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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ロボットアシスタント
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20240927BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20240927BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240927BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B25J5/00 A
B25J13/08 A
B65G1/00 501C
B65G47/90 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022567374
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 CN2021091582
(87)【国際公開番号】W WO2021227900
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】16/870,903
(32)【優先日】2020-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515215346
【氏名又は名称】深セン市優必選科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】UBTECH ROBOTICS CORP LTD
【住所又は居所原語表記】22nd Floor, Block C1, Nanshan I Park, No.1001 Xueyuan Road, Nanshan District, Shenzhen, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン チョンクン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ビイル
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド ラシッド パック
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド マ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス アルフレド マテオス グズマン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン スクユ
(72)【発明者】
【氏名】タン ファン
(72)【発明者】
【氏名】熊 友軍
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-263382(JP,A)
【文献】特開2016-068239(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0291955(US,A1)
【文献】特開2004-231357(JP,A)
【文献】特開2019-093481(JP,A)
【文献】実開平06-051903(JP,U)
【文献】特開2016-129923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
B65G 1/00
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪付きベースと、
複数の引出しと、該引出しの引出し機構を駆動する1つまたは複数の引出し駆動装置とを含む保管ユニットと、
遠位端に連結されたアーム端部ツールを含み、前記保管ユニットの引出し機構の上部に連結され前記引出し機構の上部に折り畳まれる折り畳み式アームと、
車輪付きベースと前記引出し機構との間に位置され、リフティング機構と、該リフティング機構を駆動するアクチュエータとを有し、前記保管ユニットの前記引出し機構を、収縮位置と伸張位置との間で前記リフティング機構の伸張、および、収縮に応じて上下に移動させるように構成される昇降機構と、
コマンド命令を受信し、そのコマンド命令に応答する制御システムと、を備え、
前記保管ユニットは、ハウジングをさらに含み、前記1つまたは複数の引出し駆動装置が、前記複数の引出しを駆動して前記ハウジングに対して前記引出しを開位置と閉位置にスライドさせるように構成され、
前記制御システムは、車輪付きベースを移動させ、前記引出し機構を決定された位置まで移動させ、前記複数の引出しを開閉し、前記折り畳み式アームとアーム端部ツールの動きを駆動して、決定された位置から外部物体をピックアップし、また前記決定された位置に外部物体を入れ、前記保管ユニットの1つまたは複数の引出し駆動装置を制御して前記複数の引出しを駆動するように構成されることを特徴とするロボットアシスタント。
【請求項2】
前記リフティング機構は、保管ユニットの引出し機構および車輪付きベースに連結され、前記アクチュエーターは、車輪付きベースに固定され、前記リフティング機構を駆動して垂直方向で伸縮させるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のロボットアシスタント。
【請求項3】
前記折り畳み式アームは、N個のリンクと、M個の第1回転ジョイントと、1つの第2回転ジョイントと、を含み、前記N個のリンクは、前記M個の第1回転ジョイントを介して回転可能に互いに直列に連結され、前記N個のリンクのうち最初のリンクは前記第2回転ジョイントを介して前記保管ユニットの上部に回転可能に連結され、ここで、Nは2より大きい自然数で、N=M+1であることを特徴とする請求項1に記載のロボットアシスタント。
【請求項4】
物体を検知するように構成されたカメラをさらに備え、前記制御システムは、個の回転ジョイントとN個のリンクのうちの1つまたは複数のリンクとの連結によって前記折り畳み式アームが決定された方向および/または位置にあるように指示し、前記カメラからの出力に基づいて前記コマンド命令により前記アーム端部ツールが前記1つまたは複数の引出しから外部物体をピックアップし、また前記1つまたは複数の引出しに外部物体を入れるように指示することを特徴とする請求項3に記載のロボットアシスタント。
【請求項5】
前記カメラは、前記折り畳み式アームに位置し、前記アーム端部ツールに近く配置されるか、または前記アーム端部ツールの上/中に位置することを特徴とする請求項4に記載のロボットアシスタント。
【請求項6】
前記折り畳み式アームを保護するためのアーム保護装置をさらに備え、前記アーム保護装置は固定または収縮可能であることを特徴とする請求項1に記載のロボットアシスタント。
【請求項7】
前記アクチュエーターは、前記リフティング機構に推進力または引張力を加えて前記リフティング機構が垂直方向で伸縮するように駆動するように構成されるリニアアクチュエーターであることを特徴とする請求項2に記載のロボットアシスタント。
【請求項8】
前記車輪付きベースに連結された複数の作動足をさらに備え、前記制御システムは、前記作動足が下へ移動して表面と接触するように指示することを特徴とする請求項1に記載のロボットアシスタント。
【請求項9】
前記折り畳み式アームは、実質的に平らな状態で前記保管ユニットの上部に折り畳まれるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のロボットアシスタント。
【請求項10】
車輪付きベースと、
複数の引出しと、該引出しを駆動する引出し駆動装置と、上部プレートおよび底部プレートを有するハウジングとを含む引出し機構と、
前記引出し機構の前記ハウジングの上部プレートに連結される折り畳み式アームと、
前記車輪付きベース上に連結される前記ハウジングの前記底部プレートに位置され、前記引出し機構を上下に移動させるように構成される昇降機構と、を備え、
前記折り畳み式アームは、アーム端部ツールを含み、前記アーム端部ツールは、コマンド命令に応答して、前記折り畳み式アームの駆動によって決定された位置から外部物体をピックアップし、また決定された位置に外部物体を入れるように構成され、
前記引出し機構の引出し駆動装置は、前記複数の引出しを駆動して前記ハウジングに対して開位置と閉位置にスライドさせるように構成されることを特徴とするロボットアシスタント。
【請求項11】
前記決定された位置は、完全に開かれた前記数の引出し内の位置であることを特徴とする請求項10に記載のロボットアシスタント。
【請求項12】
前記昇降機構は、アクチュエーターおよびリフティング機構を含み、前記リフティング機構は、前記引出し機構および車輪付きベースに連結され、前記アクチュエーターは、車輪付きベースに固定され、前記リフティング機構を駆動して垂直方向で伸縮するように構成されることを特徴とする請求項10に記載のロボットアシスタント。
【請求項13】
前記折り畳み式アームは、N個のリンクと、M個の第1回転ジョイントと、1つの第2回転ジョイントと、を含み、前記N個のリンクは、前記M個の第1回転ジョイントを介して回転可能に互いに直列に連結され、前記N個のリンクのうち最初のリンクは前記第2回転ジョイントを介して前記引出し機構に回転可能に連結され、ここで、Nは2より大きい自然数で、N=M+1であることを特徴とする請求項10に記載のロボットアシスタント。
【請求項14】
物体を検知するように構成されたカメラをさらに備え、制御システムは、個の回転ジョイントとN個のリンクのうちの1つまたは複数のリンクとの連結によって前記折り畳み式アームが決定された方向および/または位置にあるように指示し、前記カメラからの出力に基づいて前記コマンド命令により前記アーム端部ツールが前記1つまたは複数の引出しから外部物体をピックアップし、また前記数の引出しに外部物体を入れるように指示することを特徴とする請求項13に記載のロボットアシスタント。
【請求項15】
前記カメラは、前記折り畳み式アームに位置し、前記アーム端部ツールに近く配置されるか、または前記アーム端部ツールの上/中に位置することを特徴とする請求項14に記載のロボットアシスタント。
【請求項16】
前記折り畳み式アームは、前記引出し機構の上部プレートに実質的に平らな状態で折り畳まれるように構成されることを特徴とする請求項10に記載のロボットアシスタント。
【請求項17】
車輪付きベースと、
複数の引出しと、該引出しの引出し機構を駆動する引出し駆動装置とを含む保管ユニットと、
遠位端に連結されたアーム端部ツールを含み、前記保管ユニットの上部に連結される折り畳み式アームと、
車輪付きベースと前記引出し機構との間に位置され、リフティング機構と、該リフティング機構を駆動するアクチュエーターとを有し、前記保管ユニットの前記引出し機構を、収縮位置と伸張位置との間で前記リフティング機構の伸張、および、収縮に応じて上下に移動させるように構成される昇降機構と、を備え、
前記保管ユニットは、ハウジングをさらに含み、前記引出し駆動装置が、前記複数の引出しを駆動して前記ハウジングに対して前記引出しを開位置と閉位置にスライドさせるように構成され、
前記アーム端部ツールは、前記折り畳み式アームの駆動によって決定された位置から外部物体をピックアップし、決定された位置に外部物体を入れるように構成されることを特徴とするロボットアシスタント。
【請求項18】
記リフティング機構は、前記保管ユニットおよび車輪付きベースに連結され、前記アクチュエーターは、車輪付きベースに固定され、前記リフティング機構を駆動して垂直方向で伸縮させるように構成されることを特徴とする請求項17に記載のロボットアシスタント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にロボットに関し、特に、配送、追跡、および他のタスクを実行できる知能型物流ロボットアシスタントに関する。
【背景技術】
【0002】
世界的に高齢者人口の大幅な増加に伴い、医療従業者の欠如、高齢者向け介護サービスの質の低下、および医学治療の経済的困難などの問題が生じている。ロボット技術の最新発展は、高齢者の生活の質を改善して尊厳性と独立性を優先することで、このような困難を緩和する革新的な解決手段を提供している。したがって、近年、ヘルスケアロボットが大きい注目を浴びている。ヘルスケアロボットは、高齢者の健康状態の監視と追跡などのタスクで支援を提供し、反復的なタスクを実行して、ヘルスケア従業者や高齢者にサービスを提供することができる。
【0003】
ロボットアシスタントの1つのタイプとして、物流や輸送タスクなどのタスクを実行して人間を支援するように設計されることができる。例えば、ロボットアシスタント、特に病院などのヘルスケア業界で使用されるロボットアシスタントには、通常、移動用の車輪と固定された保管容器/トレーが含まれており、ロボットアシスタントが医薬品、機器および食品などの物体を目的の場所に届けることができる。
【0004】
しかし、保管容器/トレーの固定性と付加支援用のマニピュレーターの欠如により、これらのロボットアシスタントは、到達可能性の欠如、つまり、ロボットアシスタント自体の基本物理的占有面積(footprint)を超えて拡張できないという問題がある。また、ロボットアシスタントの非モジュール設計は、1つのタスクしか実行できず、高齢者介護施設や病院などのヘルスケア所にエンドツーエンドの物流サービス(例えば、収集、保管、ナビゲーション、配送)を提供できないことを意味する。さらに、ロボットアシスタントの非モジュール設計では、様々なビジネス応用場面に合わせてプラットホームを僅かに修正することができない。
【0005】
したがって、上記の問題を克服するためのロボットアシスタントを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、既存の上記の問題を解決するためのロボットアシスタントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次のように構成される。すなわち、ロボットアシスタントは、車輪付きベースと、1つまたは複数の引出しを含む保管ユニットと、遠位端に連結されたアーム端部ツールを含み、前記保管ユニットの上部に連結される折り畳み式アームと、車輪付きベース上に位置され、前記保管ユニットを上下に移動させるように構成される昇降機構と、コマンド命令を受信し、そのコマンド命令に応答する制御システムと、を備え、前記制御システムは、車輪付きベースを移動させ、前記1つまたは複数の引出しを開閉し、前記折り畳み式アームとアーム端部ツールの動きを駆動して、決定された位置から外部物体をピックアップし、また決定された位置に外部物体を入れ、前記保管ユニットを制御して前記1つまたは複数の引出しを駆動するように構成される。
【0008】
さらに、前記昇降機構は、アクチュエーターおよびリフティング機構を含み、前記リフティング機構は、保管ユニットおよび車輪付きベースに連結され、前記アクチュエーターは、車輪付きベースに固定され、前記リフティング機構を駆動して垂直方向で伸縮させるように構成される。
【0009】
さらに、前記保管ユニットは、ハウジングと、1つまたは複数の駆動装置と、を含み、前記1つまたは複数の駆動装置は、前記1つまたは複数の引出しを駆動して前記ハウジングに対して開位置と閉位置にスライドさせるように構成される。
【0010】
さらに、前記折り畳み式アームは、N個のリンクと、M個の第1回転ジョイントと、1つの第2回転ジョイントと、を含み、前記N個のリンクは、前記M個の第1回転ジョイントを介して回転可能に互いに直列に連結され、前記N個のリンクのうち最初のリンクは前記第2回転ジョイントを介して前記保管ユニットの上部に回転可能に連結され、ここで、Nは2より大きい自然数で、N=M+1である。
【0011】
さらに、ロボットアシスタントは、物体を検知するように構成されたカメラをさらに備え、前記制御システムは、前記N個の回転ジョイントとN個のリンクのうちの1つまたは複数のリンクとの連結によって前記折り畳み式アームが決定された方向および/または位置にあるように指示し、前記カメラからの出力に基づいて前記コマンド命令により前記アーム端部ツールが前記1つまたは複数の引出しから外部物体をピックアップし、また前記1つまたは複数の引出しに外部物体を入れるように指示する。
【0012】
さらに、前記カメラは、前記折り畳み式アームに位置し、前記アーム端部ツールに近く配置されるか、または前記アーム端部ツールの上/中に位置する。
【0013】
さらに、ロボットアシスタントは、前記折り畳み式アームを保護するためのアーム保護装置をさらに備え、前記アーム保護装置は固定または収縮可能である。
【0014】
さらに、前記アクチュエーターは、前記リフティング機構に推進力または引張力を加えて前記リフティング機構が垂直方向で伸縮するように駆動するように構成されるリニアアクチュエーターである。
【0015】
さらに、ロボットアシスタントは、前記車輪付きベースに連結された複数の作動足をさらに備え、前記制御システムは、前記作動足が下へ移動して表面と接触するように指示する。
【0016】
さらに、前記折り畳み式アームは、実質的に平らな状態で前記保管ユニットの上部に折り畳まれるように構成される。
【0017】
本発明は、車輪付きベースと、1つまたは複数の引出しを含む引出し機構と、前記引出し機構の上部に連結される折り畳み式アームと、前記車輪付きベース上に位置され、前記1つまたは複数の引出しを上下に移動させるように構成される昇降機構と、を備え、前記折り畳み式アームは、アーム端部ツールを含み、前記アーム端部ツールは、コマンド命令に応答して、前記折り畳み式アームの駆動によって決定された位置から外部物体をピックアップし、また決定された位置に外部物体を入れるように構成されるロボットアシスタントをさらに提供する。
【0018】
さらに、前記決定された位置は、完全に開かれた前記1つまたは複数の引出し内の位置である。
【0019】
さらに、前記昇降機構は、アクチュエーターおよびリフティング機構を含み、前記リフティング機構は、前記引出し機構および車輪付きベースに連結され、前記アクチュエーターは、車輪付きベースに固定され、前記リフティング機構を駆動して垂直方向で伸縮するように構成される。
【0020】
さらに、前記引出し機構は、ハウジングと、1つまたは複数の駆動装置と、を含み、前記駆動装置は、1つまたは複数の引出しを駆動してハウジングに対して開位置と閉位置にスライドさせるように構成される。
【0021】
さらに、前記折り畳み式アームは、N個のリンクと、M個の第1回転ジョイントと、1つの第2回転ジョイントと、を含み、前記N個のリンクは、前記M個の第1回転ジョイントを介して回転可能に互いに直列に連結され、前記N個のリンクのうち最初のリンクは前記第2回転ジョイントを介して前記引出し機構に回転可能に連結され、ここで、Nは2より大きい自然数で、N=M+1である。
【0022】
さらに、ロボットアシスタントは、物体を検知するように構成されたカメラをさらに備え、制御システムは、前記N個の回転ジョイントとN個のリンクのうちの1つまたは複数のリンクとの連結によって前記折り畳み式アームが決定された方向および/または位置にあるように指示し、前記カメラからの出力に基づいて前記コマンド命令により前記アーム端部ツールが前記1つまたは複数の引出しから外部物体をピックアップし、また前記1つまたは複数の引出しに外部物体を入れるように指示する。
【0023】
さらに、前記カメラは、前記折り畳み式アームに位置し、前記アーム端部ツールに近く配置されるか、または前記アーム端部ツールの上/中に位置する。
【0024】
さらに、前記折り畳み式アームは、前記引出し機構の上部に実質的に平らな状態で折り畳まれるように構成される。
【0025】
本発明は、車輪付きベースと、保管ユニットと、遠位端に連結されたアーム端部ツールを含み、前記保管ユニットの上部に連結される折り畳み式アームと、前記車輪付きベース上に位置され、1つまたは複数の引出しを上下に移動させるように構成される昇降機構と、を備え、前記アーム端部ツールは、前記折り畳み式アームの駆動によって決定された位置から外部物体をピックアップし、決定された位置に外部物体を入れるように構成されるロボットアシスタントをさらに提供する。
【0026】
さらに、前記昇降機構は、アクチュエーターおよびリフティング機構を含み、前記リフティング機構は、保管ユニットおよび車輪付きベースに連結され、前記アクチュエーターは、車輪付きベースに固定され、前記リフティング機構を駆動して垂直方向で伸縮させるように構成される。
【発明の効果】
【0027】
従来の技術に比べて本発明の技術的効果は、次のとおりである。本発明のロボットアシスタントは、折り畳み式アームと、昇降機構と、を備え、折り畳み式アームは、昇降機構と共にロボットアシスタントが到達可能範囲を伸ばす機構を有するようにし、前記到達可能範囲を伸ばす機構は、ロボットアシスタントの基本物理的占有面積を超えて拡張される。ロボットアシスタントは、精密な位置特定、モーション計画および軌跡追跡を含む機能を有する自律型ロボットであり得、知能型物流を実現し、監視のないエンドツーエンドの物流解決手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、本発明の実施例の技術的手段をより明確に説明するために、本発明の実施例または従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。当然のことながら、下記の説明における図面は本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1A】一実施例によるロボットアシスタントの等角図である。
図1B】他の実施例によるロボットアシスタントの等角図である。
図2図1Aのロボットアシスタントの平面図である。
図3図1Aのロボットアシスタントの上昇状態での等角図である。
図4図1Aのロボットアシスタントの車輪付きベースの等角図である。
図5】異なる角度から見た図4の車輪付きベースの半分解図である。
図6図4の車輪付きベースの駆動輪機構の等角図である。
図7図4の車輪付きベースのキャスターの等角図である。
図8A図4の車輪付きベースの平面図であり、作動足はその収縮位置にある。
図8B図4の車輪付きベースの平面図であり、作動足はその伸張位置にある。
図9図4における作動足を有するのと有しないロボットアシスタントの折り畳み式アームの到達可能性の比較を示す図である。
図10A】一実施例による駆動輪機構およびキャスターを含む車輪付きベースを示す模式図である。
図10B】一実施例による2つの駆動輪機構および4つのキャスターを含む代替の車輪付きベースを示す模式図である。
図11】一実施例によるロボットアシスタントの引出し機構の等角図である。
図12】他の実施例による異なる角度から見たロボットアシスタントの引出し機構の等角図である。
図13】一実施例による図1Bのロボットアシスタントの折り畳み式アームの等角分解図である。
図14A図13における一実施例による折り畳み式アームの元の平らな状態での等角図であり、折り畳み式アームはアーム端部ツール(EOAT)またはEOAT機械アームを有している。
図14B図13の他の実施例による元の平らな状態にある、前記EOATを有する折り畳み式アームの等角図である。
図14C図14Bにおける折り畳み式アームが中間状態にある等角図である。
図14D図14Bの折り畳み式アームが物体を把持するときの最終状態にある等角図である。
図15A】一実施例によるロボットアシスタントのEOATの他の実施例の等角図である。
図15B図15AのEOATの等角分解図である。
図15C図15AのEOATの等角図である。
図16A】一実施例によるロボットアシスタントの他のEOATの等角図である。
図16B図16AのEOATの等角図である。
図16C図16AのEOATの等角図である。
図17A】一実施例によるロボットアシスタントのEOATの他の実施例の等角図である。
図17B図17AのEOATの等角分解図である。
図17C図17AのEOATの等角図である。
図17D】一実施例によるロボットアシスタントのEOATの他の実施例の等角図である。
図18A】一実施例によるロボットアシスタントのEOATの他の実施例の等角図である。
図18B図18AのEOATの等角分解図である。
図18C図18AのEOATの異なる角度から見た等角分解図である。
図19A】一実施例によるロボットアシスタントのEOATの他の実施例の等角図である。
図19B図19AのEOATの等角分解図である。
図20】一実施例によるロボットアシスタントの真空モジュールのEOATの等角分解図である。
図21A図13の折り畳み式アームのEOATに取り付けられたカメラを示す図である。
図21B図20aと同様に、カメラに取り付けられ、異なる方向に回転したEOATを示す図である。
図21C図13の折り畳み式アームに連結されたカメラを示す図であり、前記カメラはロボットアシスタントのEOATに近い。
図21D】ロボットアシスタントのEOATに連結されたカメラを示す図である。
図22】ロボットアシスタントの昇降機構の等角図である。
図23図22の昇降機構の異なる角度から見た等角図であり、その上部プレートは分離されている。
図24図22の引出し機構のリフティング機構を示す平面図である。
図25】ロボットアシスタントが計画経路に沿って移動するときの障害物を避けることを示す模式図である。
図26】ロボットアシスタントが保管棚から決定された物体をピックアップすることを示す模式図である。
図27】一実施例によるロボットアシスタントの模式ブロック図である。
図28】一実施例によるロボットアシスタントのベース制御サブシステムの模式ブロック図である。
図29】一実施例によるロボットアシスタントの本体制御サブシステムの模式ブロック図である。
図30】一実施例によるロボットアシスタントのセンサーサブシステムの模式ブロック図である。
図31】一実施例によるロボットアシスタントのバッテリーパックの模式ブロック図である。
図32】一実施例によるロボットアシスタントの電源システムの模式ブロック図である。
図33A】一実施例によるロボットアシスタントと共に使用されるユーザインタフェースを示す模式図である。
図33B】一実施例によるロボットアシスタントと共に使用されるユーザインタフェースを示す模式図である。
図33C】一実施例によるロボットアシスタントと共に使用されるユーザインタフェースを示す模式図である。
図34】一実施例によるロボットアシスタントの制御システムによって実現される方法の概略フローチャートである。
図35】一実施例による折り畳み式アームのモーション軌跡を示す模式図である。
図36】一実施例によるロボットアシスタントの折り畳み式アームおよびEOATを制御するための方法の概略フローチャートである。
図37】ロボットアシスタントの引出しを制御するための方法の概略フローチャートである。
図38】一実施例によるロボットアシスタントのナビゲーション方法の概略フローチャートである。
図39】折り畳み式アームのパラメーターを決定するための方法の概略フローチャートである。
図40A】折り畳み式アームの構造および境界を示す模式図である。
図40B】折り畳み式アームの構成を示す模式図の上面図である。
図40C】折り畳み式アームの構成を示す模式図である。
図40D】引出し内の各点の到達可能性が決定される順序を示す模式図である。
図41A-41B】昇降機構が異なる高さにあるときの棚内/棚上の折り畳み式アームの到達可能な作業空間を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、実施例の例は図面に示され、ここで同一または類似の符号は、常に同一または類似の構成要素または同一または類似の機能を有する構成要素を表す。図面を参照して以下に説明する実施例は例示的なものであり、本発明を解釈するためのものであり、本発明に対する限定として理解されるべきではない。
【0030】
なお、本発明の説明において、「長さ」、「幅」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「トップ」、「ボトム」、「内」、「外」等の用語が示す方位または位置関係は、図面に示された方位または位置関係に基づくもので、単に本発明の説明を容易にし、説明を簡素化するためのものであり、言及された装置または構成要素が必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構造および操作されることを明示したり暗示したりするものではなく、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0031】
また、「第1」、「第2」という用語は、単に説明のためのものであり、相対的な重要性を明示または暗示するもの、または示された技術的特徴の量を暗示的に指定するものとして理解されるべきではない。したがって、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つまたは複数の該当特徴を含むことを明示したり暗示したりすることができる。本発明の説明において、「複数」とは、他の具体的な限定がない限り、2つまたは2つ以上を意味する。
【0032】
本発明において、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は、特に明示および限定しない限り、広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定的接続、着脱可能接続、または一体型接続であってもよく、機械的接続または電気的接続であってもよく、直接連結や仲介者を介した間接連結であってもよく、2つの構成要素の内部連通または2つの構成要素の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、特定の状況に従って、本発明における上記の用語の特定の意味を理解することができる。
【0033】
本発明の目的、技術手段および利点をより明確にするために、図面および実施例と併せて、以下で本発明についてさらに詳細に説明する。
【0034】
図1Aおよび図1Bは、ロボットアシスタント100の等角図であり、ロボットアシスタント100は、昇降機構および到達可能範囲を伸ばす機構を使用して物流や輸送タスクなどのタスクを実行して人間を支援する。一実施例では、ロボットアシスタント100は、ヘルスケア所、高齢者ケア所などの場所で使用されて、ヘルスケア従業者が日常タスクを実行するのを支援することができる。しかし、ロボットアシスタント100は、セキュリティー/監視の場面でも使用できる。例示的な一実施例では、ロボットアシスタント100は、生活支援所またはヘルスケア所で監視のないエンドツーエンドの物流解決手段を提供して食品から医薬品までのタイムリーな配送および物流要求を満たすために使用することができる。ロボットアシスタント100は、ヘルスケア提供者が物体を共に取得して配送するのを含む、時間のかかるタスクとその他の単調で反復的なタスクから解放することができるため、支援を受ける人や他の人のより重要な身体的および感情的な要求を満たすことに集中することができる。しかし、実施例によれば、ロボットアシスタント100は、倉庫、包装場所、学校およびレストランなどの他の場所で使用されてもよいことを理解されたい。
【0035】
図1A図3を参照すると、ロボットアシスタント100は、車輪付きベース10と、保管ユニット(例えば、1つまたは複数の引出し21を含む引出し機構20)と、引出し機構20の上部に連結される折り畳み式アーム30と、昇降機構40と、センサー62、63、63、64および65と、メインコンピュータからコマンド命令を受信する制御システム70と、ディスプレイ82に表示されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)と、を備え、グラフィカルユーザインターフェースにより、オペレータはロボットアシスタントを直接制御することができる。当該コマンド命令に応答して、制御システム70は、車輪付きベース10、折り畳み式アーム30および昇降機構40の動き、および/またはロボットアシスタント100の他の機械的またはソフトウェア的側面を制御する。他の実施例では、保管ユニットは開放型棚を含むことができる。さらに、他の実施例では、折り畳み式アーム30を省略してもよく、異なる自由度を有する異なる構造のマニピュレーターに置き換えてもよい。
【0036】
車輪付きベース10は、ロボットアシスタント100が1つの位置から他の位置に移動するための移動機構を提供する。一実施例では、車輪付きベース10は、2つの差動駆動輪機構11と、1つまたは複数の他の車輪と、を含む。駆動輪機構11は、車輪付きベース10が決定された経路に沿って動くように許容し、1つまたは複数の他の車輪は車輪付きベース10のバランスおよび安定性を達成する。車輪付きベース10のサスペンションシステムにより、小さい隙間、カーペット、マットおよび床の不完全な部分をよりスムーズに走行することができる。また、車輪付きベース10を使用することにより、ロボットアシスタント100は、エレベーターに出入りすることによって生活支援所の各フロアを通過することができる。1つまたは複数の他の車輪は、キャスターまたは全方向駆動輪であってもよい。車輪付きベース10の更なる説明は以下に提供される。
【0037】
保管ユニットは、1つまたは複数の引出し21のためのプラットホームである引出し機構20を含む。引出し21は、引出し機構20の駆動により開状態と閉状態になり得る。一実施例では、処方薬、針および手術器具を引出し21に保管することができる。1つまたは複数の引出し21は、大切な空間を節約するために垂直方向(例えば、図1に示すy軸に沿って)および/または水平方向(例えば、図3に示すx軸に沿って)に積み重ねてもよい。各引出し21は個別的にまたは組み合わせて開くことができる。一例では、引出し21は、ロッキングされることができ、承認されたヘルスケア従業者によってのみ、および/またはロボットアシスタント100が1つまたは複数の貨物を指定された位置に配送して承認された人によってロック解除されて開かれることができる。なお、引出し21の数と構造は限定されず、実際の必要に応じて変更できることに留意されたい。例えば、ロボットアシスタント100がレストランで使用される場合、引出し21は開放型棚の形態であってもよい。この例において、食品物品(例えば、皿、トレーおよびカップ)は開放型棚に配置することができ、素早く簡単に取り出すことができる。開放型棚は垂直および/または水平方向で積み重ねることができる。あるいは、引出し21は、深さ、高さ、長さ、および幅を有する密閉または半密閉ハウジングの形態であってもよい。
【0038】
折り畳み式アーム30は、引出し機構20の上部に連結され、折り畳み式アーム30の遠位端にはアーム端部ツール(End of Arm Tooling,EOAT)50またはEOAT機械アーム(robotic gripper)が含まれる。折り畳み式アーム30の駆動によって、折り畳み式アーム30は開位置または折り畳み位置に伸ばされることができる。折り畳み位置では、折り畳み式アーム30が駆動されて平らな状態または実質的に平らな状態で引出し機構20の上部に折り畳まれることができる。透明または半透明のプラスチック/ポリカーボネートまたは任意の他の材料で製造できるバイザー(visor)または保護カバーでアーム30をカバーおよび/または保護することができる。折り畳み式アーム30が作業モードにある場合、バイザー/保護カバーは、折り畳み式アーム30の作業空間を増加させるために自動的に引き込めることができる。また、前記折り畳み式アーム30は、昇降機構40と共に、ロボットアシスタント100が到達可能範囲を伸ばす機構を有するようにし、前記到達可能範囲を伸ばす機構は、ロボットアシスタント100の基本物理的占有面積を超えて拡張される。EOAT50は、折り畳み式アーム30の遠位端に配置され、処方薬、手袋または水筒などの様々な物体をつかむことができる。折り畳み式アーム30およびEOAT50は、棚上の物体を把持し、それらの物体を引出し21に入れるために使用することができる。次に、折り畳み式アーム30およびEOAT50は、引出し21中に延びて物体を取り出し、それを異なる棚、テーブルに配送するか、またはヘルスケア従業者または患者の手に配送するように構成される。さらに、折り畳み式アーム30およびEOAT50は、物体を空の引出し21および空の棚に配置するように構成される。詳細は以下に記載されている。EOAT50は、ロボットアシスタント100をさらに擬人化するために人間の手に似ていてもよい。
【0039】
昇降機構40は、車輪付きベース10と引出し機構20との間に連結される。引出し機構20は、昇降機構40の駆動によって収縮位置(図1A参照)と伸張位置(図3参照)との間で上下に移動することができる。この収縮位置では、昇降機構40は、ロボットアシスタント100が制限された高さを有するようにして、ロボットアシスタント100のモーションおよび移動中の安定性に寄与する。この伸張位置では、昇降機構40は、折り畳み式アーム30が垂直方向で向上された到達可能性を有するようにする。昇降機構40は、ロボットアシスタント100を、ベッドに横たわっている、車椅子に座っている、または立っている高齢者のために安らかな高さに調節するように駆動されてもよい。昇降機構40のさらなる説明は以下に提供される。アーム保護部が固定された場合、昇降機構40は、折り畳み式アーム30の基部をアーム保護部の上部のエッジと面一にすることを可能にし、それによって、折り畳み式アーム30が最大の作業空間を有する。別の実施例では、昇降機構40の高さを調節する必要なく、アーム保護部281を完全に引き込めて、折り畳み式アーム30のための最大の作業空間を生成することができる。
【0040】
ロボットアシスタント100はセンサーにより環境を感知することができ、それによって、ロボットアシスタント100はタスクを実行することができる。一実施例では、センサーは、検知物体との物理的接触を必要としない距離センサーを含む。それらは、ロボットアシスタント100が障害物と実際に接触する必要がなく障害物を感知することを可能にする。距離センサーは、赤外線(IR)センサー64、超音波センサー65、1つまたは複数の光検知および距離測定(LiDAR)センサー63、近距離通信(NFC)およびRFIDセンサー/リーダーを含むことができる。一実施例では、センサーは、慣性測定ユニット(IMU)センサーおよびカメラ62を含むことができる。各IMUセンサー66は、少なくとも1つの加速度計および少なくとも1つのジャイロスコープを含む。1つまたは複数のLiDARセンサー63は環境地図を作成するために使用される。LiDARセンサー63は、IMUセンサー66と共に環境地図におけるロボットアシスタント100のリアルタイム位置を決定するために使用される。距離センサーおよびカメラ62からのデータは、ロボットアシスタント100の移動中に機器または人などの障害物を検知するために使用される。従って、ロボットアシスタント100は決定された経路に沿って自律的に移動することができる。これらのセンサーは、車輪付きベース10またはロボットアシスタント100の他の位置に沿って、例えば、折り畳み式アーム30またはEOAT50に位置決めしてもよい。センサーについては、以下でさらに説明する。
【0041】
制御システム70は、車輪付きベース10、引出し機構20、折り畳み式アーム30、昇降機構40、およびセンサーに電気的に接続され、コマンド命令を受信し、ロボットアシスタント100を制御してタスクを実行するように構成される。ロボットアシスタントの動き/動作に応じて制御システム70からコマンド命令を受信するか、または制御システム70が無線または有線接続またはディスプレイ82のGUIを介してメインコンピュータからコマンド命令を受信してもよい。このコマンド命令に応答して、制御システム70は車輪付きベース10の動きを制御し、1つまたは複数の引出し21を開閉し、折り畳み式アーム30およびEOAT50の動きを駆動して決定された位置から外部物体をピックアップし、決定された位置に外部物体を入れ、引出し機構20を制御して1つまたは複数の引出し21を駆動する。制御システム70のさらなる説明は以下に提供される。決定された位置は、完全に開かれた1つまたは複数の引出し内の位置であってもよい。
【0042】
一例では、車輪付きベース10は差動駆動プラットホームである。図4を参照すると、一実施例では、車輪付きベース10は、独立して駆動される2つの駆動輪機構11と、2つのキャスター機構13と、を含む。2つの駆動輪機構11は、互いに離間して車輪付きベース10の対向側に配置され、それらの回転軸は互いに整列して車輪付きベース10の幅方向に沿って延びる。2つのキャスター機構13はそれぞれ車輪付きベース10の長さ方向の対向する両端の近くに配置される。なお、駆動輪機構11およびキャスター機構13の数および配置は、実際の必要に応じて変更できることに留意されたい。例えば、図10Aに示すような特定の実施例では、2つの駆動輪機構11と2つのキャスター機構13はそれぞれ車輪付きベース10の四隅に配置することができる。図10Bに示すようなさらに別の実施例では、2つの駆動輪機構11は、図4の一実施例と同様の形態で配置されることができ、4つのキャスター機構13はそれぞれ車輪付きベース10の四隅に配置されてもよい。
【0043】
図4および図5を参照すると、一実施例では、車輪付きベース10は、ベース本体12を含み、前記ベース本体は、互いに離間して連結された上部部材121および下部部材122を含む。一実施例では、上部部材121は長方形のフレームの形態であり、互いに連結された複数のロッドを含む。下部部材122は、互いに連結された複数の外部ロッド123、2つの内部ロッド124および4つの連結ロッド125を含む。2つの内部ロッド124は、外部ロッド123によって限定された空間に収容され、ベース本体12の長さ方向に沿って延びる。各内部ロッド124の対向する端部はそれぞれベース本体12の対向する端部で外部ロッド123に連結される。第1対の連結ロッド125は、ベース本体12の一側で1つの内部ロッド124および外部ロッド123に連結されて1つの駆動輪機構11を収容するための空間を規定する。第2対の連結ロッド125は、ベース本体12の対向側で他の内部ロッド124および外部ロッド123に連結され、これらにより他の駆動輪機構11を収容するための空間を規定する。なお、連結ロッド125は、支持および配置を提供し、それらの数は実際の必要に応じて調節できることを理解されたい。
【0044】
一実施例では、一方の駆動輪機構11は、第1対の連結ロッド125および1つの内部ロッド124に連結され、他方の駆動輪機構11は、第2対の連結ロッド125および他の内部ロッド124に連結される。キャスター13は、内部ロッド124に連結され、ベース本体12の対向する縦方向端部の近くに位置する。
【0045】
図5および図6を参照すると、一実施例では、各駆動輪機構11は、スプリングおよび振動減衰器のサスペンション機構110と、サスペンション機構110に連結された車輪111と、を含む。一実施例では、モーターを車輪111内に配置して車輪111を回転駆動するように構成されてもよい。サスペンション機構110は、各車輪111にベース本体12に対して僅かに上下に動く自由を与え、床とエレベーターとの間の隙間および他の小さな突起または隙間をスムーズに通過できるようにする。一実施例では、サスペンション機構110は、一対の連結ロッド125および1つの内部ロッド124に固定されるハウジング1102と、ハウジング1102に固定される固定部材113と、摺動部材112と、固定部材113に対する摺動部材112の上下移動を実現する2つの直線摺動軸受114と、固定部材113に固定される複数のダンパー115と、を含む。他の実施例では、駆動輪を空気入りタイヤに交換するか、または駆動輪のタイヤ材料を調節することによってダンピング性能を実現することができる。
【0046】
図5および図6を参照すると、ハウジング1102は、サスペンション機構110の構成要素を収容する構造である。一実施例では、固定部材113は、平板であり、ハウジング1102に固定されると実質的に水平である。摺動部材112は、本体116と、カバー118と、支柱117と、を含み、支柱117の対向する端部はそれぞれ本体116およびカバー118に固定される。一実施例では、本体116は直線摺動軸受114を介してハウジング1102に連結される。本体116は、基部1161と、基部1161の対向する端部から突出した2つの側壁1162と、基部1161の下側から突出した車輪連結部1163と、を含む。支柱117の下端は基部1161に固定される。各摺動軸受114は、スライドレール1141と、スライドレール1141でスライド可能なスライダ1142と、を含む。スライドレール1141は、ハウジング1102に固定され、実質的に垂直方向に延びる。側壁1162は、スライダ1142にそれぞれ固定され、これにより、本体116はスライダ1142と共に実質的に垂直方向に移動することができる。一実施例では、車輪111は車輪連結部1163に固定することができる。
【0047】
図6を参照すると、支柱117は、本体116に実質的に垂直であり、固定部材113における貫通孔を通過し、これは支柱117が本体116と共に垂直方向に移動するように許容する。カバー118は支柱117の上端に固定された平らなシートであり、カバー118と本体116は固定部材113の反対側に位置する。ダンパー115は、既知の内部スプリングの振動減衰器であってもよい。ここでは説明しない。それぞれは、中空のチューブ1151と、スプリングが取り付けられたロッド1152と、を含み、当該ロッド1152は部分的にチューブ1151に収容され、チューブ1151に対してスライド可能である。ロッド1151は、チューブ1151内に移動し、スプリングを圧縮して衝撃を吸収し、スプリングの押し付けの下で正常位置に戻ることができる。一実施例では、4つのダンパー115は固定部材113に固定され、2つのダンパー115のロッド1151は本体116に当接され、他の2つのダンパー115のロッドはカバー118に当接される。なお、駆動輪機構11は、1つまたは複数のスプリングをさらに含んでもよいことに留意されたい。スプリングは地面の凹凸に応じて中立位置に戻り、ダンパー115は動きを滑らかにし、駆動輪機構11およびスプリングの動きによる共振効果を制限する。
【0048】
図5および図7を参照すると、一実施例では、各キャスター機構13は、スプリングおよび振動減衰器のサスペンション機構130と、サスペンション機構130の底部に連結され、実質的に垂直な軸線を中心に回転可能な車輪連結部材132および車輪131と、を含む。車輪131は、車輪連結部材132に連結され、実質的に水平な軸線を中心に回転可能である。このような構成により、車輪131は2つの自由度を有し、これに伴い、それ自体を進行方向に整列させることができる。
【0049】
図5および図7を参照すると、一実施例では、サスペンション機構130はサスペンション機構130の他の構成要素を収容するハウジング1301(図5)を含む。サスペンション機構130は、中空のチューブ133と、可動部材134と、複数のダンパー137と、をさらに含む。中空のチューブ133は、筒部1331と、筒部1331の上端に形成され、筒部1331の軸方向に沿って延びるシート1332と、を含む。シート1332はハウジング1301に固定される。
【0050】
図7に示すように、可動部材134は、チューブ133を貫通してスプリングに連結され付勢するロッド1341と、それぞれロッド1341の対向する端部に連結された連結プレート1342およびシート136と、を含む。ロッド1341は、垂直方向に沿ってスライド可能であり、摺動軸受139を介して筒部1331に移動可能に連結される。摺動軸受139はチューブ133のシート1332に固定される。連結プレート1342は車輪連結部材132に連結される。ロッド1341は、チューブ133に対して移動可能であり、スプリングを圧縮して衝撃を吸収し、スプリングによって押されると正常位置に戻る。
【0051】
一実施例では、図7に示すように、4つのダンパー137がシート1332に固定され、ダンパー115と同じ構造を有する。2つのダンパー137のロッドはシート136に当接され、他の2つのダンパー137のロッドは連結プレート1342から突出した2つのブロック138に当接して双方向のダンピング性能を実現する。なお、2つのブロック138を省略することができ、他の2つのダンパー137のロッドは連結プレート1342と直接接触できることに留意されたい。このような構成により、ダンパー137は、床とエレベーターとの間の隙間および他の小さな突起または隙間によって車輪131に加えられる衝撃および振動を吸収することができる。なお、一対のダンパーまたは1つのダンパーを使用してサスペンション機構130を修正することによって一方向のダンピング性能を提供できることに留意されたい。
【0052】
図5図8Aおよび図8Bを参照すると、一実施例では、ロボットアシスタント100は車輪付きベース10に連結される複数の作動足15をさらに含む。一実施例では、4つの作動足15は車輪付きベース10の四隅に配置される。各作動足15は、車輪付きベース10の上部部材121に固定されるモーター152(例えば、リニアモーター)と、リニアモーターによって駆動されて収縮位置(図8A参照)と伸張位置(図8B参照)との間で移動可能な支脚151と、を含む。車輪付きベース10の移動中、支脚151はその収縮位置に移動して車輪111および131が支持表面(例えば、床)と接触できるように制御される。操作タスク(manipulation task)において、アーム30が展開され(伸張位置にあるか、または伸張中に)、引出し21が開かれると、支脚151はその伸張位置に移動して支持表面に接触するように制御され、車輪111および131は、支持表面とは接触しておらず、サスペンション機構を全体システムから離隔して、より正確な把持と操作性能を実現する。支脚151は、車輪111および131よりも大きな支持多角形を提供できるので、ロボットアシスタント100は、向上した静的安定性を有することができ、これは操作タスク中の重要な要素である。また、支脚151は、サスペンションの影響を排除し、床へのより強い連結を提供してアームベースがその動きによって動き回らないようにする。
【0053】
図9を参照すると、作動足15の配置は折り畳み式アーム30の到達可能性の増加を容易にすることもできる。具体的に、作動足15を含む車輪付きベース10は作動足のない車輪付きベースに比べて、折り畳み式アーム30が安定して到達可能な領域を大幅に増加させ、これは作動足のない車輪付きベースおよび作動足15を含む車輪付きベース10を取り囲む曲線(図9のAおよびBを参照)で表示される。なお、一実施例では、車輪付きベース10に任意のサスペンションシステムが含まれない場合、4つの作動足15を省略できることに留意されたい。
【0054】
図11を参照すると、引出し機構20は引出し21を取り囲むハウジング22を含む。一実施例では、ハウジング22は本体223、底部プレート221および上部プレート222を含む。底部プレート221および上部プレート222はフレーム223の底部および上部に固定される。一実施例では、本体223は、複数の連結ロッド2232を介して互いに連結された複数の実質的に垂直なロッド2231を含むフレームである。底部プレート221および上部プレート222は連結ロッド2232に固定される。別の実施例では、垂直なロッド2231は底部プレート221および上部プレート222に直接連結されてもよい。他の実施例では、ハウジング22は曲げられた金属プレートで製造されてもよい。また、他の実施例では、本体223は、金属プレートに固定されて剛性を損なうことなく軽減する、曲げられた金属シートリーブで製造された構造フレームであってもよい。
【0055】
図11を参照すると、引出し21はハウジング22に対してスライド可能である。一実施例では、ハウジング22は、垂直なロッド2231に固定されて引出し21を支持する複数のスライドレール224をさらに含む。各スライドレール224は、実質的に水平方向で延びており、スライドレール224の長さ方向に沿って延びる溝2241を規定する。従って、各引出し21は、本体211と、本体211の対向側にある2つのスライダ212と、を含む。スライダ212は、実質的に水平な方向で延在し、2つのスライドレール224の溝2241にそれぞれ組み立てられてスライド可能である。このような構成により、各引出し21は、開位置(図11参照)と閉位置(図1参照)との間でハウジング22に対してスライド可能である。
【0056】
図11を参照すると、一実施例では、引出し機構20は引出し21を開位置と閉位置との間でスライドさせるようにそれぞれ駆動するための複数の駆動装置23をさらに含む。各駆動装置23は、垂直なロッド2231のうちの一つに固定されるモーター231と、モーター231からの回転モーションをスライドモーションに変換するための伝動装置232と、を含む。一実施例では、伝動装置232は、モーター231の出力軸に固定される出力ギア233と、引出し21の本体211の一側に固定されるラック234と、を含む。ラック234は、本体211の同じ側に固定されて出力ギア233と噛み合うスライダ212と実質的に平行である。出力ギア233がモーター231の出力軸と共に回転すると、ラック234が移動し、対応する引出し21を駆動してハウジング22に対してスライドさせる。
【0057】
図11を参照すると、一実施例では、引出し機構20は、各引出し21に使用される2つの位置制限スイッチ24をさらに含む。2つの位置制限スイッチ24はそれぞれ2つの垂直なロッド2231に固定されて、棚234または1つの引出し21の本体211に固定されて一緒にスライド可能なブロック25と接触することができる。位置制限スイッチ24のうちの一方がブロック25と接触すると、位置制限スイッチ24は信号をモーターコントローラーに送信し、モーターコントローラーはモーター231の回転を停止させる。従って、引出し21の移動が停止する。このような構成により、引出し21の移動限界を監視することができ、引出し21の移動限界に達すると、モーター231の電源が遮断される。なお、実際の必要に応じて、物理的接触なしで活性化することができる他のタイプの位置制限スイッチを使用できることに留意されたい。他の実施例では、駆動装置の駆動モーターは、引出しの正確な位置を決定するために取り付けられたアブソリュートエンコーダーを備えてもよい。
【0058】
一実施例では、力検知抵抗器や触覚センサーなどの衝突検知センサーは、ロボットアシスタント100、例えば、引出し21の前面213および内面214に配置されてもよい。衝突が検知された場合(例えば、誰かがロボットアシスタント100に衝突した場合)、衝突検知センサーはモーターコントローラーに信号を送信してモーター231の電源を遮断することができ、これはモーター231が損傷するのを防止することができる。また、距離センサーやセーフティライトカーテンなどの他の非接触センサーは、引出し21に配置されて衝突の可能性を決定することができ、十分な開口空間がある場合にのみ引出し21を開くようにする。好ましくは、モーターの電流を感知し、閾値を設定して、引出しを開く動作中に衝突が検知されたかどうかを決定することによって衝突を検知することができる。一方、引出し21が閉まっている場合、人の指や引出し21に正しく挿入されなかった物体による阻害を検知することができる。この場合、引出し21の動きを停止することができる。
【0059】
図12は、別の実施例による引出し機構20aを示しており、引出し機構20aがハウジング22aおよび駆動装置23aを含む点で引出し機構20aとは異なる。ハウジング22aは2つの側面プレート221aを含み、ここで引出し21は上述と同様の機構で側面プレート221aに連結され、側面プレート221aに対してスライド可能である。各駆動装置23aはモーター231aおよび伝動装置232aを含み、伝動装置232aは、同期ベルト233aと、側面プレート221aに回転可能に連結されたプーリ234aと、および1つの引出し21に固定され、プーリ234aが位置する側面プレート221aに限定された縦方向溝222aから延びるラック235aと、を含む。同期ベルト233aは、プーリ234aとモーター231aの出力軸に連結された出力ギアとを取り囲み、ラック235aと噛み合っている。同期ベルト233aは、プーリ234aとモーター231aの出力軸に連結された出力ギアとを取り囲むように配置され、ラック235aと噛み合っている。出力ギアが回転すると、同期ベルト233aが移動し、ラック235aを駆動して移動させる。次に、引出し21は、開位置と閉位置との間でハウジング22aに対してスライドする。なお、引出し21を移動させるための駆動機構は、上記の実施例に限定されず、実際の必要に応じて変更できることに留意されたい。例えば、リニアアクチュエーターは開位置と閉位置との間で引出し21を移動するために使用されることができる。
【0060】
なお、引出し21を駆動するための駆動機構は、図11および図12に示す実施例に限定されず、実際の必要に応じて変更できることに留意されたい。一例では、ピストン状のリニアアクチュエーターを使用して各引出し21を駆動することができる。前記リニアアクチュエーターは引出し21の下に配置することができ、ここで引出し21はリニアアクチュエーターの軸に固定される。引出し21はリニアアクチュエーターの軸と共にスライドすることができる。別の例では、ステップモーターは各引出し21を駆動するために使用することができる。ステップモーターは、リードスクリューと、リードスクリューに沿ってスライド可能なナットと、を含んでもよい。引出し21は、ナットに固定され、リードスクリューが回転すると、リードスクリューに沿ってスライドすることができる。また、別の例では、駆動機構は、モーターと、モーターの出力軸に固定された摩擦車と、を含むことができる。摩擦車は、各引出し21の下に配置され、引出し21の底面と接触し続けることができる。摩擦車が回転すると、摩擦車は引出し21を駆動してハウジング22に対してスライドさせることができる。
【0061】
一実施例では、図11および図12に示すように、3つの引出し21が引出し機構20のハウジング内で互いに垂直方向に沿って積み重ねられる。ただし、引出し21の数および配置は実際の必要に応じて調整することができる。例えば、引出し機構20は、引出し21を1つだけ含んでもよいし、並んで配置された2つの引出し21を含んでもよい。
【0062】
一実施例では、引出し機構20はID検査モジュールをさらに含んでもよい。一例では、ID検査モジュールは、パスワードの入力を許容するキーボード202(図11)、カードリーダー、顔認識カメラなどを含んでもよい。ID検査モジュールを使用すると、ロボットアシスタントは承認された担当者が保管された物品と接触するように許容することができる。
【0063】
図13を参照すると、一実施例では、折り畳み式アーム30は単軸回転タイプジョイントを有する多関節ジブである。回転ジョイントチェーンは、折り畳み式アームの動きに大きな自由度と柔軟性を提供する。なお、折り畳み式アーム30の構造は必要に応じて変更できることに留意されたい。例えば、好ましい実施例では、折り畳み式アーム30は、選択的に適合する多関節ロボットアーム(SCARA)であってもよい。
【0064】
一実施例では、折り畳み式アーム30は、第1リンク31、第2リンク32、第3リンク33、第4リンク34、第5リンク35、および第6リンク36を含む。折り畳み式アーム30は、上記のリンクに回転運動を提供するための6個の回転ジョイント37をさらに含む。一実施例では、第2リンク32、第3リンク33、第4リンク34、第5リンク35、および第6リンク36は、回転ジョイント37中の5個(「第1回転ジョイント」)を介して回転可能に互いに直列に連結される。第1リンク31は、実質的に垂直に、残りの回転ジョイント(「第2回転ジョイント37」)を介して引出し機構20の上部に固定されるベース301に回転可能に連結される。別の実施例では、ベース301を省略してもよく、第1リンク31は引出し機構20の上部に直接回転可能に連結される。第1リンク31は引出し機構20の上部に対して実質的に垂直な軸線を中心に回転可能である。第1リンク31は、中空であり、第2回転ジョイント37を収容することができる。
【0065】
一実施例では、第1リンク31は、垂直本体311と、垂直本体311の側面から突出する連結部312と、を含む。第2リンク32は、連結部312に回転可能に連結され、垂直本体311に実質的に垂直な軸線を中心に回転可能である。一実施例では、第2リンク32は細長い本体321と細長い本体321の第1端部に連結された連結部322と、を含む。第1リンク31の連結部312および第2リンク32の連結部322のうちの一方は1つの第1回転ジョイント37を収容され、第1リンク31の連結部312および第2リンク32の連結部322のうちの他方は第1回転ジョイント37の出力軸に固定され、第2リンク32を第1リンク31に回転可能に連結する。一実施例では、第2リンク32は細長い本体321に実質的に垂直な軸線を中心に回転可能である。
【0066】
一実施例では、第3リンク33の一端は第2リンク32の細長い本体321の連結部322に対向する第2端部に固定される。
【0067】
一実施例では、第4リンク34は、湾曲本体341と、湾曲本体341の一端に連結された連結部342と、を含む。第3リンク33および湾曲本体341のうちの一方は1つの第1回転ジョイント37を収容し、第3リンク33および湾曲本体341のうちの他方は第1回転ジョイント37の出力軸に固定され、第4リンク34を第3リンク33に回転可能に連結する。第4リンク34は、第2リンク32の細長い本体321の長さ方向に実質的に垂直な軸線を中心に回転可能である。図14Aおよび図14Bに示すように、湾曲本体341の配置により、EOAT、第6リンク36、第5リンク35および第4リンク34は、第1リンク31および第2リンク32の細長い本体321に隣接する位置に移動することができる。その結果、折り畳み式アーム30全体を作動させて、コンパクトでほぼ平らな状態で引出し機構20の上部に折り畳むことができる。これにより、水平方向と垂直方向の両方で大切な空間を節約する。上記のように、折り畳み式アーム30が折り畳み位置にあるときに、バイザー/保護カバーは折り畳み式アーム30を部分的または完全に取り囲むために使用することができる。バイザー/保護カバーは、開位置から閉位置まで収縮することができる。
【0068】
一実施例では、第5リンク35は、実質的にU字型であり、基部351と、基部351に連結された2つの側壁352と、を含む。第4リンク34の連結部342は1つの第1回転ジョイント37を収容し、基部351は第1回転ジョイント37の出力軸に固定され、第5リンク35を第4リンク34に回転可能に連結する。第5リンク35は、第4リンク34の回転軸線に実質的に垂直な軸線を中心に回転可能である。
【0069】
一実施例では、第6リンク36は、ベース351と2つの側壁352により画定される空間に部分的に収容される。第6リンク36は、1つの第1回転ジョイント37を介して側壁352に回転可能に連結される。第6リンク36は、第5リンク35の回転軸線に実質的に垂直な軸線を中心に回転可能である。第6リンク36には、1つの第1回転ジョイント37がさらに収容され、当該第1回転ジョイント37はEOAT50を第6リンク36に回転可能に連結する。EOAT50は、第6リンク36の回転軸に実質的に垂直な軸線を中心に回転可能である。EOAT50を第6リンク36に連結する回転ジョイント37と、第6リンク36を第5リンク35に連結する回転ジョイント37と、第5リンク35を第4リンク34に連結する回転ジョイント37とは、ボールジョイントを形成する。
【0070】
一実施例では、各回転ジョイント37は、モーター、エンコーダー、モーターコントローラー、伝動装置、およびブレーキを含むモーターアセンブリーであってもよい。エンコーダーは、モーターの出力軸の速度および/または位置を追跡することにより、閉ループフィードバック信号を提供する。伝動装置は、モーターからモーターアセンブリーによって駆動される1つのリンクにモーションを伝達するように構成される。ブレーキは、モーターアセンブリーによって駆動されるリンクをその場でロックして、電源故障または他の技術的障害の場合に、折り畳み式アーム30がその場でロックできるように構成される。なお、ロボットアーム用の回転ジョイントは十分に開発されており、回転ジョイント37の構成は、実際の必要に応じて変更できることに留意されたい。
【0071】
なお、リンクおよび回転ジョイントの数、長さ、および配置は、実際の必要に応じて変更できることに留意されたい。例えば、折り畳み式アーム30は、より多くまたはより少ない自由度を有し、これは、より多くまたはより少ないリンクおよび回転ジョイントを必要とし得る。具体的に、折り畳み式アーム30は、N個のリンクと、M個の第1回転ジョイントと、1つの第2回転ジョイントと、を含む。N個のリンクは、M個の第1回転ジョイントを介して回転可能に互いに直列に連結され、N個のリンクのうち最初のリンクは第2回転ジョイントを介して引出し機構20に回転可能に連結され、ここでNは2より大きい自然数で、N=M+1である。
【0072】
各回転ジョイント37は、独立して制御することができ、これにより、折り畳み式アーム30は物体操作タスク中に様々な決定された姿勢を取るようにする。例えば、図14A図14Dは、最初のコンパクトで実質的に平らな状態(図14Aおよび図14B)、中間状態(図14C)、および決定された物体200を把持する最終姿勢(図14D)を含む、ピッキング作業中の折り畳み式アーム30の状態変化を示す。最初のコンパクトで実質的に平らな状態では、折り畳み式アーム30はバイザー/保護カバーのエッジと面一であってもよいし、保護カバーが完全に収縮してもよい。これにより、折り畳み式アーム30の最大限の作業到達可能性を実現することができる。
【0073】
図15A図15Cを参照すると、一実施例では、EOAT50bは、2つの平行顎(parallel-jaw)のフィンガー52bおよび53bと自己適応親指54bとを含む。このような構成により、2つの平行顎のフィンガー52bおよび53bのみを使用して正確なピンチ把持が可能になるだけでなく、親指54bが噛み合わされ、フィンガー52bおよび53bが互いに結合または分離されるときに、より大きくて重い物体を把持することが可能になる。具体的に、EOAT50bは、フィンガー52bおよび53bと親指54bが連結されるベース51bをさらに含む。ベース51bは、底部プレート55bと、互いに離間して底部プレート55bに固定されるフロントカバー56bおよびリアカバー58bと、フロントカバー56bとリアカバー58bとの間に位置して固定される内部支持部材57bと、を含む。一実施例では、フィンガー52bおよび53bは同じ構造を有し、各フィンガー52bおよび53bとベース51bは4リンク機構を形成する。具体的に、各フィンガー52bおよび53bは、クランク521b、ロッカー522b、およびリンク523bを含む。
【0074】
図15Bを参照すると、一実施形態では、クランク521bは、互いに離間して平行な2つのロッド527bを含む。2つのロッド527bは、実質的に同じ構成を有し、これらの第1端部は軸528bを介して連結される。2つのロッド527bは、その第2端部がフロントカバー56bおよびリアカバー58bにそれぞれ回転可能に連結され、2つのロッド527bが1つの共通軸線を中心に回転することを可能にする。一実施例では、1つの軸525bがフロントカバー56bの本体562bに画定された各貫通孔561bに組み立てられる。他のロッド527bも同様の方式でリアカバー58bに回転可能に連結され、ここでは繰り返して説明しない。ロッカー522bは、その対向する端部が内部支持部材57bおよびリンク523bにそれぞれ回転可能に連結される。一実施例では、内部支持部材57bは、本体571bと、本体571bの上部に突出する2つのスペーサー576bと、を含む。各ロッカー522bは、軸524bを介してスペーサー576bに回転可能に連結され、前記軸524bの対向する端部はロッカー522bの外部に延びてスペーサー576bに画定された貫通孔574bに収容される。
【0075】
図15Bを参照すると、一実施形態では、リンク523bは、連結ロッド529bおよび指先530bを含む。連結ロッド529bの一端は軸528bを介して2つのロッド527bに回転可能に連結され、連結ロッド529bの他端はロッカー522bに回転可能に連結される。指先530bは連結ロッド529bの他端に固定される。一実施例では、1つのロッド527bはモーター515bにより駆動されるとき回転し、リンク523bおよびロッカー522bが回転するように駆動する。その後、2つのフィンガー52bおよび53bのリンク523bは互いに近づく/離れるように移動することができ、これにより、リンク523bが物体を把持/解放することが可能になる。この実施例では、クランク521b、ロッカー522bおよびリンク523bは、リンク523bが互いに近づく/離れるように移動中に互いに実質的に平行のままであるように構成される。一実施例では、指先530bはそれぞれ、ハンドルを引くこと、ループ特徴を使用して物体を持ち上げるか、または物体を再配置することなど、非把持(non-prehensile)のタスクを可能にする湾曲した構造を有する。
【0076】
図15Bを参照すると、一実施形態では、モーター515bは内部支持部材57bの本体571bに画定された空間573bに収容される。伝動機構は、モーター515bからフィンガー52bおよび53bの2つのロッド527bにモーションを伝達する。電動機構は、モーター515bの出力軸に固定された出力ギア516bと、軸525bを中心に回転可能に配置された2つのギア526bと、を含む。2つのロッド527bは2つのギア526bに固定される。一実施例では、2つのギア526bのうちの一つは、他のギア526bと噛み合うビッグギアと出力ギア516bと噛み合うスモールギアとを含む段付きギアである。出力ギア516bが回転すると、スモールギアが駆動されて回転し、ビッグギアが同期して回転し、他のギア526bを駆動して回転させる。次に、2つのギア526はフィンガー52bおよび53bの2つのロッド527bが回転するように駆動する。一実施例では、EOAT50bは内部支持部材57bの本体571bに画定された2つの貫通孔575bを回転可能に通過する2つの軸531bをさらに含むことができる。フィンガー52bの2つのロッド527bは1つの軸531bの対向する端部にそれぞれ固定され、フィンガー53bの2つのロッド527bは他の軸531bの対向する端部にそれぞれ固定される。
【0077】
図15Bを参照すると、一実施形態では、親指54bは、ベース546b、モーターアセンブリー545b、クランク543b、リンク541b、およびロッカー542bを含む。ベース546bは底部プレート55bに連結される。クランク543bの下端はモーターアセンブリー545bの出力軸に固定され、クランク543bの上端はリンク541bの下端に回転可能に連結される。ロッカー542bの下端はモーターアセンブリー545bの上部に固定された連結部材544bに回転可能に連結される。ロッカー542bの上端はリンク541bに回転可能に連結される。クランク543bは、モーターアセンブリー545bにより駆動されると回転し、リンク541bを駆動して2つのフィンガー52bおよび53bに近づく/離れるように回転させる。次いで、親指54bは、フィンガー52bおよび53bと協働してより大きくて重い物体を把持することができる。
【0078】
図15Bを参照すると、一実施形態では、親指54bは底部プレート55bに回転可能に連結される。フロントカバー56bの本体562bは下隅に空間563bを規定する。空間563bの上面564b、内部支持部材57bの底面、およびリアカバー58bの底面は互いにほぼ面一である。これらの面は底部プレート55bに面しており、これらの面と底部プレート55bとの間に収容空間が形成され、親指54bのベース546bが収容空間で回転するように許容する。具体的に、ベース546bは、収容空間に部分的に収容され、軸548bを介して底部プレート55bに回転可能に連結される。軸548bの下端は底部プレート55bに画定された貫通孔551bに回転可能に組み立てられ、軸548bの上端は内部支持部材57bに画定された孔に回転可能に収容される。軸548bは実質的に垂直であり、ベース546bは垂直軸線を中心に回転可能である。図15Aは親指54bが第1位置にあることを示し、図15Cは親指54bが第1位置から第2位置に回転してフィンガー52bおよび53bの操作のための空間を解放することを示す。一実施例では、ロッカー542bはスプリングが取り付けられた2リンク部材である。具体的に、ロッカー542bは、第1部材5421bと、第1部材5421bに回転可能に連結される第2部材5422bと、を含む。ロッカー542bは、物体と接触すると、受動的に再構成する。物体が解放された後、第1部材5421bおよび第2部材5422bはスプリングによって元の位置に戻る。この構成により、親指54bは様々な位置に回転して異なる形状と大きさを有する異なる物体に適応でき、EOAT50bが異なる物体を把持するのに大きい汎用性を有するようにする。一実施例では、センサーは、別途の把持の堅牢性(Robustness)のために、フィンガー52b、53bおよび54bに埋め込んでもよい。
【0079】
図15Bを参照すると、一実施例では、EOAT50bは、内部支持部材57bに固定され、内部支持部材57bに画定された空間572bに収容されるモーター511bをさらに含む。モーター511bからの動きは、モーター511bの出力軸に固定された出力ギア512b、フロントカバー56bに固定されたブロック514bに回転可能に連結されると共に出力ギア512bと噛み合う中間ギア513b、軸548bに固定されると共に中間ギア513bと噛み合うギア547bを介して親指54bのベース546に伝達される。
【0080】
図16A図16Cを参照すると、一実施例では、EOAT50cは、ベース51cと、ベース541cに回転可能に連結された3つのフィンガー52cと、を含む。ベース51cは、底部プレート511c、中間プレート512cおよび上部プレート513cを含み、底部プレート511c、中間プレート512cおよび上部プレート513cは、垂直方向で互いに離間され、複数の垂直なロッド514cにより連結される。EOAT50cは、底部プレート511cおよび上部プレート513cに固定された支柱56cに連結されたリニアプラットホーム55cをさらに含む。支柱56cは実質的に垂直であり、リニアプラットホーム55cは支柱56cに沿ってスライド可能である。リニアプラットホーム55cは中間プレート512cと上部プレート513cとの間に配置される。EOAT50cは、3つのリンク(54c)をさらに含み、各リンクは、リニアプラットホーム55cおよび1つのフィンガー52cに回転可能に連結される対向する端部を含む。各フィンガー52cはさらに上部プレート513cに回転可能に連結される。
【0081】
図16Aを参照すると、リニアプラットホーム55cが上下に移動すると、フィンガー52cが互いに近づく/離れる方向に回転するように駆動され、フィンガー52cが物体を把持/解放することができる。一実施例では、EOAT50cは、底部プレート511cと中間プレート512cとの間に配置されたリニアモーター53cをさらに含む。リニアプラットホーム55cはリニアモーター53cの出力軸に連結されたスライダに固定される。リニアモーター53cの出力軸が回転すると、リニアプラットホーム55cはスライダと共に上下に移動する。一実施例では、フィンガー52cは、弾性材料で作られ、より確実に把持するために受動的に変形され、小さい物体を覆ってもよい。一実施例では、センサーはフィンガー52cに埋め込まれてもよい。全体の構造に弾性材料を使用することで、堅固性を増加させることができる。
【0082】
図17A図17Cを参照すると、一実施例では、EOAT50dは、ベース51dと、ベース51dに連結された2つのフィンガー52dと、を含む。EOAT50dは各フィンガー52dに使用されるクランク54dおよびロッカー53dをさらに含む。ベース51dはフロントカバー511d、底部プレート514dおよびリアカバー515dを含む。フロントカバー511dは底部プレート514dに固定され、リアカバー515dはフロントカバー511dに固定される。一実施例では、各クランク54dは互いに平行な2つのロッドの形態であり、軸541dの対向する端部に固定され、前記軸541dはフロントカバー511dにおける貫通孔512dおよびリアカバー515dにおける貫通孔(不図示)から延出する。各クランク54dの2つのロッドは1つのフィンガー52dに回転可能に連結される。
【0083】
図17Bを参照すると、一実施例では、各ロッカー53dは互いに平行な2つのロッドの形態であり、軸531dの対向する端部に固定され、前記軸531dはフロントカバー511dにおける貫通孔513dおよびリアカバー515dにおける貫通孔(不図示)から延出する。各ロッカー53dの2つのロッドは1つのフィンガー52dに回転可能に連結される。この構成により、各フィンガー52d、フィンガー52dのクランク54dおよびロッカー53d、並びに基部51dは4リンク機構を複合的に形成する。2つのフィンガー52dのクランク54dが回転すると、2つのフィンガー52dは互いに近づく/離れるように移動し、2つのフィンガー52dが物体を把持/解放するようにする。一実施例では、各フィンガー52dおよびそのクランク54dとロッカー53dは、2つのフィンガー52dの移動中に2つのフィンガー52dの把持面521dが互いに平行のままであるように構成される。一実施例では、フィンガー52dは、弾性材料で作られ、より確実に把持するために受動的に変形され、小さい物体を覆ってもよい。一実施例では、別途の堅牢性を取得するために、センサーはフィンガー52dに埋め込んでもよい。
【0084】
図17Bを参照すると、一実施例では、EOAT50dは固定部材56dによってリアカバー515dに固定されたモーター55dをさらに含む。モーター55dは、2つのフィンガー52dのクランク54dを駆動して回転させるように構成される。一実施例では、モーター55dはモーター55dの出力軸に固定されたウォーム551dを含む。EOAT50dは、軸541dに固定され、ウォーム551dと噛み合う2つのウォームギア542をさらに含み、これにより、回転モーションがモーター55dの出力軸からクランク54dに伝達される。
【0085】
図17Dは、一実施例によるEOAT50dに類似するEOAT50d’を示す。EOAT50d’は、ベース51d’、2つのフィンガー52d’、各フィンガー52d’のクランク54d’およびロッカーを含む。EOAT50d’は、2つのクランク54d’の回転を駆動するためのモーター55d’をさらに含む。EOAT50d’の構造と操作方式はEOAT50dと類似である。EOAT50d’とEOAT50dは、ロッカー53d’が単一のロッドの形態である点で異なる。EOAT50d’とEOAT50dは、湾曲した指先が様々な非把持(non-prehensile)タスクを達成できる点で異なる。
【0086】
図18A図18Cを参照すると、一実施例では、EOAT50eは、ベース51e、第1フィンガー52e、第2フィンガー53e、第1フィンガー52eを駆動するための第1モーター55e、および第2フィンガー53eを駆動するための第2モーター54eを含む。ベース51eは、互いに離間し、複数の支柱513により固定される底部プレート511eと上部プレート512eを含む。一実施例では、第1フィンガー52eは、上部プレート512eの上部に固定される連結ベース521eと、連結ベース521eに回転可能に連結される第1ナックル522eと、第1ナックル522eの上端に回転可能に連結される第2ナックル523eと、を含む。第1ナックル522eは、並んで配置され、互いに連結された2つのハーフナックル5221eを含む。EOAT50eは第1ハーフ ナックル5221eと連結ベース521eに連結されたプーリ504との間に配置された3つのプーリ501e、502eおよび503eをさらに含む。プーリ501eは第2ナックル523eに隣接して配置され、比較的大きな直径を有するプーリ503eは連結ベース521eに隣接して配置され、プーリ502eはプーリ501eとプーリ503eとの間に配置される。なお、滑車の数、サイズおよび配置は、実際の必要に応じて調整できることに留意されたい。
【0087】
図18Bを参照すると、EOAT50eは第1テンドン(tendon)56eをさらに含む。テンドン56eの上端は第2ナックル523eに固定され、テンドン56eはプーリ501e、502e、503eおよび504eに順次巻き掛けられる。次に、テンドン56eは上部プレート512eにおける貫通孔を通過してモーター55eの出力軸に固定された車輪551eに巻き付けられる。一実施例では、第1フィンガー52eおよび第2フィンガー53eは、最初は互いに接触している。決定された物体を把持している間、車輪551eはモーター55eの出力軸と共に回転し、テンドン56eを引っ張る。テンドン56eが第2ナックル523eを引っ張ると、第2ナックル523eは第1ナックル522eに対して回転し、第1ナックル522eは第2フィンガー53eから離れるように回転する。一実施例では、EOAT50eは、第2ナックル523eと第1ナックル522eとの間に配置された引張スプリング58eをさらに含む。テンドン56eが第2ナックル523eを引っ張って動くと、引張スプリング58eは引っ張られ、モーター55eの電源が遮断された後に第2ナックル523eが元の位置に戻るように付勢する。テンドン56eはナックル522eと523eを通過して劣駆動設計で適応性の行動を実現する。同様に、第1ナックル522eと連結ベース521eとの間に引張スプリング(不図示)が配置され、前記引張スプリングはモーター55eの電源が遮断された後に第1ナックル522eが元の位置に戻るように付勢する。モーター55eの電源が遮断された後、ここでの引張スプリングはテンドン56eが引張状態を維持できるようにする。なお、ロボットへの応用でテンドンの使用は1980年代から研究されており、ここではテンドン56eについて詳しく説明しないことに留意されたい。
【0088】
図18Aおよび図18Cを参照すると、第2フィンガー53eは、上部プレート512eの上部に固定された連結ベース531eと、前記連結ベース531eに回転可能に連結されるナックル532eおよびテンドン57eと、を含む。テンドン57eの一端は、ナックル532eに固定され、連結ベース531eに回転可能に連結されたプーリ505eに巻き付けられ、上部プレート512eの貫通孔を通過してモーター54eに固定された出力軸の車輪541eに巻き付けられる。車輪541eがモーター54eの出力軸と共に回転すると、テンドン57eがナックル532eを引っ張って第1フィンガー52eから離れるように回転する。EOAT50eは、連結ベース531e間に配置された引張スプリング59eをさらに含む。テンドン56eが第2ナックル523eを引っ張って移動すると、引張スプリング58eは引っ張られ、モーター55eの電源が遮断された後、第2ナックル523eが元の位置に戻るように付勢する。他の実施例では、テンドン57eは、滑車505eに巻き付けられた同期ベルトに置き換えられてもよい。
【0089】
このような構成により、第1フィンガー52eと第2フィンガー53eを互いに離れるように制御して物体のための十分な空間を生成し、スプリングによって付勢されるときに物体と接触するように回転することができる。
【0090】
図19Aおよび図19Bを参照すると、一実施例では、EOAT50fは、ベース51fと、ベース51fに連結された2つの第1フィンガー52fおよび第2フィンガー53fと、を含む。各第1フィンガー52fは、図18Aの第1フィンガー52eと同様の方式で構造され、モーター55f上に積み重ねられる。モーター55fは、図18Aのモーター53eと同様の方式で第1フィンガー52fを駆動するように構成される。第2フィンガー53fは、図18Aの第2フィンガー53eと同様の方式で構造され、モーター56f上に積み重ねられる。モーター56fは、図18Aのモーター54eと同様の方式で第2フィンガー53fを駆動するように構成される。このような構成により、第1フィンガー52fおよび第2フィンガー53fそれぞれは互いに離れるように制御されて物体のための十分な空間を生成し、スプリングによって付勢されたときに物体と接触するように回転することができる。
【0091】
図19Bを参照すると、一実施例では、ベース51fは、第1チャンバー511fおよび第2チャンバー512fを画定して2つの第1フィンガー52fのモーター55fを収容する。EOAT50fはベース51fに画定された第3チャンバー513に収容されるモーター54fをさらに含む。モーター54fは、第2フィンガー53fを駆動してモーター56f全体が実質的に垂直軸線を中心に回転するように構成される。第2フィンガー53fは互いに離間した第1シート531fおよび第2シート532fをさらに含む。第1シート531fおよび第2シート532fは、モーター54fの底面および上面の出力軸と軸受に連結される。モーター54fが作動すると、第2フィンガー53fとモーター56f全体がベース51fに対して決定された位置まで回転することができる。このような構成により、第2フィンガー53fは様々な位置に回転して異なる形状と大きさを有する異なる物体に適応でき、EOAT50fが異なる物体を把持するのに大きい汎用性を有するようにする。フィンガー52f、53fそれぞれはモジュール式に設計され、これによりメンテナンスが単純化され、各フィンガーのパラメーター(例えば、リンクの長さまたは自由度)を修正してターゲットタスクに適合できるようにする。
【0092】
一実施例では、上記のようなEOATは、把持および操作の行動に支援を提供するために統合されたセンサーを有することができる。例えば、センサーは、より大きな3D RGBDカメラと同じ機能を達成するために、高画質2D RGBカメラと組み合わせて使用される、車輪付きベース10に使用されるセンサーと同様のIR範囲センサーを含んでもよい。実際には、ロボットアシスタント100が物体認識のための通常システムよりも高い解像度の画像を取得することが可能になる。これにより、EOATにより緊密に統合できる小型でコンパクトなカメラモジュールの使用も可能になる。その結果、EOATの全体的なサイズを最小化して、より複雑な環境で作動することができる。カメラは、さらにアクティブライティングを備えてもよい。従って、環境照明条件の変化に対するビジョンシステムの適応性がよりよくなり、カメラが最大解像度で物体の詳細をキャプチャーするのに役立つ。一実施例では、センサーは、接触を検知し、安定した把持を認識するための触覚センサーを含むことができる。触覚センサーは、曲げ歪みに応答して抵抗を変更させる抵抗式屈曲センサーであってもよく、上記のように1つまたは複数のEOATの柔らかい指先にオーバーモールドされてもよい。触覚センサーは、上記のように、1つまたは複数のEOATの柔らかいフィンガーパッドにモールドされた抵抗圧力パッドであってもよい。触覚センサーは、1つまたは複数のEOATの柔らかいフィンガーパッドの後ろに固定された機械的スイッチであってもよい。上記のように、ここでフィンガーパッドの材料の剛性は接触イベントを検知するための力閾値を決定する。これらの触覚センサーは「皮膚」として機能し、外部刺激を感知して反応することができる。
【0093】
図20を参照すると、一実施例では、ロボットアシスタント100は前記EOATに固定することができる真空モジュール510をさらに備えることができる。真空モジュール510は、ベース511、連結チューブ512および軟質ゴム、プラスチック、または弾性の吸盤513を含む。吸盤513は、押し下げることによって物体に押し付けられ、吸盤の下の空気を排出して密封を形成することによって物体に持ち上げ力を提供するように構成される。真空モジュール510は、独立型ピックアップ器具として使用されるか、または非把持(non-prehensile)(例えば、押し/引き)タスクに支援を提供して、ターゲット物体がより好ましい姿勢でEOAT50の顎(jaw)/フィンガーに把持させることができる。一実施例では、吸盤513は、ナット514を介して連結チューブ512に連結され、連結チューブ512に沿ってスライド可能である。ナット514は、連結チューブ512の周囲に配置されたスプリング515を介してベース511に連結される。吸盤513が物体に押し付けられると、ナット514がスプリング515を押して圧縮し、スプリング515が吸盤513を物体にしっかりと当接するように付勢する。
【0094】
図21A図21Dを参照すると、一実施例では、ロボットアシスタント100はカメラ61をさらに備える。カメラ61は、ロボットアシスタント100が環境を感知して折り畳み式アーム30が物体操作タスクを実行するようにガイドすることを支援する。一実施例では、ロボットアシスタントの制御システム70は、折り畳み式アーム30のN個の回転ジョイントおよびN個のリンクのうちの1つまたは複数のリンクとのヒンジを介して折り畳み式アーム30を決定された方向に向け、EOAT50がコマンド命令に応じてカメラ61からの出力に基づいて外部物体を1つまたは複数の引出し21からピックアップするか、または外部物体を1つまたは複数の引出し21に入れるようにガイドする。
【0095】
一実施例では、カメラ61は手首装着(wrist-mounted)カメラであってもよい。具体的に、図21Cに示すように、カメラ61は回転ジョイント37の出力ディスクの側面に連結され、前記回転ジョイント37は折り畳み式アーム30の第6リンク36に収容され、EOAT50と隣接し、EOAT50は回転ジョイント37の出力ディスクの端面に連結され、回転ジョイント37は第6リンク36に収容される。手首装着構造において、カメラ61は、操作システム(manipulation system)の妨害を最小限に抑えながらタスク環境の観察を可能にし、同時に総占有面積を最小限に抑える。なお、実際の必要に応じて、カメラ61は、折り畳み式アーム30でEOAT50に隣接する異なる位置に配置可能であるか、または回転可能であることに留意されたい。カメラ61の回転可能性は、EOAT50の顎/フィンガーの装着位置に関係なく、カメラが常に把持作業空間に面することを可能にする。
【0096】
手首装着設計において、回転ジョイントで終了する可能性があり、前記回転ジョイントの回転軸はEOATの「手のひら」の法線ベクトルに平行である。しかし、追加オフセットを有する取替ジョイントに設計または終了した角柱状ジョイントを考慮して、アーム作業空間のうちの特異点を最小限に抑え、上記の二重設計目標を達成できることが理解される。
【0097】
他の実施例では、カメラ61は、手持ちカメラ(camera-in-hand)または手のひらに取り付けられたカメラ(palm-mounted camera)であってもよい。このような設計において、カメラは、EOAT50の「手のひら」に配置される(すなわち、図21D)か、またはEOAT50の外面に取り付けられる(すなわち、図21Aおよび21B)ことができる。これにより、EOATは物体に接近する過程で環境を連続的に視覚化してスキャンの事前定義された構成にリセットする必要がなく、物体を持続的に観察することができる。手を伸ばして把持する間、タスクを持続的に観察することで把持前の姿勢エラーを最小限に抑えるのに役に立つことができる。なお、1つまたは複数のカメラは、天井や棚の高いシャーシ、例えば保管室に配置できることに留意されたい。この構成において、天井に配置されたカメラは、折り畳み式アーム30、棚、障害物、および把持対象の環境の視覚情報の固定点を含む情報を提供することができる。天井に取り付けられたカメラとEOAT50および/または手のひらの上/近くに配置されたカメラとを使用して物体操作タスクを改善することができる。
【0098】
ビジョンセンサーには近距離ターゲット検知の問題がある可能性があるため、EOATがターゲット物体に近接した場合(例えば、30~50mm)、視覚的フィードバックに基づいて自己適応調整を行いにくいこともある。このような制限を克服するために、触覚または近距離センサーを全部EOAT50または手のひらに統合してもよい。
【0099】
一実施例では、カメラ61は、1つまたは複数の3Dカメラを含む3Dビジョンシステムであってもよい。このような構成において、カメラ61は、探知すべき物体に従って多くの市販の3Dビジョンシステムから選択してもよい。例えば、飛行時間法を利用するレーザー距離計は遠くの物体の位置を決定するのに使用することができるが、立体画像システムは高コントラストの物体を画像化するのにより適している場合がある。物体の鏡面反射性が高い場合、投影テクスチャー技術(例えば、構造化光)を使用する方が便利な場合がある。物体の検知とピックアップにおいてロボットを支援するための3Dビジョンシステムはよく知られており、ここでは詳しく説明しない。
【0100】
図22および図23を参照すると、一実施例では、昇降機構40はリフティング機構に基づいている。具体的に、昇降機構40は、引出し機構20および車輪付きベース10に連結されたリフティング機構42と、車輪付きベース10に固定されてリフティング機構42を駆動して垂直方向で伸縮させるように構成されるアクチュエーター41と、を含む。引出し機構20は、リフティング機構42が伸張すると垂直方向に沿って上向きに移動し、リフティング機構42が収縮すると垂直方向に沿って下向きに移動する。なお、昇降機構40は限定されず、実際の必要に応じて調整できることに留意されたい。一実施例では、リフティング機構は、シザーリフティング機構であってもよい。
【0101】
図22および図23を参照すると、リフティング機構42は一対の支持部材421および422を含み、支持部材421および422は、互いに回転可能に連結されて十字型の「X」パターンを形成する。支持部材421は、実質的に同じ長さを有する互いに平行に固定される2つのロッド4211を含む。2つのロッド4211の上端は、上部プレート432に回転可能に連結され、ここで引出し機構20は上部プレート432に連結される。2つのロッド4211の下端は、車輪付きベース10に固定された底部プレート431に回転可能に連結される。一実施例では、底部プレート431は2つの凹溝4311を画定して2つのロッド4211の下端にそれぞれ回転可能に連結された2つの車輪423を収容する。支持部材421の支持下端がアクチュエーター41により駆動されると、2つの車輪423は2つの凹溝4311内で転がりながら移動することができる。別の実施例では、2つの車輪423の代わりに、2つのロッド4211の下端に回転可能に連結され、2つの凹溝4311に収容される2つのスライダを使用してもよい。支持部材421の支持下端がアクチュエーター41により駆動されると、2つのスライダは2つの凹溝4311内をスライドすることができる。
【0102】
図22および図23を参照すると、一実施例では、支持部材422は支持部材421と同様の形態で構成および配置される。具体的に、支持部材422は、実質的に同じ長さを有する互いに平行で固定された2つのロッド4221を含む。一方のロッド4221はその中間位置で一方のロッド4211に回転可能に連結され、他方のロッド4221はその中間位置で他方のロッド4211に回転可能に連結される。2つのロッド4221の下端は底部プレート431に回転可能に連結される。2つのロッド4221の上端は上部プレート432に移動可能に連結される。一実施例では、上部プレート432は2つの凹溝4321を画定して2つのロッド4221の上端にそれぞれ回転可能に連結された2つの車輪423を収容する。支持部材422が支持部材421により駆動されると、2つの車輪423は2つの凹溝4321内で転がりながら移動することができる。別の実施例では、2つの車輪423の代わりに、2つのロッド4221の上端に回転可能に連結され、2つの凹溝4321に収容される2つのスライダを使用してもよい。支持部材421の支持下端がリニアレール41により駆動されると、2つのスライダは2つの凹溝4321内をスライドすることができる。別の実施例では、リニアレール41は底部プレートに対して角変位で位置決め可能であり、支持部材422の下端は底部プレートの端部から離れた変位で配置される。
【0103】
このような構成により、支持部材421の下端または支持部材422の上端がアクチュエーター41により押し/引きされと、支持部材421の2つの車輪423は溝4311内を移動する、または支持部材422の2つの車輪423は溝4321内を移動する。そして、リフティング機構42が垂直方向で伸張/収縮して引出し機構20を上昇/下降位置に移動させる。図24に示すように、リフティング機構42は一対以上の支持部材421および422を含んでもよいことに留意されたい。これらの支持部材421および422の配置はよく知られており、ここでは詳しく説明しない。
【0104】
図22および図23を参照すると、一実施例では、アクチュエーター41は、リフティング機構42に推進力または引張力を加えてリフティング機構42を駆動して垂直方向に伸縮させるように構成されるリニアアクチュエーターである。アクチュエーター41は、底部プレート431の凹溝4311に平行な方向に移動可能な出力軸411を含む。支持部材421のロッド4211の下端はリンク412を介して出力軸411に連結される。そして、出力軸411は支持部材421のロッド4211の下端に推進力または引張力を加えることができる。支持部材421の車輪は引き続き凹溝4311内を移動でき、これによってリフティング機構42が伸張または収縮するように駆動する。一実施例では、リフティング機構40は、上部プレート432に固定された2つのロッド433および底部プレート431に固定された2つのチューブ434をさらに含む。ロッド433は上部プレート432に対して実質的に垂直である。チューブ434は、底部プレート432に対して実質的に垂直であり、2つのロッド433に従って配置される。リフティング機構40は2つのスプリング435をさらに含む。各スプリング435の下端は1つのチューブ434に固定され、各ロッド433は1つのスプリング435に固定される。リフティング機構42が完全に収縮された状態にあるとき、スプリング435は上部プレート432により圧縮される。リフティング機構42が完全に伸張された状態にあるとき、スプリング435は元の形状に戻る。引出し機構20が下方へ移動すると、スプリング435は上部プレート432によって徐々に圧縮され、アクチュエーター41のリニアレールに作用する負荷を減少させることができる。別の実施例では、4つのスプリング435が底部プレートの四隅に配置される。
【0105】
図25を参照すると、ロボットアシスタント100は、上記のような機械的およびソフトウェア的側面を含み、正確な位置決め、モーション計画、および軌跡追跡を含む機能を有する自律型ロボットであってもよい。ロボットアシスタント100は、計画された経路に沿って移動する間、既知の地図におけるそのリアルタイムの位置を決定することができる。計画された経路上に動的障害物(例えば、図25の障害物)がある場合、ロボットアシスタント100は障害物を検知して障害物を避けるための新しい経路を計画することができる。これらの機能により、ロボットアシスタント100は、開始位置と目標位置との間を自律的に移動して、割り当てられたタスクを実現することができる。例えば、位置Aから位置Bに移動し、位置Bから薬品を抽出して薬品を位置Cに配送する。これにより、知能型物流が可能になり、監視のないエンドツーエンドの物流解決手段を提供することができる。
【0106】
図26を参照すると、上記の機械的およびソフトウェア的側面を含むロボットアシスタント100は、折り畳み式アーム30と非常に器用なEOAT50とを含み、前記EOAT50は、十分な汎用性を有し、小さな物体を正確に把持するだけでなく比較的重い/嵩張る物体に対しても強力な力で把持(power grasps)することができる自律型ロボットであってもよい。ロボットアシスタント100は、場面内の物体を認識し、各物体の幾何学的形状の最適把持姿勢をトレーニングまたは検知して、マニピュレーターベースまたはEOATに対して物体の位置を決めて、衝突のない、または「衝突安全」な経路を計画して事前に把持姿勢に到達し、把持構成を計画し、後続の把持構成で物体の位置を決定することができる。これらの機能を利用して、ロボットアシスタント100は監視のないエンドツーエンドの物流解決手段を提供して様々な配送および物流のニーズを満たすことができる。具体的に、図26に示すように、ロボットアシスタント100が目標位置(例えば、棚300)に移動した後、折り畳み式アーム30およびEOAT50は、EOAT50が決定された位置に到達して決定された物体400をピックアップできるような状態になるように制御される。このプロセス中、ロボットアシスタント100は、物体400への到達可能性を決定し、引出し機構20を決定された高さまで移動させて折り畳み式アーム30およびEOAT50が物体400に到達できるように昇降機構40を制御することができる。一実施例では、EOAT50が物体400を把持した後、ロボットアシスタント100は、1つの引出し21を開いて折り畳み式アーム30が物体400を引出し21に装填することを可能にし、ロボットアシスタント100が動く前に引出し21を閉じる。ロボットアシスタント100が棚300から決定された位置に移動した後、ロボットアシスタント100は引出し21を開いて折り畳み式アーム30が物体400を降ろすように許容することができる。このロードおよびアンロードプロセス中に、ロボットアシスタント100は追跡システム(例えば、RFIDによる物品追跡またはバーコードスキャナ)を使用してロードおよびアンロード中の物体(例えば、薬品、手袋)の在庫を追跡することができる。また、追跡システムにより、ロボットアシスタント100はどの承認された人または患者が引出し機構20に対する装填、受け取り、および/または開放を行うかを決定する。このすべての情報は、追跡のために1つの集中したデータベースにアップロードでき、特定の閾値が満たされたときに在庫を自動的に再注文するために使用できる。また、追跡システムは、承認された人または患者が引出し機構20に対する装填、受け取り、および/または開放を行った場合、または在庫がなくなった場合、視覚的、聴覚的、または電子的警告を送ることができる。
【0107】
図27を参照すると、一実施例では、制御システム70は、プロセッサ71と、コンピュータ読み取り可能命令が格納されるメモリー72と、を含む。
【0108】
プロセッサ71は、メモリー72に格納された様々なソフトウェアプログラムおよび/または命令セットを稼働または実行して、ロボットアシスタント100の様々な機能を実行し、データを処理する。プロセッサ71は、中央処理装置(CPU)、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート、トランジスターロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネント、またはこれらの要素の一部または全部の組み合わせであってもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサまたは任意の通常のプロセッサなどであってもよい。
【0109】
メモリー72は、ソフトウェアプログラムおよび/またはコンピュータ読み取り可能命令セットを格納でき、高速ランダムアクセスメモリーを含むことができ、1つまたは複数の磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリーデバイス、または他の非揮発性ソリッドステートメモリーデバイスなどの非揮発性メモリーを含むことができる。
【0110】
ロボットアシスタント100は、プロセッサ71に電気的に接続されたベースモーションコントローラー101と、ベースモーションコントローラー101に電気的に接続され、作動足15のモーター152(以下、「足モーター152」と略称する)を駆動するように構成されたモータードライバー153と、ベースモーションコントローラー101に電気的に接続され、ベース10のモーター(以下、「ベースモーター1101」と称する)を駆動するように構成されたモータードライバー102と、をさらに含む。
【0111】
図27を参照すると、ロボットアシスタント100は、プロセッサ71に電気的に接続されるボディーモーションコントローラー401と、ボディーモーションコントローラー401に電気的に接続され、引出し機構20のモーター231または231a(以下、「引出しモーター231」と略称する)を駆動するように構成されたモータードライバー26と、ボディーモーションコントローラー401に電気的に接続され、昇降機構40のアクチュエーター41(以下、「リフティングモーター41」と称する)を駆動するように構成されたモータードライバー402と、をさらに含む。
【0112】
図27を参照すると、ロボットアシスタント100は、プロセッサ71に電気的に接続されたアームモーションコントローラー302と、アームモーションコントローラー302に電気的に接続され、折り畳み式アーム30のジョイント37のジョイントモーター370を駆動するように構成されたモータードライバー303と、をさらに含む。ロボットアシスタント100は、プロセッサ71に電気的に接続されたEOATモーションコントローラー501と、EOATモーションコントローラー501に電気的に接続され、EOAT50のEOATモーター503を駆動するように構成されたモータードライバー502と、をさらに含む。EOATモーター503は、上記のモーター511b、515b、545b、53c、55d、54e、55e、54f、55f、および56fのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0113】
ロボットアシスタント100は、ロボットアシスタント100の様々な構成要素に電力を供給する電源システム81をさらに備える。電源システム81は、電源管理システム、1つまたは複数の電源(例えば、バッテリー、交流電力(AC))、充電システム、電源故障検知回路、電力コンバータまたはインバータ、電源状態インジケータ(例えば、発光ダイオード(LED))、および発電、電力の管理や配電に関連する任意の他の構成要素を含むことができる。電源システム81は、固定位置のドッキング充電ステーションと結合することによってロボットアシスタント100に対する充電を許容できる自己充電ユニットをさらに含むことができる。
【0114】
一実施例では、ロボットアシスタント100は、ディスプレイ82をさらに備えてもよい。ディスプレイ82は、タッチセンシティブスクリーンであってもよく、ロボットアシスタント100のロボットと使用者との間の入力および出力インターフェースを提供する。ディスプレイ82は使用者に視覚的出力を表示する。視覚的出力には、グラフィック、テキスト、アイコン、ビデオ、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0115】
一実施例では、ロボットアシスタント100は、使用者とロボットアシスタント100との間のオーディオインターフェースを提供するスピーカー83およびマイク84をさらに含んでもよい。マイク84は、オーディオデータを受信し、オーディオデータを電気信号に変換し、電気信号をコマンドとして制御システム70に送信する。スピーカー83は、電気信号を人の耳に聞こえる音波に変換する。
【0116】
なお、図27はロボットアシスタント100の一例のみを示しており、ロボットアシスタント100は、示されているよりも多いまたは少ない構成要素を有してもよく、2つ以上の構成要素を組み合わせてもよく、または構成要素の異なる構成または配置を有してもよいことに留意されたい。例えば、ロボットアシスタント100は、WIFIおよびブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)モジュールなどの無線通信インターフェース85をさらに備えてもよい。別の例では、EOATモーションコントローラーはアームモーションコントローラーに接続されることができる。この例では、EOATに対するコマンドはアームモーションコントローラーを介して伝達される。代わりに、この実施例では、コマンドはEOATに直接入力する。どのような形態にも拘わらず、プロセッサは直接的または間接的にEOATを命令することを担当する。図27に示す様々な構成要素は、1つまたは複数の信号処理および/または特定用途向け集積回路を含むハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実現することができる。
【0117】
図28を参照すると、一実施例では、ロボットアシスタント100は、ベース10の2つの車輪111をそれぞれ駆動するための2つのベースモーター1101を備える。ベースモーター1101は、直流(DC)モーターであってもよい。ロボットアシスタント100は、2つのベースモーター1101をそれぞれ駆動する2つのモータードライバー102を含む。ベースモーションコントローラー101は、プロセッサ71からのコマンド命令に応答してベースモーター1101の動きを指示する。ベースモーションコントローラー101は、パルス幅変調(PWM)方法を使用してDCモーターの速度制御を実現することができるDCモーターコントローラーであってもよい。ベースモーションコントローラー101は、そのプログラミングに基づいて各種演算を実行し、モータードライバー102およびモータードライバー153のゲートドライバーに出力を与えることにより、ベースモーター1101および足モーター152を駆動する。他の実施例では、ベースモーター1101および足モーター152は、2つ以上の個別のモーションコントローラーによって制御され得る。
【0118】
一実施例では、各モータードライバー102は、ベースモーションコントローラー101に電気的に接続されるゲートドライバー103と、1つのベースモーター1101に電気的に接続される複数のトランジスター104と、を含む。ゲートドライバー103およびトランジスター104は、個別の構成要素であってもよく、または単一の集積回路に統合されてもよい。各ベースモーター1101は、ベースモーター1101のロータの角度位置を検知し、ロータ角度情報をロータ位置信号としてベースモーションコントローラー101に出力するように構成されたエンコーダー105を含む。他の実施例では、エンコーダー105の代わりに、例えば、ホール効果センサーや逆起電力(EMF)ゼロ交差検知器のような他の位置センサー、および/またはベースモーター1101のロータの角度位置を指示する情報を一般に生成できる任意の他の機器を使用してもよい。
【0119】
2つのエンコーダー105からの角度位置信号は、ベースモーションコントローラー101がゲートドライバー103に提供される密閉ループコマンドを生成することを可能にする。また、2つのエンコーダー105からの角度位置信号は、ナビゲーションおよび自己位置特定性能を向上させるための追加のオドメータ情報としても使用される。次に、ゲートドライバー126は、ベースモーター1101を駆動するために可変デューティーサイクルPWMモーター駆動信号を生成する。具体的に、3つのハーフHブリッジ配置方式で配置された6つのトランジスター104を有してよい。各ゲートドライバー126は、6つのトランジスター104をそれぞれ駆動するためのゲート駆動信号を生成する。6つのトランジスター104は、1つのベースモーター1101を回転させる可変デューティーサイクルPWMモーター駆動信号を生成する。一実施例では、トランジスター104それぞれはNチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスター(MOSFET)である。なお、トランジスター104は、NチャネルMOSFETに限定されず、例えば、PチャネルMOSFET、バイポーラ接合トランジスター(bjt)、シリコン制御整流器(scr)、サイリスタ、トライアック(triac)または他の類似のスイッチ素子のような他のタイプのスイッチ素子を使用してもよいことに留意されたい。また、モータードライバー12は、特に制限されず、実際の必要に応じて変更できることに留意されたい。例えば、モータードライバー12は、市販のDCモータードライバーに置き換えることができる。
【0120】
ベースモーションコントローラー101は、プロセッサ71からコマンドを受信する。これらのコマンドは、車輪111によって達成されるモーションに対する説明、またはベースモーションコントローラー101に対して他のシステムメンテナンス/システム監視 タスクを実行する命令を含む、多くの異なる命令を含むことができる。
【0121】
モーションを説明する命令の一例は、所定の時間内に到達すべき目標速度の伝送である。ベースモーションコントローラー101は、各車輪111と関連付けられたエンコーダー105からの信号を使用して車輪111の速度を持続的に監視および計算するようにプログラミングされ、これにより、目標速度と現在の速度との差を決定することができる。次に、ベースモーションコントローラー101は、この差をそのオンボードパルス幅変調器(PWM)システムに対する命令に変換してPWM信号のデューティーサイクルを増加または減少させることができる。このPWM信号は、ゲートドライバー103を介してトランジスター104に供給され、ベースモーター1101のコイルに導かれた電流を対応して増加または減少させ、ベースモーター1101をより速くまたは遅くする。
【0122】
同様の一連の操作を通じて、モーション方向を制御することもできるので、ベースモーションコントローラー101はプロセッサ71からの左または右ターンコマンドを異なる速度で2つの車輪111を駆動する信号に変換して、ロボットアシスタント100が移動するときにそれを回転させることができる。一実施例では、ベースモーションコントローラー101に対する他の一連の操作は、命令を受信して車輪付きベース10が前方、後方、または車輪付きベース10に対する現在の位置の一連の位置として説明される経路に沿って所定の距離だけ移動させる。
【0123】
ベースモーションコントローラー101は他の機能を実行することもできる。具体的に、ベースモーションコントローラー101は、エンコーダー105から導出された情報に応じて前記情報を計算し、それによって、プロセッサ71に車輪111の位置、車輪111により移動した角度距離または速度を報告することができる。
【0124】
2つの差動駆動輪111を含むロボットアシスタント100は差動駆動輪型の移動ロボットである。この2つの車輪は独立して駆動される。1つまたは複数のパッシブキャスターはバランスと安定性のために使用される。車輪が同じ速度で回転する場合、ロボットは直接または後方に移動する。一方の車輪が他方の車輪より速く進むと、ロボットは瞬間的な円の弧に沿って曲線を辿る。2つの車輪が同じ速度で反対方向に回転すると、ロボットは2つの駆動輪の中間点を中心に回転する。
【0125】
一実施例では、足モーター152は直流モーターであり、各モータードライバー153は、4つのスイッチ素子(例えば、MOSFET)を含むHブリッジ回路を備えることができる。具体的に、Hブリッジ回路は、2つの高圧側スイッチ素子S1およびS2と、2つの低圧側スイッチ素子S3およびS4と、を含む。高圧側スイッチ素子S1と低圧側スイッチ素子S3は直列に接続され、高圧側スイッチ素子S2と低圧側スイッチ素子S4は直列に接続される。スイッチ素子S1、S3およびスイッチ素子S2、S4は電源とグランドとの間に並列に接続される。モータードライバー153により駆動される足モーター152は、スイッチ素子S1およびS3の接続点とスイッチ素子S2およびS4の接続点に接続される。一方のモータードライバー153のスイッチ素子S1およびS4がターンオンされると、モータードライバー153により駆動される足モーター152は第1方向(例えば、時計回り方向)に沿って回転する。スイッチ素子S2およびS3がターンオンされると、足モーター152は反対になる第2方向(例えば、反時計回り方向)に回転する。Hブリッジ回路の構成は、制限されず、実際の必要に応じて変更することができる。
【0126】
各モータードライバー153はゲートドライバーをさらに含んでもよい。ゲートドライバーは、ゲート駆動信号を生成してHブリッジ回路を駆動するように構成される。ベースモーションコントローラー101からのPWM入力信号のデューティーサイクルを変化させることによって、足モーター152の速度を調整することができる。なお、モータードライバー153の構成は、制限されず、他の市販のDCモータードライバーが代わりに使用されてもよいことに留意されたい。
【0127】
一実施例では、ベースモーションコントローラー101は、プロセッサ71のコマンドにより、足モーター152を制御して、支脚151をその収縮位置(図8A参照)と拡張位置との間で移動させる(図8B参照)。足モーター152は、後方に駆動できないリニアモーターであってもよい。これは、足モーター152の電源が遮断されると、足モーター152のスライダがロックされ、物体操作タスク期間に電源故障が発生すると支脚151が支持面と接触したままになることを意味する。一実施例では、各足モーター152は、足移動のいずれかの端部に達したときにその動きを自動的に停止するために内蔵された機械的キャッチモーションスイッチを有してもよい。なお、図28は一例のみを示しており、ロボットアシスタント100は図示されているよりも多くの構成要素を有するか、または異なる構成要素の構成または配置を有してもよいことに留意されたい。
【0128】
一実施例では、アームモーションコントローラー302は、ベースモーションコントローラー101と同じまたは類似の構成を有することができる。モータードライバー303は、モータードライバー102または153と同じまたは類似の構成を有することができる。ジョイントモーター370はDCモーターであってもよい。プロセッサ71は、モーション計画アルゴリズムを実行して確率的ロードマップまたはPRMを生成することができる。PRMは、障害物のない空間内の点で構成されるグラフであり、これらの点間の直線は「辺」と呼ばれ、これらの間の直接的な移動は衝突を起こさない。プロセッサ71はアームモーションコントローラー302にコマンドを送信し、アームモーションコントローラー302はジョイントモーター370を駆動する。次に、各ジョイントモーター370は決定された角度だけ回転して、折り畳み式アーム30を障害物のない空間内で容易に移動させる。
【0129】
一実施例では、EOATモーションコントローラー501は、ベースモーションコントローラー101と同じまたは類似の構成を有することができる。モータードライバー502は、モータードライバー102、153または303と同じまたは類似の構成を有することができる。EOATモーター503はDCモーターであってもよい。アームモーションコントローラー302によりEOAT50が決定された物体の所定の範囲内の位置に移動された後、プロセッサ71はEOATモーションコントローラー501にコマンドを送信する。EOATモーションコントローラー501は引き続きEOATモーター503を制御して、EOAT50が決定された物体に接近するときにEOAT50のフィンガーを容易に移動させる。これにより、EOAT50は決定された物体を把持することができる。プロセッサ71は、決定された物体に作用する把持力を監視し、把持力が特定の値に達するとEOATモーションコントローラー501にコマンドを送信することができる。EOATモーションコントローラー501は引き続きモータードライバー502に信号を送信してEOATモーター503のモーションを停止させる。これにより、EOAT50のフィンガーは、決定された物体を滑ることなく掴むことができる。次に、プロセッサ71は、モーション計画アルゴリズムを実行してアームモーションコントローラー302に信号を送信して、障害物のない空間で折り畳み式アーム30が1つの決定された引出し21に移動するように制御することができる。EOAT50が引出し21の所定の範囲内の位置に移動した後、プロセッサ71はEOATモーションコントローラー501に信号を送信し、EOAT50のフィンガーが物体を解放するように制御する。そして、物体は引出し21に置かれる。
【0130】
図29を参照すると、一実施例では、ボディーモーションコントローラー401は、ベースモーションコントローラー101と同じまたは類似の構成を有することができる。モータードライバー26は、モータードライバー102、153、303または502と同じまたは類似の構成を有することができる。引出しモーター231はDCモーターであってもよい。ボディーモーションコントローラー401はプロセッサ71からコマンドを受信することができる。これらのコマンドは、開位置(図11参照)から閉位置(図1参照)へのスライドモーションなど、決定された引出し21により実現されるモーションに対する説明を含む、多くの異なる命令を含むことができる。次に、1つのモータードライバー26は、対応する引出しモーター231に回転信号を送って決定された引出し21が開位置から閉位置までスライドさせるように駆動する。ボディーモーションコントローラー401は、1つの位置制限スイッチ24から引出し21が移動限界に達したことを示す信号を受信すると、引出しモーター231の操作を停止することができる。他の実施例では、ボディーモーションコントローラー401は、引出し機構に取り付けられたエンコーダー装置からの位置フィードバック信号に基づいて、その作業空間内の引出しの位置を決定することができる。
【0131】
モータードライバー402は、モータードライバー102、153、303、502または26と同じまたは類似の構成を有することができる。リフティングモーター41は直流モーターであってもよい。ボディーモーションコントローラー401はプロセッサ71からコマンドを受信することができる。これらのコマンドは、元の下降位置(図1A参照)から上昇位置(図3参照)まで上向きに移動するなど、昇降機構40により駆動される引出し機構20が達成する動きに対する説明を含む、多くの異なる命令を含むことができる。ボディーモーションコントローラー401は、角度センサー44からの信号に基づいて計算を行うことにより、引出し機構20の移動距離を監視することができる。前記角度センサー44は、リフティングモーター41のロータの回転角度を示す。引出し機構20が所定の距離および決定された位置まで移動した後、モーションコントローラー401はリフティングモーター41の動作を停止することができる。ボディーモーションコントローラー401は、2つの位置制限スイッチ45のうちの1つから引出し機構20が移動限界に達したことを示す信号を受信すると、リフティングモーター231の動作を停止することができる。
【0132】
一実施例では、ロボットアシスタント100は、折り畳み式アーム30をカバーおよび/または保護するための透明または半透明のプラスチック/ポリカーボネートで作られたアーム保護部280(図1B)または281(図1A)をさらに含むことができる。アーム保護部280/281は引出し機構20に連結され、上昇位置(図1A)と隠蔽位置(図1B)との間でスライド可能または伸縮可能である。他の実施例では、アーム保護部280/281は、外部ハウジングに取り付けられ、カバーモーター28によって再伝達またはリフティングできる。ロボットアシスタント100は、上昇位置と隠蔽位置との間でアーム保護部280/281を移動させるためのアーム保護部モーター28をさらに含んでもよい。アーム保護部モーター28は直流モーターであってもよい。ロボットアシスタント100は、アーム保護部モーター28を駆動するように構成されたモータードライバー27をさらに含んでもよい。モータードライバー27は、モータードライバー102、153、303、502、26または402と同じまたは類似の構成を有することができる。ボディーモーションコントローラー401はプロセッサ71からコマンドを受信することができる。これらのコマンドは、隠蔽位置から上昇位置へのスライドモーションなど、アーム保護部280/281によって達成されるモーションに対する説明を含む、多くの異なる命令を含むことができる。ボディーモーションコントローラー401は、2つの位置制限スイッチ29のうちの1つからの信号を受信すると、アーム保護部モーター28の作動を停止することができ、前記信号は、引出し21が移動限界に達したことを示す。
【0133】
一実施例では、ロボットアシスタント100は、図20の吸盤513の下からほとんどの空気を排出する真空ポンプモーター507をさらに備えてもよい。真空ポンプモーター507は直流モーターであってもよい。ロボットアシスタント100は、真空ポンプモーター507を駆動するモータードライバー506をさらに備えてもよい。モータードライバー506は、モータードライバー102、153、303、502、26、27または402と同じまたは類似の構成を有することができる。ボディーモーションコントローラー401は、圧力センサー508からの信号に基づいて、環境大気圧より低い吸入カップ内の圧力レベルを監視することができる。ボディーモーションコントローラー401は、引き続きモータードライバー506に信号を送って、真空ポンプモーター507を駆動し、環境大気圧より低い吸盤内の圧力レベルを容易に特定の値に維持できる。これにより、吸盤は物体操作タスク期間に決定されたリフティング力を物体に提供することが可能である。なお、図29は一例のみを示しており、ロボットアシスタント100は図示されているよりも多くの構成要素を有するか、または異なる構成要素の構成または配置を有してもよいことに留意されたい。
【0134】
図27を参照すると、一実施例では、ロボットアシスタント100は、2つのRGB-Dまたは3Dカメラ61および62、複数のLiDARセンサー63、複数のIRセンサー64、複数の超音波センサー65、および複数のIMUセンサー66を含む複数のセンサー60を含む。上記の一方のカメラ61は折り畳み式アーム30またはEOAT50に配置される。図1Aに示すように、他方のカメラ62は引出し機構20の周辺に設けられたハウジング上に配置される。図1Aに示すように、IRセンサー64および超音波センサー65は車輪付きベース10の周辺に設けられたハウジング上に配置される。IMUセンサー66は車輪付きベース10上に配置される。センサー62~66は、プロセッサ71がロボットアシスタント100に対する位置特定、モーション計画、軌跡追跡制御、および障害物回避を実行できるように、プロセッサ71にデータを出力するように構成され、これについては以下で詳細に説明する。一実施例では、センサー61~66はプロセッサ71に電気的に直接接続される。
【0135】
図30を参照すると、一実施例では、IRセンサー64および超音波センサー65は、センサープロセッサ601に電気的に接続され得る。センサープロセッサ601は、IRセンサー64および超音波センサー65からのデータを受信して処理し、処理されたデータ(例えば、センサーから物体までの距離)をプロセッサ71および/または上記の1つまたは複数のモーションコントローラーに送信する。一実施例では、2つのIRセンサー64および2つの超音波センサー65はロボットアシスタント100の前側に配置され、2つのIRセンサー64および2つの超音波センサー65はロボットアシスタント100の後側に配置される。ただし、IRセンサー64および超音波センサー65の数および配置は、実際の必要に応じて変更することができる。
【0136】
一実施例では、IRセンサー64および超音波センサー65は、複数の差動ドライバーを介してセンサープロセッサ601に電気的に接続される。具体的に、2つの差動ドライバー602および2つの差動ドライバー603はセンサープロセッサ601に電気的に接続される。各差動ドライバー602は2つの差動ドライバー651に電気的に接続され、各差動ドライバー651は1つの超音波センサー65に電気的に接続される。各差動ドライバー603は2つの差動ドライバー641に電気的に接続され、各差動ドライバー641は1つのIRセンサー64に電気的に接続される。一実施例では、差動ドライバー602、603、641および651は、同じ構成を有し、差動ドライバーのICバスバッファーであってもよい。差動ドライバー602、603、641および651は、IRセンサー64および超音波センサー65により送信されたデジタル信号データパケットを受信し、それらをセンサープロセッサ601が認識できる信号に変換することができる。IRセンサー64に接続されたバスは、ベースモーター1101によって放出される電磁ノイズから保護するために差動ドライバーを通過する。差動ドライバーは、3.3Vから5Vへ、再び3.3Vへのレベル変換を提供してセンサーケーブルの信号対雑音比をさらに向上させる。
【0137】
一実施例では、1つのI/Oエクスパンダ642は各IRセンサー64および1つの差動ドライバー641に接続される。センサープロセッサ601は、1つのI/Oエクスパンダを介して各IRセンサー64を個別的にリセット/再起動することができるので、IRセンサー64は異なるICバスアドレスを有することができる。これらのアドレスは、センサープロセッサ601により割り当てられ、順に各IRセンサー64をリセットし、直ちに書き込みコマンドを発送する。他の実施例では、I/Oエクスパンダ642および差動ドライバー641の配置は、ソナーセンサーに適用されてもよい。I/Oエクスパンダ642の使用は、ICバスを介して遠隔IO機能を提供できるので、ロボットアシスタント100で延びるワイヤーの数を制限している。図30は、センサープロセッサ、差動ドライバー、IRセンサー、および超音波センサーの配置の一例のみを示しており、ロボットアシスタント100は図示されているよりも多くの構成要素を有するか、または異なる構成要素の構成または配置を有してもよい。
【0138】
図31を参照すると、一実施例では、電源システム81は、プロセッサ71に電気的に接続されたバッテリーモニター810と、複数のバッテリーセル815を含むバッテリーモジュール814と、を含む。プロセッサ71は、バッテリーモニター810を使用して監視(セル電圧、バッテリーパック電流、バッテリーパック温度)、保護(充電/放電FET制御)、およびバランスなどのバッテリーパック管理機能を実現することができる。電源システム81は、FETドライバー811、充電FET812および放電FET813をさらに含む。一実施例では、充電FET812はバッテリーモジュール814の正端子に接続され、放電FET813はバッテリーモジュール814の正充電端子に接続される。他の実施例では、バッテリーセル815の代わりに個別のバッテリーモジュールを使用してもよい。これらのモジュールは、実際の必要に応じて異なる位置に配置できるため、互いにバックアップし、より多くの自由度を提供できる。
【0139】
一実施例では、充電FET812および放電FET813はNチャネルMOSFETであってもよい。充電FET812および放電FET813は、いずれもFETドライバー811に電気的に接続される。バッテリーモニター810からのコマンドに応答して、FETドライバー811は充電FET812および/または放電FET813をオン/オフすることができる。充電FET812がターンオンになると、充電端子CHR+からの充電電流がバッテリーセル815に流入してバッテリーセル815を充電することが可能である。放電FET813がターンオンになると、バッテリーモジュール814がロボットアシスタント100の他の部品に電力を供給できるように、バッテリー815からの放電電流がバッテリーモジュール814の正端子に流れることを可能にする。充電FET812がターンオフされると、充電電流が充電FET812により遮断され、バッテリー815が完全に充電されると充電プロセスを停止する。放電FET813がターンオフされると、放電電流が放電FET813により遮断され、過放電によるバッテリーモジュール814の損傷を防止することができる。なお、図31および図32は電源システム81の一例のみを示しており、電源システム81は図示されているよりも多くの構成要素を有するか、または異なる構成要素の構成または配置を有してもよいことに留意されたい。
【0140】
図32を参照すると、一実施例では、電源システム81は、図31のバッテリーパックに接続された発電および配電システムをさらに含んでもよい。発電および配電システムは、ロボットアシスタントの残りの部分への異なる直流電源電圧の生成および割り当てを管理する電源システムコントローラーを含んでもよい。一実施例では、これらの電源は電圧は、24V、12V、およびロボットのアクチュエーターに使用されるPACK+上の電圧、並びにロボットアシスタントの他の電子機器に使用される12Vであってもよい。電源システムコントローラーは、これらの様々な電源出力で電源を使用禁止(disable)することができる。また、非常停止スイッチは、これらの電源出力の一部から電源を遮断して、非常時にロボットアシスタントのアクチュエーターを停止することもできる。ロボットアシスタントと共に使用されるドッキングステーションは、壁のコンセントに接続される固定要素である。ロボットアシスタントがドッキングステーションに止まると、コンセントで利用可能な電気を使用して充電電流を生成することによってロボットアシスタントのバッテリーパックを充電する。電源システムコントローラーは、ドッキングステーションへのドッキングとバッテリーの充電プロセスも可能にする。ドッキングプロセスには、ドッキングステーション上のビーコンとロボットアシスタントの動力システム上のビーコンセンサー、並びにtitsプロセッサ、モーションコントローラーおよび他の感知要素も必要される。一実施例では、ドッキングステーション上のビーコンは、赤外線発光ダイオードおよびその駆動回路を含むことができる。ロボットアシスタントの動力システム上のドッキングセンサーは、赤外線感知フォトトランジスターおよびこれの駆動回路を含むことができる。
【0141】
図33Aは、介護者からの要求の受信、介護者との通信およびタスク作成要求を提供できる3つのユーザインタフェースの例を示している。ユーザインタフェースは、モバイルデバイス910のディスプレイに表示され、モバイルアプリケーションまたはウェブサイトによって生成することができる。本実施例において携帯電話として説明されるモバイルデバイス910は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、またはウェアラブルコンピューティングデバイスなどの任意のモバイルコンピューティングデバイスを含み得るが、これらに限定されない。説明された場面では、ユーザインタフェースは、ヘルスケア従業者が介護者からのビデオ通信要求を受信するように許容する第1ユーザインタフェース911を含む。ビデオ通信とは、ライブビデオストリーミングまたはビデオ共有を介した情報の伝送を意味する。このような形態の交流により、情報の送信者と受信者はオーディオとビデオを使用して対話することができる。ユーザインタフェースは、ヘルスケア従業者がビデオ通信要求を受諾した後、介護者と通信するように許容する第2ユーザインタフェース912をさらに含む。ヘルスケア従業者は、介護者のニーズを理解することができる。ユーザインタフェースは、ヘルスケア従業者が配送される物体および物体を配送すべき位置を含むタスク要求を作成し、1つのロボットアシスタント100に割り当ててタスクを実行する管理システムにタスク要求を送信する第3ユーザインタフェース913をさらに含む。タスク要求は、ロボットアシスタント100に直接送信されてタスクを実行できる。なお、図33Aはロボットアシスタント100に使用されるユーザインタフェースの例のみを示しており、異なる要素を有するより多くのユーザインタフェースを提供できることに留意されたい。
【0142】
図33Bは、タスクのより全体的な画像を提供できるユーザインタフェースの例を示している。ユーザインタフェースは、ケア提供者に直観的な車両管理やトレーサビリティを付与して、作業中のロボットアシスタント100の位置だけでなく、ベッドそばまたは高齢者ケア環境のどこにでもいるローミングヘルスケア従業者(例えば、看護師や医師)または介護者(例えば、高齢者や患者)の位置も特定することができる。ユーザインタフェースは、モバイルデバイス920のディスプレイに表示され、モバイルアプリケーションまたはウェブサイトによって生成することができる。モバイルデバイス920は、より多くのコンテンツを表示できるディスプレイを備えたタブレットコンピュータまたはラップトップコンピュータであってもよい。ユーザインタフェースは、使用者にタスク説明921を提示し、このタスク説明921には、物体の名称と物体が配送される位置が含まれ得る。ユーザインタフェースは、タスクに関連する概略フロアプラン922も含む。介護者923とヘルスケア従業者924のプロフィールイメージ(profile image)は、該当位置の平面図に表示される。ユーザインタフェースは、現在のタスクを実行しているロボットアシスタント100を表す画像925も含む。ロボットアシスタント100の位置はリアルタイムに更新され、それに応じてフロアプラン内の画像925の位置が調整される。ロボットアシスタントの移動方向を表示することもできる。ユーザインタフェースは、使用者(例えば、ヘルスケア従業者)が現在のタスクを調整することや、すべてのタスクに対する情報にアクセスすること、オーディオを記録することを許容する「変更」、「取り消し」、「タスクキュー」、および「録音」ボタンをさらに含むことができる。なお、図33Bはロボットアシスタント100に使用されるユーザインタフェースの一例のみを示しており、異なる要素を有するより多くのユーザインタフェースを提供できることに留意されたい。
【0143】
図33Cは、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ)930のディスプレイに表示され、アプリケーションによって生成することができるユーザインタフェースの例を示している。上記のモバイルおよびタブレットコンピュータのユーザインタフェースのすべての機能は全部利用可能である。表示される情報は、ケア提供者向けにオーダーメードのものであってもよい。例えば、ユーザインタフェースは、1つまたは複数のロボットアシスタントの実行中または実行の準備をしているすべてのタスクに対する情報を表示する。このアプリケーションは、医療管理者や管理者が最もデータが豊富なユーザインタフェースにアクセスして、操作全体を完全に可視化するのに非常に理想的である。優先順位付けから承認まで、完全に制御して最も効率的なワークフローに集中する。なお、図33Cはロボットアシスタント100と共に使用されるユーザインタフェースの一例みを示しており、異なる要素を有するより多くのユーザインタフェースを提供できることに留意されたい。これらのユーザインタフェースのすべては、ケア提供者が要求への応答、タスクスケジュールの最適化、最適化されたルートの決定などを含む「スマート物流」に必要な機能を備えるようにする。
【0144】
図34は、一実施例によるロボットアシスタント100の制御方法を示すフローチャートであり、以下のステップを含む。なお、図34に示すようなステップの順序は制限されず、実際の必要に応じて変更できることに留意されたい。例えば、車輪付きベース10が決定された位置に移動するように制御し、次いで、1つまたは複数の引出し21が開かれるように制御する前に、引出し機構20が決定された位置まで上下に移動するように制御することができる。そして、折り畳み式アーム30およびEOAT50が1つまたは複数の決定された物体を把持するように制御する。
【0145】
ステップS101では、コマンド命令を受信する。制御システム70のプロセッサ71がコマンド命令を受信する。例えば、プロセッサ71は、使用者(例えば、ヘルスケア従業者)からのコマンド命令を受信でき、当該使用者はロボットアシスタント100が1つの位置から物体を取り出し、他の位置に物体を配送するように要求する。
【0146】
ステップS201では、第1コマンド命令に応答して車輪付きベース10を移動させる。プロセッサ71は、各コマンド命令を分析し、第1コマンド命令に応答して車輪付きベース10を決定された位置に移動させることができる。第1コマンド命令は、ロボットアシスタント100が到達すべき位置に対する説明を含んでもよい。例えば、使用者(例えば、ヘルスケア従業者)がロボットアシスタント100に物体の取得および配送を要求する場合、第1コマンド命令は、物体が保管される開始位置と、物体が配送される目標位置とに対する説明を含んでもよい。プロセッサ71は、メモリー72に格納されたソフトウェアプログラムおよび/または命令セットを実行して、位置特定や、モーション計画、軌跡追跡を実行することによって車輪付きベース10が計画された経路に沿って移動する間に既知の地図でのリアルタイム位置を決定できるようにしてもよい。計画された経路上に動的障害物(例えば、図25の障害物)がある場合、プロセッサ71は障害物を回避するために新しい経路を計画することができる。車輪付きベース10は、最初に開始位置に、次に目標位置に自律的に移動することができる。
【0147】
ステップS301では、第2コマンド命令に応答して1つまたは複数の引出し21を開閉する。プロセッサ71は、各コマンド命令を分析し、第2コマンド命令に応答して1つまたは複数の引出し21を開閉することができる。プロセッサは、使用者(例えば、ヘルスケア従業者)から第2コマンド命令を受信して1つまたは複数の引出し21を開閉することができる。また、プロセッサ71は、ロボットアシスタント100が決定された位置(例えば、開始位置や目標位置)に到達したときなど、特定の条件が満たされたときに、1つまたは複数の引出し21を開閉することができる。一実施例では、ヘルスケア従業者は、自身の会社バッジ(一般的にストラップバッジやリストバンドまたは他の識別インジケータ)をRFIDセンサーに適用して、音声コマンドまたは顔認識でロック解除して引出し21の開放を認証することができる。会社バッジのRFID情報および/または人物の顔認識情報を追跡システムにアップロードすることができる。
【0148】
図37に示すような例示的な方法を実行して引出し2を制御することができる。引出しは、十分な空間がある場合にのみ開かれ、かつ、引出し21に正しく挿入されていない人間の指や物体による潜在的な妨害が検知されない場合にのみ、引出しは閉じられる。この方法には、次のステップが含まれる。ステップS801では、使用者からのコマンド、または使用者の意図を反映するセンサーからのデータを受信する。プロセッサ71は、引出し21を開閉しようとする使用者からコマンドを受信することができる。プロセッサ71は、使用者の意図を反映する1つまたは複数のセンサーからデータを受信することができる。例えば、1つまたは複数のセンサーは、引出し21を開閉しようとする使用者の意図と関連した使用者のジェスチャーを検知するための非接触センサー(例えば、カメラ)を含んでもよい。ステップS802では、障害物検査を実行して決定された引出し21の移動を邪魔する障害物が存在するかどうかを決定する。プロセッサ71は、衝突検知センサー(例えば、感圧抵抗器や距離センサー)からのデータに基づいて決定された引出し21の移動を邪魔する障害物が存在するかどうかを決定することができる。障害物が検知された場合、ステップS805の処理に進み、そうでない場合、プロセッサはステップS804に進む。ステップS804では、決定された引出し21の移動を制御する。プロセッサ71は、センサーからのコマンドまたはデータに応答して引出し21を開閉するように制御することができる。ステップS805では、警告メッセージを出力する。プロセッサ71は、視覚的および/または聴覚的警告メッセージを出力して潜在的な異常状態を使用者に警告することができる。次に、プロセッサ71は、センサーからのコマンドまたはデータに対する応答を一時停止することができる。
【0149】
ステップS401では、第3コマンド命令に応答して、折り畳み式アーム30およびEOAT50の移動を駆動して決定された位置から外部物体をピックアップし、決定された位置に外部物体を入れる。プロセッサ71は、第3コマンド命令に応答して、折り畳み式アーム30およびEOAT50の移動を駆動することによって外部物体をピックアップし入れることができる。第3コマンド命令は、ロボットアシスタント100が到達すべき位置と配送される物体に対する説明を含むことができる。ロボットアシスタント100が決定された位置に到達した後、プロセッサ71は物体の位置を決定することができる。例えば、プロセッサ71は、カメラ61および可能な補助範囲/近接センサー(「ビジョンモジュール」と総称する)からのデータに基づいて、事前にトレーニングされた項目リストから物体を検知することができる。ビジョンモジュールは、カメラ61に対する検知された物体の姿勢およびグローバル座標フレームを報告することができる。基準ラベル/マーカーをコンテナ、環境内の特徴および/または選択した物体に追加して検知をより強力にすることができる。折り畳み式アーム30は、折り畳み式アーム30の終端に取り付けられたビジョンモジュールを再配置および方向付けして、デフォルトの視野およびカバー範囲を拡大するのを助けることができる。スキャンタスクで使用して、周辺の物体を包括的に検索し、カメラモジュールの固定焦点を補正することができる。調整された位置特定と画像収集を繰り返し実行して、ターゲットの位置特定の正確性を最大化することもできる。多くのターゲット検知および認識方法は、既に論文や特許などの刊行物で議論されているため、ここでは詳しく説明しない。
【0150】
プロセッサ71は、モーション計画アルゴリズムを実行して確率的ロードマップまたはPRMを生成することができる。PRMは、障害物のない空間内の点で構成されるグラフであり、これらの点間の直線は「辺」と呼ばれ、これらの間の直接的な移動は衝突を起こさない。プロセッサ71は、引き続き折り畳み式アーム30を制御して障害物のない空間を移動させることができる。プロセッサ71は、EOAT50が決定された物体に接近するときにEOAT50のフィンガーを動かすことができ、これにより、EOAT50は決定された物体を把持することができる。プロセッサ71は、決定された物体に作用する把持力を監視してEOAT50のフィンガーが滑ることなく決定された物体を把持することができるようにする。次に、プロセッサ71は、折り畳み式アーム30が障害物のない空間で1つの決定された引出し21に移動するように制御することができる。EOAT50が引出し21の所定の範囲内の位置に移動した後、プロセッサ71はEOAT50のフィンガーが物体を解放するように制御することができる。そして、物体は引出し21に置かれる。
【0151】
図35を参照すると、操作タスク中に、折り畳み式アーム30の動きは要求される時間区間内に与えられた時間プロファイル(timeprofile)軌跡を辿る必要がある。アームモーションプロファイルを作成して折り畳み式アーム30の動きを制御することができる。例えば、折り畳み式アーム30を伸張状態に拡張することと、折り畳み式アーム30を最も左側位置に移動することと、折り畳み式アーム30を最も右側位置に移動することと、折り畳み式アーム30を元の平らな状態に折り畳むことと、を含む4段階の軌跡を追跡する場合、下図のようなアームモーション軌跡(arm motion profile)を作成することができる。アームモーション軌跡に基づいて、折り畳み式アーム30が各モーション段階の最初の20%では加速し、次の60%の時間では一定の速度で移動し、各モーション段階の残りの20%では減速されるように制御する。
【0152】
図36を参照すると、一実施例では、ステップS401は下記のようなステップを含むことができる。ステップS402では、決定された物体の位置を決定する。ステップS403では、折り畳み式アーム30およびEOAT50を把持前姿勢に移動させる。ステップS404では、EOAT50が把持前姿勢に移動したかどうかを決定する。EOAT50が把持前姿勢に移動した場合、ステップS405に進み、そうでない場合はステップS403に戻る。ステップS405では、EOAT50が物体を把持するように制御する。ステップS406では、物体の把持に成功したかどうかを決定する。物体の把持に成功した場合、ステップS407に進み、そうでない場合はステップS404に戻る。ステップS407では、折り畳み式アーム30およびEOAT50を制御して物体を決定された位置に移動させて配置する。
【0153】
ステップS501では、第4コマンド命令に応答して、引出し機構20を上下に移動するように昇降機構40を制御する。プロセッサ71は、第4コマンド命令に応答して引出し機構20を上下に移動するように昇降機構40を制御することができる。第4コマンド命令は、ロボットアシスタント100が到達すべき位置と配送される物体に対する説明を含んでもよい。プロセッサ71が物体の位置を特定した後、物体に対する到達可能性を決定することができる。決定された到達可能性により、プロセッサ71は、引出し機構20を上向きに移動するように昇降機構40を制御して折り畳み式アーム30が決定された物体に到達できるようにする。物体を引出しに入れる過程において、プロセッサ(70)は引出し機構20を下向きに元の下降位置に移動するように昇降機構40を制御することができる。
【0154】
図38は、一実施例によるロボットアシスタント100の制御方法を示すフローチャートであり、下記のステップを含む。
【0155】
ステップS601では、少なくとも車輪付きベース10の移動に応じて、少なくとも1つのセンサーに基づいて環境地図を作成する。一実施例では、同時位置特定および地図構築(SLAM)を使用して環境地図を作成することができる。SLAMは、自己認識に基づく同期位置特定および地図構築を実現する。SLAMは、異なるセンサーからのデータを組み合わせて同時に位置を計算して地図を構築することができる。ロボットアシスタント100は、未知の環境の未知の位置から出発し、移動中に環境の特徴を繰り返し観察することによって自身の位置と方向を特定し、その後、自身の位置によって周辺環境に対する増分地図を構築し、同期位置特定および地図構築の目的を達成する。2つの一般的なSLAM方法には、視覚的SLAMとLiDARに基づくSLAMとが含まれる。一実施例では、LiDARに基づくSLAMを使用して環境地図を作成するこができ、前記SLAMは、LiDARセンサー63およびIMUセンサー66からのデータを組み合わせている。他の実施例では、カメラ62およびIMUセンサー66からのデータを組み合わせた視覚的SLAMを使用して環境地図を作成することができる。ただし、他のタイプのSLAM方法を使用して同時に位置を計算して地図を構築してもよい。
【0156】
ステップS602では、環境地図におけるロボットアシスタント100の現在位置を決定する。一実施例では、LiDARに基づくSLAMを使用してロボットアシスタント100のリアルタイム方向および位置を決定することができる。他の実施例では、ロボットアシスタント100のリアルタイム方向および位置は視覚的SLAMを使用して決定することができる。一実施例では、環境地図が作成された後、自己適応モンテカルロ位置特定(AMCL)を使用して以前に作成した環境地図におけるロボットアシスタント100のリアルタイム方向および位置を決定することができる。具体的に、環境地図がある場合、AMCLアルゴリズムは粒子フィルターを使用して可能な状態の分布を表し、各粒子は可能な状態、すなわちロボットアシスタント100が存在するという仮定を表す。前記アルゴリズムは一般的に構成空間にわたる粒子の均一なランダム分布から始まる。これは、ロボットアシスタント100にどこにあるのかに対する情報がなく、空間の任意の点にある可能性が同一であると仮定できることを意味する。ロボットアシスタント100が移動するたびに粒子を移動させて移動後の新しい状態を予測する。ロボットアシスタント100が特定の物体を感知するたびに、再帰的ベイズ推定(すなわち、実際の感知データと予測状態の関連程度)に基づいて粒子に対して再サンプリングを実行する。最終、粒子はロボットアシスタント100の実際の位置に向かって収束するはずである。
【0157】
ステップS603では、ロボットアシスタント100が決定された経路に沿って移動する間、ロボットアシスタント100に障害物を避けるように指示する。一実施例では、A-starアルゴリズムはロボットアシスタント100の無衝突経路を決定するために使用することができる。A-starアルゴリズムの目的は、障害物との衝突を回避し、センサー(例えば、LiDARセンサー63、IMUセンサー66、カメラ62)からのフィードバック情報に基づいてロボットアシスタント100の移動問題を処理することである。A-starアルゴリズムは、ロボットアシスタント100の軌跡をリアルタイムで修正してロボットアシスタント100が経路で発見された動的障害物との衝突を回避できるようにする。これに対する地図表現として、A-starアルゴリズムは正方形に画定されたグリッドベースの検索領域を使用している。各正方形は、自由空間であってもよく、障害物であってもよい。最短経路を見つけるために、自由空間正方形(ノードともいう)で構成された無衝突軌跡を計算する。目標までの最短経路を見つけるために、A-starアルゴリズムはヒューリスティック方法を使用する。A-starアルゴリズムは、最初にその開始ノードAを、可能な経路の自由空間ノードを含むオープンセットに追加する。次に、ノードAの周辺の使用可能な空間ノードを見つけてそのリストに追加し、ノードAをその親ノードとして設定する。次に、ノードAをクローズドセットに追加した後、オープンセットから削除する。次に処理されるノードは、目標までの最小コストFによって決定される。最小コストF=G+Hであり、ここで、Gは次のノードに到達するコストであり、Hは目標点までの推定距離である。A-starアルゴリズムは効率的で完全な経路検索を提供している。しかし、他の障害物回避アルゴリズムを使用してロボットアシスタント100の無衝突経路を決定することができる。
【0158】
一実施例では、ダイクストラ(Dijkstra)アルゴリズムはロボットアシスタント100の無衝突経路を決定するために使用することができる。Dijkstraアルゴリズムは、非負のエッジ経路コストを有するグラフの単一ソース最短経路問題を解決して最短経路ツリーを生成するグラフ検索アルゴリズムである。グラフ内の特定のソース頂点(ノード)について、前記アルゴリズムはその頂点と他の各頂点との最小コストの経路(すなわち、最短経路)を見つける。具体的に、ノードYの距離を最初のノードからYまでの距離に設定する。Dijkstraアルゴリズムでは、いくつかの初期距離値を割り当て、それらを段階的に改善しようとする。ステップ1:各ノードに対する一時的距離値を指定する。すなわち、初期ノードの場合、それをゼロに設定し、他のすべてのノードの場合、それを無限大に設定する。ステップ2:アクセスされなかったすべてのノードをマークする。初期ノードを現在のノードに設定する。1組のアクセスされなかったノードを作成し、すべてのノードで構成されたと言えるアクセスされなかったセットを作成する。ステップ3:現在のノードに対して、アクセスされなかったすべての隣を考慮してこれらの一時的距離を計算する。例えば、現在のノードAが距離6とマークされ、それと隣Bを結ぶ辺の長さが2の場合、B(Aを介して)までの距離(とおり)は、6+2=8である。前記距離が以前に記録した一時的距離Bより小さいと、前記距離はオーバーライト(overwrite)される。隣が検査されても、この時点では「アクセス済み」としてマークされず、依然としてアクセスされなかったセットに保留する。ステップ4:現在のノードのすべての隣が考慮されたら、現在のノードをアクセス済みとしてマークし、アクセスされなかったセットから除去する。アクセス済みのノードはさらに検査されない。ステップ5:ターゲットノードがアクセス済みとしてマークされた場合(2つの特定のノード間の経路を計画するとき)、またはアクセスされなかったセット中のノード間の最小の一時的距離が無限大である場合(1つの完全な巡回を計画している場合。初期ノードと残りのアクセスされなかったノードとの間が結ばない場合に発生する)、停止する。アルゴリズムが終了する。ステップ6:最小の一時的距離がマークされたアクセスされなかったノードを選択し、新しい「現在のノード」として設定した後、ステップ3に戻る。Dijkstraアルゴリズムは、ロボットアシスタント100の軌跡をリアルタイムで修正でき、このようなロボットアシスタント100はその経路で発見された動的障害物との衝突を回避することができる。
【0159】
ロボットアシスタント100が計画された経路に沿ってある位置(例えば、開始位置)から他の位置(例えば、目標位置)に移動する間、軌跡追跡制御を実行してロボットアシスタント100が計画された経路を追跡するように制御する。一実施例では、非線形比例積分微分(PID)に基づくモーションコントローラーを使用して軌跡追跡制御を実行できる。PWM値の入力によりPWM信号を生成し、ベースモーター1101のモーターコントローラーに供給されてベースモーター1101を駆動する。なお、PIDモーションコントローラーを使用した車輪型ロボットの軌跡追跡制御について、多くの手法が提案されており、ロボットアシスタント100の軌跡追跡制御に使用できることに留意されたい。
【0160】
図40A図40Cを参照すると、図1A中の折り畳み式アーム30aの運動学的モデルが作成される。一実施例では、運動学的モデルは、折り畳み式アーム30aのDenavit-Hartenberg(DH)パラメーターを最適化するのに使用でき、折り畳み式アーム30aが引出し21内の1つまたは複数の作業空間に対して最大の到達可能性を有するようにする。具体的に、ジョイント1は折り畳み式アーム30aの第1リンク31aが第1垂直軸を中心に回転するように駆動する回転ジョイントを表す。ジョイント2は第2リンク32aが第1リンク31aに対して第1軸に実質的に垂直な第2軸を中心に回転するように駆動する回転ジョイントを表す。ジョイント3は第3リンク33aが第2リンク32aに対して第2軸に実質的に平行な第3軸を中心に回転するように駆動する回転ジョイントを表す。ジョイント4、5および6は、それぞれ第4リンク34aが第3リンク33aに対して回転するように駆動し、第5リンク35aが第4リンク34aに対して回転するように駆動し、第6リンク36aが第5リンク35aに対して回転するように駆動する回転ジョイントを表す。図1Aに示すように、ジョイント1~6は、平らな状態の折り畳み式アーム30aを基準として配置される。
【0161】
図40Aは、折り畳み式アームの構造および境界を示す模式図であり、作業空間に対する最適化問題を示している。一実施例では、ジョイント1の中心を原点とし、引出し機構20の長さ方向をX軸とし、引出し機構20の横方向をY軸とし、引出し機構20の縦方向をZ軸としてベース座標系を確立する。引出し機構20の上部プレートの中心の座標は(x,y,-z)であり、ここで、x、yおよびzは0より大きい。X-Y平面上のジョイント1~6の投影は図40Bに示すとおりである。X-Y平面上のジョイント1の投影はベース座標系の原点と一致する点である。X-Y平面上のジョイント2の投影はX軸に位置する線分である。X-Y平面上のジョイント3の投影はジョイント2の投影に垂直な線分である。X-Y平面上のジョイント4~6の投影はジョイント2の投影と平行な線分で表される。
【0162】
折り畳み式アーム30aの運動学的モデルおよびベース座標系を作成した後、以下のパラメーターを定義することができる。具体的に、d1はジョイント2と引出し機構20の上部プレートとの間の距離である。d2はジョイント2の投影中心とベース座標系の原点との間の距離である。a2は、X軸で線分の投影の長さに等しく、ジョイント2の中心から始まってジョイント3の中心で終了する。d3は、Y軸で線分の投影の長さに等しく、ジョイント2の中心から始まってジョイント3の中心で終了する。d4はジョイント3から6までの投影中心間の距離である。
【0163】
図39は、一実施例による折り畳み式アーム30aのパラメーターを決定するための方法を示すフローチャートである。この方法は、以下のステップを含むことができる。ステップS701では、折り畳み式アーム30aのモーション構造、折り畳み式アーム30aを折り畳んだときの折り畳み式アーム30aのジョイント角度、引出し21のサイズ、折り畳み式アーム30aの外皮(outer envelope)の情報を受信する。当該情報は、前記折り畳み式アーム30aのモーション構造と関連した情報を含む。折り畳み式アーム30aのジョイント角度は、図1Aに示すように、折り畳み式アーム30aが折り畳んで平らな状態にあるときの、折り畳み式アーム30aの回転ジョイントの角度を意味する。引出し21のサイズは、引出し21の幅、長さおよび深さを含む。
【0164】
ステップS702では、折り畳み式アーム30aのDHパラメーターをランダムに生成する。一実施例では、パラメーターは、引出し機構20の上部プレートの中心の座標xおよびyと、距離d1、d2、a2、d3、d4およびd6と、を含み、ここで、d6はジョイント4~6の投影中心とEOAT50の中心との間の距離である。ランダム値を生成してこれらのパラメーターに割り当てる。
【0165】
ステップS703では、折り畳み式アーム30aが引出し機構20の上部プレートの境界内に折り畳み可能か否かを決定する。x、y、d1、d2、a2、d3、d4、d6にランダム値を割り当てた後、ステップS701で受信した情報に基づいてジョイント1~6とEOAT50上の点が所定の領域外に落ちたかどうかを決定することができる。落ちた場合、折り畳み式アーム30aはアーム保護部281との衝突によって引出し機構20の上部プレートの境界内に折り畳むことができず、処理はステップS702に戻る。落ちない場合、処理はステップS703に進む。所定の領域は引出し機構20の上部プレートより小さい長方形領域である。例えば、折り畳み式アーム30aの各リンクの最大半径が0.05mより大きくないと、所定の領域の長辺と引出し機構20の上部プレートの長辺との間の距離は0.05mより小さくなく、同様に所定の領域の短辺と引出し機構20の上部プレートとの間の距離に適用される。また、EOAT50の大きさも所定の領域を決定する要因となり得る。
【0166】
ステップS704では、引出し21に対する折り畳み式アーム30aの作業空間の到達可能性を決定する。ここで、作業空間の到達可能性とは、引出し21の内部空間の総体積に対するEOAT50が到達可能な引出し21内の体積の比率を意味する。作業空間の到達可能性は、折り畳み式アーム30aのモーション構成が所望のタスクを達成するのに充分であるかどうかを評価するために使用される。ロボットEOATが到達できる作業空間を決定するために、いくつかの方法が提案されている。
【0167】
例えば、1つ方法として、直接運動学ベースのアルゴリズムを使用して、到達可能な作業空間の点を計算する。具体的に、このような方法では、冗長機械アームは回転ジョイントまたはプリズムジョイントに連結された一連のリンクでモデリングされる。各ジョイントが一般性を失わず、1つの自由度を有すると想定される。M個の自由度を有するジョイントは長さがゼロのリンクに連結されるM個のジョイントにモデリングされる。2つの連続的なリンクの間の関係を説明するために、各ケースにはいずれも1つの座標フレームが追加されている。同次行列Aiを使用して連続的なフレーム間の関係を説明する。行列Aの要素は、Denavit-Hartenberg符号を使用してプリズムジョイントと回転ジョイントを計算したものである。Denavit-Hartenberg(DH)は、規則は、座標フレームを機械アームの各ジョイントに単純かつ一貫した方法で割り当てるために使用される。回転ジョイントの変換行列Aは、
であり、ここで、4つの量θi、ai、di、αiはリンクiおよびジョイントiと関連したパラメーターである。4つのパラメーターai、αi、diおよびθiには、一般的にそれぞれリンクの長さ、リンクのツイスト(link twist)、リンクのオフセット、およびジョイントの角度の名称が与えられている。ロボット機械アームのDH規則(DH convention)は良く知られており、ここでは詳しく説明しない。回転ジョイント(θi)の場合、角度変数と呼ばれ、他の3つの固定量(di、ai、αi)はリンクパラメーターと呼ばれる。
【0168】
ベースに対するエンドエフェクターの説明は、Tnで示され、Tn=A1A2…An-1Anとして提供される。各点を計算する計算コストはθ(n)であり、ここで、nはエンドエフェクターから近位端リンクまでの経路でジョイントに関連した自由度の数である。直接運動学で計算された作業空間の点は、必ずしも曲面境界にあるとは限られない。エッジ検知アルゴリズムを使用して、作業空間の境界だけでなく、到達可能な作業空間内に隠れている穴やボイドを得ることができる。これは、作業空間の点を含む立方体のサイズを計算して達成することができる。この多次元データセットは、アプリケーションで必要な解像度に基づいて複数のセルに分割される。セル格子に作業領域の点が含まれると、それを1としてマークし、到達可能な点が含まれていない場合は0としてマークする。1つの作業空間のセルのいずれか隣接セルが0としてマークされると、境界セルと見なされる。行列Tnは次元が4x4の正方行列である。この行列の最後の列にある1番目、2番目および3番目の要素は、ベース座標系におけるエンドエフェクターの位置のx座標、y座標およびz座標である。このような方法により、引出し内の点とEOAT50が到達可能な点を決定することができる。したがって、引出し21の作業空間の到達可能性を決定することができる。即ち、引出し21内の空間の全容積に対するこれらの点により占められる容積の比率を決定することができる。
【0169】
他の実施例では、逆運動学を使用して到達可能な作業空間を計算することができる。具体的に、逆運動学は、ロボットエンドエフェクターを与えられた位置と方向に配置するのに必要な可変ジョイントパラメーターを計算する数学的プロセスである。与えられた位置について、ジョイントパラメーターに1つまたは複数の解が存在すると、与えられた位置は到達可能な位置である。図40Dに示すように、引出し内の点の3次元格子を検査してこれらの点のどれが折り畳み式アームのEOATに到達できるかを判断する。各点の位置について、逆運動学表現式で計算してEOAT50が該当点に到達できるようにするジョイントパラメーターの1つまたは複数の解があるかどうかを決定する。所定の順序によりこれらの点を検査することができる。例えば、これらの点が複数の平行な平面上に位置するものとして扱い、まず、最初の平面上のすべての点を検査した後、二番目の平面上のすべての点を検査し、最後の平面のすべての点まで検査する。このような方法により、引出し21内の点およびEOAT50が到達可能な点を決定することができる。したがって、引出し21の作業空間の到達可能性を決定することができる。つまり、引出し21内の空間の全体体積に対するこれらの点が占める体積の比率を決定することができる。
【0170】
ステップS705では、参照到達可能性があるかどうかを判断する。参照到達可能性がある場合はステップS707で進み、そうでない場合はステップS706に進む。
【0171】
ステップS706では、現在の作業領域の到達可能性を参照到達可能性として選択する。
【0172】
ステップS707では、現在の作業領域の到達可能性と参照到達可能性を比較し、大きい方を参照到達可能性として選択する。
【0173】
ステップS708では、ステップS704の作業空間の到達可能性の決定が所定の回数に達したかどうかを決定する。ステップS704の作業空間の到達可能性の決定が所定の回数に達するとステップS709に進み、そうでない場合はステップS702に戻る。一実施例では、所定の回数の値を1000に設定することができる。
【0174】
ステップS709では、参照到達可能性に対応する折り畳み式アーム30aのパラメーターを出力する。
【0175】
一実施例では、ステップS704の作業空間の到達可能性の決定が所定の回数に達しなかった場合、ステップS704の作業空間の到達可能性の決定回数が所定の値(例えば、10)より大きいかどうかを決定する。そうである場合、プロセスはステップS710に進み、そうでない場合はステップS702に戻る。
【0176】
ステップS710では、参照到達可能性に関連する折り畳み式アーム30aの各パラメーターの±n%をランダムに変化させて折り畳み式アーム30aのパラメーターを生成する。ここで、nは0より大きい。次に、プロセスはステップS703に戻る。
【0177】
図39の方法により決定されたパラメーターは、EOAT50が引出し21内のほとんどすべての位置に到達できるように、折り畳み式アーム30aの引出し21への十分な作業空間の到達可能性を有するようにする。
【0178】
図41Aおよび図41Bを参照すると、図39の方法により折り畳み式アーム30aのパラメーターが決定された後、棚内/棚上での折り畳み式アーム30aの作業空間の到達可能性を評価することもできる。一実施例では、棚は、引出し21の幅の半分である0.35mの幅と深さを有すると想定される。引出し機構20の背面から棚までの距離は、ロボットアシスタント100が90度回転するのに必要な半径である0.21mに設定されてもよい。前記引出し21の作業空間の到達可能性と同じまたは類似の方法で棚に対する作業空間の到達可能性を決定することができる。図40Aおよび図40Bに示すように、折り畳み式アーム30aは、昇降機構によって棚内のほとんどの位置に到達することができる。到達可能な作業空間は、図40Aおよび図40Bに示すように、完全に到達可能な作業空間、下部の部分的に到達可能な作業空間および上部の部分的に到達可能な作業空間を含む。
【0179】
なお、上記の開示は物流および他のタスクを実行するためのロボットアシスタント100のいくつかの実施例を詳細に説明していることを理解されたい。上述のように、ロボットアシスタント100は、監視されていないエンドツーエンドの物流解決手段を提供するために、生活場所またはヘルスケア所の支援として使用することができる。しかし、本発明はこれに限定されない。他の例示的な使用場面では、ロボットアシスタント100は、学校、オフィスや、倉庫などで使用することができる。
【0180】
以上の説明は、解釈の目的で、特定の実施例を参照して説明された。しかし、上記の例示的な議論は、網羅的であること、または開示された正確な形態に本発明を限定することを意図していない。上記の示唆に鑑みて、多くの修正および変形が可能である。実施例に対する選択および説明は、本発明の原理およびその実際の応用を最もよく解釈するためのもので、本分野の他の技術者が本発明および他の様々な実施例を最もよく利用できるようにし、これに対して様々な修正を進めて意図的特定用途に適合するようにする。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図21C
図21D
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33A
図33B
図33C
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40A
図40B
図40C
図40D
図41A
図41B