同士が重なりあう溝状に形成されているので、柱化粧材の外周面よりも奥まった位置で重なり合ってビス止めされることとなり、意匠性の低下を防ぐことができる。
【0016】
本発明の柱のリフォーム方法によると、柱本体の対角となる2つの角部にそれぞれ取付金具の基部を固定する工程と、取付金具の係止部の先端に内面が当接するように2つの半円筒材を配置する工程と、2つの半円筒材の互いに重なりあう両側端部と、取付金具の固定部と、をビス止めする工程と、を備えるので、柱本体へ柱化粧材を固定する施工作業を容易なものとすることができる。
【0017】
本発明の柱のリフォーム方法によると、柱本体は断面正方形であり、前記柱本体の寸法に応じて、異なる寸法の取付金具が用いられるので、既設の柱本体の断面寸法が異なる場合であっても、取付金具を変更することで、同一の柱化粧材を用いて柱のリフォームをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】柱構造の全体構成を示す水平断面図。
図2】取付金具の全体構成を示す斜視図。
図3】柱本体に取付金具を取り付ける工程を示す斜視図。
図4】柱本体に取付金具を取り付けた状態を示す水平断面図。
図5】柱本体に水密材を取り付ける状態を示す斜視図。
図6】取付金具に柱化粧材を取り付ける工程を示す斜視図。
図7】柱化粧材を構成する半円筒材の両側端部を重ね合わせてビス止めする状態を示す斜視図。
図8】柱化粧材を構成する半円筒材の両側端部を重ね合わせてビス止めした状態を示す水平断面図。
図9】柱化粧材を構成する半円筒材の両側端部を重ねあ合わせて形成された目地に目地カバー材を挿入する状態を示す斜視図。
図10】取付金具の固定部及び係止部の突出長さを示す水平断面図。
図11】断面寸法が異なる柱本体に柱化粧材を取り付ける状態を示す水平断面図。
図12】柱化粧材の上端に配置される水密材を説明する一部省略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る取付金具1、柱構造2、及び柱のリフォーム方法の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。柱構造2は、例えば玄関ポーチの屋外床面3から軒裏面4の間にに立設される屋外柱の構造であり、角形管状の柱本体5に円筒形状に形成される柱化粧材6を固定して形成されるものである。柱構造2が立設される場所は、玄関ポーチに限定されるものではなく、バルコニーの下、軒下、又はピロティのように、屋外床面3が設けられるとともに、上方に建物から張り出して形成された構造物が設けられている空間の間に立設することができる。
【0020】
柱構造2は、図1に示すように、角形管状の柱本体5と、柱本体5の外周に設けられる柱化粧材6と、柱本体5に柱化粧材6を固定する2つの取付金具1と、を備える。柱本体5は、図1及び図3に示すように、鋼製で、水平方向の断面が一辺の長さが略60mmとなる正方形の角形管状である。また、柱本体5の下端は例えばコンクリート製の屋外床面3に接合されるとともに、柱本体5の上端は、軒裏面4によりも高く立設されており、建物から張り出して屋外床面3の上方に設けられる図示しない構造物を構成する梁や腕木等の躯体に固定されており、柱本体5は、建物から張り出す構造物の荷重を支持している。
【0021】
柱化粧材6は、図1及び図6に示すように、例えばアルミニウム製で、半円筒状に形成された2つの半円筒材60を組み合わせて円筒形状に形成されている。2つの半円筒材60は、屋外床面3から軒裏面4までの長さよりも僅かに短く形成されており、水平断面形状が半円弧に形成されている。そして半円筒材60の水平断面形状の一方の側端部61は、径方向の内側に折り曲げられるとともに、更に対向する半円筒材60に向けて折り曲げられて、L字状に形成されている。また、半円弧の水平断面形状の他方の側端部62は、半円筒材60の径方向の内側に折り曲げられ、さらに対向する半円筒材60に向けて折り曲げられるとともに、更にその先端が径方向の外側に折り曲げられ、溝形に形成されている。2つの半円筒材60は柱本体5の周りに組み合わせられたときに、互いに両側端部61,62の底面同士がそれぞれ重なり合って溝形の目地63が形成されており、全体として円筒形状の柱化粧材6を形成する。柱化粧材6は柱本体5の周りに取付られ、下端が屋外床面3に当接し、上端が軒裏面4よりも10mm低くなっている。
【0022】
2つの取付金具1は、図1及び図2に示すように、柱本体5の対角にそれぞれ固定されている。取付金具1は、鋼板を全体形状が上方から見て略W字状になるように、折り曲げて形成されており、それぞれの折り曲げ角度は、それぞれ略直角となっている。取付金具1は、柱本体5の角部を形成する2つの側面に当接して固定される山形の基部10と、基部10の一端を直角に折り曲げて形成され、先端に半円筒材60の側端部61,62がビス止めされる固定部11と、基部10の他端を直角に折り曲げて形成され、先端が半円筒材60の内周面に当接する係止部12と、を有する。
【0023】
基部10を構成する一方の面には、1つのビス挿入孔13が形成されるとともに、基部10を構成する他方の面には、2つのビス挿入孔13が形成されている。これら3つのビス挿入孔13は互いに高さ方向に間隔をあけて形成されている。基部10はビス挿入孔13にそれぞれ固定ビス14を打ち込んで、柱本体5に固定される。基部10は、略直角に折り曲げられた山形に形成されているので、柱本体5の角部に安定して当接させることができ、固定ビス14を打ち込む際の作業性を向上させることができる。また、基部10の2つの面にそれぞれ形成されているビス挿入孔13を通して、柱本体5の角部を挟んで隣接する2つの側面に固定ビス14を打ち込むこととなるので、固定ビス14を直交する2方向から打ち込むことで、取付金具1の固定を強固なものとすることができる。
【0024】
固定部11は、基部10の一端から直角に折り曲げられて、柱化粧材6の径方向外側に向かって突出するとともに、固定部11の先端がさらに直角に折れ曲がって折曲部15を形成し、この折曲部15が柱化粧材6の一方の側端部61の内側の面に当接する。そして、柱化粧材6の2つの半円筒材60の互いに重なりあう側端部61,62と、固定部11の先端の折曲部15とに、接合ビス16が貫通することで、柱化粧材6と固定部11とが接合されている。このように2つの半円筒材60の側端部61,62同士を重ね合わせて接合ビス16を貫通させることで、1つの接合ビス16で2つの半円筒材60の側端部61,62を同時に取付金物の固定部11に固定することができ、ビス打ち作業を減らすことができる。また、柱化粧材6の側端部61,62は、底面が互いに重なり合う溝形の目地63となり、当該目地63の底面に接合ビス16が打ち込まれることとなるので、接合ビス16の頭部が柱化粧材6の外周面よりも内側に入り込んで配置される。
【0025】
そして、柱化粧材6の側端部61,62により形成された目地63には、外側に露出する面が柱化粧材6の外周面と同じ円弧となる目地カバー材64が挿入されて、接合ビス16の頭部を隠している。目地カバー材64は柱化粧材6と上下方向の長さが同じであり、柱化粧材6の上端から下端までの目地63の全長にわたって挿入されている。
【0026】
係止部12は、基部10の他端から直角に折り曲げられて、柱化粧材6の径方向外側に向かって突出している。柱化粧材6の円周方向の中間部の内周面には、係止部12の先端の側面が当接するように1本の突条65が形成されている。柱化粧材6は内周面が係止部12の先端が当接するとともに、突条65が係止部12の先端の側面に当接することで位置決めされる。
【0027】
図10に示すように、柱化粧材6の内周の半径αは、係止部12の突出長さβと、柱本体5の水平断面の一辺の長さの半分γと、の和に等しくなり、且つ、柱化粧材6を構成する半円筒材60の両側端部61,62の互いに重なり合う底面の最も内側の面から柱化粧材6の中心までの距離σは、固定部11の突出長さεと、柱本体5の水平断面の一辺の長さの半分γと、の和に等しくなるように、取付金具1の寸法は決められる。なお、取付金具1は、図11に示すように、柱本体5の断面寸法に応じて複数の異なる寸法のものが用意されており、柱化粧材6は柱本体5の断面寸法に関わらず同じ断面寸法のものを用いることができる。
【0028】
柱化粧材6の上端には、図6及ぶ図12に示すように、弾性を有する合成樹脂発泡体の水密材66が配置されており、軒裏面4と柱化粧材6との間を埋める図示しないコーキング材の下地となっている。水密材66は2つの半円の平板体67からなり、内側に柱本体5の断面形状の半分の切り欠きがそれぞれ形成されており、柱本体5を挟んで2つの平板体67を当接させることで円形の水密材66となる。水密材66は、外周面の径が柱化粧材6の内周面の径よりも短く、下部分が柱化粧材6の内部に収納され、上部分が柱化粧材6の上端よりも上に突き出て、上面が軒裏面4に当接している。
【0029】
柱のリフォーム方法は、既設の柱本体5の外周に新たに新設の柱化粧材6を取り付けることによって、柱の意匠性を向上させるものである。柱のリフォーム方法では、まず、図3及び図4に示すように、既設の柱本体5の角部に取付金具1の基部10を固定する。具体的には、柱本体5の角部を挟んで隣接する2面に取付金具1の基部10を押し当てて当接させ、基部10に形成されている3つのビス挿入孔13にそれぞれビスを打ち込んで、柱本体5と取付金具1とを接合する。
【0030】
取付金具1は、柱本体5の対角となる2つの角部に取り付けられるとともに、上下方向に間隔をあけて3つずつ取り付けられる。柱本体5に取付金具1が固定されると、次に、図5に示すように、水密材66を形成する2つの半円の平板体67を、柱本体5の上部を挟むように配置して、水密材66を柱本体5の上部で、且つ、柱化粧材6の上端となる位置に取り付ける。そして、図6及び図7に示すように、柱化粧材6を構成する2つの半円筒材60を、互いに対角に配置されている取付金具1の係止部12の先端に当接させ、係止部12の先端の側面が突条65に当接するように配置することで、柱化粧材6を柱本体5の周りに円筒状に配置する。そして、2つの半円筒材60の互いに重なりあう両側端部61,62と、取付金具1の固定部11の先端に形成された折曲部15と、に貫通するように接合ビス16を打ち込んで、取付金具1に柱化粧材6を固定する。
【0031】
そして、図9に示すように、半円筒材60の両側端部61,62により形成された2つの目地63に目地カバー材64を挿入して、接合ビス16の頭部をカバーし、柱化粧材6の外周を完全に円周とする。その後、柱化粧材6の上端と軒裏面4との間に、図示しないコーキング材を充填して柱構造2を完成させる。このとき柱化粧材6の上端から突出し、軒裏面4に当接している水密材66がコーキング材のバックアップ材として機能している。
【0032】
以上のように、本実施形態の柱のリフォーム方法によると、柱本体5の角部に基部10を当接させて取付金具1を固定するので、取付金具1の位置決めや固定ビス14の打ち込み作業を容易なものとすることができるとともに、取付金具1の係止部12の先端の側面に半円筒材60の突条65を当接させて柱化粧材6の位置決めを行い、2つの半円筒材60の互いに重なりあう両側端部61,62と、取付金具1の固定部11と、を接合ビス16で固定するので、柱化粧材6の取付作業を容易なものとすることができる。
【0033】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る取付金具1、柱構造2、及び柱のリフォーム方法は、住宅の玄関ポーチのように屋外床面3と軒裏面4との間に設けられる柱本体5の意匠性を向上させるリフォームに用いられる取付金具1、柱構造2、及び柱のリフォーム方法として好適である。
【符号の説明】
【0035】
1 取付金具
2 柱構造
5 柱本体
6 柱化粧材
10 基部
11 固定部
12 係止部
60 半円筒材
61,62 側端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12