(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】受光素子、受光素子の製造方法及び固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240927BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20240927BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L27/146 F
H01L27/144 K
H01L31/10 A
(21)【出願番号】P 2021554184
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2020036060
(87)【国際公開番号】W WO2021084983
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2019197057
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】三成 英樹
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/212175(WO,A1)
【文献】特開2017-126738(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126204(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/150167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 27/144
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を備え、
前記複数の画素のそれぞれが、
光を入射する一面を有し、化合物半導体材料を含む光吸収層と、
前記光吸収層の前記一面とは反対側の他面側に設けられ、前記光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の前記光吸収層側の一面とは反対側の他面から前記光吸収層に到達するように設けられ、前記第1半導体層に接する第2導電型の選択領域と、
前記第1半導体層の前記他面側に設けられ、前記第1半導体層及び前記選択領域に接する第1絶縁膜と、
前記第1半導体層の前記他面側に前記画素毎に設けられた第1電極と、
を備え、
前記第1絶縁膜が、前記
第1半導体層及び前記選択領域のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の不揮発性の電荷を有する、
受光素子。
【請求項2】
前記選択領域が、前記第1電極に接する、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項3】
前記第1半導体層の前記他面側に設けられ、前記第1半導体層に接する第2絶縁膜を更に備える、
請求項2に記載の受光素子。
【請求項4】
前記第1半導体層よりも前記選択領域の電荷密度が高く、
前記第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜と同一極性の不揮発性の電荷を有する、
請求項3に記載の受光素子。
【請求項5】
前記第1半導体層よりも前記選択領域の電荷密度が低く、
前記第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜と逆極性の不揮発性の電荷を有する、
請求項3に記載の受光素子。
【請求項6】
前記光吸収層の前記一面側に設けられ、前記光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第2半導体層を更に含む、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項7】
前記第2半導体層の前記光吸収層側の一面とは反対側の他面に設けられた第2電極を更に含む、
請求項6に記載の受光素子。
【請求項8】
隣り合う前記画素間に、前記第1半導体層の前記他面から前記光吸収層に到達する溝が設けられている、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項9】
前記選択領域が、前記画素毎の前記第1電極の間に位置する、
請求項1に記載の受光素子。
【請求項10】
前記第1半導体層の前記他面側に設けられ、前記選択領域に接する第2絶縁膜を更に備える、
請求項9に記載の受光素子。
【請求項11】
前記第1半導体層よりも前記選択領域の電荷密度が高く、
前記第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜と逆極性の不揮発性の電荷を有する、
請求項10に記載の受光素子。
【請求項12】
前記第1半導体層よりも前記選択領域の電荷密度が低く、
前記第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜と同一極性の不揮発性の電荷を有する、
請求項10に記載の受光素子。
【請求項13】
前記光吸収層の前記他面側と、前記第1半導体層の前記一面側との間に、前記光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第2導電型の第2半導体層を更に備える、
請求項9に記載の受光素子。
【請求項14】
隣り合う前記画素間に、前記第1半導体層の前記他面から前記光吸収層に到達する溝が設けられている、
請求項9に記載の受光素子。
【請求項15】
前記選択領域が、前記溝に沿って設けられてる、
請求項14に記載の受光素子。
【請求項16】
光を入射する一面を有し、化合物半導体材料を含む光吸収層の前記一面とは反対側の他面側に、前記光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第1半導体層を形成し、
前記第1半導体層の前記光吸収層側の一面とは反対側の他面から前記光吸収層に達し、且つ前記第1半導体層に接するように第2導電型の選択領域を形成し、
前記第1半導体層及び前記選択領域のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の不揮発性の電荷を有する第1絶縁膜を、前記第1半導体層の前記他面側に、前記第1半導体層及び前記選択領域に接するように形成し、
前記第1半導体層の前記他面側に、前記画素毎に第1電極を形成する、
ことを含む、
受光素子の製造方法。
【請求項17】
前記選択領域を拡散プロセスにより形成する、
請求項16に記載の受光素子の製造方法。
【請求項18】
前記選択領域に接するように前記第1電極を形成する、
請求項16に記載の受光素子の製造方法。
【請求項19】
前記第1半導体層に接するように前記第1電極を形成する、
請求項16に記載の受光素子の製造方法。
【請求項20】
複数の画素を備える画素領域と、
前記画素領域を制御する回路部と、
を備え、
前記複数の画素のそれぞれが、
光を入射する一面を有し、化合物半導体材料を含む光吸収層と、
前記光吸収層の前記一面とは反対側の他面側に設けられ、前記光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の前記光吸収層側の一面とは反対側の他面から前記光吸収層に到達するように設けられ、前記第1半導体層に接する第2導電型の選択領域と、
前記第1半導体層の前記他面側に設けられ、前記第1半導体層及び前記選択領域に接する第1絶縁膜と、
前記第1半導体層の前記他面側に前記画素毎に設けられた第1電極と、
を備え、
前記第1絶縁膜が、前記
第1半導体層及び前記選択領域のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の不揮発性の電荷を有する、
固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る技術(本技術)は、受光素子、受光素子の製造方法、及び受光素子を用いた固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インジウム燐(InP)基板上にエピタキシャル成長したインジウムガリウム砒素(InGaAs)結晶を用いた受光素子(InGaAsセンサ)は、短赤外光を検出できることから、監視、軍事用途を主な目的として研究開発が行われている。受光素子は、pn接合又はpin接合を持ち、光照射時の電子、正孔生成に伴う電流、電圧変化を読み出すことで信号を得る、いわゆる半導体フォトダイオード動作により光検出を可能とする。InPと格子整合するInGaAsはバンドギャップエネルギーが0.75eVとシリコン(Si)に比べて小さいため、短赤外領域の長波長の光を検出できる。
【0003】
受光素子を用いて像を得るためには、フォトダイオードをアレイ状に敷き詰めて配置する必要があるが、複数配置したフォトダイオードの信号をそれぞれ独立に取得するため、隣接したフォトダイオード間、つまり画素間は互いに電気的に分離される。InGaAsセンサでは、コンタクト部の電気的な分離を実現する方法として、コンタクト部のみに選択的にドーパントを拡散させる、選択拡散プロセスが使われる場合が多い(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-304664号公報
【文献】特開昭59-222972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、選択拡散プロセスを用いてコンタクト部を形成する場合、コンタクト部が一部をなすpn接合が、化合物半導体材料と絶縁膜との界面に接することとなる。一般的に、化合物半導体材料と絶縁膜との界面は欠陥が多く、pn接合による空乏層が界面に接触することで、界面欠陥準位を介した電荷の生成が増大する。生成された電荷は暗電流としてコンタクト部に流入し、イメージセンサのノイズ特性が悪化する。
【0006】
本技術は、化合物半導体材料と絶縁膜との界面にpn接合が接する構造において、暗電流を低減することができる受光素子、受光素子の製造方法、及び受光素子を用いた固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一態様に係る受光素子は、複数の画素を備え、複数の画素のそれぞれが、光を入射する一面を有し、化合物半導体材料を含む光吸収層と、光吸収層の一面とは反対側の他面側に設けられ、光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層の光吸収層側の一面とは反対側の他面から光吸収層に到達するように設けられ、第1半導体層に接する第2導電型の選択領域と、第1半導体層の他面側に設けられ、第1半導体層及び選択領域に接する第1絶縁膜と、第1半導体層の他面側に画素毎に設けられた第1電極とを備え、第1絶縁膜が、半導体層及び選択領域のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の不揮発性の電荷を有することを要旨とする。
【0008】
本技術の一態様に係る受光素子の製造方法は、光を入射する一面を有し、化合物半導体材料を含む光吸収層の一面とは反対側の他面側に、光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第1半導体層を形成し、第1半導体層の光吸収層側の一面とは反対側の他面から光吸収層に達し、且つ第1半導体層に接するように第2導電型の選択領域を形成し、第1半導体層及び選択領域のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の不揮発性の電荷を有する第1絶縁膜を、第1半導体層の他面側に、第1半導体層及び選択領域に接するように形成し、第1半導体層の他面側に、画素毎に第1電極を形成することを含むことを要旨とする。
【0009】
本技術の一態様に係る固体撮像装置は、複数の画素を備える画素領域と、画素領域を制御する回路部とを備え、複数の画素のそれぞれが、光を入射する一面を有し、化合物半導体材料を含む光吸収層と、光吸収層の一面とは反対側の他面側に設けられ、光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層の光吸収層側の一面とは反対側の他面から光吸収層に到達するように設けられ、第1半導体層に接する第2導電型の選択領域と、第1半導体層の他面側に設けられ、第1半導体層及び選択領域に接する第1絶縁膜と、第1半導体層の他面側に画素毎に設けられた第1電極とを備え、第1絶縁膜が、半導体層及び選択領域のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の不揮発性の電荷を有することを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る固体撮像装置のブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る固体撮像装置の概略図である。
【
図3】第1実施形態に係る画素領域の平面図である。
【
図8】実施例のデバイスシミュレーション結果の概略図である。
【
図9】比較例のデバイスシミュレーション結果の概略図である。
【
図10】絶縁膜の固定電荷を変化させた場合の表面再結合速度と暗電流の関係を表すグラフである。
【
図11】第1実施形態に係る画素の製造方法の工程断面図である。
【
図12】第1実施形態に係る画素の製造方法の
図11に引き続く工程断面図である。
【
図13】第1実施形態に係る画素の製造方法の
図12に引き続く工程断面図である。
【
図14】第1実施形態に係る画素の製造方法の
図13に引き続く工程断面図である。
【
図15】第1実施形態に係る画素の製造方法の
図14に引き続く工程断面図である。
【
図16】第1実施形態に係る画素の製造方法の
図15に引き続く工程断面図である。
【
図17】第1実施形態に係る画素の製造方法の
図16に引き続く工程断面図である。
【
図18】第1実施形態に係る画素の製造方法の
図17に引き続く工程断面図である。
【
図21】第2実施形態に係る画素の製造方法の工程断面図である。
【
図22】第2実施形態に係る画素の製造方法の
図21に引き続く工程断面図である。
【
図23】第2実施形態に係る画素の製造方法の
図22に引き続く工程断面図である。
【
図24】第2実施形態に係る画素の製造方法の
図23に引き続く工程断面図である。
【
図25】第2実施形態に係る画素の製造方法の
図24に引き続く工程断面図である。
【
図26】第2実施形態に係る画素の製造方法の
図25に引き続く工程断面図である。
【
図27】第2実施形態に係る画素の製造方法の
図26に引き続く工程断面図である。
【
図30】第3実施形態に係る画素の製造方法の工程断面図である。
【
図31】第3実施形態に係る画素の製造方法の
図30に引き続く工程断面図である。
【
図32】第3実施形態に係る画素の製造方法の
図31に引き続く工程断面図である。
【
図33】第3実施形態に係る画素の製造方法の
図32に引き続く工程断面図である。
【
図34】第3実施形態に係る画素の製造方法の
図33に引き続く工程断面図である。
【
図35】第3実施形態に係る画素の製造方法の
図34に引き続く工程断面図である。
【
図36】第3実施形態に係る画素の製造方法の
図35に引き続く工程断面図である。
【
図37】第3実施形態に係る画素の製造方法の
図36に引き続く工程断面図である。
【
図42】固体撮像装置を用いた電子機器のブロック図である。
【
図43】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図44】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図45】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図46】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、図面を参照して本技術の第1~第6実施形態を説明する。以下の説明で参照する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚さや寸法は以下の説明を参酌して判断すべき。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0012】
本明細書において、「第1導電型」はp型又はn型の一方であり、「第2導電型」はp型又はn型のうちの「第1導電型」とは異なる一方を意味する。また、「n」や「p」に付す「+」や「-」は、「+」及び「-」が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物密度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。但し、同じ「n」と「n」とが付された半導体領域であっても、それぞれの半導体領域の不純物密度が厳密に同じであることを意味するものではない。
【0013】
また、以下の説明における「上」「下」等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本技術の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば「上」「下」は「左」「右」に変換して読まれ、180°回転して観察すれば「上」「下」は反転して読まれることは勿論である。
【0014】
(第1実施形態)
<固体撮像装置の全体構成>
第1実施形態に係る固体撮像装置は、例えばIII-V族半導体等の化合物半導体材料を用いた赤外線センサ等に適用可能である。固体撮像装置は、例えば380nm以上780nm未満程度の可視領域から、780nm以上2400nm未満程度の短赤外領域までの波長の光に光電変換機能を有する。
【0015】
第1実施形態に係る固体撮像装置1は、
図1に示すように、画素領域10Aと、画素領域10Aを駆動する回路部130とを有する。回路部130は、例えば行走査部131、水平選択部133、列走査部134及びシステム制御部132を有する。
【0016】
画素領域10Aは、例えば2次元の行列状に配置された複数の画素Pを有する。画素Pには、例えば画素行毎に画素駆動線Lread(例えば、行選択線及びリセット制御線)が配線され、画素列毎に垂直信号線Lsigが配線されている。画素駆動線Lreadは、画素Pからの信号読み出しのための駆動信号を伝送する。画素駆動線Lreadの一端は、行走査部131の各行に対応した出力端に接続されている。
【0017】
行走査部131は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成されている。行走査部131は、画素領域10Aの各画素Pを、例えば行単位で駆動する。行走査部131によって選択走査された画素行の各画素Pから出力される信号は、垂直信号線Lsigの各々を通して水平選択部133に供給される。水平選択部133は、垂直信号線Lsig毎に設けられたアンプや水平選択スイッチ等によって構成されている。
【0018】
列走査部134は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成されている。列走査部134は、水平選択部133の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動する。列走査部134による選択走査により、垂直信号線Lsigの各々を通して伝送される各画素の信号が順番に水平信号線135に出力され、水平信号線135を介して図示しない信号処理部等へ出力される。
【0019】
システム制御部132は、外部からのクロックや、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、固体撮像装置1の内部情報等のデータを出力する。更に、システム制御部132は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に行走査部131、水平選択部133及び列走査部134等の駆動制御を行う。
【0020】
固体撮像装置1は、
図2に示すように、例えば、画素領域10Aを有する素子基板K1と、回路部130を有する回路基板K2とが積層された構成であってもよい。なお、固体撮像装置1は、
図2に示した構成に限定されない。例えば、回路部130は、画素領域10Aと同一の基板上に形成されていてもよく、あるいは外部制御ICに配設されていてもよい。また、回路部130は、ケーブル等により接続された他の基板に形成されていてもよい。また、固体撮像装置1を、3枚以上の基板で構成してもよい。
【0021】
<画素の構成>
図3は、画素領域10Aの一部の平面図である。
図3に示すように、複数の画素Pのそれぞれに対応する複数の第1電極31a,31b,31c,31dが行列状に配置されている。
図3のA-A方向から見た2つの画素Pの断面を
図4に示す。
【0022】
画素Pは、n型の光吸収層(光電変換層)12と、光吸収層12の光Lが入射する一面(下面)とは反対側の他面(上面)に設けられたn型の半導体層13と、半導体層13の光吸収層12側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)から光吸収層12に到達するように設けられたp+型の選択領域14a,14bを備える。
【0023】
光吸収層12は、複数の画素Pに共通に設けられている。光吸収層12は、可視領域から短赤外領域等の所定の波長の光を吸収し、光電変換により信号電荷を発生させる。光吸収層12は化合物半導体材料を含む。光吸収層12を構成する化合物半導体材料としては、例えば、少なくともインジウム(In)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、砒素(As)、燐(P)、アンチモン(Sb)及び窒素(N)の少なくともいずれか1つを含むIII-V族半導体や、シリコン(Si)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)の少なくともいずれか1つを含むIV族半導体を使用可能である。光吸収層12を構成する化合物半導体材料として、具体的には、インジウムガリウム砒素(InGaAs)、インジウムガリウム砒素燐(InGaAsP)、インジウム砒素アンチモン(InAsSb)、インジウムガリウム燐(InGaP)、ガリウム砒素アンチモン(GaAsSb)及びインジウムアルミニウム砒素(InAlAs)、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、シリコンゲルマニウム(SiGe)等が挙げられる。
【0024】
例えばInGaAs、SiGe等は、Siよりもバンドギャップエネルギーが小さいナローバンドギャップ半導体であり、可視光領域よりも長波長側の赤外光領域に光吸収感度を有する。また、GaN等は、Siよりもバンドギャップエネルギーが大きいワイドバンドギャップ半導体であり、可視光領域よりも短波長側の紫外光領域に光吸収感度を有する。光吸収層12の材料は、対象とする波長領域等に応じて適宜選択可能である。光吸収層12の不純物密度は、例えば1×1013cm-3~1×1018cm-3程度である。光吸収層12の厚さは、例えば100nm~10000nm程度である。
【0025】
半導体層13は、光吸収層12を構成する化合物半導体材料よりもバンドギャップエネルギーが大きい化合物半導体材料で構成することができる。例えば、光吸収層12が、バンドギャップエネルギーが0.75eVのInGaAsで構成されている場合には、半導体層13は、バンドギャップエネルギーが1.35eVのインジウム燐(InP)を用いることができる。半導体層13を構成する化合物半導体材料としては、例えば、少なくともIn、Ga、Al、As、P、Sb及びNのいずれか1つを含むIII-V族半導体や、Si、C、Geの少なくともいずれか1つを含むIV族半導体を用いることができる。具体的には、InPの他、InGaAsP、InAsSb、InGaP、GaAsSb及びInAlAs、GaN、SiC、SiGe等が挙げられる。半導体層13の厚さは、例えば200nm~5000nm程度である。
【0026】
選択領域14a,14bは、各画素Pのコンタクト部として機能する。選択領域14a,14bは、半導体層13及び光吸収層12に跨って、光吸収層12及び半導体層13に接するように設けられている。各画素Pにおける半導体層13と光吸収層12との界面は、選択領域14a,14bで囲まれる。選択領域14a,14bは、例えば矩形の平面パターンを有する。選択領域14a,14bは、例えば、選択拡散プロセスにより、亜鉛(Zn)等のp型不純物が拡散された拡散領域で構成されている。
【0027】
選択領域14a,14bに拡散される不純物としては、Znの他にも、マグネシウム(Mg)、カドミウム(Cd)、ベリリウム(Be)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭素(C)、錫(Sn)、鉛(Pb)、硫黄(S)又はテルル(Te)、燐(P)、硼素(B)、砒素(As)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)等を使用してもよい。選択領域14a,14bの不純物密度は、例えば1×1016cm-3~1×1019cm-3程度である。p+型の選択領域14a,14bは、n型の半導体層13と共にpn接合を構成する。
【0028】
半導体層13の他面(上面)側には、半導体層13及び選択領域14a,14bに接するように、第1絶縁膜21が設けられている。第1絶縁膜21は、半導体層13と、選択領域14a,14bのそれぞれとで構成されるpn接合を被覆する。第1絶縁膜21の厚さは、例えば10nm~10000nm程度である。第1絶縁膜21は、正又は負の固定電荷を有する。「固定電荷」とは、不揮発性の電荷を意味する。また、「正の固定電荷」は不揮発性の正孔を意味し、「負の固定電荷」は不揮発性の電子を意味する。第1絶縁膜21の正又は負の固定電荷は、意図的に導入することができ、第1絶縁膜21の材料や、第1絶縁膜21の下地の表面処理、第1絶縁膜21の成膜条件等により適宜調整可能である。
【0029】
ここで、第1絶縁膜21は、第1絶縁膜21が被覆するpn接合を構成する半導体層13及び選択領域14a,14bのうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の固定電荷を有する。即ち、pn接合を形成するp型領域のアクセプタ密度NAが、n型領域のドナー密度NDよりも高い場合(NA>NDの場合)、第1絶縁膜21は、正の固定電荷(正孔)を有する。一方、p型領域のアクセプタ密度NAがn型領域のドナー密度NDよりも低い場合(NA<NDの場合)、第1絶縁膜21は、負の固定電荷(電子)を有する。
【0030】
第1実施形態では、pn接合を形成するp型の選択領域14a,14bのアクセプタ密度N
Aが、n型の半導体層13のドナー密度N
Dよりも高い場合(N
A>N
Dの場合)を説明する。この場合、
図4に示すように、第1絶縁膜21は、選択領域14a,14bと同一極性である正の固定電荷(正孔)を有する。
図4では、第1絶縁膜21に蓄えられた正孔を模式的に示している。
【0031】
これにより、
図5に示すように、n型の半導体層13の第1絶縁膜21との界面付近に電子が誘起されて、pn接合の空乏層D1の幅W1が縮小するため、空乏層D1で生成される暗電流を低減することができる。
図5では、空乏層D1を破線で模式的に示している。また、
図5では、第1絶縁膜21中に蓄えられた正孔と、半導体層13に誘起された電子と、空乏層D1において暗電流となる正孔を模式的に示している。この際、p型の選択領域14a,14bの第1絶縁膜21との界面付近にも電子が誘起されるが、選択領域14a,14bがp型の不純物密度が高いため、正孔に打ち消され、pn接合幅と暗電流の生成量には影響しない。
【0032】
一方、図示を省略するが、pn接合を形成するp型の選択領域14a,14bのアクセプタ密度NAが、n型の半導体層13のドナー密度NDよりも低い場合(NA<NDの場合)には、第1絶縁膜21は、半導体層13と同一極性である負の固定電荷(電子)を有する。これにより、n型の半導体層13の第1絶縁膜21との界面付近に正孔が誘起されて、pn接合の空乏層D1の幅W1が縮小するため、空乏層D1で生成される暗電流を低減することができる。
【0033】
第1絶縁膜21は、少なくともシリコン(Si)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、酸素(O)、マグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、イットリウム(Y)のうち少なくともいずれかを含む絶縁体材料である。具体的には、第1絶縁膜21は、窒化シリコン(Si3N4)膜、酸化アルミニウム(Al2O3)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、酸窒化シリコン(SiON)膜、酸窒化アルミニウム(AlON)膜、窒化シリコンアルミニウム(SiAlN)膜、酸化マグネシウム(MgO)膜、酸化シリコンアルミニウム(AlSiO)膜、酸化ハフニウム(HfO2)膜、酸化ハフニウムアルミニウム(HfAlO)膜、酸化タンタル(Ta2O3)膜、酸化チタン(TiO2)膜、酸化スカンジウム(Sc2O3)膜、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜、酸化ガドリニウム(Gd2O3)膜、酸化ランタン(La2O3)膜又は酸化イットリウム(Y2O3)膜等により構成してもよい。
【0034】
図4に示すように、第1絶縁膜21の半導体層13側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)には第2絶縁膜22が設けられている。第2絶縁膜22の厚さは、例えば10nm~10000nm程度である。第2絶縁膜22は、正又は負の固定電荷を有していてもよく、固定電荷を有していなくてもよい。
【0035】
第2絶縁膜22は、少なくともSi、N、Al、Hf、Ta、Ti、O、Mg、Sc、Zr、La、Gd、Yのうちいずれかを含む絶縁体材料である。例えば、第2絶縁膜22は、Si3N4膜、Al2O3膜、SiO2膜、SiON膜、AlON膜、SiAlN膜、MgO膜、AlSiO膜、HfO2膜、HfAlO膜、Ta2O3膜、TiO2膜、Sc2O3膜、ZrO2膜、Gd2O3膜、La2O3膜又はY2O3膜等により構成してもよい。
【0036】
第2絶縁膜22は、第1絶縁膜21と同一材料で構成されていてもよく、異なる材料で構成されていてもよい。第2絶縁膜22が無い構成であってもよく、第2絶縁膜22上に更に絶縁膜や保護膜が積層されていてもよい。
【0037】
半導体層13の他面(上面)側には、第1電極31a,31bが設けられている。第1電極31a,31bは、互いに離間して画素P毎に設けられている。第1電極31a,31bは、選択領域14a,14bに電気的にそれぞれ接続されている。第1電極31a,31bは、第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22の開口部に埋め込まれ、選択領域14a,14bの一面(上面)に接する。第1電極31a,31bの側面は、第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22に接する。第1電極31a,31bの厚さは、第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22の合計の厚さよりも厚い。第1電極31a,31bの一部(上部)は、第2絶縁膜22の第1絶縁膜21側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)から突出するように設けられている。第1電極31a,31bは、例えば矩形の平面パターンを有する。
【0038】
第1電極31a,31bは、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、窒化チタン(TiN)、白金(Pt)、金(Au)、ゲルマニウム(Ge)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)及びアルミニウム(Al)のうちのいずれかの単体、又はこれらのうちの少なくとも1種を含む合金により構成されている。第1電極31a,31bは、これらの材料の単膜であってもよく、2種以上を組み合わせた積層膜であってもよい。
【0039】
第1電極31a,31bには、光吸収層12で発生した信号電荷(正孔)を読み出すための電圧が供給される。第1電極31a,31bは、例えばバンプ又はビア等を介して、信号読み出しを行うための画素回路及びシリコン基板に電気的に接続されている。シリコン基板には、例えば各種配線等が設けられている。
【0040】
光吸収層12の一面(下面)側には、n+型の半導体層11が設けられている。半導体層11は、例えば、各画素Pに共通に設けられている。半導体層11は光吸収層12に接する。半導体層11はコンタクト部として機能する。半導体層11は、光吸収層12を構成する化合物半導体材料よりもバンドギャップエネルギーが大きい化合物半導体材料で構成することができる。例えば、光吸収層12がInGaAsで構成されている場合には、半導体層11はInPを用いることができる。半導体層11を構成する化合物半導体材料としては、例えば、少なくともIn、Ga、Al、As、P、Sb及びNのいずれか1つを含むIII-V族半導体や、Si、C、Geの少なくともいずれか1つを含むIV族半導体を用いることができる。具体的には、InPの他、InGaAsP、InAsSb、InGaP、GaAsSb及びInAlAs、GaN、SiC、SiGe等が挙げられる。半導体層11の厚さは例えば、200nm~5000nm程度である。
【0041】
半導体層11の光吸収層12側の一面(上面)とは反対側の他面(下面)には、第2電極32が設けられている。第2電極32は、例えば各画素Pに共通の電極として、光吸収層12の一面(下面)側に半導体層11を介して設けられている。第2電極32は、光吸収層12で発生した電荷のうち、信号電荷として用いられない電荷を排出する。第1実施形態では、信号電荷として正孔が第1電極31a,31bから読み出され、電子が第2電極32から排出される。
【0042】
第2電極32は、赤外線等の入射する光Lを透過可能な透明導電膜により構成されており、例えば波長1.6μmの光に対して50%以上の透過率を有する。第2電極32の材料としては、例えば酸化インジウム錫(ITO)を用いることができる。第2電極32が半導体層11の他面(下面)全体を覆わない場合には、第2電極32の材料は透明材料でなくてもよい。
【0043】
次に、第1実施形態に係る固体撮像装置1の動作を、
図4に示した画素Pに着目して説明する。各画素Pは、図示を省略した転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ及び選択トランジスタ等の画素トランジスタにより制御される。
【0044】
例えば可視領域及び赤外領域等の波長の光Lが、第2電極32及び半導体層11を介して光吸収層12に入射すると、光Lが光吸収層12において吸収され、光電変換により、正孔及び電子の対が発生する。このとき、例えば第1電極31a,31bに所定の電圧が印加されると、光吸収層12に電位勾配が生じ、発生した電荷のうち一方の電荷(正孔)が、信号電荷として選択領域14a,14bを介して第1電極31a,31bから読みだされる。信号電荷は、画素信号として画素領域10Aから読み出され、回路部130により信号処理されて、外部へ出力される。
【0045】
次に、
図4に示した第1実施例に係る受光素子の比較例を説明する。
図6に示すように、比較例に係る受光素子の基本的な構成は、第1実施例に係る受光素子と同様である。しかし、比較例に係る受光素子は、半導体層13と選択領域14a,14bのそれぞれとで構成されるpn接合を被覆する第1絶縁膜21xが固定電荷を有さない点が、第1実施形態に係る受光素子と異なる。
【0046】
選択領域14a,14bを選択拡散プロセスを用いて形成する場合には、半導体層13と選択領域14a,14bのそれぞれとのpn接合が、半導体層13と第1絶縁膜21xとの界面に接する。一般的に半導体層13と第1絶縁膜21xとの界面には欠陥が多く、
図7に示すように、pn接合による空乏層D2が半導体層13と第1絶縁膜21xとの界面に接触することで、界面欠陥準位を介した電荷の生成が増加する。このため、生成された電荷が暗電流として選択領域14a,14bに流入してしまい、ノイズ特性が悪化する。
【0047】
これに対して、第1実施形態に係る受光素子によれば、
図4及び
図5に示すように、第1絶縁膜21が、第1絶縁膜21が被覆するpn接合を構成する半導体層13及び選択領域14a,14bのうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の固定電荷を有する。これにより、pn接合の空乏層D1の幅W1を、
図7に示した比較例の空乏層D2の幅W2よりも縮小することができ、暗電流を低減することができる。
【0048】
次に、
図8~
図10を参照して、デバイスシミュレーション結果を説明する。実施例として、
図8に示すように、InGaAs上のInPにおいてpn接合を構成し、pn接合を絶縁膜で被覆した構造において、InGaAsのアクセプタ密度N
Aを1×10
19cm
-3、p型領域のアクセプタ密度N
Aを2×10
18cm
-3、n型領域のドナー密度N
Dを8×10
16cm
-3とし、絶縁膜が+5×10
11cm
-2の正の固定電荷を有する場合と、比較例として、
図9に示すように、同一の構造で、絶縁膜が-5×10
11cm
-2の負の固定電荷を有する点のみが異なる場合とについて、デバイスシミュレーションを行った。
図8に示すように、実施例では、InPと絶縁膜の界面に接する空乏層の幅W3が縮小しており、暗電流が減少した。一方、
図9に示すように、比較例では、InPと絶縁膜の界面に接する空乏層の幅W4が拡大し、暗電流が増加した。
【0049】
図10は、
図8及び
図9と同一の構造において、p型領域のアクセプタ密度N
Aがn型領域のドナー密度N
Dよりも高い場合に、pn接合上の電荷の極性を変化させて、暗電流を計算した結果を示す。
図10から、固定電荷が正方向に大きいほど、暗電流が減少しているのが分かる。固定電荷が+5×10
11cm
-2の場合には、固定電荷が無い場合と比較して、暗電流が30%減少した。一方、固定電荷が-5×10
11cm
-2の場合には、固定電荷が無い場合と比較して、暗電流が200%増加した。
【0050】
<受光素子の製造方法>
次に、
図11~
図18を参照して、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を説明する。ここでは、
図4に示した2つの画素Pの断面に着目して説明する。
【0051】
まず、
図11に示すように、n
+型の半導体層(半導体基板)11上に、n型の光吸収層12、及びn型の半導体層13を順次エピタキシャル成長させる。半導体層11、光吸収層12及び半導体層13を構成する材料は、In、Ga、Al、As、P、Sb、N、Si、C、Geの少なくともいずれかを含む化合物半導体であってもよい。具体的には、半導体層11、光吸収層12及び半導体層13の材料は、例えば、InGaAsP、InGaP、InAsSb、GaAsSb、InAlAs、SiC、SiGe等であってもよい。ここでは、半導体層11がInP基板で構成され、光吸収層12がInGaAs、半導体層13がInPで構成されているものとする。
【0052】
次に、
図12に示すように、化学気相成長(CVD)法又は原子層堆積(ALD)法等により、半導体層13上にSiO
2膜からなる第1絶縁膜21を成膜する。後述するが、pn接合を形成するp型の選択領域14a,14bのアクセプタ密度N
Aが、n型の半導体層13のドナー密度N
Dよりも高いため、第1絶縁膜21は、選択領域14a,14bと同一極性である正の固定電荷(正孔)を有する。
【0053】
次に、
図13に示すように、CVD法又はALD法等により、第1絶縁膜21上にSi
3N
4膜等からなる第2絶縁膜22を堆積する。第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22は、後述する選択拡散プロセスにおけるマスクとして機能させる。このため、選択拡散させる元素の透過を防止するために、第1絶縁膜及び第2絶縁膜の合計の膜厚が10nm以上であることが好ましい。なお、第2絶縁膜22が無い場合には、第1絶縁膜21の膜厚が10nm以上であることが好ましい。また、第2絶縁膜22上に更に1層又は複数層の絶縁膜が積層されている場合には、積層膜の合計の膜厚が10nm以上であることが好ましい。
【0054】
次に、第2絶縁膜22上にフォトレジスト膜41を塗布し、
図14に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜41をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜41をエッチングマスクとして用いて、ドライエッチング又はウェットエッチングにより、第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22の一部を選択的に除去する。この結果、
図15に示すように、画素P毎に半導体層13の一部の上面を露出する開口部(窓)を第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22に形成する。次に、ドライアッシングやウェットエッチングにより、フォトレジスト膜41を
図16に示すように除去する。
【0055】
次に、
図17に示すように、気相拡散又は固相拡散等の選択拡散プロセスにより、第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22をマスクとして用いて、第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22の開口部を介して、半導体層13の上面からZn等のp型不純物を拡散させて、p
+型の選択領域14a,14bを形成する。この際、300℃~800℃程度の熱処理(アニール)により、光吸収層12まで到達するように選択領域14a,14bを形成することができる。選択領域14a,14bに添加する不純物としては、化合物半導体中でドーパントとして機能する元素が使用可能であり、例えば、Zn、Mg、Cd、Be、Si、Ge、C、Sn、Pb、S、Te、P、B、As、In、Sb、Ga、As、Al等であってもよい。
【0056】
次に、スパッタリング法又は蒸着法等により、第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22の開口部を埋め込むように金属膜を堆積する。そして、フォトリソグラフィ技術及びエッチングにより金属膜をパターニングすることにより、
図18に示すように、選択領域14a,14b上に第1電極31a,31bを画素P毎に形成する。また、
図4に示すように、スパッタリング法又は蒸着法等により、半導体層11の下面に、各画素Pに共通の第2電極32を形成する。この結果、第1の実施形態に係る受光素子が完成する。
【0057】
(第2実施形態)
<受光素子の構成>
第2実施形態に係る受光素子は、
図19に示すように、選択領域55が画素P間に設けられている点が、
図4に示した第1実施形態の構成と異なる。第2実施形態に係る受光素子は、
図19に示すように、p型の光吸収層(光電変換層)52と、光吸収層52の光Lが入射面する一面(下面)とは反対側の他面(上面)に設けられたp型の半導体層53a,53bと、半導体層53a,53bの光吸収層52側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)に設けられたn
+型の半導体層54a,54bとを備える。
【0058】
光吸収層52は、複数の画素Pに共通に設けられている。光吸収層52は、可視領域から短赤外領域等の所定の波長の光を吸収し、光電変換により信号電荷を発生させる。光吸収層52は化合物半導体材料を含む。光吸収層52を構成する化合物半導体材料は、第1実施形態に係る受光素子の光吸収層12と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0059】
半導体層53a,53bは、光吸収層52を構成する化合物半導体材料よりもバンドギャップエネルギーが大きい化合物半導体材料で構成することができる。例えば、光吸収層52がInGaAsで構成されている場合には、半導体層53a,53bはInPを用いることができる。半導体層53a,53bを構成する化合物半導体材料としては、第1実施形態に係る受光素子の半導体層13と同様であるので、重複した説明を省略する。なお、p型の半導体層53a,53bが無い構成であってもよく、その場合は光吸収層52が半導体層54a,54bと接してもよい。
【0060】
半導体層54a,54bはコンタクト部として機能する。半導体層54a,54bは、光吸収層52を構成する化合物半導体材料よりもバンドギャップエネルギーが大きい化合物半導体材料で構成することができる。半導体層54a,54bは、半導体層53a,53bと同一材料で構成してもよく、異なる材料で構成してもよい。例えば、光吸収層52がInGaAsで構成されている場合には、半導体層54a,54bはInPを用いることができる。半導体層54a,54bを構成する化合物半導体材料としては、第1実施形態に係る受光素子の半導体層13と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0061】
半導体層54a,54bの光吸収層52側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)から光吸収層52に到達するように、p+型の選択領域55が設けられている。選択領域55は、光吸収層52を貫通して、半導体層51まで到達していてもよい。選択領域55は、例えば、選択拡散プロセスにより、亜鉛(Zn)等のp型不純物が拡散された拡散領域で構成されている。選択領域55の構成は、第1実施形態に係る受光素子の選択領域14a,14bと同様であるので、重複した説明を省略する。
【0062】
第2実施形態においては、選択領域55は、画素P毎の第1電極31a,31bと離間して、第1電極31a,31bの間に設けられている。隣り合う画素Pの半導体層54a,54bは、選択領域55により電気的に分離されるため、画素P毎の信号読み出しを実現することができる。選択領域55は、各画素Pを区画するように格子状の平面パターンを有する。選択領域55は、半導体層54a,54b、半導体層53a,53b及び光吸収層52に接している。選択領域55は、半導体層54a,54bのそれぞれと、pn接合を構成する。
【0063】
半導体層54a,54bの他面(上面)側には、半導体層54a,54b及び選択領域55に接するように、第1絶縁膜61が設けられている。第1絶縁膜61は、半導体層54a,54bのそれぞれと、選択領域55とにより形成されるpn接合を被覆する。第1絶縁膜61は、画素P毎に第1電極31a,31bの側面を囲むように枠状の平面パターンを有する。第1絶縁膜61の材料は、第1実施形態に係る受光素子の第1絶縁膜21と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0064】
第1絶縁膜61は、第1絶縁膜61が被覆するpn接合を構成する半導体層54a,54b及び選択領域55のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の固定電荷を有する。第2実施形態では、pn接合を形成するp
+型の選択領域55のアクセプタ密度N
Aが、n型の半導体層54a,54bのドナー密度N
Dよりも高い場合(N
A>N
Dの場合)を説明する。この場合、
図20に示すように、第1絶縁膜61は、選択領域55と同一極性である正の固定電荷(正孔)を有する。これにより、n型の半導体層54a,54bの第1絶縁膜61との界面付近に電子が誘起されて、pn接合の空乏層D5の幅W5が縮小するため、空乏層D5で生成される暗電流を低減することができる。
【0065】
一方、図示を省略するが、pn接合を形成するp型の選択領域55のアクセプタ密度NAが、n型の半導体層54a,54bのドナー密度NDよりも低い場合(NA<NDの場合)には、第1絶縁膜61は、半導体層54a,54bと同一極性である負の固定電荷(電子)を有する。これにより、n型の半導体層54a,54bの第1絶縁膜61との界面付近に正孔が誘起されて、pn接合の空乏層D5の幅W5が縮小するため、空乏層D5で生成される暗電流を低減することができる。
【0066】
図19に示すように、第1絶縁膜61の半導体層54a,54b側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)には第2絶縁膜62が設けられている。第2絶縁膜62は、隣り合う画素P間の第1絶縁膜61の無い部分において選択領域55と接している。第2絶縁膜62の材料は、第1実施形態に係る受光素子の第2絶縁膜22と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0067】
選択領域55が画素P間に設けられており、半導体層54a,54bよりも選択領域55の電荷密度が高い場合には、第2絶縁膜62は、選択領域55及び第1絶縁膜61の極性と逆極性の固定電荷を有することが好ましい。例えば
図19及び
図20に示すように、選択領域55がp型である場合には、第2絶縁膜62は、負の固定電荷(電子)を有することが好ましい。これにより、選択領域55の第2絶縁膜62との界面には正孔が誘起され、選択領域55と第2絶縁膜62との界面で生成される暗電流を低減することができる。なお、第2絶縁膜62は、正の固定電荷を有していてもよく、固定電荷を有していなくてもよい。
【0068】
また、図示を省略するが、全体を逆の極性として、選択領域55がn型である場合には、第2絶縁膜62は、正の固定電荷(正孔)を有することが好ましい。これにより、選択領域55の第2絶縁膜62との界面には電子が誘起され、選択領域55と第2絶縁膜62との界面で生成される暗電流を低減することができる。なお、半導体層54a,54bよりも選択領域55の電荷密度が低い場合には、第2絶縁膜62は、第1絶縁膜61と同一極性の固定電荷を有することが好ましい。
【0069】
第2絶縁膜62の第1絶縁膜61側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)には第3絶縁膜63が設けられている。第3絶縁膜63の材料は、第1絶縁膜61及び第2絶縁膜62と同様の材料が使用可能である。第3絶縁膜63は、正又は負の固定電荷を有していてもよく、固定電荷を有していなくてもよい。
【0070】
半導体層54a,54b側の他面(上面)側には、第1電極31a,31bが設けられている。第1電極31a,31bは、半導体層54a,54bに電気的に接続されている。第1電極31a,31bは、光吸収層52で発生した信号電荷(電子)を読み出すための電圧が供給される。
【0071】
光吸収層52の一面(下面)側には、p+型の半導体層51が設けられている。半導体層51は、例えば、各画素Pに共通に設けられている。半導体層51の材料は、第1実施形態に係る受光素子の半導体層11と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0072】
半導体層51の光吸収層52側の一面(上面)とは反対側の他面(下面)には、第2電極32が設けられている。第2電極32は、光吸収層52で発生した電荷のうち、信号電荷として用いられない電荷(正孔)を排出する。
【0073】
第2実施形態に係る受光素子によれば、
図19及び
図20に示すように、第1絶縁膜61が、第1絶縁膜61が被覆するpn接合を構成する半導体層54a,54b及び選択領域55のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の固定電荷を有する。これにより、pn接合の空乏層D5の幅W5を縮小することができ、空乏層D5で生成し易い暗電流を低減することができる。
【0074】
<受光素子の製造方法>
次に、
図21~
図27を参照して、第2実施形態に係る受光素子の製造方法を説明する。ここでは、
図19に示した2つの画素Pに着目して説明する。
【0075】
まず、
図21に示すように、p
+型の半導体層(半導体基板)51上に、p型の光吸収層52、p型の半導体層53及びn
+型の半導体層54を順次エピタキシャル成長させる。次に、
図22に示すように、CVD法又はALD法等により、半導体層54上に、正の固定電荷を有する第1絶縁膜61を堆積する。
【0076】
次に、第1絶縁膜61上にフォトレジスト膜42を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジスト膜42をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜42をエッチングマスクとして用いて、ドライエッチング等により、
図23に示すように、第1絶縁膜61の一部を選択的に除去する。その後、フォトレジスト膜42を除去する。
【0077】
次に、
図24に示すように、第1絶縁膜61をマスクとして用いて、固相拡散又は気相拡散等の選択拡散プロセスにより、Zn等のp型不純物を拡散させる。これにより、半導体層54の上面から光吸収層52に到達するようにp
+型の選択領域55が形成される。選択領域55は、半導体層53a,53b及び半導体層54a,54bを画素P毎に区画する。
【0078】
次に、
図25に示すように、CVD法又はALD法等により、第1絶縁膜61及び選択領域55の上面に、第2絶縁膜62及び第3絶縁膜63を順次堆積する。なお、第2絶縁膜62は、
図25に示すように例えば負の固定電荷を有するが、正の固定電荷を有していてもよく、固定電荷を有していなくてもよい。また、第3絶縁膜63は、正又は負の固定電荷を有していてもよく、固定電荷を有していなくてもよい。
【0079】
次に、第3絶縁膜63上にフォトレジスト膜43を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジスト膜43をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜43をエッチングマスクとして用いて、ドライエッチング等により、第3絶縁膜63、第2絶縁膜62及び第1絶縁膜61の一部を選択的に除去する。この結果、
図26に示すように、第3絶縁膜63、第2絶縁膜62及び第1絶縁膜61を貫通する開口部が画素P毎に形成される。
【0080】
次に、スパッタリング法又は蒸着法等により、第3絶縁膜63、第2絶縁膜62及び第1絶縁膜61の開口部を埋め込むように金属膜を堆積する。そして、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、金属膜をパターニングする。この結果、
図27に示すように、半導体層54a,54b上に第1電極31a,31bが形成される。その後、
図19に示すように第2電極32を形成することにより、第3実施形態に係る受光素子が完成する。
【0081】
(第3実施形態)
<受光素子の構成>
第3実施形態に係る受光素子は、
図28に示すように、選択領域55が画素P間に設けられている点は、
図19に示した第2実施形態の構成と共通する。しかし、第3実施形態に係る受光素子は、画素P間に溝(トレンチ)50が設けられている点が、第2実施形態の構成と異なる。
【0082】
第3実施形態に係る受光素子は、
図28に示すように、p型の光吸収層(光電変換層)52a,52bと、光吸収層52a,52bの光Lが入射面する一面(下面)とは反対側の他面(上面)に設けられたp型の半導体層53a,53bと、半導体層53a,53bの光吸収層52a,52b側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)に設けられたn
+型の半導体層54a,54bとを備える。
【0083】
光吸収層52a,52bは、画素P毎に設けられている。光吸収層52a,52bは、可視領域から短赤外領域等の所定の波長の光を吸収し、光電変換により信号電荷を発生させる。光吸収層52a,52bは化合物半導体材料を含む。光吸収層52a,52bを構成する化合物半導体材料は、第2実施形態に係る受光素子の光吸収層52と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0084】
半導体層53a,53bは、光吸収層52a,52bを構成する化合物半導体材料よりもバンドギャップエネルギーが大きい化合物半導体材料で構成することができる。例えば、光吸収層52a,52bがInGaAsで構成されている場合には、半導体層53a,53bはInPを用いることができる。なお、p型の半導体層53a,53が無い構成であってもよく、その場合は光吸収層52a,52bが半導体層54a,54bと接してもよい。
【0085】
半導体層54a,54bはコンタクト部として機能する。半導体層54a,54bは、光吸収層52a,52bを構成する化合物半導体材料よりもバンドギャップエネルギーが大きい化合物半導体材料で構成することができる。半導体層54a,54bは、半導体層53a,53bと同一材料で構成してもよく、異なる材料で構成してもよい。例えば、光吸収層52a,52bがInGaAsで構成されている場合には、半導体層54a,54bはInPを用いることができる。
【0086】
トレンチ50は、半導体層54a,54b、半導体層53a,53b及び光吸収層52a,52bを貫通するように設けられている。なお、トレンチ50は、光吸収層52a,52bを貫通せずに、光吸収層52a,52bの深さ方向の一部まで到達していてもよい。トレンチ50は、各画素Pを区画するように格子状の平面パターンを有する。
【0087】
p
+型の選択領域55は、トレンチ50に沿って設けられている。選択領域55は、例えば、選択拡散プロセスにより、亜鉛(Zn)等のp型不純物が拡散された拡散領域で構成されている。選択領域55は、半導体層54a,54b、半導体層53a,53b、光吸収層52a,52b,半導体層51a,51bに接するように設けられている。
図28では、選択領域55は、第2電極32と接しているが、第2電極32と接していなくてもよい。p
+型の選択領域55は、n
+型の半導体層54a,54bのそれぞれとpn接合を構成する。
【0088】
半導体層54a,54bの他面(上面)側には、半導体層54a,54b及び選択領域55に接するように、第1絶縁膜61が設けられている。第1絶縁膜61は、半導体層54a,54bのそれぞれと、選択領域55とにより形成されるpn接合を被覆する。第1絶縁膜61の材料は、第1実施形態に係る受光素子の第1絶縁膜21と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0089】
第1絶縁膜61は、第1絶縁膜61が被覆するpn接合を構成する半導体層54a,54b及び選択領域55のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の固定電荷を有する。第3実施形態では、pn接合を形成するp
+型の選択領域55のアクセプタ密度N
Aが、n型の半導体層54a,54bのドナー密度N
Dよりも高い場合(N
A>N
Dの場合)を説明する。この場合、
図29に示すように、第1絶縁膜61は、選択領域55と同一極性である正の固定電荷(正孔)を有する。これにより、n型の半導体層54a,54bの第1絶縁膜61との界面付近に電子が誘起されて、pn接合の空乏層D6の幅W6が縮小するため、空乏層D6で生成される暗電流を低減することができる。
【0090】
一方、図示を省略するが、pn接合を形成するp型の選択領域55のアクセプタ密度NAが、n型の半導体層54a,54bのドナー密度NDよりも低い場合(NA<NDの場合)には、第1絶縁膜61は、半導体層54a,54bと同一極性である負の固定電荷(電子)を有する。これにより、n型の半導体層54a,54bの第1絶縁膜61との界面付近に正孔が誘起されて、pn接合の空乏層D6の幅W6が縮小するため、空乏層D6で生成される暗電流を低減することができる。
【0091】
図28に示すように、第1絶縁膜61の半導体層54a,54b側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)には第2絶縁膜62が設けられている。第2絶縁膜62は、トレンチ50に沿って設けられている。第2絶縁膜62は、選択領域55と接している。第2絶縁膜62の材料は、第1実施形態に係る受光素子の第2絶縁膜22と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0092】
ここで、第2絶縁膜62は、選択領域55の極性と逆極性の固定電荷を有することが好ましい。例えば
図28及び
図29に示すように、選択領域55がp型である場合には、負の固定電荷(電子)を有することが好ましい。これにより、選択領域55の第2絶縁膜62との界面には正孔が誘起され、選択領域55と第2絶縁膜62との界面で生成される暗電流を低減することができる。なお、第2絶縁膜62は、正の固定電荷を有していてもよく、固定電荷を有していなくてもよい。
【0093】
なお、図示を省略するが、選択領域55がn型である場合には、正の固定電荷(正孔)を有することが好ましい。これにより、選択領域55の第2絶縁膜62との界面には電子が誘起され、選択領域55と第2絶縁膜62との界面で生成される暗電流を低減することができる。
【0094】
第2絶縁膜62の第1絶縁膜61側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)には第3絶縁膜63が設けられている。第3絶縁膜63は、第2絶縁膜62を介してトレンチ50内を埋め込むように設けられている。第3絶縁膜63の材料は、第1絶縁膜61及び第2絶縁膜62と同様の材料が使用可能である。第3絶縁膜63は、正又は負の固定電荷を有していてもよく、固定電荷を有していなくてもよい。
【0095】
半導体層54a,54bの他面(上面)側には、第1電極31a,31bが設けられている。第1電極31a,31bは、半導体層54a,54bに電気的に接続されている。第1電極31a,31bは、光吸収層52a,52bで発生した信号電荷(電子)を読み出すための電圧が供給される。
【0096】
光吸収層52a,52bの一面(下面)側には、p+型の半導体層51a,51bが設けられている。半導体層51a,51bは、例えば、トレンチ50及び選択領域55により区画されて、画素P毎に設けられている。半導体層51a,51bの材料は、第2実施形態に係る受光素子の半導体層51と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0097】
半導体層51a,51bの光吸収層52a,52b側の一面(上面)とは反対側の他面(下面)には、第2電極32が各画素Pに共通に設けられている。第2電極32は、光吸収層52a,52bで発生した電荷のうち、信号電荷として用いられない電荷(正孔)を排出する。
【0098】
第3実施形態に係る受光素子によれば、
図28及び
図29に示すように、第1絶縁膜61が、第1絶縁膜61が被覆するpn接合を構成する半導体層54a,54b及び選択領域55のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の固定電荷を有する。これにより、pn接合の空乏層D6の幅W6を縮小することができ、空乏層D6で生成し易い暗電流を低減することができる。
【0099】
<受光素子の製造方法>
次に、
図30~
図37を参照して、第3実施形態に係る受光素子の製造方法を説明する。ここでは、
図28に示した2つの画素Pの断面に着目して説明する。
【0100】
まず、
図30に示すように、p
+型の半導体層(半導体基板)51上に、p型の光吸収層52、p型の半導体層53及びn
+型の半導体層54を順次エピタキシャル成長させる。次に、
図31に示すように、CVD法又はALD法等により、半導体層54上に、正の固定電荷を有する第1絶縁膜61を堆積する。
【0101】
次に、第1絶縁膜61上にフォトレジスト膜44を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジスト膜44をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜44をエッチングマスクとして用いて、ドライエッチング等により、
図32に示すように、第1絶縁膜61の一部を選択的に除去する。その後、フォトレジスト膜44を除去する。
【0102】
次に、第1絶縁膜61をエッチングマスクとして用いて、ドライエッチング等により、半導体層54、半導体層53及び光吸収層52を選択的に除去することにより、トレンチ50を形成する。この結果、
図33に示すように、半導体層54a,54b、半導体層53a,53b及び光吸収層52a,52bがトレンチ50により画素P毎に区画される。
【0103】
次に、
図34に示すように、第1絶縁膜61をマスクとして用いて、選択拡散プロセスにより、トレンチ50に沿ってp
+型の選択領域55を形成する。この結果、半導体層51a,51bが選択領域55により画素P毎に区画される。
【0104】
次に、
図35に示すように、CVD法又はALD法等により、トレンチ50内を埋め込むように、第2絶縁膜62及び第3絶縁膜63を順次堆積する。なお、第2絶縁膜62は、
図35に示すように例えば負の固定電荷を有するが、正の固定電荷を有していてもよく、固定電荷を有していなくてもよい。また、第3絶縁膜63は、正又は負の固定電荷を有していてもよく、固定電荷を有していなくてもよい。
【0105】
次に、第3絶縁膜63上にフォトレジスト膜45を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジスト膜45をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜45をエッチングマスクとして用いて、ドライエッチング等により、
図36に示すように、第3絶縁膜63、第2絶縁膜62及び第1絶縁膜61の一部を選択的に除去する。第3絶縁膜63、第2絶縁膜62及び第1絶縁膜61を貫通する開口部が画素P毎に形成される。
【0106】
次に、スパッタリング法又は蒸着法等により、第3絶縁膜63、第2絶縁膜62及び第1絶縁膜61の開口部を埋め込むように、金属膜を堆積する。そして、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により、金属膜をパターニングする。この結果、
図37に示すように、半導体層54a,54b上に第1電極31a,31bが形成される。その後、
図28に示すように、スパッタリング法又は蒸着法等により、第2電極32を形成することにより、第3実施形態に係る受光素子が完成する。
【0107】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る受光素子は、
図38に示すように、
図4に示した第1実施形態に係る受光素子と逆の極性を有する。即ち、第4実施形態に係る受光素子は、p型の光吸収層(光電変換層)52と、光吸収層52の光Lが入射する一面(下面)とは反対側の他面(上面)に設けられたp型の半導体層53と、半導体層53の光吸収層52側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)から光吸収層52に到達するように設けられたn
+型の選択領域56a,56bを備える。
【0108】
選択領域56a,56bは、第1電極31a,31bに接しており、コンタクト部として機能する。選択領域56a,56bは、n型不純物として例えばゲルマニウム(Ge)を拡散させた拡散層で構成されている。光吸収層52の一面には、p+型の半導体層51が設けられている。第4実施形態では、信号電荷として電子が第1電極31a,31bから読み出され、正孔が第2電極32から排出される。
【0109】
第1絶縁膜61は、第1絶縁膜61が被覆するpn接合を構成する半導体層53及び選択領域56a,56bのうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の固定電荷を有する。第4実施形態では、pn接合を形成するp型の半導体層53のアクセプタ密度N
Aが、n型の選択領域56a,56bのドナー密度N
Dよりも低い場合(N
A<N
Dの場合)を説明する。この場合、
図39に示すように、第1絶縁膜61は、n型の選択領域56a,56bと同一極性である負の固定電荷(電子)を有する。これにより、p型の半導体層53の第1絶縁膜61との界面付近に正孔が誘起されて、pn接合の空乏層D7の幅W7が縮小するため、空乏層D7で生成される暗電流を低減することができる。
【0110】
一方、図示を省略するが、pn接合を形成するp型の半導体層53のアクセプタ密度NAが、n型の選択領域56a,56bのドナー密度NDよりも高い場合(NA>NDの場合)には、第1絶縁膜21は、n型の選択領域56a,56bと同一極性である正の固定電荷(正孔)を有する。これにより、n型の選択領域56a,56bの第1絶縁膜61との界面付近に電子が誘起されて、pn接合の空乏層D7の幅W7が縮小するため、空乏層D7で生成される暗電流を低減することができる。
【0111】
第4実施形態に係る受光素子によれば、第1実施形態に係る受光素子と逆極性の構成である場合でも、第1絶縁膜61が有する固定電荷も逆極性とすることにより、第1実施形態に係る受光素子と同様の効果を奏する。なお、図示を省略するが、第2及び第3実施形態に係る受光素子のそれぞれと逆極性の構成である場合でも、第1絶縁膜61が有する固定電荷も逆極性とすることにより、第2及び第3実施形態に係る受光素子のそれぞれと同様の効果を奏する。
【0112】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る受光素子の基本的な構成は、
図40に示すように、
図4に示した第1実施形態に係る構成と同様である。しかし、第5実施形態に係る受光素子の基本的な構成は、第2絶縁膜22が半導体層13に接する点が、第1実施形態と異なる。
【0113】
選択領域14a,14bが第1電極31a,31bと接しており、且つ半導体層13よりも選択領域14a,14bの電荷密度が高い場合には、第2絶縁膜22は、第1絶縁膜21及び選択領域14a,14bの極性と同一極性の固定電荷を有することが好ましい。例えば
図40に示すように、選択領域14a,14bがp型である場合には、第2絶縁膜22は、正の固定電荷(正孔)を有することが好ましい。これにより、n型の半導体層13の第2絶縁膜22との界面には電子が誘起され、半導体層13と第2絶縁膜22との界面で生成される暗電流を低減することができる。なお、第2絶縁膜22は、負の固定電荷(電子)を有していてもよく、固定電荷を有していなくてもよい。
【0114】
また、図示を省略するが、全体を逆の構成として、選択領域14a,14bがn型である場合には、第2絶縁膜22は、負の固定電荷(電子)を有することが好ましい。これにより、p型の半導体層13の第2絶縁膜22との界面には正孔が誘起され、半導体層13と第2絶縁膜22との界面で生成される暗電流を低減することができる。なお、半導体層13よりも選択領域14a,14bの電荷密度が低い場合には、第2絶縁膜22は、第1絶縁膜21と逆極性の固定電荷を有することが好ましい。
【0115】
第5実施形態に係る受光素子によれば、選択領域14a,14bが第1電極31a,31bと接している場合に、半導体層13に接する第2絶縁膜22が、選択領域14a,14bの極性と同一極性の固定電荷を有することにより、半導体層13と第2絶縁膜22との界面で生成される暗電流を低減することができる。
【0116】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る受光素子は、
図41に示すように、画素P間にトレンチ12xが設けられている点が、
図40に示した第5実施形態の構成と異なる。第6実施形態に係る受光素子の他の構成は、
図40に示した第5実施形態の構成と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0117】
トレンチ12xは、半導体層13の光吸収層12側の一面(下面)とは反対側の他面(上面)から、半導体層13を貫通し、光吸収層12の深さ方向の一部まで到達するように設けられている。なお、トレンチ12xは、半導体層13及び光吸収層12を貫通し、半導体層11まで到達していてもよい。トレンチ12xは、各画素Pを区画するように格子状の平面パターンを有する。
【0118】
第6施形態に係る受光素子によれば、トレンチ12xを有することにより、画素P間を分離することができる。更に、選択領域14a,14bが第1電極31a,31bと接している場合に、半導体層13に接する第2絶縁膜22が、選択領域14a,14bの極性と同一極性の固定電荷を有することにより、半導体層13と第2絶縁膜22との界面で生成される暗電流を低減することができる。
【0119】
(その他の実施形態)
上記のように、本技術は第1~第6実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本技術を限定するものであると理解すべきではない。上記の実施形態が開示する技術内容の趣旨を理解すれば、当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が本技術に含まれ得ることが明らかとなろう。また、第1~第5実施形態及びそれらの各変形例がそれぞれ開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。例えば、複数の異なる実施形態がそれぞれ開示する構成を組み合わせてもよく、同一の実施形態の複数の異なる変形例がそれぞれ開示する構成を組み合わせてもよい。
【0120】
<適用例>
固体撮像装置1は、例えば赤外領域を撮像可能なカメラ等、様々なタイプの電子機器に適用することができる。例えば
図42に示すように、電子機器4は、静止画又は動画を撮影可能なカメラを構成する。電子機器4は、固体撮像装置1、光学系(光学レンズ)310、シャッタ装置311、駆動部313及び信号処理部312を備える。
【0121】
光学系310は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置1へ導く。光学系310は、複数の光学レンズから構成されていてもよい。シャッタ装置311は、固体撮像装置1への光照射期間及び遮光期間を制御する。駆動部313は、固体撮像装置1の転送動作及びシャッタ装置311のシャッタ動作を制御する。信号処理部312は、固体撮像装置1から出力された信号に対し、各種の信号処理を行う。信号処理後の映像信号Doutは、メモリ等の記憶媒体に記憶されるか、或いはモニタ等に出力される。
【0122】
<内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0123】
図43は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0124】
図43では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0125】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0126】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0127】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0128】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0129】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0130】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0131】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0132】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0133】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0134】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0135】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0136】
図44は、
図43に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0137】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0138】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0139】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0140】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0141】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0142】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0143】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0144】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0145】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0146】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0147】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0148】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0149】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0150】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0151】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0152】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0153】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。撮像部11402に本技術を適用することにより、より鮮明な術部画像を得ることができるため、術者が術部を確実に確認することが可能になる。
【0154】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0155】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0156】
図45は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0157】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図45に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0158】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0159】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0160】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0161】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0162】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0163】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0164】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0165】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0166】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図45の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0167】
図46は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0168】
図46では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0169】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0170】
なお、
図46には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0171】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0172】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0173】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0174】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0175】
以上、本技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、より見やすい撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0176】
更に、本技術に係る固体撮像装置1は、監視カメラ,生体認証システム及びサーモグラフィ等の電子機器にも適用することが可能である。監視カメラは、例えばナイトビジョンシステム(暗視)のものである。固体撮像装置1を監視カメラに適用することにより、夜間の歩行者及び動物等を遠くから認識することが可能となる。また、固体撮像装置1を車載カメラとして適用すると、ヘッドライトや天候の影響を受けにくい。例えば、煙及び霧等の影響を受けずに、撮影画像を得ることができる。更に、物体の形状の認識も可能となる。また、サーモグラフィでは、非接触温度測定が可能となる。サーモグラフィでは、温度分布や発熱も検出可能である。加えて、固体撮像装置1は、炎,水分又はガス等を検知する電子機器にも適用可能である。
【0177】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることができる。
(1)
複数の画素を備え、
前記複数の画素のそれぞれが、
光を入射する一面を有し、化合物半導体材料を含む光吸収層と、
前記光吸収層の前記一面とは反対側の他面側に設けられ、前記光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の前記光吸収層側の一面とは反対側の他面から前記光吸収層に到達するように設けられ、前記第1半導体層に接する第2導電型の選択領域と、
前記第1半導体層の前記他面側に設けられ、前記第1半導体層及び前記選択領域に接する第1絶縁膜と、
前記第1半導体層の前記他面側に前記画素毎に設けられた第1電極と、
を備え、
前記第1絶縁膜が、前記半導体層及び前記選択領域のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の不揮発性の電荷を有する、
受光素子。
(2)
前記選択領域が、前記第1電極に接する、
前記(1)に記載の受光素子。
(3)
前記第1半導体層の前記他面側に設けられ、前記第1半導体層に接する第2絶縁膜を更に備える、
前記(2)に記載の受光素子。
(4)
前記第1半導体層よりも前記選択領域の電荷密度が高く、
前記第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜と同一極性の不揮発性の電荷を有する、
前記(3)に記載の受光素子。
(5)
前記第1半導体層よりも前記選択領域の電荷密度が低く、
前記第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜と逆極性の不揮発性の電荷を有する、
前記(3)又は(4)に記載の受光素子。
(6)
前記光吸収層の前記一面側に設けられ、前記光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第2半導体層を更に含む、
前記(1)~(5)のいずれか1つに記載の受光素子。
(7)
前記第2半導体層の前記光吸収層側の一面とは反対側の他面に設けられた第2電極を更に含む、
前記(6)に記載の受光素子。
(8)
隣り合う前記画素間に、前記第1半導体層の前記他面から前記光吸収層に到達する溝が設けられている、
前記(1)~(7)のいずれか1つに記載の受光素子。
(9)
前記選択領域が、前記画素毎の前記第1電極の間に位置する、
前記(1)に記載の受光素子。
(10)
前記第1半導体層の前記他面側に設けられ、前記選択領域に接する第2絶縁膜を更に備える、
前記(9)に記載の受光素子。
(11)
前記第1半導体層よりも前記選択領域の電荷密度が高く、
前記第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜と逆極性の不揮発性の電荷を有する、
前記(10)に記載の受光素子。
(12)
前記第1半導体層よりも前記選択領域の電荷密度が低く、
前記第2絶縁膜が、前記第1絶縁膜と同一極性の不揮発性の電荷を有する、
前記(10)に記載の受光素子。
(13)
前記光吸収層の前記他面側と、前記第1半導体層の前記一面側との間に、前記光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第2導電型の第2半導体層を更に備える、
前記(9)~(12)のいずれか1つに記載の受光素子。
(14)
隣り合う前記画素間に、前記第1半導体層の前記他面から前記光吸収層に到達する溝が設けられている、
前記(9)~(13)のいずれか1つに記載の受光素子。
(15)
前記選択領域が、前記溝に沿って設けられてる、
前記(14)に記載の受光素子。
(16)
光を入射する一面を有し、化合物半導体材料を含む光吸収層の前記一面とは反対側の他面側に、前記光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第1半導体層を形成し、
前記第1半導体層の前記光吸収層側の一面とは反対側の他面から前記光吸収層に達し、且つ前記第1半導体層に接するように第2導電型の選択領域を形成し、
前記第1半導体層及び前記選択領域のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の不揮発性の電荷を有する第1絶縁膜を、前記第1半導体層の前記他面側に、前記第1半導体層及び前記選択領域に接するように形成し、
前記第1半導体層の前記他面側に、前記画素毎に第1電極を形成する、
ことを含む、
受光素子の製造方法。
(17)
前記選択領域を拡散プロセスにより形成する、
前記(16)に記載の受光素子の製造方法。
(18)
前記選択領域に接するように前記第1電極を形成する、
前記(16)又は(17)に記載の受光素子の製造方法。
(19)
前記第1半導体層に接するように前記第1電極を形成する、
前記(16)又は(17)に記載の受光素子の製造方法。
(20)
複数の画素を備える画素領域と、
前記画素領域を制御する回路部と、
を備え、
前記複数の画素のそれぞれが、
光を入射する一面を有し、化合物半導体材料を含む光吸収層と、
前記光吸収層の前記一面とは反対側の他面側に設けられ、前記光吸収層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の前記光吸収層側の一面とは反対側の他面から前記光吸収層に到達するように設けられ、前記第1半導体層に接する第2導電型の選択領域と、
前記第1半導体層の前記他面側に設けられ、前記第1半導体層及び前記選択領域に接する第1絶縁膜と、
前記第1半導体層の前記他面側に前記画素毎に設けられた第1電極と、
を備え、
前記第1絶縁膜が、前記半導体層及び前記選択領域のうちの可動電荷密度が高い一方と同一極性の不揮発性の電荷を有する、
固体撮像装置。
【符号の説明】
【0178】
1…固体撮像装置、4…電子機器、10A…画素領域、11,13,51,51a,51b,53,53a,53b,54,54a,54b…半導体層、12,52,52a,52b…光吸収層(光電変換層)、12x,50…トレンチ、14a,14b,55,56a,56b…選択領域、41~45…フォトレジスト膜、130…回路部、131…行走査部、132…システム制御部、133…水平選択部、134…列走査部、135…水平信号線、310…光学系(光学レンズ)、311…シャッタ装置、312…信号処理部、313…駆動部、11000…内視鏡手術システム、11100…内視鏡、11101…鏡筒、11102…カメラヘッド、11110…術具、11111…気腹チューブ、11112…エネルギー処置具、11120…支持アーム装置、11131…術者(医師)、11132…患者、11133…患者ベッド、11200…カート、11202…表示装置、11203…光源装置、11204…入力装置、11205…処置具制御装置、11206…気腹装置、11207…レコーダ、11208…プリンタ、11400…伝送ケーブル、11401…レンズユニット、11402…撮像部、11403…駆動部11404…通信部、11405…カメラヘッド制御部、11411…通信部、11412…画像処理部、11413…制御部、12000…車両制御システム、12001…通信ネットワーク、12010…駆動系制御ユニット、12020…ボディ系制御ユニット、12030…車外情報検出ユニット、12030…ボディ系制御ユニット、12031…撮像部、12040…車内情報検出ユニット、12041…運転者状態検出部、12050…統合制御ユニット、12051…マイクロコンピュータ、12052…音声画像出力部、12061…オーディオスピーカ、12062…表示部、12063…インストルメントパネル、12100…車両、12101~12105…撮像部、P…画素