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特許7561749エネルギー増大構造、それを含むエネルギーエミッタ又はエネルギーコレクタ、及び色の増強におけるそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】エネルギー増大構造、それを含むエネルギーエミッタ又はエネルギーコレクタ、及び色の増強におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240927BHJP
   C09K 11/78 20060101ALI20240927BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G02B5/20
C09K11/78
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021552649
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 US2020015790
(87)【国際公開番号】W WO2020180425
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】62/813,390
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/855,508
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/897,677
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/946,648
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/955,533
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509279561
【氏名又は名称】イミュノライト・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・エー・バーク・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド・ワルダー
(72)【発明者】
【氏名】ザカリエ・ファティ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン・エフ・バイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・エー・ラダー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エイチ・シモンズ
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0064134(US,A1)
【文献】特開2018-013688(JP,A)
【文献】特開2018-147725(JP,A)
【文献】特開2017-062902(JP,A)
【文献】特開2009-205928(JP,A)
【文献】特開2017-138558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C09K 11/78
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーエミッタであって、
少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び
エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記エネルギーを変換し、そこから、前記受け取ったエネルギーよりも高いまたは低いエネルギーの放出光を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記放出された光が、前記エネルギーコンバータが前記少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合、または前記エネルギー増大構造が存在しなかった場合よりも、高い強度で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される、エネルギーコンバータ、を含み、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が非プラズモン構造であり、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が3/4λの折り畳まれたレゾネータを備える、エネルギーエミッタ。
【請求項2】
顔料、及び
エネルギーエミッタであって、
少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び
エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記エネルギーを変換し、そこから、前記受け取ったエネルギーよりも高いまたは低いエネルギーの放出光を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記放出された光が、前記エネルギーコンバータが前記少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合、または前記エネルギー増大構造が存在しなかった場合よりも、高い強度で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される、エネルギーコンバータ、を含み、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が非プラズモン構造である、エネルギーエミッタ、
を含む、塗料。
【請求項3】
染料、及び
エネルギーエミッタであって、
少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び
エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記エネルギーを変換し、そこから、前記受け取ったエネルギーよりも高いまたは低いエネルギーの放出光を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記放出された光が、前記エネルギーコンバータが前記少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合、または前記エネルギー増大構造が存在しなかった場合よりも、高い強度で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される、エネルギーコンバータ、を含み、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が非プラズモン構造である、エネルギーエミッタ、
を含む、インク。
【請求項4】
カラーフィルタまたは色反射面のうちの少なくとも1つ、及び
前記カラーフィルタに、または前記色反射面の一部として含まれる、請求項1に記載のエミッタを含む、光ディスプレイ。
【請求項5】
UV光照射に曝された物体へのUV光損傷を緩和するための保護コーティングであって、
光散乱粒子とエネルギーエミッタの混合物を含み、かつ、
前記混合物は、UV光に曝されると、
前記UV光の第1の部分を可視光に変換し、
前記混合物から前記可視光の一部を放出し、
前記混合物から前記UV光の第2の部分を反射して、前記UV光の前記第2の部分が前記物体によって吸収されないように構成され
前記エネルギーエミッタは、
少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び
エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記エネルギーを変換し、そこから、前記受け取ったエネルギーよりも高いまたは低いエネルギーの放出光を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記放出された光が、前記エネルギーコンバータが前記少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合、または前記エネルギー増大構造が存在しなかった場合よりも、高い強度で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される、エネルギーコンバータ、を含み、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が非プラズモン構造である、保護コーティング。
【請求項6】
光放出組成物であって、
可視光スペクトルよりも高いまたは低いエネルギーでエネルギー源に曝露されると、第1のターゲット色で可視光を放出するように構成された第1のカラーエミッタ、
前記エネルギー源に曝露されると、第2のターゲット色で可視光を放出するように構成された第2のカラーエミッタ、及び
エネルギーエミッタであって、
少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び
エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記エネルギーを変換し、そこから、前記受け取ったエネルギーよりも高いまたは低いエネルギーの放出光を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記放出された光が、前記エネルギーコンバータが前記少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合、または前記エネルギー増大構造が存在しなかった場合よりも、高い強度で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される、エネルギーコンバータ、を含み、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が非プラズモン構造である、エネルギーエミッタ、
を含む、光放出組成物。
【請求項7】
カラーエミッタであって、
エネルギー源に曝露されると、波長の第1の帯域にわたるエネルギーの吸収に応答して、第1のターゲット色で可視光を放出するように構成された第1のカラーエミッタ、
前記エネルギー源に曝露されると、波長の第2の帯域にわたるエネルギーの吸収に応答して、第2のターゲット色で可視光を放出するように構成された第2のカラーエミッタ、及び
エネルギーエミッタを含む、カラーエミッタ、
を含む、化粧品であって、
前記エネルギーエミッタは、
少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び
エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記エネルギーを変換し、そこから、前記受け取ったエネルギーよりも高いまたは低いエネルギーの放出光を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記放出された光が、前記エネルギーコンバータが前記少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合、または前記エネルギー増大構造が存在しなかった場合よりも、高い強度で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される、エネルギーコンバータ、を含み、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が非プラズモン構造である、化粧品
【請求項8】
表面からの可視光の放出を増強するための方法であって、
請求項1に記載のエミッタの少なくとも1つを前記表面に設けること、
前記表面及び少なくとも1つの色増強構造を、エネルギー源から適用されたエネルギーに曝すこと、及び
前記適用されたエネルギーの一部を可視光に変換することにより、少なくとも1つのターゲット色で前記可視光を放出すること、
を含む、方法。
【請求項9】
塗料からの可視光放出を増強するための方法であって、
前記塗料の中または前記塗料の表面の近くに、少なくとも1つのエネルギーエミッタを設けること、
前記表面及び前記少なくとも1つのエネルギーエミッタを、エネルギー源から適用されたエネルギーに曝すこと、及び
前記適用されたエネルギーの一部を可視光に変換することにより、少なくとも1つのターゲット色で前記可視光を放出すること、
を含み、
前記エネルギーエミッタは、
少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び
エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記エネルギーを変換し、そこから、前記受け取ったエネルギーよりも高いまたは低いエネルギーの放出光を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記放出された光が、前記エネルギーコンバータが前記少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合、または前記エネルギー増大構造が存在しなかった場合よりも、高い強度で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される、エネルギーコンバータ、を含み、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が非プラズモン構造である、方法。
【請求項10】
インクからの可視光放出を増強するための方法であって、
なくとも1つのエネルギーエミッタを前記インクに設けること、
前記インク及び少なくとも1つのエネルギーエミッタを、エネルギー源から適用されたエネルギーに曝すこと、及び
前記適用されたエネルギーの一部を可視光に変換することにより、少なくとも1つのターゲット色で前記可視光を放出すること、
を含み、
前記エネルギーエミッタは、
少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び
エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記エネルギーを変換し、そこから、前記受け取ったエネルギーよりも高いまたは低いエネルギーの放出光を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記放出された光が、前記エネルギーコンバータが前記少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合、または前記エネルギー増大構造が存在しなかった場合よりも、高い強度で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される、エネルギーコンバータ、を含み、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が非プラズモン構造である、方法。
【請求項11】
ディスプレイからの可視光放出を増強するための方法であって、
前記ディスプレイのカラーフィルタまたは色反射面に、請求項1に記載の構造の少なくとも1つを設けること、
前記カラーフィルタまたは色反射面、及び少なくとも1つの色増強構造を、エネルギー源からの適用されたエネルギーに曝すこと、及び
前記適用されたエネルギーの一部を可視光に変換することにより、少なくとも1つのターゲット色で前記可視光を放出すること、
を含む、方法。
【請求項12】
電磁エネルギーの1つまたは複数の波長を捕捉し、少なくとも1つの特性において前記電磁エネルギーの1つまたは複数の波長を増強することができる、エネルギー増大構造であって、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が非プラズモン構造であり、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が3/4λの折り畳まれたレゾネータを備える、エネルギー増大構造。
【請求項13】
エネルギーコレクタであって、少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び印加された電磁エネルギーを受け取り、前記印加された電磁エネルギーを変換し、そこから前記印加された電磁エネルギーからの波長またはエネルギーにシフトされた放出された電磁エネルギーを放出することができる少なくとも1つのエネルギーコンバータであって、前記エネルギーコンバータが前記少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合と比較して、前記放出された電磁エネルギーが少なくとも1つの増強された特性で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置された、エネルギーコンバータを含み、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が非プラズモン構造であり、
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が3/4λの折り畳まれたレゾネータを備える、エネルギーコレクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年12月31日に提出された「ENERGY AUGMENTATION STRUCTURE;ENERGY COLLECTOR CONTAINING THE SAME;AND EMISSION ENHANCEMENTS UTILIZING AT LEAST ONE ENERGY AUGMENTATION STRUCTURE」と題された米国仮出願第62/955,533号に関し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本願は、2019年12月11日に提出された「ENERGY AUGMENTATION STRUCTURE;ENERGY COLLECTOR CONTAINING THE SAME;AND EMISSION ENHANCEMENTS UTILIZING AT LEAST ONE ENERGY AUGMENTATION STRUCTURE」と題された米国仮出願第62/946,648号に関し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本願は、2019年9月9日に提出された「ENERGY AUGMENTATION STRUCTURE;ENERGY COLLECTOR CONTAINING THE SAME;AND EMISSION ENHANCEMENTS UTILIZING AT LEAST ONE ENERGY AUGMENTATION STRUCTURE」と題された米国仮出願第62/897,677号に関し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本願は、2019年5月31日に提出された「ENERGY AUGMENTATION STRUCTURE;ENERGY COLLECTOR CONTAINING THE SAME;AND COLOR ENHANCEMENT UTILIZING AT LEAST ONE ENERGY AUGMENTATION STRUCTURE」と題された米国仮出願第62/855,508号に関し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本願は、2019年3月4日に提出された「COLOR ENHANCEMENT UTILIZING AT LEAST ONE ENERGY AUGMENTATION STRUCTURE」と題された米国仮出願第62/813,390号に関し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本願は、係属中の、2019年10月11日に提出された米国出願第16/599,732号に関し、それは、2018年10月12日に提出され、米国仮出願第62/745,057号の優先権を主張しており、この各々の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。本願は、2011年8月5日に提出された、米国出願第13/204,355号に関するものであり、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。本願は、2010年8月6日提出の米国仮特許出願第61/371,549号に関する。本願は、2009年3月18日に提出された米国仮特許出願61/161,328号に関し、また2009年11月10日に提出された米国仮特許出願第61/259,940号に関するものであり、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。本願は、米国出願第12/725,108号に関するものであり、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、2007年8月6日に提出された仮出願第60/954,263号、及び2008年2月21日に提出された第61/030,437号に関し、また2008年3月31日に提出された米国出願第12/059,484号に関するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。本願はまた、2007年11月6日に提出された米国出願第11/935,655号、及び2008年4月4日に提出された仮出願第61/042,561号、2008年3月11日に提出された第61/035,559号、及び2008年7月11日に提出された第61/080,140号に関するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。本願は、2009年3月10日に提出された米国特許出願第12/401,478号に関するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。本願は、2007年11月6日に提出された米国特許出願公開第11/935,655号、及び2008年3月31日に提出された第12/059,484号、2009年2月20日に提出された米国特許出願第12/389,946号、2009年4月3日に提出された米国特許出願第12/417,779号に関するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
発明の分野
本発明は、存在するエネルギー変調剤/エネルギー変換剤の有無に関わらず、エネルギー増大のための方法、システム、及びデバイス、ならびに特に光子または電子放出を生成または強化するため及び/または光または光子の収集を強化するために使用されることに関する。
【0004】
背景の考察
現在、光(すなわち、無線周波数から可視光線を経てX線の波長範囲までの電磁放射)は、多くの産業、通信、電子、及び製薬のプロセスで使用されている。赤外線及び可視範囲の光は、通常、電気エネルギー源から生成される。電気エネルギー源は、例えば、材料を非常に高温に加熱し、そこで黒体放射が発生する(白熱灯の場合など)。可視及び紫外線範囲の光は、通常、ガスを放電まで加熱することによって生成され、それにおいては、ガス原子または分子の1つの電子状態からの遷移が光の放出によって発生する。材料内の電子/正孔が再結合して光の放出を生じる半導体ベースの光源(発光ダイオードや半導体レーザーなど)もある。
【0005】
可視光は、380nm~750nmの波長の電磁放射として定義される。一般に、光を含む電磁放射は、熱エネルギーの高い分子(または隣接する原子)の一部や原子(または分子)内の電子など、帯電した粒子の加速と減速、または動き(振動)の変化によって生成される。
【0006】
参考までに、赤外線(IR)放射は可視領域の赤の端を少し超えて、紫外線(UV)放射は、紫色の光よりも波長が短くなる。スペクトルのUV部分は、UVA(315~400nm)、UVB(280~315nm)、及びUVC(100~280nm)の3つの領域に分割される。
【0007】
照明の用途で使用される産業用ランプは、適切な白色知覚のための可視範囲の波長をカバーする。加熱されたフィラメントのような熱源は、Wフィラメント、ハロゲンで保護されたWフィラメント、電気的に誘導された高温プラズマ(アークランプ)など、様々なタイプの導体で作ることができる。
【0008】
放射源の電力(1秒あたりに放出されるエネルギー)は、ワット(W)で表されることがよくあるが、光の様々な波長に対する目の感度の変化を説明するために、光をルーメン(lm)で表すこともできる。導出される関連単位は、ステラジアン(立体角の単位)ごとの特定の方向にW/m(lm/m)における光源の放射輝度(輝度)、及びW/m(lm/mまたはルクス)の表面の放射照度(照度)である。
【0009】
紫外線源の開発に伴い、紫外線放射は産業、化学、製薬の目的でいっそう利用されるようになっている。例えば、UV光は媒体を滅菌することが知られており、接着剤やコーティング中のポリマーの架橋など、多くの光活性化化学プロセスを促進することが知られている。通常、紫外線源はガス放電ランプを使用して紫外線の範囲の放出された光を生成する。次に、放出された光を光学的にフィルタリングして、すべてではないが、非紫外線周波数の多くを除去する。紫外線はまた、例えば、X線照射などの高エネルギー源からのこれらのリン光物質の励起から、半導体リン光物質において生成され得る。
【0010】
赤外線放射源の開発に伴い、赤外線放射は通信及び信号の目的でいっそう利用されている。通常、赤外線源は、グローバーと呼ばれる広いスペクトルの光源を使用して、赤外線範囲を中心とする広いスペクトルの光を生成するか、レーザーを使用して非常に特定の赤外線波長を放射する。広帯域光源の場合、放出された光は光学的にフィルタリングされ、すべてではないにしても多くの非赤外線周波数が除去される。
【0011】
一般に、ある周波数範囲から別の周波数範囲に光を変換するためのデバイス、材料、及び機能を備えていることが望ましい。ダウンコンバージョンは、上記のリン光物質で使用されているような、高エネルギーの光を低エネルギーに変換する1つの方法である。低エネルギーの光が高エネルギーの光に変換されるアップコンバージョンも示されている。通常、このプロセスは多光子吸収プロセスであり、2つ以上の光子を使用して、ホスト媒体の励起電子状態を促進する。ホスト媒体は、ひいては多光子吸収プロセスを促進した入射光のエネルギーよりも高いエネルギーの光の波長で放射する。ダウンコンバージョンとアップコンバージョンの両方が過去に研究され、文書化されている。
【0012】
実際に、研究者は、外部エネルギー源によって駆動または充電されたときに特定の固体が光を放出する能力であるフォトルミネッセンスと蛍光の現象を研究した。多くの周知のリン光物質と蛍光体は、高エネルギーの電子または光子によってトリガーされ、低エネルギーの光子を放出する。特定の赤外リン光物質は、赤外線を可視範囲(紫から赤)の光に変換できることが認識されている。
【0013】
放射輝度などの光の特性は、人間の目が、可視光で形成された一時的な画像または永続的な画像(例えば道路や高速道路の標識で示される)を認識及び識別しなければならない読み取りまたは表示の用途の場合に特に重要である。テレビ、コンピューターモニター、ディスプレイ、及び標識は、高エネルギー電子が可視光を放出するリン光物質に衝突するブラウン管技術(CRT)技術を使用している。テレビ、コンピューターモニター、ディスプレイ、及び標識は、最近では、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイ技術を使用して、人間の目で識別できる可視画像を生成している。
【0014】
これら及び他の読み取りまたは表示の用途では、表示される画像のコントラストを損なう可能性があるディスプレイから放出または反射される広帯域光の量を最小限に抑えながら、比較的高コントラストの画像のディスプレイを開発する試みがなされてきた。
【0015】
一般に、上で論じたアップコンバージョン及びダウンコンバージョンは、光の入射波長を実際に異なる波長に変換するために多くの分野で使用されてきた。一例では、X線などの高エネルギー光子は、X線エネルギーのリン光物質での吸収によって変換され、紫外、可視、及び/または近赤外スペクトルでのリン光物質からの発光は、光活性反応を促進するために使用されてきた。他の例では、赤外線または近赤外線は、赤外線または近赤外線のリン光物質への吸収、及び可視光及び/または紫外線スペクトル中のリン光物質からの発光によってアップコンバートされている。他の例では、可視領域内の光は、可視波長内の異なる帯域にダウンコンバートまたはアップコンバート(選択したリン光物質に応じる)することができる。このシフト(エネルギー変換)は、色を強調するためのものであり得、太陽電池で使用して、太陽スペクトルの一部を、光起電力デバイスが発電するのにより有利な別の部分に変換することができる。
【0016】
これらの以前の用途の多くでは、金属構造がリン光物質上またはリン光物質の近くに配置されて、本質的に金属構造外側の非常に近くの局所的な場の増幅であるプラズモン効果を生成している。プラズモン効果は、入射光のリン光物質への結合を強化することができる及び/または受容体の近くの変換されたライトトンの反応性を高める。金属中のプラズモンは金属に沿って伝播することができるが、プラズモンは、波長の半分のオーダ(可視範囲の波長の場合は約200nm)の1/eの減衰長で金属/誘電体インターフェースに垂直なz方向に、エバネセントに減衰する。
【0017】
いくつかの以前の用途では、フォトニックバンドギャップ構造が使用されてきた。フォトニックバンドギャップ構造では、その材料は周期的な誘電プロファイルを持つ材料からなるか、フォトニック結晶(PhC)がその材料であり、これは、特定の周波数または波長の光が材料内で1つ、2つ、または任意の数の方向に伝搬するのを防ぐことができる。このようにして、プロセスに適さない、または有害な光を排除することができる一方で、プロセスにより適した光をフォトニックバンドギャップ構造内に閉じ込めることができるか、または光起電力コンバータ内により良好に閉じ込めることができる。
【0018】
太陽電池の分野では、プラズモニクス、フォトニクスの帯域ギャップ、及びアップ及びダウンコンバージョンの追加が文献で公知である。さらに、反射防止コーティングとコンセントレータは文献で周知である。
【0019】
プラズモン効果の問題は、上記のように、プラズモンと電界の増強が金属構造から離れるにつれて急速に減衰することである。これは、この効果が少量の相互作用にのみ役立つことを意味する。
【0020】
反射防止コーティングの問題点は、コーティングがない場合ほど太陽光が散乱されないにも関わらず、依然として、透過光が主に発電に最適ではない波長の光であるということである。
【0021】
コンセントレータの問題点は、電力に変換できる光を集中するだけでなく、コンセントレータが電力を生成しない光も集中することである。これは一般に廃熱になる。
【0022】
フォトニックバンドギャップ構造は、光を反射または閉じ込めるのに役立ち得るが、廃棄された光から電力を得る効果的な方法はない。
【発明の概要】
【0023】
一実施形態では、1つまたは複数の波長の電磁エネルギーを捕捉し、少なくとも1つの特性において1つまたは複数の電磁エネルギーの波長を増強することができるエネルギー増大構造が提供される。
【0024】
一実施形態では、エネルギー増大構造は、電磁レゾネータ構造、折り畳まれたレゾネータ構造、及び構造内に強化された電磁場の領域を有するフラクタル構造のうちの1つまたは複数であり得る。
【0025】
さらなる実施形態では、少なくとも1つのエネルギー増大構造を含むエネルギーコレクタ、及び印加された電磁エネルギーを受け取り、印加された電磁エネルギーを変換し、そこから印加された電磁エネルギーからの波長またはエネルギーにシフトされた放出された電磁エネルギーを放出することができる少なくとも1つのエネルギーコンバータであって、少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置され、エネルギーコンバータが少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合と比較して、放出された電磁エネルギーが少なくとも1つの増強された特性で放出されるようにする、エネルギーコンバータが提供される。
【0026】
一実施形態では、上記のエネルギーコンバータは、電磁レゾネータ構造、折り畳まれたレゾネータ構造、及びフラクタル構造のうちの1つまたは複数を含むエネルギー増大構造で配置され、これらのいずれも、共鳴構造内に強化された電磁場の領域を有する。
【0027】
一実施形態では、上記のエネルギーコンバータは、1つまたは複数の発光材料を含む。本明細書に記載されているように、生物発光、化学発光、フォトルミネッセンス、蛍光、及び機械発光を増強するエネルギー増大構造及び/またはエネルギーコレクタの使用の実施形態がある。
【0028】
一実施形態では、上記のエネルギーコンバータは、1つまたは複数の発光材料について、リン光材料、蛍光材料、電界発光材料、化学発光材料、生物発光材料、及び上記のエネルギー増大構造と組み合わせてまたは組み合わせずに使用される機械発光材料を含む。上記のエネルギー増大構造と組み合わせて使用されるとき、発光材料から放出される電磁エネルギーは、エネルギーコンバータ(例えば、発光材料)が少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合と比較して、少なくとも1つの増強された特性で放出される。
【0029】
一実施形態では、上記のエネルギーコンバータは、1つまたは複数の発光材料について、リン光材料、蛍光材料、電界発光材料、化学発光材料、生物発光材料、及び上記のエネルギー増大構造と組み合わせてまたは組み合わせずに使用される機械発光材料を含み、それらは紫外線、可視光線、近赤外線、及び赤外線のうちの1つを放出する。この実施形態では、UV放出電界発光材料または機械発光デバイス及び材料を使用することができる。この実施形態では、UV放出生物発光材料を使用することができる。
【0030】
一実施形態では、a)少なくとも1つのエネルギー増大構造を含むエネルギーコレクタ、及びb)第2の波長の光を、第2の波長の光から波長においてシフトされる第3の波長の光に変換し、第2の波長の光から第3の波長の光を放出することができるエネルギーコンバータを有する色増強構造が提供される。一実施形態では、エネルギーコンバータは、波長がシフトされた光が、コンバータが少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合よりも大きな強度で放出されるように、少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される。
【0031】
様々な実施形態において、色増強構造は、塗料、インク、布、糸、道路標識、高速道路標識、自動車、ボート、飛行機、反射器、建築製品、コンクリート製品、エポキシ製品、宝石製品、着色された接触レンズ、ろうそく製品、ゴム製品、プラスチック製品、または他の着色された表面の一部を含む。
【0032】
別の実施形態では、顔料及び色増強構造を含む塗料が提供される。
【0033】
別の実施形態では、染料及び色増強構造を含むインクが提供される。
【0034】
別の実施形態では、カラーフィルタまたは色反射面及び色増強構造を含むディスプレイが提供される。
【0035】
追加の実施形態では、医療処置、太陽電池、接着剤/樹脂、滅菌、及びその他の最終用途におけるエネルギー増大構造及びエネルギーコレクタの使用の実施形態が提供される。
【0036】
別の実施形態では、上記のエネルギーコンバータは、エネルギーコンバータ(例えば、X線誘導フォトルミネッセンスまたは蛍光材料)が少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合と比較して、X線誘導フォトルミネッセンスまたは蛍光がより高くなるように、エネルギー増大構造で配置される。
【0037】
別の実施形態では、上記の分散型エネルギーコレクタは、患者の体内の媒体内の異なる位置に光を送達することができる。
【0038】
別の実施形態では、上記の分散型エネルギーコレクタは、例えば、器官内の異なる位置に光を収集または送達することを含む、患者内の異なる位置からまたは患者内の異なる位置に光を収集または送達することができる。
【0039】
別の実施形態では、UV放出ルシフェラーゼを単独で、または上記のエネルギー増大構造と組み合わせて使用して、患者の体内に光を生成することができる。
【0040】
別の実施形態では、電力に変換するために太陽光を収集するために一緒に分岐された別個の集光コンポーネントを有する分散型エネルギーコレクタが提供される。
【0041】
別の実施形態では、別個の集光コンポーネントを備えた上記の分散型エネルギーコレクタが、収集された太陽フラックスを光起電、熱電、または熱電子放出セルに向けることによって太陽光を収集することが提供される。
【0042】
別の実施形態では、集光コンポーネントで太陽光を電力に変換するために、コレクタ内の別個の集光コンポーネントで太陽光発電と統合された分散型エネルギーコレクタが提供される。
【0043】
別の実施形態では、別個の集光コンポーネントを備えた上記の分散型エネルギーコレクタ、及び/または太陽光が熱電子放出セルを加熱するように、強化された電磁場の領域を有する上記のエネルギー増大構造が提供される。強化された電磁場の領域が熱電子放出セルの近くに配置されると、強化された電磁場は熱電子放出を増強する。
【0044】
別の実施形態では、上記の分散型エネルギーコレクタは、人工媒体の接着硬化のために、人工媒体内の異なる位置に光を送達することができる。
【0045】
一実施形態では、上記のエネルギー増大構造を単独で使用して、強化された電磁場の領域の近くで加熱される接着剤の熱硬化を促進することができる。
【0046】
一実施形態では、上記のエネルギー増大構造をエネルギーコンバータと組み合わせて使用して、エネルギーコンバータからの増強された放出によって、強化された電磁場の領域の近くまたはエネルギー増大構造の外側のいずれかで接着剤の硬化を促進することができる。なぜなら、強化された電磁場の領域の近くにそれらが存在するためである。上記の2つの実施形態では、赤外線レーザーによるエネルギー増大構造の励起は、強化された電磁場の領域を生成する。エネルギーコンバータを備える実施形態では、X線励起または他の高エネルギー源(電子、プロトン、ガンマ、またはベータ粒子)を使用して、光硬化のためにエネルギーコンバータからの発光を刺激することができる。
【0047】
別の実施形態では、上記の分散型エネルギーコレクタは、媒体の滅菌のために、媒体内の異なる位置に光を送達することができる。
【0048】
一実施形態では、上記のエネルギー増大構造を単独で使用して、強化された電磁場の領域の近くで局在させて加熱するよう促進することができる。
【0049】
一実施形態では、上記のエネルギー増大構造をエネルギーコンバータと組み合わせて使用して、エネルギーコンバータからの増強された放出によって、強化された電磁場の領域の近くまたはエネルギー増大構造の外側のいずれかで滅菌を促進することができる。なぜなら、強化された電磁場の領域の近くにそれらが存在するためである。上記の2つの実施形態では、赤外線レーザーによるエネルギー増大構造の励起は、強化された電磁場の領域を生成する。エネルギーコンバータを備える実施形態では、X線励起または他の高エネルギー源(電子、プロトン、ガンマ、またはベータ粒子)を使用して、滅菌のためにエネルギーコンバータからの発光を刺激することができる。
【0050】
別の実施形態では、セキュリティの用途のために表面からシグネチャーの光の放出を生じるための、エネルギー増大構造及び/またはエネルギーコレクタの使用の実施形態が提供される。一実施形態では、上記のエネルギー増大構造をエネルギーコンバータと組み合わせて使用して、シグネチャーとして読み取るための異なる色及び強度のパターンの放出を生成することができる。
【0051】
別の実施形態では、光るプラズマ状態イオンの生成と維持を促進する、プラズマ(発光)カプセル内のエネルギー増大構造及び/またはエネルギーコンバータの使用が提供される。
【0052】
別の実施形態では、エネルギー増大構造の近くの表面からの電子放出を増強するためのエネルギー増大構造及び/またはエネルギーコンバータの使用が提供される。
【0053】
一実施形態では、上記のエネルギーコンバータは、1つまたは複数の電子放出材料を含む。電子放出材料は、UV光に曝された状態で電子を光放出する光子誘起材料であり得る。電子放出材料は、放出材料の加熱された表面から電子を放出する、熱で加熱された材料であり得る。
【0054】
一実施形態では、上記のエネルギーコンバータは、1つまたは複数の電子放出材料のために、ナノスケールの電界放出チップを含む。上記のエネルギー増大構造と組み合わせて使用する場合、電子放出材料から放出される電子フラックスは、エネルギーコンバータ(例えば、ナノスケール電界放出チップ)が少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合と比較して高い。
【0055】
本発明の上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はどちらも例示的であり、本発明を限定しないと理解すべきである。
【0056】
発明と発明に付随する利点の多くのより完全に近い理解は、添付の図面と共に以下の詳細な記載を参照することによってそれがより良く理解されると、容易く得られる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】エネルギーコンバータを任意選択で含む本発明のエネルギー増大因子システムを示す概略図である。
図2】本発明の例示的なエネルギー増大構造として折り畳まれたレゾネータを示す概略図である。
図3】本発明のエネルギー増大構造の1つの基礎となる基本概念を示す図である。
図4】本発明の例示的なエネルギー増大構造としての千鳥状アンテナ構成を示す概略図である。
図5】本発明の折り畳まれたレゾネータにおける電極間隔の効果を示す概略図である。
図6】空間に分布した3/4λの折り畳まれたレゾネータのパターンを示す図である。
図7A】平面またはその他の方法で物体の表面に沿って分布した3/4λの折り畳まれたレゾネータのパターンを示すいくつかの実施形態の図である。
図7B】平面またはその他の方法で物体の表面に沿って分布した3/4λの折り畳まれたレゾネータのパターンを示すいくつかの実施形態の図である。
図7C】平面またはその他の方法で物体の表面に沿って分布した3/4λの折り畳まれたレゾネータのパターンを示すいくつかの実施形態の図である。
図8】平面またはその他の方法で物体の表面に沿って分布し、図1-Dとは異なる向きを有する、3/4λの折り畳まれたレゾネータのパターンを示す図である。
図9】対向する電極間の領域に堆積された光または光子または電子放出材料を有する3/4λの折り畳まれたレゾネータのパターンを示す図である。
図10】対向する電極間の領域の光または光子または電子放出材料のパターン化された堆積を有する3/4λの折り畳まれたレゾネータのパターンを示す図である。
図11】対向する電極間の領域の光または光子または電子放出材料のパターン化された堆積を有する3/4λの折り畳まれたレゾネータのパターンを示す図である。
図12】金属トレースのために、対向する電極を接続するためにループする電気経路のフラクタルパターンを有する、3/4λの折り畳まれたレゾネータのパターンを示す図である。
図13】金属パッドの直線側が局所的に強化された電界を有するフラクタルアンテナセグメントを示す図である。
図14図13のフラクタルアンテナセグメントの繰り返されたパターンを示す図である。
図15】ボウタイフラクタルアンテナセグメントのパターンを示す図である。
図16】間に強化された電界を有する対の3次元フラクタル構造を示す図である。
図17】対の3次元フラクタル構造のパターンを示す図である。
図18】平行度を維持しながら、レゾネータアンテナの遠位端が外側に突き出ている3/4波長レゾネータを示す図である。
図19】3つの異なる3/4波長レゾネータのパッキング構成を示す図であり、それらは、重なり合う遠位端がない平面に維持されている。
図20】3つの異なる3/4波長レゾネータのパッキング構成を示す別の図であり、それらは、重なり合う遠位端がある平面に維持されている。
図21】面の軸の対称性がない(またはそれから外れている)、3/4波長レゾネータのパッキング構成を示すさらに別の図である。
図22】示されている折り畳まれた3/4波長レゾネータの平行な平面におけるマルチレベルパッキング構成を示す図である。
図23図22の3/4波長レゾネータの遠位端が突出している、平行な平面におけるマルチレベルパッキング構成を示す図である。
図24A】異なる面内パッキング構成を示す図である。
図24B】異なる面内パッキング構成を示す別の図である。
図25A】本発明の分散するポイント集光器/送信器を示す概略図である。
図25B図25Aの集光器/送信器の断面の概略図である。
図26】本発明の様々なコンバータの構造を示す概略図である。
図27】シェルの厚さの関数としてのプラズモン共鳴の概略図である。
図28A】本発明の他の様々なコンバータの構造を示す概略図である。
図28B】本発明の他の様々なコンバータの構造を示すさらなる概略図である。
図28C】本発明の様々なプラズモニクス活性コンバータの構造を示す概略図である。
図28D】本発明のプラズモニクス活性アップコンバータ構造に連結された光活性分子の概略図である。
図29】本発明の機械発光エミッタを示す図である。
図30】本発明の複合圧電/電界発光エミッタを示す図である。
図31】光放出のための表面全体にわたる図30の複合エミッタの分布を示す図である。
図32】光放出の標的領域内での、図30の複合エミッタの分布を示す図である。
図33】本発明の反射レゾネータの概略図である。
図34】可変色温度制御を備えたLED白色光源の概略図である。
図35】電界発光光源の概略図である。
図36】本発明の電界発光光源の概略図である。
図37】本発明の一実施形態による圧縮層基板構成の概略図である。
図38図37の圧縮層基板構成に形成されたコーティング層の概略図である。
図39】本発明のマイクロ転写印刷技術の概略図である。
図40図6Gのマイクロ転写印刷プロセスの全体像である。
図41】プレコートされた圧縮応力ガラス基板のマイクロ移動アンテナの概略図である。
図42】本発明のアンテナ(レゾネータ)が埋め込まれた、本発明の多層構造を示す概略図である。
図43】本発明の個別のマイクロカラー増強剤の形成を示す概略図である。
図44】本発明の色増強構造を使用した再帰反射塗料の形状の概略図である。
図45】コーティングにおける本発明の増幅/レゾネータアンテナの効果を示す概略図である。
図46】本発明の色増強構造を含む、塗装面上のトップコートの概略図である。
図47】本発明の色増強構造を使用した電子インクディスプレイの概略図である。
図48】本発明の色増強構造を使用した電子インクディスプレイの別の概略図である。
図49】本発明の色増強構造を使用した電子インクディスプレイの別の概略図である。
図50】本発明の色増強構造を使用した電子インクディスプレイの別の概略図である。
図51】本発明の色増強構造を使用したIR光活性化ディスプレイの概略図である。
図52】本発明の色増強構造を使用したIR光活性化ディスプレイの別の概略図である。
図53】本発明の色増強構造を使用したIR光活性化ディスプレイの別の概略図である。
図54】カラーフィルタが本発明の色増強構造を有するLCD光活性化ディスプレイの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
これより、本発明のいくつかの実施形態を詳細に言及し、その例を添付の図面に示しており、図面において、同様の参照符号が対応する要素を指している。
【0059】
上記のように、アップコンバージョン材料及びダウンコンバージョン材料などのエネルギーコンバータは、光の入射波長を異なる波長に変換するために実際に多くの分野で使用されてきた。金属構造は、本質的に、金属構造外側の非常に近くにある局所的な場の増幅であるプラズモン効果を生成するために、リン光物質上またはリン光物質の近くに配置されている。一部の適用では、特定の周波数または波長の光が材料内で1つ、2つ、または任意の数の方向に伝搬するのを防ぐために、フォトニックバンドギャップ構造が太陽電池の適用で使用されている。さらに、反射防止コーティングとコンセントレータは文献でよく知られている。
【0060】
本発明者らは、これらの構造の欠点は、別個にまたはエネルギーコンバータと組み合わせて使用される、本明細書に記載のエネルギー増大構造を使用することによって対処できるということを認識した。
【0061】
A.エネルギー増大構造
本発明において、「エネルギー増大」という用語は、強度、電力、関連する電界、関連する磁場、波の振幅、フォトニックフラックス、磁束、位相、コヒーレンス、伝搬方向などを含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの特性において電磁エネルギーの1つまたは複数の波長に何らかの変化をもたらすことを意味する。エネルギー増大を実行する構造は、「エネルギー増大構造」または「エネルギー増大因子」と呼ばれることがある。これらの用語は本明細書では互換的に使用される。好ましくは、エネルギー増大構造は、非プラズモン構造(プラズモン特性を示さない構造)である。
【0062】
エネルギー増大因子は、それに加えられるエネルギーを増大する必要な機能を実行し、上記のように少なくとも1つの特性において電磁エネルギーの1つまたは複数の波長の変化を引き起こすことができる限り、任意の所望の形態をとることができる。そのようなエネルギー増大因子の例は、ほんの数例を挙げると、レゾネータ、フラクタルアンテナ、電気グリッドパターン、アンテナ、空洞、エタロン、ナノ粒子、微粒子、ナノ構造、及び微細構造からなる群から選択される、少なくとも1つの非プラズモンメンバーが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
一実施形態では、図1に概略的に示されるように、入射エネルギー波12を表す電磁エネルギーの1つまたは複数の波長を受信または捕捉することができるエネルギー増大因子10が設けられる。入射エネルギー波12を受信または捕捉すると、エネルギー増大因子10は、少なくとも1つの特性において、受信または捕捉されたエネルギー波束12の1つまたは複数の波長を増大することができる。図1に示されるように、一実施形態では、エネルギー増大因子10は、次に、少なくとも1つの特性が増大されたエネルギー波14を出力し、増大したエネルギー波14は、ターゲット20に入射する。増大の詳細を以下に説明する。
【0064】
別の実施形態では、出力(増大された)エネルギー波14(すなわち、電磁エネルギーの1つまたは複数の出力波長)は、エネルギーコンバータ16(上記のアップコンバージョン材料及びダウンコンバージョン材料など)に入射することができる。エネルギーコンバータ16は、ターゲット20に向けることができる光子または電子18を出力することができる。これらの実施形態では、ターゲット20は、光子または電子18、または出力増大エネルギー波14を同時にまたは別々に受信することができる。
【0065】
一実施形態では、エネルギー増大因子10は、電磁レゾネータ構造、折り畳まれたレゾネータ構造、及びこれらの構造内に強化された電磁場の領域を有するフラクタル構造のうちの1つまたは複数であり得る。
【0066】
以下の図2は、本発明の折り畳まれたレゾネータ構造22を示す図である。
【0067】
本発明の一実施形態におけるレゾネータは、図2に示すように、湾曲している3/4λの金属構造であり、「折り畳まれた」構造を持ち、その間に強い電界が発生する、対向する電極を形成する。「折り畳まれた構造」のアンテナの例示的な特性を次の表に挙げる。
【表1】
【0068】
理論上の3/4λと、アンテナの作成に関係するすべての湾曲したコーナーを考慮したわずかにオーバーサイズのアンテナの計算により、この構造は理論上の0.75λとオーバーサイズの上限0.78λとの間のサイズになる。
【0069】
ほとんどの図面に示されているレゾネータは、対向するアンテナセクションまたは電極を一緒に接続する長方形のループを有するものとして特徴付けることができるが、本発明はそのように限定されない。対向する電極が互いに平行で同一平面上にあり、ループが長さ1/2λの電気の経路を形成し、対向する電極の長さがそれぞれ1/8λであり、それによって3/4λのレゾネータを作る限り、他の「ループ」形を用いてもよい。
【0070】
図3は、本発明のエネルギー増大構造の1つの基礎となる基本概念を示す図である。図3の描写には、例えば光波の瞬間的な波形(入射エネルギー束12)を表す正弦波がある。描写は、波長の3/4の長さλを示し、一実施形態で、レゾネータの開放端が一緒に「折り畳まれ」て、この実施形態で3/4λの折り畳まれたレゾネータ22を形成する状態で、どのように3/4λレゾネータが構築されるかを示す。図3に示すように、折り畳まれた端部は、対向する開放端の間に水平方向の矢印で示される、強められて増幅された電界の領域を形成する。公称波長λ(またはその高調波2λ、3λ、4λなど)の光が折り畳まれてアンテナ構造に入射すると、光の一部がこの構造に結合され、増幅された電界が確立される。太陽からの光が連続的に様々な回転偏光で来るため、後続の光波は、何らかの「損失」機構が電界の強度を制限するまで、共鳴構造の電界を「ポンピング」し続ける。低損失材料で作られたレゾネータの場合、高いQファクタが得られる。これは、この場合、対向する電極間の電界の強度が、例えば、入射波形の電界ベクトルのピーク振幅の100~1000倍になる可能性があることを意味し得る。
【0071】
別の実施形態では、共鳴アンテナは、図4に示される以下の構成を有することができる。ここで、3/4λの構造は、「折り畳まれた」構造なしで互いに対向し、互いにかみ合う。図4の図では、水平スタブの長さは1/4λであり、垂直延長コネクタの長さは1/4で、水平スタブ間の垂直間隔とインターデジタルの延長は、構成1と構成2の間で示されているように、多様である。本発明の一実施形態では、図4に示すように、エネルギーコンバータ、光または電子放出材料、または色放出または色コンバータ材料(すなわち、放出材料24)が、強化された電界の領域の内側または周囲に配置される。
【0072】
図5は、対向する電極間の距離が異なるため、電界の強度が異なる、様々な3/4λの折り畳まれたレゾネータを作成できることを示している。このように、本発明の折り畳まれたレゾネータは、対向する電極間の電界の強さがその間の任意の材料の絶縁耐力を超えないように調整することができる。間にあるいずれかの材料の絶縁耐力を超えると、絶縁耐力を超えたいずれかのときに強い電流(マイクロアークなど)が流れて材料が破壊されるため、その材料を破壊するに至る可能性がある。示されているように、ここでは対向する側が正確な1/8λの長さである必要はない。
【0073】
本発明の一実施形態では、エネルギーコンバータ、光または電子放出材料、または色放出または色コンバータ材料(すなわち、放出材料)24が、対向する電極の近接の/間にある強化された電界の領域の内側または周囲に配置される。本発明の一実施形態では、色放出または色コンバータ材料は、それ自体が、例えば青色光などの色の光を吸収し、より低いエネルギーのダウンシフトされた赤色光を放出し得る。この場合、赤リン光物質が色放出または色コンバータ材料である可能性がある。
【0074】
一実施形態では、3/4λの折り畳まれたレゾネータは、青色光で共鳴するように設計することができ(λ=420~440nm)、レゾネータは、好ましくは、赤リン光物質によって吸収されている青色光とは異なる周波数の光から共鳴するように、設計されている。一実施形態では、太陽光の下の物体の色を強めるために、3/4λの折り畳まれたレゾネータは、太陽光スペクトルからの赤外線によって駆動され(例えば、λ=700~1000nm)、強められた電界を発生するように設計することができ、強められた電界の領域に配置された赤リン光物質は、強められた電界が存在しなかった場合よりも明るい赤色発光を有する。
【0075】
図6は、空間に分布した3/4λの折り畳まれたレゾネータ22のパターンを示す図である。後でより詳細に議論されるように、3/4λの折り畳まれたレゾネータを分配する多くの方法がある。本発明は、図6に示す規則的で均一な間隔及びサイズのレゾネータに限定されない。分布が規則的で、均一な間隔で、均一なサイズである、または均一に配向されている必要はない。異なるサイズ、間隔、及び向きのレゾネータは、太陽または物体に入射する他の任意の光源の全スペクトルのより良い利用をもたらし得る。
【0076】
図7Aは、平面内またはその他の方法で、物体の表面に沿って分布した3/4λの折り畳まれたレゾネータ22のパターンを示す図である。一実施形態では、このパターンは、ガラス板などの平面または湾曲したシートタイプの製品へのリソグラフィまたはスタンピングのプロセスによって、形成することができる。一実施形態では、ガラスプレートは、それ自体がリン光プレートであり得るか、または各レゾネータの対向する電極のそれぞれの位置を整列する/整合させるパターンで堆積される、異なるリン光材料のセクションを有することができる。一実施形態では、シート状製品は、例えば名目上白い物体に適用されるラミネートタイプの製品であり得る。太陽が照射されると、太陽スペクトルの赤外線部分(通常は表面を加熱するだけ)が、強化された電界領域を発生する。これらの領域では、深青色の光と紫外線を可視光に変換するリン光物質をダウンコンバートすると、太陽スペクトルの深青色の光と紫外線が可視光に変換され、強まった電界が可視光のより大きな放出を強める。
【0077】
一実施形態では、エネルギー増大因子は、図7Bに示されるように、有孔シート上に配置することができる。一実施形態の穿孔は、リン光物質または他のエネルギー変換材料またはデバイスを穿孔に配置することができるように、電界が強められた領域にある。
【0078】
(色増強のための)一実施形態では、シート状製品は、例えば名目上緑色の物体に適用されるラミネートタイプの製品であり得る。太陽が照射されると、太陽スペクトルの赤外線部分(通常は表面を加熱するだけ)が、強化された電界領域を発生する。これらの領域では、青色と深青色の光と紫外線を緑色の光に変換するリン光物質をダウンコンバートすると、太陽スペクトルの青色と深青色の光と紫外線が緑色の光に変換され、強まった電界が緑色のより大きな放出を強める。
【0079】
一実施形態では、シート状製品は、例えば名目上赤い物体に適用されるラミネートタイプの製品であり得る。太陽が照射されると、太陽スペクトルの赤外線部分(通常は表面を加熱するだけ)が、強化された電界領域を発生する。これらの領域では、緑色と青色と深青色と紫外線の光を赤色の光に変換するリン光物質をダウンコンバートすると、太陽スペクトルの緑色と青色と深青色と紫外線が赤色の光に変換され、強まった電界が赤色光のより大きな放出を強める。
【0080】
一実施形態では、エネルギー増大因子は、図7Cに示されるように、シート上に配置され、次いで別個の断片に分離され得、これは、処理される媒体に容易に添加及び混合され得る。
【0081】
図8は、平面で、さもなければ物体の表面に沿って分布し、図7とは異なる配向を有する、3/4λの折り畳まれたレゾネータ22のパターンを示す図である。異なる向きを有することにより、3/4λの折り畳まれたレゾネータを駆動するのに役立つ電界整列を一例で有さなくてもよい、回転する偏向された太陽光波は、異なる方向のレゾネータを駆動するのに役立つ電界整列があり、したがってよりよく整列される。したがって、シートタイプの製品を使用した場合、異なる向きの3/4λの折り畳まれたレゾネータの層を一緒に積み重ねることができる。
【0082】
図9は、対向する電極間の領域に堆積された、エネルギーコンバータ、光または電子放出材料、または色放出または色コンバータ材料(すなわち、放出材料24)を有する3/4λの折り畳まれたレゾネータ22のパターンを示す図である。ここで、平面図に示されているが、対向する電極間の領域に堆積された色変換または増強材料は、色変換または増強材料が3/4λの折り畳まれたレゾネータの金属トレースより上に隆起した上面を有するように堆積され得る。この実施形態では、隆起したセクションは、対向する電極間の強化された電界のフリンジングの場を遮断する。
【0083】
図10は、対向する電極間の領域に堆積された、エネルギーコンバータ、光または電子放出材料、または色放出または色コンバータ材料(すなわち、放出材料24)を有する3/4λの折り畳まれたレゾネータ22のパターンを示す図である。ここで、前のように、対向する電極間の領域に堆積された色変換または増強材料は、色変換または増強材料が3/4λの折り畳まれたレゾネータの金属トレースより上に隆起した上面を有するように堆積され得る。この実施形態では、隆起したセクションは、対向する電極間の強化された電界のフリンジングの場を遮断する。この実施形態では、隆起したセクションは、幾何学的にコーナーが電界をさらに強めるコーナーの周りに延びる。
【0084】
図11は、対向する電極間の領域に堆積された、エネルギーコンバータ、光または電子放出材料、または色放出または色コンバータ材料(すなわち、放出材料24)を有する3/4λの折り畳まれたレゾネータ22のパターンを示す図である。ここで、前のように、対向する電極間の領域に堆積された色変換または増強材料は、色変換または増強材料が3/4λの折り畳まれたレゾネータの金属トレースより上に隆起した上面を有するように堆積され得る。この実施形態では、隆起したセクションは、対向する電極間の強化された電界のフリンジングの場を遮断する。この実施形態では、隆起したセクションは、幾何学的にコーナーが電界をさらに強めるコーナーの周りに延び、対向する電極の端部の周りに延びる。
【0085】
図9、10、及び11に示されるこれらの実施形態では、エネルギーコンバータ、または光または電子放出材料、または色放出または色コンバータ材料(すなわち、放出材料24)は、1つまたは複数のエネルギー増大構造(つまり、3/4λの折り畳まれたレゾネータ)の近くに配置される。したがって、エネルギー増大構造は、好ましくは、強められた電界の領域にある。強められた電界は、特にエネルギーコンバータを1つのエネルギー増大構造に導電的に結合する電流が流れる場合、強められたエネルギーの領域を表し得る。後の実施形態では、エネルギーコンバータを1つのエネルギー増大構造に導電的に結合することには利点がある。したがって、1つまたは複数のエネルギー増大構造の近くに配置されたエネルギーコンバータまたは色変換または増強材料は、エネルギーコンバータと少なくとも1つのエネルギー増大構造との間に物理的な導電性接続を有し得る。あるいは、結合は、電界を共鳴構造からエネルギーコンバータに放射的または容量的に結合するか、エネルギー増大構造の内側、エネルギー増大構造の外側、エネルギー増大構造との層、またはエネルギー増大構造の上または下の層に配置された色変換または増強材料の結合よりも多くてもよい。
【0086】
本明細書で使用される場合、近傍とは、他のものの構造の内側、他のものの構造の外側及び近くまたは隣接する1つのものの配置を指し、いずれかの三次元の方向にある他のものの上または下にある1つのものの配置を含むことができる。したがって、本発明の一実施形態では、色変換または増強材料は、エネルギー増大構造の近くに配置される。
【0087】
図12は、金属トレースのために、対向する電極を接続するためにループする電気経路のフラクタルパターンを有する、3/4λの折り畳まれたレゾネータ30のパターンを示す図である。このパターンの電気経路のフラクタルパターンは、導電経路の各セグメントの幅がループの周りに存在する様々な物理的長さの電気経路を許容する幅で変化するため、多数のループ経路が利用可能であるために、金属トレースが3/4λ特性と共鳴する様々な波長をサポートできることを意味する。
【0088】
図13は、金属パッドの直線側が局所的に強められた電界の領域24を有する、別のフラクタルアンテナセグメント32を示す図である。ここで、一実施形態において、フラクタルアンテナセグメントは、赤外域での共鳴のために設計され、電界領域34が強められる(例えば、示されるように、青色リン光物質と赤色リン光物質(または他の放出材料24)が、それらの放出がそれらの領域34の強化された電界を増強するように堆積される場所の金属パッドの直線側に向かう)。
【0089】
図14は、図13のフラクタルアンテナセグメント32の繰り返されたパターン(アレイ)を示す図である。
【0090】
図15は、ボウタイフラクタルアンテナセグメントのパターン(アレイ)を示す図であり、図14のフラクタルアンテナセグメントの代替の実施形態を提供する。
【0091】
本発明の一実施形態では、共鳴構造は、3次元のフラクタルパターンを含むことができる。当技術分野で公知であるのは、シリコンのナノスケールの異方性エッチングによる3次元フラクタル構造の製造であり、例えば、Brian Wangによる、2013年6月23日付けの、the Journal of Micromechanics and Microengineering(www.nextbigfuture.com/2013/06/nanoscale-etching-of-3d-fractal.htmlで入手可)の、Nanoscale etching of 3d fractal structures with many applications including 3d fractal antennas and structures for filtersに記載されており、これは、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の一実施形態では、金属は、シリコンの3次元フラクタル構造上に堆積されて、多次元集光器を形成する。
【0092】
図16は、対の間に強化された電界の領域34を有する対の3次元フラクタル構造を示す図である。対になった3次元フラクタル構造は、本発明の一実施形態による色増強構造である。本発明の一実施形態では、これらのピラミッド型構造は金属化され、対向している面が金属化され、第1のピラミッドの他の側面の周囲に第1のループ導体が形成され、次いで対の間で領域を横切って接続し、次いで第2のループが第2のピラミッドの金属化された反対側の面へと第2のピラミッドの側面の周りに形成され、図3に示す3/4λの折り畳まれたレゾネータを模倣する(上から見たように)。
【0093】
一実施形態では、コンバータ(放出)材料24は、ピラミッド型構造の異なるセクションの近くに、好ましくは、(矢印で示される)強められた電界が存在する対の対向する面の間に配置される。本発明の三次元的側面により、赤、黄、緑、及び青のコンバータ(または他の指定されたエミッタ)を、この強化された電界の領域内の異なるレベルに配置することができる。
【0094】
図17は、図16の対の3次元フラクタル構造のパターン(アレイ)を示す図である。
【0095】
図12~17に示されるこれらの実施形態では、エネルギーコンバータ、または光または電子放出材料、または色放出または色コンバータ材料(すなわち、放出材料24)は、1つまたは複数のエネルギー増大構造(つまり、3/4λの折り畳まれたレゾネータ)の近くに配置される。したがって、エネルギー増大構造は、好ましくは、強められた電界の領域にある。強められた電界は、特にエネルギーコンバータを1つのエネルギー増大構造に導電的に結合する電流が流れる場合、強められたエネルギーの領域を表し得る。後の実施形態で、エネルギーコンバータを1つのエネルギー増大構造に導電的に結合することには利点がある。したがって、1つまたは複数のエネルギー増大構造の近傍に配置されたエネルギーコンバータまたは光または電子放出材料または色放出または色コンバータの材料は、エネルギーコンバータと少なくとも1つのエネルギー増大構造との間に物理的な導電性接続を有し得る。あるいは、結合は、電界を共鳴構造からエネルギーコンバータに放射的に結合するか、エネルギー増大構造の内側、エネルギー増大構造の外側、エネルギー増大構造との層、またはエネルギー増大構造の上または下の層に配置された色変換または増強材料の結合よりも多くてもよい。
【0096】
エネルギー増大構造は、上に示したものに限定されない。他のバリエーションも可能である。さらに、本発明の一実施形態では、3/4λの折り畳まれたレゾネータは、図3に示すように内側に折り畳まれる「折り畳まれたセクション」を有する必要はない。代わりに、図18に示すように、本発明の3/4λの折り畳まれたレゾネータは、レゾネータの「ループ」の外側にある増強された電界の領域を伴って外側に折り畳まれる折り畳まれたセクションを有することができる。アンテナの遠位端は、平行性を維持しながら外側に突き出ている。具体的には、図8は、3/4λ外部の電極が折り畳まれたレゾネータ22の概略図である。この外部の対向する電極の対の設計は、図5~11に示す一般的な配分、スケーリングの態様、コンバータの材料の配置などに従うが、内部の折り畳まれたセクションは外部電極の対に置き換えられている。
【0097】
本発明の一実施形態では、3/4λの外部の電極が折り畳まれたレゾネータ22は、サイズが漸進的に増加または減少するレゾネータを備えた同心型の配置に詰められる能力を備える。これらのレゾネータは、遠位端が重ならないように平面に維持される。図19は、複数の同心型3/4λの外部の電極が折り畳まれたレゾネータ22の概略図である。3/4λの外部の電極が折り畳まれたレゾネータ22のそれぞれは、異なる電気的長さを有するので、複数の同心型の3/4λの外部電極レゾネータは、それぞれの電気的長さに関連する異なる波長に「調整」される。したがって、3つの異なる周波数がアンテナの遠位端の間に集束される。
【0098】
別の実施形態では、図20は、重なり合う電極を備えた複数の同心型の3/4λの外部の電極が折り畳まれたレゾネータ22の概略図である。一実施形態では、重複は図19の重複しない配置よりも集中した/増強された場の領域を備える。
【0099】
本発明は、図19または20に示されるような平面同心型パッキング配置に限定されない。図20の3つの異なる3/4波長レゾネータは、遠位端が重なっている平面に維持されている。これらのアンテナは誘導結合されている。一実施形態では、本発明は、アンテナが軸方向に回転する複数周波数のインターリーブされた3/4波レゾネータ構造にある、軸対称のオフプレーン構成を利用する。図21は、軸方向に回転した複数周波数のインターリーブされた3/4波レゾネータ22の概略図であり、共通の軸を中心に/共通の軸に沿って配置されているが、軸方向に回転している複数周波数共鳴用の(この例では)3つの異なるサイズのレゾネータを示している。一実施形態では、この構成では、結果として生じる電界は、一方の電極セクションが他方からの電界を摂動させることなく集中される。
【0100】
さらなる実施形態では、少なくとも1つのエネルギー増大構造を含むエネルギーコレクタ、及び印加された電磁エネルギーを受け取り、印加された電磁エネルギーを変換し、そこから印加された電磁エネルギーからの波長またはエネルギーにシフトされた放出された電磁エネルギーを放出することができる少なくとも1つのエネルギーコンバータであってエネルギーコンバータが少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合と比較して、放出された電磁エネルギーが少なくとも1つの増強された特性で放出されるように、少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される、エネルギーコンバータ、が提供される。
【0101】
一実施形態では、本発明は、レゾネータが3/4λの内部折り畳みレゾネータまたは3/4λの外部電極レゾネータであるかどうかに関係なく、その上に3/4λレゾネータを配置するために異なるレベルを使用することができる。このパッキングは、図22及び23において、遠位端がそれぞれ折り畳まれているか、または突き出ている平行な平面での構成について、示されている。
【0102】
複数の同心型3/4λ外部電極レゾネータ22を有する図20に示される本発明の実施形態では、アンテナは誘導的に分離されている。この構成により、電界を3つの異なる周波数からより長い経路に集束させることができる。この構成を使用して、図24Aに示されているように、集束電界の長さを延長するための鏡像構成を作成することができる。
【0103】
この場合のレゾネータ構成は、別のアンテナのセット(折り畳まれたレゾネータ22)で鏡像化され、集束電界のより長い経路(2倍)を作成する。さらに、図24Bに示すように、レゾネータアンテナ構成をより創造的な方法で配置して、ターゲットの周囲に集束する電界を増強することができる。
【0104】
図25の構成では、ターゲットの周りにエネルギーを加熱して集中させる目的でレゾネータの構造/アンテナの平面内でターゲットを囲むことができるようにする。これにより、熱伝導率の高いシリコンの熱放散を防ぐ。そのような場合のシリコン基板は、単結晶、多結晶、またはアモルファスであり得る。
【0105】
本発明の一実施形態では、「エネルギー増大構造」は、エネルギーコレクタの空間領域が、人工的に誘発されたより高い電界及び/またはより高いエネルギー密度がある空間領域/体積内にある(例えば、折り畳まれた構造または外部電極対の間またはその周辺またはその近く)間に曝されるものとは異なるエネルギー(波長)で光の放出を刺激するエネルギーに曝されたコンバータ材料(または他の光または電子放出材料)を含む構造を表す。これらの人工的な領域は、例えば、複数レベルの収集光学系、レゾネータ、フラクタルアンテナ、及び電気グリッド(または電極)パターンを含むがこれらに限定されない構造を使用することによって生成することができる。
【0106】
本発明のエネルギー増大構造の近くに光または電子放出材料を配置することにより、エネルギー増大構造が強められた電界の領域内にあるか、そうでなければ強化された電界の領域外にあるかに関係なく、本発明のエネルギー増大構造は、様々な用途、特に、例えば光反応性薬物の光活性化、接着剤またはリソグラフィーフォトレジストなどの感光性材料の光活性化、または滅菌の場合のように、増大構造の環境における生物学的及び化学的作用因子との直接相互作用のため、などの生物学的、化学的、及び物理的反応の光刺激に使用できる光を生成することができる。
【0107】
一実施形態では、上記の光または電子放出材料は、電磁レゾネータ構造、折り畳まれたレゾネータ構造、及びフラクタル共鳴構造のうちの1つまたは複数を含むエネルギー増大構造で配置され、これらのいずれも、共鳴構造内に強化された電磁場の領域を有する。
【0108】
一実施形態では、上記のエネルギーコンバータまたは光または電子放出材料は、1つまたは複数の発光性材料を含む。本明細書に記載されているように、生物発光、化学発光、フォトルミネッセンス、蛍光、機械発光、及び/または電子放出を増強する、エネルギー増大構造及び/またはエネルギーコレクタの使用の実施形態がある。
【0109】
一実施形態では、上記のエネルギーコンバータまたは光放出材料は、1つまたは複数の発光材料について、リン光材料、蛍光材料、電界発光材料、化学発光材料、生物発光材料、及び上記のエネルギー増大構造と組み合わせてまたは組み合わせずに使用される機械発光材料を含む。上記のエネルギー増大構造と組み合わせて使用される場合、発光材料から放出される電磁エネルギーは、エネルギーコンバータ(例えば、発光材料)が少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合と比較して、少なくとも1つの増強特性で放出される。
【0110】
一実施形態では、生物発光材料は、触媒作用のあるルシフェラーゼ及び発光性のタンパク質などのUV発光生物発光材料である。
【0111】
一実施形態では、上記のエネルギーコンバータまたは光放出材料は、1つまたは複数の発光材料について、リン光材料、蛍光材料、電界発光材料、化学発光材料、生物発光材料、及び上記のエネルギー増大構造と組み合わせてまたは組み合わせずに使用される機械発光材料を含み、それは紫外線、可視光線、近赤外線、及び赤外線のいずれかを放出する。この実施形態では、UV発光電界発光材料または機械発光デバイス及び材料を使用することができる。この実施形態では、UV放出生物発光材料を使用することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、金属パターンは、間に電界が向けられた対向する電極を有する折り畳まれたレゾネータを形成し、コンバータは、対向する電極間または対向する電極のフリンジ電界内、あるいは対向する電極の近傍に配置される。一例では、折り畳まれたレゾネータは、3/4λの折り畳まれたレゾネータである。一例では、金属パターンは、Au、Ag、Cu、Al、または透明な金属酸化物のうちの少なくとも1つを含む。別の例では、金属パターンは、例えば、Ti、W、及びMoなどの加工しにくい金属で形成することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、金属パターンは、間に電界が向けられた対向する電極を有する外部の外的電極の対の構造を含み、コンバータは、対向する電極間または対向する電極のフリンジ電界内、あるいは対向する電極の近傍に配置される。一例では、レゾネータは3/4λ外部電極の対のレゾネータである。一例では、金属パターンは、Au、Ag、Cu、Al、または透明な金属酸化物のうちの少なくとも1つを含む。別の例では、金属パターンは、例えば、Ti、W、及びMoなどの耐火金属で形成することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、複数のレゾネータ及び複数のコンバータが、集光器全体の複数の位置に配置されている。一例では、複数のコンバータは、集光器内で内部散乱されている光を変換するように配置されている。
【0115】
エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、第1のレベルの金属パターン(または第2のレベルの金属パターン)は、高K誘電体でクラッドされた金属コアと、それに続く低K誘電体のクラッドとを含む。エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の第1のレベルの金属パターン(または第2のレベルの金属パターン)は、導体の放射状パターンを含む。エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の第1のレベルの金属パターン(または第2のレベルの金属パターン)は、フラクタルパターンを含む。一例では、フラクタルパターンは誘電体材料内に埋め込まれている。
【0116】
エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の第1のレベルの金属パターン(または第2のレベルの金属パターン)は、3次元のフラクタル構造を含む。
【0117】
エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、第1のレベルの金属パターン及び第2のレベルの金属パターン、ならびに任意選択でその中または上に形成された複数のコンバータを備えたパネルが設けられる。増大構造のいくつかの実施形態では、第1のレベルの金属パターン及び第2のレベルの金属パターン、ならびに任意選択でその中または上に形成された複数のコンバータを備えたシートが設けられる。
【0118】
エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の第1のレベルの金属パターン(または第2のレベルの金属パターン)は、第1のレベルの金属パターンの相互、または第2のレベルの金属パターンに対する異なるサイズ及び/または向きである。
【0119】
別の実施形態では、エネルギー増大因子は、光を収集または分配することができる。
【0120】
図25Aは、本発明の分散する点の集光器/送信器を示す概略図である。分散する点710から光を収集することができるか、または逆に、中央光源766から分散する点710に光を分配することができる分岐の分布を示す。収集器/送信器のセクションは図25Bに示され、コアの金属、任意選択の光コンバータ材料、高K誘電体、及び低K誘電体を示す。この配置では、示されているように、光は閉じ込められており、端部を除いて収集器/送信器から散乱されるのに失われない。
【0121】
B.エネルギーコンバータ
本発明の様々な実施形態において、エネルギーコンバータは、上記のエネルギー増大因子の有無に関わらず使用することができる。いくつかの実施形態では、コンバータは、例えば、IR領域から可視電磁放射への光のアップコンバージョン、及び例えば、UV範囲から可視電磁放射への光のダウンコンバージョンのためのものである。様々な実施形態において、本発明は、エネルギー、好ましくは可視スペクトルの光をアップコンバージョンする。本発明は、電磁エネルギー放出、好ましくは光または光子の放出を増強するために、エネルギー増大因子を伴うまたは伴わないアップ及びダウンコンバージョン材料が含まれる様々な用途を包含する。エネルギー増大因子が存在するとき、それはエネルギーコンバータから分離されているか、または接続されている可能性がある。特定の実施形態では、エネルギーコンバータは、化学蒸着(「CVD」)または物理蒸着(「PVD」)プロセスまたは他のナノスケールの「印刷」方法によってその表面に形成されたエネルギー増大因子を有することができる。そのような実施形態は、エネルギーコンバータの表面にそのようなエネルギー増大因子を「インプリント」することにより、エネルギー増大因子とエネルギーコンバータとの間の近接性を保証して、適用するエネルギーとの相互作用を最大化できる、ヒトまたは動物の患者を治療するための方法において特に有用であり得る。あるいは、エネルギー増大因子は、不活性な非エネルギー変換粒子の表面に形成することができ、例えば、シリカから形成するか、または生物学的に及び/または化学的に不活性なコーティング(例えば、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、または同様の不活性材料など)でコーティングされた非エネルギー変換粒子から形成することができる。次に、そのようなエネルギー増大因子を、エネルギーコンバータと一緒に、ヒトまたは動物の患者に同時投与することができる。
【0122】
本発明の適切なエネルギー調節剤またはエネルギーコンバータ(2つの用語は本明細書で交換可能に使用される)には、生体適合性蛍光金属ナノ粒子、蛍光染料分子、金ナノ粒子、ポリアミドアミンデンドリマーによってカプセル化された水溶性量子ドット、ルシフェラーゼ(生物発光)、生体適合性リン光分子、複合電磁エネルギーハーベスター分子、及び強力な発光が可能なランタニドキレートが含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
あるいは、エネルギー調節剤またはエネルギーコンバータは、標的部位または受容体での吸収に適した形態でエネルギーを放出することができる。例えば、開始エネルギー源は音響エネルギーであり得、1つのエネルギーコンバータは、音響エネルギーを受け取ることと、光子エネルギーを受け取ることができる別のエネルギーコンバータによって受け取られる光子エネルギー(例えば、ソノルミネセント発光分子)を放出することとが可能であり得る。他の例には、X線波長でエネルギーを受け取り、UV波長、好ましくはUV-A波長でエネルギーを放出するエネルギーコンバータが含まれる。複数のそのようなエネルギーコンバータを使用してカスケードを形成し、一連のエネルギーコンバータを介して開始エネルギー源からエネルギーを移動することができる。
【0124】
共鳴エネルギー移動(RET)は、放出帯と吸収帯が重なっている2つの分子間のエネルギー移動機構である。電磁エミッタは、到着する波長をより長い波長に変換することができる。例えば、第1の分子によって吸収されたUV-Bエネルギーは、双極子-双極子相互作用によって、UV-B吸収分子に近接したUV-A放出分子に移動され得る。あるいは、より短い波長を吸収する材料を選択して、移動分子の放出帯と重複する吸収帯を有する非放出分子にRETを提供することができる。あるいは、リン光、化学発光、または生物発光を使用して、エネルギーを標的部位または光活性化剤などの受容体に移動することができる。
【0125】
さらなる実施形態では、蛍光金属ナノ粒子または蛍光染料分子などの生体適合性発光源が、UV-A帯域で発光するエネルギーコンバータとして選択される。別の実施形態では、UV-A放出源を含むエネルギーコンバータは、例えば5つの金原子のクラスターを含む金ナノ粒子であり得る。
【0126】
別の実施形態では、UVまたは発光ルシフェラーゼを含むエネルギーコンバータが放出源として選択される。ルシフェラーゼは、ATPまたは別の分子と組み合わせることができ、その後、追加の分子で酸素化して、所望の波長での発光を刺激することができる。あるいは、リン光発光源をエネルギーコンバータとして使用することができる。リン光放出源の1つの利点は、リン光放出分子または他の源が、全身投与または腫瘍の領域への直接挿入のいずれかによって、腫瘍に挿入される前に電気活性化または光活性化され得ることである。三重項状態の緩和は禁止されたエネルギー状態遷移の影響を受け、励起された三重項状態でエネルギーを蓄積し、より低いエネルギー状態に戻るために利用できる量子力学的エネルギー移動プロセスの数が限られているため、リン光材料は蛍光材料よりも緩和時間が長くなる可能性がある。エネルギー放出は、ほんの一瞬から数時間に遅延または延長される。そうでなければ、リン光緩和中に放出されるエネルギーは、他の点では蛍光と異ならないので、波長の範囲は、特定のリン光物質を選ぶことによって選択することができる。
【0127】
一実施形態では、本発明のエネルギーコンバータは、可視から近紫外線及び紫外線範囲の光を放出する持続性の残光リン光物質を含むことができる。一実施形態では、深紫外線またはX線または電子ビーンズがフォトルミネッセンスを「帯電」させて、これらのリン光物質を例えば患者の外部で帯電させ、次にUV光子が放出されるまたは標的患部に注入され得るように、Euドープされたアルミン酸ストロンチウムがエネルギーコンバータとして使用される。別の実施形態では、深紫外線またはX線または電子ビーンズがフォトルミネッセンスを「帯電」させて、これらのリン光物質を例えば患者の外部で帯電させ、次にUV光子が放出されるまたは標的患部に注入され得るように、アルミン酸ガドリニウムストロンチウムマグネシウムが使用される。米国特許出願公開第20070221883号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、約172nmで最大励起を有し、約310nmにて狭帯域UV放出で放出するガドリニウム活性化アルミン酸ストロンチウムマグネシウムを具体的に記載している。第883号の刊行物はまた、本発明のための他の有用なエネルギーコンバータを記載しており、Sr(Al、Mg)1219:Gdリン光物質での300nmと320nmの間の発光スペクトル、及びYMgB10:Gd、CEとYMgB10:Gd、Ce、Prのリン光物質を発する2つの312nmラインに言及している。WO2016200349(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、本発明においてエネルギーコンバータとして機能し得るアルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4)システムにおける、長期持続する帯黄の緑色放出リン光顔料を記載している。WO2016200348(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、本発明においてエネルギーコンバータとして機能し得るアルミン酸ストロンチウム(Sr4Al14O25)システムにおける長期持続する帯青の緑色放出リン光顔料を記載している。Xiong et al.,“Recent advances in ultraviolet persistent phosphors,” Optical Materials X2(2019)(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、本発明のエネルギーコンバータとして可能性のあるいくつかの紫外線持続性リン光物質を記載している。以下の表は、そのような持続性リン光物質の列挙を行っている。
【化1】
【0128】
一実施形態では、400nmの放出ピークと10時間以上の持続時間を有するCaAl:Ce3+として、Xiongらによって記載されたリン光物質を使用でき、この場合、患者の体外でX線照射によって帯電し、次いで内的に生成されるUV光を与えるべく患部に注入する。
【0129】
一実施形態では、記載された持続性リン光物質は、生体外で活性化され、体液の交換によって、または例えば、持続性リン光物質及び光活性化可能薬物を患者の血流に供給することによって、ソラレン(または他の光活性化可能薬物)と共に患者に導入され得る。
【0130】
一実施形態では、記載された持続性リン光物質は、リン光物質を患部に注射し、次にX線に曝露することによって生体内で活性化することができる。
【0131】
別の実施形態では、J.Am.Chem.Soc.2005,127,9760-9768に記載された複合ライトハーベスターなどの複合電磁エネルギーハーベスター分子が設計されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。分子構造内の蛍光分子の群を組み合わせることにより、共鳴エネルギー移動カスケードを使用して、広帯域の電磁放射を収集し、結果として狭い帯域の蛍光エネルギーを放出することができる。別の実施形態では、カスケードに配置された放出源または一連の放出源のストークスシフトを選択して、X線などのより短い波長のエネルギーを、光学またはUV-Aなどのより長い波長の蛍光放出に変換する。
【0132】
一実施形態では、強い発光が可能なランタニドキレートが、エネルギーコンバータとして使用される。別の実施形態では、生体適合性の内因性フルオロフォアエミッタが、エネルギーコンバータとして選択される。
【0133】
一実施形態では、本発明のエネルギーコンバータは、可視光線及びUV光放出生物発光材料を含むことができる。一実施形態では、腔腸動物型ルシフェリン類似体などの生物発光材料を使用することができ、これには、480nmで放出することが知られているアミドモノアニオン及び395nmで放出することが知られているオキシルシフェリンが含まれる。
【0134】
様々な材料の中で、発光ナノ粒子は、いっそう技術的及び産業的関心を集めている。本発明の文脈において、ナノ粒子は、1ミクロン未満のサイズを有する粒子を指す。本発明の説明は、ナノ粒子を使用する特定の例を説明しているが、多くの実施形態における本発明は、1ミクロン未満のサイズを有する粒子に限定されない。しかし、実施形態の多くにおいて、1ミクロン未満、特に100nm未満のサイズの範囲は、例えば、放出寿命発光消光、発光量子効率、及び濃縮消光、例えば、より大きなサイズの粒子が移動しない媒体への拡散、浸透、及び分散などの特別な対象である特性を生成する。
【0135】
様々な実施形態における本発明は、光または光子の放出を増強するために、エネルギー増大因子の有無に関わらず、多種多様なダウンコンバージョン材料(またはダウンコンバージョン材料の混合物)を使用することができる。これらのダウンコンバージョン材料には、量子ドット、半導体材料、半導体材料の合金、シンチレーション及びリン光物質の材料、X線励起発光(XEOL)を示す材料、有機固体、金属錯体、無機固体、結晶、希土類材料(ランタニド)、ポリマー、シンチレータ、リン光物質など、及び励起特性を示す材料が含まれる。したがって、光または光子の放出を増強するためのダウンコンバージョン材料は、エネルギーを紫外線、X線、及び高エネルギー粒子のうちの1つから可視光に変換することができる。光または光子の放出を増強するためのダウンコンバージョン材料は、エネルギーを、より高いエネルギーの可視光からより低いエネルギーの可視光に変換することができる。
【0136】
本発明の一実施形態では、エネルギー増大因子を伴うまたは伴わない量子ドット混合物を、複数のナノ粒子に使用することができる。量子ドットは一般にナノメートルサイズの粒子であり、量子ドットの材料のエネルギー状態は量子ドットのサイズに依存する。例えば、量子ドットは、導電特性が個々の結晶のサイズと形状に密接に関連している半導体であることが知られている。一般に、結晶のサイズが小さいほど、帯域のギャップが大きくなり、最高価電子帯と最低伝導帯のエネルギー差が大きくなる。したがって、ドットを励起するためにより多くのエネルギーが必要であり、同時に、結晶が静止状態に戻るときに、より多くのエネルギーが放出される。蛍光染料の用途では、これは、結晶サイズが小さくなるにつれてドットの励起後に放出される光の周波数が高くなることと同じであり、放出される光の色が赤から青にシフトするに至る。量子ドットは、スペクトルの紫外線をターゲットの波長またはエネルギー放出にダウンコンバートする1つの方法を表している。量子ドットは、スペクトルの青色光をターゲットの波長またはエネルギー放出にダウンコンバートする1つの方法を表している。
【0137】
米国特許第6,744,960号(その全内容は参照により組み込まれる)に記載されているように、異なるサイズの量子ドットは異なる色の放出を生成する。その研究において、本発明に適用可能である量子ドットは、セレン化亜鉛(ZnSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、ヒ化インジウム(InAs)、及びリン化インジウム(InP)などの半導体を含む様々な材料を含むことができる。適切に使用できる別の材料は、二酸化チタン(TiO)である。粒子のサイズ、すなわち量子ドット18は、約2から10nmの範囲であり得る。これらの粒子のサイズは非常に小さいため、量子物理学が量子ドットの電気的及び光学的特性の多くに適用される。量子ドット18への量子力学の適用のそのような1つの結果は、量子ドットが広いスペクトルの光波長を吸収し、吸収された光の波長よりも長い波長を有する放射線を再放出することである。放出される光の波長は、量子ドットのサイズによって決まる。例えば、直径5.0nmのCdSe量子ドットは、約625nmを中心とする狭いスペクトル分布を有する放射線を放出し、一方、サイズが2.2nmのCdSeを含む量子ドット18は、約500nmの中心波長を有する光を放出する。CdSe、InP、及びInAsを含む半導体量子ドットは、400nmから約1.5μmの範囲の中心波長を持つ放射線を放出できる。二酸化チタンTiOもまた、この範囲で放出する。これらの半導体材料の放出の線幅、すなわち半値全幅(FWHM)は、約20から30nmの範囲であり得る。この狭帯域の放出を生成するために、量子ドットは、単に、ドットによって放出される光の波長よりも短い波長を有する光を吸収する必要がある。例えば、直径5.0nmの場合、約625nmより短い波長を有するCdSe量子ドットの光は吸収されて、約625nmで放出を生じ、一方、約500nm未満の波長を有するCdSe光を含む2.2nmの量子ドットは、吸収されて約500nmで再放出される。ただし、実際には、励起またはポンプ放射は、放出された放射よりも少なくとも約50ナノメートル短い。
【0138】
具体的には、本発明の一実施形態では、量子ドット混合物(QDM)コーティングは、CVD及び/または標準的な沈殿技術を使用するゾルゲル技術を使用して堆積することができる。QDMコーティングは、UV出力を低下させないケイ酸塩構造で作ることができる。ケイ酸塩ファミリーの中で、シリカ(SiO)は、コーティングを通過するUV透過を最大化するために適している。コーティングは、生体適合性ガラスの第2の層をさらに含むことができる。このような生体適合性ガラス及びガラスセラミック組成物は、カルシウム、ランタニドまたはイットリウム、シリコン、リン、及び酸素を含むことができる。他の生体適合性材料及び技術は、本明細書にその全体が組み込まれている以下の特許に記載されている:米国特許第5,034,353号、第4,786,617号、第3,981,736号、第3,922,155号、第4,120,730号、及び米国特許出願公開第2008/0057096号、第2006/0275368号、及び第2010/0023101号。
【0139】
さらに、本明細書に記載の本発明のダウンコンバージョン材料は、例えばシリカなどの絶縁体材料でコーティングすることができ、これは、発光粒子と粒子が含まれる媒体との間でのいずれかの化学的相互作用の可能性を低減する。ここで説明するこれらの変換材料及びその他の変換材料は、エネルギー増大因子の有無に関わらず使用できる。無機ナノ粒子の生体適合的な適用に際し、主要な制限要因の1つはそれらの毒性である。一般的に言えば、すべての半導体ナノ粒子は多かれ少なかれ毒性がある。生体適合的な適用に際し、毒性が可能な限り低いナノ粒子が望ましい。そうでない場合、ナノ粒子は媒体から分離されたままでなければならない。純粋なTiO、ZnO、及びFeは、生体適合性である。ZnS、CAS、BaS、SrS及びYは、低毒性でありながら、CdTe及びCdSeは、有毒である。さらに、ナノ粒子の毒性は、TGAなどの無機安定剤またはEu2+、Cr3+またはNd3+などのドーパントに起因する可能性がある。最も生体適合性があると思われる他の適切なダウンコンバージョン材料は硫化亜鉛、ZnS:Mn2+、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、少量のAlを含む酸化亜鉛、及びゼオライトにカプセル化されたAgIナノクラスターである。毒性がそれほど重大な懸念事項ではない可能性がある非医療用途の場合、以下の材料(及び他の場所に列挙されているもの)が適切と考えられる:ツリウムで活性化されたランタン及びガドリニウムオキシハライド;Er3+ドープのBaTiOナノ粒子、Yb3+ドープのCsMnClとRbMnCl、BaFBr:Eu2+ナノ粒子、ヨウ化セシウム、ゲルマニウム酸ビスマス、タングステン酸カドミウム、及び2価のEuをドープしたCsBr。
【0140】
本発明の様々な実施形態において、エネルギー増大因子を伴うまたは伴わない以下の発光ポリマーもまた、変換材料として適切である:ポリ(フェニレンエチニレン)、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(p-フェニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(ピリジルビニレン)、ポリ(ピロール)、ポリ(アセチレン)、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(フルオレン)など、ならびにコポリマー及び/またはその誘導体。
【0141】
本発明の様々な実施形態において、エネルギー増大因子を伴うまたは伴わない以下の材料は、米国特許第7,090,355号に詳述されているものと同様に使用することができる。その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。ダウンコンバージョンには、以下の材料を使用できる。金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属カルコゲニド(例えば、金属硫化物)、またはそれらのハイブリッド、例えば金属オキソハロゲン化物、金属オキソカルコゲニドを含むがこれらに限定されない無機またはセラミックのリンまたはナノ粒子。レーザー色素と有機小分子、及び蛍光有機ポリマー。IIーVIまたはIIIーV化合物の半導体などの半導体ナノ粒子、例えば蛍光量子ドット。有機金属分子、例えば少なくとも希土類元素(Eu、Tb、Ce、Er、Tm、Pr、Hoなど)などの金属中心、Cr、Mn、Zn、Ir、Ru、Vなどの遷移金属元素、及びB、Al、Gaなどの主族元素。金属元素は有機基に化学的に結合して、ホストまたは溶媒からの蛍光の消光を防ぐ。ガーネットシリーズのリン光物質を含むリン光物質を使用できる:Ceドープの(Y1-m(Al1-n12、式中、0≦m、n≦1、式中Aは他の希土類元素を含み、BはB、Gaを含む。さらに、金属ケイ酸塩、金属ホウ酸塩、金属リン酸塩、及び金属アルミン酸塩ホストを含むリン光物質を使用することができる。さらに、一般的な希土類元素(例えば、Eu、Tb、Ce、Dy、Er、Pr、及びTm)と遷移元素または主族元素(例えば、Mn、Cr、Ti、Ag、Cu、Zn、Bi、Pb、Sn、及びTl)を含むナノ粒子リン光物質を蛍光活性化因子として使用することができる。タングステン酸塩中のCa、Zn、Cd、金属バナジン酸塩、ZnOなどの材料を使用できる。
【0142】
Lambda PhysikやExcitonなどを含むいくつかのレーザー色素ベンダーから入手した市販のレーザー色素材料も、エネルギー増大因子の有無に関わらず使用できる。好ましいレーザー色素クラスの部分的なリストには、ピロメテン、クマリン、ローダミン、フルオレセイン、その他の芳香族炭化水素及びそれらの誘導体などが含まれる。さらに、不飽和炭素-炭素結合を含む多くのポリマーがあり、これらはまた蛍光材料として機能し、多くの光学的及び蛍光的な適用を見出している。例えば、MEH-PPV、PPVなどは、ポリマー発光ダイオード(PLED)などのオプトエレクトロニクスデバイスで使用されてきた。このような蛍光ポリマーは、エネルギー増大因子の有無に関わらず、透明な2-Dディスプレイ画面の蛍光層として直接使用できる。
【0143】
上記のように、半導体ナノ粒子(例えば、量子ドット)は、エネルギー増大因子の有無に関わらず使用することができる。当技術分野における「半導体ナノ粒子」という用語は、直径が1nmから1000nmの間、好ましくは2nmから50nmの間の無機微結晶を指す。半導体ナノ粒子は、励起時に電磁放射を放出することができる(つまり、半導体ナノ粒子は発光性である)。ナノ粒子は、均質なナノ結晶であり得るか、複数のシェルで構成されている。例えば、ナノ粒子は、1つまたは複数の第1の半導体材料の「コア」を含むことができ、第2の半導体材料の「シェル」によって囲まれ得る。コア及び/またはシェルは、II~VI族(ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTeなど)及びIIIーV(GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSbなど)及びIV(Ge、Siなど)の材料、及び合金またはそれらの混合物であるものを含むがそれらに限定されない半導体材料であり得る。
【0144】
希土類または遷移元素カチオンを含む蛍光有機金属分子は、エネルギー増大因子の有無に関わらず、ダウンコンバージョン材料に使用できる。このような分子には、有機キレート基で保護されたEu、Tb、Er、Tm、Ceなどの希土類元素の金属中心が含まれる。金属中心はまた、Zn、Mn、Cl、Irなどの遷移元素、及びB、Al、Gaなどの主族元素を含み得る。このような有機金属分子は、液体または透明な固体のホスト媒体に容易に溶解し得る。このような蛍光有機金属分子のいくつかの例には、1.トリス(ジベンゾイルメタン)モノ(フェナントロリン)ユーロピウム(III)、2.トリス(8-ヒドロキシキノリン)エルビウム、3.トリス(1-フェニル-3-メチル-4-(2,2-ジメチルプロパン-1-オイル)ピラゾリン-5-オン)テルビウム(III)、4.ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノラト)亜鉛、5.ジフェニルボラン-8-ヒドロキシキノレートが含まれる。
【0145】
赤色発光用のダウンコンバージョン材料の具体例としては、上記のものや、β-ジケトン配位子が赤色蛍光を発することができるユーロピウム錯体を形成するユーロピウムに配位するよう構成される、公開特許公報第2003-26969号に記載されているようなユーロピウム錯体が挙げられる。希土類元素錯体の他の特定の例には、ランタン(Ln)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、及びガドリニウム(Gd)及びそれらの組み合わせを含む錯体が含まれる。ユーロピウム(Eu)錯体は、365nmから410nmの範囲の波長の紫外線で照射されるとき、赤色の蛍光を発することができる。テルビウム(Tb)は、365nmの波長の紫外線で照射されるとき、緑色の蛍光を発することができる。
【0146】
他のダウンコンバージョンの実施形態では、赤色光を放出するダウンコンバージョン材料はユーロピウムを含み得、緑色光を放出する光放出粒子はテルビウムを含み得、青色または黄色の光を放出する光放出粒子はセリウム(及び/またはツリウム)を含み得る。アップコンバージョンの実施形態では、赤色光を放出するアップコンバージョン材料はプラセオジミウムを含み得、緑色光を放出する光放出粒子はエルビウムを含み得、青色光を放出する光放出粒子はツリウムを含み得る。実施形態では、変換材料は、異なる色(例えば、赤、緑、及び青)、または異なる波長または光のエネルギーを放出する蛍光分子からなる光放出粒子であり得る。実施形態において、変換材料は、エネルギー増大因子を伴うまたは伴わない純粋な有機または有機金属染料からなる光放出粒子であり得る。
【0147】
ユーロピウム錯体とテルビウム錯体の組み合わせなどの希土類錯体の組み合わせに加えて、ユーロピウム錯体と錯体ではない緑色発放出蛍光物質の組み合わせ、またはテルビウム錯体と錯体ではない赤色放出蛍光物質の組み合わせを採用することも可能である。
【0148】
他のダウンコンバータ材料(エネルギー増大因子の有無に関わらず使用可能)には、例えば、ZnS、PbS、SbS、MoS、PbTe、PbSe、BeO、MgO、LiCO、Ca(OH)、MoO、SiO、Al、TeO、SnO、KBr、KCl、及びNaClが含まれる。これらの材料は、上記のように、発光特性を調整するためのドーパントを含むことができる。それに適したドープされた(または合金化させた)ガラスシステムの例は、Y:Gd、Y:Dy、Y:Tb、Y:Ho、Y:Er、Y:Tm、Gd:Eu、YS:Pr、YS:Sm、YS:Eu、YS:Tb、YS:Ho、YS:Er、YS:Dy、YS:Tm、ZnS:Ag:Cl(青)、ZnS:Cu:Al(緑)、YS:Eu(赤)、Y:Eu(赤)、YVO:Eu(赤)、及びZnSiO:Mn(緑)を含む。
【0149】
より具体的には、本発明に適したダウンコンバータ材料に関して、米国特許第4,705,952号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、赤外線にトリガーされたときに、エネルギーを第1の波長の可視光の形で蓄積し、エネルギーを第2の波長の可視光の形で放出する、赤外線トリガーのリン光物質を記載している。米国特許第4,705,952号のリン光物質は、アルカリ土類金属硫化物、希土類ドーパント、及び可融性塩の組成物であった。米国特許第4,705,952号のリン光物質は、より具体的には、硫化ストロンチウム、硫化バリウム、及びそれらの混合物から作製されたリン光物質であり、例えば希土類系列と酸化ユーロピウム、及びそれらの混合物からのドーパント、及び例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムのフッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物の溶融性塩、及びそれらの混合物である。米国特許第4,705,952号に記載されている材料は、エネルギー増大因子の有無に関わらず、本発明の様々な実施形態において有用である。一例では、赤外線トリガーのリン光物質は、折り畳まれたレゾネータと組み合わせて使用され、マイクロ波またはIR信号の受信は、局所的に加熱され、放出をトリガーする。(本願は、色の増強及び/またはセキュリティの用途に特に適している。)
【0150】
本発明の他の実施形態では、ダウンコンバータ材料(またはダウンコンバータ材料の混合物(エネルギー増大因子の有無に関わらず使用することができる)は、Y:Liを含むことができる。Sun et al.“Luminescent properties of Li+ doped nanosized Y:Eu,”Solid State Comm.119(2001)393-396(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、そのような材料を記載している。Hou et al.“Luminescent properties nano-sized Y:Eu fabricated by co-precipitation method,”Journal of Alloys and Compounds,vol.494,issue1-2、2010年4月2日、382-385ページ(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、ナノサイズのイットリア(Y)粉末が共沈法によって首尾よく合成されたことを記載している。粉末は十分に結晶化しており、粒子はほぼ球形であり、分散性が良好であった。Eu3+イオンの急冷濃度は9モル%で、マイクロスケールの粉末よりもはるかに高くなっている。Li+イオンを組み込むと、発光強度が大幅に向上した。最も高い発光強度が4モル%のLi+ドープされたY:Eu粉末((Y0.87Eu0.09Li0.04)で観察され、蛍光強度は79%も増加した。Yi et al.“Improved cathodoluminescent characteristics of Y:Eu3+ thin films by Li-doping,”Appl.Phys.A87,667ー671(2007)(全内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、Y:Eu3+及びLiでドープされたY:Eu3+フィルム両方のためのカソードルミネセンススペクトル、及びこれらの材料を作るための方法を記載している。
【0151】
特定のダウンコンバート材料はまた、Y、Y:Gd、YS、NaYF、NaYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La、TiO、LuPO、YVO、YbF、YF、NaドープのYbF、ZnS、ZnSe、MgS、CaS、ZnSiO:Mn、LaOBr:Tm、及びアルカリ鉛シリケート、例えばSiO,B、NaO、KO、PbO、MgO、またはAgの組成物、及びそれらの組み合わせまたは合金または層の少なくとも1つまたは複数を含んでいてもよい。さらに、ダウンコンバート材料は硫黄含有リン光物質であり得、これは、例えば、ゴム加硫または他の光活性化プロセスに役立つ可能性がある。このような硫黄含有リン光物質の例は、(Sr、Ca)Gaである。他の例は、リン光物質の粒子が、SrGa、CaGa4、BaGa、MgGa及びそれらの固溶体からなる群から選択されるチオガレートホスト材料を含む。このようなリン光物質の粒子サイズは、US6153123Aに記載されているように、25nmから300ミクロンのサイズに制御することができる。ダウンコンバート材料は、Er、Eu、Yb、Tm、Nd、Mn、Sb、Tb、Ce、Y、U、Pr、La、Gd及び他の希土類種またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むドーパントを含むことができる。ドーパントは、0.01%~50%モル濃度の濃度で含めることができる。ケイ酸塩マトリックス中のMnとSbの場合のように、1つのドーパントではなくドーパントの組み合わせを使用することが好ましい場合がある。
【0152】
他の実施形態における本発明は、エネルギー増大因子の有無に関わらず、多種多様なアップコンバージョン材料(またはアップコンバータの混合物)を使用して、材料または表面から放出される光の特定の波長またはエネルギーを増強することができる。これらのアップコンバージョン材料は、ダウンコンバージョンに関して上で論じたのと同様の材料を含むことができるが、通常、アップコンバージョンポンピングの機構をもたらすホスト結晶におけるドープ状態または不純物の状態を含む。したがって、波長またはエネルギー放出を増強するためのアップコンバージョン材料は、近赤外線、赤外線、及びマイクロ波照射のいずれかからエネルギーを変換することができる。色の放出を増強するためのアップコンバージョン材料は、エネルギーを、より低いエネルギーの可視光からより高いエネルギーの可視光に変換することができる。
【0153】
一例では、ランタニドをドープした酸化物のナノ粒子を、選択したドーパントの3価の希土類イオン(複数可)、それらの濃度、及びホスト格子に応じて、980nm及び808nmのレーザー光などの近赤外線で励起して、赤、緑、青のスペクトルの様々な部分(様々な波長またはエネルギー)で可視光を生成することができる。
【0154】
本発明に適したランタニドドープ酸化物は、電子を価電子帯状態から、材料の帯域ギャップに亘る緩和が蛍光を生成する上位レベルの伝導帯状態に直接促進するために、例えば2つの光子の吸収が同時の事象で必要である従来の多光子アップコンバージョンプロセスとは異なる。ここで、共ドーピングは、NaYFの帯域ギャップの状態を生成して、Y3+イオンが、5/2で、単一光子イベントによってポンピング可能なエネルギー状態を有し、そこから他の単一光子吸収イベントがさらに高い状態に移入することができるようにする。この励起状態に入ると、より高いエネルギー放射状態への遷移が可能になり、それから光放出が、5/2エネルギー状態をポンピングする入射光より高いエネルギーになる。言い換えれば、Yb3+イオンの5/2エネルギー状態は、集団の構築を可能にする980nmの光を吸収した状態で、7/2エネルギー状態などのより高いエネルギー状態へ遷移するための基礎として機能する。ここで7/2エネルギー状態からの遷移は、目に見える放出を生み出す。
【0155】
米国特許第7,008,559号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、767nmでの励起が可視範囲の放出を生成するZnSのアップコンバージョン能力を記載している。米国特許第7,008,559号に記載されている材料(ZnS及びEr3+ドープのBaTiOナノ粒子及びYb3+ドープされたCsMnClを含む)は、エネルギー増大因子の有無に関わらず、本発明の様々な実施形態に適している。
【0156】
さらに、本発明においてアップコンバージョン材料として指定された材料(エネルギー増大ありまたはなし)には、CdTe、CdSe、ZnO、CdS、Y、MgS、CaS、SrS及びBaSが含まれる。このようなアップコンバージョン材料は、任意の半導体であり得、より具体的には、限定するものではないが、硫化物、テルル化物、セレン化物、及び酸化物半導体、ならびにそれらのナノ粒子、例えば、Zn1-xMn、Zn1-xMnSe、Zn1-xMnTe、Cd1-xMnS、Cd1-xMnSe、Cd1-xMnTe、Pb1-xMn、Pb1-xMnSe、Pb1-xMnTe、Mg1-xMnS、Ca1-xMn、Ba1-xMn及びSr1-xなど(式中、0<x≦1、及び0<y≦1)であり得る。上記の半導体の複合化合物もまた、本発明での使用が企図されている。例えば、(M1-z1-xMn1-y(M=Zn、Cd、Pb、Ca、Ba、Sr、Mg;N=Zn、Cd、Pb、Ca、Ba、Sr、Mg;A=S、Se、Te、O;B=S、Se、Te、O;0<x≦1、0<y≦1、0<z≦1)。このような複合化合物の2つの例は、Zn0.4Cd0.4Mn0.2S及びZn0.9Mn0.10.8Se0.2である。追加の変換材料には、絶縁性及び非導電性材料が含まれ、いくつかの例示的な化合物を挙げれば、BaF、BaFBr、及びBaTiOがある。本発明に適切な遷移及び希土類イオンを共ドープした半導体は、硫化物、テルル化物、セレン化物及び酸化物半導体及びそれらのナノ粒子を含み、例えばZnS;Mn;Er;ZnSe;Mn、Er;MgS;Mn、Er;CaS;Mn、Er;ZnS;Mn、Yb;ZnSe;Mn、Yb;MgS;Mn、Yb;CaS;Mn、Ybなど、及びそれらの複合化合物(M1-z1-x(Mn1-q1-y(M=Zn、Cd、Pb、Ca、Ba、Sr、Mg;N=Zn、Cd、Pb、Ca、Ba、Sr、Mg;A=S、Se、Te、O;B=S、...0<z≦1、o<q≦1)がある。
【0157】
いくつかのナノ粒子、例えばZnS:Tb3+、Er3+;ZnS:Tb3+;Y:Tb3+;Y:Tb3+、Er3;ZnS:Mn2+;ZnS:Mn,Er3+は、当技術分野では、ダウンコンバージョン発光とアップコンバージョン発光の両方に対して機能することが知られており、エネルギー増大因子の有無に関わらず、本発明に適しているであろう。アップコンバージョンの実施形態では、赤色光を放出する光放出粒子はプラセオジミウムを含み得、緑色光を放出する光放出粒子はエルビウムを含み得、青色光を放出する光放出粒子はツリウムを含み得る。
【0158】
一般に、アップコンバージョンプロセスでは、さらなる希土類ドーパントの1つが必要であり、例えばEr、Eu、Yb、Tm、Nd、Tb、Ce、Y、U、Pr、La、Gd、及びその他の希土類種またはそれらの組み合わせが挙げられ、それらは誘電体結晶(>0.1nmの任意のサイズ)にドープされており、Y、YS、NaYF、NaYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La、TiO、LuPO、YVO、YbF、YF、Na-ドープのYbFまたはSiOの少なくとも1つを含み、それにおいて入射放射線は結晶から放出放射よりも長い波長である。放出される波長は、選択されたドーパントイオン(複数可)と、それに関連及び相対するホスト結晶内の濃度に完全に基づいている。Yホスト結晶のアップコンバージョンの例では、青色の放出(約450~480nm)を実現するために、[Y;Yb(3%)、Tm(0.2%)]を合成でき、式中YbとTmは、100%であるY原子に対する結晶にドープされた割合である。同様に、典型的な緑のアップコンバージョン材料は[Y;Yb(5%)、Ho(1%)]と[Y;Yb(2%)、Er(1%)]、典型的な赤のアップコンバージョン材料は[Y;Yb(10%)、Er(1%)]と[Y;Yb(5%)、Eu(1%)]である。互いに対するドーパントの濃度及び結晶マトリックスは、すべての組み合わせに対して調整する必要があり、同じドーパントからでも複数の波長またはエネルギー放出を達成するための複数の方法がある。
【0159】
Tm3+ドープされたフルオロジルコン酸塩ガラスにおける約650nmの波長の赤色光のアップコンバージョンを本発明で使用して、青色光を生成することができる。このシステムでは、青色光は2つの放出帯域からなっている。450nmの1つは1D2→3H4遷移に起因するもので、475nmの他方は1G4→3H6遷移に起因するものである。両方の帯域の放出強度は、励起出力に応じて二次関数的に変化することが、他者によって観察されてきた。0.2モル%以上のTm3+濃度のガラスでは、相互緩和プロセスが発生し、アップコンバージョン効率が低下する。
【0160】
近赤外線(NIR)における励起時の可視光の放出が、クロロホルム中のLuPO:Yb3+、Tm3+、及びYbPO:Er3+ナノ結晶の光学的に透明なコロイド溶液で観察されてきた。975nmでの励起は、青、緑、または赤のスペクトル領域で可視の放出を生じることが他者によって示されている。
【0161】
テルル及びゲルマニウム酸化物(テルライト及びゲルマニウム酸塩)も適切なアップコンバータである。これらのガラスは、例えば、Tm、Yb、Ho、Er、Prでドープすることができる。
【0162】
Yb3+ドープされたBaZrOもまた、アップコンバートするのに適している。Er3+及び/またはTm3+ドーピングもまた、放出波長の調整に適している。
【0163】
別の実施形態では、Morss法により調製したNd3+:CsNaGdCl及びNd3+、Yb3+:CsNaGdCl多結晶粉末試料が、アップコンバータであることが報告されており、本発明に適している。これらの材料は、785nmの照射下で、538nm(緑)、603nm(オレンジ)、及び675nm(赤)付近でアップコンバージョンの放出を示し、各々4G7/2→4I9/2,(4G7/2→4I11/2;4G5/2→4I9/2)、及び(4G7/2→4I13/2;4G5/2→4I11/2)である。
【0164】
別の実施形態では、800nm励起下でのNd3+及びHo3+共ドープベースのZrFフッ化物ガラスは、アップコンバータであることが報告されており、本発明に適している。ZrFフッ化物ガラスのアップコンバージョンの発光の中で、緑色の放出は非常に強く見られており、青色と赤色の発光強度は非常に弱かった。
【0165】
別の実施形態では、Tm3+/Yb3+共ドープのTeO-Ga-RO(R=Li、Na、K)ガラスはアップコンバータであると報告されており、本発明に適している。これらの材料は、977nmの励起で、476nmを中心とする強い青色のアップコンバージョン放出と、650nmでの弱い赤色の放出を示した。
【0166】
別の実施形態では、アントラセンまたは9,10-ジフェニルアントラセンの存在下での[Ru(dmb)2+(dmb=4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジン)における金属から配位子への電荷移動(MLCT)の遷移がアップコンバータであることが報告されており、本発明に適している。低励起パワーでの三重項-三重項消滅に起因するアップコンバートの一重項蛍光が報告されている。特に、9,10-ジフェニルアントラセン(DPA)(アントラセンの代わりに使用)は、アップコンバージョンに対してより高い効率を示した。これらの実験で、この材料システムの研究者は、DPAがアントラセン(=0.27)7と比較して一重項蛍光量子収率(=0.95)を増加させたと仮定した。この作業により、緑色から青色への光のアップコンバージョンが約24.4±6.1に向上し、例えば市販の緑色レーザーポインター(λex=532nm、<5mWのピーク電力)による低励起出力でのプロセスの直接的な可視化を可能にする。
【0167】
特定の実施形態では、さらなるエネルギーコンバータには、以下が含まれるが、これらに限定されない(優先順位または有用性によってランク付けされていない):CaF、ZnF、KMgF、ZnGa、ZnAl、ZnSiO、ZnGeO、Ca(POF、Sr(POF、CaSiO、MgSiO、ZnS、MgGa、LaAl1118、ZnSiO、Ca(POF、MgTa、CaF、LiAl、LiAlO、CaPO、AlF、及びLuPO:Pr3+。例には、アルカリ土類カルコゲニドリン光物質がさらに含まれ、これらは、以下の非包括的リストにより次に例示されている:MgS:Eu3+、CaS:Mn2+、CaS:Cu、CaS:Sb、CaS:Ce3+、CaS:Eu2+、CaS:Eu2+Ce3+、CaS:Sm3+、CaS:Pb2+、CaO:Mn2+、CaO:Pb2+
【0168】
さらなる例には、様々な誘導体を含むZnSタイプのリン光物質が含まれる:ZnS:Cu,Al(Cl)、ZnS:Cl(Al)、ZnS:Cu,I(Cl)、ZnS:Cu、ZnS:Cu,In。
【0169】
周期表のIIIb族及びVb族元素を含む化合物IIIb-Vbリン光物質も含まれる。これらの半導体には、BN、BP、BSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSbが含まれ、これらの材料には、発光ダイオードを誘導するために連携するドナーとアクセプターが含まれ得る。これらのドナーには、Li、Sn、Si、Li、Te、Se、S、Oが含まれるが、これらに限定されない。アクセプターには、C、Be、Mg、Zn、Cd、Si、Geが含まれるが、これらに限定されない。さらに含まれるのは、以下を含むがこれらに限定されない主要なGaP発光ダイオードである:GaP:Zn,O、GaP:NN、Gap:N及びGaPであり、これらはそれぞれ赤、黄、緑、純緑の色を発する。
【0170】
材料には、次の種類の組成変化を伴うGaAsなどの材料をさらに含めることができる:In1-y(Ga1-xAlP。
【0171】
また、青色発光ダイオードの発光プラットフォームとして商業的に関連性のある炭化ケイ素SiCも含まれている。これらには、NやAlなどのドナーとGaやBなどのアクセプターを備えるポリタイプ3C-SiC、6H-SiC、4H-SiCが含まれる。
【0172】
さらなる例には、以下の組成物(Sr,Ca,Ba)(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、CeMgAl1119:Ce3+:Tb3+、LaPO:Ce3+:Tb3+、GdMgB10:Ce:Tb3+、Y:Eu3+、(Ba,Ca,Mg)(POCl:Eu2+、2SrO0.84P2O50.16B2O3:Eu2+、SrAl1425:Eu2+が含まれるがこれらに限定されない多帯域発光材料が含まれる。
【0173】
蛍光高圧水銀放電ランプに通常使用される材料も含まれている。これらはX線で励起することができ、次のような系統の指定により例示される:リン酸塩(Sr,M) (PO:Sn2+、MgまたはZn活性剤、ゲルマネート4MgO.GeO:Mn4+、4(MgO,MgF)GeO:Mn4+、イットレートY:Eu3+、バナジン酸塩YVO:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、Y(P,V)O:In、ハロシリケートSrSi82SrCl:Eu2+、アルミネート(Ba,Mg)Al1624:Eu2+、(Ba,Mg)Al1624:Eu2+、Mn2+、YAl:Tb3+
【0174】
ホスト化合物による別のグループ化には、ハロリン酸塩リン光物質、リン酸塩リン光物質、ケイ酸塩リン光物質、アルミン酸塩リン光物質、ホウ酸塩リン光物質、タングステン酸塩リン光物質、及び他のリン光物質の化学組成が含まれる。ハロリン酸塩には、以下が含まれるが、これらに限定されない:3Ca(PO.Ca(F、Cl):Sb3+、3Ca(PO.Ca(F、Cl):Sb3+/Mn2+、Sr10(POCl:Eu2+、(Sr,Ca)10(POCl:Eu2+、(Sr,Ca)10(PO.nB:Eu3+、(Sr,Ca,Mg)10(POCl:Eu2+。リン酸リン光物質には以下が含まれるが、これらに限定されない:Sr:Sn2+、(Sr、Mg)(PO:Sn2+、Ca(PO.Sn2+、Ca(PO:Tl、(Ca,Zn)(PO:Tl、Sr:Eu2+、SrMgP:Eu2+、Sr(PO:Eu2+、LaPO:Ce3+、Tb3+、La.0.2SiO.0.9P:Ce3+.Tb3+、BaO.TiO.P。ケイ酸塩リン光物質、ZnSiO:Mn2+、CaSiO:Pb2+/Mn2+、(Ba,Sr,Mg)3Si:Pb2+、BaSi:Pb2+、SrSi8.2SrCl:Eu2+,BaMgSi:Eu2+、(Sr,Ba)AlSi:Eu2+
【0175】
アルミン酸塩リン光物質には、以下が含まれるが、これらに限定されない:LiAlO:Fe3+、BaAl13:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+/Mn2+、SrAl1425:Eu2+、CeMgAl1119:Ce3+/Tb3+
【0176】
ホウ酸塩リン光物質には次のものが含まれる:Cd:Mn2+、SrBF:Eu2+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+、GdMgB10:Ce3+/Mn3+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+/Mn2+
【0177】
タングステン酸塩リン光物質には、CaWO、(Ca,Pb)WO、MgWOが含まれるが、これらに限定されない。他のリン光物質は、Y:Eu3+、Y(V,P)O:Eu2+、YVO:Dy3+、MgGa:Mn2+、6MgO.As:Mn2+、3.5MgO.0.5MgF.GeO:Mn4+である。
【0178】
様々なドープされたリン光物質に対する活性剤には、以下が含まれるが、これらに限定されない:Tl、Pb2+、Ce3+、Eu2+、WO 2-、Sn2+、Sb3+、Mn2+、Tb3+、Eu3+、Mn4+、Fe3+。発光中心Tlは、次のような化学組成で使用される:(Ca,Zn)(PO:Tl、Ca(PO:Tl。発光中心Mn2+は、MgGa:Mn2+、BaMgAl1627:Eu2+/Mn2+、ZnSiO:Mn2+、3Ca(PO.Ca(F,Cl):Sb2+/Mn2+、CaSiO:Pb2+/Mn2+、Cd:Mn2+、CdB:Mn2+、GdMgB10:Ce3+/Mn2+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+/Mn2+などの化学組成で使用される。発光中心Sn2+は、次のような化学組成で使用される:Sr:Sn2+、(Sr,Mg)(PO:Sn2+。T発光中心Eu2+は、次のような化学組成で使用される:SrBF:Eu2+、(Sr,Ba)AlSi:Eu2+、Sr(PO:Eu2+、Sr:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、Sr10(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+/Mn2+、(Sr,Ca)10(POCl:Eu2+。T発光中心Pb2+は、次のような化学組成で使用される:(Ba,Mg,Zn)Si:Pb2+、BaSi:Pb2+、(Ba,Sr)Si:Pb2+
【0179】
発光中心Sb2+は、次のような化学組成で使用される:3Ca(PO.Ca(F,Cl):Sb3+、3Ca(PO.Ca(F,Cl):Sb3+/Mn2+
【0180】
発光中心Tb3+は、次のような化学組成で使用される:CeMgAl1119:Ce3+/Tb3+、LaPO:Ce3+/Tb3+、YSiO:Ce3+/Tb3+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+。発光中心Eu3+は、次のような化学組成物で使用されている:Y:Eu3+、Y(V,P)O:Eu3+。発光中心Dy3+は、次のような化学組成で使用される:YVO:Dy3+。発光中心Fe3+は、次のような化学組成物で使用される:LiAlO:Fe3+。発光中心Mn4+は、次のような化学組成で使用される:6MgO.As:Mn4+、3.5MgO0.5MgF.GeO:Mn4+。発光中心Ce3+は、次のような化学組成で使用される:CaMgSi:Ce3+及びYSiO:Ce3+。発光中心WO 2-は、次のような化学組成で使用される:CaWO,(Ca,Pb)WO,MgWO。発光中心のTiO 4-は、次のような化学組成物と共に使用される:BaO.TiO.P
【0181】
X線励起を使用する対象の追加のリン光物質の化学的性質には、これらのリン光物質のケッジ(k-edge)が含まれるが、これらに限定されない。低エネルギー励起は、ケッジが低い材料で強い発光を引き起こし得る。これらの化学的性質の一部と対応するケッジを以下に示す。
BaFCl:Eu2+ 37.38keV
BaSO:Eu2+ 37.38keV
CaWO 69.48keV
GdS:Tb3+ 50.22keV
LaOBr:Tb3+ 38.92keV
LaOBr:Tm3+ 38.92keV
LaS:Tb3+ 38.92keV
S:Tb3+ 17.04keV
YTaO 67.42keV
YTaO:Nb 67.42keV
ZnS:Ag 9.66keV
(Zn,Cd)S:Ag 9.66/26.7keV
【0182】
これらの材料は、単独で、または2つ以上の組み合わせで使用できる。所望の出力波長または波長のスペクトルを得るために、様々な組成物を調製することができる。
本発明において、リン光物質の選択は、X線または他の高エネルギー源の照射下で、リン光物質から放出される光が、例えば、以下を含む例示的な特性を有することができるように選ぶことができる:
190~250nmの波長範囲での放出、
330~340nmの波長範囲での放出。
【0183】
機械発光材料(有機及び無機)
本発明の別の実施形態では、機械発光材料は、エネルギーコンバータとして使用することができ、任意選択で、上記のエネルギー増大構造と共に使用することができる。
【0184】
機械発光材料は、超音波または機械的エネルギー(モーターなどの物品に自然に存在する振動や、トランスデューサーによって駆動される振動など)を可視光に変換する。ここで、例えば、機械発光材料は、折り畳まれた構造または外部電極の対の近く(例えば、間または周囲または内部)に配置される。
【0185】
一実施形態では、電磁波エネルギー増大因子は、1つまたは複数の波長の電磁エネルギーを捕捉し、1つまたは複数の波長の電磁エネルギーを、少なくとも1つの特性(例えば、機械発光材料の近くの電界強度)で増強するが、同時に機械発光材料は、超音波または機械的エネルギーを電磁放射(すなわち、放出された光)に変換するエネルギーコンバータと見なすことができる。
【0186】
本発明の一実施形態では、折り畳まれた構造または外部電極対における電界の増加は、機械発光材料の発光を増加させる。折り畳まれた構造または外部電極の対に電界を構築するために使用されるエネルギーは、機械発光を駆動する機械的エネルギーとは別に供給される。
【0187】
エネルギー増大因子の有無に関わらず、本発明に適した様々な機械発光材料には、以下が含まれる:ZnS:Mn2+、SrAl:Eu2+、ZnS:Cu、SrAMgSi:Eu2+(A=Ca,Sr,Ba)、KCl、KI、KBr、NaF、NaCl、LiF、RbCl、RbBr、RbI、MgO、SrAl、CaAl、Sr1-xBaAl(x=0、0.1、0.2、0.4)、Sr0.9Ca0.1Al、ZnGe0.9Si0.1、MgGa、ZnGa、ZnAl、ZnS、ZnTe、(ZnS)1-x(MnTe)(x<1/4)、CaZnOS、BaZnOS、CaMgSi、SrMgSi、BaMgSi、SrCaMgSi、SrBaMgSi、SrMgSi5+n(1≦n≦2)、CaAlSiO、SrAlSiO、CaYAl、CaAlSi、Ca1-xSrAlSi(x<0.8)、SrMg(PO、Ba1-xCaTiO(0.25<x<0.8)、Ba1-xCaTiO、LiNbO、SrSnO、(Ca,Sr,Ba)SnO、SrSn、Sr(Sn,Si)、Sr(Sn,Ge)、CaTi、CaNb、CaNb、CaNb、BaSi、SrSi、CaZr(PO、ZrO
【0188】
一実施形態では、ユーロピウム-ホルミウムを共ドープしたアルミン酸ストロンチウムを、単独で、またはエネルギー増大因子と組み合わせて、機械発光材料(すなわち、エネルギーコンバータ)として使用することができる。ユーロピウム-ホルミウムを共ドープしたアルミン酸ストロンチウム及びその他の機械発光材料は、音波または音響エネルギーを光子放出に変換する。それは、エネルギー増大因子の近くに配置される場合と配置されない場合がある。
【0189】
その全内容が参照により組み込まれる、“Novel Mechano-Luminescent Sensors Based on Piezoelectric/Electroluminescent Composites,”Sensors(Basel).2011;11(4):3962ー396で、Yanim Jiaは、圧電材料と電界発光材料で作られた機械発光複合材料について説明している。この複合デバイスでは、圧電層に応力がかかると、圧電効果により圧電層の上面と下面の両方に電荷が誘導される。これらの誘導電荷は、電界発光効果により、電界発光層からの光の出力をもたらす。
【0190】
ここで、エネルギー増大因子を伴うまたは伴わない本発明の一実施形態では、圧電材料及び電界発光材料から作られるそのような複合材料、以下「複合機械発光エミッタ」は、音響または超音波トランスデューサーなどから、機械的または振動エネルギーで刺激すると光を放出する構造を提供する。
【0191】
電界発光及びリン光材料(有機及び無機):様々な実施形態における本発明は、有機蛍光分子、または、コンバータ用の結晶性、多結晶性、またはアモルファスの微細構造を有することが可能な無機粒子または蛍光及びリン光を利用することができる(任意選択で上記のエネルギー増大構造を含む)。
【0192】
以下に説明する電界発光及びリン光材料用のエネルギー増大因子の有無に関わらず使用できる無機分子のリストには、以下の無機電界発光リン光物質が含まれるが、これらに限定されない。
SrS:Ce3+
CaGa:Ce3+
SrS:Cu
CaS:Pb2+
BaAl:Eu2+
ZnS:Tb3+
ZnMgS:Mn2+
SrGa:Eu2+
CaAl:Eu2+
BaAl:Eu2+
ZnS:Mn2+
MgGa:Eu3+
(Ca,Sr)Y:Eu2+
BaAl:Eu2+
【0193】
電界の影響下でリン光を出すことができる有機分子もまた、本願における対象である。量子収率の高い有機蛍光化合物には、例として次のものが含まれる。
ナフタレン、
ピレン、
ペリレン、
アントラセン、
フェナントレン、
p-テルフェニル、
p-クォートフェニル、
トランススチルベン、
テトラフェニルブタジエン、
ジスチリルベンゼン、
2,5-ジフェニルオキサゾール、
4-メチル-7-ジエチルアミノクマリン、
2-フェニル-5-(4-ビフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、
3-フェニルカルボスチリル、
1,3,5-トリフェニル-2-ピラゾリン、
1,8-ナフトイレン-1’,2’-ベズイミダゾール、
4-アミノ-N-フェニル-ナフタルイミド。
【0194】
ここで詳述する無機蛍光及びリン光材料は多数あり、様々な例が、限定ではなく例示として与えられており、エネルギー増大因子の有無に関わらず使用することができる。さらに、これらの材料は、結晶性または多結晶性材料の場合、格子構造の部位を占め、アモルファス材料のネットワーク形成部位または架橋及び/または非架橋性部位を占め得る特定のイオン(活性剤または活性剤の組み合わせ)でドープすることができる。これらの化合物には、次の材料の例が含まれ得る(優先順位や有用性の順序ではランク付けしてはいない)。
CaF、ZnF、KMgF、ZnGa、ZnAl、ZnSiO、ZnGeO、Ca(POF、Sr(POF、CaSiO、MgSiO、ZnS、MgGa、LaAl1118、ZnSiO、Ca(POF、MgTa、CaF、LiAl、LiAlO、CaPO、AlF
【0195】
さらに含まれるのは、アルカリ土類カルコゲニドリン光物質であり、これらは、以下の非包括的なリストにより次に例示されている。
MgS:Eu3+、CaS:Mn2+、CaS:Cu、CaS:Sb、CaS:Ce3+、CaS:Eu2+、CaS:Eu2+Ce3+、CaS:Sm3+、CaS:Pb2+、CaO:Mn2+、CaO:Pb2+
【0196】
例には、様々な誘導体を含むZnSタイプのリン光物質が含まれる。
ZnS:Cu、Al(Cl)、ZnS:Cl(Al)、ZnS:Cu,I(Cl)、ZnS:Cu、ZnS:Cu、In。
【0197】
周期表のIIIb族及びVb族元素を含む化合物IIIb-Vbリン光物質が、コンバータ材料として適切である。これらの半導体には、BN、BP、BSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSbが含まれ、これらの材料は、発光ダイオードを誘導するために連携するドナーとアクセプターを有する。ドナーには、Li、Sn、Si、Li、Te、Se、S、Oが含まれる。アクセプターには、C、Be、Mg、Zn、Cd、Si、Geが含まれる。例として、GaP発光ダイオードは、GaP:Zn、O、GaP:NN、Gap:N及びGaPを含み、これらはそれぞれ赤、黄、緑、純緑の色を発する。
【0198】
配合された材料には、次の種類の組成変化を伴うGaAsなどの材料がさらに含まれる:In1-y(Ga1-xAlx)yP(簡単な例を提示する)。
【0199】
発光プラットフォームとしての炭化ケイ素SiCは、青色発光ダイオードの場合、商業的に関連性がある。これらには、NやAlなどのドナーとGaやBなどのアクセプターを備えるポリタイプ3C-SiC、6H-SiC、4H-SiCが含まれる。
【0200】
コンバータ材料に適した多帯域発光材料には、例えば、以下の組成物が含まれる:
(Sr,Ca,Ba)(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、CeMgAl1119:Ce3+:Tb3+、LaPO:Ce3+:Tb3+、GdMgB10:Ce3+:Tb3+、Y:Eu3+、(Ba,Ca,Mg)(POCl:Eu2+、2SrO0.84 0.16B:Eu2+、SrAl1425:Eu2+
【0201】
コンバータ材料に適した他の材料には、蛍光高圧水銀放電ランプに使用される材料が含まれ、X線で励起することができ、次のような系統の指定によって例示される。
リン酸塩(Sr、M)(PO:Sn2+、MgまたはZn活性剤、ゲルマネート4MgO.GeO:Mn4+、4(MgO,MgF)GeO:Mn4+、イットレートY:Eu3+、バナジン酸塩YVO:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、Y(P,V)O:In、ハロシリケートSr2Si3O 2SrCl:Eu2+、アルミネート(Ba,Mg)Al1624:Eu2+、(Ba,Mg)Al1624:Eu2+、Mn2+、YAl:Tb3+
【0202】
ホスト化合物による別のグループ化は、ハロリン酸塩リン光物質、リン酸塩リン光物質、ケイ酸塩リン光物質、アルミン酸塩リン光物質、ホウ酸塩リン光物質、タングステン酸塩リン光物質、及び他のリン光物質の化学組成を含む。
【0203】
ハロリン酸塩には、例として以下が含まれる:
3Ca(PO.Ca(F,Cl):Sb3+、3Ca(PO.Ca(F,Cl):Sb3+/Mn2+、Sr10(POCl:Eu2+、(Sr,Ca)10(POCl:Eu2+、(Sr,Ca)10(PO.nB:Eu3+、(Sr,Ca,Mg)10(POCl:Eu2+。リン酸塩リン光物質には例として以下が含まれる:Sr:Sn2+、(Sr,Mg)(PO:Sn2+、Ca(PO.Sn2+、Ca(PO:Tl、(Ca,Zn)(PO:Tl、Sr:Eu2+、SrMgP:Eu2+、Sr(PO:Eu2+、LaPO:Ce3+、Tb3+、La 0.2SiO 0.9P:Ce3+.Tb3+、BaOTiO 。ケイ酸塩リン光物質、ZnSiO:Mn2+、CaSiO:Pb2+/Mn2+、(Ba,Sr,Mg)3Si:Pb2+、BaSi:Pb2+、SrSi 2SrCl:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、(Sr,Ba)AlSi:Eu2+
【0204】
アルミン酸塩リン光物質は以下を含む:
LiAlO:Fe3+、BaAl13:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+/Mn2+、SrAl1425:Eu2+、CeMgAl1119:Ce3+/Tb3+
【0205】
ホウ酸塩リン光物質は以下を含む:
Cd:Mn2+、SrBF:Eu2+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+、GdMgB10:Ce3+/Mn3+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+/Mn2+
【0206】
タングステン酸塩リン光物質は以下を含む:
CaWO、(Ca,Pb)WO、MgWO。他のリン光物質は、Y:Eu3+、Y(V,P)O:Eu2+、YVO:Dy3+、MgGa:Mn2+、6MgOAs:Mn2+、3.5MgO0.5MgF GeO:Mn4+
【0207】
様々なドープされたリン光物質に関連する活性剤には、次のリストが含まれる。
Tl、Pb2+、Ce3+、Eu2+、WO 2-、Sn2+、Sb3+、Mn2+、Tb3+、Eu3+、Mn4+、Fe3+
【0208】
様々な実施形態において、発光中心T1+は、以下のような化学組成で使用することができる:
(Ca,Zn)(PO:Tl、Ca(PO:Tl
【0209】
同様に、発光中心Mn2+は次のような化学組成で使用できる:
MgGa:Mn2+、BaMgAl1627:Eu2+/Mn2+、ZnSiO:Mn2+、3Ca(PO Ca(F,Cl):Sb2+/Mn2+、CaSiO:Pb2+/Mn2+、Cd:Mn2+、CdB:Mn2+、GdMgB10:Ce3+/Mn2+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+/Mn2+
【0210】
さらに、発光中心Sn2+は、次のような化学組成で使用できる:
Sr:Sn2+、(Sr,Mg)(PO:Sn2+
【0211】
発光中心Eu2+はまた、次のような化学組成で使用することができる:
SrBF:Eu2+、(Sr,Ba)AlSi:Eu2+、Sr(PO:Eu2+、Sr:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、Sr10(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+/Mn2+、(Sr,Ca)10(POCl:Eu2+
【0212】
発光中心Pb2+は、次のような化学組成で使用することができる:
(Ba,Mg,Zn)Si:Pb2+、BaSi:Pb2+、(Ba,Sr)Si:Pb2+
【0213】
発光中心Sb2+は、次のような化学組成で使用することができる:
3Ca(PO Ca(F、Cl):Sb3+、3Ca(PO Ca(F,Cl):Sb3+/Mn2+
【0214】
発光中心Tb3+は、次のような化学組成で使用することができる:
CeMgAl1119:Ce3+/Tb3+、LaPO:Ce3+/Tb3+、YSiO:Ce3+/Tb3+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+
【0215】
発光中心Eu3+は、次のような化学組成で使用することができる:
:Eu3+、Y(V,P)O:Eu3+
【0216】
発光中心Dy3+は、次のような化学組成で使用することができる:
YVO:Dy3+
【0217】
発光中心Fe3+は、次のような化学組成で使用することができる:
LiAlO:Fe3+
【0218】
発光中心Mn4+は、次のような化学組成で使用することができる:
6MgOAs:Mn4+、3.5MgO0.5MgF GeO:Mn4+
【0219】
発光中心Ce3+は、次のような化学組成で使用することができる:
CaMgSi:Ce3+及びYSiO:Ce3+
【0220】
発光中心WO 2-は、次のような化学組成で使用することができる:
CaWO、(Ca,Pb)WO、MgWO
【0221】
発光中心TiO 4-は、次のような化学組成で使用することができる:
BaOTiO
【0222】
本発明の様々な実施形態において、X線励起で利用されるリン光物質の化学的性質は、エネルギー増大因子の有無に関わらず使用することができる。特に興味深いのは、これらのリン光物質のケッジである。低エネルギー励起は、ケッジが低い材料で強い発光を引き起こし得る。これらの化学的性質の一部と対応するケッジは以下を含む。
BaFCl:Eu2+ 37.38keV
BaSO:Eu2+ 37.38keV
CaWO 69.48keV
GdS:Tb3+ 50.22keV
LaOBr:Tb3+ 38.92keV
LaOBr:Tm3+ 38.92keV
LaS:Tb3+ 38.92keV
S:Tb3+ 17.04keV
YTaO 67.42keV
YTaO:Nb 67.42keV
ZnS:Ag 9.66keV
(Zn,Cd)S:Ag 9.66/26.7keV
【0223】
本発明の一実施形態では、これらの材料からの光(例えば、X線、ガンマ線、プロトン、及び電子を含む高エネルギー粒子によって励起される)は、それらの材料を本明細書に記載の色増強構造の(内部を含む)近傍に含めることによって、それらの放出を変調することができる。例えば、X線がリン光を励起して患者の反応を光刺激する医学的治療では、高エネルギー粒子による照射と同時に、赤外線照射を適用して、本明細書に記載のエネルギー増大構造の共鳴を駆動することができ、X線のリン光物質は、強められた電界の存在下で発光を強化する。別の例では、医療機器または科学機器において、高エネルギー粒子による照射と同時に、これらのX線リン光物質からの放出を増強するために電界を印加することができる。
【0224】
電界発光材料:エネルギー増大因子の有無に関わらず、本発明の電界発光に使用される様々な材料には、以下が含まれ得るが、これらに限定されない。
4,4’,4’’-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)
N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(TPD)
4,4’,4’’-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)
N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(TPD)
トリス-(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム
2,4,6-トリス(2-ピリジル)-s-トリアジン(TPT)
【化2】
2,2’,2’’-(1,3,5-ベンジントリイル)-トリス(1-フェニル-1-H-ベンズイミダゾール)Alq
【化3】
2,2’,2’’-(1,3,5-ベンジントリイル)-トリス(1-フェニル-1-H-ベンズイミダゾール)TPBI
【化4】
2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、BCP2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン,BCP
【化5】
【0225】
プラズモニクス増強構造:図26は、エネルギー増大因子の有無に関わらず、本明細書に記載の色増大/増強構造で利用される本発明の一実施形態による、アップコンバータまたはダウンコンバータ材料(すなわち、光活性材料)の描写の概略図である。図26は、誘電体コアアップコンバータまたはダウンコンバータ材料(ナノメートルサイズのスケール)を金属シェルの近くに配置するためのいくつかの構造構成を示している。波長λの入射光は、アップコンバート誘電体コアと相互作用する。誘電体コアとの光λの相互作用は、λよりも短い波長を有するλ周波数で二次放射を生成し、それに応じてλよりも高いエネルギーを有する。アップコンバージョンの正確な物理的機構は、特定の用途で使用されている特定のアップコンバージョン材料とプロセスに依存する場合があるが、論述と説明のために、以下の説明を提供する。
【0226】
図26の状況では、波長λが誘電体コアと相互作用するときに、3つの別々のプロセスが三価の希土類イオンを含むアップコンバージョンプロセスのためによく理解される。これらの3つのプロセスは次のとおりである:
1)励起状態の吸収。2つの光子が同じイオンによって連続的に吸収され、励起して1つまたは複数の状態を生成する。
2)エネルギー移動アップコンバージョン。これは、あるイオンからすでに励起状態にある別のイオンへの励起の移動である。
3)多光子の協調プロセス。励起状態にある2つの近くのイオンが仮想状態から集合的に放出される。
【0227】
選択したイオン(複数可)とホスト格子の間でこれらのプロセスのいずれが発生しているかに関係なく、最終結果は、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンのプロセスのためにホスト格子から放出される励起エネルギーよりも大きいエネルギーの光子になる。
【0228】
したがって、活性化される特定のイオン(それがドーパントイオンであっても、酸化ネオジムなどにおける格子のホストイオンであっても)は、処理されるホスト材料に基づいて選択され、ドーパントイオンまたは誘電体コアのホストイオンが、得られる放射λを生成するNIR源によってポンピング可能であるイオンの状態をもたらす。
【0229】
したがって、一実施形態において、本発明は、第1の波長λに曝露されると、第1の波長λよりも高いまたは低いエネルギーを有する第2の波長λを生成するように構成されたアップコンバージョンまたはダウンコンバージョン材料を提供する。システムは、ナノ粒子に関連して配置された金属構造(例えば、ナノ粒子の一部を覆う金属シェル)を含むことができる。システムは、ナノ粒子に近接した媒体に配置された受容体を含み得る。第2の波長λによって活性化されると、受容体は、それ自体が可視光を生成する蛍光を発することができる。本発明の一実施形態において、(図面に上方及び下方に記載されたもののような)金属構造の物理的特性は、金属構造の表面プラズモン共鳴が第1の波長λまたは第2の波長λのいずれかとのスペクトルの重なりをもたらす周波数で共鳴する値に、設定されている。アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンナノ粒子に関連して配置された金属構造を持つこのシステムは、本明細書に記載されている色増強/増大構造で利用されるコンバータになる。
【0230】
本発明の文脈内で、金属シェルまたはコアの「物理的特性」という用語は、表面プラズモン共鳴周波数に影響を与える金属自体またはシェルもしくはコアの寸法または形状の任意の特性に関連し得る。そのような物理的特性には、導電性、半径方向の寸法、化学組成、または金属シェルまたはコアの結晶状態が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0231】
様々な実施形態において、金属構造は、金属シェル内のナノ粒子の少なくとも一部をカプセル化する金属シェルであり得、この場合、金属シェルの導電性、半径方向寸法、または結晶状態は、金属構造における表面プラズモン共鳴を設定して、第1の波長λまたは第2の波長λのいずれかとのスペクトルの重なりをもたらす周波数で共鳴するようにする。様々な実施形態において、金属構造は、金属シェル内のナノ粒子の少なくとも一部をカプセル化する多層金属シェルであり得、この場合、金属シェルの導電性、半径方向寸法、または結晶状態は、金属構造における表面プラズモン共鳴を設定して、第1の波長λ及び第2の波長λで共鳴するようにする。この機能は、λの放射を可能にし、λを増幅することを可能にする。
【0232】
様々な実施形態において、金属構造は、1つ以上の複数の構造に存在する金属粒子であり得る。これらの複数の構造は、例えば球、回転楕円体、棒、立方体、三角形、ピラミッド、柱、三日月形、四面体形状、星またはそれらの組み合わせを含む様々な形状を有することができ、ナノ粒子に隣接して配置され、金属構造の導電性、寸法(例えば、横方向の寸法または厚さ)、または結晶状態は、金属粒子またはロッドにおける表面プラズモン共鳴を設定して、第1の波長λ、または第2の波長λのいずれかとのスペクトルの重なりをもたらす周波数で共鳴するようにする。そのような形状は、本発明の図及び米国出願第12/401,478号の図に記載されている。これは、参照によりその全体が組み込まれる。形状の選択は、表面プラズモン共鳴の周波数に影響を与え得る。プラズモンの帯域は、ナノ粒子の形状によって変化することが知られている(例えば、扁長回転楕円体や偏球回転楕円体)。参照によりその全内容が組み込まれるthe Journal of Nanophotonics, Vol.2,029501(2008年9月26日)の“Spectral bounds on plasmon resonances for Ag and Au prolate and oblate nanospheroids,”という論文は、扁長回転楕円体及び偏球回転楕円体のAgの成形のためのプラズモン共鳴シフト、及びAuの成形のためのプラズモン共鳴シフトを示している。本発明の一実施形態では、本発明の金属構造のアスペクト比が増加すると、扁長回転楕円体の共鳴は、下限のない球に対して赤方偏移する(ドルーデ分散モデルの仮定の下で)。一方、回転楕円体いっそう平坦になるにつれて、偏球共鳴は「青方偏移」するが、限界に達する。
【0233】
様々な実施形態において、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンのナノ粒子に関連して配置された金属構造は、ナノ粒子の内部に配置された金属構造であり得、この場合金属構造の導電性または寸法(例えば、横方向の寸法または厚さ)が金属構造における表面プラズモン共鳴を設定し、第1の波長λ、または第2の波長λのいずれかとのスペクトルの重なりをもたらす周波数で共鳴するようにする。様々な実施形態において、金属構造は、ナノ粒子の内部に配置された金属多層構造であり得、この場合、金属構造の導電性または寸法(例えば、横方向の寸法または厚さ)が金属構造における表面プラズモン共鳴を設定し、第1の波長λ及び第2の波長λの周波数で共鳴するようにする。この機能は、λの放射を可能にし、λを増幅することを再度可能にする。
【0234】
別の実施形態では、本発明は、サブの1000nmの誘電体コアと、ナノ粒子に関連して配置された金属構造とを含むナノ粒子構造を提供する。誘電体コアは、Y、YS、NaYF、NaYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La、TiO、LuPO、YVO、YbF、YF、NaドープのYbF、またはSiOの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、このようなナノ粒子構造は、第1の波長λから第2の波長λへ光のアップコンバージョンを増強させるために、金属構造における表面プラズモン共鳴を示すことができる。
【0235】
上記のように、シェル(または他の構造)は、プラズモン増強を通じて光子のアップコンバージョンプロセスを増強するために、特に層の厚さ(または例えば横方向の寸法)を備えて設計されている。シェルの厚さ(または他の物理的特性)は、シェル内のプラズモン(つまり電子の振動)が、ターゲットの吸収帯とのスペクトルの重なりをもたらす周波数における共鳴を有する寸法を持つことにより、吸収プロセスに合わせて厚さが「調整」される。したがって、アップコンバージョンが980nmのNIR光によって刺激される場合、シェルの厚さは、プラズモン共鳴が同じく980nmの周波数で(またはプラズモン共鳴がこれらの波長で通常は広いとき、その近傍で)共鳴する厚さに「調整」される。
【0236】
プラズモン共鳴シェルは、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、ルテニウム、レニウム、銅、及びコバルト、あるいはそれらの組み合わせまたは合金または層を含むがこれらに限定されない多数の遷移金属で作ることができる。このようなプラズモン共鳴シェルは、金属と非金属の組み合わせで作ることもできる。金ナノシェルで形成されている場合、980nmの光と共鳴するための推奨される厚さは約3.5nmであり、ミー理論の計算の拡張によって予測されるように、80nmのアップコンバートコアを囲むものである。(Jain et al.,Nanolett.2007,7(9),2854を参照されたい。その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。)図27は、Jainらに由来して再現させたものであり、励起及び/または放出放射波長とスペクトルの重なりを有するように金属シェルを「調整」する本発明の能力を示す。
【0237】
本発明の一実施形態では、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンのナノ粒子に関連して配置された金属構造は、例えば、Au:Ag合金などの合金であり得る。合金の含有量は、表面プラズモン共鳴の周波数を調整するように設定できる。本発明の一実施形態では、金属構造は、例えば、Pt:Ag合金などの合金であり得る。合金含有量は、表面プラズモン共鳴の周波数を調整するように設定できる。本発明の一実施形態では、金属構造は、例えば、Pt:Au合金などの合金であり得る。合金の含有量は、表面プラズモン共鳴の周波数を調整するように設定できる。
【0238】
本発明の一実施形態では、コンバータナノ粒子は、2つ以上の材料の合金であり得る。この実施形態では、合金は2つ以上の材料の組成を有することができ、第1の波長λの合金の励起が第2の波長λで放出を生成する組成の値に設定されている。本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、硫化亜鉛及びセレン化亜鉛合金であり得る。本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、硫化亜鉛及び硫化カドミウム合金であり得る。
【0239】
本発明の一実施形態では、硫化亜鉛及びセレン化亜鉛ナノ粒子合金は、所定の表面プラズモン共鳴をもたらすように設定された合金含有量を有することができる。本発明の一実施形態では、硫化亜鉛及び硫化カドミウムナノ粒子合金は、所定の表面プラズモン共鳴をもたらすように設定された合金含有量を有することができる。
【0240】
本発明に適しているナノ粒子及びナノ合金を製造するためのいくつかの技術は、その全体が本明細書に組み込まれている以下の文書の全体に記載されている:米国特許第7,645,318号、第7,615,169号、第7,468,146号、第7,501,092号、米国特許出願公開第2009/0315446号、第2008/0277270号、第2008/0277267号、第2008/0277268号、及びWO2009/133138。
【0241】
本発明の一実施形態では、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンのナノ粒子に関連して配置された金属シェルの厚さは、アップコンバートされた光の放出プロセスの全体的な効率を高める誘電体コアの特定のドーパントイオンの吸収周波数(または場合によっては放出周波数)に応じて設定される。したがって、シェルの厚さは、一例ではλの吸収を増強するツールとして考えることができ、他の例ではλの放出を増強するツールとして考えることができ、または他の状況では、組み合わせて正味のプロセス全体を増強する増強特徴として考えることができる。
【0242】
さらに、プラズモン-フォノン結合を使用して、帯域を共鳴からある程度オフに調整することにより、共鳴周波数を下げることができる。これは、出力される色を、塗装、着色、または表示される表面に望ましい色にシフトする目的で、共鳴エネルギー移動プロセスを最適化するのに役立つ場合がある。一例では、図27は、シェルの厚さの関数としてのプラズモン共鳴シフトの例を示している。
【0243】
ここで、本発明の一実施形態では、標的波長または色またはエネルギーで誘導放出を生成する能力は、吸収帯を設計したナノ粒子を設計できることによって補完される。そのような吸収材料は、例えば、本発明の色増強組成物で処理された塗料、インク、染料、またはそうでなければ反射表面から観察される光の単色性を改善するのにさらに機能する可能性がある。
【0244】
このナノ粒子システムの作成の詳細は、米国出願第12/725,108号に含まれており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。Y単独(下側のトレース)の吸収スペクトルは、極めて特徴が少なく、可視のスペクトルの部分に延びるYナノ粒子による散乱及び吸収に関連した200nm付近トリアルギニン及び緩斜面に吸収を示す。一方、金で被覆されたY(上側のトレース)は、Yコアの周りの金シェルに起因するプラズモニクス共鳴帯域の特徴である、546nmで強い吸収帯域を示す。プラズモン吸収の546nmへの赤色移動は、誘電体コアの周りに金のシェルが存在することと一致している。
【0245】
本発明の一実施形態では、アップコンバータ誘電体コア用のコンバータ材料は、上記のように、多種多様な誘電体材料を含むことができる。本発明の様々な実施形態において、アップコンバータ誘電体コアは、より具体的には、ランタニドをドープした酸化物材料を含む。ランタニドには、ランタナム(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)が含まれる。他の適切な誘電体コア材料には、イットリウム(Y)やスカンジウム(Sc)などの非ランタニド元素が含まれる。したがって、適切な誘電体コア材料には、Y、YS、NaYF、NaYbF、NaドープされたYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La、TiO、LuPO、YVO、YbF、YF、またはSiOが含まれる。これらの誘電体コアは、Er、Eu、Yb、Tm、Nd、Tb、Ce、Y、U、Pr、La、Gd及び他の希土類種またはそれらの組み合わせでドープすることができる。
【0246】
ランタニドは通常、3価の陽イオンとして存在する。この場合、それらの電子配置は(Xe)4fであり、nは1(Ce3+)から14(Lu3+)まで可変である。F型マニホールド内の遷移は、長い寿命の発光や鋭い吸収線や輝線などの、ランタニドイオンの光物理的特性の多くに関与している。F型の電子は、満たされた5s及び5p軌道によって外部摂動から保護されているため、線状のスペクトルが生じる。F―F型電子遷移はラポルテで禁止されており、マイクロ秒からミリ秒の範囲で励起状態の寿命が長くなる。
【0247】
したがって、本発明におけるドープされた材料の例には、酸化イットリウム及び酸化ネオジム及び酸化アルミニウムなどの酸化物、ならびにフッ化イットリウムナトリウム及びナノ結晶ペロブスカイト及びガーネット、例えばイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)及びイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)が含まれる。これらの材料のうち、アップコンバージョン効率を促進するために、これらの材料のすべてではなく一部にドーピングが必要である。本発明の様々な実施形態において、ホストナノ結晶は、上記のランタニド系列元素からの3価の希土類ランタニドイオンでドープされる。
【0248】
より具体的には、本発明の様々な実施形態において、これらのドーパントの対は、ホスト結晶においてよりアクセス可能なより多くのエネルギー状態にするために導入される。これらのエネルギー状態の活性化とポンピングは、上記の原則に厳密に従う。本発明におけるドーピング濃度は、ホスト格子に入るイオンごとに、または重量またはモル%の変動で、およそ0.2%から20%の範囲であり得る。これらの材料の特定の帯域のアップコンバージョンプロセスの効率は、ターゲットとされる放出を誘発及び強化するためにドープされたパーセンテージによって変調することが可能である。ランタニドをドープしたアップコンバータは、限定されないが、以下のモルパーセントのドーパント組成を使用することができる:5%Er、10%Yb、0.2%Tm+3%Yb、及び1%Er+10%Yb。
【0249】
ナノ結晶のサイズは、アップコンバージョンプロセスの効率にも影響を及ぼす。これは、ナノ結晶が大きいほど、ホスト格子に収容されるドーパントイオンのサイトが多くなるため、同じドープされたホストからの放出が、ナノ結晶がより小さい場合よりも多くなるためである。上に列挙されたドーパントのパーセンテージは厳密に固定されていないが、これらの数値は、本発明の特定の誘電体コア材料を得るために使用する典型的な割合の基本的な教えを提供する。
【0250】
また、本発明の一実施形態では、これらのホスト結晶の一部(例えば、ネオジム酸化物)が、アップコンバートを容易にするために特別なドーピングを必要としない場合があり、それは372nm、402nm、及び468nmで放出を生成する587nmの励起波長でのNdである一例において見られた。Que,W et al.のJournal of Applied Physics 2001,vol 90,pg.4865を参照されたい、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の一実施形態では、酸化ネオジムにYb3+をドーピングすることは、Nd3+イオンをより低いエネルギーYb3+活性剤で感作することによってアップコンバージョンを増強する。
【0251】
本発明の一実施形態では、誘電体コアは、例えば金属シェルでコーティングされて、電子-フォノン結合を強化し、それにより、上記のように、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョン効率を高める。本発明の別の実施形態では、シェルは、SiO及び/またはTiOコーティングを含むことができ、このコーティングは、一実施形態では、ドープされたYアップコンバートナノ粒子上にコーティングされ、それによって、場合によっては、コーティングされていないナノ結晶と比較してアップコンバージョン効率を高める。本発明の別の実施形態では、シェルは、SiO及び/またはTiOコーティングを含むことができ、このコーティングは、一実施形態では、ドープされたYダウンコンバートナノ粒子にコーティングされ、それにより、場合によっては、コーティングされていないナノ結晶と比較してダウンコンバート効率を高める。さらに、本発明の一実施形態では、コーティングはポリマーであり得る。一実施形態において、このコーティングは、NaYF:Ln/NaYF誘電体コアに設けられている。そのようなコーティングは、コーティングされていないアップコンバータと比較してアップコンバージョン効率を高めることができる。
【0252】
本発明の別の実施形態では、ドープされていないホスト格子(例えば、Y)ナノ結晶のフォノンモードは、例えば、様々な厚さのAu、Ag、Pt、及びPdシェルによって変調される。本発明の種々の実施形態では、アップコンバータ誘電体コア及びシェルのシステムはアップコンバートナノ結晶として、NaYFシェルに関してY:Ln、Au(Ag、Pt)シェルに関してY:Ln、Yシェルに関してNaYF:Ln、Au(Ag、Pt)シェルに関してNaYF:Lnを含む。このシステムでは、金属コーティングのコアの直径とシェルの外側/内側の直径は、プラズモンモードのオーバーラップに調整可能であると予想される寸法に設定できる。
【0253】
以下に論じる他の実施形態では、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンのナノ粒子に関連して配置された金属コーティングまたは金属構造は、誘電体の内部に存在することができ、誘電体構造に対する金属構造の相対的な位置は、プラズモン共鳴を増強することができる。内部に金属構造を持つこれらの構造は、金属コアアップコンバータまたは金属コアダウンコンバータと呼ばれることがある。エネルギー変換のための金属コア技術は、コア誘電体のシェルコーティングと比較して表面の形態が改善された金属ナノ粒子を利用するため、有用である。内部コア金属エネルギーコンバータの金属または金属合金は、そのプラズモニクス活性を調整するために選択することができる。外部に金属構造を持つこれらの構造は、コアアップコンバータまたはコアダウンコンバータと呼ばれることがある。
【0254】
本発明の様々な実施形態では、アップコンバータまたはダウンコンバータの誘電体コアは、Yと同様の反応性のコアの周りにSiOのコーティングを設けるために、チオール末端シランでコーティングすることができる。本発明の一実施形態において、上記方法論は、Y:LnをNaYFシェル、Y:Lnを、Au(Ag,Pt)シェル、NaYF:LnをYシェル、NaYF:LnをAu(Ag,Pt)シェルのコアシェル型ナノ粒子を合成するのに使用され、この場合、コアとシェルの直径は2~20nmで異なり得る。これらの材料システムでは、コアとシェルの直径の調整された比率により、プラズモン-フォノン共鳴が可能になり、NIR光の吸収及び/またはアップコンバートされた放出が増幅されるはずである。これらの材料システムでは、コアとシェルの直径の制御が、サイズに依存する効果とそれに続くプラズモン-フォノン共鳴の調整を決定する1つの要因である。
【0255】
本発明の一実施形態では、アップコンバータ誘電体コアは、例えば、大きなアップコンバート効率を有することが示されている様々なLnシリーズ金属でドープされた半導体Y及びNaYFコアを含む混合されるコア-シェル材料であり得る。これらのドープされたY及びNaYFコアは、Au(Ag、Pt、Pd)のシェルまたは非ドープのY及びNaYFマトリックスを有し、これはアップコンバージョンプロセスのエネルギー移動において必要なフォノンモードを増強または調整する可能性を有する。溶解性は、例えば、チオール化有機物(Auシェル)、有機鎖トリエタノールシラン(Yシェル)、及びトリオクチルホスフィン-オレイン酸アミン(NaYFシェル)の添加によって高めることができる。すべてのコアシェルナノ粒子は、トリアルギニンペプチド、ポリエチレングリコール、及びポリエチレンイミン界面活性剤を添加することにより、コロイド懸濁液にさらに可溶化することができる。
【0256】
図28Aは、設計可能な本発明のコンバータ構造の様々な実施形態のいくつか、(a)金属(金)ナノ粒子に結合したアップコンバータ(UC)分子を含む構造、(b)金属ナノ粒子で覆われたUC含有ナノ粒子を含む構造、(c)UC含有ナノキャップで覆われた金属ナノ粒子、(d)金属ナノキャップで覆われたUC含有ナノ粒子、(e)UCナノシェルで覆われた金属ナノ粒子、(f)金属ナノシェルで覆われたUC含有ナノ粒子、(g)保護コーティング層を備えた金属ナノシェルで覆われたUC含有ナノ粒子、を示している。
【0257】
構成(図28AにUC含有材料を用いて示されているが)は、本明細書に記載の量子ドットまたはリン光物質などの材料をダウンコンバートする増強に適用可能である。さらに、本発明の一実施形態では、誘電体スペーサー(例えば、以下で説明するケイ酸塩)を図6A~bの構造と共に使用して、粒子タイプの金属構造の間隔を空けることができる。本発明の別の実施形態では、誘電体スペーサーを図28Aの構造と共に使用して、これらの層が部分的な金属層であるか連続的な金属層であるかに関わらず、金属層の間隔を空けることができる。図28Bの概略図を参照されたい。
【0258】
本発明の様々な実施形態において、本願で論じられる多層金属ナノシェルは、電磁的に2つのスペクトル領域を増強する潜在的な能力を有する。したがって、本発明の金属構造はλの波長での励起と、波長λでの放出の両方を向上させるためにアップコンバートモードで使用することができる。この特徴はまた、波長λでの放出を主に増強するためにダウンコンバートに使用され、潜在的に波長λでの励起に使用することができる。
【0259】
本発明の様々な実施形態におけるそのような金属構造は、例えば金属、またはドープされたガラスまたはドープされた半導体で作られた導電性材料を含む。これらの導電性材料は、構成要素に関係なく、純粋またはほぼ純粋な元素金属、そのような元素金属の合金、または導電性材料の層の形態であり得る。導電性材料は、(上記のように)組み込みのレベルでは複合材料を絶縁性にしない微量成分として非金属材料を含むことができる。
【0260】
同様に、本発明の様々な実施形態において、アップまたはダウンコンバート材料は、誘電体、ガラス、または半導体のうちの少なくとも1つを含むことができる。アップまたはダウンコンバート材料は、2つ以上の誘電体材料の合金、2つ以上のガラスの合金、または2つ以上の半導体の合金を含むことができる。
【0261】
したがって、図28Aは、誘電体コアがシェルで補足されている本発明の実施形態を表す。シェルは、所定の厚さの金属層を含むことができる。金属層は、ニッケル、金、鉄、銀、パラジウム、白金、銅、及びそれらの組み合わせなどの材料を含むことができる。金属層は、金属と非金属の組み合わせで作ることもできる。シェルはプラズモンシェルとして機能し、誘電体コアと外部誘電体として機能する外部環境との間の金属に表面プラズモンが形成され得る。(示しているように)シェルは完全なシェルではない場合がある。部分的な金属シェルまたは様々な厚さの金属シェルもまた、本発明において許容される。
【0262】
以下に説明するように、本発明の別の実施形態における金属シェルは、UV光の散乱中心として機能し、UV光は、塗料またはコーティング層に吸収されたとしても、塗料またはコーティング層材料の局所的な加熱に少なくとも寄与し、塗料またはコーティングされた層から散乱する。
【0263】
図28Cは、設計可能なアップコンバート(UC)材料を有するプラズモニクス活性ナノ構造のさらに別の実施形態、(a)金属ナノ粒子、(b)金属ナノキャップで覆われたUCナノ粒子コア、(c)UC回転楕円体コアを覆う球形金属ナノシェル、(d)UC回転楕円体コアを覆う扁平金属ナノシェル、(e)UCナノシェルで覆われた金属ナノ粒子コア、(f)保護コーティング層を備えた金属ナノシェル、(g)UC回転楕円体コアを覆う多層金属ナノシェル、(h)多ナノ粒子構造、(i)金属ナノキューブ及びナノトライアングル/ナノプリズム、ならびに(j)金属シリンダーを示している。
【0264】
図28Dは、設計することができる連結された光活性(PA)分子を有するアップコンバート材料を有するプラズモニクス活性ナノ構造のさらに他の実施形態を示す。例えば、ソラレン(PA分子として)の場合、PA分子とUC材料または金属表面との間のリンカーの長さは、PA分子が活性になる(DNAへ付着する)のに十分な長さになるように、またPA分子を効率的に励起するためにUCからの光の効率的な励起を可能にするのに十分短くなるように、調整される。図28Dは、(a)UCナノ粒子に結合したPA分子、(b)金属ナノ粒子で覆われたUC材料を含むナノ粒子、(c)UC材料ナノキャップで覆われた金属ナノ粒子、(D)金属ナノキャップで覆われているUC材料を含むナノ粒子、(e)UC材料ナノシェルで覆われている金属ナノ粒子、(f)金属ナノシェルで覆われているUC材料を含むナノ粒子、(g)保護コーティング層を備えた金属ナノシェルで覆われているUC材料を含むナノ粒子を示している。
【0265】
本発明のアップコンバータ及びダウンコンバータ構造では、プラズモン効果が有利である。プラズモン効果は、本発明のアップ及び/またはダウンコンバータ構造から受信した光の局所的な強度または放出された光の局所的な強度を増加させる可能性がある。プラズモン効果は、適切なナノ構造、ナノスケールの寸法、金属の種類が使用されている場合、電磁領域全体で発生する可能性がある。プラズモン効果は、ガンマ線やX線から紫外、可視、赤外線、マイクロ波、無線周波数エネルギーに至るまで、幅広い電磁スペクトルで発生する可能性がある。ただし、実用上の理由から、銀と金のプラズモン共鳴はそれぞれ可視領域とNIR領域で発生するため、例えば銀や金のナノ粒子などの金属構造には可視光とNIR光が使用される。
【0266】
様々な実施形態において、ネオジム及びイッテルビウムをドープした酸化イットリウム、ユーロピウム及びイッテルビウムをドープした酸化イットリウムのナノ粒子、ならびに酸化ネオジムナノ結晶にドープされた希土類三価イオンの任意の組み合わせを使用することができる。ネオジムとイッテルビウムの組成の二重ドープ酸化イットリウム、及び二重ドープユーロピウムとイッテルビウムは、酸化イットリウムホスト格子にとって新しいものだが、そのような二重ドープシステムは、YAGなどの他のホスト格子で機能することが示されている。
【0267】
これらの二重ドープランタニドガラスは、バルク材料で効率的にアップコンバートすることが示されており、それによってナノスケールで新しいアップコンバータ構造を設けることができる。本発明のこれらの酸化イットリウムナノ構造によって提供される利点がある。ナノスケールの酸化イットリウムを作成するための小規模な合成方法論は、YAGよりも酸化イットリウムで制御及び製造するのがより簡単である。酸化イットリウムのホスト構造は、ダウンコンバージョンによってシンチレーションする。例えば、酸化イットリウムにおけるドーパントのこれらの組み合わせは、本発明の色の移動のために、酸化イットリウムナノ結晶に所定の発光色をもたらすことができる。
【0268】
本発明の一実施形態では、二重ドーパントは、ホストガラス中のいずれかのイオンの励起を可能にする。例えば、980nmの光による励起は、イッテルビウムイオンを励起する。イッテルビウムイオンのある励起状態から別のドーパントへのエネルギーの移動により、可視及びNIRスペクトル領域での光のアップコンバージョン放出の機構がもたらされる。
【0269】
上で論じたダウンコンバージョン蛍光材料と化学組成が類似しているアップコンバージョンリン光物質を使用することができる。アップコンバージョンリン光物質は、レーザー色素、例えば、可視光の放出を伴う少なくとも2つの赤外光子の吸収によって励起され得る有機小分子を含むことができる。アップコンバージョンリン光物質は、蛍光ポリマー、例えば、可視光の放出を伴う少なくとも2つの赤外光子の吸収によって励起され得るポリマーのクラスを含むことができる。アップコンバージョンリン光物質は、可視光の放出を伴う少なくとも2つの赤外光子の吸収によって励起され得る従来のアップコンバージョンリン光物質(例えば、金属フッ化物、金属酸化物)を含む、無機またはセラミック粒子またはナノ粒子を含み得る。アップコンバージョンリン光物質は、上記の「ダウンコンバージョン」半導体で詳細に説明されている、量子ドットなどのII-VIまたはIII-V化合物半導体などのナノ粒子を含む半導体粒子を含むことができる。
【0270】
蛍光アップコンバージョン無機リン光物質には、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属カルコゲニド(例えば、硫化物)、またはそれらのハイブリッド、例えば金属オキソハライド、金属オキソカルコゲニドが含まれ得るが、これらに限定されない。蛍光アップコンバージョン無機リン光物質は通常、希土類元素(Yb3+、Er3+、Tm3+など)でドープされている。いくつかのホストの例には、NaYF、YF、BaYF、LaF、LaMoO、LaNbO、LnOSが含まれるが、これらに限定されない。式中、LnはY、La、Gdなどの希土類元素である。
【0271】
これらのコンバータ(及びエネルギーを受け取り、光または電子放出を生成する本明細書に記載の他のエネルギーコンバータ)は、任意選択で、上記のエネルギー増大構造のいずれかを含むことができる。
【0272】
本発明の様々な実施形態において、エネルギーコンバータは、色の増強のために、上記のエネルギー増大因子を伴って使用することができる。いくつかの実施形態では、コンバータは、例えば、IR領域から可視電磁放射への光のアップコンバージョン、及び例えば、UV範囲から可視電磁放射への光のダウンコンバージョンのものである。様々な実施形態において、本発明は、エネルギー、好ましくは可視スペクトルの光をアップコンバージョンする。本発明は、表示されている物体の色を強調するために、エネルギー増大因子を伴うまたは伴わないアップ及びダウンコンバージョン材料が含まれる様々な適用を包含する。これらの適用領域には、標識、壁、車、建物、ボート、飛行機の塗料が含まれ得る。これらの適用領域には、数例を挙げると、ディスプレイモニター、コンピューターモニター、電話ディスプレイ、時計のダイヤル、計器のダイヤルがある。
【0273】
様々な材料の中で、発光ナノ粒子は、いっそう技術的及び産業的関心を集めている。本発明の文脈において、ナノ粒子は、1ミクロン未満のサイズを有する粒子を指す。本発明の説明は、ナノ粒子を使用する特定の例を説明しているが、多くの実施形態における本発明は、1ミクロン未満のサイズを有する粒子に限定されない。しかし、実施形態の多くにおいて、1ミクロン未満、特に100nm未満のサイズの範囲は、例えば、放出寿命発光消光、発光量子効率、及び濃縮消光、例えば、より大きなサイズの粒子が移動しない媒体への拡散、浸透、及び分散などの特別な対象である特性を生成する。
【0274】
本発明は、様々な実施形態において、観察者が観察できる特定の色の光を強調するべく、エネルギー増大因子の有無に関わらず、多種多様なダウンコンバージョン材料(またはダウンコンバージョン材料の混合物)を使用することができる。これらのダウンコンバージョン材料には、量子ドット、半導体材料、半導体材料の合金、シンチレーション及びリン光物質の材料、X線励起発光(XEOL)を示す材料、有機固体、金属錯体、無機固体、結晶、希土類材料(ランタニド)、ポリマー、シンチレータ、リン光物質など、及び励起特性を示す材料が含まれ得る。したがって、色の放出を増強するためのダウンコンバージョン材料は、エネルギーを紫外線、X線、及び高エネルギー粒子のうちの1つから可視光に変換することができる。色の放出を増強するためのダウンコンバージョン材料は、エネルギー増大因子の有無に関わらず、エネルギーを、より高いエネルギーの可視光からより低いエネルギーの可視光に変換することができる。
【0275】
本発明の一実施形態では、エネルギー増大因子を伴うまたは伴わない量子ドット混合物を、色の増強のために使用することができる。量子ドットは一般にナノメートルサイズの粒子であり、量子ドットの材料のエネルギー状態は量子ドットのサイズに依存する。例えば、量子ドットは、導電特性が個々の結晶のサイズと形状に密接に関連している半導体であることが知られている。一般に、結晶のサイズが小さいほど、帯域のギャップが大きくなり、最高価電子帯と最低伝導帯のエネルギー差が大きくなる。したがって、ドットを励起するためにより多くのエネルギーが必要であり、同時に、結晶が静止状態に戻るときに、より多くのエネルギーが放出される。蛍光染料の用途では、これは、結晶サイズが小さくなるにつれてドットの励起後に放出される光の周波数が高くなることと同じであり、放出される光の色が赤から青にシフトするに至る。量子ドットは、スペクトルの紫外線を、例えば緑色発光などのターゲットの色の放出にダウンコンバートする1つの方法を表している。量子ドットは、スペクトルの青色光を、例えば緑色発光などのターゲットの色の放出にダウンコンバートする1つの方法を表している。
【0276】
米国特許第6,744,960号(その全内容は参照により組み込まれる)に記載されているように、異なるサイズの量子ドットは異なる色の放出を生成する。その研究において、本発明に適用可能である量子ドットは、セレン化亜鉛(ZnSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、ヒ化インジウム(InAs)、及びリン化インジウム(InP)などの半導体を含む様々な材料を含むことができる。適切に使用できる別の材料は、二酸化チタン(TiO)である。粒子のサイズ、すなわち量子ドット18は、約2から10nmの範囲であり得る。これらの粒子のサイズは非常に小さいため、量子物理学が量子ドットの電気的及び光学的特性の多くに適用される。量子ドット18への量子力学の適用のそのような1つの結果は、量子ドットが広いスペクトルの光波長を吸収し、吸収された光の波長よりも長い波長を有する放射線を再放出することである。放出される光の波長は、量子ドットのサイズによって決まる。例えば、直径5.0nmのCdSe量子ドットは、約625nmを中心とする狭いスペクトル分布を有する放射線を放出し、一方、サイズが2.2nmのCdSeを含む量子ドット18は、約500nmの中心波長を有する光を放出する。CdSe、InP、及びInAsを含む半導体量子ドットは、400nmから約1.5μmの範囲の中心波長を持つ放射線を放出できる。二酸化チタンTiOはまた、この範囲で放出する。これらの半導体材料の発光の線幅、すなわち半値全幅(FWHM)は、約20から30nmの範囲であり得る。この狭帯域の放出を生成するために、量子ドットは、単に、ドットによって放出される光の波長よりも短い波長を有する光を吸収する必要がある。例えば、直径5.0nmの場合、約625nmより短い波長を有するCdSe量子ドットの光は吸収されて、約625nmで放出を生じ、一方、約500nm未満の波長を有するCdSe光を含む2.2nmの量子ドットは、吸収されて約500nmで再放出される。ただし、実際には、励起またはポンプ放射は、放出された放射よりも少なくとも約50ナノメートル短い。
【0277】
具体的には、本発明の一実施形態では、量子ドット混合物(QDM)コーティングは、エネルギー増大因子の有無に関わらず使用される、CVD及び/または標準的な沈殿技術を使用するゾルゲル技術を使用して、堆積することができる。QDMコーティングは、UV出力を低下させないケイ酸塩構造で作ることができる。ケイ酸塩系統の中で、シリカ(SiO)は、コーティングを通るUV透過を最大化するために適している。コーティングは、生体適合性ガラスの第2の層をさらに含むことができる。このような生体適合性ガラス及びガラスセラミック組成物は、カルシウム、ランタニドまたはイットリウム、シリコン、リン、及び酸素を含むことができる。他の生体適合性材料及び技術は、本明細書にその全体が組み込まれている以下の特許に記載されている:米国特許第5,034,353号、第4,786,617号、第3,981,736号、第3,922,155号、第4,120,730号、及び米国特許出願第2008/0057096号、第2006/0275368号、及び第2010/0023101号。
【0278】
さらに、本明細書に記載の本発明のダウンコンバージョン材料は、例えばシリカなどの絶縁体材料でコーティングすることができ、これは、発光粒子と粒子が含まれる媒体との間でのいずれかの化学的相互作用の可能性を低減する。本明細書に記載のこれらの変換材料及びその他の変換材料は、エネルギー増大因子の有無に関わらず使用できる。無機ナノ粒子の生体適合的な適用に際し、主要な制限要因の1つはそれらの毒性である。一般的に言えば、すべての半導体ナノ粒子は多かれ少なかれ毒性がある。生体適合的な適用に際し、毒性が可能な限り低いナノ粒子が望ましい。そうでない場合、ナノ粒子は媒体から分離されたままでなければならない。純粋なTiO、ZnO、及びFeは、生体適合性である。ZnS、CAS、BaS、SrS及びYは、低毒性である一方、CdTe及びCdSeは、有毒である。さらに、ナノ粒子の毒性は、TGAなどの無機安定剤またはEu2+、Cr3+またはNd3+などのドーパントに起因する可能性がある。最も生体適合性があると思われる他の適切なダウンコンバージョン材料は、硫化亜鉛、ZnS:Mn2+、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、少量のAlを含む酸化亜鉛、及びゼオライトにカプセル化されたAgIナノクラスターである。毒性がそれほど重大な懸念事項ではない可能性がある非医療用途の場合、以下の材料(及び他の場所に列挙されているもの)が適切と考えられる:ツリウムで活性化されたランタン及びガドリニウムオキシハライド、Er3+ドープのBaTiOナノ粒子、Yb3+ドープのCsMnClとRbMnCl、BaFBr:Eu2+ナノ粒子、ヨウ化セシウム、ゲルマニウム酸ビスマス、タングステン酸カドミウム、及び2価のEuをドープしたCsBr。
【0279】
本発明の様々な実施形態において、以下の発光ポリマーもまた、エネルギー増大因子を伴うまたは伴わない変換材料として適切である:ポリ(フェニレンエチニレン)、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(p-フェニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(ピリジルビニレン)、ポリ(ピロール)、ポリ(アセチレン)、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(フルオレン)など、ならびにコポリマー及び/またはその誘導体。
【0280】
本発明の様々な実施形態において、以下の材料は、米国特許第7,090,355号に詳述されているものと同様に使用することができる。その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。ダウンコンバージョンの場合、次の材料をエネルギー増大因子の有無に関わらず使用できる。金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属カルコゲニド(例えば、金属硫化物)、またはそれらのハイブリッド、例えば金属オキソハライド、金属オキソカルコゲニドを含むがこれらに限定されない無機またはセラミックのリンまたはナノ粒子。レーザー色素と有機小分子、及び蛍光有機ポリマー。IIーVIまたはIIIーV化合物の半導体などの半導体ナノ粒子、例えば蛍光量子ドット。例えば少なくとも希土類元素(Eu、Tb、Ce、Er、Tm、Pr、Hoなど)などの金属中心を含む有機金属分子、Cr、Mn、Zn、Ir、Ru、Vなどの遷移金属元素、及びB、Al、Gaなどの主族元素。金属元素は有機基に化学的に結合して、ホストまたは溶媒からの蛍光の消光を防ぐ。ガーネットシリーズのリン光物質を含むリン光物質を使用できる:Ceドープの(Y1-m(Al1-n12、式中、0≦m、n≦1、式中Aは他の希土類元素を含み、BはB、Gaを含む。さらに、金属ケイ酸塩、金属ホウ酸塩、金属リン酸塩、及び金属アルミン酸塩ホストを含むリン光物質を使用することができる。さらに、一般的な希土類元素(Eu、Tb、Ce、Dy、Er、Pr、Tmなど)と遷移元素または主族元素(Mn、Cr、Ti、Ag、Cu、Zn、Bi、Pb、Sn、TI)を含むナノ粒子リン光物質を蛍光活性化因子として使用することができる。タングステン酸塩中のCa、Zn、Cd、金属バナジン酸塩、ZnOなどの材料は、エネルギー増大因子の有無に関わらず使用できる。
【0281】
Lambda PhysikやExcitonなどを含むいくつかのレーザー色素ベンダーから入手した市販のレーザー色素材料も、エネルギー増大因子の有無に関わらず使用できる。好ましいレーザー色素クラスを一部列挙すると、以下のものが含まれる:ピロメテン、クマリン、ローダミン、フルオレセイン、その他の芳香族炭化水素およびそれらの誘導体など。さらに、不飽和炭素-炭素結合を含む多くのポリマーがあり、これらは蛍光材料としても機能し、多くの光学的および蛍光的用途がある。例えば、MEH-PPV、PPVなどは、ポリマー発光ダイオード(PLED)などのオプトエレクトロニクスデバイスで使用されてきた。このような蛍光ポリマーは、透明な2-Dディスプレイ画面の蛍光層として直接使用できる。
【0282】
上記のように、半導体ナノ粒子(例えば、量子ドット)は、エネルギー増大因子の有無に関わらず、使用することができる。当技術分野における「半導体ナノ粒子」という用語は、直径が1nmから1000nmの間、好ましくは2nmから50nmの間の無機微結晶を指す。半導体ナノ粒子は、励起すると電磁放射を放出することができる(つまり、半導体ナノ粒子は発光性である)。ナノ粒子は、均質なナノ結晶であり得るか、複数のシェルで構成されている。例えば、ナノ粒子は、1つまたは複数の第1の半導体材料の「コア」を含むことができ、第2の半導体材料の「シェル」によって囲まれ得る。コア及び/またはシェルは、II-VI族(ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTeなど)及びIIIーV(GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSbなど)及びIV(Ge、Siなど)の材料、及び合金またはそれらの混合物のものを含むがそれらに限定されない半導体材料であり得る。
【0283】
希土類または遷移元素カチオンを含む蛍光有機金属分子は、エネルギー増大因子の有無に関わらずダウンコンバージョン材料に使用できる。このような分子には、有機キレート基で保護されたEu、Tb、Er、Tm、Ceなどの希土類元素の金属中心が含まれる。金属中心はまた、Zn、Mn、Cl、Irなどの遷移元素、及びB、Al、Gaなどの主族元素を含み得る。このような有機金属分子は、液体または透明な固体のホスト媒体に容易に溶解し得る。このような蛍光有機金属分子のいくつかの例には、1.トリス(ジベンゾイルメタン)モノ(フェナントロリン)ユーロピウム(III)、2.トリス(8-ヒドロキシキノリン)エルビウム、3.トリス(1-フェニル-3-メチル-4-(2,2-ジメチルプロパン-1-オイル)ピラゾリン-5-オン)テルビウム(III)、4.ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノラト)亜鉛、5.ジフェニルボラン-8-ヒドロキシキノレートが含まれる。
【0284】
赤色発光用のダウンコンバージョン材料の具体例としては、上記のものや、β-ジケトン配位子が赤色蛍光を発することができるユーロピウム錯体を形成するユーロピウムに配位するよう構成される、公開特許公報第2003-26969号に記載されているようなユーロピウム錯体が挙げられる。希土類元素錯体の他の特定の例には、ランタン(Ln)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、及びガドリニウム(Gd)及びそれらの組み合わせを含む錯体が含まれる。ユーロピウム(Eu)錯体は、365nmから410nmの範囲の波長の紫外線で照射するとき、赤色の蛍光を発することができる。テルビウム(Tb)は、365nmの波長の紫外線を照射するとき、緑色の蛍光を発することができる。
【0285】
エネルギー増大因子の有無に関わらない他のダウンコンバージョンの実施形態では、赤色光を放出するダウンコンバージョン材料はユーロピウムを含み得、緑色光を放出する光放出粒子はテルビウムを含み得、青色または黄色の光を放出する光放出粒子はセリウム(及び/またはツリウム)を含み得る。アップコンバージョンの実施形態では、赤色光を放出するアップコンバージョン材料はプラセオジミウムを含み得、緑色光を放出する光放出粒子はエルビウムを含み得、青色光を放出する光放出粒子はツリウムを含み得る。実施形態では、変換材料は、異なる色(例えば、赤、緑、及び青)を放出する蛍光分子からなる光放出粒子であり得る。実施形態において、変換材料は、エネルギー増大因子を伴うまたは伴わない、純粋な有機または有機金属染料からなる光放出粒子であり得る。
【0286】
ユーロピウム錯体とテルビウム錯体の組み合わせなどの希土類錯体の組み合わせに加えて、ユーロピウム錯体と錯体ではない緑色発放出蛍光物質の組み合わせ、またはテルビウム錯体と錯体ではない赤色放出蛍光物質の組み合わせを採用することも可能である。
【0287】
エネルギー増大因子の有無に関わらない他のダウンコンバータ材料には、例えば、ZnS、PbS、SbS、MoS、PbTe、PbSe、BeO、MgO、LiCO、Ca(OH)、MoO、SiO、Al、TeO、SnO、KBr、KCl、及びNaClが含まれる。これらの材料は、上記のように、放出特性を調整するためのドーパントを含むことができる。それに適したドープされた(または合金化させた)ガラスシステムの例は、Y:Gd、Y:Dy、Y:Tb、Y:Ho、Y:Er、Y:Tm、Gd:Eu、YS:Pr、YS:Sm、YS:Eu、YS:Tb、YS:Ho、YS:Er、YS:Dy、YS:Tm、ZnS:Ag:Cl(青)、ZnS:Cu:Al(緑)、YS:Eu(赤)、Y:Eu(赤)、YVO:Eu(赤)、及びZnSiO:Mn(緑)を含む。
【0288】
より具体的には、エネルギー増大因子の有無に関わらない、本発明に適したダウンコンバータ材料に関して、米国特許第4,705,952号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、赤外線にトリガーされたときに、エネルギーを第1の波長の可視光の形で蓄積し、エネルギーを第2の波長の可視光の形で放出する、赤外線トリガーのリン光物質を記載している。米国特許第4,705,952号のリン光物質は、アルカリ土類金属硫化物、希土類ドーパント、及び可融性塩の組成物であった。米国特許第4,705,952号のリン光物質は、より具体的には、硫化ストロンチウム、硫化バリウム、及びそれらの混合物から作製されたリン光物質であり、希土類系列と酸化ユーロピウム、及びそれらの混合物からのドーパントを含み、及びリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムのフッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物の溶融性塩、及びそれらの混合物を含む。米国特許第4,705,952号に記載されている材料は、エネルギー増大因子の有無に関わらず本発明の様々な実施形態において有用である。
【0289】
本発明の他の実施形態では、ダウンコンバータ材料(またはダウンコンバータ材料の混合物は、Y:Liを含むことができる。Sun et al.の“Luminescent properties of Li+ doped nanosized Y:Eu,”、Solid State Comm.119(2001)393-396(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、そのような材料を記載している。Hou et al.の“Luminescent properties nano-sized Y:Eu fabricated by co-precipitation method,”Journal of Alloys and Compounds,vol.494,issue1-2、2010年4月2日、382-385ページ(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、ナノサイズのイットリア(Y)粉末は、共沈法によって首尾よく合成されたと記載している。粉末は十分に結晶化しており、粒子はほぼ球形であり、分散性が良好であった。Eu3+イオンの急冷濃度は9モル%で、マイクロスケールの粉末よりもはるかに高くなっている。Li+イオンを組み込むと、発光強度が大幅に向上した。最も高い発光強度が4モル%のLi+ドープされたY:Eu粉末((Y0.87Eu0.09Li0.04)で観察され、蛍光強度は79%も増加した。Yi et al.の“Improved cathodoluminescent characteristics of Y:Eu3+ thin films by Li-doping,” Appl. Phys.A 87,667ー671(2007)(全内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、Y:Eu3+及びLiでドープされたY:Eu3+フィルム両方のためのカソードルミネセンススペクトル、及びこれらの材料を作るための方法を記載している。
【0290】
本発明は、他の実施形態において、エネルギー増大因子の有無に関わらず、多種多様なアップコンバージョン材料(またはアップコンバータの混合物)を使用して、反射性の材料または表面から観察可能な光の特定の色を増強することができる。これらのアップコンバージョン材料は、ダウンコンバージョンに関して上で論じたのと同様の材料を含むことができるが、通常、アップコンバージョンポンピングの機構をもたらすホスト結晶におけるドープ状態または不純物の状態を含む。したがって、色の放出を増強するためのアップコンバージョン材料は、近赤外線、赤外線、及びマイクロ波照射のいずれかからエネルギーを変換することができる。色の放出を増強するためのアップコンバージョン材料は、エネルギーを、より低いエネルギーの可視光からより高いエネルギーの可視光に変換することができる。
【0291】
エネルギー増大因子の有無に関わらないアップコンバージョン材料を様々な方法で使用して、太陽光スペクトル(日光曝露の場合など)または黒体スペクトル(白熱灯の場合など)からの赤外線を変換することにより、可視光の放出を高めることができる。一例では、ランタニドをドープした酸化物のナノ粒子を、選択したドーパントの3価の希土類イオン(複数可)、それらの濃度、及びホスト格子に応じて、980nm及び808nmのレーザー光などの近赤外線で励起して、赤、緑、青のスペクトルの様々な部分で可視光を生成することができる。
【0292】
本発明に適したランタニドドープ酸化物は、電子を価電子帯状態から、材料の帯域ギャップに亘る緩和が蛍光を生成する上位レベルの伝導帯状態に直接促進するために、例えば2つの光子の吸収が同時の事象で必要である従来の多光子アップコンバージョンプロセスとは異なる。ここで、共ドーピングは、NaYFの帯域ギャップの状態を生成して、Yb3+イオンが、5/2で、単一光子イベントによってポンピング可能なエネルギー状態を有するようにし、そこから他の単一光子吸収イベントがさらに高い状態に移入することができるようにする。この励起状態に入ると、より高いエネルギー放射状態への遷移が可能になり、それからの発光が、5/2エネルギー状態のポンピングする入射光より高いエネルギーになる。言い換えれば、Yb3+イオンの5/2エネルギー状態は、集団の構築を可能にする980nmの光を吸収した状態で、7/2エネルギー状態などのより高いエネルギー状態へ遷移するための基礎として機能する。ここで7/2エネルギー状態からの遷移は、可視の放出を生み出す。
【0293】
米国特許第7,008,559号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、767nmでの励起が可視範囲の発光を生成するZnSのアップコンバージョン能力を記載している。米国特許第7,008,559号に記載されている材料(ZnS及びEr3+ドープのBaTiOナノ粒子及びYb3+ドープされたCsMnClを含む)は、エネルギー増大因子の有無に関わらず、本発明の様々な実施形態に適している。
【0294】
さらに、エネルギー増大因子の有無に関わらず、本発明においてアップコンバージョン材料として指定された材料には、CdTe、CdSe、ZnO、CdS、Y、MgS、CaS、SrS及びBaSが含まれる。このようなアップコンバージョン材料は、任意の半導体であり得、より具体的には、限定するものではないが、硫化物、テルル化物、セレン化物、及び酸化物半導体、ならびにそれらのナノ粒子、例えば、Zn1-xMn、Zn1-xMnSe、Zn1-xMnTe、Cd1-xMnS、Cd1-xMnSe、Cd1-xMnTe、Pb1-xMn、Pb1-xMnSe、Pb1-xMnTe、Mg1-xMnS、Ca1-xMn、Ba1-xMn、Sr1-xなど(式中、0<x≦1、及び0<y≦1)であり得る。上記の半導体の複合化合物もまた、本発明での使用が企図されている。例えば、(M1-z1-xMn1-y(M=Zn、Cd、Pb、Ca、Ba、Sr、Mg;N=Zn、Cd、Pb、Ca、Ba、Sr、Mg;A=S、Se、Te、O;B=S、Se、Te、O;0<x≦1、0<y≦1、0<z≦1)。このような複合化合物の2つの例は、Zn0.4Cd0.4Mn0.2S及びZn0.9Mn0..10.8Se0.2である。追加の変換材料には、絶縁性及び非導電性材料が含まれ、いくつかの例示的な化合物を挙げれば、BaF、BaFBr、及びBaTiOがある。本発明に適切な遷移及び希土類イオンを共ドープした半導体は、硫化物、テルル化物、セレン化物及び酸化物半導体及びそれらのナノ粒子を含み、例えばZnS;Mn;Er;ZnSe;Mn、Er;MgS;Mn、Er;CaS;Mn、Er;ZnS;Mn、Yb;ZnSe;Mn、Yb;MgS;Mn、Yb;CaS;Mn、Ybなど、及びそれらの複合化合物(M1-z1-x(Mn1-q1-y(M=Zn、Cd、Pb、Ca、Ba、Sr、Mg;N=Zn、Cd、Pb、Ca、Ba、Sr、Mg;A=S、Se、Te、O;B=S、...0<z≦1、o<q≦1)がある。
【0295】
いくつかのナノ粒子、例えばZnS:Tb3+,Er3+;ZnS:Tb3+;Y:Tb3+;Y:Tb3+,Er3;ZnS:Mn2+;ZnS:Mn,Er3+は、当技術分野では、ダウンコンバージョン発光とアップコンバージョン発光の両方に対して機能することが知られており、エネルギー増大因子の有無に関わらず、本発明に適している。アップコンバージョンの実施形態では、赤色光を放出する光放出粒子はプラセオジミウムを含み得、緑色光を放出する光放出粒子はエルビウムを含み得、青色光を放出する光放出粒子はツリウムを含み得る。
【0296】
一般に、アップコンバージョンプロセスでは、さらなる希土類ドーパントの1つが必要であり、例えばEr、Eu、Yb、Tm、Nd、Tb、Ce、Y、U、Pr、La、Gd、及びその他の希土類種またはそれらの組み合わせが挙げられ、それらは誘電体結晶(>0.1nmの任意のサイズ)にドープされており、Y、YS、NaYF、NaYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La、TiO、LuPO、YVO、YbF、YF、Na-ドープのYbFまたはSiOの少なくとも1つを含み、それにおいて入射放射線は結晶からの放出放射よりも長い波長である。放出される波長は、選択されたドーパントイオン(複数可)と、それに関連及び相対するホスト結晶内の濃度に完全に基づいている。Yホスト結晶のアップコンバージョンの例では、青色の発光(約450~480nm)を実現するために、[Y;Yb(3%)、Tm(0.2%)]を合成でき、式中YbとTmは、100%であるY原子に対する結晶にドープされた割合である。同様に、典型的な緑のアップコンバージョン材料は[Y;Yb(5%)、Ho(1%)]と[Y;Yb(2%)、Er(1%)]、典型的な赤のアップコンバージョン材料は[Y;Yb(10%)、Er(1%)]と[Y;Yb(5%)、Eu(1%)]である。互いに対するドーパントの濃度及び結晶マトリックスは、すべての組み合わせに対して調整する必要があり、エネルギー増大因子の有無に関わらない、同じドーパントからでも複数の色を達成するための複数の方法がある。
【0297】
Tm3+ドープされたフルオロジルコン酸塩ガラスにおける約650nmの波長の赤色光のアップコンバージョンを本発明で使用して、青色光を生成することができる。このシステムでは、青色光は2つの発光帯域で構成されている。1つは1D2→3H4遷移に起因する450nmで、他は475nmでは1G4→3H6遷移に起因する。両方の帯域の発光強度は、励起パワーに応じて二次関数的に変化することが、他者によって観察されてきた。0.2モル%以上のTm3+濃度のガラスでは、相互緩和プロセスが発生し、アップコンバージョン効率が低下する。
【0298】
近赤外(NIR)における励起時の可視光の発光が、クロロホルム中のLuPO:Yb3+、Tm3+、及びYbPO:Er3+ナノ結晶の光学的に透明なコロイド溶液で観察されてきた。975nmでの励起は、青、緑、または赤のスペクトル領域で可視の発光を生成することが他者によって示されている。
【0299】
テルル及びゲルマニウム酸化物(テルライト及びゲルマン酸塩)も適切なアップコンバータである。これらのガラスは、例えば、Tm、Yb、Ho、Er、Prでドープすることができる。
【0300】
Yb3+ドープされたBaZrOもまた、アップコンバートするのに適している。Er3+及び/またはTm3+ドーピングは、発光波長の調整にも適している。
【0301】
別の実施形態では、Morss法により調製したNd3+:CsNaGdCl及びNd3+,Yb3+:CsNaGdCl多結晶粉末試料が、アップコンバータ最大であることが報告されており、本発明に適している。これらの材料は、785nmの照射下で、538nm(緑)、603nm(オレンジ)、及び675nm(赤)付近でアップコンバージョンの放出を示し、各々4G7/2→4I9/2、(4G7/2→4I11/2;4G5/2→4I9/2)、及び(4G7/2→4I13/2;4G5/2→4I11/2)である。
【0302】
別の実施形態では、800nm励起下でのNd3+及びHo3+共ドープベースのZrFフッ化物ガラスは、アップコンバータであることが報告されており、本発明に適している。ZrFフッ化物ガラスのアップコンバージョンの発光の中で、緑色の放出は非常に強く見られており、青色と赤色の発光強度は非常に弱かった。
【0303】
別の実施形態では、Tm3+/Yb3+共ドープのTeO-Ga-RO(R=Li、Na、K)ガラスはアップコンバータであると報告されており、本発明に適している。これらの材料は、977nmの励起で、476nmを中心とする強い青色のアップコンバージョン放出と、650nmでの弱い赤色の放出を示した。
【0304】
別の実施形態では、アントラセンまたは9,10-ジフェニルアントラセンの存在下での金属から配位子への電荷移動(MLCT)の遷移は、[Ru(dmb)2+(dmb=4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジン)はアップコンバータであると報告されており、本発明に適している。アップコンバータになるようにアップコンバートされ、本発明に適している。低励起パワーでの三重項-三重項消滅に起因するアップコンバートされた一重項蛍光が報告されている。特に、9,10-ジフェニルアントラセン(DPA)(アントラセンの代わりに使用)は、アップコンバージョンに対してより高い効率を示した。これらの実験で、この材料システムの研究者は、DPAがアントラセン(=0.27)7と比較して一重項蛍光量子収率(=0.95)を増加させたと仮定した。この作業により、緑色から青色への光のアップコンバージョンが約24.4±6.1に向上し、例えば市販の緑色レーザーポインター(λex=532nm、<5mWのピーク電力)による低励起パワーでのプロセスの直接的な可視化を可能にする。
【0305】
エネルギー増大構造による色の増強について本明細書に記載されている構造は、色増強/エネルギー増大構造またはエネルギー増強/増大構造として示されている。
【0306】
本発明のエネルギー増大構造の近くにエネルギーコンバータ、または色変換または増強材料を配置することにより、エネルギー増大構造が強められた電界の領域内にあるか、そうでなければ強化された電界の領域外にあるかに関係なく、本発明の色増強/エネルギー増大構造またはエネルギー増強/増大構造は、様々な用途、特に、例えば光反応性薬物の光活性化、接着剤またはリソグラフィーフォトレジストなどの感光性材料の光活性化、または滅菌の場合のように、増大構造の環境における生物学的及び化学的作用因子との直接相互作用のため、などの生物学的、化学的、及び物理的反応の光刺激に使用できる光を生成することができる。
【0307】
したがって、本発明の一実施形態では、本明細書に記載の色増強構造は、太陽光、白熱電球、蛍光灯、及びそれぞれが異なる波長または波長帯域を有するLED光源などの様々な光源から多色光を受け取ることができる。波長の異なるこれらの帯域では、レゾネータはそれらの波長に「一致」または「調整」され、特に、外部電極の対、または使用する場合は折り畳まれたレゾネータ電極の対の間に強い電界が確立される。強い電界のこれらの領域では、異なる波長または波長帯の1つから光を取得できる色のコンバータ(アップ及び/またはダウンリン光物質)を配置することができ、別の波長または異なる波長帯域の光をそこから放出させることができる。一実施形態では、強い電界は、リン光物質から放出される光の強度を増加させる。さらに、電界の増強が金属の100~200nm以内の領域に制限される上記のプラズモニクスとは異なり、レゾネータは、外部電極の対、または使用されていれば折り畳まれたレゾネータ電極の対のボリューム内で増加した電界を確立し、外部電極の対(または折り畳まれたレゾネータ電極の対)の近く及び内部のリン光物質が、コンバータがレゾネータから離れていた場合よりも大きな強度を示すようにされる。
【0308】
上記を考慮して、本発明は、一般に、色増強構造を利用する色増強のための方法及びシステムを対象とし、これはa)少なくとも1つのエネルギー増大構造を含むエネルギーコレクタ、及びb)第2の波長/電磁エネルギーの量子を、第2の波長/電磁エネルギーの量子から波長/エネルギーがシフトした第3の波長の光に変換し、そこから放出することができるエネルギーコンバータを有する。一実施形態では、エネルギーコンバータは、波長が移動された光が、コンバータが少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合よりも大きな強度で放出されるように、少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される。理解を容易にするために、「波長」という用語は、エネルギーコンバータに入る電磁エネルギーを説明するために使用されるが、その電磁エネルギーは、そのエネルギーレベルまたは強度に基づいて特定の実施形態でよりよく説明され得る。
【0309】
エネルギー増大構造が強められた電界の領域内にあるか、そうでなければ増強電界の領域外にあるかに関係なく、本発明のエネルギー増大構造の近くにエネルギーコンバータまたは色変換または増強材料を配置することによって、本発明の色増強/増大構造またはエネルギー増強/増大構造は、光の1つまたは複数の波長から他の波長の光への変換として、または光の1つまたは複数の波長から電気エネルギーへの変換として、または1つまたは複数の波長の光から熱への変換として、ある形態のエネルギーから別の形態への変換を増強することができる。
【0310】
1つまたは複数の波長の光から他の波長の光への変換は、色の移動及び色の増強の用途に有用である。1つまたは複数の波長の光から電気エネルギーへの変換は、例えば太陽電池を使用して太陽エネルギーを収集するのに有用である。1つまたは複数の波長の光から熱への変換は、例えば熱電セル、または熱電発電機などの他の熱から電気へのエネルギーデバイスを使用して太陽エネルギーを収集する場合にも有用である。
【0311】
色増強/エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、色増強構造は、第1のレベルの金属パターン、及び第1のレベルの金属パターンから横方向または軸方向の少なくとも1つにオフセットされた第2のレベルの金属パターンを含む多次元集光器を含む。金属パターンの少なくとも1つは、任意選択で、第1の波長の光と共鳴するように寸法が決められた第1のレゾネータを含む。第1のレゾネータは、上記のように、折り畳まれた構造または外部電極の対の構造のうちの1つであり得る。色増強構造は、第2の波長の光を、第2の波長の光から波長がシフトされた第3の波長の光に変換し、そこから放出することができるコンバータを有する。コンバータは、波長がシフトされた光が、コンバータが第1のレゾネータから離れていた場合よりも大きな強度で放出されるように、第1のレゾネータと共に配置される。
【0312】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置されているエネルギーコンバータは、エネルギーコンバータを少なくとも1つのエネルギー増大構造に導電的に結合されている。
【0313】
例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置されているエネルギーコンバータは、エネルギーコンバータと少なくとも1つのエネルギー増大構造との間の物理的導電性接続を含む。
【0314】
色増強/エネルギー増大構造、色増強構造のいくつかの実施形態では、エネルギーコンバータは、紫外線または青色光を赤色、黄色、または緑色光に変換するダウンコンバータを含む。色増強/増大構造のいくつかの実施形態では、エネルギーコンバータは、赤外線または赤色光を、黄色、緑色光、または青色光に変換するアップコンバータを含む。
【0315】
色増強/エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の金属パターンは、間に電界が向けられた対向する電極を有する折り畳まれたレゾネータを含み、コンバータは、対向する電極間または対向する電極のフリンジ電界内、あるいは対向する電極の近傍に配置される。一例では、折り畳まれたレゾネータは、3/4λの折り畳まれたレゾネータである。一例では、金属パターンは、Au、Ag、Cu、Al、または透明な金属酸化物のうちの少なくとも1つを含む。別の例では、金属パターンは、例えば、Ti、W、及びMoなどの耐火金属で形成することができる。
【0316】
色増強/エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の金属パターンは、間に電界が向けられた対向する電極を有する外部電極の対の構造を含み、コンバータは、対向する電極間または対向する電極のフリンジ電界内、あるいは対向する電極の近傍に位置付けられる。一例では、レゾネータは3/4λ外部電極の対のレゾネータである。一例では、金属パターンは、Au、Ag、Cu、Al、または透明な金属酸化物のうちの少なくとも1つを含む。別の例では、金属パターンは、例えば、Ti、W、及びMoなどの耐火金属で形成することができる。
【0317】
色増強/エネルギー増大構造、色増強構造のいくつかの実施形態では、金属パターンの少なくとも1つまたはコンバータに配置される反射防止フィルムが存在する。
【0318】
色増強/エネルギー増大構造、色増強構造のいくつかの実施形態では、上記の第1のレゾネータは複数のレゾネータを含み、上記のコンバータは複数のコンバータを含み、複数のコンバータは集光器全体の複数の位置に配置される。一例では、複数のコンバータは、集光器内で内部散乱されている光を変換するように位置付けられている。
【0319】
色増強/エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の第1のレベルの金属パターン(または第2のレベルの金属パターン)は、高K誘電体でクラッドされた金属コアと、それに続く低K誘電体のクラッドとを含む。色増強/エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の第1のレベルの金属パターン(または第2のレベルの金属パターン)は、導体の放射状パターンを含む。色増強/エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の第1のレベルの金属パターン(または第2のレベルの金属パターン)は、フラクタルパターンを含む。一例では、フラクタルパターンは誘電体材料内に埋め込まれている。
【0320】
色増強/エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の第1のレベルの金属パターン(または第2のレベルの金属パターン)は、3次元のフラクタル構造を含む。
【0321】
色増強/エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、集光器は、第1のレベルの金属パターン及び第2のレベルの金属パターン、及び任意選択でその中に形成された複数のコンバータを備える透明パネルを含む。色増強/エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、集光器は、第1のレベルの金属パターン及び第2のレベルの金属パターンと、任意選択でその中に形成された複数のコンバータとを備える透明なシートを含む。
【0322】
色増強/エネルギー増大構造のいくつかの実施形態では、上記の第1のレベルの金属パターン(または第2のレベルの金属パターン)は、第1のレベルの金属パターンの相互、または第2のレベルの金属パターンに対する異なるサイズ及び/または向きである。
【0323】
実際、図29は、機械発光材料を含む本発明の反射レゾネータの概略図であり、この例では、機械発光材料は、折り畳まれたレゾネータ構造の間に配置されるが、機械発光材料は、外部電極の対のレゾネータ構造の間に配置され得る。したがって、一実施形態では、電磁波エネルギー増大因子は、1つまたは複数の波長の電磁エネルギーを捕捉し、1つまたは複数の波長の電磁エネルギーを、少なくとも1つの特性(例えば、機械発光材料の近くの電界強度)で増大させるが、同時に機械発光材料は、超音波または機械的エネルギーを電磁放射(すなわち、放出された光)に変換するエネルギーコンバータと見なすことができる。
【0324】
本発明の一実施形態では、折り畳まれた構造または外部電極の対における電界の増加は、機械発光材料の発光を増加させる。折り畳まれた構造または外部電極の対に電界を構築するために使用されるエネルギーは、機械発光を駆動する機械的エネルギーとは別に提供される。
【0325】
例えば、図29の反射レゾネータは、エンジンまたはその他の廃熱放散機の排気スタックに隣接させて配置できる。一実施形態では、図29の反射レゾネータは、ヒートスタックに接続されたステンレス鋼アームに取り付けられる。ステンレス鋼は、機械的振動を反射レゾネータに結合し、一方で反射レゾネータを排気スタックから熱的に隔離することにより、無機の機械発光材料さえも使用できるようにする。
【0326】
エンジンがより高いレベルの振動または様々な周波数での振動を示し始めたとき、放出される光の強度が変化し、エンジンまたは機械が電力負荷または摩耗または機械的故障による応力を受けていることを示す可視光信号を提供する。
【0327】
本発明の一実施形態では、図29に示される反射構造は、レゾネータ及びその共鳴要素を含む必要はない。本発明の一実施形態では、図29に示される反射構造は、100℃前後の比較的低温で動作する機械に直接配置することができる。この実施形態では、反射構造は、レゾネータ及びその共鳴要素を含む必要はない。ただし、レゾネータとその共鳴要素が存在する場合、656nmレーザーなどのレーザーは、レゾネータを「プローブ」し、「オンデマンド」で機械発光を強めることができる。このようにして、発生している機械的問題の早期発見を検出することができる。
【0328】
本発明に適した様々な機械発光材料には、以下が含まれる:ZnS:Mn2+、SrAl:Eu2+、ZnS:Cu、SrAMgSi:Eu2+(A=Ca,Sr,Ba)、KC、KI、KBr、NaF、NaCl、LiF、RbCl、RbBr、RbI、MgO、SrAl、CaAl、Sr1-xBaAl(x=0、0.1、0.2、0.4)、Sr0.9Ca0.1Al、ZnGe0.9Si0.1、MgGa、ZnGa、ZnAl、ZnS、ZnTe、(ZnS)1-x(MnTe)(x<1/4)、CaZnOS、BaZnOS、CaMgSi、SrMgSi、BaMgSi、SrCaMgSi、SrBaMgSi、SrMgSi5+n(1≦n≦2)、CaAlSiO、SrAlSiO、CaYAl、CaAlSi、Ca1-xSrAlSi(x<0.8)、SrMg(PO、Ba1-xCaTiO(0.25<x<0.8)、Ba1-xCaTiO,LiNbO、SrSnO、(Ca,Sr,Ba)SnO、SrSn、Sr(Sn,Si)、Sr(Sn,Ge)、CaTi、CaNb、CaNb、CaNb、BaSi、SrSi、CaZr(PO、ZrO
【0329】
全内容が参照により組み込まれる、Yanim Jiaは、“Novel Mechano-Luminescent Sensors Based on Piezoelectric/Electroluminescent Composites,” Sensors(Basel).2011;11(4):3962ー396で、圧電材料および電界発光材料から作られる機械発光複合材料を記載している。この複合デバイスでは、圧電層に応力がかかると、圧電効果により圧電層の上面と下面の両方に電荷が誘発される。これらの誘導電荷は、電界発光効果により、電界発光層からの光の出力をもたらす。
【0330】
ここで、本発明の一実施形態では、圧電材料及び電界発光材料から作られるそのような複合材料、以下「複合機械発光エミッタ」は、音響または超音波トランスデューサーなどから、機械的または振動エネルギーで刺激すると発光する構造を提供する。複合機械発光エミッタに使用できる様々な電界発光材料の詳細は、電界発光材料のみが対向するレゾネータ電極の近くに配置される次のセクションで提供される。
【0331】
図30は、圧電材料及び電界発光材料から構成される複合機械発光エミッタの概略図であり、一実施形態では、図29の機械発光の発光エミッタであり得る。
【0332】
別の実施形態では、複合機械発光エミッタは、いずれのレゾネータ構造をも必要とせずに使用することができる。図31は、そこから光を生成するために対象のセクター全体に分散された複合機械発光エミッタを示す概略図である。図31は、超音波トランスデューサーをこれらの複合機械発光エミッタの刺激/活性化の用途に使用できることを示している。
【0333】
色増強の用途では、超音波エネルギーを適用すると、表面からの色の放出が変化する可能性がある。このような用途は、アイテムに複合機械発光エミッタのパターンが含まれるセキュリティシステム向けである可能性がある。パターンは、超音波または音響エネルギーで活性化され、その時点で所定の波長の光が放出されるまでは明らかではない。放出される光は、放出される光を検出するために使用される検出器のタイプに応じて、可視光または赤外線である可能性がある。
【0334】
これらの複合機械発光エミッタの関連する用途において、図32は、その中またはそこから光を生成するために対象の媒体内に分布された複合機械発光エミッタを示す概略図である。本発明では、光をオン及びオフにすることができ、超音波トランスデューサーのオン/オフ状態と光の強さを変えることができる。対象の媒体に遭遇するパワーリードはない。電源のオン及びオフを切り替えるためにバッテリーや制御要素が占めるスペースはない。複合機械発光エミッタは小型化することができる。複合機械発光エミッタは、容器内に凝集させることができる。いくつかの実施形態では、容器は完全に充填されてはおらず、容器を傾けることにより、容器内部の複合機械発光エミッタを再配置することができる。
【0335】
電界発光及びリン光材料(有機及び無機):エネルギー増大因子を伴うまたは伴わない、様々な実施形態における本発明は、有機蛍光分子、または、コンバータ用の結晶性、多結晶性、またはアモルファスの微細構造を有することが可能な無機粒子または蛍光及びリン光を利用することができる(任意選択で上記のエネルギー増大構造を含む)。
【0336】
色の放出を増強するために共鳴構造で使用することができる無機分子のリストには、以下の無機電界発光リン光物質が含まれるが、これらに限定されない。
SrS:Ce3+
CaGa:Ce3+
SrS:Cu
CaS:Pb2+
BaAl:Eu2+
ZnS:Tb3+
ZnMgS:Mn2+
SrGa:Eu2+
CaAl:Eu2+
BaAl:Eu2+
ZnS:Mn2+
MgGa:Eu3+
(Ca,Sr)Y:Eu2+
BaAl:Eu2+
【0337】
電界の影響下でリン光を出すことができる有機分子はまた、本願における対象である。量子収率の高い有機蛍光化合物には、例として次のものが含まれる。
ナフタレン、
ピレン、
ペリレン、
アントラセン、
フェナントレン、
p-テルフェニル、
p-クォートフェニル、
トランススチルベン、
テトラフェニルブタジエン、
ジスチリルベンゼン、
2,5-ジフェニルオキサゾール、
4-メチル-7-ジエチルアミノクマリン、
2-フェニル-5-(4-ビフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、
3-フェニルカルボスチリル、
1,3,5-トリフェニル-2-ピラゾリン、
1,8-ナフトイレン-1’,2’-ベズイミダゾール、
4-アミノ-N-フェニル-ナフタルイミド。
【0338】
ここで詳述する無機蛍光及びリン光材料は多数あり、様々な例が、限定ではなく例示として与えられている。さらに、これらの材料は、結晶性または多結晶性材料の場合、格子構造の部位を占め、アモルファス材料のネットワーク形成部位または架橋及び/または非架橋性部位を占め得る特定のイオン(活性剤または活性剤の組み合わせ)でドープすることができる。これらの化合物には、次の材料の例が含まれ得る(優先順位や有用性の順序ではランク付けしてはいない)。
CaF、ZnF、KMgF、ZnGa、ZnAl、ZnSiO、ZnGeO、Ca(POF、Sr(POF、CaSiO、MgSiO、ZnS,MgGa、LaAl1118、ZnSiO、Ca(POF,MgTa、CaF、LiAl、LiAlO、CaPO、AlF
【0339】
さらに含まれるのは、アルカリ土類カルコゲニドリン光物質であり、これらは、以下の非包括的なリストにより次に例示されている。
MgS:Eu3+、CaS:Mn2+、CaS:Cu、CaS:Sb、CaS:Ce3+、CaS:Eu2+、CaS:Eu2+Ce3+、CaS:Sm3+、CaS:Pb2+、CaO:Mn2+、CaO:Pb2+
【0340】
例には、様々な誘導体を含むZnSタイプのリン光物質が含まれる。
ZnS:Cu、Al(Cl)、ZnS:Cl(Al)、ZnS:Cu、I(Cl)、ZnS:Cu、ZnS:Cu、In。
【0341】
周期表のIIIb族及びVb族元素を含む化合物IIIb-Vbリン光物質が、コンバータ材料としては適切である。これらの半導体には、BN、BP、BSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSbが含まれ、これらの材料は、発光ダイオードを誘導するために連携するドナーとアクセプターを有する。ドナーには、Li、Sn、Si、Li、Te、Se、S、Oが含まれる。アクセプターには、C、Be、Mg、Zn、Cd、Si、Geが含まれる。例として、GaP発光ダイオードは、GaP:Zn、O、GaP:NN、Gap:N及びGaPを含み、これらはそれぞれ赤、黄、緑、純緑の色を発する。
【0342】
配合された材料には、次の種類の組成変化を伴うGaAsなどの材料がさらに含まれる:In1-y(Ga1-xAlx)yP(簡単な例を提示する)。発光プラットフォームとしての炭化ケイ素SiCは、青色発光ダイオードの場合、商業的に関連性がある。これらには、NやAlなどのドナーとGaやBなどのアクセプターを備えるポリタイプ3C-SiC、6H-SiC、4H-SiCが含まれる。
【0343】
コンバータ材料に適した多帯域発光材料には、例えば、以下の組成物が含まれる:
(Sr,Ca,Ba)(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、CeMgAl1119:Ce3+:Tb3+、LaPO:Ce3+:Tb3+、GdMgB10:Ce3+:Tb3+、Y:Eu3+、(Ba,Ca,Mg)(POCl:Eu2+、2SrO0.84 0.16B:Eu2+、SrAl1425:Eu2+
【0344】
コンバータ材料に適した他の材料には、蛍光高圧水銀放電ランプに使用される材料が含まれ、X線で励起することができ、次のような系統の指定によって例示される:
リン酸塩(Sr,M)(PO:Sn2+、MgまたはZn活性剤、ゲルマネート4MgO.GeO:Mn4+、4(MgO,MgF)GeO:Mn4+、イットレートY:Eu3+、バナジン酸塩YVO:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、Y(P,V)O:In、ハロシリケートSr2Si3O 2SrCl:Eu2+、アルミネート(Ba,Mg)Al1624:Eu2+、(Ba,Mg)Al1624:Eu2+、Mn2+、YAl:Tb3+
【0345】
ホスト化合物によるコンバータ材料に適した材料の別のグループ化は、ハロリン酸塩リン光物質、リン酸塩リン光物質、ケイ酸塩リン光物質、アルミン酸塩リン光物質、ホウ酸塩リン光物質、タングステン酸塩リン光物質、及び他のリン光物質の化学組成を含む。
【0346】
ハロリン酸塩には、例として以下が含まれる:
3Ca(PO.Ca(F,Cl):Sb3+、3Ca(PO.Ca(F,Cl):Sb3+/Mn2+、Sr10(POCl:Eu2+、(Sr,Ca)10(POCl:Eu2+、(Sr,Ca)10(PO.nB:Eu3+、(Sr,Ca,Mg)10(POCl:Eu2+。リン酸リン光物質には以下が含まれる:Sr:Sn2+、(Sr,Mg)(PO:Sn2+、Ca(PO.Sn2+、Ca(PO:Tl、(Ca,Zn)(PO:Tl、Sr:Eu2+、SrMgP:Eu2+、Sr(PO:Eu2+、LaPO:Ce3+、Tb3+、La 0.2SiO 0.9P:Ce3+.Tb3+、BaOTiO 。ケイ酸塩リン光物質、ZnSiO:Mn2+、CaSiO:Pb2+/Mn2+、(Ba,Sr,Mg)3Si:Pb2+、BaSi:Pb2+、SrSi 2SrCl:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、(Sr,Ba)AlSi:Eu2+
【0347】
アルミン酸塩リン光物質は以下を含む:
LiAlO:Fe3+、BaAl13:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+/Mn2+、SrAl1425:Eu2+、CeMgAl1119:Ce3+/Tb3+
【0348】
ホウ酸塩リン光物質は以下を含む:
Cd:Mn2+、SrBF:Eu2+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+、GdMgB10:Ce3+/Mn3+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+/Mn2+
【0349】
タングステン酸塩リン光物質は以下を含む:
CaWO、(Ca,Pb)WO、MgWO。他のリン光物質は、Y:Eu3+、Y(V,P)O:Eu2+、YVO:Dy3+、MgGa:Mn2+、6MgOAs:Mn2+、3.5MgO0.5MgF GeO:Mn4+
【0350】
様々なドープされたリン光物質に関連する活性剤には、次のリストが含まれる。
Tl、Pb2+、Ce3+、Eu2+、WO 2-、Sn2+、Sb3+、Mn2+、Tb3+、Eu3+、Mn4+、Fe3+
【0351】
様々な実施形態において、発光中心T1+は、以下のような化学組成で使用することができる:
(Ca,Zn)(PO:Tl、Ca(PO:Tl
【0352】
同様に、発光中心Mn2+は次のような化学組成で使用できる:
MgGa:Mn2+、BaMgAl1627:Eu2+/Mn2+、ZnSiO:Mn2+、3Ca(PO Ca(F,Cl):Sb2+/Mn2+、CaSiO:Pb2+/Mn2+、Cd:Mn2+、CdB:Mn2+、GdMgB10:Ce3+/Mn2+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+/Mn2+
【0353】
さらに、発光中心Sn2+は、次のような化学組成で使用できる:
Sr:Sn2+、(Sr,Mg)(PO:Sn2+
【0354】
発光中心Eu2+はまた、次のような化学組成で使用することができる:
SrBF:Eu2+、(Sr,Ba)AlSi:Eu2+、Sr(PO:Eu2+、Sr:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、Sr10(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+/Mn2+、(Sr,Ca)10(POCl:Eu2+
【0355】
発光中心Pb2+は、次のような化学組成で使用することができる:
(Ba,Mg,Zn)Si:Pb2+、BaSi:Pb2+、(Ba,Sr)Si:Pb2+
【0356】
発光中心Sb2+は、次のような化学組成で使用することができる:
3Ca(PO Ca(F,Cl):Sb3+、3Ca(PO Ca(F,Cl):Sb3+/Mn2+
【0357】
発光中心Tb3+は、次のような化学組成で使用することができる:
CeMgAl1119:Ce3+/Tb3+、LaPO:Ce3+/Tb3+、YSiO:Ce3+/Tb3+、GdMgB10:Ce3+/Tb3+
【0358】
発光中心Eu3+は、次のような化学組成で使用することができる:
:Eu3+、Y(V,P)O:Eu3+
【0359】
発光中心Dy3+は、次のような化学組成で使用することができる:
YVO:Dy3+
【0360】
発光中心Fe3+は、次のような化学組成で使用することができる:
LiAlO:Fe3+
【0361】
発光中心Mn4+は、次のような化学組成で使用することができる:
6MgOAs:Mn4+、3.5MgO0.5MgF GeO:Mn4+
【0362】
発光中心Ce3+は、次のような化学組成で使用することができる:
CaMgSi:Ce3+及びYSiO:Ce3+
【0363】
発光中心WO 2-は、次のような化学組成で使用することができる:
CaWO、(Ca,Pb)WO、MgWO
【0364】
発光中心TiO 4-は、次のような化学組成で使用することができる:
BaOTiO
【0365】
本発明の様々な実施形態において、X線励起で利用されるリン光物質の化学的性質を使用することができる。特に興味深いのは、これらのリン光物質のケッジである。低エネルギー励起は、ケッジが低い材料で強い発光を引き起こし得る。これらの化学物質の一部と対応するケッジは、次のように含まれている。
BaFCl:Eu2+ 37.38keV
BaSO:Eu2+ 37.38keV
CaWO 69.48keV
GdS:Tb3+ 50.22keV
LaOBr:Tb3+ 38.92keV
LaOBr:Tm3+ 38.92keV
LaS:Tb3+ 38.92keV
S:Tb3+ 17.04keV
YTaO 67.42keV
YTaO:Nb 67.42keV
ZnS:Ag 9.66keV
(Zn,Cd)S:Ag 9.66/26.7keV
【0366】
本発明の一実施形態では、これらの材料からの光(例えば、X線、ガンマ線、プロトン、及び電子を含む高エネルギー粒子によって励起される)は、それらの材料を本明細書に記載の色増強構造の(内部を含む)近傍に含めることによって、それらの放出を変調することができる。例えば、X線がリン光を励起して患者の反応を光刺激する医学的治療では、高エネルギー粒子による照射と同時に、赤外線照射を適用して、本明細書に記載の色増強構造/エネルギー増大構造の共鳴を駆動することができ、X線のリン光物質は、強められた電界の存在下で放出を増強する。別の例では、医療機器または科学機器において、高エネルギー粒子による照射と同時に、これらのX線リン光物質からの放出を増強するための印加された電界が存在し得る。
【0367】
C.色増強構造
本発明は、媒体からの発光の効率の有効性及び/または効率を高めるための、上記のエネルギー増大構造の有無に関わらない、リン光蛍光及びシンチレーション材料、または本明細書に記載の他のエネルギー変換材料及びデバイスを使用する方法、システム及びデバイスを提供する。エネルギー増大構造により、本発明は、強い電界の局所領域を生成して、それらの局所領域に近接する材料の光、光子、または電子の放出を増強または加速することができる。
【0368】
リン光デバイス:色の増強のために本発明で使用できる多数のコンバータ材料について、これまで説明したが、図33は、コンバータ材料(上記のリン光物質及び他の発光材料など)が金属トレースの片側が透明なインジウムスズ酸化物でできており、反対側がAu、Ag、Al、Cuなどの反射金属である3/4λの折り畳まれたレゾネータの内部で使用される、本発明の反射レゾネータの概略図である。あるいは、レゾネータは(示されている折り畳まれた構造の代わりに)外部電極の対の構造を有することができ、コンバータ材料は電極の対の内部に存在する。
【0369】
図34は、可変色温度制御を備えたLED白色光源の概略図である。この構造は、米国特許出願公開第2007/0215890号に記載されているものに厳密に従っている(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0370】
上に示したように、この実施形態では、従来の青色光LEDは、はんだバンプまたは他の手段を使用してサブマウントに取り付けられている。サブマウントの表面には、LEDが電気的に接続されている金属製の接触パッドがある。接触パッドは、電流源などの電源に接続するために、サブマウントの周囲または下側に形成された他の導体につながる。ここで、本色増強発明の一実施形態では、サブマウントは、電界アプリケータに電気的に接続されている。電界アプリケータは、図示の通り、示されているレベルのそれぞれで確立された異なる制御可能な電圧を有する単純なグリッド要素であり得、赤リン光プレートと緑リン光プレート内部の電界を調整できるようにしている。赤リン光プレート内部の電界または緑色リン光プレート内部の電界を増減させることにより、必要に応じて、赤色光と緑色光の強度を連続的にオンデマンドで調整することができる。
【0371】
ここで、本色増強発明の一実施形態では、サブマウントは電界アプリケータに電気的に接続されておらず、電界アプリケータは、上記の3/4λの折り畳まれたレゾネータなどの折り畳まれたレゾネータであり得るか、または外部電極の対の構造の3/4λレゾネータであり得る。ここで、特に廃熱が発生する高出力LED動作の場合、3/4λの折り畳まれたレゾネータまたは3/4λの外部電極の対のレゾネータの波長である。ここで、特に廃熱が発生する高出力LED動作の場合、約5~10ミクロンになる。
【0372】
第890号の刊行物のように、LEDはAlInGaN材料を使用して形成でき、LCDの従来の青色フィルタのスペクトル分布と一致するように約460~470nmのピーク波長を持つ青色光を放出することが好ましい。同じく青色と見なされる他の放出波長も、440~480nmなどに適している場合がある。青色LEDの上側表面は、典型的なサイズが1mm以下の、任意のサイズであってもよい。
【0373】
LEDの上に配置されているのは、赤色のリン光プレートと緑色のリン光プレートである。各プレートのサイズは、LEDのサイズと一致する場合もあれば、LEDの発光パターン、許容誤差、及びリン光プレートの特性に応じてわずかに大きくなったり小さくなったりする場合がある。プレートは、25%もLED表面を超えて延びることがある。一実施形態では、プレートはLEDよりも小さく(例えば、最大50%小さい)、白色光においてより大きな青色成分を生成するか、または緑色及び赤色のリン光プレートを並べて配置することを可能にする。薄いLEDを使用すると、わずかな側面放出が発生する。側面放出は、バックライトボックス内で白色光と混合される。
【0374】
第890号の刊行物のように、各リン光プレートの厚さは、使用するリン光物質のタイプ、使用する青色LEDのタイプ(例えば、高出力LEDにはより厚いプレートが必要な場合がある)、リン光物質の密度、及び当業者によって理解される他の要因に応じて、50~300ミクロンの間である可能性がある。
【0375】
電界発光デバイス:図35は、電界発光光源の概略図である。典型的な最新の電界発光(EL)デバイスには、2つの共層有機材料がある。ELデバイスは、透明な酸化インジウムスズ(ITO)アノード、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)で構成され、合金金属製の金属カソードなどの様々な例が考えられる。電子の電流の流れ(電荷キャリアの流れ)は、電子を発光層に供給する。放出層内の正孔の生成と流れ(電荷キャリア)は、放出層内の電子と再結合して光を出力することができる。
【0376】
図36は、折り畳まれた共鳴電極内に電界発光媒体を有する本発明の電界発光光源の概略図である。
【0377】
本発明の放出層のコーティングに使用される様々な材料には、以下が含まれ得るが、これらに限定されない。
4,4’,4’’-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)
N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N、N’-ジフェニルベンジジン(TPD)
4,4’,4’’-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)
N、N’-ビス(3-メチルフェニル)-N、N’-ジフェニルベンジジン(TPD)
トリス-(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム
2,4,6-トリス(2-ピリジル)-s-トリアジン(TPT)
【化6】
2,2’,2’’-(1,3,5-ベンジントリイル)-トリス(1-フェニル-1-H-ベンズイミダゾール)Alq
【化7】
2,2’,2’’-(1,3,5-ベンジントリイル)-トリス(1-フェニル-1-H-ベンズイミダゾール)TPBI
【化8】
2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、BCP2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン,BCP
【化9】
【0378】
別の実施形態では、インジウムスズ酸化物ITOなどの光学的に透明なアノードが使用される。コンバータ材料は、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)、及び金属カソードで構成される有機層を露出する曲がったアンテナの容量性部分に配置される。この例でアンテナに結合する電磁エネルギーは、RF及びマイクロ波領域から、IR及びUV領域まで動作できる。
【0379】
図3-2の実施形態では、エネルギーコンバータまたは色変換または増強材料は、エネルギー増大構造(すなわち、3/4λの折り畳まれたレゾネータ)の近くに配置される。したがって、エネルギー増大構造は、好ましくは、折り畳まれた対向する電極間の強められた電界の領域にある。本発明の一実施形態では、エネルギーコンバータ(電界発光材料)を1つのエネルギー増大構造(3/4λの折り畳まれたレゾネータ)に導電的に結合する電流が存在するため、強められた電界は強められたエネルギーの領域である。
【0380】
色増強デバイスのプラズモン増強構造:
上記の色増強デバイスは、上記のプラズモン増強構造を利用することができる。上記のように、図26は、エネルギー増大因子の有無に関わらず、本明細書に記載の色増強/増大構造で利用される本発明の一実施形態による、アップコンバータまたはダウンコンバータ材料(すなわち、光活性材料)の描写の概略図である。図26は、誘電体コアアップコンバータまたはダウンコンバータ材料(ナノメートルサイズのスケール)を金属シェルの近くに配置するためのいくつかの構造構成を示している。波長λの入射光は、アップコンバート誘電体コアと相互作用する。誘電体コアとの光λの相互作用は、λよりも短い波長を有するλ周波数で二次放射を生成し、それに応じてλよりも高いエネルギーを有する。アップコンバージョンの正確な物理的機構は、特定の用途で使用されている特定のアップコンバージョン材料とプロセスに依存する場合があるが、論述と説明のために、以下の説明を提供する。
【0381】
図26の文脈では、波長λが誘電体コアと相互作用するときに3つの別々のプロセスが三価の希土類イオンを含むアップコンバージョンプロセスのためによく理解される。これらの3つのプロセスは次のとおりである:
1)励起状態の吸収。2つの光子が同じイオンによって連続的に吸収され、励起して1つまたは複数の状態を生成する。
2)エネルギー移動アップコンバージョン。これは、あるイオンからすでに励起状態にある別のイオンへの励起の移動である。
3)多光子の協調プロセス。励起状態にある2つの近くのイオンが仮想状態から集合的に放出される。
【0382】
選択したイオン(複数可)とホスト格子の間でこれらのプロセスのいずれが発生しているかに関係なく、最終結果は、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンのプロセスのためにホスト格子から放出される励起エネルギーよりも大きいエネルギーの光子になる。
【0383】
したがって、ドーパントイオンまたは誘電体コアのホストイオンが、得られた放射λを生成するNIR源によってポンピング可能であるイオンの状態を提供するために、活性化される特定のイオン(それがドーパントイオンまたは酸化ネオジムなどにおける格子のホストイオンであるかどうか)は、処理されるホスト材料に基づいて選択される。
【0384】
したがって、一実施形態において、本発明は、放射の第1の波長λに曝露されると、第1の波長λよりも高いまたは低いエネルギーを有する放射の第2の波長λを生成するように構成されたアップコンバージョンまたはダウンコンバージョン材料を提供する。システムは、ナノ粒子に関連して配置された金属構造(例えば、ナノ粒子の一部を覆う金属シェル)を含むことができる。システムは、ナノ粒子に近接した媒体に配置された受容体を含み得る。第2の波長λによって活性化されると、受容体は、それ自体が可視光を生成する蛍光を発することができる。本発明の一実施形態において、(図面に上方及び下方に記載されたもののような)金属構造の物理的特性は、金属構造の表面プラズモン共鳴が第1の波長λまたは第2の波長λのいずれかとのスペクトルの重なりをもたらす周波数で共鳴する値に、設定されている。アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンナノ粒子に関連して配置された金属構造を持つこのシステムは、本明細書に記載されている色増強/増大構造で利用されるコンバータになる。
【0385】
本発明の文脈内で、金属シェルまたはコアの「物理的特性」という用語は、表面プラズモン共鳴周波数に影響を与える金属自体またはシェルもしくはコアの寸法または形状の任意の特性に関連し得る。そのような物理的特性には、導電性、半径方向の寸法、化学組成、または金属シェルまたはコアの結晶状態が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0386】
様々な実施形態において、金属構造は、金属シェル内のナノ粒子の少なくとも一部をカプセル化する金属シェルであり得、この場合、金属シェルの導電性、半径方向寸法、または結晶状態は、第1の波長λまたは第2の波長λのいずれかとのスペクトルの重なりをもたらす周波数で共鳴するように金属構造における表面プラズモン共鳴を設定する。様々な実施形態において、金属構造は、金属シェル内のナノ粒子の少なくとも一部をカプセル化する多層金属シェルであり得、この場合、金属シェルの導電性、半径方向寸法、または結晶状態は、第1の波長λ及び第2の波長λで共鳴するように金属構造における表面プラズモン共鳴を設定する。この機能は、λで放射し、λを増幅することを可能にする。
【0387】
様々な実施形態において、金属構造は、1つ以上の複数の構造に存在する金属粒子であり得る。これらの複数の構造は、例えば球、回転楕円体、棒、立方体、三角形、ピラミッド、柱、三日月形、四面体形状、星またはそれらの組み合わせを含む様々な形状を有することができ、ナノ粒子に隣接して配置され、金属構造の導電性、寸法(例えば、横方向の寸法または厚さ)、または結晶状態は、第1の波長λ、または第2の波長λのいずれかとのスペクトルの重なりをもたらす周波数で共鳴するように金属粒子またはロッドにおける表面プラズモン共鳴を設定する。そのような形状は、本発明の図及び米国出願第12/401,478号の図に記載されている。これは、参照によりその全体が組み込まれる。形状の選択は、表面プラズモン共鳴の周波数に影響を与え得る。プラズモンの帯域は、ナノ粒子の形状によって変化することが知られている(例えば、扁長回転楕円体や偏球回転楕円体)。参照によりその全内容が組み込まれるthe Journal of Nanophotonics,Vol.2,029501 (2008年9月26日)の“Spectral bounds on plasmon resonances for Ag and Au prolate and oblate nanospheroids,”という論文は、扁長回転楕円体及び偏球回転楕円体のAgの成形のためのプラズモン共鳴シフト、及びAuの成形のためのプラズモン共鳴シフトを示している。本発明の一実施形態では、本発明の金属構造のアスペクト比が増加すると、扁長回転楕円体の共鳴は、下限のない球に対して赤色移動する(ドルーデ分散モデルの仮定の下で)。一方、回転楕円体がいっそう平坦になるにつれて、偏平共鳴は「青色移動」するが、限界に達する。
【0388】
様々な実施形態において、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンのナノ粒子に関連して配置された金属構造は、ナノ粒子の内部に配置された金属構造であり得、この場合、金属構造の導電性または寸法(例えば、横方向の寸法または厚さ)は、第1の波長λ、または第2の波長λのいずれかとのスペクトルの重なりをもたらす周波数で共鳴するように金属構造における表面プラズモン共鳴を設定する。様々な実施形態において、金属構造は、ナノ粒子の内部に配置された金属多層構造であり得、この場合、金属構造の導電性または寸法(例えば、横方向の寸法または厚さ)は、第1の波長λ及び第2の波長λの周波数で共鳴するように金属構造における表面プラズモン共鳴を設定する。この機能は、λで放射し、λを増幅することを再度可能にする。
【0389】
別の実施形態では、本発明は、サブの1000nmの誘電体コアと、ナノ粒子に関連して配置された金属構造とを含むナノ粒子構造を提供する。誘電体コア材料は、Y、YS、NaYF、NaYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La、TiO、LuPO、YVO、YBF、YF、NaドープのYbF、またはSiOの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、このようなナノ粒子構造は、第1の波長λから第2の波長λへ光のアップコンバージョンを増強させるために、金属構造における表面プラズモン共鳴を示すことができる。
【0390】
上記のように、シェル(または他の構造)は、プラズモン増強を通じて光子のアップコンバージョンプロセスを増強するために、特に層の厚さ(または例えば横方向の寸法)を備えて設計されている。シェルの厚さ(または他の物理的特性)は、シェル内のプラズモン(つまり電子の振動)が、ターゲットの吸収帯とのスペクトルの重なりをもたらす共鳴周波数を有する寸法を持つことにより、吸収プロセスに合わせて厚さが「調整」される。したがって、アップコンバージョンが980nmのNIR光によって刺激される場合、シェルの厚さは、プラズモン共鳴が同じく980nmの周波数で(またはプラズモン共鳴がこれらの波長で通常は広いとき、その近傍で)共鳴する厚さに「調整」される。
【0391】
プラズモン共鳴シェルは、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、ルテニウム、レニウム、銅、及びコバルト、あるいはそれらの組み合わせまたは合金または層を含むがこれらに限定されない多数の遷移金属で作ることができる。このようなプラズモン共鳴シェルは、金属と非金属の組み合わせで作ることもできる。金ナノシェルで形成されている場合、980nmの光と共鳴するための推奨される厚さは約3.5nmであり、ミー理論の計算の拡張によって予測されるように、80nmのアップコンバートコアを囲むものである。(Jain et al.,Nanolett.2007,7(9),2854を参照されたい。その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。)図27は、Jainらに由来して再現させたものであり、励起及び/または放出放射波長とスペクトルの重なりを有するように金属シェルを「調整」する本発明の能力を示す。
【0392】
本発明の一実施形態では、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンのナノ粒子に関連して配置された金属構造は、例えば、Au:Ag合金などの合金であり得る。合金の含有量は、表面プラズモン共鳴の周波数を調整するように設定できる。本発明の一実施形態では、金属構造は、例えば、Pt:Ag合金などの合金であり得る。合金含有量は、表面プラズモン共鳴の周波数を調整するように設定できる。本発明の一実施形態では、金属構造は、例えば、Pt:Au合金などの合金であり得る。合金の含有量は、表面プラズモン共鳴の周波数を調整するように設定できる。
【0393】
本発明の一実施形態では、コンバータナノ粒子は、2つ以上の材料の合金であり得る。この実施形態では、合金は第1の波長λでの合金の励起が第2の波長λで放射を生成する組成の値に設定されている2つ以上の材料の組成を有することができる。本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、硫化亜鉛及びセレン化亜鉛合金であり得る。本発明の一実施形態では、ナノ粒子は、硫化亜鉛及び硫化カドミウム合金であり得る。
【0394】
本発明の一実施形態では、硫化亜鉛及びセレン化亜鉛ナノ粒子合金は、所定の表面プラズモン共鳴をもたらすように設定された合金含有量を有することができる。本発明の一実施形態では、硫化亜鉛及び硫化カドミウムナノ粒子合金は、所定の表面プラズモン共鳴をもたらすように設定された合金含有量を有することができる。
【0395】
本発明に適しているナノ粒子及びナノ合金を製造するためのいくつかの技術は、その全体が本明細書に組み込まれている以下の文書の全体に記載されている:米国特許第7,645,318号、第7,615,169号、第7,468,146号、第7,501,092号、米国特許出願公開第2009/0315446号、第2008/0277270号、第2008/0277267号、2008/0277268号、及びWO2009/133138。
【0396】
本発明の一実施形態では、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンのナノ粒子に関連して配置された金属シェルの厚さは、アップコンバートされた光の放出プロセスの全体的な効率を高める誘電体コアの特定のドーパントイオンの吸収周波数(または場合によっては放出周波数)に応じて設定される。したがって、シェルの厚さは、一例ではλの吸収を増強するツールとして考えることができ、他の例ではλの放射を増強するツールとして考えることができ、または他の状況では、組み合わせて正味のプロセス全体を増強する増強特徴として考えることができる。
【0397】
さらに、プラズモン-フォノン結合を使用して、帯域を共鳴からある程度オフに調整することにより、共鳴周波数を下げることができる。これは、出力される色を、塗装、着色、または表示される表面に望ましい色にシフトする目的で、共鳴エネルギー移動プロセスを最適化するのに役立つ場合がある。一例では、図27は、シェルの厚さの関数としてのプラズモン共鳴シフトの例を示している。
【0398】
ここで、本発明の一実施形態では、標的波長または色またはエネルギーで誘導放出を生成する能力は、設計された吸収帯を有するナノ粒子を設計できることによって補完される。そのような吸収材料は、例えば、本発明の色増強組成物で処理された塗料、インク、染料、またはそうでなければ反射表面から観察される光の単色性を改善するのにさらに機能する可能性がある。
【0399】
このナノ粒子システムの作成の詳細は、米国出願第12/725,108号に含まれており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。Y単独(下側のトレース)の吸収スペクトルは、極めて特徴が少なく、可視のスペクトルの部分に延びるYナノ粒子による散乱及び吸収に関連した200nm付近のトリアルギニン及び緩斜面に起因する吸収を示す。一方、金で被覆されたY(上側のトレース)は、Yコアの周りの金シェルに起因するプラズモニクス共鳴帯域の特徴である、546nmで強い吸収帯域を示す。プラズモン吸収の546nmへの赤色移動は、誘電体コアの周りに金のシェルが存在することと一致している。
【0400】
本発明の一実施形態では、アップコンバータ誘電体コア用のコンバータ材料は、上記のように、多種多様な誘電体材料を含むことができる。本発明の様々な実施形態において、アップコンバータ誘電体コアは、より具体的には、ランタニドをドープした酸化物材料を含む。ランタニドには、ランタナム(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)が含まれる。他の適切な誘電体コア材料には、イットリウム(Y)やスカンジウム(Sc)などの非ランタニド元素が含まれる。したがって、適切な誘電体コア材料には、Y、YS、NaYF、NaYbF、NaドープされたYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La、TiO、LuPO、YVO、YbF、YF、またはSiOが含まれる。これらの誘電体コアは、Er、Eu、Yb、Tm、Nd、Tb、Ce、Y、U、Pr、La、Gd及び他の希土類種またはそれらの組み合わせでドープすることができる。
【0401】
ランタニドは通常、3価の陽イオンとして存在する。この場合、それらの電子配置は(Xe)4fであり、nは1(Ce3+)から14(Lu3+)まで可変である。F型マニホールド内の遷移は、長い寿命の発光や鋭い吸収線や輝線などの、ランタニドイオンの光物理的特性の多くに関与している。F型の電子は、満たされた5s及び5p軌道によって外部摂動から保護されているため、線状のスペクトルが生じる。F―F型電子遷移はラポルテで禁止されており、マイクロ秒からミリ秒の範囲で励起状態の寿命が長くなる。
【0402】
したがって、本発明におけるドープされた材料の例には、酸化イットリウム及び酸化ネオジム及び酸化アルミニウムなどの酸化物、ならびにフッ化イットリウムナトリウム及びナノ結晶ペロブスカイト及びガーネット、例えばイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)及びイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)が含まれる。これらの材料のうち、アップコンバージョン効率を促進するために、これらの材料のすべてではなく一部にドーピングが必要である。本発明の様々な実施形態において、ホストナノ結晶は、上記に挙げられたランタニド系列元素からの3価の希土類ランタニドイオンでドープされる。
【0403】
より具体的には、本発明の様々な実施形態において、これらのドーパントの対は、ホスト結晶においてよりアクセス可能なより多くのエネルギー状態にするために導入される。これらのエネルギー状態の活性化とポンピングは、上記の原則に厳密に従う。本発明におけるドーピング濃度は、ホスト格子に入るイオンごとに、または重量もしくはモル%の変動で、およそ0.2%から20%の範囲であり得る。これらの材料の特定の帯域のアップコンバージョンプロセスの効率は、ターゲットとされる放出を誘発及び強化するためにドープされたパーセンテージによって変調することが可能である。ランタニドドープのアップコンバータは、限定されないが、以下のモルパーセントのドーパント組成を使用することができる:5%Er、10%Yb、0.2%Tm+3%Yb、及び1%Er+10%Yb。
【0404】
ナノ結晶のサイズは、アップコンバージョンプロセスの効率にも影響を及ぼす。これは、ナノ結晶が大きいほど、ホスト格子に収容されるドーパントイオンのサイトが多くなるため、同じドープされたホストからの放出が、ナノ結晶がより小さい場合よりも多くなるためである。上に列挙されたドーパントのパーセンテージは厳密に固定されていないが、これらの数値は、本発明の特定の誘電体コア材料を得るために使用する典型的な割合の基本的な教えを提供する。
【0405】
また、本発明の一実施形態では、これらのホスト結晶の一部(例えば、ネオジム酸化物)が、アップコンバートを容易にするために特別なドーピングを必要としない場合があり、それは372nm、402nm、及び468nmで放出を生成する587nmの励起波長でのNdである一例において見られた。Que, W et al.のJournal of Applied Physics 2001,vol90,pg.4865を参照されたい、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の一実施形態では、酸化ネオジムにYb3+をドーピングすることは、Nd3+イオンをより低いエネルギーYb3+活性剤で感作することによってアップコンバージョンを増強する。
【0406】
本発明の一実施形態では、誘電体コアは、例えば金属シェルでコーティングされて、電子-フォノン結合を強化し、それにより、上記のように、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョン効率を高める。本発明の別の実施形態では、シェルは、SiO及び/またはTiOコーティングを含むことができ、このコーティングは、一実施形態では、ドープされたYアップコンバートナノ粒子上にコーティングされ、それによって、場合によっては、コーティングされていないナノ結晶と比較してアップコンバージョン効率を高める。本発明の別の実施形態では、シェルは、SiO及び/またはTiOコーティングを含むことができ、このコーティングは、一実施形態では、ドープされたYダウンコンバートナノ粒子にコーティングされ、それにより、場合によっては、コーティングされていないナノ結晶と比較してダウンコンバート効率を高める。さらに、本発明の一実施形態では、コーティングはポリマーであり得る。一実施形態において、このコーティングは、NaYF:Ln/NaYF誘電体コアに設けられている。そのようなコーティングは、コーティングされていないアップコンバータと比較してアップコンバージョン効率を高めることができる。
【0407】
本発明の別の実施形態では、ドープされていないホスト格子(例えば、Y)ナノ結晶のフォノンモードは、例えば、様々な厚さのAu、Ag、Pt、及びPdシェルによって変調される。本発明の種々の実施形態では、アップコンバータ誘電体コア及びシェルのシステムはアップコンバートナノ結晶としてNaYFシェルに関してY:Ln、Au(Ag、Pt)シェルに関してY:Ln、Yシェルに関してNaYF:Ln、Au(Ag、Pt)シェルに関してNaYF:Lnを含む。このシステムでは、金属コーティングのコアの直径とシェルの外側/内側の直径は、プラズモンモードのオーバーラップに調整可能であると予想される寸法に設定できる。
【0408】
以下に論じる他の実施形態では、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョンのナノ粒子に関連して配置された金属コーティングまたは金属構造は、誘電体の内部に存在することができ、誘電体構造に対する金属構造の相対的な位置は、プラズモン共鳴を増強することができる。内部に金属構造を持つこれらの構造は、金属コアアップコンバータまたは金属コアダウンコンバータと呼ばれることがある。エネルギー変換のための金属コア技術は、コア誘電体のシェルコーティングと比較して表面の形態が改善された金属ナノ粒子を利用するため、有用である。内部コア金属エネルギーコンバータの金属または金属合金は、そのプラズモン活性を調整するために選択することができる。外部に金属構造を持つこれらの構造は、コアアップコンバータまたはコアダウンコンバータと呼ばれることがある。
【0409】
本発明の様々な実施形態では、アップコンバータまたはダウンコンバータの誘電体コアは、Yと同様の反応性のコアの周りにSiOのコーティングを設けるために、チオール末端シランでコーティングすることができる。本発明の一実施形態において、上記方法論は、Y:LnをNaYFシェル、Y:Lnを、Au(Ag,Pt)シェル、NaYF:LnをYシェル、NaYF:LnをAu(Ag,Pt)シェルのコアシェル型ナノ粒子を合成するのに使用され、この場合、コアとシェルの直径は2~20nmで異なり得る。これらの材料システムでは、コア対シェルの直径の調整された比率により、プラズモン-フォノン共鳴が可能になり、NIR光の吸収及び/またはアップコンバートされた放出が増幅されるはずである。これらの材料システムでは、コアとシェルの直径の制御が、サイズに依存する効果とそれに続くプラズモン-フォノン共鳴の調整を決定する1つの要因である。
【0410】
本発明の一実施形態では、アップコンバータ誘電体コアは、例えば、大きなアップコンバート効率を有することが示されている様々なLnシリーズ金属でドープされた半導体Y及びNaYFコアを含む混合されるコア-シェル材料であり得る。これらのドープされたY及びNaYFコアは、Au(Ag、Pt、Pd)のシェルまたは非ドープのY及びNaYFマトリックスを有し、これはアップコンバージョンプロセスにおいてエネルギー移動に必要なフォノンモードを増強または調整する可能性を有する。溶解性は、例えば、チオール化有機物(Auシェル)、有機鎖トリエタノールシラン(Yシェル)、及びトリオクチルホスフィン-オレイン酸アミン(NaYFシェル)の添加によって高めることができる。すべてのコアシェルナノ粒子は、トリアルギニンペプチド、ポリエチレングリコール、及びポリエチレンイミン界面活性剤を添加することにより、コロイド懸濁液にさらに可溶化することができる。
【0411】
図28Aは、設計可能な本発明のコンバータ構造の様々な実施形態のいくつか、(a)金属(金)ナノ粒子に結合したアップコンバータ(UC)分子を含む構造、(b)金属ナノ粒子で覆われたUC含有ナノ粒子を含む構造、(c)UC含有ナノキャップで覆われた金属ナノ粒子、(d)金属ナノキャップで覆われたUC含有ナノ粒子、(e)UCナノシェルで覆われた金属ナノ粒子、(f)金属ナノシェルで覆われたUC含有ナノ粒子、(g)保護コーティング層を備えた金属ナノシェルで覆われたUC含有ナノ粒子、を示している。
【0412】
構成(図28AにUC含有材料を用いて示されているが)は、本明細書に記載の量子ドットまたはリン光物質などの材料をダウンコンバートする増強に適用可能である。さらに、本発明の一実施形態では、誘電体スペーサー(例えば、以下で説明するケイ酸塩)を図6A~bの構造と共に使用して、粒子タイプの金属構造の間隔を空けることができる。本発明の別の実施形態では、誘電体スペーサーを図28Aの構造と共に使用して、これらの層が部分的な金属層であるか連続的な金属層であるかに関わらず、金属層の間隔を空けることができる。図28Bの概略図を参照されたい。
【0413】
本発明の様々な実施形態において、本願で論じられる多層金属ナノシェルは、電磁的に2つのスペクトル領域を増強する潜在的な能力を有する。したがって、本発明の金属構造体はλの波長での励起と、波長λでの発光の両方を向上させるためにアップコンバートモードで使用することができる。この特徴はまた、波長λでの発光を主に増強するためにダウンコンバートに使用され、潜在的に波長λでの励起に使用することができる。
【0414】
本発明の様々な実施形態におけるそのような金属構造は、例えば金属、またはドープされたガラスまたはドープされた半導体で作られた導電性材料を含む。これらの導電性材料は、構成要素に関係なく、純粋またはほぼ純粋な元素金属、そのような元素金属の合金、または導電性材料の層の形態であり得る。導電性材料は、(上記のように)組み込みのレベルでは複合材料を絶縁性にしない微量成分として非金属材料を含むことができる。
【0415】
同様に、本発明の様々な実施形態において、アップまたはダウンコンバート材料は、誘電体、ガラス、または半導体のうちの少なくとも1つを含むことができる。アップまたはダウンコンバート材料は、2つ以上の誘電体材料の合金、2つ以上のガラスの合金、または2つ以上の半導体の合金を含むことができる。
【0416】
したがって、図28Aは、誘電体コアがシェルで補足されている本発明の実施形態を表す。シェルは、所定の厚さの金属層を含むことができる。金属層は、ニッケル、金、鉄、銀、パラジウム、白金、銅、及びそれらの組み合わせなどの材料を含むことができる。金属層は、金属と非金属の組み合わせで作ることもできる。シェルプラズモンシェルとして機能し、誘電体コアと外部誘電体として機能する外部環境との間の金属に表面プラズモンが形成される可能性がある。(示しているように)シェルは完全なシェルではない場合がある。部分的な金属シェルまたは様々な厚さの金属シェルもまた、本発明において許容される。
【0417】
以下に説明するように、本発明の別の実施形態における金属シェルは、UV光の散乱中心として機能し、UV光は、塗料またはコーティング層に吸収されたとしても、塗料またはコーティング層材料の局所的な加熱に少なくとも寄与し、塗料またはコーティングされた層から散乱する。
【0418】
図28Cは、設計可能なアップコンバート(UC)材料を有するプラズモニクス活性ナノ構造のさらに別の実施形態を示している:(a)金属ナノ粒子、(b)金属ナノキャップで覆われたUCナノ粒子コア、(c)UC回転楕円体コアを覆う球形金属ナノシェル、(d)UC回転楕円体コアを覆う扁平金属ナノシェル、(e)UCナノシェルで覆われた金属ナノ粒子コア、(f)保護コーティング層を備えた金属ナノシェル、(g)UC回転楕円体コアを覆う多層金属ナノシェル、(h)多ナノ粒子構造、(i)金属ナノキューブ及びナノトライアングル/ナノプリズム、ならびに(j)金属シリンダー。
【0419】
図28Dは、設計することができる連結された光活性(PA)分子を有するアップコンバート材料を有するプラズモニクス活性ナノ構造のさらに他の実施形態を示す。例えば、ソラレン(PA分子として)の場合、PA分子とUC材料または金属表面との間のリンカーの長さは、PA分子が活性になる(DNAへ付着する)のに十分な長さになるように、またPA分子を効率的に励起するためにUCからの光の効率的な励起を可能にするのに十分短くなるように、調整される。図28Dは、(a)UCナノ粒子に結合したPA分子、(b)金属ナノ粒子で覆われたUC材料を含むナノ粒子、(c)UC材料ナノキャップで覆われた金属ナノ粒子、(D)金属ナノキャップで覆われているUC材料を含むナノ粒子、(e)UC材料ナノシェルで覆われている金属ナノ粒子、(f)金属ナノシェルで覆われているUC材料を含むナノ粒子、(g)保護コーティング層を備えた金属ナノシェルで覆われているUC材料を含むナノ粒子を示している。
【0420】
本発明のアップコンバータ及びダウンコンバータ構造では、プラズモン効果が有利である。プラズモン効果は、本発明のアップ及び/またはダウンコンバータ構造から受信した光の局所的な強度または放出された光の局所的な強度を増加させる可能性がある。プラズモン効果は、適切なナノ構造、ナノスケールの寸法、金属の種類が使用されている場合、電磁領域全体で発生する可能性がある。プラズモン効果は、ガンマ線やX線から紫外、可視、赤外線、マイクロ波、無線周波数エネルギーに至るまで、幅広い電磁スペクトルで発生する可能性がある。ただし、実用上の理由から、銀と金のプラズモン共鳴はそれぞれ可視領域とNIR領域で発生するため、例えば銀や金のナノ粒子などの金属構造には可視光とNIR光が使用される。
【0421】
様々な実施形態において、ネオジム及びイッテルビウムをドープした酸化イットリウム、ユーロピウム及びイッテルビウムをドープした酸化イットリウムのナノ粒子、ならびに酸化ネオジムナノ結晶にドープされた希土類三価イオンの任意の組み合わせを使用することができる。ネオジムとイッテルビウムの組成の二重ドープ酸化イットリウム、及び二重ドープユーロピウムとイッテルビウムは、酸化イットリウムホスト格子にとって新しいものだが、そのような二重ドープシステムは、YAGなどの他のホスト格子で機能することが示されている。
【0422】
これらの二重ドープランタニドガラスは、バルク材料で効率的にアップコンバートすることが示されており、それによってナノスケールで新しいアップコンバータ構造を提供することができる。本発明のこれらの酸化イットリウムナノ構造によって提供される利点がある。ナノスケールの酸化イットリウムを作成するための小規模な合成方法論は、YAGよりも酸化イットリウムで制御及び製造する方がより簡単である。酸化イットリウムのホスト構造は、ダウンコンバージョンによってシンチレーションする。例えば、酸化イットリウムにおけるドーパントのこれらの組み合わせは、本発明の色の移動のために、酸化イットリウムナノ結晶に所定の放出色をもたらすことができる。
【0423】
本発明の一実施形態では、二重ドーパントは、ホストガラス中のいずれかのイオンの励起を可能にする。例えば、980nmの光による励起は、イッテルビウムイオンを励起する。イッテルビウムイオンのある励起状態から別のドーパントへのエネルギーの移動により、可視及びNIRスペクトル領域での光のアップコンバージョン放出の機構がもたらされる。
【0424】
上で論じたダウンコンバージョン蛍光材料と化学組成が類似しているアップコンバージョンリン光物質を使用することができる。アップコンバージョンリン光物質は、レーザー色素、例えば、可視光の放出を伴う少なくとも2つの赤外光子の吸収によって励起され得る有機小分子を含むことができる。アップコンバージョンリン光物質は、蛍光ポリマー、例えば、可視光の放出を伴う少なくとも2つの赤外光子の吸収によって励起され得るポリマーのクラスを含むことができる。アップコンバージョンリン光物質は、可視光の放出を伴う少なくとも2つの赤外光子の吸収によって励起され得る従来のアップコンバージョンリン光物質(例えば、金属フッ化物、金属酸化物)を含む、無機またはセラミック粒子またはナノ粒子を含み得る。アップコンバージョンリン光物質は、上記の「ダウンコンバージョン」半導体で詳細に説明されている、量子ドットなどのII-VIまたはIII-V化合物半導体などのナノ粒子を含む半導体粒子を含むことができる。
【0425】
蛍光アップコンバージョン無機リン光物質には、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属カルコゲニド(例えば、硫化物)、またはそれらのハイブリッド、例えば金属オキソハライド、金属オキソカルコゲニドが含まれ得るが、これらに限定されない。蛍光アップコンバージョン無機リン光物質は通常、希土類元素(例えばYb3+、Er3+、Tm3+)がドープされている。いくつかのホストの例には、NaYF、YF、BaYF、LaF、LaMoO、LaNbO、LnOSが含まれるが、これらに限定されない。式中、LnはY、La、Gdなどの希土類元素である。
【0426】
本発明によれば、これらのアップコンバージョン及びダウンコンバージョン材料は、光源に暴露されると、可視スペクトルの内外の波長帯域を横切る光またはエネルギーの吸収に応じて、第1の波長λの可視光を放出するように構成されたカラーエミッタの混合物である。可視光の放射は、第1の波長λの反射によってのみ放出される光の量に対して増強される。
【0427】
カラーエミッタの粒子は、約1000ナノメートル未満の直径を有することができる。光放出粒子(アップまたはダウン)は、粒子に関連して配置された金属構造を含むことができる。金属構造体の物理的特性は、第1の波長λのいずれかとのスペクトルの重なりをもたらす周波数で、金属構造における表面プラズモン共鳴が共鳴する値に、設定されてもよい。金属構造体の物理的特性は、第1の波長λで放出の増強をもたらす周波数で、金属構造における表面プラズモン共鳴が共鳴する値に、設定される。
【0428】
色増強/増大構造の他の適用:以下に詳述するように、上記のカラーエミッタと色増強構造(任意選択で上記のエネルギー増大因子を含む)の混合物をディスプレイで使用することができる。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、色放出ピクセル表示要素であり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、カラーフィルタの構成要素であり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、ディスプレイ用のカラーフィルタの構成要素であり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、色付けられた表面の構成要素であり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、色付けられた反射性表面の構成要素であり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、ディスプレイ用のピクセル内の色付けられた反射性表面の構成要素であり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、白色光放出ピクセル表示要素の構成要素であり得る。カラーエミッタの混合物は、塗料成分であり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、再帰反射塗料のガラスビーズに配置された構成要素であり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、再帰反射塗料中のガラスビーズをベース塗料に固定するバインダー層の成分であり得る。カラーエミッタの混合物は、インクの成分であり得る。
【0429】
上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、アップコンバージョンプロセスから赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタの少なくとも1つであり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、ダウンコンバージョンプロセスから赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタの少なくとも1つであり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、アップコンバータ及びダウンコンバータの混合物から赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタの少なくとも1つであり得る。
【0430】
上記の色増強構造に含まれるカラーエミッタの混合物は、ユーロピウム、テルビウム、セリウム、及びエルビウムまたはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蛍光エミッタであり得る。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、紫外線の吸収に応答して第1の可視色を放出するように構成された第1の材料と、赤外線の吸収に応答して第2の可視色を放出するように構成された第2の材料とを含むことができ、この場合、第2の可視色は、第1の可視色とは異なる。上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、紫外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料を含むことができ、この場合、第3の可視色は、第1の可視色及び第2の可視色とは異なる。第1の可視色、第2の可視色、及び第3の可視色は、原色または原色の混合物であり得る。あるいは、またはさらに、上記のカラーエミッタ及び色増強構造の混合物は、赤外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料を含むことができる。第3の可視色は、第1の可視色及び第2の可視色とは異なる場合がある。
【0431】
上記のカラーエミッタと色増強構造の混合物は、紫外線の吸収に応答して第1の可視色を放出するように構成された第1の材料と、赤外線の吸収に応答して第2の可視色を放出するように構成された第2の材料とを含むことができる。第2の可視色は、第1の可視色と実質的に同じ色であり得る。上記のカラーエミッタ及び色増強構造の混合物は、紫外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料を含むことができる。第3の可視色は、第1の可視色及び第2の可視色とは異なり得る。あるいは、またはさらに、上記のカラーエミッタ及び色増強構造の混合物は、赤外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料を含むことができる。第3の可視色は、第1の可視色及び第2の可視色とは異なり得る。第1の可視色、第2の可視色、及び第3の可視色は、原色または原色の混合物であり得る。
【0432】
上記のカラーエミッタと色増強構造との混合物は、ナノ粒子エミッタに関連して配置された金属構造を含むことができる。金属構造は、球状シェル、偏平シェル、三日月形シェル、または多層シェルのうちの少なくとも1つを含む金属シェルであり得る。金属構造は、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Pd、Co、Ru、Rh、Al、Ga、またはそれらの組み合わせまたは合金または層のうちの少なくとも1つであり得る。ナノ粒子エミッタは、Y、YS、NaYF、NaYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La,TiO、LuPO、YVO、YbF、YF、NaドープのYbF、またはSiOもしくはそれらの合金または層の少なくとも1つであり得る。ナノ粒子エミッタは、Er、Eu、Yb、Tm、Nd、Tb、Ce、Y、U、Pr、La、Gd及び他の希土類種またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むドーパントを含むことができる。ドーパントは、0.01%~50%モル濃度の濃度を有することができる。
【0433】
カラーエミッタは、Y;ZnS;ZnSe;MgS;CaS;Mn、ErZnSe;Mn、ErMgS;Mn、ErCaS;Mn、ErZnS;Mn、YbZnSe;Mn、YbMgS;Mn、YbCaS;Mn、YbZnS:Tb3+、Er3+;ZnS:Tb3+;Y:Tb3+;Y:Tb3+、Er3;ZnS:Mn2+;ZnS:Mn、Er3+、SiO、B、NaO、KO、PbO、MgO、またはAgの組成物を含むアルカリ鉛シリケート、及びそれらの組み合わせまたは合金または層のうちの少なくとも1つを含むダウンコンバータとすることができる。カラーエミッタは、Y、YS、NaYF、NaYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La,TiO、LuPO、YVO、YbF、YF、NaドープのYbF、またはSiOもしくはそれらの合金または層の少なくとも1つを含む誘電体アップコンバータであり得る。誘電体アップコンバータは、2~1000nm、2~100nm、2~50nm、2~20nm、または2~10nmの少なくとも1つの範囲の粒子径を有することができる。誘電体アップコンバータは、Er、Eu、Yb、Tm、Nd、Tb、Ce、Y、U、Pr、La、Gd及び他の希土類種またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つのドーパントを含むことができる。ドーパントは、0.01%~50%モル濃度の濃度を有することができる。金属構造は、誘電体アップコンバータに関連して配置することができ、金属構造は、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Pd、Co、Ru、Rh、Al、Ga、またはそれらの合金または層のうちの少なくとも1つを含む。誘電体アップコンバータは、NIR光と相互作用すると可視の放出を示すように構成できる。
【0434】
色増強用の顔料及び染料として使用される粒子にアンテナを適用する方法:様々な実施形態において、本発明は、様々な塗料顔料及び染料の色の増強をもたらす。これらの「マイクロ色増強増大デバイス」の製造について、以下で説明する。
【0435】
一実施形態では、ガラス基板がその場合におけるキャリアとして使用される。ガラス基板は、ソーダ石灰ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、及びナトリウムアルミノケイ酸塩を含む様々な組成物で作ることができる。
【0436】
この実施形態のガラス基板は、溶融形態のカリウム塩KNb3に曝されて、ガラス中のナトリウムを、溶融槽の中のカリウムと交換する。このイオン交換の間、カリウムイオンがナトリウムイオンよりも大きいため、最外層は圧縮状態になる。圧縮層は、その浸透の深さとカリウムの濃度によって特徴付けられる。ガンマ比Γが1を超えるアルミノケイ酸ナトリウムの場合、カリウムの侵入深さが浅く、濃度が高いガラスビヒクルを提供する。この場合のガンマ比Γは、ガラスの化学的性質でのNaOに対するAlのモル数の比を指す。このように、高圧縮下のカリウムに富む薄層は、張力下のナトリウムに富むガラス層の上に形成される。図37は、本発明の一実施形態による圧縮層基板構成の概略図である。
【0437】
次に、ガラス基板は、(必要に応じて)溶媒に溶解または混合された塗料顔料または染料を含むスラリーを使用してコーティングされる。スラリーは、スピンコーティング、ドローバー、メイヤーバー、スクリーン印刷、または溶剤を処理するために装備されたインクジェットプリンターを使用した単純な印刷を含むがこれらに限定されない様々な技術を使用して、適用することができる。基板を低温で乾燥させて溶媒を除去する。「塗装された」層は、この段階でアンテナを受信する準備ができている。
【0438】
図38は、図37の圧縮層基板構成に形成されたコーティング層の概略図である。この段階で、ガラス基板は、コーティングとして塗布された塗料用顔料または染料コーティングまたはリン光剤層を有し得る。本発明は、コーティング層のために、本明細書に記載のコンバータのいずれかを有することができる。この例では、圧縮層の厚さは約5ミクロンの厚さであり得る。顔料または染料またはリン光物質または他のコンバータを含むコーティングは、3ミクロンの厚さの範囲であり得る。
【0439】
アンテナ(またはレゾネータ)構造は、別の基板(好ましくは薄いガラスの化学的性質でコーティングされたシリコンウェーハ)に作成される。アンテナが作られるウェーハは、化学、エッチング、メタライゼーションなどの光定義可能なリソグラフィタイプのステップの様々なステップを経て、対象のアンテナ構造をレイアウトする。アンテナの準備ができたら、レーザーはシリコンウェーハに付着しているガラス層をドリルで貫通できる。レーザー穿孔は、各アンテナ構造を特定するために列と行で実行できる。
【0440】
もはや、アンテナ構造は、図39に示すプロセスで描写されているように、例えばマイクロ転写印刷技術を使用して転写する準備が整っている。ソースウェーハには、対象のアンテナパターンがある。パターニングされたスタンプは、多数のアンテナをピックアップし、それらをターゲット基板(この場合は塗料用顔料でコーティングされた、被コーティングガラス基板)に転写する。
【0441】
このプロセスは、小さなナノ及びマイクロサイズの特徴をソースからターゲット基板に転写するために使用できるプロセスとして知られている。ソース基板は、集積回路、LED、この場合はアンテナなど、様々なデバイスが細かく製造されたウェーハとすることができる。ターゲットウェーハは、プラスチック、ガラス、セラミック、紙など、様々な種類の他の基板にすることができる。図40は、このプロセスの全体像である。
【0442】
本発明の一実施形態では、アンテナ構造は、リソグラフィで定められたアンテナを含むSiウェーハから、顔料または染料またはリン光物質または他のコンバータでプレコートされたガラス基板に転写される。図41は、プレコートされた圧縮応力ガラス基板のマイクロ転写アンテナの概略図である。
【0443】
アンテナがガラス基板に配置されると、任意選択のコーティングがガラス層に適用される。好ましくは、この任意選択のコーティングは、以前に塗布された塗料用顔料、染料、またはリン光物質コーティングのコーティングと同様である。ガラス基板は、概略図に示されているように、本発明のアンテナ(レゾネータ)が顔料または有機染料に埋め込まれた多層構造を有する。図42は、本発明のアンテナ(レゾネータ)が埋め込まれている状態の、本発明の多層構造を示す概略図である。
【0444】
塗料用顔料に埋め込まれたアンテナの放出を促進するために、ダイヤモンドスクライブを使用して、圧縮層を貫通し、引張領域まで橋渡しする。これが達成されると、ガラスの小さな断片への瞬間的な断片化が発生する。ガラスのドームから放たれると、ガラスは数百万個の飛来物に砕ける。
【0445】
図43は本発明の個別のマイクロ色エネルギー増大因子の形成を示す概略図である。ガラスが粉々になると、得られた破片にはガラス部分があり、その上にアンテナが埋め込まれたコーティングが施されている。
【0446】
ステンレス鋼、アルミニウム、及び銅は、コーティング、塗装、染色、または密封された保護層を必ずしも必要としない材料のいくつかの例である。コーティングされた表面は、ほとんどの場合、対象物の魅力を向上させるために選択された特定の色である。
【0447】
http://www.howeverythingworks.org/supplements/paint.pdfで説明されているように、塗料の顔料粒子は、塗料の不透明度または色の原因となる。純白な塗料には、光を吸収せず、ランダムな方向に光を散乱させる顔料が含まれている。白色顔料粒子は透明で、比較的高い屈折率を持っている。顔料粒子はポリマー層に埋め込まれている。光が塗料を通ろうとすると、光の一部がポリマーと顔料の間のすべての境界で反射され、光のほとんどが層の裏側に到達しない。塗料の顔料粒子は通常粗くランダムに配向しているため、顔料粒子はあらゆる方向に光を散乱させ、塗料を白く見せる。この高い反射率は、塗料にその隠蔽力、つまり光が塗料の下の材料に到達してから塗料の表面に戻るのを防ぐ能力を与える。
【0448】
非常に高い屈折率の顔料を使用した塗料は、それらが覆う表面を隠すのに最適である。顔料の光の吸収により、塗料が得られる。例えば、青い光を吸収する顔料は、塗料に黄色の色合いを与える。反射光は、スペクトルの非吸収色の色特性を有する。言い換えれば、着色された顔料は、塗料に当たる光のスペクトルの一部を選択的に吸収することにより、塗料に色を与える。
【0449】
米国特許第4,283,320号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、少量の不透明化顔料と組み合わせた小粒子フィルム形成ラテックス結合剤を有する不透明化ラテックス塗料を記載しており、かなりの量の非フィルム形成ポリマー粒子(プラスチック顔料)は、望ましいフィルムの完全性特性と共に、優れた硬質エナメル表面を有する半光沢ラテックス塗料組成物を提供する。米国特許第4,283,320号のプラスチック顔料粒子は約0.1~0.5ミクロンであり、カルボン酸基を含む0.2~2%の共重合モノマーを含む。米国特許第4,283,320号の半光沢プラスチック顔料ラテックス塗料は、約30%から45%の間の顔料体積含有量(PVC)で配合されており、従来の高品質のエナメルラテックス塗料よりもかなり高い。米国特許第4,283,320号のラテックス塗料に、または米国特許第4,283,320号の塗装面に、本発明の一実施形態で、本明細書に記載の色増強混合物が適用される。
【0450】
米国特許第5,134,186号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、フィルム形成剤及びポリマー組成物を有する塗料を記載している。ポリマー組成物は、約30から約50重量パーセントの実質的に非自己重合可能なモノマーと、約50から約70重量パーセントの水溶性ホモポリマーを有する共重合可能なモノマーとを含む。米国特許第5,134,186号のラテックス塗料に、または米国特許第5,134,186号の塗装面に、本発明の一実施形態で、本明細書に記載の色増強混合物が適用される。
【0451】
米国特許第4,789,694号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、硬化熱硬化性塗料フィルムを提供するグリコールウリルと室温で共反応するように適合された、カチオンを含まない機能性エマルジョンポリマー混合物を有する塗料コーティング組成物を記載している。硬化は、水性重合媒体中で、機能性モノマーを含むがアミンモノマーを除く、エチレン性不飽和モノマーを共重合し、続いて、得られた反応性エマルジョンポリマーのイオン交換を行う。グリコールウリルは、イオン交換ステップを介して個別に、または反応性エマルジョンポリマーと組み合わせて、処理することができる。米国特許第4,789,694号のラテックス塗料に、または米国特許第4,789,694号の塗装面に、本発明の一実施形態で、本明細書に記載の色増強混合物が適用される。
【0452】
米国特許第4,613,633号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、紙のコーティングに特に適した不均一なポリマー粒子を有するコポリマーラテックス、及びブリスター包装及び印刷への改善された適応性を有するコート紙を与えるこのラテックスを含む紙コーティング組成物を記載している。米国特許第4,613,633号のラテックス塗料に、または米国特許第4,613,633号の塗装面に、本発明の一実施形態で、本明細書に記載の色増強混合物が適用される。
【0453】
米国特許第7,682,435号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、少なくとも顔料、ポリマー化合物、及び有機溶媒を含む油性顔料インク組成物であって、有機溶媒として、インク組成全体に基づいて20~90重量%の量の酢酸メトキシブチルを含み、また、特に、他の有機溶媒として、インク組成物全体に基づいて1~50重量%の量の窒素含有及び/または酸素含有複素環式化合物、及び/または、インク組成物全体に基づいて1~50重量%の量の(ポリ)アルキレングリコール誘導体を含む、上記の油性顔料インク組成物、及び引火点が61℃以上、粘度が25℃で2.0~6.5cp、表面張力が25℃で20~40mN/mである、上記の油性顔料インク組成物を記載している。本発明の一実施形態では、米国特許第7,682,435号の油性着色インクに、または米国特許第7,682,435号の塗装面に、本明細書に記載の色増強混合物が適用される。
【0454】
米国特許出願公開第20090088500号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、着色剤、有機溶媒及びポリマー化合物、ならびに任意選択でpH調整剤としてアルキルアミンエチレンオキシド誘導体を有する油性インク組成物を記載しており、それにおいてインク組成物中のイオンが水に移動するとき、水相のpHは5.5から10である。この油性インク組成物は、ノズルプレートの腐食を防ぎ、保管安定性が向上しているため、長期間保管した後でもインクジェットの安定性などのプリンタの信頼性を獲得できることを確実にでき、屋外の使用環境に耐えることができる。本発明の一実施形態では、米国特許出願公開第20090088500号の油性インク組成物に、本明細書に記載の色増強混合物が適用される。
【0455】
一般に、本明細書で上に記載された色増強混合物と色増強/増大構造は、見る者によって知覚される色を増強するために他の塗料またはインクに適用可能である。
【0456】
人間の目は、正確な波長の光を測定する機器ではない。代わりに、人間の目は3つの異なる波長範囲を見る。人間の目の網膜内に、特定の波長の光のみを検出する特殊な細胞がある。これらの細胞の中には、赤みがかった光を検出するもの、緑がかった光を検出するもの、青みがかった光を検出するものがある。これらの3種類の色に敏感な細胞は、錐体細胞と呼ばれる。錐体細胞は、中心窩、つまり網膜の中心近くの高い視力の領域に最も豊富にある。網膜細胞は錐体細胞よりも光に敏感であるが、色を区別することはできない。桿体細胞は明暗を感知する。これらの3種類のカラーセンサーは、人が3色見えるようにしているだけだと思われることもある。しかし、カラーセンサーの2つ以上を同時に刺激すると、様々な色が知覚される。各センサーは、見ている光の量について脳に通知し、脳は反応を混合して特定の色として解釈する。
【0457】
一般に、特定の波長の可視光は、3種類すべての錐体細胞をある程度刺激する。ただし、細胞は光の各波長に等しく応答するわけではない。680nm(680ナノメートル)の光に曝されると、赤みがかった光に特化した錐体細胞は、緑がかった光や青みがかった光に特化した錐体細胞よりも、はるかに強く反応する。この赤センサーによる強い応答のため、光は赤く見える。580nmの黄色の光は、赤と緑の光の中間にある。赤に敏感な錐体細胞と緑に敏感な錐体細胞はどちらも、黄色の光に曝されると適度に反応する。脳はこのバランスの取れた反応を黄色い光として解釈する。
【0458】
しかし、純粋な赤と緑の光の等しい混合物に網膜を曝すことによって、同じ反応を網膜から呼び出すことができる。繰り返すが、赤に敏感な錐体細胞と緑に敏感な錐体細胞はどちらも適度に反応し、網膜に到達する580nmの純粋な黄色の光がない場合でも、脳には黄色の光として見える。同様に、純粋な赤、緑、青の光を組み合わせると、事実上すべての色を見ることができる。唯一の問題は、純粋な赤、緑、青の波長を選択することである。これはテレビで使われている技術である。それは、リン光物質のドットを備えた比較的純粋な赤、緑、及び青の光を作成し、目に見えるスペクトル全体で任意の色を見るように目を「だます」のである。
【0459】
したがって、赤い塗料では、この塗料は人の目の緑または青のセンサーを刺激する光を吸収する。残っているのは、赤センサーを刺激する反射光だけであり、したがって目は塗料を赤として知覚する。ほとんどの塗料用顔料は、特定の波長範囲の光を吸収する特定の分子に基づいている。銅、クロム、鉄、アンチモン、ニッケル、鉛などの、多くの金属化合物は、特定の波長の光を吸収し、明るい色で表れる。白色光から始めて、光の3原色の様々な量を取り除くと、任意の色の塗料を作成できる。すべての光を取り除くと、塗料は黒く見える。黄色の顔料は一部の青色光を吸収し、シアンの顔料は一部の赤色光を吸収する。残っているのはほとんど緑色の光である。塗料に各主要顔料を添加するほど、より完全近くに塗料は、光の色を吸収し、塗料がより深い色となる。
【0460】
インクは、固体の顔料粒子ではなく溶解した染料を含むことを除いて、塗料に似ている。インクにはいかなる反射性の白い顔料も含まれていない。インク自体は透明になるが、色が付いている傾向がある。インクは、下にある紙に応じて光を反射する。紙は、透明な天然高分子であるセルロースで、主に構成されている。このセルロースは紙において細かく分割されているため、各面で光を反射し、紙は白く見える。多くの場合、紙をさらに白くするために、製造中に白い塗料用顔料が紙に塗布される。
【0461】
本発明の一態様では、通常は塗料の加熱のみをもたらす塗料における光の吸収の通例のダイナミクスは、意図した塗装の色である光の色を放出する吸収された光(通常は吸収から失われる)のダイナミクスに変更される。したがって、塗料またはインクまたはコーティングの輝度は、特に上記の色増強構造を含む塗料またはインクで、通常は吸収によって失われるものよりも増強される。さらに、通常は目に反射する知覚される光に何も寄与しない、紫外線または赤外線の可視外の光の帯域からの「色の移動」は、色を増強する追加のソースを提供する。
【0462】
従来、蛍光インクの製造において、可視光領域で吸収を示し、通常の印刷インクで使用されている有機または無機の色顔料の代わりに、蛍光顔料が使用されていた。画像印刷物に形成された蛍光画像を識別するためには、画像印刷物に紫外線を励起光として照射する必要がある。画像印刷物に紫外線を照射すると、紫外線が蛍光画像の蛍光物質に吸収され、それによって可視領域に蛍光を発する。この蛍光は、目視観察またはカメラを使用して認識され、本発明によって利用され、さらに拡張された概念の限定された実証を表す。ここで、本発明の一態様では、特定の励起及び放出に調整されるダウンコンバート粒子の混合物が、固定された蛍光体粒子の代わりに用いられており、また前述の色増強構造で使用されている。ここで、本発明の一態様では、特定の励起及び放出に調整されるダウンコンバート粒子の混合物は、ダウンコンバート粒子の混合物の代わり、またはそれを補完して用いられており、また前述の色増強構造で使用されている。
【0463】
米国特許第6,744,960号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、また本発明に適用可能であるものとして、ポンプ放射は、自然光、すなわち太陽光、またはUVまたは青色発光ダイオード(LED)または蛍光灯などからの人工光を含み得る。蛍光構造に入射する光は、量子ドットの吸収スペクトル内の波長を有する放射線のみを含む必要がある。量子ドットの吸収スペクトルは、量子ドットからの放出波長よりも短い波長を含むので、ポンプ放射は、放出された波長よりも短い波長を含む。例えば、太陽光は、波長625nmの光波長で放出する、直径5.0nmのCdSe粒子を含む量子ドットの層を有する蛍光構造10をポンピングするために使用することができる。なぜなら、太陽は、625nmより少なくとも50nm短い波長を有する光を含む広いスペクトルにわたって光を放射するからである。あるいは、そのような蛍光構造は、例えば550nmの光をもたらす1つまたは複数の発光ダイオード(LED)でポンピングすることができる。白熱灯やUV LEDなどの紫外線光源も、量子ドットの層を励起することができる。
【0464】
米国特許第6,744,960号に記載されている、本発明に適用可能な蛍光は、明るく狭帯域の照明を必要とする様々な用途に使用することができる。例えば、色付き照明の光源は、看板の作成、芸術的または建築的なデザインの作成、家具、自動車、電化製品、電子機器、衣服またはその他の物体を含むがそれらに限定されない、明るい色が美的または機能的な目的に役立つ、製品の輪郭、帯域、境界線などの明るい色の領域の作成に役立つ。これらの蛍光構造は、日光に曝されたときに、日中に強い色の光の照明を生成することが、有利にも可能である。量子ドットは、太陽により生成されるような紫外線に曝されても劣化しないため、構造は寿命が長く、日中の建物の屋上を際立たせる境界線などの建築物の特徴に組み込むことができる。
【0465】
それでも、米国特許第6,744,960号のものとは異なり、本発明では、天然または人工の光源からのIR光によって刺激されたアップコンバート粒子が蛍光を補完し、遥かに明るい構造をもたらす。さらに、上記のダウンコンバータと色増強/増大構造の混合物により、自然または人工の放射線源からの「帯域外」色領域のより広いスペクトルを利用し、例えば特定の色を放出または原色を放出する混合物に、調整することができる。
【0466】
本発明のさらに別の実施形態では、エネルギー源に曝露されると、第1の波長の帯域でのエネルギーの吸収に応答してターゲット色で可視光を放出するように構成された第1のカラーエミッタ、及びエネルギー源に曝露されると、第1の波長の帯域でのエネルギーの吸収に応答してターゲット色からオフセットされた可視光を放出するように構成された第2のカラーエミッタを含む光放出組成物が提供され、ターゲット色で観察可能な光の強度が、第1及び第2のカラーエミッタからの放出なしに、特に上記の色増強/増大構造が組成物に含まれているときに、反射される白色光に対して増大される。さらに、ターゲット色に関する放出をオフセットすることにより、結果として得られる色は、人間の目にはより豊かな色に見える。オフセットは、5、10、15、20、25、及び30nm以上のオフセットにすることができる。オフセットは、ターゲット色からの正または負のオフセットにすることができる。より具体的には、色の純度または色度は、上で定められたオフセットによって変更することができる。
【0467】
別の実施形態では、オフセットの値は、異なる照明条件下でターゲット色が異なって見える飽和の質を生み出し得る。例えば、異なるカラーエミッタの混合によって特定のターゲット色にペイントされた部屋は、夜間(人工的な照明の条件下)では、昼の光とは異なって表れる。オフセットは、50、100、150、200、250、及び300nm以上のオフセットにすることができる。オフセットは、ターゲット色からの正または負のオフセットにすることができる。
【0468】
さらに、ターゲット色は、白い顔料を追加してより明るいバージョンを作成したり、黒い顔料を追加してより暗いバージョンを作成したりすることで、元の色とは異ならせることができる。
【0469】
以下に含まれる表2には、主要な可視の色の帯域に対する認識された波長間隔が含まれている。
【表2】
【0470】
色の移動する粒子混合物の特定の用途の1つの領域は、再帰反射塗料で使用するためのガラスビーズ上のコーティングとしてそれらを使用することである。図7は、再帰反射塗料の幾何学形状の概略図を示している。ガラスビーズは、完全ではないにしても、ほぼ入射光線と整列している、反射経路に沿って、観察者に戻る入射光を向ける光学要素として機能する。拡散している散乱の代わりに、光は後方に向けられ、「通常」よりも明るく見える。本発明において、色移動粒子混合物及び上記の色増強/増大構造は、塗料用バインダーに適用されるか、図44に示すように、ガラスビーズ上の色コンバータ層として適用され、光(塗装面の色ではない)が、塗装面(または、塗装面の色をシミュレートする原色の放出の組み合わせ)の色に変換され、追加の光の増強を実現できる。
【0471】
従来の再帰反射道路塗装の用途には、IGB-IとIGB-IIの2つのクラスの再帰反射ビーズがある。IGB-Iは、道路を剥がす前に塗料と混合するために使用される。塗料層が摩耗すると、ビーズが露出し、道路標示の視認性が向上し、IGB-IIを使用して、道路の剥がしたばかりの塗装面に落とすと、夜間のドライバーの視認性が即座に向上する。表3(http://www.indoglassbeads.com/road-marking-glass-beading.htmから転載)は、これらの材料の認識された仕様を提示している。
【表3】
【0472】
米国特許第5,650,213号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、非揮発性マトリックス材料、揮発性成分、及び複数の再帰反射ミクロスフェアビーズを有する再帰反射組成物を記載しており、再帰反射ミクロスフェアビーズの体積に対するマトリックス材料の体積の比率は、75%から185%の範囲にある。米国特許第5,650,213号の再帰反射ミクロスフェアビーズは、直径が20から200ミクロンであり、ガラスで構成され、屈折率が1.7から2.5の範囲であった。本発明の一実施形態では、これら及び他の再帰反射組成物は、その上または塗料組成物自体にコーティングされた、本発明の色増強混合物(任意選択で、上記の色増強/増大構造)を含む。
【0473】
したがって、本発明では、例えば青色塗料のガラスビーズは、色コンバータ層にダウンコンバータ及びアップコンバータを有し、ガラスビーズ上の上記の色増強/増大構造を含み、白色光(例えば、車のヘッドライトから)が、そのUV及びIR光をいっそう青色光に変換し、それによって青色の塗装面から反射される青色光をより多く生成するようにする。あるいは、緑色の塗装面の場合、白色光はそのUV及びIR光をより緑色に変換し、それによって塗装面のガラスビーズから反射されるより多くの緑色光を生成する。
【0474】
本発明の一実施形態では、再帰反射は、光線を光源の方向に送り返すために、3D反射面の周りで光線を跳ね返す。本発明のマイクロ色増強剤(レゾネータ/アンテナ構造)がガラスビーズに添加されて、一実施形態では、高速道路パネルをコーティングするためなどの塗料添加剤を形成する。図45は、コーティングにおける本発明の増幅/レゾネータアンテナの効果を示す概略図である。
【0475】
交通標識やその他のコーティング用途での使用に加えて、これらの再帰反射/レゾネータ構造は、光を使用して対象物をスキャンし、反射光を「読み取る」多くの用途や、バーコードの用途に適用できる。
【0476】
図46は、色の移動層がトップコートとして配置されている塗装面の概略図を示している。前述と同じように、上記の色増強/増大構造の青い塗料は、トップコートに適用された色コンバータ層のダウンコンバータ及び/またはアップコンバータを有し、白色光(例えば、車のヘッドライトからの光)がいっそう青色光に変換されるUV及びIR光を有し、それによって、青の塗装面から反射されるより多くの青色光を生成する。あるいは、緑色の塗装面の場合、白色光はそのUV及びIR光をより緑色光に変換し、それによって塗装面のガラスビーズから反射されるより多くの緑色光を生成する。
【0477】
別の実施形態では、スペクトルの可視部分の色も色がシフトされている。上記の色増強/増大構造の青い塗料は、トップコートに適用された色コンバータ層のダウンコンバータ及び/またはアップコンバータを有し、白色光(例えば、車のヘッドライトからの光)がいっそう青色光に変換される深い青及び赤-緑の光を有し、それによって、青の塗装面から反射されるより多くの青色光を生成する。あるいは、緑色の塗装面の場合、白色光はその青及び赤色光をより緑色光に変換し、それによって塗装面のガラスビーズから反射されるより多くの緑色光を生成する。
【0478】
別の言い方をすれば、上記の色増強/増大構造に沿って色コンバータ層にある本発明の色移動粒子で、赤い塗料またはインクは、赤よりも高いエネルギーの光のスペクトル(例えば、青色光)をダウンコンバートする、及び/または赤よりも低いエネルギーの光のスペクトル(例えば、近赤外及び赤外光)をアップコンバートする色移動粒子を有する。同様に、緑色の塗料またはインクは、緑色よりも高いエネルギーの光のスペクトル(例えば、青色光)をダウンコンバートし、及び/または緑よりも低いエネルギーの光のスペクトル(例えば、赤、近赤外、及び赤外光)をアップコンバートする色移動粒子を有する。同様に、青色の塗料またはインクは、青色よりも高いエネルギーの光のスペクトル(例えば、UV光)をダウンコンバートし、及び/または青よりも低いエネルギーの光のスペクトル(例えば、緑、赤、近赤外、及び赤外光)をアップコンバートする色移動粒子を有する。
【0479】
化粧品:化粧品は、人の外見や匂いを改善するために使用される物質である。化粧品には、スキンケアクリーム、ローション、パウダー、香水、口紅、指の爪とつま先のマニキュア、目と顔のメイク、パーマ、カラーのコンタクトレンズ、ヘアカラー、ヘアスプレーとジェル、デオドラント、ベビー用品、バスオイル、バブルバス、バスソルト、バター、その他多くの種類の製品が含まれるが、これらに限定されない。化粧品のサブセットは「メイクアップ」と呼ばれ、主に使用者の外観を変えることを目的とした着色製品を指す。多くのメーカーは、美化用化粧品とケア用化粧品を区別している。
【0480】
本発明の一態様では、上記の色増強/増大構造との上記の色混合物は、使用者の外見を変更することを目的としたこれらの化粧品に含まれている。本発明の一態様では、上記の色混合物は、有害なUV老化作用から身体を保護するために使用される化粧品に含まれる。
【0481】
したがって、上記の色増強/増大構造との上記色混合物が含めるのに適切な製品は、口紅、リップグロス、リップライナー、リッププランパー、リップクリーム、リップコンディショナー、リッププライマー、及びリップブースターを含むがこれらに限定されない。これらの製品にはさらに、顔やカバースポット、または不均一な肌の色を滑らかにするために使用されるファンデーション、通常は液体、クリーム、または粉末が含まれている。これらの製品には、つや消し仕上げを施したり、小さな傷やしみを隠したりするために使用されるパウダーがさらに含まれ得る。これらの製品には、ルージュ、頬紅またはブラッシャー、頬の色を引き出し、頬骨をより鮮明に見せるために使用されるチークカラーがさらに含まれ得る。これらの製品には、金色または青銅色の輝きを加えることによって肌に少し色を与えるために使用されるブロンザーをさらに含めることができる。これらの製品には、まつげを暗くしたり、長くしたり、厚くしたりするために使用されるマスカラがさらに含まれ得る(茶色や黒などの自然な色で利用できるが、青、ピンク、紫などのより大胆な色もある)。これらの製品には、アイライナー、アイシャドウ、アイシマー、ペンシルアイグリッター、ならびにまぶたの色付けと強調に使用される様々な色のペンシル、眉ペンシル、クリーム、ワックス、ジェル、眉に色を付けてくっきりさせるのに使用されるパウダーが含まれる。これらの製品には、指の爪や足の爪を着色するために使用されるマニキュアをさらに含み得る。これらの製品には、肌のいずれかの問題をカバーするために使用されるコンシーラーやメイクアップがさらに含まれ得る。
【0482】
化粧品の一般的なカテゴリーには、スキンケア製品も含まれる。これらには、顔や体に潤いを与えるクリームやローション、紫外線によるダメージから肌を保護する日焼け止め、肌の問題(にきび、しわ、目の下のくまなど)を修復または隠すためのトリートメント製品が含まれる。化粧品は液体またはクリームのエマルジョン、プレスされたものとルースの両方のパウダー、ディスパージョン、及び無水クリームまたはスティックにすることができる。
【0483】
この応用分野では、上記の色増強/増大構造との本発明の色混合物は、両方とも(上で詳述したように)色の移動機能を提供できるが、UV光照射に曝された皮膚または髪へのUV光損傷を緩和することもできる。このように化粧品は、追加的または任意選択で、UV光に曝露されると、UV光の第1の部分を可視光に変換し、可視光の一部を混合物から放出し、混合物からUV光の第2の部分を反射して、UV光の第2の部分が肌または毛髪に吸収されないように構成された、光散乱及び光放出粒子の混合物を有する保護コーティングを提供することができる。
【0484】
例えば、以下に説明する詳細に限定されないが、保護コーティングに入射する太陽からのUV光は、空気と保護コーティングとの間の屈折率の変化のために、UV光の50%以上を反射する可能性がある。保護コーティングの内層に入るUV光のその部分は可視光に変換される。UV光の他の部分は保護コーティングから散乱され、下にある表面には入射しない。
【0485】
とにかく、本発明の色移動混合物は、それが接触するすべての皮膚、唇、または毛髪の材料と適合性のある化粧品用に許容される媒体を含むことができる。上記の色増強/増大構造とのこれらの組成物がエマルジョンの形態で適用されるべきであるとき、組成物は、任意選択で追加的に、組成物の重量全体に基づいて、界面活性剤を、好ましくは0から30重量%の量、好ましくは0.01から30重量%の量で含むことができる。エマルジョンは、単一のエマルジョンまたは複数のエマルジョンであり得る。本発明の色移動混合物は、これらの相のいずれか1つまたは複数に存在し得る。
【0486】
想定される用途に応じて、上記の色増強/増大構造との組成物はまた、特にマスカラ、アイライナーまたはラッカータイプのヘア用組成物のために、少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを、さらに含み得る。ポリマーは、化粧品用に許容される媒体に溶解または分散され得、おそらく少なくとも1つの合体剤及び/または少なくとも1つの可塑剤と結合し得る。本発明による上記の色増強/増大構造との組成物はまた、特に少なくとも1つの液体脂肪、及び/または周囲温度及び大気圧で固体である少なくとも1つの脂肪を含む脂肪相を含み得る。よく油と呼ばれる液状脂肪は、脂肪相の総重量に基づいて0から90%、好ましくは0.01から85重量%を構成し得る。固形脂肪またはペースト状脂肪は、特にワックス、ガム、及びそれらの混合物から選択することができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、固形脂肪またはペースト状脂肪の0から50%、好ましくは0.01から40%、特に0.1から30重量%を含み得る。
【0487】
本発明による上記の色増強/増大構造との組成物は、組成物の総重量に基づいて、他の粒子の0から30%、好ましくは0.01から35重量%をさらに含むことができる。これらの粒子は、特に、本発明の色混合物以外の顔料、パール顔料または充填剤であり得る。これらの他の粒子の存在は、特に組成物を不透明にすることを可能にする。
【0488】
また、本発明による上記の色増強/増大構造との組成物は、防腐剤、抗酸化剤、増粘剤、香料、保湿剤、サンフィルタ、エッセンシャルオイル、植物抽出物及びビタミンなどの、そのような組成物に従来存在する成分を含み得る。
【0489】
本発明の一実施形態では、本発明の色移動混合物は、シャンプー、コンディショナー、ジェル、スタイリングコンパウンド、スプレー、及び他の美容製品に使用することができる。本発明の一実施形態では、上記の色増強/増大構造との本発明の色移動混合物がこれらのヘア及び美容製品に追加され、例えば髪のツヤを増す。髪のツヤは、髪の表面の仕上がりと上面での光の散乱という特性である。標準的なヘアトリートメントは、老化、過度の洗浄などにより毛髪において引き裂かれた表面を「修復」する、すなわち埋める。本発明のこの実施形態ではヘアトリートメントにおける色コンバータはまた、破壊された表面内に充填する。その効果は、表面を充填し平滑化することによって、より多くの可視光を反射し、拡散的散乱も少ない髪の表面をもたらすことである。
【0490】
上記の色増強/増大構造との本発明の色移動混合物は、(本明細書に記載のアップコンバータ及びダウンコンバータに加えて)米国特許出願第2005/0136258号、米国特許出願第2005/0265935号、米国特許出願第2006/0083762号、米国特許出願第2006/0165621号、米国特許出願第2007/0274938号、及び米国特許第7,608,237号に記載されているような他の多くのエマルジョン及びコンディショニング剤を含むことができ、これらの特許文書のそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0491】
ディスプレイ:従来の電子インクディスプレイ、すなわち電気泳動ディスプレイでは、直径約1マイクロメートルの二酸化チタン粒子が炭化水素油に分散されている。粒子に電荷を帯びさせる界面活性剤や帯電剤と共に、濃い色の染料も油に加えられる。この混合物は、2つの平行な導電性プレートの間に配置され、通常、10から100Φmのギャップで分離される。2つのプレートに電圧を印加すると、粒子は電気泳動的にプレートに移動し、粒子の電荷とは反対の電荷を帯びる。粒子がディスプレイの前面(表示)側にあるとき、高屈折率の「白い」二酸化チタン粒子によって光が散乱して見る者に戻るため、粒子は白く見える。粒子がディスプレイの背面側にある場合、入射光が着色染料によって吸収されるため、ディスプレイは暗く見える。後部電極がいくつかの小さな画像要素(ピクセル)に分割されている場合、ディスプレイの各領域に適切な電圧を印加して、反射領域と吸収領域のパターンを作成することにより、画像を形成できる。
【0492】
米国特許出願公開第20040257330号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、本発明のディスプレイに示される基本構成要素に適用可能な従来の電子インクディスプレイの形成の詳細を記載している。米国特許出願公開第20040257330号は、例えば、高絶縁性で無色透明である、ピクセルセルを充填する液体を使用することが可能である旨を記載しており、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、通常のパラフィン、イソパラフィンなどの脂肪族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン、ペンタクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、様々な天然油または合成油などを含む。これらは、単独で、または2つ以上の種の混合物として使用することができる。
【0493】
R(赤)、G(緑)、B(青)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(黄色)などの色を有する油溶性染料で着色することができる分散液を使用することができる。染料の例は、好ましくは、アゾ染料、アントラキノン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ペノリン染料、フタロシアニン染料、金属錯体塩染料、ナフトール染料、ベンゾキノン染料、シアン染料、インジゴ染料、キノイミン染料などを含み得る。これらは組み合わせて使用できる。油溶性染料の例には、バリファーストイエロー(1101、1105、3108、4120)、オイルイエロー(105、107、129、3G、GGS)、バリファストレッド(1306、1355、2303、3304、3306、3320)、オイルピンク312、オイルスカーレット308、オイルバイオレット730、バリファストブルー(1501、1603、1605、1607、2606、2610、3405)が含まれる。オイルブルー(2N、BOS、613)、マクロレックスブルーRR、スミプラストグレンG、オイルグリーン(502、BG)などがある。これらの染料の濃度は、好ましくは0.1~3.5wt%であり得る。
【0494】
ピクセル内の電気泳動粒子の粒子表面には、反応性界面活性剤に由来する少なくとも両親媒性の残留基が固定されている。反応に使用される粒子には、有機または無機粒子、ポリマーでコーティングされた顔料粒子、及び染料でコーティングされたポリマー粒子が含まれ得る。これらの粒子の平均粒子サイズは、10nmから5μm、好ましくは15nmから2μmであり得る。
【0495】
ピクセルセルで使用できる有機顔料の例には、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオアジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、ニトロ顔料、及びニトロソ顔料が含まれる。その特定の例には、キナクリドンレッド、レイクレッド、ブリリアントカーマイン、ペリレンレッド、パーマネントレッド、トルイジンレッド及びマダーレイクなどのロッド色素、ダイヤモンドグリーンレイク、フタロシアニングリーン、及びピグメントグリーンなどの緑色の顔料、ビクトリアブルーレイク、フタロシアニンブルー、及びファストスカイブルーなどの青色顔料、ハンザイエロー、ファストイエロー、ジサゾイエロー、イソインドリノンイエロー、キノフタロンイエローなどの黄色顔料、及びアニリンブロックやダイアモンドブラックなどの黒色顔料が含まれ得る。
【0496】
ピクセルセルで使用できる無機顔料の例には、以下が含まれる。酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉛、及び硫化亜鉛などの白色顔料、カーボンブラック、マンガンフェライトブロック、コバルトフェライトブラック、及びチタンブラックなどの黒色顔料、カドミウムレッド、赤い酸化鉄、及びモリブデンレッドなどの赤色顔料、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、及びビクトリアグリーンなどの緑色顔料、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、及びコバルトブルーなどの青色顔料、ならびにカドミウムイエロー、チタンイエロー、イエロー鉄酸化物、クロムイエロー、及びアンチモンイエローなどの黄色顔料。
【0497】
ポリマーでコーティングされた顔料粒子として、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリメチルアクリレート、及びポリメチルメタクリレートなどのポリマーでコーティングされた上記の顔料の粒子を使用することが可能である。顔料粒子のポリマーによるコーティングは、ポリマー沈殿法または懸濁重合などの公知の方法を使用することによって実施することができる。
【0498】
染料で着色されたポリマー粒子として、染料で着色された予備的に合成された架橋性ポリマー微粒子の粒子、染料を含む重合性モノマーの懸濁重合または乳化重合によって得られた粒子などを使用することができる。
【0499】
少なくとも反応性界面活性剤由来の両親媒性残留基を表面に固定できる電気泳動粒子において、反応性界面活性剤が粒子表面に吸着されて共重合されるとき、反応性界面活性剤と共重合されるコモノマーが吸着層において可溶化され、重合開始剤の使用により重合または共重合される。その結果、反応性界面活性剤由来の両親媒性残留基を粒子表面に固定することができる。
【0500】
米国特許出願公開第20040257330号に記載されている特定の製剤手順は、本発明に適している。したがって、本発明では、白色の電気泳動粒子及び青色の染料で着色された分散媒体をピクセルセルに充填することができる。電気泳動粒子は、カチオン性官能基を有する反応性界面活性剤に由来する両親媒性残留基を固定することによって正に帯電させることができる。電気泳動液に電界Eを印加するとき、正に帯電した電気泳動粒子がセルの上側に移動し、ディスプレイ上部に分布する。その結果、セルを上から観察するとき、白い電気泳動ディスプレイの分布により、セルは白く見える。一方、電界Eを電気泳動液に反対方向に印加すると、白色の電気泳動粒子がセルの底に向かって移動し、その上に分布するため、セルを上から見ると青色に見える。
【0501】
したがって、本発明において、上記の色増強/増大構造と2種類(白と黒)の電気泳動粒子を伴う無色の分散媒体は、ピクセルセルに含めることができる。白色の電気泳動粒子は、カチオン性官能基を有する反応性界面活性剤に由来する両親媒性残留基を固定することにより正に帯電し、黒色の電気泳動粒子は、アニオン性官能基に由来する両親媒性残留基を固定することにより負に帯電する。電気泳動液に電界Eが印加されるとき、正に帯電した白色の電気泳動粒子はセルの上側に移動し、負に帯電した黒色の電気泳動粒子1eはセルの下側(底)に移動する。その結果、セルを上から観察するとき、白い電気泳動ディスプレイの分布により、セルは白く見える。一方、電気泳動液に逆方向に電界Eを印加するとき、黒い電気泳動粒子はセルの上側に移動し、白い電気泳動粒子はセルの底に移動するので、上から見たときにセルは黒く見える。
【0502】
米国特許出願公開第20040257330号は、例えば、4.8g(41mmol)のクロロ硫酸を0℃に冷却された35mlのピリジンに徐々に滴下し、続いて30分間撹拌する界面活性剤の合成例を記載している。反応性混合物に、10-ウンデセンアルコール7.0g(41mmol)を含むピリジン溶液9mlを徐々に滴下した後、0℃で1時間撹拌し、さらに55℃で20時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却した飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、1時間撹拌し、さらに室温で20時間撹拌した。反応の後、反応混合物の溶媒を減圧下で蒸留除去した。残留物にアセトンを加えて結晶を沈殿させた。結晶をメタノールに溶解し、その後、メタノール不溶性成分を除去した後、減圧下で溶媒を除去して結晶を得た。結晶を混合溶媒から再結晶させて(メタノール/アセトン=1/3)以下の式で表されるアニオン性官能基を有する反応性界面活性剤を得た(収率:80%)。
CH2=CH-(CH2)9-OSO3Na
【0503】
得られた反応性界面活性剤の1H-NMR(400MHz、CD3、OD)の結果、1.33(12H)、1.68(2H)、2.02(2H)、4.00(2H)、4.95(2H)、及び5.83(1H)を含む測定値(δ/ppm)が得られ、目的の反応性界面活性剤の合成が確認された(33)。米国特許出願公開第20040257330号は、その後、ピクセル溶液を作製するためのプロセスを記載している。これは、酸化チタン5重量部と上記の合成例で調製した反応性界面活性剤3重量部とを100重量部の水に添加し、続いて超音波を照射し、酸化チタン粒子の表面に反応性界面活性剤の二分子吸着層を形成した。
【0504】
上記の処理された粒子に対して、2重量部のフマル酸ジ-n-ブチル及び過硫酸カリウム0.05重量部を加えた後、窒素雰囲気下、60℃で48時間重合反応させた。反応混合物に含まれる粗い粒子をフィルタで除去した後、中に含まれる目的粒子をフィルタで除去し、反応混合物に含まれる目的粒子を遠心分離により分離した。得られた沈殿物を濾過により繰り返し回収し、洗浄した後、乾燥させて、反応性界面活性剤由来の両親媒性残留基が粒子表面に固定された粒子を得た。
【0505】
得られた粒子を、n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドリド(C16H33(CH3)3NOH)のメタノール溶液を用いて塩交換反応に曝した後、アセトニトリルで過剰イオンを洗浄し、目的の電気泳動粒子を得た。
【0506】
電気泳動液は、0.1重量部の染料(「オイルブルーN」、Aldrich Corp.製)の添加により青色に着色した50重量部のイソパラフィン(「イソパーH」、Exxon Corp.製)の電気泳動粒子5重量部を分散させることにより調製した。調製した電気泳動液を複数のセルに充填して密封した。
【0507】
本発明において、米国特許出願公開第20040257330号の粒子(例えば、酸化チタン)は、色放出粒子の混合物で置き換えられるか、または酸化チタンのより大きな微視的粒子が、上記の色増強/増大構造を含む本発明のカラーエミッタのナノメートルサイズの混合物でコーティングされる。
【0508】
図47は、白色変換層が、例えば、誘電体(例えば、二酸化チタン)粒子に適用される電子インクディスプレイの一例を示している。ここで、ピクセルの電圧状態に応じて、黒または暗い染料の中の「白い粒子」は、白色光が反射される上部電極の近くの表面に引き上げられるか、または黒い染料が、上部電極の表面近くではない、入射光を吸収する上部電極に面して反発される。その場合、コントラストは、青い染料から反射されない光とは対照的に、「白い粒子」から反射される光の量に依存する。ここで、この実施形態では、誘電体粒子は、スペクトルの赤外線部分のアップコンバート、及びスペクトルのUV部分のダウンコンバートにより、より多くの白色光を生成する、上記の色増強/増大構造を伴う本発明の色移動粒子を含む。
【0509】
上部電極の電荷を逆にすると、誘電体粒子が下部電極に引き付けられ、光が反射されることはほとんどない。したがって、各ピクセルの電圧状態によって、そのピクセルが上側の見ている者に白または黒のどちらで表示されるかが決まる。
【0510】
図9に示されるディスプレイのための励起光は、本発明の様々な実施形態による、紫外線光源または黒体または太陽光源(紫外線の波長を有する)であり得る。励起光が紫外線の場合、光放出材料が紫外線に反応して可視光を発すると、ダウンコンバージョンの物理現象が発生する。具体的には、紫外線は可視光線よりも波長が短く、エネルギーが高い。したがって、発光材料が紫外線を吸収し、より低いエネルギーの可視光を放出するとき、紫外線は、可視光に変換されるときに紫外線のエネルギーレベルが低下するため、紫外線は可視光にダウンコンバートされる。実施形態では、光放出材料は、上記の色増強/増大構造を含む蛍光材料である。
【0511】
図47に示されるディスプレイのための励起光は、本発明の様々な実施形態による、赤外線光源または黒体または太陽光源(赤外線の波長を有する)であり得る。励起光が赤外線の場合、光放出材料が赤外線に応答して可視光を放出するとき、アップコンバージョンの物理現象が発生する。具体的には、赤外線は可視光よりも波長が長く、エネルギーが低い。したがって、光放出材料が赤外線を吸収し、より高いエネルギーの可視光を放出するとき、赤外線は、可視光に変換されるときに赤外線のエネルギーレベルが増加するため、可視光にアップコンバートされる。したがって、ダウンコンバージョンの実施形態では、紫外線が青色染料の光放出粒子によって吸収されるとき、可視光が光放出粒子から放出される。同様に、アップコンバージョンの実施形態では、赤外線が光放出粒子によって吸収されるとき、可視光が光放出粒子から放出される。
【0512】
白色光変換層内の粒子のサイズは、可視光の波長よりも小さい場合があり、これにより、粒子による可視光の散乱が低減または排除され得る。可視光の波長よりも小さい粒子の例は、ナノ粒子または分子である。これらの実施形態によれば、光放出粒子のそれぞれは、約500ナノメートル未満の直径を有することができる。これらの実施形態によれば、光放出粒子のそれぞれは、約400ナノメートル未満の直径を有することができる。実施形態によれば、光放出粒子のそれぞれは、約300ナノメートル未満の直径を有することができる。これらの実施形態によれば、光放出粒子のそれぞれは、約200ナノメートル未満の直径を有することができる。これらの実施形態によれば、光放出粒子のそれぞれは、約100ナノメートル未満の直径を有することができる。光放出粒子は、個々の分子であり得る。
【0513】
異なる物理的特性を有する異なるタイプの光放出粒子を一緒に使用することができる。例えば、図48のディスプレイの選択されたピクセルからカラー画像を放出するために、例えば、異なるタイプの染料が、異なる色に関連するピクセルにおいて利用され得る。図48は、それぞれ赤、緑、青の染料を含む3つのピクセルを示している。上部電極が白色増強層の誘電体粒子を上面に引き付けるとき、それらのピクセル内の染料分子が変位し、その特定のピクセルを染料の色に変える。本発明の一実施形態では、染料(以下に記載されるインクと同様)は、上記の色増強/増大構造との色移動混合物のナノ粒子を含む。
【0514】
例えば、第1のタイプの光放出粒子は、赤色に関連付けられ得、第2のタイプの光放出粒子は、緑色に関連付けられ得、第3のタイプの光放出粒子は、青色に関連付けられ得る。例示的な第1のタイプ、第2のタイプ、及び第3のタイプの光放出粒子は原色であるが、他の色の組み合わせ(例えば、色のタイプ及び色の数)を使用して、色の表示を容易にすることができる。
【0515】
図49は、3つのピクセルがそれぞれ、赤、緑、及び青の染料を含み、染料自体が色移動(したがって色増強)混合物を含む別の実施形態を示す。上部電極が白色増強層の誘電体粒子を上面に引き付けるとき、それらのピクセル内の染料分子が変位し、その特定のピクセルを色増強染料の色に変える。本発明の一実施形態では、染料(以下に記載されるインクと同様)は、上記の色増強/増大構造との色移動混合物のナノ粒子を含む。
【0516】
図50は、3つのピクセルが、それぞれ、赤、緑、及び青の色増強層を備える誘電体粒子を含む別の実施形態を示す。上部電極が別個の色増強層の誘電体粒子を上面に引き付けるとき、それらのピクセル内の染料分子が変位し、その特定のピクセルを誘電体粒子の変換層の色に変える。
【0517】
図51は、本発明のIR光活性化ディスプレイの一例を示している。したがって、この実施形態では、ディスプレイは、異なるディスプレイピクセルに分離された異なるアップコンバージョン色放出特性の色移動粒子を利用して製造することができる。
【0518】
この実施形態では、IRレーザーは、(別々のピクセルに選択的にバイアスをかけることによって)それに引き付けられた色移動粒子を有するピクセル化された表面の近くの表面を照射する。一実施形態では、IR光は、IR光チャネルプレートの内面に沿って全反射を受けるように放出される。IR光チャネルプレートの場合、通常、結晶性材料は980nm(NIR)の光の範囲で透明であり、石英、ガラス、Yなどである。また、小型のポリマー(長さ/分子の重量)を透過性にすることができるが、IRの範囲での透過性は、タイプや長さなどに依る。
【0519】
一実施形態では、IR光チャネルプレートは、IR光チャネルプレートに近いピクセル領域の一部を照明するように、軸から光を散乱させる散乱中心をそれ自体の中に含む。図51に示す例では、IR光チャネルがピクセル化された表面全体にIR光の伝播を提供する。この例のIR光は、青のピクセル上方のバイアス電極が青の色変換層(例えば、負の粒子の)を表面付近に引き付けるので、上記の色増強/増大構造との青色の色変換層を刺激するだけであり、その一方で、赤と緑の色変換層がはじかれる。
【0520】
異なるタイプの光放出粒子は、異なる範囲の励起光を吸収して、異なる色を放出することができる。したがって、励起光の波長範囲は、光放出粒子から放出される可視色を制御するために変調され得る。実施形態では、異なるタイプの光放出粒子を一緒に混合して、基板の中/上へと、またはピクセルの染料またはインク(及び任意選択で上記の色増強/増大構造を含む)に、統合することができる。励起光の波長を変調することにより、励起光の空間変調及び強度変調と共に、特定の色特性を備えた可視光を基板に作成することができる。例えば、原色に関連付けられた様々なタイプの光放出粒子の特定の組み合わせを選択的に励起することにより、事実上すべての可視色を放出することができる。
【0521】
図52は、本発明のIR光活性化ディスプレイの一例を示している。この実施形態では、赤外線発光ダイオードが基板にパターニングされている。ダイオードのパターンは、ピクセルのパターンにレジスターされている。各ピクセルには、特定のカラーエミッタが含まれている。例えば、色移動混合物と、本発明の上記の色増強/増大構造を含む青色アップコンバータマトリックスである。
【0522】
一実施形態では、反射防止コーティングまたはフィルタを適用することができる。例えば、反射層をLED光源の反対側の表面に使用して、変換されていない光を色移動粒子混合物を通して反射して戻すことができる。実際、レーザーキャビティ設計の場合と同様に、このカラーパスファイラーは、変換を増加させるために、「間違った」未変換の波長の光を色移動粒子混合物を通して反射し戻す。
【0523】
米国特許第6,054,724号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、赤外線発光ダイオードのアレイを製造する方法を記載している。その特許に記載されている技術は、図10Bに示される赤外線発光LEDを含むパターニングされた基板を形成するために適用可能である。あるいは、接合技術を使用して、ダイスされたレーザーダイオードを取得し、図10Bに示す赤、青、及び緑のピクセル要素にレーザーダイオードを取り付けることができる。
【0524】
米国特許第6,104,740号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、同じチップに赤外線発光ダイオード及び青色発光ダイオードのアレイを製造する方法を記載している。その特許に記載されている技術は、図10Bに示される赤外線発光LEDを含むパターニングされた基板を形成するために適用可能である。この場合、発光LEDの一部は青色発光体であり、その光はディスプレイを直接通過するか、それ自体がダウンコンバートされる。
【0525】
図53は、本発明のIR光活性化ディスプレイの別の例を示している。この実施形態では、微小電気機械システム(MEMS)が基板にパターニングされている。MEMSデバイスにはシャッターが含まれており、シャッターを開くと、バック光源からのIR光が基板の穴を通過してそれぞれのピクセルを照らす。各ピクセルには、特定のカラーエミッタが含まれている。例えば、色移動混合物を含む青色アップコンバータマトリックス(及び任意選択で、上記の色増強/増大構造)は、本発明の組成物に含まれる。IRバック光源は、適切なフィルタを備えた赤外線グローバーである場合もあれば、IR LEDまたはIRレーザー光源から拡散された光である場合もある。
【0526】
図54は、カラーフィルタが本発明の色移動粒子を有する液晶(LC)光活性化ディスプレイの一例を示している。本発明の一実施形態では、上記の色増強/増大構造との色移動粒子は、従来の液晶ディスプレイ技術に関連するカラーフィルタ要素に使用することができる。この実施形態では、バックライト光源からの光は、液晶ディスプレイのそれぞれのピクセルの前に配置された赤、青、及び緑のカラーフィルタを通過する。通常、白いバックライトからの「間違った」色の光は単に吸収され、ディスプレイの前面の輝度には影響しない。色移動粒子及び本発明の上記の色増強/増大構造に関し、赤フィルタの白色光には、赤よりも高いエネルギーの光のスペクトル(例えば、青色光)をダウンコンバートする、及び/または赤よりも低いエネルギーの光のスペクトル(例えば、近IR及びIR光)をアップコンバートする色移動粒子がある。同様に、緑色フィルタに対する白色光には、緑色よりも高いエネルギーの光のスペクトル(例えば、青色光)をダウンコンバートし、及び/または緑色よりも低いエネルギーの光のスペクトル(例えば、赤、近IR、及びIRの光)をアップコンバートする色移動粒子がある。同様に、青色フィルタに対する白色光には、青色よりも高いエネルギーの光のスペクトル(例えば、UV光)をダウンコンバートし、及び/または青色よりも低いエネルギーの光のスペクトル(例えば、緑、赤、近IR、及びIRの光)をアップコンバートする色移動粒子がある。
【0527】
同様の原理は、周囲の光がLC要素を通過し、色付きの表面から反射してLC要素を通過して表示される反射型LCD構造に当てはまる。ここでは、上記の色増強/増大構造との色付けした表面は、赤よりも高いエネルギーの光のスペクトル(例えば、青色光)をダウンコンバートし、赤よりも低いエネルギーの光のスペクトル(例えば、近IR及びIR光)をアップコンバートする色移動粒子により増加される、それらの個々に反射した光の輝度を有する。同様に、緑色フィルタに対する白色光には、緑色より高い輝度を反映するために、緑色よりも高いエネルギーの光のスペクトル(例えば、青色光)をダウンコンバートし、及び/または緑色よりも低いエネルギーの光のスペクトル(例えば、赤、近IR、及びIRの光)をアップコンバートする色移動粒子がある。同様に、青色フィルタに対する白色光には、緑のより高い輝度を反映するために、青色よりも高いエネルギーの光のスペクトル(例えば、UV光)をダウンコンバートし、及び/または青色よりも低いエネルギーの光のスペクトル(例えば、緑、赤、近IR、及びIRの光)をアップコンバートする色移動粒子がある。
【0528】
様々な実施形態において、上記の色増強増大構造の反射層は、それぞれのカラーピクセルで使用でき、これらの反射層は、様々な光放出材料の様々な放出効率を補うための選択的波長帯反射層であり得る。例えば、赤色ピクセルから赤色光を発する光放出材料が、青色光を放出する青色ピクセルからの光放出材料よりも高い強度で光を放出する場合、選択的波長帯反射層は、これらの放出効率の違いを補うことができる。例えば、「青」の反射層は、「赤」の反射層が赤色光を反射するよりも高い強度で、青色光を反射することができる。
【0529】
耐老化性:ラテックスや油性塗料の老化の一般的な兆候は、ひび割れ、水ぶくれ、クラッキングである。紫外線への曝露は、これらの目に見える不一致につながる塗料顔料の劣化に重要な役割を果たす。本発明の一実施形態では、UV光(したがって、UV光に含まれるエネルギー)は、コーティングされた、または塗装された、または染色された表面から離れて変換され、及び/または散乱して戻る。
【0530】
この実施形態では、UV光の照射に曝された対象物へのUV光損傷を緩和するための保護コーティングが、上記の色増強/増大構造に設けられる。保護コーティングは、UV光に曝露されると、UV光の第1の部分を可視光に変換し、可視光の一部を混合物から放出し、混合物からUV光の第2の部分を反射して、UV光の第2の部分が前述の物体に吸収されないように構成された、光散乱及び光放出粒子の混合物を有する。
【0531】
例えば、以下に説明する詳細に限定されないが、保護コーティングに入射する太陽からのUV光は、空気と保護コーティングとの間の屈折率の変化のために、UV光の50%以上を反射する可能性がある。保護コーティングの内層に入るUV光のその部分は可視光に変換される。UV光の他の部分は保護コーティングから散乱され、下にある表面に入射しない。
【0532】
産業用途:上述した本発明の上記の色増強混合物及び色増強/エネルギー増大構造は、多種多様な人工着色製品に適用可能である。これらの製品には、(上記の製品に加えて)以下の非包括的な製品のリストが含まれている。例えば、上記の色増強/エネルギー増大構造との上記の本発明の色増強混合物は、コンクリート製品、アスファルト、舗装、浴室及び台所のタイル、構造タイル、舗装材、レンガ(例えば、グレージングレンガとして)、及び他のグレージングまたはグレーズド製品などの建築用製品の中または表面に、含めることができる。
【0533】
説明的な一例では、日光または人工光におけるテニスコートラインの色のコントラストは、上記の色増強/増大構造を含む本発明の色混合物によって、増強することができる。さらに、例えばプラズマまたはアーク放電ランプの一次放出ラインを対象とするダウンコンバータを含み得る混合添加剤に応じて、人工照明(夜間照明など)の下で、テニスの舗装及びラインは、重要な夜間の色の変化を示すことができ、夜間のスポーツとしての魅力をテニスに加える。
【0534】
上記の色増強/エネルギー増大構造との色増強混合物が価値を有する他の製品は、宝石、指輪、イヤリング、ネックレス、ブレスレット、ムードリング、キャンドル、エポキシ、コンタクトレンズ、ゴム製品、プラスチック製品である。特定の例で、コンタクトレンズは目の色を変えることを可能にする。本製品で使用される典型的な着色剤に本発明の色増強混合物を加えることの他に、着色剤は、光源からの光を、より見ている者の方向へと反射する「キャットアイ」効果を生み出すために、上記の再帰反射ガラス球として加えることができる。
【0535】
米国特許第6,896,369号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、カラーコンタクトレンズの構造を記載している。本発明の一実施形態では、本発明の色増強混合物(再帰反射成分ありまたはなし)及び任意選択で上記の色増強/増大構造は、上皮領域、瞳孔縁領域、コレット領域、フックス要素の陰窩、及び拡張瞳孔領域を有する多色のパターン領域に追加される。これらの領域は、複数の着色された要素、または着色された要素と着色されていない要素の組み合わせを有する。着色された要素は、着用者の虹彩の下にある領域を隠すのに十分に不透明な着色剤である。着色されていない要素は、好ましくは透明であるが、着用者の虹彩の下にある領域を覆い隠さないように、十分に不透明ではない着色剤によってわずかに着色され得る。米国特許第6,896,369号の着色剤に対して、本発明の色増強混合物は、上記の色増強/エネルギー増大構造に添加される。
【0536】
タグ付け及びラベリングの用途:米国特許第8,389,958号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、セキュリティ及びタグ付け操作のためのナノテクノロジーを記載している。上記の用途に加えて、上記の色増強/増大構造は、一次光源、例えばNIRビームが焦点を合わせられ、ターゲット対象に向けられるセキュリティ及びタグ付け操作で有用である。セキュリティ及びタグ付けに関する上記の色増強/増大構造の用途には、(i)偽造通貨の検出と流通からの除去、(ii)偽造物混合製品(偽造医薬品など)の検出と除去、(iii)製品(アルコール、タバコ、銃器など)及び商品(例えば、油/ガスのタグ及び追跡)の出所の追跡、(iv)規制物質(例えば、軍用爆薬)または制限技術(例えば、核及び通信技術)のタグ付け、(v)単一ソース、高価値商品(例えば、特殊繊維)のマーキング、及び(vi)ブランド保護、及び(vii)文書、金融商品(例えば無記名債券)、及び様々な形式の身分証明書の真正を検証すること、が含まれる。例えば、酸化イットリウムのナノ粒子にNIRビームが入射すると、酸化イットリウムのナノ粒子は、可視波長範囲で放出し、そのとき、ハンドヘルドリーダー、CCDカメラ、または人の目で検出できる。例えば、波長980ナノメートルのNIR光の100~1,000ミリワットの電力で、本願で記載されているタイプのアップコンバータを含む上記の色増強/エネルギー増大構造は、肉眼に対して明るい緑色の放出、青色の放出、または赤色の放出を示す。
【0537】
代替的または補完的に、上記の色増強/エネルギー増大構造は、一次光源がX線励起であり、UV/VIS/NIRの読み出しが表示に使用されるセキュリティ及びタグ付け運用の用途を有し得る。
【0538】
従来のバーコード操作では、スキャナーを使用して、特定のコード化されたアイテムを示す密度と間隔で、一連の黒と白の線を、本質的に読み取る。本発明において、これらの印刷されたバーコードは、単一または複数の赤外線レーザー源のいずれかからの多色放出の可能性を提供する、上記のナノコアエミッタを利用することができる。したがって、従来のバーコード領域にエンコードできる情報の量を、大幅に増やすことができる。例えば、特定の色の分類では、通常は同じ一連の黒と白の線であるものに対して、完全に異なるエンコーディングが導入され得る。さらに、異なる色の線の組み合わせにより、既存の白黒イメージャが読み取ることができる既存のバーコード線の上でも情報をさらにエンコードでき、製品流通チェーンにおける、製品のクラス、ディストリビュータのクラス、製造業者のクラス、小売業者のクラスなどを示す情報が追加される。このようにして、製造業者または食品包装業者で適用されるバーコードは、例えば食品の安全性の追跡及び監視に使用できる。
【0539】
これらのタグ付け及びラベリングの用途において、本発明の色増強/エネルギー増大構造は、対象物を識別するためのシステムを提供する。システムは、読み取り可能な媒体(例えば、任意の製品のセキュリティ用のタグまたはバーコードの一部であり得る、紙製品、プラスチック製品、及びガラス製品)、読み取り可能な媒体の表面の中または上に含まれるナノ粒子を含む。ナノ粒子は、放射の第1の波長λ1に曝されると、第1の波長λ1よりも高いエネルギーを有する放射の第2の波長λ2を放出するように構成される。第2の波長λ2は、第2の波長λ2を検出することによって物体を識別することを可能にするために、赤外線、可視光、及び紫外線のうちの少なくとも1つにある。
【0540】
金属シェルは、ナノ粒子の少なくとも一部をカプセル化できる。上で説明したように、金属シェルの半径方向の寸法は、金属シェルの表面プラズモン共鳴が、第1の波長λ1または第2の波長λ2とのいずれかにスペクトルの重なりをもたらす周波数で共鳴する値に設定することができる。ナノ粒子は、より一般的には、複数のナノ粒子を含むことができる。
【0541】
したがって、ナノ粒子は、異なるグループまたはカテゴリーの光放出ナノ粒子の複数に分けることができる。第1のグループは、例えば、第1の波長λ1との相互作用での可視光の放出を示すことができるが、第2のグループは、第1の波長λ1との相互作用で赤外線の放出を示すことができる。この実施形態では、第1のグループは、物体にある可視のタグの一部であり得、第2のグループは、物体における不可視のタグの一部であり得る。あるいは、第1のグループは、第1の波長λ1との相互作用で可視光の放出を示すことができるが、第2のグループは、第1の波長λ1との相互作用で紫外線の放出を示すことができる。この実施形態ではまた、第1のグループは、物体にある可視のタグの一部であり得、第2のグループは、物体における不可視のタグの一部であり得る。
【0542】
一実施形態では、本発明のアップコンバータ構造は、X線ダウンコンバート粒子または他のエネルギーコンバータと複合体を形成し、例えば、X線照射がこのプロセスを支援することを可能にする。一実施形態では、本明細書に記載のX線ダウンコンバート粒子または他のエネルギーコンバータまたは金属構造は、X線照射を単独で、またはアップコンバート粒子と組み合わせて使用することを可能にする。
【0543】
一実施形態では、上記の色増強/エネルギー増大構造は、アップコンバートまたはダウンコンバート粒子と共に、一体で含まれる。一実施形態では、上記の色増強/エネルギー増大構造は、アップコンバートまたはダウンコンバート粒子の上または下にシートまたはカバーとして取り付けられている。一実施形態では、上記の色増強/エネルギー増大構造は、強化された電界の近くに堆積されたアップコンバートまたはダウンコンバート材料が、シートとして取り付けられる。
【0544】
上記の別の実施形態では、色増強/エネルギー増大構造は、機械発光構造を含むことができ、機械発光構造への超音波エネルギーの適用は、表面からの色の放出を変化させる。このような用途は、アイテムに複合機械発光エミッタのパターンが含まれるセキュリティシステムに使用し得る。パターンは、超音波または音響エネルギーで活性化され、その時点で所定の波長の光が放出されるまでは明らかではない。放出される光は、放出される光を検出するために使用される検出器のタイプに応じて、可視光または赤外線であってよい。
【0545】
したがって、本発明のエネルギー増大構造は、治療される対象の体内で、その場で生成されるエネルギーを使用する医療(エネルギーコンバータを使用する、または使用しないに関わらず)、太陽電池、接着剤、その他の樹脂、様々な材料(廃水、飲料など)の滅菌処理を含むがこれらに限定されない、多種多様な適用において、本明細書に記載のエネルギーコンバータと組み合わせて使用することができる。このような適用でのエネルギーコンバータの使用については、以下に説明されている:米国特許出願公開第2008/0248001号、米国特許出願公開第2009/0104212号、米国特許出願公開第2009/0294692号、米国特許出願公開第2010/0003316号、米国特許出願公開第2010/0016783号、米国特許出願公開第2010/0261263号、米国特許出願公開第2010/0266621号、米国特許出願公開第2011/0021970号、米国特許出願公開第2011/0117202号、米国特許出願公開第2011/0126889号、米国特許出願公開第2011/0129537号、米国特許出願公開第2011/0263920号、米国特許出願公開第2012/0064134号、米国特許出願公開第2012/0089180号、米国特許出願公開第2013/0102054号、米国特許出願公開第2013/0129757号、米国特許出願公開第2013/0131429号、米国特許出願公開第2013/0156905号、米国特許出願公開第2013/0171060号、米国特許出願公開第2013/0240758号、米国特許出願公開第2014/0134307号、米国特許出願公開第2014/0163303号、米国特許出願公開第2014/0166202号、米国特許出願公開第2014/0222117号、米国特許出願公開第2014/0242035号、米国特許出願公開第2014/0243934号、米国特許出願公開第2014/0272030号、米国特許出願公開第2014/0323946号、米国特許出願公開第2014/0341845号、米国特許出願公開第2014/0343479号、米国特許出願公開第2015/0182934号、米国特許出願公開第2015/0202294号、米国特許出願公開第2015/0246521号、米国特許出願公開第2015/0251016号、米国特許出願公開第2015/0265706号、米国特許出願公開第2015/0283392号、米国特許出願公開第2015/0290614号、米国特許出願公開第2016/0005503号、米国特許出願公開第2016/0067524号、米国特許出願公開第2016/0159065号、米国特許出願公開第2016/0243235号、米国特許出願公開第2016/0263393号、米国特許出願公開第2016/0325111号、米国特許出願公開第2016/0331731号、米国特許出願公開第2016/0354467号、米国特許出願公開第2016/0362534号、米国特許出願公開第2017/0027197号、米国特許出願公開第2017/0043178号、米国特許出願公開第2017/0050046号、米国特許出願公開第2017/0096585号、米国特許出願公開第2017/0113061号、米国特許出願公開第2017/0121472号、米国特許出願公開第2017/0154866号、米国特許出願公開第2017/0157418号、米国特許出願公開第2017/0162537号、米国特許出願公開第2017/0173350号、米国特許出願公開第2017/0186720号、米国特許出願公開第2017/0190166号、米国特許出願公開第2017/0196977号、米国特許出願公開第2017/0239489号、米国特許出願公開第2017/0239637号、米国特許出願公開第2017/0240717号、米国特許出願公開第2017/0258908号、米国特許出願公開第2017/0319868号、米国特許出願公開第2017/0319869号、米国特許出願公開第2018/0036408号、米国特許出願公開第2018/0154171号、米国特許出願公開第2018/0154178号、米国特許出願公開第2018/0169433号、米国特許出願公開第2018/0170028号、米国特許出願公開第2018/0269174号、米国特許出願公開第2018/0271121号、米国特許出願公開第2018/0304225号、米国特許出願公開第2018/0311355号、米国特許出願公開第2018/0317307号、米国特許出願公開第2018/0344850号、米国特許出願公開第2018/0358327号、米国特許出願公開第2019/0016869号、米国特許出願公開第2019/0022221号、米国特許出願公開第2019/0100680号、米国特許出願公開第2019/0134419号、米国特許出願公開第2019/0134595号、米国特許出願公開第2019/0134596号、米国特許出願公開第2019/0157234号、米国特許出願公開第2019/0168015号、米国特許出願公開第2019/0184190号、米国特許出願公開第2019/308030号、米国特許出願公開第2019/0336605号、米国特許出願公開第2019/0336785号、米国特許出願公開第2019/0336786号、米国特許出願公開第2019/0341364号、米国出願第16/074,707号(2018年1月8日提出)、米国出願第16/516,463号(2019年7月19日提出)、米国出願第16/554,831号(2019年8月29日提出)、米国出願第16/599,732号(2019年10月11日提出)、米国出願第16/674,435号(2019年11月5日提出)、及び米国出願16/728,803号(2019年12月27日提出)、それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のエネルギー増大構造及び/またはエネルギーコンバータは、上記の公開及び未公開の米国特許出願の主題で使用されている。
【0546】
以下は、本発明の例示的な実施形態である。
【0547】
実施形態1.少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び
エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記エネルギーを変換し、そこから、前記受け取ったエネルギーよりも高いまたは低いエネルギーの放出光を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記放出された光が、前記エネルギーコンバータが少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合、または前記エネルギー増大構造が存在しなかった場合よりも、高い強度で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される前記エネルギーコンバータ、を含む、エネルギーエミッタ。
【0548】
実施形態2.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、構造が電磁エネルギーを受け取るときに、前記構造の一部に局所的に強化された電界が存在する前記構造を含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0549】
実施形態3.
【0550】
前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、前記印加された電磁エネルギーと共鳴するように寸法が定められた少なくとも1つのレゾネータを含む、実施形態1または2のうちの1つに記載のエミッタ。
実施形態4.前記レゾネータが折り畳まれたレゾネータを含む、実施形態3に記載のエミッタ。
【0551】
実施形態5.前記折り畳まれたレゾネータが、フラクタルパターンとして構成された導電体を含む、実施形態4に記載のエミッタ。
【0552】
実施形態6.前記折り畳まれたレゾネータが、対向する端部の間にギャップを有する前記折り畳まれたレゾネータの中心から、内側に折り畳まれた前記対向する端部を有する3/4波長レゾネータを含む、実施形態3または4のうちの1つに記載のエミッタ。
【0553】
実施形態7.前記局所的に強化された電界が前記対向する端部の近くに存在する、実施形態6に記載のエミッタ。
【0554】
実施形態8.前記折り畳まれたレゾネータが、対向する端部の間にギャップを有する前記折り畳まれたレゾネータの中心から、外側に折り畳まれた前記対向する端部を有する3/4波長レゾネータを含む、実施形態4に記載のエミッタ。
【0555】
実施形態9.前記局所的に強化された電界が前記対向する端部の近くに存在する、実施形態8に記載のエミッタ。
【0556】
実施形態10.前記レゾネータがフラクタルパターンを含む、実施形態3に記載のエミッタ。
【0557】
実施形態11.フラクタルパターンが3次元フラクタルパターンを含む、実施形態10に記載のエミッタ。
【0558】
実施形態12.前記少なくとも1つのレゾネータが複数のレゾネータを含む、実施形態3に記載のエミッタ。
【0559】
実施形態13.前記レゾネータがシートに配置されている、実施形態12に記載のエミッタ。
【0560】
実施形態14.前記シートが、処理される媒体内に配置のためのシートを含む、実施形態13に記載のエミッタ。
【0561】
実施形態15.前記シートが、処理される媒体内に配置のための可撓性シートを含む、実施形態13に記載のエミッタ。
【0562】
実施形態16.前記シートが、処理される媒体内に配置のための剛性シートを含む、実施形態13に記載のエミッタ。
【0563】
実施形態17.前記複数のレゾネータが、シートに配置された前記レゾネータのアレイを含む、実施形態13に記載のエミッタ。
【0564】
実施形態18.前記レゾネータが各々自立型レゾネータを含む、実施形態12に記載のエミッタ。
【0565】
実施形態19.前記自立型レゾネータが、処理される媒体内に配置されている、実施形態18に記載のエミッタ。
【0566】
実施形態20.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、第1のレベルの金属パターンと、前記第1のレベルの金属パターンから横方向または軸方向の少なくとも1つにオフセットされた第2のレベルの金属パターンとを備える、実施形態1に記載のエミッタ。
【0567】
実施形態21.前記金属パターンの少なくとも1つが、印加された電磁エネルギーと共鳴するように寸法が決められた第1のレゾネータを含む、実施形態20に記載のエミッタ。
【0568】
実施形態22.前記金属パターンの前記少なくとも1つは、間に向けられた電界を有する対向する電極を有する折り畳まれたレゾネータを含み、
前記エネルギーコンバータは、前記対向する電極間、または前記対向する電極のフリンジ電界内に位置付けられる、実施形態21に記載のエミッタ。
【0569】
実施形態23.前記対向する電極が、前記折り畳まれたレゾネータの外部に向けられ、互いに平行である、実施形態22に記載のエミッタ。
【0570】
実施形態24.前記対向する電極が、前記折り畳まれたレゾネータの内部に向けられ、互いに平行である、実施形態22に記載のエミッタ。
【0571】
実施形態25.前記折り畳まれたレゾネータが3/4λの折り畳まれたレゾネータを含む、実施形態22~24のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0572】
実施形態26.前記金属パターンの前記少なくとも1つは、同心円状に配置され、任意選択で互いに同一平面上にある複数の前記折り畳まれたレゾネータを含み、その結果、各折り畳まれたレゾネータの前記外部の対向する電極が、前記複数の折り畳まれたレゾネータの他の前記外部の対向する電極と空間的に重ならないようにする、実施形態20に記載のエミッタ。
【0573】
実施形態27.前記金属パターンの前記少なくとも1つは、同心円状に配置され、任意選択で互いに同一平面上にある複数の前記折り畳まれたレゾネータを含み、その結果、各折り畳まれたレゾネータの前記外部の対向する電極が、前記複数の折り畳まれたレゾネータの他の1つまたは複数の前記外部の対向する電極と空間的に重なるようにする、実施形態20に記載のエミッタ。
【0574】
実施形態28.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、Au、Ag、Cu、Al、透明な金属酸化物または耐火金属のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0575】
実施形態29.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造または前記エネルギーコンバータ上に配置された反射防止フィルムをさらに含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0576】
実施形態30.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、前記エネルギーコンバータを含むダウンコンバージョン材料の近くに配置されている、実施形態1に記載のエミッタ。
【0577】
実施形態31.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、前記エネルギーコンバータを含むアップコンバージョン材料の近くに配置されている、実施形態1に記載のエミッタ。
【0578】
実施形態32.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、前記エネルギーコンバータを含むリン光物質の近くに配置されている、実施形態1に記載のエミッタ。
【0579】
実施形態33.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、前記エネルギーコンバータを含む圧電デバイスの近くに配置されている、実施形態1に記載のエミッタ。
【0580】
実施形態34.前記圧電デバイスが、音波または音響エネルギーを受け取り、前記音波または音響エネルギーの吸収に応答して紫外線または可視光のうちの少なくとも1つを放出するように構成される、実施形態33に記載のエミッタ。
【0581】
実施形態35.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、前記エネルギーコンバータを含む機械発光デバイスの近くに配置されている、実施形態1に記載のエミッタ。
【0582】
実施形態36.前記機械発光デバイスが、音波または音響エネルギーを受け取り、前記音波または音響エネルギーの吸収に応答して紫外線または可視光のうちの少なくとも1つを放出するように構成される、実施形態35に記載のエミッタ。
【0583】
実施形態37.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、前記エネルギーコンバータを含むプラズマカプセルデバイス内に配置されている、実施形態1に記載のエミッタ。
【0584】
実施形態38.前記プラズマカプセルデバイスが、無線周波数またはマイクロ波エネルギーを受信し、前記無線周波数またはマイクロ波エネルギーの吸収に応答して紫外線または可視光の少なくとも1つを放出するように構成される、実施形態37に記載のエミッタ。
【0585】
実施形態39.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、前記エネルギーコンバータを含むX線で刺激されたリン光物質の近くに配置されている、実施形態1に記載のエミッタ。
【0586】
実施形態40.前記X線で刺激されたリン光物質が、X線を吸収するのに応答して紫外線または可視光のうちの1つを放出する、実施形態39に記載のエミッタ。
【0587】
実施形態41.前記X線で刺激されたリン光物質が、X線刺激後少なくとも1分の時間、前記紫外線または可視光のうちの1つを放出する、実施形態40に記載のエミッタ。
【0588】
実施形態42.前記X線で刺激されたリン光物質が、X線刺激後少なくとも10分の時間、前記紫外線または可視光のうちの1つを放出する、実施形態40に記載のエミッタ。
【0589】
実施形態43.前記X線で刺激されたリン光物質が、X線刺激後少なくとも60分の時間、前記紫外線または可視光のうちの1つを放出する、実施形態40に記載のエミッタ。
【0590】
実施形態44.前記X線で刺激されたリン光物質が、より高いエネルギーのX線を吸収することに応答して、より低いエネルギーのX線を放出する、実施形態39に記載のエミッタ。
【0591】
実施形態45.前記エネルギー源から受信される前記エネルギーが、音響波、音波、電波、マイクロ波、遠赤外線、近赤外線、可視光線、UV、X線、ガンマ光線、電子ビーム、及びプロトンビームから選択される1つまたは複数である、実施形態1に記載のエミッタ。
【0592】
実施形態46.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置されている前記エネルギーコンバータが、前記エネルギーコンバータの前記少なくとも1つのエネルギー増大構造への導電性結合を含む、実施形態1~45のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0593】
実施形態47.前記導電性結合は、前記エネルギーコンバータと前記少なくとも1つのエネルギー増大構造との間の物理的導電性接続を含む、実施形態46に記載のエミッタ。
【0594】
実施形態48.前記エネルギーコンバータが、(i)紫外線または青色光を赤色、黄色、または緑色の光に変換するダウンコンバータ、または(ii)赤外線または赤色光を黄色、緑色、または青色の光に変換するアップコンバージョンのいずれかまたは両方を含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0595】
実施形態49.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が複数のエネルギーコレクタを含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0596】
実施形態50.前記エネルギーコンバータは、前記エネルギーコレクタ内で内部に散乱されているエネルギーを変換するように位置付けられている、実施形態49に記載のエミッタ。
【0597】
実施形態51.前記エネルギーコレクタが、高K誘電体でクラッドされた金属コアと、それに続く低K誘電体のクラッドとを含む、実施形態49に記載のエミッタ。
【0598】
実施形態52.前記エネルギーコレクタが、放射状のコレクタのパターンを含む、実施形態49に記載のエミッタ。
【0599】
実施形態53.前記エネルギーコレクタがフラクタルパターンを含む、実施形態7に記載のエミッタ。
【0600】
実施形態54.前記フラクタルパターンが誘電体材料内に埋め込まれている、実施形態53に記載のエミッタ。
【0601】
実施形態55.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、塗料、インク、布、糸、道路標識、高速道路標識、自動車、ボート、飛行機、リフレクタ、建築製品、コンクリート製品、エポキシ製品、宝石製品、着色コンタクトレンズ、キャンドル製品、ゴム製品、プラスチック製品、着色表面、太陽電池、プラズマカプセル、X線検出器、または滅菌器のうちの少なくとも1つの構成要素を含む、、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0602】
実施形態56.前記エネルギーコンバータが、塗料、インク、布、糸、道路標識、高速道路標識、自動車、ボート、飛行機、リフレクタ、建築製品、コンクリート製品、エポキシ製品、宝石製品、着色コンタクトレンズ、キャンドル製品、ゴム製品、プラスチック製品、着色表面、太陽電池、プラズマカプセル、X線検出器、または滅菌器のうちの少なくとも1つの構成要素を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0603】
実施形態57.前記エネルギーコンバータが、着色された反射面の構成要素を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0604】
実施形態58.前記エネルギーコンバータが、ディスプレイ用のピクセル内の着色された反射面の構成要素を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0605】
実施形態59.前記エネルギーコンバータが、白色光放出ピクセル表示要素の構成要素を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0606】
実施形態60.前記エネルギーコンバータが、再帰反射塗料に配置された構成要素を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0607】
実施形態61.前記エネルギーコンバータがインク成分を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0608】
実施形態62.前記エネルギーコンバータが、アップコンバージョンプロセスから赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0609】
実施形態63.前記エネルギーコンバータが、アップコンバージョンプロセスから赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態3に記載のエミッタ。
【0610】
実施形態64.前記エネルギーコンバータが、ダウンコンバージョンプロセスから赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0611】
実施形態65.前記エネルギーコンバータが、ダウンコンバージョンプロセスから赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態3に記載のエミッタ。
【0612】
実施形態66.前記エネルギーコンバータが、アップコンバータとダウンコンバータの混合物から赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0613】
実施形態67.前記エネルギーコンバータが、アップコンバータとダウンコンバータの混合物から赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態3に記載のエミッタ。
【0614】
実施形態68.前記エネルギーコンバータが、ユーロピウム、テルビウム、セリウム、及びエルビウムまたはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蛍光エミッタの混合物を含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0615】
実施形態69.前記エネルギーコンバータが、ユーロピウム、テルビウム、セリウム、及びエルビウムまたはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蛍光エミッタの混合物を含む、実施形態3に記載のエミッタ。
【0616】
実施形態70.前記エネルギーコンバータが、
紫外線の吸収に応答して第1の可視色を放出するように構成された第1の材料、及び
赤外線の吸収に応答して第2の可視色を放出するように構成された第2の材料であって、前記第2の可視色が前記第1の可視色とは異なる、前記第2の材料、を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0617】
実施形態71.前記エネルギーコンバータが、前記紫外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料をさらに含み、前記第3の可視色が前記第1の可視色及び前記第2の可視色とは異なる、実施形態70に記載のエミッタ。
【0618】
実施形態72.前記第1の可視色、前記第2の可視色、及び前記第3の可視色が原色である、実施形態71に記載のエミッタ。
【0619】
実施形態73.前記エネルギーコンバータが、前記赤外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料をさらに含み、前記第3の可視色が前記第1の可視色及び前記第2の可視色とは異なる、実施形態70に記載のエミッタ。
【0620】
実施形態74.前記エネルギーコンバータが、
紫外線の吸収に応答して第1の可視色を放出するように構成された第1の材料、及び
赤外線の吸収に応答して第2の可視色を放出するように構成された第2の材料であって、前記第2の可視色が前記第1の可視色と実質的に同じ色である、前記第2の材料、を含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0621】
実施形態75.前記エネルギーコンバータが、前記紫外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料をさらに含み、前記第3の可視色が前記第1の可視色及び前記第2の可視色とは異なる、実施形態74に記載のエミッタ。
【0622】
実施形態76.前記エネルギーコンバータが、前記赤外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料をさらに含み、前記第3の可視色が前記第1の可視色及び前記第2の可視色とは異なる、実施形態74に記載のエミッタ。
【0623】
実施形態77.前記第1の可視色、前記第2の可視色、及び前記第3の可視色が前記原色のうちの少なくとも2つである、実施形態76に記載のエミッタ。
【0624】
実施形態78.前記エネルギーコンバータが、着色された反射面の構成要素を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0625】
実施形態79.前記エネルギーコンバータが、ディスプレイ用のピクセル内の着色された反射面の構成要素を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0626】
実施形態80.前記エネルギーコンバータが、白色光放出ピクセル表示要素の構成要素を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0627】
実施形態81.前記エネルギーコンバータが、再帰反射塗料に配置された構成要素を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0628】
実施形態82.前記エネルギーコンバータがインク成分を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0629】
実施形態83.前記エネルギーコンバータが、アップコンバージョンプロセスから赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態78~82のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0630】
実施形態84.前記エネルギーコンバータが、アップコンバージョンプロセスから赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0631】
実施形態85.前記エネルギーコンバータが、ダウンコンバージョンプロセスから赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態78~82のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0632】
実施形態86.前記エネルギーコンバータが、ダウンコンバージョンプロセスから赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0633】
実施形態87.前記エネルギーコンバータが、アップコンバータとダウンコンバータの混合物から赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態78~82のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0634】
実施形態88.前記エネルギーコンバータが、アップコンバータとダウンコンバータの混合物から赤、青、及び緑の放出を生成するように構成された赤、青、及び緑のエミッタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0635】
実施形態89.前記エネルギーコンバータが、ユーロピウム、テルビウム、セリウム、及びエルビウムまたはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蛍光エミッタの混合物を含む、実施形態78~82のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0636】
実施形態90.前記エネルギーコンバータが、ユーロピウム、テルビウム、セリウム、及びエルビウムまたはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蛍光エミッタの混合物を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0637】
実施形態91.前記エネルギーコンバータが、
紫外線の吸収に応答して第1の可視色を放出するように構成された第1の材料、及び
赤外線の吸収に応答して第2の可視色を放出するように構成された第2の材料であって、前記第2の可視色が前記第1の可視色とは異なる、前記第2の材料、を含む、実施形態78~82のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0638】
実施形態92.前記エネルギーコンバータが、前記紫外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料をさらに含み、前記第3の可視色が前記第1の可視色及び前記第2の可視色とは異なる、実施形態91に記載のエミッタ。
【0639】
実施形態93.前記第1の可視色、前記第2の可視色、及び前記第3の可視色が原色である、実施形態92に記載のエミッタ。
【0640】
実施形態94.前記エネルギーコンバータが、前記赤外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料をさらに含み、前記第3の可視色が前記第1の可視色及び前記第2の可視色とは異なる、実施形態91に記載のエミッタ。
【0641】
実施形態95.前記エネルギーコンバータが、
紫外線の吸収に応答して第1の可視色を放出するように構成された第1の材料、及び
赤外線の吸収に応答して第2の可視色を放出するように構成された第2の材料であって、前記第2の可視色は、前記第1の可視色と実質的に同じ色である、前記第2の材料、を含む、実施形態78~82のいずれか1つに記載のエミッタ。
【0642】
実施形態96.前記エネルギーコンバータが、前記紫外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料をさらに含み、前記第3の可視色が前記第1の可視色及び前記第2の可視色とは異なる、実施形態95に記載のエミッタ。
【0643】
実施形態97.前記エネルギーコンバータが、前記赤外線の吸収に応答して第3の可視色を放出するように構成された第3の材料をさらに含み、前記第3の可視色が前記第1の可視色及び前記第2の可視色とは異なる、実施形態95に記載のエミッタ。
【0644】
実施形態98.前記第1の可視色、前記第2の可視色、及び前記第3の可視色が前記原色のうちの少なくとも2つである、実施形態97に記載のエミッタ。
【0645】
実施形態99.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Pd、Co、Ru、Rh、Al、Ga、またはそれらの組み合わせ、またはそれらの合金または層のうちの少なくとも1つを含む金属導体を含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0646】
実施形態100.前記エネルギーコンバータが、Y、YS、NaYF、NaYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La、TiO、LuPO、YVO、YbF、YF、NaドープされたYbF、またはSiO、またはそれらの合金または層の少なくとも1つ含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0647】
実施形態101.前記エネルギーコンバータが、Er、Eu、Yb、Tm、Nd、Tb、Ce、Y、U、Pr、La、Gd及び他の希土類種、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むドーパントをさらに含む、実施形態100に記載のエミッタ。
【0648】
実施形態102.前記ドーパントが0.01%~50%モル濃度の濃度で含まれる、実施形態101に記載のエミッタ。
【0649】
実施形態103.前記エネルギーコンバータは、Y;ZnS;ZnSe;MgS;CaS;Mn、ErZnSe;Mn、ErMgS;Mn、ErCaS;Mn、ErZnS;Mn、YbZnSe;Mn、YbMgS;Mn、YbCaS;Mn、YbZnS:Tb3+、Er3+;ZnS:Tb3+;Y:Tb3+;Y:Tb3+、Er3;ZnS:Mn2+;ZnS:Mn、Er3+の少なくとも1つを含むダウンコンバータを含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0650】
実施形態104.前記エネルギーコンバータは、Y、YS、NaYF、NaYbF、YAG、YAP、Nd、LaF、LaCl、La、TiO、LuPO、YVO、YbF、YF、NaドープされたYbF、またはSiOまたはそれらの合金または層の少なくとも1つ含むアップコンバータを含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0651】
実施形態105.前記エネルギーコンバータが、Tm3+ドープされたフルオロジルコン酸塩ガラス、LuPO:Yb3+、Tm3+、及びYbPO:Er3+ナノ結晶、テルル及びゲルマニウム酸化物、少なくとも1つのTm、Yb、Ho、Er、またはPrドープされたテルル及びゲルマニウム酸化物、Yb3+ドープされたBaZrO、Nd3+:CsNaGdCl、Nd3+、Yb3+:CsNaGdCl、Nd3+及びHo3+共ドープベースのZrFフッ化物ガラス、Tm3+/Yb3+-共ドープされたTeO-Ga-RO(R=Li、Na、K)ガラス、及び金属から配位子への電荷移動(MLCT)遷移材料、及び[Ru(dmb)2+(dmb=4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジン)を含むMLCT遷移材料の少なくとも1つを含むアップコンバータを含む、実施形態1に記載のエミッタ。
【0652】
実施形態106.顔料、及び
実施形態1~105のいずれか1つに記載のエミッタを含む、塗料。
【0653】
実施形態107.染料、及び
実施形態1~105のいずれか1つに記載のエミッタを含む、インク。
【0654】
実施形態108.カラーフィルタまたは色反射面のうちの少なくとも1つ、及び
前記カラーフィルタに、または前記色反射面の一部として含まれる、実施形態1~105のいずれか1つに記載のエミッタを含む、光ディスプレイ。
【0655】
実施形態109.UV光照射に曝された物体へのUV光損傷を緩和するための保護コーティングであって、
光散乱粒子と実施形態1~105のいずれか1つに記載のエミッタとの混合物、及び
前記混合物であって、UV光に曝されると、
前記UV光の第1の部分を可視光に変換し、
前記混合物から前記可視光の一部を放出し、
前記UV光の前記第2の部分が前記物体によって吸収されないように、前記混合物から前記UV光の第2の部分を反射するように構成される、前記混合物を含む、前記保護コーティング。
【0656】
実施形態110.光放出組成物であって、
前記可視光スペクトルよりも高いまたは低いエネルギーでエネルギー源に曝露されると、第1のターゲット色で可視光を放出するように構成された第1のカラーエミッタ、
前記エネルギー源に曝露されると、第2のターゲット色で可視光を放出するように構成される、第2のカラーエミッタ、及び
実施形態1~105のいずれか1つに記載のエミッタを含む、前記光放出組成物。
【0657】
実施形態111.カラーエミッタであって、
エネルギー源に曝露されると、波長の第1の帯域にわたるエネルギーの吸収に応答して、第1のターゲット色で可視光を放出するように構成された第1のカラーエミッタ、
前記エネルギー源に曝露されると、波長の第2の帯域にわたるエネルギーの吸収に応答して、第2のターゲット色で可視光を放出するように構成された第2のカラーエミッタ、及び
実施形態1~105のいずれか1つに記載のエミッタを含む、前記カラーエミッタ、を含む、化粧品。
【0658】
実施形態112.前記化粧品がスキンクリームである、実施形態111に記載の製品。
【0659】
実施形態113.前記化粧品がマスカラである、実施形態111に記載の製品。
【0660】
実施形態114.前記化粧品が、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアジェル、ヘアスタイリングコンパウンド、ヘアスプレー、及びヘアクリームからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、実施形態111に記載の製品。
【0661】
実施形態115.前記化粧品がリップクリームである、実施形態111に記載の製品。
【0662】
実施形態116.前記化粧品がチークである、実施形態111に記載の製品。
【0663】
実施形態117.表面からの可視光の放出を増強するための方法であって、
実施形態1~105のいずれか1つに記載のエミッタの少なくとも1つを前記表面に設けること、
前記表面及び前記少なくとも1つの色増強構造を、エネルギー源から適用されたエネルギーに曝すこと、及び
前記適用されたエネルギーの一部を可視光に変換することにより、少なくとも1つのターゲット色で前記可視光を放出することを含む、前記方法。
【0664】
実施形態118.塗料からの可視光放出を増強するための方法であって、
前記塗料の中または前記塗料の表面の近くに、実施形態1~105のいずれか1つに記載の構造の少なくとも1つを設けること、
前記表面及び前記少なくとも1つの構造を、エネルギー源から適用されたエネルギーに曝すこと、及び
前記適用されたエネルギーの一部を前記可視光に変換することにより、少なくとも1つのターゲット色で前記可視光を放出することを含む、前記方法。
【0665】
実施形態119.インクからの可視光放出を増強するための方法であって、
実施形態1~105のいずれか1つに記載の構造の少なくとも1つを前記インクに設けること、
前記インク及び前記少なくとも1つの色増強構造を、エネルギー源から適用されたエネルギーに曝すこと、及び
前記適用されたエネルギーの一部を前記可視光に変換することにより、少なくとも1つのターゲット色で前記可視光を放出することを含む、前記方法。
【0666】
実施形態120.ディスプレイからの可視光放出を増強するための方法であって、
前記ディスプレイのカラーフィルタまたは色反射面に、実施形態1~105のいずれか1つに記載の構造の少なくとも1つを設けること、
前記カラーフィルタまたは色反射面、及び前記少なくとも1つの色増強構造を、エネルギー源からの適用されたエネルギーに曝すこと、及び
前記適用されたエネルギーの一部を前記可視光に変換することにより、少なくとも1つのターゲット色で前記可視光を放出することを含む、前記方法。
【0667】
実施形態121.エネルギーまたは色増強デバイスであって、
少なくとも1つのエネルギー増大構造を含むエネルギーコレクタ、及び
印加された電磁エネルギーを受け取り、前記印加された電磁エネルギーを変換し、そこから、前記印加された電磁エネルギーからの波長/エネルギーにシフトされた放出エネルギーの波長を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記エネルギー増大構造の近くに配置された前記エネルギーコンバータを含み、
前記エネルギー増大構造は、前記構造の対向する要素間に電界を設けるように構成される、前記エネルギーまたは色増強デバイス。
【0668】
実施形態122.エネルギーまたは色増強デバイスであって、
少なくとも1つのエネルギー増大構造を含むエネルギーコレクタ、及び
印加された電磁エネルギーを受け取り、前記印加された電磁エネルギーを変換し、そこから、前記印加された電磁エネルギーからの波長/エネルギーにシフトされた放出エネルギーの波長を放出することができるエネルギーコンバータであって、前記エネルギー増大構造の近くに配置された前記エネルギーコンバータを含み、
前記エネルギーコレクタは分岐アンテナからエネルギーを収集する、前記エネルギーまたは色増強デバイス。
【0669】
実施形態123.前記分岐アンテナの各アレイ要素は、金属コア及び誘電体クラッドを含む、実施形態122に記載のデバイス。
【0670】
実施形態124.エネルギーまたは色増強デバイスであって、
任意選択で少なくとも1つのエネルギー増大構造を含むエネルギーコレクタ、及び
少なくとも1つの音響、振動、及び超音波エネルギーを受け取り、前記受け取ったエネルギーを変換し、そこから前記エネルギーコンバータからの光の波長を放出することができる機械発光エミッタを含むエネルギーコンバータを含む、前記エネルギーまたは色増強デバイス。
【0671】
実施形態125.前記機械発光エミッタが、電界発光材料に接続されてそれによって複合エミッタを形成する圧電材料を含む、実施形態124に記載のデバイス。
【0672】
実施形態126.電磁エネルギーの1つまたは複数の波長を捕捉し、少なくとも1つの特性において電磁エネルギーの前記1つまたは複数の波長を増強することができる、エネルギー増大構造。
【0673】
実施形態127.前記エネルギー増大構造が、レゾネータ、フラクタルアンテナ、電気グリッドパターン、アンテナ、空洞、エタロン、ナノ粒子、微粒子、ナノ構造、及び微細構造からなる群から選択される少なくとも1つの非プラズモンメンバーである、実施形態126に記載のエネルギー増大エミッタ。
【0674】
実施形態128.間に電界が向けられた対向する電極を有する折り畳まれたレゾネータを含む、実施形態126に記載のエネルギー増大構造。
【0675】
実施形態129.前記対向する電極が、前記折り畳まれたレゾネータの外部に向けられ、互いに平行である、実施形態128に記載のエネルギー増大構造。
【0676】
実施形態130.前記対向する電極が前記折り畳まれたレゾネータの内部に向けられ、互いに平行である、実施形態128に記載のエネルギー増大構造。
【0677】
実施形態131.前記折り畳まれたレゾネータが3/4λの折り畳まれたレゾネータを含む、実施形態128~130のいずれか1つに記載のエネルギー増大構造。
【0678】
実施形態132.前記折り畳まれたレゾネータが、同心円状に配置され、任意選択で互いに同一平面上にある複数の前記折り畳まれたレゾネータであり、その結果、各折り畳まれたレゾネータの前記外部の対向する電極が、前記複数の折り畳まれたレゾネータの他の前記外部の対向する電極と空間的に重ならないようにする、実施形態128に記載のエネルギー増大構造。
【0679】
実施形態133.前記折り畳まれたレゾネータは、同心円状に配置され、任意選択で互いに同一平面上にある複数の前記折り畳まれたレゾネータであり、その結果、各折り畳まれたレゾネータの前記外部の対向する電極が、前記複数の折り畳まれたレゾネータの他の1つまたは複数の前記外部の対向する電極と空間的に重なるようにする、実施形態128に記載のエネルギー増大構造。
【0680】
実施形態134.エネルギーコレクタであって、少なくとも1つのエネルギー増大構造、及び印加された電磁エネルギーを受け取り、前記印加された電磁エネルギーを変換し、そこから前記印加された電磁エネルギーからの波長またはエネルギーにシフトされた放出された電磁エネルギーを放出することができる少なくとも1つのエネルギーコンバータであって、前記エネルギーコンバータが前記少なくとも1つのエネルギー増大構造から離れていた場合と比較して、前記放出された電磁エネルギーが少なくとも1つの増強された特性で放出されるように、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置される、前記エネルギーコンバータを含む、前記エネルギーコレクタ。
【0681】
実施形態135.前記少なくとも1つのエネルギーコンバータは、リン光物質、発光団、電界発光粒子、アップコンバータ、ダウンコンバータ、及びシンチレータからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、実施形態134に記載のエネルギーコレクタ。
【0682】
実施形態136.前記エネルギー増大構造が、レゾネータ、フラクタルアンテナ、電気グリッドパターン、アンテナ、空洞、エタロン、ナノ粒子、微粒子、ナノ構造、及び微細構造、からなる群から選択される少なくとも1つの非プラズモンメンバーである、実施形態134に記載のエネルギーコレクタ。
【0683】
実施形態137.前記エネルギーコンバータを前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに配置することは、前記少なくとも1つのエネルギーコンバータを、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造に導電的に結合することを含む、実施形態134に記載のエネルギーコレクタ。
【0684】
実施形態138.導電的に結合することが、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の近くに前記少なくとも1つのエネルギーコンバータを有し、前記少なくとも1つのエネルギー増大構造内に物理的に位置付けられ、または前記少なくとも1つのエネルギー増大構造の発生した電界内に位置付けられることを含む、実施形態137に記載のエネルギーコレクタ。
【0685】
実施形態139.導電的に結合することが、前記少なくとも1つのエネルギーコンバータと前記少なくとも1つのエネルギー増大構造との間の物理的導電性接続を含む、実施形態137に記載のエネルギーコレクタ。
【0686】
実施形態140.前記印加される電磁エネルギーが、電波、マイクロ波、遠赤外線、近赤外線、可視光、UV、X線、ガンマ線、電子ビーム、及びプロトンビームから選択される、実施形態134に記載のエネルギーコレクタ。
【0687】
実施形態141.前記少なくとも1つのエネルギー増大構造が、前記印加された電磁エネルギーと共鳴するように寸法決定された第1のレゾネータを含み、前記第1のレゾネータが任意選択でフラクタルパターンを含む、実施形態134に記載のエネルギーコレクタ。
【0688】
実施形態142.前記エネルギー増大構造が、間に電界が向けられた状態で対向する電極を有する折り畳まれたレゾネータを含む、実施形態134に記載のエネルギーコレクタ。
【0689】
実施形態143.前記対向する電極が、前記折り畳まれたレゾネータの外部に向けられ、互いに平行である、実施形態140に記載のエネルギーコレクタ。
【0690】
実施形態144.前記対向する電極が、前記折り畳まれたレゾネータの内部に向けられ、互いに平行である、実施形態140に記載のエネルギーコレクタ。
【0691】
実施形態145.前記折り畳まれたレゾネータが3/4λの折り畳まれたレゾネータを含む、実施形態142~144のいずれか1つに記載のエネルギーコレクタ。
【0692】
実施形態146.前記折り畳まれたレゾネータが、同心円状に配置され、任意選択で互いに同一平面上にある複数の前記折り畳まれたレゾネータであり、その結果、各折り畳まれたレゾネータの前記外部の対向する電極が、前記複数の折り畳まれたレゾネータの他の前記外部の対向する電極と空間的に重ならないようにする、実施形態142に記載のエネルギーコレクタ。
【0693】
実施形態147.前記折り畳まれたレゾネータが、同心円状に配置され、任意選択で互いに同一平面上にある複数の前記折り畳まれたレゾネータであり、その結果、各折り畳まれたレゾネータの前記外部の対向する電極が、前記複数の折り畳まれたレゾネータの他の1つまたは複数の前記外部の対向する電極と空間的に重なるようにする、実施形態142に記載のエネルギーコレクタ。
【0694】
上述の教示に照らして当発明の多くの修正及び変形が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書に具体的に記載した以外の方法で実行されてよいことを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図20
図21
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図24A
図24B
図25A
図25B
図26
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図28A
図28B
図28C
図28D
図29
図30
図31
図32
図33
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図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
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図50
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図54