(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】得意先販売情報管理装置、得意先販売情報管理方法、および、得意先販売情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20230101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/02
(21)【出願番号】P 2021183267
(22)【出願日】2021-11-10
【審査請求日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2021058589
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小阪 康洋
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-068912(JP,A)
【文献】特開2002-163443(JP,A)
【文献】特開2013-084138(JP,A)
【文献】特開2010-079358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた得意先販売情報管理装置であって、
前記記憶部は、
メーカーの担当者、および、当該メーカーの得意先の納入先であるエンドユーザを紐付けて設定したエンドユーザマスタと、
前記得意先と前記エンドユーザを紐付ける得意先エンドユーザ識別子、当該得意先、および、当該エンドユーザを紐付けて設定した得意先エンドユーザ変換マスタと、
商品、および、小売単価を紐付けて設定した小売単価マスタと、
を備え、
前記制御部は、
前記得意先エンドユーザ識別子、前記商品、および、前記エンドユーザへの納入金額を紐付けて設定した得意先報告情報を取得する得意先報告取得手段と、
前記エンドユーザマスタ、前記得意先エンドユーザ変換マスタおよび前記小売単価マスタに基づいて、前記得意先報告情報に対するデータ変換処理により、前記メーカーの担当者、前記商品、および、小売価格を設定した得意先販売情報を取得するデータ変換手段と、
を備えたことを特徴とする得意先販売情報管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記得意先販売情報に基づいて、前記メーカーの担当者別の前記エンドユーザへの前記商品の納入数量を設定した担当者別商品別分析データを取得する分析取得手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の得意先販売情報管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記得意先販売情報に基づいて、前記得意先から前記エンドユーザへの前記商品別の納入数量を設定したエンドユーザ別商品別分析データを取得する分析取得手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の得意先販売情報管理装置。
【請求項4】
前記得意先報告情報は、
更に、納入日が紐付けて設定され、
前記得意先販売情報は、
更に、納入年月が紐付けて設定され、
前記制御部は、
前記得意先販売情報に基づいて、前記納入年月別に、前記得意先から前記エンドユーザへの前記商品別の納入数量を比較した需要分析データを取得する分析取得手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の得意先販売情報管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記得意先、前記商品、前記メーカーから前記得意先に対する前記商品の売上数量、前記商品の売上単価、および、前記商品の原価単価を設定した売上情報を取得する売上取得手段、
を更に備え、
前記データ変換手段は、
前記売上情報、前記エンドユーザマスタ、前記得意先エンドユーザ変換マスタおよび前記小売単価マスタに基づいて、前記得意先報告情報に対する前記データ変換処理により、前記メーカーの担当者、前記商品、前記小売価格、得意先利幅、および、メーカー粗利を設定した前記得意先販売情報を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の得意先販売情報管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記得意先販売情報に基づいて、前記得意先別且つ前記商品別の、前記メーカー粗利から前記得意先利幅を差し引いた差額を設定した利幅分析データを取得する分析取得手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項5に記載の得意先販売情報管理装置。
【請求項7】
前記得意先販売情報は、
更に、前記売上単価と前記売上数量とを乗じた売上金額、および、前記原価単価と前記売上数量とを乗じた原価が設定されたことを特徴とする請求項5または6に記載の得意先販売情報管理装置。
【請求項8】
前記メーカー粗利は、
前記売上金額から前記原価を差し引いた金額であり、
前記得意先利幅は、
前記納入金額から前記売上金額を差し引いた金額であることを特徴とする請求項7に記載の得意先販売情報管理装置。
【請求項9】
前記小売単価は、
薬価であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の得意先販売情報管理装置。
【請求項10】
記憶部と制御部とを備えた得意先販売情報管理装置に実行させるための得意先販売情報管理方法であって、
前記記憶部は、
メーカーの担当者、および、当該メーカーの得意先の納入先であるエンドユーザを紐付けて設定したエンドユーザマスタと、
前記得意先と前記エンドユーザを紐付ける得意先エンドユーザ識別子、当該得意先、および、当該エンドユーザを紐付けて設定した得意先エンドユーザ変換マスタと、
商品、および、小売単価を紐付けて設定した小売単価マスタと、
を備え、
前記制御部
が実行する、
前記得意先エンドユーザ識別子、前記商品、および、前記エンドユーザへの納入金額を紐付けて設定した得意先報告情報を取得する得意先報告取得ステップと、
前記エンドユーザマスタ、前記得意先エンドユーザ変換マスタおよび前記小売単価マスタに基づいて、前記得意先報告情報に対するデータ変換処理により、前記メーカーの担当者、前記商品、および、小売価格を設定した得意先販売情報を取得するデータ変換ステップと、
を含むことを特徴とする得意先販売情報管理方法。
【請求項11】
記憶部と制御部とを備えた得意先販売情報管理装置に実行させるための得意先販売情報管理プログラムであって、
前記記憶部は、
メーカーの担当者、および、当該メーカーの得意先の納入先であるエンドユーザを紐付けて設定したエンドユーザマスタと、
前記得意先と前記エンドユーザを紐付ける得意先エンドユーザ識別子、当該得意先、および、当該エンドユーザを紐付けて設定した得意先エンドユーザ変換マスタと、
商品、および、小売単価を紐付けて設定した小売単価マスタと、
を備え、
前記制御部において、
前記得意先エンドユーザ識別子、前記商品、および、前記エンドユーザへの納入金額を紐付けて設定した得意先報告情報を取得する得意先報告取得ステップと、
前記エンドユーザマスタ、前記得意先エンドユーザ変換マスタおよび前記小売単価マスタに基づいて、前記得意先報告情報に対するデータ変換処理により、前記メーカーの担当者、前記商品、および、小売価格を設定した得意先販売情報を取得するデータ変換ステップと、
を実行させるための得意先販売情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、得意先販売情報管理装置、得意先販売情報管理方法、および、得意先販売情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、医薬品業界において、卸から病院・薬局への販売日、商品の種類、販売数量、納入先等が設定された卸販売データを医薬品メーカーが受領可能とし、医薬品の販売動向等を分析可能とさせる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、卸が納入先である病院・薬局に対して販売した情報を保持・管理・活用して、メーカーの担当者毎の販売情報を作成することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、メーカーからみた得意先がエンドユーザに対して販売した情報を保持・管理・活用して、メーカーの担当者毎の販売情報を作成することができる得意先販売情報管理装置、得意先販売情報管理方法、および、得意先販売情報管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る得意先販売情報管理装置は、記憶部と制御部とを備えた得意先販売情報管理装置であって、前記記憶部は、メーカーの担当者、および、当該メーカーの得意先の納入先であるエンドユーザを紐付けて設定したエンドユーザマスタと、前記得意先と前記エンドユーザを紐付ける得意先エンドユーザ識別子、当該得意先、および、当該エンドユーザを紐付けて設定した得意先エンドユーザ変換マスタと、商品、および、小売単価を紐付けて設定した小売単価マスタと、を備え、前記制御部は、前記得意先エンドユーザ識別子、前記商品、および、前記エンドユーザへの納入金額を紐付けて設定した得意先報告情報を取得する得意先報告取得手段と、前記エンドユーザマスタ、前記得意先エンドユーザ変換マスタおよび前記小売単価マスタに基づいて、前記得意先報告情報に対するデータ変換処理により、前記メーカーの担当者、前記商品、および、小売価格を設定した得意先販売情報を取得するデータ変換手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る得意先販売情報管理装置において、前記制御部は、前記得意先販売情報に基づいて、前記メーカーの担当者別の前記エンドユーザへの前記商品の納入数量を設定した担当者別商品別分析データを取得する分析取得手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る得意先販売情報管理装置において、前記制御部は、前記得意先販売情報に基づいて、前記得意先から前記エンドユーザへの前記商品別の納入数量を設定したエンドユーザ別商品別分析データを取得する分析取得手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る得意先販売情報管理装置において、前記得意先報告情報は、更に、納入日が紐付けて設定され、前記得意先販売情報は、更に、納入年月が紐付けて設定され、前記制御部は、前記得意先販売情報に基づいて、前記納入年月別に、前記得意先から前記エンドユーザへの前記商品別の納入数量を比較した需要分析データを取得する分析取得手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る得意先販売情報管理装置において、前記制御部は、前記得意先、前記商品、前記メーカーから前記得意先に対する前記商品の売上数量、前記商品の売上単価、および、前記商品の原価単価を設定した売上情報を取得する売上取得手段、を更に備え、前記データ変換手段は、前記売上情報、前記エンドユーザマスタ、前記得意先エンドユーザ変換マスタおよび前記小売単価マスタに基づいて、前記得意先報告情報に対する前記データ変換処理により、前記メーカーの担当者、前記商品、前記小売価格、得意先利幅、および、メーカー粗利を設定した前記得意先販売情報を取得することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る得意先販売情報管理装置において、前記制御部は、前記得意先販売情報に基づいて、前記得意先別且つ前記商品別の、前記メーカー粗利から前記得意先利幅を差し引いた差額を設定した利幅分析データを取得する分析取得手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る得意先販売情報管理装置において、前記得意先販売情報は、更に、前記売上単価と前記売上数量とを乗じた売上金額、および、前記原価単価と前記売上数量とを乗じた原価が設定されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る得意先販売情報管理装置において、前記メーカー粗利は、前記売上金額から前記原価を差し引いた金額であり、前記得意先利幅は、前記納入金額から前記売上金額を差し引いた金額であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る得意先販売情報管理装置において、前記小売単価は、薬価であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る得意先販売情報管理方法は、記憶部と制御部とを備えた得意先販売情報管理装置に実行させるための得意先販売情報管理方法であって、前記記憶部は、メーカーの担当者、および、当該メーカーの得意先の納入先であるエンドユーザを紐付けて設定したエンドユーザマスタと、前記得意先と前記エンドユーザを紐付ける得意先エンドユーザ識別子、当該得意先、および、当該エンドユーザを紐付けて設定した得意先エンドユーザ変換マスタと、商品、および、小売単価を紐付けて設定した小売単価マスタと、を備え、前記制御部で実行させる、前記得意先エンドユーザ識別子、前記商品、および、前記エンドユーザへの納入金額を紐付けて設定した得意先報告情報を取得する得意先報告取得ステップと、前記エンドユーザマスタ、前記得意先エンドユーザ変換マスタおよび前記小売単価マスタに基づいて、前記得意先報告情報に対するデータ変換処理により、前記メーカーの担当者、前記商品、および、小売価格を設定した得意先販売情報を取得するデータ変換ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る得意先販売情報管理プログラムは、記憶部と制御部とを備えた得意先販売情報管理装置に実行させるための得意先販売情報管理プログラムであって、前記記憶部は、メーカーの担当者、および、当該メーカーの得意先の納入先であるエンドユーザを紐付けて設定したエンドユーザマスタと、前記得意先と前記エンドユーザを紐付ける得意先エンドユーザ識別子、当該得意先、および、当該エンドユーザを紐付けて設定した得意先エンドユーザ変換マスタと、商品、および、小売単価を紐付けて設定した小売単価マスタと、を備え、前記制御部において、前記得意先エンドユーザ識別子、前記商品、および、前記エンドユーザへの納入金額を紐付けて設定した得意先報告情報を取得する得意先報告取得ステップと、前記エンドユーザマスタ、前記得意先エンドユーザ変換マスタおよび前記小売単価マスタに基づいて、前記得意先報告情報に対するデータ変換処理により、前記メーカーの担当者、前記商品、および、小売価格を設定した得意先販売情報を取得するデータ変換ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、代理店経由の商流を持つ業界に対して、訴求力をもたせることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、トレーサビリティ、需要予測、得意先や自社の利幅把握、および、値引き交渉を効率的に行うことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、医薬品メーカーは病院に直接営業行為ができないため、この特性(法規)を守りながら医薬品メーカーとして必要な販売実績情報を取得し分析することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、本来可視化できない最終納入先への販売実績を可視化でき、次の製品開発や自社内の業績評価に使うことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、得意先から受領するエンドユーザへの販売情報と、自社の売上情報、卸単価、担当MR(Medical Representative:医薬情報担当者)等の情報とを結合することで、担当MR・商品別のエンドユーザへの販売実績を把握することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、医薬品メーカーにて求められる、得意先の販売情報、および、最終納入先情報の保持と分析をすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、MRの営業成績判断、トレーサビリティ、需要分析、得意先への利幅確認、および、値引額算出を可能とするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
図2は、本実施形態における得意先販売情報管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態におけるエンドユーザマスタを示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における得意先エンドユーザ変換マスタを示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における得意先マスタを示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における商品マスタを示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における売上単価マスタを示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における小売単価マスタを示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態における得意先販売情報管理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本実施形態における得意先販売情報管理処理の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における得意先販売情報管理処理の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態における分析データの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施形態における分析データの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本実施形態における分析データの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本実施形態における分析データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0020】
[1.概要]
まず、
図1を参照して、本発明の概要を説明する。
図1は、医薬品販路の一例を示す図である。
【0021】
従来、エンドユーザへの販売情報と自社から得意先への売上情報とを切り離して管理していたことで、マスタの一元管理ができず煩雑になっていたため、販売情報と売上情報との両データを紐づけしての分析が効率よく行うことができず、手間がかかっていた。
【0022】
ここで、
図1に示すように、医薬品販売においては、医薬品が(1)メーカーである自社から医薬品卸である得意先へ納品され、(2)得意先から病院または医師である最終納品先へ納品される。ここで、医薬品メーカーの営業であるMRは、最終納入先(病院または医師等)に製品情報の提供のみ行い、販売活動は禁止されている。但し、最終納入先(病院または医師等)にどれだけ自社の製品を使ってもらうかが営業成績の判断となるため、メーカーにとって、
図1(2)の情報が必要となる。
【0023】
そこで、本実施形態において、得意先のマスタ、エンドユーザのマスタ、および、得意先の取引先とエンドユーザとの変換のマスタを保持し、得意先の販売情報を保持し、得意先の販売情報を保持する際に、得意先側の売上先情報(エンドユーザ情報)を自社情報に変換し、自社の売上情報と得意先販売情報とを紐付けする仕組みを提供している。例えば、本実施形態においては、
図1(2)の販売情報をメーカーが保持する仕組みを提供している。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る得意先販売情報管理装置100の構成の一例について、
図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態における得意先販売情報管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、得意先販売情報管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、得意先販売情報管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
得意先販売情報管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。得意先販売情報管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、得意先販売情報管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、得意先販売情報管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、エンドユーザマスタ106aと得意先エンドユーザ変換マスタ106bと得意先マスタ106cと商品マスタ106dと売上単価マスタ106eと小売単価マスタ106fとを備えている。
【0030】
エンドユーザマスタ106aは、メーカーの担当者(MR)、および、当該メーカーの得意先の納入先であるエンドユーザを紐付けて設定したマスタである。ここで、エンドユーザマスタ106aは、エンドユーザコード、エンドユーザ名、および、担当者名が紐付けて設定されていてもよい。
【0031】
ここで、
図3を参照して、本実施形態におけるエンドユーザマスタ106aについて説明する。
図3は、本実施形態におけるエンドユーザマスタ106aを示す図である。
【0032】
図3に示すように、本実施形態におけるエンドユーザマスタ106aにおいては、エンドユーザコード、エンドユーザ名、および、担当MR名が紐付けて設定されている。
【0033】
図2に戻り、得意先エンドユーザ変換マスタ106bは、得意先、および、エンドユーザを紐付けて設定したマスタである。ここで、得意先エンドユーザ変換マスタ106bは、得意先とエンドユーザを紐付ける得意先エンドユーザ識別子、当該得意先、および、当該エンドユーザが紐付けて設定されていてもよい。また、得意先エンドユーザ変換マスタ106bは、得意先エンドユーザコード、得意先コード、および、エンドユーザコードが紐付けて設定されていてもよい。
【0034】
ここで、
図4を参照して、本実施形態における得意先エンドユーザ変換マスタ106bについて説明する。
図4は、本実施形態における得意先エンドユーザ変換マスタ106bを示す図である。
【0035】
図4に示すように、本実施形態における得意先エンドユーザ変換マスタ106bにおいては、得意先コード、得意先エンドユーザコード、および、エンドユーザコードが紐付けて設定されている。
【0036】
図2に戻り、得意先マスタ106cは、得意先を設定したマスタである。ここで、得意先マスタ106cは、得意先コード、および、得意先名が紐付いて設定されていてもよい。
【0037】
ここで、
図5を参照して、本実施形態における得意先マスタ106cについて説明する。
図5は、本実施形態における得意先マスタ106cを示す図である。
【0038】
図5に示すように、本実施形態における得意先マスタ106cにおいては、得意先コード、および、得意先名が紐付いて設定されている。
【0039】
図2に戻り、商品マスタ106dは、商品を設定したマスタである。ここで、商品マスタ106dは、商品コード、および、商品名が紐付けて設定されていてもよい。
【0040】
ここで、
図6を参照して、本実施形態における商品マスタ106dについて説明する。
図6は、本実施形態における商品マスタ106dを示す図である。
【0041】
図6に示すように、本実施形態における商品マスタ106dにおいては、商品コード、および、商品名が紐付いて設定されている。
【0042】
図2に戻り、売上単価マスタ106eは、商品、および、売上単価を紐付けて設定したマスタである。ここで、売上単価マスタ106eは、商品コード、および、売上単価が紐付けて設定されていてもよい。
【0043】
ここで、
図7を参照して、本実施形態における売上単価マスタ106eについて説明する。
図7は、本実施形態における売上単価マスタ106eを示す図である。
【0044】
図7に示すように、本実施形態における売上単価マスタ106eにおいては、商品コード、および、売上単価が紐付いて設定されている。
【0045】
図2に戻り、小売単価マスタ106fは、商品、および、小売単価を紐付けて設定したマスタである。ここで、小売単価は、薬価であってもよい。また、小売単価マスタ106fは、商品コード、および、小売単価が紐付けて設定されていてもよい。
【0046】
ここで、
図8を参照して、本実施形態における小売単価マスタ106fについて説明する。
図8は、本実施形態における小売単価マスタ106fを示す図である。
【0047】
図8に示すように、本実施形態における小売単価マスタ(薬価マスタ)106fにおいては、商品コード、および、薬価が紐付いて設定されている。
【0048】
図2に戻り、制御部102は、得意先販売情報管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、得意先報告取得部102aと売上取得部102bとデータ変換部102cと分析取得部102dとを備えている。
【0049】
得意先報告取得部102aは、得意先からエンドユーザへの商品納入に関する得意先報告情報を取得する。ここで、得意先報告取得部102aは、得意先エンドユーザ識別子、商品、および、エンドユーザへの納入金額を紐付けて設定した得意先報告情報を取得してもよい。また、得意先報告情報は、納入日が紐付けて設定されていてもよい。
【0050】
売上取得部102bは、メーカーから得意先に対する商品の売上情報を取得する。ここで、売上取得部102bは、得意先、商品、メーカーから得意先に対する商品の売上数量、商品の売上単価、および、商品の原価単価を設定した売上情報を取得してもよい。
【0051】
データ変換部102cは、得意先報告情報に対するデータ変換処理により、得意先販売情報を取得する。ここで、データ変換部102cは、エンドユーザマスタ106a、得意先エンドユーザ変換マスタ106bおよび小売単価マスタ106fに基づいて、得意先報告情報に対するデータ変換処理により、メーカーの担当者、商品、および、小売価格を設定した得意先販売情報を取得してもよい。また、得意先販売情報は、納入年月が紐付けて設定されていてもよい。また、データ変換部102cは、売上情報、エンドユーザマスタ106a、得意先エンドユーザ変換マスタ106bおよび小売単価マスタ106fに基づいて、得意先報告情報に対するデータ変換処理により、メーカーの担当者、商品、小売価格、得意先利幅、および、メーカー粗利を設定した得意先販売情報を取得してもよい。また、得意先販売情報は、売上単価と売上数量とを乗じた売上金額、および、原価単価と売上数量とを乗じた原価が設定されていてもよい。また、メーカー粗利は、売上金額から原価を差し引いた金額であってもよい。また、得意先利幅は、納入金額から売上金額を差し引いた金額であってもよい。
【0052】
分析取得部102dは、得意先販売情報に基づいて、分析データを取得する。ここで、分析取得部102dは、得意先販売情報に基づいて、メーカーの担当者別のエンドユーザへの商品の納入数量を設定した担当者別商品別分析データを取得してもよい。また、分析取得部102dは、得意先販売情報に基づいて、得意先からエンドユーザへの商品別の納入数量を設定したエンドユーザ別商品別分析データを取得してもよい。また、分析取得部102dは、得意先販売情報に基づいて、納入年月別に、得意先からエンドユーザへの商品別の納入数量を比較した需要分析データを取得してもよい。また、分析取得部102dは、得意先販売情報に基づいて、得意先別且つ商品別の、メーカー粗利から得意先利幅を差し引いた差額を設定した利幅分析データを取得してもよい。また、分析取得部102dは、分析データを表示させてもよい。
【0053】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図9から
図15を参照して説明する。
【0054】
[得意先販売情報管理処理]
ここで、
図9を参照して、本実施形態における得意先販売情報管理処理の一例について説明する。
図9は、本実施形態における得意先販売情報管理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
図9に示すように、得意先報告取得部102aは、得意先エンドユーザ識別子、納入日、商品、および、エンドユーザへの納入金額を紐付けて設定した得意先報告情報を取得する(ステップSA-1)。
【0056】
そして、データ変換部102cは、エンドユーザマスタ106a、得意先エンドユーザ変換マスタ106bおよび小売単価マスタ106fに基づいて、得意先報告情報に対するデータ変換処理により、メーカーのMR、納入日、商品、および、小売価格を設定した得意先販売情報を取得する(ステップSA-2)。
【0057】
そして、売上取得部102bは、得意先マスタ106c、商品マスタ106dおよび売上単価マスタ106eに基づいて、得意先、商品、メーカーから得意先に対する商品の売上数量、商品の売上単価、および、商品の原価単価を設定した売上情報を取得する(ステップSA-3)。
【0058】
そして、データ変換部102cは、売上情報、エンドユーザマスタ106a、得意先エンドユーザ変換マスタ106bおよび小売単価マスタ106fに基づいて、得意先販売情報に得意先利幅、および、メーカー粗利を設定更新する(ステップSA-4)。
【0059】
そして、分析取得部102dは、得意先販売情報に基づいて、分析データを取得し、分析データが出力装置114に表示され(ステップSA-5)、処理を終了する。
【0060】
ここで、
図10から
図15を参照して、本実施形態における得意先販売情報管理処理の一例について説明する。
図10から
図11は、本実施形態における得意先販売情報管理処理の一例を示す図である。
図12から
図15は、本実施形態における分析データの一例を示す図である。
【0061】
図10に示すように、本実施形態においては、エンドユーザマスタ106a、得意先エンドユーザ変換マスタ106bおよび小売単価マスタ106fに基づいて、トランザクションである、得意先からエンドユーザへの商品納入に関する得意先報告情報に対するデータ変換処理により、得意先販売情報が追加される。
【0062】
そして、
図11に示すように、本実施形態においては、自社から得意先への売上情報、エンドユーザマスタ106a、得意先エンドユーザ変換マスタ106bおよび小売単価マスタ106fに基づいて、得意先販売情報に売上単価、売上金額、得意先利幅、原価単価、原価およびメーカー粗利が付与(追加設定)される。ここで、「売上金額」=「売上単価」×「数量」、「得意先利幅」=「納入金額」-「売上金額」、「原価」=「原価単価」×「数量」、および、「自社粗利」=「売上金額」-「原価」であってもよい。
【0063】
そして、本実施形態においては、蓄積した実績から種々のデータ抽出・分析が行われ、
図12に示すように、年月別MR別商品別の納入数量を示す担当者別商品別分析データが取得され、
図13に示すように、トレーサビリティのためのエンドユーザ別納入実績把握を可能とするエンドユーザ別商品別分析データが取得され、
図14に示すように、需要分析データが取得され、
図15に示すように、自社から得意先、および、得意先からエンドユーザの売買金額の差から利幅を確認可能とする利幅分析データが取得される。
【0064】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0067】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0068】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0069】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0070】
また、得意先販売情報管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0071】
例えば、得意先販売情報管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて得意先販売情報管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0072】
また、このコンピュータプログラムは、得意先販売情報管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0073】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0074】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0075】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0076】
また、得意先販売情報管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、得意先販売情報管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0077】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、医薬品業界、食品業界、雑貨等の製造業界、および、代理店経由の商流を持つ卸業界等において有用である。
【符号の説明】
【0079】
100 得意先販売情報管理装置
102 制御部
102a 得意先報告取得部
102b 売上取得部
102c データ変換部
102d 分析取得部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a エンドユーザマスタ
106b 得意先エンドユーザ変換マスタ
106c 得意先マスタ
106d 商品マスタ
106e 売上単価マスタ
106f 小売単価マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク