(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電磁気機械用巻線配列とこれを利用した移動電磁気式機械
(51)【国際特許分類】
H02K 3/28 20060101AFI20240927BHJP
H02K 3/47 20060101ALI20240927BHJP
H02K 16/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H02K3/28 J
H02K3/47
H02K16/04
(21)【出願番号】P 2021544844
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 KR2020001424
(87)【国際公開番号】W WO2020159253
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】10-2019-0012247
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521339094
【氏名又は名称】明 南秀
【氏名又は名称原語表記】MYUNG, Nam Soo
【住所又は居所原語表記】101-1202, 121, Jeongjail-ro Bundang-gu, Seongnam-si Gyeonggi-do 13560 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110003764
【氏名又は名称】弁理士法人OMNI国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】明 南秀
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-222983(JP,A)
【文献】特表2008-512072(JP,A)
【文献】国際公開第2017/014062(WO,A1)
【文献】特開平11-164536(JP,A)
【文献】特開2016-192886(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102857001(CN,A)
【文献】米国特許第06373161(US,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1854723(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0224557(US,A1)
【文献】国際公開第2017/080010(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/28
H02K 3/47
H02K 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で第1方向に離隔して形成されて、互いに離隔した空間内で互いに向かい合い、第1基準線を基準にミラーイメージを有する第1巻線配列;及び第2巻線配列を含み、
前記第1巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期及び少なくとも一つの第2半周期を含み、
前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、
前記第1半周期及び前記第2半周期は、互いに向かい合う第2方向で接し、第2基準線を基準にミラーイメージを有し、
第1半周期に含まれる少なくとも2つの巻線のうち一つは第3方向に電流が流れ、他の一つは前記第3方向の反対方向に電流が流れ、前記第1巻線配列は、前記第1半周期及び前記第2半周期で形成される一周期の配列形態が前記第2方向に沿って繰り返し、
前記第2巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第3半周期及び少なくとも一つの第4半周期を含み、
前記第2巻線配列は、前記第3半周期及び前記第4半周期で形成される一周期の配列形態が前記第2方向に沿って繰り返し、
前記第1半周期と前記第3半周期は、前記第1基準線を基準に、ミラーイメージを有し、前記第2半周期と前記第4半周期は、前記第1基準線を基準にミラーイメージを有し、
前記第1基準線の方向は前記第2方向と一致し、前記第2基準線の方向は前記第1方向と一致し、
前記第1方向は前記第2方向と垂直であり、前記第3方向は前記第1方向及び前記第2方向と垂直であり、
前記第1巻線配列及び前記第2巻線配列のうち一つは固定子であり、他の一つは移動子であることを特徴とする、巻線配列。
【請求項2】
前記第1半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向と前記第2半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向が、互いに反対であることを特徴とする、請求項1に記載の巻線配列。
【請求項3】
前記第1半周期は、
電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する第1層;
前記第1層の巻線構造と同じ電流方向を有するが、前記第1層
の巻線構造よりも外側に位置した第2層巻線構造を含み、前記第1層上部に位置する第2層;及び
前記第2層巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有するが、前記第2層巻線構造よりも内側に位置した第3層巻線構造を含み、前記第2層上部に位置する第3層;を含むことを特徴とする、請求項1に記載の巻線配列。
【請求項4】
前記第3層の巻線構造と同じ電流方向を有するが、前記第3層巻線構造よりも外側に位置した第4層巻線構造を含み、前記第3層上部に位置する第4層をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の巻線配列。
【請求項5】
前記第1半周期は、
電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する下層;
前記下層
の巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有する上層巻線構造を含み、前記下層上部に位置する上層;を含むことを特徴とする、請求項1に記載の巻線配列。
【請求項6】
前記第1巻線配列または前記第2巻線配列は、
前記電流が流れる方向に沿って長さが延びて、分節されたトロイド(Toroid)や分節されたソレノイド(Solenoid)電流分布を含むことを特徴とする、請求項1に記載の巻線配列。
【請求項7】
前記巻線配列は、少なくとも二つのセットで形成され、
前記各セットを構成する巻線に流れる電流は、互いに同じ位相を有するか互いに異なる位相を有することを特徴とする、請求項1に記載の巻線配列。
【請求項8】
前記各セットを構成する巻線に流れる電流が、位相差を有することによって移動磁界を形成することを特徴とする、請求項7に記載の巻線配列。
【請求項9】
固定子及び移動子を含み、
前記固定子は、第1巻線配列を含み、前記移動子は、第2巻線配列を含み、
前記第1巻線配列及び前記第2巻線配列は、所定の間隔で第1方向に離隔して形成され、互いに離隔した空間内で互いに向かい合い、第1基準線を基準にミラーイメージを有し、
前記第1巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期及び少なくとも一つの第2半周期を含み、
前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、
前記第1半周期及び前記第2半周期は、互いに向かい合う第2方向で接し、第2基準線を基準にミラーイメージを有し、
第1半周期に含まれる少なくとも2つの巻線のうち一つは第3方向に電流が流れ、他の一つは前記第3方向の反対方向に電流が流れ、前記第1巻線配列は、前記第1半周期及び前記第2半周期で形成される一周期の配列形態が前記第2方向に沿って繰り返し、
前記第2巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第3半周期及び少なくとも一つの第4半周期を含み、
前記第2巻線配列は、前記第3半周期及び前記第4半周期で形成される一周期の配列形態が前記第2方向に沿って繰り返し、
前記第1半周期と前記第3半周期は、前記第1基準線を基準に、ミラーイメージを有し、前記第2半周期と前記第4半周期は、前記第1基準線を基準にミラーイメージを有し、
前記第1基準線の方向は前記第2方向と一致し、前記第2基準線の方向は前記第1方向と一致し、
前記第1方向は前記第2方向と垂直であり、前記第3方向は前記第1方向及び前記第2方向と垂直であることを特徴とする、移動電磁気式機械。
【請求項10】
前記第1巻線配列及び第2巻線配列は、少なくとも二つのセットで形成され、
前記各セットを構成する巻線に流れる電流は、互いに異なる位相を有することによって移動磁界を形成することを特徴とする、請求項9に記載の移動電磁気式機械。
【請求項11】
前記第1半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向と前記第2半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向が、互いに反対であることを特徴とする、請求項9に記載の移動電磁気式機械。
【請求項12】
前記第1半周期は、
電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する第1層;
前記第1層の巻線構造と同じ電流方向を有するが、前記第1層
の巻線構造よりも外側に位置した第2層巻線構造を含み、前記第1層上部に位置する第2層;及び
前記第2層巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有するが、前記第2層巻線構造よりも内側に位置した第3層巻線構造を含み、前記第2層上部に位置する第3層;を含むことを特徴とする、請求項9に記載の移動電磁気式機械。
【請求項13】
前記第1半周期は、
電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する下層;
前記下層
の巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有する上層巻線構造を含み、前記下層上部に位置する上層;を含むことを特徴とする、請求項9に記載の移動電磁気式機械。
【請求項14】
前記第1巻線配列は、
前記電流が流れる方向に沿って長さが延びて、分節されたトロイド(Toroid)や分節されたソレノイド(Solenoid)電流分布を含むことを特徴とする、請求項9に記載の移動電磁気式機械。
【請求項15】
前記移動子は、回転子であることを特徴とする、請求項9に記載の移動電磁気式機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁気機械用巻線配列及びこれを利用した移動電磁気式機械に関し、特にこのような巻線配列が一方向に磁束が強化されて他方向に磁束が相殺される構造を有するようにすることによって、強化された磁力を利用して電磁気機械の効率を最大化して、動力を高めたり機械の大きさと重さを最小化できる巻線配列及び移動電磁気式機械に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の産業分野では、システム内に回転部材を含む可逆の電磁気機械(Electromagnetic machine)を設置しようとする多くの要求がある。機械が設置されたシステムの動作条件に応じて、このような回転部材の回転運動による機械的エネルギーに変換して、このような機械的エネルギーで電気エネルギーを生成するのは、発電機(Generator)である。このような発電機から生成された電力は、他のシステム要素に供給したり貯蔵することができる。また、機械に電気エネルギーを供給して機械的エネルギーに変換させて回転部材を回転させて回転動力を得るのは、モーター(Motor)である。
【0003】
このような電磁気機械は、固定子(Stator)と回転子(Rotor)を含んで構成される。通常固定子の巻線(Coil)に電流が流れる時発生する回転磁場(Rotating magnetic field)により回転子に回転トルク(Torque)が発生する原理で作動する。回転トルクによって回転子が回転する力を回転動力として利用する。
【0004】
通常鉄芯を使うモーターでは、固定子が内部円周に沿って一定の間隔で形成された鉄芯コアに巻線を巻線して製造されることが一般的であるが、鉄芯コア損失によるモーターの効率が低下する問題点が存在する。また、コアを使ったモーターの場合、コア内の磁束が飽和されて、性能が制限されたり漏洩磁気などが増えて性能に限界に到達する問題点が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、巻線配列が一方向に磁束が強化されて、他方向に磁束が相殺される構造を有するようにすることによって強化された磁力を利用して電磁気機械の効率を最大化して、動力を高めたり機械の大きさと重さを最小化できる巻線配列及び移動電磁気式機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための一実現例として、本発明の一実施例に係る巻線配列は、所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方でミラーイメージを有する第1巻線配列;及び第2巻線配列を含み、前記第1巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期及び少なくとも一つの第2半周期を含み、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向でミラーイメージを有することを特微とする。
【0007】
また、前記第1半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向と前記第2半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向が互いに反対であり得る。
【0008】
また、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する第1層;前記第1層の巻線構造と同じ電流方向を有するが前記第1層巻線構造よりも外側に位置した第2層巻線構造を含み、前記第1層上部に位置する第2層;及び前記第2層巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有するが前記第2層巻線構造よりも内側に位置した第3層巻線構造を含み、前記第2層上部に位置する第3層を含むことができる。
【0009】
また、前記第3層の巻線構造と同じ電流方向を有するが前記第3層巻線構造よりも外側に位置した第4層巻線構造を含み、前記第3層上部に位置する第4層をさらに含むことができる。
【0010】
また、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する下層;前記下層巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有する上層巻線構造を含み、前記下層上部に位置する上層を含むことができる。
【0011】
また、前記第1巻線配列は、複数の第1半周期及び複数の第2半周期を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向で周期的に形成されることができる。
【0012】
また、前記第1巻線配列または前記第2巻線配列は、前記電流が流れる方向に沿って長さが延びて、分節されたトロイド(Toroid)や分節されたソレノイド(Solenoid)電流分布を含むことができる。
【0013】
また、前記巻線配列は、少なくとも二つのセットで形成され、前記各セットを構成する巻線に流れる電流は、互いに同じ位相を有するか互いに異なる位相を有することができる。
【0014】
また、前記各セットを構成する巻線に流れる電流が、位相差を有することによって移動磁界を形成することができる。
【0015】
前記目的を達成するための一実現例として、本発明の一実施例に係る移動電磁気式機械は、固定子及び移動子を含み、前記固定子は、第1巻線配列を含み、前記第1巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期及び少なくとも一つの第2半周期を含み、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向でミラーイメージを有することを特微とする。
【0016】
また、前記固定子は、前記第1巻線配列と所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方向でミラーイメージを有する第2巻線配列をさらに含むことができる。
【0017】
また、前記移動子は、前記第1巻線配列及び前記第2巻線配列の間に形成されることができる。
【0018】
また、前記第1巻線配列及び第2巻線配列は、少なくとも二つのセットで形成され、前記各セットを構成する巻線に流れる電流は、互いに異なる位相を有することによって移動磁界を形成することができる。
【0019】
また、前記移動子は、前記第1巻線配列と所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方向でミラーイメージを有する第2巻線配列を含むことができる。
【0020】
また、前記第1半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向と前記第2半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向が、互いに反対であり得る。
【0021】
また、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する第1層;前記第1層の巻線構造と同じ電流方向を有するが前記第1層巻線構造よりも外側に位置した第2層巻線構造を含み、前記第1層上部に位置する第2層;及び前記第2層巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有するが前記第2層巻線構造よりも内側に位置した第3層巻線構造を含み、前記第2層上部に位置する第3層を含むことができる。
【0022】
また、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する下層;及び前記下層巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有する上層巻線構造を含み、前記下層上部に位置する上層を含むことができる。
【0023】
また、前記第1巻線配列は、複数の第1半周期及び複数の第2半周期を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向でに周期的に形成されることができる。
【0024】
また、前記第1巻線配列は、前記電流が流れる方向に沿って長さが延びて、分節されたトロイド(Toroid)や分節されたソレノイド(Solenoid)電流分布を含むことができる。
【0025】
また、前記移動子は回転子であり得る。
【発明の効果】
【0026】
これにより、前記課題解決手段を介して次のような効果が期待される。
本発明に係る巻線配列は、一方向に磁束が強化されて、他方向に磁束が相殺される構造を有するようにすることによって関心領域外部に漏洩磁場が略ないようにすることができる効果がある。
【0027】
また、本発明に係る電磁気機械は、強化された磁力を利用して機械の効率を最大化して、動力を高めることができる利点がある。
【0028】
本発明に係る電磁気機械は鉄芯を使わないか最低で使うことによってコア損失を最小化して、その大きさと重さを最小化することができる。本発明に係る電磁気機械は、鉄芯を使わないか最低で使うことによって性能限界や制限に余裕度が大きい長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施例に係る巻線配列に応じた電流の流れと磁束の大きさを概略的に図示した例示断面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る巻線配列を2個の位相差巻線セットで図示した概略的例示断面図である。
【
図3】本発明の実施例に係る巻線配列に応じた電流の流れと磁束の大きさを概略的に図示した例示断面図である。
【
図4】本発明の実施例に係る巻線配列構造の概略的な例示斜視図である。
【
図5】本発明の実施例に係る巻線配列構造によって生成した磁場と電流の相互作用を概略的に図示した概念図である。
【
図6】本発明の実施例に係る巻線配列を積層型巻線を有して水平方向に適用した概略的図示した例示断面図である。
【
図7】本発明の実施例に係る巻線配列を積層型巻線を有して立体的構造に適用した概略的図示した例示断面図である。
【
図8】本発明の実施例に係る巻線配列を立体的構造に適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
【
図9】本発明の実施例に係る巻線配列を立体的構造適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
【
図10】本発明の実施例に係る巻線配列を平面巻線構造を有して適用した概略的図示した例示断面図である。
【
図11】本発明の実施例に係る巻線配列を平面巻線構造を有して立体的構造に適用した概略的図示した例示断面図である。
【
図12】本発明の実施例に係る巻線配列を平面巻線構造を有して立体的に適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になる。しかし、本発明はここで説明される実施例に限定されず互いに異なる形態で具体化されることもできる。かえって、ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底し完全になるように、そして当業者に本発明の思想が十分に伝達できるようにするために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。一方、明細書全文にわたって同一参照符号は同一構成要素を指し示す。
【0031】
本明細書で使われた用語は、実施例を説明するためのものであって本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含む。明細書で使われる‘含む(comprises)’及び/または‘含む(comprising)’は、言及された構成要素、段階、動作及び/または素子は、一つ以上の別の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。また、好ましい実施例に従ったものであるため、説明の順序により提示される参照符号は、その順序に必ずしも限定しない。これに加えて、本明細書で、ある成分や部品が言及される場合やそれの以外の成分や部品が排除されるのではなく必要な場合別の成分や部品も追加で介在してもよいことを意味する。
【0032】
本明細書で提供された説明及び例示は、説明的な目的で提示されたものであって、添付された請求項の範囲(scope)を制限するように意図されない。本明細書は、本発明の原理を例示するためのものと考慮されるべきで、記述された実施例の請求項及び/または本発明の思想(spirit)及び範疇を制限するように意図されない。本技術分野に属した通常の技術者は、本発明の特定のアプリケーションに対して本発明を変形することができるはずである。
【0033】
また、本明細書で記述する実施例は、本発明の理想的な例示図である断面図及び/または平面図を参考して説明される。図面において、膜及び領域の厚さは、技術的内容の効果的な説明のために誇張された。従って、製造技術及び/または許容誤差などにより例示図の形態が変形されることがある。従って、本発明の実施例は、図示された特定形態に制限されず製造工程により生成される形態の変化も含む。例えば、直角で図示されたエッチング領域は、ラウンドされるか所定曲率を有する形態であり得る。従って、図面で例示された領域を概略的な属性を有し、図面で例示された領域の形は、素子の領域の特定形態を例示するためのものであって発明の範疇を制限するためのものではない。
【0034】
図1は、本発明の一実施例に係る巻線配列に応じた電流の流れと磁束の大きさを概略的に図示した例示断面図である。
図1に図示した通り、本発明の一実施例に係る巻線配列100は、第1巻線配列110と第2巻線配列120を含む。
【0035】
第1巻線配列110及び第2巻線配列120は、所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方向にミラーイメージ(Mirror image)を有する。即ち、x軸を対称軸に第1巻線配列110及び第2巻線配列120は、ミラーイメージを有する。ここで、ミラーイメージとは、対称軸を中心に互いに対応する構造を有するもので、鏡に映るような構造を有するものを意味する。
【0036】
この時、第1巻線配列110は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期及び少なくとも一つの第2半周期を含む。第1半周期150及び第2半周期160を一周期で形成されて、空間的周期(λs)毎に同じ構造を繰り返す周期的な形態で形成されることができる。第1半周期150は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向にミラーイメージを有する。即ち、第1半周期150は、z軸を対称軸に第2半周期160とミラーイメージを有する。
【0037】
図1を参照すると、第1巻線配列110と第2巻線配列120は、z軸方向に所定間隔、即ち空隙(air gap,d)で離隔している。第1巻線配列110と第2巻線配列120との間の間隔は、巻線配列を利用して実現しようと、磁束乃至他の部品によって設定されることができて、使用者によって設定されることができる。
【0038】
第1半周期150は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含む。
図1は、第1半周期150が複数の層で形成される実施例を図示しているが、これは一つの例示に当たり、第1半周期150は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含むことができる。二つの巻線は、電流が流れる方向が互いに反対であってもよい。一つの巻線は、
図1の平面内に流れる方向(+y方向)に電流が流れて、別の一つの巻線は、
図1の平面の外に流れる方向(-y方向)に電流が流れることができる。巻線に電流が一方向に流れる場合、巻線には磁場が形成される。
図1の平面内に電流が流れる場合、巻線を覆う時計回りに磁場が形成されて、
図1の平面の外に電流が流れる場合、巻線を覆う反時計回りに磁場が形成される。ここで、第1半周期150に含まれる二つの巻線は、
図1の第1半周期150上第1層(1st upper layer)に含まれた巻線であり得る。右側に位置して平面の外に電流が流れる巻線によって生成される反時計回り磁場と左側に位置して平面内に電流が流れる巻線によって生成される時計回り磁場によって二つの巻線の間の磁場は第2巻線配列120方向に形成されて磁束が強化される。
【0039】
第1半周期150とミラーイメージを有する第2半周期160は、第1半周期とは異なり、右の側に平面内に電流が流れる巻線が形成されて、左側に平面の外に電流が流れる巻線が形成される。第2半周期160の巻線は、第1半周期150の巻線と電流が流れる方向が反対に形成されるので、二つの巻線の間の磁場は、第2巻線配列120の反対方向に形成されて磁束が強化される。
【0040】
第1巻線配列110及び第2巻線配列120は、複数の層で形成されてもよい。2層以上の複数の層で形成されてもよい。
図1で例示的に4個の層で図示されているが、これに限定されず必要に応じて層数が少くても追加層をさらに含んでもよい。
【0041】
第1巻線配列110及び第2巻線配列120は、3個の層で形成されてもよい。
【0042】
第1半周期150の第1層は、互いに異なる方向に電流が流れる少なくとも2つの巻線を含むことができる。例えば、前記第1層の左側巻線が平面内に流れる電流を表示する巻線で、右側巻線が平面の外に流れる電流を表示する巻線である。第1半周期150の第2層は、前記第1層の巻線電流方向と同じであるが、前記第1層の巻線よりも相対的に外側に配置される。
【0043】
また、第1半周期150の第3層は、前記第2層の巻線電流方向と反対である。即ち、前記第3層の左側巻線が平面の外に流れる電流を表示する巻線で、右側巻線が平面内に流れる電流を表示する巻線である。一方、前記第3層の巻線は、前記第2層の巻線よりも相対的に内側に配置される。第1半周期150の第4層は、前記第3層の巻線電流方向と同じであるが、前記第3層の巻線より相対的に外側に配置される。
【0044】
または、第1巻線配列110及び第2巻線配列120は、下層及び上層で形成されてもよい。ここで、下層は、
図1の第1層に対応して、上層は、
図1の第3層に対応することができる。第1層及び第3層だけで構成されて、第2層及び第4層を含まないことがある。
【0045】
一方、
図1に図示された第1半周期150と第2半周期160の電流方向は説明のために例示的に表示したものであり、これに限定されず時間に応じて変化する電流方向で上述した関係を有して巻線内の電流方向は時間に応じて変化することができる。また、
図1に図示された前記各層内の巻線の相対的位置や巻線の数は、説明のために例示的に示したものであり、これに限定されず本発明の思想に違背されない範囲で巻線の位置や巻線個数を変更することができる。
【0046】
第1巻線配列110は、上述した電流分布を有する巻線構造で形成することができる。ここでは、第1巻線配列110と第2巻線配列120は、積層された巻線構造130や、水平積層された巻線構造140と垂直積層された巻線構造145で例示的に図示されているが、これに限定されず必要に応じて3次元積層構造に代わって
図1に図示された電流分布を有する平面構造に変えてもよい。
【0047】
本発明の一実施例に係る巻線配列100は、一方向に磁束(Magnetic flux)が強化されて、他方向に磁束が相殺される構造を有するようになる。即ち、
図1を参照すると、第1巻線配列110と第2巻線配列120は、z軸方向に互いに向かい合う一側に磁束が強化されて、それ以外の方向には磁束が相対的に相殺されるか略無視できる程度現れる。従って、本発明に係る巻線配列100は、関心領域外部に漏洩磁場が最小化できる効果がある。
【0048】
図2は、本発明の実施例に係る巻線配列を二つの位相差巻線配列セットで図示した概略的例示断面図である。
【0049】
図2を参照すると、本発明の実施例に係る巻線配列200は、互いに90度位相差が出る位相Aのための巻線配列セット201と位相Bのための巻線配列セット202を含む。二つの巻線配列セットは、互いに異なる位相を有するか互いに同じ位相を有する。巻線配列200は、セットを交互に配置するように位相Bのための巻線配列セット202を位相Aのための巻線配列セット201の間に配置する。
【0050】
従って、位相Aのための巻線配列セット201と位相Bのための巻線配列セット202に時間に応じて変化する電流を順次位相差で供給することによって、移動磁界(図示せず)を形成することができる。このような移動電磁界を利用すると、電磁気機械の固定子のような効果を出すことができる。一方、
図2では、巻線配列200の位相が2相と図示されているが、これに限定されず必要に応じてセットを追加して順次交代で重ねることによって3相以上の巻線配列も可能である。
【0051】
図3は、本発明の実施例に係る巻線配列に応じた電流の流れと磁束の大きさを概略的に図示した例示断面図である。
【0052】
図3に図示した通り、本発明の実施例に係る巻線配列300では、第1巻線配列310と第2巻線配列320を含む。この時、第2巻線配列320は、
図1に図示されて上述した巻線配列と同じであるが、第1巻線配列310は、
図3に図示されて上述した巻線配列の特殊な構造のハルバッハ配列(Halbach Array)で配置することができる。また、このような巻線配列300は、第1巻線配列310と第2巻線配列320との間で磁束が強化されて、それ以外に磁束が相対的に無視するほど小さいか相殺されることもできる。一方、
図3では、第1巻線配列310をハルバッハ配列で図示されているが、これに限定されず必要に応じて第2巻線配列320をハルバッハ配列で使用するか、第1巻線配列310及び第2巻線配列320共にハルバッハ配列で使用してもよい。
【0053】
図4は、本発明の実施例に係る巻線配列構造の概略的な例示斜視図である。
【0054】
図4に示した通り、本発明の実施例に係る巻線配列400では、第1巻線配列410と第2巻線配列420が、x軸方向に沿って空間的周期毎に同じ構造を繰り返す。また、第1巻線配列410と第2巻線配列420は、周期的構造で電流が流れる方向(即ち、y軸方向)に長さが延びて、分節されたトロイド(Toroid)や、分節されたソレノイド(Solenoid)電流分布を有する。また、本発明の一実施例に係る巻線配列400を含む移動電磁気
式機械(図示せず)は、無鉄芯構造や最小限の鉄芯で実現することができる。従って、電磁気機械に最小鉄芯を使うことによって効率を最大化させることができて、重さと大きさを最小化することができ、鉄芯使用によるコア損失を減らすことができると期待される。
【0055】
また、本発明の実施例に係る巻線配列によって生成された磁場は、一方向に周期的に変わる。このようなすべての属性は、鉄芯コアを使わなくても本発明の実施例に係る巻線配列だけでもできる。特に、本発明の実施例に係る巻線配列によって生成された磁場B(A)
z(x)は次のような正弦波として近似されることができる。
【0056】
【0057】
ここでλsは、磁場の空間的周期である。移動電磁気式機械の場合、λsは固定コイルの空間的周期(単位m)であり、移動子コイルの空間的周期はλmで表現することができる。これは、電磁気機械の固定子の巻線設計要素の中の一つである。固定子巻線は、電磁気機械の多くのサイクルを含むことができる。即ち、上付き文字(A)は巻線(位相)Aを表示する。磁束密度は、大部分z軸方向に強化されている。
【0058】
一方、磁束密度の他の方向成分は無視するほどであると仮定して、本発明の一実施例の巻線配列のように相補的巻線配列の間の空間では、特に他の方向成分は無視するに値する。固定子の磁場は、固定子電流に比例する次の数学式で表現することができる。
【0059】
【0060】
また、巻線(位相)Bについて、本発明の実施例に係る巻線配列は、他の磁束を生成することができる。巻線(位相)Bは、巻線(位相)Aよりもλs/4だけ物理的に移動したものであり、巻線(位相)Bの磁場B(B)
z(x)は、次式で表現することができる。
【0061】
【0062】
ここでkSは、第1巻線配列(固定子)伝播(propagation)ベクトルで、kS=2π/λSである。第2巻線配列(移動子)の伝播ベクトルは、km=2π/λmで表すことができる。
【0063】
本発明の実施例に係る巻線配列の分析は、例示的に2相巻線構造を使って行う。このような2相巻線構造で仮定しても概念は同じで、一般性が損傷されない。このような分析は、3相巻線構造のように多相巻線構造に拡張することができ、分析結果及び結論は、多相システムにも同一に適用されることができる。必要であれば、2相システムと3相システムの差が言及される。一方、3相システムの場合、通常U、V及びW巻線と呼ばれる3セットの巻線が必要である。VとW巻線は、U巻線に比べて空間位相がλS/3、2λS/3移動する。
【0064】
本発明の実施例に係る巻線配列では、相互補完的な第1巻線配列と第2巻線配列によって生成された磁場は次のような特性を有する:
【0065】
第1巻線配列と第2巻線配列との間の磁場は、z軸方向中一側(即ち、巻線配列の間)に強化される。磁場が強化される一側を除いて、他側(即ち、巻線配列外部)には殆ど相殺される。
【0066】
一方、本発明の実施例に係る巻線配列の巻線(位相)Aと巻線(位相)Bで生成される磁場は、独立して発生して重なる。また、巻線Aと巻線Bは、電気的に90度位相差を有して駆動されて、移動磁界を生成する。このような巻線Aと巻線Bによって重畳変調した磁場Bz(x)は次に式で表現することができる。
【0067】
【0068】
一方、数1と数3を参照すると、上記数4は次の式で表現することができる。
【0069】
【0070】
ここでωsは、第1巻線配列電流の周期で、第1巻線配列電流の周波数fsとの関係はωs=2πfsである。
【0071】
上記のような磁束密度は、波形パターンが次の速度vsと共にx軸量の方向に移動する移動磁界の形態である。
【0072】
【0073】
巻線対に電流の符号の変化や時間変調によってx軸の負の方向に動く波動パターンの方向を変更することができる。
【0074】
本発明の実施例に係る巻線配列を含む固定子巻線により電流を供給することによって生成した磁場に垂直で電流が流れることができる巻線により、移動子を提供することによって電磁気機械を製作することができる。
【0075】
前記のような巻線配列を利用して移動電磁気式機械を構成することができる。本発明の一実施例に係る移動電磁気式機械は、固定子及び移動子を含み、前記固定子は、第1巻線配列を含み、前記第1巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期及び少なくとも一つの第2半周期を含み、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向にミラーイメージを有することができる。本発明の一実施例に係る移動電磁気式機械に含まれた巻線配列に対する詳細な説明は、先に説明した本発明の実施例に係る巻線配列に対する詳細な説明に対応するところ、以下重複する説明は省略する。
【0076】
または、前記固定子は、前記第1巻線配列と所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方向にミラーイメージを有する第2巻線配列をさらに含んでもよく、前記移動子は、前記第1巻線配列及び前記第2巻線配列の間に形成されてもよい。
【0077】
または、前記移動子は、前記第1巻線配列と所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方向にミラーイメージを有する第2巻線配列を含むことができる。即ち、前記本発明の実施例に係る巻線配列の第1巻線配列及び第2巻線配列は、各々固定子または移動子であり得る。
【0078】
また、前記移動子は回転子であり得る。
【0079】
電流がy軸量の方向に流れることができる電線を仮定して、移動子が、x軸方向に移動することが許容されると仮定する。電線を介して流れる電流の量がiだとすると、ローレンツ力δFx(x)は、電線の長さl(またはlは磁束が一定な領域の長さである)に対して次式で表現することができる。
【0080】
【0081】
ここで、Iy(x)は、位置xからy方向に流れる電流である。xの関数として電流が流れる電線配列を形成することができる。特に、移動子上に分布した電流は固定子と同じ(空間的)周期を有する。
【0082】
【0083】
ここで、xmは、第2巻線配列(移動子)のx方向座標で、第1巻線配列(固定子)のx方向座標はxsで表すことができる。
【0084】
従って、移動子上の電流が発生して、このような電流が移動子(または回転子であってもよい)に相対的に動かせることを意味する。原則的に、電流の正弦波分布は、非常に小さい電線ループを共に積層することによつて実現され、単位長さ当たり電線の数は次式で表すことができる。
【0085】
【0086】
仮に電線を介して小さい電流iが流れる場合、次式で表現することができる。
【0087】
【0088】
正弦波電流密度分布を実現するのは容易ではない場合もある。
【0089】
【0090】
ここで、h(xm)は、周期λsを有する周期関数である。例えば、φは移動子の任意の初期位相値である。
【0091】
図5は、本発明の一実施例に係る巻線配列構造によって生成した磁場と電流の相互作用を概略的に図示した概念図である。
【0092】
図5を参照すると、本発明の一実施例に係る巻線配列によって生成した磁場と電流の相互作用によって電流が流れる電線から発生するローレンツ力は、x軸方向に次式で表すことができる。一方、固定子に発生する力は、x軸方向に沿って半周期毎に同じ大きさであるが反対方向に発生する。
【0093】
【0094】
xmがxsに対する速度vmで動いていると仮定する。その関係は次の通りである。
【0095】
【0096】
周期当たり力は、次のように計算することができる。
【0097】
【0098】
数14は次式のようにまとめることができる。
【0099】
【0100】
数15の初項は、空間と時間において急速に変わる。時間と関係なく多くの空間周期にわたり力が累積されると平均値は消える。空間的周期λs当の力(Mが十分に大きく、Mサイクルにわたって統合)は次式で表すことができる。
【0101】
【0102】
任意の周期的電流分布に対する周期平均力は計算することができる。これは同じフーリエ級数展開の高調波成分が、現在平均値0で生成されることによって同じ結果が現れる。
【0103】
移動子に駆動する電流の周期の関係は次式の通りである。
【数17】
【0104】
即ち、移動子に発生した移動磁界は、合成された磁界が固定子によって生成された移動磁界と同期されるのを意味する。移動子と固定子の空間周期が、同じ値を有するので、移動子と固定子の磁極(magnetic poles)は反対側に引き寄せるにより磁束経路は互いに同期化、結束(Field lock)される。移動子と固定子が互いに磁束結束すると、移動子(回転子)の位置は、平衡位置にあることになり、移動子と固定子との間の平均磁気力は、平衡状態で0となる。φは、電界位相の差を示し、移動子と固定子との間の平衡からの位置オフセツトに比例する。
【0105】
【0106】
φ=0の場合、外力またはトルクは変わらず、磁束結束は移動子を平衡位置に位置させる。移動子が平衡で移動すると磁気力が発生して、移動子は平衡の位置に移動することになる。反対に、移動子に外力またはトルクが加えられると、反対側磁極の引く動作による磁気力が外力に対応することになる。この時、移動子の位置は外力により変わるようになる。反作用の大きさは、固定子電流と移動子電流の積に比例して、総磁気力またはトルクは、空間周期の数に比例する。
【0107】
ここでcosφが正で一定であると、固定子と移動子(または回転子)の相互作用から移動子に正常状態力が発生して、力は摩擦に対抗して移動子を押している。この場合、固定子と移動子の電源供給機械は、摩擦に対して遅い加速や正常状態のために移動子を動かすために動力を供給する。φ=0の場合、最大力が発生する。
【0108】
本発明の一実施例に係る移動電磁気式機械が、モーターで使われる時、電流が供給される間、次式のような条件が維持される。
【0109】
【0110】
cosφ<0の条件は、移動子(回転子)が外力によって押している時の正常状態条件である。負の力は、外力によって仕事が行われることを意味する。即ち、本発明の一実施例に係る移動電磁気式機械が、発電機として作動中である時である。電流は、移動子巻線を介して流れるので電力が生成される。
【0111】
正常状態力の場合では、移動子が速度vmで移動して、電流が固定子によって生成された磁場と同じ速度(vs)で動く。移動子と固定子の周波数が同じで、外力がない場合、移動子は固定された位置を維持する。しかし、移動子と固定子が異なる周波数で駆動されて、磁場が同じ方向に動くと、移動子(回転子)軸はvs-vmで動く。磁気の回転(Field Rotation)が反対方向である場合、移動子(回転子)軸回転速度は、固定子磁気の回転速度と移動子(回転子)磁気の回転速度の合になる。これにより、速い回転を可能にすることができる。
【0112】
固定子での磁場は、速度vsで移動する時、次式で表すことができる。
【0113】
【0114】
正常状態力は、移動子で生成される時、移動子(回転子)は非常に遅い加速度に動くかそのカが外力と均衡を取る場合であり、この時、等速度で動く。
【0115】
図6は、本発明の実施例に係る巻線配列を積層型巻線を有して水平方向に適用した概略的図示した例示断面図である。
【0116】
図6を参照すると、本発明の実施例に係る巻線配列600は、積層型巻線を有してx軸方向に周期的構造で実現する。この時、巻線配列600は、z軸方向に所定間隔離隔した第1巻線配列610と第2巻線配列620で実現する。また、第1巻線配列610と第2巻線配列620との間である一側方向に磁束密度が強化されて、第1巻線配列610と第2巻線配列620の内部の互いに向かい合う方向以外は、磁束密度が相殺されて、外部では漏洩磁界を最小化することができる。
【0117】
図7は、本発明の実施例に係る巻線配列を積層型巻線を有して立体的構造に適用した概略的図示した例示断面図である。
【0118】
図7を参照すると、本発明の実施例に係る巻線配列700は、積層型巻線を有して円形で実現する。この時、本発明の一実施例に係る巻線配列700は、放射(radial)方向に定間隔離隔して、第1巻線配列710と第2巻線配列720は、接線方向に沿って空間的周期毎に同じ構造を繰り返す。また、第1巻線配列710と第2巻線配列720は、互いに相補的に具現される。即ち、第1巻線配列710は、接線方向を基準に第2巻線配列720と電流分布は、ミラーイメージを有すると見ることができる。また、円形で配置した第1巻線配列710と第2巻線配列720は、放射方向にこれらの間の一側ヘ磁束密度が強化されて、これらの外部の他の方ヘ磁束密度が相殺される。
【0119】
一方、ここでは、第1巻線配列710と第2巻線配列720は円周上に配置されて、大きさが短くて略同じ大きさで例示的に図示されているが、これに限定されず本発明の思想を害しない範囲で必要に応じて内側円周上の巻線配列の大きさを減らしたり外側円周上の巻線配列の大きさを増加させることもできる。
【0120】
図8は、本発明の実施例に係る巻線配列を立体的構造に適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
【0121】
本シミュレーション結果図は、pythonプログラムを利用して、Biot-Savart法則を基本に計算した。
図8を参照すると、
図7に図示された巻線配列700の第1巻線配列710と第2巻線配列720に対するエアギャップ中間付近で得る結果を示す。従って、第1巻線配列710と第2巻線配列720との間にあるエアギャップ中心で放射(radial)方向に磁束が強化されて、軸(axial)方向や接線(tangential)方向には磁束が相対的に殆どない。
【0122】
図9は、本発明の実施例に係る巻線配列を立体的構造に適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
【0123】
図9を参照すると、
図7に図示された巻線配列700の第1巻線配列710と第2巻線配列720からエアギャップの半分の大きさの関心領域の外側付近で得る結果を示す。従って、すべての方向に漏洩磁束が殆どないと確認される。一方、関心領域とは、第1巻線配列710と第2巻線配列720を含むその内部を意味する。
【0124】
図10は、本発明の実施例に係る巻線配列を平面巻線構造を有して適用した概略的図示した例示断面図である。
【0125】
図10を参照すると、本発明の実施例に係る巻線配列1000は、平面巻線構造をx軸とz軸方向に周期的に実現する。この時、巻線配列1000は、z軸の+方向に磁場は強化されて、-方向に磁場は相対的に弱くなる。
【0126】
図11は、本発明の実施例に係る巻線配列を平面巻線構造を有して立体的構造に適用した概略的図示した例示断面図である。
【0127】
図11を参照すると、本発明の実施例に係る巻線配列1100は、平面巻線構造を有して円形で実現する。この時、本発明の実施例に係る巻線配列1100は、放射方向に所定間隔離隔して、互いに相補的な第1巻線配列1110と第2巻線配列1120で具現される。
【0128】
図12は、本発明の実施例に係る巻線配列を平面巻線構造を有して立体的に適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
図12を参照すると、関心領域中エアギャップ中心付近での放射方向に強い磁場を示して、軸方向や接線方向には磁場は無視できるほど相殺される。図示されなかったが、
図9の結果のように関心領域外では、漏洩磁場が殆どないことを確認した。
【0129】
本発明の実施例に係る巻線配列を利用した移動電磁気式機械は、関心領域内の一側磁場を強化させて、関心領域の外の漏洩磁場を殆どないようにする。また、本発明の一実施例に係る移動電磁気式機械は、鉄芯を使わないか最低限で使うことによって、その大きさと重さを最小化して、コア損失を減らし、性能限界などを克服することができる。