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特許7561870ヌクレオシド類似体またはヌクレオシド類似体を含有する併用製剤の抗ウイルスにおける使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ヌクレオシド類似体またはヌクレオシド類似体を含有する併用製剤の抗ウイルスにおける使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240927BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 31/661 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 31/6615 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 31/664 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61K31/53
A61K31/661
A61K31/6615
A61K31/664
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/16
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022564346
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2021087928
(87)【国際公開番号】W WO2021213288
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202010313870.X
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010568329.3
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011035065.1
(32)【優先日】2020-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513299225
【氏名又は名称】上海 インスティテュート オブ マテリア メディカ、チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】555 Zuchongzhi Road, Zhangjiang, Pudong, Shanghai 201203 China
(73)【特許権者】
【識別番号】522412183
【氏名又は名称】ウーハン インスティテュート オブ バイロロジー,チャイニーズ アカデミー オブ サイエンス
【氏名又は名称原語表記】WUHAN INSTITUTE OF VIROLOGY,CHINESE ACADEMY OF SCIENCE
【住所又は居所原語表記】No.44,Xiao Hong Shan Middle Area,Shuiguohu Street,Wuchang District,Wuhan,Hubei 430071,China
(73)【特許権者】
【識別番号】522412194
【氏名又は名称】シンチャン テクニカル インスティテュート オブ フィジックス アンド ケミストリー,チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】XINJIANG TECHNICAL INSTITUTE OF PHYSICS AND CHEMISTRY,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.40-1 South Beijing Road,Urumqi,Xinjiang 830011,China
(73)【特許権者】
【識別番号】522412208
【氏名又は名称】ビゴンビィータ ライフ サイエンシーズ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VIGONVITA LIFE SCIENCES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】8th Floor,Building A,108 Yuxin Road,Suzhou Industrial Park,Suzhou,Jiangsu 215123,China
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】シェー,ユアンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ゲンフー
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,レイケ
(72)【発明者】
【氏名】アイサ,ハジ アクベル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,フアリン
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ジンシャン
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-531227(JP,A)
【文献】特表2017-534614(JP,A)
【文献】特表2017-512797(JP,A)
【文献】特表2013-528184(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109748944(CN,A)
【文献】特表2013-505267(JP,A)
【文献】国際公開第2018/204198(WO,A1)
【文献】特表2011-521903(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110330540(CN,A)
【文献】国際公開第2019/053696(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/00
A61P 31/00
A61K 31/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下で示される化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物であって、
【化1】
式中、
が、シアノ基であり;
が、ORであり;
が、水素、C1-20アルカノイル基、アミノC1-20アルカノイル基からなる群より選ばれ;
が、水素であり;
が、C1-20アルカノイル基、アミノC1-20アルカノイル基からなる群より選ばれ;
が、アミノ基であり;
が、水素であり;
が、水素、重水素、ハロゲンからなる群より選ばれ;
Xが、-CH-、-CD-からなる群より選ばれる、
前記化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物。
【請求項2】
が、水素、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレロイル、ピバロイル、ヘキサノイル、α-アミノイソバレリル、2-エチルブタノイル、および3,3-ジメチルブタノイルからなる群より選ばれ;および Rが、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレロイル、ピバロイル、ヘキサノイル、α-アミノイソバレリル、2-エチルブタノイル、および3,3-ジメチルブタノイルからなる群より選ばれる、
請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物。
【請求項3】
が、重水素である、
請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその溶媒和物。
【請求項4】
が、シアノ基であり;
が、ORであり;
が、水素、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ピバロイル、α-アミノイソバレリル、2-エチルブタノイル、および3,3-ジメチルブタノイルからなる群より選ばれ;
が、水素であり;
が、プロピオニル、イソブチリル、ピバロイル、α-アミノイソバレリル、2-エチルブタノイル、および3,3-ジメチルブタノイルからなる群より選ばれ;
が、アミノ基であり;
が、水素であり;
が、水素、重水素からなる群より選ばれ;
Xが、-CH-、-CD-からなる群より選ばれる、
請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその溶媒和物。
【請求項5】
が、シアノ基であり;
が、ORであり;
が、水素、プロピオニル、イソブチリル、ピバロイル、α-アミノイソバレリル、2-エチルブタノイル、および3,3-ジメチルブタノイルからなる群より選ばれ;
が、水素であり;
が、プロピオニル、イソブチリル、ピバロイル、α-アミノイソバレリル、2-エチルブタノイル、および3,3-ジメチルブタノイルからなる群より選ばれ;
が、アミノ基であり;
が、水素であり;
が、重水素であり;
Xが、-CH-、-CD-からなる群より選ばれる、
請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物。
【請求項6】
以下の群:
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
から選択される化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物。
【請求項7】
前記化合物が、以下の群:
【化7】
【化8】
から選択される請求項6に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物。
【請求項8】
(a)請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物;および
(b)薬理学的に許容される担体、
を含む、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物、または請求項8に記載の医薬組成物の使用であって、:(a)ウイルスの複製を抑制する阻害剤の製造;および/または(b)ウイルス感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造に用いられることを特徴とする、前記使用。
【請求項10】
請求項9に記載の使用であって、
前記のウイルスが、
(1)ヒトを感染させるコロナウイルス
(2)ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV);
(3)ヒトインフルエンザウイルス;
(4)フラビウイルス科ウイルス;
(5)フィロウイルス科ウイルス;
(6)その他の哺乳動物を感染させるコロナウイルス、
からなる群より選ばれる、
ことを特徴とする、前記使用。
【請求項11】
ヒトインフルエンザウイルスが、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、およびC型インフルエンザウイルスからなる群より選ばれ;
フラビウイルス科ウイルスが、C型肝炎ウイルス(HCV)、デング熱ウイルス(DENV)、およびジカウイルス(Zika)からなる群より選ばれ;
フィロウイルス科ウイルスが、マールブルグウイルス(MBV)、およびエボラウイルス(EBV)からなる群より選ばれ;
その他の哺乳動物を感染させるコロナウイルスが、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)からなる群より選ばれる、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
ウイルスが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス SARS-CoV(Severe acute respiratory syndrome coronavirus、SARS-CoV)、2019新型コロナウイルス(2019-nCoVまたはSARS-CoV-2)、中東呼吸器症候群コロナウイルスMERS-CoV(Middle East respiratory syndrome coronavirus、MERS-CoV)、ヒトコロナウイルスOC43(Human coronavirus OC43)、ヒトコロナウイルス 229 E(Human coronavirus 229E)、ヒトコロナウイルス NL63(Human coronavirus NL63)、およびヒトコロナウイルスHKUl(Human coronavirus HKUl)からなる群より選ばれる、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
請求項9に記載の使用であって、
前記ウイルス感染による関連疾患が、
(D1)ヒトコロナウイルス感染による一般風邪、ハイリスク症状感染、呼吸器感染、肺炎及びその合併症;
(D2)ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染による一般風邪、ハイリスク症状感染、呼吸器感染、肺炎及びその合併症;
(D3)ヒトインフルエンザウイルス感染による一般風邪、ハイリスク症状感染、呼吸器感染、肺炎及びその合併症;
(D4)C型肝炎ウイルス(HCV)による慢性C型肝炎及びその合併症;
(D5)デング熱ウイルス(DENV)によるデング熱及びその合併症;
(D6)ジカウイルス(Zika)による感染及びその合併症;
(D7)マールブルグウイルス(MBV)、エボラウイルス(EBV)による出血熱及びその合併症;
(D8)SARS-CoV-2による新型コロナウイルス肺炎(Corona Virus Disease 2019、COVID-19);
(D9)ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)による豚流行性下痢;
(D10)上記疾患の任意の組み合わせ、
からなる群より選ばれる、
ことを特徴とする、前記使用。
【請求項14】
(a)ウイルス複製を抑制する、および/または(b)ウイルス感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解するための、
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬分野に関し、具体的には、ヌクレオシド類似体またはヌクレオシド類似体を含有する併用製剤の抗ウイルスにおける使用に関する。
【背景技術】
【0002】
急性感染症では、大部分はウイルス性感染症であり、ウイルス性感染症の発症率が高く、死亡率も高い。ウイルスという個体は、極めて微小で、独立した代謝能力に欠け、寄生方式で存在する病原微生物である。ウイルスの種類は非常に多く、現在、人類に高い伝染性と高病原性を持つウイルスが多く発見されており、これらのウイルスはしばしば地方性または世界的な伝染病の突然発生を引き起こし、インフルエンザウイルス、呼吸器ウイルス(RSV)、パラインフルエンザウイルス、非典型的肺炎(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS))、エボラウイルスなど、人類社会に大きな危害を及ぼす。ウイルスの中には動物にも感染し、さまざまな軽症から重度の病気を引き起こすものがある。また、動物もこれらのウイルスの感染源となり、ヒトにとって防げることが困難である。
【0003】
コロナウイルスは、ニドウイルス目、コロナウイルス科、コロナウイルス属に属し、自然界に広く存在する一本鎖プラス鎖のRNAウイルスの一種で、ヒトと動物の呼吸器、消化管と神経系疾患を引き起こす。系統樹によると、コロナウイルスはα、β、γ、δの4つの属に分けられ、そのうちβ属コロナウイルスはまた4つの独立した亜群A、B、CおよびD群に分けられる。
【0004】
2020年4月現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は死者数が10万人を超え、1918年のスペイン風邪以降、再び非常に深刻な世界公衆衛生事件を引き起こした。SARS-CoV-2、非典型的肺炎ウイルス(SARS-CoV)と中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス(MERS-CoV)は同じβ属コロナウイルスであり、現在、これら3つのウイルスはヒトに対する病原力が最も強いコロナウイルスとなっている。
【0005】
現在、SARS-CoV-2コロナウイルスによる重篤な肺炎疾患に対して特効なワクチンと抗ウイルス薬はない。これらの感染性疾患は人々の生命の健康に深刻な影響を及びぼし、効果の高い抗ウイルス薬の開発が急がれている。国内外のSARS-CoV-2コロナウイルス感染患者の臨床ニーズを満たすために、SARS-CoV-2コロナウイルスに対して低毒性で効率的な抗ウイルス薬を開発することは、重要な社会的意義を持っている。
【0006】
コロナウイルスはコウモリ、豚、犬、猫、ネズミ、牛、馬、ラクダなど、多くの哺乳動物に感染することもあり、これらのウイルスの多くはα、β属である。ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)は豚の急性腸管感染症を引き起こすコロナウイルスであり、様々な年齢の豚が感染して発病することができ、その中でも特に哺乳豚、新生である仔猪の被害は最も深刻で、養殖業はPEDVの爆発によって重大な損失を被ることが多い。
【0007】
呼吸器ウイルス感染は臨床で最もよく見られ、最も影響の広いウイルス感染性疾患であり、毎年世界の大量の人口死亡を招く。コロナウイルスのほか、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルスなども呼吸器感染を引き起こし、肺炎を引き起こし、人類の生命の健康を脅かす重要なキラーである。
【0008】
以上のことから、当分野ではウイルス感染による関連疾患を治療するために、ウイルスの複製を抑製する阻害剤の開発が強く求められている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、ウイルス複製を効果的に抑制可能な活性成分及びそのウイルス感染による関連疾患における新たな使用を提供することを目的とする。
【0010】
具体的には、本発明は、抗ウイルス(例えば、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、フラビウイルス科ウイルス、フィロウイルス科ウイルスおよび/またはブタ流行性下痢ウイルス)、特に抗新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)における式Iで示されるヌクレオシド類似体及びその組成物の使用を提供する。
【0011】
本発明の第1の側面では、式Iで示される化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物またはそのプロドラッグを提供する。
【化1】
【0012】
式中、
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、アジド基、アミノ基、C1-6アルキル基で置換されるアミノ基、C1-6アシル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基で置換されるアミノ基、ハロC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C2-6アルキニル基、C3-6シクロアルキル基、ハロC3-6シクロアルキル基、カルバモイル基、ヒドロキシメチル基、シアノメチル基(-CHCN)、アミジニル基、グアニジノ基、ウレイド基、チオシアナト基(-SCN)、シアナト基(-OCN)からなる群より選ばれ;
が、水素、ハロゲン、OR、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基からなる群より選ばれ;
が、水素、C1-20アルカノイル基、アミノC1-20アルカノイル基、C1-6アルキルアミノC1-6アルカノイル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、α-アミノ酸からなる群より選ばれ、前記α-アミノ酸のカルボキシル基とフラン環上のヒドロキシ基とがエステル結合で結合され;
が、水素、重水素、ハロゲン、アジド基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、アジドC1-6アルキル基、シアノC1-6アルキル基、ヒドロキシC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルカノイル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アミノC1-6アルキル基、C1-6アルキルアミノC1-6アルキル基、アミジニル基、グアニジノ基、ウレイド基、チオシアナト基、シアナト基からなる群より選ばれ;
が、R
【化2】
からなる群より選ばれ;
が、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、シアナト基、チオシアナト基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルアミノ基、NHOH、NHCOR12、NHOCOR12、NHCOOR12からなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、アミノ基、メチル基、NHCOR12、NHCOOR12からなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、カルバモイル基、C1-6アルキル基で置換されるカルバモイル基、C1-6アルコキシアミド基、C1-6アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシC1-6アルキル基、アミノ基、C1-6アルカノイル基で置換されるアミノ基、C1-6アルキル基で置換されるアミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基からなる群より選ばれ;
Xが、-CH-、-CD-、-CHD-からなる群より選ばれ;
が、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;
10が、C1-18アルキル基、メチレンC6-20アリール基からなる群より選ばれ;
11が、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;
12が、C1-20アルキル基からなる群より選ばれ;
Mが、それぞれ独立して、水素、金属、-NH、またはプロトン化された有機アミンからなる群より選ばれ;
別の好ましい例では、重水素(D)と表記される各位置が、少なくとも50%の重水素の濃縮度を有し;好ましくは、重水素(D)と表記される各位置が、少なくとも80%の重水素の濃縮度を有し;より好ましくは、重水素(D)と表記される各位置が、少なくとも90%の重水素の濃縮度を有し;最も好ましくは、重水素(D)と表記される各位置が、少なくとも95%の重水素の濃縮度を有する。
【0013】
別の好ましい例では、前記の5-15員ヘテロアリール基は、1、2、3または4個の、N、OおよびSからなる群より選ばれる複素原子を含有する。
別の好ましい例では、前記の金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはその組み合わせからなる群より選ばれる。
【0014】
別の好ましい例では、前記式(I)化合物の式中、
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、アジド基、メチル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、ビニル基、エチニル基、シクロプロピル基、カルバモイル基、ヒドロキシメチル基、メトキシ基、ホルミル基、アミジニル基からなる群より選ばれ;および/または
が、ハロゲン、シアノ基、アミノ基、ホルミル基、ORからなる群より選ばれ;および/または
が、水素、C1-20アルキルアシル基、α-アミノ酸からなる群より選ばれ、前記α-アミノ酸のカルボキシル基とフラン環上のヒドロキシ基とがエステル結合で結合され;好ましくは、前記α-アミノ酸が、アラニン、バリン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニンからなる群より選ばれ;および/または
が、水素、重水素、ハロゲン、アジド基、シアノ基、メチル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ビニル基、エチニル基、シクロプロピル基、ヒドロキシメチル基、アジドメチル基(-CH)、ホルミル基、アセチル基、ホルムアミド基、アセトアミド基からなる群より選ばれ;および/または
が、R
【化3】
からなる群より選ばれ;および/または
が、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、メチルアミノ基(-NHCH)、NHOH、NHCOR12、NHOCOR12、NHCOOR12からなる群より選ばれ;および/または
が、水素、重水素、ハロゲン、アミノ基からなる群より選ばれ;および/または
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、カルバモイル基、N-メチル基カルバモイル基(CHNHCO-)、メチル基、エチル基、エチニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、ホルミル基、アセチル基、ホルムアミド基、アセトアミド基、メトキシカルボニルアミノ基(CHOCONH-)、エトキシカルボニルアミノ基(COCONH-)、メトキシカルボニルオキシ基(CHOCOO-)、エトキシカルボニルオキシ基(COCOO-)からなる群より選ばれ;および/または
Xが、-CH-、-CD-、-CHD-からなる群より選ばれ;および/または
が、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;および/または
10が、C1-18アルキル基、メチレンC6-20アリール基からなる群より選ばれ;および/または
11が、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;および/または
12が、C1-20アルキル基からなる群より選ばれ;および/または
Mが、それぞれ独立して、水素、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、NH、プロトン化されたトリメチルアミン、プロトン化されたトリエチルアミン、プロトン化されたトリ-n-ブチルアミンからなる群より選ばれる。
【0015】
別の好ましい例では、前記のR、R、R、R、R、R、R、RおよびXが、それぞれ独立して、実施例中の各化合物(例えば、A1からA221のいずれかの化合物)において対応する具体的な基である。
【0016】
別の好ましい例では、前記式(I)化合物が、以下のような構造を持つ化合物A1からA221のいずれかの化合物、またはその組み合わせである。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0017】
別の好ましい例では、前記の式(I)化合物が、以下からなる群より選ばれ、
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0018】
別の好ましい例では、前記の式(I)化合物が、化合物A1、A9、A10、A11、A12、A49、A50、A51、A52、A53、A69、A70、A71、A72、A74、A75、A76、A77、A84、A87、A102、A106、A107、A108、A109、A124、A131、A138、A140、A144、A146、A147、A151、A164、A171、A173、A174、A180、A181、A188、A196、A198、A209、A212、A213、A214、A215、A216、A221またはその組み合わせからなる群より選ばれる。
【0019】
本発明の第2の側面では、活性成分または前記活性成分を含有する製剤の使用であって、前記の活性成分が、式Iで示される化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物またはそのプロドラッグであり、
【化15】
式中、
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、アジド基、アミノ基、C1-6アルキル基で置換されるアミノ基、C1-6アシル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基で置換されるアミノ基、ハロC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C2-6アルキニル基、C3-6シクロアルキル基、ハロC3-6シクロアルキル基、カルバモイル基、ヒドロキシメチル基、シアノメチル基(-CHCN)、アミジニル基、グアニジノ基、ウレイド基、チオシアナト基(-SCN)、シアナト基(-OCN)からなる群より選ばれ;
が、水素、ハロゲン、OR、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基からなる群より選ばれ;
が、水素、C1-20アルカノイル基、アミノC1-20アルカノイル基、C1-6アルキルアミノC1-6アルカノイル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、α-アミノ酸からなる群より選ばれ、前記α-アミノ酸のカルボキシル基とフラン環上のヒドロキシ基とがエステル結合で結合され;
が、水素、重水素、ハロゲン、アジド基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、アジドC1-6アルキル基、シアノC1-6アルキル基、ヒドロキシC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルカノイル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アミノC1-6アルキル基、C1-6アルキルアミノC1-6アルキル基、アミジニル基、グアニジノ基、ウレイド基、チオシアナト基、シアナト基からなる群より選ばれ;
が、R
【化16】
からなる群より選ばれ;
が、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、シアナト基、チオシアナト基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルアミノ基、NHOH、NHCOR12、NHOCOR12、NHCOOR12からなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、アミノ基、メチル基、NHCOR12、NHCOOR12からなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、カルバモイル基、C1-6アルキル基で置換されるカルバモイル基、C1-6アルコキシアミド基、C1-6アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシC1-6アルキル基、アミノ基、C1-6アルカノイル基で置換されるアミノ基、C1-6アルキル基で置換されるアミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基からなる群より選ばれ;
Xが、-CH-、-CD-、-CHD-からなる群より選ばれ;
が、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;
10が、C1-18アルキル基、メチレンC6-20アリール基からなる群より選ばれ;
11が、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;
12が、C1-20アルキル基からなる群より選ばれ;
Mが、それぞれ独立して、水素、金属、-NHまたはプロトン化された有機アミンからなる群より選ばれ;
かつ、前記の活性成分または前記活性成分を含有する製剤が、(a)ウイルスの複製を抑制する阻害剤;および/または(b)ウイルス感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造に使用される。
【0020】
別の好ましい例では、重水素(D)と表記される各位置が、少なくとも50%の重水素の濃縮度を有し;好ましくは、重水素(D)と表記される各位置が、少なくとも80%の重水素の濃縮度を有し;より好ましくは、重水素(D)と表記される各位置が、少なくとも90%の重水素の濃縮度を有し;最も好ましくは、重水素(D)と表記される各位置が、少なくとも95%の重水素の濃縮度を有する。
【0021】
別の好ましい例では、前記の活性成分または前記活性成分を含有する製剤は、(a)コロナウイルスの複製を抑制する阻害剤;および/または(b)コロナウイルス感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造に使用される。
【0022】
別の好ましい例では、前記の活性成分または前記活性成分を含有する製剤は、(a)呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の複製を抑制する阻害剤;および/または(b)呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造に使用される。
【0023】
別の好ましい例では、前記の活性成分または前記活性成分を含有する製剤は、(a)インフルエンザウイルスの複製を抑制する阻害剤;および/または(b)インフルエンザウイルス感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造に使用される。
【0024】
別の好ましい例では、前記の活性成分または前記活性成分を含有する製剤は、(a)フラビウイルス科ウイルスの複製を抑制する阻害剤;および/または(b)フラビウイルス科ウイルス感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造に使用される。
【0025】
別の好ましい例では、前記の活性成分または前記活性成分を含有する製剤は、(a)フィロウイルス科ウイルスの複製を抑制する阻害剤;および/または(b)フィロウイルス科ウイルス感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造に使用される。
【0026】
別の好ましい例では、前記の活性成分または前記活性成分を含有する製剤は、(a)ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)の複製を抑制する阻害剤;および/または(b)ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造に使用される。
【0027】
別の好ましい例では、前記の活性成分または前記活性成分を含有する製剤は、(a)2019新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)の複製を抑制する阻害剤;および/または(b)2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造に使用される。
【0028】
別の好ましい例では、前記のウイルスが、以下からなる群より選ばれる。
(1)ヒトを感染させるコロナウイルス:重症急性呼吸器症候群コロナウイルス SARS-CoV(Severe acute respiratory syndrome coronavirus、SARS-CoV)、2019新型コロナウイルス(2019-nCoVまたはSARS-CoV-2)、中東呼吸器症候群コロナウイルスMERS-CoV(Middle East respiratory syndrome coronavirus、MERS-CoV)
(2)一般風邪に引き起こすコロナウイルス:前記の一般風邪に引き起こすコロナウイルス好ましいが、ヒトコロナウイルスOC43(Human coronavirus OC43)、ヒトコロナウイルス 229 E(Human coronavirus 229E)、ヒトコロナウイルス NL63(Human coronavirus NL63)、ヒトコロナウイルスHKUl(Human coronavirus HKUl)からなる群より選ばれ;
(3)ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV);
(4)ヒトインフルエンザウイルス:A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス;
(5)フラビウイルス科ウイルス:C型肝炎ウイルス(HCV)、デング熱ウイルス(DENV)、ジカウイルス(Zika);
(6)フィロウイルス科ウイルス:マールブルグウイルス(MBV)、エボラウイルス(EBV);
(7)その他の哺乳動物を感染させるコロナウイルス:ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)。
【0029】
別の好ましい例では、前記ウイルスによる関連疾患が、以下からなる群より選ばれる。
(D1)ヒトコロナウイルス感染による一般風邪、ハイリスク症状感染、呼吸器感染、肺炎及びその合併症;
(D2)ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染による一般風邪、ハイリスク症状感染、呼吸器感染、肺炎及びその合併症;
(D3)ヒトインフルエンザウイルス感染による一般風邪、ハイリスク症状感染、呼吸器感染、肺炎及びその合併症;
(D4)C型肝炎ウイルス(HCV)による慢性C型肝炎及びその合併症;
(D5)デング熱ウイルス(DENV)によるデング熱及びその合併症;
(D6)ジカウイルス(Zika)による感染及びその合併症;
(D7)マールブルグウイルス(MBV)、エボラウイルス(EBV)による出血熱及びその合併症;
(D8)SARS-CoV-2による新型コロナウイルス肺炎(Corona Virus Disease 2019、COVID-19);
(D9)ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)による豚流行性下痢;
(D10)上記疾患の任意の組み合わせ。
【0030】
別の好ましい例では、前記2019新型コロナウイルス感染による関連疾患が、呼吸器感染、肺炎及びその合併症、またはその組み合わせからなる群より選ばれる。
別の好ましい例では、前記式(I)化合物が、化合物A1からA221のいずれかの化合物、またはその組み合わせである。
【0031】
別の好ましい例では、前記の活性成分が、以下のヌクレオシド類似体またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物またはそのプロドラッグからなる群より選ばれる。
化合物A1、A5、A6、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A28、A30、A35、A36、A37、A38、A39、A40、A41、A42、A43、A44、A45、A46、A49、A50、A51、A52、A53、A54、A55、A57、A58、A63、A69、A70、A71、A72、A73、A74、A75、A76、A77、A78、A79、A80、A81、A84、A86、A87、A88、A89、A91、A95、A97、A99、A101、A102、A105、A106、A107、A108、A109、A110、A111、A113、A114、A115、A116、A117、A118、A119、A120、A121、A122、A123、A124、A125、A126、A127、A128、A129、A130、A131、A132、A133、A134、A135、A136、A137、A138、A139、A140、A141、A142、A143、A144、A145、A146、A147、A148、A149、A150、A151、A152、A153、A154、A155、A156、A157、A158、A159、A160、A161、A162、A163、A164、A165、A166、A167、A168、A169、A170、A171、A172、A173、A174、A175、A176、A177、A178、A179、A180、A181、A182、A183、A184、A185、A186、A187、A188、A189、A190、A191、A192、A193、A194、A195、A196、A197、A198、A199、A200、A201、A202、A203、A204、A205、A206、A207、A208、A209、A210、A211、A212、A213、A214、A215、A216、A217、A218、A219、A220、A221またはその組み合わせ。
【0032】
別の好ましい例では、前記の式(I)化合物が、化合物A1、A9、A10、A11、A12、A49、A50、A51、A52、A53、A69、A70、A71、A72、A74、A75、A76、A77、A84、A87、A102、A106、A107、A108、A109、A124、A131、A138、A140、A144、A146、A147、A151、A164、A171、A173、A174、A180、A181、A188、A196、A198、A209、A212、A213、A214、A215、A216、A221またはその組み合わせからなる群より選ばれる。
【0033】
別の好ましい例では、前記の製剤(または前記化合物を含有する医薬組成物)は、さらに、その他の抗ウイルス薬を含有してもよい。
別の好ましい例では、前記のその他の抗ウイルス医薬は、さらに、以下からなる群より選ばれる追加の成分を含む。
【0034】
Remdesivir(レムデシビルまたはGS-5734)、ファビピラビル(favipiravir)、Galidesivir、GS-441524、NHC(EIDD-1931)、EIDD-2801、GC-376、ロピナビル(Lopinavir)、リトナビル(Ritonavir)、ネルフィナビル(Nelfinavir);クロロキン(Chloroquine)、ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)、シクロスポリン(cyclosporine)、コリマイシン(Carrimycin)、バイカリン(baicalin)、バイカレイン(baicalein)、フォルシトシド(forsythoside)、クロロゲン酸(chlorogenic acid)、エモジン(emodin)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ミコフェノール酸モフェチル(Mycophenolatemofetil)、ナフトキン(Naphthoquine)、シクレソニド(Ciclesonide)、リバビリン(Ribavirin)、ペンシクロビル(Penciclovir)、レフルノミド(Leflunomide)、テリフルノミド(Teriflunomide)、ナファモスタット(nafamostat)、ニタゾキサニド(nitazoxanide)、ダルナビル(Darunavir)、アルビドール(Arbidol)、カモスタット(Camostat)、ニクロサミド(Niclosamide)、バリシチニブ(baricitinib)、ルキソリチニブ(Ruxolitinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、サキナビル(Saquinavir)、Beclabuvir、シメプレビル(Simeprevir)、パリビズマブ、モタビズマブ(Motavizumab)、RSV-IGIV(RespiGamR)、MEDI-557、A-60444(RSV-604)、MDT-637、BMS-433771、またはその薬理学的に許容される塩、またはその組み合わせ。
【0035】
別の好ましい例では、前記化合物を含有する医薬組成物は、さらに、治療有効量の:コルチコステロイド、抗炎症シグナル伝達調節剤、β2-アドレナリン受容体作動薬気管支拡張薬、抗コリン薬、粘液溶解薬、高浸透塩水およびウイルス感染を治療するためのその他の医薬;またはその組み合わせ、からなる群より選ばれる少なくとも一種類のその他の治療剤を投与することを含む。
【0036】
別の好ましい例では、前記の製剤は、医薬組成物である。
別の好ましい例では、前記の製剤(または医薬組成物)は、経口製剤および非経口製剤を含む。
別の好ましい例では、前記の製剤は、粉剤、顆粒剤、カプセル剤、注射剤、吸入剤、チンキ剤、経口液、錠剤、トローチ、または滴丸を含む。
【0037】
本発明の第3の側面では、医薬組成物であって、記載の医薬組成物が、
(a1)式Iで示される化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物またはそのプロドラッグである、第1の活性成分と、
【化17】
式中、
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、アジド基、アミノ基、C1-6アルキル基で置換されるアミノ基、C1-6アシル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基で置換されるアミノ基、ハロC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C2-6アルキニル基、C3-6シクロアルキル基、ハロC3-6シクロアルキル基、カルバモイル基、ヒドロキシメチル基、シアノメチル基(-CHCN)、アミジニル基、グアニジノ基、ウレイド基、チオシアナト基(-SCN)、シアナト基(-OCN)からなる群より選ばれ;
が、水素、ハロゲン、OR、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基からなる群より選ばれ;
が、水素、C1-20アルカノイル基、アミノC1-20アルカノイル基、C1-6アルキルアミノC1-6アルカノイル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、α-アミノ酸からなる群より選ばれ、前記α-アミノ酸のカルボキシル基とフラン環上のヒドロキシ基とがエステル結合で結合され;
が、水素、重水素、ハロゲン、アジド基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、アジドC1-6アルキル基、シアノC1-6アルキル基、ヒドロキシC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルカノイル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アミノC1-6アルキル基、C1-6アルキルアミノC1-6アルキル基、アミジニル基、グアニジノ基、ウレイド基、チオシアナト基、シアナト基からなる群より選ばれ;
が、R
【化18】
からなる群より選ばれ;
が、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、シアナト基、チオシアナト基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルアミノ基、NHOH、NHCOR12、NHOCOR12、NHCOOR12からなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、アミノ基、メチル基、NHCOR12、NHCOOR12からなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、カルバモイル基、C1-6アルキル基で置換されるカルバモイル基、C1-6アルコキシアミド基、C1-6アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシC1-6アルキル基、アミノ基、C1-6アルカノイル基で置換されるアミノ基、C1-6アルキル基で置換されるアミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基からなる群より選ばれ;
Xが、CH、CD、-CHD-からなる群より選ばれ;
が、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;
10が、C1-18アルキル基、メチレンC6-20アリール基からなる群より選ばれ;
11が、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;
12が、C1-20アルキル基からなる群より選ばれ;
Mが、それぞれ独立して、水素、金属、-NHまたはプロトン化された有機アミンからなる群より選ばれ;
(b)薬理学的に許容される担体と、
を含む、医薬組成物を提供する。
【0038】
別の好ましい例では、前記の組成物は、さらに、(a2)第2の活性成分を含有し;
その中、前記の第2の活性成分が、インターフェロン、RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、Remdesivir(レムデシビルまたはGS-5734)、ファビピラビル(favipiravir)、Galidesivir、GS-441524、NHC(EIDD-1931)、EIDD-2801)、3CLプロテアーゼ阻害剤(例えば、GC-376)、ロピナビル(Lopinavir)、リトナビル(Ritonavir)、ネルフィナビル(Nelfinavir);クロロキン(Chloroquine)、ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)、シクロスポリン(cyclosporine)、コリマイシン(Carrimycin)、バイカリン(baicalin)、バイカレイン(baicalein)、フォルシトシド(forsythoside)、クロロゲン酸(chlorogenic acid)、エモジン(emodin)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ミコフェノール酸モフェチル(Mycophenolatemofetil)、ナフトキン(Naphthoquine)、シクレソニド(Ciclesonide)、リバビリン(Ribavirin)、ペンシクロビル(Penciclovir)、レフルノミド(Leflunomide)、テリフルノミド(Teriflunomide)、ナファモスタット(nafamostat)、ニタゾキサニド(nitazoxanide)、ダルナビル(Darunavir)、アルビドール(Arbidol)、カモスタット(Camostat)、ニクロサミド(Niclosamide)、バリシチニブ(baricitinib)、ルキソリチニブ(Ruxolitinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、サキナビル(Saquinavir)、Beclabuvir、シメプレビル(Simeprevir)、パリビズマブ、モタビズマブ(Motavizumab)、RSV-IGIV(RespiGamR)、MEDI-557、A-60444(RSV-604)、MDT-637、BMS-433771、またはその薬理学的に許容される塩、またはその組み合わせ、からなる群より選ばれる抗ウイルス医薬であり;
および/または前記の第2の活性成分が、呼吸器感染を治療するための気管支拡張薬およびコルチコステロイドからなる群より選ばれ、その中、前記コルチコステロイドが、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、ロテプレドノール、エタボン酸ロテプレドノール、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、フルドロコルチゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、メチルプレドニゾロン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルオコルチン-21-ブチレート(fluocortin-21-butylate)、フルメタゾン、フルメタゾンピバル酸エステル、ブデソニド、クロベタゾールプロピオン酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル、フルチカゾンプロピオン酸エステル、シクレソニド;またはその薬理学的に許容される塩を含む。
【0039】
および/または、前記の第2の活性成分が、亜鉛(Zinc)、フィンゴリモド(Fingolimod)、ビタミンC(Vitamin C)、オルメサルタンメドキソミル(OlmesartanMedoxomil)、バルサルタン(valsartan)、ロサルタン(Losartan)、タリドミド(Thalidomide)、グリチルリチン酸(glycyrrhizic acid)、アルテミシニン(Artemisinin)、ジヒドロアルテミシニン(dihydroartemisinin)、アルテスネート(Artesunate)、アルテミソン(Artemisone)、アジスロマイシン(Azithromycin)、エスシン(Escin)、ナプロキセン(Naproxen)、またはその組み合わせ、からなる群より選ばれる。
【0040】
別の好ましい例では、前記式(I)化合物の式中、
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、アジド基、メチル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、ビニル基、エチニル基、シクロプロピル基、カルバモイル基、ヒドロキシメチル基、メトキシ基、ホルミル基、アミジニル基からなる群より選ばれ;
が、ハロゲン、シアノ基、アミノ基、ホルミル基、ORからなる群より選ばれ;
が、水素、C1-20アルキルアシル基、α-アミノ酸からなる群より選ばれ、前記α-アミノ酸のカルボキシル基とフラン環上のヒドロキシ基とがエステル結合で結合され;好ましくは、前記α-アミノ酸が、からなる群より選ばれ、アラニン、バリン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン;
が、水素、重水素、ハロゲン、アジド基、シアノ基、メチル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ビニル基、エチニル基、シクロプロピル基、ヒドロキシメチル基、アジドメチル基(-CH)、ホルミル基、アセチル基、ホルムアミド基、アセトアミド基からなる群より選ばれ;
が、R
【化19】
からなる群より選ばれ;
が、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、メチルアミノ基(-NHCH)、NHOH、NHCOR12、NHOCOR12、NHCOOR12からなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、アミノ基からなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、カルバモイル基、N-メチル基カルバモイル基(CHNHCO-)、メチル基、エチル基、エチニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、ホルミル基、アセチル基、ホルムアミド基、アセトアミド基、メトキシカルボニルアミノ基(CHOCONH-)、エトキシカルボニルアミノ基(COCONH-)、メトキシカルボニルオキシ基(CHOCOO-)、エトキシカルボニルオキシ基(COCOO-)からなる群より選ばれ;
Xが、CH、CD、-CHD-からなる群より選ばれ;
が、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;
10が、C1-18アルキル基、メチレンC6-20アリール基からなる群より選ばれ;
11が、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;
12が、C1-20アルキル基からなる群より選ばれ;および/または
Mが、それぞれ独立して、水素、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、NH、プロトン化されたトリメチルアミン、プロトン化されたトリエチルアミン、プロトン化されたトリ-n-ブチルアミンからなる群より選ばれる。
【0041】
別の好ましい例では、前記式(I)化合物が、化合物A1からA221のいずれかの化合物、またはその組み合わせである。
【0042】
別の好ましい例では、前記の式(I)化合物が、化合物A1、A5、A6、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A28、A30、A35、A36、A37、A38、A39、A40、A41、A42、A43、A44、A45、A46、A49、A50、A51、A52、A53、A54、A55、A57、A58、A63、A69、A70、A71、A72、A73、A74、A75、A76、A77、A78、A79、A80、A81、A84、A86、A87、A88、A89、A91、A95、A97、A99、A101、A102、A105、A106、A107、A108、A109、A110、A111、A113、A114、A115、A116、A117、A118、A119、A120、A121、A122、A123、A124、A125、A126、A127、A128、A129、A130、A131、A132、A133、A134、A135、A136、A137、A138、A139、A140、A141、A142、A143、A144、A145、A146、A147、A148、A149、A150、A151、A152、A153、A154、A155、A156、A157、A158、A159、A160、A161、A162、A163、A164、A165、A166、A167、A168、A169、A170、A171、A172、A173、A174、A175、A176、A177、A178、A179、A180、A181、A182、A183、A184、A185、A186、A187、A188、A189、A190、A191、A192、A193、A194、A195、A196、A197、A198、A199、A200、A201、A202、A203、A204、A205、A206、A207、A208、A209、A210、A211、A212、A213、A214、A215、A216、A217、A218、A219、A220、A221またはその組み合わせ、からなる群より選ばれる。
【0043】
別の好ましい例では、前記の式(I)化合物が、化合物A1、A9、A10、A11、A12、A49、A50、A51、A52、A53、A69、A70、A71、A72、A74、A75、A76、A77、A84、A87、A102、A106、A107、A108、A109、A124、A131、A138、A140、A144、A146、A147、A151、A164、A171、A173、A174、A180、A181、A188、A196、A198、A209、A212、A213、A214、A215、A216、A221またはその組み合わせ、からなる群より選ばれる。
【0044】
別の好ましい例では、前記の第2の活性成分が、(Y1)RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、Remdesivir(レムデシビルまたはGS-5734)、ファビピラビル(favipiravir)、Galidesivir、GS-441524、NHC、EIDD-2801);(Y2)ロピナビル(Lopinavir);(Y3)リトナビル(Ritonavir);(Y4)ファビピラビル;(Y5)クロロキン(Chloroquine)、ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)、またはその薬理学的に許容される塩(例えば、リン酸クロロキン)、(Y6)ネルフィナビル(Nelfinavir);(Y7)上記Y1~Y6の任意の組み合わせ、からなる群より選ばれる。
【0045】
別の好ましい例では、記載の医薬組成物は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、フラビウイルス科ウイルス、フィロウイルス科ウイルスおよび/またはブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)の複製を抑制するために使用される。
別の好ましい例では、前記医薬は、2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の複製を抑制するために使用される。
【0046】
本発明の第4の側面では、(a)コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、フラビウイルス科ウイルス、フィロウイルス科ウイルスおよび/またはブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)を抑制する;および/または(b)コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、フラビウイルス科ウイルス、フィロウイルス科ウイルスおよび/またはブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解するための医薬の製造における、本発明の第3の側面記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0047】
別の好ましい例では、(a)2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の複製を抑制する阻害剤;および/または(b)2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造への使用を提供する。
【0048】
本発明の第5の側面では、ウイルス複製を抑制する方法であって、
第1の活性成分または前記第1の活性成分を含有する製剤と、ウイルスとを接触させて、前記ウイルスの複製を抑制する工程、を含み;
その中、前記の第1の活性成分が、式I化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物またはそのプロドラッグである、方法を提供する。
【化20】
式中、
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、アジド基、アミノ基、C1-6アルキル基で置換されるアミノ基、C1-6アシル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基で置換されるアミノ基、ハロC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C2-6アルキニル基、C3-6シクロアルキル基、ハロC3-6シクロアルキル基、カルバモイル基、ヒドロキシメチル基、シアノメチル基(-CHCN)、アミジニル基、グアニジノ基、ウレイド基、チオシアナト基(-SCN)、シアナト基(-OCN)からなる群より選ばれ;
が、水素、ハロゲン、OR、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基からなる群より選ばれ;
が、水素、C1-20アルカノイル基、アミノC1-20アルカノイル基、C1-6アルキルアミノC1-6アルカノイル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、α-アミノ酸、前記α-アミノ酸のカルボキシル基とフラン環上のヒドロキシ基とがエステル結合で結合され、好ましくは、前記α-アミノ酸が、アラニン、バリン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニンからなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、アジド基、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、アジドC1-6アルキル基、シアノC1-6アルキル基、ヒドロキシC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルカノイル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アミノC1-6アルキル基、C1-6アルキルアミノC1-6アルキル基、アミジニル基、グアニジノ基、ウレイド基、チオシアナト基、シアナト基からなる群より選ばれ;
が、R
【化21】
からなる群より選ばれ;
が、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、シアナト基、チオシアナト基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルアミノ基、NHOH、NHCOR12、NHOCOR12、NHCOOR12からなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、アミノ基、メチル基、NHCOR12、NHCOOR12からなる群より選ばれ;
が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、カルバモイル基、C1-6アルキル基で置換されるカルバモイル基、C1-6アルコキシアミド基、C1-6アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシC1-6アルキル基、アミノ基、C1-6アルカノイル基で置換されるアミノ基、C1-6アルキル基で置換されるアミノ基、C1-6アルキル基、C2-61-6アルコキシ基、アルケニル基、C2-6アルキニル基からなる群より選ばれ;
Xが、CH、CD、-CHD-からなる群より選ばれ;
が、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;
10が、C1-18アルキル基、メチレンC6-20アリール基からなる群より選ばれ;
11が、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-20アリール基、5-15員ヘテロアリール基からなる群より選ばれ;
12が、C1-20アルキル基からなる群より選ばれ;
Mが、それぞれ独立して、水素、金属、NHまたはプロトン化された有機アミンからなる群より選ばれる。
【0049】
別の好ましい例では、前記のウイルスは、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、フラビウイルス科ウイルス、フィロウイルス科ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス、またはその組み合わせからなる群より選ばれる。
【0050】
別の好ましい例では、前記のウイルスは、2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)である。
別の好ましい例では、前記式(I)化合物が、化合物A1からA221のいずれかの化合物、またはその組み合わせである。
【0051】
別の好ましい例では、前記の式(I)化合物が、化合物A1、A5、A6、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A28、A30、A35、A36、A37、A38、A39、A40、A41、A42、A43、A44、A45、A46、A49、A50、A51、A52、A53、A54、A55、A57、A58、A63、A69、A70、A71、A72、A73、A74、A75、A76、A77、A78、A79、A80、A81、A84、A86、A87、A88、A89、A91、A95、A97、A99、A101、A102、A105、A106、A107、A108、A109、A110、A111、A113、A114、A115、A116、A117、A118、A119、A120、A121、A122、A123、A124、A125、A126、A127、A128、A129、A130、A131、A132、A133、A134、A135、A136、A137、A138、A139、A140、A141、A142、A143、A144、A145、A146、A147、A148、A149、A150、A151、A152、A153、A154、A155、A156、A157、A158、A159、A160、A161、A162、A163、A164、A165、A166、A167、A168、A169、A170、A171、A172、A173、A174、A175、A176、A177、A178、A179、A180、A181、A182、A183、A184、A185、A186、A187、A188、A189、A190、A191、A192、A193、A194、A195、A196、A197、A198、A199、A200、A201、A202、A203、A204、A205、A206、A207、A208、A209、A210、A211、A212、A213、A214、A215、A216、A217、A218、A219、A220、A221またはその組み合わせからなる群より選ばれる。
【0052】
別の好ましい例では、前記の式(I)化合物が、化合物A1、A9、A10、A11、A12、A49、A50、A51、A52、A53、A69、A70、A71、A72、A74、A75、A76、A77、A84、A87、A102、A106、A107、A108、A109、A124、A131、A138、A140、A144、A146、A147、A151、A164、A171、A173、A174、A180、A181、A188、A196、A198、A209、A212、A213、A214、A215、A216、A221またはその組み合わせからなる群より選ばれる。
【0053】
別の好ましい例では、前記方法は、体外方法である。
別の好ましい例では、前記方法は、非治療性および非診断性の方法である。
【0054】
本発明の第6の側面では、(a)ウイルス複製を抑制する、および/または、(b)ウイルス感染による関連疾患を治療および/または予防、寛解する方法であって、必要がある対象に安全有効量の式Iで示される化合物またはその薬理学的に許容される塩またはその結晶水和物またはその溶媒和物またはそのプロドラッグを投与する工程を含む、方法を提供する。
【化22】
【0055】
式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびXが、本発明の第1の側面で定義される通りである。
別の好ましい例では、前記の対象は、哺乳動物、例えば、ヒトである。
【0056】
本発明の範囲内において、上記する本発明の各技術的特徴と、以下に具体的に説明する各技術的特徴とは、互いに組み合わされて、新規または好ましい技術的手段を構成することができることが理解されるべきである。紙面の都合上、ここではこれ以上いちいち述べない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明の実施例において、ウイルス対照群、A151-S経口50mg/kg群、A151-S経口100mg/kg、レムデシビル経口50mg/kg群、レムデシビル腹腔内注射50mg/kg群を設け、2日間投与後のウイルスRNAコピー状況を示すグラフである。
図2】本発明の実施例において、ウイルス対照群、A151-S経口50mg/kg群、A151-S経口100mg/kg、レムデシビル経口50mg/kg群、レムデシビル腹腔内注射50mg/kg群を設け、5日間投与後のウイルスRNAコピー状況を示すグラフである。
図3】本発明の実施例において、ウイルス対照群、A151-S腹腔内注射100mg/kg群を設け、5日間投与後のウイルスRNAコピー状況を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明者は広範かつ深い研究を経て、大量のスクリーニングを通じて、初めて意外にもウイルスの複製を効果的に抑製する活性成分を開発した。実験により、本発明の活性成分は2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)などの多種のウイルスの複製と活力を効率的に抑制できるため、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、フラビウイルス科ウイルス、フィロウイルス科ウイルスおよび/またはブタ流行性下痢ウイルスの複製の抑制に使用できることが明らかになった。それに基づいて本発明を完成した。
【0059】
具体的には、本発明は、式(I)で示されるヌクレオシド類似体及びその組成物の抗ウイルスにおける使用、例えば、抗コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、フラビウイルス科ウイルス、フィロウイルス科ウイルスおよび/またはブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)における使用を開示する。式(I)で示されるヌクレオシド類似体は、SARS-CoV-2等のウイルスの複製に対して良好な抑制作用を持ち、良好な臨床的応用の見込みを持っている。
【0060】
用語
ここで使用されるように、「本発明の活性化合物」、「本発明の活性成分」、「本発明のヌクレオシド類似体」、「本発明のコロナウイルス複製を抑制する活性化合物」とは、互いに読み替えてもよく、優れるコロナウイルス複製を抑制する活性を持つヌクレオシド類似体を意味し、式Iで示される化合物、またはその薬理学的に許容される塩、またはその溶媒合物、またはそのプロドラッグ、またはその組み合わせを含む。
【0061】
ここで使用されるように、「本発明の製剤」とは、本発明の活性化合物を含有する製剤を意味する。
ここで使用されるように、用語「含む」、または、「包含」や「含有」等のその変換形式は、それらの要素または構成要素を含むものと理解され、他の要素または他の構成要素を排除するものではない。
【0062】
ここで使用されるように、用語「新型コロナウイルス」、「2019-nCoV」または「SARS-CoV-2」は、互いに読み替えてもよく、この2019新型コロナウイルスは既知の感染者の第7種コロナウイルスであり、かつ新型コロナによる肺炎(COVID-19)を引き起こし、全世界の人類の健康を脅かす深刻な感染性疾患の一つである。
【0063】
ここで使用されるように、「ハロゲン」とは、一般的に、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味し;好ましくは、フッ素、塩素または臭素であり;より好ましくは、フッ素または塩素である。
ここで使用されるように、用語「C-C」とCn-mは、互いに読み替えてもよく、nからm個の炭素原子を有することを意味する。
【0064】
ここで使用されるように、用語「C-Cアルキル基」とは、1-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1-エチルプロピル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基またはn-ヘキシル基等であり、好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基またはtert-ブチル基である。
【0065】
ハロC-Cアルキル基とは、1-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基の水素原子が、1つまたは複数の同じでも異なっても良いハロゲン原子で置換された基を意味し、例えば、トリフルオロメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロフルオロメチル基、クロロエチル基、ブロモプロピル基、2-クロロブチル基またはペンタフルオロエチル基等である;
【0066】
-Cアルコキシ基とは、1-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、3-メチルペンチルオキシ基またはn-ヘキシルオキシ基等であり、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基またはtert-ブトキシ基であり;C1-C6アルカノイル基とは、1-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルカノイル基を意味し、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、ペンタノイル基、tert-ブタノイル基またはヘキサノイル基等である。
【0067】
1-6アルキル基で置換されるアミノ基とは、アミノ基の水素原子が一つまたは複数のC-Cアルキル基で置換された基を意味し、例えば、-NHCH、-N(CH等である。
1-6アルカノイル基で置換されるアミノ基とは、アミノ基の水素原子が一つまたは複数のC-Cアルキル基で置換された基を意味し、例えば、-NHCOCH、-NHCOCHCH等である。
【0068】
-Cアルケニル基とは、1-3個の二重結合および2-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基を意味し、シス配置に加えてトランス配置も含み、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1,3-ブタジエニル基、1,3-ペンタジエニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、3,3-ジメチル-1-プロペニル基または2-エチル-1-プロペニル基等である。
【0069】
-Cアルキニル基とは、2-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルキニル基を意味し、例えば、エチニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、2-ペンチニル基、2-ペンチニル基または2-ヘキシニル基等である。
-Cアルケニルオキシ基とは、1-3個の二重結合および2-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルケニルオキシ基を意味し、例えば、ビニルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、1-メチル-1-プロペニルオキシ基、2-メチル-1-プロペニルオキシ基、1-ペンテニルオキシ基、1,3-ペンタジエニルオキシ基または2-ペンテニルオキシ基等である。
【0070】
-Cアルキニルオキシ基とは、2-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルキニルオキシ基を意味し、例えば、エチニルオキシ基、2-プロピニルオキシ基、2-ブチニルオキシ基、3-ブチニルオキシ基、1-メチル-2-プロピニルオキシ基、2-ペンチニルオキシ基または2-ヘキシニルオキシ基等である。
アミノC1-20アルカノイル基とは、1-20個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルカノイル基の1個の炭素原子とアミノ基と連結した基を意味し、例えば、-COCHNH、-COCHCHNH等である。
【0071】
1-6アルキルアミノC1-6アルカノイル基とは、C1-6アルキル基で置換されるアミノ基の窒素原子と1-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルカノイル基のカルボニル基以外の炭素原子と連結した基を意味し、例えば、-COCHNHCH、-COCHCHNHCHCH等である。
1-6アルコキシC1-6アルキル基とは、1-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルコキシ基の酸素原子とC1-6アルキル基の炭素原子と連結した基を意味し、例えば、-CHOCH、-CHCHOCHCH等である。
【0072】
アミノC1-6アルキル基とは、1-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルキル基の1個の炭素原子とアミノ基と連結した基を意味し、例えば、-CHNH、-CHCHNH、-CH(NH)CH、-CHCHCHNHまたは-CHCHCHCHNH等である。
1-6アルキル基で置換されるカルバモイル基とは、カルバモイル基上の水素原子が1つまたは2つの同じでも異なっても良いC-Cアルキル基で置換された基を意味し、例えば、-CONHMe、-CONHEt、-CON(Me)Et、-CONEtまたは-CONMe等である。
【0073】
ヒドロキシC-Cアルキル基とは、1-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルキル基の1個の炭素原子とヒドロキシ基と連結した基を意味し、例えば、-CHOH、-CHCHOH、-CH(OH)CH、-CHCHCHOH、-CHCHCHCHOHまたは-CHCH(CH)CHOH等である。
1-6アルコキシアミド基とは、1-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルコキシ基の酸素原子とアミド基のカルボニル基と連結した基を意味し、例えば、-NHCOOCH、-NHCOOCHCH等である。
【0074】
1-6アルコキシカルボニル基とは、1-6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のアルコキシ基の酸素原子とカルボニル基と連結した基を意味し、例えば、-COOCH、-COOCHCH等である。
【0075】
コロナウイルス
コロナウイルス(Coronavirus,CoV)は、ニドウイルス目(Nidovirales)コロナウイルス科(Coronaviridae)に属し、エンベロープを持つ正鎖RNAウイルスであり、その亜科は、α、β、δおよびγの4属を含む。
【0076】
現在知られているヒトに感染するコロナウイルスのうち、HCoV-229EとHCoV-NL63はα属コロナウイルスであり、HCoV-OC43、SARS-CoV、HCoV-HKU1、MERS-CoVとSARS-CoV-2はいずれもβ属コロナウイルスである。SARS-CoV-2は2019-nCoVとも呼ばれている。
2003年と2012年にそれぞれ流行した高病原性コロナウイルス「SARS」SARS-CoVと「中東呼吸器症候群(MERS)」MERS-CoVはいずれもβ属コロナウイルスである。2019年末に勃発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はSARS-CoVと約80%、MERS-CoVと40%の類似性があり、β属コロナウイルスにも属する。
【0077】
このようなウイルスのゲノムは一本プラス鎖RNAであり、ゲノムの最大のRNAウイルスの一つであり、コードにはポリメラーゼ、刺突タンパク質、嚢膜タンパク質、被膜タンパク質とコアシェルタンパク質などが含まれる。ウイルス複製の初期段階では、ゲノムは数千のアミノ酸に及ぶ2本のペプチド鎖、すなわち前駆体ポリタンパク(Polyprotein)に翻訳され、その後、前駆体タンパクがプロテアーゼで切断されて非構造タンパク(例えば、RNAポリメラーゼとヘリカーゼ)と構造タンパク(例えば、刺突タンパク質)と補助タンパクが生成される。
【0078】
インフルエンザウイルス
インフルエンザウイルスは、インフルエンザとも略称され、よく見られるインフルエンザウイルスが、A、B、CおよびD型に分類される。インフルエンザウイルスは、ヒト、鳥、豚、馬、コウモリ等の多くの動物感染および発症を引き起こすことができ、ヒトインフルエンザ、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ、馬インフルエンザ等のヒトと動物疫病の病原体である。
【0079】
インフルエンザウイルスによる臨床的症状は、急性高熱、全身痛、顕著な無力感および呼吸器症状を含む。ヒトインフルエンザは、主にA型インフルエンザウイルスおよびB型インフルエンザウイルスによるものである。A型インフルエンザウイルスは、よく抗原変異を起こし、さらにH1N1、H3N2、H5N1、H7N9等の亜型に分類されることができる。
【0080】
呼吸器合胞体ウイルス
呼吸器合胞体ウイルス(RSV、合胞体ウイルスと略称され、パラミクソウイルス科に属する)は小児ウイルス性肺炎を引き起こす最もよく見られる病原体であり、間質性肺炎を引き起こすことができる。
RSVはパラインフルエンザウイルスと似ており、ウイルス粒子の大きさは約150nmで、パラインフルエンザウイルスよりやや小さく、RNAウイルスである。
【0081】
フラビウイルス科ウイルス
フラビウイルス科ウイルスは主に哺乳類に感染するRNAウイルスの一種で、フラビウイルス属(flavivirus)、ペスチウイルス属(pestivirus)、C型肝炎ウイルス属(hepacivirus)の3つのウイルス属を含む。デング熱ウイルス(DENV)とジカウイルス(Zika)はフラビウイルス属に属し、蚊媒介によって伝播する。デング熱ウイルス感染は明らかな発熱と疼痛症状を引き起こし、重度のデング熱症状は頭痛、吐き気、嘔吐、意識不明、ショックなども現れる。ジカウイルス(Zika)感染後の症状はデング熱と似ており、一般的に軽い。C型肝炎ウイルス(HCV)はC型肝炎ウイルス属に属し、慢性C型肝炎の病原体であり、肝硬変、肝癌を引き起こす可能性がある。
【0082】
フィロウイルス科ウイルス
フィロウイルス科は、現在、エボラウイルス属、マールブルグウイルス属、クイアバウイルス属といった3つの属を含む。マールブルグウイルスとエボラ出血熱は、いずれも深刻な出血熱を引き起こす可能性があり、ヒトが感染すると高熱と出血症状が現れ、さらに患者がショックを起こしたり、臓器が不全になったりして、死亡に至ることがある。
【0083】
ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)
ブタ流行下痢ウイルス(PEDV)は、コロナウイルス科コロナウイルス属に属する。ブタ流行性下痢はPEDVウイルスによる子ブタと肥育ブタの急性腸管感染症である。
PEDVウイルスは口と鼻から感染した後、小腸に直接入る。PEDVウイルスの複製は小腸と結腸絨毛上皮細胞漿中で行うことができる。PEDVは下痢の原因となり、浸透性下痢である。激しい下痢は脱水を引き起こし、ブタの死亡の主な原因である。
【0084】
本発明の活性化合物および活性成分
本発明では、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルスおよび/またはブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)特に2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の複製を効果的に抑制可能な活性成分を提供する。
【0085】
本発明では、活性成分が、本発明の第1の側面記載の式(I)で示されるヌクレオシド類似体、またはその薬理学的に許容される塩、またはそのプロドラッグ、またはその組み合わせ、またはその結晶体、またはその溶媒和物からなる群より選ばれる。
好ましいヌクレオシド類似体の構造式は、実施例で製造される化合物またはその薬理学的に許容される塩、またはそのプロドラッグ、またはその組み合わせ、またはその結晶体、またはその溶媒和物、特に化合物A1からA221のいずれかの化合物、またはその組み合わせである。
【0086】
別の好ましい例では、前記の式(I)化合物が、化合物A1、A5、A6、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A28、A30、A35、A36、A37、A38、A39、A40、A41、A42、A43、A44、A45、A46、A49、A50、A51、A52、A53、A54、A55、A57、A58、A63、A69、A70、A71、A72、A73、A74、A75、A76、A77、A78、A79、A80、A81、A84、A86、A87、A88、A89、A91、A95、A97、A99、A101、A102、A105、A106、A107、A108、A109、A110、A111、A113、A114、A115、A116、A117、A118、A119、A120、A121、A122、A123、A124、A125、A126、A127、A128、A129、A130、A131、A132、A133、A134、A135、A136、A137、A138、A139、A140、A141、A142、A143、A144、A145、A146、A147、A148、A149、A150、A151、A152、A153、A154、A155、A156、A157、A158、A159、A160、A161、A162、A163、A164、A165、A166、A167、A168、A169、A170、A171、A172、A173、A174、A175、A176、A177、A178、A179、A180、A181、A182、A183、A184、A185、A186、A187、A188、A189、A190、A191、A192、A193、A194、A195、A196、A197、A198、A199、A200、A201、A202、A203、A204、A205、A206、A207、A208、A209、A210、A211、A212、A213、A214、A215、A216、A217、A218、A219、A220、A221またはその組み合わせからなる群より選ばれる。
【0087】
試験でわかるように、本発明の活性成分は、2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の複製を効果的に抑制することができ、それによりSARS-CoV-2関連疾患を予防、治療および/または寛解することができる。
【0088】
ここで使用されるように、「本発明の活性化合物」、「本発明のウイルス複製を抑制する活性化合物」は、互いに読み替えてもよく、優れるウイルス複製を抑制する活性を持つ化合物を意味し、式Iヌクレオシド類似体またはその薬理学的に許容される塩、またはその結晶体、またはその溶媒和物を含む。
【0089】
本発明の活性成分は、式I化合物、またはその薬理学的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオーマまたはラセミ体、またはそのプロドラッグを含むことが理解されるべきである。本発明の活性成分は、さらに、本発明の活性化合物の結晶型、アモルファス化合物、以及び重水素化化合物等の形式を含むことが理解されるべきである。
【0090】
前記「薬理学的に許容される塩」とは、本発明の活性化合物と無機酸または有機酸と反応してなる一般的な無毒塩を意味する。例えば、一般的な無毒塩は、本発明の活性化合物と、無機酸または有機酸とを反応させることにより製造されることができ、前記無機酸が、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、スルファミン酸およびリン酸等を含み、前記有機酸が、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフチレンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフチレンジスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、プロピオン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、ステアリン酸、パモ酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、安息香酸、サルチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、p-アミノベンゼンスルホン酸、2-アセチルオキシ安息香酸およびヒドロキシエタンスルホン酸等を含み;或いは、本発明の活性化合物と、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸またはグルタミン酸とをエステル形成させた後、さらに無機塩基と形成されたナトリウム塩、亜鉛塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩またはアンモニウム塩であり;或いは、本発明の活性化合物と、リシン、アルギニン、オルニチンとをエステル形成させた後、さらに塩酸、臭化水素酸、水素フルオロ酸、硫酸、硝酸またはリン酸と形成された対応する無機酸塩、または、ギ酸、酢酸、苦味酸、メタンスルホン酸またはエタンスルホン酸と形成された対応する有機酸塩であり;或いは、本発明の活性化合物分子中の1-4個のリン酸基と1-4分子の有機アミンとを形成させた塩であり、モノリン酸トリメチルアミン塩、モノリン酸トリエチルアミン塩、モノリン酸トリ-n-ブチルアミン塩、トリリン酸トリメチルアミン塩、トリリン酸トリエチルアミン塩、トリリン酸トリ-n-ブチルアミン塩を含むが、これらに限定しない。
【0091】
また、本発明の活性成分は、さらに、その他の抗ウイルス医薬または抗コロナウイルス医薬との併用に特に適する。代表的なその他の抗ウイルス医薬または抗コロナウイルス医薬は、インターフェロン、RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、Remdesivir(レムデシビルまたはGS-5734)、ファビピラビル(favipiravir)、Galidesivir、GS-441524、NHC、EIDD-2801);3CLプロテアーゼ阻害剤(例えば、GC-376)、ロピナビル(Lopinavir)、リトナビル(Ritonavir)、ネルフィナビル(Nelfinavir);クロロキン(Chloroquine,Sigma-C6628)、ヒドロキシクロロキン、シクロスポリン(cyclosporine)、コリマイシン(Carrimycin)、バイカリン(baicalin)、バイカレイン(baicalein)、フォルシトシド(forsythoside)、クロロゲン酸(chlorogenic acid)、エモジン(emodin)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ミコフェノール酸モフェチル(Mycophenolatemofetil)、ナフトキン(Naphthoquine)、シクレソニド(Ciclesonide)、リバビリン(Ribavirin)、ペンシクロビル(Penciclovir)、レフルノミド(Leflunomide)、テリフルノミド(Teriflunomide)、ナファモスタット(nafamostat)、ニタゾキサニド(nitazoxanide)、ダルナビル(Darunavir)、アルビドール(Arbidol)、カモスタット(Camostat)、ニクロサミド(Niclosamide)、バリシチニブ(baricitinib)、ルキソリチニブ(Ruxolitinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、サキナビル(Saquinavir)、Beclabuvir、シメプレビル(Simeprevir)、パリビズマブ、モタビズマブ(Motavizumab)、RSV-IGIV(RespiGamR)、MEDI-557、A-60444(RSV-604)、MDT-637、BMS-433771またはその薬理学的に許容される塩、またはその組み合わせを含むが、これらに限定しない。前記インターフェロンは、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b中の一種類のまたは複数種類を含む。
【0092】
呼吸症状や感染後遺症を治療するための別の活性治療剤は、式I化合物と組み合わせて使用することもできる。その他の薬剤は経口または直接吸入により投与ことが好ましい。例えば、式I化合物と組み合わせる呼吸器感染を治療するためのその他の好ましい治療剤は、気管支拡張薬およびコルチコステロイドを含むが、これらに限定しない。
【0093】
グルココルチコイド系は、最初は1950年に喘息療法として紹介され(Carryer,Journal of Allergy,21、282-287,1950)、この疾患の保持に最も有効かつ一貫して有効な治療法であるが、それらの作用機序はまだ完全に理解されていない(Morris,J.Allergy Clin. Immunol.,75(1Pt)1-13,1985)。残念なことに、経口グルココルチコイド療法は求心性肥満、高血圧、緑内障、グルコース耐性不良、白内障形成の加速、骨密度損失(bone mineral loss)、心理的影響などの深い望ましくない副作用と関連しており、これらは、いずれも長期治療剤としての使用を制限する(GoodmanおよびGilman,第10版、2001)。全身的な副作用に対する解決策はステロイド薬を直接炎症部位に届けることである。式I化合物と組み合わせて使用可能なコルチコステロイドの非限定的な例は、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、ロテプレドノール、エタボン酸ロテプレドノール、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、フルドロコルチゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、メチルプレドニゾロン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルオコルチン-21-ブチレート(fluocortin-21-butylate)、フルメタゾン、フルメタゾンピバル酸エステル、ブデソニド、クロベタゾールプロピオン酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル、フルチカゾンプロピオン酸エステル、シクレソニド;またはその薬理学的に許容される塩である。
【0094】
抗炎症カスケード機構によって作用するその他の抗炎症剤は、式I化合物と組み合わせてウイルス性呼吸器感染症を治療するための別の治療剤としても用いることができる。「抗炎症シグナル伝達調節剤」(ここで、AISTMとも呼ばれる)、例えば、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、PDE-4、PDE-5、PDE-7特異的なもの)、転写因子阻害剤(例えば、IKK阻害によりNFκBを阻害するもの)、またはキナーゼ阻害剤(例えば、P38MAP、JNK、PI3K、EGFR、AISTMの阻害剤)を用いることは、炎症を切断する論理的な方法であり、これらの小分子の標的が限られた数のよく見られる細胞内経路であるため、抗炎症治療介入の重要なポイントであるシグナル伝達経路であるからである(P.J.Barnes,2006による総説を参照する)。これらの非限定的な別の治療剤は、5-(2,4-ジフルオロ-フェニルオキシ)-1-イソブチル-1H-インダゾール-6-カルボン酸(2-ジメチルアミノ-エチル)-アミド(P38Mapキナーゼ阻害剤ARRY-797);3-シクロプロピルメトキシ-N-(3,5-ジクロロ-ピリジン-4-イル)-4-ジフルオロメトキシ-ベンズアミド(PDE-4阻害剤ロフルミラスト);4-[2-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-フェニル-エチル]-ピリジン(PDE-4阻害剤CDP-840);N-(3,5-ジクロロ-4-ピリジン)-4-(ジフルオロメトキシ)-8-[(メタンスルホニル)アミノ]-1-ジベンゾフランホルムアミド(PDE-4阻害剤オリスミラスト);N-(3,5-ジクロロ-ピリジン-4-イル)-2-[1-(4-フルオロベンジル)-5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル]-2-オキソ-アセトアミド(PDE-4阻害剤AWD12-281);8-メトキシ-2-トリフルオロメチル-キノリン-5-カルボン酸(3,5-ジクロロ-1-オキシ-ピリジン-4-イル)-アミド(PDE-4阻害剤Sch351591);4-[5-(4-フルオロフェニル)-2-(4-メタンスルフィニル-フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル]-ピリジン(P38阻害剤SB-203850);4-[4-(4-フルオロ-フェニル)-1-(3-フェニル-プロピル)-5-ピリジン-4-イル-1H-イミダゾール-2-イル]-ブタン-3-キン-1-オール(P38阻害剤RWJ-67657);4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシ-フェニル)-シクロヘキサンカルボン酸2-ジエチルアミノ-エチルエステル(シロミラストの2-ジエチル-エチルエステルプロドラッグ、PDE-4阻害剤);(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-[7-メトキシ-6-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-キナゾリン-4-イル]-アミン(ゲフィチニブ、EGFR阻害剤);および4-(4-メチル-ピペラジン-1-メチル)-N-[4-メチル-3-(4-ピリジン-3-イル-ピリミジン-2-イルアミノ)-フェニル]-ベンズアミド(イマチニブ、EGFR阻害剤)を含む。
【0095】
吸入β2-アドレナリン受容体作動薬気管支拡張薬、例えば、ホルモテロール、サルブタモールまたはサルメテロールと式I化合物とを含む組み合わせは、呼吸器ウイルス性感染の治療にも適する適切かつ非限定的な組み合わせである。
【0096】
吸入β2-アドレナリン受容体作動薬気管支拡張薬、例えば、ホルモテロールまたはサルメテロールとICSとの組み合わせは、気管支狭窄と炎症の両方の治療にも用いられる。これらのICSとβ2-アドレナリン受容体作動薬とを含む組み合わせと、式I化合物との組み合わせは、呼吸器ウイルス性感染の治療にも適する適切かつ非限定的な組み合わせである。
【0097】
肺気管支狭窄の治療または予防に抗コリン薬は潜在的な用途があるため、式I化合物と組み合わせてウイルス性呼吸器感染を治療するための別の治療剤として用いることができる。これらの抗コリン薬は、COPD中のコリン作動性の制御に対してすでに治療効果を示すムスカリン受容体(特にM3亜型)拮抗薬(Witek、1999);1-{4-ヒドロキシ-1-[3,3,3-トリ-(4-フルオロ-フェニル)-プロピオニル]-ピロリジン-2-カルボニル}-ピロリジン-2-カルボン酸(1-メチル-ピペリジン-4-メチル)-アミド;3-[3-(2-ジエチルアミノ-アセチルオキシ)-2-フェニル-プロピオニルオキシ]-8-イソプロピル-8-メチル-8-アゾニウム(azonia)-ビシクロ[3.2.1]オクタン(イプラトロピウム-N,N-ジエチルグリシンエステルまたは塩);1-シクロヘキシル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボン酸1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イルエステル(ソリフェナシン);2-ヒドロキシメチル-4-メタンスルフィニル-2-フェニル-ブタン酸1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イルエステル(レバトロペート);2-{1-[2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾフラン-5-イル)-エチル]-ピロリジン-3-イル}-2,2-ジフェニル-アセトアミド(ダリフェナシン);4-アザシクロヘプタン-1-イル-2,2-ジフェニル-ブチルアミド(ブゼピド(Buzepide));7-[3-(2-ジエチルアミノ-アセチルオキシ)-2-フェニル-プロピオニルオキシ]-9-エチル-9-メチル-3-オキザ-9-アゾニウム-トリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン(オキシトロピウム-N,N-ジエチルグリシンエステルまたは塩);7-[2-(2-ジエチルアミノ-アセチルオキシ)-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセチルオキシ]-9,9-ジメチル-3-オキザ-9-アゾニウム-トリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン(チオトロピウム-N,N-ジエチルグリシンエステルまたは塩);ジメチルアミノ-酢酸2-(3-ジイソプロピルアミノ-1-フェニル-プロピル)-4-メチル-フェニルエステル(トルテロジン-N,N-ジメチルグリシンエステルまたは塩);3-[4,4-ビス-(4-フルオロ-フェニル)-2-オキソ-イミダゾリン-1-イル]-1-メチル-1-(2-オキソ-2-ピリジン-2-イル-エチル)-ピロリジウム;1-[1-(3-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-4-イル]-4,4-ビス-(4-フルオロ-フェニル)-イミダゾリジン-2-オン;1-シクロオクチル-3-(3-メトキシ-1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)-1-フェニル-プロパン-2-キン-1-オール;3-[2-(2-ジエチルアミノ-アセチルオキシ)-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセチルオキシ]-1-(3-フェニルオキシ-プロピル)-1-アゾニウム-ビシクロ[2.2.2]オクタン(アクリジニウム-N,N-ジエチルグリシンエステルまたは塩);または(2-ジエチルアミノ-アセチルオキシ)-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸1-メチル-1-(2-フェニルオキシ-エチル)-ピペリジン-4-イルエステルを含むが、これらに限定しない。
【0098】
また、SARS-CoV-2)感染は急性肺損傷を引き起こす可能性があるため、本発明の活性成分は特に急性肺損傷を改善する作用のある薬物との併用に適している。代表的な医薬は、亜鉛(Zinc)、フィンゴリモド(Fingolimod)、ビタミンC(Vitamin C)、オルメサルタンメドキソミル(OlmesartanMedoxomil)、バルサルタン(valsartan)、ロサルタン(Losartan)、タリドミド(Thalidomide)、グリチルリチン酸(glycyrrhizic acid)、アルテミシニン(Artemisinin)、ジヒドロアルテミシニン(dihydroartemisinin)、アルテスネート(Artesunate)、アルテミソン(Artemisone)、アジスロマイシン(Azithromycin)、エスシン(Escin)、ナプロキセン(Naproxen)を含むが、これらに限定しない。前記亜鉛(Zinc)は、硫酸亜鉛、グリチルリチン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛を含むが、これらに限定しない。
【0099】
本発明の活性成分はSARS-CoV-2などの新型コロナウイルスの感染活性を抑製する。したがって、治療に本発明の活性成分を投与または適用すると、2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染を抑制し、抗ウイルス作用を達成することができる。
【0100】
式I化合物は粘液溶解薬と組み合わせて感染と呼吸器感染症状の両方を治療することもできる。粘液溶解薬の非制限的な例はアンブロキソールである。同様に、式I化合物は去痰薬と組み合わせて感染と呼吸器感染症状の両方を治療することができる。去痰薬の非制限的な例はグアヤコールである。
【0101】
霧化高浸透塩水は肺疾患患者における気道の即時かつ長期的な除去を改善するために用いられる(Kuzik,J.Pediatrics2007,266)。式I化合物は、特にパラミクソウイルス科ウイルス感染症に細気管支炎が合併した場合、霧化高浸透塩水と組み合わせることもできる。式I化合物と高浸透塩水の組み合わせには、上記で検討した別の薬剤も含まれていてもよい。好ましい側面では、約3%霧化高浸透塩水を使用する。
【0102】
また、本発明の任意の化合物を1種または複数種の別の活性治療剤と組み合わせて単位剤形にし、同時にまたは順次患者に投与するために用いることもできる。組み合わせ治療は同時または順次の案として投与することができる。順次投与の場合は、2回以上の投与でこの組み合わせを投与してもよい。
本発明の化合物と1種または複数種の別の活性治療剤との併用とは、通常、治療に有効な量の本発明の化合物と1種または複数種の別の活性治療剤とが患者の体内に存在するように、本発明の化合物と1種または複数種の別の活性治療剤とを同時にまたは順次投与ことを意味する。
【0103】
本発明の化合物は、単独投与量の別の活性治療剤の1種または複数種を投与前または投与後に、例えば、単独投与量の別の活性治療剤の1種または複数種を投与数秒、数分または数時間以内に投与することを含む。例えば、まず本発明の化合物を単位量投与し、その後、数秒または数分以内に、単位量当たり1種または複数種の別の活性治療剤を投与することができる。あるいは、まず、1回の投与量で1種または複数種のその他の治療剤を投与し、その後、数秒または数分以内に、1回の投与量で本発明の化合物を投与することもできる。場合によっては、まず本発明の化合物を単位投与量で投与し、数時間の間、例えば1-12時間後に、単位投与量当たり1種または複数種の別の活性治療剤を投与する必要がある。その他の場合には、まず、1回の投与量で1種または複数種の別の活性治療剤を投与し、数時間(例えば、1-12時間)後に、本発明の化合物を1回の投与量で投与する必要がある。
【0104】
組み合わせ療法において、「増加効果」と「相乗効果」が得られる。つまり、活性成分を併用した場合に得られる効果は、化合物を単独で使用した場合に得られる効果の合計よりも大きくなる。活性成分が、(1)共同で調制する、組み合わせ製剤の形で同時に投与または配達される場合;(2)単独の製剤として交互に投与するか、または平行に配達する場合;または(3)他の投与案で送達する場合、相乗効果を得ることができる。交互療法で送達する場合、化合物を順次投与または送達する場合、例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤を単独で投与するか、注射器を単独で異なる注射を行うことにより、相乗効果を得ることができる。通常、交互療法では、有効量の各活性成分を順次投与する、すなわち連続的に投与するが、組み合わせ療法では、有効量の2種または複数種の活性成分を一緒に投与する。相乗の抗ウイルス作用は、前記組み合わせ中の個々の化合物の予測された純粋な累積効果より大きい抗ウイルス作用を示す。
【0105】
他の実施形態では、細胞中のウイルスRNAポリメラーゼを抑制する方法であって、ウイルス感染を受けた細胞に有効量の式I化合物またはその薬理学的に許容される塩、溶媒和物および/またはプロドラッグ(例えば、エステル)を接触させて、ウイルスRNAポリメラーゼを抑制することを含む、方法を提供する。
【0106】
他の実施形態では、細胞中のウイルスRNAポリメラーゼを抑制する方法であって、ウイルス感染を受けた細胞に有効量の式I化合物またはその薬理学的に許容される塩、溶媒和物および/またはプロドラッグ(例えば、エステル)と、少なくとも一種類の別の活性治療剤とを接触させて、ウイルスRNAポリメラーゼを抑制することを含む、方法を提供する。
【0107】
他の実施形態では、細胞中のウイルスRNAポリメラーゼを抑制する方法であって、ウイルス感染を受けた細胞に有効量の式I化合物またはその薬理学的に許容される塩、溶媒和物および/またはプロドラッグ(例えば、エステル)と、選択された少なくとも一種類の別の活性治療剤とを接触させることを含む、方法を提供する。
【0108】
他の実施形態では、ヒトまたはその他の哺乳動物中の呼吸器ウイルス感染を治療する方法であって、前記ヒトまたはその他の哺乳動物に治療有効量の式I化合物またはその薬理学的に許容される塩、溶媒和物および/またはプロドラッグ(例えば、エステル)を投与することを含む、方法を提供する。
【0109】
他の実施形態では、ヒトまたはその他の哺乳動物中の呼吸器ウイルス感染を治療する方法であって、前記ヒトまたはその他の哺乳動物に治療有効量の式I化合物またはその薬理学的に許容される塩、溶媒和物および/またはプロドラッグ(例えば、エステル)と、少なくとも一種類の別の活性治療剤とを投与して、呼吸器ウイルスRNAポリメラーゼを抑制することを含む、方法を提供する。
【0110】
他の実施形態では、ヒトまたはその他の哺乳動物中の呼吸器ウイルス感染を治療する方法であって、前記ヒトまたはその他の哺乳動物に治療有効量の式I化合物またはその薬理学的に許容される塩、溶媒和物および/またはプロドラッグ(例えば、エステル)と、少なくとも一種類の別の活性治療剤とを投与することを含む、方法を提供する。
【0111】
医薬組成物および応用
本発明は、さらに、本発明のウイルス複製を抑制する活性化合物、またはその薬理学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの一種または複数種の混合物を有効成分として、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルスおよび/またはブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)等ウイルス(特に2019新型コロナウイルス)感染による呼吸器感染、肺炎等の関連疾患を治療および/または予防、寛解する医薬の製造における使用を提供する。
【0112】
本発明で提供される医薬組成物は、好ましくは、重量比で0.001-99wt%の活性成分を含有し、好ましい割合として、本発明の活性化合物が活性成分として総重量の0.1wt%~90wt%または1wt%~50wt%を占めて、残りの部分が薬理学的に許容される担体、希釈液または溶液または塩溶液である。
必要に応じて、本発明の医薬にさらに一種または複数種の薬理学的に許容される担体を添加してもよい。前記担体は、薬学分野で一般的な希釈剤、賦形剤、充填剤、バインダー、湿潤剤、崩壊剤、吸収促進剤、界面活性剤、吸着担体、潤滑剤等を含む。
【0113】
本発明で提供される化合物および医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉剤、シロップ、溶液状、懸濁液、エアゾール剤など様々な形態であってもよく、適当な固体または液体の担体または希釈液中および注射または点滴のための適切な消毒器具中に存在していてもよい。
本発明の医薬組成物の各種剤形は薬学分野の通常の製造方法に従って製造することができる。その製剤処方の単位計量中には通常0.05-1000mgの本発明の活性化合物が含まれ、好ましくは製剤処方の単位計量中に1mg-500mgの本発明の活性化合物が含まれる。
【0114】
本発明の化合物および医薬組成物は、ヒトおよび動物を含む哺乳動物に臨床的に使用することができ、口、鼻、皮膚、肺または胃腸などの投与経路を介することができる。経口投与が最も好ましい。1日の投与量は体重0.01-400mg/kgで、一回に服用するか、0.01-200mg/kg体重を分けて服用することが最も好ましい。どのような服用方法を用いても、個人の最適な投与量は具体的な治療による。通常は小さい投与量から始めて、最適な投与量が見つかるまで徐々に投与量を増やす。
【0115】
本発明の医薬または阻害剤は、様々な方法で投与することができ、例えば、注射、噴射、点鼻、点眼、浸透、吸収、物理的または化学的に介在する方法で筋肉、皮内、皮下、静脈、粘膜組織などの生体に導入することができる。或いは、他の物質に混合されたり包まれたりして生体に導入される。
典型的には、経口、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、鼻腔、口腔粘膜、眼、肺、呼吸器、皮膚、膣、直腸などの腸管または非腸管に投与ことができる。
【0116】
薬剤投与型は、液剤型、固形剤型、または半固形剤型のいずれでもよい。液剤としては、液剤(真溶液とコロイド溶液を含む)、エマルジョン(O/W型、W/O型と複合エマルジョンを含む)、懸濁剤、注射剤(水注射剤、粉注射剤と輸液を含む)、点眼剤、点鼻剤、洗剤と塗布剤などが挙げられる。固形剤型としては、錠剤(普通錠、腸溶性錠、トローチ、分散剤、咀嚼錠、発泡錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、腸溶性カプセルを含む)、顆粒剤、散剤、マイクロピル、滴丸、坐剤、膜剤、貼付剤、パッチ剤、エアゾール(粉末)剤、噴霧剤などが挙げられる。半固形剤型としては、軟膏剤、ゲル剤、糊剤などが挙げられる。
【0117】
本発明の活性成分は、通常の製剤とすることもできるし、徐放製剤、放出制御製剤、標的製剤及び各種微粒子投与システムとすることもできる。
本発明の活性成分を錠剤に製造するために、希釈剤、バインダー、湿潤剤、崩壊剤、潤滑剤、流動助剤を含む、本分野で周知の様々な賦形剤を広く使用することができる。希釈剤は、デンプン、デキストリン、ショ糖、グルコース、乳糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、微結晶セルロース、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等であってもよい。湿潤剤は、水、エタノール、イソプロパノール等であってもよい。バインダーは、デンプンスラリー、デキストリン、シロップ、はちみつ、グルコース溶液、微結晶セルロース、アラビアガムスラリー、ゼラチンスラリー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、アクリル樹脂、カルボマー、ポリビニルピロリジノン、ポリエチレングリコール等であってもよい。崩壊剤は、乾燥デンプン、微結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ポリビニルピロリジノン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、重炭酸ナトリウムとクエン酸、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ラウリルスルホン酸ナトリウム等であってもよい。潤滑剤および流動助剤は、タルク、シリカ、ステアリン酸塩、酒石酸、流動パラフィン、ポリエチレングリコール等であってもよい。
【0118】
錠剤は、さらに糖コーティング錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、二重錠、多層錠などのコーティング錠にすることもできる。
投与ユニットをカプセル剤にするためには、有効成分である本発明の活性成分を希釈剤、流動助剤と混合し、混合物を直接ハードカプセルまたはソフトカプセルに入れてもよい。有効成分を希釈剤、バインダー、崩壊剤と一緒に顆粒やマイクロピルにしてから、ハードカプセルやソフトカプセルに入れることもできる。本発明の錠剤を製造するために使用する希釈剤、バインダー、湿潤剤、崩壊剤、流動助剤の種類も本発明のカプセル剤の製造に使用することができる。
【0119】
本発明の活性成分を注射剤にするためには、水、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール又はこれらの混合物を溶媒として、当分野でよく使用される可溶化剤、溶解助剤、pH調整剤、浸透圧調整剤を適量加えることができる。可溶化剤または溶解助剤は、ポロシャム、レシチン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどであってもよい。pH調整剤は、リン酸塩、酢酸塩、塩酸、水酸化ナトリウムなどであってもよい。浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、グルコース、リン酸塩、酢酸塩などであってもよい。凍結乾燥粉注射剤を製造する場合、マンニトール、グルコースなどを支持剤として加えることもできる。
【0120】
また、必要に応じて、着色剤、防腐剤、香料、矯味剤、その他の添加剤を医薬製剤に添加してもよい。
本発明の活性成分または組成物は単独で、またはその他の治療薬または対症療法薬と併用して使用することができる。
本発明の活性成分がその他の治療薬と相乗効果がある場合、実際の状況に応じてその投与量を調整すべきである。
【0121】
本発明の主な利点は次のとおりである。
(a)本発明の活性化合物は、SARS-CoV-2、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトコロナウイルスOC43(HCoV OC43)、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)、ジカウイルス(Zika)、デング熱ウィルス(DENV)等ウイルスの複製を効率的に抑制することができ、EC50値が小さく、かつ広いスペクトルで抗ウイルスの特点を有する。
(b)本発明の活性化合物の毒性・副作用が低く(細胞毒性CC50>10μM)、薬物製造性がよい。これは、本発明のヌクレオシド類似体が、ウイルス感染性疾患、特に抗新型コロナ肺炎の治療分野で優れた薬用見通しを持っていると示唆する。
【0122】
以下、具体的な実施例に基づいて、本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例では、具体的な条件が明記されていない実験方法は、通常、常用の条件に従うか、試薬製造メーカーが推奨する条件に従う。特に明記されていない限り、パーセントと部数は重量で計算する。
【0123】
製造実施例1:化合物A1の合成
【化23】
【0124】
化合物1-1が、文献で報道された方法を参照しながら合成された(Nature. 2016,531,381-385)。化合物1-1(1.5g、2.67mmol)を、アセトニトリル(30mL)に加えて、その後1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロホウ酸)塩(Selectfluor、1.13g、3.2mmol、1.2eq)、重炭酸ナトリウム(0.67g、8.0mmol、3eq)を加えて、添加完了後、室温で3-4時間反応し、TLCで反応完了を示した。反応液を、水(120mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物1-2が得られ、近白色固体0.43g、収率28%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.12(brs,1H),7.87(s,1H),7.50-7.20(m,16H),6.59(s,1H),4.92(d,J=11.7Hz,1H),4.85-4.78(m,2H),4.57-4.46(m,4H),4.42-4.35(m,1H),4.12(t,J=5.7Hz,1H),3.73(dd,J=11.2,3.2Hz,1H),3.60(dd,J=11.2,4.3Hz,1H)。
【0125】
化合物1-2(0.25g、0.43mmol)を、ジクロロメタン(10mL)に加えて、-60℃まで降温し、1M三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液(1.72mL、1.72mmol、4.0eq)を滴下し、添加完了後、自然に-40℃まで昇温し、同温度で引き続き2時間撹拌した後、TLCで反応完全をモニタした。-60℃まで降温し、順次にメタノール(0.2mL)およびトリエチルアミン(0.52g、5.16mmol、12eq)を滴下し、添加完了後、溶媒を留去し、黄色固体が得られた。固体を、メタノール(2mL)および酢酸エチル(10mL)に加えて、撹拌後ろ過し、白色不溶物を除去し、ろ過液を濃縮し、分取プレートで分離し、化合物A1が得られ、近白色固体49mg、収率37%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.11(brs,1H),7.88(s,1H),7.41(brs,1H),6.80(s,1H),6.23(d,J=6.1Hz,1H),5.20(d,J=5.7Hz,1H),4.93(t,J=5.7Hz,1H),4.54(t,J=5.5Hz,1H),4.08-4.01(m,1H),3.96-3.90(m,1H),3.71-3.64(m,1H),3.55-3.48(m,1H)。MSm/z=310.1[M+1]
【0126】
製造実施例2:化合物A2の合成
【化24】
【0127】
化合物2-1が、文献で報道された方法を参照しながら合成された(Nature. 2016,531,381-385)。化合物2-1(291mg、1.0mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に加えて、N-クロロスクシイミド(245mg,1.1mmol、 1.1eq)およびトリフルオロ酢酸(24mg、0.2mmol、0.2eq)を加えて、50℃で1時間反応し、TLCで反応完了を示した。反応液を亜硫酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの混合溶液に加えて、ろ過で化合物A2が得られ、白色固体185mg、収率57%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.26(brs,1H),7.95(s,1H),7.09(brs,1H),6.98(s,1H),6.23(d,J=5.7Hz,1H),5.18(d,J=5.6Hz,1H),4.92(t,J=5.6Hz,1H),4.52(t,J=5.0Hz,1H),4.06-4.00(m,1H),3.96-3.88(m,1H),3.69-3.61(m,1H),3.54-3.45(m,1H)。MSm/z=326.0[M+1]
【0128】
製造実施例3:化合物A3の合成
【化25】
【0129】
化合物2-1(291mg、1.0mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に加えて、N-ヨードスクシイミド(245mg、1.1mmol、1.1eq)およびトリフルオロ酢酸(24mg、0.2mmol)を加えて、50℃で1時間反応し、TLCで反応完了を示した。反応液を亜硫酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの混合溶液に加えて、ろ過で化合物A3が得られ、白色固体200mg、収率48%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 7.98(s,1H),7.12(s,1H),6.21(brs,1H),5.20(brs,1H),4.91(s,1H),4.52(d,J=4.6Hz,1H),4.11-3.99(m,1H),3.97-3.85(m,1H),3.64(d,J=11.3Hz,1H),3.49(d,J=10.9Hz,1H)。MSm/z=418.0[M+1]
【0130】
製造実施例4:化合物A4の合成
【化26】
【0131】
化合物1-1(350mg、0.62mmol)を、80%酢酸水溶液(10mL)に加えて、0℃まで降温し、複数回分けて亜硝酸ナトリウム(856mg、12.4mmol、20eq)を加えて、添加完了後、5分間温度維持し、室温で30分間撹拌した後、ゆっくり90℃まで昇温し、温度維持しながら4時間撹拌し、TLCで出発材料の転化完了を示した。(5mL)水および(15mL)トルエンを加えて、有機層を分離し、水層をトルエンでさらに一回抽出し、有機相を合併し、有機相を順次に水、重炭酸ナトリウム水溶液および食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離して化合物4-1が得られ、淡黄色フォーム状固体345mgであった。
【0132】
上記工程で得られた生成物4-1をジクロロメタン(3mL)に溶解し、窒素保護で、-35℃まで降温し、1M三塩化ホウ素のジクロロメタン溶液(2.1mL、2.1mmol)を滴下し、10分間程度で添加完了後、15分間温度維持し、ゆっくりメタノール(0.3mL)を滴下し、添加完了後、20分間温度維持し、反応液を濃縮し、n-ヘプタン(5mL)を加えて、室温で1時間撹拌し、ろ過し、ろ過ケーキを少量のn-ヘプタンで洗浄し、黄色固体255mgが得られた。当該固体をメタノール(0.75mL)および水(0.1mL)に30分間還流し、活性炭(12mg)を加えて、ろ過し、ろ過残渣を少量のメタノールで洗浄し、ろ過液を溶媒を全部蒸発させ、少量の酢酸エチルを加えて、スラリー化し、ろ過し、化合物A4が得られ、淡黄色固体85mg、収率44%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 11.91(d,J=4.1Hz,1H),7.98(d,J=4.1Hz,1H),6.91(d,J=4.4Hz,1H),6.81(d,J=4.4Hz,1H),6.14(brs,1H),5.22(brs,1H),4.55(d,J=5.1Hz,1H),4.06-4.03(m,1H),3.95(t,J=5.4Hz,1H),3.62(dd,J=12.2,3.4Hz,1H),3.49(dd,J=12.2,4.6Hz,1H)。MSm/z=293.0[M+1]、m/z=291.0[M-1]
【0133】
製造実施例5:化合物A9の合成
【化27】
【0134】
化合物1-1(561mg、1.0mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、複数回分けてヨウ素(508mg、2mmol、2eq)を加えて、室温で一晩反応し、TLCで出発材料が残ったことを示した。反応液を、亜硫酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの混合溶液に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機相を順次に水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物9-1が得られ、白色固体400mg、収率58%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 7.98(s,1H),7.40-7.22(m,15H),6.86(s,1H),4.91(d,J=11.7Hz,1H),4.84-4.78(m,2H),4.50(q,J=12.0Hz,4H),4.41-4.35(m,1H),4.12-4.08(m,1H),3.72(dd,J=11.2,2.8Hz,1H),3.59(dd,J=11.2,4.1Hz,1H)。
【0135】
化合物9-1(69mg、0.1mmol)を無水テトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、氷浴で、トリメチルクロロシラン(24mg、0.22mmol、2.2eq)を加えて、10分間撹拌後、-10℃まで降温し、その後3.0Mメチルマグネシウムブロマイドの2-メチルテトラヒドロフラン溶液(74uL、0.22mmol、2.2eq)を滴下し、添加完了後、30分間撹拌した。-20℃まで降温し、1.3Mイソプロピルマグネシウムクロリド塩化リチウムテトラヒドロフラン溶液(0.1mL、0.13mmol、1.3eq)を加えて、引き続き1時間撹拌した。反応系に重水(0.2mL)を加えて、15分間撹拌後、反応液を、飽和塩化アンモニウム溶液に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機相を順次に水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物9-2が得られ、白色固体28mg、収率50%であった。H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 7.65(s,1H),7.34-7.16(m,15H),6.84(s,1H),4.95(d,J=5.1Hz,1H),4.74(q,J=11.9Hz,2H),4.57(d,J=11.9Hz,1H),4.53-4.43(m,4H),4.11(t,J=5.2Hz,1H),3.73(dd,J=10.9,4.1Hz,1H),3.62(dd,J=10.9,4.5Hz,1H)。
【0136】
化合物9-2(90mg、0.16mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、-60℃で、1.0M三塩化ホウ素ジクロロメタン溶液(0.56mL、0.56mmol)を滴下し、添加完了後、-40℃で1時間撹拌し、TLCで反応完了を示した。反応液にメタノール(0.1mL)を加えて、その後、反応液pHが7-8となるまでトリエチルアミンを加えて、反応液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物A9が得られ、近白色固体15mg、収率50%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.03-7.78(m,3H),6.87(s,1H),6.09(d,J=6.3Hz,1H),5.19(d,J=5.2Hz,1H),4.91(t,J=5.7Hz,1H),4.64(t,J=5.7Hz,1H),4.09-4.02(m,1H),3.99-3.92(m,1H),3.68-3.59(m,1H),3.55-3.47(m,1H)。MSm/z=293.0[M+1]
【0137】
製造実施例6:化合物A9の合成
【化28】
【0138】
化合物9-1(69mg、0.1mmol)を、乾燥のテトラヒドロフラン(5mL)および重水(1mL)の混合溶液に加えて、溶液を濃縮完了した後、さらに乾燥のテトラヒドロフラン(5mL)および重水(1mL)を加えて、その後順次に[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(8mg、0.01mmol)およびテトラメチルエチレンジアミン(3mg、0.02mmol)を加えて、添加完了後、10分間撹拌し、その後、複数回分けてホウ素重水素化ナトリウム(21mg、0.5mmol)を加えて、2時間後TLCで出発材料の反応完全を示した。反応液を水に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物9-2が得られ、重水素化率が97%以上、白色固体30mg、収率53%であった。
【0139】
実施例5中の合成方法を参照し、化合物9-2(90mg、0.16mmol)が脱保護基をした後、化合物A9が得られ、近白色固体15mg、収率50%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.01-7.79(m,3H),6.88(s,1H),6.09(d,J=6.4Hz,1H),5.19(d,J=5.3Hz,1H),4.91(t,J=5.8Hz,1H),4.65(t,J=5.7Hz,1H),4.08-4.04(m,1H),3.98-3.93(m,1H),3.67-3.61(m,1H),3.54-3.48(m,1H)。13C NMR(126MHz,DMSO-d)δ 156.08,148.32,124.35,117.82,116.94,111.16,85.92,79.04,74.72,70.56,61.43。重水素化率が97%以上、MSm/z=293.0[M+1]
【0140】
製造実施例7:化合物A10の合成
【化29】
【0141】
化合物2-1(0.5g、1.72mmol)を、アセトン(10mL)に加えて、順次に2,2-ジメトキシプロパン(0.89g、8.6mmol、5eq)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(0.59g、3.1mmol、1.8eq)を加えて、添加完了後、45℃で2時間撹拌し、TLCで反応完全をモニタした。反応液を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、溶媒を留去し、化合物10-1が得られ、白色固体0.33g、収率58%であった。
【0142】
化合物10-1(0.25g、0.75mmol)を、アセトニトリル/水(V/V=1/1、15mL)に加えて、順次にTEMPO(0.047g、0.3mmol、0.4eq)、二酢酸ヨードベンゼン(1.06g、3.3mmol、4.4eq)、重炭酸ナトリウム(0.25g、3mmol、4.0eq)を加えて、添加完了後、室温で5時間程度撹拌し、TLCで反応完了を示した。反応液を、0.5M水酸化ナトリウム溶液(20mL)に加えて、酢酸エチル(20mL×2)で二回抽出し、有機相を捨てて、水層を希塩酸(2M)でpHを4-5に調整し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、有機層を合併し、乾燥し、濃縮し、化合物10-2が得られ、白色固体0.23g、収率89%であった。
【0143】
上記工程で得られた生成物10-2(0.18g、0.52mmol)を、テトラヒドロフランおよびメタノール(8mL、1:1)に加えて、室温で、2Mトリメチルシリルアジドメタンn-ヘキサン溶液(1.2mL、2.4mmol、4.5eq)を滴下し、添加完了後、室温で反応し、1時間後反応が完全した。気泡が生じないまで反応液に酢酸を滴下し、溶媒を留去し、分取プレートで分離し、化合物10-3が得られ、白色固体0.11g、収率59%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.06-7.88(m,3H),6.92(d,J=4.6Hz,1H),6.89(d,J=4.6Hz,1H),5.52(d,J=6.1Hz,1H),5.37(dd,J=6.1,2.2Hz,1H),4.92(d,J=2.2Hz,1H),3.40(s,3H),1.62(s,3H),1.42(s,3H)。
【0144】
化合物10-3(0.10g、0.28mmol)を、無水テトラヒドロフラン(4mL)および重水素化メタノール(1mL)に加えて、氷浴条件下、ホウ素重水素化ナトリウム(0.047g、1.12mmol、4eq)を加えて、添加完了後、室温で反応し、1時間後TLCで反応完了を示した。気泡が生じないまで反応液に希塩酸を滴下し、反応液を濃縮し、分取プレートで分離し、化合物10-4が得られ、白色固体0.06g、収率64%であった。
【0145】
上記工程の生成物10-4(60mg、0.18mmol)を、テトラヒドロフラン(2mL)に加えて、濃塩酸(0.4mL)を滴下し、反応が完全するまで40℃で反応した。pHが中性となるまで反応液に重炭酸ナトリウム溶液を加えて、テトラヒドロフランで抽出し、有機相が分離され、有機相を乾燥した後、溶媒を全部蒸発させ、近白色固体が得られ。得られた固体を、酢酸エチルに加えて、0.5時間撹拌し、ろ過し、オーブン乾燥し、化合物A10が得られ、白色固体34mg、収率64%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.03-7.82(m,3H),6.92(d,J=4.5Hz,1H),6.89(d,J=4.6Hz,1H),6.10(d,J=6.3Hz,1H),5.20(d,J=5.2Hz,1H),4.89(s,1H),4.66(t,J=5.7Hz,1H),4.06(d,J=5.4Hz,1H),4.00-3.93(m,1H)。13C NMR(126MHz,DMSO-d)δ 156.10,148.35,124.35,117.81,117.01,111.26,101.27,85.80,79.04,74.70,70.54。重水素化率が99%、MSm/z=294.0[M+1]
【0146】
製造実施例8:化合物A11の合成
【化30】
【0147】
化合物A9(1.17g、4.0mmol、重水素化率が97%以上)を、アセトン(20mL)に加えて、順次に2,2-ジメトキシプロパン(2.08g、20.0mmol、5eq)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(1.37g、7.2mmol、1.8eq)を加えて、添加完了後、45℃で2時間撹拌し、大量の固体が出現し、TLCで反応完全をモニタした。反応液を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、溶媒を留去し、化合物11-1が得られ、白色固体0.86g、収率65%であった。
【0148】
化合物11-1(0.225g、0.68mmol)を、アセトニトリル/水(V/V=1/1、10mL)に加えて、順次にTEMPO(0.02g、0.14mmol、0.2eq)、二酢酸ヨードベンゼン(0.66g、2.04mmol、3.0eq)、重炭酸ナトリウム(0.17g、2.04mmol、3.0eq)を加えて、添加完了後、室温で4-5時間撹拌し、TLCで反応完全をモニタした。反応液を、KOH水溶液(0.5M、20mL)に加えて、酢酸エチル(20mL×3)で水層を抽出し、水層を分離した。水層を希塩酸(2M)でpHを4-5に調整し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機層を合併し、乾燥し、濃縮して11-2粗品が得られ、そのまま次の工程に仕込んだ。
【0149】
化合物11-2粗品(0.68mmol、100%収率として)を、テトラヒドロフラン/メタノール(V/V=1/1、8mL)に加えて、室温でトリメチルシリルアジドメタンn-ヘキサン溶液(2M、1.36mL、4.0eq)を滴下し、添加完了後、室温で反応し、30分間後反応が完全した。気泡が生じないまで反応液に酢酸を滴下した。溶媒を全部蒸発させ、反応液に、酢酸エチル(20mL)を加えて、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10mL×2)で洗浄し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物11-3が得られ、白色固体0.06g、二工程反応収率24%であった。
【0150】
化合物11-3(0.06g、0.17mmol)を、重水素化メタノール/テトラヒドロフラン(V/V=1/5、6mL)に加えて、氷浴条件下、NaBD(0.028g、0.68mmol、4eq)を加えて、添加完了後、室温で反応し、1-2時間後反応が完全した。反応液を、酢酸エチル/水(20mL/20mL)混合液に加えて、有機層を分離し、水層をさらに酢酸エチル(20mL)で一回抽出した。酢酸エチル層を合併し、そして溶媒を全部蒸発させた。得られた生成物を、メタノール(10mL)に加えて、希塩酸を滴下し(1M)、溶液pHを2-3にし、室温で1-2時間撹拌した後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpHを中性に調整した。酢酸エチル/水(20mL/20mL)混合液を加えて、有機相が分離され、水層をさらに酢酸エチル(20mL)で一回抽出した。有機層を合併し、乾燥し、濃縮し、シリカゲル分取プレートで分離し、化合物11-4が得られ、白色固体0.05g、収率89%であった。
【0151】
11-4(0.05g、0.15mmol)を、テトラヒドロフラン(1.5mL)に加えて、氷浴で濃塩酸(0.3mL)を滴下し、添加完了後、室温で反応を2-3時間撹拌し、TLCで反応完全をモニタした。氷浴で、反応液を1MのNaOH水溶液でpHを中性に調整し、テトラヒドロフランを留去した後、ろ過し、ろ過ケーキを順次に蒸留水(10mL)、酢酸エチル(10mL)でスラリー化し、ろ過し、オーブン乾燥し、化合物A11が得られ、白色固体0.03g、収率68%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.04-7.76(m,3H),6.89(s,1H),6.07(d,J=6.3Hz,1H),5.18(d,J=5.2Hz,1H),4.87(s,1H),4.67(t,J=5.8Hz,1H),4.07(d,J=5.3Hz,1H),4.01-3.93(m,1H)。m/z=295.0[M+1]。2つのサイトの重水素化率が、それぞれ、97%以上であった。
【0152】
製造実施例9:化合物A12の合成
【化31】
【0153】
化合物10-1(662mg、2.0mmol)を、アセトニトリル(15mL)に加えて、重炭酸ナトリウム(336mg、4mmol、2eq)および1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロホウ酸)塩(850mg、2.4mmol、1.2eq)を加えて、室温で24時間撹拌し、TLCで一部の出発材料が残ったことを示した。反応液に酢酸エチル(50mL)および水(20mL)を加えて、有機相が分離され、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物12-1が得られ、近白色固体140mg、収率20%であった。
【0154】
化合物12-1(140mg、0.4mmol)を、アセトニトリルおよび水の混合溶液中(6mL、1:1)に加えて、室温で、順次に二酢酸ヨードベンゼン(515mg、1.6mmol、4eq)、重炭酸ナトリウム(135mg、1.6mmol、4eq)およびTEMPO(25mg、0.16mmol、0.4eq)を加えて、3時間程度で、反応が完全した。反応液に水酸化ナトリウム水溶液(10mL、224mg、10eq)を加えて、酢酸エチルで2回抽出し、有機相を捨てた。水相に2M希塩酸を加えて、pHを4-5にし、酢酸エチルで3回抽出し、有機相を合併し、乾燥し、溶媒を留去し、化合物12-2が得られ、近白色固体116mg、収率80%であった。
【0155】
化合物12-2(116mg、0.32mmol)を、テトラヒドロフランおよびメタノール(4mL、1:1)混合溶液に加えて、ゆっくり2Mトリメチルシラン化アジドメタンn-ヘキサン溶液(0.48mL、0.96mmol、3eq)を加えて、TLCでモニタし、出発材料がまだ残った場合、反応が完全するまでさらに適量のトリメチルシラン化アジドメタンを追加してもよい。気泡が生じないまで反応液に酢酸を滴下し、溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物12-3が得られ、白色固体105mg、収率87%であった。
【0156】
上記工程の生成物12-3(105mg、0.28mmol)を、無水テトラヒドロフラン(2mL)に加えて、重水素化メタノール(0.5mL)を加えて、室温で、1時間以内に添加完了するように複数回分けてホウ素重水素化ナトリウム(35mg、0.84mmol、3eq)を加えて、引き続き5時間撹拌し、TLCで出発材料の反応完全を示した。反応液に酢酸エチル(0.5mL)を加えて、反応液を濃縮し、分取プレートで分離し、化合物12-4が得られ、白色フォーム状固体80mg、収率82%であった。
【0157】
上記工程の生成物12-4(80mg、0.23mmol)を、テトラヒドロフラン(3mL)に加えて、濃塩酸(0.5mL)を滴下し、反応が完全するまで40℃で反応した。反応液中に不溶物が析出し、ろ過し、白色固体55mgが得られ、固体を、水(1.5mL)に加えて、炭酸ナトリウム(16mg)を加えて、0.5時間撹拌し、ろ過し、オーブン乾燥し、化合物A12が得られ、白色固体44mg、収率62%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.10(brs,1H),7.88(s,1H),7.41(brs,1H),6.80(s,1H),6.23(brs,1H),5.20(brs,1H),4.89(s,1H),4.54(d,J=4.9Hz,1H),4.04(d,J=6.3Hz,1H),3.94(t,J=5.5Hz,1H)。重水素化率が98%、MSm/z=312.0[M+1]
【0158】
製造実施例10:化合物A35の合成
【化32】
【0159】
化合物35-1が、文献(WO2015069939)で報道された方法で合成された。塩酸ヒドロキシアミン(547mg、7.87mmol、30eq)を、水(3.2mL)に加えて、系内pH値が6.0となるようにゆっくり10%水酸化ナトリウム溶液を滴下し、その後化合物35-1(69mg、0.26mmol、1eq)を加えて、窒素保護で、40℃で一晩撹拌し、TLCで反応完了を示した。反応液をリバース相カラムで分離し、近白色固体A35、52mgが得られ、収率71%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 10.61(d,J=4.0Hz,1H),10.06(s,1H),7.39(d,J=4.0Hz,1H),6.38-6.33(m,2H),4.96(d,J=6.6Hz,1H),4.93(d,J=6.3Hz,1H),4.86(d,J=5.1Hz,1H),4.74-4.68(m,1H),4.15(q,J=6.1Hz,1H),3.91(q,J=4.9Hz,1H),3.74(q,J=4.5Hz,1H),3.55-3.49(m,1H),3.47-3.43(m,1H)。MSm/z=283.0[M+1]
【0160】
製造実施例11:化合物A49、A124の合成
【化33】
【0161】
化合物2-1(2.2g、7.6mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に加えて、イミダゾール(3.1g、45.6mmol、6eq)を加えて、氷浴で、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラソプロピルジシロキサン(2.9g、9.5mmol、1.2eq)を滴下し、添加完了後、室温で反応し、4時間後反応が完全した。反応液を、水(120mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物49-1が得られ、白色固体3.2g、収率80%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 7.99-7.82(m,3H),6.88(d,J=4.5Hz,1H),6.79(d,J=4.4Hz,1H),6.45(d,J=5.7Hz,1H),4.56(t,J=5.0Hz,1H),4.22-4.09(m,3H),3.95-3.86(m,1H),1.09-0.76(m,28H)。
【0162】
化合物49-1(1.2g、2.2mmol)を、トルエン(20mL)に加えて、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.52g、4.4mmol、2eq)を加えて、50℃で反応した。3h程度で反応が完全した。減圧溶媒を留去し、酢酸エチル(60mL)および水(20mL)を加えて、有機相が分離され、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥後、溶媒を全部蒸発させ、化合物49-2が得られ、白色固体1.2g、収率92%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.96(s,1H),8.16(s,1H),6.91(d,J=4.5Hz,1H),6.81(d,J=4.4Hz,1H),6.49(d,J=5.8Hz,1H),4.59(t,J=5.1Hz,1H),4.26-4.11(m,3H),3.93(dd,J=13.3,2.4Hz,1H),3.26(s,3H),3.20(s,3H),1.09-0.87(m,28H)。
【化34】
【0163】
化合物49-2(294mg、0.5mmol)を、ジクロロメタン(6mL)に加えて、室温で、順次にトリエチルアミン(101mg、1mmol、2eq)、DMAP(12mg、0.1mmol、0.2eq)およびイソブタン酸クロリド(85mg、0.8mmol、1.6eq)を加えて、一晩反応し、TLCで反応完了を示した。反応液に飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびジクロロメタンを加えて、有機層を分離し、有機相を乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物49-3が得られ、白色フォーム状固体240mg、収率72%であった。
【0164】
上記工程で得られた生成物49-3(240mg、0.36mmol)を、テトラヒドロフラン(5mL)に加えて、1Mテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(0.72mL、0.72mmol)を加えて、1時間後、反応が完全した。反応液に水(10mL)を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、有機相を乾燥した後、溶媒を全部蒸発させ、オイル状物が得られる。当該オイル状物を、テトラヒドロフラン(6mL)に加えて、水(0.5mL)およびトリフルオロ酢酸(205mg、1.8mmol)を加えて、室温で一晩撹拌した。反応液に重炭酸ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物A49およびA124が得られ、A124の割合が95%よりも多く、酢酸イソプロピルで重結晶することにより、A124が得られ、白色固体80mg、二工程収率61%であった。得られた化合物A124のH NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.09-7.84(m,3H),6.94(d,J=4.6Hz,1H),6.90(d,J=4.6Hz,1H),6.43(d,J=6.5Hz,1H),5.22(dd,J=5.7,3.3Hz,1H),5.07(t,J=5.8Hz,1H),5.01(t,J=6.1Hz,1H),4.31-4.25(m,1H),3.66-3.52(m,2H),2.68-2.58(m,1H),1.19(d,J=7.0Hz,3H),1.17(d,J=7.0Hz,3H)。MSm/z=362.0[M+1]
【0165】
製造実施例12:化合物A50の合成
【化35】
【0166】
化合物10-1(0.664g、2.0mmol)を、トルエン(10mL)に加えて、N、N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.47g、4.0mmol、2.0eq)を加えて、添加完了後、60℃で2-3時間反応し、TLCで反応完全をモニタした。溶媒を留去し、化合物50-1が得られ、黄色固体0.65g、収率84%であった。
【0167】
上記工程の生成物50-1(0.2g、0.52mmol)を、ジクロロメタン(10mL)に加えて、順次にトリエチルアミン(0.1g、1.0mmol、2eq)、DMAP(0.012g、0.10mmol、0.2eq)、イソブタン酸クロリド(0.083g、0.78mmol、1.5eq)を加えて、添加完了後、室温で1-2時間撹拌し、TLCで反応完全をモニタした。反応液を、1M希塩酸(10mL)に加えて、ジクロロメタンで抽出し、有機相が分離され、有機相を飽和重炭酸ナトリウム(20mL)で洗浄し、乾燥後濃縮し、化合物50-2が得られ、近白色固体0.2g、収率84%であった。
【0168】
化合物50-2(0.1g、0.22mmol)を、テトラヒドロフラン(3mL)に加えて、氷浴で濃塩酸(0.6mL)を滴下し、添加完了後、室温で反応を3時間撹拌し、TLCで出発材料が少し残ったことを示した。反応液を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機相を乾燥し、濃縮し、分取プレートで分離して化合物A50が得られ、白色固体13mg、収率16%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.00-7.80(m,3H),6.92(d,J=4.6Hz,1H),6.82(d,J=4.5Hz,1H),6.33(d,J=6.0Hz,1H),5.39(d,J=5.8Hz,1H),4.70(t,J=5.5Hz,1H),4.32(dd,J=12.0,2.9Hz,1H),4.27-4.21(m,1H),4.18(dd,J=12.0,5.3Hz,1H),3.99-3.94(m,1H),2.57-2.52(m,1H),1.07(d,J=2.4Hz,3H),1.06(d,J=2.4Hz,3H)。MSm/z=362.0[M+1]
【0169】
製造実施例13:化合物A51、A212の合成
【化36】
【0170】
化合物49-2(260mg、0.44mmol)およびBoc-L-バリン(115mg、0.53mmol、1.2eq)を、ジクロロメタン(10mL)に加えて、順次にHOBT(89mg、0.66mmol、1.5eq)、EDCI(169mg、0.88mmol、2eq)およびDMAP(214mg、1.76mmol、4eq)を加えて、室温で一晩撹拌した。反応液にジクロロメタン(20mL)および水(20mL)を加えて、5分間撹拌し、有機相が分離され、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物51-1が得られ、白色固体260mg、収率75%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.98(s,1H),8.15(s,1H),7.23(d,J=9.0Hz,1H),6.96(d,J=4.5Hz,1H),6.85(d,J=4.6Hz,1H),5.90(d,J=5.0Hz,1H),4.57(dd,J=9.2,4.9Hz,1H),4.27-4.17(m,3H),3.95(dd,J=13.8,2.8Hz,1H),3.27(s,3H),3.21(s,3H),2.30-2.19(m,1H),1.45-1.34(m,9H),1.10-0.86(m,34H)。
【0171】
化合物51-1(180mg、0.23mmol)を、テトラヒドロフラン(4mL)に加えて、室温で、1Mテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(0.46mL、0.46mmol)を加えて、1時間後、反応が完全した。反応液に水(10mL)を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機相を乾燥した後、溶媒を全部蒸発させ、オイル状物が得られた。当該オイル状物をテトラヒドロフラン(6mL)に溶解し、水(0.5mL)およびトリフルオロ酢酸(131mg、1.15mmol、5eq)を加えて、室温で一晩撹拌した。反応液に重炭酸ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物51-2aおよび51-2bが得られ、51-2bの割合が90%よりも多く、さらに重結晶により51-2b純粋品が得られ、白色固体70mg、二工程収率62%であった。得られた化合物51-2bのH NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.08-7.87(m,3H),7.06(d,J=8.6Hz,1H),6.94(d,J=4.5Hz,1H),6.91(d,J=4.6Hz,1H),6.50(d,J=6.7Hz,1H),5.19-5.14(m,1H),5.10-5.05(m,1H),5.03-4.98(m,1H),4.26-4.20(m,1H),4.10(dd,J=8.7,5.5Hz,1H),3.66-3.53(m,2H),2.31-2.22(m,1H),1.45-1.35(m,9H),0.93(d,J=6.8Hz,3H),0.90(d,J=6.8Hz,3H)。
【0172】
化合物51-2b(42mg、0.086mmol)を、飽和塩化水素/メタノール溶液(4mL)に加えて、35℃で撹拌し、2時間後TLCで反応完了を示した。反応液を濃縮し、メチルtert-ブチルエーテルを加えて、撹拌後ろ過し、化合物A212が得られ、二塩酸塩であって、白色固体45mg、収率81%であった。H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 8.17(s,1H),7.50(d,J=4.8Hz,1H),7.21(d,J=4.8Hz,1H),5.52(dd,J=5.8,3.2Hz,1H),5.19(d,J=5.8Hz,1H),4.54-4.48(m,1H),4.16-4.10(m,1H),3.83(d,J=3.7Hz,2H),2.58-2.48(m,1H),1.18(d,J=4.2Hz,3H),1.17(d,J=4.2Hz,3H)。MSm/z=391.1[M+1]。上記工程で得られた混合物51-2aおよび51-2b(51-2aの割合5-10%)がそのまま脱保護をする場合、A51およびA212混合物が得られ、A51含有量が約10%であった。
【0173】
製造実施例14:化合物A52の合成
【化37】
【0174】
化合物2-1(291mg、1.0mmol)を、ピリジン(8mL)に加えて、減圧でピリジンを留去し、一回繰り返して、その後さらにピリジン(8mL)を加えて、室温で、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(477mg,4.0mmol)を加えて、窒素保護で、室温で一晩反応し、反応液を濃縮して化合物52-1が得られ、オイル状物であって、分離せずにそのまま次の反応に用いた。
【0175】
Boc-L-バリン(304mg、1.4mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(203mg、1.5mmol)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(422mg、2.2mmol)を、ジクロロメタン(10mL)に加えて、室温で15分間撹拌した後、上記工程で得られた52-1のジクロロメタン溶液(1mL)および4-ジメチルアミノピリジン(684mg、5.4mmol)を加えて、室温で一晩撹拌した。反応液を濃縮後、メタノールを加えて、再び濃縮し、オイル状物が得られ、水を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機相を順次に水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、化合物52-2粗品が得られ、オイル状物であって、そのまま次の反応に用いた。
【0176】
化合物52-2をアセトニトリル(10mL)に溶解し、85%水和ヒドラジン(236mg、4.0mmol)を加えて、室温で3時間反応した後、反応液を、水に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物52-3が得られ、白色固体104mg、三工程総収率21%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 7.98-7.83(m,3H),7.13(d,J=8.1Hz,1H),6.91(d,J=4.5Hz,1H),6.82(d,J=4.5Hz,1H),6.33(d,J=6.0Hz,1H),5.38(d,J=5.9Hz,1H),4.69(t,J=5.4Hz,1H),4.33-4.28(m,1H),4.27-4.20(m,2H),3.94-3.90(m,1H),3.89-3.85(m,1H),1.98-1.91(m,1H),1.37(s,9H),0.82(t,J=6.5Hz,6H)。
【0177】
化合物52-3(104mg、0.21mmol)を、飽和塩化水素のメタノール溶液(5mL)に加えて、36℃で撹拌し、1時間後反応が完全した。反応液を濃縮し、その後イソプロピルエーテルを加えて、固体が析出し、ろ過し、化合物A52が得られ、二塩酸塩であって、白色固体80mg、収率82%であった。H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 8.15(s,1H),7.49(d,J=4.8Hz,1H),7.12(d,J=4.8Hz,1H),4.74(d,J=5.2Hz,1H),4.62(dd,J=12.1,7.4Hz,1H),4.54(dd,J=12.1,2.8Hz,1H),4.45(td,J=7.5,2.7Hz,1H),4.05-4.00(m,2H),2.35-2.27(m,1H),1.08(d,J=1.9Hz,3H),1.07(d,J=1.8Hz,3H)。MSm/z=391.1[M+1]
【0178】
製造実施例15:化合物A53の合成
【化38】
【0179】
化合物49-1(150mg、0.28mmol)を、ジクロロメタン(2mL)に溶解し、ピリジン(265mg、3.35mmol、12eq)を加えて、氷浴で、トリメチルクロロシラン(93mg、0.86mmol)を加えて、30分間撹拌した後、TLCで出発材料の転化完了を示した。反応液にさらにクロロギ酸n-ペンチル(120mg、0.8mmol)を加えて、氷浴を維持し、引き続き2時間撹拌し、TLCで反応完全を検出した。反応液にジクロロメタンおよび水を加えて、有機層を分離し、有機層を順次に希塩酸で洗浄しおよび食塩水で洗浄し、乾燥後濃縮し、53-1粗品が得られ、無色オイル状物200mgであった。当該オイル状物を、テトラヒドロフラン(2mL)に加えて、室温で1Mテトラブチルアンモニウムフルオリドテトラヒドロフラン溶液(0.2mL、0.2mmol)を滴下し、添加完了後、室温で50分間撹拌し、TLCで反応完了を示した。反応液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物A53が得られ、白色固体55mg、二工程収率48%であった。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 10.88(s,1H),8.37(s,1H),7.30(d,J=4.8Hz,1H),7.11(d,J=4.8Hz,1H),6.21(d,J=6.2Hz,1H),5.23(d,J=5.5Hz,1H),4.90(t,J=5.6Hz,1H),4.61(t,J=5.7Hz,1H),4.18(t,J=6.7Hz,2H),4.10-4.04(m,1H),3.95(q,J=5.5Hz,1H),3.68-3.61(m,1H),3.54-3.47(m,1H),1.71-1.61(p,J=6.8Hz,2H),1.39-1.29(m,4H),0.89(t,J=7.0Hz,3H)。MSm/z=406.0[M+1]
【0180】
製造実施例16:化合物A69、A144の合成
【化39】
【0181】
化合物A9(879mg、3.01mmol、重水素化率が97%以上)を、N、N-ジメチルホルムアミド(15mL)に加えて、イミダゾール(819mg、12.03mmol、4eq)を加えて、氷浴で、1,3二クロロ-1,1,3,3-テトラソプロピルジシロキサン(1.32g、4.21mmol、1.4eq)を滴下し、添加完了後、室温で反応し、1時間後反応が完全した。反応液を、水に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、石油エーテルでスラリー化し、化合物69-1が得られ、白色固体1.29g、収率80%であった。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 8.04-7.78(m,3H),6.79(s,1H),6.46(d,J=5.7Hz,1H),4.56(t,J=5.1Hz,1H),4.24-4.08(m,3H),3.91(d,J=12.0Hz,1H),1.08-0.86(m,28H)。
【0182】
化合物69-1(1.10g、2.07mmol)を、トルエン(20mL)に加えて、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(370mg、3.11mmol、1.5eq)を加えて、45℃で反応し、30分間程度反応が完全した。減圧溶媒を留去し、酢酸エチル(60mL)および水(20mL)を加えて、有機相が分離され、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥後、溶媒を全部蒸発させ、化合物69-2が得られ、白色固体1.12g、収率92%であった。
【0183】
化合物69-2(614mg、1.04mmol)を、ジクロロメタン(10mL)に加えて、室温で、順次にトリエチルアミン(210mg、2.08mmol、2eq)、イソブタン酸クロリド(166mg、1.56mmol、1.5eq)およびDMAP(127mg、1.04mmol、1eq)を加えて、室温で撹拌し、1時間程度反応が完全した。反応液に飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびジクロロメタンを加えて、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物69-3が得られ、白色フォーム状固体494mg、収率72%であった。
【0184】
化合物69-3(350mg、0.53mmol)を、アセトニトリル(8mL)に加えて、85%水和ヒドラジン(125mg、2.12mmol、4eq)を加えて、室温で撹拌し、30分間程度反応が完全した。反応液を、に加えて水中、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、有機相を、それぞれ、希塩酸、飽和重炭酸ナトリウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥後、溶媒を全部蒸発させ、化合物69-4が得られ、白色固体289mg、収率90%であった。
【0185】
化合物69-4(289mg、0.48mmol)を、テトラヒドロフラン(10mL)に加えて、1Mテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(0.48mL、0.48mmol、1eq)を加えて、室温で撹拌し、30分間程度反応が完全した。反応液を、水に加えて、酢酸イソプロピルで抽出し、有機層を分離し、有機相を、それぞれ、飽和重炭酸ナトリウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥後、溶媒を全部蒸発させ、化合物A69およびA144が得られ、A144の割合が95%よりも多く、n-ヘプタン/イソプロパノール(1:1)混合溶液でスラリー化し、ろ過し、乾燥し、化合物A144純粋品が得られ、白色固体121mg、収率70%であった。得られた化合物A144のH NMR(600MHz,DMSO-d)δ 8.06-7.85(m,3H),6.88(s,1H),6.41(d,J=6.5Hz,1H),5.21(dd,J=5.7,3.3Hz,1H),5.08-5.04(m,1H),4.99(t,J=6.0Hz,1H),4.26(q,J=3.7Hz,1H),3.64-3.52(m,2H),2.67-2.58(m,1H),1.17(d,J=7.0Hz,3H),1.15(d,J=7.0Hz,3H)。13C NMR(126MHz,DMSO-d)δ 175.92,156.13,148.45,123.24,117.50,117.27,111.60,84.59,78.30,73.14,72.69,61.25,33.81,19.18,19.08。MSm/z=363.0[M+1]
【0186】
製造実施例17:化合物A70の合成
【化40】
【0187】
化合物A9(145mg、0.5mmol、重水素化率が97%以上)を、ピリジン(5mL)に加えて、減圧でピリジンを留去し、一回繰り返し、その後さらにピリジン(5mL)を加えて、室温で、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(240mg、2.0mmol)を加えて、窒素保護で、室温で一晩反応した。反応液を濃縮して中間体70-1が得られ、オイル状物であって、当該中間体を分離せずにそのまま次の反応に用いた。
【0188】
上記工程で得られた中間体70-1をピリジン(5mL)に溶解し、順次に4-ジメチルアミノピリジン(6mg、0.05mmol)およびイソブタン酸クロリド(80mg、0.75mmol)を加えて、3時間後、メタノールを加えて、溶媒を留去し、中間体70-2が得られ、オイル状物であって、当該中間体を分離せずにそのまま次の反応に用いた。
【0189】
上記工程で得られた中間体70-2を、アセトニトリル(5mL)に加えて、水和ヒドラジン(176mg、3.0mmol)を加えて、室温で一晩撹拌した。反応液に水を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機層を順次に水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物A70が得られ、白色固体80mg、収率44%であった。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 8.01-7.79(m,3H),6.80(s,1H),6.32(d,J=6.0Hz,1H),5.38(d,J=5.8Hz,1H),4.69(t,J=5.4Hz,1H),4.30(dd,J=12.1,2.9Hz,1H),4.25-4.21(m,1H),4.17(dd,J=12.1,5.3Hz,1H),3.95(q,J=5.9Hz,1H),2.54-2.51(m,1H),1.06(d,J=2.9Hz,3H),1.05(d,J=2.9Hz,3H)。13C NMR(126MHz,DMSO-d)δ 176.36,156.06,148.40,123.99,117.40,117.00,110.61,81.78,79.50,74.49,70.65,63.40,33.63,19.19,19.11。MSm/z=363.0[M+1]
【0190】
製造実施例18:化合物A71、A213の合成
【化41】
【0191】
化合物69-2(160mg、0.27mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、氷浴で、順次にBoc-L-Val(82mg、0.38mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(55mg、0.41mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(113mg、0.59mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(132mg、1.08mmol)を加えて、添加完了後、室温で一晩反応した。反応液を濃縮し、水を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を順次に希塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物71-1が得られ、白色固体158mg、収率74%であった。
【0192】
化合物71-1(158mg、0.20mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、室温で85%水和ヒドラジン(71mg、1.20mmol)を加えて、1時間撹拌した後、反応液に水を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機相を順次に希塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、白色固体が得られた。得られた白色固体を、テトラヒドロフラン(8mL)に加えて、氷浴で、酢酸(14mg、0.24mmol)および1Mテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(0.24mL、0.24mmol)を加えて、添加完了後、室温で撹拌した。2時間後、TLCで反応完了を示した。反応液を濃縮し、水を加えて、酢酸イソプロピルで抽出し、有機相が分離され、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、得られた生成物を石油エーテルでスラリー化し、ろ過し、乾燥し、が得られ化合物71-2aおよび71-2b、71-2bの割合が90%よりも多く、さらに重結晶により71-2b純粋品が得られ、白色固体60mg、二工程収率61%であった。得られた化合物71-2bのH NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.07-7.86(m,3H),7.06(d,J=8.6Hz,1H),6.91(s,1H),6.50(d,J=6.7Hz,1H),5.17(dd,J=5.8,3.6Hz,1H),5.07(t,J=5.8Hz,1H),5.01(t,J=6.2Hz,1H),4.27-4.21(m,1H),4.10(dd,J=8.6,5.4Hz,1H),3.66-3.53(m,2H),2.31-2.23(m,1H),1.45-1.36(m,9H),0.93(d,J=6.9Hz,3H),0.90(d,J=6.9Hz,3H)。
【0193】
化合物71-2b(60mg、0.12mmol)を飽和塩化水素/メタノール溶液(5mL)に加えて、35℃で撹拌し、2時間後TLCで反応完了を示した。反応液を濃縮し、メチルtert-ブチルエーテルスラリー化し、化合物A213が得られ、二塩酸塩であって、白色固体45mg、収率81%であった。H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 8.17(s,1H),7.21(s,1H),5.55-5.50(m,1H),5.19(d,J=5.8Hz,1H),4.53-4.48(m,1H),4.12(d,J=4.4Hz,1H),3.83(d,J=3.7Hz,2H),2.58-2.49(m,1H),1.18(d,J=4.3Hz,3H),1.17(d,J=4.3Hz,3H)。 13C NMR(126MHz,Methanol-d)δ 167.48,148.78,135.20,128.58,115.31,113.58,113.19,84.12,77.64,74.29,73.56,60.15,57.64,28.91,16.63,16.32。MSm/z=392.1[M+1]。上記工程で得られた混合物71-2aおよび71-2bをそのまま脱保護する場合、A71およびA213混合物が得られ、A71含有量が約10%であった。
【0194】
製造実施例19:化合物A72の合成
【化42】
【0195】
化合物A9(350mg、1.2mmol)を、ピリジン(10mL)に加えて、減圧でピリジンを留去し、一回繰り返し、その後さらにピリジン(10mL)を加えて、室温で、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(596mg、5.0mmol)を加えて、窒素保護で、室温で一晩反応し、反応液を濃縮し、中間体70-1が得られ、オイル状物であって、当該中間体を分離せずにそのまま次の反応に用いた。
【0196】
Boc-L-バリン(369mg、1.7mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(243mg、1.8mmol)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(498mg、2.6mmol)を、ジクロロメタン(15mL)に加えて、室温で15分間撹拌した後、上記工程で得られた70-1のジクロロメタン溶液(2mL)および4-ジメチルアミノピリジン(733mg、6.0mmol)を加えて、室温で一晩撹拌した。反応液を濃縮後メタノールを加えて、再び濃縮し、オイル状物が得られ、水を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機相を順次に水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して中間体72-1粗品が得られ、オイル状物であって、当該中間体を分離せずにそのまま次の反応に用いた。
【0197】
中間体72-1をアセトニトリル(10mL)に溶解し、85%水和ヒドラジン(283mg、4.8mmol)を加えて、室温で3時間反応した後、反応液を水に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相が分離され、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物72-2が得られ、白色固体195mg、三工程総収率33%であった。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ8.01-7.80(m,3H),7.14(d,J=8.2Hz,1H),6.82(s,1H),6.33(d,J=6.0Hz,1H),5.38(d,J=5.9Hz,1H),4.69(t,J=5.4Hz,1H),4.34-4.28(m,1H),4.26-4.21(m,2H),3.95-3.90(m,1H),3.89-3.85(m,1H),1.99 -1.92(m,1H),1.40 -1.28(m,9H),0.81(t,J=7.1Hz,6H)。
【0198】
化合物72-2(100mg、0.2mmol)を、飽和塩化水素のメタノール溶液(5mL)に加えて、36℃で撹拌し、1時間後反応が完全した。反応液を濃縮し、その後イソプロピルエーテルを加えて、固体が析出し、ろ過し、化合物A72が得られ、塩酸塩であって、白色固体74mg、収率80%であった。H NMR(600MHz,Methanol-d)δ 8.15(s,1H),7.12(s,1H),4.75(d,J=5.2Hz,1H),4.62(dd,J=12.1,7.4Hz,1H),4.54(dd,J=12.1,2.8Hz,1H),4.45(td,J=7.5,2.8Hz,1H),4.05-4.01(m,2H),2.34-2.28(m,1H),1.08(d,J=2.4Hz,3H),1.07(d,J=2.3Hz,3H)。13C NMR(151MHz,Methanol-d)δ 168.15,148.61,135.04,129.77,114.70,113.28,112.57,80.77,79.53,74.42,70.17,64.81,57.56,29.19,16.48,16.32。MSm/z=392.0[M+1]
【0199】
製造実施例20:化合物A74、A164の合成
【化43】
【0200】
化合物A144の合成方法を参照し、A10(176mg、0.6mmol、重水素化率99%)を出発材料として、五工程の反応を経って化合物A74およびA164が得られ、さらに重結晶によりA164純粋品が得られ、白色固体139mg、総収率64%であった。得られた化合物A164のH NMR(600MHz,DMSO-d)δ 8.07-7.83(m,3H),6.92(d,J=4.6Hz,1H),6.88(d,J=4.6Hz,1H),6.41(d,J=6.6Hz,1H),5.21(dd,J=5.7,3.3Hz,1H),5.02(s,1H),5.01-4.97(m,1H),4.25(d,J=3.2Hz,1H),2.66-2.58(m,1H),1.17(d,J=7.0Hz,3H),1.15(d,J=6.9Hz,3H)。MSm/z=364.0[M+1]
【0201】
製造実施例21:化合物A75の合成
【化44】
【0202】
化合物A70の合成方法を参照し、A10(176mg、0.6mmol)を出発材料とし、三工程反応を経って化合物A75が得られ、白色固体109mg、総収率50%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.03-7.82(m,3H),6.92(d,J=4.5Hz,1H),6.82(d,J=4.5Hz,1H),6.33(d,J=6.0Hz,1H),5.39(d,J=5.8Hz,1H),4.71(t,J=5.5Hz,1H),4.24(d,J=6.6Hz,1H),3.97(q,J=5.8Hz,1H),2.57-2.53(m,1H),1.07(d,J=2.5Hz,3H),1.06(d,J=2.5Hz,3H)。MSm/z=364.0[M+1]
【0203】
製造実施例22:化合物A76、A214の合成
【化45】
【0204】
化合物A213の合成方法を参照し、74-2(295mg、0.5mmol)を出発材料とし、三工程反応を経って化合物A214が得られ、二塩酸塩であって、白色固体97mg、総収率42%であった。H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 8.17(s,1H),7.49(d,J=4.8Hz,1H),7.21(d,J=4.9Hz,1H),5.53(dd,J=5.8,3.1Hz,1H),5.19(d,J=5.8Hz,1H),4.50(d,J=3.1Hz,1H),4.13(d,J=4.5Hz,1H),2.58-2.50(m,1H),1.18(d,J=4.6Hz,3H),1.17(d,J=4.6Hz,3H)。MSm/z=393.0[M+1]。第2工程で得られた生成物76-2aおよび76-2bをそのまま脱保護する場合、A76およびA214混合物が得られ、A76含有量が約10%であった。
【0205】
製造実施例23:化合物A77の合成
【化46】
【0206】
化合物A72の合成方法を参照し、A10(1.0mmol、293mg)を出発材料とし、四工程反応を経って化合物A77が得られ、二塩酸塩であって、白色固体107mg、総収率23%であった。MSm/z=393.0[M+1]
【0207】
製造実施例24:化合物A84の合成
【化47】
【0208】
化合物A1(49mg、0.16mmol)を、アセトン(3mL)に加えて、順次に2,2-ジメトキシプロパン(83mg、0.8mmol、5eq)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(30mg、0.16mmol、1eq)を加えて、添加完了後、40℃まで昇温し、反応を2時間撹拌し、TLCで反応完全をモニタした。反応液を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、分取プレートで分離し、化合物84-1が得られ、白色固体27mg、収率48%であった。
【0209】
化合物84-1(27mg、0.077mmol)を、無水テトラヒドロフラン(3mL)に加えて、氷浴で、3Mメチルマグネシウムブロマイドのメチルテトラヒドロフラン溶液(0.05ml、0.15mmol、2eq)を滴下し、添加完了後、5分間撹拌後、化合物B(57mg、0.12mmol、1.5eq)の無水テトラヒドロフラン溶液(1mL)を滴下し、滴下完了後、室温で2時間反応し、TLCで反応完全をモニタした。反応液を、飽和塩化アンモニウム溶液(20mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、化合物84-2が得られ、オイル状物であって、そのまま次の反応に供した。
【0210】
前の工程の生成物を、テトラヒドロフラン(2mL)に加えて、氷浴で濃塩酸(0.4mL)を滴下し、添加完了後、反応が完全するまで室温で反応を撹拌した。反応液を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、分取プレートで分離し、化合物A84が得られ、白色固体10mg、二工程収率21%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.12(brs,1H),7.88(s,1H),7.42(brs,1H)、7.36(t,J=7.7Hz,2H),7.24-7.14(m,3H),6.73(s,1H),6.45(d,J=6.0Hz,1H),6.12-6.02(m,1H),5.39(d,J=6.0Hz,1H),4.56(t,J=5.2Hz,1H),4.31-4.19(m,2H),4.16-4.06(m,1H),4.01-3.77(m,4H),1.45-1.38(m,1H),1.28-1.20(m,7H),0.80(t,J=7.4Hz,6H)。H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 7.82(s,1H),7.34(t,J=7.9Hz,2H),7.27-7.16(m,3H),6.72(s,1H),4.73(d,J=5.2Hz,1H),4.46-4.35(m,2H),4.33-4.27(m,1H),4.15(t,J=5.7Hz,1H),4.06(dd,J=11.0,5.8Hz,1H),4.01-3.90(m,2H),1.53-1.45(m,1H),1.38- 1.30(m,7H),0.89(t,J=7.5Hz,6H)。
【0211】
製造実施例25:化合物A102の合成
【化48】
【0212】
化合物A1(62mg、0.2mmol)および1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフチレン(56mg、0.26mmol、1.3eq)を、リン酸トリメチル(3mL)に加えて、氷浴で撹拌し、ゆっくり塩化フォスフォリル(153mg、1.0mmol、5eq)を加えて、3時間程度、TLCで出発材料が基本的に反応が完全したを示した。ピロリン酸トリブチルアンモニウム(549mg、1.0mmol、5eq)のDMF(3mL)溶液を、上記系に加えて、その後トリ-n-ブチルアミン(222mg、1.2mmol、6eq)を加えて、氷浴で10分間撹拌した後、反応液を自然に昇温した。生成物が増加しないまでTLCでモニタした。反応液に0.5M重炭酸トリエチルアンモニウム水溶液を加えて、pHを7.5にし、脱イオン水(5mL)を加えて、それぞれジクロロメタンおよび酢酸エチルで抽出し、有機相を捨てて、水相をゲルカラムで分離し、A102粗品が得られ、当該粗品をさらにリバース相カラムで精製し、A102が得られ、二トリエチルアミン塩であって、フォーム状固体、44mg、収率29%であった。H NMR(500MHz,DO)δ 7.88(s,1H),6.87(s,1H),4.76(d,J=5.2Hz,1H),4.45-4.41(m,1H),4.38(t,J=4.8Hz,1H),4.17-4.10(m,2H),3.12(q,J=7.3Hz,12H),1.19(t,J=7.3Hz,18H)。31P NMR(202MHz,DO)δ -10.89(d),-11.46(d),-23.19(t)。MSm/z=548.0[M-1]
【0213】
製造実施例26:化合物A106の合成
【化49】
【0214】
化合物A102の合成方法を参照し、A9(58mg、0.2mmol、重水素化率が97%以上)を出発材料とし、生成物A106が得られ、三トリエチルアミン塩であって、フォーム状固体55mg、収率33%であった。H NMR(500MHz,DO)δ 7.92(s,1H),7.02(s,1H),4.92(d,J=4.4Hz,1H),4.50-4.42(m,2H),4.16-4.10(m,1H),4.09-4.01(m,1H),3.11(q,J=7.3Hz,18H),1.19(t,J=7.2Hz,27H)。31P NMR(202MHz,DO)δ -10.90(d),-11.52(d),-23.29(t)。MSm/z=531.0[M-1]
【0215】
製造実施例27:化合物A107の合成
【化50】
【0216】
化合物A102の合成方法を参照し、A10(59mg、0.2mmol、重水素化率99%)を出発材料とし、生成物A107が得られ、四トリエチルアミン塩であって、フォーム状固体54mg、収率29%であった。H NMR(500MHz,DO)δ 7.97(s,1H),7.17(d,J=4.9Hz,1H),7.07(d,J=4.8Hz,1H),4.87(d,J=5.0Hz,1H),4.48-4.40(m,2H),3.12(q,J=7.3Hz,24H),1.20(t,J=7.3Hz,36H)。31P NMR(202MHz,DO)δ -10.92(d),-11.45(d),-23.29(t)。MSm/z=532.0[M-1]
【0217】
製造実施例28:化合物A109の合成
【化51】
【0218】
化合物2-1(145mg、0.5mmol)を、リン酸トリメチル(2mL)に加えて、氷浴で、塩化フォスフォリル(153mg、1mmol、2eq)を加えて、3-4時間撹拌し、TLCでモニタし、依然として多くの出発材料が残り、塩化フォスフォリル(80mg)を追加した後、引き続き氷浴で2時間撹拌した。反応液にピロリン酸トリ-n-ブチルアンモニウム(1.1g、2mmol、4eq)のアセトニトリル懸濁液(2mL)およびトリ-n-ブチルアミン(741mg、4mmol、8eq)を加えて、引き続き2時間撹拌した。反応液に1M重炭酸トリエチルアンモニウム水溶液(8mL)を加えて、さらに蒸留水(8mL)を加えて、撹拌した。酢酸エチルで抽出し、有機相を捨てて、水相を凍結乾燥し、液相を製造して分離し、化合物A109が得られ、三トリ-n-ブチルアミン塩であって、白色固体55mg、収率10%であった。H NMR(400MHz,DO)δ 7.85(s,1H),7.00-6.91(m,2H),4.89-4.83(m,1H),4.43-4.36(m,2H),4.13-4.04(m,1H),4.03-3.94(m,1H),3.04-2.93(m,18H),1.60-1.47(m,18H),1.29-1.17(m,18H),0.79(t,J=7.4Hz,27H)。MSm/z=530.0[M-1]
【0219】
製造実施例29:化合物A112の合成
【化52】
【0220】
化合物2-1(291mg、1.0mmol)を、テトラヒドロフラン(6mL)に加えて、濃塩酸(3mL)を加えて、45℃で撹拌し、反応が完全するまでTLCでモニタした。溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物A112が得られ、白色固体168mg、収率54%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 7.77(s,1H),7.72(brs,2H),7.49(s,1H),7.44(s,1H),6.83(d,J=4.5Hz,1H),6.62(d,J=4.5Hz,1H),5.58(s,1H),4.93(s,1H),4.85(d,J=4.4Hz,1H),4.68(s,1H),4.08-3.98(m,2H),3.52(d,J=12.0Hz,1H),3.34-3.29(m,1H)。MSm/z=310.1[M+1]
【0221】
製造実施例30:化合物A173、A188の合成
【化53】
【0222】
化合物A144の合成方法を参照し、A11(294mg、1.0mmol)を出発材料とし、五工程反応を経って化合物A173およびA188が得られ、さらに重結晶によりA188純粋品が得られ、白色固体91mg、総収率25%であった。得られた化合物A188の:H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 8.07-7.83(m,3H),6.88(s,1H),6.41(d,J=6.6Hz,1H),5.21(dd,J=5.7,3.3Hz,1H),5.02(s,1H),5.01-4.97(m,1H),4.25(d,J=3.2Hz,1H),2.66-2.58(m,1H),1.17(d,J=7.0Hz,3H),1.15(d,J=6.9Hz,3H)。MSm/z=365.0[M+1]
【0223】
製造実施例31:化合物A180の合成
【化54】
【0224】
化合物A70の合成方法を参照し、A11(147mg、0.5mmol)を出発材料とし、三工程反応を経って化合物A180が得られ、白色固体80mg、総収率44%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.03-7.83(m,3H),6.82(s,1H),6.32(d,J=6.1Hz,1H),5.39(d,J=5.8Hz,1H),4.71(t,J=5.5Hz,1H),4.23(d,J=6.6Hz,1H),3.97(q,J=5.8Hz,1H),2.57-2.53(m,1H),1.10-1.01(m,6H)。MSm/z=365.0[M+1]
【0225】
製造実施例32:化合物A174、A215の合成
【化55】
【0226】
化合物A213の合成方法を参照し、173-2(296mg、0.5mmol)を出発材料とし、三工程反応を経って化合物A215が得られ、二塩酸塩であって、白色固体93mg、収率40%であった。H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 8.17(s,1H),7.21(s,1H),5.53(dd,J=5.8,3.1Hz,1H),5.19(d,J=5.8Hz,1H),4.50(d,J=3.1Hz,1H),4.13(d,J=4.5Hz,1H),2.58-2.50(m,1H),1.18(d,J=4.6Hz,3H),1.17(d,J=4.6Hz,3H)。MSm/z=394.0[M+1]。第2工程で得られた生成物174-2aおよび174-2bがそのまま脱保護する場合、A174およびA215混合物が得られ、A174含有量が約10%であった。
【0227】
製造実施例33:化合物A181の合成
【化56】
【0228】
化合物A72の合成方法を参照し、A11(147mg、0.5mmol)を出発材料とし、四工程反応を経って化合物A181が得られ、二塩酸塩であって、白色固体75mg、収率32%であった。H NMR(600MHz,Methanol-d)δ 8.15(s,1H),7.12(s,1H),4.75(d,J=5.2Hz,1H),4.62(dd,J=12.1,7.4Hz,1H),4.54(dd,J=12.1,2.8Hz,1H),4.45(td,J=7.5,2.8Hz,1H),2.35-2.28(m,1H),1.08(d,J=2.4Hz,3H),1.07(d,J=2.3Hz,3H)。MSm/z=394.0[M+1]
【0229】
製造実施例34:化合物A198の合成
【化57】
【0230】
化合物A102の合成方法を参照し、A11(59mg、0.2mmol)を出発材料とし、生成物A198が得られ、三トリエチルアミン塩であって、フォーム状固体59mg、収率35%であった。H NMR(500MHz,DO)δ 7.90(s,1H),7.00(s,1H),4.84(d,J=4.6Hz,1H),4.42-4.38(m,2H),3.07(q,J=7.3Hz,18H),1.15(t,J=7.3Hz,27H)。31P NMR(202MHz,DO)δ -10.93(d),-11.46(d),-23.31(t)。MSm/z=533.0[M-1]
【0231】
製造実施例35:化合物A131の合成
【化58】
【0232】
化合物2-1(58mg、0.2mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)に加えて、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(160mg、1.34mmol、6.7eq)を加えて、添加完了後、室温で反応し、1h後反応が完全した。反応液にメタノールを加えて、濃縮し、イソプロパノールおよびトルエンでスラリー化し、化合物131-1が得られ、白色固体59mg、収率85%であった。
【0233】
化合物131-1(59mg、0.17mmol)を、ジクロロメタン(5mL)に加えて、室温で、順次にトリエチルアミン(138mg、1.36mmol、8eq)、DMAP(62mg、0.51mmol、3eq)およびイソブタン酸クロリド(72mg、0.68mmol、4eq)を加えて、室温で一晩反応した。反応液を濃縮し、酢酸エチル(30mL)および水(10mL)を加えて、有機相が分離され、有機相を、それぞれ、希塩酸、飽和重炭酸ナトリウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥後、溶媒を全部蒸発させ、化合物131-2が得られ、白色固体85mg、収率90%であった。
【0234】
化合物131-2(85mg、0.15mmol)を、アセトニトリル(10mL)に加えて、水和ヒドラジン(30mg、0.60mmol、4eq)を加えて、添加完了後、30分間程度反応が完全した。反応液を、水に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、有機相を、それぞれ、希塩酸、飽和重炭酸ナトリウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥後、溶媒を全部蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物A131が得られ、白色固体70mg、収率93%であった。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 8.04(br,1H),7.96(br,1H),7.93(s,1H),6.93(d,J=4.6Hz,1H),6.75(d,J=4.6Hz,1H),6.08(d,J=5.7Hz,1H),5.44(dd,J=5.7,3.7Hz,1H),4.63(q,J=3.7Hz,1H),4.33(dd,J=12.4,3.3Hz,1H),4.28(dd,J=12.4,4.1Hz,1H),2.66-2.57(m,2H),2.50-2.46(m,1H),1.17(d,J=7.0Hz,3H),1.15(d,J=6.9Hz,3H),1.12-1.09(m,6H),1.05(d,J=7.0Hz,3H),1.02(d,J=7.0Hz,3H)。MSm/z=502.0[M+1]
【0235】
製造実施例36:化合物A151の合成
【化59】
【0236】
化合物A131の合成方法を参照し、A9(58mg、0.2mmol)を出発材料とし、三工程反応を経って、化合物A151が得られ、白色固体69mg、総収率68%であった。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 8.04(br,1H),7.96(br,1H),7.93(s,1H),6.75(s,1H),6.08(d,J=5.7Hz,1H),5.44(dd,J=5.7,3.7Hz,1H),4.63(q,J=3.7Hz,1H),4.33(dd,J=12.4,3.3Hz,1H),4.28(dd,J=12.4,4.1Hz,1H),2.66-2.57(m,2H),2.49-2.46(m,1H),1.17(d,J=7.0Hz,3H),1.15(d,J=6.9Hz,3H),1.12-1.09(m,6H),1.05(d,J=7.0Hz,3H),1.02(d,J=7.0Hz,3H)。13C NMR(126MHz,DMSO-d)δ 175.53,174.90,174.13,155.58,148.12,120.98,117.17,115.44,110.30,81.25,75.81,72.05,70.30,62.46,33.20,33.16,33.09,18.55,18.46,18.40,18.35,18.33,18.18。MSm/z=503.0[M+1]
【0237】
製造実施例37:化合物A171の合成
【化60】
【0238】
化合物A131の合成方法を参照し、A10(59mg、0.2mmol)を出発材料とし、三工程反応を経って、化合物A171が得られ、白色固体70mg、総収率69%であった。MSm/z=504.0[M+1]
【0239】
製造実施例38:化合物A196の合成
【化61】
【0240】
化合物A131の合成方法を参照し、A11(59mg、0.2mmol)を出発材料とし、三工程反応を経って、化合物A196が得られ、白色固体59mg、総収率58%であった。MSm/z=505.0[M+1]
【0241】
製造実施例39:化合物A209の合成
【化62】
【0242】
化合物1-1(0.5g、0.89mmol)を、DMF(9ml)に加えて、NBS(0.16g、0.89mmol、1.0eq)を加えて、室温で3-4時間撹拌し、TLCで反応完全をモニタした。反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム(10mL)溶液を加えて、撹拌し、酢酸エチルで抽出し、分層し、水層をさらに酢酸エチル(20mL)で一回抽出した。酢酸エチル層を合併し、乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより分離して化合物209-1が得られ、白色固体0.5g、収率87%であった。
【0243】
化合物209-1(0.15g、0.23mmol)を、N,N-ジメチルアセトアミド(5mL)に加えて、順次にZn(2mg、0.031mmol、0.13eq)、Zn(CN)(0.06g、0.51mmol、2.2eq)、NiCl(dppf)(0.03g、0.043mmol、0.2eq)およびPd(dba)(0.02g、0.02mmol、0.1eq)を加えて、添加完了後、140℃で一晩反応し、TLCで反応完了を示した。反応液を酢酸エチル/水(20mL/20mL)に傾倒し、分層し、水層をさらに酢酸エチル(20mL)で一回抽出した。酢酸エチル層を合併し、乾燥し、濃縮し、分取プレートで分離し、化合物209-2が得られ、白色固体0.1g、収率74%であった。
【0244】
化合物209-2(0.1g、0.17mmol)を、ジクロロメタン(3mL)に加えて、-30℃で、1M三塩化ホウ素ジクロロメタン溶液(0.7mL、4.1eq)を滴下し、滴下完了後、温度維持しながら1-2時間撹拌し、TLCで反応完全をモニタした。反応液に順次にメタノール(0.5mL)、トリエチルアミン(0.3mL)を滴下し、反応液を溶媒を全部蒸発させ、分取プレートで分離し、化合物A209が得られ、白色固体15mg、収率28%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.23(s,1H),7.50(s,1H),6.30(d,J=6.1Hz,1H),5.22(d,J=5.9Hz,1H),4.93(t,J=5.7Hz,1H),4.55(t,J=5.5Hz,1H),4.11-4.03(m,1H),3.94(q,J=5.8Hz,1H),3.73-3.65(m,1H),3.57-3.49(m,1H).MSm/z=317.1[M+1]
【0245】
製造実施例40:化合物A87の合成
【化63】
【0246】
化合物11-1(0.05g、0.15mmol)を、テトラヒドロフラン(3mL)に加えて、氷浴で、3Mメチルマグネシウムブロマイドの2-メチルテトラヒドロフラン溶液(0.1mL、0.3mmol)を滴下し、添加完了後、5分間撹拌し、化合物B(0.1g、0.23mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1mL)を滴下し、滴下完了後、室温で2時間撹拌した後、TLCで反応完了を示した。反応液を、飽和塩化アンモニウム溶液(10mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮して化合物87-1粗品が得られ、そのまま次の工程に仕込んだ。
【0247】
上記工程で得られた生成物を、テトラヒドロフラン(2mL)に加えて、氷浴で、濃塩酸(0.4mL)を滴下し、添加完了後、反応が完全するまで室温で撹拌した。反応液を、飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物A87が得られ、白色固体0.03g、二工程収率33%であった。H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 7.89(s,1H),7.36- 7.30(m,2H),7.24-7.15(m,3H),6.94(s,1H),4.82(d,J=5.4Hz,1H),4.46-4.37(m,2H),4.35-4.28(m,1H),4.20(t,J=5.6Hz,1H),4.05(dd,J=10.9,5.8Hz,1H),3.98-3.88(m,2H),1.51-1.44(m,1H),1.37-1.30(m,7H),0.88(t,J=7.5Hz,6H)。MSm/z=604.1[M+1]
【0248】
製造実施例41:化合物A138の合成
【化64】
【0249】
化合物A70の合成方法を参照し、A9(147mg、0.5mmol)を出発材料とし、三工程反応を経って化合物A138が得られ、白色固体65mg、総収率37%であった。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.99-7.83(m,3H),6.80(s,1H),6.32(d,J=6.1Hz,1H),5.38(d,J=5.8Hz,1H),4.71-4.65(m,1H),4.33(dd,J=12.0,2.8Hz,1H),4.25-4.19(m,1H),4.15(dd,J=12.0,5.5Hz,1H),3.97-3.90(m,1H),2.30(q,J=7.5Hz,2H),1.00(t,J=7.5Hz,3H)。MSm/z=349.2[M+1]
【0250】
製造実施例42:化合物A140の合成
【化65】
【0251】
A70の合成方法を参照し、A9(147mg、0.5mmol)を出発材料とし、三工程反応を経って化合物A140が得られ、白色固体77mg、総収率41%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.03-7.80(m,3H),6.80(s,1H),6.32(d,J=6.1Hz,1H),5.37(d,J=5.7Hz,1H),4.70(t,J=5.3Hz,1H),4.30-4.22(m,2H),4.21-4.14(m,1H),4.01-3.94(m,1H),1.09(s,9H)。MSm/z=377.2[M+1]
【0252】
製造実施例43:化合物A146の合成
【化66】
【0253】
化合物A70(0.18g、0.5mmol)を、酢酸(3mL)に加えて、オルトイソブタン酸トリメチル(0.37g、2.5mmol)を加えて、反応が完全するまで50℃で撹拌した。溶媒を留去し、不安定な中間体146-1が得られた。当該中間体をテトラヒドロフラン(6mL)に溶解し、1M希塩酸(0.5mL)を加えて、室温で撹拌し、1時間程度反応が完全した。pHが中性となるまで反応液に飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥した後、溶媒を全部蒸発させ、化合物A146粗品が得られた。当該粗品をイソプロパノール/水で重結晶し、白色固体0.18gが得られ、収率82%であった。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 8.05-7.83(m,3H),6.85(s,1H),6.56(d,J=6.5Hz,1H),5.16(dd,J=5.6,4.1Hz,1H),5.09(t,J=6.1Hz,1H),4.46(q,J=4.3Hz,1H),4.27(dd,J=12.2,4.0Hz,1H),4.23(dd,J=12.2,4.8Hz,1H),2.67-2.58(m,1H),2.55-2.49(m,1H),1.16(d,J=7.0Hz,3H),1.15(d,J=7.0Hz,3H),1.05(d,J=7.0Hz,3H),1.03(d,J=7.2Hz,3H)。MSm/z=433.2[M+1]
【0254】
製造実施例44:化合物A147の合成
【化67】
【0255】
化合物151-1(1.51g、4.34mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(15mL)に加えて、氷浴で、tert-ブチルジフェニルクロロシラン(2.39g、8.69mmol)およびイミダゾール(1.18g、17.37mmol)を加えて、室温で5時間撹拌した。反応液に水および酢酸エチルを加えて、有機相が分離され、有機相を順次に希塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物147-1が得られ、フォーム状固体2.05gであった。
【0256】
化合物147-1(2.05g、3.50mmol)を、ジクロロメタン(30mL)に加えて、室温で、トリエチルアミン(1.24g、12.26mmol)、DMAP(0.21g、1.75mmol)およびイソブタン酸無水物(1.39g、8.76mmol)を加えて、窒素保護で、室温で1時間反応した。反応液を濃縮した後、水、酢酸エチルを加えて、有機相が分離され、有機相を、それぞれ、希塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、化合物147-2粗品が得られ、オイル状物であって、当該中間体分離せずにそのまま次の反応に用いた。
【0257】
上記工程で得られた生成物を、テトラヒドロフラン(30mL)に加えて、室温で、酢酸(0.11g、1.75mmol)および1Mテトラブチルアンモニウムフルオリド(3.5mL、3.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液を加えて、室温で2時間撹拌した。反応液に水および酢酸エチルを加えて、有機相が分離され、有機相を、それぞれ、飽和重炭酸ナトリウムおよび飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して化合物147-3粗品が得られ、オイル状物であった。
【0258】
上記工程で得られた147-3粗品を、エタノール(20mL)に加えて、室温で、酢酸(4.2g、70mmol)を加えて、窒素保護で、50℃一晩撹拌した。反応液を濃縮後、水および酢酸エチルを加えて、有機相が分離され、有機相を、それぞれ、飽和重炭酸ナトリウムおよび飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物A147が得られ、白色固体0.85g、三工程収率56%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.15-7.89(m,3H),6.80(s,1H),6.01(d,J=5.7Hz,1H),5.44(dd,J=5.7,3.1Hz,1H),5.18(dd,J=6.1,5.2Hz,1H),4.41(q,J=3.4Hz,1H),3.71-3.60(m,2H),2.69-2.54(m,2H),1.19(d,J=7.0Hz,3H),1.16(d,J=7.0Hz,3H),1.11(d,J=2.4Hz,3H),1.09(d,J=2.4Hz,3H)。MSm/z=433.2[M+1]
【0259】
製造実施例45:化合物A216の合成
【化68】
【0260】
化合物1-1(0.2g、0.36mmol)を、ジクロロメタン(2mL)に加えて,-78℃で、ゆっくり1.2M水素化ジイソブチルアルミニウム(0.9mL、1.08mmol)のトルエン溶液を滴下し、添加完了後、温度維持しながら3-4時間撹拌し、TLCで反応完了を示した。反応液に酢酸エチル(3mL)を滴下し、添加完了後、自然に室温まで昇温し、20%酒石酸ナトリウムカリウム水溶液(5mL)を加えて、室温で一晩撹拌した。反応液を、水(15mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、化合物216-1が得られた。
【0261】
化合物216-1(0.6g、1.06mmol)を、エタノール(10mL)およびジクロロメタン(10mL)の混合液に加えて、氷浴で、複数回分けてNaBH(0.1g、2.6mmol)を加えて、添加完了後、室温で2-3時間撹拌し、TLCで反応完了を示した。気泡が生じないまで反応液に氷酢酸を滴下し、水(30mL)を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物216-2が得られ、白色固体0.48g、収率80%であった。
【0262】
化合物216-2(0.48g,0.85mmol)、ギ酸(2mL)および10%パラジウム炭素(0.06g)を順次にメタノール(6mL)に加えて、室温で、水素ガスを導入し、常圧で16時間撹拌した。ろ過し、濃縮し、リバース相カラムで分離し、化合物A216が得られ、白色固体0.05g、収率20%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 7.80(s,1H),7.61(s,2H),6.81(d,J=4.4Hz,1H),6.73(d,J=4.4Hz,1H),5.18(d,J=4.7Hz,1H),4.89(d,J=6.9Hz,1H),4.79(t,J=5.8Hz,1H),4.51-4.38(m,2H),4.16(dd,J=11.6,6.7Hz,1H),3.99(dd,J=11.6,4.7Hz,1H),3.94-3.83(m,1H),3.78-3.69(m,1H),3.70-3.59(m,1H),3.56-3.47(m,1H)。MSm/z=297.1[M+1]
【0263】
製造実施例46:化合物A28の合成
【化69】
【0264】
氷浴で、化合物1-1(0.5g、0.9mmol)に0.5Mシクロプロピルマグネシウムブロマイドテトラヒドロフラン溶液(18mL、9mmol)を滴下し、添加完了後、室温で一晩撹拌した。氷浴で、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液(10mL)を滴下し、水(50mL)を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物28-1が得られ、白色固体0.2g、収率37%であった。
【0265】
化合物28-1(0.2g、0.34mmol)を、ジクロロメタン(4mL)に加えて、氷浴で、メタンスルホン酸(0.1g、1.04mmol)を滴下し、添加完了後、室温で10-12時間撹拌し、TLCで反応完全をモニタした。pHが中性となるまで反応液に飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて、水(15mL)を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物28-2が得られ、白色固体0.1g、収率51.0%であった。
【0266】
化合物28-2(0.24g,0.42mmol)、ギ酸(1mL)および10%パラジウム炭素(0.03g)を順次に、メタノール(3mL)に加えて、室温で、水素ガスを導入し、常圧で16時間撹拌し、TLCで反応完全をモニタした。ろ過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物A28が得られ、白色固体13mg、収率10%であった。H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 7.78(s,1H),6.85(d,J=4.5Hz,1H),6.79(d,J=4.5Hz,1H),4.78(d,J=5.1Hz,1H),4.01-3.95(m,1H),3.95-3.89(m,1H),3.81(dd,J=11.9,2.8Hz,1H),3.68(dd,J=11.8,5.5Hz,1H),2.02-1.92(m,1H),0.68-0.52(m,2H),0.28-0.19(m,1H),0.19-0.08(m,1H)。MSm/z=307.1[M+1]
【0267】
製造実施例47:化合物A218の合成
【化70】
【0268】
氷浴で、化合物1-1(2.2g、3.98mmol)に1.0Mイソプロペニルマグネシウムブロマイドテトラヒドロフラン溶液(40mL、40mmol)を滴下し、添加完了後、室温で一晩撹拌した。反応液に、ゆっくり飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を滴下し、添加完了後、水(40mL)を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、中間体218-1が得られ、白色固体1.6g、収率68%であった。
【0269】
中間体218-1(1.6g、2.69mmol)を、ジクロロメタン(30mL)に加えて、氷浴で、ゆっくりメタンスルホン酸(0.77g、8.01mmol)を滴下し、添加完了後、室温で一晩撹拌した。TLCで反応完全をモニタした、氷浴で、pHが中性となるまで反応液に飽和重炭酸ナトリウム溶液を滴下し、水(40mL)に加えて、ジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、中間体218-2が得られ、黄色オイル状物0.7g、収率45%であった。
【0270】
実施例5中の脱ベンジル基の方法を参照し、中間体218-2(0.7g、1.21mmol)と1.0M BClジクロロメタン溶液(6.0mL,6.0mol)を反応させ、生成物をカラムクロマトグラフィーにより分離し、化合物A218が得られ、白色固体0.025g。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 7.74(s,1H),7.55(s,2H),6.82(d,J=4.5Hz,1H),6.58(d,J=4.4Hz,1H),5.03(s,1H),4.83-4.73(m,3H),4.72-4.64(m,2H),4.05-3.94(m,1H),3.84-3.76(m,1H),3.70-3.60(m,1H),3.51-3.42(m,1H),1.59(s,3H)。m/z=307.2[M+1]
【0271】
製造実施例48:化合物A219の合成
【化71】
【0272】
化合物1-1(0.56g、1.0mmol)を、テトラヒドロフラン(5mL)に加えて、窒素保護で、氷浴で、ゆっくり3Mメチルマグネシウムブロマイドテトラヒドロフラン溶液(1.7mL、5.1mmol)を滴下し、添加完了後、60℃で2-3時間撹拌した。TLCで反応完全をモニタし、氷浴で、飽和塩化アンモニウム水溶液(1.0mL)を滴下し、水(10mL)を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより分離して、219-1が得られ、白色固体0.38g、収率66%であった。
【0273】
実施例5中の脱ベンジル基の方法を参照し、中間体219-1(0.2g、0.345mmol)と1.0M BClジクロロメタン溶液(1.7mL,1.7mmol)を反応させ、生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物A219が得られ、白色固体0.05g、収率47%であった。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 7.99-7.43(m,3H),6.79(s,1H),6.62(s,1H),5.49(s,1H),5.10-4.93(m,1H),4.83-4.67(m,1H),4.60-4.40(m,1H),4.19-3.96(m,2H),3.59-3.44(m,1H),3.27-3.16(m,1H),2.30(s,3H)。MSm/z=309.2[M+1]
【0274】
製造実施例49:化合物A221の合成
【化72】
【0275】
化合物49-2(0.6g、1mmol)を、DMF(10mL)に加えて、氷浴で、順次にヨードメタン(0.28g、2.0mmol)および60%水素化ナトリウム(0.014g、2.0mmol)を加えて、15分間撹拌後、TLCで反応完了を示した。反応液を、飽和塩化アンモニウム水溶液(15mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、溶媒を全部蒸発させ、化合物221-1が得られ、当該中間体を精製せずにそのまま次の反応に用いた。
【0276】
上記工程で得られた221-1を、アセトニトリル(2mL)に加えて、85%水和ヒドラジン(0.24g、4.0mmol)を加えて、室温で1時間撹拌し、TLCで反応完了を示した。反応液を、水(15mL)に加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより分離して化合物221-2が得られ、白色固体0.2g、二工程収率37%であった。
【0277】
化合物221-2(0.2g、0.36mmol)を、テトラヒドロフラン(2mL)に加えて、1Mテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(0.4mL、0.4mmol)を加えて、室温で2時間撹拌し、TLCで反応完了を示した。反応液を濃縮し、分取プレートで分離し、化合物A221が得られ、白色固体0.045g、収率41%であった。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.07-7.78(m,3H),6.87(s,1H),5.30(d,J=5.4Hz,1H),4.94(t,J=5.8Hz,1H),4.37(d,J=4.9Hz,1H),4.11(q,J=5.4Hz,1H),4.08-4.02(m,1H),3.71-3.62(m,1H),3.55(s,3H),3.54-3.48(m,1H)。MSm/z=306.0[M+1]
【0278】
製造実施例50:化合物A36の合成
【化73】
【0279】
化合物35-1(8.4g、31.5mmol)をピリジン(85mL)に溶解し、トリフェニルホスフィン(33.1g、126.2mmol)を加えて、窒素保護で30℃まで昇温し、40℃以下で複数回分けてヨウ素(32.0g、126.2mmol)を加えて、1h撹拌し、TLCで反応完了を示し、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液を加えて、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し(DCM:MeOH=100:1-10:1)、化合物36-1が得られ、8.5g、収率72%であった。
【0280】
化合物36-1(3.0g、8.0mmol)をアセトニトリル(60mL)に溶解し、DBU(2.4g、16.0mmol)を加えて、40℃で3h撹拌し、TLCで反応完了を示し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し(DCM:MeOH=50:1-10:1)、化合物36-2が得られ、600mg、収率30%であった。
【0281】
化合物36-2(200mg、0.8mmol)をTHF(5mL)に加えて、DBU(731mg、4.8mmol)、TBSCl(543mg、3.6mmol)を加えて、室温で2h撹拌し、TLCで反応完了を示し、メタノール(1mL)、飽和クエン酸水溶液(4mL)を加えて、撹拌し、酢酸エチルで抽出し、それぞれ、飽和食塩水および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、化合物36-3粗品が得られた。
【0282】
化合物36-3粗品をジクロロメタン(10mL)に加えて、2,4,6-トリメチルピリジン(194mg、1.6mmol)、硝酸銀(272mg、1.6mmol)、トリフェニルクロロメタン(374mg、1.2mmol)を加えて、室温で2h反応した後、メタノールを加えて、濃縮し、酢酸エチルを加えて、それぞれ、飽和硫酸銅および飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、化合物36-4粗品が得られた。
【0283】
化合物36-4粗品をTHF(5mL)に加えて、テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(508mg、1.6mmol)のテトラヒドロフラン溶液を加えて、1h反応し、テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(508mg、1.6mmol)のテトラヒドロフラン溶液を追加して反応し、引き続き1h反応し、水を加えて、酢酸エチルで抽出し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し、化合物36-5が得られ、白色固体84mg、三工程収率22%であった。
【0284】
化合物36-5(70mg、0.14mmol)をアセトニトリル(2mL)に加えて、氷塩浴で-5℃まで冷却し、トリエチルアミン三フッ化水素(35mg、0.21mmol)、ヨードスクシイミド(36mg、0.15mmol)を加えて、温度維持しながら2時間反応し、室温まで昇温して2h反応し、飽和重炭酸ナトリウムおよび飽和チオ硫酸ナトリウムの混合溶液を加えて、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、化合物36-6粗品が得られた。
【0285】
化合物36-6粗品をジクロロメタン(5mL)に加えて、順次にピリジン(114mg、1.4mmol)、イソブタン酸無水物(162mg、1.0mmol)およびDMAP(5mg)を加えて、室温で2時間反応し、メタノールを加えて、濃縮し、酢酸エチルを加えて、それぞれ、飽和硫酸銅溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し(PE:EA=20:1-10:1)、化合物36-7が得られ、淡黄色固体28mg、収率20%であった。
【0286】
化合物36-7(28mg、0.036mmol)をDMF(2mL)に加えて、18-クラウン-6(26mg)およびイソブタン酸ナトリウム(35mg、0.32mmol)を加えて、110℃で18h反応し、水を加えて、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し(PE:EA=20:1-10:1)、化合物36-8が得られ、淡黄色固体20mgであった。
【0287】
化合物36-8(100mg、0.14mmol)を酢酸(3mL)および水(1mL)に加えて、85℃に加熱し、10分間反応し、出発材料がなくなり、飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて、酢酸エチルで抽出し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで分離し(DCM:MeOH=100:1-50:1)、化合物A36が得られ、淡黄色固体50mgであった。MSm/z=495.2[M+1]
【0288】
製造実施例51:ヌクレオシド類似体の合成
製造実施例1-50の方法を参照し、異なる出発材料化合物を採用する以外、化合物A5、A6、A8、A13、A14、A28、A30、A37、A54、A55、A57、A58、A63、A73、A78、A79、A80、A81、A86、A88、A89、A91、A95、A97、A99、A101、A105、A113、A114、A115、A116、A117、A118、A119、A120、A121、A122、A123、A125、A126、A127、A128、A129、A130、A132、A133、A134、A135、A136、A137、A139、A141、A142、A143、A145、A148、A149、A150、A152、A153、A154、A155、A156、A157、A158、A159、A160、A161、A162、A163、A165、A166、A167、A168、A169、A170、A172、A175、A176、A177、A179、A182、A183、A184、A185、A186、A187、A189、A190、A191、A192、A193、A194、A195、A197、A199、A200、A201、A202、A203、A204、A205、A206、A207、A208、A210、A211を製造した。
【0289】
試験実施例1:化合物の新型コロナウイルス複製に対する抑制作用の研究
本発明の化合物の2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する複製阻害活性の測定:Vero E6細胞はATCCから購入され、SARS-CoV-2ウイルスは中国国家ウイルスリポジトリ微生物菌毒種保存センターに由来した。Vero E6細胞を密度5×10細胞/ウェルの48ウェル細胞シャーレで一夜培養し、濃度の異なる本発明の化合物で細胞を1時間前処理した後、ウイルス(感染複数MOIが0.05)を加えて1時間感染させた後、ウイルス化合物の混合物を取り出し、本発明の化合物を含む新鮮な培地でさらに細胞を培養した。24 h p.i.の場合、細胞上澄みを採取し、溶解緩衝液中で溶解し、定量リアルタイムRT-PCR(QRT-PCR)により細胞上澄み中のウイルスコピー数を定量的に評価した。
【0290】
その結果、10μMまたは5μMの濃度で複数の化合物が顕著にSARS-CoV-2ウイルスの複製を抑制し、薬物未処理の対照群と比較して、新型コロナウイルスの複製に対する抑制率は>99%であり、一部の化合物のEC50値は低マイクロモルレベルであり、抗ウイルス活性は対照化合物のレムデシビル(remdesivir)より顕著に優れていることがわかった。
一部の好ましい化合物のEC50と抑制率のデータを表1に示す。
【0291】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
注:「/」は、未測定を意味する。
【0292】
試験実施例2:化合物の半数毒性濃度測定
本実施例では、CCK8試薬キットの分析により、Vero E6細胞に対する本発明の化合物(表1中の各化合物)の半数毒性濃度CC50を決定した。
その結果、試験化合物は最高濃度10μMでVero E6細胞に細胞毒作用がなかったことが示され、本発明の化合物CC50は10μMよりはるかに大きいことが示唆された。
【0293】
試験実施例3:化合物の新型コロナウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)に対する抑制作用の研究
文献で報道された方法(Virus Genes,2015,50:498-504)を参照し、蛍光法を用いて、本発明の化合物が2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)に対する阻害活性を測定した。新型コロナウイルスRdRp溶液、基質、化合物溶液、緩衝液などを1時間共インキュベートした後、蛍光DNA結合染料を加えて、10分間後、データ採取し、化合物のRdRpに対する抑制活性を計算した。
その結果、表2を参照して、一部の化合物は、RdRpに対して顕著な抑制活性を示したことがわかった。
【0294】
【表2】
A:<1μM;B:1μM~10μM;C:>1μM;「/」は、未測定を意味する。
【0295】
試験実施例4:化合物のその他のウイルス複製に対する抑制作用の研究
細胞病変効果(CPE)実験により、試験化合物の呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトコロナウイルスOC43、A型インフルエンザウイルス、ジカウイルス(Zika)複製に対する抑制活性を測定した。
【0296】
細胞病変効果(CPE)実験
実験細胞を一定の細胞密度で96ウェル細胞培養プレートに接種し、5%CO、37℃インキュベーターで一夜培養した。2日目化合物とウイルスを加えた。測定したウイルスによって異なるが、細胞は5%CO、33℃または37℃の条件でインキュベーターで3-7日間培養し、化合物のないウイルス感染対照ウェル内の細胞病変が80-95%に達するまで培養した。その後、CellTiter-GloまたはCCK-8で各ウェルの細胞の活力を検出する。化合物ウェルを含む細胞の活力がウイルス感染対照ウェルより高い場合、すなわちCPEが弱まれば、化合物は測定したウイルスに対して抑制作用があることを示した。細胞毒性実験方法は、対応する抗ウイルス実験方法と同じであるが、ウイルス感染はなかった。
【0297】
化合物の抗ウイルス活性と細胞毒性は、それぞれ化合物によるウイルスによる細胞ウイルス効果の抑制率(%)と細胞活性率(%)で表される。計算式は次のとおりである。
抑制率(%)=(試験ウェルリード値-ウイルス対照平均値)/(細胞対照平均値-ウイルス対照平均値)×100;
細胞活性率(%)=(試験ウェルリード値-培地対照平均値)/(細胞対照平均値-培地対照平均値)×100;
EC50およびCC50値は、Prismソフトにより計算し、抑制曲線のフィッティング方法は、「log(inhibitor)vs. response -- Variable slope」である。
【0298】
デング熱ウイルスの空斑減少実験
Vero細胞を1ウェルあたり600,000個の細胞密度で6ウェル細胞培養プレートに接種し、5%CO、37℃インキュベーターで一夜培養した。2日目、化合物とウイルス(40-50PFU/ウェル)を加えた。細胞を5%CO、37℃の条件下でインキュベーターで2時間培養した後、上澄みを吸引除去し、対応する濃度の化合物を含む低融点アガロース培養液を加えた。細胞は、顕微鏡下で化合物のないウイルス感染対照孔内に明らかなウイルス空斑が観察されるまで、5%CO、33℃または37℃の条件でインキュベーターで6-7日間培養した。4%パラホルムアルデヒドで細胞を固定し、結晶紫で染色した。1ウェルあたりの空斑数を計算した。
【0299】
細胞毒性実験は抗ウイルス実験と並行して行われた。Vero細胞を1ウェルあたり20,000個の細胞密度で96ウェル細胞培養プレートに接種し、5%CO、37℃インキュベーターで一夜培養した。2日目、化合物(1-5個の濃度ポイント、単一点)を加えた。細胞は5%CO、33℃または37℃の条件下でインキュベーターで6-7日間培養した。そしてCCK-8で各孔の細胞の活力を検査した。
化合物の抗ウイルス活性(EC50または抑制率)および細胞毒性(CC50)の計算方法は、上記と同じである。
【0300】
抗ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)活性実験
Vero細胞を消化継代し、細胞成長液で細胞密度を1×10/mLに調整し、96ウェルプレート、100μL/ウェルに接種し、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。96穴プレートを取り出し、ウェイルの中の培地を捨て、1×PBSで3回洗浄し、振り切った後、1ウェイルあたり化合物(10個の濃度ポイント)とウイルス(1ウェルあたり0.01 MOI)の混合液を入れ、濃度ごとに8個の重複ウェルを設け、37℃、5%COインキュベーターで培養し、同時にウイルス対照を設置して細胞と対照した。36h後、細胞サンプルを収集し、蛍光定量PCRで異なる処理群のウイルス含有量の変化を測定し、化合物のEC50を計算した。
【0301】
その結果、複数の化合物は明らかな抗呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトコロナウイルスOC43(HCoV OC43)、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)、ジカウイルス(Zika)、デング熱ウイルス(DENV)活性を有し、重水素化誘導体はGS-441524より強い抗ウイルス効果を有し、一部の好ましい化合物のEC50を表3および表4に示す。
【0302】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
注:「/」は、未測定を意味する。
【0303】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
注:「/」は、未測定を意味する。
【0304】
試験実施例5:マウス体内の薬物動態評価
実験方法:
15匹のオスCD-1マウスをランダムに5つの群に分け、各群は3匹で、実験前に12時間断食し、自由に水を飲ませた。投与後2時間後に食事を統一させた。その中の4群はそれぞれ50mg/kgのGS-441524、A9、A10とA11を胃内投与し、投与後0.25、0.5、1、2、4、8、24hに経静脈採血約30μLを行い、ヘパリン抗凝固チューブに入れた。すぐに20μLの全血を正確に吸引し、あらかじめ2μLのPhosSTOPと7μLのDTNB(0.5M)を加えた遠心管の中で混合し、4℃で遠心した後、血漿10μLをあらかじめ100μLの沈殿剤(メタノール:アセトニトリル、1:1、v/v)を加えた遠心管の中で混合し、4℃で遠心した後、ドライアイスに一時放置し、運搬し、-80℃で凍結保存し、測定に用意した。残りの1群はそれぞれ25mg/kgのGS-441524を静脈注射で投与し、投与後5min、0.25、0.5、1、2、4、8、24hで経大腿静脈採血し、ヘパリン抗凝固チューブに入れた。処理方法は上記と同じであった。
【0305】
LC-MS-MS法により血漿中のGS-441524、A9、A10及びA11の濃度を測定した。20μLの上澄み液と20μLの脱イオン水を混合してサンプル分析した。サンプルをWaters HSS T3(2.1*50mm、1.8μm)クロマトグラフィーカラムで分離した後、エレクトロスプレーイオン化源を用い、プラスイオン条件下で多反応モニタリングモードで検出した。サンプルの線形範囲はすべて10-30000ng/mLであった。
【0306】
【表5】
【0307】
試験実施例6:ラット体内の薬物動態評価
実験方法:
18匹の雄性SDラットをランダムに6群に分け、各群は3匹で、実験前に12時間断食し(静脈実験群は断食しない)、自由に水を飲ませた。投与後4時間以内に食事を統一した。その中の3群はそれぞれ10mg/kgのA9、A146とA151を胃内投与し、残りの3群はそれぞれ2mg/kgのA9、A146とA151を静脈注射で投与した。投与溶媒はDMSO/EtOH/PEG300/0.9%NaCl(5/5/40/50,v/v/v/v)であった。
【0308】
投与後5min(静脈のみ)、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0および24h後に静脈経由で0.2mL採血し、EDTA-K2試験管に入れ、11000rpmで5min遠心分離し、血漿を分離し、-70℃冷蔵庫で凍結して測定に用意した。氷水浴で操作した。LC-MS-MS法を用いて血漿中のA9の濃度を測定し、薬物動態パラメーターを計算した。
【0309】
【表6】
【0310】
試験実施例7:組織分布試験
実験方法:
16匹のオスCD-1マウスをランダムに4つの群に分け、各群は4匹で、実験前に12時間断食し、自由に水を飲ませた。投与後2時間後に食事を統一した。4群のマウスはそれぞれ200mg/kgのA151(DMSO-enthanol-PEG300-salineに溶解し、体積比5/5/40/50)を胃内投与し、投与1h、2h、4h、8h後、マウスは麻酔を行い、心臓穿刺で採血し、肝臓、腎臓、心臓、肺組織の検体を採取し、采HPLC-MS/MS法により各組織中のA9の分布状況を測定した。
【0311】
【表7】
【0312】
試験実施例8:抗SARS-CoV-2体内薬効試験
実験8.1:
8週齢のBalb/cマウスは、ウイルス対照群(溶媒:40%PEG400+10%HS 15+50%超純水)、A151臭化水素酸塩(A151-S)経口群(50mg/Kg、100mg/Kg)、レムデシビル経口群(50mg/kg)、レムデシビル腹腔内注射群(50mg/kg)の5群に分けられた。各群の動物はヒト由来ACE2遺伝子を持つアデノウイルスを導入し、導入5日後に新型コロナウイルスに感染し、感染してから1時間後、胃内投与または腹腔内注射で溶媒、A151-Sと対照薬であるレイドシビルをそれぞれ投与し、1日に1回投与した。感染後2日目と5日目にそれぞれマウスを処刑にし、マウス肺組織を採取し、マウス肺組織中のウイルスRNAコピー数を検出した。投与2日後と投与5日後のウイルスRNAコピーの状況をそれぞれ図1図2に示す。
【0313】
試験の結果、化合物A151-Sは50mg/kgと100mg/kgを経口投与した場合、いずれもマウス肺組織中のウイルスRNA量を効果的に低減でき、一定の用量依存性を有することが分かった。投与2日後、50mg/Kgの投与量で、A151-S経口抗ウイルス効果はレシピエント経口群より優れ、投与5日後、A151-S経口抗ウイルス効果はレシピエント腹腔注射群より優れたことがわかった。
【0314】
実験8.2:
8週齢のBalb/cマウスを、ウイルス対照群(溶媒:5%DMSO+5%SolutolHS15+90%Saline)およびA151-S腹腔内注射投与群(100mg/Kg)の2つの群に分けられた。ヒト由来ACE2遺伝子を持つアデノウイルスを2組導入し、感染新型コロナウイルスの前日にA151-Sを投与し、感染後当日から4日目まで毎日1回腹腔内注射でA151-Sを投与し、対照群でも同様の処理を行った。感染後4日目にマウスを処刑にし、マウス肺組織を採取し、マウス肺組織中のウイルスRNAコピー数を測定した。結果を図3に示す。
【0315】
試験の結果、化合物A151-Sは腹腔内注射により、マウスの肺組織中のウイルスRNA量を顕著に下げることができ、対照群に比べてウイルス量が30倍以上低下していることが分かった。
【0316】
検討
本発明の式I化合物は、顕著な抗SARS-CoV-2活性を有する。ウイルス感染のVero E6細胞において、代表的な化合物A9(実施例6)、A10(実施例7)、A124(実施例11)、A50(実施例12)、A212(実施例13)、A144(実施例16)、A213(実施例18)、A164(実施例20)、A214(実施例22)、A151(実施例36)は、顕著にウイルス複製を抑制することができ、EC50が、それぞれ、0.44μM、0.43μM、0.25μM、0.23μM、0.11μM、0.24μM、0.10μM、0.27μM、0.11μMおよび0.31μMであり、対照化合物であるレムデシビル(remdesivir、EC50=2.0μM)よりも顕著に優れた。また、A11、A12、A52、A70、A72、A75、A77、A131、A171、A180、A181、A188、A196、A215等の化合物は、5μM濃度で顕著にウイルス複製を抑制することができ、抑制率が98%以上であり、レムデシビルの当該濃度でウイルスに対する抑制率(65%)よりも顕著に高い。
【0317】
A102、A106、A107、A198は新型コロナウイルスのRdRp活性を顕著に抑制でき、このような化合物がRdRpに作用することで抗ウイルス作用を発揮することを示している。
本発明の式I化合物は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトコロナウイルスOC43(HCoV OC43)、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)、ジカウイルス(Zika)、デング熱ウイルス(DENV)を含む、その他のウイルスに対しても、顕著な抑制作用を有する。注目すべきことは、重水素化化合物の抗ウイルス効果がより顕著であることである。
【0318】
マウスPK試験によると、重水素化化合物A9、A11を経口投与した後、血漿中の薬物の曝露量はGS-441524より高く、それぞれGS-441524の曝露量の1.3倍と1.2倍である。A9のラットにおける経口生物利用度は21.3%、化合物A146とA151の経口生物利用度はそれぞれ48.5%と56.7%であり、A9に比べて大幅に向上している。
【0319】
マウスの体内組織分布試験によると、A151を1時間経口投与した後、代謝産物A9は肝臓、腎臓、肺、心臓の中で最も濃度が高く、しかも分布が比較的均一で、肝臓、腎臓の蓄積状況がない。
A151の臭化水素酸塩(A151-S)は、新型コロナウイルス受容体ヒト由来ACE2を発現するアデノウイルス伝達マウスモデルにおいて、一日一回経口投与することにより、投与量依存的にマウス肺部のウイルス量を低下させることができ、また、同じ投与量(50mg/Kg)では、A151-Sの抗新型コロナウイルス効果はレイドシビルより優れている。以上のデータから、A151-Sの抗SARS-COV-2作用が顕著で、経口投与の優位性があることがわかった。以上のデータから、本発明の化合物は優れた抗ウイルス性を有し、特に抗新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の応用の見通しがあると推測される。
【0320】
本発明で言及されているすべての文献は、各文献が単独で参照として引用されているように、本願で参照として引用されている。また、本発明の上記講義内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの等価形態も本願の添付の特許請求の範囲に規定されるものであることが理解されるべきである。
図1
図2
図3