(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】振動流量計における温度流量係数を適用するための装置および関連する方法
(51)【国際特許分類】
G01F 1/84 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01F1/84
(21)【出願番号】P 2022548395
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(86)【国際出願番号】 US2020017529
(87)【国際公開番号】W WO2021162674
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランハム, グレゴリー トリート
(72)【発明者】
【氏名】パンクラッツ, アンソニー ウィリアム
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-503723(JP,A)
【文献】特表2009-510469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試
験コリオリ流量計を校正するための方法であって、
流れる第1流体で満たした前記被試験コリオリ流量計の第1管周期を測定するとともに、前記第1流体よりも密度の大きい流れる第2流体で満たした前記被試験コリオリ流量計の第2管周期を測定することと、
前記第1管周期を前記第2管周期で除算して、前記被試験コリオリ流量計の管周期比を計算することと、
複数の
コリオリ流量計についての管周期比と流管温度補償(FTC)値との間の相関を判定することと、
前記複数の
コリオリ流量計についての管周期比とFTC値との間の前記判定された相関、および前記被試験
コリオリ流量計の前記測定された管周期
比を使用して、剛性相関FTCを計算することと、
前記被試験コリオリ流量計の前記剛性相関FTCを前記被試験
コリオリ流量計の動作ルーチン(314)に適用することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記管周期比がK値を含み、K1がK2によって除算され、K1が空気によって満たされた
コリオリ流量
計の管周期を含み、K2が水によって満たされた
コリオリ流量
計の管周期を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の流量計についての管周期比と
前記FTC値との間の前記
相関が、同じサイズおよびモデルの複数の
コリオリ流量計の前記管周期比と
前記FTC値との間の線形
相関を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記被試験
コリオリ流量計の管周期を測定することが、管周期K1およびK2を測定することを含み、K1が空気によって満たされた前記被試験
コリオリ流量
計の管周期を含み、K2が水によって満たされた前記被試験
コリオリ流量
計の管周期を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記剛性相関FTCを計算することが、前記複数の
コリオリ流量計についての前記管周期比と前記
FTC値との間の相関から導出された勾配値に、前記被試験
コリオリ流量計のK1:K2の比を乗算することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の
コリオリ流量計についての前記管周期比と前記
FTC値との間の相関から導出されたy切片が、前記勾配値と前記被試験
コリオリ流量計のK1:K2比との積から差し引かれる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記剛性相関FTCを前記動作ルーチンに適用する前記ステップが、前記剛性相関FTCを質量流量ルーチンに適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記被試験
コリオリ流量計が直線流管を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コリオリ流量計(5)であって、
処理システム(303)および記憶システム(304)を備えるメータ電子機器(20)と、
導管(103)と、
前記メータ電子機器(20)と通信する
前記導管(103)に取り付けられた複数のピックオフ(105、105’)と、
前記メータ電子機器(20)と通信する
前記導管(103)に取り付けられた駆動部(104)と、を備え、
前記コリオリ流量計の前記剛性相関FTCは
、
第1流体で満たした当該コリオリ流量計(5)の第1管周期を測定するとともに、前記第1流体よりも密度の大きい第2流体で満たした当該コリオリ流量計(5)の第2管周期を測定し、
前記第1管周期を前記第2管周期で除算して、前記コリオリ流量計(5)の管周期比を計算し、
複数のコリオリ流量計についての管周期比と流管温度補償(FTC)値との間の相関を判定し、
前記複数のコリオリ流量計についての前記管周期比と前記FTC値との間の前記判定された相関、および前記コリオリ流量計(5)の前記測定された管周期比を使用して計算され、
前記メータ電子機器(20)
は、前記コリオリ流量計(5)の前記剛性相関FTCを動作ルーチン(314)に適用するように構成される、
コリオリ流量計
(5)。
【請求項10】
前記剛性相関FTCが、前記
コリオリ流量計(5)の測定された管周期を使用して計算される、請求項9に記載のコリオリ流量計。
【請求項11】
前記導管(103)が直線流管を備える、請求項9に記載のコリオリ流量計。
【請求項12】
前記メータ電子機器(20)が、内部のプロセス流体の流体流量を測定し、前記プロセス流体の少なくとも1つの流体特性を判定するように構成される、請求項9に記載のコリオリ流量計。
【請求項13】
前記管周期比がK値を含み、K1がK2によって除算され、K1が空気によって満たされた
コリオリ流量
計の管周期を含み、K2が水によって満たされた
コリオリ流量
計の管周期を含む、請求項9に記載のコリオリ流量計。
【請求項14】
複数の
コリオリ流量計についての管周期比と
前記FTC値との間の前記所定の相関が、同じサイズおよびモデルの複数の
コリオリ流量計の前記管周期比とFTC値との間の線形
相関を含む、請求項9に記載のコリオリ流量計。
【請求項15】
前記
コリオリ流量計(5)の管周期を測定することが、管周期K1およびK2を測定することを含み、K1が空気によって満たされた前記
コリオリ流量計(5)の管周期を含み、K2が水によって満たされた前記
コリオリ流量計(5)の管周期を含む、請求項9に記載のコリオリ流量計。
【請求項16】
前記剛性相関FTCを計算することが、前記複数の
コリオリ流量計についての前記管周期比と前記
FTC値との間の相関から導出された勾配値に、前記
コリオリ流量計(5)のK1:K2の比を乗算することを含む、請求項15に記載のコリオリ流量計。
【請求項17】
前記複数の
コリオリ流量計についての前記管周期比と前記
FTC値との間の相関から導出されたy切片が、前記勾配値と前記
コリオリ流量計(5)のK1:K2比との積から差し引かれる、請求項16に記載のコリオリ流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量計に関し、より詳細には、温度流量係数を判定して振動流量計に適用するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、振動濃度計およびコリオリ流量計などの振動センサが一般に知られており、流量計の導管を通って流れる物質の質量流量および他の情報を測定するために使用される。例示的なコリオリ流量計は、全てJ.E.Smithらによる米国特許第4,109,524号明細書、米国特許第4,491,025号明細書、および米国再発行特許出願31,450に開示されている。これらの流量計は、直線または湾曲構成の1つ以上の導管を有する。例えば、コリオリ質量流量計の各導管構成は、単純な曲げ、ねじり、または結合型とすることができる固有振動モードのセットを有する。各導管は、好ましいモードで振動するように駆動されることができる。
【0003】
物質は、流量計の入口側の接続されたパイプラインから流量計に流入し、導管を通って導かれ、流量計の出口側を通って流量計を出る。振動システムの固有振動モードは、導管と導管内を流れる物質との合成質量によって部分的に定義される。
【0004】
流量計を通る流れがない場合、導管に加えられる駆動力は、導管に沿った全ての点を、ゼロ流量で測定される時間遅延である、同一の位相または小さな「ゼロオフセット」で振動させる。物質が流量計を通って流れ始めると、コリオリの力は、導管に沿った各点に異なる位相を有させる。例えば、流量計の入口端における位相は、集中駆動位置における位相に遅れ、一方、出口経路における位相は、集中駆動位置における位相に先行する。導管上のピックオフは、導管の動きを表す正弦波信号を生成する。ピックオフから出力される信号は、ピックオフ間の時間遅延を判定するために処理される。2つ以上のピックオフ間の時間遅延は、導管を通って流れる物質の質量流量に比例する。
【0005】
駆動部に接続されたメータ電子機器は、駆動部を動作させ、ピックオフから受信した信号から物質の質量流量および他の特性を判定するための駆動信号を生成する。駆動部は、多くの周知の構成のうちの1つを備えてもよい。しかしながら、磁石および対向する駆動コイルは、流量計産業において大きな成功を収めている。交流電流が、所望の流管振幅および周波数で導管を振動させるために駆動コイルに流される。ピックオフを、駆動部構成と非常に類似した磁石およびコイル構成として提供することも当該技術分野において知られている。しかしながら、駆動部が運動を誘発する電流を受信する間、ピックオフは、駆動部によって提供される運動を使用して電圧を誘発することができる。ピックオフによって測定される時間遅延の大きさは非常に小さく、ナノ秒単位で測定されることが多い。したがって、トランスデューサ出力は非常に正確である必要がある。
【0006】
一般に、コリオリ流量計は、最初に校正されることができ、ゼロオフセットを伴う流量校正係数が生成されることができる。使用時には、流量校正係数(FCF)には、ピックオフによって測定された時間遅延(ΔT)からゼロオフセット(ΔT0)を差し引いたものが乗算されて、質量流量を生成することができる。そのような質量流量校正は、直線の傾き(FCF)および切片(ゼロオフセット)に相当する2つの校正定数によって表されることができる。流量校正係数(FCF)およびゼロオフセット(ΔT0)を利用する質量流量方程式の例は、式(1)によって記述される:
【数1】
式中、
【数2】
FCF=流量校正係数
ΔT
measured=測定された時間遅延
ΔT
0=初期ゼロオフセット
【0007】
ほとんどの状況において、流量計は、典型的には製造業者によって最初に校正され、その後の校正を必要とせずに正確な測定値を提供すると想定される。最初に判定されたゼロオフセットは、限られた状況で測定値を適切に補正することができるが、多数の動作条件がゼロオフセットに影響を及ぼす可能性がある。そのような動作条件は、これらに限定されないが、温度、圧力、流体密度、およびセンサ取り付け条件を含む。
【0008】
コリオリ流量計の動作中に、流管の物質特性、断面特性、剛性が変化する可能性があるという問題がある。流管の剛性の変化は、例えば、温度の変動によって引き起こされ得る。全ての流量計は、熱変化に敏感であるが、直線管は、剛性構造によって制約されるため、直線管メータは、本質的により敏感である。この感度は、製造上のばらつきに起因してセンサごとに異なり得る。これらの変動はメータごとに異なり、その結果、温度補正項に直接影響を及ぼす管の剛性がメータ間で異なり、したがって各メータに固有の補正項を適用する必要がある。固有の補正係数を判定することは、時間がかかり高価なプロセスである。
【0009】
したがって、当該技術分野では、より高速でより効率的な方法で温度流量係数を判定して適用する装置および方法が必要とされている。本発明は、上記の問題、他の問題を解消し、技術の進歩が達成される。
【発明の概要】
【0010】
実施形態によれば、被試験流量計を校正するための方法が提供される。本方法は、複数の流量計についての管周期比と流管温度補償(FTC)値との間の関係を判定するステップを含む。被試験流量計の管周期が測定される。剛性相関FTCは、複数の流量計についての管周期比とFTC値との間の判定された関係、および被試験流量計の測定された管周期を使用して計算される。剛性相関FTCは、被試験流量計の動作ルーチンに適用される。
【0011】
実施形態によれば、流量計が提供される。流量計は、処理システムおよび記憶システムを備えるメータ電子機器を備える。複数のピックオフが、メータ電子機器と連通する流量計導管に取り付けられている。駆動部は、流量計導管に取り付けられ、メータ電子機器と通信する。メータ電子機器は、剛性相関FTCを動作ルーチンに適用するように構成され、剛性相関FTCは、複数の流量計および流量計の測定された管周期についての管周期比とFTC値との間の所定の関係を使用して計算される。メータ電子機器の動作ルーチンは、剛性相関FTCをそれに適用するように構成される。
【0012】
[態様]
一態様によれば、複数の流量計についての管周期比と流管温度補償(FTC)値との間の関係を判定するステップを含む、被試験流量計を校正するための方法が提供される。被試験流量計の管周期が測定される。剛性相関FTCは、複数の流量計についての管周期比とFTC値との間の判定された関係、および被試験流量計の測定された管周期を使用して計算される。剛性相関FTCは、被試験流量計の動作ルーチンに適用される。
【0013】
好ましくは、管周期比は、K値を含み、K1がK2によって除算され、K1は空気によって満たされた流量計センサの管周期を含み、K2は水によって満たされた流量計センサの管周期を含む。
【0014】
好ましくは、複数の流量計についての管周期比と流管温度補償値との間の関係は、同じサイズおよびモデルの複数の流量計の管周期比とFTC値との間の線形関係を含む。
好ましくは、被試験流量計の管周期を測定することは、管周期K1およびK2を測定することを含み、K1は、空気によって満たされた被試験流量計センサの管周期を含み、K2は、水によって満たされた被試験流量計センサの管周期を含む。
【0015】
好ましくは、剛性相関FTCを計算することは、複数の流量計についての管周期比と流管温度補償値との間の関係から導出された勾配値に、被試験流量計のK1:K2の比を乗算することを含む。
【0016】
好ましくは、複数の流量計についての管周期比と流管温度補償値との間の関係から導出されたy切片は、勾配値と被試験流量計のK1:K2比との積から差し引かれる。
【0017】
好ましくは、剛性相関FTCを動作ルーチンに適用するステップは、剛性相関FTCを質量流量ルーチンに適用することを含む。
【0018】
好ましくは、被試験流量計は、直線流管を備える。
【0019】
一態様によれば、処理システムおよび記憶システムを備えるメータ電子機器を備える流量計が提供される。複数のピックオフが、メータ電子機器と連通する流量計導管に取り付けられている。駆動部は、流量計導管に取り付けられ、メータ電子機器と通信する。メータ電子機器は、剛性相関FTCを動作ルーチンに適用するように構成され、剛性相関FTCは、複数の流量計および流量計の測定された管周期についての管周期比とFTC値との間の所定の関係を使用して計算される。メータ電子機器の動作ルーチンは、剛性相関FTCをそれに適用するように構成される。
【0020】
好ましくは、剛性相関FTCは、流量計の測定された管周期を使用して計算される。
【0021】
好ましくは、導管は、直線流管を備える。
【0022】
好ましくは、メータ電子機器は、内部のプロセス流体の流体流量を測定し、プロセス流体の少なくとも1つの流体特性を判定するように構成される。
【0023】
好ましくは、管周期比は、K値を含み、K1がK2によって除算され、K1は空気によって満たされた流量計センサの管周期を含み、K2は水によって満たされた流量計センサの管周期を含む。
【0024】
好ましくは、複数の流量計についての管周期比と流管温度補償値との間の所定の関係は、同じサイズおよびモデルの複数の流量計の管周期比とFTC値との間の線形関係を含む。
【0025】
好ましくは、流量計の管周期を測定することは、管周期K1およびK2を測定することを含み、K1は、空気によって満たされた流量計の管周期を含み、K2は、水によって満たされた流量計の管周期を含む。
【0026】
好ましくは、剛性相関FTCを計算することは、複数の流量計についての管周期比と流管温度補償値との間の関係から導出された勾配値に、流量計のK1:K2の比を乗算することを含む。
【0027】
好ましくは、複数の流量計についての管周期比と流管温度補償値との間の関係から導出されたy切片は、流量計の勾配値とK1:K2比との積から差し引かれる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態にかかる振動センサアセンブリを示している。
【
図2】本発明の実施形態にかかるメータ電子機器を示している。
【
図3】補正係数が実装されていない流量計における温度誘起誤差を示している。
【
図4】カスタムメータ特有の補正係数が実装された流量計における温度誘起誤差を示している。
【
図5A】グローバル補正係数が実装された流量計における温度誘起誤差を示している。
【
図5B】グローバル補正係数が実装された流量計における温度誘起誤差を示している。
【
図5C】グローバル補正係数が実装された流量計における温度誘起誤差を示している。
【
図6】管周期比とFTC値との間の例示的な関係を示している。
【
図7A】周期比関係導出FTC補正係数が実装された流量計における温度誘起誤差を示している。
【
図7B】周期比関係導出FTC補正係数が実装された流量計における温度誘起誤差を示している。
【
図7C】周期比関係導出FTC補正係数が実装された流量計における温度誘起誤差を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1~
図8および以下の説明は、本発明の最良の形態を作製および使用する方法を当業者に教示するための特定の例を示している。発明の原理を教示する目的で、いくつかの従来の態様は、単純化または省略されている。当業者は、本発明の範囲内に入るこれらの例からの変形を理解し、以下に説明する特徴が様々な方法で組み合わせられて本発明の複数の変形を形成することができることを理解するであろう。結果として、本発明は、以下に記載される具体例に限定されず、特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ限定される。
【0030】
図1は、センサアセンブリ10および1つ以上のメータ電子機器20を備えるコリオリ流量計の形態の流量計5の例を示している。メータ電子機器20は、例えば、密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度、および他の情報などの流動物質の流体特性を測定するためにセンサアセンブリ10に接続される。
【0031】
センサアセンブリ10は、一対のフランジ101および101’と、導管103とを含む。本例のフランジ101および101’は、スペーサ102および102’に取り付けられている。本例のスペーサ102および102’は、導管103の両端に取り付けられている。スペーサ102および102’は、本例ではフランジ101および101’と導管103との間の間隔を維持して、導管103内の望ましくない振動を防止する。導管103は、フランジ101、101’から外向きに延在している。センサアセンブリ10が流動物質を運ぶパイプラインシステム(図示せず)に挿入されると、物質は、フランジ101を通ってセンサアセンブリ10に入り、導管103に入り、そこでフランジ101’を通ってセンサアセンブリ10から出る。フランジ101、101’は、パイプラインシステムに設置するための締結具を受け入れるように構成された取り付け孔106、106’を有することができる。導管103は、実施形態では、ブレースバー115、115’を介してケース114に取り付けられることができる。別の実施形態では、ブレースバー115、115’は、導管103から独立しており、センサアセンブリ10に関連付けられた構造を支持するために使用されることができる。
【0032】
センサアセンブリ10は、駆動部104を含む。駆動部104は、駆動部104が駆動モードにおいて導管103を振動させることができる位置において導管103に固定される。より具体的には、駆動部104は、導管103に固定された第1の駆動部構成要素(図示せず)と、導管103以外の構造に固定された第2の駆動部構成要素とを含む。駆動部104は、例えば、導管103に取り付けられた磁石および取り付けブラケット113に取り付けられた対向するコイルなどの多くの周知の構成のうちの1つを備えることができる。ケース114は、それに取り付けられたエンドキャップ116、116’を有することができる。
【0033】
本例では、駆動モードは、第1の異相曲げモードであり、導管103は、比較的予測可能および/または一定の質量分布、慣性モーメント、および長手方向曲げ軸の周りの弾性率を有するバランスのとれたシステムを提供するように選択され、フランジ101および101’に適切に取り付けられる。駆動モードが第1の異相曲げモードである本例では、導管103は、駆動部104によって駆動される。交流電流の形態の駆動信号は、例えば経路110を介してなど、1つ以上のメータ電子機器20によって提供され、駆動部コイルを通過して導管103を振動させることができる。当業者は、本実施形態の範囲内で他の駆動モードが使用されてもよいことを理解するであろう。
【0034】
図示のセンサアセンブリ10は、導管103に取り付けられた一対のピックオフ105、105’を含む。より具体的には、第1のピックオフ構成要素(図示せず)は、導管103上に配置され、第2のピックオフ構成要素は、導管103とは独立した構造上に配置される。図示の実施形態では、ピックオフ105、105’は、電磁検出器、例えば、導管103の速度および位置を表すピックオフ信号を生成するピックオフ磁石およびピックオフコイルであってもよい。例えば、ピックオフ105、105’は、経路111、111’を介してピックオフ信号を1つ以上のメータ電子機器20に供給することができる。当業者は、導管103の動きが、流動物質の特定の特性、例えば導管103を通って流れる物質の質量流量および密度に比例することを理解するであろう。
【0035】
上述したセンサアセンブリ10は、単一の導管流量計を備えるが、多導管流量計を実装することは十分に本実施形態の範囲内であることを理解されたい。さらにまた、流導管103は、直線流導管構成を備えるものとして示されているが、本実施形態は、湾曲した/曲がった流導管構成を備える流量計によって実施されてもよい。ピックオフ105、105’は、歪みゲージ、光学センサ、レーザセンサ、または当該技術分野において知られている任意の他のセンサタイプを備えることができることも理解されたい。したがって、上述したセンサアセンブリ10の特定の実施形態は、単なる一例であり、決して本実施形態の範囲を限定するものではない。
【0036】
図1に示す例では、1つ以上のメータ電子機器20は、ピックオフ105、105’からピックオフ信号を受信する。経路26は、1つ以上のメータ電子機器20がオペレータとインターフェースすることを可能にする入力および出力手段を提供する。1つ以上のメータ電子機器20は、例えば、位相差、周波数、時間遅延、密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度、メータ検証、および他の情報などの、流動物質の特性を測定する。より具体的には、1つ以上のメータ電子機器20は、例えばピックオフ105、105’、および実施形態では抵抗温度装置(RTD)などの1つ以上の温度センサ107から1つ以上の信号を受信し、この情報を使用して流動物質の特性を測定する。
【0037】
上述したセンサアセンブリ10は、単一の導管流量計を含むが、二重導管または複数導管流量計を実装することは十分に本発明の範囲内であることを理解されたい。さらにまた、流導管103は、直線導管を備えるものとして示されているが、湾曲流導管構成も十分に本発明の範囲内である。したがって、上述したセンサアセンブリ10の特定の実施形態は、単なる一例であり、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0038】
図2は、本発明の実施形態にかかるメータ電子機器20を示している。メータ電子機器20は、インターフェース301および処理システム303を含むことができる。処理システム303は、記憶システム304を含むことができる。記憶システム304は、内部メモリを備えてもよく、および/または外部メモリを備えてもよい。メータ電子機器20は、駆動信号311を生成し、駆動信号311を駆動部104に供給することができる。さらに、メータ電子機器20は、ピックオフ/速度センサ信号、歪み信号、光信号、または当該技術分野において知られている任意の他の信号などのセンサ信号310をピックオフ105、105’から受信することができる。いくつかの実施形態では、センサ信号310は、駆動部104から受信されることができる。メータ電子機器20は、密度計として動作することができ、またはコリオリ流量計として動作することを含む質量流量計として動作することができる。メータ電子機器20はまた、何らかの他のタイプの振動センサアセンブリとして動作してもよく、提供される特定の例は、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。メータ電子機器20は、流導管103A、103Bを通って流れる物質の流れ特性を得るために、センサ信号310を処理することができる。いくつかの実施形態では、メータ電子機器20は、例えば、1つ以上の抵抗温度検出器(RTD)センサまたは他の温度センサ107から温度信号312を受信することができる。
【0039】
インターフェース301は、経路110、111、111’を介して、駆動部104またはピックオフ105、105’からセンサ信号310を受信することができる。インターフェース301は、フォーマッティング、増幅、バッファリングなどの任意の方法など、任意の必要なまたは所望の信号調整を実行することができる。あるいは、信号調整の一部または全ては、処理システム303において実行されることができる。さらに、インターフェース301は、メータ電子機器20と外部装置との間の通信を可能にすることができる。インターフェース301は、任意の方法の電子的、光学的、または無線通信が可能とすることができる。
【0040】
一実施形態におけるインターフェース301は、デジタイザ302を含むことができ、センサ信号は、アナログセンサ信号を含む。デジタイザ302は、アナログセンサ信号をサンプリングおよびデジタル化し、デジタルセンサ信号を生成することができる。デジタイザ302はまた、任意の必要なデシメーションを実行することができ、必要な信号処理の量を低減し、処理時間を短縮するために、デジタルセンサ信号がデシメーションされる。
【0041】
処理システム303は、メータ電子機器20の動作を実行し、センサアセンブリ10からの流動測定値を処理する。処理システム303は、一般的な動作ルーチン314および校正ルーチン316などの1つ以上の処理ルーチンを実行し、それによって入力を処理して、多種多様な条件下で正確な1つ以上の流量測定値を生成することができる。
【0042】
校正ルーチン316の実施形態の概要の例として、システムは、流れのない状態において工場出荷時のゼロ値によって校正されてもよい。ユーザは、いつでも、追加的に、および任意に、押しボタンゼロを実行することができる。これらの様々なゼロ値は、記憶システム304に記憶される。動作ルーチン314の一部として、メータ電子機器20は、プロセス物質の流量、プロセス物質の密度、ならびに例えば、限定されないが、任意の校正後補償などの任意のユーザ指定の設定などのプロセス機能に関連付けられた値を生成および記憶することができる。
【0043】
メータ電子機器20は、入力/測定値、保存された値/定数、ユーザ設定、保存されたテーブルなどが校正ルーチン316によって使用されることができる。校正ルーチン316は、流量計5の状態を監視し、その状態に最も適していると考えられる校正アルゴリズムを適用する。条件は、例えば限定することなく、ユーザ入力条件を含むことができる。条件はまた、温度、流体密度、流量、メータ仕様、粘度、レイノルズ数、校正後補償などの任意の組み合わせを含むことができる。校正ルーチン316の一部として適用される任意の数のアルゴリズムが存在してもよい。さらに、異なるアルゴリズムに加えて、例えば非限定的に、流量校正係数(FCF)などの異なる定数が、動作条件またはユーザの好みに基づいて選択されたアルゴリズムに適用されてもよい。
【0044】
さらに、本発明にかかるメータ電子機器20では、メータアセンブリ10の剛性パラメータ(K)を判定するために、振動応答も処理される。さらにまた、メータ電子機器20は、メータアセンブリ10の剛性変化(ΔK)を検出するために、経時的に2つ以上のそのような振動応答を処理することができる。剛性の判定は、流動状態または無流動状態で行うことができる。流れのない判定は、結果として生じる振動応答の騒音レベルを低減するという利点を提供することができる。
【0045】
流量校正係数(FCF)は、流管の物質特性と断面特性とを反映する。流量計を流れる流動物質の質量流量は、測定された時間遅延(または位相差/周波数)にFCFを乗算することによって判定される。FCFは、計器アセンブリの剛性特性に関連することができる。メータアセンブリの剛性特性が変化すると、FCFも変化する。したがって、流量計の剛性の変化は、流量計によって生成される流量測定値の精度に影響を及ぼす。
【0046】
動作ルーチンは、以下の式(1)または式(2)などの質量流量ルーチンを含むことができる:
【数3】
式中、
【数4】
FT=流管温度補償
FTG=流れ温度勾配補償
DT=密度管温度補償
T
T=管温度
FFQ=管周期補償
K2=高密度管周期
DTG=密度勾配温度補償
τm=測定された管周期
動作ルーチンは、以下の式(4)などの質量流量ルーチンを含むことができる。
【数5】
【0047】
式中、
【数6】
ρ=密度
τm=測定された管周期
T
T=管温度
F
d=流体密度補償
DT=密度管温度補償
τ
fd=質量流量補償管周期
τ
cp=質量流量および温度補償管周期
DTG=密度勾配温度補償
DFQ1/DFQ2=密度線形化係数
T
avg=基準管およびケース温度の平均
δt=時間遅延
D1=低密度流体密度
D2=高密度流体密度
K1=低密度管周期
K2=高密度管周期
【0048】
処理システム303は、汎用コンピュータ、マイクロ処理システム、論理回路、または他の何らかの汎用もしくはカスタマイズされた処理装置を備えることができる。処理システム303は、複数の処理装置に分散させることができる。処理システム303は、記憶システム304などの任意の方法の一体型または独立した電子記憶媒体を含むことができる。
【0049】
処理システム303は、とりわけ、駆動信号を生成するためにセンサ信号310を処理する。駆動信号は、
図1の導管103などの関連する流管を振動させるために、経路110を介して駆動部104に供給される。
【0050】
メータ電子機器20は、当該技術分野において一般的に知られている様々な他の構成要素および機能を含むことができることを理解されたい。これらの追加の特徴は、簡潔にするために説明および図面から省略されている。したがって、本発明は、図示および説明された特定の実施形態に限定されるべきではない。
【0051】
図3を参照すると、流量計5は、約20℃~約40℃の流管温度から開始して、動作温度の範囲で試験された。流量補正も温度補正もメータ電子機器20に適用しなかった。それぞれ20℃、30℃、および40℃で複数の測定を行い、それぞれ、A、B、およびCと標識した。管温度が上昇するにつれて、流量誤差が劇的に増加したことは明らかであろう。
【0052】
図4は、FCF、FTC、FTG、FTQを調整することにより、流量誤差がメータ単位で容易に補正されることを示している。これは試験ベンチで達成され、補正は、被試験メータについてのみ固有である。必要な試験および使用される補正計算は、実施するのに多くの時間がかかり、プロセスは非常に労働集約的であり、コストが法外であるため、製造には単に実用的ではない。
【0053】
例として、FCF、FTC、FTG、およびFTQの平均化されたグローバル補正係数を、
図5A、
図5B、および
図5Cの3つの異なる流量計に適用した。上述したように、直線管流量計は、熱膨張を制限する剛性バランスバーの内側に直線管が拘束されることに起因する熱変化に特に敏感である。メータが温度を変化させると、流管は、圧縮(より高い温度)または張力(より低い温度)のいずれかに置かれ、それによって応力状態を変化させ、これは温度の変化および製造ばらつきによって引き起こされる弾性率の変化に加えてである。各グラフの傾向線(T)を比較すると、製造公差は予測できない誤差をもたらすため、全体的な補正係数は適切な解決策ではないことが明らかであろう。例えば、
図5Aに示す流量計は、僅かに負の傾きの誤差傾向を有し、これは
図5Bに示す流量計においてはるかに深刻である。
図5Cに示す流量計を参照すると、誤差傾向は反対方向に傾斜する。このように大きく変化する誤差パターンは、製造ユニットには単に許容できず、測定誤差が大きすぎて予測不可能であるため、グローバル補正係数は単に流量計に適用されることができないことは明らかであろう。
【0054】
典型的には、質量流量方程式である式1は、単にFCFに流通管温度補償FTC(%T Chg/100℃)を乗算することによって温度変化について補正される。これは、熱膨張の影響が最小限であり、FTC項が弾性率の変化を補正するだけである湾曲管型メータによく機能する。しかしながら、直線管メータでは、FTC項は、製造中に設定される弾性率変化および応力状態を補正しようとしている。この応力状態は、メータごとに異なる可能性があり、上述したように、グローバルFTCを使用すると不正確になる。
【0055】
実施形態では、同じサイズ/モデルのいくつかの流量計を使用して、メータ固有のFTC値を判定した。次いで、これらのFTC値を「応力状態」値と相関させる。実施形態では、「応力状態」は、K値の比である。K値、K1およびK2は、標準校正プロセス中に判定される値であり、空気(K1)および水(K2)によって満たされたセンサの管周期を含む。K比(K1がK2によって除算されたもの)を、上記言及した「同じサイズ/モデルのいくつかの流量計」(いくつかの流量計は、流量計1、F1、流量計2、F2、および流量計3、F3として示されている)のメータ固有FTC値と比較すると、
図6に示すように、線形関係が判定される。
【0056】
図7から導出された勾配切片式を使用して、例として以下を計算することができる:
【数7】
【0057】
式9によれば、標準校正の時点で、校正中に既に収集されている値、すなわちK1およびK2を使用して、メータ特有のFTC値が判定される。勾配、y切片、およびK値は、被試験メータおよび試験条件に応じて異なるため、この勾配値は単なる例であり、決して本発明の実施形態を限定するものではないことに留意されたい。傾斜線以外の他の非線形関係も利用されることができると考えられる。さらにまた、平均化された、または特定のモチーフに適合する曲線も考えられる。また、式の代わりに、メータ電子機器20に記憶されたルックアップテーブルも考えられる。
【0058】
図5A、
図5B、および
図5Cの同じ3つの異なる流量計が、
図7A、
図7B、および
図7Cに示されている。しかしながら、
図7A~
図7Cでは、実施形態によれば、剛性相関係数FTCが各流量計に適用されている。剛性相関FTC値を利用すると、グローバル/平均FTC値を使用するよりもはるかに低い流量誤差が生じることは明らかであろう。
【0059】
この方法は湾曲管でも使用されることができるが、FTC値間の変動は直線管メータよりも小さいことにも留意されたい。
図8は、流量計を校正する方法の実施形態を示すフローチャートである。ステップ800において、FTCは、同じモデルタイプの複数の流量計において測定される。ステップ802において、ステップ800からの同じモデルタイプの複数の流量計について、流量計5の管周期K1およびK2が判定される。これらは、本明細書で説明するように、それぞれ流導管内の空気および水によって測定された管周期である。
【0060】
ステップ804において、ステップ800のFTCとステップ802の管周期との間の関係が判定される。実施形態では、K1:K2比は、測定されたFTC値と相関する。上述したように、この相関は、傾斜線によって表される。傾斜線以外の他の非線形関係も利用されることができることが理解されよう。さらにまた、特定のモチーフに適合する曲線も考えられる。
【0061】
ステップ806において、校正プロセスの一部として、流量計の管周期K1およびK2が測定される。これらの管周期は、特定の被試験流量計についてのものである。
【0062】
ステップ808において、測定された流量計管周期K1およびK2、ならびに以前に測定されたFTC値と以前に測定されたK1:K2比との間の関係を使用して、剛性相関係数FTCが計算される。実施形態では、式9の構造を有する式が利用されて、測定された流量計管周期K1およびK2から剛性相関係数FTCを判定する。
【0063】
上述した本発明は、コリオリ流量計などの振動流量計を判定して係数判定を適用するための様々な方法および装置を提供する。上述した様々な実施形態は、流量計、特にコリオリ流量計を対象としているが、本発明は、コリオリ流量計に限定されるべきではなく、むしろ、本明細書に記載の方法は、他のタイプの流量計、またはコリオリ流量計の測定能力の一部を欠く他の振動センサとともに利用されてもよいことを理解されたい。
【0064】
上記の実施形態の詳細な説明は、本発明者らによって本発明の範囲内にあると想定される全ての実施形態の網羅的な説明ではない。実際に、当業者は、上述した実施形態の特定の要素が様々に組み合わせられてまたは排除されて、さらなる実施形態を形成することができ、そのようなさらなる実施形態は、本発明の範囲および教示の範囲内にあることを認識するであろう。上述した実施形態が全体的または部分的に組み合わせられて、本発明の範囲および教示の範囲内で追加の実施形態を形成することができることも当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から判定されるべきである。