(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240927BHJP
D06F 58/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
D06F58/02 F
D06F58/04
(21)【出願番号】P 2021124321
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】劉 静
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2013/094145(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0024299(US,A1)
【文献】特開2015-054109(JP,A)
【文献】再公表特許第2013/094150(JP,A1)
【文献】特開2013-202159(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0017697(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106758072(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00~39/10
D06F 58/02~58/08
D06F 58/20~58/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される乾燥室と、
前記乾燥室内の空気を循環する循環風路と、
前記循環風路内に設けられ、前記循環風路内を流れる空気を除湿する除湿部と、
前記除湿部に対
し水を吐出することにより当該除湿部を洗浄する洗浄部と、
を備え
、
前記洗浄部は、長手方向に沿う上流側空間部および下流側空間部に区画され、水を吐出する複数の吐出口を前記下流側空間部に有しており、前記上流側空間部に流入した水が前記下流側空間部を経て前記吐出口から吐出されるように構成されている衣類乾燥機。
【請求項2】
前記洗浄部は、水を前記除湿部に近づくほど拡がるように吐出する請求項1に記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
前記洗浄部は、前記除湿部から離間している請求項2に記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記吐出口は、前記除湿部の風上側端面の真上の位置、または、前記除湿部の風上側端面の真上よりも風下側の位置に設けられている請求項1から3の何れか1項に記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
前記循環風路は、凹部を備え、
前記吐出口は、前記凹部内に設けられている請求項4に記載の衣類乾燥機。
【請求項6】
前記洗浄部は、その全体が、前記循環風路の上面よりも上側に設けられている請求項1から5の何れか1項に記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類を乾燥する衣類乾燥機の一例であるドラム式の洗濯乾燥機は、衣類が収容される乾燥室として水槽を備えるとともに、その水槽内の空気を循環する循環風路を備えている。また、この循環風路内には、乾燥用の周知のヒートポンプ機構を構成する蒸発器が除湿部として配置されている。衣類を乾燥する乾燥行程においては、水槽内の空気が循環風路を通して循環される。そして、循環風路内を流れる空気には、例えば糸くずや塵埃などといった異物が含まれている。そのため、循環風路の途中には、除湿部よりも風上側に位置して、異物を捕獲するための乾燥フィルタが備えられている。
【0003】
ところで、乾燥フィルタのメッシュサイズを小さくすることで、異物の捕獲性能を向上することができる。しかしながら、乾燥フィルタのメッシュサイズを小さくするほど、当該乾燥フィルタによる風路抵抗が大きくなり、十分な循環風量を確保できなくなる。そのため、乾燥フィルタのメッシュサイズを小さくすることには限界があり、従って、乾燥フィルタによって全ての異物を捕獲することはできず、異物が乾燥フィルタを通過してしまうことを完全に抑制することは困難である。そして、乾燥フィルタを通過した異物は、さらに循環風路内を風下側に流れて除湿部に至る。そのため、乾燥用のヒートポンプ機構を備える洗濯乾燥機においては、長年の使用により、乾燥フィルタを通過した異物が除湿部の風上側部分に堆積してしまうという課題がある。
【0004】
このような課題の解決を図るべく、従来より、除湿部の風上側部分に堆積した異物を除去するための技術の開発が検討されている。例えば特許文献1には、除湿部の風上側部分に水を吐出することにより、当該部分に堆積した異物を除去するようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来構成においては、水を吐出する吐出装置は、除湿部よりも風上側に設けられており、当該除湿部の風上側端面に対し風上側から水を吐出するように構成されている。そのため、従来構成では、除湿部の風上側端面に付着している異物が、吐出される水によって風下側部分、つまり、除湿部の内部に押し込まれてしまい、除湿部から異物を十分に除去することができない。また、従来構成では、除湿部の内部に押し込まれた異物により除湿性能が低下してしまうことが懸念される。また、従来構成では、水を吐出する吐出装置が除湿部の風上側に設けられていることから、その吐出装置により循環風路の風路抵抗が増大してしまい、乾燥効率を悪化させる要因となっている。
【0007】
そこで、本実施形態は、除湿部に水を吐出することにより洗浄する機能を備える衣類乾燥機について、吐出される水によって異物が除湿部の内部に押し込まれてしまうことを抑制でき、また、循環風路の風路抵抗が増大してしまうことを抑制できるようにした構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る衣類乾燥機は、衣類が収容される乾燥室と、前記乾燥室内の空気を循環する循環風路と、前記循環風路内に設けられ、前記循環風路内を流れる空気を除湿する除湿部と、前記除湿部に対し水を吐出することにより当該除湿部を洗浄する洗浄部と、を備え、前記洗浄部は、長手方向に沿う上流側空間部および下流側空間部に区画され、水を吐出する複数の吐出口を前記下流側空間部に有しており、前記上流側空間部に流入した水が前記下流側空間部を経て前記吐出口から吐出されるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る衣類乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図2】本実施形態に係る循環風路の構成例を概略的に示す図
【
図3】本実施形態に係る洗浄装置およびその周辺部分の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図4】本実施形態に係る洗浄装置およびその周辺部分の構成例を概略的に示す斜視図
【
図5】本実施形態に係る洗浄装置およびその周辺部分の構成例を拡大して概略的に示す縦断側面図
【
図6】本実施形態の変形例に係る洗浄装置およびその周辺部分の構成例を拡大して概略的に示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、衣類乾燥機に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に例示する洗濯乾燥機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、衣類を洗う洗い処理、衣類をすすぐすすぎ処理、衣類を脱水する脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。また、洗濯乾燥機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。また、洗濯乾燥機1は、衣類を乾燥する乾燥処理を施すことが可能な衣類乾燥機の一例でもある。
【0011】
洗濯乾燥機1は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱2の内部に、衣類処理槽3を備えている。衣類処理槽3は、例えば洗い処理、すすぎ処理、脱水処理などといった各種の処理の対象である図示しない衣類を収容可能に構成されている。本開示において、衣類処理槽3は、有底円筒状の水槽の内部に、同じく有底円筒状のドラムを回転可能に備えた構成である。ドラムの周壁には図示しない多数の小孔が設けられており、また、ドラムの内周面には、衣類をかき上げるための図示しない複数のバッフルが設けられている。
【0012】
衣類処理槽3の前面開口部3cは、外箱2の前面に設けられているドア4によって開閉可能に構成されている。使用者は、ドア4を開くことにより、衣類処理槽3の前面開口部3cを通して当該衣類処理槽3内に衣類を出し入れすることができる。また、衣類処理槽3は、衣類に乾燥処理を施す乾燥行程においては、衣類が収容される乾燥室としても機能する。
【0013】
また、洗濯乾燥機1は、衣類処理槽3内に水を供給するための給水部5、および、衣類処理槽3内の水を機外に排出するための排水部6を備えている。給水部5は、例えば水道などといった図示しない水源から衣類処理槽3に延びる給水経路7の途中に、周知の給水弁8や注水ケース9などを備えた構成となっている。また、排水部6は、衣類処理槽3の底部から機外に延びる排水経路10の途中に、周知の排水弁11などを備えた構成となっている。排水弁11が閉じられた状態で給水部5から衣類処理槽3内に水が供給されることにより、衣類処理槽3内に所定量の水が溜められる。また、排水弁11が開かれることにより、衣類処理槽3内の水が排水経路10を介して機外に排出される。
【0014】
排水経路10の途中には、排水弁11よりも上流側に周知の排水フィルタ部12が設けられている。排水フィルタ部12は、排水部6により衣類処理槽3内から排水経路10を介して機外に排出される水に含まれる例えば糸くずや塵埃などといった異物を捕獲する。
【0015】
また、洗濯乾燥機1は、循環風路13を備えている。循環風路13は、衣類処理槽3の外部において、衣類処理槽3の空気流出口3aと空気流入口3bとの間を接続している。この場合、空気流出口3aは、衣類処理槽3の上面の前部に設けられている。また、空気流入口3bは、衣類処理槽3の背面の上部に設けられている。なお、衣類処理槽3における空気流出口3aおよび空気流入口3bの位置は、適宜変更して実施することができる。
【0016】
循環風路13の途中には、熱交換ダクト14が設けられている。この場合、熱交換ダクト14は、外箱2内の下部の後部において、当該外箱2の左右方向に沿うように設けられている。また、循環風路13の途中には、熱交換ダクト14よりも上流側に周知の乾燥フィルタ15が設けられている。乾燥フィルタ15は、循環風路13内を流れる空気に含まれる例えば糸くずや塵埃などといった異物を捕獲する。
【0017】
図2に例示するように、洗濯乾燥機1は、ヒートポンプ機構16を備えている。ヒートポンプ機構16は、圧縮機17、凝縮器18、絞り器19、蒸発器20を冷媒管21によりサイクル接続した冷凍サイクルを構成している。このうち、熱交換器を構成する凝縮器18および蒸発器20は、循環風路13の一部を構成する熱交換ダクト14の内部に配置されている。
【0018】
また、循環風路13には、循環送風機22が備えられている。循環送風機22は、循環部の一例であり、衣類処理槽3内の空気を、循環風路13を通して循環させるものである。この循環送風機22が駆動されることにより、
図2に矢印Wで例示するように、衣類処理槽3内の空気は、空気流出口3aから循環風路13内に導入されて、空気流出口3a側である風上側から空気流入口3b側である風下側に向かって流れて、空気流入口3bから衣類処理槽3内に戻されるようになっている。即ち、循環送風機22が駆動されることにより、衣類処理槽3内の空気は、循環風路13を介して循環される。
【0019】
そして、蒸発器20は、熱交換ダクト14内において、衣類処理槽3の空気流出口3a側、つまり、循環風路13内の風上側に配置されている。一方、凝縮器18は、熱交換ダクト14内において、衣類処理槽3の空気流入口3b側、つまり、循環風路13内の風下側に配置されている。即ち、循環風路13内、より詳細には熱交換ダクト14内において、蒸発器20は、凝縮器18よりも風上側に配置されている。
【0020】
蒸発器20は、除湿部の一例であり、循環風路13内を空気流出口3a側から空気流入口3b側、つまり、風上側から風下側に向かって流れる空気を冷却して除湿する除湿手段として機能する。一方、凝縮器18は、加熱部の一例であり、循環風路13内を空気流出口3a側から空気流入口3b側、つまり、風上側から風下側に向かって流れる空気を加熱する加熱手段として機能する。
【0021】
洗濯乾燥機1は、さらに、洗浄部の一例である洗浄装置100を備えている。
図3にも例示するように、洗浄装置100は、熱交換ダクト14の上面14aに設けられている。また、洗浄装置100は、その全体が、蒸発器20の上端面よりも上方に位置するように設けられている。また、洗浄装置100は、その全体が、熱交換ダクト14の上面14aよりも上方に位置するように設けられている。また、洗浄装置100は、蒸発器20のうち風上側端面20aの直上領域に位置して設けられている。
【0022】
また、
図4に例示するように、洗浄装置100は、蒸発器20の風上側端面20aに沿うように直線状に延びている。以下、蒸発器20の風上側端面20aに沿う方向を端面方向A1と称する場合があり、この端面方向A1に直交する方向を風路方向A2と称する場合がある。端面方向A1は、循環風路13の一部を構成する熱交換ダクト14の延伸方向に直交する方向でもあり、洗浄装置100の長手方向A1でもある。また、風路方向A2は、循環風路13の一部を構成する熱交換ダクト14の延伸方向でもあり、循環風路13の一部を構成する熱交換ダクト14内において空気が流れる方向でもある。
【0023】
また、洗浄装置100は、その長手方向A1における一端部に給水口101を備えている。給水口101は、洗浄装置100の長手方向A1における一端部の上面から上方に向かって突出している。そして、この給水口101には、給水ホース102を介して、上述した給水部5の給水弁8が接続されている。これにより、給水弁8から給水ホース102および給水口101を介して洗浄装置100内に水が供給されるようになっている。
【0024】
次に、洗浄装置100の内部および洗浄装置100の周辺部分の構成例について、さらに詳細に説明する。
図5に例示するように、洗浄装置100は、上部形成部110および下部形成部120を組み合わせた構成となっている。
【0025】
上部形成部110は、洗浄装置100の主として上側部分を形成する構成要素であり、この場合、熱交換ダクト14の上面14aに一体的に設けられている。上部形成部110は、下段部111および上段部112を備えている。下段部111は、熱交換ダクト14の上面14aから上方に向かって矩形状に窪む下段凹部111aを形成している。また、上段部112は、下段部111の上面から上方に向かって矩形状に窪む上段凹部112aを形成している。この場合、上段部112が形成する上段凹部112aは、下段部111が形成する下段凹部111aよりも小さい凹部となっている。
【0026】
下部形成部120は、洗浄装置100の主として下側部分を形成する構成要素であり、この場合、上部形成部110の下段部111が形成する下段凹部111a内に取り付けられている。下部形成部120の下面には、下方に延出する複数、この場合、2つの下壁部121が設けられている。この場合、下壁部121は、下部形成部120の下面のうち風路方向A2における両端部にそれぞれ設けられている。
【0027】
また、下部形成部120の上面には、上方に突出する複数、この場合、2つの凸部122が設けられている。この場合、凸部122は、下部形成部120の上面のうち風路方向A2における両端部にそれぞれ設けられている。凸部122は、それぞれ、上部形成部110の下段部111の上面部に設けられている挿通孔113に挿通されている。これにより、下部形成部120が上部形成部110に対し位置ずれすることなく強固に固定されるようになっている。
【0028】
また、下部形成部120の上面には、上方に延出する上壁部123が設けられている。この場合、上壁部123は、下部形成部120の上面のうち風路方向A2におけるほぼ中央部に位置して設けられている。上壁部123は、洗浄装置100の長手方向A1に沿う長尺な壁部となっている。また、上壁部123は、下部形成部120が上部形成部110に取り付けられた状態において、上段凹部112a内に位置し、当該上段凹部112a内を上流側空間部131および下流側空間部132に区画する。
【0029】
この場合、上壁部123は、上段部112の上面部、より詳細には、上段凹部112aの上面には当接しておらず、従って、上流側空間部131および下流側空間部132は、上壁部123の上方において相互に連通した構成となっている。また、洗浄装置100の長手方向A1における上壁部123の両端面のうち給水口101とは反対側の端面は、上段凹部112aの内側面には当接しておらず、従って、上流側空間部131および下流側空間部132は、洗浄装置100の長手方向A1における上壁部123の両側部のうち給水口101とは反対側の側部においても相互に連通した構成となっている。
【0030】
そして、上流側空間部131内には、上述した給水口101から水が流入するようになっている。そして、上流側空間部131内に流入した水は、上壁部123の上部から下流側空間部132内に流入可能である。また、上流側空間部131内に流入した水は、洗浄装置100の長手方向A1における上壁部123の両側部のうち給水口101とは反対側の側部からも下流側空間部132内に流入可能である。そして、上流側空間部131内から下流側空間部132内に流入した水は、この下流側空間部132の下部に設けられている吐出口140から下方に向かって吐出される。
【0031】
洗浄装置100は、この場合、複数の吐出口140を備えている。複数の吐出口140は、洗浄装置100の長手方向A1に沿って直線状に配列されている。また、複数の吐出口140は、何れも、蒸発器20の風上側端面20aの真上の位置に設けられている。そのため、洗浄装置100は、蒸発器20の風上側端面20aに対し、その上方に位置する複数の吐出口140から水を吐出することにより、当該蒸発器20の特に風上側端面20aおよびその周辺部分を洗浄するように構成されている。
【0032】
そして、複数の吐出口140から吐出した水は、蒸発器20の風上側端面20aおよびその周辺部分を下方に向かって流れる。そして、このような水の流下に伴い、蒸発器20の風上側端面20aおよびその周辺部分に付着している異物が下方に洗い流される。なお、熱交換ダクト14の底面には、蒸発器20の風上側端面20aの下方に位置して、水や異物が通過可能な隙間が形成されている。これにより、洗濯乾燥機1は、洗浄装置100によって洗い流された異物を、熱交換ダクト14の外部に排出可能となっている。
【0033】
また、吐出口140は、その全体が均一な径寸法である構成ではなく、それぞれ径寸法が異なる入口部141および出口部142を一体的に備えた構成となっている。即ち、入口部141は、吐出口140の本体部分を形成する構成要素であり、この場合、上下方向に沿う長尺な円筒管状に構成されている。一方、出口部142は、吐出口140の下端部を形成する構成要素であり、この場合、少なくとも入口部141よりも径大な円筒管状に構成されている。また、上下方向における出口部142の寸法つまり出口部142の長さは、上下方向における入口部141の寸法つまり入口部141の長さよりも大幅に短くなっている。
【0034】
なお、入口部141の径寸法および出口部142の径寸法は、出口部142の径寸法が入口部141の径寸法よりも大きいという大小関係が成立している限り、それぞれ適宜変更して実施することができる。また、入口部141の長さおよび出口部142の長さは、出口部142の長さが入口部141の長さよりも短いという大小関係が成立している限り、それぞれ適宜変更して実施することができる。
【0035】
このように構成される吐出口140によれば、入口部141を流下した水は、この入口部141よりも径大な出口部142において拡開されて吐出されるようになる。これにより、洗浄装置100は、
図5において破線Tで例示するように、吐出口140から水を円錐状あるいは傘状に吐出するように構成されている。つまり、洗浄装置100は、吐出口140から水を、蒸発器20に近づくほど、この場合、蒸発器20の風上側端面20aに近づくほど拡がるように吐出する構成となっている。
【0036】
また、洗浄装置100において、上部形成部110に取り付けられた下部形成部120は、その全体が、下段凹部111a内に収容されるようになっている。また、下部形成部120が上部形成部110に取り付けられた状態において、当該下部形成部120の下端面つまり下壁部121の下端面は、熱交換ダクト14の上面14aよりも上側に位置する。即ち、上部形成部110に下部形成部120が取り付けられることにより構成される洗浄装置100は、その全体が、循環風路13の一部である熱交換ダクト14の上面14aよりも上側に設けられた構成となっている。
【0037】
また、下部形成部120に設けられている吐出口140は、その全体が、循環風路13の一部である熱交換ダクト14の上面14aに設けられている下段凹部111a内に収容された構成となっている。また、下部形成部120に設けられている吐出口140は、その全体が、循環風路13の一部である熱交換ダクト14の上面14aよりも上側に設けられた構成となっている。
【0038】
また、洗濯乾燥機1によれば、洗浄装置100は、蒸発器20の上端面から所定距離Dを有して離間した構成となっている。これにより、洗濯乾燥機1は、蒸発器20と洗浄装置100との間に、ある程度の大きさを有する空間Gが形成された構成となっている。
【0039】
以上に例示した本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、洗浄装置100は、蒸発器20の風上側端面20aに対し、その上方から水を吐出することにより当該蒸発器20の風上側端面20aおよびその周辺部分を洗浄する。この構成例によれば、洗浄装置100から吐出される水によって異物が風下側つまり蒸発器20の内部に押し込まれてしまうことを抑制することができ、蒸発器20から異物を十分に除去することができる。また、蒸発器20の内部に異物が残留してしまうことを回避することができ、蒸発器20の除湿性能が低下してしまうことを抑制することができる。また、蒸発器20の内部に残留する異物が風路抵抗となることを回避することができる。
【0040】
また、洗濯乾燥機1によれば、洗浄装置100は、循環風路13内における蒸発器20の風上側の領域には設けられていない。即ち、洗濯乾燥機1は、循環風路13内における蒸発器20の風上側の領域を洗浄装置100が塞ぐ構成とはなっていない。この構成例によれば、洗浄装置100が循環風路13内における空気の流れを妨げてしまうことを回避することができる。これにより、洗浄装置100により循環風路13内、特に、その一部である熱交換ダクト14内の風路抵抗が増大してしまうことを十分に抑制することができる。
【0041】
また、洗濯乾燥機1によれば、洗浄装置100は、水を蒸発器20の風上側端面20aに近づくほど拡がるように吐出するように構成されている。この構成例によれば、蒸発器20の風上側端面20aだけでなく、その周辺部分、特に、蒸発器20のうち風上側端面20aよりも風下側の部分も十分に洗浄することができる。
【0042】
また、洗濯乾燥機1によれば、洗浄装置100は、蒸発器20の上端面から少なくとも所定距離Dを有して離間している。この構成例によれば、洗浄装置100から吐出された水を拡げるためのスペースを十分に確保することができる。そのため、洗浄装置100から吐出された水を十分に拡げることができ、蒸発器20のうち風上側端面20aを含む一層広い範囲を十分に洗浄することができる。なお、所定距離Dの長さは、例えば、蒸発器20の大きさや洗浄装置100の大きさなどに応じて、適宜変更して実施することができる。
【0043】
また、洗濯乾燥機1によれば、吐出口140は、蒸発器20の風上側端面20aの真上の位置に設けられている。この構成例によれば、蒸発器20の風上側端面20aに対し、その真上から水を吐出することができる。これにより、蒸発器20の風上側端面20aに付着した異物を下方に洗い流しやすくすることができ、異物が蒸発器20の内部に押し込まれてしまうことを一層抑制することができる。また、蒸発器20の風上側端面20aについて、その上部領域を含む全面を洗浄することが可能である。
【0044】
また、洗濯乾燥機1によれば、吐出口140は、循環風路13に設けられている下段凹部111a内、より詳細には、循環風路13の一部を構成する熱交換ダクト14の上面14aから上方に窪む下段凹部111a内に設けられている。この構成例によれば、蒸発器20から十分に離れた位置に吐出口140を設けることができ、吐出口140から吐出された水を拡げるためのスペースを一層確保しやすくできる。
【0045】
また、洗濯乾燥機1によれば、洗浄装置100は、その全体が、循環風路13の一部を構成する熱交換ダクト14の上面14aよりも上側に設けられている。この構成例によれば、洗浄装置100の全体が循環風路13内における蒸発器20の風上側の領域には設けられていない構成を実現することができる。つまり、洗浄装置100が循環風路13内における蒸発器20の風上側の領域を塞いでいない構成を実現することができる。これにより、洗浄装置100が循環風路13内における空気の流れを妨げてしまうことを一層回避することができ、洗浄装置100によって循環風路13内の風路抵抗が増大してしまうことを一層抑制することができる。
【0046】
また、洗濯乾燥機1によれば、洗浄装置100が循環風路13の一部を構成する熱交換ダクト14の上面14aよりも上側に設けられていることにより、循環風路13内を流れる空気が洗浄装置100に直接的に接触しにくい構成が実現されている。これにより、循環風路13内を流れる空気に含まれる異物が洗浄装置100に付着することや吐出口140内に詰まってしまうことを抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜、変更や拡張を行うことができる。例えば、
図6に例示するように、洗浄装置100は、吐出口140を、蒸発器20の風上側端面20aの真上よりも風下側の位置に設けた構成としてもよい。この構成例によれば、蒸発器20の風上側端面20aに付着した異物を風下側から風上側に向けて押し出すようにして洗い流すことができる。即ち、吐出口140から吐出される水によって異物が蒸発器20の内部に押し込まれてしまうことを一層抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態における「真上」とは、吐出口140が蒸発器20の風上側端面20aの直上に誤差無く設けられている構成を含むとともに、吐出口140が蒸発器20の風上側端面20aの直上から若干量、例えば数mmから数cmほど風路方向A2にずれている構成も含む概念である。
【0049】
また、吐出口140の構成は、適宜変更して実施することができ、例えば、入口部141および出口部142の径寸法や長さは、適宜変更して実施することができる。また、吐出口140は、出口部142を、下方ほど径寸法が大きくなるテーパ状に形成してもよい。この構成例によれば、吐出口140から吐出される水を一層拡げやすくすることができる。
【0050】
また、吐出口140は、その全体の径寸法が均一な構成であってもよい。即ち、吐出口140は、出口部142を備えない構成としてもよい。この構成例によっても、例えば入口部141内を流れる水の勢いにより、水を拡げて吐出することが可能である。
【0051】
また、洗浄装置100が備える吐出口140の数は、適宜変更して実施することができる。また、吐出口140は、円筒管状の構成に限られるものではなく、水を吐出可能な貫通孔状の構成であれば種々の構成を適用することができる。
【0052】
また、本実施形態は、回転槽の回転軸が水平方向または傾斜方向に延びるいわゆるドラム式の洗濯乾燥機に限られるものではなく、回転槽の回転軸が垂直方向となるいわゆる縦軸型の洗濯乾燥機にも適用することができる。また、本実施形態は、洗濯機能を有しない純粋な衣類乾燥機にも適用することができる。
【0053】
なお、本実施形態は、あくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
図面中、1は洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、3は衣類処理槽(乾燥室)、13は循環風路、20は蒸発器(除湿部)、20aは除湿部の風上側端面、14aは循環風路の上面、100は洗浄装置(洗浄部)、111aは下段凹部(凹部)、140は吐出口、を示す。