(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】患者インターフェース
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A61M16/06 A
(21)【出願番号】P 2021557414
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 AU2020050313
(87)【国際公開番号】W WO2020191463
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】PCT/AU2019/050278
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・イヴス
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・マイケル・カークパトリック
(72)【発明者】
【氏名】ラフール・ケーラ
(72)【発明者】
【氏名】アダム・フランシス・バーロウ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ジェームズ・ベイト
【審査官】立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531665(JP,A)
【文献】国際公開第2018/065926(WO,A1)
【文献】特表2017-518113(JP,A)
【文献】特表2016-518207(JP,A)
【文献】特表2017-531489(JP,A)
【文献】特表2013-538631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、前記治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第1のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、前記第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、第1のシール形成構造と、
患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第2のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、前記第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力を前記プレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、第2のシール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的なガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内に前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、
を含み、
前記患者インターフェースは、
前記第1のシール形成構造と前記第2のシール形成構造との間の境界であって、隆起部を含む境界と、
前記プレナムチャンバ
の内部に設けられる一対の板状の支持部であって、前記支持部の各々は、前記第2のシール形成構造と前記プレナムチャンバの前壁部との間
において前記患者インターフェースの対向する側部上に設けられており
、かつ前記第2のシール形成構造から前記プレナムチャンバの前記前壁部にわたって延在する、一対の支持部と、
をさらに備え、
前記支持部の各々は、前記第1のシール形成構造および前記第2のシール形成構造から離れて設けられる上側顔部位を備えており、前記隆起部および前記支持部は、前記隆起部におけるまたは前記隆起部の近隣の皺形成を低減するように構成され、かつ前記支持部は、前記第2のシール形成構造のうち使用時において患者の上唇をシールする部位に設けられる、患者インターフェース。
【請求項2】
前記支持部のそれぞれは、支柱を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記支持部は、前記第2のシール形成構造のうち、使用時において前記患者の上唇を前記患者の鼻の下側角部の真下においてシールする部位へ接続される、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記支持部は、矢状面に対して平行な断面においてみたときに曲線状である、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記支持部は、前額面に対して平行な断面においてみたときに曲線状である、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記プレナムチャンバは、口腔部および鼻部を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記支持部のそれぞれは、前記口腔部の側方側壁部と前記鼻部の側方側壁部との境界に隣接する前記プレナムチャンバの前記口腔部へ接続される、請求項6に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記支持部のそれぞれは、前記口腔部の前壁部と前記鼻部の前壁部との境界に隣接する前記プレナムチャンバの前記口腔部へ接続される、請求項7に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記プレナムチャンバの側方側壁部は、前記鼻部との境界と隣接して内方に曲線状にされ、前記支持部のそれぞれは、隣接する側方側壁部と連続している、請求項6に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記第2のシール形成構造は、空気流れを前記治療圧力において前記患者の鼻孔への入口へ送達させるように構成された少なくとも1つの鼻用アパチャを含み、使用時において、いずれの支持部のいずれの部分も、前記鼻用アパチャの真下に無い、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記患者インターフェースは、前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を発生させるように構成された位置決めおよび安定化構造と、をさらに含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、前記シェルに設けられる、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記第2のシール形成構造の側方部の後面は、前記第1のシール形成構造と前記第2のシール形成構造との境界から上前方向に傾斜する、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記隆起部の曲率半径は、2mm未満である、請求項1の患者インターフェース。
【請求項15】
前記隆起部は、前記第1のシール形成構造と前記第2のシール形成構造との間で角をなしており、
前記第1のシール形成構造および前記第2のシール形成構造によって形成される前記角は、20度~90度である、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記隆起部は、前記第1のシール形成構造と前記第2のシール形成構造との間の境界全体にわたって延びる、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記第1のシール形成構造は、前記プレナムチャンバの口腔部に接続され、
前記第2のシール形成構造は、前記プレナムチャンバの鼻部に接続され、
前記プレナムチャンバの前記口腔部の少なくとも一部は、可撓性シェルを含み、前記可撓性シェルは、ヤング率が0.4GPa未満である材料から形成され、
前記可撓性シェルに少なくとも1つのコンポーネントが解放可能に接続され、少なくとも1つの前記コンポーネントは、前記可撓性シェルのうち少なくとも1つの前記コンポーネントに隣接する部位よりも硬質であり、
前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、前記シェルに設けられる、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
少なくとも1つの前記コンポーネントは、以下のうち1つ以上を含む:通気モジュール;ヘッドギアコネクタ;剛性化アームへ接続されたヘッドギアコネクタ;前記可撓性シェルの撓みを制御するリジダイザ;より可撓性の低いシェル部、請求項17に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記一対の支持部の各支持部は、前記第2のシール形成構造および前記プレナムチャンバの前記前壁部に直接接続されている、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記一対の支持部の各々の少なくとも一部は、前記第2のシール形成構造の鼻用アパチャの下方向に配置され、前記下方向は前後方向に対して垂直に延在する、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
前記第2のシール形成構造の前記部位は、前記患者の鼻翼が前記上唇の上方の領域と出会う場所である鼻孔への入口の近隣で患者と接触する、請求項1に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0002】
1 関連出願の相互参照
本出願は、特許協力条約出願番号PCT/AU2019/050278(2019年3月28日付け)、オーストラリア特許出願番号2019901516(2019年5月3日付け)、オーストラリア特許出願番号2019903360(2019年9月10日付け)、およびオーストラリア特許出願番号2019903948(2019年10月21日付け)に対する条約優先権を主張する。同文献の内容全体を参考のため援用する。
【0003】
2 技術の背景
2.1 技術の分野
【0004】
本技術は、呼吸関連疾患のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。
【背景技術】
【0005】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0006】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸領域と呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0007】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0008】
呼吸器疾患の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0009】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0010】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0011】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0012】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0013】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0014】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0015】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0016】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0017】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0018】
2.2.2 治療法
多様な療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療法、非侵襲的換気(NIV)および侵襲的換気(IV))が上記の呼吸器疾患の1つ以上の治療のために用いられている。
【0019】
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0020】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0021】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0022】
2.2.3 治療システム
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0023】
治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0024】
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0025】
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0026】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0027】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0028】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0029】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0030】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0031】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0032】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸器疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0033】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0034】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0035】
2.2.3.1.1 シール形成構造
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0036】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻ブリッジ領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより口腔領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0037】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0038】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0039】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0040】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0041】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0042】
別の形態のシール形成構造は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0043】
一定範囲の患者インターフェースシール形成構造の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:WO1998/004,310;WO2006/074,513;WO2010/135,785)に開示がある。
【0044】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0045】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイスマスクの様相を記載);国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0046】
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0047】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0048】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
【0049】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。この空気流れは、加圧され得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0050】
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0051】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0052】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH
2Oにて測定)。
【表1】
【0053】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の実施例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0054】
ResMed Elisアクサンテギュee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(登録商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0055】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
【0056】
2.2.3.3 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。
【0057】
一定範囲の人工的加湿機器およびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0058】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快になり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0059】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
【0060】
2.2.3.4 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0061】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0062】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【0063】
2.2.3.5 下顎の再位置決め
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口腔内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部位を含む。この下顎からの機械的突出部は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
【0064】
特定の実施例において、下顎前方固定デバイスは、上顎または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎または下顎上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
【0065】
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口腔中に配置されたときに下顎が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎の突出レベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突出レベルを下顎に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
【0066】
下顎を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(登録商標)MRDなどの他のMADのように、下顎を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または回避するように構成される。
【0067】
2.2.3.6 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0068】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0069】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:国際特許出願公開第WO1998/034、665;国際特許出願公開第WO2000/078、381;米国特許第6、581、594号;米国特許出願公開第US2009/0050156;米国特許出願公開第2009/0044808。
【0070】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmH
2O圧力)
【表2】
【0071】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)
【0072】
【0073】
2.2.4 スクリーニング、診断、および監視システム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。睡眠呼吸障害のスクリーニング/診断/監視は家庭において特に不向きである。
【0074】
一般に、スクリーニングおよび診断は、疾患の兆候と症状によって疾患を特定することである。通常、スクリーニングは、患者のSDBがさらなる調査を求める程であるかないかを示す真/偽結果を出すいっぽう、診断は、臨床で実行可能な情報を出すことが多い。スクリーニングおよび診断は、一回性手続きになる傾向であることに反して、疾患の経過をモニタリングすることは無限定に続けられる。いくつかのスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適合されているが、いくつかはモニタリングにも使用することができる。
【0075】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断または監視をPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0076】
3 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0077】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0078】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0079】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0080】
本技術の態様は、プレナムチャンバを含む患者インターフェースに関する。このプレナムチャンバは、シール形成構造と、フェッシア部と、位置決めおよび安定化構造とを含む。少なくともフェッシア部の内側部は、可撓性である。
【0081】
本技術の態様は、陽圧治療中の患者への呼吸可能なガスの送達において用いられる患者インターフェースに関連する。この患者インターフェースは、シール形成構造を有するプレナムチャンバであって、このシール形成構造は、使用時において少なくとも着用者の鼻の下部と係合する鼻部と、使用時において下唇領域の下側の着用者の口の下部と係合する口腔部と、フェッシア部とを有する、プレナムチャンバ;および位置決めおよび安定化構造を含むフェッシア部は可撓性内側部を含み、この可撓性内側部は、可撓性であり、患者インターフェースが直立位置で保持されている際にプレナムチャンバが実質的に垂直軸の周囲において撓むことを促進させるように、方向付けられる。
【0082】
陽圧治療中の患者への呼吸可能なガスの送達において用いられる患者インターフェースは、異なる剛直性を相互に有する少なくとも2つの領域を含むプレナムチャンバであって、プレナムチャンバは、プレナムチャンバの第1の側方側に配置された第1の入口ポートと、プレナムチャンバの第2の側方側に配置された第2の入口ポートとを有する、プレナムチャンバ;シール形成構造、および少なくとも一部が可撓性であるフェッシア部;ならびに位置決めおよび安定化構造を含み、位置決めおよび安定化構造は、第1の入口ポートへ接続するように構成された第1の導管と、第2の入口ポートへ接続するように構成された第2の導管とを含む。陽圧治療中の患者への呼吸可能なガスの送達において用いられる患者インターフェースは、プレナムチャンバと、位置決めおよび安定化構造とを含む:このプレナムチャンバは、シール形成構造;および可撓性フェッシア部を含み、可撓性フェッシア部において、中空の突出部が、フェッシア部の内側領域から離隔方向に下方前方方向に延び、中空の突出部は、呼吸可能なガスの流れのプレナムチャンバ中への提供を促進させるようなサイズおよび構造にされた入口ポートを有する。
【0083】
陽圧治療中の患者への呼吸可能なガスの送達において用いられる患者インターフェースは、プレナムチャンバと、位置決めおよび安定化構造とを含む。プレナムチャンバは、少なくとも患者の鼻の下面をシールするような構造にされた鼻部を有するシール形成構造;および可撓性フェッシア部を含む。
【0084】
本技術の一態様は、患者インターフェースに関連する:患者インターフェースは、使用時において患者の呼吸サイクル全体において周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、使用時において上記治療圧力における空気流れを患者の鼻孔への入口に送達するように構成された少なくとも1つの孔を有し、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、使用時において患者の呼吸サイクル全体において患者による呼吸のための治療圧力における空気流れを受容するようなサイズおよび構造にされた1つ以上のプレナムチャンバ入口ポートを有するフェッシア部と、を含む、プレナムチャンバと、前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を発生させるように構成された位置決めおよび安定化構造と、を含み、前記フェッシア部は、可撓性内側部を含む。
【0085】
本技術の態様は、プレナムチャンバおよび位置決めおよび安定化構造を含む患者インターフェースに関連する。プレナムチャンバは、口腔部および鼻部を有するシール形成構造;およびフェッシア部を含み、少なくともフェッシア部の内側部は、可撓性である。
【0086】
本技術の態様は、プレナムチャンバおよび位置決めおよび安定化構造を含む患者インターフェースに関連する。プレナムチャンバは、口腔部および鼻部を有するシール形成構造;およびフェッシア部を有する。少なくともフェッシア部の内側部は、可撓性である。患者インターフェースは、使用時においてフェッシア部の撓みを制御するリジダイザを含む。
【0087】
実施形態において、リジダイザは、使用時において患者の顔へのフェッシア部の撓みを可能にするような構造および/または配置にされる。好適な形態において、リジダイザにより、使用時においてフェッシア部の撓みが患者の顔から外方に離隔方向に所定の量を超える事態が制限されるかまたは実質的に回避され得る。リジダイザは、第1の方向において撓んだ際に比較的より高い可撓性を有し得、第2の方向において撓んだ際に比較的より低い可撓性を有し得る。
【0088】
実施形態において、リジダイザは、軸(例えば、患者の顔の面に対して平行に方向付けられた軸)の周囲において捩れるような構造にされる。
【0089】
本技術の一態様は、患者インターフェースに関連する:患者インターフェースは、使用時において患者の呼吸サイクル全体において周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、口部位と鼻部位とを有し、前記プレナムチャンバは、患者の気道への入口を包囲する患者の顔の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造の鼻部位は、使用時において前記治療圧力における空気流れを患者の鼻孔への入口に送達させるように構成された鼻用穴を少なくとも1つ有し、前記シール形成構造の口部位は、使用時において前記治療圧力における空気流れを患者の口への入口に送達させるように構成された口用孔を有し、前記シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、使用時において患者の呼吸サイクル全体において患者による呼吸のための治療圧力における空気流れを受容するようなサイズおよび構造にされた1つ以上のプレナムチャンバ入口ポートを有するフェッシア部と、を含む、プレナムチャンバと、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を発生させるように構成された位置決めおよび安定化構造と、を含み、前記フェッシア部は、口部位に接合され、鼻部位と該口部位の下方部との間の少なくとも内側部を含み、前記内側部は、可撓性である。
【0090】
態様の例において:フェッシア部の実質的に全体は、可撓性であり得;フェッシア部の内側部のみが、可撓性材料であり得;フェッシア部は、内側部よりも剛直性が高い少なくとも1つのインサートを含み得;可撓性内側部は、少なくとも1つのインサートのリムを包囲し得;フェッシア部は、第1の側方インサートおよび第2の側方インサートを含み得、可撓性内側部は、第1の側方インサートと、第2の側方インサートとの間に設けられ得る。
【0091】
さらなる例において、プレナムチャンバは、使用時において可撓性部の動きの範を制御するリジダイザを含む。例えば、リジダイザは、インターフェースのフェッシア部の内方の撓みを妨げることもインターフェースのフェッシア部の内方の撓みに影響を与えることもし得ない。しかし、例において、リジダイザは、使用時において可撓性フェッシア部の撓みが患者の顔から外方に離隔方向に所定の量を超える事態を制限または実質的に回避し得る。リジダイザは、第1の方向において撓んだ際に比較的より高い可撓性を有し得、第2の方向において撓んだ際に比較的より低い可撓性を有し得る。
【0092】
態様の例において:少なくともフェッシア部の内側部は、可撓性材料製であり;可撓性材料は、以下のうち1つ以上であり得る:シリコーン、熱可塑性エラストマー(TPE)、発泡体など。
【0093】
あるいは、フェッシア部の内側部は、使用時においてフェッシア部の撓みを制御し得るリジダイザコンポーネントによって設けられ得る。これらの実施形態において、リジダイザは、本技術による患者インターフェースのプレナムチャンバの一部を形成する。これらの実施形態において、リジダイザは、使用時におけるフェッシア部の患者の顔への撓みを可能にする。好適な形態において、リジダイザにより、使用時においてフェッシア部の撓みが患者の顔から外方に離隔方向に所定の量を超える事態が制限されるかまたは実質的に回避され得る。リジダイザは、第1の方向において撓んだ際に比較的より高い可撓性を有し得、第2の方向において撓んだ際に比較的より低い可撓性を有し得る。
【0094】
態様の例において:シール形成構造およびフェッシア部は、一体形成され得;シール形成構造は、フェッシア部へオーバーモールドされ得;シール形成構造は、フェッシア部とは別個に形成され得、フェッシア部へ恒久的にまたは取り外し可能に接続されるように構成され得る。これらの実施形態において、リジダイザは、例えばフェッシア部へオーバーモールドされることによって設けられ得、あるいは、フェッシア部は、リジダイザへオーバーモールドされる。あるいは、リジダイザは、例えば接着または他の手段により、フェッシア部へ恒久的にまたは解放可能に取り付けられ得る。
【0095】
態様の例において:少なくともフェッシア部の一部は、シール形成構造よりも高い剛直性を有し得;プレナムチャンバは、少なくとも1つの補強部を鼻部のベースにおいて含み、少なくとも1つの補強部は、鼻部よりも高い剛直性を有し得;シール形成構造の鼻部は、2つの側方部を含み得、少なくとも1つの補強部は、側方部の下側に設けられる。
【0096】
態様の例において:シール形成構造の内側部はシール形成構造の隣接する側方部よりも低い剛直性を有し得;シール形成構造の後方を向く内側部は、シール形成構造の隣接する側方部よりも低い剛直性を有し得;後方を向く内側部は、使用時において患者の顎領域と接触する下唇部および使用時において患者の上唇と接触する上唇部のうち1つ以上を含み得;シール形成構造の内側部は、シール形成構造の隣接する側方部よりも低い剛直性を有し、以下のうち1つ以上を含み得る:鼻部の前方を向く部位から使用時において患者の上唇と接触する上唇部へ延びる鼻部の内側部、および口腔部の前方を向く部位から使用時において患者の顎領域と接触する下唇部へ延びる口腔部の内側部。
【0097】
態様の例において:プレナムチャンバに含まれ得る中空の突出部は、フェッシア部から延び、プレナムチャンバ入口ポートを有し;中空の突出部は、フェッシア部上の内側および下側位置から延び得;中空の突出部は、下方前方方向において延び得;中空の突出部は、実質的に下方および部分的に前方において延び得;中空の突出部は、フェッシア部と一体形成され;中空の突出部の剛直性は、フェッシア部のうち中空の突出部に隣接する上側部よりも低くなり得;フェッシア部の上側部の厚さは、中空の突出部へと下方にテーパー状にされ得;中空の突出部の下側の顎領域内のシール形成構造の内側部は、フェッシア部の上側部よりも低い剛直性を有し得る。
【0098】
態様の例において、剛直性の差が、以下のうち1つ以上によって得られ得る:壁厚さ;より硬質な材料(例えば、ジュロメーター硬さが異なる同一材料または別の材料)、および補強構造(例えば、タイまたはリブ、アンダークッション、部位またはシャーシ)。例において、1つ以上の補強構造は、プレナムチャンバへ選択的に設けられ得る。
【0099】
態様の例において:プレナムチャンバは、少なくとも第1のヘッドギア接続点および第2のヘッドギア接続点を含み得、第1のヘッドギア接続点および第2のヘッドギア接続点はそれぞれ、フェッシア部内側部から側方に設けられ;プレナムチャンバは、第1のヘッドギア接続支持部および第2のヘッドギア接続支持部を含み得、ヘッドギア接続支持部はそれぞれ、少なくとも1つのヘッドギア接続点を含み;第1のヘッドギア接続支持部および第2のヘッドギア接続支持部はそれぞれ、上側ヘッドギア接続点および下側ヘッドギア接続点を含み得;フェッシア部は、第1の側方ヘッドギア支持凹部および第2の側方ヘッドギア支持凹部を含み得;第1の側方ヘッドギア支持凹部および第2の側方ヘッドギア支持凹部は、フェッシア部の前側に設けられ得;第1の側方ヘッドギア支持凹部および第2の側方ヘッドギア支持凹部は、第1のヘッドギア接続支持部および第2のヘッドギア接続支持部をそれぞれ受容するように構成され得;第1のヘッドギア接続支持部および第2のヘッドギア接続支持部はそれぞれ、フェッシア部よりも高い剛直性を有し得る。
【0100】
態様の例において:プレナムチャンバは、単一のプレナムチャンバ入口ポートを含み得;プレナムチャンバは、少なくとも第1のプレナムチャンバ入口ポートおよび第2のプレナムチャンバ入口ポートを含み得;第1のプレナムチャンバ入口ポートは、フェッシア部の内側部の第1の側方側に設けられ得、第2のプレナムチャンバ入口ポートは、フェッシア部の内側部の第2の側方側に設けられ得;各プレナムチャンバポートは、フェッシア部に設けられたインサート内に設けられ得;各プレナムチャンバポートは、フェッシア部の可撓性材料に設けられ得る。
【0101】
態様の例において:患者インターフェースは、プレナムチャンバ入口ポートへ接続されるように構成された少なくとも1つの導管コネクタを含み得;患者インターフェースは、第1の導管コネクタおよび第2の導管コネクタを含み得、第1の導管コネクタは、第1の導管をプレナムチャンバへ空気圧的に接続させることにより、患者の呼吸のために治療圧力における空気流れをプレナムチャンバへ提供するように構成され、第2の導管コネクタは、第2の導管をプレナムチャンバへ空気圧的に接続させることにより、患者の呼吸のために空気流れを治療圧力において患者インターフェースチャンバへ提供するように構成され、;第1の導管コネクタおよび第2の導管コネクタはそれぞれ、第1の導管および第2の導管のうち対応する1つを第1のプレナム入口ポートおよび第2のプレナムチャンバ穴部のうち対応する1つへ空気圧的に接続させるように構成され得る。
【0102】
例において、プレナムチャンバは、接続解除部を口腔部と鼻部との間に含み得る。例においてプレナムチャンバは、接続解除部を鼻部とフェッシア部との間に含み得る。例においてプレナムチャンバは、接続解除部を口腔部とフェッシア部との間に含み得る。例において、プレナムチャンバは、接続解除部をシール形成構造のうち少なくとも一部と、1つ以上のプレナムチャンバ入口ポートとの間に含み得る。例において、接続解除部は、以下のうち1つ以上によって設けられ得る:1つ以上のガセット部、1つ以上のプリーツ、1つ以上のコンサーティーナ部。
【0103】
例において、シール形成構造のうち少なくとも一部は、第1の表面仕上げを有し得、プレナムチャンバの他の部位は、第1の表面仕上げと異なる第2の表面仕上げを有し得る。例において:第1の表面仕上げは、シール形成構造のうち使用時において患者の顔と接触する部位に設けられ得、第1の表面仕上げにより、第2の表面仕上げよりも高い摩擦係数が得られ;第1の表面仕上げは、研磨仕上げであり得;第2の表面仕上げは、第1の表面仕上げよりも滑らかな感触であり得;第2の表面仕上げは、テクスチャード加工された表面仕上げであり得;第2の表面仕上げは、フロック加工され得;テクスチャード加工された表面仕上げは、プレナムチャンバの形成において用いられるにおいてテクスチャード加工特徴によって生成され得;テクスチャード加工された表面仕上げは、エッチング(例えば、レーザーエッチング)によって生成され得る。
【0104】
例において、シール形成構造は、第1の表面仕上げを第1の部位に有し得、第2の表面仕上げを第2の部位に有し得、第2の表面仕上げは、第1の表面仕上げと異なる。例において:第1の表面仕上げは、第2の表面仕上げよりも高い摩擦係数を提供し得;第1の表面仕上げおよび第2の表面仕上げは、口腔部および鼻部それぞれの上に設けられ得る。
【0105】
態様の例において:シール形成構造の鼻部は、2つの側方部を含み得;各側方部は、側方支持部を有し、側方支持部はそれぞれ、シール形成構造の隣接部よりも高い変形抵抗を有し;側方支持部はそれぞれ、シール形成構造の隣接部よりも肉厚であり得;側方支持部はそれぞれ、曲線状の上側境界を有し得;側方支持部はそれぞれ、実質的にフィン状であり得;シール形成構造の鼻部は、使用時において患者の鼻孔を包囲する患者の鼻の下側周辺および患者の上唇をシールするように構成された内側部を含み得;内側部は、側方支持部よりも低い剛直性を有し得;シール形成構造の鼻部は、内側部と側方支持部との間に設けられた内側部を含み得;内側部は、使用時において患者の鼻の翼と接触するように構成され得;内側部は、内側部よりも肉厚であり得;内側部は、側方支持部よりも低い剛直性を有し得、かつ/または、シール形成構造は、使用時において顎の下側において患者の顔と係合しないように構成され得る。
【0106】
態様の例において:シール形成構造は、口腔の対向する側方側に設けられた側方周囲支持部を含み、側方周囲支持部は、口腔周囲部に隣接し、側方周囲支持部は、口腔周囲部よりも硬質であり;側方周囲支持部は、口腔周囲部よりも肉厚であり得る。例において、シール形成構造は、口腔周囲部の大部分を包囲する後方を向く側方部を含み得;後方を向く側方部は、口腔周囲部よりも硬質であり得;後方を向く側方部は、内側方向に口腔の最も側方の縁部へと延びて、側方周囲支持部を形成し得る。
【0107】
本技術の態様は、患者インターフェースに関連する:患者インターフェースは、前述の態様またはその実施例のいずれかに記載のプレナムチャンバと、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を発生させるように構成された位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造はタイを含み、タイは、使用時において少なくとも一部が患者頭部の上耳底点の上方の患者頭部の領域上に配置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、患者が呼気した連続するガス流れをプレナムチャンバの内部から雰囲気へ移動させるように構成された通気構造であって、前記通気構造は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持できるようなサイズおよび形状である、通気構造とを含み、該患者インターフェースは、1つ以上のプレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に患者が自身の口腔を通じて雰囲気から呼吸することを可能にするように構成される。
【0108】
例において、通気構造は、以下のうち1つ以上に設けられ得る:フェッシア部;フェッシア部のインサート;および/または導管コネクタ。
【0109】
本技術の一形態の別の態様は、使用時において空気流れを治療圧力において患者の鼻気道および口気道へ送達させるように構成された口腔鼻患者インターフェースであり、口腔鼻患者インターフェースは、少なくとも患者の鼻の下面をシールする。このような配置構成は、「鼻下側フルフェイス」または「最小接触フルフェイス」型の患者インターフェースと呼ばれ得、超コンパクトな形態を提供する。
【0110】
例において、口腔鼻患者インターフェースは、態様またはその例のうちいずれか1つに記載のプレナムチャンバを含み得る。例において、口腔鼻患者インターフェースは、態様またはその例のうちいずれか1つに記載のシール形成構造を含み得る。
【0111】
例において、シール形成構造は、患者の鼻の鼻骨を超えて延び得ず;シール形成構造は、患者の鼻の鼻堤を超えて延び得ず;シール形成構造は、患者の鼻の鼻尖点の上面を超えて延び得ず;シール形成構造は、患者の鼻の鼻尖点の前面を超えて延び得ない。
【0112】
実施例において、シール形成部分は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第1のシール形成部分を含み得、前記シール形成構造は、前記治療圧力における空気流れが口に送達されるように構成され、前記シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される。実施例において、シール形成部分は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第2のシール形成部分を含み得、前記シール形成構造は、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達されるように構成され、前記シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される。例において、第1のシール形成部位は、患者の口への空気供給を提供するように構成された第1の穴部を含み得、第2のシール形成部位は、患者の鼻孔のうち少なくとも1つへの空気供給を提供するように構成された少なくとも1つのさらなる穴部を含み得る。
【0113】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;
患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第1のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;
患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第2のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;および
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲に抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造を含み、
患者インターフェースは、以下をさらに含む:
第2のシール形成構造とプレナムチャンバの前壁部との間のインターフェースの対向する側部上に設けられた一対の支持部であってであって、支持部は、前後方向における圧縮を阻止するように構成される、一対の支持部。
【0114】
実施形態において:
【0115】
a)支持部は、第2のシール形成構造のうち使用時において患者の上唇をシールする部位へ接続され;
【0116】
b)支持部は、第2のシール形成構造のうち使用時において患者の鼻の下側角部の直接下側において患者の上唇をシールする部位へ接続され;
【0117】
c)支持部は、矢状面に対して平行な断面からみたときに曲線状であり;
【0118】
d)支持部は、前額面に対して平行な断面からみたときに曲線状であり;
【0119】
e)プレナムチャンバは、口腔部および鼻部を含み;
【0120】
f)各支持部は、口腔部の側方側壁部および鼻部の側方側壁部の境界に隣接するプレナムチャンバの口腔部へ接続され;
【0121】
g)各支持部は、口腔部の前壁部および鼻部の前壁部の境界に隣接するシェルの口腔部へ接続され;
【0122】
h)プレナムチャンバの側方側壁部は、鼻部との境界に隣接して内方に曲線状にされ、各支持部は、隣接する側方側壁部に実質的に隣接し;
【0123】
i)第2のシール形成構造は、空気流れを前記治療圧力において患者の鼻孔への入口へ送達させるように構成された少なくとも1つの鼻用アパチャを含み、使用時において、いずれの支持部のいずれの部分も、またはそれぞれの鼻用アパチャの直接下側に無く;
【0124】
j)前記インターフェースは、前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を発生させるように構成された位置決めおよび安定化構造と、をさらに含み、かつ/また
【0125】
k)プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、通気構造は、シェルへ設けられる。
【0126】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;および
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲に抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造を含み、
ここで:
プレナムチャンバの口腔部との境界に隣接するプレナムチャンバの鼻部の第1の前壁部は、プレナムチャンバの口腔部の直接隣接する領域よりも可撓性であり、プレナムチャンバの鼻部の第2の前壁部は、第1の前壁部に直接隣接し、プレナムチャンバの口腔部との境界に対して第1の前壁部の反対側にあり、前壁部の直接隣接部よりも可撓性が低い。
【0127】
実施例において、
【0128】
a)第1の前壁部は、プレナムチャンバ壁部の直接隣接部よりも肉薄であり;
【0129】
b)第2の前壁部は、プレナムチャンバ壁部の直接隣接部より肉厚であり;
【0130】
c)第1の前壁部および第2の前壁部は、同一材料製であり;
【0131】
d)第1の前壁部は、プレナムチャンバの鼻部の全体幅に実質的にわたって延び;
【0132】
e)第2の前壁部は、プレナムチャンバの鼻部の幅の少なくとも大部分にわたって延び;
【0133】
f)第1の前壁部は、上方向において第2の前壁部の少なくとも1つの側方縁部の周囲に延び;
【0134】
g)第2の前壁部は、プレナムチャンバの鼻部の全体幅に実質的にわたって延び;
【0135】
h)第1の前壁部の中央部は、第1の前壁部の側方部よりも上方向にさらに延び;
【0136】
I)第1の前壁部の上側境界は、曲線状であり;
【0137】
j)第1の前壁部の下側境界は、曲線状であり;かつ/または
【0138】
k)プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、通気構造は、シェルへ設けられる。
【0139】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;および
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲に抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造を含み、
ここで:
第2のシール形成構造の側方部の後面は、第1のシール形成構造および第2のシール形成構造の境界から上前方向に傾斜する。
【0140】
実施例において、
【0141】
a)各側方部の傾斜は、マスクの中央接触面と20度~90度の角度を形成し;
【0142】
b)使用時において、患者インターフェースのいずれの部分も患者の鼻翼頂上点と接触せず;
【0143】
c)インターフェースは、患者の鼻孔の閉塞を回避させるかまたは関連技術のインターフェースに対する閉塞を少なくとも低減させるように構成され;かつ/または
【0144】
d)プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、通気構造は、シェルに設けられる。
【0145】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;および
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲に抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造を含み、
ここで:
第1のシール形成構造と第2のシール形成構造との間の境界は、隆起部を含む。
【0146】
実施例において、
【0147】
a)隆起部の曲率半径は、2mm未満であり;
【0148】
b)隆起部は、第1のシール形成構造と第2のシール形成構造との間の境界全体に実質的にわたって延び;
【0149】
c)使用時において、隆起部は、(翼が上唇の上方の顔と出会う場所である)鼻孔への入口の近隣の患者の顔と係合し;
【0150】
d)隆起部は、隆起部の近隣の第1のシール形成構造および/または第2のシール形成構造における皺形成に耐え;および/または
【0151】
e)使用時において、プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、通気構造は、シェルに設けられる。
【0152】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;および
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲に抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造を含み、
ここで:
プレナムチャンバの口腔部の少なくとも一部は、可撓性シェルを含み、可撓性シェルは、ヤング率が0.4GPa未満である材料から形成される。
【0153】
実施例において、
【0154】
a)可撓性シェルは、ヤング率が0.1GPa未満(好適には0.3~0.7MPa)の材料から形成される。
【0155】
b)少なくとも1つのコンポーネントは、可撓性シェルへ接続され、少なくとも1つのコンポーネントは、可撓性シェルのうちコンポーネントに隣接する部位よりも硬質であり;
【0156】
c)少なくとも1つのコンポーネントは、以下のうち1つ以上を含み:通気モジュール;ヘッドギアコネクタ;剛性化アームへ接続されたヘッドギアコネクタ;剛性化部材部材;より可撓性の低いシェル部;
【0157】
d)少なくとも1つのコンポーネントは、可撓性シェルへ解放可能に接続可能であり;
【0158】
e)少なくとも1つのコンポーネントは、可撓性シェルへ恒久的に接続され;
【0159】
f)少なくとも1つのコンポーネントは、可撓性シェルへオーバーモールドされ;
【0160】
g)可撓性シェルは、可撓性シェルの直接隣接部よりも肉厚である硬化部を含み;
【0161】
h)少なくとも1つのコンポーネントは、硬化リブまたはバンドとして構成され;
【0162】
i)プレナムチャンバの口腔部の中央部は、プレナムチャンバの残り部分よりも高い剛直性を有し;かつ/または
【0163】
j)プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、通気構造は、シェルに設けられる。
【0164】
本技術の一形態の態様は、広範囲の患者顔形状およびサイズにフィットすることが可能な患者インターフェースである。
【0165】
本技術の一形態の態様は、広範囲の多様な顔形状および/または特徴にフィットすることが可能な患者インターフェースである。
【0166】
本技術の一形態の態様は、(例えば、シール達成のために必要なヘッドギア張力がより低いことに起因して)より高い快適性レベルを有する患者インターフェースであり、よって、患者の顔および/または頭部へ付与される力が低下し得る。
【0167】
本技術の一形態の態様は、(例えば、顔側部を枕に付けた状態で横向きになって睡眠をとっている患者に起因する側方の力からの)シール形成構造への破壊的力の伝達の低減によってシール安定性を向上させた患者インターフェースである。
【0168】
本技術の一形態の別の態様は、意図される装着者の形状に対して相補的である周辺形状と共に成形または他の場合に構築された患者インターフェースである。
【0169】
本技術の一形態の一態様は、装置の製造方法である。
【0170】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0171】
本技術の一形態の一態様は、人間が(例えば、自宅周囲において)持ち運び可能な携帯用RPTデバイスである。
【0172】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0173】
記載される方法、システム、デバイスおよび装置により、プロセッサにおける機能(例えば、特定目的用コンピュータのプロセッサ、呼吸モニターおよび/または呼吸治療装置の機能)の向上が可能となるように具現され得る。さらに、記載の方法、システム、デバイスおよび装置により、呼吸状態(例えば、睡眠障害呼吸)の自動管理、監視および/または治療の技術分野における向上が可能になる。
【0174】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0175】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【0176】
4 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
【図面の簡単な説明】
【0177】
【
図1A】4.1 治療システム:患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
【
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。4.2 呼吸システムおよび顔の解剖学的構造
【
図2A】鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
【
図2B】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、口咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
【
図2C】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も記載される。
【
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、上耳底点および下耳底点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
【
図2E】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。冠状面も記載される。
【
図2F】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および正中矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
【
図2H】外側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
【
図2I】正中矢状面からおよそ数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
【
図2J】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎骨と共に図示されている。
【
図2K】頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が図示されている:前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨および後頭骨。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉が図示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
【
図2L】鼻の前外側を示す。4.3 患者インターフェース
【
図3A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図3B】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、3Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3C】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図3Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3D】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
【
図3E】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3F】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3G】2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。ドーム領域および鞍状領域が図示される。
【
図3H】マスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つの鞍状領域およびドーム領域が図示される。
【
図3I】構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。図示の平面曲線は、一次元穴の境界を形成する。
【
図3J】
図3Iの構造を通じた断面図である。図示の表面は、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける。
【
図3K】二次元穴および一次元穴を含む
図3Iの構造の斜視図である。また、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける表面が図示される。
【
図3L】クッションとしての可膨張性ブラダーを有するマスクを示す。
【
図3M】
図3Lのマスクの断面図であり、ブラダーの内面を示す。内面により、マスク中の二次元穴が境界付けられる。
【
図3N】
図3Lのマスクを通じたさらなる断面を示す。内面も図示される。
【
図3T】マスクの異なる領域内の密閉膜の縁部によって規定された空間曲線のねじれのサインを含むマスクの図である。
【
図3U】正中矢状面および中央接触面を示す、プレナムチャンバ3200の図である。
【
図3V】
図3Uのプレナムチャンバの後方の図である。図中の方向は、中央接触面に対して垂直である。
図3V中、正中矢状面により、プレナムチャンバが左手側および右手側に二等分される。
【
図3W】
図3Vのプレナムチャンバを通じた断面図であり、この断面は、
図3Vに示す正中矢状面においてとられる。「中央接触」面が図示される。中央接触面は、正中矢状面に対して垂直である。中央接触面の方位は、腱3209の方位に対応する。この腱は、正中矢状面上に載置され、正中矢状面上の2点(すなわち、上点3220および下点3229)においてプレナムチャンバのクッションのみと接触する。この領域におけるクッションのジオメトリに応じて、中央接触面は、上点および下点双方に接し得る。
【
図3X】
図3Uのプレナムチャンバ3200が顔面上の使用位置にある状態を示す。プレナムチャンバ3200の正中矢状面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、顔の正中矢状面と概して一致する。中央接触面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、「顔の面」に概して対応する。
図3Xにおいて、プレナムチャンバ3200は鼻マスクのものであり、上点3220はほぼセリオン上に載置され、下点3229は上唇上に載置される。4.4 RPTデバイス
【
図4A】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
【
図4B】本技術の一形態によるRPTデバイスの空気圧経路の模式図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。4.5 加湿器
【
図5A】本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示す。
【
図5B】本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示し、加湿器リザーバ5110が加湿器リザーバドック5130から取り外された様子を示す。
【
図5C】加湿器コントローラ5250の構成を示す。4.6 呼吸波形
【
図6】睡眠時の人のモデルの典型的な呼吸波形を示す。4.7 本技術の患者インターフェースの第1の実施形態
【
図7-1】本技術の一形態による、プレナムチャンバ3200の正面図である。
【
図7-2】
図7-1のプレナムチャンバ3200の背面図である。
【
図7-3】
図7-1のプレナムチャンバ3200の側面図である。
【
図7-4】
図7-1のプレナムチャンバ3200の上面図である。
【
図7-5】
図7-1のプレナムチャンバ3200の下面図である。
【
図7-6】
図7-1のプレナムチャンバ3200の側断面図である。
【
図8-1】
図7-1のプレナムチャンバ3200の壁厚さヒートマップの正面図である。
【
図8-2】
図7-1のプレナムチャンバ3200の壁厚さヒートマップの背面図である。
【
図8-3】
図7-1のプレナムチャンバ3200の壁厚さヒートマップの側面図である。
【
図8-4】
図7-1のプレナムチャンバ3200の壁厚さヒートマップの上面図である。
【
図8-5】
図7-1のプレナムチャンバ3200の壁厚さヒートマップの下面図である。
【
図9】本技術の一形態による接続ポート3600 3200の側面図である。
【
図10-1】本技術の別の実施例による患者インターフェース3000の第1の側面図である。
【
図10-2】
図10-1の患者インターフェース3000の第2の側面図である。
【
図11-1】本技術の別の形態による、プレナムチャンバ3200の正面図である。
【
図11-2】
図11-1のプレナムチャンバ3200の背面図である。
【
図11-3】
図11-1のプレナムチャンバ3200の側面図である。
【
図11-4】
図11-1のプレナムチャンバ3200の上面図である。
【
図11-5】
図11-1のプレナムチャンバ3200の正面図であり、側方インサート3214が除去されている。
【
図12-1】
図11-1の側方インサート3214の正面斜視図である。
【
図12-2】
図11-1の側方インサート3214の後方斜視図である。
【
図13-1】本技術の別の実施例による患者インターフェース3000の正面図である。
【
図13-2】
図13-1の患者インターフェース3000の側面図である。
【
図13-3】
図13-1の患者インターフェース3000の斜視図である。
【
図14-1】本技術の別の形態による患者インターフェース3000の正面斜視図である。
【
図14-2】
図14-1の患者インターフェース3000の分解図である。
【
図14-3】
図14-1および
図14-2の患者インターフェース3000におけるプレナムチャンバ3200の正面図である。
【
図14-4】
図14-1のプレナムチャンバ3200の正面斜視図である。
図14.5は、
図14-3および
図14-4のプレナムチャンバ3200におけるリジダイザ3500の正面図である。
【
図14-8】
図14-5~
図14-7のリジダイザ3500におけるシャーシ3502の正面図である。
【
図14-11】
図14-5~
図14-7のリジダイザ3500におけるインサート3504の正面図である。
【
図15-1】本技術の別の形態による、プレナムチャンバ3200の正面図である。
【
図15-2】
図15-1のプレナムチャンバ3200の上面図である。
【
図15-3】
図15-1および
図15-2のプレナムチャンバにおけるリジダイザ3500の正面図である。
【
図15-4】
図15-3のリジダイザ3500のシャーシ3502の正面図である。
【
図15-7】
図15-3のリジダイザ3500におけるインサート3504の正面図である。
【
図15-8】
図15-7のインサート3504の下面図である。
【
図15-9】
図15.7および
図15-8のインサート3504の上面図である。4.8 本技術の患者インターフェースの第2の実施形態
【
図16】本技術の一形態によるプレナムチャンバの後斜視図であり、入口ポートは図示していない。
【
図21】平面12-12を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図23】平面14-14を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図24】平面15-15を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図25】平面16-16を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図26】平面17-17を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図27】平面18-18を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図28】プレナムチャンバが患者の顔上の使用時位置にある場合の側面図であり、プレナムチャンの輪郭を明確さのために図示している。
【
図29】記載のシール形成構造による患者の顔との特定の係合領域を示す。
【
図30】別の形態の本技術による患者インターフェースの正面斜視図である。
【
図31】本技術のさらに別の形態による患者インターフェースの正面斜視図であり、通気部は除去されている。
【発明を実施するための形態】
【0178】
5 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0179】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0180】
本技術の態様および例の記載において解剖学的な方向を示す用語が用いられる(例えば、「前方」、「後方」、「上側」、「下側」、「側方」、「中間」)が、これらの方向は、患者による使用時において本技術の文脈において適用される。例えば、患者インターフェースの前側部は、患者が患者インターフェースを意図される様態で着用したときに患者に対して前方にある患者インターフェースの側部を指す。
【0181】
表面または部位がいずれかの方向を向いている様子を記述する際(例えば、「上方を向く」、「前方を向く」)、文脈から明確に分からない限り、当該表面または部位は少なくとも部分的に特定の方向を向いているものとして理解されるものとする。ある部位が概して上方を向いている場合、当該部位は、部分的に別の方向にも向いている場合であっても「上方を向く」と言っていい。
【0182】
5.1 治療法
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0183】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0184】
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0185】
5.2 治療システム
1つの形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
【0186】
5.3 患者インターフェースの第1の実施形態
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100を含むプレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0187】
本技術のいくつかの例において、プレナムチャンバ3200は、フェッシア部3210(いくつかの例においてはシェルとも呼ばれる)およびシール形成構造3100によって少なくとも部分的に形成される。プレナムチャンバ3200は、例えばクッションモジュールまたはクッションアセンブリを含み得る。フェッシア部3210は、シール形成構造3100のためのシャーシとして機能し得る。
【0188】
本技術のいくつかの例において、患者インターフェース3000は、口腔鼻患者インターフェースである。すなわち、患者インターフェース3000は、患者の鼻気道および口腔気道双方をシールするように構成される。いくつかの例において、患者インターフェース3000は、鼻気道および口腔気道それぞれの周囲の別個のシールを含む。例えば
図7-1~
図8-5、
図10~
図11-5および
図13-1~
図13-3に示すように、患者インターフェース3000は、鼻部3230および口腔部3260を有するプレナムチャンバ3200を含み得る。シール形成構造は、鼻部位3230において鼻気道を包囲することと、口部位3260において患者の口周囲をシールすることとを行うように構成され得る。よって、シール形成構造3100は、鼻部位および口部位を有するものとしてもみなされ得、シール形成構造の鼻部位および口部位は、患者の鼻気道および口腔周囲をそれぞれシールする部分を含む。
【0189】
図7-1~
図8-5、
図10~
図11-5、および
図13-1~
図13-3に示す例において、鼻部位3230におけるシール形成構造3100は、患者の顔の鼻梁領域または鼻堤領域上に配置されるのではなく、患者の鼻の下面をシールする。鼻部位3230は、上唇、鼻翼および鼻尖点の前面および/または鼻尖点の下面をシールし得る。実際の密閉位置は、患者によって異なり得る。鼻部位3230は、鼻翼と鼻唇溝との間の患者の顔の領域と、鼻唇溝の近隣の上唇の側方部との接触および/またはシールを行うようにも、構成され得る。
【0190】
口部位3260のシール形成構造3100は、使用時において患者の口の周辺部に対してシールを形成するように構成され得る。口部位3260は、例えば上唇、鼻唇溝、頬、下唇、頤において患者の顔に対してシールを形成するように構成され得る。
【0191】
シール形成構造3100の内部に1つ以上の穴が設けられ得、これらの穴により、治療圧力の空気流れが患者の鼻孔および患者の口へ1つ以上の穴を介して送達される。シール形成構造により、患者への空気流れの送達のための口用穴および1つ以上の鼻用穴が規定され得る。
図7-1~
図8-5、
図10~
図11-5および
図13-1~
図13-3に示す例において、プレナムチャンバ3200は、口腔3271および2つの鼻穴部3272を含むシール形成構造3100を含む。鼻用穴3272はそれぞれ、使用時において空気流れを患者の鼻孔送達させるように、プレナムチャンバ3200上において患者の鼻孔と実質的に整列されるように位置決めされ得る。別の例において、患者の鼻通路へ空気流れを提供するために、シール形成構造3100の鼻部3230内に単一の穴部のみが設けられ得る。
【0192】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0193】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0194】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0195】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0196】
5.3.1 プレナムチャンバ
プレナムチャンバ3200は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的である形状の周囲を有する。
図7-1~
図8-5、
図10~
図11-5および
図13-1~
図13-3に示す例において、プレナムチャンバは、フェッシア部3210およびシール形成構造3100を含む。これら実施例において、プレナムチャンバ3200の周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供される。シール形成構造3100は、使用時においてプレナムチャンバ3200の縁部全体の周りに延び得る。
【0197】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時において患者の眼を被覆しない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧空間外にある。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、治療コンプライアンスが向上し得る。
【0198】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200の少なくとも一部は、透明材料から構築される。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
【0199】
図7-1~
図8-5、
図10~
図11-5および
図13-1~
図13-3に示す本技術の例によるプレナムチャンバ3200は、フェッシア部3210によって部分的に形成される。さらに、プレナムチャンバ3100は、シール形成構造3200により部分的に形成される。
図7-1~
図8-5、
図10~
図11-5および
図13-1~
図13-3に示す例において、シール形成構造3100およびフェッシア部3210の少なくとも一部は、一体形成される。いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200(より具体的にはフェッシア部3210)およびシール形成構造3100は、単一の均質的材料ピースから形成される。
【0200】
別の例においてシール形成構造3100は、フェッシア部3210にオーバーモールドされる。あるいは、シール形成構造3100をフェッシア部3210と別個に形成し、フェッシア部3210へ永続的または取り外し可能に接続するように構成してもよい。
【0201】
例において、患者インターフェース3000のフィット感および/または挙動を変更のために、1つ以上の補強構造を選択的にプレナムチャンバ3200へ設けることができ得る。複数の補強構造の中から、患者または臨床医が選択を行うことができ得る(例えば、異なる剛性、形状またはサイズを有するもの)。補強構造は、シール形成構造3100および/またはフェッシア部3200へ直接設けてもよいし、あるいは、接続相手であるコンポーネント(例えば、本技術の多様な例におけるヘッドギア接続支持部3302、側方インサート3214またはヘッドギアコネクタ3246)に設けてもよい。
【0202】
5.3.1.1 プレナムチャンバのフェッシア部
図7-1~
図8-5、
図10-1~
図11-5、
図13-1~
図13-3、
図14-1~
図14-11および
図15-1~
図15-9に示す例において、シール形成構造3100およびフェッシア部3210は、可撓性材料から形成される。一例において、可撓性材料は、シリコーンである。別の例において可撓性材料は、熱可塑性エラストマー(TPE)、適切な発泡体などであり得る。
【0203】
一般的に、フェッシア部3210は、一定の可撓性を提供しつつシール形成構造3100の形態を弾性的に維持するように、十分な剛直性を有するように構成される。
図7-1~
図8-5、
図10-1~
図11-5、
図13-1~
図13-3、
図14-1~
図14-11および
図15-1~
図15-9に示す例において、少なくともフェッシア部3210の実質的部分は、シール形成構造3100よりも硬質である。
【0204】
例において、フェッシア部3210のいくつかの部位の剛直性は、他の部位よりも高い。
図7-1~
図8-5および
図10-1~
図10-2に示す例において、フェッシア部3210は、第1および第2の側方ヘッドギア支持凹部3212をフェッシア部3210の前を向く側に含む。第1および第2の側方ヘッドギア支持凹部3212は、シール形成構造3100の口腔部3260の側方部3145の近隣に設けられる(以下にさらに述べる)。側方ヘッドギア支持凹部3212は、
図10-1に示すように、ヘッドギア接続支持部3302を受容するように構成される。ヘッドギア接続支持部3302は、ヘッドギア接続点の支持構造を提供するために、より高剛性の材料(例えば、ポリカーボネート)によって構成される。側方ヘッドギア支持凹部3212の壁厚さは、フェッシア部3210の隣接部よりも肉薄であり得、必要な剛性は、ヘッドギア接続支持部3302との組み合わせによって得られる。ヘッドギア接続支持部3302は、以下のうち1つ以上によって所定位置に固定され得る:オーバーモールド、接着、溶接など。ヘッドギア支持凹部3212の提供により、プレナムチャンバ3200の余分な剛直性、嵩および/または重量の回避が可能になる。
【0205】
図11-1~
図13-3に示す例示的なプレナムチャンバ3200において、フェッシア部3210は、第1および第2の側方インサート3214を有する。側方インサート3214は、例えば以下に示すより高剛性の材料によって構成される:ポリカーボネート、またはフェッシア部3210の残り部分よりも高いジュロメーター硬さを有する可撓性材料。
図12-1および
図12-2に示すように、側方インサート3214は、プレナムチャンバ入口ポート3240を規定する内部リム3215を有する。図示の例において、側方インサート3214の外部リム3216は、複数の位置付け特徴3217(例えば、窓、凹部または突出部の形態のもの)を有するフランジとして形成される。
図11-5を参照して、フェッシア部3210は、インサート開口部3218を上方位置および側方位置において有する。インサート開口部3218は、側方インサート3214を受容する。製造時において、側方インサート3214は、プレナムチャンバ3200を保持している工具に挿入され得、外部リム3216上のオーバーモールドを用いてフェッシア部3210に接合される。非接着材料(例えば、非接着シリコーン)が用いられる実施形態において、位置付け特徴3217により、機械的接合の提供が支援され得る。別の例において、十分な接合の達成のために位置付け特徴3217を設ける必要性を不要とし得る接着材料が用いられ得る。
【0206】
フェッシア部3210の実質的部分が上下方向において維持される可撓性内側部3219(例えば、
図11-1に示すようなもの)よりも高剛性である別の例が企図される。例えば、
図11-1~
図13-3に示す例示的なプレナムチャンバ3200のフェッシアインサートは、フェッシア部3210の実質的部分を占有するようなサイズおよび形状にされ得る。別の実施形態において、フェッシア部3210の一部は可撓性材料によって構成され得るが、内側部よりも高い剛直性を有し得る。このような剛直性の差は、以下のうち1つ以上によって可能になり得る:壁厚さ;本技術の多様な例におけるより硬質な材料(例えば、ジュロメーター硬さが異なる同一材料)および補強構造(例えば、タイまたはリブ、アンダークッション、部位またはシャーシ)。
【0207】
リジダイザを備えたプレナムチャンバ
ここで
図14-1~
図14-11を参照して、本技術の実施形態による別のプレナムチャンバ3200を有する患者インターフェース3000の実施形態が図示される。
図14-1~
図14-11の実施形態において、内側部3219は、フェッシア部3210の内側領域によって可能となる撓みの一定の制御を可能にするように、構成される。例えば、リジダイザ3500は、フェッシア部3210内に設けられる。
【0208】
図14-2に示すように、プレナムチャンバ3200は、フェッシア部3210およびシール形成構造3100を含む二部構造として形成される。この実施形態において、フェッシア部3210およびシール形成構造3100は、可撓性材料から別個のコンポーネントとして構成される。しかし、フェッシア部3210およびシール形成構造3100は、単一のコンポーネントとして構成してもよい。加えて、フェッシア部およびシール形成構造31000は、1つよりも多くの材料から構成され得、そのうち少なくとも1つを比較的剛性にすることにより、さらなる支持および構造がプレナムチャンバ3200へ付与される。
【0209】
リジダイザコンポーネント3500は、少なくとも1つの軸(例えば、下上方向における軸(垂直軸)および傾斜した前後軸)の周囲における内側部3219の内方の撓みを促進または可能にするような構造かつ/または配置にされる。
図14-1および
図14-3~
図14-5に示すような中立位置において、リジダイザ3500は、プレナムチャンバ3200の内側領域3210の曲線に概して対応するような形状(例えば、曲線状)にされる。しかし、リジダイザ3500は、内側領域3210の中立位置を超えた外方屈曲を低減または実質的に制限することが可能である。
【0210】
外方屈曲を低減または実質的に制限することにより、プレナムチャンバ3200のシーリング性能を特に鼻部3230において向上させることが可能になる。例えば、リジダイザ3500により、プレナムチャンバ3200における内部圧力上昇時に発生し得る鼻部3230の変形が回避され得る。
【0211】
ここで
図14-6~
図14-11を参照して、リジダイザ3500のさらなる態様が示される。
図14-6~
図14-11の実施形態において、リジダイザ3500は二部構造であり、シャーシ3502およびインサート3504を有する。しかし、リジダイザ3500は、(例えば、3D印刷技術または成型により)単一のコンポーネントとして形成され得る。リジダイザ3500は、第1の方向における撓みの際には単一層梁を提供することおよび第2の方における撓みの際には複合梁を提供することを行うような構造および/または配置にされる。単一層梁および複合梁の提供により、リジダイザは、第1の方向において比較的より高い可撓性および第2の方向において比較的より低い可撓性を有することが可能になる。
【0212】
シャーシ3502は、ブリッジ3506を含む。ブリッジ3506は、プレナムチャンバ3200の第1の側方側3508から第2の側方側3510に及ぶ。リジダイザ3500は、プレナムチャンバ3200の内側面の周囲において概して対称である。
【0213】
ポート構造3512は、ブリッジ3506の各端部に設けられる。例えば、各ポート構造3512は、ブリッジ3506とのワンピースの一体コンポーネントとして成型され得る。あるいは、ポート構造(単数または複数)3512は、ブリッジ3506と別個に成型した後に、例えば接着を用いてブリッジ3506へ取り付けてもよい。さらなる実施形態において、リジダイザ3500は、ポート構造(単数または複数)3512へ取り付けられず、その代わりに、別個のコンポーネント(例えば、
図11-1~
図11-6および
図12-1~
図12-2を参照してした側方インサート3214)間に配置された別個のコンポーネントとして設けられ得る。
【0214】
各ポート構造3512は、したように側方インサート3214に実質的に相当する。しかし、ポート構造(単数または複数)3512は、他の形状および特徴も有し得る。
【0215】
恐らくは
図14-8中に最良に示すように、ブリッジ3506は、複数の歯3514を有する。歯3514は、自身の長さに沿ってテーパー状にされ、隣接歯により、テーパー状チャンネル3516が規定される。歯3514それぞれの端部は、ブリッジ3506から片持ち梁状にされる。
【0216】
インサート3504は、本体部3518および複数の歯3520を含む。歯3520の形状は、歯3514の形状と実質的に同様であり、好適には同一である。
図14-11から分かるように、歯3520は、テーパー状にされ、隣接歯により、テーパー状チャンネル3522が規定される。
【0217】
インサート3504上の歯3520およびシャーシ3506上の歯3514は、相互に噛み合うため、チャンネル3522は歯3514を受容し、チャンネル3516は歯3520を受容する。
【0218】
歯3520の本体部に対する角度は、
図14-11においてθ
2によって示され、
図14-8に示す角度θ
1と実質的に同一である。これにより、歯3514および3520の相互噛み合いが促進され、側方の隣接歯間の隙間が最小化されるかまたは完全に排除される。例えば、
図14-1および
図14-3~
図14-5に示すような中立位置において、隣接歯および相互噛み合い歯は、接触し合っているか、または、相互に少しだけ分離されている。
【0219】
このような配置構成により、リジダイザ3500を外方に患者の顔から離隔方向において下上方向の軸周囲において若干屈曲させることが可能になる。しかし、プレナムチャンバ3200の外方屈曲時において隣接歯は相互に接触するため、少なくとも2つの層を有する複合梁が得られる。この複合梁により、軸周囲における外方屈曲の継続が実質的に制限されるかまたは回避される。その結果、患者の顔から離隔方向におけるフェッシア部の屈曲が低減され得るかまたは実質的に回避され得る。この複合梁を
図14-6に示す。同図において、第1の層の厚さxは、ブリッジ3506および本体部3518によって得られ、第2の層の厚さyは、歯3514および3520によって得られる。第1の層および第2の層の厚さxおよびyは、第1の方向および第2の方向のうち1つ以上における撓み量を制御するように、調節され得る。例えば、歯3514および3520の厚さを増加させると、剛性の相対的増加と、第2の方向における撓みへの抵抗とが可能になり得る。あるいは、ブリッジ3506および本体部3518の厚さを増加させると、剛性の相対的増加が得られるため、第1の方向における撓みに対する抵抗も増加し得る。
【0220】
加えて、歯3514および3520それぞれの有効幅は、
図14-8および
図14-11それぞれに示すW
1およびW
2として示される。有効幅W
1およびW
2は、相互に同一である。これにより、相互に同一の剛直性を有する歯3514および3520が促進されるため、シャーシ3502およびインサート3504は、実質的に同一の曲げ剛性を有する。このようにすると、第2の方向における撓みの制御が予測可能であるかまたは一貫しているリジダイザ3500が得られるという利点が得られ得る。しかし、歯3514および3520のうち1つ以上は、その他の歯のうち1つ以上と異なるサイズまたは形状にしてもよいし、あるいは異なる材料によって構成してもよく、これにより、リジダイザ3500において第2の方向において(例えば、患者の顔から離隔方向に)所望の量だけ撓みを得ることが可能になることも考えられる。
【0221】
ブリッジ3506および本体部3518は、リジダイザを患者の顔へ向かって屈曲することを可能にするような構造にされる。しかし、ブリッジ3506および本体部3518が患者の顔へと撓む際に、隣接歯3514および3520は相互に分離されるため、ブリッジ3506および本体部3518が(ブリッジ3506および本体部3518の材料特性および構造に従って)撓むことが可能になる。よって、リジダイザ3500により、プレナムチャンバ3200が内方に患者の顔の方へ撓むことが可能になり、患者の顔の方への撓みに対して所望の量の抵抗が得られ得る。
【0222】
図14-1~
図14-11の実施形態において、ブリッジ3506および本体部3518のうち少なくとも1つは、曲線状の形状を有する。この曲線状の形状により、リジダイザ3500が患者の顔の形状により適合することが可能になり得る。加えて、この曲線状の形状により、フェッシア部内における有用な範囲の撓みを可能にしつつ、下側外形マスクの提供も可能になり得る。
【0223】
5.3.1.2 リジダイザを備えた別のプレナムチャンバ
ここで
図15-1~
図15-9を参照して、リジダイザ3500を有するプレナムチャンバ3200の別の実施形態が示される。プレナムチャンバ3200は、
図7-1~
図7-6および
図8-1~
図8-5のプレナムチャンバ3200と同様である。しかし、リジダイザ3500は、プレナムチャンバ3200の前部に設けられ、プレナムチャンバ3200の内側面の周囲に概して対称に配置される。
【0224】
リジダイザ3500は、
図14-1~
図14-11を参照してしたリジダイザ3500と実質的に同一である。よって、類似の参照符号は、類似のコンポーネントを指す。しかし、
図15-1~
図15-9のリジダイザ3500は、ポート構造(単数または複数)3512を含まない。
【0225】
5.3.1.3 プレナムチャンバ入口ポート
フェッシア部3210は、1つ以上のプレナムチャンバ入口ポート3240を含み得る。1つ以上のプレナムチャンバ入口ポート3240により、他のコンポーネントへの接続が可能になり得る(例えば、結合解除構造、通気配置構成、熱水分交換器(HMX)、一定流量通気孔(CFV)、窒息防止弁(AAV)および/または多様な例中の導管への接続部)。
【0226】
図7-1~
図8-5および
図10-1および
図10-2に示す例において、プレナムチャンバ3200は、単一の入口ポート3240を含む。フェッシア部3210は、フェッシア部3210上の内側および下側位置から延びる一体形成された中空の突出部3250を含む。中空の突出部3250は、下方前方方向に延び、前方向よりも下方向寄りに配置される。中空の突出部3250の自由端は、入口ポート3240を包囲するリム3252において終端する。接続ポート隆起部3608をリム3252の内部に設けることにより、空気回路4170および/または接続ポート3600の接続が促進される。
【0227】
この構成において、中空の突出部3250は、患者の顔に近接し、(概して下側でありかつ部分的に前の位置および角度から)空気回路を受容する。この態様の1つの利点として、患者インターフェース3000の外観を目立たないものに支援する点がある。患者は、横向き寝のときに頭の向きを枕の方へ変えることがあるが、その際、前方向に突出する患者インターフェース300のコンポーネントに対峙する患者の枕から発生する破壊的力を通じてシール形成構造3100とのシールが妨害される可能性が低下する。さらに、空気回路4170の閉接続および下方角度により、空気回路4170は、患者の顔により近接して配置される。空気回路4170からプレナムチャンバ3200へ付加される力(例えば、空気回路4170の重量からの管抗力または空気回路4170へ作用する力からのもの)が、シール形成構造3100によって形成されるシールから離隔方向におけるより短い距離から付加されるため、シールへ付加されるモーメントが低下する。
【0228】
フェッシア部3210およびリム3252の隣接部間の中空の突出部3250の剛直性は、少なくともフェッシア部3210の上側部32RRよりも低い。
図8-1~
図8-5から分かるように、中空の突出部3250のこの領域に比較的より肉薄の壁を設けることにより、この下側剛直性が得られ得る。本例において、上側部3254の厚さおよびフェッシア部3210の他の隣接部は、中空の突出部3250へと下方にテーパー状にされる。中空の突出部3250の下側部3256は、上側部3254よりも剛直性が低い中空の突出部3250の下側に設けられる。
【0229】
この配置構成の結果、中空の突出部3250は、機能を提供しつつ、有意に変形することができ得る。より詳細には、中空の突出部3250は、プレナムチャンバ3200と空気回路4170との間の接続の閉塞無しに、変形し得る。さらに、中空の突出部3250は可撓性であるため、空気回路4170とシール形成構造3100との間に一定の接続解除が得られ得、よって、空気回路4170が受けた力に起因して患者の顔とのシールが破壊される可能性が低下し得る。
【0230】
このように、シール形成構造からの供給導管接続の間隔を低減すると、患者が顔を上に向けた状態の仰臥位置で就寝している際にも利点が得られる。中空の突出部3250を概して下方向において患者の顔および開口部に近接させると、空気回路4170は患者に対して近接して保持され、空気回路4170の重量により、シール形成構造3100と患者の顎領域との間のシール生成が支援される。フェッシア部3210も、中空の突出部3250の近隣において可撓性であるため、変形が可能になって、空気回路4170から付与される力の一部を吸収する。このような可撓性が無い場合、位置決めおよび安定化構造3300を締めてこれらの力を無効化させる必要が発生し得、その結果、患者の不快感に繋がり得る。
【0231】
図11-1~
図13-3に示す例において、プレナムチャンバ3200は、2つの入口ポート3240を含む。入口ポート3240は、フェッシア部3210の横側部へ設けられる。これらの例において入口ポート3240は、導管が空気回路へ接続された患者の頭部の上方に配置された結合解除コンポーネントへ接続する導管へ接続するように、構成される。これらの導管は、位置決めおよび安定化構造3300の一部を形成し得る(すなわち、「ヘッドギア導管」であり得る)。示した例において、複数の機能(例えば、通気、空気流れの供給およびヘッドギア取付点)の提供のために、入口ポート3240は、組み合わせ型ヘッドギアおよび導管接続アセンブリを受容し得る。組み合わせ型ヘッドギアおよび導管接続アセンブリは、AAVも含み得る。これらの例において、入口ポート3240は、非円形の形状である。
【0232】
図11-1~
図13-3に示す例において、入口ポート3240を側方インサート3214に設けているが、入口ポート3240がフェッシア部3210内に直接形成される別の例が企図される。
【0233】
5.3.1.4 シール形成構造
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造3100において密閉が発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。
【0234】
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造3100の外面上に配置される。
【0235】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、液状シリコーンゴム(LSR)、または生体適合性TPE)から構成される。
【0236】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾発性のある材料(例えば、LSRまたはTPE)から構成され得る。
【0237】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くのシール形成構造3100を含むシステムが提供される。各シール形成構造3100は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造3100の一形態および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。
【0238】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100の領域は、シール形成構造3100の他の領域と異なる剛直性を有し得る。本技術の多様な例において、このような剛直性の差は、以下のうち1つ以上によって得られ得る:壁厚さ;より硬質な材料(例えば、ジュロメーター硬さが異なる同一材料または別の材料)および補強構造(例えば、タイまたはリブ、アンダークッション、部位またはシャーシ)。
【0239】
例において、シール形成構造3100は、国際出願No.PCT/AU2019/050278に記載のようなもので実質的にあり得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0240】
5.3.1.4.1 密閉機構
一形態において、シール形成構造3100は、圧力アシスト密閉機構を用いるシーリングフランジを含む。使用時において、シーリングフランジは、プレナムチャンバ3200内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0241】
一形態において、シール形成構造3100は、シーリングフランジおよび支持フランジを含む。シーリングフランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、シーリングフランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、シーリングフランジと、プレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、シーリングフランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。
【0242】
一形態において、シール形成構造は、圧縮密閉部またはガスケット密閉部を含み得る。使用時において、圧縮密閉部またはガスケット密閉部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
【0243】
一形態において、シール形成構造は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えばシーリングフランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
【0244】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシストシーリングフランジ、圧縮密閉部、ガスケット密閉部、張力部、および粘着面または接着面を有する部位のうち1つ以上を含み得る。
【0245】
5.3.1.4.2 鼻領域の第1の実施形態
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、患者の鼻の下面に対してシールを形成するように構成された内側部を含む。内側部は、患者の鼻の下側周辺部(例えば、患者の鼻孔の周囲および患者の上唇)をシールし得る。例において、シール形成構造3100は、鼻梁の下側または鼻尖点の下側において患者の顔と接触するように構成され得る。
【0246】
図7-1~
図8-5、
図10~
図11-5および
図13-1~
図13-3に示すように、シール形成構造3100は、使用時において患者の鼻の下側周辺部をシールするように構成された内側部と、使用時において患者の鼻翼またはその近隣に配置されるように構成された内側部とを含む。より詳細には、内側部は、上方を向く内側部3111と、前方を向く内側部3115とを含む。さらに、中間部は、上方を向く中間部3121と、前方を向く中間部3125とを含む。中間部と患者の鼻との接触の大部分または全ては、上方を向く中間部3121によって行われる。
【0247】
上唇部3116は、患者の上唇と共に患者の鼻の下面とも有意に接触し得る。いくつかの例において、シール形成表面3100から患者の鼻の下側周辺部によって形成されたシールの大部分は、上方を向く内側部3111および上唇部3116によって構成され得る。上方を向く内側部3111および上唇部3116はそれぞれ、他のシール形成構造の部位3100よりも低剛性であり得、これは、本技術のいくつかの例において、シール形成構造3100の他の部位よりも薄い壁厚さによって提供される。患者の鼻および上唇の下面は、ジオメトリが複雑であり得、圧力に対しても高感度であり得る。そのため、これらの位置と接触するかまたはこれらの位置に対してシールされるプレナムチャンバ3200の領域を可撓性かつ柔順的にすると有利であり、これらの領域における顔上への過度な圧力発生が回避される。これらの例において、鼻用穴3272の近隣のシール形成構造3100の鼻部位3230の内側部中の壁厚さが薄いことにより可能にされた低剛性により、クッションが患者の鼻の下側の表面(例えば、前方向の鼻尖点、横側部および上唇のいずれかの鼻翼)をシールするように容易に変形することが可能になる。
【0248】
上方を向く内側部3111および上唇部3116の壁厚さが薄いことにより、これらの部位においてシール形成構造を膨張させて、下面のジオメトリおよび患者の鼻の周辺部に適合させることが可能になる。この肉薄の壁は、圧力下において変形および膨張することができ、患者の顔の表面に適合して、有効かつ快適なシールを生成することができる。
【0249】
シール形成構造の鼻用穴3272の上方および前方の上方を向く内側領域3111は、患者の鼻尖点の下側および部分的に前面をシールすることを意図する。鼻尖点は多くの患者において比較的高感度の領域であり得るため、シール形成構造3100のこの領域の壁厚さは薄くされ得る。内側部は、クッションの後方の上方を向く内側部3111(すなわち、患者を向く)側から内側鞍状部位3112および周辺縁を介してシール形成構造の前方(すなわち、患者に対向しない)側の前方を向く内側部3115内へ延び得る。この領域の壁厚さを薄くすることにより、高感度の鼻尖点領域上への過度の圧力付与が回避される。
【0250】
シール形成構造3100の上唇部3116は、上唇をシールすることを意図する。上唇部3116は、内側ならびに鼻用穴3272の下側および後方に設けられる。上唇部3116は、低い壁剛性を含み得る。いくつかの例において、低い壁剛性は、薄い壁厚さによって得られる。鼻尖点をシールすることを意図するシール形成構造3100の領域と同様に、上唇は高感度の領域であり得るため、薄い壁厚さは、シール形成構造3100の鼻部位3230の内側下側/後方領域にわたって延びる。薄い壁厚さにより、比較的肉厚の壁厚さから付与される場合よりも低い力が、上唇へ付与され得る。
【0251】
これらの例において、
図7-1~
図8-5、
図10~
図11-5および
図13-1~
図13-3に示すように、シール形成構造3100の鼻部位3230は、2つの側方部3231を含む。鼻部位3230の各側方部3231は、患者に対向する側および患者に対向していない側を含み得る。患者に対向する側は、中間方向および後方向を向き得、患者に対向していない側は、側方および前方向に対向し得る。患者に対向する側および患者に対向していない側はどちらとも、上方向において部分的に対向し得る。
【0252】
鼻部位3230の可撓性内側領域のさらなる利点として、患者が患者インターフェース3000を着用し、患者の鼻からシール形成構造の上方を向く内側部3111上へ下方の力が付加された際に、鼻部位3230の側部を内方に(例えば内側方向に)牽引することが可能になる点がある。鼻部位3230の側部を患者の鼻の側部へ内方牽引することにより、シール形成構造3100が患者の鼻の下側周辺部内およびその周辺に牽引されるため、シール向上が可能になる。
【0253】
プレナムチャンバ3200にリジダイザ3500が設けられた患者インターフェース3000の実施形態において、可撓性内側領域により、使用時において鼻部3230の側部を内方に牽引することが可能になる。しかし、リジダイザ3500は、可撓性内側部が所望の上限を超えて外方に撓むことを制限または実質的に回避し得る。これにより、マスクのシーリング性能に影響を与える鼻シーリング部位の押し広げの回避または排除が支援され得る。よって、リジダイザを有する患者インターフェース3000の実施形態は、快適性およびシール性能の向上を可能にする可撓性インターフェースを設ける利点を達成しつつ、より可撓性の患者インターフェースにおけるシール性能へ悪影響を与え得る要素にも対処することができる。鼻部位3230の横側部は内方牽引されるものの、前方部位は、シール形成構造3100の全体的形状の維持および襞に起因する漏洩経路発生の回避のための充分な構造剛性を保持する。
【0254】
上記したシール形成構造3100の領域内において、シール形成構造3100の壁厚さを薄くすることにより複雑なジオメトリへ快適に適合できるようにすると有利であるものの、シール形成構造3100のいくつかの領域において、比較的より大きな壁厚さが、本技術の他の形態において有利である。
【0255】
例において、シール形成構造3100は、フェッシア部3210へより近接する自身の前側に近づくにつれて、概してさらに肉厚され得る。上記したように、シール形成構造3100は、シール形成構造3100の鼻部位3230の部分的に前方を向く横側部上の肉厚領域の形態をとる側方支持部位3151を含む。シェルフェッシア部に近接するシール形成構造3100のより肉厚領域により、シール形成構造3100の良好な支持および構造剛性が得られる。
【0256】
フェッシア部3210に近接する肉厚領域は構造剛性を得るために有利であり得るものの、シール形成構造3100の鼻部位3230は、異なる幅の鼻に対応するためにシール形成構造3100の側部を外方に押圧するかまたは内方に牽引することを可能にするための一定レベルの可撓性も保持する。
【0257】
例えば、シール形成構造3100の鼻部位3230の患者に対向していない側または領域(例えば、前側部、少なくとも部分的に前方を向く側部)(特に、シール形成構造3100の鼻部位3230のいずれかの側部上の患者と接触しない領域)は、シール形成構造3100へ充分な構造剛性を付与できるくらいに充分に肉厚であり、かつ、長く幅狭の鼻の患者がシール形成構造3100を着用した際に患者の鼻から上方を向く内側領域3111上へ働く下方の力により鼻部位3230の側部を若干内方に牽引することにより患者の鼻のいずれかの側部上のシール形成構造3100の患者接触表面を患者の鼻と良好に接触させることが可能なように、充分に肉薄である。同様に、シール形成構造3100の鼻部位3230の構造は充分に可撓性であるため、より幅広の鼻の患者がシール形成構造3100を着用した際に(シール形成構造の剛性がより幅広の鼻に耐えるには高すぎる場合に発生し得る)患者の鼻の側部上への過度な内方の力が無くなる。異なる範囲の幅の鼻に対応できるよう、複数の異なるサイズのシール形成構造3100を設けることも可能である。
【0258】
本技術のいくつかの例において、プレナムチャンバ3200は、プレナムチャンバ3200の鼻部位3230の前側部上に側方支持部位3151を含む。側方支持部位3151は、シール形成構造の1つ以上の隣接部3100よりも変形に対して高い抵抗を有し得る。側方支持部位3151は、側方支持部位3151の上側のプレナムチャンバ3200の領域よりも高剛性であり得る。追加的にまたは代替的に、側方支持部位3151は、プレナムチャンバ3200の内側領域よりも高剛性であり得る。比較的より高剛性の領域は、プレナムチャンバの周囲領域よりも比較的高剛性の領域を提供するように構成されたフィン形状をとり得る。側方支持部位3151は、実質的にフィン状形状であり得る(例えば、曲線状の上側境界およびより平坦な下側境界を有する)。フィン状形状(詳細には、曲線状の上側境界または縁の提供)を用いると、側方支持部位3151の上縁または境界が鼻部位3230の上側周辺部の曲率を追随するため、有利である。これにより、フェッシア3210の上方の鼻部位3230の高さが一貫になり、鼻部位3230の構造の剛性が一貫または制御される点において、有利であり得る。
【0259】
本技術のいくつかの例において、プレナムチャンバにおいて、鼻部のベース3230における補強により、座屈回避を支援する。例において、
図8-1~
図8-5に示すように、より肉厚のフェッシア部3210は、鼻部3230の前方を向く部位のベースに沿って延び、鼻部3230の側方側周囲を少なくとも部分的に延びる。少なくとも
図8-1、
図8-3および
図8-5から分かるように、例において、フェッシア部3210の一部は、側方支持部3151の下側を少なくとも部分的に延びて、補強を提供する。
【0260】
特に
図7-1および
図7-2に示すように、口腔鼻移行部3275が、プレナムチャンバ3200の周辺において鼻部3230および口腔部3260が接続される箇所において設けられる。シール形成構造3100の周辺部をシール形成構造3100の全体的形状を支持しかつ大きな襞および座屈を回避できるくらいに充分に高剛性にすると好適であるため、周辺部の形状は、患者の顔および近隣領域と接触する領域(すなわち、襞に起因して患者の顔を通じた漏洩経路が発生することを回避する肉薄ゾーンおよびより肉厚のゾーン)よりも変化し得る。いずれの場合も、シール形成構造3100の鼻部位と口部位との間の口腔鼻移行3275は、襞または座屈に起因するこれらの部位間の漏洩の発生および生成を回避するために、シール形成構造3100の低剛性部位(例えば、上方を向く内側部3111)と比較して比較的高剛性である(例えば、比較的肉厚である)。あるいは、口腔鼻移行3275は、任意の適切な手段(例えば、アンダークッション、リブ、シェルの一部またはフレーム)によって強化され得る。
【0261】
5.3.1.4.3 口腔領域
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に使用時に密閉を形成するシール形成構造3100を含む。シール形成構造3100は、患者の上唇に対してシールを形成するように構成された上唇部3116を含み得る。
【0262】
一形態において、シール形成構造3100は、使用時において患者の顔の上唇領域上にシールを形成するように構築された鞍状領域を含む。
【0263】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に口部位3260における患者の口の周囲に密閉を形成するシール形成構造3100を含む。シール形成構造3100は、患者の顔の顎領域上にシールを形成し得る。
【0264】
一形態において、シール形成構造3100は、使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成するように構築された鞍状領域を含む。
【0265】
図7-1~
図8-5、
図10~
図11-5および
図13-1~
図13-3に示すプレナムチャンバ3200の例において、シール形成構造3100は、患者の顎領域に対してシールを形成する下唇部3118を含む。一例において、下唇部3118を含むシール形成構造3100は、使用時において患者の顎の下側(すなわち、オトガイ隆起の下側)に延びないかまたは使用時において顎の下側の患者の顔(すなわち、オトガイ隆起の下側)と係合しない。シール形成構造の下唇部3118は、患者の下唇および頤をシールし得る。さらに、これらの例において、シール形成構造3100は、口用穴周辺部3117を含む。下唇部3118は、口用穴周辺部3117を介して上唇部3116へ接続され得る(例えば、隣接し得る)。シール形成構造3100は、口用穴周辺部3117および顎領域に対して配置されたシール形成構造3100の下唇部3118において(他の領域と比較して)比較的小さな壁厚さを含む。これらの位置における壁厚さを薄くすることにより、有効かつ快適なシールの達成が支援される。これらの領域におけるシール形成構造3100は、任意の複雑なジオメトリ(例えば、下顎襞)に容易に適合することができる。
【0266】
これらの例において、口部位3260は、シール形成構造3100の患者と接触する側上の後方を向く側方部3135を含む。口用穴周辺部3117における口用穴3271のすぐ周囲における壁厚さは、シール形成構造3100の他の領域と比較して薄いが、これらの例において、口用穴周辺部3117のいずれかの横側部において、口用穴周辺部3117よりも肉厚の後方を向く側方部3135が存在する。使用時においてこれらの領域と接触する領域(すなわち、患者の両頬)は、顔の他の領域ほど高感度ではないことが多いため、患者は、これらの領域において壁厚さ/剛性がより大きなシール形成構造3100に耐えられることが多い。さらに、口部位3260の後方を向く側方部3135は、患者の顔との接触部分から離隔方向に曲線状になっているため、これらの領域における患者の顔上の接触領域が低減する。別の例において、口部位3260の後方を向く側方部3135をより肉厚にする代わりに、別の手段(例えば、強化構造((例えば、リブ)、より高剛性の材料、アンダークッション))によって高剛性化させてもよい。
【0267】
口部位3260の側方周辺部における後方を向く側方部3135よりも患者との接触から遠位(例えば、フェッシア部3210へより近接)にあるものとして、口部位3260の側方部3145がある。これらの例において、側方部3145は、口部位の後方を向く側方部3135よりも肉厚である。側方部3145のほとんどまたは全ては、使用時において患者の顔と接触する可能性は低いため、これらの領域については患者の快適性はそれほど重要な設計検討事項ではなく、壁厚さを、患者接触領域よりもこれらの領域においてより大きくすることができる。このように壁厚さを大きくすると、シール形成構造3100の口部位3260の全体的形状において構造剛性が得られ得る。いくつかの例において、患者の顔からさらに遠位になるほど、シール形成構造3100の特定の領域は、(例えば、シール形成構造3100の鼻部位の側部を変形させるために)当該領域を可撓性にする必要がある理由が無い限り、その領域よりも肉厚になる。側方部3145により、シール形成構造3100の側方周辺部が口部位3260内に規定される。
【0268】
図7-1~
図8-5に示す例において、下唇部3118と中空の突出部3250の下側部3256との間の中空の突出部3250の下側の口腔部3260の内側部の剛直性は、中空の突出部3250の上側のフェッシア部3210の上側部3254よりも低い。本例において、口腔部3260のこの内側部は、シール形成構造3100の下側周辺の周囲に連続して中空の突出部3250の下側部3256内へ延びる薄い壁厚さを有するため、中空の突出部3250の下方向への変形が促進され、これにより、空気回路の重量が顎領域へ方向付けられて、シールが向上する。患者が仰臥位置にあるときに中空の突出部3250をこのように変形させると、空気回路接続が移動して患者の顔へより近接することも有利に可能になるため、患者インターフェース3000の外観をより目立たないものにすることができる。
【0269】
5.3.1.4.4 前額領域
一形態において、シール形成構造は、シール使用時において患者の顔の前額領域上にシールを形成する。このような形態において、プレナムチャンバは、使用時において眼を被覆し得る。
【0270】
5.3.1.5 本技術の例におけるプレナムチャンバの変形挙動
図7-1~
図13-2中に例示するプレナムチャンバ3200の構成の予測される効果として、このように可能となる可撓性により、プレナムチャンバ3200をより広範囲の顔の形状およびサイズの患者にフィットさせることが可能になる点がある。すなわち、例えば、(他のより従来のクッションモジュールの場合であれば3つのサイズが必要になっていた)特定のターゲット母集団への適合のために、必要なプレナムチャンバ3200は2つのサイズだけですむ。あるいは、1組の3つのサイズのプレナムチャンバ3200は、1組の3つ以上のより従来のクッションモジュールの場合よりも、より広範囲の母集団に適合することができ得る。
【0271】
別の効果として、各サイズのプレナムチャンバ3200が、より広範囲の多様な顔形状および/または特徴に適合することが期待される。このような高レベルの可撓性により、プレナムチャンバ3200は、以上なまたは特に複雑な顔ジオメトリにより良く対応することができつつ、より可撓性の低いクッションよりも有効かつ安定したシールを形成することができ得る。例えば、鼻の下部のいずれかの側部の凹部において鼻翼が顔に出会う場所は、有意な凹性が存在することが多いため、シールすることが困難な領域である。本技術の態様によるプレナムチャンバのシール形成構造3100の場合、患者の鼻周囲を包囲し、これらの凹部にフィットすることがより容易であり得る。
【0272】
加えて、プレナムチャンバ3200は、広範囲の顔形状およびサイズに対応することができるだけでなく、より高い可撓性により、プレナムチャンバ3200を多くの患者にとってより快適なものとすることができ得る。例えば、プレナムチャンバ3200を用いてシールを達成するために必要になり得るヘッドギア張力を、より従来のクッションモジュールよりも低くすることができ得るため、患者の顔および/または頭部にかかり得る力が低くなる。
【0273】
プレナムチャンバ3200の可撓性によって可能となる変形による最も顕著な効果として、垂直軸(すなわち、下上方向における軸)周囲において屈曲可能である点がある。フェッシア部3210は、少なくとも内側部3219において可撓性であるため、プレナムチャンバ3200の側方側をまとめて取り扱うことができる。例において、全てのヘッドギア接続は、プレナムチャンバ3200の側方側に設けられるため、フェッシア部3210の内側部の屈曲が可能となる。さらに、プレナムチャンバ3200の後側において、シール形成構造3100の内側部は比較的肉薄であるため、垂直軸周囲における屈曲が促進される。シール形成構造3100の側方部は、内側部よりも肉厚であるため、内側部ほど容易には屈曲しない。
【0274】
そのため、シール形成構造3100の側部と顔との間の良好なシールがより広範囲の顔ジオメトリおよびサイズにわたって達成されることが支援され得る。例えば、シール形成構造3100の側方側は、内方に屈曲して、幅狭の頬部をシールすることができ得る。あるいは、シール形成構造3100は、平坦にすることができるため、幅広の頬部を快適にシールすることができる。さらに、垂直軸周囲において屈曲可能であるため、シール形成構造3100の鼻部3230が鼻周囲を包囲して、鼻の基部(すなわち、翼が顔と出会う場所)において鼻のいずれかの側部において凹部内にフィットすることが支援される。
【0275】
垂直軸周囲における可撓性により、位置決めおよび安定化構造3300の張力によるシール挙動への影響を増加させることも可能になり得る。より従来の患者インターフェース上の位置決めおよび安定化構造3300は、シール形成構造を顔へ牽引する一方、本技術の例によるプレナムチャンバ3200上の位置決めおよび安定化構造3300は、シール形成構造3100の顔内への牽引と、シール形成構造3100が顔ジオメトリを適合するように包囲することの支援との双方を行い得る。
【0276】
加えて、プレナムチャンバ3200がリジダイザ3500を備えた実施形態において、特にプレナムチャンバにおける内部圧力がより相対的に高い際に、患者インターフェースのシーリング特性の向上が可能になり得る。例えば、リジダイザにより、プレナムチャンバのシーリング構造の外方の押し広げに起因してシーリング性能が何らかの様態で悪影響を受ける事態が制限または回避され得る。このような実施形態において、フィット感およびシーリング性能のための可撓性増大による恩恵が得られつつ、シーリング性能のためのさらなる恩恵も得られる。
【0277】
側方軸(すなわち、左右方向の軸)周囲における屈曲を用いて、鼻部3230の角度を口腔部3260の角度に対して調節することが行われ得る。このようにすると、別個の上側ヘッドギアストラップおよび下側ヘッドギアストラップをプレナムチャンバ3200に設ける場合(例えば、
図10-1および
図10-2の例における上側ストラップ3310および下側ストラップ3320)において、特に有用であり得る。側方軸周囲における一定の可撓性により、上側ストラップ3310および下側ストラップ3320それぞれが別個かつ独立的に調節可能な効果を鼻部3230および口腔部3260のフィット様態に及ぼすことが可能になり得る。
【0278】
例えば、上側ストラップ3310の調節により、鼻部3230のフィット様態の調節を口腔部3260のフィット様態から独立して行うことができ、この逆も成立し得る。剛性シェルを有する従来の患者インターフェースと対照的に、本技術の例における可撓性フェッシア部3210は、プレナムチャンバ3200の可撓性部に作用するヘッドギアの力ベクトルに起因して変形し得る。側方軸周囲における屈曲可能性により、(上側ストラップ3310と下側ストラップ3320との間の相対的調節を行うと)シール形成構造3100が顔ジオメトリを包囲して顔ジオメトリに適合することが支援され得る。すなわち、プレナムチャンバ3200は、異なる上側ストラップ3310および下側ストラップ3320に応答して変形することが可能であるため、上側ストラップ3310および下側ストラップ3320における異なる相対的張力により、シール形成構造3100による患者の顔のシール様態が影響を受け得る。
【0279】
また、プレナムチャンバ3200の可撓性により、鼻部3230の傾斜した前後軸の周囲における屈曲もさらに可能になり得るため、鼻部3230の有効幅を口腔部3260に対して変更することが可能になり得る。これにより、口と比べて鼻が特に幅広である/大きい患者に対応することが可能になり得る。換言すると、このような可撓性により、プレナムチャンバ3200がより広範囲の幅の鼻に対応することが可能になり得る。
【0280】
プレナムチャンバ3200のこのような可撓性により、捩れによって一方の側方側が他方の側方側に対して後前方向に移動することを可能にすることも可能になり得る。このような捩れが可能であるため、プレナムチャンバ3200が(シールを維持しつつ)捻り荷重に対応することが支援され、また、デカップル効果の提供も支援されるため、プレナムチャンバ3200の左側がプレナムチャンバ3200の右側から(従来の剛性シェル構成の場合よりも広い範囲まで)デカップルされる。このようにすると、プレナムチャンバ3200の片側が受ける力に起因してプレナムチャンバ3200の他方側に(より詳細にはシール形成構造3100において)悪影響が発生する事態が回避され、有利であり得る。側方の力が発生し得るときの一般的状況として、患者が横向きに寝ており、枕の上で顔を横向きにして状況がある。このような状況において、クッションの剛性シェルに起因して、枕からの側方の力が直接シール形成構造へ伝達される場合があるが、その場合、シールが妨害され得る。このような捩れを可能とすることにより、例えば患者が自身の頭部を片側から他方側へ動かしたかまたは(シールを妨害し得る様態で)自身の顔を動かした場合の動的安定性も支援され得、左側において右側からの一定の接続解除が可能であることにより、このような破壊的力に対してシール形成構造3100が一定の耐性を持つことが可能になり得る。
【0281】
5.3.2 接続解除部
本技術の例において、プレナムチャンバ3200は、接続解除部を口腔部3260と鼻部3230との間に含み得る。これにより、管抗力および口腔部3260から発生する他の力(例えば、横向き寝時における患者の枕からのもの)が鼻部3230へ伝達されて、鼻部3230におけるシールに影響を与える事態を回避することが支援され得ることが考えられる。
【0282】
本技術の例において、プレナムチャンバ3200は、接続解除部を鼻部3230とフェッシア部3210との間に含み得る。
【0283】
本技術の例において、プレナムチャンバ3200は、接続解除部を口腔部3260とフェッシア部3210との間に含み得る。
【0284】
本技術の例において、プレナムチャンバは、接続解除部をシール形成構造のうち少なくとも一部3100と、1つ以上のプレナムチャンバ入口ポート3240との間に含み得る。
図7-1~
図8-5に示す例において、中空の突出部の構造だけでも、接続解除効果は十分に得られるが、したように、さらなる接続解除部による向上が可能であり得る。
【0285】
例において、接続解除部は、以下のうち1つ以上によって設けられ得る:1つ以上のガセット部、1つ以上のプリーツ、1つ以上のコンサーティーナ部。
【0286】
5.3.3 表面仕上げ
例において、シール形成構造3100のうち少なくとも一部は、第1の表面仕上げを有し得、プレナムチャンバの他の部位3200は、第1の表面仕上げと異なる第2の表面仕上げを有し得る。
【0287】
例において、第1の表面仕上げは、シール形成構造3100のうち使用時において患者の顔と接触する部位に設けられ、第1の表面仕上げの摩擦係数は、第2の表面仕上げよりも高い。例において、第1の表面仕上げは、研磨仕上げであり得る。研磨表面仕上げは、滑りにくく、ねばねばした感触を有し得るため、シール形成構造3100が患者の顔に相対移動する際、より高い摩擦が発生する。このようにすると、患者がプレナムチャンバ3200を着用した際にプレナムチャンバ3200の移動の回避が支援されることにより、シール維持が支援されるため、概して望ましい。
【0288】
いくつかの例において、シール形成構造3100の異なる領域は、異なる表面仕上げを有し得る。
【0289】
例において、第2の表面仕上げは、第1の表面仕上げよりも滑らかな感触であり得る。滑らかな感触により、より快適な感触が得られ得、マスクが快適であるという印象を患者に付与することができ、患者の治療コンプライアンス向上に繋がり得る。
【0290】
例において、第2の表面仕上げは、テクスチャード加工された表面仕上げであり得る。テクスチャード加工された表面により、テキスタイルのような感触および/または外観の提供が支援され得、よって、患者インターフェースを医療機器というよりも寝具としてみなして感じることが支援され得るため、患者の治療コンプライアンス向上に繋がり得る。例えば、第2の表面仕上げをフロック加工すると、繊維(例えば、テキスタイル形成に用いられるもの)をプレナムチャンバ3200内に含めることが可能になり得る。例において、患者インターフェース3000の他の部分(例えば、ヘッドギア接続)もフロック加工され得、これにより、テキスタイル材料の外観および感触が得られる。
【0291】
別の例において、テクスチャード加工された表面仕上げは、プレナムチャンバの形成において用いられる工具装置においてテクスチャード加工特徴によって生成され得;テクスチャード加工された表面仕上げは、エッチング(例えば、レーザーエッチング)によって得られ得る。
【0292】
5.3.4 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。
【0293】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ3200中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られる。
【0294】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られる。
【0295】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られる。
【0296】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0297】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0298】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0299】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前部と位置決めおよび安定化構造3300の後方部位との間に配置された結合解除部を備える。この結合解除部は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部の存在により後部への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝達されてシールが妨害される事態を回避できるように、構築および配置される。
【0300】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、布地患者接触層、発泡材料内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0301】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0302】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築および配置される。
【0303】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含む。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者頭部の下側の下耳底点の下側を通過し、患者頭部の後頭骨を被覆するかまたは患者頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築および配置される。
【0304】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイが相違に離隔方向に移動する傾向を低減させるように第1のタイおよび第2のタイを相互接続させるように構築および配置された第3のタイを含む。
【0305】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0306】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含む。
【0307】
図10-1および
図10-2は、本技術の一例による患者インターフェース3000を示す。患者インターフェース3000は、位置決めおよび安定化構造3300と、シール形成構造3100.を有するプレナムチャンバ3200とを有する。本例において、位置決めおよび安定化構造3300は、ヘッドギア支持部3302へ接続された複数のヘッドギアストラップを含む。
【0308】
図10-1および
図10-2に示す例示的な患者インターフェース3000のプレナムチャンバ3200は、
図7-1~
図8-5に示すプレナムチャンバ3200であるが、位置決めおよび安定化構造3300は、本技術の別の例における他のプレナムチャンバ3200と共に用いてもよい。
【0309】
位置決めおよび安定化構造3300は、複数のストラップまたはストラップ部位を含み得る。これらのストラップまたはストラップ部位は、プレナムチャンバ3200を患者の顔に対して密閉位置において支持するために、ヘッドギア支持部3302へ接続し、患者の頭部の周囲を通過する。単一の「ストラップ」は、より長い長さを生成するために別個に切断または形成された後に端部において接合された複数の長さの材料(単数または複数)によって形成してもよいし、あるいは、単一の「ストラップ」を単一の長さの材料(単数または複数)にしてもよいことが理解される。
【0310】
図10-1および
図10-2に示す例において、位置決めおよび安定化構造3300は、一対の上ストラップ3310を含む。各上ストラップ3310は、患者の各眼と耳との間を通過するようにことが構成される。さらに、位置決めおよび安定化構造3300は、患者の両頬上において患者の頬骨の下側に配置されるように構成された一対の下ストラップ3320を含む。本例において、プレナムチャンバ3200は、ヘッドギア支持部3302を介したヘッドギアストラップへの4点接続を介して所定位置に保持される。
【0311】
ヘッドギア支持部3302は、上ストラップ3310の接続先である一対の対向する上ストラップ接続点3315を含む。実施例本例において、各上ストラップ接続点3315は、アパチャを含む。各上ストラップ3310は、アパチャを通過し、自身にループバックしその後自身に固定されることにより、各上ストラップ接続点3315へ接続することができる。各上ストラップ3310は、接触したときに解放可能に結合されるように構成されたフックおよびループ材料を介して、自身に固定され得る。別の例において、各上ストラップ3310は、各アパチャを通じて通過し、自身にループバックした後に、バンド、クリップなどにより自身に固定され得る。さらに別の例において、上ストラップ3310は、サイドリリースバックル接続を介してヘッドギア支持部3302へ接続し得る。
【0312】
ヘッドギア支持部3302は、下ストラップ3320の接続先である一対の対向する下ストラップ接続点3325も含む。本例において、各下ストラップ接続点3325は、磁石を含む。各下ストラップ3320は、磁石または材料を含む下ストラップクリップ3326を含む。この磁石または材料は、下ストラップ接続点3325において磁石へ取り付けられる。本例において、各下ストラップクリップ3326は、アパチャを含む。このアパチャを通じて、各下ストラップ3320の端部を通過させた後、ループバックさせ、(例えばフックおよびループ材料、帯、クリップなどにより)自身に固定することができる。別の例において、下ストラップ3320は、サイドリリースバックル接続を介してヘッドギア支持部3302へ接続し、フックまたは他の任意の適切な接続上へ接続し得る。
【0313】
一例において、ヘッドギア支持部3302および上ストラップ接続点3315は、上ストラップ3310から提供される力/張力をプレナムチャンバ3200へ付加される部分的に上方および部分的に後方の力ベクトルへ方向付けるような構造および配置にされる。詳細には、この部分的に上方および部分的に後方力ベクトルにより、シール形成構造3100の鼻部位3230が患者の鼻の下側周辺部および患者の上唇とシーリング接触させられる。
【0314】
上ストラップ3310はそれぞれ、選択的に調節可能であり得る。例えば、上ストラップ3310それぞれの有効長さを変更するには、各上ストラップ接続点3315におけるアパチャを通じて通過した後に自身にループバックされる上ストラップ3310の分量を変更すればよい。アパチャを通過する上ストラップ3310の分量を増加させると、上ストラップ3310の長さが有効に低減され、これにより、力ベクトルの変更および患者インターフェース3000のフィット感の調節が可能になる。
【0315】
一例において、ヘッドギア支持部3302および下ストラップ接続点3325は、下ストラップ3320から提供される力/張力をプレナムチャンバ3200へ付与される部分的に後方および部分的に可能の力ベクトルへ方向付けるような構造および配置にされる。詳細には、部分的に後方および部分的に下方の力ベクトルにより、口部位3260は患者の口の周辺部の周囲の患者の顔とシーリング接触させられる。下ストラップ3320によって付加される部分的に下方の力により、上ストラップ3310から付加される部分的に上方の力と、患者の鼻からシール形成構造3100へ付与され得る下方に方向付けられる任意の力との間のバランスがとられ得る。
【0316】
下ストラップ3320は、選択的に調節可能であり得る。例えば、下ストラップ3320それぞれの有効長さの変更は、各下ストラップ3310を各下ストラップクリップ3326中のアパチャを通じて通過させた後に自身にループバックさせる各下ストラップ3310の分量の変更により行えばよい。アパチャを通じて通過する各下ストラップ3320の分量を増加させると、下ストラップ3320の長さが有効に低減され、これにより、力ベクトルの変更および患者インターフェース3000のフィット感の調節が可能に鳴る。
【0317】
位置決めおよび安定化構造3300は、頂頭冠ストラップ3330、一対の側方頭冠ストラップ3332および頸部ストラップ3334のうち1つ以上も含み得る。
図10-2に示す例において、上ストラップ3310および下ストラップ3320は、頂頭冠ストラップ3330の端部へ接続される。頂頭冠ストラップ3330は、患者の頭部周囲を通過し、上方および後方に対向する表面に対して配置されるように構成される。頂頭冠ストラップ3330は、患者の頭蓋骨の頭頂骨上に配置されるように構成され得る。頂頭冠ストラップ3330の各端部は、上ストラップ3310それぞれと、一対の側方頭冠ストラップ3332それぞれとにも接続する。側方頭冠ストラップ3332それぞれは、患者の頭部の各側部において上ストラップ3310と下ストラップ3320との間に接続される。側方頭冠ストラップ3332の下端は、頸部ストラップ3334によって相互接続される。頸部ストラップ3334は、矢状面にわたって通過し、患者の頭部の下方および/または後方を向く表面に対して配置されるかまたは患者の首の後ろ側に配置されるように構成され得る。頸部ストラップ3334は、患者の頭蓋骨の後頭骨の上側または下側に配置され得る。
【0318】
頂頭冠ストラップ3330の長さは、選択可能に調節することができる。
図10-2に示す例において、頂頭冠ストラップ3330は、一対のアパチャを有するリンクによって接続された2個のストラップ部位によって形成される。頂頭冠ストラップ3330を形成するこれら2個のストラップ部位はそれぞれ、アパチャそれぞれを通じて通過した後にループバックし、例えばフックアンドループ材料、さらなるクリップ、バンドおよび/またはその他を介して自身に固定することができる。リンクを通じて送られる各上ストラップ部の量は、頂頭冠ストラップ3330の長さおよびよって位置決めおよび安定化構造3300のフィット感の調節のために変更することができる。
【0319】
全てのヘッドギアストラップの調節および患者インターフェース3000の所望のフィット感の達成がなされた後、下ストラップクリップ3326によって提供される磁気クリップ接続により、下ストラップ3320を下ストラップ接続点3325から迅速に係合解除することができ、これにより、患者からの患者インターフェース3000の取り外しをストラップ調節無しに行うことが可能になる。同様に、患者が患者インターフェースを再度着用する際、下ストラップクリップ3326を下ストラップ接続点3325において迅速に係合解除させて、ストラップ調節の必要無しに患者インターフェース3000をフィットさせることができる。磁気クリップを含む位置決めおよび安定化構造のさらなる利点およびフィーチャについて、WO2014/110622に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0320】
本技術の例において、左ストラップおよび右ストラップならびに/あるいは上側ストラップおよび下側ストラップ(例えば、上側ストラップ3310を独立的に調節することが可能になるため、シール形成構造3100の形状形成および調節を所望のフィット様態が得られるように行うことが支援され得る。
【0321】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3300を含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造3300は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適しかつ大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造3300の一形態を含み得る。
【0322】
図13-1~
図13-3(およびより詳細には
図13-3)は、
図11-1~
図11-5に示すプレナムチャンバ3200を含む患者インターフェース3000を示す。本例において、患者インターフェース3000は、使用時においてプレナムチャンバ3200を患者の顔上の密閉位置に保持するための位置決めおよび安定化構造3300も含む。本例において、位置決めおよび安定化構造3300は、一対のヘッドギア管3340を含む。この一対のヘッドギア管3340は、その上端において相互接続され、それぞれ、使用時において患者の頭部の上方および側方の表面上に配置されるように構成される。ヘッドギア管3340はそれぞれ、使用時において患者の眼と耳との間に配置されるように構成される。各ヘッドギア管3340の下端は、プレナムチャンバ3300へ流体接続するように構成される。本例において、各ヘッドギア管3340の下端は、ヘッドギア管コネクタ3344へ接続する。ヘッドギア管コネクタ3344は、ヘッドギアコネクタ3246へ恒久的にまたは解放可能に接続される。ヘッドギアコネクタ3246は、プレナムチャンバ3200のフェッシア部3210内の側方インサート3214の入口ポート3240へ接続するように構成される。側方インサート3214の内部リム3215は、ヘッドギアコネクタ3246を所定位置に固定するための位置付け特徴を含む。位置決めおよび安定化構造3300は、2本のヘッドギア管3340の接合部において導管ヘッドギア入口3390を含む。導管ヘッドギア入口3390は、例えば接続ポート3600を含むエルボーを介して加圧ガス流を受容し、このガス流をヘッドギア管3340の中空内部中へ流動させるように、構成される。これらのヘッドギア管3340により、加圧ガス流がプレナムチャンバ3200へ供給される。
【0323】
位置決めおよび安定化構造3300は、これらのヘッドギア管3340に加えて1つ以上のストラップを含み得る。本例において位置決めおよび安定化構造3300は、一対の上ストラップ3310および一対の下ストラップ3320を含む。上ストラップ3310および下ストラップ3320の後端は、相互に接合される。上ストラップ3310と下ストラップ3320との間の接合部は、患者の頭部の後面に配置されるように構成されるため、上ストラップ3310および下ストラップ3320のアンカー固定が可能になる。上ストラップ3310の前端は、ヘッドギア管3340へ接続する。本例において、各ヘッドギア管3340は、開口部を有するタブ3342を含む。この開口部を通じて、各上ストラップ3310を送った後にループバックさせて自身に固定することにより、上側ヘッドギアストラップ3310をヘッドギア管3340へ固定することができる。位置決めおよび安定化構造3300は、下ストラップ3320それぞれの前端へ設けられた下ストラップクリップ3326も含む。下側ストラップクリップ3326はそれぞれ、(
図13-1~
図13-3の例において)プレナムチャンバ3200上の下側接続点3325へ接続されるように構成され、下側接続点3325は、ヘッドギアコネクタ3246上に設けられる。本例において、下ストラップクリップ3326は、下側接続点3325へ磁気的に固定される。いくつかの例において、下ストラップクリップ3326と、下側接続点3325との間に機械的係合も設けられる。
【0324】
ヘッドギア管コネクタ3344は、プレナムチャンバ3200内に圧力が無いときに患者が周囲の空気を呼吸することを可能にするように構成され得る。各ヘッドギア管コネクタ3344は、窒息防止弁(AAV)を含み得る。各ヘッドギア管コネクタ3344中のAAVは、プレナムチャンバ3200の内部と周囲との間の空気流れを可能にするように、プレナムチャンバ3200内に圧力が無いときに開くように構成され得る。各AAVは、プレナムチャンバ3200の内部から各ヘッドギア管3340中への空気流れを遮断しかつプレナムチャンバ3200と周囲との間の空気交換を可能にする構成中へ付勢され得る。ヘッドギア管3340が加圧されると、各ヘッドギア管コネクタ3344中のAAVにより、プレナムチャンバ3200の内部と周囲との間の空気交換が回避され得、かつ、患者の呼吸のために各ヘッドギア管3340からプレナムチャンバ3204中への空気流れが可能にされ得る。
【0325】
図10および
図13-1~
図13-3に示す例において、上側および下側ヘッドギアコネクタのために共通支持ベースが設けられる。すなわち、プレナムチャンバ3200の各側部において、上側ヘッドギアストラップ3310(またはヘッドギア管3340)および下側ヘッドギアストラップ3320双方が、共通剛性コネクタへ接続される。しかし、いくつかの例において、プレナムチャンバ3200において、分離された上側ヘッドギアコネクタおよび下側ヘッドギアコネクタが設けられ得る。上側ヘッドギアストラップと下側ヘッドギアストラップとの間の張力の差は、プレナムチャンバ3200の変形とシール形成構造3100の挙動とに影響を及ぼすことが考えられる。上側ヘッドギア接続および下側ヘッドギア接続を別個にすること(すなわち、クッションが撓んだときに相互に移動することが可能な上側ヘッドギア接続および下側ヘッドギアの接続)により、水平軸周囲における一定の屈曲が可能になり得、より広範囲の患者との適切なフィット様態が支援されつつ、この屈曲を調節可能とすることも可能になるため、フィット範囲および患者インターフェース3000の調節可能範囲がさらに向上し、より高い快適性および有効なフィット様態が達成される。ヘッドギア支持部3302に関連して述べたように、分離されたヘッドギアコネクタを用いて、必要な剛性のうち少なくとも一部のフェッシア部3210への提供を支援することができ得る。
【0326】
5.3.5 通気部
一形態において、患者インターフェース3000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部3400を含む。
【0327】
特定の形態において、通気部3400は、プレナムチャンバ内の圧力が雰囲気に対して正であるときにプレナムチャンバ3200の内部から雰囲気への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気部3400は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼気されたCO2の患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成される。
【0328】
本技術による一形態の通気部3400は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0329】
通気部3400は、プレナムチャンバ3200内(より詳細には、フェッシア部3210内)に設けられ得る。あるいは、通気部3400は、プレナムチャンバ3200に設けられたコンポーネント(例えば、接続解除構造(例えば、回り継ぎ手))内に設けられる。例において、患者インターフェースは、国際公開No.WO2017/049357A1に実質的に記載のような通気部を有する回りエルボーアセンブリを含み得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0330】
図10-1および
図10-2に示す例において、患者インターフェース3000は、通気部3400を含む。本例において、通気部3400は、入口接続ポート3600の周辺の周囲において通気部3400の部分を形成する穴部を含む。
【0331】
5.3.6 結合解除構造(複数または単数)
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩)を含む。
【0332】
5.3.7 接続ポート
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。
【0333】
図9に示す例において、入口接続ポート3600は、剛性であり、概して管状の構造であり、第1の端部3602および第2の端部3604を有する。環状溝部3606が、第1の端部3602において自身の外部周囲に設けられ、(
図7-6に示すように)接続ポート隆起部3608を受容して、入口接続ポート3600をプレナムチャンバ3200に相対して配置させるように構成される。
【0334】
入口接続ポート3600は、空気回路4170の接続先である第2の端部3604において導管接続部位3610を含む。通気部3400は、環状溝部3606と導管接続部位3610との間の入口接続ポート3600の周辺の周囲において複数の穴部の形態で設けられる。
【0335】
5.3.8 前額支持部
一形態において、患者インターフェース3000は、
図3Aに示すような前額支持部3700を含む。例えば
図7-1~
図13-3に示すような他の例において、患者インターフェース3000は、前額支持部位を除外し得る。さらに、患者インターフェース3000は、患者の前額と全く接触しないように構成され得る。
【0336】
5.3.9 窒息防止弁
一形態において、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含む。
【0337】
上記したように、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含むヘッドギア管コネクタ3344を介してプレナムチャンバ3200へ接続された1つ以上のヘッドギア管3340を含み得る。代替的にまたは追加的に、患者インターフェース3000は、供給導管へ接続するように構成されたスイベルエルボーを含み得る。スイベルエルボーは、窒息防止弁を含む。他の例において、窒息防止弁は、例えばプレナムチャンバ3200のフェッシア部3210へ設けられることにより、プレナムチャンバ3200中へ組み込まれ得る。
【0338】
5.3.10 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0339】
5.4 患者インターフェースの第2の実施形態
ここで
図16~
図31を参照して、本技術の態様による患者インターフェース6000の実施形態が図示される。患者インターフェース6000は、以下に述べるようなシール形成構造6100およびプレナムチャンバ6200を主に含む。
【0340】
5.4.1 密閉機構
一形態において、シール形成構造6100は、圧力アシスト密閉機構を用いるシーリングフランジを含む。使用時において、シーリングフランジは、プレナムチャンバ6200内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0341】
一形態において、シール形成構造6100は、シーリングフランジおよび支持フランジを含む。シーリングフランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ6200の縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、シーリングフランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、シーリングフランジと、プレナムチャンバ6200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、シーリングフランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。
【0342】
一形態において、シール形成構造は、圧縮密閉部またはガスケット密閉部を含み得る。使用時において、圧縮密閉部またはガスケット密閉部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
【0343】
一形態において、シール形成構造は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えばシーリングフランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
【0344】
一形態において、シール形成構造は、粘着面または接着面を有する領域を含む。
【0345】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシストシーリングフランジ、圧縮密閉部、ガスケット密閉部、張力部、および粘着面または接着面を有する部位のうち1つ以上を含み得る。
【0346】
5.4.1.1 鼻領域
次に、
図16~
図27を参照して、本技術のいくつかの形態において、第2のシール形成構造6102は、使用時において患者の鼻の表面をシールするように構成された中央部6110を含む。中央部は、患者の鼻の下側周辺部(例えば、患者の鼻孔の周囲および患者の上唇)をシールし得る。例において、シール形成構造の一部は、患者の隔壁と係合し得る。第2のシール形成構造6102は、側方部6111を中央部6110の側方側にさらに含み得る。例において、シール形成構造6102は、鼻梁の下側または鼻尖点の下側において患者の顔と接触するように構成され得る。
【0347】
図19および
図25~
図28から分かるように、側方部6111の後面6112は、第1のシール形成構造6101および第2のシール形成構造6102の境界6103から上前方向に前方に傾斜して、マスクの鼻部分の後側の外形を前方に傾斜させる。
【0348】
(以下にさらに述べるような)隆起部6120を用いた実施形態において、側方部6111の後面6112は、隆起部6120から前方に傾斜し得る。
【0349】
本技術のいくつかの形態において、側方部6111の後面6112は、マスクの中央接触面と20°~90°の角度を形成する。
【0350】
図26に示すように、いくつかの実施形態において、側方部6111は、使用時において患者インターフェース6000のいずれの部分も患者の鼻翼頂上点1020と接触しないように構成される。
【0351】
側方部6111をこのように傾斜させることにより、インターフェース6000の鼻部分のより小さい部位を(関連技術のいくつかの類似のインターフェースよりも)翼の側部上に延ばすことが可能になる。その結果、本技術のいくつかの形態において、翼のうちインターフェース6100と接触する部位が、後方に患者の顔へと傾斜した側方部を備えたインターフェースに相対して低減するため、(例えば、インターフェースが枕と接触している状態で患者が横向きに就寝している場合に)インターフェース6100に起因して変形および閉塞し得る翼も相応に低減する。
【0352】
5.4.1.2 口領域および鼻領域の境界
特に
図16、
図18、
図25および
図27を参照して、本技術の一形態において、第1のシーリング形成構造6101と第2のシール形成構造6102との間の境界は、角部または隆起部6120を形成するかまたは含む。使用時において、角部または隆起部6120は、上唇の上方かつ鼻の真下において患者の顔と係合し得る。
【0353】
実施形態において、角部または隆起部6120は、関連技術(例えば、PCT出願No.PCT/AU2019/050278に記載のもの)のいくつかの口腔鼻マスクの相当する部位または領域よりも鋭角の角度を形成する。
【0354】
このようなより鋭角の角度により、マスクが着用されて治療が適用される際に角部または隆起部3120上または角部または隆起部3120に隣接する第1のシール形成構造6101および/または第2のシール形成構造6102内に皺が形成される可能性が低下する。このような構造を用いないいくつかの口腔鼻患者インターフェースの場合、(折り目耐性が低い可能性のある)極めて肉薄の円形の形成がこの領域において必要になり得る。これと対称的に、角部または隆起部6120は、より硬質であり得、このようなインターフェースよりも自身の形状をより良く保持し得るため、患者の鼻周囲に存在する凹部および皺をより良好にシールし得る。この効果は、この領域の圧縮に耐えるかまたはこの領域の圧縮を阻止する支持部(例えば、本明細書中に記載の支持部6260)を備えた実施形態において向上され得る。
【0355】
本技術のいくつかの形態において、角部または隆起部6120の半径は、2mm未満(例えば、約1.75mm)であり得る。本技術の一形態において、半径は、隆起部の中心におけるおよそ1.75mmから側方部におけるおよそ0.75mmへ変化し得る。
【0356】
第1のシーリング構造および第2のシーリング構造によって形成される角度は、20度~90度(例えば、36度)であり得る。
【0357】
本技術のいくつかの形態において、角部または隆起部6120は、第1のシール形成構造6101と第2のシール形成構造6102との間の境界6103全体に実質的にわたって延び得る。実施形態において、角部または隆起部6120は、
図29中の領域1010によって示すような鼻孔への入口(例えば、翼が上唇の上方の顔と出会う場所)の少なくとも近隣において患者の顔と係合し得る。
【0358】
5.4.1.3 口領域
したように、一形態において、非侵襲的な患者インターフェース6000は、第1のシール形成構造6101を含む。第1のシール形成構造6101、使用時において患者の口周囲にシールを形成する。第1のシール形成構造6101は、患者の顔の顎領域上にシールを形成し得る。
【0359】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成するように構築された鞍状領域を含む。
【0360】
シール形成構造6100は、下唇部6130を含む。下唇部6130は、患者の顎領域ならびに/あるいは患者の下唇および/またはオトガイに対してシールを形成する。
図25に示すように、下唇部6130は、口腔周囲部6132を介して上唇部6131へ接続され得る(例えば、上唇部6131に隣接し得る)。
【0361】
シール形成構造6100は、(インターフェースの他の部位と比較して)比較的小さな壁厚さ(例えば、0.7mm未満)を、口腔周囲部6132と、顎領域に対して配置されたシール形成構造の下唇部6130と、少なくとも下唇部6130の中心とに対して配置される。これらの位置における壁厚さを薄くすることにより、有効かつ快適なシールの達成が支援される。これらの領域内のシール形成構造は、任意の複雑なジオメトリに容易に適合することができる。
【0362】
本技術のいくつかの形態において、口腔6133は、(楕円刑または長円形ではなく)実質的に台形である。このような口腔形状により、インターフェース6000を特にコンパクトにすることが可能になり得る。
【0363】
5.4.2 プレナムチャンバ
いくつかの形態において、プレナムチャンバ6200(またはプレナムチャンバ6200の少なくとも一部)およびシール形成構造6100は、単一の均質的材料ピースから形成される。
【0364】
5.4.2.1 鼻部角度の調節可能性
特に
図17、
図19および
図25~
図27を参照して、本技術の一形態において、プレナムチャンバ6200の鼻部6202の第1の前壁部6240は、口腔部6201の直接隣接する領域よりも可撓性である。第1の前壁部3240は、プレナムチャンバ3200の鼻部および口腔部の境界6241に隣接して設けられ得る。実施形態において、第1の前壁部6240は、正中矢状面周囲において対称であり得、プレナムチャンバの鼻部6202の幅の少なくとも50%(例えば、少なくとも80%)にわたって延び得る。いくつかの実施形態において、第1の前壁部6240は、実質的にプレナムチャンバの鼻部6202の幅全体にわたって延び得る。
【0365】
本技術のいくつかの形態において、第2の前壁部6242は、前壁部の直接隣接部よりも可撓性が低い。いくつかの実施形態において、第2の前壁部6242は、プレナムチャンバの鼻部および口腔部の境界6241と反対側の第1の前壁部6240に直接隣接する。実施形態において、第2の前壁部6242は、正中矢状面周囲において対称であり得、プレナムチャンバの鼻部6202の幅の少なくとも50%(例えば、少なくとも80%)にわたって延び得る。いくつかの実施形態において、第2の前壁部6242は、実質的にプレナムチャンバの鼻部6202の幅全体にわたって延び得る。
【0366】
可撓性の第1の前壁部6240により、第2のシール形成構造6102の患者接触部6110がインターフェース3000の後側の領域の周囲において旋回するかまたはヒンジ状に動くことが可能になり得る。これにより、鼻下部と上唇との間の多様な角度(すなわち、鼻唇角度)を有する患者に対してインターフェースが対応することを可能にすることが支援され得る。
【0367】
例えばしたような第1のシール形成構造6101と第2のシール形成構造6102との間に角部または隆起部6120が設けられた実施形態において、患者接触部6110は、角部または隆起部6120またはその近隣の領域周囲において旋回または品二乗に動き得る。(以下にさらに述べる)1つ以上の支持部6260を備えた実施形態、ヒンジ状動作領域または旋回領域は、支持部6260の真上に設けられ得る。
【0368】
図18に示すように、第1の前壁部6240は、上側境界6243および下側境界6244を有し得る。上側境界6243および下側境界6244の一方または双方は、例えば図示のように境界の中央部が側方部の下方に設けられるように、曲線状にされ得る。第1の前壁部6240は、自身の幅にわたって実質的に同じ高さであり得(すなわち、上側境界および下側境界は、実質的に平行であり得る)か、または、高さは、
図18中の実施形態に示すように例えば第1の前壁部6240の中央部の高さが側方部の高さよりも高くなるように、幅にわたって変動し得る。第1の前壁部6240の境界6243および6244ならば/または高さの一方または双方の曲率が変化すると、第1の前壁部6240の剛直性(すなわち、第2のシール形成手段6102の患者接触部6110への力に応答して座屈または折り曲げに対する耐性)も変化し得る。
【0369】
同様に、第2の前壁部6242は、上側境界6247および下側境界6248を有し得る。本技術のいくつかの形態において、第2の前壁部6242の下側境界6248は、第1の前壁部6240の上側境界6243と同一である。第2の前壁部6242の上側境界6247および下側境界6248は双方とも曲線状であり得るため、例えば、境界の中央部は、側方部の下側に設けられる。第2の前壁部6242は、自身の幅にわたって実質的に同じ高さであり得る(すなわち、上側境界および下側境界は、実質的に平行であり得る)か、または、高さを幅にわたって変化させてもよく、これにより、例えば第2の前壁部6242の中心部の高さは、側方部の高さ未満である。
【0370】
本技術のいくつかの形態において、第1の前壁部6240に必要な剛直性を持たせるための他の構成方法が、曲線状の境界に加えてまたは曲線状の境界の代わりに用いられ得る。例えば、第1の前壁部6240の厚さは、必要な剛直性が得られるように選択され得る。例において、第1の前壁部6240は、プレナムチャンバ壁部の直接隣接部よりも肉薄であり得る。さらにおよび/またはあるいは、第1の前壁部6240は、
図29に示すように第2の前壁部6242の側方縁部の周囲において上方向に延び得るため、第1の前壁部6240がこのような形状にされていない実施形態と比較して、圧縮または座屈に対する剛直性/耐性が低下する。
【0371】
第2の前壁部6242は、鼻部6202の座屈の回避を支援し得、(典型的には比較的肉薄である)第2のシール形成手段6102の患者接触部6110に対して支持を提供し得る。患者接触部の支持が不十分である場合、患者の顔とのシーリング係合の破裂に繋がり得る。一形態において、第2の前壁部6242は、プレナムチャンバ壁部の直接隣接部よりも肉厚である。特定の形態において、第2の前壁部6242は、
図25~
図27に示すように肉厚材料のバンドとして設けられる。第1の前壁部6241および第2の前壁部6242は、同一材料から(例えば、一体形成されたシェル6250の一部として)構成され得る。
【0372】
5.4.2.2 可撓性シェル
本技術のいくつかの形態において、シェル6250は、ポリカーボネートなどの剛性材料から構成され得る。しかし、本技術の他の形態において、シェル6250またはシェル6250の一部に一定の可撓性を持たせてもよい。例えば、例において、シェル6250は、ヤング率が0.4GPa以下である材料(例えば、発泡体他の形態から形成され得る。本技術のいくつかの形態において、シェル6250は、ヤング率が0.1GPa以下の材料(例えば、ゴム)から構成され得る。本技術の他の形態において、シェル6250は、ヤング率が0.7MPa以下の材料(例えば、0.7MPa~0.3MPa)から構成され得る。そのような材料の一例として、シリコーンがある。
【0373】
例において、シェル6250と、第1のシール形成構造6101および第2のシール形成構造6102の一方または双方は、同一材料から形成され得る。
【0374】
本技術のいくつかの形態において、シェル6250は、十分な可撓性を有し得るため、1つ以上のコンポーネントを追加して、シェル6250の1つ以上の範囲または領域において必要な剛直性を提供する。例えば、コンポーネントに隣接する領域におけるプレナムチャンバ6200の剛直性を例えば以下にさらに述べるように増加させるように、通気モジュール;ヘッドギアコネクタ;剛性化アームおよび剛性化部材へ接続されたヘッドギアコネクタのうち1つ以上がシェル6250へ接続され得る。本技術のいくつかの形態において、このようなコンポーネントは、可撓性シェル6250へ解放可能に接続可能であり得る。追加的にまたは代替的に、1つ以上のコンポーネントが、例えば接着および/またはオーバーモールドによりシェル6250へ恒久的に接続され得る。
【0375】
本技術のいくつかの形態において、シェル6250は、概して可撓性であり得るが、シェル6250の直接隣接部よりも肉厚である硬化部を含み得る。このような硬化部は、リブまたはバンドとして構成され得、例えばシェルにわたって側方に延びかつ/または上下方向に延びるが、他の多数の構成も可能である。いくつかの形態において、シェルは、例えばポリカーボネートから製造された実質的に剛性の部位と、一定の可撓性を有する部位とを含み得る。
【0376】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバの口腔部6201の前側の中央部6251にプレナムチャンバ6200の残り部分よりも高い剛直性を持たせると好適であり得る。本技術のいくつかの形態において、より高い剛直性を有する領域は、
図29に示しかつ以下にさらに述べるように鼻部202の真下に設けてもよく、かつ/または、口腔部6201の真上に設けてもよい。本技術の一形態において、第1の前壁部6240の一部または全体は、より高い可撓性を有する領域ではなくより高い剛直性を有する領域であり得る。これらの領域のうち1つ以上により高い剛直性を持たせることにより、形状安定性が得られ得、ヘッドギア力に起因してシェル6250が変形する範囲が制限され得る。過度な変形が発生した場合、第2のシール形成構造6102によって鼻孔が閉塞される事態に繋がり得る。このような変形を回避することは、比較的幅広の鼻の患者にとって特に有利であり得、幅狭の鼻の患者にとってはそれほど重要ではないかまたは場合によっては望ましくない場合がある。加えて、記載のより高い剛直性を有する領域により、インターフェースの捻り変形の低減が支援され得る。インターフェースの捻り変形が発生した場合、第2のシール形成構造3102の片側と患者の鼻との接触が失われ得、その結果漏洩路発生に繋がり得る。
【0377】
図29に示すように、本技術の一形態において、シェル6250に剛性部位6263が設けられ得、あるいは、シェル6250の少なくとも一部に対し、1つ以上の接続ポート6600が設けられた(例えば、成形された)シェルの残り部分よりも高い剛性を付与する。本技術の一形態において、剛性部位6263は、ポリカーボネート製であり得る。これにより、シリコーンのみによって構成されたシェルよりも高い剛性が得られ得る。本技術の一形態において、通気部6400を形成する穴は、剛性部位6263内に成形される。本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造のためのコネクタ6310は、シェルへ一定の剛性を付与するアーム6320上に取り付けられる。
【0378】
本技術の一形態において、剛性部位6263は、第1の前壁部6240の上側境界の近隣(例えば、第2の前壁部6242の真下)のプレナムチャンバの前方にわたって側方に延びる。剛性部位6263は、接続ポート6600間に連続的に延び得る。
【0379】
本技術のいくつかの形態において、接続ポート6600は、実質的に長円形の断面を有し得る。接続ポート6600は、各ポートの中心線がポートに隣接するプレナムチャンバの外面に対して実質的に平行になるように、方向付けられ得る。
【0380】
本技術のいくつかの形態において、剛性部位6263は、第1の前壁部6240の隣接面に対して前方に突出し得、耐屈曲性を高めるような形状にされ得る。
【0381】
本技術のいくつかの形態において、コネクタ6310およびアーム6320は、接続ポート6600の下側においてプレナムチャンバ6200の側方縁部へと設けられる。コネクタ6310は、アーム6320の側方端部に設けられ得る。
【0382】
図31は、通気部取付アパチャ6410を含むプレナムチャンバ6200を示す。通気部取付アパチャ6410内に、適切な通気部またはモジュールが挿入され得る。プレナムチャンバの剛直性を高めるために、通気部は、比較的剛直性の材料から構成され得る。本技術のいくつかの形態において、通気部取付アパチャ6410は、実質的に長円状であり得、長円形の短軸は、矢状面に対して実質的に平行である。
【0383】
図31に示す実施形態において、通気部取付アパチャは、上側チャンバ6201の口腔部の上側境界へと設けられる。
【0384】
図31に示す実施形態において、位置決めおよび安定化構造のためのコネクタ6310が設けられる。コネクタ6310は、シェル6250の比較的より肉厚の領域内に取り付けられ得る。図示の実施形態において、コネクタ6310は、通気部取付アパチャ6410の下側においてプレナムチャンバ6200の側方側へと設けられる。本技術のいくつかの形態において、コネクタ6310は、実質的に円形の磁気ヘッドギアコネクタである。
【0385】
図16~
図28に示すプレナムチャンバの図面中に入口ポートは図示していないが、当業者であれば、実際には1つ以上の入口ポートが設けられることを理解する(例えば、
図30および
図31に示すような入口ポート6600)。入口ポート6600により、以下にさらに述べるようなインターフェースから空気回路4170への接続が可能になる。本技術のいくつかの形態において、空気回路4170の1つ以上のコンポーネントも、位置決めおよび安定化構造のコンポーネントとして機能し得る。
【0386】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ6200は、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
【0387】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ6200は、半透明材料、例えば、半透明シリコーンから構成される。半透明材料を用いることにより、患者インターフェースの押しつけがましさを低減することができ、治療へのコンプライアンスの向上を補助することができる。
【0388】
5.4.3 支持部位
図21および
図23~
図27に最良に示すように、本技術の一形態において、支持部6260が、第2のシール形成構造6102とプレナムチャンバ6200の前壁部との間のインターフェース6000の反対側に設けられる。
図21に示すように、例において、各支持部6260は、インターフェース6000の側方縁部へ延びる。
【0389】
支持部6260は、前後方向における圧縮に耐えるかまたは前後方向における圧縮を妨害するように構成されるため、第2のシール形成構造6102のうち患者の上唇と係合する部位(詳細には、
図29に示すように、領域1010のうち鼻孔への入口の近隣の部位(翼が上唇上方の領域と出会う場所))を支持するかまたは硬化させる。
【0390】
これらの支持部6260により、シール形成構造6100(特に、シール形成構造により患者の顔の領域1010がシールされる場所)において皺形成が無いことを保証することが支援される。シール形成構造が本明細書中に記載のような角部または隆起部6120を生成するように構成されている場合、支持部6260は特に有利であり得る。
【0391】
特に
図23~
図25から分かるように、本技術の一形態において、支持部6260は、口腔部6201および鼻部6202の境界6241に隣接するプレナムチャンバの口腔部6201の前側へ接続される。いくつかの実施形態において、支持部6260は、(
図25~
図27に示すように)矢状面に対して平行な断面からみた場合に曲線状であり得、かつ/または、(
図23および
図24に示すように)前額面に対して平行な断面からみた場合に曲線状であり得る。曲率は、正または負であり得る。いくつかの例において、プレナムチャンバ6200の側方側壁部6245は、鼻部6202との境界6241に隣接して内方に曲線状にされ得、支持部6260は、隣接する側方側壁部6245と実質的に隣接し得る。
図27に示すように、矢状面に対して平行な断面からみると、支持部6260のうち少なくとも一部は、プレナムチャンバ6200の前壁部に隣接する第1の端部6261と、シール形成構造6100に隣接する第2の端部6262との間の厚さが肉薄にされ得る。
【0392】
特に
図23および
図24から分かるように、本技術の一形態において、支持部6260は、口腔部6201の側方側壁部6245と鼻部6202の側方側壁部6246との境界に隣接するプレナムチャンバの口腔部6201へ接続される。
【0393】
本技術のいくつかの形態において、支持部6260の形状は、プレナムチャンバの口腔部6201から鼻用アパチャ(単数または複数)6135への実質的に清浄な流路を提供するような形状にされる。本技術のいくつかの形態において、いずれの支持部6260のいずれの部分も、鼻用アパチャ(単数または複数)6135の真下には設けられない。
【0394】
5.4.4 他のコンポーネント
図16~
図31の患者インターフェースは、
図7~
図15についてしたような他のコンポーネントを含み得る(例えば、少なくとも接続ポート3600、前額支持部3700、窒息防止弁、通気部、接続解除構造、ポート、または位置決めおよび安定化構造)。
【0395】
図16~
図27中には通気構造を図示していないが、
図16~
図25に示す本技術の実施形態は、適切な通気構造を例えばプレナムチャンバ6200に備え得る(その一例を
図30に示す)。
【0396】
5.5 RPTデバイス
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれか一項に記載の呼吸状態のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0397】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmH2Oまたは少なくとも10cmH2Oまたは少なくとも20cmH2Oの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。RPTデバイスアルゴリズム
【0398】
RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0399】
空気圧RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気回路アイテム(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124)ならびに1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサおよび流量センサ)を含み得る。
【0400】
上記したように、本技術のいくつかの形態において、中央制御装置は、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体(例えば、メモリ)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズムを具現するように構成され得る。このアルゴリズムは、モジュールと呼ばれるグループにグループ付けられることが一般的だ。
【0401】
RPTデバイス4000は、電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ、治療デバイスコントローラ、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路、メモリ、変換器4270、データ通信インターフェース、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0402】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0403】
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000との間に配置される。
【0404】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
【0405】
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、送風機のモータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
【0406】
5.6 空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0407】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0408】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0409】
5.6.1 酸素送達
本技術の一形態において、補充用酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
【0410】
5.7 加湿器
5.7.1 加湿器の概要
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0411】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。
図5Aおよび
図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
【0412】
図5Cに示すように、加湿器コントローラ5250は、1つ以上のコントローラを含み得る(例えば、中央加湿器コントローラ5251、加熱空気回路4171の温度を制御するように構成された加熱空気回路コントローラ5254および/または加熱要素5240の温度を制御するように構成された加熱要素コントローラ5252)。
【0413】
5.7.2 加湿器コンポーネント
5.7.2.1 水リザーバ
1つの配置構成によれば、加湿器5000は、空気流れの加湿のために蒸発させるべき一定量の液体(例えば、水)を収容または保持するように構成された水リザーバ5110を含み得る。水リザーバ5110は、少なくとも呼吸治療セッション期間(例えば、一晩の睡眠)にわたって適切な加湿を提供するための所定の最大量の水を収容するように、構成され得る。典型的には、リザーバ5110は、数百ミリリットルの水(例えば、300ミリリットル(ml)、325ml、350mlまたは400ml)を収容するように、構成される。他の形態において、加湿器5000は、外部水源(例えば、建物の水供給システム)から水供給を受容するように、構成され得る。
【0414】
一態様によれば、水リザーバ5110は、空気流れがRPTデバイス4000を通過する際にRPTデバイス4000からの空気流れを加湿するように、構成される。一形態において、水リザーバ5110は、空気流れがリザーバ5110中の一定量の水と接触しつつ、空気流れのリザーバ5110中の蛇行経路の移動を促進するように、構成され得る。
【0415】
一形態によれば、リザーバ5110は、例えば
図5Aおよび
図5Bに示すように側方において加湿器5000から取り外し可能であり得る。
【0416】
リザーバ5110は、例えばリザーバ5110がその通常の動作方向(例えば、任意のアパチャを通じておよび/またはそのサブコンポーネント間に)から変位および/または回転した時にリザーバ5110からの液体放出を抑制するようにも構成され得る。加湿器5000によって加湿すべき空気流れは加圧されていることが多いため、リザーバ5110は、漏洩および/または流れインピーダンスを通じた空気圧の損失を防止するようにも、構成され得る。
【0417】
5.7.2.2 伝導性部位
1つの配置によれば、リザーバ5110は、加熱要素5240からリザーバ5110中の一定量の液体への効率的な熱伝達を可能にするように構成された伝導性部位5120を含む。一形態において、伝導性部位5120はプレートとして配置され得るが、他の形状も適切であり得る。伝導性部位5120の全体または一部は、アルミニウムなどの熱伝導性材料(例えば、厚さおよそ2mm(例えば、1mm、1.5mm、2.5mmまたは3mm))、別の熱伝導金属また何らかのプラスチックによって構成され得る。いくつかの場合において、適切な熱伝導性が、適切なジオメトリのより低伝導性の材料により、達成され得る。
【0418】
5.7.2.3 加湿器リザーバドック
一形態において、加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように構成された(
図5Bに示すような)加湿器リザーバドック5130を含み得る。いくつかの配置において、加湿器リザーバドック5130は、ロック機能を含み得る(例えば、リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130内に保持するように構成されたロックレバー5135)。
【0419】
5.7.2.4 水位インジケータ
加湿器リザーバ5110は、
図5A~
図5Bに示すような水位インジケータ5150を含み得る。いくつかの形態において、水位インジケータ5150は、加湿器リザーバ5110中の水の量についての1つ以上の兆候を患者1000または介護者などのユーザへ提供し得る。水位インジケータ5150から提供されるこれら1つ以上の兆候は、最大の所定量の水、その任意の一部の通知を含み得る(例えば、25%、50%または75%または量(例えば、200ml、300mlまたは400ml))。
【0420】
5.7.2.5 加湿器変換器(単数または複数)
加湿器5000は、上記した変換器4270の代わりにまたは上記した変換器4270に加えて1つ以上の加湿器変換器(センサ)5210を含み得る。加湿器変換器5210は、
図5Cに示すような空気圧センサ5212、空気流量変換器5214、温度センサ5216または湿度センサ5218のうち1つ以上を含み得る。加湿器変換器5210は、1つ以上の出力信号を生成し得る。これらの出力信号は、コントローラ(例えば、中央コントローラおよび/または加湿器コントローラ5250)へ通信され得る。いくつかの形態において、加湿器変換器は、出力信号をコントローラへ通信しつつ、加湿器5000の外部に(例えば、空気回路4170内に)配置され得る。
【0421】
5.8 呼吸波形
図6Aは、睡眠時の人のモデルの典型的な呼吸波形を示す。水平軸は時間であり、垂直軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動し得るため、典型的な呼吸は、以下のおおよその値を持ち得る:一回換気量、Vt、0.5L、吸息時間、Ti、1.6秒、ピーク吸気流量、Qピーク、0.4L/秒、呼息時間、Te、2.4s、ピーク呼気流量、Qピーク、-0.5L/秒。呼吸の全持続時間Ttotは約4秒である。人間は典型的には、1分あたり呼吸を約15回行い(BPM)、換気Ventは約7.5L/minである。典型的な負荷サイクル、TiとTtotの比は約40%である。
【0422】
5.9 呼吸圧力治療モード
本技術の一形態における治療パラメータ決定アルゴリズムによって用いられる治療圧力方程式(エラー!参照源未詳)中のパラメータAおよびP0の値に応じて、多様な呼吸圧力治療モードがRPTデバイス4000によって行われ得る。
【0423】
5.10 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0424】
5.10.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0425】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0426】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0427】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0428】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0429】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0430】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0431】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0432】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸状態を改善するために治療上有益な量の水(H2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0433】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対するスイベルエルボーにおいて発生し得る。
【0434】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0435】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0436】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気孔)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0437】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0438】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、及びヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0439】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0440】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0441】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0442】
5.10.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0443】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0444】
5.10.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0445】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0446】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
・ 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
・ 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0447】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
【0448】
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0449】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0450】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0451】
5.10.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0452】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0453】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0454】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0455】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0456】
流れ制限:流れ制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流れ制限が発生した場合、当該流れ制限は吸気流れ制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
【0457】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0458】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0459】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0460】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0461】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0462】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0463】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0464】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0465】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。原則的に、吸気量Vi(吸気された空気の量)は、呼気量Ve(呼気された空気の量)に等しいため、単一の一回換気量Vtは、いずれかの量に等しいものとして規定され得る。実際には、一回換気量Vtは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Viと呼気量Veの平均)として推定される。
【0466】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0467】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0468】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0469】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0470】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流れ制限の状態と関連し得る。
【0471】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0472】
5.10.3 換気
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0473】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0474】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0475】
呼気の気道陽圧(EPAP):、人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加される基本圧力。
【0476】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0477】
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のマスク圧力。
【0478】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0479】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0480】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0481】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0482】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0483】
5.10.4 解剖学的構造
5.10.4.1 顔の解剖学的構造
翼(Ala):外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)
【0484】
Alare:鼻翼上の最外側の点。
【0485】
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0486】
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0487】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0488】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0489】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0490】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0491】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0492】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
【0493】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0494】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0495】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0496】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0497】
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0498】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0499】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0500】
下耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0501】
上耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0502】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0503】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0504】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0505】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0506】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面である。正中矢状面は、右半分および左半分に分割する矢状面である。
【0507】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0508】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0509】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0510】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
【0511】
スプラメントン:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
【0512】
5.10.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0513】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0514】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0515】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0516】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0517】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0518】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0519】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0520】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0521】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
【0522】
5.10.4.3 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0523】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0524】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0525】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介(nasal conchae)(単数形「concha」)または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0526】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、口咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0527】
5.10.5 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0528】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0529】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0530】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および布地の層状複合材)によって形成される。
【0531】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0532】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0533】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0534】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0535】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0536】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0537】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
【0538】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0539】
通気:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0540】
5.10.6 構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の実施例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の実施例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0541】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。
図3B~
図3Fを参照されたい。
図3B~
図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。
図3B~
図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの実施例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
【0542】
5.10.6.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0543】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。
図3B(
図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および
図3C(
図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0544】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。
図3Dを参照されたい。
【0545】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。
図3E(
図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および
図3F(
図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
【0546】
5.10.6.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図3B~
図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0547】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。
図3B~
図3Fの実施例において、最大曲率は
図3Bにおいて発生し、最小は
図3Fにおいて発生するため、
図3Bおよび
図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0548】
表面の領域:表面上の連結された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0549】
鞍状領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0550】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0551】
円筒型領域:1つの主要な曲率がゼロ(または、例えば製造公差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0552】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0553】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0554】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0555】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0556】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
【0557】
5.10.6.3 空間曲線
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(
図3Qを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(
図3Rを参照)。
図3Sは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0558】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0559】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0560】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば
図3Pを参照)または表すあるいは左手の法則(
図3O)によって決定され得る。
【0561】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。
図3Oおよび
図3Pを参照されたい。
【0562】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。
図3Sを参照して、T2>T1であるため、
図3Sの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、
図3Sの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
【0563】
図3Pの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、
図3Sに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0564】
同様に、左手の法則(
図3Oを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。
図3Tを参照されたい。
【0565】
5.10.6.4 穴
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、
図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
【0566】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤ内面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の実施例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば
図3Lのクッション、および二次元穴を境界付ける内面が示される
図3Mおよび
図3Nにおける
図3Lの例示的断面を参照されたい。さらに別の実施例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。
図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
【0567】
5.11 他の注意事項
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0568】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0569】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的な方法および材料が本明細書中に記載される。
【0570】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0571】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0572】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0573】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0574】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0575】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0576】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0577】
患者 1000
同床者 1100
患者インターフェース 3000
シール形成構造 3100
上方を向く内側部 3111
内側鞍状部位 3112
前方を向く内側部 3115
上唇部 3116
口用穴周辺部 3117
下唇部 3118
上方を向く中間部 3121
前方を向く中間部 3125
後方を向く側方部 3135
側方部 3145
側方支持部位 3151
プレナムチャンバ 3200
腱 3209
フェッシア部 3210
側方ヘッドギア支持凹部 3212
側方インサート 3214
内部リム 3215
外部リム 3216
位置付け特徴 3217
インサート開口部 3218
内側部 3219
上点 3220
下点 3229
鼻部位 3230
側方部 3231
ベース 3232
入口ポート 3240
中空の突出部 3250
リム 3252
上方部位 3254
下方部位 3256
口部位 3260
口用孔 3271
鼻用穴 3272
口腔鼻移行 3275
位置決めおよび安定化構造 3300
ヘッドギア接続支持部 3302
上部ストラップ 3310
上ストラップ接続点 3315
下部ストラップ 3320
下接続点 3325
下ストラップクリップ 3326
頂頭冠ストラップ 3330
側方頭冠ストラップ 3332
頸部ストラップ 3334
ヘッドギア管 3340
タブ 3342
ヘッドギア管コネクタ 3344
ヘッドギアコネクタ 3246
導管ヘッドギア入口 3390
通気部 3400
接続ポート 3600
第1の端部 3602
第2の端部 3604
環状溝部 3606
隆起 3608
導管接続部位 3610
前額支持部 3700
RPTデバイス 4000
外部ハウジング 4010
内側部位 4012
下部 4014
パネル 4015
シャーシ 4016
ハンドル 4018
空気圧ブロック 4020
空気フィルタ 4110
入口空気フィルタ 4112
出口空気フィルタ 4114
マフラー 4120
入口マフラー 4122
出口マフラー 4124
圧力生成器 4140
送風機 4142
モータ 4144
アンチスピルバック弁 4160
空気回路 4170
加熱空気回路 4171
補充酸素 4180
電気部品 4200
プリント回路基板アセンブリ(PCBA) 4202
電源 4210
入力デバイス 4220
変換器 4270
出力デバイス 4290
加湿器 5000
加湿器入口 5002
加湿器出口 5004
加湿器ベース 5006
リザーバ 5110
伝導性部位 5120
加湿器リザーバドック 5130
ロックレバー 5135
水位インジケータ 5150
加湿器変換器 5210
空気圧力センサ 5212
流量変換器 5214
温度センサ 5216
加熱要素 5240
加湿器コントローラ 5250
中央加湿器コントローラ 5251
加熱要素コントローラ 5252
空気回路コントローラ 5254