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特許7561851発光ダイオード前駆体およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】発光ダイオード前駆体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/14 20100101AFI20240927BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20240927BHJP
   H01L 33/22 20100101ALI20240927BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L33/14
H01L33/32
H01L33/22
H01L33/50
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2022537629
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2020085344
(87)【国際公開番号】W WO2021122240
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】1918746.7
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン,ウェイ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ピノス,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】メゾウアリ,サミル
(72)【発明者】
【氏名】ストリブリー,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】デイ,ゲイリー
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-205099(JP,A)
【文献】特開2014-056984(JP,A)
【文献】特開2019-152851(JP,A)
【文献】特開平10-107320(JP,A)
【文献】特開平11-177135(JP,A)
【文献】特表2018-505567(JP,A)
【文献】特表2006-528435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0263054(US,A1)
【文献】国際公開第2004/023569(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)前駆体を形成する方法であって、
基板上に複数のIII族窒化物層を含むLEDスタックを形成することであって、前記LEDスタックは、前記LEDスタックの前記基板とは反対の側に形成されたLEDスタック表面を含む、LEDスタックを形成することと、
前記LEDスタック表面の複数の第1の部分をマスキング層によりマスキングし、前記LEDスタック表面の複数の第2の部分を露出させたままにすることと、
前記LEDスタックの前記III族窒化物層のうちの少なくとも1つを含む前記LEDスタック表面の前記第2の部分の下の前記LEDスタックの第2の領域が、前記LEDスタック表面の前記第1の部分の下の前記LEDスタックの第1の領域におけるそれぞれの前記III族窒化物層の抵抗率よりも相対的に高い抵抗率を有するように、前記LEDスタック表面の前記第2の部分をポイズニングプロセスに供することと、
前記マスキング層を除去し前記LEDスタック表面の前記第1および第2の部分を覆う接触層を形成すること
を含み、
形成されている前記LEDスタックは、前記基板表面に垂直な平面内に規則的な台形断面を有する柱を含む、方法。
【請求項2】
前記LEDスタックを形成することは、
前記基板上にIII族窒化物を含む第1の半導体層を形成することと、
前記第1の半導体層上にIII族窒化物を含む活性層を形成することと、
前記活性層上にIII族窒化物を含むp型半導体層を形成すること
を含み、
前記p型半導体層の前記活性層とは反対側の前記p型半導体層の主面が、前記LEDスタックのLEDスタック表面を提供する、
請求項1に記載のLED前駆体を形成する方法。
【請求項3】
前記LEDスタックの前記第2の領域は、前記p型半導体層の第2の領域を含み、
前記LEDスタックの前記第1の領域は、前記p型半導体層の第1の領域を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記LEDスタックの前記第2の領域は、前記活性層の第2の領域を含み、
前記LEDスタックの前記第1の領域は、前記活性層の第1の領域を含む、
請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記LEDスタックの前記第2の領域は、前記第1の半導体層の第2の領域を含み、
前記LEDスタックの前記第1の領域は、前記第1の半導体層の第1の領域を含む、
請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記LEDスタックの前記活性層は、可視光を出力するように構成されている複数の量子井戸層を備える、請求項2から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記LEDスタック表面の第2の部分は、前記LEDスタック表面の第1の部分を取り囲む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記LEDスタック表面の前記複数の第2の部分は、環状または格子状パターンに配置される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ポイズニングプロセスは、前記LEDスタック表面の前記第2の部分を、水素イオンを含むプラズマに曝露することを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
形成されている前記LEDスタックは、前記基板表面に垂直な平面内に規則的な台形断面を有する柱を含み、
前記LEDスタックを形成することは、
前記基板の基板表面上に前記第1の半導体層を形成することであって、前記第1の半導体層は、前記第1の半導体層の前記基板とは反対の側に成長表面を有する、第1の半導体層を形成することと、
前記第1の半導体層の前記成長表面がメサ表面およびバルク半導体表面を含むように、前記第1の半導体層の一部を選択的に除去してメサ構造を形成することと、
前記第1の半導体層の前記成長表面上にIII族窒化物を含む第2の半導体層をモノリシックに形成して前記第2の半導体層が前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うことを含み、
前記活性層および前記p型半導体層は、前記第2の半導体層上に形成される、
請求項2または6に記載の方法。
【請求項11】
前記LEDスタックの前記第2の領域は、前記第2の半導体層の第2の領域を含み、
前記LEDスタックの前記第1の領域は、前記第2の半導体層の第1の領域を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の半導体層は、前記第1の半導体層の前記成長表面上に形成されて、前記第1の半導体層の前記メサ表面上の前記第2の半導体層の第1の部分と、前記第1の半導体層の前記バルク半導体表面上の前記第2の半導体層の第2の部分との間に延在する傾斜側壁部分を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基板上に前記第1の半導体層を形成することは、
前記基板表面上にIII族窒化物を含む第1の半導体副層を形成することと、
前記第1の半導体副層上に誘電体副層を形成することであって、形成された前記誘電体副層は、前記誘電体副層の厚さを貫通する開口を画定し、
前記誘電体副層上にIII族窒化物を含む第2の半導体副層を形成することと
を含み、
メサ構造を形成するために前記第1の半導体層の一部を選択的に除去することは、前記誘電体副層の前記開口と位置整合されたメサ構造を形成するために前記第2の半導体副層の一部を選択的に除去することを含む、
請求項1または1に記載の方法。
【請求項14】
前記LED前駆体はマイクロLED前駆体であり、前記LEDスタックは、前記基板上に100μm×100μm以下、または10μm×10μm以下の表面積を有する、請求項1~1のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
発光ダイオード(LED)前駆体であって、
複数のIII族窒化物層を含むLEDスタックであって、前記LEDスタックの発光面とは反対側に形成されたLEDスタック表面を含む、LEDスタックを備え、
前記LEDスタック表面の複数の第1の部分は、第1の抵抗率を有する前記LEDスタック表面の下の前記LEDスタックの前記複数のIII族窒化物層のうちの少なくとも1つの複数の第1の領域を画定し、
前記LEDスタック表面の複数の第2の部分は、前記LEDスタック表面の下の前記LEDスタックの前記複数のIII族窒化物層の少なくとも1つの複数の第2の領域を画定し、各々の前記第2の領域の前記少なくとも1つのIII族窒化物層の抵抗率は、前記LEDスタックの前記第1の領域の前記それぞれのIII族窒化物層に対して増加しており、
前記LEDスタック表面の前記複数の第1および第2の部分を覆う接触層をさらに備え、 前記LEDスタックは、前記発光面に垂直な平面内に規則的な台形断面を有する柱を含む、LED前駆体。
【請求項16】
前記LEDスタックの前記複数のIII族窒化物層は、
前記LEDスタックの前記発光面を提供する、III族窒化物を含む第1の半導体層と、
III族窒化物を含み、前記第1の半導体層上に設けられた活性層と、
III族窒化物を含み、前記活性層上に設けられたp型半導体層と
を備え、前記p型半導体層の前記活性層とは反対の側にある前記p型半導体層の主面は、前記LEDスタックのLEDスタック表面を提供する、
請求項1に記載のLED前駆体。
【請求項17】
前記LEDスタックの前記複数の第2の領域の少なくとも1つは、前記p型半導体層の第2の領域を含み、
前記LEDスタックの前記複数の第1の領域の少なくとも1つは、前記p型半導体層の第1の領域を含む、
請求項1に記載のLED前駆体。
【請求項18】
前記LEDスタックの前記複数の第2の領域の少なくとも1つは、前記活性層の第2の領域を含み、
前記LEDスタックの前記複数の第1の領域の少なくとも1つは、前記活性層の第1の領域を含む、
請求項1または1に記載のLED前駆体。
【請求項19】
前記LEDスタックの前記複数の第2の領域の少なくとも1つは、前記第1の半導体層の第2の領域を含み、
前記LEDスタックの前記複数の第1の領域の少なくとも1つは、前記第1の半導体層の第1の領域を含む、
請求項1~1のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項20】
前記LEDスタック表面の第2の部分は、前記LEDスタック表面の第1の部分を取り囲む、請求項119のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項21】
前記LEDスタック表面の前記複数の第1の部分および第2の部分は、環状または格子状パターンに配置される、請求項1~2のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項22】
前記第1の半導体層は、前記第1の半導体層の対向する両側に成長表面および前記LEDスタックの前記発光面を有し、
前記第1の半導体層は、前記第1の半導体層の前記成長表面がメサ表面およびバルク半導体表面を含むように、メサ構造を含み、
第2の半導体層が、前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように前記第1の半導体層の前記成長表面上に設けられ、
前記活性層および前記p型半導体層は、前記第2の半導体層上に形成される、
請求項119のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項23】
前記LEDスタックの前記複数のIII族窒化物層は、
前記LEDスタックの前記発光面を提供する、III族窒化物を含む第1の半導体層と、
III族窒化物を含み、前記第1の半導体層上に設けられた活性層と、
III族窒化物を含み、前記活性層上に設けられたp型半導体層と
を備え、前記p型半導体層の前記活性層とは反対の側にある前記p型半導体層の主面は、前記LEDスタックのLEDスタック表面を提供し、
前記第1の半導体層は、前記第1の半導体層の対向する両側に成長表面および前記LEDスタックの前記発光面を有し、
前記第1の半導体層は、前記第1の半導体層の前記成長表面がメサ表面およびバルク半導体表面を含むように、メサ構造を含み、
第2の半導体層が、前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように前記第1の半導体層の前記成長表面上に設けられ、
前記活性層および前記p型半導体層は、前記第2の半導体層上に形成される、
請求項20またはに記載のLED前駆体。
【請求項24】
前記LEDスタックの前記第2の領域は、前記第2の半導体層の第2の領域を含み、
前記LEDスタックの前記第1の領域は、前記第2の半導体層の第1の領域を含む、
請求項2または2に記載のLED前駆体。
【請求項25】
前記第2の半導体層は、前記第1の半導体層の前記成長表面上に形成されて、前記第1の半導体層の前記メサ表面上の前記第2の半導体層の第1の部分と、前記第1の半導体層の前記バルク半導体表面上の前記第2の半導体層の第2の部分との間に延在する傾斜側壁部分を提供する、請求項2から2のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項26】
前記第1の半導体層は、
前記発光面を画定するIII族窒化物を含む第1の半導体副層と、
前記第1の半導体副層上に設けられた絶縁副層であって、前記絶縁副層の厚さを貫通する開口を画定する、絶縁副層と、
前記絶縁副層上かつ前記絶縁副層の前記開口内に設けられたIII族窒化物を含む第2の半導体副層と
を備え、
前記第1の半導体層の前記メサ構造は、前記第2の半導体副層の一部によって提供され、前記メサ構造の前記メサ表面の中心は、前記メサ表面の面の前記絶縁副層の前記開口の中心と位置整合される、
請求項2~2のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項27】
前記LEDスタックの前記活性層は、可視光を出力するように構成されている複数の量子井戸層を備える、請求項119および2~2のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項28】
前記LED前駆体はマイクロLED前駆体であり、前記LEDスタックは前記発光面上に100μm×100μm以下の表面積を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項29】
LEDであって、
発光面からポンプ光波長を有するポンプ光を放出するように構成されたLED層であって、請求項128のいずれか1項に記載のLED前駆体を含む、LED層と、
前記LED層の前記発光面上に設けられたコンテナ層であって、前記コンテナ層の前記発光面とは反対の側にコンテナ表面を有し、前記コンテナ表面は前記コンテナ層を貫通して前記LED層の前記発光面までのコンテナ容積を画定する開口部を含む、コンテナ層と、
前記コンテナ容積内に設けられた色変換層であって、ポンプ光を吸収し、前記ポンプ光波長よりも長い変換光波長の変換光を放出するように構成されている、色変換層と、
前記開口部の上の前記コンテナ表面に設けられたレンズであって、前記レンズの前記色変換層とは反対の側に凸面を有する、レンズと
を備える、LED。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、発光ダイオード(LED)前駆体及び発光ダイオードアレイ前駆体に関する。特に、本開示は、III族窒化物を含むLED前駆体およびLEDアレイ前駆体に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
マイクロLEDアレイは、一般に、100×100μm以下のサイズを有するLEDのアレイとして定義される。マイクロLEDアレイは、スマートウォッチ、ヘッドウェアディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、カムコーダ、ビューファインダ、マルチサイト励起源、およびピコプロジェクタなどの様々なデバイスにおける使用に適したマイクロディスプレイ/プロジェクタ内の自己発光部品である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つのタイプのマイクロLEDアレイは、III族窒化物から形成された複数のLEDを備える。III族窒化物LEDは、例えば、活性発光領域内にGaNならびにInNおよびAlNとのその合金を備える無機半導体LEDである。III族窒化物LEDは、従来の大面積LED、例えば発光層が有機化合物である有機発光ダイオード(OLED)よりも著しく高い電流密度で駆動することができ、より高い光パワー密度を放出することができる。結果として、所与の方向における光源の単位面積当たりに放出される光の量として定義されるより高いルミナンス(輝度)が、マイクロLEDを、高い輝度を必要とする、またはそれから恩恵を受ける用途に適したものにする。例えば、高輝度から恩恵を受ける用途は、高輝度環境のディスプレイまたはプロジェクタを含み得る。さらに、III族窒化物マイクロLEDアレイは、他の従来の大面積LEDと比較して、ルーメン毎ワット(lm/W)で表される比較的高い発光効率を有することが知られている。III族窒化物マイクロLEDアレイの比較的高い発光効率は、他の光源と比較して電力使用を低減し、マイクロLEDを携帯用デバイスに特に適したものにする。
【0004】
III族窒化物LEDからマイクロLEDを形成するための様々な方法が当業者に知られている。
【0005】
例えば、選択領域成長(SAG)方法が、米国特許第7,087,932号に記載されている。選択領域成長技術では、バッファ層上にマスクがパターニングされる。マスク内の材料は、成長条件において、追加の材料がマスク上に直接成長せず、下にあるバッファ層の表面の一部分を露出させる開口の内側のみに成長するようなものである。[0001]方向に沿って成長させたIII族窒化物の選択領域成長の別の注目すべき特徴は、成長温度、圧力、およびV/III比などの成長パラメータに応じて、c面としても知られる(0001)面に対する傾斜ファセットが、パターニングされたマスクの開口領域によって画定されるc面半導体の成長部分の周縁周りに得られることである。傾斜ファセットは、一般に、ウルツ鉱型結晶の
【0006】
【化1】
【0007】
に沿って配向され、c面(半極性面)と比較して低減した分極場を呈する。
多くの用途において、さまざまな波長を有する光を出力することができるマイクロLEDアレイ(すなわち、カラーディスプレイ/プロジェクタ)を提供することが望ましい。例えば、多くのカラーディスプレイでは、共通の基板上に複数のピクセルを有するマイクロLEDアレイを提供することが望ましく、各ピクセルは、例えば、赤色、緑色、および青色光の組み合わせを出力することができる。
【0008】
当該技術分野で知られている1つの手法は、複数のサブピクセルからLEDアレイの各ピクセルを形成することである。各ピクセルには、蛍光体または量子ドットなどの1つ以上の色変換材料を設けることができる。そのような色変換材料は、サブピクセルの所望の色を提供するために、より高いエネルギーの光(ポンプ光)をより低いエネルギーの光(変換光)に変換することができる。
【0009】
本発明の目的は、従来技術の方法に関連する問題の少なくとも1つに対処するLEDを形成するための改善された方法、または少なくともそれに対する商業的に有用な代替物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の概要
本発明者らは、動作中、電流がLEDの中央領域に向かってLEDの側壁領域から離れるように閉じ込められるLEDを提供することが望ましいことに気付いた。
【0011】
本開示の第1の態様によれば、LED前駆体を形成する方法が提供される。本方法は、
基板上に複数のIII族窒化物層を含むLEDスタックを形成することであって、LEDスタックは、LEDスタックの、基板とは反対の側に形成されたLEDスタック表面を含む、LEDスタックを形成することと、
LEDスタック表面の第1の部分をマスキングし、LEDスタック表面の第2の部分を露出させたままにすることと、
LEDスタックのIII族窒化物層のうちの少なくとも1つを含むLEDスタック表面の第2の部分の下のLEDスタックの第2の領域が、LEDスタック表面の第1の部分の下のLEDスタックの第1の領域におけるそれぞれのIII族窒化物層の抵抗率よりも相対的に高い抵抗率を有するように、LEDスタック表面の第2の部分をポイズニングプロセスに供することとを含む。
【0012】
本発明者らは、ポイズニングプロセスを使用して、堆積されたままのLEDスタックの領域の抵抗率を変更することができることを認識した。LEDスタック表面の一部をマスキングすることによって、LEDスタック表面のマスキングされた第1の部分の下のLEDスタックの領域は、ポイズニングプロセスの影響を実質的に受けない。したがって、ポイズニングプロセス後、LEDスタック表面の第1の部分の下のLEDスタックの第1の領域の局所抵抗率は、LEDスタック表面の第2の部分の下の第2の領域のLEDスタックの局所抵抗率よりも低い。すなわち、ポイズニングプロセスは、少なくとも1つの層の第2の領域が上記層の第1の領域よりも大きくなるように、LEDスタックの複数の層のうちの少なくとも1つの抵抗率を変更する。LEDスタックの第2の領域の抵抗率を変更することにより、使用中にLED内の電流閉じ込めを改善することができる。
【0013】
例えば、いくつかの実施形態では、電流閉じ込めは、LEDの中央領域に向かって、LEDの側壁領域から離れるように増加されてもよい。LEDの側壁領域は、漏れ電流を受けやすい可能性がある。電流を側壁領域から遠ざけて閉じ込めることによって、LEDの側壁領域における漏れ電流の影響を低減または排除することができる。したがって、いくつかのLEDでは、電流閉じ込めを増加させることにより、LEDの光抽出効率を改善することができる。
【0014】
いくつかのLEDでは、色変換層を設けることもできる。典型的には、LEDからの光は色変換層に向けられる。LEDに側壁漏れ電流が存在する結果として、LEDによって出力される光の強度がLEDの発光面全体にわたってほぼ均一にならなくなる可能性がある。したがって、LEDによって出力される光は、「ホットスポット」 をもたらし得る。ホットスポットは、発光面全体にわたってLEDによって出力される光の平均強度に対して高い強度で光が出力される発光面の領域である。ホットスポットは、光の強度が高いため、色変換材料の機能性を経時的に低下させる可能性がある。したがって、本開示の目的は、本開示のLED前駆体から形成されたLEDにおけるホットスポットの存在を低減することである。
【0015】
ポイズニングプロセスは、より高い抵抗率のLED内の領域の形成を通じて側壁漏れ電流を減少させることが理解されよう。さらに、ポイズニングプロセスは、LEDスタックを通る電流の分布を改善する目的で、LEDスタック内に抵抗率のより高い1つ以上の領域を形成するために使用することができる。これにより、使用時にLEDの発光面全体にわたる光束の分布が改善され、それによってホットスポットの形成が低減または排除される。したがって、本開示によるLED前駆体を使用して、LEDの色変換材料の寿命を改善することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、LEDスタック表面の第1の部分をマスキングすることは、LEDスタック表面の第1の部分上に接触層を選択的に形成することを含む。このように、第1の態様による方法は、ポイズニングプロセスのための自己整合マスクとして接触層を使用する。
【0017】
いくつかの実施形態では、LEDスタックを形成することは、基板上にIII族窒化物を含む第1の半導体層を形成することと、第1の半導体層上にIII族窒化物を含む活性層を形成することと、活性層上にIII族窒化物を含むp型半導体層を形成することとを含む。p型半導体層の活性層とは反対側のp型半導体層の主面は、LEDスタックのLEDスタック表面を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態では、ポイズニングプロセスは、p型半導体層の第2の部分の抵抗率を選択的に増加させる。したがって、ポイズニングプロセスは、LEDスタック表面の第2の部分を形成するp型半導体層の第2の部分の抵抗率を増加させる表面処理プロセスであり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、LEDスタックの第2の領域は、活性層の第2の領域を含み、LEDスタックの第1の領域は、活性層の第1の領域を含む。例えば、いくつかの実施形態では、LEDスタックのポイズニングした第2の領域は、LEDスタック表面からp型半導体層の第2の領域を通じて活性層の第2の領域まで延在してもよい。したがって、LEDスタックの(ポイズニングした)第2の領域は、p型半導体層および活性層の第2の領域を含む連続領域であってもよい。ポイズニングプロセスが活性層に影響を及ぼす実施形態では、活性層への側壁漏れ電流を低減することができ、それによってLED内の電流閉じ込めを改善することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、LEDスタックの第2の領域は、第1の半導体層の第2の領域を含み、LEDスタックの第1の領域は、第1の半導体層の第1の領域を含む。例えば、いくつかの実施形態では、LEDスタックのポイズニングした第2の領域は、LEDスタック表面からp型半導体層および活性層の第2の領域を通じて第1の半導体層の第2の領域まで延在してもよい。したがって、LEDスタックの(ポイズニングした)第2の領域は、p型半導体層、活性層、および第1の半導体層の第2の領域を含む連続領域であってもよい。
【0021】
LEDスタックの第2の領域は、LEDスタックの発光面/基板表面に垂直な方向とほぼ位置整合した方向に延在することが理解されよう。したがって、第2の領域内のLEDスタックの層は、LEDスタック表面の第2の部分によって画定される断面積を有する柱を形成する。
【0022】
いくつかの実施形態では、LEDスタック表面の第2の部分は、LEDスタック表面の第1の部分を取り囲む。したがって、LEDスタック表面の第2の部分は、LEDスタックの側壁領域からの漏れ電流をさらに低減するように、LEDスタック表面の第1の部分に対して配置されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、LEDスタック表面の第1の部分をマスキングすることは、LEDスタック表面の複数の第2の部分を画定するために複数の第1の部分をマスキングすることを含み、任意選択的に、LEDスタック表面の複数の第2の部分は、環状または格子状パターンに配置される。このように、LEDスタック表面は、ポイズニングプロセスの前に、LEDの発光面上のホットスポットの発生をさらに低減するように構成されたパターンによってパターン化することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、LEDスタック表面の第1の部分および第3の部分が覆われ、LEDスタック表面の第2の部分が露出するように、LEDスタック表面の第1の部分が接触層によってマスクされ、LEDスタック表面の第3の部分がマスキング層によってマスクされる。したがって、いくつかの実施形態では、接触層をマスキング層と組み合わせて使用して、ポイズニングプロセスに供されるLEDスタック表面の第2の部分を画定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、マスキング層および接触層は、環状または格子状パターンを有するLEDスタック表面の1つ以上の第2の部分を画定するために、LEDスタック表面上に形成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、ポイズニングプロセスは、LEDスタック表面の第2の部分を、水素イオンを含むプラズマに曝露することを含む。他の実施形態では、他のタイプのプラズマが使用されてもよい。別の実施形態では、イオン注入プロセスを使用して、所望の領域のLEDスタックをポイズニングすることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、LEDスタックは、基板表面に垂直な平面内に規則的な台形断面を有する柱を含む。規則的な台形断面を有するLEDスタックを形成することにより、LEDスタックは、LEDの基板/発光面に対して傾斜した側壁(傾斜側壁)を含むことができる。いくつかの実施形態では、LEDスタックの傾斜側壁領域は、LEDスタックのメサ部分に対して増加した抵抗率を有することができる。したがって、LEDスタックを通る電流は、一般に、LEDスタックのメサ部分に閉じ込めることができる。傾斜側壁はまた、LEDスタックの発光面に向かって光を内部反射することによって、LEDスタックの活性層で生成された光の光抽出効率を改善することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、LEDスタックを形成することは、基板の基板表面上に第1の半導体層を形成することであって、第1の半導体層は、第1の半導体層の、基板とは反対の側に成長表面を有する、第1の半導体層を形成することと、第1の半導体層の成長表面がメサ表面およびバルク半導体表面を含むように、第1の半導体層の一部を選択的に除去してメサ構造を形成することと、第2の半導体層がメサ表面およびバルク半導体表面を覆うように、第1の半導体層の成長表面上にIII族窒化物を含む第2の半導体層をモノリシックに形成することとを含む。活性層およびp型半導体層は、第2の半導体層上に形成される。したがって、LEDスタックは、LEDスタックの他の層が上に過成長しているメサ構造を組み込むことができる。メサ構造の上に活性層を過成長させることによって、メサ構造と位置整合し、LED構造の側壁領域から離れた活性層の領域内に、電荷キャリアをさらに閉じ込めることができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、第2の半導体層は、第1の半導体層の成長表面上に形成されて、第1の半導体層のメサ表面上の第2の半導体層の第1の部分と、第1の半導体層のバルク半導体表面上の第2の半導体層の第2の部分との間に延在する傾斜側壁部分を提供する。いくつかの実施形態では、第1の半導体層は、n型ドープ半導体(すなわち、n型ドープIII族窒化物半導体)であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、n型ドープ半導体(すなわち、n型ドープIII族窒化物半導体)であってもよい。例えば、第1の半導体層および第2の半導体層は、実質的に同じIII族窒化物から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、実質的に非ドープの半導体(すなわち、意図的なドーパントを一切含まないIII族窒化物半導体)であってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、LEDスタックの第2の領域は、第2の半導体層の第2の領域を含み、LEDスタックの第1の領域は、第2の半導体層の第1の領域を含む。例えば、いくつかの実施形態では、LEDスタックのポイズニングした第2の領域は、LEDスタック表面からp型半導体層および活性層の第2の領域を通じて第2の半導体層の第2の領域まで延在してもよい。したがって、LEDスタックの(ポイズニングした)第2の領域は、p型半導体層、活性層、および第2の半導体層の第2の領域を含む連続領域であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、基板上に第1の半導体層を形成することは、基板表面上にIII族窒化物を含む第1の半導体副層を形成することと、第1の半導体副層上に誘電体副層を形成することであって、誘電体副層は、誘電体副層の厚さを貫通する開口を画定する、形成することと、誘電体副層上にIII族窒化物を含む第2の半導体副層を形成することとを含む。メサ構造を形成するために第1の半導体層の一部を選択的に除去することは、誘電体副層の開口と位置整合されたメサ構造を形成するために第2の半導体副層の一部を選択的に除去することを含む。したがって、電流が流れることができる開口を含むさらなる絶縁副層がLEDスタックのn型側に含まれてもよい。開口は、メサに向かって側壁領域から離れるLEDスタックの電流閉じ込めをさらに改善するために設けられてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、LEDスタックの活性層は、可視光を出力するように構成されている複数の量子井戸層を備える。例えば、LEDスタックの活性層は、少なくとも420nmのピーク波長を有する光を出力するように構成されてもよい。LEDスタックの活性層は、650nm以下のピーク波長を有する光を出力するように構成されてもよい。このように、LEDスタックは、一般に青色、緑色または赤色である可視光を出力するように構成されてもよい。特に、活性層は、少なくとも425nmかつ490nm以下の波長を有する可視光を出力するように構成されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、LED前駆体はマイクロLED前駆体であり、LEDスタックは、基板上に100μm×100μm以下、または10μm×10μm以下の表面積を有する。したがって、第1の態様の方法に従ってマイクロLED前駆体を形成することができる。複数のLED前駆体またはマイクロLED前駆体が、基板上にアレイとして形成されてもよいことが理解されよう。そのような前駆体をさらに処理して、複数のLED/マイクロLEDを含むディスプレイを形成することができる。
【0033】
本開示の第2の態様によれば、LED前駆体が提供される。LED前駆体は、LEDスタックを含む。LEDスタックは複数のIII族窒化物層を備える。LEDスタックは、LEDスタックの発光面に対してLEDスタックの反対の側に形成されたLEDスタック表面を含む。LEDスタック表面の第1の部分は、第1の抵抗率を有するLEDスタック表面の下のLEDスタックの複数の層のうちの少なくとも1つの第1の領域を画定する。LEDスタック表面の第2の部分は、LEDスタック表面の下のLEDスタックの第2の領域を画定し、LEDスタックのそれぞれの層の抵抗率は、LEDスタックの第1の領域に対して増加する。
【0034】
第2の態様によるLED前駆体は、本開示の第1の態様による方法によって形成されてもよい。したがって、LEDスタックの第2の領域は、第2の領域の抵抗率が増加するポイズニングプロセス後に形成され得る。したがって、第2の態様のLED前駆体は、本開示の第1の態様の上記の特徴のすべてを組み込むことができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、LED前駆体は、LEDスタック表面の第1の部分に形成された接触層をさらに備える。したがって、接触層は、LEDスタック表面の第1の部分および第2の部分を画定するための自己整合マスクとして機能することができる。いくつかの実施形態では、接触層は、LEDスタック表面の第1の部分と、LEDスタック表面の第2の部分の少なくとも一部とを覆うように形成されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、LEDスタックは、LEDスタックの発光面を提供するIII族窒化物を含む第1の半導体層と、III族窒化物を含み、第1の半導体層上に設けられる活性層と、III族窒化物を含み、活性層上に設けられるp型半導体層とを備える。p型半導体層の活性層とは反対側のp型半導体層の主面は、LEDスタックのLEDスタック表面を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態では、LED前駆体はマイクロLEDであり、LEDスタックは、基板上に100μm×100μm以下の表面積を有する。いくつかの実施形態において、複数のLED前駆体またはマイクロLED前駆体が、基板上にアレイとして形成されてもよい。そのような前駆体をさらに処理して、複数のLED/マイクロLEDを含むディスプレイを形成することができる。
【0038】
本開示の第3の態様によれば、LEDを提供することができる。LEDは、発光面からポンプ光波長を有するポンプ光を放出するように構成されたLED層を含む。LED層は、本開示の第2の態様によるLED前駆体を含む。LEDはまた、LED層の発光面上に設けられたコンテナ層を含む。コンテナ層は、コンテナ層の、発光面とは反対の側にコンテナ表面を有する。コンテナ表面は、コンテナ層を貫通してLED層の発光面までのコンテナ容積を画定する開口部を含む。LEDはまた、コンテナ容積内に設けられた色変換層も備える。色変換層は、ポンプ光を吸収し、ポンプ光波長よりも長い変換光波長の変換光を放出するように構成される。LEDはまた、開口部の上のコンテナ表面に設けられたレンズであって、レンズの、色変換層とは反対の側に凸面を有するレンズも備える。
【0039】
したがって、光束の分布の改善に起因してホットスポットが低減された、色変換層を含むLEDが提供される。したがって、本開示の第3の態様の色変換層は、改善された寿命を有することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、第3の態様のLEDは、LEDアレイ(すなわち、複数のLED)として提供されてもよい。したがって、複数のLED前駆体をLED層に設けることができ、複数のコンテナ容積を設けることができる。さらなる色変換層が、複数のコンテナ容積のうちのさらなるコンテナ容積内に設けられてもよく、さらなる色変換層は、ポンプ光を吸収し、第1の変換光波長よりも長い第2の変換光波長の第2の変換光を放出するように構成される。レンズは、さらなるコンテナ容積の上に設けられてもよい。したがって、異なる色(例えば、赤、緑、青)を有するLEDのアレイを設けることができる。
【0041】
図面の簡単な説明
ここで、本開示を、以下の非限定的な図面に関連して説明する。本開示のさらなる利点は、図面と併せて考慮すると、詳細な説明を参照することによって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】メサ構造を含む第1の半導体層が設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
図2】過成長した第2の半導体層を有する第1の半導体層が設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
図3】LEDスタックが基板上に設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
図4】本開示の一実施形態による、ポイズニングプロセスを受けているLEDスタックの第1の断面A-A’の図である。
図5】本開示の一実施形態による、ポイズニングプロセスを受けているLEDスタックの第2の断面A-A’の図である。
図6】LEDスタック表面の平面図である。
図7a】格子状パターンを有するLEDスタック表面の平面図である。
図7b】環状パターンを有するLEDスタック表面の平面図である。
図8】本開示の一実施形態によるバックプレーンエレクトロニクス基板に接合されたLEDの図である。
図9】マスキング層を使用してLEDスタック表面の複数の第1の部分を画定したLED前駆体の一実施形態を示す図である。
図10】絶縁副層を有するLED前駆体の断面図である。
図11】絶縁副層を有するLED前駆体のさらなる断面図である。
図12】本開示の一実施形態による色変換層を含むLEDアレイの図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
詳細な説明
本開示の第1の態様によれば、発光ダイオード(LED)前駆体1、および、発光ダイオード前駆体1を形成する方法が提供される。
【0044】
本開示の一実施形態によるLED前駆体1は、基板10と、LEDスタック12と、接触層14とを備える。接触層14は、接触層14が接触層の下のLEDスタック12の第1の領域を画定するように、LEDスタック12の第1の部分を覆うLEDスタック表面の第1の部分15aに設けられる。LEDスタック表面の第2の部分15bは、LEDスタック表面15の第2の部分の下のLEDスタック12の第2の領域を画定する。LEDスタック12の第2の領域において、LEDスタックの複数の層のうちの少なくとも1つの抵抗率は、LEDスタックの第1の領域におけるLEDスタック12のそれぞれの層の抵抗率に対して増加している。
【0045】
いくつかの実施形態では、LED前駆体はマイクロLED前駆体であってもよく、LEDスタックは、基板10上に100μm×100μm以下、または10μm×10μm以下の表面積を有する。
【0046】
基板10は、III族窒化物電子デバイスの形成に適した任意の基板10であってもよい。例えば、基板10は、サファイア基板であってもよく、または、シリコン基板であってもよい。基板10は、III族窒化物層の形成に適した基板表面を提供するように構成された1つ以上のバッファ層を備えることができる。
【0047】
LEDスタック12は、複数の層を含む。LEDスタック12の各層は、III族窒化物を含む。いくつかの実施形態では、LEDスタックは、第1の半導体層、活性層、およびp型半導体層を含む。LEDスタック12は、可視光を生成することができるIII族窒化物半導体接合を提供するように構成される。LEDスタックのIII族窒化物層は、様々な構成で提供されてもよい。ここで、LEDスタック12を形成するための方法の可能な一例を、図1図4を参照して説明する。LEDスタック12を形成する方法のさらなる詳細は、英国特許第1912853.7号にも見出すことができる。
【0048】
図1に示すように、その上にLEDを形成するための基板10を設けることができる。基板は、III族窒化物光電子デバイスの形成に適した任意の基板10であってもよい。
【0049】
基板表面上に第1の半導体層20を形成することができる。第1の半導体層20はIII族窒化物を備える。いくつかの実施形態では、第1の半導体層20は、n型ドープされてもよい。他の実施形態では、第1の半導体層20は意図的にドープされなくてもよい。
【0050】
例えば、図1の実施形態では、第1の半導体層20はGaNを備える。GaNは、適切なドーパント、例えばSiまたはGeを使用してn型ドープされてもよい。第1の半導体層20は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)または分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。第1の半導体層20は、基板10に対して第1の半導体層20の反対側の、第1の半導体層20の表面である第1の表面を有する。第1の表面は、LED構造の層が上に堆積される成長表面22の少なくとも一部分を形成するために使用される。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の半導体層20は、基板10の表面に平行に設けられた(0001)結晶面を有する基板上に形成されてもよい。
【0052】
第1の半導体層20の成長表面22は、その後、選択的除去プロセスを用いて成形されてもよい。したがって、第1の半導体層20の成長表面22がメサ表面25およびバルク半導体層表面26を備えるように、第1の半導体層20の部分が選択的に除去されて、メサ構造24が形成される。
【0053】
例えば、図1において、成長表面22は、エッチングプロセスを使用して成形することができる。エッチングプロセスにおいて、メサ画定マスク層(図示せず)を、第1の半導体層20の第1の表面上に堆積することができる。メサ画定マスク層は、成長表面のメサ表面25を形成するように意図された第1の半導体層20の部分をマスクするように構成される。次いで、典型的にはCl系ガスを使用する誘導結合プラズマシステムにおいて、ドライエッチングプロセスを使用して、第1の半導体層20のマスクされていない部分を選択的に除去することができる。エッチャントは、第1の半導体層20の一部分をエッチング除去して、第1の半導体層20のバルク半導体層表面26を露出させることができる。すなわち、エッチャントは、第1の半導体層20の厚さを完全にエッチングして基板10を下方に露出させなくてもよい。次いで、メサ画定マスク層を第1の半導体層から除去することができる。上記のプロセスに従うことによって、第1の半導体層20は、例えば図1に示すように、バルク半導体層表面26上にモノリシックに設けられたメサ構造24を提供するように成形することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1の半導体層20のメサ表面25部分は選択的に除去されなくてもよい。したがって、基板10に対するメサ表面25の配向は、選択的除去ステップ後に不変であり得る。したがって、メサ表面25は、基板の表面に平行であり得る。いくつかの実施形態では、バルク半導体表面26も基板10と実質的に平行になるように、第1の半導体層がエッチングされる。したがって、第1の半導体層20のメサ表面25およびバルク半導体表面26は両方とも、互いに実質的に平行な表面であり得る。いくつかの実施形態では、メサ表面25およびバルク半導体表面26は、第1の半導体層20を形成するIII族窒化物の(0001)面に配向することができる。
【0055】
図1において、メサ構造24は、バルク半導体表面26およびメサ表面25に対して実質的に垂直な側壁を含む。他の実施形態では、メサ構造24は、傾斜側壁を有して形成されてもよい。例えば、異なるエッチャントを使用して、選択的除去プロセス中に形成される側壁の形状を制御することができる。
【0056】
次に、LEDスタック12の追加の層を、第1の半導体層20の成長表面22上にモノリシックに形成することができる。LEDスタック12の追加の層は、メサ表面25およびバルク半導体層表面26を覆う。したがって、LEDスタック12は複数の層を備え、各層はIII族窒化物を備える。いくつかの実施形態では、III族窒化物は、AlInGaN、AlGaN、InGaNおよびGaNのうちの1つ以上を備える。
【0057】
LEDスタック12をモノリシックに形成することは、単一部品としてLED構造を形成することを指す。すなわち、LEDスタック12の追加の層は、第1の半導体層20の成長表面上に単一部品として形成される。
【0058】
本開示の一実施形態では、図2に示すように、第2の半導体層30を第1の半導体層20上に堆積させることができる。第2の半導体層30は、基板10に対して第1の半導体層20の反対側で、第1の半導体層20上に形成される。したがって、第2の半導体層30は、モノリシックLED構造の複数の層のうちの第1の層を形成する。参考までに、図2は、図1の成長表面22の輪郭を破線として概略的に示している。
【0059】
第2の半導体層30は、III族窒化物を成長させるための任意の適切な成長方法によって成長表面22上に形成されてもよい。図2の実施形態では、第2の半導体層30は、成長表面22の上にモノリシックに形成される(すなわち、過成長方法)。第2の半導体層30は、成長表面22の実質的に全体を覆う連続層として形成されてもよい。第2の半導体層30は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)または分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0060】
第2の半導体層30はIII族窒化物を備える。図2の実施形態では、第2の半導体層30はGaNを備える。第2の半導体層は、n型ドープされていてもよい。GaNは、適切なドーパント、例えばSiまたはGeを使用してn型ドープされてもよい。図2の実施形態では、第2の半導体層30は意図的にドープされていない。したがって、第2の半導体層30は、(実質的に)ドープされていない層であってもよい。実質的にドープされないことにより、III族窒化物層は、有意な量のドーパント元素を含まないが、製造プロセスの結果としていくらかの不純物が存在し得ることが理解される。したがって、実質的にドープされていないIII族窒化物は、意図的にドープされなくてもよい。
【0061】
第1の半導体層20上に第2の半導体層30を成長させることにより、第2の半導体層は、第1の半導体層20の結晶構造に対応する結晶構造を有することができる。例えば、第1の半導体層20のメサ表面25がIII族窒化物の(0001)面に配向している場合、第2の半導体層30も同様の結晶方位で成長することができる。
【0062】
図2の実施形態では、第2の半導体層30は、成長表面22上に形成されて、第1の半導体層のメサ表面25上の第2の半導体層の第1の部分34と、第1の半導体層のバルク半導体表面26上の第2の半導体層の第2の部分36との間に延在する傾斜側壁部分32を提供する。したがって、第2の半導体層30を第1の半導体層20のメサ構造24上に過成長させて、第2の半導体層のメサ表面35を備え、傾斜側壁部分33によって囲まれたIII族窒化物半導体層を提供することができる。このように、第2の半導体層30は、基板10の基板表面上に形成されて、基板表面に平行な(n型)メサ表面35と、基板表面に対して傾斜したn型メサ表面35を囲む(n型)側壁面33とを画定してもよい。
【0063】
したがって、第2の半導体層30は、基板に垂直な規則的な台形断面を有する柱を形成するためにメサ構造24上に過成長することができ、第2の半導体層のメサ表面35は台形断面の実質的に平坦な上面を形成する。第2の半導体層のメサ表面35は、層が上に形成される基板表面に平行な面に配向することができる。
【0064】
「規則的な台形断面」 とは、柱が底部よりも頂部で狭く、傾斜した直線状の側面を有して、実質的に平坦な上面を有することを意味する。これは、円錐台形状、またはより大きい可能性として、3つ以上の側面、典型的には6つの側面を有する切頭角錐形状をもたらし得る。「規則的な台形断面」 という記載は、メサ構造24の上に成長した第2の半導体層の第1の部分34を参照する。第2の半導体層34の第1の部分は、第2の半導体層の、メサ構造24とは反対側の表面を含む。第2の半導体層表面の第1の部分35は、メサ表面24とほぼ平行である。台形断面は、第2の半導体層の連続した平面部分の上に延在する第2の半導体層の不連続部分である。柱の台形断面の先細の側面が、本明細書においては側壁部分33として参照される。
【0065】
いくつかの実施形態では、柱の側壁部分33は、第1の半導体層に平行な面に対して実質的に一定の角度(α)を有する。すなわち、柱の側面と第1の半導体に平行な面との間の角度は大きく変化しない。例えば、角度αは50°~70°であり、より好ましくは58°~64°であり、最も好ましくは約62°である。
【0066】
したがって、いくつかの実施形態では、柱の側壁部分33は、第1の半導体層20の結晶構造の(0001)面に対して傾斜することができる。傾斜側壁は、SAGによって生成される構造と同様に、一般に、ウルツ鉱型結晶の
【0067】
【化2】
【0068】
に沿って配向され、c面(半極性面)と比較して低減した分極場を呈する。
いくつかの実施形態では、第2の半導体層30の柱は、切頭六角錐である。
【0069】
このとき、図2に示すように、第2の半導体層30上に活性層40を形成することができる。活性層40は、モノリシックLED構造の一部分として第1の波長の光を生成するように構成されている。
【0070】
図2の実施形態では、活性層40は、1つ以上の量子井戸層(図示せず)を備えることができる。したがって、活性層40は多重量子井戸層であってもよい。複数の量子井戸層は、可視光を出力するように構成されている。活性層40内の量子井戸層は、III族窒化物半導体、好ましくはInを備えるIII族窒化物合金を備えることができる。例えば、図2の実施形態では、活性層40は、GaNとInGa1-zNとが交互になった層を備えることができ、0<Z≦1である。量子井戸層の厚さおよびIn含有量は、活性層によって生成される光の波長を制御するために制御され得る。活性層40は、第2の半導体層30の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。活性層40は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)または分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0071】
第2の半導体層30上への活性層40の堆積は、メサ表面25上に設けられた第2の半導体層の第1の部分35上では比較的高い堆積速度で、かつ傾斜側壁33上では著しく低い堆積速度で行われ得る。この効果は、様々な表面の異なる結晶面配向から生じ、傾斜側壁33上よりもメサ表面25、35の上がより厚い活性層40をもたらす。この効果は、英国特許第1811109.6号明細書にさらに詳細に記載されている。
【0072】
次いで、LEDスタック12のさらなる層を、第2の半導体層30に対して活性層40の反対側で、活性層40上に堆積させることができる。図3は、LEDスタック12を構成する複数の層の一例を示す。LEDスタック12の複数の層は、各々、連続層として形成されてもよい。
【0073】
図3の実施形態では、非ドープGaNを備える第2の半導体層30が第1の半導体層20上に形成される。図3の第1の半導体層は、n型ドープGaNを備える。第2の半導体層30の上には、上述したように、活性層40が設けられている。
【0074】
図3の実施形態では、活性層40上に電子ブロック層50が設けられている。電子ブロック層50は、第2の半導体層30が設けられた活性層40の側面とは反対側で、活性層40の側面上に設けられている。電子ブロック層50はIII族窒化物を備える。電子ブロック層50は、活性層40の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。電子ブロック層50は、活性層30からモノリシックLED構造のp型半導体層60への電子の流れを低減するように構成される。例えば、図3の実施形態では、電子ブロック層50はAlGa1-xNを備えることができる。適切な電子ブロック層50のさらなる詳細は、少なくともSchubert,E.(2006).Light-Emitting Diodes.Cambridge:Cambridge University Pressに見出すことができる。
【0075】
図3に示すように、活性層40の上には、p型半導体層60が設けられている。p型半導体層60は、活性層40が設けられた電子ブロック層50の側面とは反対側で、電子ブロック層50の側面上に設けられている。p型半導体層60はIII族窒化物を備える。p型半導体層は、適切な電子受容体、例えばMgでドープされる。p型半導体層60は、活性層40(または存在する場合は電子ブロック層50)の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。
【0076】
したがって、p型半導体層60は、メサ構造24と実質的に位置整合された第1の部分64を備えてもよい。すなわち、p型半導体層の第1の部分65の表面は、メサ表面25の上に位置整合されて設けられている(すなわち、それぞれの表面の中心が位置整合されている)。p型半導体層60はまた、メサ表面24から離れたバルク半導体表面26の少なくとも一部分を覆う第2の部分66を備える。p型半導体層の第2の部分66は、バルク半導体表面26に対してp型半導体層60の反対側でバルク半導体表面と位置整合した表面67を含む。p型半導体層の傾斜側壁部分62は、p型半導体層の第1の部分64と第2の部分66との間に延在する。
【0077】
したがって、複数のIII族窒化物層を含むLEDスタック12を基板10上に製造することができる。無論、上記の方法は、本開示によるLEDスタック12を形成する方法の一例にすぎないことが理解されよう。LEDスタック12を形成するための適切な方法の別の例は、英国特許第1811109.6号に記載されている。上記の説明から理解されるように、LEDスタック12は、ほぼ円柱形状を有するように形成されてもよい。すなわち、柱は、基板10から基板にほぼ垂直な方向に延在する。柱は、一般に台形(例えば、規則的な台形断面)である基板表面に垂直な平面内の断面を有することができる。例えば、図1図3の方法に従って形成されたLEDスタック12は、規則的な台形断面を含む。
【0078】
LEDスタック12の形成に続いて、LEDスタック12上に接触層14が形成される。例えば、図4に示すように、図3に示す実施形態のLEDスタック表面15の第1の部分上に接触層14を形成することができる。より具体的には、接触層14は、p型半導体層65aの第1の部分の表面の第1の副部上に形成されてもよい(すなわち、p型半導体層65のメサ表面を部分的にのみ覆う)。接触層14は、LEDスタック表面の第2の部分15bを覆っていない。したがって、LEDスタック表面15bの第2の部分は露出したままであってもよい。図4では、接触層14によって覆われていないp型半導体層65bの第1の部分の表面の第2の部分が露出している。
【0079】
接触層14は、LEDスタック12への電気接点を形成するように構成される。例えば、図4の実施形態では、接触層14は、p型半導体層60に対する抵抗接点を形成するように構成される。接触層14は、LEDスタック14に対する抵抗接点を形成するのに適した材料を含むことができる。例えば、図4の実施形態では、接触層は、Ti、Al、Ni、Pd、ITOなどの金属を含んでもよい。
【0080】
接触層の形成に続いて、LEDスタック表面の露出した第2の部分15bを、ポイズニングプロセスに供することができる。ポイズニングプロセスは、LEDスタック表面の露出した第2の部分15bの下の領域におけるLEDスタック12の層のうちの少なくとも1つの抵抗率を選択的に増加させるように構成される。
【0081】
いくつかの実施形態では、ポイズニングプロセスは、LEDスタック表面の露出した第2の部分15bを表面処理に供することを含む。表面処理プロセスは、p型半導体層60内の正孔の補償によってp型半導体層60の抵抗率を選択的に増加させることができる。例えば、LEDスタックの露出した第2の部分15b(すなわち、プラズマ処理プロセスに対するp型半導体層65bの曝露部分)の曝露は、p型半導体層60内の正孔を補償することができる。p型半導体層60内の正孔の補償は、補償された領域内のp型半導体層の局所抵抗率を増加させ、一方、非露出領域(すなわち、LEDスタック表面15 aの第1の部分の下のp型半導体層の領域)の抵抗率はほぼ変化しないままである。適切なプラズマ処理プロセスは、水素プラズマ(すなわち、水素イオンを含むプラズマ)、CFプラズマ、またはCHFプラズマへの曝露を含む。他のプラズマ処理もまた、III族窒化物における正孔の補償に適し得る。
【0082】
ポイズニングプロセスは、p型半導体層のみの抵抗率を増加させることに限定されず、LEDスタックの他の層の低効率も増加させる。例えば、いくつかの実施形態では、LEDスタックのポイズニングは、LEDスタック12の層を貫通してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、LEDスタックの第2の領域は、電子ブロック層50、活性層40、第2の半導体層30、および第1の半導体層20の第2の領域を含んでもよい。ポイズニングプロセスの条件(例えば、持続時間)に応じて、ポイズニングプロセスがLEDスタック12に貫入する深さを制御することができる。したがって、いくつかの実施形態では、p型半導体層60のみがポイズニングされる一方、他の実施形態では、ポイズニングプロセスは、例えば電子ブロック層50、活性層40、および第2の半導体層30の第2の領域を含むLEDスタックの第2の領域を画定することができる。特に、いくつかのLEDスタックは、側壁領域と活性層40との間で比較的高い漏れ電流を生じやすい。したがって、活性層40の第2の領域をポイズニングすることによって、活性層から生じる側壁漏れ電流を低減することができ、それによってLED内の電流閉じ込めを改善することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、ポイズニングプロセスは、LEDスタック表面の露出した第2の部分15bをイオン注入プロセスに供することを含んでもよい。接触層14は、LEDスタック表面の第1の部分15aの下のLEDスタック12の領域のマスクとして機能する。したがって、イオン注入プロセスは、LEDスタック表面の露出した第2の部分15bの下のLEDスタック12の領域のみに実質的に影響を及ぼし得る。イオン注入プロセスは、接触層14によって覆われたLEDスタック表面の第1の部分15aの下のLEDスタック12の領域に影響を与えなくてもよい。イオン注入プロセスは、イオンが注入されるLEDスタック12の層の抵抗率を増加させるイオンを注入することができる。イオン注入プロセスのエネルギーに応じて、イオンは、p型半導体層60の下のLEDスタック12の層に注入されてもよいことが理解されよう。したがって、第1の半導体層20、第2の半導体層30、活性層40、または電子ブロック層50のうちの少なくとも1つの領域の抵抗率は、ポイズニングプロセスによって増加され得る。
【0084】
LEDスタックの領域の抵抗率を増加させるために、LEDスタック12に様々なイオンを注入することができる。例えば、比較的高い抵抗率の領域を形成するのに適したイオンには、H、N、He、ZnまたはCが含まれる。無論、本開示は上記の例に限定されず、他の原子または分子が使用されてもよい。
【0085】
ポイズニングプロセスの結果として、LEDスタック12の領域の抵抗率を増加させることができる。例えば、図4の実施形態では、p型半導体層60は水素プラズマに曝露される。堆積されたままのp型半導体層60は、p型ドープGaNを含む。堆積されたままのp型半導体層60は、約0.5Ω・cmの抵抗率を有することができる。ポイズニングプロセスに続いて、LEDスタック表面の露出した第2の部分15bの下のp型半導体層60の領域は、堆積時の抵抗率値の抵抗率の少なくとも10倍の抵抗率増加を有することができる。例えば、約0.5Ω・cmの抵抗率を有する堆積されたままのp型半導体層の場合、ポイズニングプロセスは、抵抗率を少なくとも5Ω・cmに増加させることができる。いくつかの実施形態では、ポイズニングプロセスは、抵抗率を堆積されたままの抵抗率の値の10,000倍以下の低効率に増加させることができる。p型半導体層の非露出領域、例えば、接触層14の下のp型半導体層の領域は、堆積されたままの値からほぼ変化しない抵抗率を有することができる。
【0086】
LEDスタック表面の露出領域15bをポイズニングプロセスに供することによって、LEDスタック12の第2の領域は、LEDスタックの第1の領域と比較して増加した局所抵抗率を有することができる。したがって、傾斜側壁に向かってLEDスタック12の局所抵抗率が増加する。したがって、LEDスタックの中央メサ部分から側壁領域への電流の流れが低減されるため、側壁領域を通る漏れ電流を低減することができる。
【0087】
さらに、図4の実施形態では、p型半導体層62の傾斜側壁部分の表面65cもまた、ポイズニングプロセスに曝露される。したがって、LEDスタックの傾斜側壁部分62(典型的には、LEDスタック12のメサ部分よりも高い堆積時の抵抗率を有する)もさらにポイズニングされる。したがって、p型半導体層の傾斜側壁部分65cもポイズニングプロセスに曝露することによって、側壁漏れ電流をさらに低減することができる。
【0088】
図4の実施形態では、接触層14によって覆われたLEDスタック表面の第1の部分15 aのみが、ポイズニングプロセスに曝露されない。このように、ポイズニングプロセスに曝露されるLEDスタック表面の第2の部分15bは、p型半導体層65bの第1の部分の表面の第2の副部、p型半導体層の傾斜側壁部分65cの表面、およびp型半導体層の第2の部分66の表面67を含む。
【0089】
ポイズニングプロセスに続いて、LEDスタック12の側壁部分にパッシベーション層70を堆積させて、LEDスタック表面15cの表面状態を不動態化することができる。例えば、図5の実施形態では、LEDスタック12を不動態化するために、LEDスタックの側壁およびバルク半導体領域上にパッシベーション層70が堆積される。パッシベーション層は、典型的には、SiNまたはSiO2層などの誘電体層である。
【0090】
図5の実施形態は、LEDスタック12の側壁部分を覆うパッシベーション層70のみを示しているが、パッシベーション層70は、LEDスタック12の他の表面を不動態化するために設けられてもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態では、パッシベーション層70は、ポイズニングプロセス後にLEDスタック表面の第2の部分15bまたは接触層14の少なくとも一部を覆うように設けられてもよい。例えば、パッシベーション層70は、ポイズニングプロセス後に、図4の実施形態のLEDスタック表面15および接触層14の全体にわたって形成されてもよい。次いで、電気接点を形成するための接触層14へのアクセスを提供するために、パッシベーション層70の一部を選択的に除去することができる。
【0091】
図6は、LED前駆体の上方からのLEDスタック表面15の平面図を示す。図6は、接触層14およびLEDスタック表面の露出した第2の部分15bを含むLEDスタック表面15を示す。LEDスタックの傾斜側壁15 cも、LEDスタック表面を囲んで示されている。図4に示すLEDスタック12の断面は、線A-A’に沿った図6のLEDスタック12の断面を表す。図5内のLEDスタックの断面は、線B-B’に沿った図6のLEDスタック12の断面を表す。
【0092】
図4の実施形態では、接触層14は、ポイズニングプロセスのためにLEDスタック表面15を効果的にパターン化するために使用される。他の実施形態では、接触層の代わりにマスキング層(図示せず)が堆積されてもよい。マスキング層を、接触層14と同様に使用して、ポイズニングプロセスのためのLEDスタック表面の第1の部分15aおよび第2の部分15bを画定することができる。ポイズニングプロセスに続いて、マスキング層を除去し、接触層14を堆積させることができる。LEDスタック表面の第1の部分15aおよび第2の部分15bを画定するためにマスキング層を使用することによって、接触層は、その後、LEDスタック表面の第1の部分15aに対して異なる形状(パターン)で堆積されてもよい。
【0093】
マスキング層は、ポイズニングプロセスに供されないLEDスタック12の複数の領域を画定するために設けられてもよい。マスキング層は、パターン化されたマスキング層を画定するために、リソグラフィなどの任意の適切な技法を使用して形成することができる。マスキング層は、任意の適切なマスキング材料を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、マスキング層はSiOを含んでもよい。
【0094】
図7aは、本開示の一実施形態による、複数の第1の領域15aおよび第2の領域15bを画定するようにマスキング層によってパターニングされたLEDスタック表面15のLED前駆体のさらなる平面図を示す。図7aは、接触層14の形成前の、LEDスタック表面15の上から見たLED前駆体のp型半導体層65の第1の部分の平面図を示す。図7aの実施形態では、LEDスタック表面の複数の第2の部分15bおよびLEDスタック表面の複数の第1の部分15aを画定するために、LEDスタック表面15がパターニングされている。
【0095】
図7aのLEDスタック表面15は、LEDスタック表面のパターン化領域15d内に格子状パターンを含むようにパターニングされている。パターン化領域15dは、LEDスタック表面の複数の第1の部分15aおよび第2の部分15bを含む。パターン化領域は、ホットスポットを低減するために電流を分配するための第2のLEDスタック部分のパターンを画定するように構成される。図7aの実施形態では、接触層14は、パターン化領域15dの上に形成される(図7aに破線で示す)。パターン化領域15dは、電流漏れ周縁領域15eによって囲まれている。電流漏れ周縁領域は、マスキングされていない環状の領域(すなわち、LEDスタック表面の第2の部分15b)である。電流漏れ周縁領域15bは、LEDスタックの側壁領域からの漏れ電流を低減するように配置される。
【0096】
図7aの実施形態では、マスキング層(図示せず)を使用してパターンを形成しているが、他の実施形態では、接触層12を使用してパターンを形成してもよい。他の実施形態では、接触層12とマスキング層との組み合わせを使用して、ポイズニングプロセスのためのLEDスタック表面15上のパターンを画定することができる。
【0097】
図7aのLEDスタック表面15は、LEDスタック表面の1つ以上の露出した第2の部分15bを画定するためにパターニングされることが理解されよう。図7aの実施形態では、LEDスタック表面の第1の部分15aおよび第2の部分15bは、LEDスタック表面の露出した第2の部分15bのための格子状パターンを画定するように配置される。したがって、ポイズニングプロセス後に抵抗率が増加したLEDスタック12の領域は、LEDスタック12の表面積にわたって分布し得る。したがって、使用中にLEDによって生成される光束密度は、LEDの表面積にわたってより均一に分布することができ、その結果、ホットスポットが減少する。
【0098】
図7aに示す実施形態は、格子状パターンを含むが、他の実施形態では、LEDスタック表面15は、様々な異なるパターンでパターン化されてもよいことが理解されよう。例えば、図7bでは、LEDスタック表面15は、パターン化領域15dおよび電流漏れ周縁領域15eによってパターン化されている。図7bの実施形態では、パターン化領域15dは、中央部分を取り囲む複数の環状部分を含むパターンを画定する。したがって、LEDスタック表面の第1の部分15aおよび第2の部分15bは、LEDスタック表面の複数の環状の第2の部分15bを画定するように配置されてもよい。図7bの実施形態では、LEDスタック表面12の環状の第2の部分は、LEDスタック表面の第1の部分15aの中央副部の周りに同心円状に配置されている。環状の第2の部分15bは、互いにほぼ等しい間隔で離間されている(すなわち、LEDスタック表面の第1の部分15aの環状副部によって離間されている)。
【0099】
図7aの実施形態と同様に、接触層14(破線で示す)は、ポイズニングプロセス後に図7bの実施形態のパターン化領域15d上に形成することができる。
【0100】
図7bの実施形態は、LEDスタック表面の環状の第2の部分15bの可能な一例であることが理解されよう。図7bの実施形態は長方形の環状部分を含むが、他の実施形態では、環状部分は、ほぼ楕円形、三角形、五角形、六角形、または任意の他の多角形であってもよい。すなわち、LEDスタックの環状の第2の部分15bは、任意の適切な形状を有することができる。
【0101】
したがって、上述の方法は、発光ダイオード(LED)前駆体を提供することができる。上記の方法によって形成されたLED前駆体は、LEDスタック12を含む。いくつかの実施形態では、LED前駆体は、基板10上に(すなわち、基板10の基板表面上に)設けられてもよい。他の実施形態では、基板10は除去されてもよい。そのような実施形態では、LEDスタック12は、LEDの、LEDスタック表面15とは反対の側の発光面21から光を放出するように配置されてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、LEDスタック12は、基板表面上に設けられた複数の層を含む。LEDスタックは、基板表面上に設けられたIII族窒化物を含む第1の半導体層20と、第1の半導体層20上に設けられたIII族窒化物を含む活性層40と、活性層40上に設けられたIII族窒化物を含むp型半導体層60と、接触層14とを含む。p型半導体層60の、活性層とは反対の側のp型半導体層60の主面65は、LEDスタック12のLEDスタック表面15を提供する。
【0103】
接触層14は、p型半導体層65の第1の部分を覆うLEDスタック表面の第1の部分15aに設けられ、接触層は、接触層14の下のLEDスタックの第1の領域を画定する。LEDスタック表面の露出した第2の部分15bは、LEDスタック表面の露出した第2の部分15bの下のLEDスタック14の第2の領域を画定し、LEDスタック12の複数の層のうちの少なくとも1つの抵抗率は、LEDスタック12の第1の領域内のLEDスタックのそれぞれの層の抵抗率に対して増加している。
【0104】
例えば、図6の実施形態(図4および図5の断面を参照して)では、LED前駆体が提供される。LED前駆体は、基板10、LEDスタック12、および接触層14を含む。
【0105】
図6のLEDスタック12は、第1の半導体層20と、第2の半導体層30と、活性層40と、電子ブロック層50と、p型半導体層60とを備える。LEDスタック12のIII族窒化物層の構成は、上でより詳細に説明されている。無論、他の実施形態では、III族窒化物層の他の組み合わせを使用してLEDスタック12を形成することができる。
【0106】
図4に示すように、LEDスタック12は、基板表面10に垂直な平面内に規則的な台形断面を有する柱を含む。
【0107】
接触層14は、p型半導体層65aの第1の部分を覆うLEDスタック表面の第1の部分15aに設けられる。接触層は、接触層14の下のLEDスタック12の第1の領域を画定する。
【0108】
LEDスタック表面の第2の部分15bは、LEDスタック表面の第2の部分15bの下のLEDスタック12の第2の領域を画定し、LEDスタック12の複数の層のうちの少なくとも1つの抵抗率は、LEDスタック12の第1の領域内のLEDスタックのそれぞれの層の抵抗率に対して増加している。図6などのいくつかの実施形態では、LEDスタック表面の第2の部分15bを露出させることができる。無論、他の実施形態では、LEDスタック表面の第2の部分15bは、LED前駆体のさらなる材料、例えば間隙充填絶縁体によって覆われてもよい。
【0109】
例えば図6(ならびにまた図7aおよび図7b)の構成などのいくつかの実施形態では、LEDスタック表面の第2の部分15bは、LEDスタック表面の第1の部分15aを取り囲むことができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、LEDスタック14の側壁部分にパッシベーション層70を堆積することもできる。したがって、LED前駆体の側壁部分は、上記の図7の実施形態と同様であり得る。パッシベーション層70は、上でより詳細に論じられている。パッシベーション層はまた、上記で説明したように、後続のポイズニング後プロセスステップ中にLEDスタック表面15bの一部または全体を覆ってもよい。
【0111】
したがって、使用時の光束分布が改善されたLED前駆体1を提供することができる。そのようなLED前駆体は、LEDの発光面にわたってより均一に分布する光を生成することができる。これにより、発光面21上のホットスポットの存在を低減または排除することができる。
【0112】
図4のLED前駆体は、LEDを形成するためにさらなる処理ステップに供することができる。
【0113】
例えば、いくつかの実施形態では、基板10は、LED前駆体から除去されてもよい。本開示の一実施形態によるLEDの一例を図8に示す。図8の実施形態では、図4のLED前駆体は、基板10を除去し、LED前駆体をバックプレーンエレクトロニクス基板100に接合するためにさらに処理されている。基板10の除去に続いて、透明導電性酸化物120が第1の半導体層20の発光面21上に堆積されている。
【0114】
バックプレーンエレクトロニクス基板をLED前駆体に接合する前に、LEDスタック表面は、間隙充填絶縁体80および第1の接合可能誘電体層84によって平坦化されてもよい。間隙充填絶縁体80は、LEDスタック12の表面状態を不動態化するためのパッシベーション層(図5の実施形態におけるパッシベーション層70と同様)として機能することができる。第1の接合可能誘電体層84は、接触層14と位置整合された平坦な接合面86を提供する。接合可能誘電体層84、および間隙充填絶縁体80は、SiO、またはSiN、または任意の他の適切な誘電体を含むことができる。
【0115】
バックプレーンエレクトロニクス基板100は、LEDに電力を供給するように構成された接触面および制御電子機器を備えてもよい。バックプレーンエレクトロニクス基板100の接合面は、第2の接合可能誘電体層104と、バックプレーン接触層102とを備えてもよい。そのようなバックプレーンエレクトロニクス基板100は、当業者に知られている接合のための基板を作成するための様々な方法を使用して、接合のために提供され得る。図8の実施形態では、バックプレーン接触層102は、接触層14と位置整合されてもよい。次いで、バックプレーンエレクトロニクス基板の接合面とLED前駆体の接合面86とを接触させることができる。次いで、温度および/または圧力の印加を加えて、2つの接合可能誘電体層84,104および接触層14,102の間の接合の形成を促進することができる。バックプレーンエレクトロニクス基板100をIII族窒化物LEDに接合するのに適した方法のさらなる詳細は、英国特許第1917182.6号に記載されている。
【0116】
次に、LEDスタック12およびポイズニングプロセスのいくつかの代替的な構成について説明する。
【0117】
上記の実施形態では、接触層14を使用して、ポイズニングプロセスのためにLEDスタック表面15をパターニングするための層の一部を形成することができる。いくつかの実施形態では、マスキング層を使用して、接触層14の形成前にLEDスタック表面15をパターニングすることができる。
【0118】
たとえば、図9は、マスキング層(図示せず)を使用してLEDスタック表面の複数の第1の部分15aを画定したLED前駆体の一実施形態を示す図である。LEDスタック表面の露出した第2の部分15bは、続いて、LEDスタック表面の第2の部分15bに対応するp型半導体層60の領域内のp型半導体層60の抵抗率を増加させるためにポイズニングプロセスに供されている。LEDスタック表面の第1の部分に対応するp型半導体層60の領域は、堆積されたままのp型半導体層60と実質的に同じ抵抗率を有してもよい。
【0119】
ポイズニングプロセスに続いて、図9の実施形態では、マスキング層が除去され、接触層14がLEDスタック表面15にわたって堆積される。したがって、接触層14は、LEDスタック表面の第1の部分15aおよび第2の部分15bの両方を覆う。
【0120】
LEDスタック表面15上の第1の部分および第2の部分を画定するために使用されるマスキング層(図示せず)は、任意の適切なパターンを有することができる。例えば、マスキング層は、図7aに示すような格子状パターン、または図7bに示すような環状パターンに構成されてもよい。したがって、マスキング層を使用して、LEDスタック表面15のパターンを画定することができ、これは、LEDが使用されているときに活性層40内のホットスポットの形成を低減することを目的とする。
【0121】
本開示のさらなる実施形態では、LEDスタック12のn型側のLEDスタック12内に絶縁副層を含めることによって、LEDスタック12の周縁の周りの漏れ電流をさらに低減することができる。絶縁副層28は、第1の半導体層20の一部として形成される。絶縁副層28は、絶縁副層28を貫通する開口を備える。開口は、電荷キャリアをLEDスタック12の中央部分に向かって案内し、LEDスタック12の周縁の周りの漏れ電流を低減するために、LEDスタック12と位置整合される。
【0122】
例えば、図10の実施形態では、第1の半導体層20は、第1の半導体副層27、絶縁副層28および第2の半導体副層29を備える。
【0123】
第1の半導体副層27はIII族窒化物を備える。基板表面上に第1の半導体副層27が形成される。第1の半導体副層27は、上述の第1の半導体層20と実質的に同じ方法で形成することができる。
【0124】
絶縁副層28は、第1の半導体副層27上に形成される。絶縁副層は、第1の半導体副層27にわたって実質的に連続した層として形成される。その後、第1の半導体副層27が露出するように、絶縁副層の厚さを貫通する開口が形成される。絶縁副層28の平面内の開口表面積は、LEDスタック表面12の表面積以下である。いくつかの実施形態では、開口の表面積は、LEDスタック表面12の表面積の50%以下である。開口は、一般に、LED表面12の平面内のLED前駆体の中心の周りに中心付けられてもよい。
【0125】
第2の半導体副層29は、絶縁副層28上に形成され、絶縁副層28の開口内にも形成される。第2の半導体副層29は、絶縁副層上のIII族窒化物を含む。第2の半導体副層29は、第1の半導体層27と同じIII族窒化物を含んでもよい。第2の半導体層29は、上述のように第1の半導体層20の成長表面22を提供するために、実質的に連続した層として絶縁副層28にわたって形成されてもよい。したがって、図10および図11の実施形態によるLED前駆体を形成するとき、メサ構造24を形成するために第1の半導体層20の一部を選択的に除去することは、絶縁副層28の開口と位置整合されたメサ構造24を形成するために第2の半導体副層29の一部を選択的に除去することを含む。
【0126】
メサ構造24の形成に続いて、LEDスタック12の他の層は、図1図6の実施形態について上述した方法と同様の方法で形成することができる。
【0127】
本開示の一実施形態によれば、LED前駆体は、色変換材料を含むLED内に形成されてもよい。例えば、図12は、本開示の実施形態による複数のLED前駆体から形成されたLED200のアレイの図を示す。図12に示すLEDアレイは、緑色LED202、赤色LED204、および青色LED206を備える。
【0128】
LEDアレイ200は、光生成層220を備える。光生成層220はアレイLEDを含み、ポンプ光を出力するように構成された各半導体接合部は、本開示によるLED前駆体から形成される。
【0129】
図12に示すように、LEDアレイ200は、コンテナ層230を含む。コンテナ層230は、光生成層220の発光面上に設けられる。コンテナ層230は、光生成層220の発光面224上に複数のコンテナ容積231,232,233を画定する複数の内側壁234を含む。各コンテナ容積は、コンテナ層を通じて(すなわち、コンテナ層230の厚さを通じて)提供される。したがって、各コンテナ容積231,232,233は、コンテナ層のコンテナ表面235の開口部から発光面224を通って延在する。
【0130】
図2に示すように、コンテナ容積231,232のうちの少なくとも1つは、色変換層241を選択的に含むことができる。図12の実施形態において、第1の(緑色)コンテナ容積231は、第1の(緑色)色変換層241を含む。第2の(赤色)コンテナ容積232は、第2の(赤色)色変換層242を含む。各色変換層は、ポンプ光を異なる波長の変換光に変換するように構成される。例えば、第1の色変換層241は、ポンプ光を緑色可視光に変換するように構成されてもよく、一方、第2の色変換層242は、ポンプ光を赤色可視光に変換するように構成されてもよい。したがって、色変換層は、少なくとも440nmかつ/または480nm以下の波長を有するポンプ光を変換するように構成されてもよい。第1の色変換層241は、ポンプ光を少なくとも500nmかつ/または560nm以下の波長を有する変換光に変換してもよい。第2の色変換層242は、ポンプ光を少なくとも590nmかつ/または650nm以下の波長を有する変換光に変換してもよい。
【0131】
いくつかの実施形態では、色変換層241,242は量子ドットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、色変換層241,242は蛍光体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、色変換層241,242は、蛍光体と量子ドットとの組み合わせを含んでもよい。表面積が1mmを超えるコンテナ容積を有するLEDおよびLEDアレイの場合、蛍光体の粒径が大きいほど有利であり得る。表面積が1mm未満のコンテナ容積を有するLEDおよびLEDアレイ、例えばマイクロLEDの場合、粒径が小さいため、量子ドットを含む色変換層を使用することが有利であり得る。量子ドットを含む色変換材料は当業者に既知である。色変換層として使用するのに適した量子ドットのさらなる詳細は、少なくとも「Monolithic Red/Green/Blue Micro-LEDs with HBR and DBR structures」Guan-Syun Chen他に見出すことができる。
【0132】
図12に示すように、色変換層241,242は、コンテナ容積231,232にわたって延在してもよい。コンテナ容積231,232は、色変換層によって少なくとも部分的に充填される。
【0133】
図12に示すように、LEDアレイ200のコンテナ容積233の少なくとも1つは、色変換層を一切含まなくてもよい。したがって、LEDアレイ200内のいくつかのLEDは、未充填のコンテナ容積を通してポンプ光を出力することができる。例えば、ポンプ光が青色可視光である場合、コンテナ容積は、青色LED300を提供するために色変換層を含まなくてもよい。
【0134】
図12に示すように、レンズ251はまた、第1の色変換層241を覆う開口部の上のコンテナ表面235に設けられてもよい。レンズ251は、レンズの、第1の色変換層241とは反対の側に凸面を有する。レンズは、LEDと外部環境との間の界面において内部全反射される変換光の量を減らすために設けられてもよい。
【0135】
色変換層を備えるLEDの提供に関するさらなる詳細は、英国特許第1911008.9号に見出すことができる。
【0136】
したがって、上述の実施形態に従って、LED前駆体およびLED前駆体を形成する方法を提供することができる。本開示は上述の実施形態に限定されず、様々な変更および変形が添付の特許請求の範囲から当業者には明らかであろうことが理解されよう。
図1
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図7a
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図12