(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ディスプレイ光学フィルム及びバックライトユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240927BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240927BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240927BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B5/20
G02F1/13357
G02F1/1335 505
(21)【出願番号】P 2021552989
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2020051339
(87)【国際公開番号】W WO2020183260
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-17
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ,ジル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ストバー,カール エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マシュー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ファビック,ライアン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】サンフォード,クイン ディー.
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-250472(JP,A)
【文献】特表平09-506837(JP,A)
【文献】特開2013-003409(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0127542(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02B 5/20
G02F 1/13357
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルに照明を提供するためのバックライトと、前記バックライトの上に配置されたディスプレイパネルとを備えるディスプレイであって、
前記ディスプレイパネルは、
前記バックライトから第1の波長を有する光を受光し、前記受光された光の第1の部分を、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する光に変換し、かつ前記受光された光の第2の部分を、前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長を有する光に変換するための、光変換層を備え、
前記バックライトは、
光学積層体と、光学反射体と、少なくとも1つの光源と、を備え、
前記光学積層体は、
少なくとも400nm~600nmにわたる所定の波長範囲で光を反射及び透過するための光学積層体であって、前記所定の波長範囲が前記所定の波長範囲内の第1の波長範囲、及び前記所定の波長範囲から前記第1の波長範囲を除いた残りの波長範囲を規定し、前記光学積層体が、積層された第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムを備え、
実質的に垂直に入射する光に対して、前記第1の波長範囲内の各波長に対して、前記第1の光学フィルムが、第1の偏光状態を有する光の少なくとも80%を反射し、直交する第2の偏光状態を有する光の少なくとも80%を透過し、
前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれについて、
前記第1の波長範囲の各波長に対して、前記第2の光学フィルムが、第1の入射角で入射する光に対して最大光透過率Tmaxを有し、前記第1の入射角よりも50度未満だけ大きい第2の入射角で入射する光に対する光透過率がTmaxの1/2であり、
前記残りの波長範囲の各波長に対して、前記第2の光学フィルムが、光の少なくとも80%を反射し、
前記第1の波長範囲が、青色波長範囲を含み、前記残りの波長範囲が、緑色波長範囲及び赤色波長範囲を含み、
前記第1の光学フィルムが、前記第1の波長範囲に対応する光の波長に対して最適化されており、
前記光学反射体は、前記光学積層体に隣接して配置され、かつそれらの間に光学空洞を画定する光学反射体であって、前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれについて、前記所定の波長範囲内の各波長に対して、光の少なくとも80%を反射するように構成され、
前記少なくとも1つの光源は、前記第1の波長範囲内の光を前記光学空洞内に放出するように構成されている、
ディスプレイ。
【請求項2】
前記第1の波長範囲が、400nm~480nmにわたる、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記所定の波長範囲の各波長に対して、前記第1の光学フィルムが、前記第1の偏光状態を有する光の少なくとも80%を反射し、前記第2の偏光状態を有する光の少なくとも80%を透過する、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記第2の光学フィルムが、100~700の番号が付けられた複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を備え、各第1のポリマー層及び各第2のポリマー層が、隣接する第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各ペアに対して、500nm未満の平均厚さを有し、
前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の平面内で、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層が、前記第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、前記第2の偏光状態に沿ってn1y及びn2y、並びに前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zのそれぞれの屈折率を有し、前記所定の波長範囲の少なくとも1つの波長に対して、
n1x及びn1yのそれぞれが、n1zよりも少なくとも0.1だけ大きく、
n1xとn1xとの間の差が、0.05未満であり、
n2xとn2yとn2zとの間の最大差が、0.01未満であり、
n1xとn2xとの間の差が、0.2よりも大きい、
請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記第1の波長が青色波長であり、前記第2の波長が緑色波長であり、前記第3の波長が赤色波長である、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記光変換層が光変換緑色蛍光体、光変換赤色蛍光体、光変換量子ドットのうちの少なくとも一つを備える、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項7】
425nm~475nmにわたる青色波長範囲の各波長に対して、
前記第2の偏光状態について、前記光学積層体が、実質的にゼロの入射角に対して最大光透過率T1、及び45度未満で入射する光に対して光透過率T1/2を有し、
前記第1の偏光状態について、前記光学積層体が、0度~70度の入射角に対して最大光透過率T2を有し、T1/T2>5であり、
525nm~575nmにわたる緑色波長範囲、及び625nm~675nmにわたる赤色波長範囲のそれぞれの波長に対して、前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれについて、前記光学積層体が、0度~70度の入射角に対してTT未満の最大光透過率を有し、T1/TT>5である、
請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記バックライトが、実質的に可視スペクトルの単一の原色波長範囲内で光を放出するように構成され、前記放出される光が、実質的にコリメートされ、50度未満の半角発散を有する、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項9】
前記単一の原色波長範囲が青色波長範囲(20’)である、請求項
8に記載のディスプレイ。
【請求項10】
前記バックライトによって放出される前記光が実質的に直線偏光されている、請求項
8に記載のディスプレイ。
【請求項11】
前記バックライトによって放出される前記光が、第1の偏光状態(Px)及び第1の強度を有する放出される光の第1の部分と、直交する第2の偏光状態(Py)及び第2の強度を有する放出される光の第2の部分とを有し、前記第2の強度の前記第1の強度に対する比率が10よりも大きい、請求項
8に記載のディスプレイ。
【請求項12】
実質的に直線偏光された青色光を放出するように構成されており、
425nm~475nmにわたる青色波長範囲内で前記バックライトによって放出され、かつ第1の偏光状態を有する光が、前記バックライトに対して実質的に垂直な法線方向に沿って最大強度T1、及び45度未満の半角発散を有し、
青色波長範囲内で前記バックライトによって放出され、直交する第2の偏光状態を有し、かつ法線方向に対して0度~70度の角度をなす第1の角度範囲内で伝播している光が、最大光透過率T2を有し、
前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれについて、前記第1の角度範囲内を伝播する光に対して、前記光が最大光透過率:
525nm~575nmにわたる緑色波長範囲に対してT3、及び
625nm~675nmにわたる赤色波長範囲に対してT4を有し、T1/T2、T1/T3、及びT1/T4のそれぞれが5よりも大きい、
請求項
8に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本明細書のいくつかの態様では、所定の波長範囲で光を反射及び透過するための光学積層体が提供される。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲は、少なくとも約400ナノメートル(nm)~約600nmにわたってもよく、かつ所定の波長範囲内の第1の波長範囲、及び所定の波長範囲内の残りの波長範囲を規定してもよい。光学積層体は、積層された第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムを含んでもよく、それによって、実質的に垂直に入射する光に対して、少なくとも第1の波長範囲内の各波長に対して、第1の光学フィルムは、第1の偏光状態Pxを有する光の少なくとも80%を反射し、直交する第2の偏光状態Pyを有する光の少なくとも80%を透過する。第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれについて、第1の波長範囲の各波長に対して、第2の光学フィルムは、第1の入射角(θ1)で入射する光に対して最大光透過率Tmax、及び第2の入射角(θ2)で入射する光に対して光透過率Tmax/2を有し、第2の入射角は第1の入射角よりも約50度未満だけ大きい。残りの波長範囲の各波長に対して、第2の光学フィルムは、光の少なくとも80%を反射する。
【0002】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイパネルに照明を提供するためのバックライトが提供される。いくつかの実施形態では、バックライトは、実質的に可視スペクトルの単一の原色波長範囲内で光を放出するように構成されてもよい。放出される光は、実質的にコリメートされてもよく、約50度未満の半角発散(α)を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】本明細書の一実施形態に係る、LCDディスプレイの断面図である。
【
図2】本明細書の一実施形態に係る、
図1のディスプレイに適用可能な波長範囲を示す図である。
【
図3】本明細書の一実施形態に係る、光学フィルムに入射する光の光透過率パターンを示す図である。
【
図4A】本明細書の一実施形態に係る、第1の光学フィルムを示す図である。
【
図4B】本明細書の一実施形態に係る、第2の光学フィルムを示す図である。
【
図5】本明細書の一実施形態に係る、青色の光の波長に対する光学積層体の透過率を示す図である。
【
図6】本明細書の一実施形態に係る、緑色の光の波長に対する光学積層体の透過率を示す図である。
【
図7】本明細書の一実施形態に係る、赤色の光の波長に対する光学積層体の透過率を示す図である。
【
図8】本明細書の一実施形態に係る、様々な入射角で光学フィルムに入射する光に対する光透過率値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0005】
液晶ディスプレイ(LCD)のバックライト技術は、カラー及びコントラクト性能に関して有機LED(OLED)ディスプレイの性能に適合するように、ミニ及び/又はマイクロ発光ダイオード(LED)を使用して、高ダイナミックレンジ(HDR)ディスプレイに向かって漸進的に移行する取り組みがされている。加えて、当業界は、青色の光の波長を放出するLEDのみがバックライトユニットに使用され、狭い発光蛍光体及び/又は量子ドットを有する「ダウンコンバージョン」シートを使用して、青色のみの光を白色光に変換する青色によるバックライト(color-by-blue backlight)で、従来の白色バックライトを置き換え始めている。簡略化された製造、簡略化されたアーキテクチャ、より低いシステムコストなどを含む、青色のみのバックライトにはいくつかの利点がある。ついに、LCDパネル製造業者は、LCDの従来の色吸収フィルタをダウンコンバートフィルタに置き換える(すなわち、スタンドアロンシートではなく、ダウンコンバート材料をパネル内に直接堆積させる)ことを実証した。ダウンコンバート材料をLCDパネルに移動させることには、インセル偏光子の開発を必要とする。LCD技術におけるこの進歩は、本明細書に記載されるように、特に青色のみのバックライトユニットに対して最適化された光学フィルム及びバックライトアーキテクチャを含む、LCDバックライトでの従来にない解決策の複数の機会を提供する。
【0006】
本明細書のいくつかの態様によれば、所定の波長範囲で光を反射及び透過するための光学積層体が提供される。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲は、少なくとも約400nm~約600nmにわたってもよく、かつ所定の波長範囲内の第1の波長範囲、及び所定の波長範囲内の残りの波長範囲を規定してもよい。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲は、主に青色の光の波長を表す約400nm~約480nmにわたってもよい。
【0007】
光学積層体は、積層された第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学フィルムは、反射偏光子であってもよい。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、第1の波長範囲(例えば、人間には見える青色光又はそのサブセット)に対応する光の波長に対して最適化され得る。いくつかの実施形態では、実質的に垂直に入射する光に対して、少なくとも第1の波長範囲内の各波長に対して、第1の光学フィルムは、第1の偏光状態Pxを有する光の少なくとも80%を反射することができ、直交する第2の偏光状態Pyを有する光の少なくとも80%を透過することができる。いくつかの実施形態では、Pxは、直線s-偏光タイプの光を表し得、Pyは、直線p-偏光タイプの光を表し得る。他の実施形態では、Pxは、直線p-偏光タイプの光を表し得、Pyは、直線s-偏光タイプの光を表し得る。しかしながら、Px及びPyは、任意の適切な、異なる直交偏光タイプであってもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2の光学フィルムは、コリメート多層光学フィルムであってもよい。いくつかの実施形態では、コリメート多層光学フィルムは、第1の波長範囲(例えば、人間には見える青色光又はそのサブセット)に対応する光の波長に対して最適化することができ、残りの波長範囲(例えば、人間には見える赤色及び緑色光、又はそれらのサブセット)に対応する光の波長を実質的に反射することができる。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれについて、第1の波長範囲の各波長に対して、第2の光学フィルムは、第1の入射角(θ1)で入射する光に対して最大光透過率Tmax、及び第2の入射角(θ2)で入射する光に対して光透過率Tmax/2を有し得、第2の入射角は、第1の入射角よりも約50度未満だけ大きい。残りの波長範囲の各波長に対して、第2の光学フィルムは、光の少なくとも80%を反射することができる。
【0009】
本明細書のいくつかの態様によれば、ディスプレイパネルに照明を提供するバックライトが提供される。いくつかの実施形態では、バックライトは、可視スペクトル(例えば、人間には見える青色光に対応する波長)の単一の原色波長範囲内で実質的に光を放出するように構成されてもよい。放出される光は、実質的にコリメートされてもよく、約50度未満の半角発散(α)を有し得る。いくつかの実施形態では、単一の原色波長範囲は、青色波長範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、バックライトによって放出される光は、実質的に直線偏光されていてもよい。例えば、バックライトによって放出される光は、ディスプレイ上に画像を作成するために、LCDモジュールによって選択的に遮断又は透過され得る直線偏光タイプ(例えば、s-偏光、又はp-偏光)であってもよい。いくつかの実施形態では、バックライトによって放出される光は、第1の偏光状態Px及び第1の強度を有する放出される第1の光部分と、直交する第2の偏光状態Py及び第2の強度を有する放出される第2の光部分とを有し得、第2の強度の第1の強度に対する比率は約10よりも大きい。
【0010】
いくつかの実施形態では、
図1のバックライトは、実質的に直線偏光された青色光を放出するように構成されてもよく、(例えば、約425nm~約475nmにわたる)青色波長範囲内でバックライトによって放出され、かつ第1の偏光状態P
xを有する光が、バックライトに対して実質的に垂直な法線方向に沿って最大強度T1、及び約45度未満の半角発散(α1)を有し、青色波長範囲内でバックライトによって放出され、直交する第2の偏光状態P
yを有し、かつ法線方向に対して約0度~約70度の角度をなす第1の角度範囲内で伝搬している光が、最大光透過率T2を有し、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれの光について、第1の角度範囲内での伝搬する光に対して、光が、約525nm~約575nmにわたる緑色波長範囲に対して最大光透過率T3、及び約625nm~約675nmにわたる赤色波長範囲に対して最大光透過率T4を有し、T1/T2、T1/T3及びT1/T4のそれぞれが約5よりも大きい。
図5~
図7は、光学積層体の光透過率値に関連する追加情報を提供しており、本明細書の他の箇所でより詳細に説明する。
【0011】
ここで図面を参照すると、
図1は、本明細書に記載される実施形態に係る、ディスプレイとバックライトとアセンブリの断面図を提供している。ディスプレイ400は、バックライト200上に配置され、かつバックライト200によって放出される光を受光するように構成されたディスプレイパネル300を含む。バックライト200は、ディスプレイパネル300に照明を提供し、かつ光学積層体100と、光学反射体70と、少なくとも1つの光源90と、を含む。光学反射体70は、光学積層体100に隣接して配置され、光学反射体70と光学積層体100との間に光学空洞80が画定されている。光学反射体70は、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれについて、所定の波長範囲の各波長に対して、光の少なくとも80%を反射するように構成されている。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲は、少なくとも約400nm~約600nmにわたってもよい。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲は、所定の波長範囲内の第1の波長範囲、及び所定の波長範囲内の残りの波長範囲を規定してもよい。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲は、主に青色の光の波長を表す約400nm~約480nmにわたってもよい。いくつかの実施形態では、光学反射体70は、第1の波長範囲に対して最適化され得る(例えば、第1の波長範囲の波長を実質的に反射することができ、残りの波長範囲内の波長を実質的に透過又は吸収することができる)。いくつかの実施形態では、光源90は、第1の波長範囲内の光を光学空洞80内に放出するように構成されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、光学積層体100は、所定の波長範囲で光を反射及び透過するように構成され、所定の波長範囲は第1の波長範囲及び残りの波長範囲を規定する。いくつかの実施形態では、光学積層体100は、第1の光学フィルム40及び第2の光学フィルム50を備える。いくつかの実施形態では、第1の光学フィルム40は、反射偏光子であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の光学フィルム50は、コリメート多層光学フィルムであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の光学フィルム50は、第1の光学フィルム40と光学反射体70との間に配置されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の光学フィルム40は、ハイブリッド反射/吸収型偏光子であってもよい。これにより、いくつかの実施形態では、LCDパネル内の吸収型偏光子を排除すること、又はバックライト偏光コントラスト比を増大させることが可能になり得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、光学積層体100は、第1の光学フィルム40と第2の光学フィルム50との間に配置され、互いを結合する結合層60を含み得る。いくつかの実施形態では、光学積層体100は、第1の光学フィルム40及び第2の光学フィルム50と共に積層された光学拡散体110を含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学拡散体110は、第1の光学フィルム40と第2の光学フィルム50との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学フィルム40と第2の光学フィルム50との間に配置された結合層60はまた、光学拡散体110であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、光学拡散体110は、第1の波長範囲内では光をより多く拡散し、残りの波長範囲内ではあまり拡散しないように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、光学拡散体110は、光学積層体100から出ていく光120が依然として少なくとも部分的にコリメートされ得るように、低ヘイズで低透明度の拡散体であってもよい。例えば、放出される光120は、拡散体110の表面に垂直な線から約50度未満の半角発散αを有し得る。いくつかの実施形態では、結合層は、光学積層体100とディスプレイパネル300との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、結合層は、光学的に透明な接着剤であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、バックライト200は、第1の波長範囲の光を放出する少なくとも1つの光源90を含んでもよい。いくつかの実施形態では、バックライト200は、残りの波長範囲内の光を光学空洞80内に放出するいかなる光源90も含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光源90aは、光学積層体100と光学反射体70との間の光学空洞80の内部81に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光源90b/90cは、光学空洞80の外側に、側面82/83に近接して配置されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、光学積層体100は、厚さH1を有してもよく、光学空洞は、光学積層体100と光学反射体70との間の距離として画定される高さH2を有してもよく、その結果、比率H2/(H1+H2)は、約0.65よりも大きい。
【0018】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ400は、バックライト200上に配置され、かつバックライト200によって放出される光120を受光するように構成されたディスプレイパネル300を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル300は、インセル偏光子層135を含んでもよい。いくつかの実施形態では、インセル偏光子層135に隣接して、光変換層137が配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光変換層137は、第1の波長を有し、かつバックライトから受光された光の少なくとも一部分を、異なる第2の波長を有する光に変換することができる。例えば、いくつかの実施形態では、光変換層137は、第1の波長を有し、かつバックライトから受光された光の少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%を、異なる第2の波長を有する光に変換することができる。いくつかの実施形態では、光変換層137は、受光された光(例えば、青色波長の光)の第1の部分を、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光(例えば、赤色波長の光)に変換することができ、受光された光(例えば、青色波長の光)の第2の部分を、第1の波長及び第2の波長とは異なる第3の波長を有する光(例えば、緑色波長の光)に変換することができる。
【0019】
例えば、いくつかの実施形態では、光変換層137を、ディスプレイパネル300の個々の赤色画素、緑色画素、及び青色画素を表すより小さい部分(すなわち、光変換素子)137R、137G、及び137Bに、それぞれパターン化してもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル300に入ってくる入射光120は、実質的に第1の波長範囲(例えば、青色波長範囲)の光の波長を含むことになる。青色波長が素子137Rに入ると、青色波長は素子137Rによって吸収され、赤色波長として放出される(すなわち、変換される)。青色波長が素子137Gに入ると、青色波長は素子137Gによって吸収され、緑色波長として放出される(すなわち、変換される)。いくつかの実施形態では、光変換素子137Rは、光変換蛍光体を包含しても、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、137R内の光変換蛍光体は、赤色蛍光体であってもよい。いくつかの実施形態では、光変換素子137Rは、光変換量子ドットを包含しても、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、137R内の光変換量子ドットは、青色光を赤色光に変換するための赤色量子ドットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光変換素子137Gは、光変換蛍光体を包含しても、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、137G内の光変換蛍光体は、緑色蛍光体であってもよい。いくつかの実施形態では、光変換素子137Gは、光変換量子ドットを包含しても、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、137G内の光変換量子ドットは、青色光を緑色光に変換するための緑色量子ドットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光変換素子137のうちの1つ以上は、青色光を白色光に変換するための量子ドットの混合物を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、光変換素子137Bは、入射光120がすでに実質的に第1の波長範囲の光の波長からなり得る(すなわち、すでに青色波長であり得る)ため、透明であってもよい(例えば、光変換蛍光体又は量子ドットを包含しなくてもよい)。いくつかの実施形態では、素子137Bから放出される青色光が素子137R及び137Gから放出される光として拡散するように、光変換素子137Bを局所拡散層と組み合わせてもよい。素子137R及び137Gを通過する光が吸収され、異なる波長で再放出されるとき、要素137R及び137Gによって放出される光は、すでに拡散のレベルを呈する(すなわち、蛍光体及び/又は量子ドットによって吸収され再放出される光が拡散パターンで一斉に照射される)。
【0021】
図2は、本明細書の一実施形態に係る、
図1のディスプレイ400に適用可能な様々な波長範囲を示す図である。いくつかの実施形態では、光学積層体100(
図1)は、所定の波長範囲10で光を反射及び/又は透過するように構成されている。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲10は、約400nm~約600nmにわたってもよい。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲10は、第1の波長範囲20及び残りの波長範囲30を規定してもよい。いくつかの実施形態では、
図2の上部に示されるように、残りの波長範囲30は不連続であってもよく、第1の波長範囲20外の、所定の波長範囲10からの光の波長を含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、
図2の下部に示されるように、第1の波長範囲20’は、青色波長範囲を含んでもよく、残りの波長範囲30’は、緑色波長範囲30a及び赤色波長範囲30bを含んでもよい。ディスプレイ400(
図1)の様々な素子は、第1の波長範囲20’に対して最適化されてもよい(例えば、
図1に示される実施形態の光源90によって放出される青色波長などの、青色波長で最良に機能するように最適化されてもよい)。
【0023】
図3は、本明細書の一実施形態に係る、
図1の第2の光学フィルム50に入射する光の光透過率パターンを示す図である。いくつかの実施形態では、第2の光学フィルム50は、コリメート多層光学フィルムであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれについて、第1の波長範囲の各波長に対して、第2の光学フィルム50は、第1の入射角(θ1)で入射する光120aの最大光透過率T
max、及び第1の入射角よりも約50未満だけ大きい第2の入射角(θ2)で入射する光120bの光透過率T
max/2を有する。いくつかの実施形態では、θ1は約0度であってもよく、θ2は約45度未満であってもよく、T
maxは約70%よりも大きくてもよい。
図8は、第2の光学フィルム50の例示的な実施形態の、光透過率値対入射角のプロットを示している。
図8の更なる議論は、本明細書の他の箇所に提示される。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムはそれぞれ、ポリマー材料の複数の層から構成されてもよい。
図4A及び
図4Bはそれぞれ、第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムの実施形態を示している。
図4Aは、複数の交互の第1のポリマー層41及び第2のポリマー層42を含む、第1の光学フィルム40の実施形態を示している。いくつかの実施形態では、組み合わされた交互の第1のポリマー層41及び第2のポリマー層42は、100~700の数であり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリマー層41及び第2のポリマー層42はそれぞれ、約500nm未満、又は約400nm未満、又は約300nm未満、又は約200nm未満、又は約100nm未満の平均厚さを有し得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、隣接する第1のポリマー層41及び第2のポリマー層42の各ペアに対して、第1のポリマー層41及び第2のポリマー層42の平面内で、第1のポリマー層41及び第2のポリマー層42は、第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、第2の偏光状態に沿ってn1y及びn2y、並びに第1の偏光状態及び第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zのそれぞれの屈折率を有し得、所定の波長範囲の少なくとも1つの波長に対して、n1xは、n1y及びn1zのそれぞれよりも少なくとも0.2だけ大きく、n1yとn1zとの間の差は、約0.05未満であり、n2xとn2yとn2zとの間の最大差は、約0.01未満であり、n1xとn2xとの間の差は、約0.2よりも大きい。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の光学フィルム40は、複数の交互の第1のポリマー層41及び第2のポリマー層42の反対側の上面及び下面にそれぞれ配置された、上部スキン層43及び下部スキン層44を含んでもよい。いくつかの実施形態では、各スキン層43/44は、約5マイクロメートルよりも大きい厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、複数の交互の第1のポリマー層41及び第2のポリマー層42は、第1の複数45の交互の第1のポリマー層41及び第2のポリマー層42と、第2の複数46の交互の第1のポリマー層41及び第2のポリマー層42とに分割されてもよく、第1の複数45及び第2の複数46は、約1マイクロメートルよりも大きい厚さを有するスペーサ層47によって互いから分離されている。
【0027】
図4Bは、複数の交互の第1のポリマー層51及び第2のポリマー層52を含む、第2の光学フィルム50の実施形態を示している。いくつかの実施形態では、組み合わされた交互の第1のポリマー層51及び第2のポリマー層52は、100~700の数であり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリマー層51及び第2のポリマー層52はそれぞれ、約500nm未満の平均厚さを有し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、隣接する第1のポリマー層51及び第2のポリマー層52の各ペアに対して、第1のポリマー層51及び第2のポリマー層52の平面内で、第1のポリマー層51及び第2のポリマー層52は、第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、第2の偏光状態に沿ってn1y及びn2y、並びに第1の偏光状態及び第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zのそれぞれの屈折率を有し得、所定の波長範囲の少なくとも1つの波長に対して、n1x及びn1yのそれぞれが、n1zよりも少なくとも0.1だけ大きく、n1xとn1xとの間の差は、約0.05未満であり、n2xとn2yとn2zとの間の最大差は、約0.01未満であり、n1xとn2xとの間の差は、約0.2よりも大きい。
【0029】
いくつかの実施形態では、第2の光学フィルム50は、複数の交互の第1のポリマー層51及び第2のポリマー層52の反対側の上面及び下面に配置された、上部スキン層53及び下部スキン層54を含んでもよい。いくつかの実施形態では、各スキン層53/54は、約5マイクロメートルよりも大きい厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、複数の交互の第1のポリマー層51及び第2のポリマー層52は、第1の複数55の交互の第1のポリマー層51及び第2のポリマー層52と、第2の複数56の交互の第1のポリマー層51及び第2のポリマー層52とに分割されてもよく、第1の複数55及び第2の複数56は、約1マイクロメートルよりも大きい厚さを有するスペーサ層57によって互いに分離される。
【0030】
図5、
図6、及び
図7は、本明細書の光学積層体の実施形態の様々な入射角における、青色、緑色、及び赤色の光の波長に対する光透過率値をそれぞれ示している。
図5は、
図1の光学積層体などの例示的な光学積層体の、青色の光の波長に対する透過率、具体的には約425nm~約475nmにわたる波長に対する透過率を示している。
図6は、例示的な光学積層体の、緑色の光の波長に対する透過率、具体的には約525nm~約575nmにわたる波長に対する透過率を示している。
図8は、例示的な光学積層体の、赤色の光の波長に対する透過率、具体的には約625nm~約675nmにわたる波長に対する透過率を示している。
【0031】
図5に戻ると、光学積層体のいくつかの実施形態では、約425nm~約475nmにわたる青色波長範囲の各波長に対して、光学積層体は、第2の偏光状態P
yの光について、実質的にゼロ度の入射角に対して最大光透過率T1、及び約45度未満で入射する光に対して光透過率T1/2を有し得ることが示されている。第1の偏光状態P
xの光の場合、いくつかの実施形態では、光学積層体は、約0~約70度の入射角に対して最大光透過率T2を有し、T1/T2は約5よりも大きい。いくつかの実施形態では、T1/T2の比率は、約10よりも大きい。
【0032】
図6及び
図7を参照すると、光学積層体のいくつかの実施形態では、約525nm~約575nmにわたる緑色波長範囲の各波長(
図6)に対して、及び約625nm~約675nmにわたる赤色波長範囲の各波長(
図7)に対して、並びに第1の偏光状態P
x及び第2の偏光状態P
yのそれぞれについて、光学積層体は、約0度~約70度の入射角に対して、値TTよりも小さい最大光透過率(緑色波長についてはT3、
図6、赤色波長についてはT4、
図7)を有し、TTに対する最大光透過率T1の比率は約5より大きくなり得る。いくつかの実施形態では、T1/TTの比率は、約10より大きくてもよい。
【0033】
図1に示されるように、光学積層体100は、第1の光学フィルム40と第2の光学フィルム50とを備え得る。いくつかの実施形態では、第2の光学フィルム50は、コリメート多層光学フィルムであってもよい。
図5に戻ると、いくつかの実施形態では、約425nm~約475nm(すなわち、青色波長範囲)にわたる波長範囲の各波長に対して、第2の光学フィルム50は、実質的にゼロ度の入射角に対して約80%よりも大きい光透過率、及び約45度未満で入射する光に対して約50%未満の光透過率を有し得る。いくつかの実施形態では、約525nm~約575nmにわたる緑色波長範囲(
図6)、及び約625nm~約675nmにわたる赤色波長範囲(
図7)のそれぞれの波長に対して、第2の光学フィルムは、約0度~約70度の入射角に対して光の少なくとも90%を反射することができる。
【0034】
図8は、第2の光学フィルム50の例示的な実施形態の、光透過率値対入射角のプロットを示している。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態Px及び第2の偏光状態Pyのそれぞれについて、第1の波長範囲(例えば、青色波長範囲)の各波長に対して、第2の光学フィルム50は、第1の入射角(例えば、約0度)における光に対して最大光透過率T
max、及び第1の入射角よりも約50度未満だけ大きい第2の入射角(例えば、約45度)において光透過率T
max/2を有する。
【0035】
「約、ほぼ(about)」などの用語は、それらが本明細書の記載に使用され記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的性質を表す量に適用される「約」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「約」は、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されるであろう。特定の値の約として与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、約1の値を有する量は、0.9~1.1の値を有する量であり、かつその値が1であり得ることを意味する。
【0036】
「実質的に(substantially)」などの用語は、それらが本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者によって理解されるだろう。「実質的に等しい(substantially equal)」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に等しい」は、ほぼ(about)が上記のとおりであるときには、ほぼ等しいことを意味する。「実質的に平行な(substantially parallel)」の使用が、本明細書に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に平行な」は、平行の30度以内を意味することになる。互いに実質的に平行であるとして記載される方向又は表面は、いくつかの実施形態では、20度以内、又は10度以内の平行であり得るか、又は平行若しくは名目上平行であり得る。「実質的に位置合わせされる(substantially aligned)」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に位置合わせされる」は、位置合わせされる対象の幅の20%以内で位置合わせされることを意味する。実質的に位置合わせされると記載される対象は、いくつかの実施形態では、位置合わせされる対象の幅の10%以内又は5%以内で位置合わせされてもよい。
【0037】
前述の参照文献、特許、又は特許出願はいずれも一貫した方法でそれらの全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0038】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。以下、例示的実施形態を示す。
[項目1]
少なくとも約400nm~約600nmにわたる所定の波長範囲で光を反射及び透過するための光学積層体であって、前記所定の波長範囲が前記所定の波長範囲内の第1の波長範囲、及び前記所定の波長範囲内の残りの波長範囲を規定し、前記光学積層体が、積層された第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムを備え、
実質的に垂直に入射する光に対して、少なくとも前記第1の波長範囲内の各波長に対して、前記第1の光学フィルムが、第1の偏光状態を有する光の少なくとも80%を反射し、直交する第2の偏光状態を有する光の少なくとも80%を透過し、
前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれについて、
前記第1の波長範囲の各波長に対して、前記第2の光学フィルムが、第1の入射角で入射する光に対して最大光透過率Tmax、及び前記第1の入射角よりも約50度未満だけ大きい第2の入射角で入射する光に対して光透過率Tmax/2を有し、
前記残りの波長範囲の各波長に対して、前記第2の光学フィルムが、光の少なくとも80%を反射する、
光学積層体。
[項目2]
前記第1の波長範囲が、青色波長範囲を含み、前記残りの波長範囲が、緑色波長範囲及び赤色波長範囲を含む、項目1に記載の光学積層体。
[項目3]
前記第1の波長範囲が、約400nm~約480nmにわたる、項目1に記載の光学積層体。
[項目4]
前記所定の波長範囲の各波長に対して、前記第1の光学フィルムが、前記第1の偏光状態を有する光の少なくとも80%を反射し、前記第2の偏光状態を有する光の少なくとも80%を透過する、項目1に記載の光学積層体。
[項目5]
前記第1の光学フィルムが、複数の第1のポリマー層を備える、項目1に記載の光学積層体。
[項目6]
前記第1の光学フィルムが、100~700の番号が付けられた複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を備え、各第1のポリマー層及び各第2のポリマー層が、隣接する第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各ペアに対して、約500nm未満の平均厚さを有し、
前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の平面内で、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層が、前記第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、前記第2の偏光状態に沿ってn1y及びn2y、並びに前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zのそれぞれの屈折率を有し、前記所定の波長範囲の少なくとも1つの波長に対して、
n1xが、n1y及びn1zのそれぞれよりも少なくとも0.2だけ大きく、
n1yとn1zとの間の差が、約0.05未満であり、
n2xとn2yとn2zとの間の最大差が、約0.01未満であり、
n1xとn2xとの間の差が、約0.2よりも大きい、
項目1に記載の光学積層体。
[項目7]
前記第1の光学フィルムが、複数の交互の前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の反対側の上面及び下面に配置されたスキン層を更に備え、前記スキン層が約5マイクロメートルよりも大きい厚さを有する、項目6に記載の光学積層体。
[項目8]
複数の交互の前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層が、約1マイクロメートルよりも大きい厚さを有するスペーサ層によって互いから分離された、第1の複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層並びに第2の複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を備える、項目6に記載の光学積層体。
[項目9]
前記第2の光学フィルムが、複数の第2のポリマー層を備える、項目1に記載の光学積層体。
[項目10]
前記第2の光学フィルムが、100~700の番号が付けられた複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を備え、各第1のポリマー層及び各第2のポリマー層が、隣接する第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各ペアに対して、約500nm未満の平均厚さを有し、
前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の平面内で、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層が、前記第1の偏光状態に沿ってn1x及びn2x、前記第2の偏光状態に沿ってn1y及びn2y、並びに前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態に直交するz軸に沿ってn1z及びn2zのそれぞれの屈折率を有し、前記所定の波長範囲の少なくとも1つの波長に対して、
n1x及びn1yのそれぞれが、n1zよりも少なくとも0.1だけ大きく、
n1xとn1xとの間の差が、約0.05未満であり、
n2xとn2yとn2zとの間の最大差が、約0.01未満であり、
n1xとn2xとの間の差が、約0.2よりも大きい、
項目1に記載の光学積層体。
[項目11]
前記第2の光学フィルムが、複数の交互の前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の反対側の上面及び下面に配置されたスキン層を更に備え、前記スキン層が約5マイクロメートルよりも大きい厚さを有する、項目10に記載の光学積層体。
[項目12]
複数の交互の前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層が、約1マイクロメートルよりも大きい厚さを有するスペーサ層によって互いから分離された第1の複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層並びに第2の複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を備える、項目10に記載の光学積層体。
[項目13]
前記第1の光学フィルムと前記第2の光学フィルムとの間に配置され、互いを結合する結合層を更に備える、項目1に記載の光学積層体。
[項目14]
ディスプレイパネルに照明を提供するためのバックライトであって、
項目1に記載の光学積層体と、
前記光学積層体に隣接して配置され、かつそれらの間に光学空洞を画定する光学反射体であって、前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれについて、前記所定の波長範囲内の各波長に対して、光の少なくとも80%を反射する、光学反射体と、
前記第1の波長範囲内の光を前記光学空洞内に放出するように構成された少なくとも1つの光源と、
を備える、バックライト。
[項目15]
前記残りの波長範囲内の光を前記光学空洞内に放出するいかなる光源も含まない、項目14に記載のバックライト。
[項目16]
前記第2の光学フィルムが、前記第1の光学フィルムと前記光学反射体との間に配置されている、項目14に記載のバックライト。
[項目17]
前記少なくとも1つの光源のうちの少なくとも1つの光源が、前記光学積層体と前記光学反射体との間の前記光学空洞の内部に配置されている、項目14に記載のバックライト。
[項目18]
前記少なくとも1つの光源のうちの少なくとも1つの光源が、前記光学空洞の外側に、側面に近接して配置されている、項目14に記載のバックライト。
[項目19]
前記光学積層体が、厚さH1を有し、前記光学空洞が、前記光学積層体と前記光学反射体との間の距離として画定される高さH2を有し、H2/(H1+H2)が約0.65よりも大きい、項目14に記載のバックライト。
[項目20]
項目14に記載のバックライト上に配置され、かつ前記バックライトによって放出される光を受光するように構成されたディスプレイパネルを備えるディスプレイ。
[項目21]
第1の波長を有し、かつ前記バックライトから受光された光の少なくとも一部分を、異なる第2の波長を有する光に変換するための光変換層を備える、項目20に記載のディスプレイ。
[項目22]
前記第1の波長が青色波長であり、前記第2の波長が緑色波長である、項目21に記載のディスプレイ。
[項目23]
前記第1の波長が青色波長であり、前記第2の波長が赤色波長である、項目21に記載のディスプレイ。
[項目24]
前記バックライトから第1の波長を有する光を受光し、前記受光された光の第1の部分を、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する光に変換し、かつ前記受光された光の第2の部分を、前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長を有する光に変換するための、光変換層を備える、項目20に記載のディスプレイ。
[項目25]
前記第1の波長が青色波長であり、前記第2の波長が緑色波長であり、前記第3の波長が赤色波長である、項目24に記載のディスプレイ。
[項目26]
前記光変換層が光変換蛍光体を備える、項目24に記載のディスプレイ。
[項目27]
前記光変換蛍光体が緑色蛍光体を備える、項目26に記載のディスプレイ。
[項目28]
前記光変換蛍光体が赤色蛍光体を備える、項目26に記載のディスプレイ。
[項目29]
前記光変換層が光変換量子ドットを備える、項目24に記載のディスプレイ。
[項目30]
前記光変換量子ドットが、青色光を緑色光に変換するための緑色量子ドットを備える、項目29に記載のディスプレイ。
[項目31]
前記光変換量子ドットが、青色光を赤色光に変換するための赤色量子ドットを備える、項目29に記載のディスプレイ。
[項目32]
前記光変換量子ドットが、青色光を白色光に変換するための白色量子ドットを備える、項目29に記載のディスプレイ。
[項目33]
前記第1の光学フィルム及び前記第2の光学フィルムと共に積層された光学拡散体を更に備え、前記光学拡散体が、前記第1の波長範囲内では光をより多く拡散し、前記残りの波長範囲内ではあまり拡散しないように構成されている、項目1に記載の光学積層体。
[項目34]
前記第1の入射角が約0度であり、前記第2の入射角が約45度未満であり、T
max
が約70%よりも大きい、項目1に記載の光学積層体。
[項目35]
約425nm~約475nmにわたる青色波長範囲の各波長に対して、
前記第2の偏光状態について、前記光学積層体が、実質的にゼロの入射角に対して最大光透過率T1、及び約45度未満で入射する光に対して光透過率T1/2を有し、
前記第1の偏光状態について、前記光学積層体が、約0度~約70度の入射角に対して最大光透過率T2を有し、T1/T2>5であり、
約525nm~約575nmにわたる緑色波長範囲、及び約625nm~約675nmにわたる赤色波長範囲のそれぞれの波長に対して、前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれについて、前記光学積層体が、約0度~約70度の入射角に対してTT未満の最大光透過率を有し、T1/TT>5である、
項目1に記載の光学積層体。
[項目36]
T1/T2>10、及びT1/TT>10である、項目35に記載の光学積層体。
[項目37]
前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれについて、
約425nm~約475nmにわたる波長範囲の各波長に対して、前記第2の光学フィルムが、実質的にゼロの入射角に対して約80%よりも大きい光透過率、及び約45度未満で入射する光に対して約50%未満の光透過率を有し、
約525nm~約575nmにわたる緑色波長範囲、及び約625nm~約675nmにわたる赤色波長範囲のそれぞれの波長に対して、第2の光学フィルムが、約0度~約70度の入射角に対して光の少なくとも90%を反射する、
項目1に記載の光学積層体。
[項目38]
ディスプレイパネルに照明を提供するためのバックライトであって、実質的に可視スペクトルの単一の原色波長範囲内で光を放出するように構成され、前記放出される光が、実質的にコリメートされ、約50度未満の半角発散を有する、バックライト。
[項目39]
前記単一の原色波長範囲が青色波長範囲(20’)である、項目38に記載のバックライト。
[項目40]
前記バックライトによって放出される前記光が実質的に直線偏光されている、項目38に記載のバックライト。
[項目41]
前記バックライトによって放出される前記光が、第1の偏光状態(Px)及び第1の強度を有する放出される光の第1の部分と、直交する第2の偏光状態(Py)及び第2の強度を有する放出される光の第2の部分とを有し、前記第2の強度の前記第1の強度に対する比率が約10よりも大きい、項目38に記載のバックライト。
[項目42]
実質的に直線偏光された青色光を放出するように構成されており、
約425nm~約475nmにわたる青色波長範囲内で前記バックライトによって放出され、かつ第1の偏光状態を有する光が、前記バックライトに対して実質的に垂直な法線方向に沿って最大強度T1、及び約45度未満の半角発散を有し、
青色波長範囲内で前記バックライトによって放出され、直交する第2の偏光状態を有し、かつ法線方向に対して約0度~約70度の角度をなす第1の角度範囲内で伝播している光が、最大光透過率T2を有し、
前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれについて、前記第1の角度範囲内を伝播する光に対して、前記光が最大光透過率:
約525nm~約575nmにわたる緑色波長範囲に対してT3、及び
約625nm~約675nmにわたる赤色波長範囲に対してT4を有し、T1/T2、T1/T3、及びT1/T4のそれぞれが約5よりも大きい、
項目38に記載のバックライト。