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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】固定用量製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/194 20060101AFI20240927BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240927BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K31/194
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/24
A61K31/397
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/20
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61P3/06
A61P9/00
A61P43/00 121
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022191728
(22)【出願日】2022-11-30
(62)【分割の表示】P 2019565302の分割
【原出願日】2018-05-25
(65)【公開番号】P2023022224
(43)【公開日】2023-02-14
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】62/511,889
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/859,279
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516281436
【氏名又は名称】エスペリオン・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Esperion Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アブデルナセール,モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ピルガオンカル,プラティバ,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ガンディー,アニルクマール エス.
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-332226(JP,A)
【文献】国際公開第2016/149191(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/149405(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エゼチミブ顆粒及びベンペド酸顆粒を含む単層錠剤を製造する方法であって、
(i) ベンペド酸を含む組成物を第1の結合剤溶液と造粒してベンペド酸顆粒を得るステップ、
(ii) エゼチミブを含む第2の結合剤溶液を調製し、
第2の結合剤溶液を均質化して均一な分散系を形成し、均一な分散系を1種以上の薬学的に許容される賦形剤と共にトップスプレー造粒してエゼチミブ顆粒を得るステップ、
(iii) エゼチミブ顆粒及びベンペド酸顆粒を一緒にブレンドして造粒混合物を得るステップ、並びに
(iv) 造粒混合物を単層錠剤に圧縮するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
第2の結合剤溶液が、ラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
均一な分散系のトップスプレー造粒が、流動床プロセッサを用いて行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
単層錠剤を乾燥させるステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
単層錠剤をコーティングするステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
コーティングが、PVA、グリセロールモノカプリロカプレート1型、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン及びタルクのうちの1つ以上を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
コーティングが、PVA、グリセロールモノカプリロカプレート1型、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン及びタルクを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
エゼチミブ顆粒が、ピロリドン化合物、糖、陰イオン界面活性剤、微結晶性セルロース及びデンプンのうちの1つ以上をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ベンペド酸を含む組成物の造粒が、
ベンペド酸を潤滑剤及び1種以上の薬学的に許容される賦形剤と共に混合してベンペド酸乾燥混合物を得るステップ、及び
ベンペド酸乾燥混合物を第1の結合剤溶液と造粒してベンペド酸顆粒を得るステップ
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
潤滑剤が、コロイド状二酸化ケイ素である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ベンペド酸乾燥混合物が、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
ベンペド酸乾燥混合物が、微結晶性セルロースを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
ベンペド酸乾燥混合物が、HPC-L及び微結晶性セルロースを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項14】
第1の結合剤溶液が、コロイド状二酸化ケイ素及びHPC-Lを含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
単層錠剤中のベンペド酸の量が80mgから250mgの間であり、単層錠剤中のエゼチミブの量が5mgから25mgの間である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
単層錠剤中のベンペド酸の量が180mgであり、単層錠剤中のエゼチミブの量が10mgである、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月26日に出願された米国仮出願第62/511,889号、及び2017年12月29日に出願された米国出願第15/859,279号の利益を主張し、これらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本開示は、製剤、キット、使用方法並びにベンペド酸及びエゼチミブを含む医薬製剤を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の記載
カテゴリー又は化学的クラスに属する特定の治療分子が同定されているか、又はむしろ低い流動性及び粘着性のあるバルク特性を有することが認められている。さらに、正式に示された規則ではないが、化学者は一般に、生物薬剤学分類システム(BCS)クラスIIからの化合物は、クラスIIの化合物が水に溶けにくく、したがって胃腸管で溶解しにくいという事実のために製剤化することが困難であることを観察している。ベンペド酸(ETC-1002)及びエゼチミブの両方は医薬品BCSクラスIIの化合物に含まれる。両方とも水に溶けにくく、浸透性が高い。固体状態では、ベンペド酸は低い流動特性を示し、非常に粘着性である。観察された粘着性は、計量、ブレンド、造粒及び圧縮を含む医薬製剤の開発の間の様々な段階に悪影響を与える。これらの問題は、薬物製造操作、特に錠剤圧縮に悪影響を与える(低いrpm操作、重量変化、頻繁な機械停止など)。ベンペド酸の標準的な造粒は、粘着性挙動をほんのわずかに低減させ、それによって加工性を改善する。ベンペド酸はまた、比較的低い融点、88~91℃を有し、そのため、バルクの可塑性の減少に寄与する。
【0004】
製剤化学者は解決策を提供してきたが、このような作業は、研究されている特定の薬物に特有である。適合された流動性及び他のバルク物理特性が各APIについて予め定義された安全性要件を満たすように安定性と放出特性との間のバランスをとらなければならない。これは、API製剤の技術を非常に予測不可能にする。したがって、製剤化学者は、任意の所与のAPIの薬力学的特性及び/又はバルク特性を強化する、単一の普遍的な一連の規則又は添加剤を有していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改善された、望ましいPK及びバルク物理特性を有するベンペド酸及びエゼチミブの製剤化を可能にする安定且つ有効な医薬組成物を開発する必要がある。
【0006】
本開示は、以下に詳細に記載されるように、ベンペド酸及びエゼチミブの同時製剤化に関連する問題を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
ベンペド酸(ETC-1002)及びエゼチミブを含む医薬品のための新規組合せ製剤の開発が本明細書に開示される。ベンペド酸の粒状組成物もまた、本明細書に開示される。
【0008】
組合せのための2つの製剤の選択肢:単層及び二層錠剤製剤は、本明細書において実施され、開示されたバイオアベイラビリティ研究からベンペド酸(ETC-1002)及びエゼチミブの両方に対して改善され、適合性があると特定される。単層錠剤は、両方の化合物からの造粒混合物を単一層に一緒にブレンドすることにより製造される。二層錠剤は、各化合物からの造粒混合物を2つの別個の層に圧縮することにより製造される。
【0009】
本発明者らは、コロイド状二酸化ケイ素によるETC-1002の表面処理が粘着性の問題を低減させるか、又は取り除くことを見出した。この処理は、最初にETC-1002をコロイド状二酸化ケイ素とブレンドすること、次にブレンドを造粒前に高速ミキサー造粒機においてヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)及び微結晶性セルロースと混合することを含む。造粒はまた、コロイド状二酸化ケイ素及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)を含む結合剤溶液を用いて実施される。ETC1002の処理及び造粒のためのプレミックスの調製は、1)過剰な疎水性が活性物質に付与されない、2)ETC-1002の溶解及び放出プロファイルが悪影響を受けない、3)ETC-1002の安定性が悪影響を受けない、及び4)賦形剤のいずれかからの不適合性が、エゼチミブを含有する固定用量組合せ製剤、特に単層製剤において生じないように実施される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】50rpmにてUSP Apparatus-IIを使用した500mLの溶解媒体でのエゼチミブについてのZetia溶解プロファイルを示す図である。
図2】2.0% w/vラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を有する異なる媒体でのベンペド酸錠剤の溶解プロファイルを示す図である。
図3】種々の溶解条件における参照製品の組合せについての溶解プロファイルを示す図である。
図4】造粒プロセスの相違を反映する判別溶解媒体での参照製品及び固定用量組合せ製品の溶解プロファイルのグラフである。
図5】3種の異なる判別媒体でのベンペド酸の溶解プロファイルを示す図である。
図6】ベンペド酸錠剤(参照製品)対粗い及び微細なグレードのベンペド酸を有する固定用量組合せ単層錠剤の比較溶解プロファイルを示すグラフである。
図7】Aerosil(登録商標)及びHPC-L結合剤によるベンペド酸を有する造粒粒子の表面処理を示す図である。
図8】異なる結合剤濃度を有する錠剤の溶解プロファイルを示すグラフである。
図9】判別溶解媒体でのプロトタイプ固定用量組合せ錠剤及び試験エゼチミブ錠剤(10mg)の比較溶解プロファイルを示す図である。
図10】造粒エゼチミブの異なるバッチについての比較溶解プロファイルを示す図である。
図11】固定用量組合せ-単層錠剤製造プロセスを例示する図である。
図12】固定用量組合せ-二層錠剤製造プロセスを例示する図である。
図13】参照製品に対する単層及び二層錠剤からのエゼチミブについての比較溶解プロファイルを示す図である。
図14】参照製品に対する単層及び二層錠剤からのベンペド酸の比較溶解プロファイルを示す図である。
図15】エゼチミブ試験製品に対する固定用量組合せ-単層錠剤からのエゼチミブの比較溶解プロファイルを示す図である。
図16】エゼチミブ試験製品に対する単層及び二層錠剤からのベンペド酸の比較溶解プロファイルを示す図である。
図17】エゼチミブ試験製品に対する単層及び二層錠剤からのベンペド酸の比較溶解プロファイルを示す図である。
図18】QC媒体での固定用量組合せ試験製品からのベンペド酸の比較溶解プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
簡潔に述べると、以下により詳細に記載されるように、ベンペド酸又はベンペド酸及びエゼチミブを含有する新規組成物、キット、前記組成物を使用する方法並びに前記組成物を作製する方法が本明細書に記載される。このアプローチの利点は数多くあり、ベンペド酸及びエゼチミブの一方又は両方の改善された薬物動態(PK)特性、並びに固体状態における組成物の改善された流動性及び他のバルク生理化学的特性を含むが、これらに限定されない。上記のように、多くのBCSクラスIIの化合物はPK及びバルク特性の減少に悩まされている。したがって、ベンペド酸を含有する医薬組成物の生理化学的特性を改善する製剤についての重要な必要性が存在している。
【0012】
定義
特許請求の範囲及び明細書において使用される用語は、他に特定されない限り、以下に示すように定義される。さらに、本明細書に使用される任意の用語又は記号が以下に示すように定義されていない場合、それは当該技術分野においてその通常の意味を有するものとする。
【0013】
本発明の実施は、有機化学、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の従来技術の使用を含み、これらは当該技術分野における技術の範囲内である。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、要素を記載する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」などの単数形の冠詞並びに同様の指示対象は、本明細書において他に示されていない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅するものと解釈されるべきである。本明細書において値の範囲についての列挙は、本明細書において他に示されていない限り、範囲の上界及び下界を含む、範囲内にある個々の値を個別に指す簡略化方法として作用することを単に意図しており、個々の値は、本明細書に個別に列挙されているのと同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書において他に示されていない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書において与えられるありとあらゆる例、又は例示の原語(例えば、「など」)の使用は、他に述べられていない限り、単に実施形態をよりよく例示することを意図するものであり、特許請求の範囲の範囲に制限をもたらすものではない。本明細書における言語は、任意の特許請求されていない要素が必須であることを示すと解釈されるべきではない。
【0015】
本明細書に使用される場合、「心血管疾患」という用語は、心臓及び循環系の疾患を指す。これらの疾患は、多くの場合、異リポタンパク血症及び/又は脂質異常症と関連している。本発明の組成物が予防又は処置に有用である心血管疾患には、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、脳卒中、虚血、内皮機能不全、特に血管弾性に影響を及ぼす機能不全、末梢血管疾患、冠動脈心疾患、心筋梗塞、脳梗塞及び再狭窄が含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書に使用される場合、「脂質異常症」という用語は、循環脂質の異常なレベルを導くか、又はそれによって現れる障害を指す。血中の脂質レベルが高すぎる場合、本発明の組成物は、正常なレベルに回復させるために患者に投与される。脂質の正常なレベルは当業者に公知の医学論文において報告されている。例えば、LDL、HDL、遊離トリグリセリド及び脂質代謝に関連する他のパラメーターの推奨される血中レベルは、アメリカ心臓協会(American Heart Association)のウェブサイト及びアメリカ国立心肺血液研究所(National Heart, Lung and Blood Institute)の国立コレステロール教育プログラム(National Cholesterol Education Program)のウェブサイト(それぞれ、http://www.americanheart.org/cholesterol-/about_level.html及びhttp://www.nhlbi.nih.gov/health/public/heart/chol/hb-c_what.html)に見出すことができる。現在、血中のHDLコレステロールの推奨レベルは35mg/dLを超え、血中のLDLコレステロールの推奨レベルは130mg/dL未満であり、血中の推奨LDL:HDLコレステロール比は5:1未満、理想的には3.5:1であり、血中の遊離トリグリセリドの推奨レベルは200mg/dL未満である。
【0017】
「対象」という用語は、ヒトを含む任意の哺乳動物を指し、したがって、哺乳動物、例えば、限定されないが、サル、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ及びげっ歯動物を含む、獣医学的及び研究的に関心のある動物を含む。「対象」という用語は、「患者」という用語と交換可能である。
【0018】
「十分な量」という用語は、所望の効果を生じるのに十分な量、例えば、細胞内のタンパク質凝集をモジュレートするのに十分な量を意味する。
【0019】
「治療有効量」という用語は、疾患の症状を改善するのに有効な量である。治療有効量は、一部の実施形態では、予防が療法とみなされ得るので、「予防有効量」であり得る。
【0020】
対象に薬物及び/若しくは療法を「投与する」又は対象への薬物及び/若しくは療法の「投与」という用語(及びこの語句の文法的等価物)は、直接又は間接投与の両方を指し、これらは、医療専門家による対象への投与であってもよく、自己投与であってもよく、及び/又は間接投与であってもよく、薬物及び/若しくは療法を対象に処方するか、又は薬物及び/若しくは療法を対象に処方するように誘導する行為であり得る。
【0021】
障害若しくは疾患を「処置する」又は障害若しくは疾患の「処置」という用語は、障害若しくは疾患の症状を軽減するか、又はそうでなければ、臨床結果を含む、対象に関する何らかの有益な若しくは所望の結果を得るステップを踏むことを指す。任意の有益な又は所望の臨床結果には、がんの1つ以上の症状の軽減若しくは改善又は条件付き生存及び腫瘍量若しくは腫瘍体積の低減;疾患の程度の減少;腫瘍進行若しくは疾患進行の遅延若しくは減速;腫瘍及び/若しくは疾患状態の改善、緩和若しくは安定化;又は他の有益な結果が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0022】
本技術の化合物は、溶媒和物、特に水和物として存在することができる。水和物は化合物若しくは化合物を含む組成物の製造の間に形成し得るか、又は水和物は化合物の吸湿性に起因してゆっくり時間をかけて形成し得る。本技術の化合物は、とりわけ、DMF、エーテル及びアルコール溶媒和物を含む有機溶媒和物としても存在することができる。任意の特定の溶媒和物の同定及び調製は、合成有機化学又は医薬化学の当業者の技術の範囲内である。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的として、他に示されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されている量、サイズ、寸法、比率、形状、配合、パラメーター、パーセンテージ、パラメーター、数量、特徴及び他の数値を表す全ての数は、「約」という用語が、値、量又は範囲と共に明示的に現れないとしても、全ての場合に、「約」という用語により修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示されている数値パラメーターは、正確ではなく、正確である必要もないが、許容差、換算係数、丸め、測定誤差など、及び本開示の主題によって得られるように努める所望の特性に応じて当業者に公知の他の要因を反映して、所望のように、近似であるか、及び/又は大きいか、若しくは小さくてもよい。例えば、「約」という用語は、値を指す場合、ばらつきが、開示された方法を実施するのに又は開示された組成物を利用するのに適切であるように、特定の量から、一部の態様では±100%、一部の態様では±50%、一部の態様では±20%、一部の態様では±10%、一部の態様では±5%、一部の態様では±1%、一部の態様では±0.5%、及び一部の態様では±0.1%のばらつきを包含することを意図することができる。
【0024】
他に定義されていない限り、本明細書に使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されている意味を有する。
【0025】
本出願全体を通して、本文は、本化合物、組成物及び方法の種々の実施形態を指す。記載された種々の実施形態は、様々な実例を提供することを意図し、代替種の記載として解釈されるべきではない。むしろ、本明細書に提供される種々の実施形態についての記載が重複範囲のものであってもよいことに留意されたい。本明細書で論じられる実施形態は、単に例示であり、本技術の範囲を制限することを意図するものではない。
【0026】
製剤及び医薬組成物
医薬組成物に製剤化されるベンペド酸及びエゼチミブの組合せが本明細書に開示される。
【0027】
一態様では、本開示は、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸、エゼチミブ並びに薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0028】
一部の態様では、本開示は、組成物全体のうちの少なくとも40重量%且つ95重量%以下のベンペド酸及び組成物全体のうちの少なくとも0.5重量%且つ20重量%以下のエゼチミブを含む、医薬組成物を提供する。
【0029】
一部の態様では、本開示は、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)、ピロリドン化合物、糖、陰イオン界面活性剤、微結晶性セルロース及びデンプンのうちの1つ以上をさらに含む、医薬組成物を提供する。
【0030】
一部の態様では、本開示は、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)、ピロリドン化合物、糖、陰イオン界面活性剤、微結晶性セルロース及びデンプンの各々1つをさらに含む、医薬組成物を提供する。
【0031】
一部の態様では、本開示は、存在する場合、微結晶性セルロースが、少なくとも100μmの平均粒径を含み、微結晶性セルロースの少なくとも3重量%且つ5重量%以下の水分含量を含む、医薬組成物を提供する。
【0032】
一部の態様では、本開示は、存在する場合、陰イオン界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、医薬組成物を提供する。
【0033】
一部の態様では、本開示は、存在する場合、ピロリドン化合物がポビドンである、医薬組成物を提供する。
【0034】
一部の態様では、本開示は、存在する場合、糖がラクトース一水和物である、医薬組成物を提供する。
【0035】
一部の態様では、本開示は、存在する場合、ステアリン酸マグネシウム全体のうちの1.03重量%が、少なくとも45μm且つ150μm以下の粒径を有する、医薬組成物を提供する。
【0036】
一部の態様では、本開示は、組成物が錠剤の形態であり、ポリビニルアルコール(PVA)ベースのコーティングをさらに含み、コーティングが、ポリビニルアルコール(PVA)、グリセロールモノカプリロカプレート1型、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン及びタルクを含む、医薬組成物を提供する。
【0037】
一部の態様では、本開示は、ステアリン酸マグネシウムの量が1mgから10mgの間であり、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)の量が5mgから25mgの間であり、ピロリドン化合物の量が0.5mgから5mgの間であり、糖の量が50mgから100mgの間であり、陰イオン界面活性剤の量が0.5mgから5mgの間であり、微結晶性セルロースの量が25mgから100mgの間であり、デンプングリコール酸ナトリウムの量が5mgから50mgの間である、医薬組成物を提供する。
【0038】
一部の態様では、本開示は、ベンペド酸の量が80mgから250mgの間であり、エゼチミブの量が5mgから25mgの間である、医薬組成物を提供する。一部の態様では、ベンペド酸の量は100mgから200mgの間であり、エゼチミブの量は7mgから15mgの間である。一部の態様では、ベンペド酸の量は150mgから200mgの間であり、エゼチミブの量は9mgから12mgの間である。
【0039】
一部の態様では、本開示は、ベンペド酸の量が180mgであり、エゼチミブの量が10mgである、医薬組成物を提供する。
【0040】
一部の態様では、本開示は、ベンペド酸の量が固定用量であり、エゼチミブの量が固定用量である、医薬組成物を提供する。
【0041】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される改善された流動特性を有する本明細書に記載されるエゼチミブ及びベンペド酸を含む医薬組成物を提供する。
【0042】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される改善された非粘着特性を有する本明細書に記載されるエゼチミブ及びベンペド酸を含む医薬組成物を提供する。
【0043】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される改善されたPK特性を有する本明細書に記載されるエゼチミブ及びベンペド酸を含む医薬組成物を提供する。
【0044】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される改善された溶解度特性を有する本明細書に記載されるエゼチミブ及びベンペド酸を含む医薬組成物を提供する。
【0045】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される改善された延長放出特性を有する本明細書に記載されるエゼチミブ及びベンペド酸を含む医薬組成物を提供する。
【0046】
一部の態様では、本開示は、改善された化学物理特性、例えば、粒径、表面積、細孔容積及び本明細書に記載される他の特性を有する本明細書に記載されるエゼチミブ及びベンペド酸を含む医薬組成物を提供する。
【0047】
一部の態様では、医薬組成物におけるエゼチミブは非晶質である。一部の態様では、医薬組成物におけるエゼチミブは多形である。
【0048】
一部の態様では、医薬組成物におけるベンペド酸は非晶質である。一部の態様では、医薬組成物におけるベンペド酸は多形である。
【0049】
一部の態様では、ベンペド酸又はエゼチミブのうちの1つが非晶質である。一部の態様では、ベンペド酸又はエゼチミブのうちの1つが多形である。
【0050】
本明細書に開示される製剤は、活性化合物、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤又は当業者に周知の他の物質を含む。このような物質は非毒性であるべきであり、活性成分の有効性を妨げるべきではない。担体又は他の物質の正確な特質は、投与経路、例えば、経口、静脈内、皮膚又は皮下、鼻腔、筋肉内、腹腔内経路に依存し得る。
【0051】
本開示の組み合わせた化合物及びその溶媒和物は医薬組成物中で製剤化され得る。これらの組成物は、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤又は当業者に周知の他の物質を含んでもよい。担体又は他の物質の正確な特質は、投与経路、例えば、経口、静脈内、皮膚又は皮下、鼻腔、筋肉内、腹腔内経路に依存し得る。
【0052】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末又は液体形態であってもよい。錠剤は、ゼラチン又はアジュバントなどの固体担体を含んでもよい。液体医薬組成物は一般に、水、石油、動物油若しくは植物油、鉱油又は合成油などの液体担体を含む。生理食塩水、デキストロース又は他の糖液又はグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールが含まれてもよい。
【0053】
静脈内、皮膚若しくは皮下注射、又は苦痛部位への注射のために、活性成分は、発熱物質を含まず、適切なpH、等張性及び安定性を有する非経口的に許容される水溶液の形態である。関連する当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、乳酸加リンゲル液などの等張性ビヒクルを使用して適切な溶液を十分に調製することができる。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝液、酸化防止剤及び/又は他の添加剤が含まれてもよい。
【0054】
組成物は、処置される状態に応じて単独で又は同時に若しくは連続してのいずれかで他の処置と組み合わせて投与されてもよい。
【0055】
一般に、本技術の化合物は、同様の有用性を提供する薬剤について許容される投与様式のいずれかによって、治療有効量で投与される。本技術の化合物、すなわち活性成分の実際の量は、処置される疾患の重症度、対象の年齢及び相対的健康、使用される化合物の効力、投与の経路及び形態、並びに当業者に周知の他の要因などの多数の要因に依存する。薬物は、1日に少なくとも1回、好ましくは1日に1回又は2回投与され得る。
【0056】
このような薬剤の有効量は、最も有効且つ簡便な投与経路及び最も適切な製剤化と同様に、慣用の実験によって容易に決定することができる。種々の製剤化及び薬物送達システムが当該技術分野において利用可能である。例えば、Gennaro,A.R.編(1995) Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Coを参照のこと。
【0057】
治療有効用量は、当該技術分野において周知の様々な技術を使用して最初に推定することができる。動物研究において使用される初回用量は、細胞培養アッセイにおいて確立された有効濃度に基づき得る。ヒト対象に適した投与量範囲は、例えば、動物研究及び細胞培養アッセイから得られたデータを使用して決定することができる。
【0058】
薬剤、例えば、本技術の化合物の有効量又は治療有効量若しくは用量とは、対象における症状の改善又は生存の延長をもたらす薬剤又は化合物の量を指す。このような分子の毒性及び治療効果は、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手順によって、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%に治療的に有効な用量)を決定することによって決定することができる。毒性と治療効果との用量比は治療指数であり、これはLD50/ED50比として表すことができる。高い治療指数を示す薬剤が好ましい。
【0059】
有効量又は治療有効量は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床医が求めている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する化合物又は医薬組成物の量である。投与量は特に、毒性がほとんどないか又は全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、用いられる剤形及び/又は利用される投与経路に依存してこの範囲内で変化し得る。精密な製剤、投与経路、投与量及び投与間隔は、対象の状態の詳細を考慮して、当該技術分野において公知の方法に従って選択されるべきである。
【0060】
投与量及び投与間隔は、所望の効果、すなわち、最小有効濃度(MEC)を達成するのに十分な活性部分の血漿レベルを提供するように個々に調整され得る。MECは各化合物について変化するが、例えば、in vitroデータ及び動物実験から推定することができる。MECを達成するのに必要な投与量は個々の特性及び投与経路に依存する。局所投与又は選択的取込みの場合、薬物の有効な局所濃度は血漿濃度に関連しないことがある。
【0061】
投与される薬剤又は組成物の量は、処置される対象の性別、年齢及び体重、苦痛の重症度、投与様式並びに処方する医師の判断を含む、様々な要因に依存し得る。
【0062】
本技術は、いかなる特定の組成物又は医薬担体にも限定されず、したがって変化させてもよい。一般に、本技術の化合物は、以下の経路:経口、全身(例えば、経皮、鼻腔内又は坐剤による)、又は非経口(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下)投与のうちのいずれか1つによって医薬組成物として投与される。好ましい投与様式は、苦痛の程度に応じて調整することができる簡便な毎日の投薬レジメンを使用する経口である。組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、半固体、粉末、徐放性製剤、溶液、懸濁液、エリキシル剤、エアロゾル又は任意の他の適切な組成物の形態をとることができる。本技術の化合物を投与するための別の好ましい様式は吸入である。
【0063】
製剤の選択は、薬物投与の様式及び原薬のバイオアベイラビリティなどの様々な要因に依存する。吸入による送達のために、化合物は、液体溶液、懸濁液、エアロゾル噴射剤又は乾燥粉末として製剤化することができ、投与のために適したディスペンサーに装填することができる。ネブライザー吸入器、定量吸入器(MDI)及び乾燥粉末吸入器(DPI)などのいくつかの種類の医薬吸入デバイスが存在する。ネブライザーデバイスは、対象の気道に運ばれるミストとして治療剤(液体形態中で製剤化される)を噴霧させる高速気流を生成する。MDIは典型的に圧縮ガスが充填された製剤である。作動時に、デバイスは圧縮ガスによって測定された量の治療剤を放出し、したがって設定した量の薬剤を投与する信頼できる方法を提供する。DPIは、呼吸の間に対象の吸気流に分散され得る自由流動粉末の形態で治療剤をデバイスによって分配する。自由流動粉末を得るために、治療剤はラクトースなどの賦形剤と共に製剤化される。測定された量の治療剤は、カプセル形態で保存され、各作動により分配される。
【0064】
本技術の化合物の医薬剤形は、例えば、従来の混合、篩分け、溶解、溶融、造粒、糖衣錠作製、錠剤化、懸濁、押出、噴霧乾燥、湿式粉砕、乳化、(ナノ/マイクロ)カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスなどの、当該技術分野において周知の方法のいずれかによって製造することができる。上記のように、本技術の組成物は、医薬用途のための調製物への活性分子の加工を容易にする1種以上の生理学的に許容される不活性成分を含むことができる。
【0065】
錠剤
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される単層又は二層錠剤を提供する。単層又は二層錠剤は、ベンペド酸及びエゼチミブ、並びに任意選択で本明細書に記載される1種以上の薬学的に許容される賦形剤の組成物を含む。
【0066】
一部の態様では、本開示は、ベンペド酸及びエゼチミブを含む二層錠剤を提供し、第1の層は薬学的に許容される賦形剤と共に造粒されたエゼチミブを含み、第2の層は潤滑剤及び薬学的に許容される賦形剤と共に造粒されたベンペド酸を含み、潤滑剤は、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される。
【0067】
一部の態様では、本開示は、ベンペド酸が錠剤全体のうちの少なくとも20重量%且つ64重量%以下であり、エゼチミブが錠剤全体のうちの少なくとも1重量%且つ7重量%以下である、二層錠剤を提供する。
【0068】
一部の態様では、本開示は、第1の層が錠剤全体のうちの少なくとも0.1重量%且つ23重量%以下であり、第2の層が錠剤全体のうちの少なくとも0.1重量%且つ74重量%以下である、二層錠剤を提供する。
【0069】
一部の態様では、本開示は、錠剤の摩損度が少なくとも0.01%且つ0.1%以下である、二層錠剤を提供する。摩損度は錠剤組成物についての慣用の試験であり、当業者はいくつかの方法によって摩損度を決定することができる。例えば、当業者は、推奨される装置及び試験手順を記載している、モノグラフUSP錠剤摩損度<1216>に記載されている方法によって本開示の組成物の摩損度を決定することができる。本明細書において、USP錠剤摩擦度<1216>はその全体が参照により組み込まれる。
【0070】
一部の態様では、本開示は、改善された物理的特徴、例えば摩損度及び本明細書に記載される他の特性を有する本明細書に記載されるエゼチミブ及びベンペド酸を含む単層又は二層錠剤を提供する。
【0071】
粒状組成物
一部の態様では、本開示は、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸を含む粒状組成物を提供する。
【0072】
一部の態様では、本開示は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、粒状組成物を提供する。
【0073】
一部の態様では、本開示は、潤滑剤がコロイド状二酸化ケイ素である、粒状組成物を提供する。
【0074】
一部の態様では、本開示は、少なくとも0.25gm/ml且つ0.55gm/ml以下のかさ密度を有する、粒状組成物を提供する。
【0075】
一部の態様では、本開示は、少なくとも10且つ30以下のCarr指数を有する、粒状組成物を提供する。Carr指数は物質の圧縮性及びそれ故、物質の流動性に関連する。Carr指数は当業者にとって慣用の尺度であり、多数の方法を利用することができる。例えば、当業者は、本開示の組成物のCarr指数を決定するためにモノグラフUSP29-NF24(2638頁)に記載されている方法、装置及び手順を使用することができる。本明細書において、モノグラフUSP29の全体は参照により組み込まれる。
【0076】
一部の態様では、本開示は、組成物の顆粒が少なくとも20°且つ45°以下の安息角を有する、粒状組成物を提供する。所与の物質及びその組成物の両方の形態は安息角に影響を及ぼす。安息角は、物質の密度、表面積、粒子の形状及び摩擦係数に関連する。当業者は、安息角を決定するために多くの方法を使用することができ、一例は、USP29に記載されている方法及び手順を使用することである。
【0077】
一部の態様では、本開示は、ベンペド酸が製剤全体のうちの少なくとも50重量%且つ95重量%以下の量で存在する、粒状組成物を提供する。
【0078】
一部の態様では、本開示は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)をさらに含む、粒状組成物を提供する。一部の態様では、本開示は、微結晶性セルロースをさらに含む、粒状組成物を提供する。一部の態様では、HPC-Lの量は製剤全体のうちの少なくとも3重量%且つ10重量%以下であり、ベンペド酸の量は製剤全体のうちの少なくとも50重量%且つ95重量%以下であり、微結晶性セルロースの量は製剤全体のうちの少なくとも1重量%且つ20重量%以下である。
【0079】
一部の態様では、粒状組成物におけるベンペド酸は非晶質である。一部の態様では、粒状組成物におけるベンペド酸は多形である。
【0080】
キット
本開示はまた、それ自体がベンペド酸又はベンペド酸及びエゼチミブの組合せを含む1種以上の組成物、並びに使用説明書を含むキットも提供する。本開示は、1種以上の組成物を含むキットをさらに提供する。
【0081】
本開示は、ベンペド酸又はベンペド酸及びエゼチミブを含む1種以上の組成物を含むキットをさらに提供し、任意選択で組成物及び/又はキットは、少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む。
【0082】
一部の態様では、本開示は、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸、並びにエゼチミブを含む組合せ組成物、並びに任意選択で少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は賦形剤を含むキットを提供する。
【0083】
一態様では、本開示はキット及び使用説明書を提供し、使用説明書は、方法を記載しているか、又は粒状組成物の1種以上若しくは1種以上の医薬組成物若しくは1つ以上の錠剤を1種以上の組成物と混合するための指示を記載している。
【0084】
キットの個々の構成要素は、別個の容器に充填することができ、このような容器に関連して、医薬製品又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知とすることができ、この通知は製造、使用又は販売の機関による承認を反映する。キットは任意選択で、抗原結合構築物についての使用方法又は投与レジメンを概説している説明書又は指示書を含有してもよい。
【0085】
キットの1種以上の構成要素が、溶液、例えば水溶液又は滅菌水溶液として提供される場合、容器手段はそれ自体で、吸入器、注射器、ピペット、点眼器又は他のこのような同様の装置であってもよく、これらから溶液が対象に投与され得るか又はキットの他の構成要素に適用され、キットの他の構成要素と混合され得る。
【0086】
キットの構成要素はまた、乾燥又は凍結乾燥形態で提供されてもよく、キットはさらに、凍結乾燥した構成要素を再構成するための適切な溶媒を含有することができる。容器の数又は種類に関わらず、本明細書に記載されるキットはまた、患者への組成物の投与を補助するための器具を含んでもよい。このような器具は、吸入器、鼻内噴霧デバイス、注射器、ピペット、鉗子、計量スプーン、点眼器又は同様の医学的に認可された送達ビヒクルであってもよい。
【0087】
ベンペド酸(ETC-1002)及びエゼチミブの合成
ETC-1002の構造は
【0088】
【化1】
である。
【0089】
ETC-1002及びETC-1002を合成する方法は、発行された米国特許第7,335,799号に開示されている。この方法の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、公開された米国特許公開第US2005/0043278A1号(この明細書の段落[0247]~[0343])に見出され得る。
【0090】
エゼチミブの構造は
【0091】
【化2】
である。
【0092】
エゼチミブ及びエゼチミブを合成する方法は、発行された米国特許第5,631,365号に開示されている。この方法の詳細は、その明細書において4頁の右欄43行目から開始して11頁の右欄65行目までに見出され得、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
さらに、両方の化合物は、分子量が500Da未満の低分子であり、当業者は、容易に入手可能又は商業的に入手可能な化学物質から所望の最終化合物を合成するために合成参照テキストを使用することができる。そのような参考文献には、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、1~15巻(John Wiley and Sons、1991)、Rodd's Chemistry of Carbon Compounds、1~5巻及び補遺(Elsevier Science Publishers、1989)、Organic Reactions、1~40巻(John Wiley and Sons、1991)、March's Advanced Organic Chemistry (John Wiley and Sons、第5版、2001)及びLarock's Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc.、1989)、T. W. Greene及びP.G.M. Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、New York、1999が含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
造粒
一部の態様では、本開示は、ベンペド酸、潤滑剤及び薬学的に許容される賦形剤を乾式混合するステップであって、潤滑剤が、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される、ステップ、HPC-Lの水性調製物を別に混合するステップ、乾燥混合物及び水性調製物をブレンドするステップ、並びにブレンドを造粒するステップを含む、ベンペド酸を造粒する方法を提供する。
【0095】
一部の態様では、本開示は、高速ミキサーを使用してブレンドを造粒するステップをさらに含む、ベンペド酸を造粒する方法を提供する。
【0096】
一部の態様では、本開示は、ブレンドを乾燥させるステップをさらに含む、ベンペド酸を造粒する方法を提供する。
【0097】
一部の態様では、本開示は、ブレンドを製粉し、同時に篩掛けする(co-sifting)ステップをさらに含む、ベンペド酸を造粒する方法を提供する。
【0098】
一部の態様では、本開示は、乾式混合が少なくとも45分間実施される、ベンペド酸を造粒する方法を提供する。
【0099】
一部の態様では、本開示は、乾式混合が24時間以内の時間実施される、ベンペド酸を造粒する方法を提供する。
【0100】
製造
一部の態様では、本開示は、エゼチミブ及びベンペド酸を含む単層錠剤を製造する方法であって、エゼチミブを含む組成物を造粒し、ベンペド酸を含む組成物を造粒するステップであって、各組成物は別々に造粒される、ステップ、エゼチミブ及びベンペド酸の顆粒を一緒にブレンドするステップ、ブレンドを単一層に圧縮するステップ、並びに単一層をコーティングするステップを含む、方法を提供する。
【0101】
一部の態様では、本開示は、錠剤を乾燥させるステップをさらに含む、単層錠剤を製造する方法を提供する。
【0102】
一部の態様では、本開示は、コーティングが、PVA、グリセロールモノカプリロカプレート1型、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン及びタルクのうちの1つ以上を含む、単層錠剤を製造する方法を提供する。
【0103】
一部の態様では、本開示は、コーティングが、PVA、グリセロールモノカプリロカプレート1型、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン及びタルクの各々1つを含む、単層錠剤を製造する方法を提供する。
【0104】
一部の態様では、本開示は、エゼチミブ及びベンペド酸を含む二層錠剤を製造する方法であって、エゼチミブを含む組成物を造粒し、ベンペド酸を含む組成物を造粒するステップであって、各組成物は別々に造粒される、ステップ、エゼチミブの顆粒を薬学的に許容される賦形剤とブレンドするステップ、ベンペド酸の顆粒を薬学的に許容される賦形剤とブレンドするステップ、エゼチミブ及びベンペド酸のブレンドを、2つの別個の層を含有する単一組成物に圧縮するステップ、並びに組成物をコーティングするステップを含む、方法を提供する。
【0105】
一部の態様では、本開示は、錠剤を乾燥させるステップをさらに含む、二層錠剤を製造する方法を提供する。
【0106】
一部の態様では、本開示は、ベンペド酸組成物が、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムを含む、二層錠剤を製造する方法を提供する。
【0107】
一部の態様では、本開示は、エゼチミブ組成物が陰イオン界面活性剤を含む、二層錠剤を製造する方法を提供する。
【0108】
使用方法
一態様では、本開示は、心血管疾患を処置するか又は予防する方法であって、エゼチミブ並びにコロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0109】
一態様では、本開示は、心血管疾患を処置するか又は予防する方法であって、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸、エゼチミブ並びに薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0110】
一態様では、本開示は、心血管疾患を処置するか又は予防する方法であって、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合された固定用量のベンペド酸、固定用量のエゼチミブ並びに薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0111】
一部の態様では、本開示は、心血管疾患を処置するか又は予防する方法であって、本明細書に開示される固定用量の医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0112】
一部の態様では、本開示は、脂質異常症を処置するか又は予防する方法であって、エゼチミブ並びにコロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0113】
一部の態様では、本開示は、脂質異常症を処置するか又は予防する方法であって、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸、エゼチミブ並びに薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0114】
本発明の組成物が予防又は処置に有用である脂質異常症には、高脂血症及び低血中レベルの高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、本発明の化合物による予防又は処置のための高脂血症は、家族性高コレステロール血症;家族性複合型高脂血症;リポタンパク質リパーゼ突然変異に起因する減少又は欠乏を含む、リポタンパク質リパーゼレベル又は活性の減少又は欠乏;高トリグリセリド血症;高コレステロール血症;高血中レベルの尿素体(例えば、β-OH酪酸);高血中レベルのLp(a)コレステロール;高血中レベルの低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール;高血中レベルの超低密度リポタンパク質(VLDL)コレステロール及び高血中レベルの非エステル化脂肪酸である。
【0115】
本開示は、患者における脂質代謝を変化させる方法、例えば、患者の血中のLDLを減少させる方法、患者の血中の遊離トリグリセリドを減少させる方法、患者の血中の高密度リポタンパク質(HDL)のレベルを増加させる方法、患者の血中の超低密度リポタンパク質(VLDL)のレベルを減少させる方法、患者の血中の超低密度リポタンパク質(VLDL)粒子の数を減少させる方法、患者の血中のVLDL粒子のサイズを減少させる方法、患者の血中のアポリポタンパク質A-1(ApoA1)のレベルを増加させる方法、患者の血中のアポリポタンパク質B(ApoB)とアポリポタンパク質A-1(ApoA1)との比を減少させる方法、患者の血中のHDLとLDLとの比を増加させる方法、並びに鹸化及び/又は非鹸化脂肪酸合成を阻害する方法であって、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸、エゼチミブ並びに薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を、脂質代謝を変化させるのに有効な量で患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0116】
[実施例]
製剤開発を、個々の参照製品の評価と一緒に両方のAPIの特徴付けを用いて開始した。溶解プロファイル並びに薬物-薬物及び薬物-賦形剤適合性を特徴付けた。さらに、プロセス操作を定義し、プロセス制御ストラテジーを検討した。製造プロセス開発は、湿式造粒、ブレンド、圧縮及びコーティングを主要なプロセス選択肢として同定した。高リスク製剤及びプロセス可変因子を同定し、制御ストラテジーを開発するための道筋を決定するために、リスクを開発の全体を通して評価した。開発後にリスク評価を更新して製品及びプロセスの理解の改善によるリスクの減少を把握した。
【0117】
溶解パラメーター(例えば、溶解媒体、体積、装置及び撹拌速度)を、エゼチミブについては係属中のUSPモノグラフ及びベンペド酸についてはIND # 106,654に列挙されている分析方法に基づいて選択した。エゼチミブの粒径は溶解に重要であり、したがって各APIの微粉化形態を使用した。単一の既知及び未特定の不純物の制限を、最終医薬品中の不純物を制御するためにICH Q3B(R2)に従って設定した。
【0118】
目標製品品質プロファイル(QTPP)は、原薬の特性、参照製品の特徴付け及び2つの化合物に利用可能な他の情報に基づいて定義される。重要品質特性(CQA)は、患者に対するリスク(安全性及び有効性)に影響を与える可能性のあるこれらの医薬品特性として同定した。本開示は、医薬品製剤化又は製造プロセスに対する現実的な変化、すなわち、アッセイ、含量均一性、溶解及び分解産物に作用するように影響を受けるこれらのCQAに焦点を当てている。
【0119】
最初に、ベンペド酸が粒状物質として粘着性挙動を示すことが見出された。この挙動は圧縮によって錠剤を作製することに対する非常に大きな課題をもたらす。この課題に対処するために、造粒プロセスは、活性物質をコロイド状ケイ素及びセルロース系結合剤の混合物を用いて処理することによって改変された。
【0120】
ベンペド酸の造粒は、コロイド状二酸化ケイ素及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)の混合物により変化する。このブレンドを、HPC-Lの溶液を使用してさらに造粒した。エゼチミブの溶解度は、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びポビドンでの均質化によって改善した。次いでこの分散系を使用し、流動床プロセッサのトップスプレーアタッチメントを使用して賦形剤ブレンドを造粒した。エゼチミブとポリエチレングリコール及び/又はポリビニルアルコールとの不適合性を回避するために、オパドライ(Opadry)AMBIIホワイト88A180040をコーティング剤として選択した。
【0121】
この開発の目的のために、Esperion Therapeutics,Inc.製のベンペド酸フィルムコーティング錠剤(180mg)及びMSD International GmbH(NDA No:21445)によって製造されたZetia(登録商標)(エゼチミブ、10mg)を含有する医薬品を参照製品として利用した。
【0122】
目的を以下の活動に分類した:両方の原薬一緒の適合性及び選択した賦形剤との適合性の研究;満足のいくプロセス及び安定性プロファイルによる製品の開発;QC及び判別溶解媒体におけるFDC製品の放出プロファイルと個々の参照製品との適合。参照製品(ETC-1002(180mg)錠剤及びZetia(10mg)の同時投与)と一緒に開発したFDC製品の薬物動態の研究。
【0123】
Zetia(登録商標)(エゼチミブ):Zetiaは10mgのエゼチミブを含有する経口投与用の錠剤として市販されている。それは2002年に米国で承認された(NDA No:21445)。
【0124】
ベンペド酸(ETC-1002)錠剤:ベンペド酸(ETC-1002)は、LDL-Cの上昇したレベルを降下させ、既存のLDL-C降下療法に関連する副作用を回避するように設計された革新的なファースト・イン・クラスの低分子である。それは1日に1回服用することを意図している。
【0125】
[実施例1]
薬物放出
エゼチミブ及びベンペド酸の両方はBCSクラス-IIの化合物(難溶性及び高度に浸透性)であり、したがって薬物放出は吸収についての律速プロセスである。参照製品の薬物放出プロファイルの徹底的な評価を実施した。
【0126】
Zetiaの複数媒体での溶解:溶解特徴付けを、係属中のUSPモノグラフ(0.05M酢酸緩衝液(pH4.5)中の500mLの0.45%SLS(溶解媒体)、Apparatus-II、50rpm)に従って実施した。溶解媒体の温度を37±0.5℃に維持し、HPLCを使用して放出された薬物濃度を決定した。また、薬物放出を、別のpHにて2つのさらなる媒体(0.45% w/v SLSを含む0.1N HCl及び0.45% w/v SLSを含むpH6.8のリン酸緩衝液)中で研究した。複数媒体での溶解プロファイルを表1及び図1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
Zetiaは、3つ全ての研究した媒体において15分以内に80%超の薬物放出を伴う急速な溶解を示した。エゼチミブの水溶解度は非常に低いが、0.45% SLSの使用は沈降条件を可能にする。
【0129】
ベンペド酸錠剤の複数媒体での溶解。溶解特徴付けを、IND # 106,654に詳述されている溶解方法に従って実施した。溶解条件は、50rpmにてApparatus-IIを使用して900mLのリン酸緩衝液(pH6.8)であった。データを表2及び図2に示す。
【0130】
【表2】
【0131】
ベンペド酸は2つのカルボン酸官能基(-COOH)を有し、これは、この複数媒体での溶解研究において観察されたように、溶解度をpH依存性にする。低い溶解値が0.1N HCl及び酢酸緩衝液(pH4.5)において観察されたが、QC媒体(リン酸緩衝液(pH6.8))において薬物の85%超が20分で放出された。
【0132】
参照製品の物理化学的特徴付けを表3にまとめる。
【0133】
【表3】
【0134】
参照製品標識化及び関連文献に基づいて、表4はZetia(10mg)の予測される組成を列挙している。Esperionによって提供されたベンペド酸180mg錠剤の組成を表5に詳述する。
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】
固定用量組合せ(FDC)製品
目標製品品質プロファイル(QTPP)は、医薬品の安全性及び有効性を考慮して、所望の品質を確保するために理想的に達成される医薬品の特徴の予想される概要である。QTPPは、クオリティ・バイ・デザイン(Quality by Design)(QbD)アプローチの必須要素であり、医薬品の設計の基礎を形成する。FDC製品についてのQTPPセットは表6に列挙した通りである。
【0138】
【表6】
【0139】
表7は、エゼチミブ(10mg)及びベンペド酸(180mg)のFDCの品質特性をまとめており、どの特性が重要品質特性(CQA)として分類されたかを示す。製剤及び/又はプロセス可変因子によって影響を受ける可能性があるCQAを開発研究の間、調査した。製剤及び/又はプロセス可変因子によって影響を受ける可能性が低いCQAは研究しなかった。しかしながら、これらのCQAは依然としてQTPPの目標要素であり、良好な医薬品質システム及び制御ストラテジーによって保証される。
【0140】
【表7】
【0141】
溶解方法
ベンペド酸及びエゼチミブのFDC製品についての溶解方法開発。表8は、FDC製品からの薬物放出を測定するために使用した溶解方法を示す。両方の活性物質についての薬物放出プロファイルは、異なる注入体積を用いて共通のクロマトグラフ条件を使用して推定した。
【0142】
【表8】
【0143】
エゼチミブ判別溶解方法の方法開発
エゼチミブは低い水溶解度(全てのpHにおいて水媒体に不溶性)を示し、したがって溶解媒体中へのSLSの組込みが必要である。
【0144】
QC溶解媒体である、0.05M酢酸緩衝液(pH4.5)中の0.45%SLSは、15分以内に85%超の薬物放出を生じる。低濃度のSLS及び異なる体積の溶解媒体を評価して、参照製品の溶解についての適切な判別を同定した。
【0145】
表9及び図3は、種々の溶解条件での参照製品の組合せについての溶解データを示す。
【0146】
【表9】
【0147】
得られた溶解プロファイルに基づいて、媒体2(0.1%SLSを含む900mL酢酸緩衝液(pH4.5))が判別媒体であることが提案された。媒体3(0.2%SLS)は用量ダンピング(QC放出媒体においても観察されたように)を示し、媒体1(少ない体積の媒体)は完全な薬物を放出するのに不適切な沈降条件を示したので、媒体1及び3は選択しなかった。
【0148】
FDCプロトタイプ製剤(バッチ番号:4759-S1-096)は、判別溶解媒体において組合せ参照製品(Zetia(10mg)+ベンペド酸錠剤(180mg))と同等の放出を示し、この方法の判別能は表10及び図4に示される例において実証される。
【0149】
溶解媒体の判別能を理解するために、以下の2つのバッチの溶解プロファイルをモニターした:
・バッチ番号:4759-S1-096-トップスプレー造粒により均質化したエゼチミブ
・バッチ番号:4490-S1-047-賦形剤(希釈剤及びスーパー崩壊剤)と混合し、続いて湿式造粒したエゼチミブ。
【0150】
均質化したAPIを有するバッチである、バッチ番号:4759-S1-096は、エゼチミブが均質化されなかった他のバッチと比較して、より速い放出プロファイルを有すると予想された。表10はエゼチミブ錠剤(10mg)との溶解比較の結果を示す。溶解条件は以下の通りであった:0.05M酢酸緩衝液(pH4.5)中の0.1%SLS、USP Apparatus-II、50rpm、900mL。
【0151】
【表10】
【0152】
判別溶解媒体はエゼチミブ造粒のための処理における差異を反映し、予想される溶解挙動と相関した。選択した媒体の判別能を確認した。Zetia(10mg)+ベンペド酸(180mg)(参照製品)の溶解プロファイルは、試験FDC製品(バッチ番号:4759-S1-096)と同等であることを見出した。
【0153】
ベンペド酸についての判別溶解方法の方法開発
QC放出媒体(リン酸緩衝液、pH6.8)は用量ダンピング(15分で約90%)を示した。界面活性剤濃度(0.1%~0.45%)の最適化は、50rpmにてUSP Apparatus IIを使用して1000mLの異なる溶解媒体により実施した。
【0154】
溶解をZetia(10mg)+ベンペド酸(180mg)参照製品について実施し、溶解データを表11及び図5に示す。
【0155】
【表11】
【0156】
媒体1(酢酸緩衝液(pH4.5)中の0.1%SLS)はより遅い放出プロファイルを示し、2時間以内に完全な回復は観察されなかった。媒体3(0.2Mリン酸緩衝液(pH6.8))はダンピング挙動を示した。媒体2(酢酸緩衝液(pH4.5)中の0.45%SLS)はベンペド酸について顕著な漸進的溶解プロファイルを示した。したがって、酢酸緩衝液(pH4.5)中の0.45%SLS、1000mL、50rpm、USP App-IIを判別溶解条件として確定した。
【0157】
この方法の判別能は、製剤中のベンペド酸の粒径のわずかな変化で実証され、表12及び図6に示される。
【0158】
【表12】
【0159】
予想した通り、より粗いグレードのベンペド酸(#60保持/通過=32/68)を有するバッチは、より微細なグレードのベンペド酸(#60保持/通過=11.5/88.5)を有するバッチと比較して、より遅い放出を示した。(活性物質の粒径の変化による)溶解プロファイルの差異は、選択した溶解条件の判別能を反映する。
【0160】
5 原薬
ベンペド酸は、Esperion Therapeutics,Inc.から得、エゼチミブは、Teva API India Ltdから入手した。
【0161】
5.1 物理特性
表13は両方のAPIについての物理特性を示す。
【0162】
【表13】
【0163】
ベンペド酸及びエゼチミブのそれぞれについて、圧縮性指数は32.6%及び29.60%であり、ハウスナー比(Hausner's ratio)は1.48及び1.42であり、APIの流動性が非常に低いことを示唆している。
【0164】
5.2 化学特性:
化学特性を表14に詳述する。
【0165】
【表14】
【0166】
5.2.1 多形
エゼチミブ原薬は異なる多形体/水和物形態を有する。
無水物(形態Aと表す)
水和物形態(形態Bと表す)
【0167】
両方の多形体は同じ物理化学的特性を示す。FDC医薬開発のために、エゼチミブの無水物形態(形態A)を使用した。
【0168】
ベンペド酸は結晶性粉末であり、多形体形成の証拠はない。
【0169】
5.2.2 化学安定性
不純物プロファイル、分解経路を研究し、安定性を示す方法の開発を促進するために、ベンペド酸の強制分解を実施した。さらに、不純物が生成するのを阻止するために、強制分解研究から得られた知識を製剤及びプロセスの設計及び開発の間に使用した。特定のストレス条件を、5~20%の分解を達成するために意図した。ストレスを与えた試料を、ストレスを与えていない試料(対照)と比較した。
【0170】
強制分解条件及びベンペド酸についての結果を表15に列挙する。
【0171】
【表15】
(1)適切な対照試料を各ストレス要因について調製したが、上記の表には示していない。(2)NaOH中のベンペド酸(w/w%)の結果は、注入前の非定量的中和のために約100%の期待値とは異なる。
【0172】
ストレス試験研究の間、ベンペド酸の純度プロファイルにおいて有意な変化は観察されなかった。このことは、APIが全ての研究した条件において安定であることを示す。
【0173】
エゼチミブについての強制分解データの概要を表16に示す。
【0174】
【表16】
【0175】
エゼチミブは、特にアルカリ(NaOH)及び過酸化物(H2O2)に曝露されると、比較的不安定になることが観察されている。同定された主な分解産物はEZT環状エーテルである。しかしながら、固体形態では、熱及び光照射に対して安定である。したがって、エゼチミブはアルカリ及び過酸化物に対して感受性であると分類される。
【0176】
5.3 生物学的特性
生物学的特性を表17に示す。
【0177】
【表17】
【0178】
5.4 原薬特性のリスク評価
医薬品CQAに対する各特性の影響を評価するために原薬特性のリスク評価を実施した。医薬開発全体を通して使用した相対リスクランキングシステムを表18にまとめる。評価の結果及び付随する理由を表19、表20、表21及び表22に示す。各原薬特性の相対リスクを、高、中又は低とランク付けした。医薬品CQAに大きな影響を与える可能性のあるこれらの特性はさらなる調査を必要としたが、医薬品CQAに与える影響が少ないこれらの特性はさらなる調査を必要としなかった。
【0179】
【表18】
【0180】
【表19】
【0181】
【表20】
【0182】
【表21】
【0183】
【表22】
【0184】
5.5 薬物-薬物相互作用
開発中の固定用量組合せ製品は2種の原薬の新規な組合せであるので、互いの活性物質の適合性の決定が重要であると考えられた。活性物質の適合性を、固体状態において1:18の比(エゼチミブ:ベンペド酸)にて原薬の二成分混合物のHPLC分析によって評価した。試料を、開放及び閉鎖容器の両方においてそれぞれ2週間及び4週間、60℃及び40℃/75%RHにて保存した。分解産物を、加速条件(40℃/75%RH)及び60℃の開放(ストレスを与えた)試料について評価した。試料についてのアッセイも実施した。結果を表23にまとめる。
【0185】
【表23】
【0186】
加速条件下で互いに存在する活性物質の各々について不純物のいずれにも有意な増加はなく、アッセイは許容限界内であることが見出された。したがって、ベンペド酸及びエゼチミブは化学的に適合であると考えることができる。
【0187】
5.6 賦形剤
組合せ医薬品に使用される賦形剤は、個々の参照製品に使用される賦形剤、賦形剤適合性研究、及び承認された医薬品における事前使用に基づいて選択した。研究した薬物-賦形剤適合性は両方のAPIを選択した賦形剤と組み合わせた。
【0188】
5.6.1 薬物-賦形剤適合性研究
賦形剤-原薬適合性は、固体状態で必要な比率にて賦形剤及び両方のAPIの三成分混合物一緒のHPLC分析を使用して評価した。試料を、開放及び閉鎖容器の両方においてそれぞれ2週間及び4週間、60℃及び40℃/75%RHにて保存した。充填剤、崩壊剤、結合剤及び潤滑剤として機能する一般的な賦形剤を評価した。各APIについての分解物レベル(関連物質)を、HPLC分析を使用して評価してあらゆる不適合性の場合の分解物を定量した。分解産物を、加速条件(40℃/75%RH)及び60℃にて開放(ストレス)試料について評価した。加速条件(40℃/75%RH)にて閉鎖して保持した試料を、開放(ストレス)条件において観察された分解の有意な増加があった場合に評価した。試料についてのアッセイも実施した。結果を表24にまとめる。
【0189】
表25は、製剤に使用される賦形剤と一緒に両方の活性物質の適合性研究を記載している。
【0190】
【表24】
【0191】
【表25】
【0192】
外観の有意な変化はベンペド酸について観察されなかったが、環状エーテル不純物の増加が、40℃/75%RHにて開放エゼチミブについて観察された。高い温度及び湿度の組合せがこの分解を引き起こした可能性がある。しかしながら、ベンペド酸及び賦形剤の存在下で、エゼチミブは希釈され、熱及び湿度の影響を減少させることができた。
【0193】
エゼチミブ環状エーテルの増加が、40℃/75%RHにて4Wの間維持した開放容器においてHPC-Lと組み合わせた場合に観察された。しかしながら、この薬物-賦形剤の組合せは、閉鎖容器中の場合、4W 40℃/75%RHにて適合性があることが見出された。HPC-Lはベンペド酸の造粒に使用され、エゼチミブと直接接触しないので、この賦形剤を最終製剤において選択した。
【0194】
エゼチミブ及びベンペド酸の両方のアッセイ値は、不純物レベルの増加と共にエゼチミブのアッセイ値の低下が観察されたオパドライホワイトを除いて、最初の試料と同等であった。全ての条件において不純物が増加すると、賦形剤であるオパドライホワイト(85F18422)は不適合性であることが見出された。ベンペド酸単一製品についての参照製品はコーティングされた錠剤であるが、参照製品であるZetiaはコーティングされていない錠剤であることに注意することが重要である。固定用量組合せについての目標はコーティングされた錠剤である。したがって、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコール(研究したオパドライの主成分)を含まない、別のオパドライ系とのさらなる適合性研究を提案した。
【0195】
5.6.2 賦形剤グレードの選択
薬物-賦形剤適合性研究の結果に基づいて、参照製品製剤と同一の賦形剤を、固定用量組合せ製品の開発のために選択した。製剤に使用される賦形剤のレベルを後の製剤開発研究において研究した。
【0196】
ラクトース一水和物(Pharmatose(登録商標)200M):
ラクトース一水和物は一般に充填剤として使用される。通常、微細なグレードのラクトースは、湿式造粒法を使用して錠剤の調製に使用される。DFE Pharma製のラクトース一水和物であるPharmatose(登録商標)200Mを選択した。Pharmatose200Mの粒径分布データは、90%超の粒子が100μm未満のサイズであり、0.56g/cm3のかさ密度であることを示している。
【0197】
微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH-102):
微結晶性セルロースは、直接圧縮及びローラー圧縮における充填剤として広範に使用されている。それは線維状で延性であるので、圧縮の間に塑性変形を受ける。微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH-102)は、より良好なブレンド流動性を提供するのに役立つ、より大きな粒径(100μm)を有する希釈剤として現在のベンペド酸錠剤製剤において使用される。水分含量は3.0~5.0%であり、かさ密度は0.28~0.33g/ccである。
【0198】
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L):
ヒドロキシプロピルセルロースは、セルロースの部分的に置換されたポリ(ヒドロキシプロピル)エーテルである。ヒドロキシプロピルセルロースは、種々の溶液粘度を有するいくつかの異なるグレードで市販されている。製剤に使用されるグレードは、6.0~10.0mPa.sの粘度範囲の範囲を有する標準グレードの微細な粉末であり、これは主に錠剤剤形における結合剤として使用される。
【0199】
ポビドンK30(Kollidon(登録商標)30):
ポビドン(Kollidon(登録商標)30)は、27.0~32.1のK値を有する中間分子量グレードのポビドンである。これは多用途であり、錠剤及び顆粒における結合剤として広範に使用されている。現在の製剤では、ポビドンの水溶液がエゼチミブについてのトップスプレー造粒プロセスにおいて結合剤として使用されている。
【0200】
ラウリル硫酸ナトリウム(Kolliphor(登録商標)SLSファイン):
ラウリル硫酸ナトリウムは、不溶性薬物分子の溶解改善のために広範な経口医薬製剤に利用される陰イオン界面活性剤である。
【0201】
ラウリル硫酸ナトリウムは、臨界ミセル濃度より高い濃度、すなわち0.0025%を超える濃度で可溶化剤として使用される。これは湿潤剤として使用され、アルカリ性及び酸性条件の両方において有効である。現在の製剤では、これはエゼチミブについての溶解促進剤として使用される。
【0202】
デンプングリコール酸ナトリウム(Primojel(登録商標)):
デンプングリコール酸ナトリウムは、白色又はほぼ白色の自由流動性の非常に吸湿性の粉末である。これは錠剤製造における崩壊剤として経口医薬において広範に使用されている。崩壊は水の急速な取り込み、その後の、デンプングリコール酸ナトリウムを含有する錠剤の急速及び膨大な膨張によって起こる。
【0203】
多くの崩壊剤の有効性は、潤滑剤などの疎水性賦形剤の存在によって影響を受ける。錠剤圧縮圧力の増加は崩壊時間に影響を及ぼさないように見える。
【0204】
コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標)200P):
Evonikによって製造されたコロイド状二酸化ケイ素の商用グレードであるコロイド状二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標)200ファーマ(Pharma))を、現在のベンペド酸錠剤製剤における流動促進剤として使用した。
【0205】
ステアリン酸マグネシウム:
植物起源を使用してAvantorによって製造されたステアリン酸マグネシウムを、現在の製剤における潤滑剤として使用した。これは、#325篩(ASTM、45μm)を通過する99~100% w/wの粒径規定を有し、LOD<5.0% w/wである。
【0206】
オパドライAMB II 88A180040ホワイト:
オパドライAMB II 88A180040は、錠剤の美的外観のために使用されるグリセロールモノカプリロカプレート1型、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン及びタルクを有するポリ酢酸ビニル(PVA)ベースの非機能性フィルムコーティングシステムである。
【0207】
表26及び表27は、提案された製剤及びそれらのIID制限のために選択されたグレードの賦形剤をまとめている。
【0208】
【表26】
【0209】
【表27】
【0210】
6. 医薬品
6.1 一般情報
【0211】
【表28】
【0212】
6.2 製剤開発
適合性研究により、ベンペド酸及びエゼチミブの両方が互いに化学的に適合性があり、したがって単層錠剤を開発することが可能であることが明らかになった。しかしながら、個々のAPIは以下の理由のために別々に造粒される。
【0213】
エゼチミブは生理学的pHにわたって低い水溶解度を示し、したがって界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)をZetia製剤に利用した。同様のことが、生物学的同等性を達成するために組合せ製品において好ましい。しかしながら、ベンペド酸は、pH依存性の溶解度を有するにも関わらず、Esperionによって既に開発されている単一製品において確立されたような界面活性剤を必要としない。高いpHでのその増加した溶解度は、in-vivoでの溶解及び吸収を確実にする。
【0214】
ベンペド酸は粘着性があり、低い流動性を有する。この態様は、エゼチミブに適さないかもしれないある特定のプロセスステップ及び/又は賦形剤を必要とする。
【0215】
製剤選択肢:
適合性研究により、2種のAPI間のあらゆる潜在的な化学的相互作用は否定されたが、ある物理的相互作用が溶解の障害につながり得る可能性が依然としてあり得る。さらに、単層製剤におけるSLSの存在は、ベンペド酸の溶解及びその吸収を変化させることがある。したがって、以下の2種の製剤を開発することを決定した:
単一層錠剤に圧縮された両方の活性物質(別個の顆粒の形態)を有するFDC単層、及び
別個の層に存在する活性物質を有する2層錠剤に圧縮された両方の顆粒を有するFDC二層。
【0216】
6.2.1 製剤可変因子の初期リスク評価
医薬品CQAに対する医薬品製剤の影響について、全体的なリスク評価を実施した。医薬品CQAに影響を与える高いリスクを有する各製剤構成要素を、リスクを低減させるためにさらに評価した。製剤可変因子の初期リスク評価を表29に示し、リスク割り当てについての理由を表30に示す。
【0217】
【表29】
【0218】
【表30】
【0219】
6.2.2 製剤開発研究
製剤開発は、表28に示した初期リスク評価において同定された高及び中リスクの製剤可変因子の評価に焦点を当てた。開発は4段階で行った。第1の研究は、ベンペド酸造粒プロセスを最適化した。第2の研究は、OFAT(一時一事法(one factor at a time))によって医薬品CQAに対するエゼチミブ顆粒におけるポビドンのレベルの影響を評価した。第3の研究は、医薬品のエゼチミブ構成要素にラウリル硫酸ナトリウムを組み込むためのプロセスを完成させた。第4の研究は、ベンペド酸及びエゼチミブを含む圧縮錠剤のための適切なコーティングシステムを選択した。
【0220】
【表31】
【0221】
プロセス選択
ベンペド酸及びエゼチミブの固定用量組合せの開発を、参照製品に従った即時放出錠剤の製造によって試みた。両方のAPIを、湿式造粒を使用して別々に造粒した。このアプローチは、エゼチミブをSLSにより処理して溶解度を改善し、ベンペド酸をコロイド状二酸化ケイ素により処理して粘着性挙動を回避することを確実にした。初期開発作業は単層アプローチを使用して実施した。
【0222】
[実施例2]
製剤開発研究#1:ベンペド酸顆粒組成物及びプロセス選択
製剤開発研究#1の目標は、APIの粘着性を低減させるための研究に基づいてベンペド酸顆粒組成物及び製造プロセスを選択することであった。
【0223】
ベンペド酸は造粒及び圧縮の間に低い流動及び粘着を示した。APIの粘着は、APIと接触表面との間の物理的障壁を作製することによって阻止された。このことは、高い表面積を有する物質でAPIをコーティングすることによって達成された。コロイド状二酸化ケイ素を選択した。これは小さな粒径及び大きな比表面積を有する。予備試験において、このアプローチは有望であることが見出され、したがってコロイド状二酸化ケイ素の濃度及びこの表面処理のためのプロセスを最適化するためにさらなる試行を実施した。
【0224】
Esperionから受け取った製剤及びプロセスを使用して最適化試行を開始した。表32はベンペド酸造粒のために使用した配合を示し、表33は粘着挙動を取り除くための試行バッチを記載している。
【0225】
【表32】
【0226】
【表33】
【0227】
粘着挙動は、造粒前に濃度を増加させてコロイド状二酸化ケイ素で処理することによって有意に減少させることができた。さらに、コロイド状二酸化ケイ素のレベルを維持し、表面処理の持続時間を30分から45分に増加させると、造粒又は圧縮プロセスの間に粘着せずに満足のいく処理パラメーターが得られた。ベンペド酸造粒の最終組成を表34に列挙する。
【0228】
【表34】
【0229】
表35は、さらなる開発作業のために選択したプロセスパラメーターを提供する。処理プロセスの描写を図7に示す。
【0230】
【表35】
【0231】
[実施例3]
製剤開発研究#2:エゼチミブ顆粒の最適化:
製剤開発研究#2の目標は、エゼチミブの造粒のために使用される結合剤の濃度を最適化することであった。湿式造粒をエゼチミブ顆粒の調製のために使用した。結合剤溶液である、SLSを含むポビドン、及びエゼチミブを、乾燥混合粉末ブレンドの造粒のために使用した。より高い濃度のポビドン(3mg/錠剤)を用いた一方の試行及びより低い濃度(1mg/錠剤)を用いた他方の試行を実施して、溶解に対する結合剤濃度の影響を観察した。エゼチミブ顆粒を別々にベンペド酸顆粒と混合し、両方の試行のために単層錠剤に圧縮した。製剤の概要を表36に提供する。溶解プロファイルをQC媒体(0.45%SLSを含む)において研究し、表37及び図8に示す。
【0232】
【表36】
【0233】
【表37】
【0234】
より高い結合剤濃度を有する錠剤は、より低い結合剤濃度を有する錠剤よりも遅い放出を最初に示した。より高い結合剤濃度は、錠剤の崩壊後、最初に顆粒からの放出を遅らせ得る。したがって、1mg/錠剤結合剤濃度をエゼチミブ造粒のために選択した。
【0235】
[実施例4]
製剤開発研究#3:エゼチミブ顆粒-SLS組込みプロセスの最適化:
ラウリル硫酸ナトリウム濃度を、滴定を使用して、参照製品であるZetiaから推定した。Zetiaは、錠剤ごとに1.8mg(約2.0mg)のSLSを含有すると測定した。同じ濃度の界面活性剤をエゼチミブ造粒プロセスのために考慮して、一致する溶解プロファイルを達成した。
【0236】
最初に、エゼチミブ顆粒を湿式造粒によって調製した。造粒プロセスは、エゼチミブを希釈剤である、MCC及びラクトース、並びにスーパー崩壊剤である、SSGと乾燥混合し、続いて精製水中の界面活性剤としてポビドンK30及びラウリル硫酸ナトリウムを含有する結合剤溶液を用いて造粒することを含んだ。しかしながら、得られた溶解プロファイルはZetia溶解プロファイルより遅かった。したがって、一連のプロセス改変試行を実施した。
【0237】
親水性賦形剤とのエゼチミブの同時篩掛け(バッチ番号:4759-S1-064)
エゼチミブを、#50メッシュを通して、親水性賦形剤である、ラクトース一水和物(ファーマトース(登録商標)200M)、ポリビニルピロリドン(コリドン(登録商標)30)と同時に篩掛けして、疎水性を減少させた。次いでブレンドを、SLSを含有する結合剤溶液を用いて造粒した。次いでエゼチミブ顆粒を追加の粒状賦形剤とブレンドし、錠剤に圧縮した。この試行は溶解の所望の改善を生じなかった。
エゼチミブとの結合剤溶液の均質化、その後のRMG造粒(4759-S1-065)
SLSを用いて造粒した場合、界面活性剤は、賦形剤を含む、物質全体に分布した。結果として、溶解の所望の改善は達成されなかった。エゼチミブとSLSとの間の適切な接触をもたらすために、エゼチミブを結合剤溶液に添加し、次いで30分間均質化して、均一な分散を達成した。次いでこの分散系を、賦形剤ブレンドを用いて造粒した。次いで顆粒を追加の粒状賦形剤とブレンドし、錠剤に圧縮した。溶解プロファイルは改善したが、Zetiaの溶解プロファイルと同等ではなかった。
【0238】
エゼチミブとの結合剤溶液の均質化、その後のトップスプレー造粒(バッチ番号:4759-S1-094)
溶解プロファイルをさらに改善するために、均質化した結合剤溶液を、高速ミキサー造粒機の代わりに流動床プロセッサ(FBP)を使用してトップスプレー造粒に組み込んだ。その後、顆粒を追加の粒状賦形剤とブレンドし、錠剤に圧縮した。得られた判別溶解媒体での溶解を表38及び図9に示す。
【0239】
【表38】
【0240】
エゼチミブ造粒のためのプロセスパラメーター(トップスプレー法):表39に列挙したプロセスパラメーターをエゼチミブ造粒のために利用した:
【0241】
【表39】
【0242】
2000錠剤
2つの再現性バッチ(バッチ番号:4759-S1-104及び4759-S1-106)を、同じセットのパラメーターを使用して製造した。再現性試行から得られた溶解プロファイルを表40に示し、比較溶解プロファイルを図10に示す。
【0243】
【表40】
【0244】
再現されたバッチは、以前のバッチ及び参照製品と同様の放出プロファイルを示した。このプロセスは、実験室規模で再現性があるとみなすことができる。
【0245】
製剤開発研究#4:コーティングシステム選択
薬物-賦形剤適合性研究の間、オパドライホワイト85F18422は、エゼチミブと不適合であることが見出された。この観察は、オパドライホワイトでコーティングした錠剤の安定性研究の間、確認された。アッセイ及び不純物プロファイルを表41に示す。
【0246】
【表41】
【0247】
オパドライホワイト(85F18422)は、可塑剤として利用されるポリエチレングリコール(PEG)とのポリビニルアルコール(PVA)ベースのコーティングシステムである。環状エーテル不純物の増加は、これらの物質のいずれかによるものであった。したがって、以下のオパドライコーティングシステムをエゼチミブとの適合性について研究した。この結果を検証するために、圧縮錠剤をこれらのオパドライ系でコーティングし、ストレス研究に供した。
【0248】
PVA及びPEG含有オパドライ系(オパドライホワイト88A180040)
【0249】
PVAベースのPEGを含まないオパドライホワイト(オパドライホワイトAMB II 88A180040)
【0250】
PVA及びPEGを含まないHPMCベースのオパドライホワイト(オパドライホワイト03K58821)。
【0251】
開放容器中で600Cにて1週間曝露した後の不純物プロファイルを比較評価のための応答として利用した。結果を表42に示す。
【0252】
【表42】
【0253】
加速安定性データ:
60℃にて1週間、異なるオパドライ系でコーティングした圧縮錠剤のストレス安定性データを表43に示す。
【0254】
【表43】
【0255】
この研究は、オパドライホワイト88A180040による薬物不安定性の以前の観察結果を確認した。代替のオパドライ系である、オパドライホワイトAMB II 88A180040及びオパドライホワイト03K58821は、エゼチミブ環状エーテル不純物のレベルによって反映されるように、APIと適合性があることが見出された。これらの結果は、コーティングされた錠剤製剤に関してストレス安定性研究の間、確認された。2つのオパドライ系のうち、オパドライホワイトはAMB II 88A180040を選択した。なぜならこれはポリエチレングリコールを含有せず、比較的優れた加工性を示したからである。
【0256】
6.2.3 原薬特性の更新したリスク評価 6.2.3
表44及び表45は、ベンペド酸及びエゼチミブの原薬特性の更新したリスク評価をまとめている。
【0257】
【表44】
【0258】
【表45】
【0259】
6.2.4 製剤構成要素の更新したリスク評価:
高リスク製剤可変因子についての許容範囲は確立されており、制御ストラテジーに含めた。製剤開発研究の結果に基づいて、製剤可変因子のリスク評価を表46において更新した。
【0260】
【表46】
【0261】
6.3 製造プロセス開発
FDC錠剤:単層及び二層の製造のために2つのアプローチを使用した。安定性研究を行うバッチを製造した。
【0262】
単層プロセスは、エゼチミブ及びベンペド酸顆粒を別々に製造すること、それらを一緒にブレンドすること、及び単一層錠剤に圧縮することを含んだ。次いで錠剤をコーティングした。
【0263】
二層アプローチは、ベンペド酸顆粒を追加の粒状賦形剤とブレンドすること、エゼチミブ顆粒を追加の粒状賦形剤とブレンドすることを含んだ。2つの潤滑ブレンドを二層状FDC錠剤に圧縮し、一方の層はベンペド酸を含み、他方の層はエゼチミブを含んだ。次いで二層FDC錠剤をコーティングした。
【0264】
6.3.1 FDC単層錠剤:
表47は単層錠剤の組成を提供する。
【0265】
【表47】
【0266】
FDC単層錠剤製造プロセスを図11に示す。
【0267】
6.3.2 FDC二層錠剤
二層錠剤の最終製剤の組成を表48に示す。
【0268】
【表48】
【0269】
FDC二層錠剤製造プロセスを図12に示す。
【0270】
圧縮錠剤の物理的パラメーター。表49は両方の錠剤変形物についての圧縮パラメーターを含む:
【0271】
【表49】
【0272】
観察結果:潤滑ブレンド及び圧縮錠剤の物理的パラメーターは、両方の変形物について満足のいくものであることが見出された。コーティングパラメーターは満足のいくものであることが見出された。
【0273】
判別溶解媒体でのFDC製剤の溶解:判別溶解媒体でのエゼチミブについての溶解プロファイル:FDC製品対Zetia(10mg)+ベンペド酸(180mg)の両方の変形物からのエゼチミブの比較溶解プロファイルを表50及び図13に示す。表50:エゼチミブは判別媒体中で単層及び二層FDCから放出する。
【0274】
【表50】
【0275】
結論:単層及び二層FDC錠剤の両方の溶解は、溶解Zetia(10mg)(エゼチミブ)+ベンペド酸(180mg)(参照製品)と同等であることが見出された。
【0276】
判別溶解媒体でのベンペド酸についての溶解プロファイル:
【0277】
QC放出媒体であるリン酸緩衝液(pH6.8)は、用量ダンピング(15分でほぼ90%超)を示した。界面活性剤濃度(0.1%~0.45%)及び溶解体積(500mL~1000mL)の最適化に基づいて、酢酸緩衝液(pH4.5)中の0.45% SLS、1000mL、50rpm、パドル式(USP App-II)は、QC媒体と比較して漸進的放出プロファイルを示した。
【0278】
表51及び図14は、FDC製品対Zetia(10mg)+ベンペド酸(180mg)(参照製品)の両方の変量からのベンペド酸の比較溶解プロファイルを示す。
【0279】
【表51】
【0280】
FDCの両方の変形物からのベンペド酸の薬物放出率(%)は参照製品と同等の放出プロファイルを示す。
【0281】
QC溶解媒体でのFDCプロトタイプ製品(エゼチミブ構成要素)の溶解プロファイル:
【0282】
QC媒体でのFDC試験製品(エゼチミブ構成要素)の溶解プロファイルを、表52、表53、図15及び図16に示す。
【0283】
【表52】
【0284】
【表53】
【0285】
変形物(単層及び二層)の両方の溶解は、QC媒体中で参照製品であるZetia(10mg)と同様の溶解を示した。QC媒体でのFDC試験製品(ベンペド酸構成要素)の溶解プロファイル:FDC試験製品(ベンペド酸構成要素)の溶解プロファイルを、表54、表55、図17及び図18に示す。
【0286】
【表54】
【0287】
【表55】
【0288】
両方の変形物からのベンペド酸の溶解は、QC媒体中で参照製品と同様の溶解プロファイルを示した。
【0289】
6.4 安定性研究
安定性負荷のために、30個の錠剤を、1gのポリエステルコイル及び1gのソルビットキャニスターを有する30cc HDPEボトルに充填した。ボトルは28mmのCRCキャップで密封した。
【0290】
6.4.1 FDC単層変形物の安定性データ:
単層錠剤についての安定性データを表56に示す。
【0291】
【表56】
【0292】
(FDC二層変形物)二層錠剤についての安定性データを表57に示す。
結論:全ての物理化学的パラメーターは、加速条件下で2カ月にて満足のいくものであり、初期と同等であることが見出された。QC媒体での溶解は同等(30分で90%超の放出)であることが見出された。ベンペド酸の0.1%未満の未特定の不純物が加速条件下で2カ月にて生成した。不純物プロファイリングは、最大1日用量に基づいたICH Q3B(R2)に従って加速条件下で2カ月にて規定内であることが見出された。
【0293】
【表57】
【0294】
略語リスト:
ACL ATPクエン酸リアーゼ MCC 微結晶性セルロース
BCS 生物薬剤学分類システム mg ミリグラム
BLOQ 定量レベル未満 Min 分
cfu コロニー形成単位 mL ミリリットル
CQA 重要品質特性 MLT 微生物限度試験
CR 小児用安全 mm ミリメートル
CU 含量均一性 mM ミリモル
DMF ドラッグマスターファイル mPa.s ミリパスカル秒
DMSO ジメチルスルホキシド N ニュートン
EZT エゼチミブ ND 未検出
FBP 流動床プロセッサ NDA 新薬申請
FDC 固定用量組合せ NF 国民医薬品集
g/mol グラム/モル NMT 以下
GMP 適正製造基準 PDR 医薬開発報告書
HDPE 高密度ポリエチレン PEG ポリエチレングリコール
HPC-L ヒドロキシプロピルセルロース低置換 PI 純度指数
HPLC 高速液体クロマトグラフィー PK 薬物動態
HPMC ヒドロキシプロピルメチルセルロース PSD 粒径分布
hrs 時間 PVA ポリビニルアルコール
ICH 医薬品規制調和国際会議 QbD クオリティ・バイ・デザインIH 社内で QL 定量限界
IID: 不活性成分データベース QTPP 目標製品品質プロファイル
IR 即時放出 RH 相対湿度
LDL-C 低密度リポタンパク質コレステロール RLD 参照リスト薬物
RMG 高速ミキサー造粒機 TAMC 総好気性微生物数
RPM 毎分回転数 TYMC 総酵母及びカビ数
SLS ラウリル硫酸ナトリウム USP 米国薬局方
SSG デンプングリコール酸ナトリウム XRD X線回折
【0295】
[実施例5]
粘着の課題を解決するためのETC 1002研究、実験室での試行
【0296】
【表58】
【0297】
配合I(4490-S1-024)についての製造プロセス:
乾燥混合物中の全ての成分を同時に篩掛けし、結合剤溶液を用いて造粒し、得られた顆粒を流動床乾燥機において乾燥させた。乾燥した顆粒を、微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムと共にエゼチミブ顆粒とブレンドし、潤滑化した。次いで顆粒を錠剤に圧縮した。
【0298】
配合II(4759-S1-058)についての製造プロセス:
ETC 1002及びコロイド状二酸化ケイ素を同時に篩掛けし、ブレンドした。次いでこのブレンドを微結晶性セルロース及び造粒した結合剤溶液とさらに混合した。顆粒を乾燥させ、篩掛けした。乾燥した顆粒を、微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムと共にエゼチミブ顆粒とブレンドし、潤滑化した。次いで顆粒を錠剤に圧縮した。
【0299】
【表59】
【0300】
結論:コロイド状二酸化ケイ素によるETC 1002の表面処理は、未処理のAPIによる圧縮の間に観察された粘着を減少させた。
(付記)
(付記1)
コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸を含む粒状組成物。
(付記2)
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、付記1に記載の粒状組成物。
(付記3)
潤滑剤がコロイド状二酸化ケイ素である、付記1又は付記2に記載の粒状組成物。
(付記4)
少なくとも0.25gm/ml且つ0.55gm/ml以下のかさ密度を有する、付記1から3のいずれか一項に記載の粒状組成物。
(付記5)
少なくとも10且つ30以下のCarr指数を有する、付記1から4のいずれか一項に記載の粒状組成物。
(付記6)
組成物の顆粒が、少なくとも20°且つ45°以下の安息角を有する、付記1から5のいずれか一項に記載の粒状組成物。
(付記7)
ベンペド酸が、製剤全体のうちの少なくとも50重量%且つ95重量%以下の量で存在する、付記1から6のいずれか一項に記載の粒状組成物。
(付記8)
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)をさらに含む、付記1から7のいずれか一項に記載の粒状組成物。
(付記9)
微結晶性セルロースをさらに含む、付記1から8のいずれか一項に記載の粒状組成物。
(付記10)
HPC-Lの量が製剤全体のうちの少なくとも3重量%且つ10重量%以下であり、ベンペド酸の量が製剤全体のうちの少なくとも50重量%且つ95重量%以下であり、微結晶性セルロースの量が製剤全体のうちの少なくとも1重量%且つ20重量%以下である、付記9に記載の粒状組成物。
(付記11)
コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸、
エゼチミブ、並びに
薬学的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物。
(付記12)
組成物全体のうちの少なくとも40重量%且つ95重量%以下のベンペド酸及び組成物全体のうちの少なくとも0.5重量%且つ20重量%以下のエゼチミブを含む、付記11に記載の医薬組成物。
(付記13)
ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)、ピロリドン化合物、糖、陰イオン界面活性剤、微結晶性セルロース及びデンプンのうちの1つ以上をさらに含む、付記11から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記14)
ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)、ピロリドン化合物、糖、陰イオン界面活性剤、微結晶性セルロース及びデンプンの各々1つをさらに含む、付記11から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記15)
存在する場合、微結晶性セルロースが、少なくとも100μmの平均粒径を含み、微結晶性セルロースの少なくとも3重量%且つ5重量%以下の水分含量を含む、付記13から14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記16)
存在する場合、陰イオン界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、付記13から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記17)
存在する場合、ピロリドン化合物がポビドンである、付記13から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記18)
存在する場合、糖がラクトース一水和物である、付記13から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記19)
存在する場合、ステアリン酸マグネシウム全体のうちの1.03重量%が、少なくとも45μm且つ150μm以下の粒径を有する、付記13から18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記20)
錠剤の形態であり、ポリビニルアルコール(PVA)ベースのコーティングをさらに含み、コーティングが、ポリビニルアルコール(PVA)、グリセロールモノカプリロカプレート1型、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン及びタルクを含む、付記11から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記21)
ステアリン酸マグネシウムの量が1mgから10mgの間であり、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)の量が5mgから25mgの間であり、ピロリドン化合物の量が0.5mgから5mgの間であり、糖の量が50mgから100mgの間であり、陰イオン界面活性剤の量が0.5mgから5mgの間であり、微結晶性セルロースの量が25mgから100mgの間であり、デンプングリコール酸ナトリウムの量が5mgから50mgの間である、付記11から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記22)
ベンペド酸の量が80mgから250mgの間であり、エゼチミブの量が5mgから25mgの間である、付記11から21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記23)
ベンペド酸の量が180mgであり、エゼチミブの量が10mgである、付記11から21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(付記24)
ベンペド酸、潤滑剤及び薬学的に許容される賦形剤を乾式混合するステップであって、潤滑剤が、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される、ステップ、
HPC-Lの水性調製物を別に混合するステップ、
乾燥混合物及び水性調製物をブレンドするステップ、並びに
ブレンドを造粒するステップ
を含む、ベンペド酸を造粒する方法。
(付記25)
高速ミキサーを使用してブレンドを造粒するステップをさらに含む、付記24に記載の方法。
(付記26)
ブレンドを乾燥させるステップをさらに含む、付記24から25のいずれか一項に記載の方法。
(付記27)
ブレンドを製粉し、同時に篩掛けするステップをさらに含む、付記24から26のいずれか一項に記載の方法。
(付記28)
乾式混合が少なくとも45分間実施される、付記24から27のいずれか一項に記載の方法。(付記29)
乾式混合が24時間以内の時間実施される、付記28に記載の方法。
(付記30)
ベンペド酸及びエゼチミブを含む二層錠剤であって、
第1の層が、薬学的に許容される賦形剤と共に造粒されたエゼチミブを含み、
第2の層が、潤滑剤及び薬学的に許容される賦形剤と共に造粒されたベンペド酸を含み、潤滑剤が、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される、二層錠剤。
(付記31)
ベンペド酸が、錠剤全体のうちの少なくとも20重量%且つ64重量%以下であり、エゼチミブが、錠剤全体のうちの少なくとも1重量%且つ7重量%以下である、付記30に記載の二層錠剤。
(付記32)
第1の層が、錠剤全体のうちの少なくとも0.1重量%且つ23重量%以下であり、第2の層が、錠剤全体のうちの少なくとも0.1重量%且つ74重量%以下である、付記30から31のいずれか一項に記載の二層錠剤。
(付記33)
錠剤の摩損度が少なくとも0.01%且つ0.1%以下である、付記30から32のいずれか一項に記載の二層錠剤。
(付記34)
エゼチミブ及びベンペド酸を含む単層錠剤を製造する方法であって、
エゼチミブを含む組成物を造粒し、ベンペド酸を含む組成物を造粒するステップであって、各組成物は別々に造粒される、ステップ、
エゼチミブ及びベンペド酸の顆粒を一緒にブレンドするステップ、
ブレンドを単一層に圧縮するステップ、並びに
単一層をコーティングするステップ
を含む、方法。
(付記35)
錠剤を乾燥させるステップをさらに含む、付記34に記載の方法。
(付記36)
コーティングが、PVA、グリセロールモノカプリロカプレート1型、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン及びタルクのうちの1つ以上を含む、付記34から35のいずれか一項に記載の方法。
(付記37)
コーティングが、PVA、グリセロールモノカプリロカプレート1型、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン及びタルクの各々1つを含む、付記34から36のいずれか一項に記載の方法。
(付記38)
エゼチミブ及びベンペド酸を含む二層錠剤を製造する方法であって、
エゼチミブを含む組成物を造粒し、ベンペド酸を含む組成物を造粒するステップであって、各組成物は別々に造粒される、ステップ、
エゼチミブの顆粒を薬学的に許容される賦形剤とブレンドするステップ、
ベンペド酸の顆粒を薬学的に許容される賦形剤とブレンドするステップ、
エゼチミブ及びベンペド酸のブレンドを、2つの別個の層を含有する単一組成物に圧縮するステップ、並びに
組成物をコーティングするステップ
を含む、方法。
(付記39)
錠剤を乾燥させるステップをさらに含む、付記38に記載の方法。
(付記40)
ベンペド酸組成物が、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムを含む、付記38から39のいずれか一項に記載の方法。
(付記41)
エゼチミブ組成物が陰イオン界面活性剤を含む、付記38から40のいずれか一項に記載の方法。
(付記42)
上記付記のいずれか一項に記載の粒状組成物若しくは医薬組成物のうちの1つ以上又は1つ以上の錠剤及び使用説明書を含むキット。
(付記43)
使用説明書が、方法を記載しているか、或いは粒状組成物若しくは医薬組成物のうちの1種以上又は1つ以上の錠剤を1種以上の組成物と混合するための指示を記載している、付記42に記載のキット。
(付記44)
心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させる方法であって、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される潤滑剤と混合されたベンペド酸、エゼチミブ並びに薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法。
(付記45)
医薬組成物が、固定用量のベンペド酸及び固定用量のエゼチミブを含む、付記44に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18